説明

選択的アンドロゲン受容体調節因子の固体形態

【課題】選択的アンドロゲン受容体調節因子となる(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態とそれを生産するための方法の提供。
【解決手段】少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30の周囲温度で、水中の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態の懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]アンドロゲン受容体(「AR」)は、リガンド活性化転写性調節タンパク質であり、このタンパク質は内因性アンドロゲンとの作用による男性の性的発育および機能の誘導を媒介する。アンドロゲンは、一般に男性ホルモンとして知られている。アンドロゲン性のホルモンは、精巣および副腎皮質によって体内で生産される、または研究所で合成し得る、ステロイドである。アンドロゲン性ステロイドは、多くの生理学プロセスで重要な役割を担うもので、該生理学的プロセスとしては、筋肉および骨量、前立腺の発達、精子形成、および男性の髪形等の男性性徴の発達および維持が含まれる(Matsumoto, Endocrinol. Met. Clin. N. Am. 23:857-75 (1994))。内因性ステロイドであるアンドロ
ゲン類として、テストステロンおよびジヒドロテストステロン(「DHT」)が含まれる。テストステロンは、精巣によって分泌される主要なステロイドであり、男性の血漿中にも見出される一次循環男性ホルモンである。テストステロンは、多くの末梢組織において、酵素5−αレダクターゼによってDHTに変換される。したがって、DHTは大部分のアンドロゲンの作用の細胞内メディエーターとして機能すると考えられている(Zhou, et
al., Molec. Endocrinol. 9:208-18 (1995))。他のステロイド性のアンドロゲンとして、テストステロンのエステル(例えばシピオネート(cypionate)、プロピオネート、フ
ェニルプロピオネート、シクロペンチルプロピオネート、イソカルポレート(isocarporate)、エナンテート、およびデカノエートエステル)、ならびに他の合成アンドロゲン(例えば、7−メチル−ノルテストステロン(「MENT」)およびその酢酸エステルが挙げられる(Sundaram et al., “7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception,” Ann. Med., 25:199-205 (1993) (“Sundaram”)。
ARが男性の性的発達および機能に関係することから、ARは男性の避妊またはホルモン置換療法の他の形態をもたらすための標的である。
【0003】
[0003]基礎科学および臨床レベルの両方で、以下の(a)ないし(g)に有用な新
規の革新的なアプローチが早急に求められている。すなわち、(a)男性の避妊;(b)種々のホルモン関連状態、例えば高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline
in Aging Male (ADAM))に関連した状態(例えば疲労、抑うつ、性欲減退、性機能不全
、勃起不全、性腺機能低下、骨粗鬆症、毛髪脱落、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、気分および認知の変容、ならびに前立腺癌)の治療;(c)ADIFに伴う状態(例えば性機能不全、性欲減退、性腺機能低下、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変容、抑うつ、貧血、毛髪脱落、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、ならびに卵巣癌)の治療;(d)急性および/または慢性の筋消耗状態の治療および/または予防;(e)ドライアイ状態の予防および/または治療;(f)経口アンドロゲン代償療法;ならびに/または(g)前立腺癌の発生率を減少させること、前立腺癌を食い止めること、または前立腺癌の退行を引き起こさせることである。
【0004】
[0004]様々な薬物の多形体(polymorph)、溶媒和物および塩は、薬物に新規特性を与えるとして、文献に記述されている。有機小分子からなる薬物は、自己集合を誘導する環境に依存して様々な多形形態(polymorphic form)に自己集合する傾向を有する。熱および溶媒を媒介とした効果もまた、1つの多形形態から別の多形形態に転換させること
ができる。
【0005】
[0005]各々の目的の条件下でどの多形形態が最も安定であるかと多形形態における変化をもたらすプロセスとを識別することは、最終製品が好ましい多形形態になっていることを保証するために、薬物製造プロセスの設計においてとても重要である。活性医薬成分(API)の異なる多形形態は、患者体内で薬物の可溶性、溶出速度、薬物動態学、ならびに究極的にはバイオアベイラビリティおよび有効性の変化をもたらし得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Matsumoto, Endocrinol. Met. Clin. N. Am. 23:857-75 (1994)
【非特許文献2】Zhou, et al., Molec. Endocrinol. 9:208-18 (1995)
【非特許文献3】Sundaram et al., Ann. Med., 25:199-205 (1993)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態およびそれを調製するためのプロセスに関する。いくつかの態様では、そのような化合物はアンドロゲン活性および同化活性のために有用である。(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドは、以下の点で有用な選択的アンドロゲン受容体修飾因子(SARM)である。すなわち、(a)男性の避妊;(b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)等の種々のホルモン関連の状態の治療;(c)女性におけるアンドロゲン減少(ADIF)に関連した状態の治療;(d)慢性の筋消耗(muscular wasting)の治療および/または予防;(e)前立腺癌の発生率を減少させること、前立腺癌を食い止めること、または前立腺癌の退行を引き起こさせること;ならびに/あるいは(f)経口アンドロゲン代償療法および/または他の臨床治療および/または診断の領域である。
【0008】
[0007]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態(crystalline form)を提供する。
【0009】
[0008]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の無水結晶形態(anhydrous crystalline form)を提供する。
【0010】
[0009]別の態様では、本発明は、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの無水結晶形態における結晶形態の治療量と、適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0011】
[0010]一態様では、本発明は、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態を調製するプロセスを提供するもので、該プロセスは、結晶化を許容する条件下で、約−20℃ないし+5℃の温度で、少なくとも一種類の有機溶媒中に(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを溶解させることを含み、それにより上記結晶形態を得る。
【0012】
[0011]一態様では、本発明は準結晶(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物を提供する。
【0013】
[0012]別の態様では、本発明は、準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドと適当な単体または希釈剤を含む組成物を提供する。
【0014】
[0013]一態様では、本発明は、準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製する方法を提供するもので、該方法は、少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30℃の外気温度で、準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを水に含む懸濁液を撹拌し、準結晶化合物(paracrystalline compound)を得ることを含む。
【0015】
[0014]一態様では、本発明は、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶固体形態と準結晶固体形態とからなる混合物と、適当な担体または希釈剤とを含む組成物を、提供する。
【0016】
[0015]本発明として見なされた主題は、明細書の結びの部分で詳しく指摘するとともに明確にクレームされている。しかし、本発明は、目的、特徴、および利点とともに、構成および操作方法の両方について、以下の添付した図面とともに読む場合に、以下の詳細な説明の参照によって、最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】[0016]図1は、化合物1のラセミ混合物の合成を概略的に示す図である。
【図2】[0017]図2は、化合物S−1の(S)−鏡像異性体の合成を概略的に示す図である。
【図3】[0018]図3は、化合物R−1の(R)−鏡像異性体の合成を概略的に示す図である。
【図4A】[0019]図4Aないし4Dは化合物S−1の固体形態に関するXRPDパターンを示す図である。4A‐固体形態A、化合物S−1のバッチP1。
【図4B】図4Aないし4Dは化合物S−1の固体形態に関するXRPDパターンを示す図である。4B‐固体形態A、化合物S−1のバッチP2。
【図4C】図4Aないし4Dは化合物S−1の固体形態に関するXRPDパターンを示す図である。4C‐固体形態A、化合物S−1のバッチP3。
【図4D】図4Aないし4Dは化合物S−1の固体形態に関するXRPDパターンを示す図である。4D‐固体形態B’、化合物S−1のバッチP4。
【図5A】[0020]図5Aないし図5Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のラマンスペクトルである。レーザー出力の設定を100mWとし、分解能を2cm−1とした。
【図5B】図5Aないし図5Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のラマンスペクトルである。レーザー出力の設定を100mWとし、分解能を2cm−1とした。
【図5C】図5Aないし図5Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のラマンスペクトルである。レーザー出力の設定を100mWとし、分解能を2cm−1とした。
【図5D】図5Aないし図5Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のラマンスペクトルである。レーザー出力の設定を100mWとし、分解能を2cm−1とした。
【図6A】[0021]図6Aないし6Dは、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のTG−FTIRスペクトルである。N雰囲気下、動的モードでの温度範囲オペレーションが25℃/10.0/250℃である条件を含んだ。
【図6B】図6Aないし6Dは、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のTG−FTIRスペクトルである。N雰囲気下、動的モードでの温度範囲オペレーションが25℃/10.0/250℃である条件を含んだ。
【図6C】図6Aないし6Dは、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のTG−FTIRスペクトルである。N雰囲気下、動的モードでの温度範囲オペレーションが25℃/10.0/250℃である条件を含んだ。
【図6D】図6Aないし6Dは、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のTG−FTIRスペクトルである。N雰囲気下、動的モードでの温度範囲オペレーションが25℃/10.0/250℃である条件を含んだ。
【図7A】[0022]図7Aないし図7Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のDSCスペクトルである。アスタリスクは、設定効果、すなわち使用した機器のアーチファクトを示す。
【図7B】図7Aないし図7Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のDSCスペクトルである。アスタリスクは、設定効果、すなわち使用した機器のアーチファクトを示す。
【図7C】図7Aないし図7Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のDSCスペクトルである。アスタリスクは、設定効果、すなわち使用した機器のアーチファクトを示す。
【図7D】図7Aないし図7Dは、各々、化合物S−1の試料バッチP1ないしP4のDSCスペクトルである。アスタリスクは、設定効果、すなわち使用した機器のアーチファクトを示す。
【図8A】[0023]図8A、図8B、および図8Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4のSEM顕微鏡写真である。
【図8B】図8A、図8B、および図8Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4のSEM顕微鏡写真である。
【図8C】図8A、図8B、および図8Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4のSEM顕微鏡写真である。
【図9A】[00024]図9A、図9B、および図9Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4の動的蒸気吸着(DVS)スペクトルである。9Aは形態AのDVSである。
【図9B】図9A、図9B、および図9Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4の動的蒸気吸着(DVS)スペクトルである。9Bは形態BのDVSである。
【図9C】図9A、図9B、および図9Cは、各々、化合物S−1の試料バッチP1、P2、およびP4の動的蒸気吸着(DVS)スペクトルである。9Cは形態B’のDVSである。
【図10A】[00025]図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。A‐化合物S−1(形態A)をn−ヘプタン(108mg/2.0mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図10B】図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。B‐化合物S−1(形態B’)を酢酸エチル+n−ヘプタン1:2(v/v)(81mg/1.7mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図10C】図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。C‐化合物S−1(形態B’)を酢酸エチル+n−ペンタン1:2(v/v)(101mg/1.0mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図10D】図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。D‐化合物S−1(形態A)を酢酸エチル+n−ペンタン1:2(v/v)(128mg/2.0mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図10E】図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。E‐化合物S−1(形態A)を酢酸エチル+n−ペンタン1:2(v/v)(112mg/2.0mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図10F】図10は、所定の溶媒中のS−1濃度を変えた後、溶媒を変えた後、またはそれらの組み合わせをおこなった後、に得られた化合物のXRPDスペクトルを示す。F‐化合物S−1(形態A)を酢酸エチル+n−ペンタン1:2(v/v)(126mg/2.0mL)に懸濁した後のXRPDスペクトルを示す。
【図11A】[00026]図11は、化合物S−1を用いて行った蒸気拡散実験の結果を示すXRPDパターンを示す。A− 23℃、2日間でのトルエンおよびn−ヘキサン中の化合物S−1のXRPDスペクトルを示す。
【図11B】図11は、化合物S−1を用いて行った蒸気拡散実験の結果を示すXRPDパターンを示す。B−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図11Aで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図11C】図11は、化合物S−1を用いて行った蒸気拡散実験の結果を示すXRPDパターンを示す。C− 23℃、7日間での酢酸および水中の化合物S−1に関して得られたXRPDスペクトルを示す。
【図11D】図11は、化合物S−1を用いて行った蒸気拡散実験の結果を示すXRPDパターンを示す。D−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図11Bで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図12A】[0027]図12は、撹拌することなく化合物の溶液を室温(乾燥Nフロー)で乾燥させた蒸発実験の結果を示すXRPDパターンを示す。12A−酢酸エチル容器中の化合物S−1(バッチP1)で得られたXRPDパターンを示す。
【図12B】図12は、撹拌することなく化合物の溶液を室温(乾燥Nフロー)で乾燥させた蒸発実験の結果を示すXRPDパターンを示す。12B−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図12Aで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図12C】図12は、撹拌することなく化合物の溶液を室温(乾燥Nフロー)で乾燥させた蒸発実験の結果を示すXRPDパターンを示す。12C−形態Cを提供するために、THFから得た化合物S−1(バッチP1)のXRPDパターンを示す。
【図12D】図12は、撹拌することなく化合物の溶液を室温(乾燥Nフロー)で乾燥させた蒸発実験の結果を示すXRPDパターンを示す。12D−図12Cに示すように、形態A(赤色、上)と形態C(青色、下)との混合物のXRPDパターンを示す。
【図13A】[0028]図13は、室温で化合物S−1を異なる溶媒に溶解し、+5℃または−20℃に冷却した溶液実験で得られた再結晶化の結果を表すXRPDスペクトルを示す。13A−酢酸エチル+n−ヘプタン1:1(v/v)中で得られた化合物S−1(バッチP1)のXRPDスペクトルを示す。
【図13B】図13は、室温で化合物S−1を異なる溶媒に溶解し、+5℃または−20℃に冷却した溶液実験で得られた再結晶化の結果を表すXRPDスペクトルを示す。13B−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図13Aで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図13C】図13は、室温で化合物S−1を異なる溶媒に溶解し、+5℃または−20℃に冷却した溶液実験で得られた再結晶化の結果を表すXRPDスペクトルを示す。13C−アセトニトリル+トルエン1:3v/v中で得られた化合物S−1(バッチP1)のXRPDスペクトルを示す。
【図13D】図13は、室温で化合物S−1を異なる溶媒に溶解し、+5℃または−20℃に冷却した溶液実験で得られた再結晶化の結果を表すXRPDスペクトルを示す。13D−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図13Bで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図14A】[0029]図14は、凍結乾燥実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。14A− 1−4−ジオキサン中で得られ、かつ−50℃に冷やした化合物S−1(バッチP−1)のXRPDスペクトルを示す。
【図14B】図14は、凍結乾燥実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。14B−バッチP1(形態A)のXRPDおよび図14Aで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図15】[0030]図15は、化合物S−1(バッチP4)を乾燥N雰囲気中で一晩乾燥させた場合の乾燥実験の結果を表すDSCサーモグラムを示す。アスタリスクは、設定効果、すなわち使用した機器のアーチファクトを示す。
【図16A】[0031]図16は、S−1の複数のバッチの混合物で懸濁実験を実施した相対的安定度実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。16A−酢酸エチル+n−ヘプタン1:2(v/v)130mg/2.0mL中で、化合物S−1の複数のバッチ(P1、P18、P24、P30、P37、およびP38、全てのバッチが形態AのXRPD特性を有する)の混合物から得たXRPDスペクトルを示す。
【図16B】図16は、S−1の複数のバッチの混合物で懸濁実験を実施した相対的安定度実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。16B−図16Aで得られたバッチP1(形態A)のXRPDおよび図16Aで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図16C】図16は、S−1の複数のバッチの混合物で懸濁実験を実施した相対的安定度実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。16C−酢酸エチル+n−ヘプタン1:2(v/v);(81+64)mg/2.0mL中で、化合物S−1の複数のバッチ(P1およびP52、ここでバッチP1は形態Aであり、またバッチP52は形態A+C)の混合物から得られたXRPDスペクトルである。
【図16D】図16は、S−1の複数のバッチの混合物で懸濁実験を実施した相対的安定度実験の結果を表すXRPDスペクトルを示す。16D−図16Bで得られたバッチP1(形態A)のXRPDおよび図16Bで得られたXRPDの重ね合わせスペクトルを示す。
【図17A】[0032]図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17A−11週間後に溶媒なしの化合物S−1のバッチP1について得られたDSC結果を示す。
【図17B】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17B− 37℃、19時間後における水中の化合物S−1バッチP1(形態A)のXRPDを示す(結果として形態B’の形成が得られた)。
【図17C】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17C− 23℃、20時間後における酢酸+水1:2(v/v)中の化合物S−1バッチP1(形態A)のXRPDを示す。
【図17D】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17D−形態Aの試料を加熱した場合(黒色)、溶融後の試料を冷却した場合(灰色)、およびこの試料を再加熱した場合(白色)のDSCサーモグラムを示す。加熱速度を10℃/分とし、冷却速度を1℃/分とした。溶融温度を上回る温度で形態Aを加熱することで、たとえ試料を冷却して周囲温度にまで戻した場合でもAに戻らないB”が生じた。
【図17E】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17E−形態A(灰色)、B”(黒色)、AおよびDの混合物(白色)、およびB”およびDの混合物(暗灰色)に対して1℃/分DSCを実行。AおよびB”は結晶化してDになることができるが、結晶化のための種として作用するDの存在下においてのみ生ずる。
【図17F】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17F−周囲温度/100%RHで7日間保存(明灰色)、50℃/0%RHで7日間保存(暗灰色)、および50℃/75%RHで6時間保存(白色)された形態AのDSCグラフを、元の試料(黒色)のDSCグラフとともに示す。
【図17G−a】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17G−(a)形態Dを種とし、50℃/75%RHで保存された多形体AのDSCグラフを示す。
【図17G−b】図17は、DSCサーモグラムおよびXRPDパターンを提供するものであり、室温で96%RH(相対湿度)下、S−1(バッチP1)をガラス試験管内に保存した場合の水蒸気吸着を表す。17G−(b)形態Dを種とし、水中50℃で保存された形態AのDSCグラフを示す。
【図18】[0033]図18は、化合物S−1の形態A(上)および形態D(下)のXRPDの重ね合わせスペクトルのXRPDパターンを示す。
【図19】[0034] 図19は、形態Aおよび形態DのDSCサーモグラムを示す。
【図20】[0035]図20は、トルエン溶媒和物(赤色)および形態D(黒色)の熱重量分析(TGA)グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0036]いくつかの態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態とその調製方法とを提供する。本発明は、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態を含む医薬組成物およびその使用も提供する。
【0019】
[0037](R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドは、アンドロゲン受容体を標的とする薬剤(ARTA)であり、アンドロゲン活性および同化活性(anabolic activity)を示す。いくつかの態様では、本明細書中に記述されるようなメチルプロピオンアミド類は選択的アンドロゲン受容体修飾物質(SARM)であり、該選択的アンドロゲン受容体修飾物質(SARM)は、いくつかの態様において、以下の点で有用である。すなわち、(a)男性の避妊;(b)種々のホルモン関連状態、例えば高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に付随した状態(例えば疲労、抑うつ、性欲減退、性機能不全、勃起不全、性腺機能低下、骨粗鬆症、毛髪脱落、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、気分および認知の変容、ならびに前立腺癌)の治療;(c)女性におけるアンドロゲン減少(ADIF
)に付随した状態(例えば性機能不全、性欲減退、性腺機能低下、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変容、抑うつ、貧血、毛髪脱落、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、ならびに卵巣癌)の治療;(d)慢性の筋消耗(muscular wasting)の治療および/または予防;(e)前立腺癌の発生率を減少させること、前立腺癌を食い止めること、または前立腺癌の退行を引き起こさせること;(f)経口アンドロゲン代償療法および/または他の臨床治療および/または診断の領域である。
【0020】
[0038]いくつかの態様では、本発明は、本発明の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の多形性の固体形態を提供する。一態様では、用語「多形体(polymorph)」は、本発明のSARM化合物の特定の形態のことをいい、例えば、多形体は1つの形態と別の形態との間で、医薬的に関連性のある物理的特性が変化することができる結晶形態を示すものであってもよい。例えば、異なる結晶条件下、環境条件下で、化合物の吸湿活性等が変化する。
【0021】
[0039]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態を提供する。
【0022】
[0040]一態様では、本発明は無水(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態を提供する。
【0023】
[0041]一態様では、本発明は無水(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態を提供する。
【0024】
[0042]別の態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(化合物S−1)の結晶形態は、
a.X線粉末回折パターンが約5.6(15.9),7.5(11.8),8.6(10.3),9.9(8.9),12.4(7.1),15.0(5.9),16.7(5.3),17.3(5.1),18.0(4.9),18.5(4.8),19.3(4.6),19.8(4.5),20.6(4.3),21.8(4.1),22.3(4.0),23.4(3.8),23.9(3.7),24.6(3.6),24.9(3.6),25.4(3.5),26.0(3.4),26.5(3.4),27.8(3.2)の°2θ(d値Å)の角度でピークを含むこと;および
b.融点が約80℃であること
によって特徴付けられる。
【0025】
[0043]この側面によれば、また別の態様では、(a)および(b)にリストされた特徴の全てまたは一部を有する化合物S−1の結晶形態は、結晶形態Aとして、本明細書中で言及する。
【0026】
[0044]別の態様では、水中の形態Aの溶解性は、22℃で約20ないし30mg/Lである。別の態様では、水中の形態Aの溶解性は22℃で23ないし27mg/Lである。
【0027】
[0045]一態様では、本発明は(R)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ンアミド(化合物R−1)の結晶形態を提供するもので、該結晶形態は、本明細書中に記載したように、S異性体と同様の製造方法で得られる。いくつかの態様では、化合物R−1の結晶形態は、化合物S−1の結晶形態と構造的に関連している、および/または類似の特徴を有している。
【0028】
[0046]一態様では、本発明は準結晶(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物を提供する。
【0029】
[0047]一態様では、本発明は準結晶(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物を提供する。
【0030】
[0048]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(化合物S−1)の準結晶形態は、
a.X線粉末回折パターンが15ないし25 °2θの範囲に2つの高調波ピーク(harmonic peak)を伴う幅広のハロー(halo)を示すこと、および
b.ガラス転移点が約55℃であること
によって特徴付けられる。
【0031】
[0049]この側面によれば、また別の態様では、(a)および(b)にリストされた特徴の全てまたは一部を有する化合物S−1のそのような準結晶形態を、本明細書中では準結晶形態B’という。
【0032】
[0050]一態様では、用語「準結晶(paracrystalline)」とは、液晶または他の
タイプのラメラ構造等、長範囲秩序なしで短範囲秩序を示す材料の状態のことをいう。一態様では、準結晶形態は液晶である。別の態様では、化合物S−1の形態B’は準結晶である。別の態様では、全体的または部分的に、S−1の形態AをS−1の準結晶形態B’に変換してもよい。
【0033】
[0051]別の態様では、水中の形態B’の可溶性は22℃で20ないし30mg/Lである。別の態様では、水中の形態B’の可溶性は22℃で23ないし27mg/Lである。
【0034】
[0052]別の態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態B”を提供するもので、該準結晶形態B”は、
a.X線粉末回折パターンが15ないし25 °2θの範囲に2つの高調波ピークを伴う幅広のハロー(halo)を示すこと、および
b.ガラス転移点が約55℃であること
によって特徴付けられる。
【0035】
[0053]一態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Cを提供するもので、該結晶形態Cは、
a.X線粉末回折パターンが約6.9(12.8)、9.5(9.3)、13.5(6.6)、16.0(5.6)、22.8(3.9)の°2θ(d値Å)の角度で固有のピークを含むこと、
によって特徴付けられる。
【0036】
[0054]別の態様では、化合物S−1の結晶形態CはTHFからAを蒸発濃縮させることによって、形態Aおよび形態Cの混合物として、得られる。
【0037】
[0055]一態様では、本発明は以下の点で特徴付けられる(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Dを提供する。すなわち、
a.X線粉末回折パターンが約4.4(19.9),8.5(10.4),8.8(10.0),11.3(7.8),12.7(6.9),13.8(6.4),14.4(6.1),14.6(6.0),15.1(5.8),16.1(5.5),16.6(5.3),16.9(5.2),18.0(4.9),18.7(4.7),19.0(4.6),19.4(4.55),20.8(4.25),22.1(4.0),22.7(3.9),23.1(3.8),23.4(3.8),24.7(3.6),24.9(3.56),25.3(3.51),27.8(3.2),29.3(3.0)の°2θ(d値)の角度で固有のピークを含むこと;および
b.融点が約130℃であること
によって特徴付けられる。
【0038】
[0056]別の態様では、化合物S−1の結晶形態Dは、50℃/75%RH(相対湿度)で安定しており、また別の条件である周囲温度/75%RH、周囲温度/100%RH、30℃/75%RH、および50℃/0%RHでも安定している。
【0039】
[0057]別の態様では、S−1の異なる固体形態の特性は実施例2および図4−20において示される。
【0040】
[0058]本発明の固体形態は当該技術分野で知られている任意の方法によって分析することができ、例えば一態様ではX線粉末回折で分析することができる。本発明の固体形態の別の態様の分析は、ラマン分光を含んでいてもよい。本発明の固体形態の別の態様では、分析はTG−FTIR(熱重量フーリエ変換赤外分光)を含んでいてもよい。本発明の固体形態の別の態様の分析は、FT−ラマン分光(フーリエ変換ラマン分光)を含んでいてもよい。本発明の固体形態の別の態様の分析は、DSC(示差走査熱量測定法)を含んでいてもよい。本発明の固体形態の別の態様の分析は、DVS(動的蒸気収着)を含んでいてもよい。本発明の固体形態の別の態様の分析は、SEM(走査型電子顕微鏡法)を含んでいてもよい。
【0041】
[0059]一態様では、本発明は、比率が95:5ないし85:15である結晶形態AおよびB’を含む多形性の混合物を提供する。別の態様では、各々、比率が約85:15ないし75:25である。別の態様では、各々、比率が約75:25ないし65:35である。別の態様では、各々、比率が約95:5ないし90:10である。別の態様では、各々、比率が約90:10ないし85:15である。別の態様では、各々、比率が約97:3ないし93:7である。別の態様では、比率が約85:15ないし80:20である。別の態様では、比率が約70:20ないし60:20である。別の態様では、各々、比率が約50:50である。
【0042】
[0060] 一態様では、本発明は多形性の混合物(polymorphic mixture)を提供
するもので、該混合物は結晶形態A、B’、およびCを約90:5:5ないし80:10:10の比で各々含む。別の態様では、各々、比率が約80:10:10ないし75:15:10である。別の態様では、各々、比率が約95:3:2ないし90:7:3である。別の態様では、比率が約75:15:10ないし65:20:15である。別の態様では、比率が約70:20:10ないし60:20:20である。
【0043】
[0061]一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態A,B’、およびDを約5:5:90ないし10:10:80の比で各々含む。別の態様では、各々、比率が約10:10:80ないし10:15:75である。別の態様では、各々、比率が約2:3:95ないし3:7:90である。別の態様では、比率が約10:15:75ないし15:20:65である。別の態様では、比率が約0:20:70ないし20:20:60である。
【0044】
[0062]一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびCを約98:2ないし95:5の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびCを約95:5ないし90:10の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびCを約90:10ないし85:15の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびCを約85:15ないし80:20の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびCを約50:50の比率で各々含む。
【0045】
[0063]一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびDを約2:98ないし5:95の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびDを約5:95ないし10:90の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびDを約10:90ないし15:85の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびDを約15:85ないし20:80の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態AおよびDを約50:50の比率で各々含む。
【0046】
[0064]一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびDを約2:98ないし5:95の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびDを約5:95ないし10:90の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびDを約10:90ないし15:85の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびDを約15:85ないし20:80の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびDを約50:50の比率で各々含む。
【0047】
[0065]一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびCを約98:2ないし95:5の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびCを約95:5ないし90:10の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびCを約90:10ないし85:15の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびCを約85:15ないし80:20の比率で各々含む。一態様では、本発明は多形性の混合物を提供するもので、該混合物は結晶形態B’およびCを約50:50の比率で各々含む。
【0048】
[0066]別の態様では、結晶形態Aと結晶形態B’との比率が約95:5ないし85:15である。別の態様では、結晶形態Aと結晶形態B’との比率が約98:2ないし95:5である。別の態様では、結晶形態Aと結晶形態B’との比率が約85:15ないし75:25である。別の態様では、結晶形態Aと結晶形態B’との比率が約75:25
ないし65:35である。
【0049】
[0067]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの試料は、固体形態A、B’、B”、C、およびDの混合物を含むものであってもよい。別の態様では、一試料に含まれるいくつかの固体形態の比率(例えば、一試料に含まれる固体形態Aおよび固体形態Bの比率)は、10℃から130℃の温度で加熱速度3℃/分として改変DSC(示差走査熱量測定法)を実行し、その後に固体形態Aおよび/または固体形態Bの線形積分をおこなって各々のエンタルピーを得ることによって、決定することができる。
【0050】
[0068]一態様では、SARM化合物の固体形態はそのバイオアベイラビリティ、安定性、加工処理可能性、および製造容易性に影響を及ぼし得るもので、それらの使用も本発明の一部をなすものとしてみなされる。
【0051】
[0069]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態を調製するプロセスを提供するもので、該プロセスは、結晶化が可能な条件下、約−20℃ないし+30℃の温度で、少なくとも一種類の有機溶媒中に非晶質の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを溶解し、それにより結晶形態を得ることを含む。
【0052】
[0070]一態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Aを調製するプロセスを提供するもので、該プロセスは、結晶化が可能な条件下、約−20℃ないし+30℃の温度で、少なくとも一種類の有機溶媒中に非晶質(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを溶解し、それにより結晶形態を得ることを含む。
【0053】
[0071]別の態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶化温度は約5℃である。別の態様では、温度が約−20℃である。別の態様では、温度が約20℃である。別の態様では、温度が約20ないし50℃である。別の態様では、温度が約−10ないし0℃である。別の態様では、温度が約0ないし5℃である。別の態様では、温度が約−10ないし−20℃である。
【0054】
[0072]別の態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(化合物S−1)の形態Aは、複数の溶媒の混合物を含む一有機溶媒からの結晶化によって調製される。別の態様では、その混合物には各々1:2(v/v)の比率で2種類の溶媒が含まれる。別の態様では、その混合物には各々1:3(v/v)の比率で2種類の溶媒が含まれる。別の態様では、その混合物には各々1:4(v/v)の比率で2種類の溶媒が含まれる。別の態様では、その混合物には各々1:2(v/v)の比率でギ酸エチルとペンタンとが含まれる。別の態様では、その混合物には各々1:2(v/v)の比率で酢酸メチルとペンタンとが含まれる。別の態様では、その混合物には酢酸エチルとn−ヘキサンとが含まれる。別の態様では、その混合物にはトルエンとn−ヘキサンとが含まれる。別の態様では、その混合物にはジクロロメタンとn−ヘキサンとが含まれる。別の態様では、その混合物には酢酸と水とが1:2(v/v)で含まれる。別の態様では、形
態Aは周囲温度で溶媒(solvent)/貧溶媒(antisolvent)混合物からの結晶化によって調製される。別の態様では、酢酸エチル、エタノール、ジクロロメタン、またはアセトニトリルは溶媒であり、そしてn−ヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等は貧溶媒として用いられる。別の態様では、溶媒/貧溶媒比率が1:2ないし1:3である。
【0055】
[0073]別の態様では、化合物S−1の結晶形態Aは、溶媒/貧溶媒混合物中の式S−1の化合物の準結晶形態の懸濁液を形成することによって、調製される。別の態様では、固体形態Aは、各々が1:2(v/v)の比率の酢酸エチルとヘプタンとからなる混合物中に含まれる式S−1の化合物の準結晶形態の懸濁液を形成することによって、調製される。別の態様では、固体形態Aは、各々が1:2(v/v)の比率の酢酸エチルとペンタンとからなる混合物中に含まれる式S−1の化合物の準結晶形態の懸濁液を形成することによって、調製される。別の態様では、化合物S−1の結晶形態Aは、数時間にわたって23℃で飽和限界を上回る濃度での溶媒/貧溶媒混合物中に形態B’の懸濁液を形成し、その後に乾燥をおこなって形態Aを得ることによって、調製される。
【0056】
[0074]別の態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(化合物S−1)の形態Dは、酢酸エチルおよびシクロヘキサンを溶媒および貧溶媒として各々用いて、50℃で溶媒/貧溶媒混合物から結晶化によって調製される。別の態様では、形態Dは、乾燥を後に続けて、24時間少量のDを試料に「播種」し、そして、110℃/0%RHで7日間、または50℃の水中で24時間、保管し、続いて乾燥させることにより、他の多形から調製されている。別の態様では、Dの存在下で形態Aおよび/またはB”を110℃に加熱することで、該AおよびB”形態が形態Dに再配置される。別の態様では、湿気の存在下で形態Dが結晶化プロセスの種として作用し、形態AおよびB’からDへのトランスフォーメーションを誘導する。
【0057】
[0075]別の態様では、図17Gは50℃/75%RHで少量のDが播種された多形形態Aの時間変化(time evolution)を示す。試料に最初に加えられた多形形態Dの量は非常に少なく、加熱速度10℃/分のDSCによっては検知できない量である。24時間後、ほとんどの多形形態AがB’に変換されたが、少量の試料もDに変換され、Dに含まれる試料の量が時間とともに増加する。このトランスフォーメーション・プロセスは50℃で、水中で試料を保存することによって、図17Gにおいて促進されている。形態Aは6時間後にB’およびDの両方に変換しているが試料は24時間までには大部分が形態Dである。
【0058】
[0076]一態様では、本発明は準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製する方法を提供するもので、該方法は、少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30℃の周囲温度で、水中で(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態の懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得ることを含む。
【0059】
[0077]一態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態B’を調製する方法を提供するもので、該方法は、少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30℃の周囲温度で、水中で(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態の懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得
ることを含む。
【0060】
[0078]一態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態B’を調製する方法を提供するもので、該方法は、少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30℃の周囲温度で、水中で(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Aの懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得ることを含む。別の態様では、24時間にわたって水中50℃で結晶型Aの懸濁液を撹拌することで、準結晶形態B’を調製する。別の態様では、準結晶形態B’の調製は、一晩37℃で結晶形態Aの懸濁液を撹拌することによって、37℃で準結晶形態B’を得て、準結晶状態B’を調製する。
【0061】
[0079]一態様では、1ないし2時間にわたって40℃および75%相対湿度(RH)で固形Aの貯蔵をおこなうことで、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態B’を調製する。別の態様では、40℃および75%RHで2ないし4時間にわたって、固体形態Aを保存する。別の態様では、40℃および75%RHで4ないし10時間にわたって、固体形態Aを保存する。別の態様では、40℃および75%RHで10ないし15時間にわたって、固体形態Aを保存する。別の態様では、40℃および75%RHで15ないし24時間にわたって、固体形態Aを保存する。別の態様では、40℃および75%RHで24時間にわたって、固体形態Aを保存する。別の態様では、40℃および75%RHで30日間にわたって、固体形態Aを保存する。
【0062】
[0080]別の態様では、40℃および75%相対湿度(RH)で、固体形態Aの貯蔵によって、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態B’を調製する。別の態様では、約30ないし40℃の温度範囲および約50ないし75%相対湿度で、固体形態Aを保存する。別の態様では、約40ないし50℃の温度範囲および約60ないし80%相対湿度で、固体形態Aを保存する。別の態様では、約40ないし50℃の温度範囲および約60ないし80%相対湿度で、固体形態Aを保存する。
【0063】
[0081]一態様では、形態B’は、その溶媒媒介構造(solvent mediated formation)により、リオトロピック液晶形として、与えられる。
【0064】
[0082]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態Aを溶融または80℃に加熱した後に冷すことによって、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの液晶形態B”を調製する。
【0065】
[0083]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固体形態Dを溶融または130℃に加熱した後に冷すことによって、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの液晶形態B”を調製する。
【0066】
[0084]一態様では、貧溶媒なしにエタノール等の溶媒から(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを蒸発濃縮させることで、形態B”が得られる。
【0067】
[0085]一態様では、形態B”は、その熱的調製方法により、サーモトロピック液晶形として、与えられる。
【0068】
[0086]一態様では、本発明は(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの固形形Cを調製する方法を提供するもので、該方法は、THF中に(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Aを溶解した後に蒸発をおこなうことで、固体形態Cを得ることを含む。
【0069】
[0087] 別の態様では、形態Cは形態Aとの混合物として得られる。
【0070】
[0088]一態様では、本発明は、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドのトルエン溶媒和物固体形態を調製する方法を提供するもので、該方法は、貧溶媒としてトルエンを用いる任意の溶媒/貧溶媒結晶化方法を用いることを含む。
【0071】
[0089]別の態様では、トルエン溶媒和物固体形態は、融解エンタルピー(enthalpy of melting)70±5J/gを伴う融点約100℃を有する。
【0072】
[0090]別の態様では、図20に示すトルエン溶媒和物の熱重量分析(TGA)グラフは、溶媒和物中のトルエン含有量がS−1の3分子ごとにトルエン分子1つに相当する約7%であることを示す。別の態様では、トルエン分子は、格子の外側の溝(channel
)または層の中でではなく単位格子構造の内部に存在する。別の態様では、トルエン溶媒和物固体形態はトルエン中では最も安定な形態である。
【0073】
[0091]いくつかの態様では、本発明のSARMの結晶形態は、所定の結晶形態から、構造的には類似しているが元の形態に対して依然として同一ではない結晶形態への変化を含む。一態様では、結晶形態のそのような変化は、元の形態より構造上安定しているものを生産するものであってよい。いくつかの態様では、本発明の結晶形態は元の形態と同様に、変更された結晶形態を単一の調製物に含む。いくつかの態様では、そのような変更された結晶形態は、SARM化合物製剤(SARM compound preparation)全体に占める
割合が少なくてもよく、例えば製剤のうちの最大で1%、または別の態様では最大で5%、または最大で10%、または最大で15%、または最大で25%を占める。別の態様では、そのような変更された形態は、SARM化合物製剤の大部分を含むものであってもよく、55%を含むものであってもよい。あるいは別の態様では、SARM化合物製剤の65%、あるいは別の態様では、SARM化合物製剤の75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または最大で100%である。一態様では、好ましい結晶形態は熱力学的に好ましい。別の態様では、結晶の好ましい形態は湿度の変化の結果である。別の態様では、結晶の好ましい形態は温度の変化の結果である。別の態様では、結晶の好ましい形態は溶媒の変化の結果である。
【0074】
[0092]いくつかの態様の中で、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の多形を調製する方法は、種々の結晶形態を生ずる。一態様では、この方法は結晶形態/準結晶形態A、B’、C、およびDの混合物を生ずる。一態様では、この方法は結晶形態/準結晶形態A、B’、B”、C、およびDの混合物を生ずる。別の態様では、この方法は結晶形態AおよびCの混合物を生ずる。別の態様では、この方法は結晶形態/準結晶形態AおよびB’の混合物を生ずる。別の態様では、このプ
ロセスは、結晶形態AおよびDの混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態B’およびDの混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態B”およびDの混合物を生ずる。別の態様では、プロセスは結晶形態CおよびDの混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態B’およびCの混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態AおよびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、準結晶形態B’およびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態CおよびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態A、CおよびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態A、DおよびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態B’、B”、およびCの混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態A、B’、およびB”の混合物を生ずる。別の態様では、このプロセスは、結晶質/準結晶形態D、B’およびB”の混合物を生ずる。
【0075】
[0093]一態様では、本発明の固体形態化合物を、室温で、その後に徐々に温度を上げながら真空にすることによって、溶液から乾燥させる。別の態様では、本発明の固体形態化合物を、溶液からろ過する。
【0076】
[0094] 一態様では、用語「周囲温度(ambient temperature)」は室温のこと
をいう。別の態様では、用語「周囲温度」は20ないし25℃のことをいう。別の態様では、用語「周囲温度」は25ないし30℃のことをいう。
【0077】
[0095]別の態様では、形態Dは、周囲温度ないし最大でその融点130℃で、乾燥状態および水の存在下の両方で、最も熱力学的に安定した多形である。別の態様では、図19は形態Aおよび形態Dの示差走査熱量計(DSC)サーモグラムを示すもので、形態Aは約80℃で融解し、また形態Dは約130℃で融解する。別の態様では、形態Aの融解エンタルピーは40±5J/gであり、その一方で形態Dの融解エンタルピーは75±5J/gである。
【0078】
[0096]別の態様の中で、形態AはそのA形態で、周囲温度/75%RH(相対湿度)、周囲温度/100%RH、30℃/75%RH、および50℃/0%RHの貯蔵条件下で、少なくとも7日間安定している。別の態様では、形態Aは、50℃/75%RHで貯蔵した場合に、B’に変換する。別の態様では、1ヶ月以内に、40℃/75%RHで貯蔵した場合に、B’に変換する。別の態様では、25℃/60%RHおよび30℃/65%RHで貯蔵された形態Aは、それぞれ36ヶ月および9ヶ月のあいだ、安定している。
【0079】
[0097]一態様では、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドをキラル合成によって調製する。
【0080】
[0098]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを以下の合成スキームに従うプロセスによって調製してもよい。
【0081】
【化1】

【0082】
[0099]一態様では、上記したスキームに記載されるプロセスは、ステップ5でアクリルアニリドをシアノフェノールと反応させることを含み、またそのような反応は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、または炭酸セシウムの存在下で、おこなってもよい。一態様では、炭酸カリウムの存在下での反応では、予想外にも、炭酸セシウムの存在下での反応と比較して、不純物が少ない生成物が得られる。これは、追加の精製ステップの必要性を最小化して、最終生産物を生産する、改善されより効率的な合成過程を表わす。さらに、この知見は、他の化合物(例えば下記6、9、12および14)の生産についても有利である。
【0083】
[0100]一態様では、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを調製する方法を提供するもので、該プロセスは、
(a)HBrの存在下で、式2の環式化合物の開環によって式1のカルボン酸を調製すること、
【0084】
【化2】

【0085】
(b)式3のアミン:
【0086】
【化3】

【0087】
をカップリング試薬の存在下で式2のカルボン酸と反応させることにより、式4のアミド:
【0088】
【化4】

【0089】
を生産すること;および
(c)式4のアミドを式5の化合物:
【0090】
【化5】

【0091】
と反応させることを含み、
ここで、ステップ(c)は炭酸カリウムおよびテトラヒドロフランの存在下で実行される。
【0092】
[0101] 一態様では、本発明は、式6の化合物:
【0093】
【化6】

【0094】
を調製する方法を提供する。この方法は、
(a)HBr12の存在下で、式2の環式化合物の開環によって式1のカルボン酸を調製すること、
【0095】
【化7】

【0096】
(b)式7のアミン:
【0097】
【化8】

【0098】
をカップリング試薬の存在下で式2のカルボン酸と反応させることにより、式8のアミド:
【0099】
【化9】

【0100】
を生産すること;および
(c)式4のアミドを式5の化合物:
【0101】
【化10】

【0102】
と反応させることを含み、ここで、ステップ(c)は炭酸カリウムおよびテトラヒドロフランの存在下で実行される。
【0103】
[0102] 一態様では、本発明は、式9の化合物:
【0104】
【化11】

【0105】
を調製する方法を提供する。この方法は、
(a)HBrの存在下で、式2の環式化合物の開環によって式1のカルボン酸を調製すること、
【0106】
【化12】

【0107】
(b)式3のアミン:
【0108】
【化13】

【0109】
をカップリング試薬の存在下で式2のカルボン酸と反応させることにより、式4のアミド:
【0110】
【化14】

【0111】
を生産すること;および
(c)式4のアミドを式10の化合物:
【0112】
【化15】

【0113】
と反応させることを含み、ここで、ステップ(c)は炭酸カリウムおよびテトラヒドロフラ
ンの存在下で実行される。
【0114】
[0103] 一態様では、本発明は、式12の化合物:
【0115】
【化16】

【0116】
を調製する方法を提供する。この方法は、
(a)HBrの存在下で、式2の環式化合物の開環によって式1のカルボン酸を調製すること、
【0117】
【化17】

【0118】
(b)式3のアミン:
【0119】
【化18】

【0120】
をカップリング試薬の存在下で式2のカルボン酸と反応させることにより、式4のアミド:
【0121】
【化19】

【0122】
を生産すること;ならびに
(c)式4のアミドを式13の化合物:
【0123】
【化20】

【0124】
と反応させることを含み、ここで、ステップ(c)は炭酸カリウムおよびテトラヒドロフランの存在下で実行される。
【0125】
[0104] 一態様では、本発明は、式14の化合物:
【0126】
【化21】

【0127】
を調製する方法を提供するもので、該式中、
XはO、NH、Se、PR、またはNR;
TはOH、OR、NHCOCH、またはNHCOR;
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、またはCONHR;
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、またはSnR
Qは、アルキル、ハロゲン、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR;
あるいはQは、それが結合しているベンゼン環とともに、構造A、B、またはCによって表される縮合環系;
【0128】
【化22】

【0129】
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロハルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリール、フェニル、ハロゲン、アルケニル、またはOH;ならびに
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、またはCFCFであり;
上記方法は、
a)HBrの存在下で、式16の環式化合物の開環によって式15のカルボン酸を調製すること
【0130】
【化23】

【0131】
(式中、L、R1、およびTは上に定義された通りであり、またT1はOまたはNHである);
(b)式17のアミンを
【0132】
【化24】

【0133】
(式中、ZおよびYは上に定義されたとおり)
カップリング試薬の存在下で、式17のカルボン酸と反応させて、式18:
【0134】
【化25】

【0135】
を生産すること;および
(c)式19の化合物:
【0136】
【化26】

【0137】
(式中、QおよびXは上に定義されたとおり)
と式IIのアミドとを、カップリングさせることを含み、ここで、ステップ(c)は炭酸カリウムおよびテトラヒドロフランの存在下で実行される。
【0138】
[0105]一態様では、本発明の結晶および準結晶形態は、同一物を生ずる任意の方法によって調製される。しかし、該同一物として、本明細書中に例示されるものが挙げられるが、当業者が正当に理解するように、それらに限定されるものではない。一態様では、そのような方法は、本発明の結晶および準結晶形態の調製物の出発原料を利用するもので、いくつかの態様では、該出発原料は、概略的に上記に描かれた方法に基づいて、順次、調製される。いくつかの態様では、出発原料の調製は、炭酸カリウムおよび極性溶媒の存在下での式4のアミドと式5の化合物との特異的反応を含み、該極性溶媒として、例えば、いくつかの態様では、テトラヒドロフランが挙げられ、高純度の調製物の生産をもたらし、言い換えれば、結晶化の速度を高めると考えられる。いくつかの態様では、用いられる結晶化条件に応じて、本明細書中に記述される純粋な調製物を使用することで、様々な割合の結晶形態を得ることが可能である。いくつかの態様では、用いられる結晶化条件に応じて、本明細書中に記述される純粋な調製物を使用することで、様々な割合の結晶形態と、そのような結晶形態が生産される速度とを得ることが可能である。
【0139】
[0106]一態様では、この方法は、選択的アンドロゲン受容体修飾因子(SARM)化合物(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを、その類似体、異性体、多形体、多形形態A、準結晶形態B’、溶媒和物、代謝産物、誘導体、医薬的に許容し得る塩、医薬品、N−オキシド、水和物、ヘミ水和物、またはそれらの任意の組み合わせに変換するステップをさらに含む。
【0140】
[0107]一態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の類似体を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の異性体を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の代謝産物を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の誘導体を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の医薬的に許容し得る塩を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の医薬品を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物のN−オキシドを調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の水和物を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の多形体を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物に本明細書中に記述されるような多形形態Aを調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物に本明細書中に記述されるような準結晶形態B’を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物に本明細書中に記述されるような多形形態Cを調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物に本明細書中に記述されるような多形形態Dを調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の準結晶形態を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の溶媒和物を調製する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本発明の選択的アンドロゲン修飾因子化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、多形体、多形形態A、準結晶形態B’、準結晶、溶媒和物、医薬的に許容し得る塩、N−オキシドおよび(または)水和物の任意の組み合わせを調製する方法を提供する。一態様では、本発明は、このように調製された任意の化合物を含む。
【0141】
[0108]一態様では、用語「異性体(isomer)」として、限定されるものではないが、光学異性体および類似体、構造異性体および類似体、配座異性体および類似体等が挙げられる。
【0142】
[0109]一態様では、SARMは純粋な(R)−鏡像異性体である。別の態様では、SARMは純粋な(S)−鏡像異性体である。別の態様では、SARMは(R)−鏡像異性体および(S)−鏡像異性体の混合物である。別の態様では、SARMは、(R)−鏡像異性体および(S)−鏡像異性体を等量含むラセミ混合物である。一態様では、本発明のこのプロセスは、SARM化合物をその光学的に活性な異性体に変換するステップをさらに提供する。
【0143】
[0110]一態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、結晶化技術を含む。別の態様では、結晶化技術は、鏡像異性体の分画結晶化(differential crystallization)を含む。別の態様では、結晶化技術は、ジアステレオマー塩(酒石酸塩あるいはキニーネ塩)の分画結晶化を含む。別の態様では、結晶化技術は、キラル補助誘導体(メントールエステル
等)の分画結晶化を含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、ラセミ混合物を別のキラル基と反応させること、ジアステレオマー混合物を形成した後にジアステレオマーの分離をおこなうこと、および付加的なキラル基を取り除いて純粋な鏡像異性体を得ることを含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、キラルの合成を含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、生物学的分解を含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、酵素分解を含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、キラル定常相(chiral stationary phase)を用いたクロマトグラフィー分離を含む。別の態様では、本
発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、アフィニティークロマトグラフィーを含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、キャピラリー電気泳動法を含む。別の態様では、本発明のラセミSARM化合物から光学的に活性な(R)−鏡像異性体または(S)−鏡像異性体を分離することは、光学的に活性な酸(例えば、(−)−カンファン酸)による不斉炭素の水酸基のエステル基を形成すること、それによって得られるジアステレオマーエステルを、分別結晶化によって、または好ましくはフラッシュ・クロマトグラフィーによって、分離すること、次に、分離された各々のエステルをアルコールに加水分解すること、が含まれる。
【0144】
[0111]別の態様では、本発明のSARM化合物のS−鏡像異性体をR−鏡像異性体あるいはそのラセミ化合物に変換することができる。別の態様では、本発明のSARM化合物のR−鏡像異性体はS−鏡像異性体またはそのラセミ化合物に変換することができる。一態様では、1つの鏡像異性体は、キラル反応物、溶媒、生体触媒、キラル触媒、不
斉水素化、酵素、またはそれらの組み合わせを用いることにより別の鏡像異性体またはそのラセミ化合物に変換することができる。
【0145】
[0112]一態様では、本発明の固形化合物は溶媒和物を含む。一態様では、用語「溶媒和物」とは、SARM化合物と結合した溶媒に関連する(例えば酢酸エチルの溶媒和物)。それはSARM化合物の多形体構造の一部である。そのような溶媒として、エタノール、アセトン、酢酸エチル、THF、アセトニトリル、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、酢酸、トルエン、水、n−ヘプタン、トルエン、n−ペンタン TBME、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0146】
[0113]別の態様では、本発明のこのプロセスは、SARM化合物をその医薬的に許容し得る塩に変換するステップをさらに提供する。一態様では、医薬的に許容し得る塩は、有機酸および無機酸(例えばクエン酸、塩酸)を有するアミノの置換化合物の塩を含む。本発明は、さらに本明細書中に記述された化合物のアミノ置換基のN−オキシドを含む。医薬的に許容し得る塩もまた、無機塩類(例えば水酸化ナトリウム)で処理することによってフェノール化合物から調製することができる。さらに、フェノール化合物のエステルを、脂肪族および芳香族カルボン酸を用いて作ることができる(例えば酢酸、安息香酸エステル)。
【0147】
[0114]本発明は、酸または塩基と本発明の化合物とを反応させることによって製造し得る本発明の化合物の「医薬的に許容し得る塩(pharmaceutically acceptable salt)」を含む。
【0148】
[0115]式Iのアミンの適当な医薬的に許容し得る塩を、無機酸または有機酸から調製することが可能である。一態様では、アミンの無機塩類の例は、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、クロリド、ヘミ硫酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロクロレート、2−ヒドロキシエチルスルホネート(ヒドロキシエタンスルホネート)、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、硝酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルファメート、スルファニル酸塩、スルホン酸(アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ハロゲン置換アルキルスルホネートおよびハロゲン置換アリールスルホネート)、スルホネート、ならびにチオシアネートである。
【0149】
[0116]アミンの有機酸塩の例として、脂肪族有機酸類、脂環式有機酸類、芳香族有機酸類、芳香脂肪族有機酸類、複素環式有機酸類、カルボン酸有機酸類、およびスルホ基有機酸類が含まれ、それらの例は、酢酸塩、アルギニン、アスパラギン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アントラニル酸塩、アルギン酸塩、アルカンカルボン酸塩、置換アルカンカルボン酸塩、アルギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、カルボン酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、カルシウム・エデト酸塩、カンシレート、炭酸塩、クラブラン酸塩、ケイ皮酸塩、ジカルボン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、二塩酸塩、デカン酸塩、エナント酸塩、エタンスルホン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマレート、蟻酸塩、フッ化物、ガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グルコレート、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、グルセプテート、グリコリルアルサニレート、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヘキシルソルシネート、ヒドロキシベンゾエート、ヒドロキシナフトエート、ヒドロフルオレート、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メチレン-ビス(ベータ−オキシナフトエ
ート)、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチルスルホン酸塩、一カリウムマレイン酸塩、ムコ酸塩、モノカルボン酸塩、ミトレート(mitrates)、ナフタレンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニ
コチン酸塩、ナプシル酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、酢酸フェニル、ピクリン酸塩、フェニルベンゾエート、ピバレート、プロピオン酸塩、フタル酸塩、フェニルアセテート、ペクチン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ピルビン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、琥珀酸塩、ステアリン酸塩、スルファニル酸塩、塩基性酢酸塩、酒石酸塩、テオフィリンアセテート、p−トルエンスルホネート(トシル酸塩)、トリフルオロ酢酸塩、 テレフタル酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩(teoclates)、トリハロアセテート、トリエチオジド、トリカルボキシレート、ウンデカン酸塩、または吉草酸塩である。
【0150】
[0117]一態様では、カルボン酸またはフェノールの無機塩類の例は、アンモニウム、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムを含める);アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウムを含める);亜鉛、バリウム、コリン、または第四アンモニウムである。
【0151】
[0118]別の態様では、カルボン酸またはフェノールの有機塩の例には、アルギニン、有機アミン類(脂肪族有機アミン類、脂環式有機アミン類、芳香族有機アミン類、ベンザチン、t−ブチルアミン、ベンタミン(N−ベンジルフェニルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リジン、メチルアミン、メグラミン、N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ニコチン酸アミド、有機アミン類、オルニチン、ピリジン、ピコリン酸塩、ピペラジン、プロカイン、トリス(ヒドロ
キシメチル)メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミ
ン、トロメタミン、または尿素が含まれる。
【0152】
[0119]一態様では、塩は従来の手段によって形成することが可能であり、該手段として、例えば、生成物の遊離塩基または遊離酸の形態を、塩が不溶である溶媒もしくは媒体中または水等の溶媒(真空内で、または凍結乾燥によって、あるいは祖ナイする塩のイオンを別のイオンあるいは適当なイオン交換樹脂用のイオンについて交換することによって、取り除かれる)中の1当量以上の適当な酸または塩基と反応させることによって、形成することが可能である。
【0153】
[0120]一態様では、本発明はまた、本明細書中に記述された化合物のアミノ置換基のN−オキシドを含む。また、フェノール化合物のエステルを、脂肪族および芳香族カルボン酸を用いて作ることができる(例えば酢酸、安息香酸エステル)。
【0154】
[0121]本発明は、SARM化合物の誘導体を調製する方法をさらに含む。いくつかの態様では、用語「誘導体(derivative)」は、しかし限定されるものではないが、エーテル誘導体、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体、等を包含する。誘導体を調製する方法は、当業者に知られている。例えば、エーテル誘導体は対応するアルコールとのカップリングにより調製される。アミドおよびエステル誘導体は、それぞれアミンおよびアルコールとの反応によって、対応するカルボン酸から調製される。
【0155】
[0122]いくつかの態様では、本発明は、SARM化合物の水和物を調製する方法を含む。一態様では、用語「水和物(hydrate)」は、限定されるものではないが、ヘミ
水和物、一水化物、二水和物、三水和物、等を包含する。SARM化合物の水和物は、SARM化合物を選択の水和物を生産する適当な条件の下の水と接触させることにより調製されてもよい。用語「ヘミ水和物(hemi-hydrate)」は、水分子に対する無水化合物の分子の比率が1:2である水和物を指す。
【0156】
[0123] 本発明は、SARM化合物の医薬品を調製する方法をさらに含む。本明細書中に定義されるように、用語「医薬品(pharmaceutical product)」は医薬用途に適した組成物(医薬組成物)を意味する。
【0157】
[0124]いくつかの態様では、本発明は、SARM化合物の類似体を調製する方法を含む。一態様では、用語「類似体(analog)」は、参考化合物の構造と類似しているが同一ではない構造を持つ化合物のことをいう。別の態様では、用語「類似体」は、SARM化合物の異性体か誘導体を指す。別の態様では、用語「SARM化合物の類似体(analog)」とは、本発明に化合物中の各々または両方のフェニル環上に異なる置換基を有する化合物のことをいう。別の態様では、用語「類似体」とは、一方または両方のベンゼン環の代わりに、異なる芳香環、例えばピリジル環、を取り込むことをいう。別の態様では、用語「類似体」とは、エーテル基およびケト基の一方または両方の代わりに、異なる硫黄原子を取り込むことをいう。
【0158】
[0125] いくつかの態様では、本発明は、SARM化合物の代謝産物を含む。いくつかの態様では、用語「代謝産物(metabolite)」とは、代謝プロセスを模倣またはそれを介することで、別の物質から生産された任意の物質のことをいう。ある態様では、そのような代謝産物を合成的に調製することができ、また天然に生じた代謝産物と比較して、該代謝産物はインサイツ(in situ)で活性がある。
医薬組成物
[0126]一態様では、本発明は、無水(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロパンアミドの結晶形態と適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0159】
[0127]別の態様では、本発明は、無水(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態Aと適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0160】
[0128]一態様では、本発明は、準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドと適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0161】
[0129]一態様では、本発明は、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態B’と適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0162】
[0130]一態様では、本発明は、本発明の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の任意の固体形態の混合物と、適当な担体または希釈剤とを提供する。
【0163】
[0131]別の態様では、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶および準結晶固体形態の混合物と適当な担体または希釈剤を含む組成物を提供する。
【0164】
[0132]別の態様では、本発明は、(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態Aおよび準結晶固体形態B’の混合物と適当な担体または希釈剤とを含む組成物を提供する。
【0165】
[0133]一態様では、本発明は(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの異なる形態を含む複数の組成物を包含するもので、組成物毎に該形態の比率が異なるか、または単一の形態とすることができ、組成物は本明細書中に記述されたアンドロゲン関連状態の治療に有用な特性を持つ。別の態様では、本発明はN−(4−シアノ−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの異なる異性体を含む複数の組成物を包含するもので、組成物毎に該形態の比率が異なるか、または単一の異性体とすることができ、組成物は本明細書中に記述されたアンドロゲン関連状態の治療に有用な特性を持つ。
【0166】
[0134] いくつかの態様では、語句「医薬組成物(pharmaceutical composition)」とは、医薬的に許容し得る担体または希釈剤とともに、「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」の有効成分(すなわち、SARM化合物)のことをいう。いくつかの態様では、語句「治療上有効な量」とは、所定の症状および投与計画に関して治療効果が得られる量のことをいう。
【0167】
[0135]当業者に既知の任意の方法、非経口的、側癌的(paracancerally)、経粘膜的、経皮的、筋注、静注、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、または腫瘍内投与等、によって、SARM剤を含有する医薬組成物を被検体に投与することができる。
【0168】
[0136]別の態様では、本発明は、本発明の固体形態の組成物と適当な担体または希釈剤とから構成される組成物を提供する。
【0169】
[0137]一態様では、医薬組成物は経口投与されるものであり、経口投与に適した形態、すなわち固形剤として、処方される。適当な経口用の固体剤形として、錠剤、カプセル、丸剤、果粒剤、ペレット剤等が挙げられる。本発明の一態様では、SARM化合物をカプセルに処方する。この態様によれば、本発明の組成物は、SARM活性化合物と不活性の担体または希釈剤に加えて、硬ゼラチンカプセルを含む。
【0170】
[0138] 本多形体を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル、口腔用形態(buccal
form)、トローチ、または口内錠(lozenge)を含む、従来用いられていた経口形態を含むことができる。
カプセルは、SARMの任意の他の多形体または非晶質SARMとともに、所望の比率の結晶形態Aからなる混合物を含むものであってもよい。所望の百分率組成の所望の結晶形態のカプセルまたは錠剤もまた、他の活性化合物または不活性の充填剤および/もしくは希釈剤、例えば医薬的に許容し得るスターチ(例えばコーン、ポテト、またはタピオカスターチ)、糖、人工甘味料、粉末セルロース(例えば結晶質および微晶性のセルロース)、小麦粉、ゼラチン、ガム等の混合物と組み合わせることも可能である。
【0171】
[0139]錠剤製剤は、従来の圧縮法、湿式造粒法、または乾式造粒法によって作ることができ、医薬的に許容し得る希釈剤(増量剤)、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、懸濁剤、または安定化剤を利用することができ、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸塩複合体、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、滑石、乾燥スターチ、および粉糖が含まれる。経口製剤は、いくつかの態様では、標準的な遅延または徐放製剤またはスパンスルを利用する。
【0172】
[0140]本多形の製剤を調製するのに適した賦形剤系の例として、1種類以上の増量剤、崩壊剤、および滑沢剤が挙げられる。
【0173】
[0141]増量剤成分は、当該技術分野で既知の任意の増量剤成分であり得る。限定されるものではないが、該増量成分として、ラクトース、微結晶性セルロース、スクロース、マンニトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、粉末セルロース、マルトデキストリン、ソルビトール、デンプン、またはキシリトールが挙げられる。
【0174】
[0142]本製剤での使用に適した崩壊剤を当業者に公知のものから選択することができ、該崩壊剤として、アルファ化澱粉、および澱粉グリコール酸ナトリウムが挙げられる。他の有用な崩壊剤として、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、粘土(例えばビーガムまたはキサンタンガム)、セルロース・フロック、イオン交換樹脂、または発泡系、例えば食用酸を用いるもの(例えば、(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸、
アスパラギン酸、エリソルビン酸、グルタミン酸、およびコハク酸)ならびに、アルカリ
性の炭酸塩成分(重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム
、炭酸アンモニウム等)が挙げられる。本明細書中の有用な崩壊剤は、重量にして組成物の約4%ないし約40%、好ましくは約15%ないし約35%、より好ましくは約20%ないし約35%で含むことができる。
【0175】
[0143]医薬製剤は、アスコルビン酸等の一種類の酸化防止剤または複数の酸化防止剤の混合物を含むことができる。用いることができる他の酸化防止剤として、アスコルビン酸ナトリウムおよびアスコルビン酸パルミテートが挙げられ、好ましくは、ある量のアスコルビン酸と併用する。酸化防止剤の範囲の一例は、約0.5%重量ないし約15%重量、最も好ましくは約0.5%重量ないし約5%重量である。
【0176】
[0144]本発明のいくつかの態様では、活性のある薬剤を最終組成の約0.5%重量ないし約20%重量含み、またはいくつかの態様では最終組成の約1%重量ないし約5%重量であり、コーティングまたはカプセルを最大で約8%重量含む。
【0177】
[0145]本明細書中に記述した製剤を、コーティングが施されていない、またはカプセル化されていない状態で使用することができる。いくつかの態様では、例えば全組成の約0.3%重量ないし約8%重量を構成するフィルムコーティングで、医薬組成物を所望によりコーティングする。本製剤と一体となって有用なフィルムコーティングは、当該技術分野で公知であり、一般にポリマー(一般にセルロースタイプのポリマー)、着色剤、および可塑剤からなる。フィルムコートにある種の特性を付与するために、湿潤剤、糖質、着香料、オイルおよび滑沢剤のような追加の成分を、フィルムコーティング製剤に含有させることが可能である。本明細書中の組成物および製剤もまた、組み合わせて固体として加工し、次にカプセル形態(例えば、ゼラチンカプセル)に入れることが可能である。
【0178】
[0146]別の態様では、活性化合物を小胞、特にリポソームに送達することができる
(Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New
York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein、同書, pp. 317-327を参照せよ;一般に
同書を参照せよ)。
【0179】
[0147]本明細書中に用いられるように「医薬的に許容し得る担体あるいは希釈剤」は当業者に周知である。担体または希釈剤は、固体製剤用の固体担体または希釈剤であってもよい。
【0180】
[0148]固体担体/希釈剤として、限定されるものではないが、ゴム、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、アルファ化スターチ)、糖(例えばラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース系材料(例えば微結晶性セルロース)、アク
リル酸塩(例えばポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0181】
[0149]さらに、組成物はさらに、結合剤(例えばアラビアゴム、コーンスターチ
、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、様々なpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えばTris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防ぐア
ルブミンあるいはゼラチン等の添加剤、界面活性剤(例えばTween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透エンハンサー、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレン・グリセロール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシア
ニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類)、滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)
、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、ク
エン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピル・セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマー・コーティング(例えばポリキサマーまたはポリキサミン)、コーティングおよび皮膜剤(例えばエチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタク
リレート)および/またはアジュバントを含むものであってもよい。
【0182】
[0150]一態様では、本明細書中に提供された医薬組成物は、制御放出組成物、すなわちSARM化合物が投与の後に一定期間のあいだに放出される組成物である。別の態様では、組成物は、即時放出組成物、すなわちSARM化合物がすべて投与直後に放出される組成物である。
【0183】
[0151]さらに別の態様では、医薬組成物は制御放出システムで送達することができる。例えば、作用薬をリポソーム、あるいは経口投与の他の様式を用いて、剤を投与してもよい。
【0184】
[0152]組成物はまた、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル等の高分子化合物の微粒子調製物の中へ、またはその調製物上への、あるいはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層もしくは多重層状の小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロプラスト上への活性物質のとり込みを含むものであってもよい。そのような組成物は、物理的状態、可溶性、安定性、生体内(in vivo)での放出率および生体内(in vivo)でのクリアランスの率に影響を及ぼすだろう。
【0185】
[0153]活性成分を含んでいる医薬組成物の調製は、当該技術分野でよく理解されており、例えば混合、造粒、または錠剤成形加工方法によるものである。治療用活性成分は、医薬的に許容され、かつ該活性成分と相溶性がある賦形剤と、しばしば混合される。経口投与用に、SARM作用薬あるいはそれらの生理学上許容された誘導体(塩、エステ
ル、N−オキシド等)を、この目的で常用される添加剤(ビヒクル、安定剤、または不活
性希釈剤等)と混合し、さらに、常用される方法によって、投与に適した形態(例えば、錠剤、コーティング錠、硬または柔ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液、あるいは油性溶液)に変換する。
【0186】
[0154]活性成分を、中和された医薬的に許容し得る塩形態として、組成物に処方することができる。医薬的に許容し得る塩として、酸付加塩(ポリペプチドまたは抗体分
子の遊離アミノ基で形成)が挙げられ、例えば塩酸またはリン酸等の無機酸、あるいは酢
酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸により形成される。遊離カルボキシル基から形成される塩も、無機塩類(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄等)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノ・エタノール、ヒスチジン、プロカイン等)に由来し得る。
【0187】
[0155]医薬(medicine)での使用に、SARMの塩は医薬的に許容し得るだろう。しかし、本発明にもとづく化合物、あるいはそれらの医薬的に許容し得る塩の調製に、他の塩が有用である場合もある。本発明の化合物の適当な医薬的に許容し得る塩として、酸付加塩が挙げられ、該酸付加塩は、例えば、本発明にもとづく組成物の溶液を医薬的に許容し得る酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、またはリン酸)と混合することによって、形成される。
【0188】
選択的アンドロゲン修飾因子化合物の生物活性
[0156]本明細書中に提供される固体形態およびそれを生産する方法は、いくつかの態様において、予期しない生体内(in vivo)のアンドロゲン活性および同化活性を有
する経口テストステロン補充療法に有用である、選択的アンドロゲン受容体修飾因子(S
ARM)に関する。
いくつかの態様では、適切に置換された化合物は前立腺癌を治療するのに効果的で、前立腺癌の画像診断に有用である。
【0189】
[0157]本明細書中に検討されるように、本発明の適切に置換されたSARM化合物は、(a)男性の避妊;(b)種々のホルモン関連症状、例えば高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連した状態(例えば疲労、抑うつ、性欲減退、性機能不全、勃起不全、性腺機能低下、骨粗鬆症、毛髪脱落、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、気分および認知の変容、ならびに前立腺癌)の治療;(c)ADIFに関連した状態(例えば性機能不全、性欲減退、性腺機能低下、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知および気分の変容、抑うつ、貧血、毛髪脱落、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、ならびに卵巣癌)の治療;(d)慢性の筋消耗(muscular wasting)の治療および/または予防;(e)前立腺癌の発生率を減少させること、前立腺癌を食い止めること、または前立腺癌の退行を引き起こさせること;(f)経口アンドロゲン代償療法および/または他の臨床治療および/または診断の領域に有用である。
【0190】
[0158] 本明細書中に用いられるように、細胞外情報伝達分子(extracellular signaling molecules)は集合的に、「細胞情報伝達受容体(cell signaling receptors
)」と呼ばれる。多くの細胞情報伝達受容体が細胞表面上の膜貫通型タンパク質であり;細胞外情報伝達分子(つまりリガンド)を結合する場合、それらは細胞の挙動を変更する複数の細胞内シグナルからなるカスケードを生成するように活性化されるようになる。対照的に、いくつかの場合では、受容体は細胞の内側にあり、情報伝達リガンドは、それらを活性化するために細胞に入らなければならず;したがって、これらの情報伝達分子は、細胞の原形質膜を横切って拡散するのに十分に小さく、かつ疎水性でなけらばならない。本明細書中に用いられるように、これらの受容体は集合的に「細胞内細胞情報伝達受容体(intracellular cell signaling receptors)」と呼ばれる。
【0191】
[0159]ステロイドホルモンは、標的細胞の原形質膜を横切って直接拡散し、細胞内の細胞情報伝達受容体と結合する小さな疎水性分子の一例である。これらの受容体は構造上関連づけられ、細胞内の受容体のスーパーファミリー(あるいはステロイドホルモン
受容体のスーパーファミリー)を構成する。ステロイドホルモン受容体には、プロゲステ
ロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、およびミネラルコルチコイド受容体が含まれる。本発明は、特にアンドロゲン受容体に関する。
【0192】
[0160]受容体に対するリガンドの結合に加えて、受容体を阻害してリガンドの結合を抑えることができる。物質が受容体に結合する場合、物質の三次元構造は、ボールと受け口の構成になった受容体の三次元構造によって作られた空間に適合する。
【0193】
[0161]一態様では、本発明は、アゴニスト化合物である選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を調製する方法に関する。したがって、一態様では、本発明のSARM化合物はステロイドのホルモン受容体に結合して活性化するのに有用である。一態様では、本発明のアゴニスト化合物はアンドロゲン受容体を結合するアゴニストである。別の態様では、化合物は、アンドロゲン受容体への高い親和性を有する。別の態様では、アゴニスト化合物はさらに同化活性(anabolic activity)を有する。別の態様では
、本発明は、アンドロゲン受容体のための非ステロイド性の化合物である、アゴニスト性活性および同化の活性を有する選択的アンドロゲン修飾因子化合物を提供する。
【0194】
[0162]一態様では、本発明は、アンタゴニスト化合物である選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を調製する方法に関する。したがって、一態様では、本発明のSARM化合物の固体形態は、ステロイドのホルモン受容体に結合して不活性化するのに有用である。別の態様では、本発明の固体形態は、アンドロゲン受容体への高い親和性を有する。別の態様では、本発明の固体形態、さらに同化活性を有する。別の態様では、SARM化合物の固体形態は、アンドロゲン受容体に不可逆的に結合する。別の態様では、SARM化合物の固体形態はアルキル化剤である。
【0195】
[0163]まだ別の態様では、本発明のSARM化合物の固体形態は、部分的なARアゴニスト/アンタゴニストとして分類することができる。SARMの固体形態はいくつ
かの組織ではARアゴニストであり、AR応答性遺伝子(例えば、筋同化作用(muscle anabolic effect))の転写増加を引き起こす。他の組織では、天然のアンドロゲンのアゴ
ニスト作用を防ぐために、これらの化合物はARで阻害剤としての機能を果たす。
【0196】
[0164]本発明の化合物がARアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを判断するためのアッセイは、当業者に周知である。例えば、ARアゴニスト活性を、SARM化合物の固体形態の、前立腺および精嚢等のAR含有組織の成長を維持および/または刺激する能力を、重量の測定としてモニターすることによって、決定することができる。ARアンタゴニスト活性を、SARM化合物がAR含有組織の成長を抑制する能力をモニターすることによって、決定することができる。
【0197】
[0165]別の態様では、SARM化合物の固体形態は、哺乳動物(例えばヒト)のアンドロゲン受容体に不可逆的に結合する。したがって、一態様では、本発明の化合物は、アンドロゲン受容体のアルキル化(すなわち、共有結合形成)を可能にする官能基(例え
ば親和性標識)を含むものであってもよい。したがって、この場合、化合物は受容体に不
可逆的に結合するアルキル化剤であり、したがって該化合物を内因性リガンドDHTおよびテストステロ等のステロイドによって置換することはできない。「アルキル化剤(alkylating agent)」は、細胞構成要素(例えば、DNA、RNA、またはタンパク質)をアルキル化する(共有結合を形成する)。それは、アルキルラジカルを生物学的に活性のある分子に導入して該分子の適切な機能を妨げる極めて反応性に富む化学薬品である。アルキル化部分は細胞構成要素中の求核部分と相互作用する求電子部分である。
【0198】
[0166]本発明の一態様によれば、方法は、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物にアンドロゲン受容体を結合させるのに効果的な条件下で、本発明のSARM化合物の固体形態(例えば、多形形態A、多形形態C、多形形態D、準結晶形態B’、準結晶B”、それらの溶媒和物、それらの多形体、それの代謝産物等、またはそれらの任意の組み合わせ)とアンドロゲン受容体とを接触させることによって、SARM化合物の固体形態をアンドロゲン受容体に結合させるために、提供される。アンドロゲン受容体への選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態の結合は、本発明の化合物が男性の避妊および多くのホルモン療法において有用であることを可能にする。アゴニスト化合物はアンドロゲン受容体に結合し活性化する。アンタゴニスト化合物はアンドロゲン受容体に結合し不活性化する。アゴニストまたはアンタゴニスト化合物の結合は可逆的かあるいは不可逆である。
【0199】
[0167]一態様では、本発明のSARM化合物の固体形態は、唯一の有効成分として投与される。しかし、同様に本発明の範囲内に包含されるものは、ホルモン療法のための、前立腺癌の治療のための、前立腺癌の進行を遅らせるための、そして前立腺癌の再発
を防ぎ、かつ/または治療するための、方法であり、それは一種類以上の治療薬と組み合わせてSARM化合物の固体形態を投与することを含む。これらの薬剤として、限定されるものではないが、LHRH類似体、可逆的抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗癌薬、5−αレダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害薬、プロゲスチン、他の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤、選択的エストロゲン受容体修飾剤(SERM)、プロゲステロン、エストロゲン、PDE5阻害剤、アポモルヒネ、ビスホスホネート、およびSARMS
の1つ以上の固体形態(例えばARアゴニスト活性を有するもの)が挙げられる。
【0200】
[0168]したがって、一態様では、本発明は、LHRH類似体と組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物および医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、可逆的な抗アンドロゲンと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、抗エストロゲンと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、抗癌薬と組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、5-αレダクターゼインヒビターと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、アロマターゼ阻害薬と組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、プロゲスチンと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、他の核ホルモン受容体によって作用する作用薬と組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、1つの選択的エストロゲン受容体修飾剤(SERM)と組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、プロゲステロンと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、エストロゲンと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、PDE5インヒビターと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、アポモルヒネと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、ビスホスホネートと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。別の態様では、本発明は、1つ以上の追加のSARMと組み合わせて、選択的アンドロゲン受容体修飾因子化合物の固体形態を含む組成物と医薬組成物を提供する。
【0201】
[0169]次の実施例は、本発明の好ましい態様をより完全に例証するために示される。しかしながら、本発明の広い範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0202】
実施例1:化合物S−1の合成
[0170](2R)−1−メタクリロイルピロリジン−2−カルボキシル酸。D−プロリン(14.93g、0.13mol)を71mLの2N NaOHに溶解し、氷浴中で冷やした。結果として得られたアルカリ溶液をアセトン(71mL)で希釈した。メタクリロイルクロリド(13.56g、0.13mol)のアセトン溶液(71mL)および2N NaOH溶液(71mL)を、氷浴中でD−プロリンの溶液に対して、40分以上かけて同時に添加した。メタクリロイルクロリドの添加中、混合物のpHを10〜11℃で保った。撹拌後(3時間、室温)、減圧下(in vacuo)で、混合物を35ないし45℃の温度で蒸発させることで、アセトンを除去した。結果として生じた溶液をエチルエー
テルで洗い、濃HClによってpH2に酸性化した。酸性混合物をNaClで飽和させ、EtOAc(100mLx3)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥させ、セライトによってろ過し、減圧下(in vacuo)で蒸発させることで、無色のオイルとして粗生成物を得た。エチルエーテルおよびヘキサンからのオイルの再結晶化によって、無色の結晶として16.2(68%)の所望の化合物が得られた。融点(mp)102〜103℃(lit.[214]mp102.5〜103.5℃);この化合物のNMRスペクトルは、表題化合物の2つの回転異性体の存在を実証した。H NMR(300MHz,DMSO−d)第1の回転異性体に関してはδ5.28(s)および5.15(s)、第2の回転異性体に関しては5.15(s)および5.03(s)(全体として両回転異性体の2H、ビニルCH)、第1の回転異性体に関して4.48−4.44、第2の回転異性体に関して4.24−4.20(m)(全体として両回転異性体の1H、キラル中心のCH),3.57−3.38(m,2H,CH),2.27−2.12(1H,CH),1.97−1.72(m,6H,CH,CH,Me);13C NMR(75MHz,DMSO−d)δ メジャー回転異性体に関して173.3,169.1,140.9,116.4,58.3,48.7,28.9,24.7,19.5:マイナー回転異性体に関して174.0,170.0,141.6,115.2,60.3,45.9,31.0,22.3,19.7;IR(KBr)3437(OH),1737(C=O),1647(CO,COOH),1584,1508,1459,1369,1348,1178cm−1;[α]26+80.8°(c=1,MeOH);C13NOについて計算値:C 59.00,H 7.15,N 7.65.実測値:C 59.13,H 7.19,N 7.61.
【0203】
【化27】

【0204】
[0171](3R,8aR)−3−ブロモメチル−3−メチル−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−1,4−ジオン
【0205】
DMF100mL中にNBS(23.5g、0.132mol)を含む溶液を、室温でアルゴン下、DMF70mL中に(メチル−アクリロイル)−ピロリジン(16.1g、88mmol)を含む撹拌溶液に滴下して加え、結果として得られる混合物を3日間撹拌した。溶媒を減圧下(in vacuo)で取り除くことで、黄色の固体が沈殿した。固体を水に懸濁し、室温で一晩撹拌し、濾過し、さらに乾燥させることで、黄色の固体として18.6(81%)(乾燥させた場合はより少ない重量〜34%)表題化合物を得た。融点(mp)152〜154℃(lit.[214]mp107〜109℃、S−異性体に関して);H NMR(300MHz,DMSO−d)δ4.69(dd,J=9.6Hz
,J=6.7Hz,1H,キラル中心のCH),4.02(d,J=11.4Hz,1H,CHH),3.86(d,J=11.4Hz,1H,CHH),3.53−3.24(m,4H,CH),2.30−2.20(m,1H,CH),2.04−1.72(m,3H,CHおよびCH),1.56(s,2H,Me);13C NMR(75MHz,DMSO−d)δ167.3,163.1,83.9,57.2,45.4,37.8,29.0,22.9,21.6;IR(KBr)3474,1745(C=O),1687(C=O),1448,1377,1360,1308,1227,1159,1062cm−1;[α]26+124.5°(c=1.3,クロロホルム);C12BrNOについて計算値:C 41.24,H 4.61,N 5.34.実
測値:C 41.46,H 4.64,N 5.32.
【0206】
【化28】

【0207】
[0172](2R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸
【0208】
300mLの24%HBr中にブロモラクトン(18.5g、71mmol)を含む混合物を、1時間加熱還流した。結果として生じた溶液をブライン(200mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×4)で抽出した。合わせた抽出物を飽和NaHCO(100mL×4)で洗浄した。水溶液を濃HClでpH=1に酸性化し、次に酢酸エチル(100mL×4)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSO上で乾燥させ、セライトによりろ過し、さらに減圧下(in vacuo)で蒸発させて乾燥させた。トルエンから再結晶をおこなうことで、無色の結晶として所望の化合物を10.2g(86%)得た。融点(mp)107〜109℃(lit.[214]mp109〜113℃、S−異性体に関して);H NMR(300MHz,DMSO−d)δ3.63(d,J=10.1Hz,1H,CHH),3.52(d,J=10.1Hz,1H,CHH),1.35(s,3H,Me);IR(KBr)3434(OH),3300−2500(COOH),1730(C=O),1449,1421,1380,1292,1193,1085cm−1;[α]26+10.5°(c=2.6,MeOH);CBrOについて計算値:C 26.25,H 3.86.実測値:C 26.28,H 3.75.
【0209】
【化29】

【0210】
[0173](2R)−3−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチルフェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの合成。THF300mL中に6(51.13g、0.28mol)の冷却溶液(4℃未満)に、アルゴン雰囲気下で、塩
化チオニル(46.02g、0.39mol)を滴下して加えた。結果として得られる混合物を、同一条件下で、3時間撹拌した。これに、EtN(39.14g、0.39mol)を添加し、同一条件下で、20分撹拌した。20分後に、5−アミノ−2−シアノベンゾトリフルオリド(40.0g、0.21mol)、400mLのTHFを添加し、次に混合物を一晩、室温で撹拌した。溶媒を減圧下で取り除き、固体を得た。この固体を300mLのHOで処理し、EtOAc(2×400mL)で抽出した。合体した有機抽出物を、飽和NaHCO溶液(2×300mL)およびブライン(300mL)で洗った。有機層をMgSO上に乾燥し、減圧下で濃縮することによって、固体を得た。この固体を、CHCl/EtOAc(80:20)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、固体を得た。この固体をCHCl/ヘキサンから再結晶化し、淡黄色固体として、55.8g(73.9%)の(2R)−3−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを得た。
【0211】
[0174]H NMR(CDCl/TMS)δ1.66(s,3H,CH),3.11(s,1H,OH),3.63(d,J=10.8Hz,1H,CH),4.05(d,J=10.8Hz,1H,CH),7.85(d,J=8.4Hz,1H,ArH),7.99(dd,J=2.1,8.4Hz,1H,ArH),8.12(d,J=2.1Hz,1H,ArH),9.04(bs,1H,NH).計算質量:349.99,[M−H]349.0.M.p.:124−126℃.
【0212】
【化30】

【0213】
[0175](S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの合成
500mLの2−プロパノール中のブロモアミド((2R)−3−ブロモ−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド、50g、0.14mol)、無水KCO(59.04g、0.43mol)、および4−シアノフェノール(25.44g、0.21mol)からなる混合物を、3時間にわたって環流加熱し、次に減圧下で濃縮して固体を得た。結果として生じる残留物を500mLのHOで処理し、次にEtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を10%のNaOH(4×200mL)およびブラインで洗った。有機層をMgSO上で乾燥させ、次に減圧下で濃縮することで、オイルを得た。このオイルを300mLのエタノールと活性炭とで処理した。反応混合物を1時間にわたって環流加熱し、次にこの熱い混合物をセライトで濾過した。濾液を減圧下で濃縮することで、オイルを得た。このオイルを、CHCl/EtOAc(80:20)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、オイルを得た。このオイルをCHCl/ヘキサンで結晶化することで、無色の固体(綿タイプ)として33.2g(59.9%)の(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを得た。
【0214】
H NMR(CDCl/TMS)δ1.63(s,3H,CH),3.35(s,1H,OH),4.07(d,J=9.04Hz,1H,CH),4.51(d,J=9.04Hz,1H,CH),6.97−6.99(m,2H,ArH),7.57−7.60(m,2H,ArH),7.81(d,J=8.55Hz,1H,ArH),7.97(dd,J=1.95,8.55Hz,1H,ArH),8.12(d,J=1.95Hz,1H,ArH),9.13(bs,1H,NH).計算質量:389.10,[M−H]388.1.Mp:92−94℃.
実施例2 S−1SARM化合物の結晶化
材料と方法
方法
X線粉末回折(XRPD)
[0176]部分的に結晶化した混合物における液晶物質の結晶構造の決定または該液晶物質の認識に、XRPDを用いた。パナリティカル(PANalytical)X線回折装置PW
1710(管状の陽極がCu−Ka線)を用いてXRPDを実施した。ステップ走査方式(ステップサイズ0.02°2θ、カウント時間2.4分/ステップ)でパターンを収集した。平坦な面を得るために僅かな圧力を与えること以外は、いかなる特別な処置をともなうことなく、試料の測定をおこなった。その測定を大気雰囲気下でおこなった。
【0215】
ラマン分光法
[0177] FT−ラマンスペクトルを、1064nmで動作する近赤外Nd:YAGレーザーと液体窒素冷却ゲルマニウム検出器とを有するブルカー(Bruker)RFS100FT−ラマン・システム上に記録した。各試料について、分解能2cm−1の走査64回分を蓄積した。用いたレーザー出力は、100mWであった。ラマン測定を、室温でアルミニウム試料ホルダーまたは密閉ガラス管を用いて、おこなった。
【0216】
熱重量―フーリエ変換赤外線(TG−FTIR)および熱重量分析
[0178] TG−FTIR機器は、発生成分の特徴付けと組み合わせた、質量損失によって生ずる、HOガス等のガスを分析するためのフーリエ変換赤外分光(FTIR)に連結した熱重量分析器(TG)からなる。熱重量測定を、ブルカー(Bruker)FTIR分光器ベクター(Vector)22に連結されたネッチ(Netzsch) サーモマイクロバランス(Thermo-Microbalance )TG209を用いておこなった。N雰囲気下、加熱速度10k/分、温度範囲25ないし250℃で、ピンホールを有する試料皿(sample pan)を用いた。種々の条件下で、TA機器Q500 TGAを用いて追加の熱重量分析をおこなった。
【0217】
示差走査熱量測定法(DSC)
[0179]熱分析を、以下の実験条件、すなわち試料質量3ないし6mg、閉じた金製試料鍋(closed gold sample pan)、温度範囲−50℃ないし120℃、加熱速度20K/分により、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)DSC7を用いておこなった。試料の秤量を、空気中または乾燥N雰囲気中で、おこなった。追加の熱分析を、種々の条件下で気密アルミニウム鍋を用いてTAインストルメンツ(Instruments)Q1000DS
Cを使用して、実施した。
【0218】
動的蒸気収着(DVS)
[0180]動的蒸気収着定量は結晶化方法の間に吸収かつ実施的に脱着された水の質量に関連する。バッチP1、P2、およびP4が水和された多形体であるかどうかを決定するために、DVS測定を実施した(図9)。試料(13ないし14mg)をPt鍋に置き、あらかじめ定義された湿度プログラムを開示する前に、25℃/50%RHで平衡化させた。(1.0時間50%、50%RHないし95%RH:5%RH/時間、95%RHで10時間、95%RHないし0%RH:5%RH/時間、0%RHで10時間、0%
RHないし50%RH:5%RH/時間、50%RHで1時間。
【0219】
走査電子顕微鏡法(SEM)
[0181]S−1バッチP1、P2、およびP4の像(図8)をSEMカムスキャン(CamScan)CS24システムで得た。
【0220】
濾過
[0182]以下の実験、すなわち懸濁液平衡、析出実験、再結晶、相対的安定度実験、および水溶解性実験の過程で、濾過ステップを実施した。遠心濾過機装置:ウルトラフ
リー(Ultrafree)−CL(0.22|a,m)、ミリポア(Millipore);遠心(Centrifuge)型またはエッペンドルフ(Eppendorf)5804Rを温度22℃かつ2分3000
rpmの遠心プログラムで使用した。
【0221】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
[0183]S−1の純度を分析するために、HPLCを用いた。HP1090M HPLC装置を以下の条件で用いた。すなわち、
カラム:シンメトリーシールド(Symmetry Shield)RP18,3.9x150mm,5
μm
カラム温度:35℃
注入量:10μL
溶媒:アセトニトリル+水1:1v/v
移動相A:0.1%TFA−水
移動相B:0.1%TFA−アセトニトリル
流速:1mL/分
検出:UV(271nm)
実行時間:21分
保持時間(S−1):10.7分
材料
溶媒
[0184]すべての実験について、フルカ(Fluka)またはメルク(Merck)等級の溶媒を用いた。水:脱イオン化(フルカ(Fluka)no.95305)。
【0222】
化学薬品
【0223】
[0185] 化合物S−1を実施例1の記載どおりに合成した。
【0224】
結果
[0186]特徴付けのために、S−1化合物の4つのバッチ、すなわち(S−1−P1)、(S−1−P2)、(S−1−P3)、および(S−1−P4)を、選択した。S−1−P1、S−1−P2、およびS−1−P3は、実施例1に記述された合成方法によって調製された個々のバッチであった。バッチS−1−P4は、保存中、40℃/75%RHに曝露したバッチS−1−P1の試料であった。S−1化合物の異なる固体形態の安定度、溶解性、および特性を決定するために、以下の実験をおこなった。
【0225】
[0187] 以下の表は、図4Aに示されるS−1の形態AのX線回折結果を示す。
【0226】
【表1】

【0227】
[0188]以下の表は、図12Dに示されるS−1の形態A+CのX線回折結果を示すもので、形態Cの回折角を同定した。
【0228】
【表2−1】

【0229】
【表2−2】

【0230】
[0189]一態様では、形態Cは形態Aのシグナルが重畳する追加のラインを有する。
【0231】
[0190]ピーク検索およびd値計算を、ソフトウェアEVAバージョン10,0,0,0を用い、CuKアルファ2をソフトウェアによって取り除き、さらに最大で35°2シータのラインのみをリストした。
【0232】
[0191]試料PP148−P1を、パナリティカル(PANalytical)PW1710
X線回折装置の0.1mm試料ホルダー上で測定した。
【0233】
[0192]試料PP148−P52を、ブルカー(Bruker)D8アドバンス(Advance)回折計の0.1mm試料ホルダー上で測定した。
【0234】
[0193]以下の表は、図18(下側)に表現されるS−1の形態DのX線回折結果を示す。
【0235】
【表3−1】

【0236】
【表3−2】

【0237】
水蒸気吸着(湿度室)
[0194]室温の湿度室内96%RH(相対湿度)下で、化合物をガラス管に保存した。異なる時間で保存後、密閉ガラス管を用いてラマン測定をおこなった。結果を表1にまとめる。
【0238】
【表4】

【0239】
近似溶解度の測定
[0195] 室温での近似溶解度(approximate solubility)を測定するために、溶媒を段階的に固形材料に添加した。毎回添加した後に、試料を十分撹拌した。溶媒の添加は完全溶解まで継続されたか、あるいは15mlの溶媒まで加えられた。23℃で固体形態AおよびB’の溶解度を表2に示す。
【0240】
【表5】

【0241】
懸濁液平衡実験
[0196]懸濁液平衡実験(suspension equilibration experiment)を81〜12
8mgの化合物を用いて実施した。懸濁液をマグネットスターラーで撹拌した。不安定な水和物または溶媒和物の起こり得る脱溶媒化を防ぐためにのみ、濾過後に得られた試料を周囲温度で短時間にわたり空気乾燥した。固体形態AおよびB’の懸濁液平衡実験の結果を表3に示す。
【0242】
【表6−1】

【0243】
【表6−2】

【0244】
蒸気拡散実験
[0197]蒸気拡散実験を異なる溶媒中で化合物の溶液を用いておこなった。溶液を、混和性で揮発性の貧溶媒を含む大きな容器に貯蔵された、小さな蓋なし容器に入れた。次に、大きな容器を密閉した。貧溶媒は溶液の中に気相を介して拡散して、飽和または過飽和が達成された。固体形態AおよびB’の蒸気拡散実験の結果を表4に示す。
【0245】
【表7】

【0246】
蒸発実験
[0198]化合物の溶液を、撹拌することなく室温(乾燥窒素流)で乾燥させた。固体形態Aの蒸発実験の結果を表5に示す。
【0247】
【表8】

【0248】
析出実験
[0199]析出実験(preceipitation experiment)を42ないし79mgの化合物
を用いておこなった。非溶媒を溶液に加えた。不安定な水和物または溶媒和物の脱溶媒を防ぐためにのみ、濾過(ガラス濾過器孔隙率(glass filter porosity)P4)後に得ら
れた試料を周囲温度かつ短時間で空気乾燥させた。固体形態Aの析出実験の結果を表6に示す。
【0249】
【表9】

【0250】
溶液からの再結晶化
[0200]化合物を室温で異なる溶媒系に溶かし、+5℃または−20℃に冷やした。不安定な水和物または溶媒和物の起こり得る脱溶媒化を防ぐためにのみ、濾過(ガラス濾過器孔隙率P4)後に得られた試料を周囲温度で短時間にわたり空気乾燥した。
【0251】
[0201] 固体形態Aの再結晶化実験の結果を表7に示す。
【0252】
【表10】

【0253】
凍結乾燥実験
[0202]化合物を1,4−ジオキサンに溶かし、この溶液を−50℃に冷やした。溶媒の昇華中に、固体の温度を表8に示すように、<0℃にした。
【0254】
【表11】

【0255】
乾燥実験
[0203] DSC試料鍋を閉じる前に、乾燥N雰囲気中室温で試料を一晩乾燥させた。
【0256】
[0204] 結果を表9にまとめた。
【0257】
【表12】

【0258】
溶融実験の冷却および再熱
[0205]DSCで120℃に加熱した後、試料を−50℃に冷却し、さらに120℃に再加熱した。結果を表10にまとめる。
【0259】
【表13】

【0260】
相対的安定度(relative stability)実験
[0206]懸濁液実験を130ないし145mgの化合物でおこなった。懸濁液をマグネットスターラーで撹拌し、所定の時間後に濾過した。濾過(ガラス濾過器孔隙率P4)後に得られた試料を、周囲温度で空気乾燥した。結果を表11にまとめる。
【0261】
【表14】

【0262】
固体形態AおよびB’の水溶性
[0207]固体形態の懸濁液(3.5または7.0ml再蒸留水中、25または50mg)を振とう(800rpm)させて、0.5時間、1.5時間、4時間および20時
間後に濾過した。濾過後、固形残渣をラマン分光によってチェックし、透明な溶液中の濃度をHPLCで測定した。
【0263】
[0208] 22℃における水中のS−1の固体形態Aの溶解性を表12にまとめる。
【0264】
【表15】

【0265】
[0209] 22℃での水中のS−1の形態B’の溶解度を表13に示す。
【0266】
【表16】

【0267】
S−1−P1形態Aの特徴付け
[0210]多形性(polymorphism)研究用の出発原料(バッチ番号S−1−P1)は、結晶かつ結晶形態Aである。TG−FTIRは、200℃までの質量損失がかなり低い(<0.2%)ことを示すことから、バッチ番号S−1−P1は水和物または溶媒和物ではない。バッチ番号S−1−P1は82℃(DSCピーク温度、加熱速度20K/分)で溶融する。DSCでの溶融および−50℃への急冷後、無水結晶形態が生じた。試料は、約52℃の相転移温度を示し、DSCでの加熱中に再結晶しなかった。S−1−P1は、少量(概算5%)の形態B’またはB”を含むと思われた。
【0268】
[0211]25℃での形態AのDVS測定は、使用した実験条件下での古典的水和物形成に関するいかなる証拠も示さない。相対湿度93%での最大水分量は1.5%である。ごくわずかなヒステリシスは、水交換率に影響を及ぼす粒子状物質表面の粘性層(おそ
らく固体形態B’からなる)によって引き起こされる可能性が最も高い。実際、室温かつ
96%湿度で形態Aを保存した後、ラマン分光およびDSCは約20%の形態B’の形成を示した。
【0269】
固体形態B’の特徴付け
[0212]DSCおよびXRPDによる研究は、40℃かつ相対湿度75%での固体形態Aの保存中に生じた固体形態(バッチS−1−P4;40℃/75%RH)が、低い範囲のオーダーに制限された準結晶形態であることを、示している。
【0270】
[0213]25℃での固体形態B’のDVS挙動は、水和物の典型的な収着挙動ではない。相対湿度94%での最大水分量は2.4%である。たとえ、ある種のヒステリシスが観察されても、古典的水和物の存在を明白に示す収着カーブ内の明瞭な段差が存在しない。
【0271】
固体形態B’の形成
[0214]高相対湿度で観察されたトランスフォーメーションに加えて、37℃で一晩、固体形態Aの懸濁液を撹拌することで、固体形態B’を生成することができる。
【0272】
固体形態B”の形成
[0215]固体形態B”を生産するための経路は、溶解および溶融物の冷却、ならびにエタノール等の溶媒中での溶液のゆっくりとした蒸発である。多形形態B”は、多形態多形形態B”は、多形形態Aおよび多形形態Cを80℃および130℃の各々の融点よりも高く、加熱することで、これらの多形形態Aおよび多形形態Cから調製することができる。B’およびB”は、これまで用いた任意の分析法から識別可能ではなく、それらの形成のルートに基づいて決定される。B’はその溶媒媒介構造によりリオトロピック液晶形として割り当てられ、一方B’はその熱的方法由来のサーモトロピック結晶形態として割り当てられる。貧溶媒のないエタノール等の溶媒からの薬物の蒸発濃縮もまた、B”を生ずる。
【0273】
固体形態Cの形成
[0216]多形形態Cは、溶解およびそれに続いて周囲温度でTHFから薬物を蒸発させることで、Aとの混合物としてのみ、得ることができる。
【0274】
固体形態Dの形成
[0217]多形形態Dは、酢酸エチルおよびシクロヘキサンを溶媒および貧溶媒として各々用いて、50℃で溶媒/貧溶媒混合物から結晶化によって、最初に生産される。形態Dもまた、少量のDを含む試料を「播種(seeding)」し、110℃/0%RHで7日
間にわたって、または水中で50℃、24時間にわたって保存し、乾燥することによって
、他の多形から調製することができる。
【0275】
固体形態トルエン溶媒和物の形成
[0218]トルエン溶媒和物を、貧溶媒としてトルエンを用いた任意の溶媒/貧溶媒結晶化方法によって、調製した。
【0276】
固体形態AおよびB’の水溶性
[0219]22℃における水中での化合物S−1の形態AおよびB’の溶解度は、24.0±1.4mg/1000mlおよび27.3±0.8mg/1000ml(懸濁液平衡時間1.5時間後に得た値)である。これらの溶解度は、溶解度実験の過程で粒子状物質の表面上での形態Aから形態B’への急速なトランスフォーメーションにより、かなり類似している。
【0277】
固体形態Aの異なるバッチの特徴付け
[0220]バッチS−1−P1、S−1−P2、およびS−1−P3の試料は、同様の回折パターンを示す。DSC測定は、50℃付近で熱容量の変化によって示されるように、数%の固体形態B’またはBを含む可能性が最も高いことを示す。試料S−1−P2は、最高レベルの固体形態B’またはB”(約20%)を示す。DSC結果をよりよく理解するために、試料S−1−P1およびS−1−P2の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を作成した。試料S−1−P1の写真ではかなり形の良い粒子状物質が示されるが、試料S−1−P2の写真は、おそらくはかなり高い乾燥温度または水との部分的接触によって引き起こされる部分的トランスフォーメーションを示す。固体形態B’およびB”の部分的形成もまた、急速析出および析出後の相対的に高い貧溶媒/溶媒比率によって、引き起こすことができる。他の説明として、高温条件下での乾燥または高湿度条件下での貯蔵が考えられる。
【0278】
固体形態Aの結晶化用溶媒系
[0221]結晶形態Aは、結晶化に一般に用いられるいくらかの溶媒において高い溶解性を有する。その高い可溶性により、溶媒/貧溶媒混合物は結晶化に必要である。
【0279】
[0222]室温での懸濁液平衡実験は、酢酸エチル/ヘプタン1:2v/vあるいは酢酸エチル/ペンタン1:2中で懸濁液を撹拌する場合、固体形態B’(バッチS−1−P4;40℃/75%RH)を固体形態Aに転換することができることを明らかにした。さらに、ギ酸エチル/ペンタン1:2v/vおよび酢酸メチル/ペンタン1:2v/v中で固体形態Aを用いた懸濁液平衡実験は、固体形態Aのトランスフォーメーションを示さなかった。したがって、これらのクラス3溶媒/貧溶媒混合物は、形態Aの結晶化に用いることができる。これらの溶媒系の利点は、沸騰温度がかなり低いこと、そしてそれによって乾燥温度がおそらく低くなるということにある。
【0280】
[0223] S−1−P1固体形態Aの特徴付けの詳細を表14に示す。
【0281】
【表17】

【0282】
[0224] S−1−P2(固体形態A)の特徴付けの詳細を表15に示す。
【0283】
【表18】

【0284】
[0225] S−1−P3(固体形態A)の特徴付けの詳細を表16に示す。
【0285】
【表19】

【0286】
[0226] S−1−P4(固体形態B’)の特徴付けの詳細を表17に示す。
【0287】
【表20】

【0288】
[0227]化合物S−1の異なるバッチP1、P2、およびP3は、XRPD、ラマン、TG FTIR、DVSおよびDSC結果が同様の特有な挙動を示す結晶形態Aを明らかにした。
バッチP4は、上記に記述されるような、その広いXRPD、ラマン、TG FTIR、DVSおよびDSC結果によって特徴づけられる準結晶固体形態を明らかにした。
【0289】
乾燥条件下での多形形態の相対的安定度
[0228]図19のAおよびBのDSCサーモグラムは、Aが80℃近傍で溶融する一方でDは130℃近傍に融点を有することを示す。Aの融解エンタルピーは40±5J/gである一方、融解エンタルピーは75±5J/gである。融解温度およびエンタルピーは、形態Aと比較してDの安定度が高いことを示唆している。
【0290】
[0229]図17Dは、多形体AまたはDの融解によって、真に等方性の液相のかわりに、液晶B”多形体が生成されることを示している。真の液相の形成は、試料を200℃に加熱した後でも観察されなかった。B”多形体を周囲温度に冷却しても、形態AまたはDにもどる再結晶化は起こらなかった。このことは、融解させた後に続いて周囲温度に戻した後に再加熱した試料のDSC曲線(図17D)に融解吸熱がないことによって、確認される。DSC曲線はまた、B”形態が55℃付近で相転移を起こすことを示している。同様のガラス転移は、図4Dで17°前後の幅広のショルダーとともに、B’について観察され、このことは液晶相としてそれらが指定される根拠となる。XRPDは、図4Dで17°前後の幅広のショルダーとともに、B’についての高調波ピークを示し、このことは液晶相としてそれらが指定される根拠となる。
【0291】
[0230]図17eは、Dの存在下で多形体AおよびB”を110℃に加熱することで、AおよびB”形態がDに再編成されることを示す。このことによって、AおよびB”は、形態Dに変換し得る130℃未満の準安定相であることが確認される。しかし、おそらく転移の高いエネルギー障壁により、AまたはB”からDへの変換の速度は、種結晶による結晶化をおこなうためのDが当初存在しない場合、かなり遅い。形態AおよびB”は、実際には、周囲温度で安定していると考えることができる。約130℃で、形態Dが溶
解してB”に変化し、ここでB”は最も安定な形態になる。乾燥条件下での多形体A粒子状物質の微粉化もまた、「Bへの25%変換」を生じた。
【0292】
湿潤状態下での多形形態の相対的安定度
[0231]多形体AはそのA形態で、周囲温度/75%RH(相対湿度)、周囲温度/100%RH、30℃/75%RH、および50℃/0%RHの貯蔵条件下で、少なくとも7日間安定している。しかし、それは、50℃/75%RHで貯蔵した場合に、B’に変換する。結果のうちのいくつかを、図17Fに示す。実際、25℃/60%RHおよび30℃/65%RHで貯蔵された多形体Aは、それぞれ36ヶ月および9ヶ月のあいだ、安定している。一方40℃/75%RHで貯蔵された試料は1ヶ月のあいだにB’に変換される。これらの結果は、多形形態Aが、湿気がある状態でB’に変換されることを示す。
【0293】
[0232]一方、多形体Dは、50℃/75%RH(相対湿度)で安定しており、また別の条件である周囲温度/75%RH、周囲温度/100%RH、30℃/75%RH、および50℃/0%RHでも安定している。実際、湿気の存在下で、多形形態Dは結晶化プロセスの種として作用し、かつ形態AおよびB’からDへのトランスフォーメーションを誘導するもので、乾燥した状態でのD結晶化についてAに播種する点でのそれの役割に似ている。図17G(a)は、50℃/75%RHで少量のDが種となった多形体Aの時間発展を示す。試料に最初に加えられた多形形態Dの量は非常に少なく、加熱速度10℃/分のDSCによっては検知できない量である。24時間後、ほとんどの多形形態AがB’に変換されたが、少量の試料もDに変換され、Dに含まれる試料の量が時間とともに増加する。トランスフォーメーション過程は、試料を50℃の水に貯蔵することによって、図17G(b)でスピードアップされる。形態Aは6時間後にB’およびDの両方に変換しているが試料は24時間までに形態Dへ大部分は変換している。このことは、さらにDには変化しない純粋なA形体のB’への変換とは対照的である。水中に播種することによってAがDに直接変換されるか、またはB’のみに変換される(続いて水中でDに変換される)かどうかは、依然として不明である。さらなる研究によって、より遅い速度ではあるが、AおよびB’は低温かつ湿気の存在下で、AおよびB’がDに変換されることが、わかった。
【0294】
トルエン中のトルエン溶媒和物の相対的安定度
[0233]貧溶媒としてトルエンを用いる溶媒/貧溶媒システムからのS−1の再結晶によって、トルエン溶媒和物が生ずる。トルエン溶媒和物は、融解エンタルピーが70±5 J/gである100℃近傍の融点を有する。図20中のトルエン溶媒和物のTGAグラフによれば、溶媒和物中のトルエン含有量が、S−1の3つの分子ごとに1つのトルエン分子に相当する〜7%である。溶媒/薬物質量比は調製された各試料バッチについて同じ状態のままであり、トルエン分子が格子の外側の溝(channel)または層の中ででは
なく単位格子構造の内部に存在することが示唆される。トルエン中のS−1の溶解度が低い(<2mg/mL)ことから、形態Dからトルエン溶媒和物への顕著なトランスフォーメーションは周囲温度および50℃の両方で、4日間トルエン中で懸濁(50mg/mL)させた後では、観察されなかった。10分間にわたる懸濁液の超音波処理は、トルエン溶媒和物への部分的なトランスフォーメーションを生じた。
【0295】
[0234]当業者は、本発明が上記に何を具体的に示しかつ記載したかによって制限されないことを容易に理解するだろう。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。

態様1:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態。
態様2:前記結晶形態が無水結晶形態である、態様1に記載の結晶形態。
態様3:前記結晶形態が(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物のものである、態様2に記載の結晶形態。
態様4:前記結晶形態が、(a)X線粉末回折パターンが約5.6(15.9),7.5(11.8),8.6(10.3),9.9(8.9),12.4(7.1),15.0(5.9),16.7(5.3),17.3(5.1),18.0(4.9),18.5(4.8),19.3(4.6),19.8(4.5),20.6(4.3),21.8(4.1),22.3(4.0),23.4(3.8),23.9(3.7),24.6(3.6),24.9(3.6),25.4(3.5),26.0(3.4),26.5(3.4),27.8(3.2)のー2閨id値Å)の角度でピークを示すこと、または(b)融点が約82であること、によって特徴付けられる、態様3に記載の結晶形態。
態様5:前記結晶形態が、(a)および(b)にリストされた特性によって特徴付けられる、態様4に記載の結晶形態。
態様6:前記結晶形態が、図4bに示すX線回折パターンによって特徴付けられる、態様1に記載の結晶形態。
態様7:組成物であって、請求項1の無水(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態と適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
態様8:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態を調製するための方法であって、非晶質(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを少なくとも一種類の有機溶媒に、結晶化を可能とする条件下で約−20ないし+5の温度で、溶解することを含み、それにより前記結晶形態を得る方法。
態様9:前記有機溶媒が溶媒と貧溶媒との混合物を含む、態様8に記載の方法。
態様10:前記混合物がギ酸エチルおよびペンタンを1:2 v/vの比率で含む、態様9に記載の方法。
態様11:前記混合物が酢酸メチルおよびペンタンを1:2 v/vの比率で含む、態様9に記載の方法。
態様12:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態。
態様13:前記準結晶形態が(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物のものである、態様12に記載の準結晶形態。
態様14:前記準結晶形態が、(a)X線粉末回折パターンが15ないし25のー2閧フ範囲に2つの高調波ピークを伴う幅広のハロー(halo)を示すこと、および(b)示差走査熱量測定法(DSC)によって決定される相転移点が約55であること、によって特徴付けられる、態様13に記載の準結晶形態。
態様15:前記結晶形態が、図4dに示すX線回折パターンによって特徴付けられる、態様13に記載の準結晶形態。
態様16:組成物であって、態様12の準結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドと、適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
態様17:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態を調製する方法であって、少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30の周囲温度で、水中の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態の懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得ることを含む、前記方法。
態様18:組成物であって、結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物と、適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
態様19:組成物であって、結晶形態(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物と、適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
態様20:組成物であって、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶および準結晶固体形態の混合物と、適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
態様21:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態であって、(a)X線粉末回折パターンが4.4(19.9),8.5(10.4),8.8(10.0),11.3(7.8),12.7(6.9),13.8(6.4),14.4(6.1),14.6(6.0),15.1(5.8),16.1(5.5),16.6(5.3),16.9(5.2),18.0(4.9),18.7(4.7),19.0(4.6),19.4(4.55),20.8(4.25),22.1(4.0),22.7(3.9),23.1(3.8),23.4(3.8),24.7(3.6),24.9(3.56),25.3(3.51),27.8(3.2),29.3(3.0)のー2閨id値)の角度における固有のピークを含むこと、および(b)融点が約130であること、によって特徴付けられる、前記結晶形態。
態様22:前記結晶形態が、図18に示すX線回折パターンによって特徴付けられる、態様21に記載の結晶形態。
態様23:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態Dを調製する方法であって、非晶質の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドを溶媒/貧溶媒混合物中に、結晶化を可能とする条件下で約50の温度で、溶解し、それにより前記結晶形態を得る、前記方法。
態様24:前記溶媒/貧溶媒が酢酸エチル/シクロヘキサン混合物である、態様23に記載の方法。
態様25:(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶形態Dと適当な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態。
【請求項2】
(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態である、請求項1に記載の準結晶形態。
【請求項3】
準結晶形態が、以下:
a.X線粉末回折パターンが15ないし25のー2閧フ範囲に2つの高調波ピークを伴う幅広のハロー(halo)を示すこと、および
b.示差走査熱量測定法(DSC)によって決定される相転移点が約55であること、
により特徴づけられる準結晶形態B’である、請求項2に記載の準結晶形態。
【請求項4】
準結晶形態が、以下:
a.X線粉末回折パターンが15ないし25のー2閧フ範囲に2つの高調波ピークを伴う幅広のハロー(halo)を示すこと、および
b.示差走査熱量測定法(DSC)によって決定される相転移点が約55であること、
により特徴づけられる準結晶形態B”である、請求項2に記載の準結晶形態。
【請求項5】
形態が、図4dに示すX線回折パターンによって特徴付けられる、請求項3に記載の準結晶形態。
【請求項6】
組成物であって、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態と、適切な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
【請求項7】
(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの準結晶形態B’を調製する方法であって、
少なくとも0.5時間にわたって約20ないし30の周囲温度で、水中の(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドの結晶形態の懸濁液を撹拌することで、準結晶化合物を得ることを含む、前記方法。
【請求項8】
(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態B”を調製する方法であって、当該化合物を貧溶媒なしにエタノールから蒸発濃縮させることを含む、前記方法。
【請求項9】
(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態B”を調製する方法であって、当該化合物の固体形態Aを溶融または80℃に加熱した後に冷やすことを含む、前記方法。
【請求項10】
(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の準結晶形態B”を調製する方法であって、当該化合物の固体形態Dを溶融または130℃に加熱した後に冷やすことを含む、前記方法。
【請求項11】
準結晶形態B”がサーモトロピック液晶形態である、請求項4に記載の準結晶形態。
【請求項12】
組成物であって、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶および請求項3に記載の準結晶固体形態の混合物と、適切な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。
【請求項13】
組成物であって、(R)または(S)−N−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−シアノフェノキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド化合物の結晶および請求項4に記載の準結晶固体形態の混合物と、適切な担体または希釈剤とを含む、前記組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G−a】
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【図17G−b】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−67118(P2012−67118A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246394(P2011−246394)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2010−524998(P2010−524998)の分割
【原出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】