説明

選択的イオン輸送を有するLi/MnO2電池セパレータ

本発明は、リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを選択的に遮断する方法を提供する。この方法は、リチウムイオンを供給するために適合されたリチウム電極を供給する工程、マンガンイオンを供給するために適合された二酸化マンガン電極を供給する工程、及びセパレータがリチウム電極から二酸化マンガン電極間のリチウムイオンの選択的輸送を許容するがマンガンイオンが二酸化マンガン電極からリチウム電極に移動するのを遮断する電池セパレータを二酸化マンガン電極とリチウム電極の間に供給することによって、二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断するが、リチウムイオンがリチウム電極から二酸化マンガン電極間を自由に往復するのを許容する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マンガン酸塩からカソードを有するLi主要電池の有効期限を伸ばすために、セパレータを通じてLiイオンを輸送しつつMnイオンの輸送を遮断する電池のセパレータを利用することが強く望まれている。本発明は、このような選択的イオン輸送率を有するセパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6322923号明細書には、コーティングを有する微細孔を有する膜を含むセパレータが開示されている。コーティングは、ゲル形成性ポリマー、可塑剤及び溶媒の混合物からなる。溶媒は、この混合物が容易かつ均一に膜に適用できるようにゲル形成性ポリマーと可塑剤を溶解する。また、溶媒は、容易に除去できるように他の成分に比較して相対的に蒸発しやすい。残りのコーティングされたセパレータ(すなわち、ゲル形成性ポリマーと可塑剤を含むコーティング)は多孔性ではなく、多孔質になるまで電解液が染み込む準備がされていない。可塑剤は微細孔形成性物質である。可塑剤は、例えば、エステル系フタレート又は有機カーボネートであるが、微細孔を形成するために抽出されなければならない。この抽出工程はセパレータのコストアップとなる。
【0003】
米国特許5586138号明細書は、UHMWPEポリマー繊維上へのPVDFコーティングの使用について教えている。PVDFコーティングは均一な溶液の形成を可能にする溶媒に溶解される。例示の溶媒は、ケトン、キロリネート溶媒、炭化水素溶媒、アセテート又はカルボネートを含む。
【0004】
米国特許公開2002/0168564は、微細孔を有する膜、膜を覆うコーティング、ゲル形成性ポリマー及び可塑剤を重量比1:0.5〜1:3で含むコーティングからなるセパレータについて開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Mnの輸送を選択的に遮断する目的は、電池の有効期限を延ばすことである。電池の有効期限はMnイオンの移動が許されるときのMnイオンが被る化学反応に関係している。したがって、Mnイオンの輸送を遮断することによって、電池の短縮された有効期限の原因となる化学反応が減少されるか及び/又は除去され、よって有効期限が増加することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リチウム−二酸化マンガン電池中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを選択的に遮断する方法は次の工程を含む。リチウムイオンを供給するために適合されたリチウム電極を供給し、及び二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断するが、リチウムイオンがリチウム電極から二酸化マンガン電極間を自由に往復するのを許容し、セパレータがリチウム電極から二酸化マンガン電極間のリチウムイオンの選択的輸送を許容するがマンガンイオンが二酸化マンガン電極からリチウム電極に移動するのを遮断する電池セパレータを二酸化マンガン電極とリチウム電極の間に供給する。
【0007】
電池セパレータを通じてLiイオンを選択的に輸送し、Mnイオンを遮断することができるリチウム電池のための電池セパレータは、次の工程を含む。微細孔質膜がポリオレフィンであり、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給する。ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給する。少なくとも60℃の沸点を有する第2溶媒を提供し、第1溶媒は第2溶媒より揮発性であり、第2溶媒はゲル形成性ポリマー中で微細孔を形成するように順応させられる。ゲル形成性ポリマーを第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得る。微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、乾燥させ、セパレータを得る。
【0008】
電池セパレータを通じてLiイオンを選択的に輸送し、Mnを遮断することができるリチウム電池用電池セパレータは、微細孔質ポリオレフィン膜及び該膜上のコーティングを含み、前記コーティングは、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマーである。電池セパレータは、ASTM D−726(B)によれば、Gurley値が20〜110秒/10ccの範囲である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
マンガン酸塩からのカソードを有するLi電池の有効期限を延ばすためには、Mnイオン輸送を遮断し、セパレータを通じてLiイオンの輸送を許容する電池セパレータを使用することが望ましい。本発明は、選択的イオン輸送率を有するこのような膜を開発することにある、セパレータは、次のような変形を含む。
【0010】
微細孔質膜ポリオレフィンセパレータ上の種々の厚さの濃密な多孔質ゲル形成性ポリマーコーティング。
【0011】
電池セパレータを通じてリチウムイオンを選択的に輸送し、Mnイオンを遮断することができるリチウムセル用電池セパレータ10は、微細孔ポリオレフィン膜20、及び該膜上のコーティング30を含み、前記コーティングは、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマーである。電池セパレータは、ASTM D−726(B)によれば、Gurley値が20〜110秒/10ccの範囲である。Gurley値は、Gurley密度計(例えば、Model4120)によって測定される空気流に対する抵抗である。Gurley値は、水12.2インチ圧下で空気10ccが1平方インチの物を通過するのに要する時間(秒)を表す。
【0012】
微細孔質膜20は、いかなる微細孔質膜であってもよい。膜20はポリオレフィンから形成される。ポリオレフィンの例は、これに限定されないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリブチレン(PB)を含む。膜29は、ドライストレッチ法(CELGARD法としても知られる)又は溶媒処理(ゲル押し出し法又は相転移法としても知られる)によって作成される。膜を作成する他の方法は、相反転法、湿式法及び微粒子伸張法を含む。膜20は次の特徴を有する。125秒/10cc(好ましくは、50秒/10cc、最も好ましくは、20秒/10cc)を超えない空気透過性、5〜500μm(好ましくは、10〜100μm、最も好ましくは、10〜50μm)の範囲の厚さ、0.001〜10μm(好ましくは、0.01〜5μm、最も好ましくは、0.02〜0.5μm)の範囲の微小孔の直径、及び35〜85%の範囲(好ましくは、40〜80%)の空隙率を有する。膜20は、好ましくは閉鎖セパレータであり、例えば、本明細書に組み込まれる米国特許4,650,730、4,731,304、5,281,491、5,240,655、5,565,281、5,667,911、5,952,120、日本国特許第2642206号及び日本国特願1944−98395号(1994年5月27日出願)を参照。膜20は、CELGARD LLC,Charlotte,NC,USA;日本国東京の旭化学工業株式会社、日本国東京の東燃株式会社、日本国東京の宇部興産株式会社、日本国大阪の日東電工株式会社より市販されている。
【0013】
膜20は、単一層又は多層セパレータであり得る。最も普通の単層セパレータはポリエチレンセパレータである。多層セパレータの1つの例は、ポリプロピレン層、ポリエチレン層及びポリプロピレン層からなる3層構造である。これら微小細多孔質ポリオレフィン膜は、通常、全体の厚さが50μm以下である。好ましくは、全体の厚さは25μm以下である。
【0014】
コーティング30は、膜20の表面、好ましくは、外部表面及び微細孔内表面の両方に適用される。コーティングは、0.6mg/cm2以下、好ましくは0.10〜0.4mg/cm2の範囲の表面密度に適用される。性能を最大化させるためには、0.2〜0.3mg/cm2の範囲がよく機能することがわかった。コーティング30は、ゲル形成性ポリマーと溶媒の希釈溶液の形で膜20に適用される。コーティング30は、適切な接着を達成するため、0.3mg/cm2以下(好ましくは、0.05〜0.3mg/cm2以下の範囲、最も好ましくは、0.1〜0.25mg/cm2の範囲)を有すべきである。第1溶媒は、ゲル形成性ポリマーを溶解できるか又は懸濁できるように選ばれる。溶媒の例としては、これに限定されないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びアセトンを含む。好ましい第1溶媒はアセトンである、希釈溶液は10重量%以下のゲル形成性ポリマーを含むことができる。
【0015】
第2溶媒はゲル形成性ポリマーのための微細孔形成用である。第1の溶媒は第2の溶媒より蒸発しやすい(例えば、第2の溶媒は第1の溶媒より低い蒸発圧を有する)。第2の溶媒の例は、これに限定されないが、有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール及び2−ペンタノールを含む。第2の溶媒に加えて、いくらかの水が加えることができる。好ましくは、この水は脱イオン水がよい。もし水が第2の溶媒と結合して用いられるなら、親水性の溶媒を使用することも好ましい。この場合、親水性とは、水を容易に溶解又は混合し、2相に相分離しないという意味である。
【0016】
本発明の電池セパレータは、ASTM−D726(B)に基づく20〜110秒/10ccの範囲、好ましくは22〜95秒/10ccの範囲のGurley値を有する。
【0017】
リチウム−二酸化マンガン電池におけるマンガン二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオン移動の選択的遮断は次の工程を含む。リチウムイオンの提供に適合されるリチウム電極を提供する。マンガンイオンを提供するに適合する二酸化マンガンを提供し、二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの移動を遮断するが、リチウム電極と二酸化マンガン電極間をリチウムイオンが自由に移動するのを許容する。二酸化マンガン電極とリチウム電極の間に電池セパレータを提供し、前記セパレータはリチウム電極と二酸化マンガン電極の間のリチウムイオンの輸送を選択的に許容し、二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの移動を遮断する。特定の理論に拘束されないでいうならば、本発明の薄膜は、マンガンイオンのための曲がりくねった通路を形成することによりその移動を防止している。曲がりくねった通路は、Liイオンが薄膜中を自由に通過するのを許容しつつMnイオンの輸送を妨げる。
【0018】
本発明の電池セパレータは、次の工程を含むプロセスによって形成される。微細孔膜がポリオレフェニンであり、前記ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンからなる群より選択され、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるゲル形成性ポリマーを含むゲル形成性ポリマー溶液を提供する。第1の有機溶媒は80℃以下の沸点を有し、第2の溶媒が少なくとも60℃の沸点を有し、第1の溶媒が第2の溶媒より揮発性であり、第2の溶媒がゲル形成性ポリマー中の微細孔を形成するように適合され、ゲル形成性ポリマー溶液を第2の溶媒と混合してゲル形成性ポリマー及び溶液混合物を形成し、微細孔膜にゲル形成性ポリマー及び溶液混合物をコーティングし、微細孔膜を乾燥してセパレータを形成する。
【0019】
リチウムセル用の電池セパレータを形成するプロセスにおいて、ゲル形成性ポリマー溶液が有機溶媒に対して1%〜10%のポリマーの割合で提供される。第2の溶媒に水が加えられるとき、第2の溶媒に対する水の割合は0.25:1〜2:1、好ましくは0.5:1の範囲である。
【0020】
好ましいゲル形成性ポリマーは、ポリ(フッ化ビニリデン:ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF:HFP)コポリマーである。最も好ましいコポリマーは、重量比91:9のPVDF:HFPである。PVDFコポリマーは、Atochem,Philadelphia,PA,USA,Solvay SA,Brussels,Belgium及び日本国茨城のクラレ化学工業より市販されている。最も好ましいPVDF:HFPコポリマーはAtochem社のKYNAR2800である。
【0021】
微細孔質ポリオレフィン膜は、ドライ−ストレッチ法、湿式法、相転移法、又は微粒子伸張法によって製造される。好ましい微細孔質ポリオレフィンは25μm以下を有する。
【0022】
あるいは、電池セパレータは次の工程を含むプロセスによって製造される。微細孔質膜がポリオレフェニンであり、前記ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンからなる群より選択される微細孔質膜を提供する。フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるゲル形成性ポリマーを含むゲル形成性ポリマー溶液、並びに80℃以下の沸点を有する有機溶媒を提供する。ゲル形成性ポリマー溶液を前記溶媒と混合してゲル形成性ポリマー及び溶液混合物を形成し、微細孔膜の少なくとも片面にゲル形成性ポリマー及び溶液混合物をコーティングし、微細孔膜を乾燥してセパレータを形成する。
【実施例】
【0023】
(A)サンプル及びサンプルの作成
全てのサンプルは、アセトン中2.5%ポリマーの濃度のPVDFコポリマーを有する。
使用されるPVDFコポリマーはAtoFIna Chemicals,Inc.,Philadelphia,PAのKynar FLEX2800である。非溶媒中のIPAに対する水の割合は1:2である。露点は38Fである。Celgarad社の3層薄膜はそれぞれ次の条件でコーティングされた。
【0024】
(1)PVDFのみのコーティング。IPA/水は加えられなかった。
(2)PVDF/IPA+水、1:0.5の割合
(3)PVDF/IPA+水、1:1の割合
【0025】
(B)測定結果
【表1】

(注)
Gurley値は、4測定値の平均である。
平均微細孔径は、3測定値の平均である。測定はフルオリナート法、内部Celgard試験によって行った。
電気抵抗、ERはMcMullin番号として特定された。これは、同等の容量の電解液の電気抵抗に対する電解液電解液飽和微細孔質膜の電気抵抗の比で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】電池セパレータによってLiイオンの選択的に輸送し、Mnイオンを遮断することができるリチウム電池セル用の電池セパレータの断面図を示す。
【符号の説明】
【0027】
10 電池セパレータ
20 ポリオレフィン微細孔質膜
30 コーティング
40 微細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを選択的に遮断する方法であって、
リチウムイオンを供給するために適合されたリチウム電極を供給する工程、
マンガンイオンを供給するために適合された二酸化マンガン電極を供給する工程、及び
セパレータがリチウム電極から二酸化マンガン電極間のリチウムイオンの選択的輸送を許容するがマンガンイオンが二酸化マンガン電極からリチウム電極に移動するのを遮断する電池セパレータを二酸化マンガン電極とリチウム電極の間に供給することによって、
二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断するが、リチウムイオンがリチウム電極から二酸化マンガン電極間を自由に往復するのを許容する工程
を含む方法。
【請求項2】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項1に記載の方法において、前記電池セパレータは、
微細孔質膜がポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給し、
ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する第1有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給し、
少なくとも60℃の沸点を有する第2溶媒を供給し、
前記第1溶媒は前記第2溶媒より揮発性であり、第2溶媒はゲル形成性ポリマー中で微細孔を形成するように順応させられ、
前記ゲル形成性ポリマーを前記第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得、
微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、及び
前記微細孔質膜を乾燥させ、セパレータを得る工程を含む方法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法において、
前記電池セパレータは、ASTM D−726(B)による測定によって、20ないし110秒/10ccの範囲のGurley値を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2溶媒が水と混合されることを特徴とする、リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲル形成性ポリマー溶液は有機溶媒に対するポリマーの比が1%〜10%で供給されるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第2溶媒は溶媒に対する水の比が1:2〜3:5で供給されるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第2溶媒に対する前記ゲル形成性ポリマーの比が3:1〜1:3であるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲル形成性ポリマーは、ポリ(フッ化ビニリデン:へクサフルオロプロピレン)コポリマーであるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記微細孔質ポリオレフィン膜は、ドライ−ストレッチ法、湿式法、相転移法から選ばれる方法によって、又は微粒子ストレッチ法によって製造されるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記微細孔質ポリオレフィン膜は厚さ25μm又はそれ以下であるリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記電池セパレータは0.1〜5μmの範囲の直径を有するリチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法。
【請求項12】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項1に記載の方法において、前記電池セパレータは、
微細孔質膜がポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給し、
ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する第1有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給し、
前記ゲル形成性ポリマーを前記第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得、
微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、及び
前記微細孔質膜を乾燥させ、電池セパレータを得る工程を含む方法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項1に記載の方法において、前記電池セパレータは、
微細孔質膜がポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給し、
ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する第1有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給し、
少なくとも60℃の沸点を有する第2溶媒を供給し、前記第1溶媒は前記第2溶媒より揮発性であり、第2溶媒はゲル形成性ポリマー中で微細孔を形成するように順応させられ、
前記ゲル形成性ポリマーを前記第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得、
微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、及び
前記微細孔質膜を乾燥させ、前記電池セパレータがASTM D−726(B)による測定によって、20ないし110秒/10ccの範囲のGurley値を有する電池セパレータを得る工程を含む方法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項1に記載の方法において、前記電池セパレータは、
微細孔質膜がポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給し、
ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する第1有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給し、
少なくとも60℃の沸点を有する第2溶媒を供給し、前記第1溶媒は前記第2溶媒より揮発性であり、第2溶媒はゲル形成性ポリマー中で微細孔を形成するように順応させられ、
前記ゲル形成性ポリマーを前記第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得、
微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、及び
前記微細孔質膜を乾燥させることによって、0.1〜5μmの範囲の直径の微細孔を有する電池セパレータを得る方法によって製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する請求項2に記載の方法において、
前記電池セパレータは、ASTM D−726(B)による測定によって、22ないし95秒/10ccの範囲のGurley値を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項16】
リチウム−二酸化マンガン電池セル中の二酸化マンガン電極からリチウム電極へのマンガンイオンの流れを遮断する方法において、
リチウムイオンを供給するために適合されたリチウム電極を供給する工程、
マンガンイオンを供給するために適合された二酸化マンガン電極を供給する工程、
前記二酸化マンガン電極と前記リチウム電極の間の電池セパレータによって、マンガンイオンが二酸化マンガン電極からリチウム電極に移動するのを遮断し、リチウムイオンがリチウム電極から二酸化マンガン電極間を自由に移動し、前記電池セパレータがリチウム電極から二酸化マンガン電極間のリチウムイオンの輸送を選択的に許容するがマンガンイオンが二酸化マンガン電極からリチウム電極に移動するのを遮断し、
前記電池セパレータは、
微細孔質膜がポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンから構成される群から選択される微細孔質膜を供給し、
ゲル形成性ポリマーが、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されるゲル形成性ポリマー並びに80℃以下の沸点を有する第1有機溶媒を含むゲル形成性ポリマー溶液を供給し、
少なくとも60℃の沸点を有する第2溶媒を供給し、前記第1溶媒は前記第2溶媒より揮発性であり、第2溶媒はゲル形成性ポリマー中で微細孔を形成するように順応させられ、
前記ゲル形成性ポリマーを前記第2溶媒と混合してゲル形成性ポリマーと溶液の混合物を得、
微細孔質膜にゲル形成性ポリマーと溶液の混合物をコーティングし、及び
前記微細孔質膜を乾燥させることによって、ASTM D−726(B)による測定によって、20ないし110秒/10ccの範囲のGurley値を有する電池セパレータを得る方法によって製造されることを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−504650(P2008−504650A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518100(P2007−518100)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020274
【国際公開番号】WO2006/007335
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(500108987)セルガード,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】