説明

選択的エストロゲン受容体モジュレーターとしての新規な2H−クロメン誘導体

本発明は、新規な2H−クロメン誘導体、これらを含有させた製薬学的組成物、これらを1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療で用いること、そしてこれらの製造方法に向けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2H−クロメン誘導体、これらを含有させた製薬学的組成物、そしてこれらをエストロゲン受容体が媒介する障害および病気、例えばのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、ホルモン感受性癌および過形成(女性における乳房、子宮内膜および頸部そして男性における前立腺を包含する組織における)、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症などの治療または予防そして避妊薬として単独またはプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬との組み合わせのいずれかで用いることに向けたものである。本発明の化合物は選択的エストロゲン受容体モジュレーターである。
【背景技術】
【0002】
エストロゲンは生殖過程そして子宮および乳房の発育および思春期に関連した他の身体的変化に必須な群の女性ホルモンである。エストロゲンは女性の体全体に渡るいろいろな組織、即ち生殖過程に関係する組織、例えば子宮、乳房および外性器などばかりでなくまた中枢神経系、骨、肝臓、皮膚および尿路などの組織にも影響を与える。女性の体の中のエストロゲンの大部分を卵巣が産生する。
【0003】
閉経は、卵巣の卵胞機能が失われかつエストロゲンの産生がほとんど停止することが理由で起こる月経の永久的な停止であるとして定義される。中年の閉経過渡期は、エストロゲンの減少によって血管運動、尿生殖器、心臓血管、骨格および中枢神経系に関する短期および長期両方の症状、例えばのぼせ、尿生殖器の萎縮、心臓血管病、骨粗鬆症、認識および心理的悪化の危険性が高くなること[認識障害およびアルツハイマー病(AD)の危険性が高くなることを包含]などが引き起こされることを特徴とする。
【0004】
女性全体の75パーセントが閉経の開始に関連した血管運動症状、例えば体の発汗およびのぼせなどをいくらか経験する。そのような症状は閉経の数年前に始まる可能性があり、ある女性たちは10年以上に渡って比較的一様に継続するか或は限定可能な誘発原因なしに突然の攻撃として始まり得る。
【0005】
閉経の開始に関連して膣に関して起こる尿生殖器の症状には、乾燥した感覚、焼け、かゆみ、性交中の痛み、表面出血および分泌物に加えて萎縮症、狭窄症が含まれる。尿路に関する症状には、排尿時の焼ける感覚、頻繁に起こる切迫、繰り返す尿路感染および尿失禁が含まれる。そのような症状は閉経時近くの女性全体の50%に及んで起こると報告されており、より頻繁には、閉経後数年間に渡って起こる。そのような問題を処置しないままにしておくと永久的になる可能性がある。
【0006】
高齢の女性の中で心臓発作および卒中が罹病率および死亡率の主原因である。女性がそのような病気にかかる率は閉経後に急速に高くなる。早期に閉経を起こした女性は同じ年齢であるが月経のある女性よりも血栓症の危険が高い。血清エストロゲンの存在は血清脂質に対して肯定的な影響を与える。このホルモンは血管拡張を助長しかつ新しい血管の形成を増強する。このように、閉経後の女性では血清エストロゲン濃度が低くなる結果として心臓血管に不利な影響が生じる。加うるに、血液が凝固する能力に差があることが心臓病の罹病率に関して閉経前と閉経後に差があることが観察されることを説明している可能性があると理論付けされている。
【0007】
骨格は、骨細胞間の注意深く調節された相互作用によって骨の退化と再生が継続して起
こる過程下にある。前記細胞はエストロゲンの影響を直接受ける。エストロゲンが欠乏すると結果として骨構造が失われかつ骨強度が低下する。閉経直後の1年の間に骨質量が急速に失われる結果として閉経後骨粗鬆症および骨折の危険性が高まる。
【0008】
エストロゲンの欠乏は、また、中枢神経系が退化して変化する原因の1つでもあり、それによって、アルツハイマー病および認識の低下がもたらされる可能性がある。最近の証拠によってエストロゲンと閉経と認識の間に関連があることが分かってきている。より詳細には、女性ではエストロゲン補充治療およびエストロゲンの使用によってADの進行が防止されかつ認識機能が向上し得ると報告された。
【0009】
ホルモン補充治療(HRT)、より具体的にはエストロゲン補充治療(ERT)は、閉経に関連した医学的問題を取り扱いかつまた骨粗鬆症および原発性心臓血管合併症(例えば冠状動脈病)を予防および治療両方の様式で防止するに役立たせる目的で一般に処方される。このように、HRTは閉経後の女性の平均寿命を長くしかつ生活の品質をより良好にする医学治療であると見なされる。
【0010】
ERTは更年期の症状および尿生殖器の症状を有効に軽減しかつ閉経後女性における心臓病の予防および治療の点で有意な利点を有することが示された。臨床報告により、ERTは心臓発作率を下げかつERTを与えた集団の方がERTを与えていない同様な集団に比べて死亡率が低くなることが示された。閉経直後にERTを開始すると、また、骨の質量を数年間に渡って保持するにも役立つ可能性がある。管理された調査により、ERTによる治療は年齢が75歳を超えた高齢の女性でも肯定的な効果を与えることが示された。
【0011】
しかしながら、患者の不満を減少させるERTに関連した望ましくない影響もいくつか存在する。静脈の血栓塞栓症、胆嚢病、月経の再開、乳房痛および子宮および/または乳癌を発病する危険性が高くなる可能性があることがERTに関連した危険性である。ERTを処方された女性の中の30%に及んでそのような処方を満たしておらず、安全性の懸念および中断の最も重要な理由である副作用[鼓腸および突破出血(break−through bleeding)]によって中断する率は38%から70%である。
【0012】
選択的エストロゲン受容体モジュレーターまたはSERMとして知られる新規な種類の薬理学的作用剤がHRTの代替として考案されかつ開発されてきた。非ステロイド系ベンゾチオフェレ(bezothiophere)SERMであるラロキシフェン(raloxifene)が骨粗鬆症の予防および治療の目的でEvistaの商標の下で米国およびヨーロッパで市販されている。ラロキシフェンは子宮内膜および乳房組織を不利に刺激することなく骨の損失を軽減しかつ骨折を防止することが示されたが、ラロキシフェンが骨の損失に対して示す防護はERTが示す効力よりもいくらか低い。ラロキシフェンは子宮内膜を刺激せずかつ乳癌を予防する効力を有する点でユニークでありかつ有意にERTとは異なる。また、ラロキシフェンは心臓血管危険因子に対して有益なエストロゲン作動効果を有し、より具体的には、ラロキシフェンによる治療を受けた患者では全体および低密度リポ蛋白であるコレステロールの濃度が迅速に低下しかつそれが維持されることを通して心臓血管危険因子に対して有益なエストロゲン作動効果がもたらされることも示されている。加うるに、ラロキシフェンはアテローム性動脈硬化症および血栓塞栓病の独立した危険因子であるホモシステインの血漿中濃度を下げることも示された。
【0013】
しかしながら、ラロキシフェンは閉経に関連した症状、例えばのぼせおよび膣乾燥などを悪化させることが報告されており、かつ高齢の患者における認識機能を向上させることはない。ERTを受けている女性の方がラロキシフェンまたはプラセボを服用した人よりも膣出血および乳房不快さの率が高いが、ラロキシフェンを服用した患者はプラセボまたはERTを受けた人に比べてのぼせの率が高くかつプラセボを受けた人よりも足の痙攣の
度合が高いことが報告されている。
【0014】
今までのところラロキシフェンも現在入手可能な他の如何なるSERM化合物も現在利用できるERTの利点の全部を与えることができず、例えば不利な副作用、例えば子宮内膜および乳房の癌および出血の危険性などを高めることなく閉経後の症状を制御しかつADを予防するなどの能力を持たないことが示されている。このように、選択的エストロゲン受容体モジュレーターでありかつERTが有する利点の全部を与えると同時にまた閉経に関連して起こるエストロゲンの全身的減少に関連した血管運動、尿生殖器および認識障害または状態も取り扱う化合物の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
本発明は、式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
およびRは、各々独立して、水素およびC1−4アルキルから成る群から選択されるか、或いは、
とRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルから成る群から選択される5から7員環を形成しており、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、カルボキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、−C1−4アルキル−であり、
は、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、−O−Si(CHおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択され、
は、C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、−C1−4アルキル−O−Si(CH、−O−Si(t−ブチル)(CH、C5−7シクロアルキルおよびC5−7シクロアルケニルから成る群から選択され、
は、水素、C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、−C1−4アルキル−O−Si(CH、−O−Si(t−ブチル)(CHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択されるか、或いは、
とRは、一緒になって、
【0018】
【化2】

【0019】
から選択される環構造を形成している]
で表される化合物またはこれらの製薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0020】
本発明の実例は、製薬学的に受け入れられる担体とこの上に記述した化合物のいずれかを含んで成る製薬学的組成物である。本発明の実例は、この上に記述した化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を混合することで作られた製薬学的組成物である。本発明の実例は、この上に記述した化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る製薬学的組成物製造方法である。
【0021】
本発明の実例は、1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体にこの上に記述した化合物または製薬学的組成物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0022】
本発明の実例は避妊方法であり、これは、それを必要としている被験体に治療的に有効な量の式(I)で表される化合物とプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬を用いた共治療薬を投与することを含んで成る。
【0023】
本発明の別の例は、本明細書に記述する化合物のいずれかを(a)のぼせ、(b)膣乾燥、(c)オステオペニア、(d)骨粗鬆症、(e)高脂血症、(f)認識機能の損失、(g)変性脳病、(h)心臓血管病、(i)脳血管病、(j)乳癌、(k)子宮内膜癌、(l)頸癌、(m)前立腺癌、(n)良性前立腺過形成、(o)子宮内膜症、(p)子宮筋腫、(q)変形性関節症の治療および(r)避妊を必要としている被験体におけるそれを実施するに適した薬剤を製造する時に用いる例である。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
【0025】
【化3】

【0026】
[式中、
、R、R、R、RおよびAは、本明細書で定義する通りである]
で表される化合物に向けたものである。本発明の化合物はエストロゲン受容体のモジュレーターであり、これはエストロゲン欠乏を伴う障害[これには、これらに限定するものでないが、のぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病が含まれる]の治療および予防、ホルモン感受性癌および過形成(女性における乳房、子宮内膜および頸部そして男性における前立腺を包含する組織における)の治療、子宮内膜症、子宮筋腫および変形性関節症などの治療および予防の目的、そして避妊薬として単独またはプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬と組み合わせて用いるに有用である。
【0027】
本発明の1つの態様におけるエストロゲン受容体はαエストロゲン受容体である。本発明の別の態様におけるエストロゲン受容体はβエストロゲン受容体である。
【0028】
本発明の1つの態様では、Rを水素およびC1−2アルキルから成る群から選択する。本発明の別の態様におけるRはC1−2アルキルである。好適には、Rはメチルである。
【0029】
本発明の1つの態様では、Rを水素およびC1−2アルキルから成る群から選択する。本発明の別の態様におけるRはC1−2アルキルである。好適には、Rはメチルである。
【0030】
本発明の1つの態様では、RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になって5から7員のヘテロアリールまたは5から7員の飽和ヘテロシクロアルキル基を形成している。本発明の別の態様では、RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になって5から7員の飽和ヘテロシクロアルキル基を形成している。好適には、RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジニルまたはアゼピニルから選択される基を形成している。
【0031】
本発明の1つの態様では、Rをヒドロキシ、C1−2アルコキシおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択する。本発明の別の態様では、RをヒドロキシおよびC1−2アルコキシから成る群から選択する。本発明の更に別の態様では、Rをヒドロキシおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択する。好適には、Rはヒドロキシである。
【0032】
本発明の1つの態様におけるAは−C1−4アルキル−である。本発明の別の態様におけるAは−C1−3アルキル−である。好適には、Aは−CH−CH−である。
【0033】
本発明の1つの態様では、Rを−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、C5−7シクロアルキルおよびC5−7シクロアルケニルから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rを−C1−2アルキル、−C1−2アルキル−OHおよびC5−7シクロアルキルから成る群から選択する。好適には、Rを−CH、−CHCH−OHおよびシクロペンチルから成る群から選択する。
【0034】
本発明の1つの態様では、Rを水素、−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rを水素、−C1−2アルキル−OHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択する。好適には、Rを水素、−CHCH−OHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択する。
【0035】
本発明の1つの態様では、RとRが一緒になって
【0036】
【化4】

【0037】
から選択される環構造を形成している。本発明の別の態様では、RとRが一緒になって
【0038】
【化5】

【0039】
から選択される環構造を形成している。好適には、RとRが一緒になって
【0040】
【化6】

【0041】
から選択される環構造を形成している。
【0042】
本発明の追加的態様は、本明細書で定義した変項の中の1つ以上に関して選択した置換基(即ち、R、R、R、R、RおよびA)が独立して本明細書に定義した如き完全なリストから選択される個々の置換基のいずれかまたは置換基のサブセットのいずれかであるようにそれらを選択した化合物が含まれる。本発明の別の態様における化合物は、以下の表1に挙げる化合物から選択した化合物である。
【0043】
本発明の代表的な化合物は、以下の表1に挙げる如き化合物である。特に明記しない限り、本化合物を立体配置(stereo−configuration)の混合物として生じさせた(適宜)。立体中心が存在する場合のSおよびR表示は、その中心の正確な立体配置を測定しなかったことを示すことを意図する。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
本明細書で用いる如き用語「変性脳病」は、認識障害、認知症(根本の原因に関係なく)、アルツハイマー病などを包含する。
【0048】
本明細書で用いる如き用語「心臓血管病」は、高血中脂質濃度、血栓性アテローム性動脈硬化症および血栓性心臓病などを包含する。
【0049】
本明細書で用いる如き用語「脳血管病」は、異常な局所的脳血管流、虚血性脳損傷などを包含する。
【0050】
本明細書で用いる如き用語「プロゲストゲン拮抗薬」は、ミフェプリストン(mifepristone)(RU−486)、J−867(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、J−956(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、ORG−31710(Organon)、ORG−32638(Organon)、ORG−31806(Organon)、オナプリストン(onapristone)(ZK98299)およびPRA248(Wyeth)を包含する。更に、用語「プロゲスチン」および「プロゲステロン」を本明細書で用いる場合、これらを互換的に用いる。
【0051】
エステロゲン受容体モジュレーターは1種以上のエステロゲン受容体が媒介する障害および病気の治療および/または予防で用いるに有用であり、そのような障害および病気には、これらに限定するものでないが、のぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、ホルモン感受性癌、過形成(女性の場合の乳房、子宮内膜および頸部そして男性の場合の前立腺を包含する組織における)、子宮内膜症、子宮筋腫および変形性関節症が含まれる。エステロゲン受容体モジュレーターは、更に、避妊薬として単独またはプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬と組み合わせて用いるにも有用である。
【0052】
前記少なくとも1種のエストロゲン受容体が媒介する障害および/または病気は好適には骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌および子宮内膜症から成る群から選択される。
【0053】
本明細書で用いる如き「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0054】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、直鎖および分枝鎖を包含する。例えば、アルキル基にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどが含まれる。同様に、用語「C1−4アルキル」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、炭素原子を1−4個含有する直鎖および分枝鎖を包含する。例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt−ブチル。
【0055】
本明細書で用いる如き「アルコキシ」は、特に明記しない限り、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、上述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。同様に、用語「C1−4アルコキシ」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、上述した直鎖もしくは分枝鎖C1−4アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなど。
【0056】
本明細書で用いる如き用語「C5−7シクロアルキル」は、特に明記しない限り、5員から7員の飽和炭素環式環構造のいずれかを表す。適切な例にはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。同様に、用語「C5−7シクロアルケニル」は、特に明記しない限り、二重結合を少なくとも1個、好適には二重結合を1個含有する5員から7員の部分不飽和炭素環式環構造のいずれかを表す。適切な例にはシクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが含まれる。
【0057】
本明細書で環構造を言及する時に用いる如き用語「部分不飽和」は、特に明記しない限り、不飽和結合を少なくとも1個含有する安定な環構造のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、シクロヘキセニルなどが含まれる。
【0058】
本明細書で用いる如き「ヘテロアリール」は、特に明記しない限り、O、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から3個含有していてもよい5員から7員の単環式芳香環構造、またはO、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から4個含有していてもよい9員もしくは10員の二環式芳香環構造のいずれかを表す。このヘテロアリール基は結果として生じる構造が安定な構造であるように環のヘテロ原子もしくは炭素原子のいずれかの所で結合し得る。
【0059】
適切なヘテロアリール基の例には、これらに限定するものでないが、ピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、プラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどが含まれる。好適なヘテロアリール基にはピロリル、ピリジル、ピラゾリル、ピラジニルなどが含まれる。
【0060】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロシクロアルキル」は、特に明記しない限り、O、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から3個含有していてもよい5員から7員の単環式飽和もしくは部分不飽和環構造、またはO、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から4個含有していてもよい9員から10員の飽和、部分不飽和もしくは部分芳香二環式環系のいずれかを表す。このヘテロシクロアルキル基は結果として生じる構造が安定な構造であるように環のヘテロ原子もしくは炭素原子のいずれかの所で結合し得る。
【0061】
適切なヘテロシクロアルキル基の例には、これらに限定するものでないが、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、インドリニル、クロメニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフリルなどが含まれる。好適なヘテロシクロアルキル基にはピペリジニル、モルホリニルなどが含まれる。
【0062】
本明細書で用いる如き記号「」は立体中心の存在を表す。
【0063】
個々の基(例えばアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール)が「置換されている」場合、そのような基は置換基のリストから独立して選択される置換基を1つ以上、好適には置換基を1から5個、より好適には置換基を1から3個、最も好適には置換基を1から2個持っていてもよい。
【0064】
置換基の言及に関して、用語「独立して」は、そのような置換基が2個以上可能な場合にそのような置換基が互いに同じまたは異なってもよいことを意味する。
【0065】
説明をより簡潔にする目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかには用語「約」による制限を受けさせていない。用語「約」を明確に用いるか否かに拘わらず、本明細書に示す量は全てが所定の実際の値を指すことを意味しかつまた前記所定値の近似値(本分野の通常の技術を基にして妥当であると推測される)[実験および/または測定条件による前記所定値の近似値を包含]も指すことを意味すると理解する。
【0066】
本明細書で用いる如き用語「脱離基」は、特に明記しない限り、置換または置き換え反応中に脱離する帯電もしくは非帯電原子もしくは基を意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、Br、Cl、I、メシレート、トシレートなどが含まれる。
【0067】
本開示の全体に渡って用いる標準的命名法の下では、表示する側鎖の末端部分を最初に記述し、その後、それに隣接する官能性を結合点に向かって記述する。従って、例えば「フェニル−アルキル−アミノ−カルボニル−アルキル」置換基は、式
【0068】
【化7】

【0069】
で表される基を指す。
【0070】
本明細書、特にスキームおよび実施例で用いる省略形は下記の通りである:
DCM=ジクロロメタン
DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル
Dibal−HまたはDIBAL−H=水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DTT=ジチオトレイトール
ERT=エストロゲン補充治療
Grubb触媒=二塩化ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)
HEPES=4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンエタンスルホン酸
HPLC=高圧液クロ
HRT=ホルモン補充治療
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
LHMDSまたはLiHMDS=リチウムヘキサメチルジシラジナミド
MOM=メトキシメチル
MOM−Br=臭化メトキシメチル
MOM−Cl=塩化メトキシメチル
Pd−CまたはPd/C=炭素に担持されているパラジウム触媒
SEM=2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
SEM−Cl=塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
TBAF=フッ化テトラ(n−ブチル)アンモニウム
TBS=t−ブチル−ジメチル−シリル
TBSCl=塩化t−ブチル−ジメチル−シリル
TEAまたはEtN=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TMS=トリメチルシリル
TMSCl=塩化トリメチルシリル
【0071】
本明細書で用いる如き用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象である動物、好適には哺乳動物、最も好適には人を指す。
【0072】
本明細書で用いる如き用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求している活性化合物または薬剤が組織系、動物または人に生物学的もしくは医薬的反応(治療を受けさせる病気または障害の症状の軽減を包含)を引き出す量を意味する。
【0073】
本明細書で用いる如き用語「組成物」は、これに、指定材料を指定量で含んで成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせる結果として直接または間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させることを意図する。
【0074】
本発明に従う化合物がキラル中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在し得る。本化合物がキラル中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとしても存在し得る。そのような異性体およびこれらの混合物の全部を本発明の範囲内に包含させると理解されるべきである。その上、本化合物が示す結晶形態のいくつかは多形として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)または一般的有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0075】
本分野の技術者は、本発明の反応段階をいろいろな溶媒もしくは溶媒系中で実施することができることを認識するであろうが、前記反応段階をまた適切な溶媒もしくは溶媒系の混合物中で実施することも可能である。
【0076】
本発明に従う化合物を生じさせる過程で立体異性体の混合物がもたらされる場合には、
通常の技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどを用いてそのような異性体を分離することができる。このような化合物はラセミ形態で調製可能であるか、或は鏡像特異的合成または分割のいずれかを用いて個々の鏡像異性体を生じさせることも可能である。標準的技術、例えば光活性酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などを用いて塩を生じさせた後に分別結晶化を行いそして遊離塩基を再生させてジアステレオマー対を生じさせることなどで、そのような化合物を例えばそれらの成分である鏡像異性体に分割することも可能である。また、ジアステレオマーであるエステルまたはアミドを生じさせた後にクロマトグラフィーによる分離を行いそしてキラル補助剤を除去することで、そのような化合物の分割を行うことも可能である。或いは、キラルHPLCカラムを用いてそのような化合物の分割を行うことも可能である。
【0077】
本発明の化合物を調製する過程のいずれかを実施する時、関係する分子のいずれかが有する敏感もしくは反応性基を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性がある。これは通常の保護基、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991などに記述されている如きそれらを用いて達成可能である。そのような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて後の便利な段階で除去可能である。
【0078】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを本発明の範囲内に包含する。そのようなプロドラッグは、一般に、生体内で必要な化合物に容易に変化し得る前記化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与する」に、具体的に開示した化合物を用いるか或は具体的には開示することができなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな障害を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、例えばH.Bundgaard、Elsevier編集の「Design of Prodrugs」(1985)などに記述されている。
【0079】
本発明の化合物の塩を薬剤で用いる場合、これは無毒の「製薬学的に受け入れられる塩」を指す。しかしながら、本発明に従う化合物またはこれらの製薬学的に受け入れられる塩を調製する時に他の塩を用いることも有用である。本化合物の適切な製薬学的に受け入れられる塩には酸付加塩が含まれ、これらは、例えば本化合物の溶液を製薬学的に受け入れられる酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、こはく酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸または燐酸などの溶液と一緒に混合することで調製可能である。更に、本発明の化合物が酸性部分を持つ場合、これらの適切な製薬学的に受け入れられる塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩など、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩など、そして適切な有機配位子と一緒にした時に生じる塩、例えば第四級アンモニウム塩などが含まれ得る。このように、代表的な製薬学的に受け入れられる塩には下記が含まれる:
酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マ
ンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/二燐酸塩、ポリガラクツロネート、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、こはく酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩。
【0080】
製薬学的に受け入れられる塩を調製する時に使用可能な代表的酸および塩基には下記が含まれる:
酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−樟脳酸、樟脳スルホン酸、(+)−(1S)−樟脳−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、ヒプリックアシッド(hipuric acid)、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、しゅう酸、パルミチン酸、パモ酸、燐酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、こはく酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸およびウンデシレン酸を包含する酸、および
アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミンおよび水酸化亜鉛を包含する塩基。
【0081】
式(I)で表される化合物の調製は、スキーム1に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0082】
【化8】

【0083】
従って、式(X)で表される適切に置換されている化合物に還元を公知方法に従って受けさせる、例えばそれとDibal−Hを有機溶媒、例えば塩化メチレン、THFなど中で反応させることなどで相当する式(XI)で表される化合物を生じさせる。
【0084】
前記式(XI)で表される化合物とQがMgまたはLiである式(XII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を公知方法に従って反応させることで相当する式(XIII)で表される化合物を生じさせる。
【0085】
前記式(XIII)で表される化合物をBF・エーテラート、HCl、HSOなどと有機溶媒、例えば塩化メチレン、トルエンなど中で約0℃からほぼ室温の範囲内の温度で反応させることで、相当する式(I)で表される化合物を生じさせる。
【0086】
式(X)で表される化合物は公知化合物であるか或は公知方法に従って調製可能な化合物である。以下のスキーム2−7に、式(X)で表される代表的な化合物の調製方法およびそれらを調製する時の中間体を例示する。本分野の技術者は、以下のスキームに具体的には記述しない式(X)で表される化合物およびこれらを調製する時の中間体も適切に置換されている出発材料を選択して代わりに用いそして/または反応に敏感な基(例えばアルコキシ基)に保護を受けさせそして脱保護を受けさせることで同様に調製可能であることを認識するであろう。
【0087】
一例として、式(X)で表される化合物を合成する時の中間体の調製は以下のスキーム
2に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0088】
【化9】

【0089】
従って、式(XII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と塩基、例えばLDA、LiHMDSなどとE−QがSEM−Cl、MOM−Cl、アリル−Br、アルケニル−Br、ベンジル−Brまたはメチル−Iなどである式(XIII)で表される化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を公知方法に従って反応させることで相当する式(XX)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)および(XXIV)で表される化合物の混合物を生じさせる。好適には、前記式(XX)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)および(XXIV)で表される化合物に分離を公知方法、例えばカラムクロマトグラフィーなどを用いて受けさせる。
【0090】
本分野の技術者は、前記混合物に入っている前記式(XX)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)および(XXIV)で表される化合物の比率は反応温度の制御および使用する式(XIII)で表される化合物の量または当量の影響を受け得ることを認識するであろう。
【0091】
がヒドロキシであり、Rが水素でありそしてRが−CH−CH−OHである式(X)で表される化合物の調製は、相当する式(XX)で表される化合物を用いて、以下のスキーム3に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0092】
【化10】

【0093】
従って、EがSEMまたはMOMである式(XX)で表される適切に置換されている化合物とBBrを有機溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルムなど中で約−78℃からほぼ室温の範囲内の低温で反応させることで相当する式(Xa)で表される化合物を生じさせる。
【0094】
がヒドロキシであり、RがメチルでありそしてRが−CH−OHまたは−CH−O−TMSである式(X)で表される化合物の調製は、スキーム4に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0095】
【化11】

【0096】
従って、EがSEMまたはMOMである式(XXII)で表される適切に置換されている化合物とBBrを有機溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルムなど中で約−78℃からほぼ室温の範囲内の低温で反応させることで相当する式(Xb)で表される化合物を生じさせる。
【0097】
がC5−7シクロアルキルまたはC5−7シクロアルケニルである式(X)で表される化合物の調製は、スキーム5に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0098】
【化12】

【0099】
従って、Eが−CH−CH=CHである式(XXIII)で表される適切に置換されている化合物とGrubb触媒を有機溶媒、例えばTHF、ジオキサンなど中でほぼ室温から約60℃の範囲内の温度で反応させることで相当する式(Xc)で表される化合物を生じさせる。
【0100】
前記式(Xc)で表される化合物に場合により水添を公知方法に従って受けさせることで相当する式(Xd)で表される化合物を生じさせてもよい。
【0101】
本分野の技術者は、RがC6−7シクロアルキルまたはC6−7シクロアルケニルである式(X)で表される化合物の調製も同様にスキーム5に概略を示す方法に従ってEが−(CH1−2−CH=CHである式(XXIII)で表される化合物を反応させることで実施可能であることを認識するであろう。
【0102】
とRがこれらが結合している炭素原子と一緒になって7員の環構造を形成している式(X)で表される化合物。
【0103】
【化13】

【0104】
従って、Eが−CH−CH=CHである式(XXV)で表される適切に置換されている化合物[公知化合物または公知方法(例えば7−R置換2H−クロメンとE−Qをスキーム2に記述した方法に従って反応させることなど)で調製可能な化合物]とGrubb触媒を有機溶媒、例えばTHF、ジオキサンなど中でほぼ室温から約60℃の範囲内の温度で反応させることで相当する式(Xe)で表される化合物を生じさせる。
【0105】
前記式(Xe)で表される化合物に場合により水添を公知方法に従って受けさせることで相当する式(Xf)で表される化合物を生じさせてもよい。
【0106】
式(X)で表される選択した化合物の調製はスキーム7に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0107】
【化14】

【0108】
従って、式(XXII)で表される適切に置換されている化合物とBBrを反応させた後に塩基、例えばNaOH、KOH、LiOHなどを用いた処理を有機溶媒、例えばメタノール、エタノールなど中でか或は有機溶媒と水の混合物、例えばメタノール/水など中で行うことで相当する式(Xg)で表される化合物と(XXVI)で表される化合物の混合物を生じさせる。
【0109】
前記式(Xg)で表される化合物と(XXVI)で表される化合物の混合物に分離を公知方法、例えばカラムクロマトグラフィーなどで受けさせる。
【0110】
前記式(XXVI)で表される化合物と塩基、例えばNaOH、KOH、LiOH、NaH、LiHMDS、LDA、KHMDS、NaHMDSなどを溶媒、例えばメタノール、エタノール、THF、DMF、水など中で反応させることで相当する式(Xh)で表される化合物を生じさせる。
【0111】
本分野の技術者は、Rおよび/またはRが−C1−4アルキル−OHである式(X)で表される化合物の場合にはそのような式(X)で表される化合物とTMSClを公知方法に従って反応させることで前記末端ヒドロキシ基を相当する−C1−4アルキル−OTMSに変化させることができることを認識するであろう。
【0112】
同様に、本分野の技術者は、Rが−O−TMSまたは−OTBSである式(X)で表される化合物の調製はRがヒドロキシである相当する式(X)で表される化合物を用い
てそれをそれぞれTMSClまたはTBSClと公知方法に従って反応させることで実施可能であることも認識するであろう。
【0113】
本発明は、更に、1種以上の式(I)で表される化合物を製薬学的に受け入れられる担体と一緒に含有する製薬学的組成物も包含する。本明細書に記述する本発明の1種以上の化合物を有効成分として含有する製薬学的組成物の調製は、本化合物1種または2種以上を通常の薬剤配合技術に従って製薬学的担体と一緒に密に混合することで実施可能である。そのような担体は所望の投与経路(例えば経口、非経口)に応じて幅広く多様な形態を取り得る。このように、液状の経口用製剤、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液などの場合の適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが含まれ、固体状の経口用製剤、例えば粉末、カプセルおよび錠剤などの場合に適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、顆粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。固体状の経口用製剤にまた糖などの如き物質による被覆または腸溶性被膜による被覆を受けさせることで主要な吸収部位を調節することも可能である。非経口投与の場合の担体を一般に無菌水で構成させるが、溶解性または防腐性を向上させる他の材料を添加することも可能である。また、注射可能な懸濁液または溶液を調製することも可能であり、この場合には水性担体を適切な添加剤と一緒に用いてもよい。
【0114】
本発明の製薬学的組成物を調製する時、有効成分として選択した本発明の1種以上の化合物と製薬学的担体を通常の薬剤配合技術に従って密に混合するが、そのような担体は投与で望まれる製剤の形態、例えば経口または非経口、例えば筋肉内投与などに応じて幅広く多様な形態を取り得る。本組成物を経口投薬形態で調製する時、通常の製薬学的媒体のいずれも使用可能である。このように、液状の経口用製剤、例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液などの場合の適切な担体および添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などが含まれ、固体状の経口用製剤、例えば粉末、カプセル、カプレット、ゲルカップおよび錠剤などの場合に適切な担体および添加剤には、澱粉、糖、希釈剤、顆粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。投与が容易なことが理由で錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。望まれるならば、錠剤に糖による被覆または腸溶性被膜による被覆を標準的な技術で受けさせてもよい。非経口投与の場合の担体は一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助するか或は防腐の目的などで他の材料を含有させることも可能である。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。本明細書に示す製薬学的組成物では、投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、茶サジ1杯など当たりの有効成分含有量を、それをこの上に記述した如き有効量で送達するに必要な量にする。本明細書に示す製薬学的組成物では、単位投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射、座薬、茶サジ1杯など当たりの含有量を約50−100mgにして、それを約0.5−5.0mg/kg/日、好適には約1.0−3.0mg/kg/日の投薬量で投与してもよい。しかしながら、このような投薬量は当該患者の要求、治療すべき病気のひどさおよび用いる化合物に応じて変わり得る。毎日の投与またはポストペリオディックドーシング(post−periodic dosing)のいずれの使用も利用可能である。
【0115】
本組成物を好適には単位投薬形態にし、例えば経口、非経口、鼻内、舌下もしくは直腸投与または吸入もしくは吹送による投与に適した錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、無菌の非経口用溶液もしくは懸濁液、定量エーロゾルもしくは液体スプレー、滴、アンプル、自動注入デバイスまたは座薬などの形態にする。或いは、本組成物を週に1回または月に1回投与するに適した形態で提供することも可能であり、例えば本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などは筋肉内注射用持続性薬剤製剤を生じさせるに適合し得る。固体状組成物、例えば錠剤などを調製する場合、本主要有効成分を製薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸ジカルシウムまたはゴムなどおよび他の製薬学的希釈剤、例えば水などと混合して本発明の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物を生じさせる。このような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、この組成物を等しく有効な投薬形態物、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分可能なように有効成分が組成物全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、このような固体状の予備調合組成物を細分して本発明の有効成分を0.1から約500mg含有する前記種類の単位投薬形態物にする。作用が長期に渡ると言った利点を与える投薬形態が得られるように本新規組成物の錠剤またはピルに被覆を受けさせてもよいか或は他の様式で配合してもよい。例えば、そのような錠剤またはピルに内部の投薬成分と外側の投薬成分を含めて、その後者が前者の上を覆う形態にしてもよい。この2成分を腸溶性層[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗して前記内部成分が無傷のまま十二指腸の中に運ばれるようにするか或は放出が遅れるようにする働きをする]で分離しておいてもよい。そのような腸溶性層または被膜ではいろいろな材料が使用可能であり、そのような材料には数多くの高分子量酸に加えてシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの如き材料が含まれる。
【0116】
本発明の新規な組成物を経口または注射で投与する目的で添加することができる液体形態には、水溶液、適切な風味のシロップ、水性または油懸濁液、そして食用油、例えば綿実油、ゴマ油、椰子油または落花生油などが用いられている風味付き乳液ばかりでなく、エリキシルおよび同様な製薬学的媒体が含まれる。水性懸濁液用の適切な分散もしくは懸濁剤には、合成および天然のゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンなどが含まれる。
【0117】
本発明に記述する1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害を治療する方法は、また、本明細書で定義した如き化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を含んで成る製薬学的組成物を用いることでも実施可能である。この製薬学的組成物の本化合物含有量は約0.01mgから1000mg、好適には約1から500mg、より好適には10から100mgの範囲であってもよく、そしてこれを選択した投与様式に適した如何なる形態に構築してもよい。担体には、必要かつ不活性な製薬学的賦形剤が含まれ、これには、これらに限定するものでないが、結合剤、懸濁剤、滑剤、風味剤、甘味剤、防腐剤、染料およびコーティングが含まれる。経口投与に適した組成物には、固体形態物、例えばピル、錠剤、カプレット、カプセル[各々に瞬時放出、好機放出および徐放製剤が含まれる]、顆粒および粉末など、そして液状形態物、例えば溶液、シロップ、エリキシル、乳液および懸濁液などが含まれる。非経口投与で用いるに有用な形態物には無菌の溶液、乳液および懸濁液が含まれる。
【0118】
本発明の化合物は有利に1日1回の投与で投与可能であるか、或は1日当たりの投薬量全体を1日当たり2回、3回または4回に分割した用量で投与することも可能である。更に、本発明の化合物を適切な鼻内媒体を局所的に用いることによる鼻内形態で投与するか或は本分野の通常の技術者に良く知られた経皮皮膚パッチを用いて投与することも可能である。投与を経皮送達系の形態で行う時には、勿論、そのような投与は断続的ではなくむしろ投薬療法全体に渡って連続的であろう。
【0119】
例えば錠剤またはカプセル形態の経口投与の場合には、本活性薬剤成分を無毒で製薬学的に受け入れられる不活性な経口用担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと一緒にしてもよい。その上、望まれるか或は必要な場合には、また、適切な結合剤、滑剤、崩壊剤および着色剤をそのような混合物に添加することも可能である。適切な結合剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースなど、コーン甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントなど、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。
【0120】
液状形態には適切な風味の懸濁もしくは分散剤、例えば合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどを含有させてもよい。非経口投与の場合には無菌の懸濁液および溶液が望まれる。静脈内投与が望まれる場合には一般に適切な防腐剤が入っている等浸透圧性製剤を用いる。
【0121】
また、本発明の化合物をリポソーム送達系、例えば小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクルおよび多層ベシクルなどの形態で投与することも可能である。いろいろな燐脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどを用いてリポソームを生じさせることができる。
【0122】
また、本化合物の分子を結合させたモノクローナル抗体を個々の担体として用いて本発明の化合物を送達することも可能である。また、本発明の化合物を標的可能薬剤担体としての可溶重合体と結合させおくことも可能である。そのような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキサイドポリリジンが含まれ得る。更に、本発明の化合物を薬剤の徐放の達成で用いるに有用な種類の生分解性重合体、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、そしてヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体などに結合させておくことも可能である。
【0123】
本発明の化合物はこの上に示した組成物のいずれかの状態で1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療が必要とされている時にはいつでも本技術分野で確立された投薬療法に従って投与可能である。
【0124】
本製品の1日当たりの投薬量は成人1人当たり0.01から1,000mg/日に及んで幅広い範囲に渡って多様であり得る。経口投与の場合には、本組成物を、好適には、治療を受けさせるべき患者の症状に応じて投薬量を調整して、本有効成分を0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500および1000ミリグラム含有する錠剤の形態で提供する。通常は、有効量の本薬剤を体重1kg当たり約0.01mg/日から体重1kg当たり約300mg/日の投薬レベルで供給する。この範囲は好適には体重1kg当たり約0.5から約5.0mg/日、最も好適には体重1kg当たり約1.0から約3.0mg/日である。本化合物を1日当たり1から4回の計画で投与してもよい。
【0125】
本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができ、これは使用する個々の化合物、投薬様式、製剤の濃度、投与様式および病気の状態の進行に伴って変わるであろう。加うるに、治療を受けさせる個々の患者に関連した要因の結果として投薬量を調整する必要もあり、そのような要因には、患者の年齢、体重、食事および投与時期が含まれる。
【0126】
以下に示す実施例は本発明の理解の補助で示すものであり、決して本明細書に示す請求の範囲に挙げる発明を限定することを意図するものでなく、そのように解釈されるべきでない。
【0127】
以下に示す実施例では、いくつかの合成生成物を残留物として単離したと示す。本分野の通常の技術者は、用語「残留物」は生成物を単離した物理的状態を限定するものでなく、例えば固体、油、発泡体、ゴム、シロップなどを包含し得ることを理解するであろう。
【実施例1】
【0128】
4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号4)
【0129】
【化15】

【0130】
段階A:4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−2−オールの製造
4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−クロメン−2−オン(1.53g、5ミリモル)をトルエン(50mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(3.34mL、5ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、メタノール(1mL)を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチル(500mL)で希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(4x200ml)で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を無色の油として得た。その粗生成物をさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0131】
段階B:4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの製造
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(15ミリモル)(5.0g)をTHF(30mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にn−ブチルリチウム(6.0mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。次に、その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した無色の油をTHF(20mL)に入れることで生じさせた溶液をゆっくり添加した。添加後の反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物に酢酸エチルを用いた抽出を受けさせ、その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をトルエン(250mL)に溶解させた後、36.5%のHCl(1.7mL)を加えた。その溶液を30分間撹拌した後、5%のNaHCOで中和した。その混合物にTHF−酢酸エチル混合物を用いた抽出を受けさせ、その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(30mL)に溶解させた後、室温でピリジン中70%のHF(2mL)を加えた。その反応混合物を一晩撹拌し、酢酸エチルで希釈した後、5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけてジクロロメタン中2%のメタノールで溶離させることで精製した。その生成物にHPLCを用いたさらなる精製を受けさせることで表題の化合物を赤色の固体として得た。
【0132】
LCMS:4.831min,366(M+1);
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.3(d,J=8.4Hz,
2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.8(d,J=8.4Hz,2H),6.4(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.3(d,J=2Hz,1H),5.75(s,1H),5.45(s,1H),4.1(t,J=6Hz,2H),2.8(t,J=6Hz,2H),2.55(bs,4H),2.05(s,3H),1.65(m,4H),1.45(m,2H)。
【実施例2】
【0133】
4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号2)
【0134】
【化16】

【0135】
段階A:4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−クロメン−2−オンの製造
4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−クロメン−2−オン(306mg、1ミリモル)をTHF(10mL)に入れることで生じさせた−10℃の溶液にLiHMDS(1.5mL、THF中1.0M)を加えた。その結果として生じた若干黄色の溶液を30分間撹拌した後、SEMCl(0.21mL、1.2ミリモル)を加えた。2時間に塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた後、酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。フラッシュカラムで4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−クロメン−2−オンの無色油を得た。
【0136】
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.8(d,J=8.4Hz,1H),7.2(d,J=8.4Hz,2H),5.51(s,2H),4.77(s,2H),4.01(t,J=8.4Hz,2H),3.87(t,J=8.4Hz,2H),2.73(s,3H),1.22(m,4H),0.26(s,9H),0.24(s,9H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)161.9,160.4,154.4,151.4,126.0,119.9,115.0,113.4,103.7,93.1,68.2,66.9,63.9,18.5,18.5,18.2,15.1;
MS:459(M+23)。
【0137】
段階B:4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オールの製造
4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−クロメン−2−オン(605mg、1.39ミリモル)をトルエン(15mL)に入れることで生じさせた−15℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(1.0mL)をゆっくり加えた。−78℃で酒石酸ナトリウムカリウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で2回洗浄した。その有機層に酢酸エチルを用いた抽出を1回受けさせた。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、そしてシリカゲルカラムを用いた精製で4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オールの無色油を得た。
【0138】
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.77(d,J=8.4Hz,1H),7.24(m,2H),6.45(d,J=6.8Hz,1H),5.73(s,2H),4.77(s,2H),4.27(t,J=8.4Hz,2H),4.08(m,2H),3.99(d,J=6.8Hz,1H),2.65(s,3H),1.50(m,4H),0.55(s,9H),0.53(s,9H);
【0139】
MS:461(M+23)。
【0140】
段階C:2−[3−ヒドロキシメチル−1−メチル−3−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−プロペニル]−5−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−フェノールの製造
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(894mg、2.7ミリモル)をTHF(5mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にn−ブチルリチウム(1.1mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その溶液を−78℃で30分間撹拌した後、4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オール(395mg、0.9ミリモル)をTHF(4mL)に入れることで生じさせた溶液をゆっくり加えた。その反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
LCMS:5.810min、644(M+1)
【0141】
段階D:1−(2−{4−[4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジンの製造
前記段階Cで調製した粗生成物をトルエン(50mL)に溶解させた後、0℃に冷却した。次に、その反応混合物に36.5%のHCl(0.3mL)を加えた。その溶液を30分間撹拌し、5%のNaHCOで中和した後、THF−酢酸エチル混合物で抽出した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、そしてその残留物をフラッシュカラムにかけて2:98:0.3のMeOH:CHCl:TEAを用いて精製することで1−(2−{4−[4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジンを油として得た。
【0142】
段階E:4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−7−オールの製造
1−(2−{4−[4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジン(453mg、0.72ミリモル)をTHF(7mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にTHF中1.0MのTBAF(1.8mL)を加えた。その反応混合物を一晩撹拌した後、THF中の1.0MのTBAF(2mL)を加えた。次に、その反応混合物を4時間還流させた。その結果として得た混合物を酢酸エチルで希釈した後、塩化アンモニウムに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけてジクロロメタン中2%のメタノールで溶離させることで精製して4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−7−オールを油として得た。
【0143】
HPLC:5.094min
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.65(d,J=6.8Hz,2H),6.35(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.20(d,J=2Hz,1H),5.75(s,1H),4.2(d,J=10Hz,1H),4.0(t,J=6Hz,2H),3.7(d,J=10Hz,1H),3.53(m,1H),3.35(m,1H),2.75(m,2H),2.55(bs,4H),2.1(s,3H),1.6(m,4H),1.45(m,2H),0.9(m,2H),0(s,9H);
【実施例3】
【0144】
−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−2H−クロメン−7−オールおよびR−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号3および化合物識別番号11)
【0145】
【化17】

【0146】
ラセミ化合物である4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール(2.5g)をChiralPak ADキラルHPLCカラム(5cm I.D.x50cm L)に充填した後、IPA中20%のMeOHを90mL/分の流量で用いて溶離させた。2つのピークを真空下で取り出すことで下記として得た:
ピーク1:S−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.65(d,J=6.8Hz,2H),6.35(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.20(d,J=2Hz,1H),5.75(s,1H),4.2(d,J=10Hz,1H),4.0(t
,J=6Hz,2H),3.7(d,J=10Hz,1H),3.53(m,1H),3.35(m,1H),2.75(m,2H),2.55(bs,4H),2.1(s,3H),1.6(m,4H),1.45(m,2H),0.9(m,2H),0(s,9H);
(α)D=−12(C=0.5、MeOH)
ピーク2:R−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール
(α)D=+12(C=0.5、MeOH)
【実施例4】
【0147】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−クロメン−2−オン
【0148】
【化18】

【0149】
7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(35.2g、0.20モル)を塩化t−ブチルジメチルシリル(30.0g、0.20モル)を室温のCHCl(200mL)に溶解させた後、TEA(28mL、0.20モル)で処理した。1時間後の溶液にエチルエーテル(600mL)を注ぎ込んだ後、その反応混合物を分液漏斗に移した。その反応混合物を5%の重炭酸ナトリウム(2x250ml)、水(250ml)に続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで表題の化合物を粗生成物として得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【実施例5】
【0150】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−3−メトキシメチル−クロメン−2−オンおよび7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−クロメン−2−オン
【0151】
【化19】

【0152】
7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(11.6g、40ミリモル)を無水THF(200mL)に入れることで生じさせた−20℃の溶液にTHF中1.0MのLiHMDS溶液(60mL)を滴下した。30分後の溶液にMOMBr(5.44mL)をゆっくり加えた後、その反応混合物を1時間撹拌した。その反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を用いた反応消滅を受けさせた後、酢酸エチルを用いた抽出を受けさせた。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、そしてシリカゲルの上に置いてヘキサン中30%の酢酸エチルで溶離させることで精製して無色の油を得たが、これは2種類の化合物:7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−3−メトキシメチル−クロメン−2−オンおよび7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−クロメン−2−オンの混合物であった。
【実施例6】
【0153】
3−ブロモメチル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オンおよび7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オン
【0154】
【化20】

【0155】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−3−メトキシメチル−クロメン−2−オンと7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−メトキシ−エチル)−クロメン−2−オンの混合物(7.48g)をDCM(100mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。次に、その反応混合物に三臭化ホウ素(4.3mL)をゆっくり加えた。次に、その反応混合物を室温になるまでゆっくり温めた後、4時間撹拌した。その反応混合物を5%の重炭酸ナトリウムに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得て、それをシリカゲル使用フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中5%の酢酸エチルで溶離させることで精製して3−ブロモメチル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オンおよび7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オンを油として得た。
【実施例7】
【0156】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−クロメン−2−オン
【0157】
【化21】

【0158】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オン(1.20g、3.74ミリモル)と塩化t−ブチルジメチルシリル(565mg、3.74ミリモル)とイミダゾール(255mg、3.74ミリモル)をDMF(10mL)に溶解させた後、その結果として得た混合物を室温で2時間撹拌した。次に、その反応混合物をエチルエーテルで希釈した後、5%の重炭酸ナトリウムに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製することで7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−クロメン−2−オンの無色油を得た。
【0159】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.55(d,J=8.4Hz,1H),6.75(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.75(d,J=2Hz,1H),6.2(s,1H),3.95(t,J=8.4Hz,2H),2.95(t,J=8.4Hz,2H),1.0(s,9H),0.85(s,9H),0.25(s,6H),0(s,6H);
LCMS:12.863min;m/z,435(M+1),891(2M+23)。
【実施例8】
【0160】
4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号6)
【0161】
【化22】

【0162】
段階A:7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−2H−クロメン−2−オールの製造
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−クロメン−2−オン(1.45g、3.34リモル)をトルエン(30mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(2.7mL、4.05ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施した後、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0163】
段階B:4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの製造
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(15ミリモル)(3.3g、10ミリモル)をTHF(20mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。その溶液にn−ブチルリチウム(4.0mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その溶液を−78℃で30分間撹拌した後、前記段階Aで調製した粗生成物をTHF(10mL)に入れて添加した。添加後の反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をトルエン(30mL)に溶解させた後、0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(1mL)を滴下した。その反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(30mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にピリジン(2mL)ピリジンそして70%のHF−ピリジン(1mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールのオレンジ色固体を得た。
【0164】
HNMR(CDOD,300MHz)δ(ppm)7.25(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.8(d,J=8.4Hz,2H),6.3(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.15(d,J=2Hz,1H),5.65(d,J=2Hz,1H),5.5(d,J=2Hz,1H),4.5(m,1H),4.1(t,J=6Hz,2H),3.75(t,J=6Hz,1H),3.65(m,1H),2.95(t,J=6Hz,2H),2.55(m,4H),1.6(m,6H)。
【実施例9】
【0165】
8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オン
【0166】
【化23】

【0167】
3−ブロモメチル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−クロメン−2−オン(2.0g、4.84ミリモル)をTHFに入れることで生じさせた0℃の溶液にTHF中1MのLiHMDS(5mL)を滴下した。その反応混合物を1時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製することで8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オンの黄色結晶を得た。
【0168】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.4(d,J=8.4Hz,1H),6.8(m,2H),4.6(t,J=1Hz,2H),4.0(t,J=6Hz,2H),2.8(m,2H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
LCMS:8.653min,>97%;m/z,333(m+1),355(m+23),687(2M+23);
【実施例10】
【0169】
8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オール
【0170】
【化24】

【0171】
8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オン(300mg、0.90ミリモル)をトルエン(10mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(0.6mL、0.90ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせた後、乾燥を真空下で実施することで8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オールを固体として得た。
【0172】
HNMR(CDCl,400MHz)δ(ppm)7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.5(m,2H),5.7(d,J=8.4Hz,1H),4.4(td,J=12Hz,J=1Hz,1H),4.2(td,J=12Hz,J=1Hz,1H),3.95(m,2H),3.1(d,J=8.4Hz,1H),2.6(m,1H),2.4(m,1H),0.95(s,9H),0.20(s,6H);
LCMS:7.741min,>97%;m/z,317(M−HO+1)。
【実施例11】
【0173】
1−(2−{4−[8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジン(化合物識別番号12)
【0174】
【化25】

【0175】
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(0.894g、2.7ミリモル)をTHF(5mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。その溶液にn−ブチルリチウム(1.1mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その溶液を−78℃で30分間撹拌した後、粗8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−オールをTHF(5mL)に入れて添加した。次に、添加後の反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をトルエン(100mL)に溶解させた後、0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(0.28mL)を滴下した。次に、その反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで1−(2−{4−[8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジンを発泡体として得た。
LCMS:6.777min;m/z、522(M+1)
【実施例12】
【0176】
5−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−8−オール(化合物識別番号1)
【0177】
【化26】

【0178】
粗1−(2−{4−[8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジンをアセトニトリル(5mL)に溶解させた。次に、その溶液にピリジン(1mL)および70%のHF−ピリジン(0.5mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、5%のNaHCO水溶液に続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して5−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−8−オールを固体として得た。
【0179】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),6.9(d,J=8.4Hz,1H),6.7(d,J=8.4Hz,2H),6.3(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.2(d,J=2Hz,1H),5.45(s,1H),4.05(t,J=6Hz,2H),3.95(t,J=6Hz,2H),3.9(ABq,J=12Hz,2H),2.8(m,2H),2.6−2.3(m,6H),1.6(m,4H),1.4(m,2H);
LCMS:4.623min;m/z:408.(M+1),430(M+23)。
【実施例13】
【0180】
4−(1−アリル−ブト−3−エニル)−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オンおよび3−アリル−4−ブト−3−エニル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オン
【0181】
【化27】

【0182】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−クロメン−2−オン(5.8g、20ミリモル)をTHF(200mL)に入れることで生じさせた−20℃の溶液にTHF中1.0MのLiHMDS(44mL)をゆっくり加えた。その溶液を−20℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物を2先端針に通して臭化アリル(3.8mL、44ミリモル)をTHF(60mL)に入れることで生じさせた−20℃の溶液に移した。次に、その反応混合物を室温に温めて一晩撹拌した。次に、その反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を用いた反応消滅を受けさせた後、酢酸エチルを用いた抽出を受けさせた。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物をシリカゲル使用フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中10%の酢酸エチルで溶離させることで精製して2種類の化合物:4−(1−アリル−ブト−3−エニル)−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オンを黄色の油として得かつ3−アリル−4−ブト−3−エニル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オンを油として得た。
4−(1−アリル−ブト−3−エニル)−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オン
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.55(d,J=8.4Hz,1H),6.75(m,2H),5.9(m,2H),5.1(m,4H),3.35(d,J=8.4Hz,2H),2.85(t,J=8.4Hz,2H),2.3(m,2H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)158.6,154.5,151.0,137.1,135.1,125.7,121.3,117.5,116.2,116.1,114.1,108.1,33.4,31.8,28.4,26.0,18.6,−4.0;
LCMS:5.753min;m/z,371(M+1),393(M+23),763(2M+23)
3−アリル−4−ブト−3−エニル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オン
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.5(d,J=8.4Hz,1H),6.8(m,2H),6.15(s,1H),5.7(m,2H),5.05(m,4H),3.2(m,1H),2.45(t,J=8.4Hz,4H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)161.9,159.5,158.6,155.8,135.1,125.3,118.1,117.5,13.7,110.6,108.5,39.1,38.1,31.9,25.9,23.0,18.6,14.5,0.35,−4.0;
LCMS:5.582min;m/z,371(M+1),393(M+23),763(2M+23)。
【実施例14】
【0183】
3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−10,11−ジヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オン
【0184】
【化28】

【0185】
3−アリル−4−ブト−3−エニル−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オン(690mg、1.86ミリモル)と20mgのベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(20mg)をDCM(100mL)に溶解させた後、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒の大部分を蒸発させた後、その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中2%の酢酸エチルで溶離させて精製することで3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−10,11−ジヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オンの無色油を得た。
【0186】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.55(d,J=8.4Hz,1H),6.75(m,2H),5.8−5.55(m,2H),3.5(m,2H),3.15(t,J=8.4Hz,2H),2.4(m,2H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)162.0,158.8,154.6,152.3,129.8,125.8,125.0,124.9,117.5,114.1,108.2,26.1,26.0,24.8,18.6,−4.0;
LCMS:5.645min;m/z,343(M+1),365(M+23),707(2M+23)。
【実施例15】
【0187】
3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オン
【0188】
【化29】

【0189】
3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−10,11−ジヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オン(600mg)と10%Pd−C(20mg)をメタノール(20mL)に加えた。次に、その反応混合物を5気圧の水素下で一晩振とうした。次に、その反応混合物を濾過した後、濃縮することで残留物を得た。その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中2%の酢酸エチルで溶離させて精製することで3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オンの無色油を得た。
【0190】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.4(d,J=8.4Hz,
1H),6.7(m,2H),2.9(m,4H),1.85(m,2H),1.7−1.5(m,4H),0.95(s,9H),0.20(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)162.7,158.6,154.3,154.1,125.9,125.3,117.3,114.0,108.0,32.4,28.5,27.0,26.2,26.0,25.4,18.6,−4.1;
LCMS:5.853min;m/z,345(M+1),367(M+23),711(2M+23)。
【実施例16】
【0191】
6−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オール(化合物識別番号7)
【0192】
【化30】

【0193】
段階A:3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オールの製造
3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オン(321mg、0.93ミリモル)をトルエン(9mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(0.62mL、0.93ミリモル)をゆっくり加えた。その反応物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させ、酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施した後、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0194】
段階B:6−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オールの製造
[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ジメチル−アミン(0.924g、3.7ミリモル)をTHF(5mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。次に、その溶液にn−ブチルリチウム(1.12mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した粗生成物をTHF(4mL)に入れて添加した。次に、その反応混合物を更に30分間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させた後、酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。
【0195】
その残留物をトルエン(30mL)に溶解させた後、その混合物を0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(0.287mL)を滴下した。その反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(10mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にピリジ
ン(1mL)そして70%のHF−ピリジン(0.5mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCO水溶液に続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して6−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オールの若干黄色の固体を得た。
【0196】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.7(d,J=8.4Hz,2H),6.3(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.15(d,J=2Hz,1H),5.44(s,1H),4.0(t,J=6Hz,2H),2.75(m,2H),2.33(s,6H),2.25−1.9(m,4H),1.8−1.6(m,6H).
LCMS:3.449min;m/z:380(M+1);
【実施例17】
【0197】
2−[4−(2−アゼパン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号8)
【0198】
【化31】

【0199】
段階A:7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−2H−クロメン−2−オールの製造
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−クロメン−2−オン(0.92g、2.12ミリモル)をトルエン(20mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(1.7mL、2.55ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させ、酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施することで粗生成物を得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0200】
段階B:2−[4−(2−アゼパン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−クロメン−7−オールの製造
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−アゼパン(2.2g、6.37ミリモル)をTHF(15mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。次に、その溶液にn−ブチルリチウム(2.5mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その溶液を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した粗生成物をTHF(5mL)に入れて添加した。その反応混合物を更に30分間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させた後、酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。
【0201】
その粗生成物をトルエン(60mL)に溶解させた後、0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(0.65mL)を滴下した。その反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(20mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にピリジン(2mL)そして70%のHF−ピリジン(1mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して2−[4−(2−アゼパン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−クロメン−7−オールを無色の油として得た。
【0202】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.3(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.8(d,J=8.4Hz,2H),6.35(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.3(d,J=2Hz,1H),5.75(d,J=2Hz,1H),5.55(d,J=2Hz,1H),4.9(bs,1H),4.1(t,J=6Hz,2H),3.8(t,J=6Hz,1H),2.95(t,J=6Hz,1H),2.8(m,4H),2.7(t,J=6Hz,2H),1.65(m,8H).
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)158.9,155.1,133.9,130.9,128.9,124.6,119.8,114.9,109.1,104.5,65.8,61.3,56.4,56.0,46.3,35.0,27.4,26.7,9.9.
LCMS:4.553min;m/z:410(M+1);
【実施例18】
【0203】
6−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オール(化合物識別番号9)
【0204】
【化32】

【0205】
段階A:3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロシクロヘプタ[c]クロメン−6−オールの製造
3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−シクロヘプタ[c]クロメン−6−オン(767mg、2.23ミリモル)をトルエン(20mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(1.78mL、2.67ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次
に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施することで粗生成物を得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0206】
段階B:6−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オールの製造
[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(2.2g、6.64ミリモル)をTHF(15mL)に溶解させた後、−78℃に冷却した。その溶液にn−ブチルリチウム(2.7mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その溶液を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した粗生成物をTHF(5mL)に入れて添加した。その反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。
【0207】
その粗生成物をトルエン(60mL)に溶解させた後、0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(0.70mL)を滴下した。その反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(20mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にピリジン(2mL)そして70%のHF−ピリジン(1mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して6−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オールを黄色の発泡体として得た。
【0208】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.7(d,J=8.4Hz,2H),6.3(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.15(d,J=2Hz,1H),5.44(s,1H),4.0(t,J=6Hz,2H),2.9−2.3(m,6H),2.3−1.9(m,2H),1.9−1.2(m,4H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)158.7,157.0,152.8,131.7,131.2,130.7,129.7,123.1,116.8,114.3,108.2,104.4,81.0,70.5,65.2,57.8,54.9,45.8,31.9,31.6,27.3,26.3,26.1,25.4,24.0,10.7,7.5;
LCMS:5.820min,>97%;m/z:420(M+1),442(M+23)。
【実施例19】
【0209】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペント−3−エニル−クロメン−2−オン
【0210】
【化33】

【0211】
4−(1−アリル−ブト−3−エニル)−7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−クロメン−2−オン(430mg、1.16ミリモル)とベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(20mg)をDCM(100mL)に溶解させた後、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒の大部分を蒸発させた後、その結果として得た残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中2%の酢酸エチルで溶離させて精製することで7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペント−3−エニル−クロメン−2−オンの無色油を得た。
【0212】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.55(d,J=8.4Hz,1H),6.75(m,2H),6.15(s,1H),5.8(s,2H),3.75(m,1H),2.9(dd,J=14.6Hz,J=9.2Hz,2H),2.55(dd,J=14.4Hz,J=5.2Hz,2H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)162.1,160.3,159.3,155.8,129.7,125.7,117.4,113.5,109.5,108.5,39.4,38.6,25.9,18.6,−4.0;
LCMS:5.542min,>97%;m/z,343(M+1),365(M+23),707(2M+23)。
【実施例20】
【0213】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペンチル−クロメン−2−オン
【0214】
【化34】

【0215】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペント−3−エニル−クロメン−2−オン(388mg)と10%Pd−C(20mg)をメタノール(10mL)に加えた。その反応混合物を5気圧の水素下で一晩振とうした。その反応混合物を濾過した後、濃縮することで残留物を得た。その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン中2%の酢酸エチルで溶離させて精製することで7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペンチル−クロメン−2−オンの無色油を得た。
【0216】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.55(d,J=8.4Hz,1H),6.7(m,2H),6.2(s,1H),3.3(m,4H),2.1(m,2H),1.9−1.65(m,6H),1.0(s,9H),0.25(s,6H);
13CNMR(CDCl,100.6MHz)δ(ppm)162.3,160.4,159.2,155.6,128.7,126.0,117.3,114.2,108.6,108.3,41.0,32.6,26.0,25.6,18.6,−4.0;
【実施例21】
【0217】
4−シクロペンチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号10)
【0218】
【化35】

【0219】
段階A:7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペンチル−2H−クロメン−2−オールの製造
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロペンチル−クロメン−2−オン(345mg、1ミリモル)をトルエン(10mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(0.8mL、1.2ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施することで粗生成物を得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0220】
段階B:4−シクロペンチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの製造
[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(994mg、3ミリモル)をTHF(5mL)に溶解させた後、その反応混合物を−78℃に冷却した。その反応混合物にn−ブチルリチウム(1.2mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した粗生成物をTHF(5mL)に入れて添加した。次に、その反応混合物を更に30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させ、そして酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。
【0221】
その粗生成物をトルエン(30mL)に溶解させた後、その反応混合物を0℃に冷却した。次に、その反応混合物にTFA(0.3mL)を滴下した。その反応混合物を0℃で
1時間撹拌し、酢酸エチルで希釈した後、5%のNaHCOに続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をアセトニトリル(10mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にピリジン(1mL)そして70%のHF−ピリジン(0.5mL)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌し、酢酸エチルで希釈した後、5%のNaHCO水溶液に続いて食塩水で洗浄した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して4−シクロペンチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの紫色固体を得た。
【0222】
HNMR(CDCl,300MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.15(d,J=8.4Hz,1H),6.85(d,J=8.4Hz,2H),6.4(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.3(d,J=2Hz,1H),5.7(d,J=2Hz,1H),5.4(d,J=2Hz,1H),4.1(t,J=6Hz,2H),3.0(五重線,J=8.4Hz,1H),2.8(t,J=6Hz,2H),2.7−2.4(m,4H),2.0(m,2H),1.8−1.4(m,12H);
13CNMR(CDCl,75.5MHz)δ(ppm)158.6,157.9,154.9,137.5,133.8,128.6,124.7,115.6,114.9,114.5,108.5,104.0,77.2,76.9,65.4,57.8,54.9,45.8,40.2,31.9,31.6,25.5,25.,24.,10.7,;
LCMS:5.924min,>97%;
m/z:420(M+1),442(M+23)。
【実施例22】
【0223】
3−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール(化合物識別番号5)
【0224】
【化36】

【0225】
段階A:7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オールの製造
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−クロメン−2−オン(1.46g、3.36ミリモル)をトルエン(20mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にトルエン中1.5MのDIBAL−H(2.24mL、3.36ミリモル)をゆっくり加えた。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を用いて反応を消滅させた。次に、その反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(4x100mL)で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで残留物を得た。その残留物にベンゼンを用いた共沸蒸発を受けさせ、真空下の乾燥を実施することで7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オールを得て、それをさらなる精製無しに次の段階で用いた。
【0226】
段階B:3−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの製造
1−[2−(4−ヨード−フェノキシ)−エチル]−ピペリジン(3.34g、10.08ミリモル)をTHF(30mL)に溶解させた後、その反応混合物を−78℃に冷却した。次に、その反応混合物にn−ブチルリチウム(4.0mL、ヘキサン中2.5M)を滴下した。その反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次に、その反応混合物に前記段階Aで調製した粗7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−2−オールをTHF(20mL)に入れて添加した。その反応混合物を更に30分間撹拌し、次に塩化アンモニウム水溶液で反応を消滅させた後、酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をTHF(100mL)に溶解させた。次に、その反応混合物にトリフェニルホスフィン(969mg、3.7ミリモル)およびDEAD(0.58mL、3.7ミリモル)を加えた。その反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。溶媒の大部分を蒸発させ、その結果として得た残留物を酢酸エチルに溶解させた後、塩化アンモニウム水溶液に続いて食塩水で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。
【0227】
その粗生成物をTHF(30mL)に溶解させた。次に、その反応混合物に室温でTHF中1.0MのTBAF(16.8mL)を加えた。その反応混合物を3時間撹拌した後、NHCl水溶液を用いて反応を消滅させ、そして1:1のTHF:酢酸エチルを用いた抽出を実施した。その有機層を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮することで粗生成物を得た。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて5:95:1のメタノール:ジクロロメタン:TEAで溶離させることで精製して3−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オールの灰色固体を得た。
【0228】
LCMS:4.227min,396(M+1);
HNMR(CDOD,400MHz)δ(ppm)7.2(d,J=8.4Hz,2H),7.05(d,J=8.4Hz,1H),6.8(d,J=8.4Hz,2H),6.3(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,1H),6.1(d,J=2Hz,1H),5.8(s,1H),4.45(d,J=10Hz,1H),4.15(t,J=6Hz,2H),3.75(d,J=10Hz,1H),2.95(t,J=6Hz,2H),2.7(bs,4H),2.1(s,3H),1.65(m,4H),1.45(m,2H)。
【実施例23】
【0229】
エストロゲン受容体αフラッシュプレート検定(Flash Plate Assay)
この検定では放射能標識を付けたエストロゲンとエストロゲン受容体の結合を監視する。これをBioMek 2000(Beckman)を用いて実施する。プレートをシンチレーションカウンター(Packard TopCount)で読み取り、カウント数が低下することは、ある化合物が前記受容体と結合したことの指標である。この検定をAllan他、Anal.Biochem.(1999)、275(2)、243−247に記述されている手順に従って実施した。
【0230】
1日目に、ヤギ抗マウス抗体(NEN Life Sciences)で架橋させておいた96穴フラッシュプレートプラスプレート(FlashPlate Plus pl
ate)の各穴に、ジチオトレイトール(DTT、Panvera)を5mM、マウス抗エストロゲン受容体モノモノクローナル抗体(SRA−1010、Stressgen)を0.5μgおよび精製したヒトエストロゲン受容体α(Panvera)を50ng含有させておいたエストロゲン選別用緩衝液(ESB、Panvera)を100μL加えた。このプレートを密封して4℃で一晩インキュベートした。
【0231】
2日目、各穴を室温で200μLのPBS(pH7.2)で3回洗浄した。次に、各穴にESBと5mMのジチオトレイトール(DTT)で希釈しておいた98μLの放射能標識付きエストロゲン(0.5nM、これは120Ci/ミリモルのバッチの時に6nCiに相当する、Amersham)を加えた。次に、個々の穴に2.5μLの試験化合物[30%(体積/体積)のジメチルスルホキサイド/50mMのHEPES(pH7.5)で希釈した]を加えた。これらの穴を吸引で3回混合し、プレートを密封した後、室温で1時間インキュベートした。次に、TopCountシンチレーションカウンター(Packard)を用いて前記穴に計数測定を1分間受けさせた。
【実施例24】
【0232】
エストロゲン受容体β蛍光偏光検定(Fluorescence Polarization Assay)
この検定ではエストロゲンの蛍光類似体(Fluormone ES2、Panvera)とエストロゲン受容体の結合を監視する。プレートを偏光モードに設定可能なフルオロメーターで読み取る。媒体対照に比べて蛍光が減少することは、ある化合物が前記受容体と結合したことの指標である。
【0233】
この手順全体に渡って96穴プレートの各穴に入れた反応物に気泡が入らないようにすることが重要である[反応物の表面に泡が存在すると光の流れが乱れることで偏光の読みに影響が生じる]。しかしながら、また、反応成分を前記穴に添加した後にそれを有効に混合することも重要である。
【0234】
検定用緩衝液(Panvera)と10nMのDTTと40nMのES2の2X標準混合物を氷上で調製した。また、検定用緩衝液(Panvera)と20nMのhER−β(Panvera)と40nMのES2の2X反応用混合物も氷上で調製した。
【0235】
30%(体積/体積)のジメチルスルホキサイド/50mMのHEPES(pH7.5)を用いて試験化合物の希釈液を調製した。この時点での希釈率は最終的に必要な濃度の40Xであった。
【0236】
次に、前記標準混合物を各穴に50μL加えた。あらゆる穴に反応用混合物を48μL加えた。適切な穴に化合物希釈液を2.5μL加えた。ピペットを手で用いて反応混合物を混合し、一巻のアルミ箔製接着カバーを前記プレートの上に置いて、このプレートを室温で1時間インキュベートした。
【0237】
次に、LjL Analystを265nmの励起波長および538nmの発光波長で用いて前記プレートの各穴を読み取った。
【0238】
この上にエストロゲン−αおよびエストロゲン−β受容体との結合に関して実施例23−24に記述した手順に従う試験を本発明の代表的な化合物に受けさせた時の結果は以下の表2に示す如きであった。
【0239】
【表4】

【実施例25】
【0240】
経口用組成物の具体的な態様として、実施例18と同様にして調製した化合物を100mg用いて、これをサイズOの硬質ゲル製カプセルを満たす総量である580から590mgになるに充分な量の微細ラクトースと一緒に配合する。
【0241】
この上に示した明細に説明の目的で与えた実施例を伴わせて本発明の原理を教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびこれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、応用形および/または修飾形の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
およびRは、各々独立して、水素およびC1−4アルキルから成る群から選択されるか、或いは、
とRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルから成る群から選択される5から7員環を形成しており、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、カルボキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、−C1−4アルキル−であり、
は、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、−O−Si(CHおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択され、
は、C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、−C1−4アルキル−O−Si(CH、−O−Si(t−ブチル)(CH、C5−7シクロアルキルおよびC5−7シクロアルケニルから成る群から選択され、
は、水素、C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、−C1−4アルキル−O−Si(CH、−O−Si(t−ブチル)(CHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択されるか、或いは、
とRは、一緒になって、
【化2】

から選択される環構造を形成している]
で表される化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩。
【請求項2】
が水素およびC1−2アルキルから成る群から選択され、
が水素およびC1−2アルキルから成る群から選択されるか、或いは、
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になって5から7員のヘテロアリールまたは5から7員の飽和ヘテロシクロアルキル基を形成しており、
が−C1−4アルキル−であり、
がヒドロキシ、C1−2アルコキシおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択され、
が−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OH、C5−7シクロアルキルおよびC5−7シクロアルケニルから成る群から選択され、
が水素、−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択されるか、或いは、
とRが一緒になって
【化3】

から選択される環構造を形成している、
請求項1記載の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩。
【請求項3】
がC1−2アルキルであり、
がC1−2アルキルであるか、或いは、
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になって5から7員の飽和ヘテロシクロアルキル基を形成しており、
が−C1−3アルキル−であり、
がヒドロキシおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択され、
が−C1−2アルキル、−C1−2アルキル−OHおよびC5−6シクロアルキルから成る群から選択され、
が水素、−C1−2アルキル−OHおよび−CH−O−CHCH−Si(CHから成る群から選択されるか、或いは、
とRが一緒になって
【化4】

から選択される環構造を形成している、
請求項2記載の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩。
【請求項4】
がメチルであり、
がメチルであるか、或いは、
とRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジニルまたはアゼピニルから選択される基を形成しており、
が−CH−CH−であり、
がヒドロキシおよび−O−Si(t−ブチル)(CHから成る群から選択され、
が−CH、−CHCH−OHおよびシクロペンチルから成る群から選択され、Rが水素、−CHCH−OHおよび−CH−O−CH−CH−Si(CHから成る群から選択されるか、或いは、
とRが一緒になって
【化5】

から選択される環構造を形成している、
請求項3記載の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩。
【請求項5】
5−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−8−オール;
4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−クロメン−7−オール;
4−メチル−(2S)−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−3−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−2H−1−ベンゾピラン−7−オール;
4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール;
3−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール;
4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール;
6−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オール;
2−[4−(2−アゼパン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−4−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−クロメン−7−オール;
6−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オール;
4−シクロペンチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール;
4−メチル−(2R)−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−3−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−2H−1−ベンゾピラン−7−オール;
1−(2−{4−[8−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1,5−ジヒドロ−2H,4H−ピラノ[3,4−c]クロメン−5−イル]−フェノキシ}−エチル)−ピペリジン;および
これらの製薬学的に受け入れられる塩、
から成る群から選択される請求項4記載の化合物。
【請求項6】
4−メチル−(2S)−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−3−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−2H−1−ベンゾピラン−7−オールおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択される請求項4記載の化合物。
【請求項7】
6−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−6,7,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−シクロヘプタ[c]クロメン−3−オールおよびこれの製薬学的に受け入れられる塩から成る群から選択される請求項4記載の化合物。
【請求項8】
製薬学的に受け入れられる担体と請求項1記載の化合物を含んで成る製薬学的組成物。
【請求項9】
少なくとも1種のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であって、前記被験体に請求項1記載の化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項10】
前記エストロゲン受容体がαエストロゲン受容体である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記エストロゲン受容体がβエストロゲン受容体である請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記エストロゲン受容体が媒介する障害がのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、乳房組織の癌、乳房組織の過形成、子宮内膜の癌、子宮内膜の過形成、頸部の癌、頸部の過形成、前立腺の癌、前立腺の過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症および避妊から成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種のエストロゲン受容体が媒介する障害が骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌および子宮内膜症から成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項14】
1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であって、前記被験体に請求項8記載の組成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項15】
避妊方法であって、治療的に有効な量の請求項1記載の化合物とプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬を用いた共治療を含んで成る方法。
【請求項16】
(a)のぼせ、(b)膣乾燥、(c)オステオペニア、(d)骨粗鬆症、(e)高脂血症、(f)認識機能の損失、(g)変性脳病、(h)心臓血管病、(i)脳血管病、(j)乳房組織の癌、(k)乳房組織の過形成、(l)子宮内膜の癌、(m)子宮内膜の過形成、(n)頸部の癌、(o)頸部の過形成、(p)前立腺の癌、(q)前立腺の過形成、(r)子宮内膜症、(s)子宮筋腫、(t)変形性関節症の治療および(u)避妊を必要としている被験体におけるそれを実施するに適した薬剤を製造するための請求項1記載化合物の使用。

【公表番号】特表2008−520688(P2008−520688A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543221(P2007−543221)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/041648
【国際公開番号】WO2006/055694
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】