説明

選択的エストロゲン受容体調節因子

本発明は式


の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩、およびまた、式I


の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は選択的エストロゲン受容体調節因子に関する。
【背景技術】
【0002】
骨関節炎(「OA」)を治療するための多くの商業的に利用可能な治療剤は、炎症を減少させ、OAに関連する疼痛を軽減することに狙いを定めている。承認されているOA治療は、侵襲性であり、長期間の使用で効力を失う場合があり、全ての患者を治療するのに適さない場合がある。OAを罹患している患者のために新規の治療の選択が望まれる。
【0003】
エストロゲンおよび種々の選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)の前臨床研究が、OA関節疾患のモデルにおける疾患抑制活性とともに報告されている。多くのSERM調節因子が当業者に公知である。公知のSERMの多くは、骨においてエストロゲンアゴニスト活性を有することが見出されているが、SERMは現在、OAを治療するのに承認されていない。種々の組織上のSERM分子の選択的アゴニストまたはアンタゴニスト活性は、SERMの安全性および有効性の特性を変化させる可能性がある。例えば、子宮においてアゴニスト活性を有するSERM分子は、望ましくない膣出血に関連する場合がある。SERM分子は、例えば骨、乳房、および/または子宮において選択的アゴニストおよび/またはアンタゴニスト活性を有し得る。出願人らは、骨においてSERMアゴニスト活性を有するが、子宮において強力なアンタゴニスト活性を与えるSERM化合物が、OAを治療するのに使用するために特に望ましい可能性があると考えている。許容できる安全性の特性を与えるが、OAの兆候または症状に対して有益な効果を有するSERM化合物が、特に有用なさらなる治療選択である。
【0004】
[2−(2−チエニル)−6−ヒドロキシベンゾチエン−3−イル][4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]メタノン構造を有するSERM化合物は、特許文献1(「724特許」)に開示されている。これらの化合物は、骨粗鬆症、閉経後症候群、子宮内膜症、およびSERM活性に関連する種々の他の状態の治療に有用であると開示されている。しかしながら、その特許文献1は、これらのSERM化合物がOAを治療するのに有用であると教示していない。さらに、その724特許のSERM分子は、本発明の化合物とは構造的に別である。その724特許と対照的に、本発明は、ナフタレンベースの骨格に結合されたオキシリンカーを有する化合物を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,728,724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は強力な新規のSERM化合物を提供する。さらに、SERM分子は、子宮において選択的エストロゲン拮抗作用を提供し、特にOAの治療に使用するための望ましい薬理学的特性を提供する。さらに、この選択的SERMは、OAの治療に使用するための望ましい安全性の特性を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式
【化1】

の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩に関する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、式I
【化2】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、−S(O)CH、−CF、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、−C−Cアルキル、−N(CH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、式I
【化3】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、−S(O)CH、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、C−Cアルキル、−N(CH、およびCFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、式I
(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−S(O)、−S(O)CH、−SCH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択され、
は、CH、−N(CHおよび−OCHからなる群より選択され、
は、C−Cアルキルから選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、式I
(式中、
は、H、−CH、−CHCH、−CH(CH、−CHCH(CH、F、Cl、−CN、−C(O)CH、−C(O)N(CH、−C(O)OCH、−S(O)CH(CH、−S(O)CHCH、−S(O)CH、−S(O)CH、−CF、および−SCHからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択され、
は、Hである)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、式I
(式中、
は、H、−CH、−CHCH、−CH(CH、−CHCH(CH、F、Cl、−CN、−C(O)CH、−C(O)N(CH、−C(O)OCH、−S(O)CH(CH、−S(O)CHCH、−S(O)CH、−S(O)CH、−CF、および−SCHからなる群より選択され、
は、Hであり、
は、Hである)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、式I
(式中、
は、−CHであり、
は、−CHであり、
は、Hである)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、2−チオフェンである式I
【化4】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、−S(O)CH、−CF、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、−C−Cアルキル、−N(CH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、3−チオフェンである式I
【化5】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、―S(O)CH、−CF、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、−C−Cアルキル、−N(CH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩を提供する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、哺乳動物における骨関節炎を治療するための方法を提供し、その方法は、本発明によって特許請求される化合物を哺乳動物に投与する工程を含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明はまた、本発明の化合物、または薬理学的に許容可能な塩、および薬理学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
【0018】
さらに、本発明は、医薬として使用するための本発明によって特許請求される化合物に関する。さらに、本発明は、骨関節炎の治療に使用するための本発明によって特許請求される化合物、および骨関節炎を治療するための医薬の製造のための本発明によって特許請求される化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「薬理学的に許容可能な塩」とは、臨床的および/または獣医学的使用に許容可能であるとみなされる本発明の化合物の塩を指す。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。薬理学的に許容可能な塩およびそれらを調製するための一般的な方法論は、当該分野において周知である。例えば、P.Stahlら,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley−VCH,2002);S.M.Bergeら,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,1997年1月を参照のこと。本発明の化合物は、好ましくは、種々の経路によって投与される医薬組成物として調製される。用語「薬理学的に許容可能な担体」とは、組成物の他の成分と薬理学的に適合性がある担体、希釈剤、賦形剤および塩を意味する。最も好ましくは、これらの組成物は経口投与用である。薬理学的に許容可能な組成物およびそれらを調製するためのプロセスは当該分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaroら,eds.,19thed.,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。好ましい薬理学的に許容可能な塩としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、およびメチルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。塩酸塩およびメチルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい薬理学的に許容可能な塩である。
【0020】
骨関節炎(以下「OA」)は、関節に影響を及ぼす慢性退行性疾患である。OAの症状は、例えばかなりの疼痛、機能的制限、および影響を受けている関節に関連する身体障害である。
【0021】
今まで、2つの研究が、OAについての既知のSERMである、ラロキシフェンの有用性を調べている。第1の研究は、プロスペクティブ非プラセボ対照観察試験であり、ラロキシフェンの使用が、多数の骨の部位で報告されている疼痛の頻度を顕著に減少させ、鎮痛薬の使用を減少させ、睡眠の質を向上させることを実証した。第2の研究において、ラロキシフェン治療は、治療の1年後の臨床転帰において、低いが有意な改善を生じた(WOMACスコアにおいて15%の減少)。両方のラロキシフェンおよび別のSERMである、レボルメロキシフェンもまた、軟骨II型コラーゲン代謝のマーカーである、CTX−IIの尿中レベルを顕著に減少させることを示した。OAの治療に有用であり得る特定の選択的特性を示す新規のSERM化合物が望まれる。
【0022】
本発明の化合物は、スキームAに示され、かつ実施例によって記載される方法を用いて調製され得る。調製物および実施例は、ChemDraw Ultra version 10.0およびSymyx(登録商標)Draw Version 3.1を用いて命名する。
【0023】
本明細書中のスキーム、調製物、実施例および手順に使用される用語および略語は、他に指定されない限り、それらの通常の意味を有する。例えば、本明細書中で使用される場合、以下の用語は示される意味を有する:「NBS」はN−ブロモスクシンイミドであり、「BnBr」は臭化ベンジルであり、「CsCO」は炭酸セシウムであり、「CuOTf」は銅トリフラートであり、「TfO」はトリフルオロメタンスルホン酸無水物であり、「Pd(OH)/C」は炭素上Pd(OH)であり、「Pd(OAc)」は酢酸パラジウム(II)であり、「PCy」はトリシクロヘキシルホスフィンであり、「ACN」はアセトニトリルであり、「CsF」はフッ化セシウムであり、「BBr」は三臭化ホウ素であり、「DMF」はジメチルホルムアミドであり、「nBuLi」はn−ブチルリチウムであり、「THF」はテトラヒドロフランであり、「EtSiH」はトリエチルシランであり、「TFA」はトリフルオロ酢酸であり、「POCl」は塩化ホスホリルであり、「MgSO」は硫酸マグネシウムであり、「NHOH」は水酸化アンモニウムであり、「NaSO」は硫酸ナトリウムであり、「Pd(dppf)Cl」は(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリドであり、「dppf」は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、「KOAc」は酢酸カリウムであり、「DCM」はジクロロメタンであり、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンであり、「TFAA」は2,2,2−トリフルオロ酢酸無水物であり、「n−BuLi」はn−ブチルリチウムであり、「mCPBA」はメタ−クロロ−過安息香酸であり、「Pd(PPH」はテトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムであり、「TEA」はトリエチルアミンであり、「DMAC」はN,N−ジメチルアセトアミドであり、「TBAI」はテトラ−N−ブチルアンモニウムヨージドであり、「DMAP」は4−ジメチルアミノピリジンであり、「NaClO」は亜塩素酸ナトリウムであり、「DDQ」は2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンであり、「DMSO」はジメチルスルホンであり、「SCX」は強陽イオン交換であり、「LRMS」は低分解能質量分析であり、「DSC」は示差走査熱量測定であり、「MP」は融点である。
【実施例】
【0024】
【化6】

【0025】
調製物1
6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネートの合成
【化7】

室温にて、6−メトキシナフタレン−2−オール(20g,114.8mmol)をジメチルホルムアミド(DMF,250mL)に加え、続いて、N−ブロモスクシンイミド(NBS,21.5g,120mmol)を30分にわたって加える。45分後、水(800mL)で希釈し、沈殿物を回収し、乾燥させて、25.5g(87%)の1−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン−2−オールを得る。
【0026】
1−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン−2−オール(66.7g,264mmol)、炭酸カリウム(KCO,40.0g,290mmol)および臭化ベンジル(49.6g,290mmol)をDMF(800mL)に加える。混合物を室温にて1時間攪拌する。水(400mL)を加えて、生成物を沈殿させる。沈殿物を回収し、ヘプタン(3×125mL)で濾過ケーキを洗浄し、次いで乾燥させて、2−ベンジルオキシ−1−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(83.7g,98.9mmol)を得る。
【0027】
トルエン(200mL)、2−ベンジルオキシ−1−ブロモ−6−メトキシ−ナフタレン(30g,87.4mmol)、4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)フェノール(23.2g,105mmol)および炭酸セシウム(34.4g,105mmol)を混合する。混合物を還流まで加熱する。蒸留によってトルエンの一部(100mL)を除去する。酢酸エチル(390mg,4.37mmol)および銅トリフラートベンゼン錯体(2.20g,4.37mmol)を反応混合物に加え、5分間攪拌する。蒸留によって溶媒を除去し、得られた残留物を1.5時間、174℃まで加熱する。酢酸エチル(200mL)とHCl水溶液(1N,90mL)との混合物に残留物を溶解する。有機溶液を分離し、残留物まで濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、1−{2−[4−(2−ベンジルオキシ−6−メトキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン(12.4g,26.2mmol)を得る。
【0028】
1−{2−[4−(2−ベンジルオキシ−6−メトキシ−ナフタレン−1−イルオキシ)−フェノキシ]−エチル}−ピペリジン(12.4g,25.5mmol)をメタノール/酢酸エチル混合物(1:1,490mL)に加え、加熱して溶液を形成させる。熱を除去し、ギ酸アンモニウム(4.83g,76.6mmol)および炭素上Pd(OH)(20%ww,1.58g,1/12mmol)を加える。50分間、溶液を還流し、次いで濾過する。濾液を濃縮して、6−メトキシ−1−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−ナフタレン−2−オール(9.9g,25.1mmol)を得る。
【0029】
ジクロロメタン(290mL)、トリエチルアミン(3.08g,30.4mmol)および6−メトキシ−1−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−ナフタレン−2−オール(9.2g,23.4g)を−50℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(7.26g,25.7mmol)を加える。得られた混合物を−50℃で2時間攪拌し、次いで混合物を室温まで加温し、その後、さらに1時間攪拌する。ブライン(150mL)を加え、有機溶液を分離する。有機溶液を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、次いで乾燥させ、その後残留物まで濃縮する。残留物をエチルエーテル−ヘキサンで結晶化して、標題化合物(11.2g,21.27mmol)を得る。LRMS(m/z):526(M+1)。
【0030】
調製物2
1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−メチルチオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン塩酸塩の合成
6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(398.8g,758.8mmol)、5−メチル−2−チオフェンボロン酸(224g,1.58mol)、およびフッ化セシウム(300g,1.97mol)をアセトニトリル(12L)に懸濁する。得られた懸濁液を、50℃に加熱しながら、30分間、ガス注入管を通して脱気する。混合物をトリシクロヘキシルホスフィン(8g,28.5mmol)で処理し、10分間脱気し、次いで酢酸パラジウム(II)(4g,17.8mmol)で処理し、さらに5分間脱気し、80℃で一晩攪拌する。トリシクロヘキシルホスフィン(8g,28.5mmol)および酢酸パラジウム(II)(4g,17.8mmol)を加え、さらに8時間、混合物を加熱し、次いで溶液を一晩、ゆっくりと冷却させる。冷却した溶液を大きなガラスフリットを通して濾過し、濾液を濃縮する。水(4L)および酢酸エチル(8L)中の残留物および濾過ケーキをスラリーにし、次いで分液漏斗に移し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300g,3.57mol)で処理する。10分間激しく攪拌し、次いで層を分離する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSOで一晩乾燥させる。混合物を濾過し、HCl(ジオキサン中に4N、200mL、800mmol)で濾液を処理する。得られたスラリーを60分攪拌し、次いで濾過して、標題化合物(352g,690.06mmol)を得る。LRMS(m/z):474(M+1−HCl)。
【0031】
実施例1
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オール塩酸塩の合成
【化8】

1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−メチルチオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン塩酸塩(346.9g,680.07mmol)入りのジクロロメタン溶液(12L)を調製し、約3℃まで冷却する。得られた溶液を、20分にわたってカニューレを通して三臭化ホウ素(ジクロロメタン中に1M,301.4mL,3.19mole)で処理する。得られた混合物を0℃にて90分間攪拌する。混合物を砕いた氷に注ぎ、30分にわたって少量ずつ炭酸水素ナトリウム(1kg,11.90mole)で処理する。得られたスラリーを濾過して、暗色の濾過ケーキを得る。濾液を分液漏斗に移す。溶液を分離し、有機溶液を濃縮する。残留物を濾過ケーキと合わせ、クロロホルム(約6L)中の20%イソプロパノール中でスラリーにし、200gの炭酸水素ナトリウムを含む水(4L)とともに3時間攪拌する。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、蒸発させて、324gのオフホワイトの固体を得る。シリカゲルクロマトグラフィーによって得られた固体を精製して、281gの淡黄色の粉末を得る。テトラヒドロフラン(11L,135.18mol)中で固体を攪拌し、S−トリアミン(446g,2.05mol)で処理する。一晩攪拌した後、セライトで濾過し、濾液を白色粉末に濃縮する。テトラヒドロフラン(11L,135.18mol)中の粉末を攪拌し、S−トリアミン(357g,1.64mol)で再度処理する。週末にわたって攪拌した後、セライトで濾過し、濾液を白色粉末に濃縮する。室温にて、得られた白色固体をメタノール(5L)に懸濁する。別の容器中で、HCl(水中に12N,85mL,1.04mol)をメタノール(2L)に一度に加える。この溶液をスラリーに加え、1時間攪拌する。混合物を約2℃まで冷却し、1時間攪拌する。得られた混合物をクリーム色の粉末に濾過する。得られた粉末を85℃にて真空下で一晩乾燥させて、標題化合物(258g,520.0mmol)を得る。LRMS(m/z):460(M+1−HCl)。MP(DSC)=248.82℃。
【0032】
調製物66
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オールの合成
1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−メチルチオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン塩酸塩(5.15g,10.1mmol)をジクロロメタン(340mL)に溶解する。得られた溶液を0℃まで冷却する。別の容器中で、窒素下で、そのままの三臭化ホウ素(3.9mL,40.4mmol)とジクロロメタン(36.5ml)とを合わせる。得られた三臭化ホウ素溶液を冷却した溶液に加える。得られた混合物を0℃にて2.5時間攪拌する。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、それを室温まで加温する。層を分離し、水層をジクロロメタン中の20%メタノール(10mL×3)で抽出する。合わせた有機溶液を濃縮して、固体を得る。メタノール(234mL)中で固体をスラリーにし、HCl(水中に1N、10.8mL)を加える。得られた溶液をSCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。ジクロロメタン中の40%メタノールでカラムをフラッシュし、次いでジクロロメタン中のメタノール中の40%の7Mアンモニアで所望の物質を溶出する。アンモニア含有溶出液を濃縮して、標題化合物(4.54g,9.88mmol)を得る。LRMS(m/z):460(M+1)。
【0033】
調製物67
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オールメタンスルホネートの合成
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オール(105.7mg,0.23mmol)をバイアルに入れる。酢酸エチル(2mL)およびメタンスルホン酸(18μL)を加える。得られた混合物を、攪拌しながら約60℃まで加温する。バイアルの底のいくらかの暗褐色のガムを含む得られた橙色の燃焼した溶液に、テトラヒドロフラン(1mL)を加える。得られた溶液を15分間、超音波処理する。フラスコで形成するガムから懸濁液を注意深くデカントする。得られた固体を真空濾過によって注意深く回収し、得られたケーキをペンタン(2×2mL)で洗浄する。得られた固体を40℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて、標題化合物を得る。MP(DSC)=161.90℃。
【0034】
調製物68
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オール4−メチルベンゼンスルホネートの合成
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オール(103.4mg,0.22mmol)をバイアルに入れる。酢酸エチル(4mL)およびp−トルエンスルホン酸(52mg,0.30mmol)を加え、約60℃で攪拌する。テトラヒドロフランを加えて、溶液を透明にし、15分間、超音波処理する。フラスコで形成するガムから懸濁液を注意深くデカントする。懸濁液を濾過して、非常に明るいピンク色の固体のケーキを得る。ペンタン(2×2mL)でケーキを洗浄し、40℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて、標題化合物を得る。MP(DSC)=136.24℃。
【0035】
【化9】

【0036】
スキームBにおいて、必要に応じて置換されたチオフェンボロン酸を、式Iの化合物に結合して、式2の化合物(式中、R1aはH、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、および−C(O)Rからなる群より選択され、R2aはH、FおよびCHからなる群より選択される)を形成させる。好ましくは、R1aはH、−Cl、−C(O)CH、CH、CNであり、R2aはHまたはCHである。
【0037】
調製物3
1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
【化10】

窒素下で丸底フラスコに、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(6.0g,11.4mmol)、チオフェン−2−ボロン酸(4,4g,34.3mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.1g,4.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.51g,2.3mmol)、フッ化セシウム(15.6g,102.8mmol)およびアセトニトリル(150mL,30分間窒素で脱気)を混合する。得られた混合物を80℃まで加熱し、40分間攪拌する。固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄する。濾液と洗浄液を合わせ、真空中で濃縮する。残留物をメタノールに溶解し、SCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。カラムをメタノールでフラッシュし、次いでメタノール中の2Mアンモニアで溶出する。真空中でアンモニア含有溶出液を濃縮して、淡褐色の固体を得る。固体をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(3.88g,8.4mmol)を得る。H NMR(d−DMSO)δ1.29(dd,J=5.9,11.2Hz,2H),1.43−1.37(m,5H),2.32(s,4H),2.52(t,J=5.9Hz,2H),3.87(t,J=6.1Hz,2H),6.62−6.60(m,2H),6.76−6.74(m,2H),7.09−7.03(m,2H),7.37(d,J=2.6Hz,1H),7.48−7.47(m,1H),7.62−7.59(m,2H),7.76(d,J=8.8Hz,1H),7.96(d,J=8.8Hz,1H)。
【0038】
表Iの調製物は、チオフェン−2−ボロン酸の代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物3に記載されるように実質的に調製できる。
【0039】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0040】
【化11】

【0041】
スキームCにおいて、式3の化合物は、まず有機リチエート(organo−lithiate)に変換され、次いで求電子試薬([E])に加えられて、式4の化合物(式中、Eは、−F、−C(O)OH、−S−CH、−S−CH(CH、−S−CHCH、−C(O)N(CH、−CHCH、−C(CH−OH、または−CHCH(CHである)を形成する。
【0042】
調製物13
1−(2−(4−(2−(5−フルオロチオフェン−2−イル)−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
【化12】

アルゴン下で、1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(153mg,0.4mmol)およびテトラヒドロフラン(3.3mL)をスクリューキャップバイアルに加える。得られた溶液を−78℃まで冷却する。n−ブチルリチウム(ヘキサン中に1.6M、230μL、0.4mmol)を滴下する。得られた溶液を0℃まで加温し、30分間攪拌する。N−フルオロベンゼンスルホンイミド(210.0mg,0.6mmol)入りのテトラヒドロフラン溶液(500μL)を加える。得られた混合物を室温まで加温し、2時間攪拌する。1MのHClを加え、エーテルで希釈し、SCX酸性イオン交換カラムに通す。カラムをメタノールでフラッシュし、次いでメタノール中の2Mアンモニアで所望の物質を溶出する。アンモニア含有溶出液を濃縮して、黄色の固体を得る。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー上で黄色の固体を精製して、標題化合物(59.0mg,0.1mmol)を得る:マススペクトル(m/z):478(M+1)。
【0043】
表IIの調製物は、N−フルオロベンゼンスルホンイミドの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物13に記載されるように実質的に調製できる。
【0044】
【表2−1】

【表2−2】

【0045】
【化13】

【0046】
スキームDにおいて、式5の化合物は、2当量のペルオキシ一硫酸カリウム硫酸塩で酸化されて、式6の化合物(式中、R4aは、−CH、−CHCH、または−CH(CHである)を形成する。
【0047】
調製物22
1−(2−(4−(2−(5−(エチルスルホニル)チオフェン−2−イル)−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン塩酸塩
【化14】

窒素下で、1−(2−(4−(2−(5−(エチルチオ)チオフェン−2−イル)−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(226mg,0.43mmol)、テトラヒドロフラン(8.7mL)およびメタノール(8.7mL)を丸底フラスコに加える。得られた溶液を0℃まで冷却し、ペルオキシ一硫酸カリウム硫酸塩(535mg,0.87mmol)入りの水溶液(4.5mL)を加える。得られた混合物を0℃で30分間攪拌する。混合物を室温まで加温し、1時間攪拌する。混合物をSCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。メタノールとジクロロメタンの1:1混合物でカラムをフラッシュし、次いでメタノール中の2Mアンモニアとジクロロメタンの1:1混合物で溶出する。真空中でアンモニア含有溶出液を濃縮して、オフホワイトの泡状物を得る。泡状物をジクロロメタンに溶解し、HCl(エーテル中に1M、900μL)で処理する。真空中で、得られた混合物を濃縮して、標題化合物(142mg,0.24mmol)を得る:マススペクトル(m/z):552(M+1−HCl)。
【0048】
表IIIの調製物は、1−(2−(4−(2−(5−(エチルチオ)チオフェン−2−イル)−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジンの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物22に記載されるように実質的に調製できる。
【0049】
【表3】

【0050】
【化15】

【0051】
スキームEにおいて、式7の化合物は、1当量のペルオキシ一硫酸カリウム硫酸塩で酸化されて、式8の化合物を形成する。
【0052】
調製物25
1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−(メチルスルフィニル)チオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
【化16】

窒素下で、1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−(メチルチオ)チオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(84mg,0.17mmol)、テトラヒドロフラン(3.3mL)およびメタノール(3.3mL)を丸底フラスコに加える。得られた溶液を0℃まで冷却し、ペルオキシ一硫酸カリウム硫酸塩(102mg,0.17mmol)入りの水溶液(1.7mL)に加える。反応混合物を0℃で30分間攪拌する。混合物をSCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。1:1のメタノール/ジクロロメタンでカラムをフラッシュし、1:1のメタノール中の2Mアンモニア/ジクロロメタンで溶出する。真空中で、アンモニア含有溶出液を濃縮して、標題化合物(87mg,0.17mmol)を得る:マススペクトル(m/z):522(M+1)。
【0053】
【化17】

【0054】
スキームFにおいて、式9の化合物は式10の化合物まで還元される。
【0055】
調製物26
1−(2−(4−(2−(5−イソプロピルチオフェン−2−イル)−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
【化18】

アルゴン下で、2−(5−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−イル)プロパン−2−オール(84mg;0.16mmol)、トリエチルシラン(1.7mL)およびジクロロメタン(0.85mL)をフラスコに加える。トリフルオロ酢酸(0.81mL)を加え、得られた混合物を45分間攪拌する。混合物をSCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。1:2のメタノール/ジクロロメタンでカラムをフラッシュし、1:2のメタノール中の2Mアンモニア/ジクロロメタンで溶出する。真空中で、アンモニア含有溶出液を濃縮して、標題化合物(73.1mg,0.15mmol)を得る:マススペクトル(m/z):502(M+1)。
【0056】
【化19】

【0057】
スキームGにおいて、式11の化合物は、まず酸塩化物に変換され、次いで水酸化アンモニウムに供され、式12の化合物のアミドを形成する。次いで式12の化合物を脱水し、次いで塩酸塩を形成させて、式13の化合物を得る。
【0058】
調製物27
5−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシアミド
【化20】

窒素下で、5−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボン酸(86mg,0.2mmol)およびジクロロメタン(2.4mL)を丸底フラスコに加える。懸濁液を0℃まで冷却し、塩化オキサリル(22.2μL,0.3mmol)およびジメチルホルムアミド(30.0μL)を連続して加える。得られた混合物を室温まで加温し、30分間攪拌する。真空中で濃縮して、黄色の固体を得る。テトラヒドロフラン(2.5mL)を固体に加える。得られた懸濁液に、アンモニア(水中に12.1M、3mL、36.4mmol)入りのテトラヒドロフラン溶液(5.7mL)を加える。得られた溶液を30分間攪拌し、次いでエーテルで希釈する。層を分離し、有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、黄褐色の固体を得る。得られた固体をメタノールに溶解し、SCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。メタノールでカラムをフラッシュし、次いでメタノール中の2Mアンモニアで所望の物質を溶出する。アンモニア含有溶出液を濃縮して、標題化合物(79mg,0.16mmol)を得る。H NMR(d−DMSO)δ1.32−1.27(m,2H),1.44−1.38(m,4H),2.33(s,4H),2.53(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,2H),3.83(s,3H),3.89(t,J=5.9Hz,2H),6.66−6.61(m,3H),6.79−6.76(m,2H),7.09(dd,J=2.6,9.2Hz,1H),7.39(d,J=2.6Hz,1H),7.65−7.61(m,3H),7.79(d,J=8.8Hz,1H),7.99(d,J=8.8Hz,1H)。
【0059】
調製物28
5−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリル塩酸塩
【化21】

窒素下で、5−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボキシアミド(79mg,0.16mmol)および塩化ホスホリル(13mL,139.9mmol)を丸底フラスコに加える。得られた混合物を100℃まで加熱し、15分間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮して、黄色の残留物を得る。メタノールで得られた残留物を注意深くクエンチし、SCX酸性イオン交換カラム上に負荷する。メタノールでカラムをフラッシュし、次いでメタノール中の2Mアンモニアで所望の物質を溶出する。真空中で、アンモニア含有溶出液を濃縮して、淡い黄色の固体を得る。得られた固体をジクロロメタンに溶解し、HCl(エーテル中に1M、5mL)で処理する。真空中で濃縮して、標題化合物(81.5mg,0.16mmol)を得る。H NMR(d−DMSO)δ0.82−0.73(m,1H),1.33−1.23(m,4H),2.88−2.80(m,2H),3.36−3.31(m,5H),3.81(s,3H),4.23−4.19(m,2H),6.73−6.63(m,2H),6.87−6.77(m,2H),7.15−7.09(m,1H),7.41−7.36(m,1H),7.62−7.54(m,1H),7.87−7.77(m,3H),8.09−8.05(m,1H),10.58−10.45(m,1H)。
【0060】
【化22】

【0061】
式14の化合物を脱保護して、式Iの化合物の塩酸塩を形成する。
【0062】
実施例5
5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−6−(チオフェン−2−イル)ナフタレン−2−オール塩酸塩
【化23】

1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(100mg,0.22mmol)をジクロロメタンに溶解し、HCl(エーテル中に1M、220μL、0.22mmol)で処理する。真空中で濃縮して、黄色の固体を得て、ジクロメタン(7.3mL)を加える。得られた溶液を0℃まで冷却し、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中に1M、870μL、0.87mmol)を加える。得られた混合物を0℃で2.5時間攪拌する。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、室温まで加温する。層を分離し、水層をジクロロメタン中の20%メタノール(10mL×3)で抽出する。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮し、黄色の残留物を得る。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、オフホワイトの泡状物を得る。ACNに泡状物を懸濁し、HCL(水中に5M、1ml)を加える。得られた溶液を凍結し、凍結乾燥させて、標題化合物(50.5mg,0.12mmol)を得る:マススペクトル(m/z):446(M+1−HCl)。
【0063】
表IVの実施例は、実施例5に記載される脱保護処理によって実質的に調製できる。
【0064】
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【表4−4】

【表4−5】

【0065】
【化24】

【0066】
調製物29
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−メチルチオフェン−3−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン
【化25】

3−ブロモ−4−メチルチオフェン(0.885g,5.00mmol)、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)クロリド(408mg,499.82μmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(277.09mg,499.82μmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.54g,10mmol)、酢酸カリウム(1.47g,14.99mmol)および1,4−ジオキサン(50mL)を丸底フラスコに加える。アルゴンで反応容器をパージする。混合物を85℃で16時間攪拌する。混合物を室温で冷却する。混合物を濾過し、1,4−ジオキサンで固体を洗浄する。濾液を濃縮する。得られた残留物を、シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.62g,2.5mmol)を得る。
【0067】
表Vの調製物は、3−ブロモ−4−メチルチオフェンの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物29に記載されるように実質的に調製できる。
【0068】
【表5】

【0069】
【化26】

【0070】
調製物31
4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【化27】

アセトニトリル(10mL)、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)−フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(150mg,285.4μmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(134.2mg,570.8μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(24.0mg,85.6μmol)、酢酸パラジウム(II)(12.8mg,57.1μmol)およびフッ化セシウム(390.2mg,2.6mmol)を丸底フラスコに加える。反応容器をアルゴンで3回パージする。混合物を80℃で1.5時間攪拌する。混合物を濾過し、固体をアセトニトリルで洗浄する。濾液を濃縮する。得られた残留物をDOWEXイオン交換樹脂により精製して、標題化合物(87mg,179.8μmol)を得る。
【0071】
表VIの調製物は、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリルの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物31に記載されるように実質的に調製できる。
【0072】
【表6】

【0073】
調製物35
4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化28】

塩化水素入りのエーテル溶液(1M,180μL,180.0μmol)を、調製した4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(87mg,179.5μmol)入りのジクロロメタン溶液(2mL)に加える。混合物を10分間攪拌する。混合物を濃縮して、標題化合物(95mg,179μmol)を得る。
【0074】
表VIIの調製物は、4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリルの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物35に記載されるように実質的に調製できる。
【0075】
【表7】

【0076】
調製物39
4−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【化29】

ジクロロメタン(4M,182μL,728.0μmol)中の三臭化ホウ素を、4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル塩酸塩(95mg,182.3μmol)およびジクロロメタン(4mL)の溶液に0℃で攪拌しながらゆっくりと加える。混合物を0℃で1.5時間攪拌する。混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチする。混合物を20%メタノール/ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機層を水で洗浄する。得られた溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標題化合物(52mg,111.2μmol)を得る。
【0077】
表VIIIの調製物は、4−(6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル塩酸塩の代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物39に記載されるように実質的に調製できる。
【0078】
【表8】

【0079】
実施例14の代替合成
4−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化30】

塩化水素入りのエーテル溶液(1M,122μL,122.0μmol)を、4−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(52mg,110.5μmol)およびジクロロメタン(4mL)の溶液に加える。混合物を5分、超音波処理し、次いで濃縮して、標題化合物(57mg,110.5μmol)を得る。MS(m/z):471(M+1−HCl)。
【0080】
表IXの実施例は、4−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−3−カルボニトリルの代わりに記載される試薬(列3)を用いて実施例14の代替合成に記載されるように実質的に調製できる。
【0081】
【表9】

【0082】
調製物43
2−ブロモ−4,5−ジメチルチオフェン
【化31】

N−ブロモスクシンイミド(0.96mg,5.39mmol)を、2,3−ジメチルチオフェン(0.55g,4.90mmol)入りのジクロロメタン溶液(20mL)に加える。反応物を一晩攪拌する。混合物を濃縮する。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標題化合物(704mg,3.68mmol)を得る。
【0083】
調製物44
2−ブロモ−3,5−ジメチルチオフェン
調製物44は、試薬2,4−ジメチルチオフェンを用いて調製物43に記載されるように実質的に調製できる。
【0084】
【化32】

【0085】
調製物45
2−ブロモチオフェン−3−カルボニルクロリド
【化33】

塩化チオニル(0.35mL,4.80mmol)を、2−ブロモチオフェン−3−カルボン酸(500mg,2.41mmol)およびトルエン(20mL)の溶液に攪拌しながら加える。反応容器を窒素でパージする。混合物を還流まで加熱し、3時間攪拌する。混合物を濃縮して、標題化合物(540mg,2.41mmol)を得る。化合物をさらに精製せずに次の工程に使用する。
【0086】
調製物46
5−ブロモチオフェン−3−カルボニルクロリド
調製物46は、試薬5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸を用いて調製物45に記載されるように実質的に調製できる。
【0087】
調製物47
2−ブロモチオフェン−3−カルボキシアミド
【化34】

2−ブロモチオフェン−3−カルボニルクロリド(540mg,2.39mmol)を、アンモニア水溶液(25%,3mL,17.44mmol)に攪拌しながら加える。混合物を30分間攪拌する。混合物を濃縮する。得られた沈殿物を濾過により回収し、固体を水で洗浄する。真空下で白色沈殿物を乾燥させて、標題化合物(450mg,2.17mmol)を得る。
【0088】
調製物48
5−ブロモチオフェン−3−カルボキシアミド
調製物48は、試薬5−ブロモチオフェン−3−カルボニルクロリドを用いて調製物47に記載されるように実質的に調製できる。
【0089】
調製物49
2−ブロモチオフェン−3−カルボニトリル
【化35】

シリンジにより、2,2,2−トリフルオロ酢酸無水物(0.17mL,1.21mmol)を、THF(10ml)中の2−ブロモチオフェン−3−カルボキシアミド(200mg,970.58μmol)およびトリエチルアミン(0.34mL,2.44mmol)の溶液に、5℃にて攪拌しながら加える。冷却槽を取り除き、混合物を室温まで加温し、16時間攪拌する。混合物を濃縮する。水およびジクロロメタンを加える。混合物をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標題化合物(113mg,601.76μmol)を得る。
【0090】
調製物50
5−ブロモチオフェン−3−カルボニトリル
調製物50は、試薬5−ブロモチオフェン−3−カルボキシアミドを用いて調製物49に記載されるように実質的に調製できる。
【0091】
【化36】

【0092】
調製物51
6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート塩酸塩
塩化水素入りのエーテル溶液(1.0M,5.5mL,5.50mmol)を、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.62g,4.99mmol)およびジクロロメタン(20mL)の溶液に加える。混合物を10分間攪拌し、次いで濃縮して、標題化合物(2.8g,4.99mmol)を得る。
【0093】
調製物52
6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
三臭化ホウ素入りのジクロロメタン溶液(4M,5mL,20.00mmol)を、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート塩酸塩(2.8g,4.98mmol)およびジクロロメタン(100ml)の溶液に加える。反応物を2時間攪拌し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチする。混合物を3回、ジクロロメタンで抽出する。抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物(2.4g,4.68mmol)を得る。
【0094】
調製物53
5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−6−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタレン−2−イルアセテート
塩化アセチル(0.67mL,9.41mmol)を、6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.4g,4.69mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.45mL,14.05mmol)の溶液に加える。混合物を1時間攪拌し、次いで炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチする。混合物を3回、ジクロロメタンで抽出する。抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物(2.33g,4.22mmol)を得る。
【0095】
調製物54
6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルボロン酸塩酸塩
【化37】

ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン(4.2g,18.59mmol)、5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−6−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタレン−2−イルアセテート(2.33g,4.21mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.199g,886.38μmol)、フッ化セシウム(5.21g,34.30mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.41g,1.40mmol)およびアセトニトリル(50mL)を丸底フラスコに加える。混合物を窒素雰囲気下で1時間攪拌しながら還流する。混合物を冷却し、濾過し、固体をアセトニトリルで洗浄する。合わせた濾液を濃縮し、洗浄する。得られた残留物をジエチルエーテル(40mL)に懸濁し、30分間、超音波処理する。沈殿物を濾過により除去し、濾液を濃縮して、粗中間体を得る。ジエタノールアミン(405.25μL,4.21mmol)を、粗中間体入りのエーテル溶液(50mL)に加える。混合物を1時間攪拌する。有機層をデカントし、残っている残留物をメタノール(20mL)および10mLの水に溶解する。濃HCl(2mL,24mmol)を加え、得られた混合物を16時間攪拌する。混合物を濃縮して、MeOHを除去する。水性の残留物をジクロロメタンで3回抽出する。抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮する。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標題化合物(0.6g,1.47mmol)を得る。
【0096】
調製物55
3−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化38】

3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル(93mg,494.6μmol)、酢酸パラジウム(II)(12mg,53.4μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(21mg,74.9μmol)、フッ化セシウム(336mg,2.2mmol)を、エタノール(2mL)およびアセトニトリル(8mL)中の6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イルボロン酸塩酸塩(100mg,245,5μmol)の溶液に加える。反応容器を窒素で3回パージする。混合物を85℃にて2時間攪拌する。混合物を冷却し、濾過する。得られた固体をアセトニトリルで洗浄する。合わせた濾液を濃縮し、洗浄する。DOWEXイオン交換樹脂により残留物を精製して、粗生成物を得る。Prep−HPLCにより粗生成物を精製して、標題化合物(12mg,24.55μmol)を得る。
【0097】
表Xの調製物は、3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリルの代わりに記載される試薬(列3)を用いて調製物55に記載されるように実質的に調製できる。
【0098】
【表10】

【0099】
実施例26
3−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリル塩酸塩
【化39】

塩化水素入りのエーテル溶液(1M,28μL,28.0μmol)を、3−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリル(12mg,24.5μmol)およびジクロロメタン(4mL)の溶液に加える。混合物を5分間、超音波処理し、次いで濃縮して、標題化合物(13mg,24.5μmol)を得る。マススペクトル(m/z):471(M+1−HCl)。
【0100】
表XIの実施例は、3−(6−ヒドロキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリルの代わりに記載される試薬(列3)を用いて実施例26に記載されるように実質的に調製できる。
【0101】
【表11−1】

【表11−2】

【表11−3】

【0102】
【化40】

【0103】
調製物64
トリメチル−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)スタンナン
−78℃にて、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,39mL,62mmol)を、2,4−ジブロモチオフェン(7mL,62mmol)入りのエーテル溶液(240mL)に加える。0.5時間後、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,15.6mL,25mmol)を加え、反応物を−78℃にてさらに15分間攪拌する。メチルジスルファニルメタン(6mL,68mmol)を加え、室温まで加温しながら反応物を攪拌する。反応物を、氷冷した飽和塩化アンモニウム水溶液の混合物に注ぐ。層を分離し、水層をエーテルで抽出する。有機層を合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液、水およびブラインで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させる。得られた溶液を濃縮して、4−ブロモ−2−メチルスルファニル−チオフェン(9.3g,44.4mmol)を得る。
【0104】
4−ブロモ−2−メチルスルファニル−チオフェン(9.3g,44.4mmol)をジクロロメタン(230mL)に溶解し、0℃まで冷却する。メタ−クロロ−過安息香酸(28g,162mmol)を、5分間隔で3回に分けて加える。得られた混合物を、室温まで加温しながら攪拌する。反応物をエーテルで希釈し、5%硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させる。得られた溶液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中に10〜20%酢酸エチル)により残留物を精製して、4−ブロモ−2−メチルスルホニル−チオフェン(5g,20.73mmol)を得る。
【0105】
4−ブロモ−2−メチルスルホニル−チオフェン(0.6g,2.5mmol)をトルエン(18mL)に溶解する。ヘキサメチルジチン(1.8mL,3.8mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)(0.05g,0.04mmol)を加える。得られた混合物を85℃まで加熱し、4時間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、ブラインで分配する。有機溶液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中に0〜10%酢酸エチル)により精製して、トリメチル−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)スタンナン(0.5g,1.53mmol)を得る。
【0106】
調製物65
1−[2−[4−[[6−メトキシ−2−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)−1−ナフチル]オキシ]フェノキシ]エチル]ピペリジン
【化41】

アセトニトリル(15mL)中に酢酸パラジウム(II)(0.043g,0.19mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.081g,0.29mmol)を合わせ、10分間、超音波処理する。[6−メトキシ−1−[4−[2−(1−ピペリジル)エトキシ]フェノキシ]−2−ナフチル]トリフルオロメタンスルホネート(0.5g,0.95mmol)、トリメチル−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)スタンナン(0.94g,2.9mmol)およびパラジウム混合物を、アセトニトリル(40mL)中のフッ化セシウム(0.5g,3.3mmol)の懸濁液に加える。得られた混合物を90℃まで加熱し、18時間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、濃縮する。得られた残留物を、酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分配する。層を分離し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液およびブラインで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させる。得られた溶液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中に0〜5%メタノール)により精製して、標題化合物(0.3g,0.55mmol)を得る。
【0107】
実施例35
6−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)−5−[4−[2−(1−ピペリジル)エトキシ]フェノキシ]ナフタレン−2−オールトリフルオロアセテート
【化42】

1−[2−[4−[[6−メトキシ−2−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)−1−ナフチル]オキシ]フェノキシ]エチル]ピペリジン(0.3g,0.55mmol)を酢酸エチルに溶解する。エーテル(10mL)を加え、0℃まで冷却する。塩酸(エーテル中に2M,0.4mL,0.84mmol)を加え、得られた沈殿物を濾過により回収する。固体を酢酸エチルに溶解し、濃縮して、1−[2−[4−[[6−メトキシ−2−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)−1−ナフチル]オキシ]フェノキシ]エチル]ピペリジン塩酸塩(0.35g,0.55mmol)を得る。
【0108】
1−[2−[4−[[6−メトキシ−2−(5−メチルスルホニル−3−チエニル)−1−ナフチル]オキシ]フェノキシ]エチル]ピペリジン塩酸塩(0.35g,0.55mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、0℃まで冷却する。三臭化ホウ素(0.3mL,3.1mmol)を得られた冷却溶液に加える。得られた混合物を0℃にて1時間攪拌する。反応物を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分配する。層を分離し、水層を酢酸エチル(×2)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。得られた溶液を合わせ、高圧液体クロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(24mg,0.04mmol)を得る。マススペクトル(m/z):524(m+1−TFA)。
【0109】
【化43】

【0110】
スキームNにおいて、トリフルオロメタンスルホネート化合物をボロン酸化合物に変換する。6−ボロン酸−5−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−ナフタレン−2−オール塩酸塩は、PCT公開番号WO2005073204号の手順に従って調製できる。WO2005073204号に記載されるプロセスを実質的に用いて試薬3−ブロモ−2−クロロ−チオフェンまたは2−ブロモ−5−メチル−チオフェンのいずれかを用いてボロン酸化合物を置換チオフェン化合物に変換する。
【0111】
実施例36
6−(2−クロロ−3−チエニル)−5−[4−[2−(1−ピペリジル)エトキシ]フェノキシ]ナフタレン−2−オールトリフルオロアセテート
【化44】

WO2005073204号における5−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェノキシ]−6−(2,3,4−トリフルオロ−フェニル)−ナフタレン−2−オールトリフルオロ酢酸塩を調製するための同様の手順によって、かつ、3−ブロモ−2−クロロ−チオフェンを用いて、6−(2−クロロ−3−チエニル)−5−[4−[2−(1−ピペリジル)エトキシ]フェノキシ]ナフタレン−2−オールトリフルオロアセテートを実質的に調製する。マススペクトル(m/z):480(M+1−TFA)。
【0112】
【化45】

【0113】
調製物69
1−クロロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
丸底フラスコに、化合物1(スキームOのもの;6−メトキシテトラリン−1−オン)(6.11g,34.7mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(20mL,259.5mmol)を加える。反応容器をアルゴンで5回パージする。POCl(8mL,148.9mmol)を反応混合物に滴下する。反応混合物を攪拌しながら105℃まで加熱し、4時間、その温度を保持する。反応混合物を氷水でクエンチする。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、水相を捨てる。有機層を合わせ、MgSOで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮して、茶色の固体として1−クロロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド(5.94g,70%収率)を得る。
【0114】
調製物70
6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド
三つ口丸底フラスコに、1−クロロ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド(2.25g,10.1mmol)、4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノール(1.8g,8.24mmol)、ヨウ化テトラ−N−ブチルアンモニウム(50mg,0.14mmol)、炭酸カリウム(4.1g,29.8mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(120mg,0.99mmol)を加える。反応容器を窒素でパージする。ジメチルホルムアミド(30mL)を反応物にゆっくりと加える。混合物を攪拌しながら100℃まで加熱し、4時間保持する。反応混合物を室温まで冷却し、氷水でクエンチする。混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド(4.11g)を得る。
【0115】
調製物71
6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸
丸底フラスコに、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド(3.0g,4.34mmol)、レゾルシノール(531mg,4.8mmol)、THF(8mL)、エタノール(8mL)および酢酸(0.9mL)を加える。混合物を25℃にて5分間攪拌する。水(8mL)中の塩化ナトリウム(1.3,11.2mmol)を反応混合物にゆっくりと加える。混合物を80℃にて2時間攪拌する。反応混合物を氷水でクエンチする。酢酸エチルを攪拌しながら容器に加える。混合物を希NaOHで3回洗浄し、有機相を捨てる。水層に水を加えて、pHを5〜6に調整した。水層を酢酸エチルで5回抽出し、水相を捨てた。MgSOで有機層を乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮し、それをさらに精製して、400mgの6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸を得た。HNMR(d−DMSO,300MHZ):9.97(1H,s)7.12(1H,m),6.86(5H,m),6.71(1H,m),4.27(2H,m),3.73(3H,s),4.26(2H,s),3.41(3H,m),2.82(2H,m),2.59(2H,m),1.70(6H,m)。
【0116】
調製物72
1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
フラスコに、6−メトキシ−1−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)−3,4−ジヒドロナフタレン−2−カルボン酸(0.4g,0.68mmol)、ジクロロメタン(10mL)、およびトリエチルアミン(0.2mL,1.43mmol)を加える。混合物を25℃にて10分間攪拌する。N−ブロモスクシンイミド(0.5g,4.13当量,2.81mmol)を少しずつ加える。反応混合物を室温まで冷却し、氷水でクエンチする。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、水相を捨てる。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮して、1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジンを黄色の油状物(300mg)として得る。
【0117】
調製物73
1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
丸底フラスコに、1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(6.7g,6.6mmol)およびアセトニトリル(50mL)を加える。混合物を25℃にて5分間攪拌する。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)(3,2g,14.1mmol)を反応混合物にゆっくりと加える。混合物を80℃まで加熱し、その温度で14時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷却し、氷水でクエンチする。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、水相を捨てる。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、乾燥するまで濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジンを茶色の固体(817mg)として得る。HNMR(d−DMSO,300MHZ):7.68(3H,m),7.43(1H,s),7.15(1H,m),6.97(2H,d),6.72(2H,d),4.26(2H,s),3.85(3H,s),3.48(4H,m),2.96(2H,m),1.70(6H,m)。
【0118】
調製物74
1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−メチルチオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン
三つ口丸底フラスコに、1−(2−(4−(2−ブロモ−6−メトキシナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジン(25mg,75.9μmol)、5−メチルチオフェン−2−イルボロン酸(20mg,140.86μmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(20mg,17.3μmol)、およびジメチルスルホン(DMSO)(2mL)を加える。反応容器を窒素で5回パージする。混合物を100℃にて6時間加熱し、続いて、80℃にて40時間加熱する。
【0119】
調製物75
6−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェノキシ)ナフタレン−2−オール
【化46】

実施例1に記載される手順を用いて1−(2−(4−(6−メトキシ−2−(5−メチルチオフェン−2−イル)ナフタレン−1−イルオキシ)フェノキシ)エチル)ピペリジンを脱保護する。
【0120】
生物学的アッセイ
エストロゲン受容体結合アッセイ
化合物を、両方のエストロゲン受容体型(ERαおよびERβ)に対する結合親和性について、受容体からH−エストラジオールを転位させる化合物の能力を測定する競合結合アッセイにより、試験する。両方の受容体型についてのIC50およびK値を算出することができる。
【0121】
競合結合アッセイを、50mMのHEPESバッファ試薬、pH7.5、1.5mMのエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、150mMのNaCl、10%のグリセロール、1mg/mLのオボアルブミンおよび5mMのジチオスレイトール(「DTT」)を含有するバッファ中で、ウェルあたり0.025μCiのH−エストラジオール(118Ci/mmol、1mCi/mLにおいて、NEN #NET517)、10ng/ウェルのERαまたはERβ受容体を用いて行う。試験化合物を10種類の異なる濃度にて加える。非特異的結合を1μMのエストラジオール(17β−エストラジオール)の存在下で決定する。結合反応物(140μL)を4時間室温にてインキュベートし、次いで、70μLの冷DCCバッファを各反応物(50mLのアッセイバッファ、750mgのチャコールおよび250mgのデキストランを含有するDCCバッファ)に加える。プレートをオービタルシェーカー上で8分間4°Cにて混合する。次いで、プレートを3,000rpmで4°Cにて10分間遠心分離する。混合物の120μLのアリコートを別の96ウェルの白色平底プレートに移動し、175μLのシンチレーション液を各ウェルに加える。プレートを密封し、オービタルシェーカー上で激しく振る。2.5時間のインキュベーションの後、プレートをカウンター上で読み取る。データをIC50および10μMにおける阻害率を算出するために用いる。H−エストラジオールについてのKをERαおよびERβ受容体に対する飽和結合により決定する。試験化合物についてのIC50値を、チェン−プロソフ式および飽和結合アッセイにより決定されたKを用いてKに変換する。本願明細書において開示された全ての実施例は、ERα受容体に対して20nM未満の測定K−αと、ERβ受容体に対して200nM未満の測定K−βとなる結合アッセイにおける活性を示す。実施例1の化合物については、測定K−αが0.15±0.22nM(幾何平均±標準偏差)となることを見出した。一方、ERβ受容体に対する親和性をK−β=0.20±0.20nM(幾何平均±標準偏差)として測定した。したがって、本発明の化合物における両方のER受容体に対する高い親和性結合が示された。
【0122】
石川細胞増殖アッセイ
このアッセイは、単体の試験化合物存在下におけるアゴニストモードと、増殖におけるエストラジオール刺激をブロックする試験化合物の能力を測定するアンタゴニストモードの両方において、細胞増殖を(アルカリホスフォターゼ読み取りを用いて)測定する。
【0123】
一晩インキュベーションした後、石川細胞を、Ca+2およびMg+2なしのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(「D−PBS」)を用いてリンスし、0.25%のトリプシン/EDTA、フェノールレッドフリーを用いて3分間インキュベーションすることによりトリプシン処理する。細胞をアッセイ培地に再懸濁し、250,000細胞/mLに調整する。100ul培地中の約25,000細胞を平底96ウェルマイクロ培養プレートに加え、5%CO加湿インキュベータ内で37°Cにて24時間インキュベートする。次の日、アッセイ培地に化合物の連続希釈液(アッセイにおける最終濃度の6倍)を準備する。アッセイをデュアルモード(アゴニストモードおよびアンタゴニストモード)で行う。
【0124】
アゴニストモードにおいて、プレートは25μL/ウェルのアッセイ培地を受け取り、その後、25μL/ウェルの希釈試験化合物(最終濃度の6倍)を受け取る。アンタゴニストモードにおいて、プレートは25μL/ウェルの6nMの17β−エストラジオール(「E2」)を受け取り、その後、25μL/ウェルの希釈試験化合物(最終濃度の6倍)を受け取る。更に48時間37°Cにて5%CO加湿インキュベータ内でインキュベーションした後、培地をウェルから吸引し、100μLの新しいアッセイ培地を各マイクロ培養プレートに加える。化合物の連続希釈液を準備し、上述のように細胞を加える。更に72時間37°Cにて5%CO加湿インキュベータ内でインキュベーションした後、アッセイ物を、培地を除去しD−PBS内で2回プレートをリンスすることによりクエンチする。プレートを5分間乾燥させ、−70℃にて少なくとも1時間凍結させる。次いで、プレートをフリーザから外して、室温にて解凍させる。20分間インキュベーションした後、プレートを分光光度計で405nmにて読み取る。
【0125】
データを、4パラメータフィットモデルを用いてフィッテングして、EC50(アゴニストモードについて)またはIC50(アンタゴニストモードについて)値を得る。アンタゴニストモードにおいて、各化合物の有効率をE2(1nM)単体に対して算出する。アゴニストモードにおいて、各化合物の有効率をタモキシフェンに対する応答に対して算出する。実施例1の化合物におけるアンタゴニストの有効性を、実質的に上述したように決定したところ、102%±8.4%(n=4)(算術的平均±標準偏差)となり、相対IC50が3.75±1.71nM(n=4)(幾何平均±標準偏差)となった。実施例1の化合物単体における平均アゴニスト活性は、17.7%±11.3%(n=4)(算術的平均±標準偏差)となった。実施例1の化合物の値は、一般的に100%より大きいアゴニスト活性となる4−ヒドロキシタモキシフェンと比較できる。これらのデータは、この化合物が子宮におけるエストロゲン受容体に対する有効なアンタゴニストとして機能することを示す。
【0126】
3日間の未成熟ラット子宮アンタゴニストアッセイ
この子宮の拮抗作用についてのモデルは、未成熟(3週齢)の雌ラットを用いる。この雌ラットの血中エストロゲンレベルが思春期前であることを考えると、子宮のエストロゲン刺激に対する感度は高い。未成熟ラットからの子宮は、外因性エストロゲンに対して完全に応答するが、外因性エストロゲンの非存在下では休止する。外因性エストロゲンを未成熟ラットに対して投与することで、信頼性のある子宮の重量の増加が見られるので、子宮アンタゴニストの有効性の研究に用いることができる。ラットを、エストラジオールと4種類の異なる濃度の試験化合物の両方で3日間処置し、次いで、子宮の湿重量を測定する。
【0127】
19日から21日齢(または、45〜50g)の雌ラットを、17α−エチニルエストラジオール(EE2)(0.1mg/kgの子宮重量を確実に増加させる最大促進エストロゲン刺激)と、10mg/kg、1.0mg/kg、0.1mg/kgおよび0.01mg/kgの試験化合物で、3日間、1グループにつき6ラットについて、経口処置する。試験化合物を20%のβ−ヒドロキシシクロデキストリン中に溶解し、1日あたり0.2mLの用量で強制経口投与する(EE2強制投与の前に15分間)。賦形剤コントロール、EE2単体、および、EE2+ラロキシフェンもまた、コントロールとして投与する。動物を最終用量の後、一晩絶食させる。次の朝、動物の体重を量り、次いで(二酸化炭素窒息により)安楽死させ、そして、迅速に(腹側正中切開により)子宮を回収して重量を計る。
【0128】
子宮重量/体重比(UWR)を各動物について算出する。次いで、エストロゲン誘導反応の阻害率を以下の式により計算する。
阻害率=
100×(UWRエストロゲン−UWR試験化合物)/(UWRエストロゲン−UWRコントロール
ED50値を用量反応曲線の線形についての片対数回帰分析から導く。UWRデータと阻害率データの両方を、p≦0.05が示された場合フィッシャーPLSDによる多重比較とともに一元配置分散分析(ANOVA)により統計解析する。実施例1の化合物を、実質的に上述したアッセイを用いて、0.053mg/kgのED50値を有する有力な子宮アンタゴニストとして観察した。
【0129】
4日間のOVXラット子宮アゴニストアッセイ
試験化合物が有意な部分的子宮アゴニスト活性を持たないことを保証するために、化合物を成熟卵巣摘出ラットに投与する。
【0130】
75日齢のラットを卵巣切除し、血中エストラジオールレベルが最低レベルに達した場合14日後に処置を開始する。試験化合物の3用量を用いる処置の4日後(1グループにつき6ラット)、体重、子宮湿重量および子宮好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)活性を測定する。コレステロールレベルも測定して、他のSERMを用いてコレステロールを下げる相対能力と比較する。子宮刺激について疑問がある場合、組織学的検査が上皮細胞の高さを決定する。
【0131】
子宮EPO活性における有意(10%より大きい、0.1mg/kgにてエストラジオールにより誘導された増加)および用量反応性の増加を、潜在的な子宮アゴニスト活性の早期指標として用いる。OVXグループとの比較において、実施例1の化合物を、10mg/kg以下の用量にて実質的に上述したアッセイを用いたところ、EPO活性における有意な用量依存性増加は見られなかった(テューキー・クレーマー;p<0.05)。実施例1の化合物を投与したグループのいずれも、EPO活性における増加(10%より大きい、0.1mg/Kgにてエストラジオールにより誘導された増加)を示さなかった。子宮内膜の厚さにおける有意な用量依存性増加をまた、潜在的なSERM子宮アゴニスト活性の早期指標として用いた。OVXグループとの比較において、10mg/kg以下の用量における実施例1の化合物は、子宮内膜の厚さにおける有意な用量依存性増加を示さなかった。これらの結果は、実施例1の化合物が望ましい子宮に対する安全性を提供することを示唆するものである。
【0132】
OVX/半月板断裂モデル
ラットの半月板断裂(MCT)モデルは、OAの詳述されたモデルであり、1つの膝関節における外科的介入(内側半月切断)により関節損傷および痛みが誘導されたものである。雄ラットを用いる標準的なMCTモデルにおいて、関節病理学は革新的に発展しており、術後3週間にて関節組織学により測定される。内部の試験的研究により、MCT手術後5週間にて、OVX/MCT動物において痛みおよび関節病理学の両方が、MCT手術を経た卵巣未損傷動物と比較して、顕著に現れたことがわかった。
【0133】
実質的に上述した断裂モデルを用いて処置したOVX動物において、実施例1の化合物は、用量依存的に痛みを軽減し、OVX/MCTグループと比較して全ての用量において1.0mg/kg以上、統計的に有意な減少を示した。加えて、実施例1の3mg/kgおよび10mg/kgの用量は、17α−エチニルエストラジオールにより誘導されたものと統計的に同じような関節痛の軽減をもたらした。
【0134】
P−CTXII
pCTX−IIは、OAの処置に関連する有効性を反映する有用なバイオマーカーとして考えられている。例えば、Garnero P ら、Ann Rheum Dis 2003;62:939−943、および、Mazieres B ら、Arthritis Rheum 2003;48:S683を参照のこと。
【0135】
実施例1の化合物は、有意にかつ用量依存的にpCTX−IIを減少させた。加えて、全ての用量における実施例1の化合物は、pCTX−IIを、17α−エチニルエストラジオールを用いる処置により生じるものと統計的に同じレベルまで減少させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、−S(O)CH、−CF、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、−C−Cアルキル、−N(CH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項2】

【化2】

(式中、
は、H、−C−Cアルキル、F、Cl、−CN、−C(O)R、−(C−Cアルキル)OH、−OCH、−S(O)、−S(O)CH、および−S(C−Cアルキル)からなる群より選択され、
は、H、F、およびCHからなる群より選択され、
は、OH、−OCH、−NH(C−Cアルキル)、CH、−N(CHからなる群より選択され、
は、−C−Cアルキル、−N(CH、および−CFからなる群より選択され、
は、HおよびCHからなる群より選択される)
の請求項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項3】
は、Hである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
は、HおよびCHから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
は、Hである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
は、H、C−Cアルキル、F、Cl、CF、−CN、−C(O)R、−S(O)、−S(O)CH、および−SCHからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
は、H、−CH、−CHCH、−CH(CH、−CHCH(CH、F、Cl、−CF、−CN、−C(O)CH、−C(O)N(CH、−S(O)CH(CH、−S(O)CHCH、−S(O)CH、−S(O)CH、および−SCHからなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
は、−CHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】

【化3】

の請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項10】

【化4】

の請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項11】

【化5】

の請求項1に記載の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項12】
前記化合物は薬理学的に許容可能な塩である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記塩は塩酸塩である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
薬理学的に許容可能な担体と、請求項1〜13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
動物における骨関節炎を治療するための方法であって、請求項3〜13のいずれか一項に記載の化合物を前記動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
医薬として使用するための請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
骨関節炎の治療に使用するための請求項3〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】

【化6】

の化合物、またはその薬理学的に許容可能な塩。
【請求項19】
塩酸塩である、請求項18に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−504124(P2012−504124A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529068(P2011−529068)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/055805
【国際公開番号】WO2010/036497
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】