説明

選択的カスパーゼ阻害剤およびその使用

本発明は、式I、IA、II、IIA、IIIまたはIIIAで示される化合物、およびその医薬用途に関する。本発明の具体的な態様は、1またはそれ以上のカスパーゼの選択的阻害のためのこれらの化合物の使用に関する。また、式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物を、対象の種々の疾患および症状、例えば、カスパーゼ介在疾患、例えば敗血症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、脊髄傷害(SCI)、外傷性脳傷害(TBI)および神経変性疾患(例えば、多発性硬化症(MS)およびアルツハイマー、パーキンソン、およびハンチントン病)の予防および/または治療に用いる方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、化合物およびその医薬用途に関する。さらに具体的には、本発明は、カスパーゼの選択的阻害剤および対象の種々の疾患および症状の予防および/または治療のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
カスパーゼは、アポトーシスシグナリング経路および細胞分解における主要なメディエーターとしてのよく知られた役割を有するシステインプロテアーゼ酵素のファミリーを含む。インターロイキン変換酵素(ICE)(カスパーゼ−1としても知られている)は、最初に同定されたカスパーゼである。ヒトにおいて、11個の他の公知のカスパーゼがさらに同定されている。カスパーゼは、その効果により2つの一般群に分類される:プロアポトーシス(カスパーゼ−2、3、6、7、8、9、10)および炎症性(カスパーゼ−1、4、5、11、12)カスパーゼである。プロアポトーシスカスパーゼは、開始剤(カスパーゼ−2、8、9、10)(グループIIとしても知られる)およびアポトーシスプロセスの実行者(カスパーゼ−3、6、7)またはグループIIIに分けられる。インターロイキン変換酵素(ICE)(カスパーゼ−1としても知られている)は、炎症性の役割のみを有する。
【0003】
非常に様々な病理におけるカスパーゼの役割を示す証拠が増えてきている。例えば、プロアポトーシスカスパーゼは、多くの心臓血管傷害の病理に関連することが知られている。いくつかのプロアポトーシスカスパーゼ、例えばカスパーゼ−8はまた、腫瘍の進行に寄与し得る非アポトーシス機能を有する。カスパーゼ−1は、病原性感染症ならびに炎症および自己免疫障害に対して重要な役割を担う。加えて、カスパーゼ−1活性は、糖尿病患者の網膜において増加し、これが哺乳動物の心臓の心筋細胞プログラム細胞死の重要なレギュレーターに関与する。カスパーゼはまた、神経変性疾患および腫瘍においても役割を果たす。例えば、カスパーゼ−3カスケードは、外傷性脊髄傷害により、高度に活性化されることが示されている。最後に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるカスパーゼ−1およびカスパーゼ−3の活性化およびマウスモデルでのALSの最終ステージでのカスパーゼ−7、−8および−9の活性化が報告されている。高レベルのアポトーシスおよびカスパーゼ活性(特に、カスパーゼ−3)は、急性の細胞損傷(例えば、敗血症、心筋梗塞(MI)、虚血性脳卒中、脊髄傷害(SCI)、外傷性脳傷害(TBI))および神経変性疾患における細胞損傷(例えば、アルツハイマー、パーキンソンおよびハンチントン病、および多発性硬化症(MS))部位において、多く観察されることが報告されている。
【0004】
カスパーゼは多くの疾患に関与しているので、それらを不活性化するいくらかの化合物および方法が開発されてきた。例えば、広範な不可逆カスパーゼ阻害剤ベンジルオキシカルボニル−Val−Ala−Asp−フルオロメチルケトン(z−VAD−fmk)は、動物モデルにおける死受容体介在肝臓傷害を、保護的かつ効果的にブロックする(Rodriguez et al.(1996),J Exp Med.1996 Nov 1;184(5):2067−72)。心筋梗塞および結果生じる筋細胞死は、動物モデルにおいて、z−VAD−fmkおよび関連するペプチド阻害剤により改善した(Yaoita et al.,91998)Circulation 97:276−281)。ペプチダーゼの阻害剤を同定する多くの試みが為されている。例えば、Hanzlik and Thompson(J.Med.Chem.(1984),27(6),711−712)は、チオールプロテアーゼを活性化するビニル性アミノ酸エステルを記載している。Thompson et al.(J.Med.Chem.(1986),29(1),104−111)は、プロテアーゼ阻害剤としての、カルボキシル−修飾アミノ酸およびペプチドを記載している。LiuおよびHanzlikは、パパイン、多くのシステインプロテイナーゼファミリーに対する不活性化剤としての異なる認識および結合基を有する異なる電子吸引基を有する一連のペプチジルマイケルアクセプターを調製している。同様に、米国特許第5,976,858号および第6,287,840号(Palmer wt et al.)は、電子吸引基にコンジュゲートしたビニル基を含有する不可逆システインプロテアーゼ阻害剤を開示している。しかしながら、これらのおよび他の化合物は、カスパーゼが最も特異的なエンドペプチダーゼの一つであることから、カスパーゼに対して効果がない。
いくつかの疾患および症状にはこれらの役割があるので、特定のカスパーゼまたはカスパーゼ群を選択的に標的とすることができる化合物が必要とされている。また、カスパーゼ関連疾患の治療に有効な医薬組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規治療、新規治療方法、化合物および医薬組成物のこれらの要求を解決する。
本発明のさらなる特徴は、以下の発明の開示、図面および記載により明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物、その組成物および対象のカスパーゼ関連疾患の予防および/または治療方法に関する。本発明の特定の態様は、本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物の使用に関する。
【0007】
本発明の一の態様は、それを必要とする対象のカスパーゼ関連疾患の予防および/または治療方法であって、該対象に有効量の本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物を投与することを含む方法に関する。
【0008】
本発明の一の態様は、それを必要とする対象におけるカスパーゼ関連疾患の予防および/または治療のための、本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物の使用に関する。
本発明の他の関連する態様は、カスパーゼ関連疾患の予防および/または治療用の医薬の製造における、本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物の使用に関する。
【0009】
本発明の一の態様は、細胞または組織におけるカスパーゼ活性に影響を受ける過剰アポトーシスの治療方法であって、細胞または組織を有効量の1個またはそれ以上の本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物と接触させて、過剰アポトーシスを治療することを含む方法。
本発明の一の特定の態様は、アポトーシス介在疾患において用いるための本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物の使用に関する。
【0010】
本明細書に記載のカスパーゼ関連疾患は、アポトーシス介在疾患、IL−1介在疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、増殖性疾患、感染症、変性疾患、網膜疾患、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵炎、喘息、呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、グレーブス疾患、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、肝臓炎、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、皮膚炎、移植片対宿主疾患、移植臓器拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、多発性骨髄腫−関連疾患、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、敗血症、敗血性ショック、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV−関連脳炎、老化、卒中による神経損傷、潰瘍性結腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、肝臓−関連疾患、腎疾患、およびHIV感染症からなる群から選択される。
【0011】
本発明の化合物の具体的な例は、表1に記載されている。
本発明はまた、カスパーゼを標的化する方法および理論に関する。一の具体例において、方法は、カスパーゼの永続的な阻害を誘導する自殺基質を設計することからなる。好ましくは、該方法は、カスパーゼ酵素を不可逆的に基質と結合させ、これにより、カスパーゼの永続的な阻害を誘導する方法で、カスパーゼ、特に1個またはそれ以上の特異的カスパーゼ類がそれに適合し、特定の位置で潜在的に開裂するのに十分認識できる基質を設計することからなる。ある具体例において、本発明の自殺基質は、ビニル電子吸引基(EWG)である。
本発明のさらなる態様は、本明細書の記載および特許請求の範囲ならびに一般化により、当業者に明らかだろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な記載
A)本発明の総括
本発明者らは、有益な医薬特性を有する化合物、およびそれらの化合物が、カスパーゼ介在疾患、例えば、敗血症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、脊髄傷害(SCI)、外傷性脳傷害(TBI)および神経変性疾患(例えば、多発性硬化症(MS)およびアルツハイマー、パーキンソン、およびハンチントン病)での使用に有用であることを見出した。
【0013】
B)本発明の化合物
概して、本発明は、式I:
【化1】

[式中、A、PX、P5、P4、P3、P2、R、R、aおよびbは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物またはそのプロドラッグまたはまたは細胞膜に薬剤を浸透させることができるその医薬上許容される塩、あるいは検出可能な標識またはアフィニティタグで標識化された化合物に関する。
【0014】
線「−」は、P2、P3、P4、P5およびPXの間に存在する場合、ペプチド結合またはペプチド模倣結合を意味する;PX、P5、P4、P3、P2アミノ酸残基は、通常、ペプチド結合を介して、すなわち、ペプチド性カルバモイル基、すなわち−−CONH−−を介している。しかしながら、ペプチド模倣結合はまた、例えばCH−NH、CO−CH、アザペプチドおよびretro−inverso型結合を意図する。
【0015】
ビニル基に結合するRおよびRは、波線で示される場合、cis配置またはtrans配置のいずれであってもよい。一の例において、Rは、R基の電子吸引能力を安定化させるために、transで配置される。
【0016】
本発明の範囲には、さらに、式IA:
【化2】

[式中、A、AA、AA、AA、AA、AA2、、R、aおよびbは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物またはそのプロドラッグまたはまたは細胞膜に薬剤を浸透させることができるその医薬上許容される塩、あるいは検出可能な標識またはアフィニティタグで標識化された化合物が含まれる。
【0017】
かくして、aおよびbが共に0である場合、本発明は、式II:
【化3】

[式中、A、AA、AA、AA2、、およびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0018】
さらに、aが0であり、bが1である場合、本発明は、式III
【化4】

[式中、A、AA、AA、AA、AA、R、およびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0019】
式IIで示される化合物の一のサブセットは、式IIA:
【化5】

[式中、A、AA、AA、AA2、、およびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0020】
式IIIで示される化合物の一のサブセットは、式IIIA:
【化6】

[式中、A、AA、AA、AA、AA2、、およびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0021】
aおよびb:
本発明の化合物の一のサブセットにおいて、aは0または1であり;bは0または1である:ただし、bが0である場合、aは0である。
一の例において、aおよびbは共に0である。
他の例において、aは0であり、bは1である。
【0022】
A:
一のサブセットにおいて、Aは
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)アリール、
4)ヘテロアリール、
5)ヘテロサイクリル、
6)R−OC(O)−;
7)R−C(O)O−、または
8)R−S(O)
であり;
ここに、R
1)C−Cアルキル、
2)アリール、
3)ヘテロアリール、または
4)ヘテロサイクリル
である。
一の例において、AはHである。
一の例において、AはR−OC(O)−である。
一の例において、AはPhCHOC(O)−である。
【0023】

一のサブセットにおいて、R
1)アリール、
2)ヘテロアリール、
3)ヘテロサイクリル、
4)C−Cアルケン−R20
5)SO
6)SO
7)SOR
8)SONHR
9)SONHR
10)CN、
11)CO
12)COR
13)PO
14)PO(OR、または
15)PO(OR
から選択される電子吸引基(EWG)であり;
ここに、該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよい。
【0024】

一のサブセットにおいて、R
1)R;または
2)H、
3)ハロゲン、
4)ハロアルキル、
5)C−Cアルキル、
6)C−Cアルケン、
7)C−Cシクロアルキル、
8)OR
9)OCOR
10)OCO
11)NR
12)NHSO
13)NHCOR
14)アリール、
15)ヘテロアリール、または
16)ヘテロサイクリル
であり;
ここに、R、R、R、RおよびRは、本明細書の記載と同意義である。
一の例において、RはHである。
他の例において、Rはハロゲンである。
さらに別の例において、RはClである。
【0025】

一のサブセットにおいて、R
1)H、または
2)メチル、エチル、プロピル、またはtert−ブチル
である。
一の例において、RはHである。
【0026】

一のサブセットにおいて、R
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cアルケン、
4)C−Cシクロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、または
8)保護されていてもよい(D)または(L)アミノ酸残基
である。
【0027】

一のサブセットにおいて、R
1)(D)または(L)アミノ酸残基、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、
ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよい。
【0028】
およびR
一のサブセットにおいて、RおよびRは、独立して:
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、または
7)ヘテロサイクリル
から選択され、
ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく、該アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよい。
【0029】

一のサブセットにおいて、R
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、
ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;ここに、該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよい。
【0030】
10
一のサブセットにおいて、R10は、独立して:
1)ハロゲン、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、
8)OR
9)S(O)
10)NR
11)COR
12)C(O)OR
13)OC(O)R
14)SC(O)R
15)CONR、または
16)S(O)NR
から選択され、ここに、R、R、Rは、本明細書の記載と同意義であり;
mは0、1、または2の整数である。
【0031】
20
一のサブセットにおいて、R20は、独立して:
1)ハロゲン、
2)NO
3)CN、
4)C−Cアルキル、
5)ハロアルキル、
6)C−Cシクロアルキル、
7)OR
8)NR
9)SR
10)アリール、
11)ヘテロアリール、
12)ヘテロサイクリル、
13)SO
14)SO
15)SOR
16)SONHR
17)SONHR
18)PO
19)PO(OR
20)PO(OR)、
21)COR
22)CO
23)S(O)
24)CONR、または
25)S(O)NR
から選択され、ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよく、
ここに、R、Rおよびmは、本明細書の記載と同意義である。
【0032】
30
一のサブセットにおいて、R30
1)NO
2)C−Cアルケン−R20
3)SO
4)SOR
5)SONHR
6)SONHR
7)CN、
8)CO
9)COR
10)PO
11)PO(OR、または
12)PO(OR
であり、ここに、RおよびR20は、本明細書の記載と同意義である。
【0033】
カスパーゼ3阻害剤
本発明は、式IIA:
【化7】

[式中
AAは、Val、Leu、Pro、Met、Ala、Thr、Hisのアミノ酸側鎖であり、
AAは、Trp、Tyr、Ala、Asp、Glu、Gln、Phe、Ser、Thr、Val、Tyr、Gly、Leuのアミノ酸側鎖であるか;またはAAは、フェニルグリシン、インダニルグリシン、またはAla−(2’−キノリル)であり;
AAは、Aspのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0034】
カスパーゼ8/カスパーゼ9阻害剤
本発明は、式IIA:
【化8】

[式中
AAは、Thr、His、Val、Trp、Ile、またはAlaのアミノ酸側鎖であり、
AAは、Gluのアミノ酸側鎖であるか、またはAAはAla−(2’−キノリル)であり;
AAは、Ile、Leu、Glu、Asp、Ala、ProまたはValのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0035】
カスパーゼ2阻害剤
本発明は、式IIIA:
【化9】

[式中
AAは、Ala、Ser、LysまたはValのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Val、Glu、Thr、またはGlnのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Asp、またはLeuのアミノ酸側鎖であり;
AAは、ValまたはLeuのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0036】
カスパーゼ1阻害剤
本発明は、式IIA(カスパーゼ1阻害剤):
【化10】

[式中
AAは、Val、Ala、Thr、またはHisのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Glu、Gln、Asp、Ala、Gly、Thr、Val、Trpのアミノ酸側鎖であるか;またはAAはフェニルグリシンまたはインダニルグリシンであり;
AAは、Tyr、Trp、Phe、またはAspのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、本明細書の記載と同意義である]
で示される化合物を含む。
【0037】
本発明により合成される化合物および中間体化合物は、表1に記載のものを含む:
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【0047】
【表11】

【0048】
【表12】

【0049】
【表13】

【0050】
【表14】

【0051】
【表15】

【0052】
【表16】

【0053】
定義
特記しない限り、以下の定義を用いる:
単数形「a」、「an」および「the」は、明確に特記しない限り、対応する複数形も含み得る。
本明細書で用いられる場合、「含む」なる用語は、「含む」の前の要素のリストを必要とするが、他の要素は任意であり、存在してもしなくてもよい。
本明細書で用いられる場合、「からなる」なる用語は、「からなる」なる用語の前のいずれのものを含み、限定されることを意味する。かくして、「からなる」なる用語は、記載された要素を必要とし、他の要素は存在しなくてもよい。
【0054】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」なる用語は、所定の数の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基を含み、例えばC−C−アルキルにおけるC−Cは、直鎖または分枝鎖配置上に1、2、3、4、5または6個の炭素を有する基を含むものとして定義される。上記したように、C−C−アルキルおよびC−Cアルキルの例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
【0055】
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」なる用語は、特定の数の炭素原子および少なくとも2つの炭素原子が互いに二重結合で結合されており、EまたはZ位置化学およびその組み合わせを有する、不飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。例えば、C−CアルケニルにおけるC−Cは、直鎖または分枝鎖配置上に1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有し、少なくとも2個の炭素原子基が互いに二重結合で結合している基を定義する。C−Cアルケニルの例としては、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル等が挙げられる。
【0056】
本明細書で用いられる場合、「シクロアルキル」なる用語は、特定の数の炭素原子を有する単環式飽和炭化水素基を意味し、例えば、C−CシクロアルキルにおけるC−Cは、単環配置中に、3、4、5、6、または7個の炭素原子を有する基として定義される。上記したようなC−Cシクロアルキルの例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含む。
【0057】
本明細書で用いられる場合、「ハロ」または「ハロゲン」なる用語は、フッ素、塩素、臭素および要素を意味する。
本明細書で用いられる場合、「ハロアルキル」なる用語は、各水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい、上記したアルキルを意味する。ハロアルキルのれいとしては、限定するものではないが、CHF、CHFおよびCFが挙げられる。
【0058】
本明細書で用いられる場合、「アリール」なる用語は、単独または他のラジカルと組み合わせて用いられる場合、6個の炭素原子を含有する単環式芳香族炭素環基を意味し、これは、さらに、第二の5−または6−員の炭素環と縮合していてもよく、該炭素環は、芳香族であっても、飽和または不飽和であってもよい。アリールは、限定するものではないが、フェニル、インダニル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびテトラヒドロナフチルを含む。アリールは、シクロアルキル環または芳香環上の適当な位置で他の基と結合していてもよい。
【0059】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロアリール」なる用語は、少なくとも1つの環が芳香環であり、O、N、およびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、10個までの原子の単環式または二環式系を意味する。ヘテロアリール置換基は、環炭素原子またはヘテロ原子の1つを介して結合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[b]チエニル、フリル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルアジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、イソチアゾリル、イソクロマニル、クロマニル、イソキサゾリル、フラザニル、インドリニル、イソインドリニル、チアゾロ[4,5−b]−ピリジン、およびフルオロセイン誘導体が挙げられる。
【0060】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロサイクル」、「ヘテロサイクリック」または「ヘテロサイクリル」なる用語は、O、N、およびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5、6、または7員の非芳香環系を意味する。ヘテロサイクルの例としては、限定するものではないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、およびピラゾリニルが挙げられる。
【0061】
本明細書で用いられる場合、「電子吸引基(EWG)」なる用語は、EWGの電子吸引特性の結果、阻害剤のアルケン結合でカスパーゼのチオール基による求核攻撃を可能にする官能基を意味する。EWGはアルケン結合とコンジュゲートし、EWGの電子吸引特性は、アルケン結合でのカスパーゼによる求核攻撃を可能にする。すなわち、アルケン結合およびEWGは、電子的にコンジュゲートする。かくして、アルケン結合とEWG間の共有結合は、アルケン結合に働くものからEWGの電子吸引特性を保護するだろう干渉基がない、直接的なものである。
【0062】
本明細書で用いられる場合、「検出可能なラベル」なる用語は、本発明の化合物に結合してプローブを産生することができるか、またはカスパーゼに結合し、プローブがカスパーゼに結合した場合に、プローブの標識が直接または間接的な認識を可能にし、検出、測定および低量可能にすることができる基を意味する。
【0063】
本明細書で用いられる場合、「アフィニティタグ」なる用語は、本発明の化合物に、またはカスパーゼに結合して、リガンドまたは基が結合した他の化合物が溶液から抽出されることを可能にする、リガンドまたは基を意味する。
【0064】
本明細書で用いられる場合、「プローブ」なる用語は、検出可能な標識またはアフィニティタグで標識化され、カスパーゼに共有結合または非共有結合が可能である、式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物を意味する。例えば、プローブが非共有結合する場合、それは試験化合物により置換され得る。例えば、プローブが共有結合である場合、それは、試験化合物により定量され、阻害される、架橋付加物を形成するのに用いられ得る。
【0065】
本明細書で用いられる場合、「1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい」なる用語またはそれと同等の「少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい」なる用語は、その前に記載されたイベントが起こっても起こらなくてもよいことそ意味し、この記載は、そのイベントが生じる場合および生じない場合の両方を含む。定義は、0〜5個の置換基を意図る。
【0066】
置換基それ自体が、本発明の合成方法に不適合である場合、その置換基は、これらの方法に用いられる反応条件に適した適当な保護基(PG)で置換してもよい。保護基は、この方法の反応工程の適当な時点で除去して望ましい中間または標的化合物を得ることができる。適当な保護基およびかかる適当な保護基を用いた別個の置換基の保護および脱保護の方法は、当業者によく知られており、その例は、T.Greene and P.Wuts,ProtectingGroups in Chemical Synthesis(3rd ed.),John Wiley & Sons,NY(1999)(出典明示により本明細書に組み入れる)に記載されている。全体として用いられる保護基の例としては、限定するものではないが、Fmoc、Bn、Boc、CBzおよびCOCFが挙げられる。ある場合において、置換基は、本発明の方法に用いられる反応条件下で反応性であるように特異的に選択してもよい。これらの環境下で、反応条件は、選択した置換基を、本発明の方法の中間体化合物に有用な置換基、または標的化合物の望ましい置換基に変換される。
【0067】
全体にわたって用いられるα−アミノ酸の3文字および1文字表記を以下に示す:
【表17】

【0068】
天然アミノ酸の代わりに用いることができる一連の非天然アミノ酸は、限定するものではないが、3−アミノ2−ヒドロキシピリジン;(2フリル)アラニン;1アミノ1シクロヘキサンカルボン酸;(2チエニル)アラニン;2−アミノ安息香酸(2−Abz);2ピリジルアラニン;1アミノ1シクロペンタンカルボン酸;2−アミノ酪酸(2Abu);3アミノ3フェニルプロピオン酸;アミノシクロペンタンカルボン酸(ACPC);4−アミノメチル安息香酸(Amb);アミノイソブチル酸(Aib);p−ベンゾイル−1−フェニルアラニン(Bpa);アリルグリシン;4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(Amc);シクロヘキシル−アラニン(Cha);デルタバリン;デルタロイシン;シアノブチルアラニン(Cba);インダニルグリシン(IgI);3−(2−ナフチル)アラニン(1−NaI);ビフェニルアラニン(Bip);ヒドロキシプロリン(Hyp);イソニペコチン酸(Inp);ノルバリン(Nva);4−ヨウドフェニルアラニン(Phe(pI));4−ニトロフェニルアラニン;4メチルフェニルアラニン;4メチルフェアラニン;ホモフェニルアラニン(hPhe);4−アミノフェニルアラニン(Phe4NH(Boc);フェニルグリシン;ピペコリン酸(Pip);プロパルギルグリシン;チオプロリン(Thz);ブチルグリシン(Tle);3−ニトロチロシンが挙げられる。
【0069】
本明細書で用いられる場合、「残基」なる用語は、α−アミノ酸に用いられる場合、カルボキシ基のヒドロキシルおよびα−アミノ基の1つの水素を除去することにより、対応するα−アミノ酸から誘導されるラジカルを意味する。例えば、Gln、Ala、Gly、lle、Arg、Asp、Phe、Ser、Leu、Cys、Asn、およびTyrなる用語は、それぞれ、L−グルタミン、L−アラニン、グリシン、L−イソロイシン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−ロイシン、L−システイン、L−アスパラギン、およびL−チロシンの残基を意味する。
【0070】
本明細書で用いられる場合、「アミノ酸側鎖」なる用語は、それを別のアミノ酸と区別するためのアミノ酸の化学構造の一部を意味する。アミノ酸構造は、カルボキシル基、アミン基と、個々の側鎖を含む。各々のアミノ酸は、独自の側鎖を有する。これは、同様に非天然アミノ酸にも言える。この側鎖は、プロトンか形態で存在してもしなくてもよい。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「プロドラッグ」なる用語は、生理的な条件下またはまたは加溶媒分解により開裂して、生物学的に活性な本発明の化合物を与えることができる化合物を意味する。かくして、「プロドラッグ」なる用語は、医薬上許容される本発明の化合物の前駆体を意味する。プロドラッグは、それを必要とする患者に投与された場合、不活性であるか、限定された活性を示すが、インビボで本発明の活性化合物に変換される。典型的には、プロドラッグは、インビボで、例えば血中または他の臓器での酵素プロセシングによる加水分解により本発明の化合物を与えるように変換される。プロドラッグ化合物は、しばしば、対象における溶解性、組織適合性または遅延放出の利点を与える(Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7−9,21−24(Elsevier,Amsterdam)を参照)。プロドラッグの定義は、プロドラッグを対象に投与した場合に、インビボで本発明の活性化合物を放出するいずれの共有結合担体を含む。本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の化合物に存在する官能基を、修飾部が慣用的な操作またはインビボで開裂して本発明の親化合物を与えるようないずれの方法で修飾することにより調製することができる。
【0072】
本明細書で用いられる場合、「医薬上許容される塩」なる用語は、酸および塩基付加塩の両方を意味する。
本明細書で用いられる場合、「医薬上許容される酸付加塩」なる用語は、遊離塩基の生物学的な有効性および特性を保持し、生物学的または他の望ましくない性質を有さない、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、および有機酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、コハク酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等と形成される塩を意味する。
【0073】
本明細書で用いられる場合、「医薬上許容される塩基付加塩」なる用語は、遊離塩基の生物学的な有効性および特性を保持し、生物学的または他の望ましくない性質を有さない塩を意味する。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に付加することにより調製される。無機塩基から誘導される塩は、限定するものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、限定するものではないが、一級、二級および三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩が挙げられる。
【0074】
本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、1個またはそれ以上の不斉中心、キラル軸およびキラル面を有し、かくして、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体を与え、絶対立体配置、例えば(R)−または(S)−またはアミノ酸に関しては(D)−または(L)−で定義される。本発明は、すべての可能性ある異性体、ならびにラセミ体および光学的に純粋な形態を含む。光学活性(+)および(−)、(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製することができるか、または慣用的な方法、例えば逆相HPLCを用いて分割することができる。ラセミ混合物を調製し、その後、別個の光学異性体に分割してもよく、これらの光学異性体をキラル合成により調製してもよい。エナンチオマーは、当業者に公知の方法、例えばジアステレオマー塩を形成し、ついで、結晶化により分割すること、ガス−液体または液体クロマトグラフィー、エナンチオマー特異性試薬と一のエナンチオマーの選択的反応により分割することができる。当業者には、望ましいエナンチオマーが分割手法により他の化合物に変換する場合、付加的な工程が望ましいエナンチオマーの形成に必要であることは明らかだろう。別の特定のエナンチオマーは、光学活性試薬、基質、血漿または溶媒を用いる不斉合成により、または一のエナンチオマーを不斉転換により他のエナンチオマーに変換することにより合成できる。
【0075】
ある種の本発明の化合物は、エピマーの混合物として存在し得る。エピマーは、代表的な化合物に存在する2つまたはそれ以上の立体中心のただ1つで反対の配置を有するジアステレオマーを意味する。
本発明のある種の化合物は、両性イオン形態で存在することができ、本発明は、化合物の両性イオン形態およびその混合物を含む。
【0076】
加えて、本発明の化合物はまた、水和物および無水物として存在し得る。本明細書に記載のいずれの式で示される化合物の水和物は、本発明の化合物に含まれる。さらなる具体例において、本明細書に記載のいずれの式で示される化合物は、一水和物である。一の具体例において、本発明の化合物は、約10%またはそれ未満、約9%またはそれ未満、約8%またはそれ未満、約7%またはそれ未満、約6%またはそれ未満、約5%またはそれ未満、約4%またはそれ未満、約3%またはそれ未満、約2%またはそれ未満、約1%またはそれ未満、約0.5%またはそれ未満、約0.1%またはそれ未満(重量に基づく)の水を含む。他の具体例において、本発明の化合物は、約0.1%またはそれ以上、約0.5%またはそれ以上、約1%またはそれ以上、約2%またはそれ以上、約3%またはそれ以上、約4%またはそれ以上、約5%またはそれ以上、または約6%またはそれ以上(重量に基づく)の水を含む。
【0077】
C)調製方法
本発明の化合物の合成の一般方法を以下に示す。これは、単い説明を目的とするものであり、他のいずれの方法による本発明の製造方法を限定することを意図するものではない。
当業者は、多くの方法が本発明の化合物の調製に利用できることを理解できるだろう。
【0078】
これらの化合物の調製に用いられる出発物質および試薬は、容易に業者、例えばSigma−Aldrich Chemicals,Anaspecまたはchemipexから入手することができる。
出発物質および反応中間体は、慣用的な技法、例えばクロマトグラフィー(Biotageフラッシュクロマトグラフィー)、ろ過、蒸留等を用いて所望により単離精製することができる。かかる物質は、慣用的な分析法、例えばNMRおよびLCMSにより特徴付けることができる。
【0079】
カップリング工程は、適当なカップリグ剤、例えば限定するものではないが、ジイソプロピルカルボジイミド(DPC)、無水ミクスト(イソブチルクロロホルメート)、O−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N,Nテトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HATU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)の存在下行われる。塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、またはN−メチルモルホリンである。反応は、無水混合物形成の場合を除いて(クロロギ酸イソブチル、−5/−13℃)20℃で行われ、アミノ酸のラセミ化を避ける。
【0080】
アミノ保護基の除去は、ジクロロメタン中ピペリジン(Fmoc保護基)で行われる。β−tert−ブチルカルボン酸の除去は、TFAにより行われる。B−tertブチルアスパラギン酸からのN−Bocの選択的除去は、PTSAまたはTFAで0℃で行われる。
【0081】
ビニルスルホン機能は、限定するものではないが、以下の実施例の例示として説明される。当業者であれば、他のビニル電子吸引基(EWG)が、本発明に用いられ得ることは理解できるだろう。ベンジルオキシカルボニル(Z)は、細胞への薬剤の浸透を促進することができるリンカーの例として説明される。他のX−R3もまた同様に用いられることは理解できるだろう。アリル基は、市販のAA−Oアリル保護形態を用いることにより直接導入されるか、または対応するアミノ酸AA−OHから合成された。
【0082】
これは収束合成であり、カップリング工程の前に、2つの異なるフラグメント(自殺型阻害剤リンカーおよびペプチドまたはペプチド様フラグメント)の構成からなる。
【0083】
式1a:
【化11】

で示される化合物は、以下に記載の方法により調製することができる。
【0084】
左側の合成:
アリル基は、市販のAA−Oアリル保護形態を用いることにより直接誘導するか、または保護アミノ酸fmoc−AA−OHおよびアリルアルコール(EDC、DMAPcat、NMM、CHCl/DMF(5/1))、ついで、fmoc脱保護(ピペリジン、CHCl)により合成された。
【0085】
下記スキームに示されるように、AA−Oアリルを、Fmoc−AA−OHと、カップリング剤、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いてカップリングさせ、ついで、ピペリジンでfmocを脱保護して、AA−AA−Oアリル(中間体A)を得、(Z)AA−OHとカップリングさせて、(Z)AA−AA−AA−Oアリル(中間体B)を得、アリル基を除去して(テトラキス)、C−末端カルボン酸(トリペプチドA)を遊離させた。
【0086】
【化12】

【0087】
右側の合成:
以下のスキームに提示される自殺基質は、Aspα−クロロビニルメチルスルホンである。
共通中間体Boc−Asp(B−tert−ブチル)−Hは、Boc−Asp(B−tert−ブチル)−N−ヒドロキシスクシニミドエステルから、(Mancuso A et al.,1981,William R.Ewing et al.,1999およびWonBumJang.2004)に記載のように合成する。
アルデヒドを、WadsworthおよびEmmonsの方法で、ジエチルクロロ(メチルスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)α−クロロビニル−メチルスルホンを得る。
【0088】
【化13】

【0089】
カップリング工程合成
Aspαクロロビニルメチルスルホン塩およびペプチドを、カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC;Dragovich P.,S.,1999)の存在下でカップリングして、Aspα−クロロビニルメチルスルホンペプチド誘導体を得る。
【0090】
【化14】

【0091】
式1bで示される化合物は、以下に記載の方法により調製することができる。
【化15】

【0092】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Aspα−クロロビニルフェニルスルホンである。
WadsworthおよびEmmonsの方法で、アルデヒドを、ジエチルクロロ(メチルスルホン)フェニルホスフェートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)α−クロロビニルフェニルスルホンを得る。
【0093】
【化16】

【0094】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下でのAspα−クロロビニルフェニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspα−クロロビニルフェニルスルホンペプチド誘導体が得られる。
【0095】
式1cで示される化合物は、以下の方法により調製することができる。
【化17】


【化18】

【0096】
右側の合成
以下のスキームに提示される自殺基質は、Aspα−メトキシビニルメチルスルホンである。
ジエチルメチルチオメチルホスホネートの酸化は、ジエトキシホスフィニルホルムアルデヒドのO、S−アセタールを与えるNaOMe/MeOH(COで飽和)中でのアノード酸化を含み、酸化により、対応するスルホンをジエチルメトキシ(メチルスルホン)フェニルホスホネートとして得る(Shankaran,K et al.2001)。
WadsworthおよびEmmonsの方法で、アルデヒドをジエチルメトキシ(メチルスルホン)フェニルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)α−メトキシビニルメチルスルホンを得る。
【0097】
【化19】

【0098】
カップリング工程合成
カップリング剤(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Aspα−メトキシビニルメチルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspα−メトキシビニルメチルスルホンペプチド誘導体を得た。
【0099】
【化20】

【0100】
式1dで示される化合物は、以下の方法により調製することができる。
【化21】

【0101】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Asp(B−メチル)メチルビニルスルホンである。
Boc−Asp(B−メチル)−N−ヒドロキシスクシニミドエステルを還元して、対応するアルコール(NaBH、THF)を得、ついで、酸化(塩化オキサリル、DMSO)して、アルデヒド:Boc−Asp(B−メチル)−Hを得る。
【0102】
WadsworthおよびEmmonsの方法で、Boc−Asp(B−メチル)−Hをジエチル(メチルスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理してい、対応するBoc−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホンを得る。
【0103】
【化22】

【0104】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Asp(β−メチル)メチルビニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程は、Asp(β−メチル)メチルビニルスルホンペプチド誘導体である。
【0105】
【化23】

【0106】
式1eで示される化合物は、下記の方法により調製することができる。
【化24】

【0107】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質はAspメチルビニルスルホンである。
共通中間体Boc−Asp(B−tert−ブチル)−Hは、(MancusoAetal.,1981,WilliamR.Ewingetal.,1999およびWonBumJang.2004)に記載のように、Boc−Asp(B−tert−ブチル)−N−ヒドロキシスクシニミドエステルから合成する。
Wadsworth and Emmons,1961およびPalmer et al.1995の方法で、アルデヒドを、ジエチル(メチルスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホンを得る。
【0108】
【化25】

【0109】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Aspメチルビニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspメチルビニルスルホンペプチド誘導体を得る。
【0110】
【化26】

【0111】
式1fで示される化合物は、下記の方法により調製することができる。
【化27】

【0112】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Aspフェニルビニルスルホンである。
ジエチル フェニルスルホニルメチルホスホネートを、ベンゼンスルホニルフルオライドおよびトリエチルホスホランから、リチウムヘキサメチルジシラジドの存在下で、一工程で得た(Won Bum Jang et al.,1998)。
Wadsworth and Emmons,1961およびPalmeretal.1995の方法で、アルデヒドを、ジエチル(フェニルスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)フェニルビニルスルホンを得た。
【0113】
【化28】

【0114】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Aspフェニルビニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspフェニルビニルスルホンペプチド誘導体を得る。
【0115】
【化29】

【0116】
式1gで示される化合物は、下記の方法により調製することができる。
【化30】

【0117】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Aspフェノキシビニルスルホンである。
ジエチル(フェノキシスルホン)メチルホスホネートを、メタンスルホニルフェノキシおよびジエチルクロロホスホネートから、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの存在下で得た。ついで、酸化(AcOH、H)して、対応するスルホンを得た。
WadsworthおよびEmmonsの方法で、アルデヒドをジエチル(フェノキシスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホンを得た。
【0118】
【化31】

【0119】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Aspフェノキシビニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspフェノキシビニルスルホンペプチド誘導体を得た。
【化32】

【0120】
式1hで示される化合物は、下記の方法により調製することができる。
【化33】

【0121】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Aspモルホリンビニルスルホンである。
ジエチル(モルホリンスルホン)メチルホスホネートを、メタンスルホニルモルホリンおよびクロロチルホスホネートから、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの存在下で得た。
WadsworthおよびEmmonsの方法で、アルデヒドをジエチル(モルホリンスルホン)メチルホスホネートのナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−tert−ブチル)モルホリノビニルスルホンを得た。
【0122】
【化34】

【0123】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Aspモルホリンビニルスルホン塩およびペプチド間のカップリング工程により、Aspモルホリンビニルスルホンペプチド誘導体を得る。
【0124】
【化35】

【0125】
式1iで示される化合物は、以下の方法により調製することができる。
【化36】

【0126】
右側の合成
スキームに提示される自殺基質は、Asp(B−メチル)−ビニルスルホン誘導体である。
Boc−Asp(B−メチル)−N−ヒドロキシスクシニミドエステルを還元して、対応するアルコール(NaBH、THF)を得、ついで、酸化(塩化オキサリル、DMSO)して、アルデヒドBoc−Asp(B−メチル)−Hを得た。
WadsworthおよびEmmonsの方法で、Boc−Asp(B−メチル)−Hをジエチル(メチルスルホン)ホスフェート誘導体のナトリウムアニオンで処理して、対応するBoc−Asp(β−メチル)ビニルスルホン誘導体を得る。
【0127】
【化37】

【0128】
カップリング工程合成
カップリング剤、例えば(クロロギ酸イソブチル、NMM)または(HOBT、NMM、EDC)の存在下での、Asp(β−メチル)ビニルスルホン誘導体塩およびカスパーゼ−3設計ペプチド間のカップリング工程により、Z−Asp(β−メチル)−AA−AA−Asp(β−メチル)ビニルスルホンペプチド誘導体を得る。
このアプローチは、ビニルスルホン誘導体の種々のプロドラッグ合成を可能にし、これは、適当な組み合わせ(X、R)を選択し、上記した適当な方法を適用することにより容易に得ることができる。かかる組み合わせは、細胞浸透性、選択性および能力を増強することができる。
【0129】
【化38】

【0130】
本明細書に記載の化合物のすべての酸、塩および他のイオン性および非イオン性形態は、本発明の化合物に含まれる。例えば、化合物が酸として記載される場合、その化合物の塩形態もまた含まれる。同様に、化合物が塩として示される場合、酸形態もまた含まれる。
ある種の具体例において、本発明の化合物は、一般式式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAにより示されるか、またはその医薬上許容される塩および/またはプロドラッグである。
【0131】
D)特異的カスパーゼ阻害剤の作成
本発明のさらなる態様は、カスパーゼ阻害剤の設計方法に関する。以下に説明する同様の方法に従って、当業者には、式IIで示される化合物、例えば、Z−Asp−Phg−Val−AspVSメチル(53)の、カスパーゼ−3に対する能力を増強し、さらにカスパーゼ、例えばカスパーゼ−2、カスパーゼ−8、カスパーゼ−9およびカスパーゼ−1を選択的に阻害するようにすることができることは明らかだろう。
【0132】
知られているように、すべてのカスパーゼは、基質を、P1位置でアスパラギン酸アミノ酸の右側で開裂する。しかしながら、カスパーゼ−3は、P4位置でのさらなるAspを必要とし、これによりカスパーゼ−3にその選択性を与えている。
【化39】

【0133】
本願明細書の表2に示されるように、自殺基質、例えばAspVSメチル(化合物93)およびAsp(Otbu)VSメチル(化合物33)は、カスパーゼ−3に対するいずれの活性ももっていない。基質z−Asp(Otbu)−Phg−val−OH(化合物16)もまた、カスパーゼ−3に対する活性を持っていない。しかしながら、ペプチドおよび自殺因子の融合化合物、z−Asp−Phg−Val−AspVSメチル(化合物53)は、30−90nMのIC50を有する、カスパーゼ−3の非常に有用な阻害剤であることが証明されている。カスパーゼ−7がカスパーゼ−3と同じグループに属する場合でさえも、このカスパーゼのIC50は、約12倍高いので、阻害は選択的である。P3位置でPhgをAla(2’−キノリル)に置き換えると、さらに選択性が増強される(約56倍異なる、化合物55を参照)。
【0134】
z−Val−AspVSメチル(化合物61)で見られるように、P4およびP3位置でのアスパラギン酸およびAla(2’−キノリル)の両方の欠失は、カスパーゼ−3に対する活性を完全に無効にする。同じ結果が、z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspアルファクロロビニルメチルスルホン(化合物48)に対して、アスパラギン酸が欠失したz−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspアルファクロロビニルメチルスルホンの例(化合物50)においてのみ観察された。
【0135】
P3およびP2位置での変化
P3およびP2位置の両方のアミノ酸は、選択的にカスパーゼ−3を標的化することができ、他のカスパーゼも選択的に標的化することが観察することが観察されている。以下の例がこの可能性を強調している:(1)Ala(2’−キノリル)(化合物55)を、P3位置でインダリルグリシンに置換して、z−Asp−インダリルグリシン−Val−AspVSメチル(化合物57)を得る。この置換は、カスパーゼのグループIIIに対する阻害効果を増強し(カスパーゼ−3(30−90nM)および7(0.18−0.30uM)、約29倍弱い効果で、グループ1に対して阻害効果を増強する(カスパーゼ−1(0.6−1.2uM))。(2)P3位置でのTrpの存在(z−Asp−Trp−Val−AspVSメチル;化合物88)は、カスパーゼ−3に対する選択性を保持し(30−90nM)、カスパーゼ−1に対するさらなる活性を生じる(0.6−1.2uM)。したがって、この分子は、2つの異なる群、すなわち前炎症およびプロアポトーシス群に属する2種のカスパーゼを選択的に阻害する能力を有する。(3)P−3位でのグルタミン酸の存在(z−Asp−Glu−Val−AspVSメチル;化合物59)により、カスパーゼ−3に対する選択性が保持され(IC50 20nM)、さらにカスパーゼ−7(IC50 42nM)およびカスパーゼ−9(509nM)に対する活性が生じる。したがって、この分子は、異なる二つの群、すなわちイニシエーターおよび実行カスパーゼに属する2種のカスパーゼを選択的に阻害する能力を有する。
【0136】
P4位置における変化
P4位置における変化もまた、所定の阻害剤の選択性に影響を与える。対応するカスパーゼ−1ポケットにP4位で十分に適合することが示されているアミノ酸は、チロシンである。したがって、z−Tyr−Val−Ala−AspVSフェニル(化合物96)を、異なるカスパーゼに対して試験し、カスパーゼ−1に対して選択的であることが示された(IC50 1.2−1.5μM)。対応するカスパーゼ−1ポケットにP3位置で適合することが示されているアミノ酸は、グルタミン酸である。したがって、z−Tyr−Glu−Ala−AspVSメチル(化合物82)を異なるカスパーゼに対して試験し、カスパーゼ−1の阻害は、0.5μMに増強された。
【0137】
これらの具体的な例は、グループIIIのカスパーゼにより認識される配列に基づいて、選択的カスパーゼ−3阻害剤を製造する可能性を示している。本明細書に記載の同じアプローチに従って、さらなるカスパーゼを選択的に阻害すること、さらに選択したカスパーゼに対する能力を改善することができる。
【0138】
選択的カスパーゼ−3阻害剤の設計
一の具体例において、この方法は、下記一般式D1:
−(P3)−(P2)−D−自殺基質 (D1)
[式中
P2は、下記アミノ酸:V、L、P、M、A、T、およびHから選択され;
P3は、下記アミノ酸:Phg、E、インダニルグリシン、W、Y、A、D、Ala−(2’−キノリル)、Q、F、S、T、V、Y、G、Lから選択され;
は(D)または(L)アスパラギン酸であり;
は、(D)または(L)アスパラギン酸の側鎖である]
を有する化合物の合成を含む。
【0139】
以下の化合物(DEVD−ビニルフェニルスルホン)は、カスパーゼ−3を選択的に阻害するように設計された、配列(すなわち、DはCbz−アスパラギン酸であり;P3はGluであり;P2はValであり;DはAspであり;自殺基質はビニルフェニルスルホンである)を有する化合物の例である。
【化40】

【0140】
選択的カスパーゼ−8/カスパーゼ−9阻害剤の設計
一の具体例において、この方法は、以下の一般式式D2:
(P4)−(P3)−(P2)−D−自殺基質 (D2)
[式中:
P2は、下記アミノ酸:T、H、V、W、I、およびAから選択され;
P3は、下記アミノ酸:E、Ala(2’−キノリルから選択され;
P4は、下記アミノ酸:I、L、E、D、A、P、およびVから選択され;
Dは、(D)または(L)アスパラギン酸の側鎖であり、自殺基質はビニルフェニルスルホンである]
を有する化合物の合成を含む。
【0141】
下記は、カスパーゼ−8を選択的に阻害するように設計された配列(すなわち、P4はCbz−Lであり;P3はGluであり;P2はHisであり;DはAspであり、自殺基質はビニルフェニルスルホンである)を有する化合物の例である。
【化41】

【0142】
選択的カスパーゼ−2阻害剤の設計
一の具体例において、この方法は、下記一般式D3:
(P5)−(P4)−(P3)−(P2)−D−自殺基質 (D3)
[式中:
P2は、下記アミノ酸:A、S、KおよびVから選択され;
P3は、下記アミノ酸:V、E、TおよびQから選択され;
P4は、下記アミノ酸:DおよびLから選択され;
P5は、下記アミノ酸:VおよびLから選択され;
Dは、(D)または(L)アスパラギン酸の側鎖であり;
自殺基質は、ビニルフェニルスルホンからなる群から選択される]
を有する化合物の合成を含む。
【0143】
下記は、カスパーゼ−2を選択的に阻害するように設計された配列(すなわち、P5がCbzValであり;P4はAspであり;P3はGluであり;P2はHisであり、DはAspであり、自殺基質はビニルフェニルスルホンである)を有する化合物(VDEHD−ビニルフェニルスルホン)の例である。
【化42】

【0144】
選択的カスパーゼ−1阻害剤の設計
一の具体例において、この方法は、下記一般D4:
(P4)−(P3)−(P2)−D−自殺基質 (D4)
[式中:
P2は、下記アミノ酸:V、A、T、およびHから選択され;
P3は、下記アミノ酸:E、Q、D、A、G、T、V、Ala(2’−キノリル)、インダニルグリシン、およびWから選択され;
P4は、下記アミノ酸:Y、W、F、およびDから選択され;
Dは、(D)または(L)アスパラギン酸の側鎖であり;
自殺基質は、ビニルフェニルスルホンからなる群から選択される]
を有する化合物の合成を含む。
【0145】
下記は、カスパーゼ−2を選択的に阻害するように設計された配列(すなわち、P4はCbzTyrであり;P3はGluであり;P2はHisであり;DはAspであり、自殺基質はビニルフェニルスルホンである)を有する化合物(YEHD−ビニルフェニルスルホン)の例である。
【化43】

【0146】
D)医薬用途
上記および下記に例示するように、本発明の化合物は有用な医薬特性を有し、これらの化合物は、対象の種々の疾患および症状の予防および/または治療に医薬的に適用される。発明者等が意図する医療および医薬への適用は、限定するものではないが、カスパーゼ介在疾患を含む。加えて、本発明の化合物は、細胞インビトロで細胞に有用であり、例えば細胞生存および健康を助成するのに有用である。
【0147】
「対象」なる用語は、血液障害、腎不全、高血圧に付随する炎症−関連疾患、および/または酸化ストレス−関連障害が生じた、またはかかる症状に為りやすい生存臓器を含む。「対象」なる用語は、動物(例えば、哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)、ウサギ、リス、クマ、霊長類(例えば、チンパンジー、サル、ゴリラおよびヒト)、ならびに鳥類(例えば、チキン、アヒル、北京ダック、ガチョウ)、およびその遺伝子組み換え種を含む。好ましくは、対象は哺乳動物である。より好ましくは、対象はヒトである。さらにより好ましくは、対象は治療を必要とするヒト患者である。
【0148】
「カスパーゼ介在疾患」なる用語は、すべての疾患、障害および/または症状を含み、これらは、1個またはそれ以上のカスパーゼ−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12が、有意な役割を果たしている。ある具体例において、カスパーゼ−介在疾患は、主に、実行カスパーゼ(カスパーゼ−3、6、7)に関連する。他の具体例において、カスパーゼ−介在疾患は、主に、イニシエーター(カスパーゼ−2、8、9、10)に関連する。ある具体例において、本発明で示される化合物は、一の特定のカスパーゼに対して高い特異性を示す。他の具体例において、。本発明の化合物は、2群のカスパーゼを阻害することができる。また、別の態様において、本発明化合物は、異なる2群のカスパーゼに属する2種の特定のカスパーゼを阻害することができる。
【0149】
本発明によるカスパーゼ−介在疾患の例として、限定するものではないが、アポトーシス介在疾患、IL−1介在疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、増殖性疾患、感染症、変性疾患、網膜疾患、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵炎、喘息、呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、グレーブス疾患、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、肝臓炎、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、皮膚炎、移植片対宿主疾患、移植臓器拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、多発性骨髄腫−関連疾患、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、敗血症、敗血性ショック、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV−関連脳炎、老化、卒中による神経損傷、潰瘍性結腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、肝臓−関連疾患、腎疾患、およびHIV感染症を含む。
【0150】
本明細書で用いられる場合、「予防する」または「予防」なる用語は、疾患または障害を獲得するリスクの可能性(またはその感受性)を少なくとも減少させること(疾患に曝されるか、または疾患にかかり易いが、未だ疾患の兆候を経験していない、または兆候が現れていない患者において、疾患の少なくとも1つの臨床的な兆候が進行ないようにすること)を意図する。かかる患者を同定するための生物学的および生理学的パラメータは、本願明細書に提供され、医師には公知である。
【0151】
患者の「治療」または「治療する」なる用語は、疾患または症状、疾患または症状の兆候、疾患または症状のリスク(または感受性)の安定化、治癒、治療、緩和、軽減、改善、悪化の減少、改良、改善または影響を目的として、対象に本発明の化合物を適用または投与すること(または、本発明の化合物を対象から細胞または組織に適用または投与すること)を含む。「治療する」なる用語は、客観的または主観的パラメータ、例えば軽減;緩和;悪化速度の減少;疾患の重症度の減少;安定性、より健康な対象の傷害、病理または症状の兆候または発症の減少を含む、傷害、病理または症状の治療または緩和における成功兆しを意味する。ある具体例において、「治療」なる用語は、対象の平均寿命の増加および/またはさらなる治療の必要性の遅延も含む。
【0152】
カスパーゼ介在疾患の解決は、本発明の医療および医薬適用の中に含まれる。したがって、一の態様において、本発明は、対象、好ましくはそれを必要とするヒト患者のカスパーゼ介在疾患の予防および/または治療のための方法、化合物および組成物に関する。
本発明のさらなる態様は、細胞におけるカスパーゼまたはカスパーゼ−様蛋白質の阻害のための、カスパーゼまたはカスパーゼ−様蛋白質と有効量の本発明のカスパーゼ阻害剤を接触させることを含む、本明細書に記載の化合物の使用に関する。
【0153】
ある具体例において、対象は、ウイルス感染症に感染していてもよい。したがって、本発明はまた、ウイルス感染症の予防または治療方法であって、それを必要とする対象に有効量の本発明のカスパーゼ阻害剤(またはそれを含む医薬組成物)を投与することを含む方法に関する。これは、細胞カスパーゼの阻害を補助し、それにより、ウイルスの増殖を阻害する。
【0154】
また、具体的な目的は、細胞または組織におけるカスパーゼ活性に影響を受ける過剰アポトーシスの治療方法であって、細胞または組織と有効量の1個またはそれ以上の本発明のカスパーゼ阻害剤(またはそれを含む医薬組成物)を接触させることを含む方法である。
【0155】
また、具体的な目的は、いくらかの幹細胞を部分または完全アポトーシスサイクルから保護することによる、幹細胞増殖のシミュレート方法である。大量の幹細胞を培養する方法は、有効量の1個またはそれ以上の本発明のカスパーゼ阻害剤(またはそれを含む医薬組成物)および幹細胞の培養用培地を含み得る。
【0156】
本発明は、カスパーゼに焦点を当てているが、それに限定されない。例えば、本発明の化合物はまた、限定するものではないが、セリンペプチダーゼ、システインペプチダーゼ、アスパラギン酸ペプチダーゼ、メタロ−ペプチダーゼおよび他の未知の触媒タイプのペプチダーゼを含むさらなるファミリーを阻害するのに有効であると考えられる。本明細書に記載の化合物により阻害され得るさらに詳しいペプチダーゼの一覧については、ZBIGNIEW GRZONKA.Cysteine protease.Industrial Enzymes,181−195,Chapter 11,2007Springerを参照のこと。
【0157】
本発明の方法,化合物および/または組成物の効果の評価、分析および/または確認のために、一連の測定が決定され得る。カスパーゼ機能およびカスパーゼ機能障害のパラメータの定量アッセイが当該分野でよく知られている。カスパーゼ活性の測定のためのアッセイの例を、例示セクションにて記載する。
【0158】
本発明の化合物は、さらに、望ましい血液脳関門BBBを通過する能力に関して分析、試験または確認することができる。多くのインビトロ、インビボおよびインシリコ方法を、BBBを模倣するために薬剤開発の間に用いることができる(Lohmann et al.(2002)Predicting blood−brain barrier permeability of drugs:evaluation of different in vitro assays.J Drug Target 10:263−276;Nicolazzo et al.(2006)Methods to assess drug permeability across the blood−brain barrier.J Pharm Pharmacol 58:281−293)。インビトロモデルは、一次内皮細胞培養および不死化細胞株、例えばCaco−2、BMEC、MDCKを含む。これらの細胞は、スクリーニング法として有用であり、BBB浸透性のために化合物を適当にランク付けることができる。インビボモデル、例えば内頸動脈シングル注入またはかん流、静脈内ボーラス注射、脳拡散インデックスおよび大脳内微小透析は、脳摂取に関してより正確な情報を与え、かかる方法は、ハイスループット浸透アッセイに適していないが、新規画像法(例えば、磁気共鳴映像法およびポジトロン断層撮影法)により補完される。
【0159】
ある種の具体例において、投与される少なくともいくつかのプロドラッグは、胃腸管により吸収された後にのみ、および/または脳に届いた場合にのみ、すなわち、血液脳関門(BBB)を突破した場合にのみ対応する医薬化合物を生成する。
【0160】
E)医薬組成物および処方
本発明の関連する態様は、1個またはそれ以上の本明細書に記載の本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、カスパーゼ−介在疾患の、より具体的には敗血症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、脊髄傷害(SCI)、外傷性脳傷害(TBI)および神経変性疾患(例えば、多発性硬化症(MS)およびアルツハイマー、パーキンソン、およびハンチントン病の予防および/または治療に有用である。
【0161】
本明細書で用いられる場合、「治療的に有効な量」なる用語は、特定の障害、疾患または症状を治療または予防するために対象に投与した場合、該障害、疾患または症状の治療または予防に影響を与えるのに十分な量の化合物を意味する。投与量および治療的に有効な量は、例えば、種々の因子、例えば用いる特定の薬剤の活性、対象の年齢、体重、全体的な健康、生物および食事、投与の回数、投与経路、排出速度および適用される場合、薬剤の組み合わせ、医師が望む対象に与える化合物の効果および化合物の特性(例えば、バイオアベイラビリティ、安定性、有効性、毒性等)、および患者が罹患している特定の障害に応じて変化し得る。加えて、治療的に有効な量は、対象の血液パラメータ(例えば、脂質プロファイル、インスリンレベル、血糖)、病状の重症度、臓器機能または内在疾患またはコンプライアンスに依存する。かかる適当な投与量は、本明細書に記載のアッセイを含む入手可能ないずれのアッセイを用いて決定することができる。1個またはそれ以上の本発明の化合物をヒトに投与する場合、例えば、医師は、最初に比較的低容量で、ついで、適当な応答が得られるまで徐々に投与量を増加することにより処方される。
【0162】
本明細書で用いられる場合、「医薬組成物」なる用語は、少なくとも1種の本発明の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAのいずれかで示される化合物および少なくとも1種の医薬上許容されるビヒクルが存在することを意味する。代表的な本発明の化合物は、表1に記載の化合物およびその医薬上許容される塩を含む。
【0163】
「医薬上許容されるビヒクル」は、化合物と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を意味する。「医薬上許容される」なる用語は、適切でない毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー応答等なく、理論的な利益/リスク比が見合った、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適した薬剤、医薬、不活性成分等を意味する。好ましくは、連邦政府または州政府の監督機関に承認された、または承認見込みであるか、または動物、より具体的にはヒトへの使用に関して米国薬局方または他の広く認識された薬局方に挙げられている化合物または組成物を意味する。医薬上許容されるビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、等)、適当なその混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。医薬上許容されるビヒクルのさらなる例としては、限定するものではないが:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定するものではないが、塩化ナトリウム注入液、リンガー注入液、デキストロース注入液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注入液および乳酸リンガー注入液;水−混和性ビヒクル、例えば、限定するものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプリプロピレングリコール;および非水性ビヒクル、例えば限定するものではないが、コーン油、綿実油、ゴマ油、エチルオレアート、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルが挙げられる。微生物の作用の予防は、抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成することができる。多くの場合において、等張化剤は、例えば、組成物中において、糖、塩化ナトリウム、またはポリアルコール、例えばマンニトールおよびソルビトールが含まれる。注入した組成物の吸収を遅延される長期吸収は、組成物に、吸収を遅延する薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含ませることにより達成される。ナノ粒子、リポソームおよびナノ粒子にコンジュゲートした抗体またはその組み合わせもまた、医薬上許容されるビヒクルとして意図される。
【0164】
ある具体例において、本発明の組成物は、有効量の本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物、好ましくは、化合物Z−Asp−インダニルグリシン−Val−Aspメチルビニルスルホン(57);Z−Asp−Glu−Val−Aspメチルビニルスルホン(59)Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspメチルビニルスルホン(55);Z−Asp−Phg−Val−Aspメチルビニルスルホン(53);Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp−αクロロビニルメチルスルホン(48);Z−Asp(β−メチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホン(51)Z−Asp−Tyr−Val−Aspメチルビニルスルホン(76)Z−Asp−Trp−Val−Aspメチルビニルスルホン(88)またはその医薬上許容される塩を含む。
【0165】
ある具体例において、本発明は、少なくとも1種のカスパーゼが、有意に関連する疾患または他の医学的症状の予防および/または治療用の1個またはそれ以上の本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物を含む、医薬組成物に関する。
【0166】
ある具体例において、本発明は、少なくとも1種のカスパーゼが有意に関連する疾患または他の医学的症状の予防および/または治療用の1個またはそれ以上の本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物を含む医薬組成物に関する。
【0167】
本発明の化合物は、投与前に、適当な技術およびプロシージャを用いて、医薬組成物に処方してもよい。例えば、医薬組成物は、適当な投与(経口、非経口(静脈内(IV)、動脈内(IA)、筋肉内(IM)、デポ−IM、皮下(SC)、およびデポSC)、舌下、鼻腔内(吸入)、随腔内、全身、または直腸)形態に処方される。
【0168】
好ましくは、本発明の化合物は、経口投与することができる。処方は、有利には、単位剤形で提供され、医薬分野でよく知られた方法により調製することができる。これらの処方または組成物の製造方法は、本発明の化合物を医薬上許容されるビヒクル(例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体)および、所望により、1個またはそれ以上の付属の成分と一緒に混合する工程を含む。一般的には、処方は、本発明の化合物を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密に混合し、ついで、必要に応じて、生成物に成形することにより調製される。治療的に有効な組成物中の治療剤の量は、適当な投与量が得られるだろう量である。
【0169】
経口投与に適した本発明の処方は、カプセル(例えば、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル)、サッシェ、ピル、錠剤、ロゼンジ、散剤、顆粒、ペレット、例えば、コートされた(例えば、腸溶性コート)または未コートの糖衣錠の形態で、または水性または非水性液体中の溶液または懸濁液、または水中油型または油中水型液体エマルジョン、またはエリキシルまたはシロップ、またはトローチまたは口腔内洗浄液等の形態であってもよく、これらは各々、活性成分として、予定の量の本発明の化合物を含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストで投与されてもよく、対象の食事に直接含ませてもよい。さらに、ある種の具体例において、これらのペレットは、(a)即時または急速な薬剤放出を与えるように(すなわち、コーティングを有さない);(b)コーティングされ、例えば、経時的な薬剤の徐放性を与えるように;または(c)良好な胃腸管耐性のための腸溶性コーティングが施され処方される。コーティングは、慣用的な方法、典型的にはpHまたは時間依存性コーティングにより為され、本発明の化合物は、所望の位置の近傍で、または種々の時間で所望の作用を発揮するように放出される。かかる剤形は、典型的には、限定するものではないが、1個またはそれ以上のセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、ワックスおよびセラックを含む。
【0170】
経口投与するための固体剤形において、本発明の化合物は、1個またはそれ以上の医薬上許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムまたは下記のいずれか:充填剤または増量剤、例えばでんぷん、ラクトース、シュークロース、グルコース、マンニトール、またはケイ酸;結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、シュークロースまたはアカシア;湿潤剤、例えばグリセロール;崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカでんぷん、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウム;溶解遅延剤、例えばパラフィン;吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート;吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ;滑沢剤、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物;および着色剤と混合することができる。カプセル、錠剤およびピルの場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルに、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて充填剤として用いることもできる。
【0171】
経口組成物は、典型的には、溶液、エマルジョンおよび懸濁液等を含む。かかる組成物の調製に適した医薬上許容されるビヒクルは、当該分野でよく知られている。シロップ、エリキシル、エマルジョンおよび懸濁液用の担体の典型的な成分は、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体シュークロース、ソルビトールおよび水を含む。懸濁液に関して、典型的な懸濁化剤は、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムを含み;典型的にあ湿潤剤は、レシチンおよびポリソルベート80を含み;典型的な防腐剤は、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムを含む。経口液体組成物はまた、1個またはそれ以上の、上記した甘味剤、フレーバー剤および着色剤のような成分を含んでいてもよい。
【0172】
注入使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および滅菌注射溶液または分散液の即時製造用の滅菌散剤を含み得る。すべての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、容易なシリンジアビリティを示す範囲に流動的でければならない。これは、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および真菌の汚染作用に対して保護されていなければならない。滅菌注射可能溶液は、治療剤を、必要な量で、適当な溶媒に、上記した成分の1つまたは組み合わせ中に組み入れ、ついで、滅菌ろ過することにより調製することができる。一般的に、分散液は、治療剤を、分散媒体基剤および上記したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れることにより調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合、製造方法は、活性成分(すなわち、治療剤)と上記した滅菌ろ過溶液からの所望の成分の粉末を得る減圧乾燥および凍結乾燥を含む。
【0173】
医薬処方はまた、吸入によるエアロゾールとしての投与に適するように提供される。これらの処方は、本明細書に記載の式で示される所望の化合物の溶液または懸濁液またはかかる化合物の大量の固体粒子を含む。所望の処方は、小さいチャンバーに置かれ、噴霧される。噴霧は、圧縮空気または薬剤または塩を含有する多量の液体飛沫または固体粒子を形成する超音波エネルギーにより達成される。液体飛沫または固体粒子は、約0.5〜約5ミクロンの範囲の粒度であるべきである。固体粒子は、本明細書に記載の式で示される固体薬剤またはその塩を、当該分野で公知の方法、例えば微粉化によりプロセシングすることにより得ることができる。固体粒子または飛沫の大きさは、例えば、約1〜約2ミクロンである。この点において、市販の噴霧器を、この目的に用いる。エアロゾールとしての投与に適した医薬処方は、液体形態であってもよく、本明細書に記載の式で示される処方は水溶性薬剤またはその塩を、水を含む担体中に含むだろう。界面活性剤を、噴霧器に適用した場合に、所望の大きさの範囲の飛沫の形成を可能にするのに十分な程度に処方の表面張力を低下されるために用いることができる。
【0174】
本発明の組成物はまた、対象に局所投与、例えば対象の表皮または上皮組織上に組成物を直接当てるまたは拡散させることにより、またはパッチを介して経皮的に投与することができる。かかる組成物は、例えば、ローション、クリーム、溶液、ゲルおよび固体を含む。これらの局所組成物は、有効量、通常は少なくとも約0.1%、または約1%〜約5%の本発明の化合物を含み得る。局所投与用の適当な担体は、典型的には、皮膚上に、連続的なフィルムを残し、発汗または浸水による除去に耐える。一般的には、担体は、治療剤を分散するか溶解することができる天然の有機物である。担体は、医薬上許容される皮膚軟化剤、乳化剤、増粘剤、溶媒等を含む。
【0175】
対象の薬剤を全身性デリバリーするのに有用な他の組成物は、舌下、バッカルおよび鼻腔剤形を含む。かかる組成物は、典型的には、1個またはそれ以上の可溶性充填物質、例えばシュークロース、ソルビトールおよびマンニトール;および結合剤、例えばアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。本明細書に記載の流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、酸化防止剤およびフレーバー剤もまた含みうる。
【0176】
本発明化合物はまた、非経口、腹腔内、静脈内、精髄内、随腔内または脳内投与することができる。かかる組成物に関して、本発明の化合物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールそれらの混合物および油中に調製される。貯蔵および使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含み得る。
【0177】
本発明の治療方法はまた、他の治療的に有効な薬剤の投与との、少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される塩の同時投与を含む。したがって、本発明のさらなる態様は、それを必要とする対象の同時治療の方法であって、有効量の第一の薬剤および第二の薬剤を必要とする対象に投与することを含み、第一の薬剤が、式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAに記載の化合物であり、第二の薬剤が上記した障害または疾患のいずれかを予防または治療するためのものである方法に関する。本明細書で用いられる場合、「同時」または「同時治療」または「同時に」なるフレー時における「同時に」なる用語は、第二の薬剤の存在下に、第一の薬剤を投与することを含む。同時治療法は、第一、第二、第三またはさらなる薬剤を同時投与する方法を含む。同時治療法はまた、第一またはさらなる薬剤を、第二またはさらなる薬剤の存在下に投与し、第二またはさらなる薬剤が前もって投与されていてもよい方法を含む。同時治療法は、異なる能動者により段階的に行ってもよい。例えば、一の能動者は対象に第一の薬剤を投与し、第二の能動者は、対象に第二の薬剤を投与し、投与工程は、第一(および/またはさらなる薬剤)を、第二の薬剤(および/またはさらなる薬剤)の存在下に投与する限り、同時またはほぼ同時、または、時間的に離れて行われてもよい。能動者および対象は、同一の実体(例えば、ヒト)であってもよい。
【0178】
したがって、本発明はまた、上記したいずれの疾患または症状の兆候または合併症を予防、減少または排除する方法に関する。この方法は、これを必要とする患者に、少なくとも1種の本発明の化合物を含む第一の医薬組成物および1個またはそれ以上のさらなる活性成分を含む医薬組成物を投与することを含み、すべての活性成分が、1またはそれ以上の治療すべき疾患または症状の兆候または合併症の阻害、減少または排除に有効な量で投与される。一の態様において、第一および第二の医薬組成物を、時間的に、少なくとも約2分空ける。好ましくは、第一の薬剤は、本明細書に記載される、式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む。第二の薬剤は、下記リストの化合物:Z−Asp−Phg−Val−Aspメチルビニルスルホン(53)から選択される。
【0179】
F)スクリーニングアッセイ
本発明の化合物はまた、スクリーニング法においても用いることができる。例えば、これらの化合物は、インビトロおよび/またはインビボでのカスパーゼの活性を追跡する方法に用いることができる。本発明の化合物はまた、カスパーゼ活性鎖に結合する他の化合物を同定するのに有用であり得る。ある具体例において、本発明の化合物は標識化またはタグ化してもよい(例えば、蛍光または放射性標識、アフィニティタグ)。蛍光または放射性標識化合物はまた診断アッセイにおいて有用であり得る。
【0180】
本発明の化合物のカスパーゼへの結合を測定するための多くの方法がある。一の具体例において、カスパーゼは支持体に結合され、本発明の標識化化合物をアッセイに加える。別法として、本発明の化合物を支持体に結合し、カスパーゼを加えることもできる。
【0181】
本発明の化合物はまた、さらなる薬剤候補または試験化合物のスクリーニングのための競合剤として用いることができる。本明細書で用いられる場合、「薬剤候補」または「試験化合物」なる用語は、相互に用いられ、バイオアベイラビリティを試験すべきいずれの分子、例えば、蛋白質、オリゴペプチド、小有機分子、ポリサッカライド、ポリヌクレオチド等を記載する。
【0182】
典型的には、アッセイにて検出されたシグナル(例えば、インビトロ、インビボおよび/または診断で)は、標識の性質に応じて、蛍光、共鳴エネルギー移動、時間分解蛍光、放射性、蛍光偏光、プラズマ共鳴または化学発行等を含む。本発明のスクリーニングアッセイを行うのに有用な検出可能な標識は、蛍光ラベル、例えばフルオレセイン、オレゴングリーン、ダンシル、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、Eu3+;化学発行ラベル、例えばルシフェラーゼ;比色分析ラベル;酵素マーカー;またはラジオアイソトープ、例えばトリチウム、I125等を含む。発明のスクリーニングアッセイを行うのに有用なアフィニティタグは、ビオチン、ポリヒスチジン等を含む。
【0183】
F)キット
本発明の化合物は、所望により、容器(例えば、パッケージ、箱、バイアル等)を含む、キットの一部としてパッケージされていてもよい。キットは、本明細書に記載の方法に従って商業的に用いることができ、本発明の方法において用いるための説明書を含む。さらなるキットは、酸、塩基、緩衝剤、無機塩、溶媒、酸化防止剤、保存剤または金属キレートを含み得る。さらなるキット成分は、1個またはそれ以上のさらなるキット成分を含む、純粋な組成物または水性もしくは有機溶液として提供される。キット成分のいずれかまたはすべては、さらにバッファーを含んでいてもよい。
【0184】
本発明の化合物は、同時に、または別の投与経路で患者に投与してもしなくてもよい。したがって、本発明の方法は、医師により用いられる場合、適当な量の2種またはそれ以上の活性成分を患者に投与することを単純化したキットを含む。
【0185】
本発明の典型的なキットは、少なくとも1種の本発明の化合物、例えば本明細書に記載の式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAで示される化合物またはその医薬上許容される塩の単位剤形および少なくとも1種のさらなる活性成分の単位剤形を含む。本発明の化合物とのコンジュゲートに用いられるさらなる活性成分の例としては、限定するものではないが、本明細書に記載の本発明の化合物と組み合わせて用いることができるいずれの化合物を含む。
【0186】
本発明のキットは、さらに、活性成分を投与するために用いられるデバイスを含み得る。かかるデバイスの例としては、限定するものではないが、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、吸入器、浣腸および坐剤の投与用のディスペンサーが挙げられる。
【0187】
本発明のキットは、さらに、1個またはそれ以上の活性成分を投与するのに用いることができる医薬上許容されるビヒクルを含み得る。例えば、活性成分を非経口投与用に復元すべき固体形態で提供する場合、キットは、活性成分を溶解して、非経口投与に適した微粒子不含滅菌溶液を形成することができる適当なビヒクルの密封容器を含み得る。医薬上許容されるビヒクルの例は、本明細書に記載する。
【0188】
標題は、本明細書において、参照の為、およびあるセクションの位置決めを助けるためのものである。これらの標題は、本明細書に記載の成分の範囲を限定することを意図するものではなく、これらの概念は、全明細書にわたって他のセクションにおいて適用可能である。かくして、本発明は、本明細書に示す具体例に限定することを意図するものではなく、本明細書に記載の主要なおよび新規の特徴に一致する最も広い範囲まで及ぶ。
【0189】
特記しない限り、成分、反応条件、濃度、性質および本明細書および特許請求の範囲で用いられるものを表すすべての数字は、「約」なる用語により修飾されると理解されるべきである。最も少なくとも、個々の数値パラメータは、少なくとも、記載の有効桁を考慮し、通常の丸め方を適用することにより、解釈されるべきである。したがって、反対の記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、得られるべきことに求められる特性に応じて変化し得る値である。具体例の広範囲に記載の数値範囲およびパラメータ設定は概略値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載の数値は、可能な限り精密に記載している。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、実験のバリエーション、試験した測定法、統計分析等により生じる誤差を含む。
【0190】
当業者には、本明細書に記載の特定のプロシージャ、具体例、特許請求の範囲および実施例と等価である数値は、明らかであるか、慣用的な方法を用いて確認することができるだろう。かかる等価物もまた、本発明の範囲に含まれると考えられ、特許請求の範囲により保護される。さらに、本発明を下記実施例にて説明するが、限定として解釈すべきではない。
【実施例】
【0191】
実施例
下記する実施例は、一般式I、IA、II、IIA、III、またはIIIAに含まれるある種の代表的な化合物の調製方法を例示する。いくつかの実施例は、ある種の代表的な本発明の化合物の使用を例示する。また、インビトロおよびインビボで有効な本発明の化合物のアッセイ方法を例示する。
【0192】
実施例I:化合物4(Cbz−Asp(O−tBu)−Ala(2’キノリル)−ValOH)の合成
【化44】

【0193】
a)Fmoc−Ala(2’−キノリル)−Val−Oアリル
【化45】

Fmoc−Ala(2’−キノリル)−OH(0.152g、0.347mmol)をDMF(1mL)およびCHCl(0.9mL)中に溶解した。L−Valアリルエステルトルエン−4−スルホネート(0.115g、1.01当量)の0.3mLのCHCl中溶液を加え、ついで、4−メチルモルホリン(0.04mL、1.05当量)およびEDC(0.0681g、1.02当量)を加えた。混合物を3時間撹拌し、ついで、CHCl/ブラインを用いて抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して乾燥した。
【0194】
b)Ala(2’キノリル)−Val−Oアリル
【化46】

Fmoc−Ala(2’−キノリル)−Val(O−アリル)(0.425g、0.737mmol)をCHCl(40mL)中に溶解し、ついで、ピペリジン(0.6mL、8.24当量)を滴下した。40分後、混合物をを減圧下で蒸発させて乾燥した。ついで、生成物を、MeOH/CHCl(0〜10%)の勾配を用いてシリカで精製して、0.188gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:8.18(s,1H,NH);8.08(d,1H,J=8.4Hz);8.03(d,1H,J=8.47Hz);7.79(d,1H,J=7.91Hz);7.71−7.68(m,1H);7.52−7.49(m,1H);7.35(d,1H,J=8.42Hz);5.92−5.85(m,2H);5.34−5.22(m,2H);4.63−4.58(m,2H);4.55−4.52(m,1H);3.95−3.93(m,1H);3.52(dd,1H,J=3.95Hz);3.25−3.20(m,1H);2.20−2.13(m,1H);2.01(m,2H,NH);0.85(m,6H)
【0195】
c)Cbz−Asp(O−tBu)−Ala(2’−キノリル)−Val−Oアリル
【化47】

Ala(2’−キノリル)−Val(O−アリル)(0.054g、0.1519mmol)をnCHCl(0.7mL)中で溶解し、ついで、L−Asp(O−tBu)−OH(0.053g、1.08当量)および4−メチルモルホリン(0.018mL、1.08当量)を加え、最後にDPC(0.025mL、1.06当量)を加えた。混合物を1時間撹拌した。ついで、液体抽出ジクロロメタン/ブラインに付した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮し、MeOH/CHCl(0〜10%)の勾配を用いてシリカで精製して、0.084gの所望の化合物を得た。
【0196】
d)Cbz−Asp(O−tBu)−Ala(2’−キノリル)−ValOH
【化48】

Cbz−Asp(OtBu)−Ala(2’−キノリル)−Val(Oアリル)(0.082g、0.1241mmol)をTHF(3.5mL)中に溶解し、ロータリーエバポレーションに付して乾燥し、ついで、試料をTHF(3.5mL)中に溶解し、吸引して減圧し(3*1分(アスピレーション))、ついで、アルゴンで置換した。モルホリン(0.04mL、3.7当量)を加え、ついで、Pd(PPh(0.0171g、0.12当量)を加えた。試料フラスコをスズホイルで蓋をし、アルゴン雰囲気下で3日間撹拌しながら保持した。化合物を蒸発させて乾燥し、得られた残渣を、MeOH/HO溶液(pH=3.5)(0〜100%)の勾配を用いるC18での精製に付して、0.065gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.18(d,1H,J=8.4Hz);8.02(d,1H,J=8.49Hz);7.84(d,1H,J=8.08Hz);7.63(t,1H,J=7.51Hz);7.52(t,1H,J=7.39Hz);7.41(d,1H,J=8.3Hz);7.40−7.30(m,5H);5.03−4.93(m,3H);4.50−4.48(m,1H);4.26(d,1H,J=4.9Hz);3.48−3.34(m,2H);2.73−2.68(m,1H);2.54−2.49(m,1H);2.15−2.11(m,1H);1.36(m,9H);0.87−0.84(m,6H)
【0197】
実施例2:化合物5(Ts−Ala(2’−キノリル)−Val−OH)の合成
【化49】

【0198】
a)Ts−Ala(2’−キノリル)−OH
【化50】

L−Ala(2’−キノリル)−OH(0.060g、0.277mmol)に、HO(0.4mL)およびTHF(0.15mL)を加えた。混合物を2分間撹拌し、ついで、TEA(0.074ml、1.93当量)を加えた。混合物を0℃にし、ついで、塩化トシル(0.052g、1当量)のTHF(0.4mL)中溶液を滴下した。ついで、混合物を室温に加温し、16時間撹拌した。混合物をEtOAc(8mL)およびHO(2mL)で希釈し、ついで、HClの1N(滴下)で酸性化して、pH3/4にした。混合物をEtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧下で乾燥して、MeOH(0.5mL)を添加し、30mgの沈殿を得た;他の部分を溶液から得ることができる。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.30−8.23(m,1H,NH);8.14(d,1H,J=8.37Hz);7.89(d,1H,J=8.0Hz);7.78(d,1H,J=8.39Hz);7.70(t,1H,J=7.2Hz);7.55(t,1H,J=7.33Hz);7.32−7.27(m,3H);6.88(d,2H,J=8.05Hz);4.28(s,1H);3.4−3.03(m,2H);2.13(s,3H)
【0199】
b)Ts−Ala(2’−キノリル)−Val−Oアリル
【化51】

Ts−Ala(2’−キノリル)−OH(0.027g、0.076mmol)をCHCl中で溶解し、ついで、L−Val−Oアリルエステルトルエン−4−スルホネート(0.025g、1.02当量)、4−メチルモルホリン(0.017mL、1.91当量)、DMAP(0.0012g、0.13当量)を添加し、最終的に、EDC(0.015g、1.04当量)を加えた。反応の進行をTLCで追跡した。混合物をCHCl/ブラインで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して乾燥した。得られた残渣をEtOAc/ヘキサン(5〜60%)の勾配を用いるシリカで精製して、10mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:7.99(m,2H);7.89(d,1H,J=8.93Hz);7.76(d,1H,J=8.06Hz);7.72(t,1H,J=8.16Hz);7.64(m,2H);7.53(t,1H,J=7.61Hz);7.45(d,1H,J=6.86Hz);7.16(d,1H,J=8.34Hz);7.08(m,2H);5.86−5.79(m,1H);5.27(dd,1H,J=17.25Hz,J=1.36Hz);5.20(dd,1H,J=10.4Hz,J=1.0Hz);4.58−4.5(m,2H);4.38(dd,1H,J=8.78Hz,J=5.02Hz);4.22(q,1H,J=5.58Hz);3.41(dd,1H,J=15.50Hz,J=5.23Hz);3.14(dd,1H,J=15.53Hz,J=5.64Hz);2.33(s,3H);2.16−2.00(m,1H);0.72(d,3H,J=6.8Hz);0.65(d,3H,J=6.85Hz)
【0200】
c)Ts−Ala(2’キノリル)−Val−OH
【化52】

Ts−Ala(2’−キノリル)−Oアリル(0.010g、0.02mmol)をTHF(3.5mL)中に溶解し、ロータリーエバポレーションで乾燥して、ついで、試料をTHF(3.5mL)中に再び溶解し、吸引して減圧し(3*1分(アスピレーション))、ついで、アルゴンで置換した。Pd(PPh(0.0036g、0.16当量)をアルゴン雰囲気下で加え、ついで、モルホリン(0.007mL、4.1当量)を加えた。ついで、試料フラスコをスズホイルで蓋をし、アルゴン雰囲気下で3日間撹拌した。化合物を蒸発させて乾燥し、得られた残渣をMeOH/HO(15〜100%)の勾配を用いるC18での精製に付して、0.006gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.05(d,1H,J=8.44Hz);7.88−7.84(m,2H);7.76−7.72(m,1H);7.58−7.55(m,1H);7.33−7.29(m,3H);6.78−6.76(m,2H);4.35(dd,1H,J=10.43Hz,J=3.38Hz);4.19(d,1H,J=4.6Hz);3.44−3.03(m,2H);2.20−2.12(m,1H);2.12(s,3H);0.93−0.89(m,6H)
【0201】
実施例3:化合物12(Cbz−Asp(O−tBu)−インダニルグリシン−Val−OH)の合成
【化53】

【0202】
a)Fmoc−インダニルグリシン−Val−Oアリル
【化54】

Fmocインダニルグリシン(0.54g、1.315mmol)をCHCl(5mL)およびDMF(1.8mL)中で溶解し、ついで、L−Valアリルエステル(0.437g、1当量)、4−メチルモルホリン(0.15ml、1.04当量)を加え、4分後に、DMAP(14.5mg、0.09当量)、ついで、EDC(0.265g、1.05当量)を加えた。混合物を1時間45分撹拌した。ついで、EtOAc/ブラインを用いて抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して乾燥した。
【0203】
b)インダニルグリシン−Val−Oアリル
【化55】

Fmoc−インダニルグリシン−Val−Oアリル(0.758g、1.31mmol)をCHCl(5mL)およびDMF(1.8mL)中で溶解し、ついで、ピペリジン(1.05mL、8.1当量)を30秒にわたって滴下した。45分後に、混合物を抽出CHCl/ブライン(30/15mL)および飽和NHCl(5mL)に付した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、MeOH/CHCl(0〜5%)の勾配を用いるシリカにより精製して、0.45gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:7.80(d,1H,NH);7.20−7.17(m,2H);7.15−7.11(m,2H);5.96−5.88(m,1H);5.37−5.25(m,2H);4.68−4.58(m,3H);3.53(d,1H,J=5.05Hz);3.12−2.8(m,5H);2.27−2.20(m,1H);0.98(d,3H,J=6.85Hz);0.94(d,3H,J=6.88Hz)
【0204】
c)Cbz−Asp(O−tBu)−インダニルグリシン−Val−Oアリル
【化56】

インダニルグリシン−Val−Oアリル(0.46g、1.3mmol)およびZ−L−Asp(OtBu)−OH(0.425g、1.3mmol)を、CHCl(4.5mL)中で溶解し、ついで、4−メチルモルホリン(1.45mL、1.01当量)、DMAP(14mg、0.09当量)、ついで、EDC(0.251g、1.01当量)を加えた。混合物を1時間40分撹拌した。ついで、CHCl/ブラインを用いて抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、EtOAc/ヘキサン(10〜80%)の勾配を用いるシリカにより精製して、0.578gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.35−7.25(m,5H);7.15−7.07(m,4H);6.0−5.92(m,1H);5.36(dd,1H,J=17.17Hz,J=1.429Hz);5.24(dd,1H,J=10.45Hz,J=1.251Hz);5.09−5.036(m,2H);4.77−4.61(m,2H);4.54−4.50(m,2H);4.33(d,1H,J=6.04Hz);2.97−2.52(m,7H);2.20−2.011(m,1H);1.41(s,9H);0.97(d,3H,J=1.78Hz);0.96(d,3H,J=1.78Hz)
【0205】
d)Cbz−Asp(O−tBu)インダニルグリシン−Val−OH
【化57】

Z−Asp(O−tBu)−インダニルグリシン−Val−(Oアリル)(0.102g、0.1611mmol)をTHF(6mL)中に溶解し、ロータリーエバポレーションで乾燥し、ついで、試料をTHF(6mL)中に再び溶解し、吸引して減圧し(3*1分(アスピレーション))、ついで、アルゴンで置換した。Pd(PPh(0.017g、0.1510.094当量)を一度に加え、ついで、フラスコをアルゴンで脱気した。モルホリン(0.06mL、4.28当量)を加え、フラスコをスズホイルで封をした。混合物を、アルゴン雰囲気下で2.5日間撹拌した。試料を減圧下で乾燥し、得られた残渣MeOH/HO溶液(pH=3.5)(10〜100%)の勾配を用いるC18での精製に付して、0.046gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.4−7.23(m,5H);7.18−7.03(m,4H);5.20−5.0(m,2H);4.58−4.50(m,2H);4.3(d,1H,J=5.5Hz);3.0−2.7(m,6H);2.6−2.50(m,1H);1.4(s,9H);0.97(d,3H,J=2.06Hz);0.96(d,3H,J=2.18Hz)
【0206】
実施例4:化合物16(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−OH)の合成
【化58】

【0207】
a)Fmoc−Phg−Val−Oアリル
【化59】

Fmoc−PhgOH(1g、2.678mmol)を、無水ジクロロメタンおよびDMF(9ml/0.5ml)の混合物中に溶解した。Val(Oアリル)トシル塩形態(0.804g、2.44mmol)の1mlのジクロロメタン中溶液を加え、ついで、ジイソプロピルカルボジイミド(0.414ml、2.44mmol)およびN−メチルモルホリン(0.270ml、2.44mmol)を加えた。混合物を室温で2.20時間撹拌し、ついで、セライト(1cm)を通してろ過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮し、得られた残渣を次の工程に粗物質として用いた。
【0208】
b)Phg−Val−Oアリル
【化60】

1.45gの前記粗物質(Fmoc−Phg−Val−Oアリル)を、20%ピペリジンのジクロロメタン中溶液(8.5ml)に溶解し、室温にて45分間撹拌した。ついで、混合物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、ついで、セライト(1cm)によりろ過した。溶媒を蒸発させて乾燥し、ついで、シリカゲルで精製し、最初に酢酸エチル/ヘキサン(20%)、ついで、ジクロロメタン/メタノール(0〜10%)の勾配で溶出して、0.72gのN−非保護ペプチドPhg−Val−Oアリルを得た。
【0209】
c)Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Oアリル
【化61】

Phg−Val−Oアリル(0.89g、2.74mmol)を無水ジクロロメタン(7ml)中に溶解した。ついで、Z−Asp(β−tert−ブチル)−OH(0.89g、2.74mmol)のジクロロメタン(2ml)中溶液を加え、ついで、ジイソプロピルカルボジイミド(0.424ml、2.74mmol)を加えた。混合物を室温で2.45時間撹拌し、ついで、ジクロロメタンで希釈した。有機相をブラインで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣をシリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、0.4gのZ−Asp(OtBu)−Phg−Val−Oアリルを得た。
【0210】
d)Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−OH
【化62】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Oアリル(0.064g;0.107mmol)を、アルゴン雰囲気下で、乾燥THF(3ml、阻害剤不含)に溶解した。溶媒をアルゴン雰囲気下で3回脱気し、ついで、モルホリン(28ul、3当量)を加え、ついで、テトラキス(13mg)を加えた。混合物を3.5日間室温にて撹拌した。ついで、混合物を減圧下で濃縮し(12mbar)、シリカゲル(勾配メタノール/ジクロロメタン:1〜14%)で精製して、46mgの所望のZ−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−OHを得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ7.43(m,2H);7.34−7.26(m,8H);5.57(s,1H);5.10(s,2H);4.60(dd,J=8.28;5.57Hz,1H);4.24(s,1H);2.81(m,1H);2.58(m,1H);1.41(s,9H);0.96(t,J=6Hz,6H)
LCMS、ネガティブ(M−H)=554.2
【0211】
実施例5:化合物20Cbz−Asp(O−tBu)−Glu(O−tBu)−Val−OHの合成
【化63】

【0212】
a)Fmoc−Glu(O−tBu)−Val−Oアリル
【化64】

Fmoc−Glu(O−tBu)−OH(0.549g、1.292mmol)をCHCl(5mL)中で溶解し、ついで、L−Val−アリルエステルトルエン−4−スルホネート(0.426g、1当量)、4−メチルモルホリン(0.145mL、1.02当量)、DMAP(11.53mg、0.13当量)を加え、最終的に、EDC(0.252g、1.02当量)を加えた。EDCバイアルを、CHCl(0.5mL*2)で洗浄し、反応混合物に加えた。1時間10分撹拌した後、反応混合物をCHCl(30mL)/ブライン(5mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をHex/EtOAc(0〜40%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.396gの所望の化合物を得た。
【0213】
b)Glu(O−tBu)−Val−Oアリル
【化65】

Fmoc−Glu(O−tBu)−Val(Oアリル)(0.394g、0.698mmol)を、CHCl(4mL)中で溶解し、ついで、ピペリジン(0.550mL、7.98当量)を加えた。40分後、混合物を蒸発させて乾燥し、CHCl(20mL*2)と同時に蒸発させ、ついで、10分間高減圧下に付して、過剰のピペリジンを除去した。試料を、MeOH/CHCl(0〜7%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.191gの所望の化合物を得た。
【0214】
c)Cbz−Asp(O−tBu)−Glu(O−tBu)−Val−Oアリル
【化66】

Glu−Val(Oアリル)(0.189g、0.55mmol)をCHCl(2.5ml)中で溶解し、ついで、Z−Asp(OtBu)−OH(0.187g、1.05当量)、DMAP(5.98mg、0.088当量)および4−メチルモルホリン(0.065ml、1.07当量)、ついで、EDC(0.109g、1.03当量)を加えた。バイアルを0.5mlのジクロロメタンで洗浄した。混合物を2時間室温にて撹拌した。ついで、CHCl/ブラインを用いて抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をEtOAc/Hex(10〜100%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.300gの所望の化合物を得た。
【0215】
d)Cbz−Asp(O−tBu)−Glu(O−tBu)−Val−OH
【化67】

CbzAsp(O−tBu)−Glu(OtBu)−Val−(Oアリル)(0.298g、0.46mmol)をTHF(10mL)中に溶解し、ロータリーエバポレーションにより乾燥し、ついで、試料をTHF(10mL)中に溶解し、吸引して減圧し(3*1分(アスピレーション))、ついで、アルゴンで置換した。Pd(PPh(0.052g、0.1当量)を一度に加え、ついで、フラスコをアルゴンで脱気した。モルホリン(0.14mL、3.49当量)を加え、フラスコをスズホイルで封じた。混合物を、アルゴン雰囲気下で2.5時間撹拌した。試料を蒸発させて乾燥し、得られた残渣を、MeOH/HO水溶液(pH=3.5)(10〜100%)の勾配を用いるC18での精製に付して、0.150gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.4−7.25(m,5H);5.20−5.05(m,2H);4.6−4.05(m,1H);4.47−4.38(m,1H);4.25−4.18(m,1H);2.88−2.75(m,1H);2.68−2.55(m,1H);2.42−2.25(m,2H);2.22−2.08(m,2H);1.96−1.80(m,1H);1.45(2s,18H);0.93(t,6H)
【0216】
実施例6:化合物23(Asp(β−tert−ブチル)クロロビニル−メチルビニルスルホントシル塩)の合成
【化68】

【0217】
a)ジエチルクロロ(メチルスルホン)メチルホスホネート
【化69】

ジエチル (メチルチオ)メチルホスホネート(1.45g、6.25mmol)を、酢酸(5mL、14当量)で溶解し、ついで、過酸化水素(1.98mL、2.8当量)を加えた。ついで、試料を70℃に加温しておいた油浴に置き、ガスが短時間に生じた。30分後、反応物を室温にした。ついで、NaHCOを少量ずつ、pHが中和されるまで加えた。ついで、試料を吸引して減圧し、ついで、エーテル(30mL)で抽出した。ついで、有機層を20%のクエン酸(5mL)、ついで、ブライン(2*5mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、EtOAc/ヘキサン(20〜100%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.552gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:4.21−4.13(m,4H);2.88−2.75(m,1H);2.68(d,2H,J=12.83Hz);2.29(s,3H);1.34(t,6H)
【0218】
b)Boc−Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルメチルスルホン
【化70】

ジエチル クロロ(メチルスルホン)メチルホスホネート(0.327g、1.24mmol)をTHF(5mL)中で溶解し、溶液を−78℃にした。NaH60%(0.0519g、1.04当量)を、無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄して、ついで、THF(1.5mL)中に懸濁させた。NaHの懸濁液を含む容器をTHF(0.4mL*2)で洗浄し、溶液に加えた。混合物を25分間撹拌し、ついで、THF(3mL)中に溶解したBocAsp(O−tBu)−H(0.326g、1当量)を、溶液に1分にわたって滴下した。バイアルをTHF(0.3mL*2)で洗浄し、反応混合物を加えた。45分間撹拌した後、溶液を、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/Hex(0〜40%)の勾配を用いるシリカで精製して、最初にcis異性体を得、ついで、0.183gのtrans異性体化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:7.1(d,1H,J=8.06Hz);5.5(m,1H);4.8(m,1H);3.05(s,3H);2.62(m,2H);1.45(2s,18H)
【0219】
c)Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルメチルスルホントシル塩
【化71】

Boc−Asp(β−tert−ブチル)クロロビニル−メチルビニルスルホン(0.182g、0.4937mmol)を、CHCl(0.7mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.7mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.101g、1.07当量)を一度に加えた。15時間室温にて撹拌した後、ついで、エーテル(8mL)で希釈し、ろ過した。白色固体を減圧下で乾燥して、0.12gの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.2(bs,3H,NH);7.48(d,2H,J=8.04Hz);7.12(d,2H,J=7.89Hz);7.02(d,1H,J=9.4Hz);4.4−4.3(m,1H);3.2(s,3H);2.85(dd,1H,J=16.39Hz,J=5.55Hz);2.75(dd,1H,J=16.47Hz,J=7.63Hz);2.28(s,3H);1.42(s,9H)
【0220】
実施例7:化合物26(Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルフェニルスルホントシル塩)の合成
【化72】

【0221】
a)ジエチルクロロ(フェニルスルホン)メチルホスホネート
【化73】

ジエチル クロロ(フェニルチオ)メチルホスホネート(0.919g、3.12mmol)を、酢酸(1.8mL)中に溶解し、ついで、過酸化水素(0.78mL、2.8当量)を加えた。試料を予め70℃に加温した油浴中に置いた。さらに過酸化水素(0.21mL)を5分後に加えた。30分後、反応物を室温にした。試料をAcOEt/5%NaHCO(30/5mL)で抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/ヘキサン(10〜80%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.627gの所望の化合物を得た。
【0222】
b)Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルフェニルスルホン
【化74】

ジエチル クロロ(フェニルスルホン)メチルホスフェート(0.458g、1.03当量)をTHF(3mL)中に溶解し、溶液を−78℃にした。NaH60%(0.016g、1.11当量)を無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、ついで、THF(1.5mL)の懸濁液に加えた。懸濁液中のNaHをTHF(0.4mL*2)で洗浄し、溶液に加えた。混合物を25分間撹拌し、ついで、THF(0.5mL)中に溶解したBocAsp(OtBu)−H(0.372g、1.36mmol)を溶液に1分にわたって滴下した。容器をTHF(2*0.5ml)で洗浄し、反応混合物に加えた。45分間撹拌した後、溶液を、飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をHex/EtOAc(0〜30%)の勾配を用いるシリカで精製して、MeOH/CHCl(0〜3%)の勾配を用いて精製して、最初にcis生成物を得、ついで、trans生成物を得た。最終的に、少量の所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:8.13(m,2H);7.67(t,1H,J=7.42Hz);7.57(t,2H);6.55(d,1H,J=9.19Hz);5.75(bs,1H);5.64(bs,1H);2.86−2.77(m,2H);1.47(s,9H);1.45(s,9H)
【0223】
c)Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルフェニルスルホントシル塩
【化75】

Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルフェニルスルホン(0.018g、0.04mmol)をCHCl(0.1mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.1mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.05g、0.1当量)を一度に加えた。室温にて15時間撹拌した後、ついで、加熱なしに蒸発させて乾燥して、18mgの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.3(s,3H,NH);8.08−8.02(m,2H);7.8(t,1H,J=7.46Hz);7.76(t,2H,J=8.08Hz);7.48(d,2H,J=8.06Hz);7.1(d,2H,J=7.81Hz);6.73(d,1H,J=10.09Hz);5.3(m,1H);2.87(dd,1H,J=16.67Hz,J=6.13Hz);2.78(dd,1H,J=16.77Hz,J=7.01Hz);2.28(s,3H);1.43(s,9H)
【0224】
実施例8:化合物30(Asp(β−メチル)メチルビニルスルホントシル塩)の合成
【化76】

【0225】
a)Boc−アスパルチモール(β−メチル)
【化77】

a−Boc−L−Asp(β−メチル)−OH(2.5g、0.0101mol)を酢酸エチル(12.5ml)中に溶解し、0℃に冷却した。N−ヒドロキシスクシニミド(1.163g、1当量)を加え、ついで、DCC(10.1ml、1当量、CHCl中1M)を滴下した。混合物を一晩(20h)で室温にし、ついで、酢酸エチルで希釈し、セライトでろ過し、酢酸エチル(80ml総容量)で洗浄した。有機層を5%NaHCO(2*15ml)、ブライン(2*25ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して、乾燥して、3.58gの所望の化合物を得た。
b−Boc−L−Asp(β−メチル)−N−ヒドロキシスクシニミド(1.81g、0.00526mol)を、24mLの無水THF中にアルゴン雰囲気下で溶解した。混合物を0℃に冷却し、NaBH(0.5g、2.51当量)を25分にわたって加えた。混合物を室温にし、さらに4時間撹拌した。氷水/ブライン(1/1、15mL)の溶液を0℃で滴下し、ついで、クエン酸(0.5M、40mL)を注意深く加えた。二相混合物を撹拌し、生成物をEtOAc(4*40mL)で抽出した。合した有機層を5%NaHCO(15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。ついで、粗物質を、CHCl/MeOH(0〜5%)を用いてシリカで精製して、0.7gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:5.20(bs,1H);4.02−3.95(m,1H);3.88−3.64(m,2H);3.70(s,3H);2.63(d,2H,J=5.86Hz);2.0(bs,1H,OH);1.44(s,9H)
【0226】
b)Boc−Asp(β−メチル)−H
【化78】

CHCl(2.4mL)中に溶解した塩化オキサリル2MinCHCl(1.242mL、1.7当量)を、−65℃に冷却した。DMSO(0.4mL、3.9当量)のCHCl(0.92mL)中溶液を、20分にわたって、−65℃で滴下した。CHCl(2.6mL)中のBocAsp(OCH)−CHOHを20分にわたって滴下し、反応物をさらに15分間−65℃で撹拌した。CHCl(1.42mL)中のTEA(1.33mL、6.54当量)を20分にわたって滴下した。反応物をさらに55分間−65℃/−70℃に保持し、この温度で、エーテル/0.5NのKHSO(30/6mL)でクエンチした。有機層を3回0.5NのKHSO(3*6mL)、ついで、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、0.29gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:9.65(s,1H);5.61(d,1H,J=7.04Hz);4.38−4.35(q,1H,J=4.3Hz);3.70(s,3H);3.01(dd,1H,J=17.41Hz,J=4.49Hz);2.83(dd,1H,J=17.41Hz,J=4.69Hz);1.46(s,9H)
【0227】
c)Boc−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホン
【化79】

NaH95%(0.038g、1.2当量)を無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、THF(1mL)中に懸濁した。NaH溶液を0℃で、THF(10mL)中に溶解したジエチル(メチルスルホン)メチルホスホネート(0.280g、1.08eq)に滴下した。混合物を20分間撹拌し、ついで、BocAsp(Oメチル)−H(0.290g、1.255mmol)のTHF(2.5mL)中溶液を、溶液に1分にわたって加えた。0℃で15分後、反応物は室温になった。1時間撹拌した後、溶液を、塩化アンモニウムの飽和溶液(10mL)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/Hex(10〜80%)の勾配を用いるシリカで精製して、最初にcis異性体、ついで、trans異性体(0.174g)を得た。
【0228】
d)Boc−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホントシル塩
【化80】

Boc−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホン(0.172g、0.56mmol)をCHCl(0.44mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.44mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.19g、1.04当量)を一度に加えた。室温にて15分間撹拌した後、ついで、エーテル(2mL)で希釈し、ろ過した。白色固体を減圧下で乾燥し、0.140gの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.20(bs,3H,NH);7.47−7.45(m,2H);7.11(dd,2H,J=8.41Hz,J=0.58Hz);7.03(dd,1H,J=15.45Hz,J=1.17Hz);6.73(dd,1H,J=15.45Hz,J=6.26Hz);4.34(q,1H,J=6.45Hz);3.66(s,3H);3.05(s,3H);2.92−2.82(m,2H);2.28(s,3H)
【0229】
実施例9:化合物33(Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩)の合成
【化81】

【0230】
a)ジエチル (メチルスルホン)メチルホスホネート
【化82】

ジエチル (メチルチオ)メチルホスホネート(4.0180g、20.3mmol)を酢酸(14mL、12当量)中に溶解し、ついで、過酸化水素(5.9mL、2.56当量)を滴下した(10分)。ついで、試料を70℃に加熱し、短時間にガスが発生した。25分後、反応物は室温になった。ついで、NaHCOを少量加え、pHを中性にした。ついで、試料を吸引して減圧し、ついで、エーテルで抽出した。ついで、有機層を20%のクエン酸(5mL)、ついで、ブライン(2*10mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、EtOAc/ヘキサン(10〜100%)の勾配を用いてシリカで精製して、3.237gの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:4.18(d,2H,J=16.62Hz);4.10−4.03(m,4H);3.10(s,3H);1.23(t,6H,J=7.04Hz)
【0231】
b)Boc−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン
【化83】

NaH60%(0.087g、1.11当量)を無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、THF(1mL)中に懸濁した。NaH溶液を、THF(20mL)の0℃溶液中に溶解したジエチル(メチルスルホン)メチルホスホネート(0.485g、1.08当量)に滴下した。混合物を20分間撹拌し、ついで、BocAsp(OtBu)−H(0.537g、1当量)のTHF(2mL)中溶液を、1分にわたって溶液に滴下した。0℃で10分後、反応物を室温にした。1時間撹拌した後、溶液を塩化アンモニウムの飽和溶液(45mL)でクエンチし、EtOAc(100mL)で抽出した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をHex/EtOAc(10〜80%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.05gのcis化合物および0.480gのtrans化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:6.86(dd,1H,J=15.08Hz,J=4.60Hz);6.51(dd,1H,J=15.14Hz,J=1.38Hz);5.41(bs,1H);4.7(bs,1H);2.91(s,3H);2.64−2.52(qd,2H);1.43(s,18H)
【0232】
c)Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩
【化84】

Boc−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン(0.158g、0.4534mmol)をCHCl(0.7mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.7mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.0878g、1.02当量)を一度に加えた。過剰のPTSA水和物を用いて両方のbocおよびtert−ブチル基を、Palmerに報告されているように開裂させた。15時間室温で撹拌した後、ついで、エーテル(5mL)で希釈し、ろ過した。ついで、白色固体を減圧下で乾燥し、0.121gの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.18(bs,3H,NH);7.47(d,2H,J=8.14Hz);7.10(d,2H,J=7.85Hz);7.02(d,1H,J=15.42Hz);6.70(dd,1H,J=15.40Hz,J=6.61Hz);4.27(q,1H,J=6.3Hz);3.04(s,3H);2.81−2.70(qd,2H);2.28(s,3H);1.42(s,9H)
【0233】
実施例10:化合物37(Asp−ビニルフェニルスルホン塩形態)の合成
【化85】


市販のN−tBoc−L−Asp(β−tert−ブチル)−O−スクシニミドを、THF中ボロヒドリドナトリウムの存在下で、文献(Ramond J.Begeron et al.,1999)に記載のように還元して、対応するアルコールを得た。
【0234】
a)Boc−Asp(β−tert−ブチル)−H
【化86】

ついで、アルコールを、ジクロロメタン中塩化オキサリル,DMSOおよびTEAの存在下、−70℃で、文献(William R.Ewing et al.,1999;Won Bum Jang.2004およびMancuso A et al.,1981)に記載のように酸化して、対応するBoc−L−Asp(β−tert−ブチル)−Hを得た。
【0235】
b)ジエチル フェニルスルホニルメチルホスホネート
【化87】

フェニルビニルスルホンの前駆体を、文献((Won Bum Jang et al.,1998))に記載のように、ベンゼンスルホニルフルオライドおよびトリエチルホスホランから、ヘキサメチルジシラジドリチウムの存在下、−78℃で1工程で、ジエチル フェニルスルホニルメチルホスホネートにして、調製した。
Boc−Asp(β−tert−ブチル)−ビニルフェニルスルホン(Gang Wang et al.,2003;Marion G.Gotz et al.,2004;Palmer,James T et al.,1995)
【0236】
c)Boc−Asp−ビニルフェニルスルホン
【化88】

水素化ナトリウム(40mg(60%)、1.09当量)を、ジエチル フェニルスルホニルメチルホスホネート(0.279g、1.09当量)の乾燥THF(5.6ml)中溶液にO℃で加えた。混合物を20分間撹拌し、ついで、Boc−L−Asp(O−t−Bu)−H(0.24g、0.876mmol)の1.6mlのTHF中溶液を滴下した。混合物を1.15時間室温で加温し、ついで、酢酸エチルおよび塩化アンモニウム飽和溶液(45/15ml)の混合物に注いだ。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて乾燥した。粗物質をシリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン)で注いで、所望の化合物を高化学収率で得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ7.87(d,J=7.62Hz,2H);7.61(t,J=7.35Hz,1H);7.53(t,J=7.68Hz,2H);6.92(dd,J=15.08および4.28Hz,1H);6.46(d,J=15.12Hz,1H);5.34(m,1H);4.68(m,1H);2.63−2.52(m,2H);1.40(s,18H)
【0237】
d)Aspビニルフェニルスルホントシル塩
【化89】

Boc−L−Asp(β−tert−ブチル)−ビニルフェニルスルホン(0.1g、0.243mmol)を、ジクロロメタンおよびエーテル(0.7/0.7ml)の混合物中に溶解し、ついで、PTSA水和物(1当量)を加えた。過剰のPTSA水和物を用いて、Palmerに報告されるように、bocおよびtert−ブチル基を開裂させた。混合物を室温にて一晩撹拌した。ついで、エーテル(8ml)で希釈した。白色沈殿物をろ過し、乾燥して、所望の化合物を白色粉末として得た。
【0238】
実施例11:化合物40(Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホントシル塩)の合成
【化90】

フェノール(1.62g、17.2mmol)のEtO(50mL)中溶液に、−10℃で、TEA(3.6mL、1.5当量)を加えた。15分後、メタンスルホニルクロライド(1.6mL、1.2当量)のEtO(4mL)中溶液に、50分にわたって滴下した。ついで、溶液を室温に加温し、さらにEtO(5mL)を加えた。反応物を1NのHCl(12mL、4C)を加えてクエンチし、ついで、有機層を、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して油を得、これをCHCl/Hex(1/1)で再結晶した。得られた固体をろ過し、残った溶媒を除去した。
【0239】
a)ジエチル(フェノキシスルホン)メチルホスホネート
【化91】

メタンスルホニルフェノキシ(1.938g、11.25mmol)のTHF(8mL)中溶液に、−78℃で、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(2.36g、1当量)の11mLのTHF中溶液を、40分にわたって加えた。ついで、反応物をさらに5分以上撹拌した。ジエチルクロロホスホネート(0.95mL、0.59当量)を7分にわたって滴下した。1時間後、反応物を、酢酸(0.645mL、0.59当量)を5分間滴下してクエンチした。溶液を室温にし、溶媒を減圧下で除去した。生成物をCHCl(30mL)およびHO(10mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/ヘキサン(12〜100%)の勾配を用いるシリカで精製して、1.046gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:7.44−7.41(m,2H);7.36−7.32(m,3H);4.31−4.25(m,4H);3.81(d,2H,J=17.14Hz);1.38(t,6H,J=7.11Hz)
【0240】
b)Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホン
【化92】

ジエチル(フェノキシスルホン)メチルホスホネート(0.36g、1.07mmol)を、THF(10mL)中に溶解し、溶液を−0℃にした。NaH60%(0.0539g、1.22当量)を、無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、ついで、THF(1mL)中に懸濁した。懸濁液中にNaHを含む溶液を、THF(1mL)で洗浄し、溶液に加えた。混合物を20分間撹拌し、ついで、BocAsp(O−tBu)−H(0.30g、1当量)のTHF(2mL)中溶液を、溶液に、1分にわたって加えた。溶液をTHF(1mL)で洗浄し、反応混合物に加えた。室温にて2時間撹拌した後、溶液を塩化アンモニウムの飽和溶液(5mL)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/ヘキサン(0〜30%、30〜80%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.359gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:7.38(t,2H,J=7.96Hz);7.29(t,1H,J=7.46Hz);7.23−7.21(m,2H);6.79(dd,1H,J=15.14Hz,J=4.67Hz);6.49(dd,1H,J=15.18Hz,J=1.31Hz);5.37(bs,1H);4.65(bs,1H);2.60(dd,1H,J=16.04Hz,J=5.46Hz);2.50(dd,1H,J=16.04Hz,J=5.63Hz);1.46(s,9H);1.43(s,9H)
【0241】
c)Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホントシル塩
【化93】

Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホン(0.187g、0.444mmol)をCHCl(0.7mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.7mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.084g、1.01当量)を一度に加えた。15時間室温にて撹拌した後、ついで、エーテル(8mL)で希釈し、ろ過した。白色固体を減圧下で乾燥して、所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.25(bs,3H,NH);7.49−7.46(m,4H);7.39(t,1H,J=7.4Hz);7.31−7.29(m,2H);7.22−7.17(m,1H);7.10(d,2H,J=7.88Hz);6.82(dd,1H,J=15.41Hz,J=6.15Hz);4.35(m,1H);2.82−2.73(m,2H);2.28(s,3H);1.41(s,9H)
【0242】
実施例12:化合物43(Asp(β−tert−ブチル)イソプロピルビニルスルホントシル塩)の合成
【化94】

クロロメチルイソプロピルスルフィド(12.54g、100.6mmol)を110℃に加熱し、ついで、トリエチルホスホニル(21mL、1.10当量)を滴下した。8時間撹拌した後、反応物を室温にした。試料を蒸留(110℃/6mmbar)により精製して、4.7gのジエチル(イソプロピルチオ)メチルホスホネートを得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:4.21−4.13(m,4H);3.19−3.14(m,1H);2.76(d,2H,J=14.35Hz);1.34−1.27(m,12H)
【0243】
実施例13:化合物41(ジエチル(イソプロピルスルホン)メチルホスホネート)の合成
【化95】

ジエチル(イソプロピルチオ)メチルホスホネート(4.746g、0.02mol)を、酢酸(14.5mL、12.06当量)中に溶解し、ついで、過酸化水素(6mL、2.52当量)を5分にわたって滴下した。ついで、試料を70℃に加熱し、短時間にガスが発生した。30分後、反応物を室温にした。ついで、NaHCOを少量ずつpHが中性になるまで加えた。ついで、試料を吸引してろ過し、エーテル(30mL)で抽出した。ついで、有機層を20%のクエン酸(5mL)およびブライン(2*10mL)で洗浄した。有機層を合し、CHCl/水で抽出し、MgSOで乾燥し、EtOAc/ヘキサン(20〜100%)の勾配を用いてシリカで精製して、4.689gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:4.23−4.50(m,4H);3.67−3.63(m,1H);3.53(d,2H,J=16.82Hz);1.37−1.30(m,12H)
【0244】
実施例14:化合物42(BocAsp(β−tert−ブチル)イソプロピルビニルスルホン)の合成
【化96】

ジエチル(イソプロピルスルホン)メチルホスホネート(0.036g、0.1427mmol)をTHF(0.2mL)中に溶解し、溶液を0℃にした。NaH60%(5.38mg、1.05当量)を無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、ついで、THF(1.2mL)中に懸濁した。混合物を25分間撹拌し、ついで、BocAsp(O−tBu)−H(0.0351g、1当量)のTHF(0.6mL)中溶液を、1分にわたって滴下した。45分間撹拌した後、溶液を、塩化アンモニウム飽和溶液(2mL)でクエンチし、EtOAc(10mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAc/ヘキサン(5〜60%)の勾配を用いるシリカで精製して、29.3mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:6.82(dd,1H,J=15.24Hz,J=4.78Hz);6.38(dd,1H,J=15.17Hz,J=1.41Hz);5.43(m,1H);4.67(s,1H);3.07−3.0(m,1H);2.64(dd,1H,J=16.07Hz,J=5.5Hz);2.57(dd,1H,J=16.12Hz,J=5.52Hz);1.48−1.32(m,24H)
【0245】
実施例15:化合物43(Asp(β−tert−ブチル)イソプロピルビニルスルホントシル塩)の合成
【化97】

Boc−Asp(β−tert−ブチル)イソプロピルビニルスルホン(0.028g、0.0741mmol)をCHCl(0.2mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.2mL)を加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.0154g、1.09当量)を一度に加えた。15時間室温にて撹拌した後、ついで、エーテル(8mL)で希釈し、ろ過した。白色固体を減圧下で乾燥し、11mgの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.21(bs,3H,NH);7.46(d,2H,J=7.81Hz);7.10(d,2H,J=7.85Hz);6.92−6.85(m,1H);6.71(dd,1H,J=15.42Hz,J=6.34Hz);4.30(m,1H);3.23−3.13(m,1H);2.85−2.72(m,2H);2.28(s,3H);1.42(s,9H);1.21(m,6H)
【0246】
実施例16:化合物46(Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホントシル塩)の合成
【化98】

モルホリン(1.4mL、16.07mmol)のCHCl(30mL)中溶液に、−10℃で、TEA(3.4mL、1.5当量)を加えた。15分後、メタンスルホニルクロライド(1.5mL、1.2当量)のCHCl(4mL)中溶液を、40分にわたって加えた。ついで、溶液を室温に加温し、さらにEtO(5mL)を加えた。反応物を1NのHCl(12mL、4C)を加えてクエンチし、有機層を飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して油を得、これをMeOH/CHCl(0〜5%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.831gのジエチル(モルホリンチオ)メチルホスホネートを得た。
【0247】
実施例16:化合物44(ジエチル(モルホリンスルホン)メチルホスホネート)の合成
【化99】

メタンスルホニルモルホリン(0.719g、4.356mmol)のTHF(4mL)中溶液に、−78℃で、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.748g、0.86当量)11mLのTHFの溶液を、40分にわたって滴下した。ついで、反応物をさらに5分以上撹拌した。ジエチル クロロメチルホスホネート(0.37mL、0.57当量)をを7分にわたって滴下した。1時間後、反応物を、酢酸(0.226mL、0.77当量)の溶液を5分にわたって加えてクエンチした。溶液を室温に加温し、溶媒を減圧下で除去した。生成物をCHCl(30mL)およびHO(10mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をMeOH/CHCl(0〜4%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.247gの所望の化合物を得た。
NMRH(CDCl,400MHz)δ:4.26−4.20(m,4H);3.76(t,4H,J=4.6Hz);3.51(d,2H,J=17.33Hz);3.34(t,4H,J=4.74Hz);1.37(t,6H,J=7.11Hz)
【0248】
実施例17:化合物45(Boc−Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホン)の合成
【化100】

ジエチル (モルホリンスルホン)メチルホスホネート(0.103g、1.07mmol)をTHF(1mL)中に溶解し、−10℃にした。NaH60%(0.013g、1.04当量)を無水エーテル(3*0.9mL)で洗浄し、ついで、THF(1mL)中に加えて懸濁した。NaHを懸濁液で含有する容器をTHF(0.5mL)で洗浄し、溶液に加えた。混合物を20分間撹拌し、ついで、BocAsp(OtBu)−H(0.208g、1当量)のTHF(1.5mL)中溶液を、1分にわたって溶液に加え、容器をDMF(0.5ml)で洗浄し、溶液に加えた。3時間室温にて撹拌した後、溶液を塩化アンモニウム飽和溶液(5mL)でクエンチし、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、最初Hex/EtOAc(5〜80%)、ついで、CHCl/MeOH(0〜10%)の勾配を用いるシリカで精製して、0.075gの所望の化合物を得た。
【0249】
実施例18:化合物46(Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホントシル塩)の合成
【化101】

Boc−Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホン(0.075g、0.178mmol)をCHCl(0.2mL)中に溶解し、ついで、EtO(0.2mL).p−トルエンスルホン酸一水和物(0.034g、1.0当量)を一度に加えた。15時間室温にて撹拌した後、ついで、エーテル(0.5mL)で希釈し、ろ過した。白色固体を減圧下で乾燥し、0.045gの所望の化合物を得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.20(bs,3H,NH);7.47(d,2H,J=7.9Hz);7.10(d,2H,J=7.89Hz);6.88(d,1H,J=15.33Hz);6.60(dd,1H,J=15.00Hz,J=6.36Hz);4.28(s,1H);3.65(t,4H,J=4.43Hz);3.02(m,4H);2.84−2.76(m,2H);2.28(s,3H);1.42(s,9H)
【0250】
実施例18:化合物47(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)αクロロビニルメチルスルホン)の合成
【化102】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−OH(18mg、0.029mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.39ml/0.13ml)の混合物中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を加え、3分後に、クロロギ酸イソブチル(7μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)αクロロメチル−メチルスルホントシル塩(13mg、1当量)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:5〜100%)で精製して、12mgの所望の化合物を得た。
【0251】
実施例19:化合物48(Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp−αクロロビニルメチルスルホン)の合成
【化103】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−αクロロビニルメチルスルホン(11.7mg)をジクロロメタン(0.24ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.35ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、これをジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテル(5ml)で希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、9mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.6−7.25(m,11H);7.07(d,1H,J=8.61Hz);5.03−4.06(m,4H);4.45−4.42(m,1H);4.09−4.05(m,1H);3.65−3.49(m,2H);3.07(s,3H);2.84−2.7(m,2H);2.71−2.66(m,2H);2.00(m,1H);0.85(t,6H,J=8.2Hz)
LCMS(M−H+)=772.4
【0252】
実施例20:化合物49(Ts−Ala(2’キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−αクロロビニルメチルスルホン)の合成
【化104】

Ts−Ala(2’−キノリル)−OH(5.6mg、0.0123mmol)を、CHCl/DMF(0.15/0.13mL)の混合物中に溶解した。混合物を−15℃/−20℃(氷MeOH浴槽)に冷却し、ついで、NMM(0.004mL)を加え、ついで、3分後に、イソブチルクロロホルメート(0.004mL)を得た。混合物を10分間−15℃で撹拌し、ついで、Asp(β−tert−ブチル)クロロビニル−メチルビニルスルホントシル塩(6.3mg、1当量)を一度に加え、ついで、4−メチルモルホリン(0.004mL)を加えた。混合物を−15℃/−20℃で30分間撹拌し、ついで、CHCl(5mL)、ついで、水(2mL)で希釈し、混合物を室温にし、抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、Hex/EtOAc(15〜100%)を用いるシリカにより精製して、6mgの所望の化合物を得た。
【0253】
実施例21:化合物50(Ts−Ala(2’キノリル)−Val−Asp−αクロロビニルメチルスルホン)の合成
【化105】

Ts−Ala(2’キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−αクロロビニルメチルスルホン
(6mg)をジクロロメタン(0.15ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.2ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、4mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.37(m,1H);8.01−7.99(m,1H);7.96−7.94(m,1H);7.90−7.94(m,1H);7.90−7.88(m,1H);7.71−7.63(m,1H);7.46(m,1H);7.37(d,2H,J=8.22Hz);7.08(d,1H,J=8.46Hz);6.88(d,2H,J=8.0Hz);5.04−5.01(m,1H);4.37−4.34(m,1H);4.08−4.07(m,1H);3.44−3.4(m,1H);3.2(m,1H);3.08(s,3H);2.83−2.78(m,1H);2.73−2.684(m,1H);2.17(s,3H);2.07−2.03(m,1H);0.91−0.89(m,6H)
【0254】
実施例22:化合物51(Z−Asp(β−メチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−メチル)メチルビニルスルホン)の合成
【化106】

Z−Asp(β−メチル)−インダニルグリシン−Val−OH(16.7mg、0.0301mmol)を、THFおよびDMF(0.5ml/0.1ml)の混合物中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、N−メチルモルホリン(9μl)を加え、ついで、3分後に、クロロギ酸イソブチル(8μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−メチル)メチルビニルスルホントシル塩(12mg、1当量)を一度に加え、容器をTHF(0.1ml)で洗浄し、溶液に加え、ついで、N−メチルモルホリン(9μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、7mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(酢酸エチル/ヘキサン:40%、ついで、ジクロロメタン/メタノール:5〜15%)で精製して、14mgのZ−Asp(β−メチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−メチル)−メチルビニルスルホンを得た。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:8.31(d,NH,J=7.82Hz);8.11(d,NH,J=8.8Hz);7.93(d,NH,J=8.21Hz);7.69(d,NH,J=8.02Hz);7.37−7.08(m,9H);6.74(dd,1H,J=15.45Hz,J=4.30Hz);6.67(d,1H,J=15.59Hz);5.05(s,2H);4.99(m,1H);4.44(m,2H);4.11(m,1H);3.57(s,6H);2.98(s,3H);2.95−2.5(m,9H);2.00−1.94(m,1H);0.84(t,6H,J=6.06Hz)
【0255】
実施例23:化合物52(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン)の合成
【化107】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−OH(17mg、0.0306mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.39ml/0.13ml)の混合物中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を加え、3分後に、クロロギ酸イソブチル(8μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩(12mg、1当量)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:5〜100%)により精製して、8mgのZ−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホを得た。
【0256】
実施例24:化合物53(Z−Asp−Phg−Val−Asp−メチルビニルスルホン)の合成
【化108】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホン(6.2mg)をジクロロメタン(0.16ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.22ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)を加え、ついで、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテル(5ml)で希釈し、この方法を2回繰り返した。粗物質をエーテルで1回以上希釈し、濾液を除去し、沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、5mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.46−7.29(m,10H);6.83(dd,1H,J=15.22Hz,J=4.60Hz);6.68(dd,1H,J=15.229Hz,J=1.36Hz);5.38(s,1H);5.10(q,2H,J=12.73Hz);4.94−4.90(m,1H);4.56(t,1H,J=6.75Hz);4.10(d,1H,J=7.07Hz);2.95(s,3H);2.98−2.88(m,1H);2.76−2.60(m,3H);2.21−2.01(m,1H);0.98(t,6H,J=6.3Hz)
LCMS(M−H)=673.7
【0257】
実施例26:化合物54(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Al(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン)の合成
【化109】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Al(2’−キノリル)−Val−OH(19mg、0.0306mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.4ml/0.14ml)中に溶解した。混合物を、−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(9μl)を加え、ついで、3分後に、クロロギ酸イソブチル(9μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩(13.1mg、1当量)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(9μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:5〜100%)で精製して、13.1mgのZ−Asp(β−tert−ブチル)−Al(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホンを得た。
【0258】
実施例27:化合物55(Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化110】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホン(13.1mg)をジクロロメタン(0.32ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.44ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、ついで、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、12mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.68(m,1H);8.17(d,1H,J=8.9Hz);8.1(d,1H,J=8.2Hz);7.93(t,1H,J=7.85Hz);7.78(m,2H);7.34−7.29(m,5H);6.88(dd,1H,J=15.20および4.75Hz);6.7(d,1H,J=15.20Hz);5.03−4.83(m,4H);4.44(t,1H,J=6.45Hz);4.1(d,1H,J=7.15Hz);3.70(m,1H);3.52(m,1H);2.98(s,3H);2.90−2.68(m,4H);0.92(d,3H,J=6.9Hz),0.89(d,3H,J=6.7Hz)
LCMS(M−H)=738.3
【0259】
実施例28:化合物56(Z−Asp(β−tert−ブチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン)の合成
【化111】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−インダニルグリシン−Val−OH(21mg、0.0353mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.44ml/0.15ml)の混合物中に溶解した。混合物を、−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(10μl)を、ついで、クロロギ酸イソブチル(9μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩(15mg、1当量)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(10μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(酢酸エチル/ヘキサン:40%、ついで、ジクロロメタン/メタノール:5〜15%)で精製して、10mgのZ−Asp(β−tert−ブチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホンを得た。
【0260】
実施例30:化合物57(Z−Asp−インダニルグリシン−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化112】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−インダニルグリシン−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホン(11mg)をジクロロメタン(0.26ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.36ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、9mgの所望の化合物を加えた。
NMRH(DMSO,400MHz)δ:12.35(bs,2H,2*COH);8.21(d,1H,J=7.78Hz);8.06(m,1H);7.89(d,1H,J=7.34Hz);7.61(d,1H,J=7.10Hz);7.34−7.31(m,5H);7.17−6.95(m,4H);6.75(dd,1H,J=15.33Hz,J=4.8Hz);6.64(d,1H,J=15.58Hz);4.99(s,2H);4.81(m,1H);4.46−4.40(m,2H);4.12(t,1H,J=6.28Hz);2.97(s,3H);2.82−2.44(m,9H);0.85(t,6H,J=5.95Hz)
【0261】
実施例32:化合物58(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Glu(β−tert−ブチル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホン)の合成
【化113】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Glu(β−tert−ブチル)−Val−OH(18mg、0.029mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.39ml/0.13ml)中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を、ついで、3分後、クロロギ酸イソブチル(7μl)で加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩(13mg)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(酢酸エチル/ヘキサン:40%、ついで、ジクロロメタン/メタノール:5〜15%)で精製して、24mgの所望の化合物を得た。
【0262】
実施例33:化合物59(Z−Asp−Glu−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化114】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Glu(β−tert−ブチル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホン(22.7mg)をジクロロメタン(0.55ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.7ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、これをジエチルエーテル(7ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテル(5ml)で希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、19mgの所望の化合物を得た。
【0263】
実施例34:化合物60Z−Val−Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホンの合成
【化115】

Z−Val−OH(15mg、0.059mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.5ml/0.2ml)の混合物中に溶解した。混合物を、−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(10μl)、ついで、クロロギ酸イソブチル(9μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)メチルビニルスルホントシル塩(25mg、1当量)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(10μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:メタノール/ジクロロメタン:0〜15%)により精製して、24mgのZ−Val−Asp−メチルビニルスルホンを得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.38−7.29(m,5H);6.82(m,1H);6.69(m,1H);5.10(m,2H);4.96(m,1H);3.91(m,1H);2.94(s,3H);2.8−2.6(m,2H);2.1−2.0(m,1H);1.43(s,9H);0.95(t,6H,J=6.7Hz)
【0264】
実施例35:化合物61(Z−Val−Asp−メチルビニルスルホン)の合成
【化116】

Z−Val−Asp(β−tert−ブチル)−メチルビニルスルホン(25mg)を、ジクロロメタン(0.6ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.45ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、これをジエチルエーテル(7ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、22mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:7.38−7.27(m,5H);6.86(m,1H);6.68(m,1H);5.11(m,2H);5.03(m,1H);3.92(m,1H);2.94(s,3H);2.88−2.59(m,2H);2.09−2.01(m,1H);0.95(t,6H,J=6.49Hz)
【0265】
実施例36:化合物62(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)フェニルビニルスルホン)の合成
【化117】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−OH(19mg、0.0306mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.39ml/0.13ml)の混合物中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)を、ついで、クロロギ酸イソブチル(7μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)フェニルビニルスルホントシル塩(11mg)を一度に加え、ついで、N−メチルモルホリン(8μl)混合物を35分間−15/−20℃で加え、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、ついで、1.5mLの炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でクエンチした。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:5〜100%)で精製して、13.7mgの所望の化合物を得た。
【0266】
実施例37:化合物63(Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspフェニルビニルスルホン)の合成
【化118】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−フェニルビニルスルホン(13.7mg)をジクロロメタン(0.3ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.4ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、10mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.58(m,1H);8.11(d,1H,J=8.75Hz);8.04(d,1H,J=7.99Hz);7.85(d,3H,J=7.25Hz);7.72−7.6(m,3H);7.56(t,2H,J=7.83Hz);7.31−7.28(m,5H);6.93(dd,1H,J=15.24Hz,J=5.15Hz);6.65(d,1H,J=14.87Hz);4.97−4.80(m,4H);4.40(m,1H);4.21−4.02(m,1H);3.63−3.50(m,1H);3.47−3.44(m,1H);2.82−2.6(m,4H);2.15−1.98(m,1H);0.81(t,6H,J=6.38Hz)
LCMS(M−H+)=800.5
【0267】
実施例38:化合物64(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホン)の合成
【化119】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Al(2’−キノリル)−Val−OH(10mg、0.016mmol)をジクロロメタンおよびDMF(0.24ml/0.080ml)の混合物に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(5μl)、ついで、3分後にクロロギ酸イソブチル(5μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)フェノキシビニルスルホントシル塩(11.3mg、0.023mmol)を一度に加え、容器をDMF(0.04ml)で洗浄し、ついで、N−メチルモルホリン(5μl)を加えた。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウム飽和溶液で希釈した。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣を、シリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:12〜100%)で精製して、4.7mgの所望の化合物を得た。
【0268】
実施例39:化合物65(Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspフェノキシビニルスルホン)の合成
【化120】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−フェノキシビニルスルホン(4.7mg)をジクロロメタン(0.15ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.2ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテル(5ml)で希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、4mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.25(d,1H,J=7.9Hz);8.05(d,1H,J=8.66Hz);7.88(d,1H,J=8.25Hz);7.63(d,1H,J=6.82Hz);7.53(t,1H,J=7.46Hz);7.45−7.33(m,3H);7.33−7.20(m,8H);6.75(dd,1H,J=15.33Hz,J=4.33Hz);6.65(d,1H,J=15.55Hz);5.1−4.8(m,4H);4.49(t,1H,J=6.17Hz);4.06(d,1H,J=6.45Hz);3.6−3.4(m,2H);2.9(dd,1H,J=17.02Hz,J=5.39Hz);2.73(dd,1H,J=16.57Hz,J=6.53Hz);2.59(d,2H,J=6.97Hz);2.08(m,1H);0.75(m,6H)
【0269】
実施例40:化合物66(Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホン)の合成
【化121】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Ala(2’−キノリル)−Val−OH(13mg、0.0209mmol)を、ジクロロメタンおよびDMF(0.28/0.094ml)の混合物中に溶解した。混合物を−15/−20℃にし、ついで、N−メチルモルホリン(6μl)、ついで、クロロギ酸イソブチル(5μl)を加えた。混合物を−15℃で10分間撹拌した。ついで、Asp(β−tert−ブチル)モルホリンビニルスルホントシル塩(10.2mg、1当量)を1回で加え、ついで、N−メチルモルホリン(6μl)を得た。混合物を35分間−15/−20℃で撹拌し、ついで、5mLのジクロロメタンで希釈し、1.5mLの炭酸水素ナトリウム飽和溶液で希釈した。その後、有機層を炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を蒸発させて乾燥した。得られた残渣をシリカゲル(勾配:酢酸エチル/ヘキサン:12〜100%)で精製して、10mgの所望の化合物を得た。
【0270】
実施例41:化合物67(Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspモルホリンビニルスルホン)の合成
【化122】

Z−Asp(β−tert−ブチル)−Al(2’−キノリル)−Val−Asp(β−tert−ブチル)−モルホリンビニルスルホン(4.7mg)をジクロロメタン(0.15ml)中に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.2ml)を加えた。混合物を室温にて一晩(15h)撹拌した。ついで、ジエチルエーテル(5ml)でクエンチし、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を再びエーテルで希釈し、この方法を2回繰り返した。沈殿物を、2*1mLのエーテルで洗浄して、乾燥して、4mgの所望の化合物を得た。
NMRH(CDOD,400MHz)δ:8.39(s,1H);8.08(d,1H,J=8.56Hz);7.94(d,1H,J=8.29Hz);7.74(m,1H);7.66−7.55(m,2H);7.31−7.29(m,5H);6.69(dd,1H,J=14.98Hz,J=4.59Hz);6.41(d,1H,J=14.86Hz);5.0−4.7(m,4H);4.45(m,1H);4.05(d,1H,J=6.65Hz);3.70−3.64(m,4H);3.55−3.44(m,2H);3.16−3.08(m,4H);2.89−2.70(m,4H);2.17−2.07(m,1H);0.85−0.81(m,6H)
LCMS(M−H+)=809.6
【0271】
実施例42:化合物68(Z−Asp−インダニルグリシン−Val−Aspイソプロピルビニルスルホン)の合成
【化123】

この化合物を、Asp(β−tert−ブチル)イソプロピルビニルスルホントシル塩(43)およびCbz−Asp(O−tBu)インダニルグリシン−Val−OH(12)から、Z−Asp−インダニルグリシン−Val−Aspメチルビニルスルホン(57)に関する無水混合物法により調製した。
【0272】
実施例43:化合物69(Z−Asp−Phg−Val−Asp−フェニルビニルスルホン)の合成
【化124】

この化合物を、Z−Asp(β−tert−ブチル)−Phg−Val−OH(16)およびAsp(OtBu)−ビニルフェニルスルホントシル塩(37)から、Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspフェニルビニルスルホン(63)に関する無水混合物法により調製した。
【0273】
実施例44:化合物70(Z−Asp−(D,LAla(2’−キノリル))−Val−Aspフェニルビニルスルホン)の合成
【化125】

この化合物を、対応するZ−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspフェニルビニルスルホン(63)と同様に調製した。
【0274】
実施例45:化合物71(Z−Asp−(D,LAla(2’−キノリル))−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化126】

この化合物を、対応するZ−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspメチルビニルスルホン(55)と同様に調製した。
【0275】
実施例46:化合物76(Z−Asp−Tyr−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化127】

この化合物を、Z−Asp−Tyr(OtBu)−Val−OH(75)およびAsp(OtBu)−ビニルメチルスルホントシル塩(33)から、Z−Asp−Phg−Val−Aspメチルビニルスルホン(53)に関する無水混合物法により調製した。
Z−Asp−Tyr(OtBu)−Val−OHをCbz−Asp(O−tBu)−Glu(O−tBu)−Val−OH(20)と同様に調製した。
【0276】
実施例47:化合物82(Z−Tyr−Glu−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化128】

この化合物を、Z−Tyr(OtBu)−Glu(OtBu)−Val−OH(80)およびAsp(OtBu)−ビニルメチルスルホントシル塩(33)から、Z−Asp−Phg−Val−Aspメチルビニルスルホン(53)に関する無水混合物法により調製した。
Z−Tyr(OtBu)−Glu(OtBu)−Val−OH(80)をCbz−Asp(O−tBu)−Glu(O−tBu)−Val−OH(20)と同様に調製した。
【0277】
実施例48:化合物88(Z−Asp−Trp−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化129】

この化合物を、Z−Asp(OtBu)−Trp−Val−OH(86)およびAsp(OtBu)−ビニルメチルスルホントシル塩(33)から、Z−Asp−Phg−Val−Aspメチルビニルスルホン(53)に関する無水混合物法により調製した。
【0278】
実施例49:化合物85(Z−Asp−Ala(2’−ピリジル)−Val−Aspメチルビニルスルホン)の合成
【化130】

この化合物を、Z−Asp(OtBu)−Ala(2’−ピリジル)−Val−OH(83)およびAsp(OtBu)−ビニルフェニルスルホントシル塩(37)から、Z−Asp−Ala(2’−キノリル)−Val−Aspフェニルビニルスルホン(63)に関する無水混合物法により調製した。
【0279】
実施例50:カスパーゼ−1、カスパーゼ−5、カスパーゼ−7、およびカスパーゼ−9に対する、カスパーゼ−3に関する代表的な化合物の選択性
化合物55、化合物63、化合物48、化合物57、化合物88の、カスパーゼ−1(プロ−炎症群)、カスパーゼ−5(グループI)、カスパーゼ−9(グループII)およびカスパーゼ−3およびカスパーゼ−7(グループIII)に対する選択性を、カスパーゼ−1、−3、−5、−7、−9阻害剤Drug Screening KitTM(カタログ#:K151−100、K153−100、K155−100、K157−100、K159−100、それぞれ、BioVisionTM)を用いる蛍光分析法を用いて評価した。簡単には、製品説明書を用い、広範囲の化合物の異なる濃度:3333、1000、333、100、33、10、3、および1nM(最終濃度)を、直接、基質および酵素を含有する反応混合物に、最終容量10μlで加えた。30−分37℃でインキュベートした後、AFCの遊離を、励起波長400nmおよび発行波長505nmでFlexstation3TM(Molecular Devices)を用いる終点アッセイとして測定した。カスパーゼ−1、−3、−5、−7、−9活性の阻害レベルを、化合物有りまたは無しで試料における相対蛍光強度の比較により測定した。結果を下記表2に要約する。
【0280】
表2に示されるように、化合物55は、カスパーゼ−3および−7活性の両方に阻害効果を示した。しかしながら、計算したIC50値に基づいて、カスパーゼ−7よりもカスパーゼ−3に約200倍以上選択的であった(表2を参照)。化合物の有意な阻害活性は、試験投与量範囲では、カスパーゼ−1、−5、および−9に対して観察されなかった。カスパーゼ−1、−5、および−9の阻害が達成された(それぞれ、25%、21%、および57%)が、非常に高濃度であった(約10,000nM)。
【0281】
化合物55と同様に、化合物63もまた、カスパーゼ−1、−5、−7、および−9と比較して、カスパーゼ−3活性阻害に対して高い選択性を示した。化合物63はまた、カスパーゼ−7よりもカスパーゼ−3に対して約50倍の選択性で、カスパーゼ−3および−7に対して阻害効果を示した。カスパーゼ−1、−5、および−9に対して、化合物63の試験投与量範囲で、有機な阻害効果は見られなかった。データは、化合物55および化合物63の両方の化合物が、カスパーゼ−3活性阻害に対して、高度に有用かつ選択的な化合物であることを示している。
【0282】
化合物48は、特定の群のカスパーゼを阻害することができた。化合物は、カスパーゼ−3、−7、および−9を、それぞれ、約8−30nM、0.4−0.9uMおよび1−1.8uMのIC50値で阻害することができた。かくして、化合物48は、グループIIIカスパーゼ(カスパーゼ−3および−7)の高度に有効な阻害、およびグループIIカスパーゼ(カスパーゼ−9)の低くはあるが有意な阻害を示す。
【0283】
カスパーゼ−1、−3、−5、−7、および−9活性に対する化合物57の阻害プロファイルから、化合物57は、グループIIIカスパーゼ(カスパーゼ−3および−7)の有力な阻害剤であることは明らかである。化合物57は、カスパーゼ−3および−7活性を、それぞれ、約30−90nMおよび約180−300nMのIC50値で阻害した。したがって、データは、化合物48および化合物57が、カスパーゼ−3活性に対して特異的阻害剤はないことを示しているが、実際は、阻害剤は、特定のグループのカスパーゼを標的化する。
【0284】
化合物88は、カスパーゼ−1およびカスパーゼ−3活性の両方に対して二重の阻害効果を有する。これは約30−90nMのIC50値を有するカスパーゼ−3活性の流力な阻害剤である。また、これは、カスパーゼ−1活性を、約0.6−1.2uMのIC50値で阻害する。
【0285】
実施例51:カスパーゼ−3阻害剤のインビトロ阻害活性
カスパーゼ−3阻害剤の細胞内レベルでの効果試験するために、選択した化合物のPARP(ポリADP−リボースポリメラーゼ)のタンパク質分解開裂を阻害する能力を、生存Hela細胞で評価した。
【0286】
簡単には、このアッセイにおいて、Hela細胞を96ウェルプレートにシードし、4時間スタウロスポリン、アポトーシスの十分に特徴付けたインデューサを、単独または異なる濃度の化合物(50、25、10および3uM)とインキュベートした。ホルムアルデヒドで固定した後、細胞を、蛍光標識化抗開裂PARP抗体(細胞シグナリング、Cat#:9547)で染色し、Hoechst33342(Invitrogen,Cat#:H3570)と対比染色して、すべての核をマークした。蛍光画像を、ブルーチャンネルにおいてHoechst染色およびグリーンチャンネルにおいて開裂PARP抗体で、CellomicsTMマイクロスコープシステム(Thermo Scientific,Pittsburgh,USA)で取得した。開裂PARPポジティブ細胞のパーセンテージを、上記ある閾値での開裂PARP抗体染色を有する核およびすべての(Hoechstポジティブ)核間の比を計算することにより決定する。カスパーゼ−3阻害の効果を、化合物とのスタウロスポリンインキュベーション後および化合物無しでのスタウロスポリンインキュベーション後の開裂PARPポジティブ細胞の比を計算することにより決定する。結果を表2に要約する。
【0287】
表2に示されるように、このアッセイの結果は、酵素アッセイにおいて100nM以下のIC50でカスパーゼ−3活性を阻害する化合物は、一般的に、PARP開裂をインビトロで阻害するのに有効であるが、このアッセイにおける化合物の活性/効果に起因する主要な因子は、化合物の細胞膜浸透係数である(より高い浸透係数であれば、より多量の培地中の化合物が細胞内に到達する)。化合物の分子組成のある種の修飾により、さらに阻害活性は改善された;例えば、化合物51、化合物53、化合物57、および化合物76は、スタウロスポリン処理後、PARPポジティブ細胞のパーセンテージを、50%以上減少させ、化合物51および化合物57は約65%阻害に達する最も有効な化合物であり、および化合物53は、DEVD−fmk(カスパーゼ−3選択性であるが、高細胞膜浸透性を有し、一般的なカスパーゼ阻害活性を有するポジティブコントロール化合物)と比較してより有効であり、および化合物48、55、および59DEVD−fmkと比較して特に有効性を示す。これらの結果は、一次酵素アッセイスクリーニングにおいて同定された阻害化合物が、細胞環境におけるそれらの活性を保持すること、および分子修飾がカスパーゼ−3阻害剤としてのこれらの活性をさらに改善することを可能にすることを示している。
【0288】
表2:カスパーゼ阻害剤に関する活性アッセイ。与えられた値は、アッセイから得られた平均値の概略値である。
【表18】

【0289】
【表19】

【0290】
上記から、本発明の特定の具体例は、説明のために記載されたものであるが、種々の改変を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることは明らかだろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲を除いて限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
aは0または1であり;
bは0または1である:ただし、bが0である場合、aは0であり;
Aは
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)アリール、
4)ヘテロアリール、
5)ヘテロサイクリル、
6)R−C(O)−、
7)R−OC(O)−、
8)R−C(O)O−、または
9)R−S(O)
であり;
P2、P3、P4、存在する場合P5、および存在する場合PXは、(D)または(L)アミノ酸残基であり;
線「−」は、P2、P3、P4、P5またはPX間に位置する場合、ペプチド結合またはペプチド模倣結合であり;
波線は、RおよびRのcisまたはtrans配置を意味し;

1)アリール、
2)ヘテロアリール、
3)ヘテロサイクリル、
4)C−Cアルケン−R20
5)SO
6)SO
7)SOR
8)SONHR
9)SONHR
10)CN、
11)CO
12)COR
13)PO
14)PO(OR、または
15)PO(OR
であり、ここに、該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよく;

1)R;または
2)H、
3)ハロゲン、
4)ハロアルキル、
5)C−Cアルキル、
6)C−Cアルケン、
7)C−Cシクロアルキル、
8)OR
9)OCOR
10)OCO
11)NR
12)NHSO
13)NHCOR
14)アリール、
15)ヘテロアリール、または
16)ヘテロサイクリル
であり;

1)C−Cアルキル、
2)アリール、
3)ヘテロアリール、または
4)ヘテロサイクリル
であり;

1)H、または
2)C−Cアルキル
であり;

1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cアルケン、
4)C−Cシクロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、または
8)保護されていてもよい(D)または(L)アミノ酸残基
であり;

1)(D)または(L)アミノ酸残基、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;
およびRは、各々独立して:
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、または
7)ヘテロサイクリル
から選択され、ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく、該アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;

1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;
10は、独立して:
1)ハロゲン、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、
8)OR
9)S(O)
10)NR
11)COR
12)C(O)OR
13)OC(O)R
14)SC(O)R
15)CONR、または
16)S(O)NR
から選択され;
20は、独立して:
1)ハロゲン、
2)NO
3)CN、
4)C−Cアルキル、
5)ハロアルキル、
6)C−Cシクロアルキル、
7)OR
8)NR
9)SR
10)アリール、
11)ヘテロアリール、
12)ヘテロサイクリル、
13)SO
14)SO
15)SOR
16)SONHR
17)SONHR
18)PO
19)PO(OR
20)PO(OR)、
21)COR
22)CO
23)S(O)
24)CONR、または
25)S(O)NR
から選択され、ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよく;
30
1)NO
2)C−Cアルケン−R20
3)SO
4)SOR
5)SONHR
6)SONHR
7)CN、
8)CO
9)COR
10)PO
11)PO(OR、または
12)PO(OR
である]
で示される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその医薬上許容される塩、あるいは検出可能な標識またはアフィニティタグで標識化された化合物。
【請求項2】
AがHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
AがPhCHOC(O)−である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がHまたはCHである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
aおよびbが共に0である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
aが0であり、bが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
がtrans配置である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】

1)SO
2)SO;または
3)SOR
であり、ここに、RがC−Cアルキル、アリール、またはヘテロサイクリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】

1)H、
2)ハロゲン、
3)ハロアルキル、
4)C−Cアルキル、または
5)C−Cシクロアルキル
である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
がHまたはClである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
がClである、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
式IA:
【化2】

[式中:
aは0または1であり;
bは0または1であり:ただし、bが0である場合、aは0であり;
Aは
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)アリール、
4)ヘテロアリール、
5)ヘテロサイクリル、
6)R−OC(O)−、
7)R−C(O)O−、または
8)R−S(O)
であり;
AAは、Val、Leu、Pro、Met、Ala、Thr、His、Ser、またはLysの(R)または(S)アミノ酸側鎖であり;
AAは、Trp、Tyr、Ala、Asp、Gln、Glu、Phe、Ser、Thr、Val、Tyr、Gly、Leu、His、またはIleの(R)または(S)アミノ酸側鎖であるか;またはAAは、フェニルグリシン、インダニルグリシン、またはAla−(2’−キノリル)であり;
AAは、Asp、Ile、Leu、Glu、Ala、Val、Tyr、Trp、Phe、またはProの(R)または(S)アミノ酸側鎖であり;
存在する場合、AAは、ValまたはLeuの(R)または(S)アミノ酸側鎖であり;
存在する場合、AAは、DまたはLアミノ酸残基の(R)または(S)アミノ酸側鎖であり;
波線は、RおよびRのcisまたはtrans配置を意味し;

1)アリール、
2)ヘテロアリール、
3)ヘテロサイクリル、
4)C−Cアルケン−R20
5)SO
6)SO
7)SOR
8)SONHR
9)SONHR
10)CN、
11)CO
12)COR
13)PO
14)PO(OR、または
15)PO(OR
であり、ここに、該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよく;

1)R;または
2)H、
3)ハロゲン、
4)ハロアルキル、
5)C−Cアルキル、
6)C−Cアルケン、
7)C−Cシクロアルキル、
8)OR
9)OCOR
10)OCO
11)NR
12)NHSO
13)NHCOR
14)アリール、
15)ヘテロアリール、または
16)ヘテロサイクリル
であり;

1)C−Cアルキル、
2)アリール、
3)ヘテロアリール、または
4)ヘテロサイクリル
であり;

1)H、または
2)C−Cアルキル
であり;

1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cアルケン、
4)C−Cシクロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、または
8)保護されていてもよい(D)または(L)アミノ酸残基
であり;

1)(D)または(L)アミノ酸残基、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;
およびRは、独立して:
1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、または
7)ヘテロサイクリル
から選択され、ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく、該アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;

1)H、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)アリール、
5)ヘテロアリール、または
6)ヘテロサイクリル
であり、ここに、該アルキルまたはシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR10置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルは1個またはそれ以上のR20置換基により置換されていてもよく;
10は、独立して:
1)ハロゲン、
2)C−Cアルキル、
3)C−Cシクロアルキル、
4)ハロアルキル、
5)アリール、
6)ヘテロアリール、
7)ヘテロサイクリル、
8)OR
9)S(O)
10)NR
11)COR
12)C(O)OR
13)OC(O)R
14)SC(O)R
15)CONR、または
16)S(O)NR
であり;
20は、独立して:
1)ハロゲン、
2)NO
3)CN、
4)C−Cアルキル、
5)ハロアルキル、
6)C−Cシクロアルキル、
7)OR
8)NR
9)SR
10)アリール、
11)ヘテロアリール、
12)ヘテロサイクリル、
13)SO
14)SO
15)SOR
16)SONHR
17)SONHR
18)PO
19)PO(OR
20)PO(OR)、
21)COR
22)CO
23)S(O)
24)CONR、または
25)S(O)NR
であり、ここに、該アルキルおよびシクロアルキルは、1個またはそれ以上のR置換基により置換されていてもよく;該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリルは、1個またはそれ以上のR30により置換されていてもよく;
30
1)NO
2)C−Cアルケン−R20
3)SO
4)SOR
5)SONHR
6)SONHR
7)CN、
8)CO
9)COR
10)PO
11)PO(OR、または
12)PO(OR
である]
で示される化合物もしくはそのプロドラッグまたはその医薬上許容される塩、あるいは検出可能な標識またはアフィニティタグで標識化された化合物。
【請求項14】
式IIA:
【化3】

[式中:
AAは、Val、Leu、Pro、Met、Ala、Thr、His、Ser、またはLysのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Trp、Tyr、Ala、Asp、Gln、Phe、Ser、Thr、Val、Tyr、Gly、Leuのアミノ酸側鎖であるか;またはAAは、フェニルグリシン、インダニルグリシン、またはAla−(2’−キノリル)であり;
AAは、Aspのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、請求項13の記載と同意義である]
で示される化合物を含む、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
式IIA
【化4】

[式中
AAは、Thr、His、Val、Trp、Ile、またはAlaのアミノ酸側鎖であり;
AAはGluであるか、またはAAは、Ala−(2’−キノリル)のアミノ酸側鎖であり;
AAは、Ile、Leu、Glu、Asp、Ala、ProまたはValのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、請求項13の記載と同意義である]
で示される化合物を含む、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
式IIIA:
【化5】

[式中
AAは、Ala、Ser、LysまたはValのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Val、Glu、ThrまたはGlnのアミノ酸側鎖であり;
AAは、AspまたはLeuのアミノ酸側鎖であり;
AAは、ValまたはLeuのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、請求項13の記載と同意義である]
で示される化合物を含む、請求項13記載の化合物。
【請求項17】
式IIA:
【化6】

[式中
AAは、Val、Ala、Thr、またはHisのアミノ酸側鎖であり;
AAは、Glu、Gln、Asp、Ala、Gly、Thr、Val、Trpのアミノ酸側鎖であるか;またはAAは、フェニルグリシンまたはインダニルグリシンであり;
AAは、Tyr、Trp、Phe、またはAspのアミノ酸側鎖であり;
ここに、A、R、RおよびRは、請求項13の記載と同意義である]
で示される化合物を含む、請求項13記載の化合物。
【請求項18】
化合物#48、化合物#51、化合物#53、化合物#57、化合物#55、化合物#59、および化合物#88からなる群から選択される請求項1または13記載の化合物。
【請求項19】
化合物#4、化合物#12、化合物#16、および化合物#20からなる群から選択される中間体化合物。
【請求項20】
有効量の請求項1〜18いずれか1項に記載の化合物を含む、カスパーゼ関連疾患の治療または予防用医薬組成物。
【請求項21】
カスパーゼ関連疾患の治療または予防方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項1〜18いずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項22】
カスパーゼ関連疾患の治療または予防用の医薬の製造における、請求項1〜18いずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
カスパーゼ関連疾患の治療または予防用のための、請求項1〜18いずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
カスパーゼ関連疾患が、アポトーシス介在疾患、IL−1介在疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、増殖性疾患、感染症、変性疾患、網膜疾患、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵炎、喘息、呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、グレーブス疾患、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、肝臓炎、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、皮膚炎、移植片対宿主疾患、移植臓器拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、多発性骨髄腫−関連疾患、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、敗血症、敗血性ショック、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV−関連脳炎、老化、卒中による神経損傷、潰瘍性結腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、肝臓−関連疾患、腎疾患、およびHIV感染症からなる群から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項25】
カスパーゼ関連疾患が、アポトーシス介在疾患、IL−1介在疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、増殖性疾患、感染症、変性疾患、網膜疾患、炎症性腹膜炎、変形性関節症、膵炎、喘息、呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、グレーブス疾患、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、肝臓炎、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、皮膚炎、移植片対宿主疾患、移植臓器拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、多発性骨髄腫−関連疾患、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、敗血症、敗血性ショック、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV−関連脳炎、老化、卒中による神経損傷、潰瘍性結腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、肝臓−関連疾患、腎疾患、およびHIV感染症からなる群から選択される、請求項22または23記載の使用。
【請求項26】
細胞または組織におけるカスパーゼ活性に影響を受ける過剰アポトーシスの治療方法であって、細胞または組織と有効量の1個またはそれ以上の請求項1〜18いずれか1項に記載の化合物を接触させ、過剰アポトーシスを治療することを含む方法。
【請求項27】
トリペプチドAの合成方法であって:
スキーム:
【化7】

[式中、AA、AAおよびAAは、(D)または(L)アミノ酸残基側鎖であり;Zはアミノ保護基である]
に従って、
a)中間体Aを保護アミノ酸(Z)NHCHAA−OHとカップリングさせて、アリル中間体Bを調製すること;および
b)中間体Bからアリル基を除去して、トリペプチドAを得ること、
を含む方法。
【請求項28】
塩基がテトラキスモルホリンである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
Asp−a−クロロビニルメチルスルホンペプチド誘導体の合成方法であって:
スキーム:
【化8】

[式中、AA、AAおよびAAは、(D)または(L)アミノ酸残基側鎖であり;Zはアミノ保護基である]
に従って、
a)保護トリペプチドAおよび中間体Cを、カップリング剤の存在下でカップリングさせること;および
b)tert−ブチルエステルを除去して、Asp−a−クロロビニルメチルスルホンペプチド誘導体を得ること、
を含む方法。
【請求項30】
医薬上許容される塩が、化合物を細胞に浸透させることができるものである、請求項1または13記載の化合物。

【公表番号】特表2011−524340(P2011−524340A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509829(P2011−509829)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000696
【国際公開番号】WO2009/140765
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510308621)ニュー・ワールド・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】NEW WORLD LABORATORIES INC.
【Fターム(参考)】