説明

選択的サブタイプアルファ2アドレナリン作動薬及びその使用方法

【課題】哺乳動物において疼痛を治療する方法を提供する。
【解決手段】疼痛を治療する充分に定義されたアミノイミダゾリン、アミノチアゾリン、又はアミノオキサゾリン又はこれらの医薬組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年3月24日に出願の米国仮出願第61/038928号及び2009年3月23日に出願の米国正規出願第12/408,823号の恩典を主張し、いずれの出願の開示内容も本願明細書に全体で含まれるものとする。
発明の分野
本発明は、一般的には、哺乳動物において種々のタイプの疼痛を治療するための方法に関する。本発明は、詳細には、疼痛を治療する特定のアミノイミダゾリン化合物、アミノチアゾリン化合物、又はアミノオキサゾリン化合物又はこれらの医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトのアドレナリン受容体は、2つの広い種類、アルファアドレナリン受容体及びベータアドレナリン受容体に分類されている内在性膜タンパクである。双方のタイプとも、カテコールアミン、ノルエピネフリン及びエピネフリンの結合時に末梢交感神経神経系の作用を仲介する。
ノルエピネフリンはアドレナリン作動性神経末端により産生され、エピネフリンは副腎髄質により産生される。これらの化合物に対するアドレナリン受容体の結合親和性は、分類の1つの基礎をなしている: アルファ受容体は、エピネフリンより強く結合し、合成化合物イソプロテレノールよりかなり強くノルエピネフリンを結合する傾向がある。これらのホルモンの好ましい結合親和性は、ベータ受容体については逆転する。多くの組織において、アルファ受容体活性化によって誘導される機能的反応、例えば、平滑筋収縮は、ベータ受容体結合によって誘導される反応と反対である。
【0003】
その後、アルファ受容体とベータ受容体の間の機能的区別は、種々の動物源及び組織源からこれらの受容体の薬理学的評価によって更に強調され絞り込まれた。結果として、アルファアドレナリン受容体及びベータアドレナリン受容体は、アルファ1、アルファ2、ベータ1、及びベータ2サブタイプに更に細分された。アルファ1受容体とアルファ2受容体の間の機能差は認識されており、これらの2つのサブタイプの間で選択的結合を示す化合物が開発されてきた。従って、公開された国際特許出願WO92/0073において、アルファ1サブタイプのアドレナリン受容体に選択的に結合するテラゾシンのR(+)エナンチオマーの選択的能力が報告された。アルファ2受容体のアゴニスト刺激がエピネフリンやノルエピネフリンの分泌を阻止すると言われ、アルファ2受容体の拮抗作用がこれらのホルモンの分泌を増加させると言われたことから、この化合物のアルファ1/アルファ2選択性が重要であるとして開示された。従って、非選択的アルファアドレナリン作動性ブロッカー、例えば、フェノキシベンザミンやフェントラミンの使用は、血漿カテコールアミン濃度の増加及び付随する生理的結果(心拍数の増加及び平滑筋収縮)のアルファ2アドレナリン受容体仲介誘導によって制限されると言われた。
【0004】
アルファアドレナリン受容体に関する一般背景については、Robert R. Ruffolo, Jr., アルファアドレナリン受容体: 分子生物学、生化学及び薬理学(Progress in Basic and Clinical Pharmacology series, Karger, 1991)に読者の注目が向けられ、この中で、アルファ1/アルファ2下位分類、分子生物学、シグナル変換、アゴニスト構造-活性関係、受容体機能、及びアルファアドレナリン受容体親和性を示す化合物の治療適用の基礎が探索されている。
動物組織からのアルファ受容体サブタイプのクローニング、シークエンシング及び発現は、アルファ1アドレナリン受容体のアルファ1A、アルファ1B及びアルファ1Dへの下位分類につながった。同様に、アルファ2アドレナリン受容体もまた、アルファ2A、アルファ2B、及びアルファ2C受容体に分類された。各アルファ2受容体サブタイプは、それ自体の薬理学的特異性及び組織特異性を示すと思われる。これらのサブタイプの1つ以上に対してある程度の特異性を有する化合物は、アルファ2受容体パンアゴニスト(例えば薬剤クロニジン)又はパンアンタゴニストより所定の適応症に対してより特定の治療剤であり得る。
他の適応症、例えば、緑内障、高血圧症、性機能不全、及びうつ病の治療の中でも、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト活性を有するある種の化合物は、既知の鎮痛剤である。しかしながら、このような活性を有する多くの化合物は、アルファ2アドレナリン受容体によってモジュレートされる疾患を治療する場合に望ましい活性及び特異性を与えない。例えば、疼痛の治療において有効な薬剤であることが見いだされる多くの化合物は、望ましくない副作用、例えば全身的に有効な投与量で引き起こす血圧低下や鎮静状態を有することがしばしば見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの望ましくない副作用を引き起こさずに疼痛からの解放を与える新規な薬剤が求められている。更に、疼痛、特に慢性疼痛、例えば、慢性の神経障害性疼痛や内臓痛に対して活性を示す薬剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、哺乳動物において疼痛を治療する方法を提供する。特に、本発明は、疼痛を治療するために充分に定義されたアミノイミダゾリン、アミノチアゾリン、及びアミノオキサゾリン及びこれらの医薬組成物を提供する。
本発明の一実施態様において、疼痛を治療する方法が提供される。このような方法は、例えば、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーの治療的に有効な投与量を含有する医薬組成物を治療を必要としている哺乳動物に投与することによって行うことができる:
【0007】
【化1】

【0008】
構造1
(式中、Xは、O、S、又はNHであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであり;
R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の一般の説明及び以下の詳細な説明双方が単に例示的且つ説明的なものであり、特許請求される本発明を限定しないことは理解されるべきである。本明細書に用いられる単数形の使用は、特にことわらない限り複数形を含む。本明細書に用いられる“又は”は、特にことわらない限り“及び/又は”を意味する。更にまた、用語“含んでいる”だけでなく他の形、例えば“含む”、及び“含んだ”の使用は、限定するものではない。本明細書に用いられる項目は、単に組織的なもののためであり、記載される内容を限定するものとして解釈されるべきでない。
特定の定義が示されない限り、関連して用いられる命名法、及び本明細書に記載される分析化学、合成有機化学及び無機化学の実験手順や手法は、当該技術において既知のものである。標準化学記号は、同じ意味に用いられ、全名称はこのような記号によって表される。従って、例えば、用語“水素”及び“H”は、同一の意味を有するように理解される。標準技術は、化学合成、化学分析、及び製剤に用いることができる。
【0010】
本明細書に用いられる“アルキル”は、炭素原子1〜約100個を有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味する。本明細書に記載されるときはいつでも、数字で示される範囲、例えば“1〜100”又は“C1-C100”は、所定の範囲における各整数を意味する; 例えば、“C1-C100アルキル”は、アルキル基が炭素原子1個だけ、炭素原子2個、炭素原子3個等々、炭素原子100個までを含むが、用語“アルキル”には、炭素原子の数字で示される範囲が示されない場合も含まれる。“置換アルキル”は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルキルジアミノ、アミド、アジド、-C(O)H、-C(O)R7、-CH2OR7、-C(O)-、-C(O)-、-S-、-S(O)2、-OC(O)-O-を含む置換基をもつアルキル部分を意味し、ここで、R7は、H又は低級アルキル、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、スルフリル等である。本明細書に用いられる“低級アルキル”は、炭素原子1〜約6個を有するアルキル部分を意味する。
【0011】
本明細書に用いられる“アルケニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、且つ炭素原子約2〜約100個を有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味し、“置換アルケニル”は、更に上に示される置換基を1つ以上もつアルケニル基を意味する。本明細書に用いられる“低級アルケニル”は、炭素原子2〜約6個を有するアルケニル部分を意味する。
本明細書に用いられる“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、且つ炭素原子約2〜約100個を有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味し、“置換アルキニル”は、更に上に示される置換基1つ以上をもつアルキニル基を意味する。本明細書に用いられる“低級アルキニル”は、炭素原子2〜約6個を有するアルキニル部分を意味する。
【0012】
本明細書に用いられる“シクロアルキル”は、典型的には炭素原子約3〜約8個を含有する環状(即ち、環含有)アルキル部分を意味し、“置換シクロアルキル”は、更に上に示される置換基1つ以上をもつシクロアルキル基を意味する。
本明細書に用いられる“アリール”は、炭素原子6〜14個を有する芳香族基を意味し、“置換アリール”は、更に上に示される置換基1つ以上をもつアリール基を意味する。
本明細書に用いられる“ヘテロアリール”は、環構造の一部として1つ以上のヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を含有し且つ環構造に全原子5〜14個(即ち、炭素原子とヘテロ原子)を有する芳香族部分を意味する。“置換複素環”は、更に上に示される置換基1つ以上をもつ複素環基を意味する。
本明細書に用いられる“複素環”は、環構造の一部として1つ以上のヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を含有し、且つ炭素原子3〜14個を有する非芳香環(即ち、環含有)基を意味し、“置換複素環”は、更に上に示される置換基1つ以上をもつ複素環基を意味する。
本明細書に用いられる“ハロゲン”又は“ハライド”は、フルオライド、クロライド、ブロマイド又はヨーダイドを意味する。
【0013】
本発明の化合物の一部が1つ以上の不斉中心を含有することができ、化合物がエナンチオマー形だけでなくジアステレオマー形で存在することができることは容易に当業者に明らかである。特にことわらない限り、本発明の範囲はすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー及びラセミ混合物を含む。本発明の化合物の一部は、医薬的に許容され得る酸又は塩基との塩を形成することができ、本明細書に記載される化合物のこのような医薬的に許容され得る塩もまた、本発明の範囲内である。
更に、構造1で表される化合物は、互変異性変換を受けることができ、以下に示される互変異性構造によって示すことができる。構造1を参照すると、XがNである場合、下記の互変異性体が可能である:
【0014】
【化2】

【0015】
XがSである場合、下記の互変異性体が可能である:
【0016】
【化3】

【0017】
XがOである場合、下記の互変異性体が可能である:
【0018】
【化4】

【0019】
構造1のすべての互変異性体が本発明の範囲内である。
“医薬的に許容され得る塩”は、親化合物の活性を保持する塩であり、これが投与される患者に対しても親化合物と比較して投与されるのに関連しても追加の有害な又は厄介な作用を与えない。医薬的に許容され得る塩は、また、酸、他の塩、又は酸又は塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として生体内で形成することができる塩を意味する。
酸性官能基の医薬的に許容され得る塩は、有機又は無機塩基から誘導することができる。塩は、一価又は多価イオンを含むことができる。無機イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムが特に興味深い。有機塩は、アミン、特にアンモニウム塩、例えば、モノ、ジ及びトリアルキルアミン又はエタノールアミンによってつくることができる。塩は、また、カフェイン、トロメタミン及び同様の分子でも形成することができる。塩酸又は他のいくつかの医薬的に許容され得る酸は、塩基性基、例えばアミン又はピリジン環を含む化合物と塩を形成することができる。
【0020】
“プロドラッグ”は、投与後に治療的に活性な化合物に変換される化合物であり、用語は、当該技術において一般に理解されているように本明細書に広く解釈されなければならない。本発明の範囲を制限することを意図しないが、変換はエステル基の加水分解又は他のいくつかの生物学的に不安定な基によって行われ得る。一般に、しかし必ずでなく、プロドラッグは、不活性であるか又はこれが変換される治療的に活性な化合物より活性でない。
本発明は、疼痛を治療するための方法を提供する。このような方法は、例えば、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーの治療的に有効な投与量を含有する医薬組成物を治療を必要としている哺乳動物に投与することによって行うことができる:
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、Xは、O、S、又はNHであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであり;
R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
いくつかの実施態様において、本発明の方法に用いられる化合物は、R1及びR2が各々独立してH、低級アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである化合物を含む。ある種の実施態様において、本発明の方法は、R1及びR2が各々独立してH、低級アルキル、又はクロロである化合物を使う。
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、XがSである化合物を使う。本発明のこの実施態様の化合物には、以下示される構造を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない:
【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、XがNHである化合物を使う。本発明のこの実施態様の化合物には、以下示される構造を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない:
【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
【化13】

【0032】
【化14】

【0033】
【化15】

【0034】
【化16】

【0035】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、XがOである化合物を使う。本発明のこの実施態様の化合物には、以下に示される構造を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない:
【0036】
【化17】

【0037】
【化18】

【0038】
本明細書に示される化合物は、典型的には、適切に置換されたアミンとイソシアネート、イソチオシアネート、又はイミダゾリンスルホン酸とを反応させることによって調製される。以下に概略が示されるスキームAは、本発明の化合物を調製するのに用いられる前駆体アミンの例示的合成を記載するものである。実験の詳細は実施例に示される、下記参照。
スキームA:
【0039】
【化19】

【0040】
アミンとイソシアネート、イソチオシアネート、又はイミダゾールスルホン酸とのカップリングは、以下のスキーム1-3に示されるように達成され得る。
スキーム1
【0041】
【化20】

【0042】
スキーム2
【0043】
【化21】

【0044】
スキーム3
【0045】
【化22】

【0046】
本発明方法によって使われる化合物のアルファ2アドレナリン作動性活性は、受容体選択及び増幅技術(RSAT)分析というタイトルの分析において示され、これはMessier et. al., 1995, Pharmacol. Toxicol. 76, pp. 308 - 311(本願明細書に含まれるものとする)による文献に記載されており、以下にも記載する。
RSAT分析は、コンフルエント細胞の混合集団において受容体含有細胞の選択的増殖を生じる接触阻止の受容体仲介損失を測定する。96ウェルフォーマットで容易に活性を測定し得るβ-ガラクトシダーゼのような適切なトランスフェクトされたマーカー遺伝子により細胞数の増大を評価する。Gタン パク質、Gqを活性化する受容体がこの応答を誘発する。アルファ2受容体は、通常はGiにカップリングしているが、Gq/i5と呼ばれるGi受容体認識ドメインを有するハイブリッドGqタンパク質と同時発現したときにRSAT応答を活性化する。
【0047】
NIH-3T3細胞を、15cmの皿において2×106細胞の密度で平板培養し、10%仔ウシ血清で補足されたダルベッコの変性イーグル培地中で維持する。1日後に、p-SV-β-ガラクトシダーゼ(5-10μg)、受容体(1-2μg)及びGタンパク質(1-2μg)をエンコードする哺乳動物の発現プラスミドでリン酸カルシウム沈殿によって細胞をコトランスフェクトする。40μgサケ精子DNAがトランスフェクション混合物に含まれていてもよい。翌日と1-2日後に新鮮な培地を添加し、細胞を収集し、50の分析アリコートにおいて凍結する。細胞を解凍し、100μlを96ウェル皿において3回の実験で種々の濃度の薬剤の100μLアリコートに添加する。インキュベーションは、37℃で72-96時間続ける。リン酸緩衝食塩水で洗浄した後、200μLの色素形成基質(リン酸緩衝食塩水中3.5mM o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド及び0.5%ノニデットP-40からなる)を添加し、30℃で一晩インキューベートし、420nmの光学密度を測定することによってβ-ガラクトシダーゼ酵素活性を決定する。吸光度は酵素活性の基準であり、これは細胞数に左右され、受容体仲介細胞増殖を反映する。効力或いは固有活性は、薬剤の最大作用と各受容体サブタイプに対する標準全アゴニストの最大作用との比として算出される。化学構造が下記に示されるブリモニジンは、アルファ2B受容体及びアルファ2C受容体に対する標準アゴニストとして用いられる。
【0048】
【化23】

【0049】
本発明の方法によって使われるいくつかの例示的化合物によるRSAT分析の結果は、これらの例示的化合物の化学構造と共に、以下の表1において開示される。
【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】
本発明の方法は、急性疼痛や慢性疼痛を含む疼痛を治療するのに有効である。“急性疼痛”は、切り傷、挫傷、熱傷のような損傷によって、又はカプサイシン、トウガラシの有効成分にさらされる際に感じられるような化学刺激によってもたらされる即時の、通常は高許容限界疼痛を意味する。“慢性疼痛”は、急性疼痛以外の、神経障害性疼痛、内臓痛(クローン病、過敏性腸症候群(IBS)、機能性消化不良等によってもたらされるものを含む)及び関連痛のようなこれらに限定されない疼痛を意味する。
慢性疼痛(例えば、癌、関節炎、多くの神経障害性外傷からの疼痛)及び急性疼痛(例えば、組織の切開、つねる、刺し傷、又は挫傷のような即時的な機械的刺激によって生じる疼痛)は、異なる神経線維及び神経受容体によって又は長期間刺激時のこれらの神経の機能の転位或いは変化によって大きな程度まで仲介される異なる神経学的現象であることが知られている。急性疼痛の感覚は、通常、機械的、熱的、及び化学的な刺激に対する高い許容限界を有する、主に、C線維と呼ばれる求心性の神経線維によって極めて迅速に伝達される。慢性痛の機構は完全には解明されていないが、急性の組織傷害は、疼痛反応を誘発させるのに必要な刺激の大きさの局所減少を含む二次的な徴候に対する最初の刺激後の数分或いは数時間以内に生じ得る。この現象は、典型的には最初の刺激の部位から生じる領域(しかしそれより大きい領域)において起こり、痛覚過敏と呼ばれる。二次応答は、機械的刺激或いは熱的刺激に対して非常に高まった感受性に生じ得る。
【0063】
A求心性線維(Aβ線維およびAδ線維)は、C線維より低い許容限界で刺激することができ、慢性疼痛の感覚に関与していると思われる。例えば、正常な状態のもとで、これらの線維の低許容限界刺激(例えば、軽くなでる又はくすぐる)は痛みを伴わない。しかしながら、神経傷害後或いは帯状疱疹として知られているヘルペスウイルス仲介症状のようなある種の状態のもとで、このような軽い接触或いは衣類の擦れさえも加えると非常な痛みを伴い得る。この状態は異痛症と呼ばれ、少なくとも部分的にはAβ求心性神経によって仲介されると思われる。C線維もまた慢性疼痛の感覚に関与することがあり得るが、そうであるならば、ニューロンの経時持続した発火が、直ちに慢性疼痛の感覚を生じさせるある種類の変化をもたらすことは明らかなようである。
【0064】
本発明の方法は、医薬的に有効な用量で投与される化合物及び/又は医薬的に許容され得る組成物を使う。このような用量は、通常は、望ましい治療作用を達成するのに必要な最小投与量である; 例えば、慢性疼痛の治療において、この量は、疼痛によって引き起こされる不快感を許容できるレベルまで低下させるのに必要なおよその量である。一般に、このような用量は、1-1000mg/日の範囲; より好ましくは10〜500mg/日の範囲である。しかしながら、所定の場合に投与される化合物及び/又は組成物の実際の量は、適切な状況、例えば、疼痛の重症度、患者の年齢及び体量、患者の物理的全身状態、疼痛の原因、及び投与の経路を考慮する医師によって決定される。
【0065】
本発明の方法は、哺乳動物、特に人間における疼痛の治療において有効である。ある場合において、患者は、化合物及び/又は医薬組成物を経口的に錠剤、液体、カプセル、粉末等の許容され得る形で投与される。しかしながら、特に患者が吐き気をもつ場合には、他の経路が望ましいか又は必要であり得る。このような他の経路には、例外なく、経皮的、非経口的、皮下、鼻内、髄腔内、筋肉内、静脈内、送達の直腸内方式が含まれ得る。更に、医薬組成物は、所定の時間をかけて活性化合物の放出を遅らせるか、又は治療の過程で所定の時間で放出される活性化合物の量を注意深く制御するように設計され得る。
他の実施態様において、本発明の方法は、そのために医薬的に許容され得る担体の構造1の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を使う。語句“医薬的に許容され得る”は、担体、希釈剤又は賦形剤が組成物の他の成分と適合できなければならず且つその受容体に有害であってはならない。
本明細書に用いられる用語“治療的に有効な量”は、研究者、獣医師、医学的な医師又は他の臨床医によって求められるそれを必要としている哺乳動物の生物学的又は医学的な応答を誘発する医薬組成物の量を意味する。いくつかの実施態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0066】
本発明の医薬組成物は、固体、溶液、エマルジョン、分散液、ミセル、リポソーム等の形で用いることができ、得られた組成物は、有効成分として、本発明の少なくとも1つの化合物を経腸又は非経口適用に適切な有機又は無機担体又は賦形剤と混合して含有する。記載される化合物は、例えば、錠剤、植込用錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、及び使用に適している他のいかなる形にも通常の非毒性の医薬的に許容され得る担体と合わせることができる。使用し得る担体としては、グルコース、ラクトース、アラビヤゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、及び固体、半固体、又は液体形での製剤の製造に用いるのに適した他の担体が挙げられる。更に、補助剤、安定剤、濃厚化剤及び着色剤及び香料を用いることができる。本明細書に記載される化合物は、プロセス或いは病状に望ましい作用を生じるのに充分な量で医薬組成物に含まれる。
【0067】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、又はシロップ剤又はエリキシル剤として経口使用に適切した形であり得る。経口使用に意図した組成物は、医薬組成物の製造の当該技術に知られる方法に従って調製することができ、このような組成物は、医薬的に優雅で美味な製剤を与えるために、甘味剤、例えば、スクロース、ラクトース、又はサッカリン、香味剤、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリー、着色剤及び保存剤より選ばれる1以上の物質を含有することができる。非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合した本明細書に記載される化合物を含有する錠剤もまた、既知の方法によって製造することができる。用いられる賦形剤は、例えば、(1)不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム; (2)造粒剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ポテトデンプン又はアルギン酸; (3)結合剤、例えば、トラガカントゴム、コーンスターチ、ゼラチン又はアラビアゴム、及び(4)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであり得る。錠剤は被覆されなくてもよく、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせ、それによってより長時間にわたって持続作用を与える既知の技術によって被覆されてもよい。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延材料が使われてもよい。
【0068】
場合によっては、経口使用のための製剤は、硬ゼラチンカプセル剤の形であってもよく、ここで、本発明の化合物は、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合される。これらは、また、軟ゼラチンカプセル剤の形であってもよく、ここで、本発明の化合物は、水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合される。
医薬組成物は、滅菌注射用懸濁液の形であり得る。この懸濁液は、適切な分散剤或いは湿潤剤及び懸濁化剤を用いて既知の方法に従って処方され得る。滅菌注射用製剤は、また、例えば13-ブタンジオール溶液のような非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。滅菌不揮発油が、溶媒として或いは懸濁媒体として慣用的に使われる。このために、合成モノグリセリド、合成ジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、綿実油等の天然に存在する植物油、又はオレイン酸エチル等の合成脂肪賦形剤を含む刺激にない不揮発性油を用いることができる。緩衝液、防腐剤、抗酸化剤等は必要とされるように配合され得る。
【0069】
本明細書に記載される医薬組成物は、また、薬剤の直腸投与用に坐剤の形で投与することができる。これらの組成物は、本明細書に記載される化合物を常温で固体であるが直腸腔内で液化及び/又は溶解して薬剤を放出するカカオ脂、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステルのような適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。
個々の患者が症状の重症度の広い変動を示し得るとともに各薬剤が特有の治療特性を有するので、各哺乳動物に使われる正確な投与方法と用量は、開業医の裁量に任される。
以下の実施例は、本発明を具体的に説明するためだけのものであり、決して本発明を制限するものとして解釈されてはならない。
【実施例】
【0070】
アミン前駆物質の一般合成
【0071】
【化24】

【0072】
A. 3-クロロ-2-メチルベンズアルデヒド
-78oCにおいてジクロロメタン(150mL)中の3-クロロ-2-メチルベンゾニトリル(5g、33ミリモル)にDiBAL(ジクロロメタン/1M、41mL)を添加した。この反応混合物を-78oCで2時間撹拌し、次にメタノールで急冷した。この混合物を0oCまで温め、HCl(10%)を添加した。氷水浴を取り除き、この混合物を室温で10分間撹拌した。二相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。合わせたジクロロメタンを食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/ヘキサン)により、3-クロロ-2-メチルベンズアルデヒド(3.5g、69%)を得た。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.64 (s, 3H), 7.21-7.26 (m, 1H), 7.50-7.53(m, 1H), 7.63-7.66 (m, 1H), 10.20 (s, 1H).
【0073】
B. 1-(3-クロロ-2-メチルフェニル)-2-フェニルエタンアミン
0oCにおいてTHF(5mL)中の3-クロロ-2-メチルベンズアルデヒド(2.85g、18.5ミリモル)に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M/THF、22.2mL)を添加した。氷水浴を取り除き、この反応混合物を0oCから2時間室温まで撹拌した。次に、この反応混合物を0oCまで冷却し、塩化ベンジルマグネシウム(1M/THF、22.2mL)を添加した。この反応混合物を0oCから室温まで1時間撹拌し、次に、NH4Cl(飽和)で急冷し、酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチルを食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。HCl(1.25M/メタノール)をpH2まで添加した。メタノールを除去し、黄色固形物を得た。固形物にジクロロメタンを添加した。懸濁液をろ過し、ジクロロメタンで洗浄して、白色固形物を得た。白色固形物をメタノールに溶解し、NaOH(1N)で塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチルを食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、1-(3-クロロ-2-メチルフェニル)-2-フェニルエタンアミン(22.73g、60%)を薄黄色の油状物として得た。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.37 (s, 3H), 2.67-2.75 (m, 1H), 2.95-3.01 (m, 1H), 4.46-4.50 (m, 1H), 7.17-7.19 (m, 3H), 7.24-7.33(m, 4H), 7.46-7.49 (m, 1H).
アミノイミダゾリン、アミノオキサゾリン及びアミノチアゾリンの一般合成
【0074】
【化25】

【0075】
N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 1の合成
イソプロパノール(50mL)中の1,2-ジフェニルエチルアミン(7.0g、35.5ミリモル)及び2-メチルチオ-2-イミダゾリンヨウ化水素酸塩(5.0g、39.1ミリモル)の溶液を、16時間加熱還流した。この反応混合物を濃縮し、エーテルから再結晶して、N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン、化合物 1を得た。 1H NMR (300MHz, DMSO) δ 2.90-3.14 (m, 2H), 3.36 (s, 4H), 4.78 (dd, J=8.21, 6.45 Hz, 1H), 6.87-7.55 (m, 10H).
N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 2の合成
A. 1-(2-クロロエチル)-3 (1,2-ジフェニルエチル)尿素
ジクロロメタン(5mL)中の1,2-ジフェニルエチルアミン(818mg、4.14ミリモル)に、2-クロロエチルイソシアネート(0.53mL、6.21ミリモル)及びトリエチルアミン(0.86mL)を添加した。この混合物を室温で1.5時間撹拌した。ジクロロメタンを除去し、カラムクロマトグラフィ(2-3%MeOH/CH2Cl2)により、1-(2-クロロエチル)-3 (1,2-ジフェニルエチル)尿素(905mg、72%)を白色固形物として得た。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.98-3.00 (m, 2H), 3.30-3.41 (m, 4H), 4.89-4.96 (m, 1H), 7.00-7.03 (m, 2H), 7.17-7.30 (m, 8H).
【0076】
B. N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 2
水(5mL)中の1-(2-クロロエチル)-3 (1,2-ジフェニルエチル)尿素(543mg、1.8ミリモル)の溶液を100oCで1.5時間加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、炭酸ナトリウム(飽和)をpH>8まで添加した。この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチルを食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィ(5% 7N NH3/MeOH/CH2Cl2)により、N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン、化合物 2、(381mg、80%)を白色固体として得た。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.03-3.06 (m, 2H), 3.60-3.66 (m, 2H), 4.07-4.13 (m, 2H), 4.86-4.90 (m, 1H), 7.03-7.06 (m, 2H), 7.15-7.25 (m, 8H).
N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 3
ジクロロメタン(5mL)中の1,2-ジフェニルエチルアミン(818mg、4.14ミリモル)に2-クロロエチルイソチオシアネート(0.097mL、0.99ミリモル)を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンを除去し、カラムクロマトグラフィ(6%MeOH/CH2Cl2)により、N-(1,2-ジフェニルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン、化合物 3、(330mg、29%)を白色固体として得た。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.10-3.16 (m, 1H), 3.24-3.87 (m, 3H), 3.81-3.87 (m, 2H), 4.51-4.56 (m, 1H), 7.18-7.34 (m, 10H).
【0077】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-m-トリルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 4
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.29(s, 3H), 2.94-3.06(m, 2H), 3.65-3.71 (m, 2H), 4.16-4.22 (m, 2H), 4.83-4.88(m, 1H), 6.83-6.87 (m, 2H), 7.01-7.04(m, 1H), 7.09-7.16 (m, 2H), 7.20-7.26 (m, 3H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-m-トリルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 5
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.28(s, 3H), 2.98-3.12(m, 2H), 3.21-3.26 (m, 2H), 3.81-3.86 (m, 2H), 4.70-4.74(m, 1H), 6.87-6.90 (m, 2H), 7.00-7.03(m, 1H), 7.11-7.18 (m, 3H), 7.20-7.26 (m, 2H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 6
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.03-3.06 (m, 2H), 3.66-3.72 (m, 2H), 4.17-4.23 (m, 2H), 4.86-4.90 (m, 1H), 7.05-7.12 (m, 3H), 7.1227.28 (m, 6H).
【0078】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 7
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.06-3.08 (m, 2H), 3.23-3.28 (m, 2H), 3.85-3.90 (m, 2H), 4.87-4.92 (m, 1H), 7.03-7.10(m, 3H), 7.21-7.28 (m, 6H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン、化合物 8の合成
アセトニトリル(5mL)中の1-(3-クロロフェニル)-2-フェニルエチルアミン(400mg、1.73ミリモル)の溶液に4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-スルホン酸(260mg、1.73ミリモル)及びトリエチルアミン(0.24mL)を添加した。この混合物を70oCで45分間加熱した。この反応混合物を室温に冷却した。白色固形物をろ別し、アセトニトリルで洗浄して、N-(1-(3-クロロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン、化合物 8(272mg、53%)を得た。 1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.00-3.07 (m, 1H), 3.13-3.21 (m, 1H), 3.52 (s, 4H), 4.62-4.67 (m, 1H), 7.18-7.36 (m, 9H).
【0079】
下記の化合物を上記一般法の1つによって合成した。
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-m-トリルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 9
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.26(s, 3H), 2.94-2.98 (m, 2H), 3.39 (s, 4H), 4.69-4.74 (m, 1H), 6.92-6.99(m, 3H), 7.07-7.12(m, 1H), 7.18-7.25 (m, 3H), 7.30(s, 1H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-p-トリルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 10
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.30(s, 3H), 3.00-3.03 (m, 2H), 3.22-3.26 (m, 2H), 3.85-3.90 (m, 2H), 4.86-4.90 (m, 1H), 6.91-6.93(m, 2H), 7.04-7.09(m, 3H), 7.20-7.26 (m, 3H).
【0080】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-p-トリルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン,化合物 11
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.26(s, 3H), 2.95-3.01(m, 1H), 3.08-3.16 (m, 1H), 3.52 (s, 4H), 4.57-4.62 (m, 1H), 7.03-7.10(m, 4H), 7.24-7.34 (m, 4H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-o-トリルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン,化合物 12
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.26(s, 3H), 3.10-3.13 (m, 2H), 3.58 (s, 4H), 4.70-4.75 (m, 1H), 7.07-7.15(m, 4H), 7.21-7.24(m, 1H), 7.29-7.34 (m, 3H).
N-(1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 13
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.20(s, 3H), 2.27(s, 3H), 2.99-3.03 (m, 2H), 3.49 (s, 4H), 4.86-4.92 (m, 1H), 7.09-7.11(m, 2H), 7.20-7.33 (m, 6H).
【0081】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-p-トリルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 14
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.30(s, 3H), 2.91-3.04(m, 2H), 3.65-3.71 (m, 2H), 4.11-4.20 (m, 2H), 4.84-4.89(m, 1H), 6.91-6.93 (m, 2H), 7.04-7.10(m, 3H), 7.20-7.26 (m, 3H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-o-トリルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 15
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.20(s, 3H), 3.02-3.06 (m, 2H), 3.20-3.25 (m, 2H), 3.81-3.86 (m, 2H), 4.78-4.83 (m, 1H), 6.97-6.99(m, 1H), 7.04-7.12(m, 4H), 7.19-7.21 (m, 3H).
N-(1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 16
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.15(s, 3H), 2.26(s, 3H), 3.05-3.08 (m, 2H), 3.19-3.24 (m, 2H), 3.84-3.89 (m, 2H), 5.06-5.11 (m, 1H), 7.06-7.13(m, 4H), 7.18-7.27 (m, 4H).
【0082】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-o-トリルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 17
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.21(s, 3H), 2.99-3.03(m, 2H), 3.64-3.70 (m, 2H), 4.14-4.20 (m, 2H), 4.83-4.88(m, 1H), 6.98-7.01 (m, 1H), 7.07-7.14(m, 4H), 7.20-7.26 (m, 3H).
N-(1-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 18
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.04-3.08 (m, 2H), 3.44 (s, 4H), 5.02-5.06 (m, 1H), 7.09-7.40(m, 8H).
N-(1-(3-クロロ-2-メチルフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 19
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.32 (s, 3H), 3.02-3.05 (m, 2H), 3.50 (s, 4H), 4.85-4.89 (m, 1H), 7.17-7.32 (m, 7H), 7.52-7.55 (m, 1H).
【0083】
N-(1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 20
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.18(s, 3H), 2.25(s, 3H), 2.97-3.01(m, 2H), 3.63-3.68 (m, 2H), 4.07-4.13 (m, 2H), 5.16-5.21(m, 1H), 7.03-7.09(m, 5H), 7.12-7.23 (m, 3H).
N-(1-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン, 化合物 21
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.04-3.13(m, 2H), 3.64-3.70 (m, 2H), 4.13-4.19 (m, 2H), 5.12-5.17(m, 1H), 6.94-7.08(m, 4H), 7.19-7.30 (m, 4H).
N-(1-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロチアゾール-2-アミン, 化合物 22
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ 3.10-3.12 (m, 2H), 3.21-3.26 (m, 2H), 3.82-3.87 (m, 2H), 5.07-5.12 (m, 1H), 6.99-7.04(m, 1H), 7.09-7.16(m, 3H), 7.20-7.31 (m, 4H).
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-フェニルエチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 23
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.94-3.02(m, 1H), 3.15-3.21(m, 1H), 3.49 (s, 4H), 5.02-5.06 (m, 1H), 7.19-7.41(m, 6H), 7.47-7.51(m, 1H), 7.64-7.68(m, 1H).
【0084】
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 24
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.91-2.96(m, 1H), 3.21-3.24(m, 1H), 3.53 (s, 4H), 5.06-5.09 (m, 1H), 7.02-7.06(m, 2H), 7.31-7.38(m, 3H), 7.43-7.44(m, 1H), 7.52-7.54(m, 1H).
N-(2-(2-ブロモフェニル)-1-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 25
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.21-3.25(m, 2H), 3.43 (s, 4H), 5.28-5.32 (m, 1H), 7.12-7.14(m, 1H), 7.19-7.23(m, 2H), 7.29-7.32(m, 1H), 7.42-7.47(m, 2H), 7.53-7.56(m, 1H).
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3-メトキシフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 26
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.91-2.96(m, 1H), 3.25-3.28(m, 1H), 3.57 (s, 4H), 3.78(s, 3H), 5.10-5.13 (m, 1H), 6.83-6.86(m, 2H), 6.89-6.91(m, 1H), 7.23-7.26(m, 1H), 7.37-7.43(m, 2H), 7.55-7.57(m, 1H).
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3-フルオロ2-メチルフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 27
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.28(s, 3H), 3.11-3.16(m, 1H), 3.29-3.33(m, 1H), 3.57 (s, 4H), 5.14-5.17 (m, 1H), 6.95-7.01(m, 2H), 7.12-7.16(m, 1H), 7.38-7.41(m, 1H), 7.46-7.47(m, 1H), 7.56-7.58(m, 1H).
【0085】
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(2,5-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 28
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.09-3.17(m, 1H), 3.24-3.34(m, 1H), 3.45 (s, 4H), 5.25-5.30 (m, 1H), 7.21-7.25(m, 1H), 7.29-7.36(m, 3H), 7.44-7.49(m, 2H).
N-(2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 29
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.25-3.29(m, 2H), 3.38 (s, 4H), 5.29-5.34 (m, 1H), 6.94-7.00(m, 1H), 7.17-7.28(m, 3H), 7.40-7.47(m, 2H).
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3,5-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 30
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.85-2.93(m, 1H), 3.13-3.20(m, 1H), 3.46 (s, 4H), 5.11-5.14 (m, 1H), 7.26-7.27(m, 2H), 7.31-7.36(m, 2H), 7.48-7.51(m, 2H).
【0086】
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(2,4-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン, 化合物 31
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.09-3.16(m, 1H), 3.21-3.28(m, 1H), 3.42 (s, 4H), 5.24-5.29 (m, 1H), 7.22-7.23(m, 2H), 7.27-7.33(m, 1H), 7.41-7.48(m, 3H).
N-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(3,4-ジクロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン 化合物 32
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.80-2.87(m, 1H), 3.10-3.16(m, 1H), 3.40 (s, 4H), 5.10-5.14 (m, 1H), 7.18-7.21(m, 1H), 7.28-7.33(m, 2H), 7.41-7.48(m, 3H).
3(2-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)エチル)フェノール 化合物 33
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.75-2.83(m, 1H), 3.12-3.18(m, 1H), 3.51 (s, 4H), 5.05-5.09 (m, 1H), 6.62-6.74(m, 3H), 7.05-7.11(m, 1H), 7.31-7.44(m, 2H), 7.50-7.53(m, 1H).
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン 化合物 34
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 2.98-3.14(m, 2H), 3.53(s, 4H), 3.84 (s, 3H), 4.77-4.82 (m, 1H), 6.80-6.85(m, 1H), 6.93-6.96(m, 1H), 7.03-7.06(m, 1H), 7.19-7.34(m, 5H).
【0087】
N-(1-(3-クロロフェニル)-2-(2-メトキシフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン 化合物 35
1H NMR (300MHz, CD3COCD3) δ 3.02-3.04(m, 2H), 3.45-3.51 (m, 2H), 3.85(s, 3H), 4.03-4.08 (m, 2H), 4.87-4.92(m, 1H), 6.80-6.85(m, 1H), 6.94-6.96(m, 1H), 7.12-7.23(m, 3H), 7.28-7.30 (m, 2H), 7.39-7.40(m, 1H).
N-(2-(2-ブロモフェニル)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン 化合物 36
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.14-3.16(m, 2H), 3.40 (s, 4H), 4.80-4.85 (m, 1H), 7.06-7.11(m, 1H), 7.19-7.27(m, 4H), 7.36(m, 1H), 7.51-7.54(m, 1H).
N-(2-(2-ブロモフェニル)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-アミン 化合物 37
1H NMR (300MHz, CD3OD) δ 3.03-3.15(m, 2H), 3.50-3.56 (m, 2H), 4.15-4.21 (m, 2H), 4.85-4.90(m, 1H), 7.08-7.27(m, 6H), 7.33-7.35(m, 1H), 7.53-7.56 (m, 1H).
本発明をこれらの個々の実施例に関して記載してきたが、他の修正及び変更が本発明の真意を逸脱することなく可能であることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーの治療的に有効な投与量を含有する医薬組成物を治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む、前記方法:
【化1】

(式中、Xは、O、S、又はNHであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであり;
R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【請求項2】
R1及びR2が、各々独立して、H、低級アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、Sである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1及びR2が、各々独立して、H、低級アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
化合物が、下記構造を有する、請求項4に記載の方法
【化2】

【化3】

【化4】

【請求項6】
Xが、NHである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R1及びR2が、各々独立して、H、低級アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化合物が、下記構造を有する、請求項7に記載の方法
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【請求項9】
Xが、Oである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
R1及びR2が、各々独立して、H、低級アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化合物が、下記構造を有する、請求項9に記載の方法
【化13】

【化14】

【化15】

【請求項12】
医薬組成物が、神経障害性疼痛、慢性疼痛、又は内臓痛を治療するために哺乳動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
医薬組成物が、異痛症を治療するために哺乳動物に投与される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−515479(P2011−515479A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501961(P2011−501961)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038004
【国際公開番号】WO2009/120648
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】