選択的セロトニン再取り込み阻害組成物およびその方法
本発明は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物に関する。本発明は、また、添加剤;新規で相乗作用のあるセロトニン再取り込み阻害医薬組成物を調製する方法であって、(a)センテラアジアチカ植物から抽出物を得、(b)抽出物を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、(c)抽出物をHPLCで精製して溶出溶媒を得、(d)溶出溶媒を濃縮して組成物を得る。本発明は、組成物および、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の、セロトニンが媒介する障害を治療する医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害(serotonin reuptake inhibition)医薬組成物であって、五環性テルペノイド配糖体を添加剤と共に含む前記組成物に関する。本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物を天然原料から調製する方法に関する。本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物の使用に関する。本発明は、また、この植物組成物の抑うつ症の治療における気分高揚のための知覚化合物としての適用や、セロトニンの媒介する作用が関わる場でのその他の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニンは、神経伝達物質であり、多くの生理学的機能に重要な役割を演じている。セロトニンは、摂食行動とつながった満腹感に関わっている。セロトニンの機能は、摂食障害や肥満症に関連する治療に利用することができる。セロトニンは、また、気分高揚に関わって、幸福感を与える。この生理学的特性は、気分を盛り上げて幸福感を高めるための知覚成分として提供され得る場での適用に利用することができる。セロトニンの最も有意義な適用は、生理学的障害、抑うつ症の治療である。この神経伝達物質は、抑うつ症の疾患のような取り扱いに実質的な利益をもたらす。これとは別に、セロトニンは、胃の内容物排出にも役割を演ずる。
【0003】
米国NIMH(国立精神衛生研究所)によれば、全人口の9.5%を構成する1880万人の成人の米国人が、抑うつ症の病気に罹っている。この障害の経済的損失は、非常に大きい。しかし、人間の苦痛のコストは、算定不能である。抑うつ障害は、身体、気分および思考に影響を与える病気である。内因性うつ病(major depression)、抑うつ症のうちあまり苛酷でない種類の気分変調症(Dysthmia)、および気分の循環、すなわち、何種類かのハイ(躁病)およびロウ(うつ病)により特徴づけられる双極性障害(bipolar Disorder)のように異なるタイプの抑うつ症が存在する。
【0004】
抑うつ症の通常の症状は、不断の悲しみ、不安や空虚な気分、絶望感、罪悪感、無価値、活力低下、集中困難、不眠症、過食、体重増加、死の想念、情動不安および癇性である。うつ病の主たる原因は、アミン依存性シナプス伝達時の機能性脳内モノアミンの低下にある。これは、ノルエピレナミン(NE)、セロトニン(5HT)およびドーパミンのような脳内モノアミンを含む。
【0005】
現在の治療方法:
三環系抗抑うつ剤
これらの薬剤は、神経伝達物質の神経末端への取り込みを防止することにより、レセプターでの神経伝達物質の量を高める。これは、神経細胞外に該アミンの量をより多く残し、これをもって神経細胞はレセプターと相互に作用することができる。三環系薬剤は、主に、ノルエピネフリンを分泌する細胞に影響を与える。
【0006】
多くの三環系は、口腔乾燥、霧視および便秘を引き起こすアセチルコリンのレセプターをブロックすることができる。いくつかの三環系は、催眠効果、眠気を有し、そして低血圧の危険性を増加する。
【0007】
選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)
このグループの薬剤は、5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニンとも呼ばれる)を放出する細胞に影響を与える。これらの薬剤は、脳のいくつかの領域においてセロトニンの量が通常より少ないのを補償し、これは、抑うつ症の治療を有効にする。これらの薬剤によって引き起こされる副作用には、頭痛、不眠症、下痢体重減、および性機能低下が挙げられる。
【0008】
モノアミンオキシダーゼインヒビター
第二のグループの薬物療法は、モノアミンオキシダーゼインヒビターである。モノアミンオキシダーゼは、神経伝達物質を減成(degrade)する酵素である。これらの酵素インヒビター薬剤を使用すると、神経末端でのアミンの破壊が少なくなり、したがって、神経細胞による貯蔵と放出に使用できるものが多くなる。これらの薬剤によって引き起こされる副作用には、血圧低下、口腔乾燥、霧視および便秘が挙げられる。これらの薬剤は、チーズやビールとの極めて深刻な反応を引き起こし、血圧の有意な増加を導き、そして脳内出血を引き起こす。
【0009】
抑うつ症は、重要性が増してきており、この疾患を取り扱うための現在の治療法は満足からは程遠いことは明らかである。この障害は、性質上慢性であり、長期間の管理療法が要求される。したがって、この障害の長期間の処理ために植物原料に由来するより優しくかつ温和な療法を開発することが必須である。本発明は、この目標を達成することを目指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイド(asiaticoside)およびマデカッソシド(madecassoside)を適宜の添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物である。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物の調製方法を開発することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、抑うつ症およびセロトニンが媒介する障害の治療に有用な新規のセロトニン再取り込み阻害医薬組成物を得ることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、それが必要な患者へのセロトニン再取り込み阻害医薬品を製造するための該組成物の使用である。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、セロトニンが媒介する障害、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出(gastric emptying)、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害の治療におけるそれを必要とする患者への該組成物の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物;五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、センテラアジアチカ(Centella asiatica)植物から抽出物を得、該抽出物をろ過および濃縮し、濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る工程を含む前記方法;該組成物を添加剤と共に含む医薬品の製造;ならびにセロトニンが媒介する障害の治療におけるそれを必要とする患者への該組成物の使用であって、患者に薬学的に許容し得る量の組成物を投与することを含む前記使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】30 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【図2】60 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【図3】120 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物に関する。
【0018】
本発明の別の実施態様では、五環性テルペノイド配糖体は、植物または動物原料、好ましくはセンテラアジアチカ植物から得られる。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、アジアチコサイドの濃度は15〜50%の範囲にあり、そしてマデカッソシドの濃度は20〜50%の範囲にある。
【0020】
本発明のさらに別の実施態様では、添加剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤(glidants)、凝集抑制剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤および球状化剤(spheronization agent)を含む群から選択される。
【0021】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料を含む群から選択されるさまざまな投与形態に製剤化される。
【0022】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、
a.センテラアジアチカ植物から抽出物を得、
b.該抽出物をろ過および濃縮し、
c.濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、
d.該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、
e.該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、そして
f.該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る
工程を含む前記方法に関する。
【0023】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、複素環芳香族化合物、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびその一種以上の混合物を含む群から選択される。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、抽出に使用される前記溶媒は、好ましくは脂肪族アルコールである。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様では、前記抽出は、20℃〜38℃の範囲にある温度、好ましくは30℃の温度で行う。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様では、前記抽出は、6時間〜10時間、好ましくは8時間行う。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、前記濃縮は、40℃〜50℃の範囲の温度、好ましくは45℃の温度で行う。
【0028】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、好ましくは脱イオン水である。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、ヘキサン、石油系エーテルおよびメチルイソブチルケトンを含む群から選択される。
【0030】
本発明のさらに別の実施態様では、前記吸着剤は、樹脂、炭、シリカゲルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0031】
本発明のさらに別の実施態様では、前記濃縮は、50℃〜65℃の範囲にある温度で行う。
【0032】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の、セロトニンが媒介する障害を治療する医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用に関する。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様では、前記患者は、動物またはヒトである。
【0034】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、動物に15〜150mg/kg体重、およびヒトに1〜15mg/kg体重の投薬量で投与される。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様では、セロトニンが媒介する障害は、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害である。
【0036】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、無毒、かつ、有害反応が無い。
【0037】
本発明の一実施態様は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害用の新規な医薬組成物に関する。本発明の実施態様の一様相では、五環性テルペノイド配糖体の濃度は、通常、アジアチコサイドが15〜50%、およびマデカッソシドが20〜50%の範囲にある。
【0038】
本発明の実施態様のさらに別の一様相では、前記新規組成物は、抑うつ症およびセロトニン媒介作用の治療に有用である。
【0039】
本発明のさらに別の実施態様では、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の抑うつ症およびセロトニン媒介作用の治療ためにそれを必要とする患者への使用である。本発明の実施態様の一様相では、患者は、ヒトを含む動物である。
【0040】
抑うつ症は、その治療のために持続する薬剤を要求する疾患である。現在利用可能な治療方法は、2〜4週してから何らかの効果をもつ。持続治療が要件であるため、患者は、苛酷度と継続時間の異なるさまざまな副作用を経験する。本発明は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療のための組成物、方法および組成物の使用に関する。本発明は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療において引き起こす副作用が最小限である治療に関わる。以下に説明するテストが示すように、被検薬は、標準のSSRI薬剤と比べて少ない激昂(agitation)と下痢を示した。また、本発明は、患者に居然(sedation)を引き起こさない。
【0041】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物を、セロトニン再取り込み阻害用医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用に関する。本発明のさらに別の実施態様では、セロトニン再取り込み阻害は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療に有用である。本発明のさらに別の実施態様では、患者は、ヒトを含む動物である。
【0042】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、粉末または液体であり、そして副作用が最小限であり、ここで、該組成物は、動物に15〜150mg/kg、およびヒトに1〜15mg/kgの範囲の投薬量である。
【0043】
本発明のさらに別の実施態様では、センテラアジアチカ植物の茎および葉を含む全陸生部分を流水で洗浄して、すべての付着土壌および汚染物を除去し、次いで、日陰で乾燥する。乾燥物を、材料が16メッシュサイズを通過可能な出口粒径を有するハンマーミルで粉末化する。粉末化した材料を、上下端にフィルタエンドを有するパーコレーター内に詰める。使用する溶媒は、アルコールであり得、それには、限定されるものではないが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールのいずれかを単一溶媒として、あるいは、特定の組み合わせで、好ましくはエチルアルコール単独、あるいはイソプロピルアルコールとの組み合わせを含み、20℃〜38℃の範囲、好ましくは30℃の温度、8時間〜24時間の範囲、好ましくは8時間の向流式である。
【0044】
得られた抽出物を80メッシュフィルタに通してすべての目に見える粒子をろ過し、次いで減圧濃縮設備を用いた低温度、あるいは約40℃〜50℃、好ましくは45℃で、ペーストになるまで濃縮する。得られたペーストを脱イオン水に溶解して、均一溶液を得る。この溶液を、石油系エーテル溶媒またはヘキサンで抽出して、すべての脂肪性物質を除去する。脱脂された抽出物を、再び、ここで使われる水性抽出物に対して複数倍(好ましくは4倍)容積のメチルイソブチルケトンで抽出して、クロロフィルおよびその他の着色材を除去する。透明な水性抽出物を、次いで、吸着剤グレード樹脂のベッドに通して、すべての色および汚染物がベッドから無くなるまで5〜15容積、好ましくは8容積の脱イオン水で洗浄する。水洗したベッドをC−1〜C−4の炭素原子を有するアルコール性溶媒、好ましくはエタノールおよびイソプロピルアルコール、または上記アルコールの混合物で溶出する。
【0045】
溶出した溶媒を、再び、60〜120メッシュ粒径を有する活性炭およびシリカゲルを含む層からなるベッド上にて清浄化する。溶出した溶媒を回収し、前記ベッドを洗浄して、すべての五環性テルペノイド配糖体をベッド外へ得る。溶媒溶出物を、減圧下、低温度、好ましくは50℃〜65℃の間の温度で粉末になるまで濃縮し、得られた粉末を等量の脱イオン水内に懸濁させ、スプレー乾燥して、五環性テルペノイド配糖体、主に15〜50%のアジアチコサイドおよび20〜50%のマデカッソシドの組成(HPLCによる)を含む組成物を有する高水溶性粉末を得る。
【0046】
上記抽出工程の要約を以下に示す。
1.センテラアジアチカ植物を流水で洗浄して、すべての付着土壌および汚染物を除去し、次いで、日陰で乾燥する。
2.乾燥した材料を、材料が16メッシュサイズを通過可能な出口粒径を有するハンマーミルで粉末化する。
3.粉末化した材料を、パーコレーター内に詰め、そして、脂肪族アルコールを用いて20℃〜38℃の範囲の温度にて好ましくは8時間向、向流方式で抽出する。
4.得られた抽出物を、80メッシュフィルタに通してすべての目に見える粒子がなくなるまでろ過し、減圧濃縮設備を用いた低温度、あるいは約40℃〜50℃、好ましくは45℃にて、ペーストになるまで濃縮する。
5.得られたペーストを、脱イオン水に溶解して均一溶液を得る。
6.この溶液を、石油系エーテル溶媒またはヘキサンで抽出して、すべての脂肪性物質を除去する。
7.上記液体を、再び、水性抽出物に対して好ましくは4倍容積のメチルイソブチルケトンで複数回抽出して、クロロフィルおよびその他の着色材を除去する。
8.透明な水性抽出物を、吸着剤グレード樹脂のベッドに通す。
9.ベッドを、すべての色および汚染物がベッドから無くなるまで5〜15容積、好ましくは8容積の脱イオン水で洗浄する。
10.水洗したベッドをC−1〜C−4の炭素原子を有するアルコール性溶媒、好ましくはエタノールおよびイソプロピルアルコール、または上記アルコールの混合物で溶出する。
11.溶出した溶媒を、再び、60〜120メッシュ粒径を有する活性炭およびシリカゲルを含む層からなるベッド上にて清浄化する。
12.溶出した溶媒を回収し、前記ベッドを洗浄して、すべての五環性テルペノイド配糖体をベッド外に得る。
13.溶媒溶出物を減圧下、低温度、好ましくは50℃〜65℃の間の温度で粉末になるまで濃縮する。
14.得られた粉末を等量の脱イオン水内に懸濁させ、スプレー乾燥して、五環性テルペノイド配糖体、主に15〜50%のアジアチコサイドおよび20〜50%のマデカッソシドの組成(HPLCによる)を含む組成物を有する高水溶性粉末を得る。
【0047】
HPLC法:
【表1】
【0048】
得られた精製被検化合物を、以下のテストに供し、その抗抑うつ剤活性を確かめ、そしてその作用様式を確立する。
【0049】
尾懸垂テスト(Tail Suspension Test)テストでは、被検化合物は、懸垂したマウスの無動性の低下率で測定して有意な抗抑うつ剤活性を示した。30mg/kgの経口投与量では、被検化合物は、無動性が40.3%低下した。これは、この化合物が抗抑うつ剤として有能な能力を示すものである。
【0050】
薬剤の抗抑うつ剤活性の別の証拠は、強制遊泳テスト(Forced Swim Test)における無動性の減少の間に見られた。標準薬である三環系抗抑うつ剤が薬剤投与量100mg/kgにて71.44%減少であったのに比べて、被検薬は、30mg/kgの経口投与量にて無動性が68.76%低下に戻った。
【0051】
自発運動量テスト(Locomotor Activity Test)テストでは、被検化合物は、マウスに居然効果を示さなかった。これは、マウスの自発運動量の増加によって証拠づけられる。この薬剤の抗抑うつ剤活性は、居然および眠気を伴わない。
【0052】
被検化合物は、5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)相乗作用テストの間、セロトニン再取り込み阻害能力を示し、ここで、被検化合物は、マウスで観察される首ふり行動の数を有意に増加させた。被検化合物は、投与量100mg/kgにて、標準SSRI、すなわちフルオキセチンの投与量100mg/kgと等価であった。これとは別に、被検薬は、また、標準SSRI薬剤と比べて副作用が最小限であった。
【0053】
したがって、被検化合物は、MAO(モノアミンオキシダーゼ)阻害活性の通常の副作用を持たない。したがって、これには、抗コリン作動性副作用が無い。それは、マウスの尾懸垂テストで、有意な投与量依存性抗抑うつ剤活性を有する。
【0054】
本発明を、以下の実施例でさらに詳述する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するととらえるべきでない。
【実施例】
【0055】
実施例1
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのイソプロピルアルコールを用いて、固定床向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はテルペノイド配糖体の不在についてモニターした。
【0056】
カラムを、5Lの脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストがテルペノイド配糖体の不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをエチルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0057】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0058】
淡黄色、水溶性で40%アジアチコサイドおよび36%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量30gで得た。
【0059】
実施例2
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのエチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0060】
該カラムを、5Lの脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストがセンテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをイソプロピルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分10%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0061】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0062】
淡黄色、水溶性で40%アジアチコサイドおよび34%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量28gで得た。
【0063】
実施例3
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのメチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0064】
カラムを、5Lより多い脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをイソプロピルアルコールで、モニタリングTLCテストが溶出物中センテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをイソプロピルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0065】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0066】
淡黄色、水溶性で39%アジアチコサイドおよび34%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量32gで得た。
【0067】
実施例4
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのメチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し10時間にわたって30℃で抽出した。10時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0068】
カラムを、5Lより多い脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストが溶出物中センテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをエチルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0069】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0070】
淡黄色、水溶性で41%アジアチコサイドおよび36%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量30gで得た。
【0071】
実施例5:被検化合物のマウスにおける尾懸垂に関する効果
このテストは、げっ歯類において無動性の低下率を測定することによって潜在的抗抑うつ剤を評価するために使用される。監禁状態のげっ歯類が示す無動性は、不可避のストレスにさらされたとき、行動的絶望状態を反映すると仮説され、これは、うつ病障害に苦しむヒトの心的状態を反映し得る。臨床上有効な抗抑うつ剤は、尾で懸垂されたときに逃れるための活発と不成就の試みの後にマウスが示す無動性を減少させる。
【0072】
手順:
いずれかの性別で体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、プラスチックケージ内にテスト前少なくとも10日間収容した。動物を、テスト前1時間、テスト環境に順応させた。試験の60分前、一群6動物に、被検薬、ビヒクル、または標準薬を経口的に与えた。テストでは、テーブルトップ上58cmの棚の端に、マウスを尾先から約1cmの位置で粘着テープで懸垂した。無動性の持続期間を6分連続して記録した。マウスは、受動的に吊るされ、少なくとも1分間、完全に静止した場合、無動であるとみなされる。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0073】
不動態的挙動(passive behavior)を示す動物の比率をカウントし、さまざまな投与量を用いたビヒクルで手当てした対照と比較した。
【0074】
被検薬の無動時間に関する効果
【表2】
データは、mean±SEM(n=8)を示す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定(Dunnett‘s test)による分析データ
【0075】
このテストで得られた結果は、3、10および30 mg/kg投与量,p.o.にて投薬量に依存した無動性の減少を示した。10および30 mg/kg投与量では、無動性の減少が有意であった(P<0.01)。無動性の減少率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬イミプラミン(64mg/kg,p.o.)は、無動性の有意な減少を示した(P<0.01)。
【0076】
実施例6:被検化合物のマウスにおける自発運動量の効果
このテストは、抗抑うつ剤の鎮静作用の様相を除外するために行われる。そのほかに、テストが、薬剤の一定の筋ち緩効果を除外することもできる。スイスアルビノマウスが、その運曇をチェックするために、レーザーセンサーのついた歩行運動チャンバー内でテストされる。自発運動スコア(locomotors score)は、動物の易動度の直接の関数である。易動度の減少は、居然効果および筋ち緩効果が原因であるといえる。
【0077】
手順:
いずれかの性別で体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、プラスチックケージ内でテスト前少なくとも10日間収容した。動物を、テスト前1時間、テスト環境に順応させた。試験の60分前、一群6動物に、被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)、ビヒクル、または標準薬を経口的に与えた。テストでは、マウスを個別にアクトフォトメーター(Actophotometer)内に置いた。自発運動量を10分間個々にカウントした。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0078】
被検薬の無動時間に関する効果
【表3】
データは、mean±SEM(n=8)を表す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0079】
イミプラミンは、陽性対照であり、そして、自発運動量の減少を引き起こす。これは、薬剤の居然効果の表れである。被検薬は、自発運動量が投与量に依存して増加することを示していることから、居然効果がないことが確認される。イミプラミンは居然効果を誘起することに留意することが適切である。したがって、被検化合物は、三環系抗抑うつ薬剤で見られるような鎮静の副作用をもたない。
【0080】
30mg/kg,p.oでの被検薬は、自発運動量の有意(P<0.01)な増加を示した。しかし、3および10mg/kgでの投与量では、自発運動量の増加は、有意でなかった。自発運動量の増加率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg,p.o.)は、自発運動量の有意な増加を示した(P<0.01)が、それは、ビヒクルおよび被検薬より少なかった。
【0081】
実施例7:強制遊泳テスト
逃れることができない制限された空間内で遊泳を強制されたマウスは、無動性の特徴的挙動を誘起する。
【0082】
手順:
雄の体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、実験前少なくとも一日間、実験室に入れ、柵内に個別に収容した。マウスを個々に、25℃の水が12cm入った垂直プラキシガラス(25x23cm)の中で強制的に泳がせた。シリンダ内に置かれたマウスは、最初は非常に活動的に力強く円形に泳いで、壁を登ろうとしたり、底へ潜ったりする。
【0083】
2〜3分後、活動が静まり始め、無動性の様相または伸ばした足を浮かせることが時々見られる。5〜6分後には、無動性が高原現象に達し、そこでは、マウスは、約80%の時間無動であり続ける。15分後、マウスを水から出し、加熱した囲い(32℃)の中で乾かしてから、もとの柵の中に戻す。24時間後、マウスを再び、シリンダ内に入れ、6分間のテスト期間のうち最後の4分について無動性の総期間をカウントする。マウスが水の中でやや前かがみであるが直立姿勢で、鼻が丁度表面の上にあって受動的に浮いたままのときはいつも、動物を無動と判定する。被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)またはビヒクルまたは標準薬のイミプラミン(100mg/kg,p.o.)を、テスト1時間前に投与した。
【0084】
被検薬の無動時間に関する効果
【表4】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0085】
このテストで得られた結果は、被検薬は、3、10および30mg/kg,p.o.の投与量にて投与量依存的な無動性の減少率を生じたことを示す。10および30mg/kgの投与量では、無動性の減少は有意であった(P<0.01)。無動性の減少率をビヒクル群に対して計算した。個々の動物の読みを、113頁のアペンディックスIIに示す。無動性の減少は、30mg/kg投与量で示された。
【0086】
レセルピンアンタゴニズム
脳内生体アミンの消耗は、カタレスピーを誘起するたけでなく、げっ歯類の低体温も誘起する。レセルピンによって誘起される体温の低下は、抗抑うつ剤のMAO−インヒビターおよび中枢興奮剤により拮抗される。レセルピンは、また、セロトニンのような神経アミンのレベルを低下させる。したがって、抗抑うつ剤は、レセルピンの効果を逆行させることが可能である。
【0087】
実施例8:レセルピン投与後の強制遊泳テスト
手順:
雄の体重25〜30gのスイスアルビノマウスを使用した。すべての動物を個別に25℃の水が12cm入った垂直プラキシガラス(25x23cm)の中で強制的に15分間泳がせる予備訓練を行った。予備訓練の20時間後、マウスに5mg/kgのレセルピンi.p.を注射した。レセルピン投与から4時間後、被検薬(10,30および100mg/kg)またはビヒクルまたは標準薬を経口投与した。処置60分後、動物を個々に、6分間強制遊泳させ、その間、無動性を記録した。イミプラミン64mg/kg,p.o.標準として使用した。
【0088】
レセルピン投与後の、被検薬の無動時間に関する効果
【表5】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
# P<0.05 対 ビヒクル, ** P<0.01 対 レセルピン、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0089】
このテストで得られた結果は、被検薬が、10、30および100mg/kg,p.o.の投与量にて投与量依存的な無動性の減少率を生じたことを示す。しかし、30および100mg/kgの投与量は、レセルピン群に比べて、無動性が有意に減少した(P<0.01)。無動性の減少率を、レセルピン群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg)はまた、無動性の有意な減少を示した(P<0.01)。
【0090】
実施例9:レセルピン投与後の自発運動量テスト
脳内生体アミンの消耗は、カタレスピー、下垂、低体温を誘起するたけでなく、げっ歯類の自発運動量の減少も誘起する。マウスにレセルピン(5mg/kg,i.p.)を腹腔内投与すると、自発運動量の減少につながるが、これは、抗抑うつ剤のMAO−インヒビターおよび中枢興奮剤により拮抗される。
【0091】
手順:
雄の体重25〜30 gのスイスアルビノマウスを使用した。これらに、5mg/kgのレセルピンi.p.を投与した。レセルピン投与から4時間後、被検薬(10,30および100mg/kg)またはビヒクルまたは標準薬を経口投与した。処置から60分後、動物をアクトフォトメータ内に個別に10分間置き、その間、自発運動量をカウントした。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0092】
レセルピン投与後の被検薬の自発運動量に関する効果
【表6】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
## P<0.01 対 ビヒクル, * P<0.05 対 レセルピン, *** P<0.001 対 レセルピン, クラスカル・ワリス検定とその後のダン(Dunn‘s)テストによる分析データ.
【0093】
このテストで得られた結果は、被検薬の投与量10,30および100mg/kg,p.o.にて、投与量とは独立した自発運動量の増加を示した。しかし、投与量10mg/kg(P<0.05)および30mg/kg(P<0.001)では、レセルピン群に比べて被検薬の投与は、有意な活性を示した。自発運動量の増加率を、レセルピン群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg)は、自発運動量の有意な増加を示さなかった。
【0094】
実施例10:5−ヒドロキシトリプトファン(L 5−HTP)のマウスにおける相乗作用
いくつかの抗抑うつ剤は、セロトニンの再取り込みのブロックにより、セロトニン効果を強化する。5−ヒドロキシトリプトファンが、セロトニンのプレカーサーとして使用される。
【0095】
手順:
6匹1群のスイスアルビノマウス(25〜30g)を使用した。これらを被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)またはビヒクルまたは標準薬で処置し、60分後に75mg/kgi.p.のL−5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)を処置した。次いで、マウスを、ガラスベルジャーの中に入れ、首ふり行動の数を、2分間を5回、間をおいて(14〜16,24〜26,34〜36,44〜46および54〜56分の間)数えた。フルオキセチン100mg/kg,p.o.およびイミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0096】
5−HTP 相乗作用における被検薬の首ふり行動の効果
【表7】
データは、mean±SEM(n=8)を示す。
*** P<0.001 対 ビヒクル, クラスカル・ワリス検定とその後のダンの多重比較手続きテストによる分析データ
【0097】
このテストで得られた結果は、被検薬の投与量100mg/kg,p.o.にて首ふり行動の有意な増加を示した(P<0.001)。この効果は、投与量依存性であった。首ふり行動の増加率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬のフルオキセチン(100mg/kg,p.o.)は、首ふり行動の有意な増加を示した(P<0.001)が、イミプラミン(64mg/kg,p.o.)首ふり行動の有意な増加を示さなかった。
【0098】
フルオキセチンを投与した動物は、下痢になり、興奮の表明が観察された。一方、被検薬群の動物は下痢しなかったし、興奮もしていなかった。被検薬は、フルオキセチンと等価に強力であり、通常の副作用がない。
【0099】
実施例11:被検薬の胃の粘膜構造の効果
6匹のウイスターラットを、被検薬で処置した。被検薬は、3種類の投与量、すなわち、30,6,および120mg/kgで経口的に投与された。投与から6時間後、動物を頚椎脱臼により犠牲にし、解剖して胃を取り出した。胃を大彎に沿って切開し、塩水で洗浄した。
図1は、被検薬投与量を30 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
図2は、被検薬投与量を60 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
図3は、被検薬投与量を120 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
【0100】
これらの図は、胃の腺部内の“隆線(ridges)”を示す。隆線は、被検薬の投与量依存的な様式で増加した。被検薬投与量60mg/kgおよび120mg/kgは、より顕著な隆線形成を示した。これらの隆線は胃の収縮を意味する。したがって、隆線形成の増加は、胃内のぜん動運動の増加を暗示する。この運動は、胃の内容物排出がより高い量となったことの指標である。
【0101】
上記説明は、本発明のさまざまな実施態様の例示であり、限定するものと解釈してはならず、当業者は、本発明のさまざまな多くの変更を行い得ることが理解される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害(serotonin reuptake inhibition)医薬組成物であって、五環性テルペノイド配糖体を添加剤と共に含む前記組成物に関する。本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物を天然原料から調製する方法に関する。本発明は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物の使用に関する。本発明は、また、この植物組成物の抑うつ症の治療における気分高揚のための知覚化合物としての適用や、セロトニンの媒介する作用が関わる場でのその他の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニンは、神経伝達物質であり、多くの生理学的機能に重要な役割を演じている。セロトニンは、摂食行動とつながった満腹感に関わっている。セロトニンの機能は、摂食障害や肥満症に関連する治療に利用することができる。セロトニンは、また、気分高揚に関わって、幸福感を与える。この生理学的特性は、気分を盛り上げて幸福感を高めるための知覚成分として提供され得る場での適用に利用することができる。セロトニンの最も有意義な適用は、生理学的障害、抑うつ症の治療である。この神経伝達物質は、抑うつ症の疾患のような取り扱いに実質的な利益をもたらす。これとは別に、セロトニンは、胃の内容物排出にも役割を演ずる。
【0003】
米国NIMH(国立精神衛生研究所)によれば、全人口の9.5%を構成する1880万人の成人の米国人が、抑うつ症の病気に罹っている。この障害の経済的損失は、非常に大きい。しかし、人間の苦痛のコストは、算定不能である。抑うつ障害は、身体、気分および思考に影響を与える病気である。内因性うつ病(major depression)、抑うつ症のうちあまり苛酷でない種類の気分変調症(Dysthmia)、および気分の循環、すなわち、何種類かのハイ(躁病)およびロウ(うつ病)により特徴づけられる双極性障害(bipolar Disorder)のように異なるタイプの抑うつ症が存在する。
【0004】
抑うつ症の通常の症状は、不断の悲しみ、不安や空虚な気分、絶望感、罪悪感、無価値、活力低下、集中困難、不眠症、過食、体重増加、死の想念、情動不安および癇性である。うつ病の主たる原因は、アミン依存性シナプス伝達時の機能性脳内モノアミンの低下にある。これは、ノルエピレナミン(NE)、セロトニン(5HT)およびドーパミンのような脳内モノアミンを含む。
【0005】
現在の治療方法:
三環系抗抑うつ剤
これらの薬剤は、神経伝達物質の神経末端への取り込みを防止することにより、レセプターでの神経伝達物質の量を高める。これは、神経細胞外に該アミンの量をより多く残し、これをもって神経細胞はレセプターと相互に作用することができる。三環系薬剤は、主に、ノルエピネフリンを分泌する細胞に影響を与える。
【0006】
多くの三環系は、口腔乾燥、霧視および便秘を引き起こすアセチルコリンのレセプターをブロックすることができる。いくつかの三環系は、催眠効果、眠気を有し、そして低血圧の危険性を増加する。
【0007】
選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)
このグループの薬剤は、5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニンとも呼ばれる)を放出する細胞に影響を与える。これらの薬剤は、脳のいくつかの領域においてセロトニンの量が通常より少ないのを補償し、これは、抑うつ症の治療を有効にする。これらの薬剤によって引き起こされる副作用には、頭痛、不眠症、下痢体重減、および性機能低下が挙げられる。
【0008】
モノアミンオキシダーゼインヒビター
第二のグループの薬物療法は、モノアミンオキシダーゼインヒビターである。モノアミンオキシダーゼは、神経伝達物質を減成(degrade)する酵素である。これらの酵素インヒビター薬剤を使用すると、神経末端でのアミンの破壊が少なくなり、したがって、神経細胞による貯蔵と放出に使用できるものが多くなる。これらの薬剤によって引き起こされる副作用には、血圧低下、口腔乾燥、霧視および便秘が挙げられる。これらの薬剤は、チーズやビールとの極めて深刻な反応を引き起こし、血圧の有意な増加を導き、そして脳内出血を引き起こす。
【0009】
抑うつ症は、重要性が増してきており、この疾患を取り扱うための現在の治療法は満足からは程遠いことは明らかである。この障害は、性質上慢性であり、長期間の管理療法が要求される。したがって、この障害の長期間の処理ために植物原料に由来するより優しくかつ温和な療法を開発することが必須である。本発明は、この目標を達成することを目指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイド(asiaticoside)およびマデカッソシド(madecassoside)を適宜の添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物である。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、新規なセロトニン再取り込み阻害医薬組成物の調製方法を開発することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、抑うつ症およびセロトニンが媒介する障害の治療に有用な新規のセロトニン再取り込み阻害医薬組成物を得ることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、それが必要な患者へのセロトニン再取り込み阻害医薬品を製造するための該組成物の使用である。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、セロトニンが媒介する障害、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出(gastric emptying)、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害の治療におけるそれを必要とする患者への該組成物の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物;五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、センテラアジアチカ(Centella asiatica)植物から抽出物を得、該抽出物をろ過および濃縮し、濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る工程を含む前記方法;該組成物を添加剤と共に含む医薬品の製造;ならびにセロトニンが媒介する障害の治療におけるそれを必要とする患者への該組成物の使用であって、患者に薬学的に許容し得る量の組成物を投与することを含む前記使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】30 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【図2】60 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【図3】120 mg/kgの被検薬投与量で処置した動物の胃を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物に関する。
【0018】
本発明の別の実施態様では、五環性テルペノイド配糖体は、植物または動物原料、好ましくはセンテラアジアチカ植物から得られる。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、アジアチコサイドの濃度は15〜50%の範囲にあり、そしてマデカッソシドの濃度は20〜50%の範囲にある。
【0020】
本発明のさらに別の実施態様では、添加剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤(glidants)、凝集抑制剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤および球状化剤(spheronization agent)を含む群から選択される。
【0021】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料を含む群から選択されるさまざまな投与形態に製剤化される。
【0022】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、
a.センテラアジアチカ植物から抽出物を得、
b.該抽出物をろ過および濃縮し、
c.濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、
d.該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、
e.該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、そして
f.該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る
工程を含む前記方法に関する。
【0023】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、複素環芳香族化合物、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびその一種以上の混合物を含む群から選択される。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、抽出に使用される前記溶媒は、好ましくは脂肪族アルコールである。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様では、前記抽出は、20℃〜38℃の範囲にある温度、好ましくは30℃の温度で行う。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様では、前記抽出は、6時間〜10時間、好ましくは8時間行う。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、前記濃縮は、40℃〜50℃の範囲の温度、好ましくは45℃の温度で行う。
【0028】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、好ましくは脱イオン水である。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様では、前記溶媒は、ヘキサン、石油系エーテルおよびメチルイソブチルケトンを含む群から選択される。
【0030】
本発明のさらに別の実施態様では、前記吸着剤は、樹脂、炭、シリカゲルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0031】
本発明のさらに別の実施態様では、前記濃縮は、50℃〜65℃の範囲にある温度で行う。
【0032】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の、セロトニンが媒介する障害を治療する医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用に関する。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様では、前記患者は、動物またはヒトである。
【0034】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、動物に15〜150mg/kg体重、およびヒトに1〜15mg/kg体重の投薬量で投与される。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様では、セロトニンが媒介する障害は、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害である。
【0036】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、無毒、かつ、有害反応が無い。
【0037】
本発明の一実施態様は、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害用の新規な医薬組成物に関する。本発明の実施態様の一様相では、五環性テルペノイド配糖体の濃度は、通常、アジアチコサイドが15〜50%、およびマデカッソシドが20〜50%の範囲にある。
【0038】
本発明の実施態様のさらに別の一様相では、前記新規組成物は、抑うつ症およびセロトニン媒介作用の治療に有用である。
【0039】
本発明のさらに別の実施態様では、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の抑うつ症およびセロトニン媒介作用の治療ためにそれを必要とする患者への使用である。本発明の実施態様の一様相では、患者は、ヒトを含む動物である。
【0040】
抑うつ症は、その治療のために持続する薬剤を要求する疾患である。現在利用可能な治療方法は、2〜4週してから何らかの効果をもつ。持続治療が要件であるため、患者は、苛酷度と継続時間の異なるさまざまな副作用を経験する。本発明は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療のための組成物、方法および組成物の使用に関する。本発明は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療において引き起こす副作用が最小限である治療に関わる。以下に説明するテストが示すように、被検薬は、標準のSSRI薬剤と比べて少ない激昂(agitation)と下痢を示した。また、本発明は、患者に居然(sedation)を引き起こさない。
【0041】
本発明は、また、五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物を、セロトニン再取り込み阻害用医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用に関する。本発明のさらに別の実施態様では、セロトニン再取り込み阻害は、抑うつ症およびその他のセロトニン媒介作用の治療に有用である。本発明のさらに別の実施態様では、患者は、ヒトを含む動物である。
【0042】
本発明のさらに別の実施態様では、前記組成物は、粉末または液体であり、そして副作用が最小限であり、ここで、該組成物は、動物に15〜150mg/kg、およびヒトに1〜15mg/kgの範囲の投薬量である。
【0043】
本発明のさらに別の実施態様では、センテラアジアチカ植物の茎および葉を含む全陸生部分を流水で洗浄して、すべての付着土壌および汚染物を除去し、次いで、日陰で乾燥する。乾燥物を、材料が16メッシュサイズを通過可能な出口粒径を有するハンマーミルで粉末化する。粉末化した材料を、上下端にフィルタエンドを有するパーコレーター内に詰める。使用する溶媒は、アルコールであり得、それには、限定されるものではないが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールのいずれかを単一溶媒として、あるいは、特定の組み合わせで、好ましくはエチルアルコール単独、あるいはイソプロピルアルコールとの組み合わせを含み、20℃〜38℃の範囲、好ましくは30℃の温度、8時間〜24時間の範囲、好ましくは8時間の向流式である。
【0044】
得られた抽出物を80メッシュフィルタに通してすべての目に見える粒子をろ過し、次いで減圧濃縮設備を用いた低温度、あるいは約40℃〜50℃、好ましくは45℃で、ペーストになるまで濃縮する。得られたペーストを脱イオン水に溶解して、均一溶液を得る。この溶液を、石油系エーテル溶媒またはヘキサンで抽出して、すべての脂肪性物質を除去する。脱脂された抽出物を、再び、ここで使われる水性抽出物に対して複数倍(好ましくは4倍)容積のメチルイソブチルケトンで抽出して、クロロフィルおよびその他の着色材を除去する。透明な水性抽出物を、次いで、吸着剤グレード樹脂のベッドに通して、すべての色および汚染物がベッドから無くなるまで5〜15容積、好ましくは8容積の脱イオン水で洗浄する。水洗したベッドをC−1〜C−4の炭素原子を有するアルコール性溶媒、好ましくはエタノールおよびイソプロピルアルコール、または上記アルコールの混合物で溶出する。
【0045】
溶出した溶媒を、再び、60〜120メッシュ粒径を有する活性炭およびシリカゲルを含む層からなるベッド上にて清浄化する。溶出した溶媒を回収し、前記ベッドを洗浄して、すべての五環性テルペノイド配糖体をベッド外へ得る。溶媒溶出物を、減圧下、低温度、好ましくは50℃〜65℃の間の温度で粉末になるまで濃縮し、得られた粉末を等量の脱イオン水内に懸濁させ、スプレー乾燥して、五環性テルペノイド配糖体、主に15〜50%のアジアチコサイドおよび20〜50%のマデカッソシドの組成(HPLCによる)を含む組成物を有する高水溶性粉末を得る。
【0046】
上記抽出工程の要約を以下に示す。
1.センテラアジアチカ植物を流水で洗浄して、すべての付着土壌および汚染物を除去し、次いで、日陰で乾燥する。
2.乾燥した材料を、材料が16メッシュサイズを通過可能な出口粒径を有するハンマーミルで粉末化する。
3.粉末化した材料を、パーコレーター内に詰め、そして、脂肪族アルコールを用いて20℃〜38℃の範囲の温度にて好ましくは8時間向、向流方式で抽出する。
4.得られた抽出物を、80メッシュフィルタに通してすべての目に見える粒子がなくなるまでろ過し、減圧濃縮設備を用いた低温度、あるいは約40℃〜50℃、好ましくは45℃にて、ペーストになるまで濃縮する。
5.得られたペーストを、脱イオン水に溶解して均一溶液を得る。
6.この溶液を、石油系エーテル溶媒またはヘキサンで抽出して、すべての脂肪性物質を除去する。
7.上記液体を、再び、水性抽出物に対して好ましくは4倍容積のメチルイソブチルケトンで複数回抽出して、クロロフィルおよびその他の着色材を除去する。
8.透明な水性抽出物を、吸着剤グレード樹脂のベッドに通す。
9.ベッドを、すべての色および汚染物がベッドから無くなるまで5〜15容積、好ましくは8容積の脱イオン水で洗浄する。
10.水洗したベッドをC−1〜C−4の炭素原子を有するアルコール性溶媒、好ましくはエタノールおよびイソプロピルアルコール、または上記アルコールの混合物で溶出する。
11.溶出した溶媒を、再び、60〜120メッシュ粒径を有する活性炭およびシリカゲルを含む層からなるベッド上にて清浄化する。
12.溶出した溶媒を回収し、前記ベッドを洗浄して、すべての五環性テルペノイド配糖体をベッド外に得る。
13.溶媒溶出物を減圧下、低温度、好ましくは50℃〜65℃の間の温度で粉末になるまで濃縮する。
14.得られた粉末を等量の脱イオン水内に懸濁させ、スプレー乾燥して、五環性テルペノイド配糖体、主に15〜50%のアジアチコサイドおよび20〜50%のマデカッソシドの組成(HPLCによる)を含む組成物を有する高水溶性粉末を得る。
【0047】
HPLC法:
【表1】
【0048】
得られた精製被検化合物を、以下のテストに供し、その抗抑うつ剤活性を確かめ、そしてその作用様式を確立する。
【0049】
尾懸垂テスト(Tail Suspension Test)テストでは、被検化合物は、懸垂したマウスの無動性の低下率で測定して有意な抗抑うつ剤活性を示した。30mg/kgの経口投与量では、被検化合物は、無動性が40.3%低下した。これは、この化合物が抗抑うつ剤として有能な能力を示すものである。
【0050】
薬剤の抗抑うつ剤活性の別の証拠は、強制遊泳テスト(Forced Swim Test)における無動性の減少の間に見られた。標準薬である三環系抗抑うつ剤が薬剤投与量100mg/kgにて71.44%減少であったのに比べて、被検薬は、30mg/kgの経口投与量にて無動性が68.76%低下に戻った。
【0051】
自発運動量テスト(Locomotor Activity Test)テストでは、被検化合物は、マウスに居然効果を示さなかった。これは、マウスの自発運動量の増加によって証拠づけられる。この薬剤の抗抑うつ剤活性は、居然および眠気を伴わない。
【0052】
被検化合物は、5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)相乗作用テストの間、セロトニン再取り込み阻害能力を示し、ここで、被検化合物は、マウスで観察される首ふり行動の数を有意に増加させた。被検化合物は、投与量100mg/kgにて、標準SSRI、すなわちフルオキセチンの投与量100mg/kgと等価であった。これとは別に、被検薬は、また、標準SSRI薬剤と比べて副作用が最小限であった。
【0053】
したがって、被検化合物は、MAO(モノアミンオキシダーゼ)阻害活性の通常の副作用を持たない。したがって、これには、抗コリン作動性副作用が無い。それは、マウスの尾懸垂テストで、有意な投与量依存性抗抑うつ剤活性を有する。
【0054】
本発明を、以下の実施例でさらに詳述する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するととらえるべきでない。
【実施例】
【0055】
実施例1
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのイソプロピルアルコールを用いて、固定床向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はテルペノイド配糖体の不在についてモニターした。
【0056】
カラムを、5Lの脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストがテルペノイド配糖体の不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをエチルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0057】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0058】
淡黄色、水溶性で40%アジアチコサイドおよび36%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量30gで得た。
【0059】
実施例2
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのエチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0060】
該カラムを、5Lの脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストがセンテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをイソプロピルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分10%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0061】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0062】
淡黄色、水溶性で40%アジアチコサイドおよび34%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量28gで得た。
【0063】
実施例3
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのメチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し8時間にわたって30℃で抽出した。8時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0064】
カラムを、5Lより多い脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをイソプロピルアルコールで、モニタリングTLCテストが溶出物中センテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをイソプロピルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0065】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0066】
淡黄色、水溶性で39%アジアチコサイドおよび34%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量32gで得た。
【0067】
実施例4
センテラアジアチカ植物の主に葉と茎を含む気生部分1kgを、清浄で乾燥した形態に取り、20メッシュサイズハンマーミル内を100%確実に通過する粒径まで粉末化した。この材料を、5Lのメチルアルコールを用いて、固定床式向流抽出器内で繰り返し10時間にわたって30℃で抽出した。10時間後、抽出物を、すべての懸濁物が無くなるまでろ過した。透明な濾過物を、40℃のロータリエバポレータ内減圧下で半固体になるまで濃縮した。濃縮された固まりに対して、3Lの脱イオン水を添加して均質液を得た。この液体を2Lのヘキサンで二回洗浄することにより抽出し、底の水層を分離した。この水層を、再び、1Lのメチルイソブチルケトンで二回抽出した。底の水層を分離し、吸着樹脂アンバーライトXAD1180(400ml)ベッドに流速25ml/分を維持して通過させ、出流はセンテロサポニンの不在についてモニターした。
【0068】
カラムを、5Lより多い脱イオン水で十分に洗液が無色になるまで洗浄した。吸着カラムをエチルアルコールで、モニタリングTLCテストが溶出物中センテロサポニンの不在を示すまで溶出した。得られた溶出物を、100gの活性炭および250gのシリカゲル(粒径60〜120メッシュ)を含むカラムを通過させた。得られた溶出物を回収し、カラムをエチルアルコールで十分に洗浄し、すべての洗液を溶出液と合一し、次いで、減圧蒸留設備内で45〜50℃で粉末を得るまで濃縮した。この粉末を300mLの脱イオン水に溶解して、固形分20%の透明溶液を得、次いで、並流間接熱気スプレードライア内で以下の条件でスプレー乾燥した。
【0069】
入口温度:140℃
出口温度:80℃
【0070】
淡黄色、水溶性で41%アジアチコサイドおよび36%マデカッソシドの組成(HPLC法による)を持った粉末を収量30gで得た。
【0071】
実施例5:被検化合物のマウスにおける尾懸垂に関する効果
このテストは、げっ歯類において無動性の低下率を測定することによって潜在的抗抑うつ剤を評価するために使用される。監禁状態のげっ歯類が示す無動性は、不可避のストレスにさらされたとき、行動的絶望状態を反映すると仮説され、これは、うつ病障害に苦しむヒトの心的状態を反映し得る。臨床上有効な抗抑うつ剤は、尾で懸垂されたときに逃れるための活発と不成就の試みの後にマウスが示す無動性を減少させる。
【0072】
手順:
いずれかの性別で体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、プラスチックケージ内にテスト前少なくとも10日間収容した。動物を、テスト前1時間、テスト環境に順応させた。試験の60分前、一群6動物に、被検薬、ビヒクル、または標準薬を経口的に与えた。テストでは、テーブルトップ上58cmの棚の端に、マウスを尾先から約1cmの位置で粘着テープで懸垂した。無動性の持続期間を6分連続して記録した。マウスは、受動的に吊るされ、少なくとも1分間、完全に静止した場合、無動であるとみなされる。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0073】
不動態的挙動(passive behavior)を示す動物の比率をカウントし、さまざまな投与量を用いたビヒクルで手当てした対照と比較した。
【0074】
被検薬の無動時間に関する効果
【表2】
データは、mean±SEM(n=8)を示す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定(Dunnett‘s test)による分析データ
【0075】
このテストで得られた結果は、3、10および30 mg/kg投与量,p.o.にて投薬量に依存した無動性の減少を示した。10および30 mg/kg投与量では、無動性の減少が有意であった(P<0.01)。無動性の減少率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬イミプラミン(64mg/kg,p.o.)は、無動性の有意な減少を示した(P<0.01)。
【0076】
実施例6:被検化合物のマウスにおける自発運動量の効果
このテストは、抗抑うつ剤の鎮静作用の様相を除外するために行われる。そのほかに、テストが、薬剤の一定の筋ち緩効果を除外することもできる。スイスアルビノマウスが、その運曇をチェックするために、レーザーセンサーのついた歩行運動チャンバー内でテストされる。自発運動スコア(locomotors score)は、動物の易動度の直接の関数である。易動度の減少は、居然効果および筋ち緩効果が原因であるといえる。
【0077】
手順:
いずれかの性別で体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、プラスチックケージ内でテスト前少なくとも10日間収容した。動物を、テスト前1時間、テスト環境に順応させた。試験の60分前、一群6動物に、被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)、ビヒクル、または標準薬を経口的に与えた。テストでは、マウスを個別にアクトフォトメーター(Actophotometer)内に置いた。自発運動量を10分間個々にカウントした。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0078】
被検薬の無動時間に関する効果
【表3】
データは、mean±SEM(n=8)を表す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0079】
イミプラミンは、陽性対照であり、そして、自発運動量の減少を引き起こす。これは、薬剤の居然効果の表れである。被検薬は、自発運動量が投与量に依存して増加することを示していることから、居然効果がないことが確認される。イミプラミンは居然効果を誘起することに留意することが適切である。したがって、被検化合物は、三環系抗抑うつ薬剤で見られるような鎮静の副作用をもたない。
【0080】
30mg/kg,p.oでの被検薬は、自発運動量の有意(P<0.01)な増加を示した。しかし、3および10mg/kgでの投与量では、自発運動量の増加は、有意でなかった。自発運動量の増加率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg,p.o.)は、自発運動量の有意な増加を示した(P<0.01)が、それは、ビヒクルおよび被検薬より少なかった。
【0081】
実施例7:強制遊泳テスト
逃れることができない制限された空間内で遊泳を強制されたマウスは、無動性の特徴的挙動を誘起する。
【0082】
手順:
雄の体重25〜30gのスイスアルビノマウスを、実験前少なくとも一日間、実験室に入れ、柵内に個別に収容した。マウスを個々に、25℃の水が12cm入った垂直プラキシガラス(25x23cm)の中で強制的に泳がせた。シリンダ内に置かれたマウスは、最初は非常に活動的に力強く円形に泳いで、壁を登ろうとしたり、底へ潜ったりする。
【0083】
2〜3分後、活動が静まり始め、無動性の様相または伸ばした足を浮かせることが時々見られる。5〜6分後には、無動性が高原現象に達し、そこでは、マウスは、約80%の時間無動であり続ける。15分後、マウスを水から出し、加熱した囲い(32℃)の中で乾かしてから、もとの柵の中に戻す。24時間後、マウスを再び、シリンダ内に入れ、6分間のテスト期間のうち最後の4分について無動性の総期間をカウントする。マウスが水の中でやや前かがみであるが直立姿勢で、鼻が丁度表面の上にあって受動的に浮いたままのときはいつも、動物を無動と判定する。被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)またはビヒクルまたは標準薬のイミプラミン(100mg/kg,p.o.)を、テスト1時間前に投与した。
【0084】
被検薬の無動時間に関する効果
【表4】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
** P<0.01 対ビヒクル、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0085】
このテストで得られた結果は、被検薬は、3、10および30mg/kg,p.o.の投与量にて投与量依存的な無動性の減少率を生じたことを示す。10および30mg/kgの投与量では、無動性の減少は有意であった(P<0.01)。無動性の減少率をビヒクル群に対して計算した。個々の動物の読みを、113頁のアペンディックスIIに示す。無動性の減少は、30mg/kg投与量で示された。
【0086】
レセルピンアンタゴニズム
脳内生体アミンの消耗は、カタレスピーを誘起するたけでなく、げっ歯類の低体温も誘起する。レセルピンによって誘起される体温の低下は、抗抑うつ剤のMAO−インヒビターおよび中枢興奮剤により拮抗される。レセルピンは、また、セロトニンのような神経アミンのレベルを低下させる。したがって、抗抑うつ剤は、レセルピンの効果を逆行させることが可能である。
【0087】
実施例8:レセルピン投与後の強制遊泳テスト
手順:
雄の体重25〜30gのスイスアルビノマウスを使用した。すべての動物を個別に25℃の水が12cm入った垂直プラキシガラス(25x23cm)の中で強制的に15分間泳がせる予備訓練を行った。予備訓練の20時間後、マウスに5mg/kgのレセルピンi.p.を注射した。レセルピン投与から4時間後、被検薬(10,30および100mg/kg)またはビヒクルまたは標準薬を経口投与した。処置60分後、動物を個々に、6分間強制遊泳させ、その間、無動性を記録した。イミプラミン64mg/kg,p.o.標準として使用した。
【0088】
レセルピン投与後の、被検薬の無動時間に関する効果
【表5】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
# P<0.05 対 ビヒクル, ** P<0.01 対 レセルピン、分散分析(ANOVA)と続くダネット検定による分析データ
【0089】
このテストで得られた結果は、被検薬が、10、30および100mg/kg,p.o.の投与量にて投与量依存的な無動性の減少率を生じたことを示す。しかし、30および100mg/kgの投与量は、レセルピン群に比べて、無動性が有意に減少した(P<0.01)。無動性の減少率を、レセルピン群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg)はまた、無動性の有意な減少を示した(P<0.01)。
【0090】
実施例9:レセルピン投与後の自発運動量テスト
脳内生体アミンの消耗は、カタレスピー、下垂、低体温を誘起するたけでなく、げっ歯類の自発運動量の減少も誘起する。マウスにレセルピン(5mg/kg,i.p.)を腹腔内投与すると、自発運動量の減少につながるが、これは、抗抑うつ剤のMAO−インヒビターおよび中枢興奮剤により拮抗される。
【0091】
手順:
雄の体重25〜30 gのスイスアルビノマウスを使用した。これらに、5mg/kgのレセルピンi.p.を投与した。レセルピン投与から4時間後、被検薬(10,30および100mg/kg)またはビヒクルまたは標準薬を経口投与した。処置から60分後、動物をアクトフォトメータ内に個別に10分間置き、その間、自発運動量をカウントした。イミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0092】
レセルピン投与後の被検薬の自発運動量に関する効果
【表6】
データは、mean±SEM(n=6)を示す。
## P<0.01 対 ビヒクル, * P<0.05 対 レセルピン, *** P<0.001 対 レセルピン, クラスカル・ワリス検定とその後のダン(Dunn‘s)テストによる分析データ.
【0093】
このテストで得られた結果は、被検薬の投与量10,30および100mg/kg,p.o.にて、投与量とは独立した自発運動量の増加を示した。しかし、投与量10mg/kg(P<0.05)および30mg/kg(P<0.001)では、レセルピン群に比べて被検薬の投与は、有意な活性を示した。自発運動量の増加率を、レセルピン群に対して計算した。標準薬のイミプラミン(64mg/kg)は、自発運動量の有意な増加を示さなかった。
【0094】
実施例10:5−ヒドロキシトリプトファン(L 5−HTP)のマウスにおける相乗作用
いくつかの抗抑うつ剤は、セロトニンの再取り込みのブロックにより、セロトニン効果を強化する。5−ヒドロキシトリプトファンが、セロトニンのプレカーサーとして使用される。
【0095】
手順:
6匹1群のスイスアルビノマウス(25〜30g)を使用した。これらを被検薬(10,30および100mg/kg,p.o.)またはビヒクルまたは標準薬で処置し、60分後に75mg/kgi.p.のL−5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)を処置した。次いで、マウスを、ガラスベルジャーの中に入れ、首ふり行動の数を、2分間を5回、間をおいて(14〜16,24〜26,34〜36,44〜46および54〜56分の間)数えた。フルオキセチン100mg/kg,p.o.およびイミプラミン64mg/kg,p.o.を標準として使用した。
【0096】
5−HTP 相乗作用における被検薬の首ふり行動の効果
【表7】
データは、mean±SEM(n=8)を示す。
*** P<0.001 対 ビヒクル, クラスカル・ワリス検定とその後のダンの多重比較手続きテストによる分析データ
【0097】
このテストで得られた結果は、被検薬の投与量100mg/kg,p.o.にて首ふり行動の有意な増加を示した(P<0.001)。この効果は、投与量依存性であった。首ふり行動の増加率を、ビヒクル群に対して計算した。標準薬のフルオキセチン(100mg/kg,p.o.)は、首ふり行動の有意な増加を示した(P<0.001)が、イミプラミン(64mg/kg,p.o.)首ふり行動の有意な増加を示さなかった。
【0098】
フルオキセチンを投与した動物は、下痢になり、興奮の表明が観察された。一方、被検薬群の動物は下痢しなかったし、興奮もしていなかった。被検薬は、フルオキセチンと等価に強力であり、通常の副作用がない。
【0099】
実施例11:被検薬の胃の粘膜構造の効果
6匹のウイスターラットを、被検薬で処置した。被検薬は、3種類の投与量、すなわち、30,6,および120mg/kgで経口的に投与された。投与から6時間後、動物を頚椎脱臼により犠牲にし、解剖して胃を取り出した。胃を大彎に沿って切開し、塩水で洗浄した。
図1は、被検薬投与量を30 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
図2は、被検薬投与量を60 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
図3は、被検薬投与量を120 mg/kgで処置した動物の胃を示す。
【0100】
これらの図は、胃の腺部内の“隆線(ridges)”を示す。隆線は、被検薬の投与量依存的な様式で増加した。被検薬投与量60mg/kgおよび120mg/kgは、より顕著な隆線形成を示した。これらの隆線は胃の収縮を意味する。したがって、隆線形成の増加は、胃内のぜん動運動の増加を暗示する。この運動は、胃の内容物排出がより高い量となったことの指標である。
【0101】
上記説明は、本発明のさまざまな実施態様の例示であり、限定するものと解釈してはならず、当業者は、本発明のさまざまな多くの変更を行い得ることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物。
【請求項2】
前記五環性テルペノイド配糖体は、植物または動物原料、好ましくはセンテラアジアチカ植物から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アジアチコサイドの濃度は15〜50%の範囲にあり、そして前記マデカッソシドの濃度は20〜50%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記添加剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、凝集抑制剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤および球状化剤を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料を含む群から選択されるさまざまな投与形態に製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、
a.センテラアジアチカ植物から抽出物を得、
b.該抽出物をろ過および濃縮し、
c.濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、
d.該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、
e.該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、そして
f.該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る
工程を含む前記方法。
【請求項7】
前記溶媒は、複素環芳香族化合物、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびその一種以上の混合物を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程aの抽出に使用される前記溶媒は、好ましくは脂肪族アルコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程aの前記抽出は、20℃〜38℃の範囲にある温度、好ましくは30℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
工程aの前記抽出は、6時間〜10時間、好ましくは8時間行う、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
工程bの前記濃縮を、40℃〜50℃の範囲の温度、好ましくは45℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
工程cの前記溶媒は、好ましくは脱イオン水である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
工程dの前記溶媒は、ヘキサン、石油系エーテルおよびメチルイソブチルケトンを含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
工程eの前記吸着剤は、樹脂、炭、シリカゲルおよびその混合物を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
工程fの前記濃縮は、50℃〜65℃の範囲にある温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の、セロトニンが媒介する障害を治療する医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用。
【請求項17】
前記患者は、動物またはヒトである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記組成物は、動物に15〜150mg/kg体重、およびヒトに1〜15mg/kg体重の投薬量で投与される、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
セロトニンが媒介する障害は、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物は、無毒、かつ、有害反応が無い、請求項16に記載の使用。
【請求項1】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の許容可能な添加剤と共に含むセロトニン再取り込み阻害医薬組成物。
【請求項2】
前記五環性テルペノイド配糖体は、植物または動物原料、好ましくはセンテラアジアチカ植物から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アジアチコサイドの濃度は15〜50%の範囲にあり、そして前記マデカッソシドの濃度は20〜50%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記添加剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、凝集抑制剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗酸化剤、ガム、被覆剤、着色剤、香味剤、被覆剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤および球状化剤を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、軟膏、パッチ、ゲル、ローション、歯磨剤、カプセル、乳液、クリーム、スプレー、ドロップ、分散性粉剤または顆粒剤、ハードまたはソフトゲルカプセル内乳液、シロップ、エリキシル剤、フィトケミカル、栄養補助食品および食品の材料を含む群から選択されるさまざまな投与形態に製剤化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを含む組成物を調製する方法であって、
a.センテラアジアチカ植物から抽出物を得、
b.該抽出物をろ過および濃縮し、
c.濃縮された抽出物を溶媒に溶解して溶液を得、
d.該溶液を溶媒で処理して脂肪性物質、クロロフィルおよびその他の着色材を除去し、
e.該処理溶液を吸着剤に通して透明溶液を得、そして
f.該透明溶液を濃縮して前記組成物を得る
工程を含む前記方法。
【請求項7】
前記溶媒は、複素環芳香族化合物、脂肪族化合物、ケトン、アルコール、ニトリル、エステル、エーテルおよびその一種以上の混合物を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程aの抽出に使用される前記溶媒は、好ましくは脂肪族アルコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程aの前記抽出は、20℃〜38℃の範囲にある温度、好ましくは30℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
工程aの前記抽出は、6時間〜10時間、好ましくは8時間行う、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
工程bの前記濃縮を、40℃〜50℃の範囲の温度、好ましくは45℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
工程cの前記溶媒は、好ましくは脱イオン水である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
工程dの前記溶媒は、ヘキサン、石油系エーテルおよびメチルイソブチルケトンを含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
工程eの前記吸着剤は、樹脂、炭、シリカゲルおよびその混合物を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
工程fの前記濃縮は、50℃〜65℃の範囲にある温度で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
五環性テルペノイド配糖体、好ましくはアジアチコサイドおよびマデカッソシドを適宜の添加剤と共に含む組成物の、セロトニンが媒介する障害を治療する医薬品を、それを必要とする患者に製造するための使用。
【請求項17】
前記患者は、動物またはヒトである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記組成物は、動物に15〜150mg/kg体重、およびヒトに1〜15mg/kg体重の投薬量で投与される、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
セロトニンが媒介する障害は、抑うつ症、肥満症、胃の内容物排出、気分高揚、およびセロトニンが関与するその他の障害である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物は、無毒、かつ、有害反応が無い、請求項16に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2010−530841(P2010−530841A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548800(P2009−548800)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000132
【国際公開番号】WO2008/099426
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509226532)インダス バイオテック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000132
【国際公開番号】WO2008/099426
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509226532)インダス バイオテック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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