Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
選択的水素化法とそのための触媒
説明

選択的水素化法とそのための触媒

アルミナ担体物質に担持されたパラジウムを含み、ランタニドの化合物をさらに含むことを特徴とする、水素化(特に、アセチレン化合物からオレフィン化合物への選択的水素化)に使用するのに適した触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系化合物の存在下にてアセチレン系化合物を選択的に水素化するための方法に関する。本発明はさらに、このような選択的水素化法において使用するのに適した新規触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和炭化水素の製造では通常、飽和炭化水素および/または高級炭化水素をクラッキングすることを含み、所望する生成物よりは不飽和であるが、分別によって分離するのが極めて困難であるような炭化水素を含有する粗生成物が得られる。たとえば、エチレンを製造する際には、アセチレンが副生物として生成する。ポリマーグレードのエチレンの規格においては、アセチレンの含量は10ppm未満でなければならないが(一般には、エチレン生成物中に最大で1〜3ppm)、プラントによっては、アセチレンを0.5ppm未満にすべきであると規定している。
【0003】
オレフィンとアセチレン副生物との分離には困難さが付きものなので、三重結合の水素化によってアセチレン系炭化水素生成物を除去してオレフィンを形成させる、というのが工業的なオレフィン製造における長年にわたるやり方となっている。この方法には、供給流れの主要成分を形成している所望のオレフィン生成物を水素化するという可能性、そしてさらに、アセチレンを過剰に水素化して飽和炭化水素を生成するという懸念がある。したがって、オレフィンの二重結合が水素化されずに、アセチレン三重結合の水素化が起こりやすいような水素化条件を選択することが重要である。
【0004】
不飽和炭化水素の精製に対しては、2つの一般的なタイプの気相選択的水素化法が使用されている。“フロントエンド(front-end)”水素化は、接触分解装置からの粗製生成物ガス(スチームと高級炭化水素(C4+)が除去されている)を水素化触媒上に通すことを含む。この粗製ガスは、供給物中のアセチレン部分の水素化を果たすのに必要とされるよりはるかに多くの水素を含有しており、このためガス流れ中のオレフィン部分が水素化される可能性が高い。したがって、適切な選択的水素化触媒を選択し、オレフィンの望ましくない水素化を避けるための条件(特に温度)を制御することが重要である。“テールエンド(tail-end)”水素化では、ガス状供給物が既にCOとH2から分離されており、したがって水素化反応のための必要な量の水素を反応器中に導入しなければならない。
【0005】
フロントエンド水素化によってオレフィン流れからアセチレンを除去する操作を行う場合(この場合、水素が、アセチレンを水素化するのに必要とされる化学量論量よりかなり過剰に存在している)、オレフィンの水素化が起こってより多くの飽和炭化水素が生成するのを避けるのが望ましい。水素化プロセスは温度に対して感受性が高く、温度は使用される触媒に応じて変わる。アセチレンは、比較的低い温度(一般には、約55℃〜約70℃)にて水素化される。アセチレンの少なくとも99.9%が水素化される温度は“クリーンアップ温度(clean-up temperature)”(CUT)と呼ばれる。選択的触媒を使用すると、オレフィンの水素化(かなり発熱する)が90℃〜120℃の温度で始まるが、反応器中の水素が利用できることから、速やかに熱散逸が起こり、したがって望ましくないオレフィン水素化がかなり起こることがある。オレフィンの水素化が始まる温度は“ライトオフ温度(light-off temperature)”(LOT)と呼ばれる。したがって、操作可能な温度の領域(すなわち、“ライトオフ温度”と“クリーンアップ温度”との間の差)は、オレフィン水素化のおそれを避けつつアセチレンの高い転化率を達成できるよう、できるだけ広くなければならない。このことは、オレフィン高含量の供給ガス中のアセチレンを選択的に水素化するための適切な触媒は、高いLOT−CUTをもたらすものでなければならない、ということを意味している。テールエンド水素化法では、過剰な水素化は起こりにくい。なぜなら、ガス流れ中の水素がフロントエンド水素化の場合より少ないからである。しかしながら、4個以上の炭素原子を含有する炭化水素(オリゴマーやオイルの形成を引き起こし、これにより触媒の活性が低下する)の形成を避けるために選択的触媒が必要とされる。
【0006】
アセチレンを選択的水素化するための公知の触媒としてはアルミナ担持Pdがある。US-A(米国特許公開公報)-2909578は、アルミナ担持Pdを含む触媒を開示しており、該特許出願によれば、Pd金属は触媒総重量の約0.00001%〜約0.0014%である。US-A-2946829は選択的水素化触媒を開示しており、該特許出願によれば、800Å以下の閾値直径(a threshold diameter)にて0〜0.4cm3g-1の細孔体積を有するアルミナキャリヤーにPdが担持されている。
【0007】
US-A-3113980とUS-A-3116342は、アセチレン水素化法と、細孔が100Å以上(そして好ましくは1400Å以下)の平均半径を有するアルミナに担持されたパラジウムを含む触媒を開示している。活性アルミナを、800℃〜1200℃の範囲の温度で少なくとも2時間加熱することによって、所望する物理的特性が得られる。US-A-4126645は、不飽和度の低い炭化水素の存在下にて高度不飽和炭化水素を選択的に水素化する方法を開示している。該方法は、5〜50m2g-1の範囲の表面積、5gcm-3未満のヘリウム密度、1.4gcm-3未満の水銀密度、および少なくとも0.4cm3g-1の細孔体積を有する粒状アルミナに担持されたパラジウムを含む触媒を使用することを特徴としており、細孔体積の少なくとも0.1cm3g-1が300Åより大きい半径の細孔によるものであり、パラジウムが主として、幾何学的表面(geometric surface)のすぐ下の150ミクロン以下の触媒粒子の領域に存在する。酸化亜鉛、酸化バナジウム、Cu金属、Ag金属、またはAu金属等の補助物質が存在してもよい。
【0008】
使用されているほとんどの担持Pd触媒は“シェル(shell)”タイプ(すなわち、担体粒子の表面または表面近くにのみ存在するPdを有する)でけれども、US3549720は、触媒担体の全体にわたってPdが均一に分配されている、という触媒の使用を開示しており、このときアルミナが80m2g-1より大きい表面積を有し、細孔のほとんどが800Å未満の直径を有する。US-A-4762956では、アセチレンの水素化をアルミナ担持Pd触媒上にて行い、このときアルミナは、200〜2000Åの平均孔半径を有し(細孔の少なくとも80%が100〜3000Åの範囲内の孔半径を有する)、アルミナ担持Pd触媒は、アルミナ担体物質を1150℃より高い温度(但し1400℃未満)にて焼成することによって作製される。
【0009】
ある特定の促進剤(通常は、Pdとは別の1種以上のさらなる金属種)を含有する特定の触媒が当業界に開示されている。たとえばGB811820は、活性アルミナに担持された0.001〜0.035%のパラジウムを含有していて、そしてさらに0.001〜5%の銅、銀、金、ルテニウム、ロジウム、または鉄を促進剤として含有する触媒を使用するアセチレンの水素化を開示している。EP-A-0124744は、周期表の第VIII亜族の水素化用金属または水素化用金属の化合物を不活性担体に0.1〜60重量%にて担持させて含み、0.1〜10重量%のK2Oと、必要に応じて、カルシウム、マグネシウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、バナジウム、銀、金、銅、および亜鉛を含む群から選択される0.001〜10重量%の添加剤とを含有する水素化触媒を開示している(いずれの場合も、パーセント値は触媒の総重量を基準としており、K2Oのドーピングは、水素化用成分、担体、および必要に応じた添加剤からなる触媒前駆体に対して施される)。US-A-3821323は、シリカゲル担持パラジウムを含んでいて、亜鉛をさらに含有する触媒を使用する、エチレン流れ中のアセチレンの選択的気相水素化を開示している。US4001344は、γ-アルミナ担持Pdを含んでいて、第IIB族金属の化合物を含有する、アセチレン系化合物の部分水素化のための触媒を開示している。Bensalemらによる“React.Kinet.Catal.Lett.Vol.60,No.1,71-77(1997)”は、1-ブチンの水素化に対するセリア担持Pdの反応を説明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アセチレン水素化の分野における先行技術を考察するとわかるように、オレフィン含有供給物中のアセチレンの転化率をできるだけ高くするために、オレフィン結合に対しては比較的不活性である一方で、アセチレンに対しては高度に選択的なアセチレン水素化法とアセチレン水素化触媒が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、我々は、アルミナ担体物質に担持されたパラジウム化合物を含み、ランタニドの化合物を含んだ促進剤をさらに含むことを特徴とする、水素化可能な有機化合物の水素化に使用するのに適した触媒を提供する。本発明の触媒は、アセチレン系化合物の水素化に対して(とりわけ、オレフィン含有ガス流れ中のアセチレンの選択的水素化に対して)特に適している。
【0012】
本発明の触媒は、パラジウムが金属形態にて存在するときに、水素化に対して活性である。本発明の触媒は一般に、先ず、パラジウム化合物(通常は、塩または酸化物)が担体上に存在している前駆体を製造することによって作製される。パラジウム化合物から金属パラジウムへの還元が、触媒のエンドユーザーによって反応器中にてその場で行われるよう、このような触媒を、還元可能なパラジウム化合物をアルミナ担体物質上に担持させた形態で供給するのが普通の工業的なやり方である。本明細書では、“触媒”という用語は、非還元形(パラジウムが、還元可能なパラジウム化合物の形態で存在している)および還元形(パラジウムがパラジウム金属として存在している)の両方を表わすのに使用されている。したがってパラジウム化合物は、パラジウム塩(たとえば、硝酸塩や塩化物)、酸化パラジウム、またはパラジウム金属を含んでよい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、我々はさらに、水素化可能な有機化合物を含有するガス状供給物と水素との混合物を、アルミナ担体物質に担持されたパラジウム化合物を含む触媒上に通す工程を含み、前記触媒が、ランタニドの化合物を含んだ促進剤さらに含むことを特徴とする、水素化可能な有機化合物の水素化法を提供する。本発明の触媒は、とりわけ他の水素化可能な化合物(たとえばオレフィン系化合物)の存在下における、アセチレン系化合物の選択的水素化に対して特に適している。したがって、好ましい形での本発明の方法は、オレフィン(たとえばエチレン)の存在におけるアセチレンおよび/または高級アルキンの選択的水素化を含む。
【0014】
担体は、シリカ、チタニア、マグネシア、アルミナ、または他の無機キャリヤー(たとえばアルミン酸カルシウムセメント)から選択することができる。担体はアルミナを含むのが好ましい。好ましいアルミナ担体物質は、主としてα-アルミナである。α-アルミナは、水素化反応において使用するための、パラジウム触媒用担体としての用途で既によく知られている(例えば、EP-A-0124744、US-A-4404124、US-A-3068303、および他の文献に記載されている)。α-アルミナは、活性アルミナ(たとえば、γ-アルミナや擬ベーマイト)を800〜1400℃(さらに好ましくは1000〜1200℃)の温度で焼成することによって製造することができる。このような温度で焼成することの、アルミナの物理的性質に及ぼす影響のついての詳細な説明がUS-A-3113980になされている。他の形態のアルミナ(たとえば、US-A-4126645に開示の活性アルミナや遷移アルミナ)も使用することができる。一般には、担体(たとえばα-アルミナ)は比較的低い表面積を有する。先行技術からの教示によれば、“フロントエンド”水素化にて使用するためには、表面積(よく知られているBET法によって測定される)は50m2g-1未満であるのが好ましい(さらに好ましくは10m2g-1未満)。担体は、比較的低い多孔度(たとえば0.05〜0.5cm3g-1)を有するのが好ましい。平均孔径は0.05〜1ミクロンの範囲内であるのが好ましく、約0.05〜0.5ミクロンの範囲内であるのがさらに好ましい。
【0015】
本発明の触媒は、適切ないかなる物理的形態でも供給することができるが、固定床水素化での使用に対しては、1mmより大きい最小寸法を有する造形粒子(shaped particles)が好ましい。造形粒子は、円筒形、錠剤、球体、または他の形状〔たとえば、ローブ・シリンダー(lobed cylinders)〕の形態であってよく、必要に応じて通路または孔を有していてもよい。これとは別に、好ましいものの、好ましさの程度が低いのはグラニュールである。このような粒子は、公知の方法(たとえば、錠剤化、粒状化、または押出等)によって作製することができる。適切な粒子寸法は、適用しようとする条件に応じて選択される。なぜなら、小さな粒子の床を通しての圧力低下は、一般にはより大きな粒子の床を通しての低下より大きいからである。通常は、精油所のプロセス流れ中のアセチレンを水素化するための触媒粒子は約2〜5mmの最小寸法を有する(たとえば、幅が約3mmで長さが3mmの円筒形状が適切である)。パラジウムと促進剤化合物を導入する前に、触媒担体を所望の粒子形に造形することもできるし、あるいはこれとは別に、担持された触媒を、製造後に造形することもできる。パラジウムと促進剤化合物の使用を調節して、必要に応じて、不均一な触媒粒子が得られるよう、予備作製された造形触媒担体を使用するのが極めて好ましい。前述したように、担持パラジウム触媒は通常、活性金属が、触媒の表面もしくは表面付近にのみ組み込まれる、というシェルタイプ触媒として供給される。このような不均一分布を達成するためには、担体粒子を作製した後に活性金属化合物を施す必要がある。触媒担体は、種々の適切な粒子形状および粒子サイズにて市販されている。
【0016】
パラジウムは、熟練した触媒製造業者によく知られているいかなる適切な方法によって(たとえば、担体に可溶性パラジウム化合物の溶液を含浸させることによって、あるいはUS-A-5063194に記載のように蒸着によって)も触媒中に導入することができる。好ましい製造法は、担体物質に可溶性パラジウム塩(たとえば、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、またはパラジウムアミン錯体)の溶液を含浸させることによる方法である。初期湿潤法(incipient wetness technique)が好ましく、該方法によれば、担体に施す溶液の体積を、担体物質の細孔をちょうど充填するか、あるいはほとんど充填する(たとえば、使用する体積は、算出による細孔体積または実測による細孔体積の約90〜95%であってよい)のに充分となるように算出する。溶液の濃度を、最終的に得られる触媒中に必要量のパラジウムが組み込まれるように調整する。溶液は、担体上に通常は室温で噴霧することによって施すのが好ましい。別の方法(たとえば、担体を溶液中に浸漬する)も使用することができる。次いで、含浸した担体を乾燥し、高温で処理して含浸パラジウム化合物を酸化物化学種(oxidic species)に転化させることができる。たとえば、パラジウムを硝酸パラジウムの溶液として担体に施すときは、乾燥・含浸した物質を脱窒するために、そしてより安定なパラジウム化学種(主として酸化パラジウムと思われる)を形成させるために、乾燥・含浸した物質を400℃以上の温度で処理するのが好ましい。
【0017】
パラジウムは、Pd金属を含めた触媒総重量を基準として約50ppm〜約1重量%の範囲のレベルで存在するが、触媒中のパラジウムの量は使用目的に応じて変わる。C2ガス流れまたはC3ガス流れからアセチレン系化学種を除去するためには、パラジウムは、触媒総重量に基づく算出にて、重量基準で約50ppm〜約1000ppmの範囲のレベルで存在するのが好ましい。このアプリケーションに対するPdレベルは100〜500ppmwの範囲であるのがさらに好ましい。高級炭化水素を処理しようとする場合(たとえば、pygas 流れにおいて)、触媒は通常、より多くの組み込み量(たとえば0.1%〜1%、さらに好ましくは約0.2%〜約0.8%)のパラジウムを含む。“テールエンド”用が意図されている触媒中のPdの量は、“フロントエンド”用の触媒に対して必要とされる量より多い。
【0018】
ランタニド促進剤化合物は、パラジウム化合物に対して使用される方法と類似の方法によって触媒中に導入することができる。すなわち、ランタニド化合物の可溶性塩の溶液を担体中に含浸させるか、あるいは担体上に噴霧することができる。促進剤の適切な可溶性化合物としては、硝酸塩、塩基性硝酸塩、塩化物、酢酸塩、および硫酸塩などがある。パラジウム化合物と促進剤化合物は、担体に同時に導入することもできるし、あるいは互いに別々に導入することもできる。たとえば、担持されたパラジウム化合物を含む形成物質(a formed material)に促進剤化合物の溶液を施すことができる。これとは別に、パラジウム化合物とランタニド化合物を含有する溶液を担体物質に施すこともできる。
【0019】
促進剤化合物はランタニドの化合物、すなわちLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuから選択される元素の化合物である。好ましい促進剤化合物は、セリウム、ガドリニウム、またはランタンの化合物から選択され、最も好ましいのはセリウム化合物である。ランタニド化合物は通常、触媒中に酸化物の形態で(たとえば、セリウムの場合はCe2O3として)存在する。
【0020】
ランタニド促進剤化合物は、促進剤金属を含めた触媒総重量を基準として15〜8000ppmw(さらに好ましくは50〜5000ppmw)の濃度にて存在する。促進剤がセリウム化合物であるとき、より好ましい濃度は50〜2500ppmwである。これとは対照的に、より高い濃度のPdを含有する場合、たとえば、pygas流れ等の高級炭化水素を処理する場合は、促進剤のレベルを、たとえば5重量%にまで増やすことができる。Pdとランタニド促進剤金属との原子比は、1:0.5〜1:5の範囲であるのが好ましく、1:1〜1:3.5の範囲であるのがさらに好ましい。
【0021】
Pdおよび好ましくはさらにランタニド化合物が、担体の表面または表面近くに層の形でのみ存在する(すなわち、触媒が“シェル”タイプである)のが好ましい。周知のように、選択的水素化において使用する場合は、ガス流れと活性触媒との接触時間をできるだけ短くするために、そしてこれによって選択性を高めるために、活性成分が表面近くの比較的薄い層中に濃縮されている触媒を使用するのが有益である。耐摩滅性を改良するために、活性層を担体表面の下に配置することができる。一般に、好ましい触媒においては、Pdおよび好ましくはさらにランタニド化合物が、触媒担体の表面から最大約500μmまでの(特に、表面から約20〜約300μmの)層の形で濃縮される。
【0022】
本発明の触媒の好ましい実施態様は、アルミナ触媒担体、パラジウム化合物、および促進剤化合物を含み、このとき前記パラジウム化合物が、触媒の重量を基準として50ppmw〜500ppmwにて存在し、前記促進剤化合物が、セリウム、ガドリニウム、またはランタンの化合物から選択され、前記促進剤化合物が、全触媒の重量を基準として50〜2500ppmwの濃度にて存在する。
【0023】
本発明の方法と触媒は、オレフィン流れからアセチレンや高級アセチレン類(たとえば、メチルアセチレンやビニルアセチレン)を除去するのに有用である。代表的なプロセスは、10バール〜50バール(ゲージ圧)(特に、最大で約20バールまで)の圧力で操作する。操作温度は運転圧力に依存するが、一般には、プラントにおける隣接したプロセス工程の要件に応じて、40℃〜70℃の入口温度、および80℃〜130℃またはそれ以上の出口温度で操作する。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて、本発明の方法と触媒についてさらに詳細に説明する。
触媒の試験(フロントエンド条件)
約20cm3の全触媒ペレット(一般には20±1cm3)を正確に計量し、315gの不活性アルミナ希釈剤と混合した。20mmの内径と200cm3の容量を有する管状反応器に、触媒と希釈剤との混合物を装入した。触媒を、100%水素を使用して、20バールの圧力および5000hr-1のガス空間速度にて90℃で少なくとも3時間前、その場で前処理し、次いで周囲温度に冷却しつつ窒素をパージしてから試験した。
【0025】
モデル供給ガス(model feed gas)〔脱エタン装置(de-ethaniser)のオーバーヘッドフロントエンド条件をシミュレートするように設計されている〕を、5,000hr-1のガス空間速度にて20バールゲージの圧力で反応器に供給した。供給ガスの組成は以下の通りであった。
【0026】
アセチレン/モル% 0.6
一酸化炭素/ppmv 100
エチレン/モル% 30.0
水素/モル% 15.0
窒素 残部
アセチレンのクリーンアップを行うべく触媒床の温度を約2.5℃ほど上昇させた(TCUT)。こうした温度上昇は、出口ガス中のアセチレン濃度が3ppmv以下になったときに行った。この実験を、温度の暴走が起こるまで、温度を1℃ほど上昇させることによって続けた(TLOT)。発熱が検知されたらすぐに、反応器をプロセス窒素でクエンチして冷却を促進し、これによって存在する可能性のある反応物を追い出した。全てのガス組成物をガスクロマトグラフィーによって分析した。入口のアセチレンレベルと出口のアセチレンレベルを比較することによって、所定の温度(Tn)でのアセチレンの転化率を下記の式から産出し、
%C2H2 Conv=[(C2H2)in-(C2H2)out/(C2H2)in]×100
このとき、(C2H2)inはアセチレンの入口レベルであり、(C2H2)outはアセチレンの出口レベルである。
【0027】
エチレン選択性(過剰水素化に関して)は下記の式によって算出し、
%SC2H4=100-%SC2H6
このとき%SC2H6は、下記の式によって定義されるエタン選択性である。
【0028】
%SC2H6={[(C2H6)out-(C2H6)in]/[(C2H2)in-(C2H2)out]}×100
(実施例1)
200ppmのPdと必要量のセリウムを1:0〜1:10のPd:Ce原子比を有するように含んだ触媒を、直径3.2mmの円筒状ペレットの形態のアルミナ担体に、触媒の細孔を充填するに足る、硝酸セリウム(III)六水和物と硝酸パラジウムとの水溶液の算出体積を含浸させることによって、および触媒の細孔を充填するに足る、硝酸セリウム(III)六水和物と硝酸パラジウムとの水溶液の算出体積を室温で噴霧することによって作製した。必要量の各金属化合物を有する触媒が得られるよう、溶液中のセリウムとパラジウムの濃度を調節した。いわゆる“初期湿潤(incipient wetness)”法によって担持触媒化合物を製造する方法は、当業者によく知られている。得られた物質を、空気中にて105℃で3時間乾燥し、次いで空気中にて450℃で4時間加熱して脱窒素を行った(すなわち、硝酸セリウムと硝酸パラジウムを酸化物化学種に転化させた)。触媒を、前述の“フロントエンド”条件下にて試験した。結果を表1に示す。各触媒に対し、クリーンアップ温度にて選択性を算出した。これらの結果から、促進剤が組み込まれていないパラジウム触媒と比較すると、LOT-CUTの操作性ウインドー(operability window)がより広いこと、また本発明の触媒を使用すると、エチレンに対する選択性がはるかに良好である、ということがわかる。
【0029】
(実施例2)
セリウムの代わりにガドリニウムを含有する触媒を、硝酸セリウム(III)六水和物の代わりに硝酸ガドリニウムの溶液(硝酸ガドリニウム(III)六水和物を使用して作製)を使用したこと以外は、実施例1に記載の方法によって作製した。Pd:Gd原子比は1:2であった。触媒を、前述の“フロントエンド”条件下にて試験した。結果を表2に示す。
【0030】
(実施例3)
セリウムの代わりにランタンを含有する触媒を、硝酸セリウム(III)六水和物の代わりに硝酸ランタンの溶液(硝酸ランタン六水和物を使用して作製)を使用したこと以外は、実施例1に記載の方法によって作製した。Pd:La原子比は1:2であった。触媒を、前述の“フロントエンド”条件下にて試験した。結果を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
(実施例4)
400ppmのPdを含有する2種の触媒を作製した。1つ(4aで表示)は促進剤が組み込まれておらず、もう一つ(4bで表示)はセリウムを1:2のPd:Ce原子比にて含有した。実施例1に記載の一般的な方法にしたがって、アルミナ担体に硝酸パラジウム(および、存在する場合は硝酸セリウム)の水溶液を含浸させることによって触媒を作製した。触媒を、前述のテールエンド水素化条件下で試験した。
【0034】
触媒の試験(テールエンド条件)
20cm3の全触媒ペレットを315gの不活性アルミナ希釈剤と混合し、管状反応器中に装入した。触媒を、100%水素を使用して、20バールの圧力および5000hr-1のガス空間速度にて90℃で少なくとも3時間、その場で前処理し、次いで周囲温度に冷却しつつ窒素をパージしてから試験した。モデル供給ガス(テールエンド条件をシミュレートするように設計されている)を、2000hr-1のガス空間速度にて17バールゲージの圧力で反応器に供給した。供給ガスの組成は以下の通りであった。
【0035】
アセチレン/モル% 1.00
水素/モル% 1.05
エチレン/モル% 残部
アセチレンのクリーンアップを行うべく触媒床の温度を約5℃ほど上昇させた(TCUT)。こうした温度上昇は、出口ガス中のアセチレン濃度が3ppmv以下になったときに行った。全てのガス組成物をガスクロマトグラフィーによって分析した。入口のアセチレンレベルと出口のアセチレンレベルを比較することによって、所定の温度(Tn)でのアセチレンの転化率およびエチレン選択性を、前述のフロントエンド試験に関して得られている方法と式を使用して算出した。クリーンアップ温度における全ブテン生成量(1-ブテン、シス-2-ブテン、およびトランス-2-ブテンの合計)とさらに1,3-ブタジエン生成量を、下記のように算出した。
【0036】
ブテン生成量(ppmv)=(全ブテン)out-(全ブテン)in(ppmv)
および、1,3-ブタジエン生成量に対しては同様に
ブタジエン生成量(ppmv)=(ブタジエン)out-(ブタジエン)in(ppmv)
結果を表3に示す。これらの結果から、Ceで促進される触媒を使用すると、エチレン選択性がかなり改良されるということがわかる。過剰水素化によるエタンのレベルがより低くなることに加えて、C4化合物(ブタジエンとブテン)のレベルが大幅に減少する。これらの物質は供給ガス中に存在せず、C2化合物のオリゴマー化によって形成される。これらの物質は、触媒の不活性化を引き起こす“グリーンオイル”への前駆体であると思われる。
【0037】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ担体物質に担持されたパラジウム化合物を含み、ランタニドの化合物をさらに含むことを特徴とする、水素化可能な有機化合物の水素化に使用するのに適した触媒。
【請求項2】
担体が、シリカ、チタニア、マグネシア、アルミナ、シリカ-アルミナ、アルミン酸カルシウムセメント、またはこれらの化合物の混合物から選択される、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
担体がアルミナを含む、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
平均孔径が0.05〜1ミクロンの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
触媒が、1mmより大きい最小寸法を有する造形粒子の形態をとっている、請求項1〜4のいずれかに記載の触媒。
【請求項6】
ランタニド化合物が、セリウムの化合物、ガドリニウムの化合物、またはランタンの化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒。
【請求項7】
ランタニド化合物がセリウムの化合物である、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
パラジウムが、Pd金属と全触媒の重量との合計を基準として約50ppm〜約1重量%の範囲のレベルで存在している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
ランタニド化合物が、ランタニド金属と全触媒の重量との合計を基準として50〜5000ppmwの濃度にて存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項10】
Pd金属とランタニド金属との原子比が1:0.5〜1:3.5の範囲である、請求項1〜9のいずれかに記載の触媒。
【請求項11】
パラジウムがパラジウム金属の形態で存在する、請求項1〜10のいずれかに記載の触媒。
【請求項12】
水素化可能な有機化合物を含有するガス状供給物と水素との混合物を、アルミナ担体物質に担持されたパラジウム化合物を含む触媒上に通す工程を含み、前記触媒が、ランタニドの化合物をさらに含むことを特徴とする、水素化可能な有機化合物の水素化法。
【請求項13】
前記水素化可能な有機化合物がアセチレン系化合物を含む、請求項12に記載の水素化法。
【請求項14】
前記ガス状供給流れが、水素のほかに、半量未満のアセチレン系化合物と過半量のオレフィン系化合物を含有する、請求項13に記載の水素化法。
【請求項15】
前記ガス状供給流れが、水素のほかに、半量未満のアセチレンと過半量のエチレンを含有する、請求項13または請求項14に記載の水素化法。
【請求項16】
前記触媒が請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の水素化法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化可能な有機化合物の水素化に使用するのに適した触媒であって、チタニア、マグネシア、アルミナ、シリカ-アルミナ、アルミン酸カルシウムセメント、またはこれらの化合物の混合物から選択される担体物質に担持されたパラジウム化合物から本質的になり、ランタニドの化合物をさらに含有することを特徴とする触媒。
【請求項2】
担体がアルミナを含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
ランタニド化合物が、セリウムの化合物、ガドリニウムの化合物、またはランタンの化合物である、請求項1または請求項2記載の触媒。
【請求項4】
ランタニド化合物がセリウムの化合物である、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
パラジウムが、全触媒の重量の合計を基準としてPd金属として約50ppm〜約1重量%の範囲のレベルで存在している、請求項1または請求項2に記載の触媒。
【請求項6】
ランタニド化合物が、全触媒の重量の合計を基準としてランタニド金属として50〜5000ppmwの濃度にて存在する、請求項1または請求項2に記載の触媒。
【請求項7】
水素化可能な有機化合物を含有するガス状供給物と水素との混合物を、請求項1または請求項2に記載の触媒上に通す工程を含む、水素化可能な有機化合物の水素化法。
【請求項8】
前記水素化可能な有機化合物がアセチレン系化合物を含む、請求項7に記載の水素化法。
【請求項9】
前記ガス状供給流れが、水素のほかに、半量未満のアセチレン系化合物と過半量のオレフィン系化合物を含有する、請求項8に記載の水素化法。
【請求項10】
前記ガス状供給流れが、水素のほかに、半量未満のアセチレンと過半量のエチレンを含有する、請求項9に記載の水素化法。

【公表番号】特表2006−526499(P2006−526499A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508375(P2006−508375)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002262
【国際公開番号】WO2004/108638
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】