説明

選択的酸化用スプレープロセス

酸化プロセスは:酸素及び希釈ガスを含む反応域に酸化可能名反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物の小滴を導入するステップと;酸化生成物を生成に適切な反応温度及び適切な反応圧力において、酸素で反応物を酸化させるステップと;を含むことができる。この液体反応混合物は、酸化可能反応物として酸化可能置換基を有する芳香族原料を有することがある。この酸化可能反応物は、少なくとも一つのカルボン酸を有する芳香族化合物を含むことができる。例えば、この芳香族原料は、少なくとも酸化可能アルキル置換基を有するベンゼン環、少なくとも一の酸化可能アルキル置換基を有するフランヘテロ環、少なくとも一の酸化可能アルカリ置換基を有するナフタレン多環、それらの誘導体、及びそれらの混合体を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
この出願は、2009年3月23日に出願された米国暫定出願第61/162,406号「選択的酸化用スプレープロセス」の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本発明は、米国国立科学財団により授与されたEEC−0310689の下、政府支援により創作された。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの物質を調製する産業プロセスで酸化プロセスは、一般的である。所望の生成物の選択と純度、固有の安全性と廃棄物及び環境排出量の最小化は、産業の酸化プロセスが直面する不変の課題である。従って、酸化を行う酸化プロセス及び反応系の改善を絶えず模索している。
【0003】
ミッドセンチュリープロセスとして知られるCo/Mn/Br系触媒を用いるパラ−キシレンからテレフタル酸(以後、TPAと言う)を生成する触媒液相酸化が1950年代に開発された。水溶性パラ−メチルベンジルアルコールと結晶化への変換を経て、反応生成物から4−カルボキシベンズアルデヒドの除去を促進すべく、TPAを精製する水素化ステップが1965年に追加された。
【0004】
他の関連する反応スキームは、比較的温和な酸化条件で金属/臭化触媒システムにより粗TPAを生成する。対応するキシレンからイソフタル酸又はTPAを生成するにあたり反応用プロモータとしてアセトアルデヒドの使用も提案された。このプロセスは触媒プロモータとして臭素を使用しないので、あまり珍しくない反応器材料が適する。別の既知のプロセスは、酢酸溶媒を用いずに温和な温度と比較的低圧力で、パラ−キシレンとパラ−トルイル酸メチルを同時に酸化させることが特徴である。
【0005】
しかし、これらのプロセスの全ては共通の欠点、即ち液相で不十分又は最適でないO物質移動速度を有する。物質移動は、空気が液相を通して激しくバブリングする攪拌液相反応器で行われる。このプロセスで生成した粗TPA固体を分離し、以降の段階で更に精製して4−カルボキシベンズアルデヒド含有量を減らす。更に、液相反応器に入る酢酸の約5%をこのプロセスで酸化(例えば、燃焼)する。従って、TPA生成及び上記のものに類似する他の酸化反応用に増進されたO物質移動速度を提供する改善されたプロセスを有する必要が、当該技術においてまだ残っている。
【発明の概要】
【0006】
概して、基質を選択的に酸化するマイクロリアクターとして各液滴が機能しうるスプレープロセスを介して、選択的に酸化させる酸化システム及びプロセスを提供することにより、本発明はこれと他のニーズを満たす。液滴内で反応が進行するが、大部分の反応が液滴(doplets)の液相で実質的に生じるように、いくつかの反応が蒸気相又は気相内で生じることがある。
【0007】
一の実施例では、酸化プロセスは:酸素と希釈ガスを含むガス反応域に酸化可能な反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物の小滴を導入するステップと;酸化生成物を生成する適切な反応温度及び適切な反応圧力で反応物を酸素で酸化させるステップと;を含む。この液体反応混合物が、酸化可能な反応物として酸化可能な置換基を有する芳香族原料を有してもよい。この酸化生成物が、少なくとも一つのカルボン酸を有する芳香族化合物を含んでもよい。例えば、この芳香族原料は、少なくとも一の酸化アルキル置換基を有するベンゼン環、少なくとも一の酸化アルキル置換基を有するフランヘテロ環、少なくとも一の酸化アルキル置換基を有するナフタレン多環、それらの誘導体、及びそれらの混合物を含んでもよい。この芳香族原料の例として、パラ−キシレン、メタ−キシレン、オルト−キシレン、プソイドクメン、3−クロロ−メタ−キシレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、5−ヒドロキシメチルフルフラール、フルフラール、5−ホルミルフラール、及びそれらの類似化合物又は誘導体と同様それらの混合物も含む。
【0008】
一の実施例では、この芳香族原料は、パラ−キシレン(p−キシレン)及びテレフタル酸を含む少なくとも一つのカルボン酸を有する酸化芳香族複合剤を含んでもよい。代替として、この芳香族原料が、5−ヒドロキシメチルフルフラールを含んでよく、酸化生成物は、フラン−2,5−ジカルボン酸を含む少なくとも一つのカルボン酸を有する芳香族化合物である。
【0009】
一の実施例では、酸化生成物は、実質的な純粋な固形物として液滴から凝結する。
【0010】
一の実施例では、この芳香族原料は、p−トルイル酸(PTA)、p−トルアルデヒド(p−Ta)、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、p−メチルベンジルアルコール、5−ヒドロキシメチルフラン−2−カルボン酸、2,5−ジホルミルフラン、5−ホルミル−2−フランカルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの要素の部分酸化誘導体を含む。
【0011】
一の実施例では、触媒は、パラジウム、白金、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、モリブデン、及びそれらの混合物の溶媒可溶性組成を含んでもよい。
【0012】
一の実施例では、触媒は更に、液体反応混合物に溶解する共触媒を含んでもよい。例えば、この共触媒は、マンガン、臭素、又は臭化水素を含む場合がある。
【0013】
一の実施例では、この溶媒は酢酸を含んでもよい。酢酸は、重量又は容量で約0.1乃至10%の水を選択的に含有する。
【0014】
一の実施例では、希釈ガスは不活性である。例えば、この希釈ガスは、窒素、二酸化炭素、又は希ガスを含む場合がある。
【0015】
一の実施例では、酸化可能な反応物の酸化中間体を液体反応混合物に添加する。例えば、この酸化中間体は、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
一の実施例では、小滴形の液体反応混合物を約100から約300℃で酸素に接触させる。更に、このプロセスは、液体反応混合物がスプレーされ酸素含有ガスに接触される前に、液体反応混合物又はガス反応域を100乃至300℃に予熱するステップを含んでもよい。
【0017】
一の実施例では、約0.1秒乃至約60分間、液体反応混合物の液滴を酸素に接触させる。
【0018】
一の実施例では、反応圧力は、約1乃至約100気圧の範囲である。
【0019】
一の実施例では、液滴の温度が(反応によって生じる熱により)上昇して一定の温度に達すると、溶媒が大部分を占める反応混合物が沸騰し始めるように、反応圧力を選択する。しかし、反応混合物が沸騰し始めると、冷却の原因となる蒸発時の潜熱を液滴から除去する。このように、液滴の温度を自己コントールすることができ安定である。
【0020】
一の実施例では、このプロセスは、ガス酸化剤を含む反応域内で細かなミストスプレーを形成するためにノズルを通して反応混合物をスプレーするステップを含む場合がある。このノズルは、酸素含有ガスに細かいミストをスプレーする単一流体型ノズルでよい。任意に、酸素の有無に関わらず、ガスを反応混合物と混ぜ合わせてこの反応混合物と共にノズルを通してスプレーしてもよい。
【0021】
一の実施例では、CO又はCOを形成する溶媒又は他の酸化可能な成分(例えば、酸化可能な反応物でない)の酸化又は燃焼を回避又は減少させる。反応器内の温度勾配を最小にすることにより及び反応器内の液滴の滞留時間を最小にすることにより、これを得ることができる。このように、CO又はCOを形成する溶媒又は他の酸化可能な成分の燃焼を実質的に減少させる。
【0022】
一の実施例では、小滴は、平均直径で0.1ミクロンから約1mmである。更に、この小滴は、液滴の細かいミストでもよい。
【0023】
一の実施例では、酸化反応系は:酸化可能な反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物と;酸素及び希釈ガスを有する酸化ガスと;ガス反応域で酸化ガスを保有するように構成された反応槽と;液体反応混合物の小滴を反応域へスプレーするように構成されたノズルを有するスプレーシステムと;を含むことができる。
【0024】
液体反応混合物に配合するために液体反応混合物の様々な成分をスプレーシステムへ個別に提供し、又は予め混合もしくは部分的に予め混合して及び部分的に個別の成分として提供(及び任意に保存)する。同様に、一又はそれ以上の酸素含有ガスと一又はそれ以上の希釈ガスの予混として、又は分離した酸素含有ガス及び希釈ガス流として、又は個別に導入された離散ガスとして酸化ガスを反応域へ提供することができる。
【0025】
一の実施例では、反応槽は、反応域又は液滴から固体として凝結する酸化生成物を収集するように構成された収集部材を含んでもよい。
【0026】
一の実施例では、反応槽は、反応温度を約100から約300℃に保持するように構成された温度制御システムを含むことができる。例えば、均一温度を実質的に維持するようにこの温度制御システムを構成してもよい。
【0027】
一の実施例では、この反応槽は、反応槽内で約1から約100気圧を維持するように構成された圧力制御システムを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、酸化反応システムの実施例の回路図である。
【図2A】図2Aは、反応槽の横断面にわたって実質的に均一な温度を有する酸化反応システムで得られる温度プロファイルのグラフである。
【図2B】図2Bは、反応槽の横断面にわたって実質的に非均一な温度又は高い温度勾配を有する酸化反応システムで得られる温度プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
一般的に、本発明は、例えば均質的に触媒するなど選択的酸化反応用の新規なスプレープロセスを用いるシステム及び方法に関する。このスプレープロセスは、多くの小滴を生成するように構成され、ここで液滴がマイクロ反応器として機能し、液滴内で反応が実質的に起こる。しかし、液滴の外側の蒸気相又は気相内で、いくつかの酸化反応が生じることがある。更に、溶媒がバルク液体として反応器の底部に含まれる実施例では、いくつかの酸化がバルク液体溶媒中で生じることがある。即ち、蒸発冷却により制御される反応熱に起因して温度が上昇する小滴内で、酸化反応が実質的に起こる。望ましくない副生成物への収率損失を最小とするように圧力範囲内で温度を制御することができる。例えば、テレフタル酸と同様に関連する酸化反応を生成するパラ−キシレンの酸化を含む選択的酸化用の新規のスプレープロセスにおいて、このシステム及び方法を用いることができる。更に、所望の生成物を生成するために、この酸化プロセスで別の反応物を使用することができる。更に、酸化反応以外の別の反応において、このシステムとプロセスは有用である。
【0030】
酸化に加えて、本明細書に記載されたシステム及び方法で行われる反応は、液相オゾン分解、水素化反応、カルボニル化反応、及び合成ガス反応を含むことができる。このような反応型は知られており、反応媒体用に小滴のミストにスプレーできる反応混合物に調製することができる薬剤を当業者は選択することができる。これらの反応は、気液物質移動が律速段階のとき、収率と純度において顕著な改善が見られる。合成ガスは、一酸化炭素及び水素のガス混合物であり、コークスの熱分解を通じて石炭から生成することができ、一酸化炭素を形成する発熱反応が続き、次いで水蒸気で一酸化炭素を反応させることにより水素が生成する。
【0031】
オゾン分解の場合、オゾンが基質を開裂してアルコール、アルデヒド、ケトン、又はカルボン酸を生成するときの基質は、アルケン又はアルキンでよい。水素化は、二重結合の代わりに一対の水素を添加することにより水素化される不飽和アルキル基を有する基質を含むことができる。カルボニル化は、一酸化炭素から有機性又は無機性基質に酸素へ炭素二重結合を導入する反応を含む(例えば、ヒドロホルミル化及びレッペ化学)。
【0032】
従って、均質触媒O酸化を行うのに利用できる新規なシステムとプロセスを本明細書で開示する。液相においてミッドセンチュリープロセスなどの従前のプロセスの効果と収率を制限するOの有効性の制限をこの新規システム及びプロセスにより克服することができる。液相(溶媒に溶解された基質と触媒を含む)をスプレーするシステムを構成し、小滴の各々がマイクロリアクターとして機能し、各液滴が液滴を通して酸素透過するのに十分な小さいサイズを有することによりこのOの有効性の制限を克服した。様々な種類の酸化基質を酸化するのにこの新規なシステムとプロセスを使用することができる。この酸化基質は、酸素によって酸化された酸化部分を含むことができる。
【0033】
液体基質の酸化の状況を超えてこの発明のシステムとプロセスを使用できることを当業者は理解するだろう。同様に、気液物質移動が律速なガス反応物(例えば、酸素)を含む任意の液相(例えば、小滴内)の均一触媒反応にシステムとプロセスを用いることができる。液滴サイズが小さいと気液物質移動速度を大幅に向上させ、それにより酸化用に利用できる酸素分子を改善する。更に、この小滴反応器を用いるシステムとプロセスは、ガス状のOの有用性を向上させ、これによりバルク液体酸化又は大きな液体体積酸化に比べて反応プロセスを改善する。より速い反応時間と強化した温度制御により改善される。新規なシステムとプロセスの利点は、高処理能力、少ない廃棄物、より高い生成物の純度、及び改善された安全性などを含む。
【0034】
酸化可能な反応物用の溶媒の燃焼を回避する方法で、このシステムとプロセスを操作する。溶媒が燃焼する可能性を減らす操作の選択された温度範囲を有するように圧力範囲内でこのシステムを制御することができる。更に、反応器の圧力と温度で、その蒸気と平衡である酸化可能な反応物用の溶媒を用いてこのシステムを操作することができる。このように、液滴中の溶媒が、少しでも蒸発すると飽和液体として反応器中に実質的に残存する。液滴中の溶媒が実質的に蒸発すると、均一触媒が凝結してシステムとプロセスの効果を減少させる。飽和液体として溶媒を維持すべく、スプレー前にスプレー溶液を反応器温度に余熱する必要がある。更に、液滴の温度がその圧力における溶媒の沸点を越えないように、反応器圧力を維持する。
【0035】
このシステムとプロセスは、細かい液滴(例えば、ミストのような)として溶解された酸化可能な反応物と触媒含む液体溶媒を不活性背景ガス中にOを含むチャンバへスプレーするステップを含むことができる。噴霧器、霧吹きなどのスプレーノズルから、できるだけ小さい液滴を形成することができる。反応物を含むより小さい液滴が、液滴とOガス間の接触界面表面積を増大させる。増大された界面表面積が、改善された反応速度及び生成物品質(例えば、収率や純度)をもたらす。また、Oが拡散して液滴の全量に浸透し、所望の生成物へ進む選択的酸化用の液滴を通して化学量論量で利用できるように、液滴は十分に小さい。
【0036】
一の実施例では、触媒を用いず酸化可能な反応物を酸化させるのにこのシステムとプロセスを使用することができる。更に、酸化剤としてOガスを用いる非触媒酸化プロセスを本明細書記載のシステムで行なうことができる。
【0037】
別の実施例では、細かい液滴として過度の酸素分子を有するガスに反応混合物をスプレーすることにより、このシステムと方法は液相とO間の界面物質移動域を増大させる。従来の酸化システム及び方法と対照的に、本発明は、分散相として液相を、連続相として気相を提供する。従来の酸化システムは、液体を通して泡立つ分散相であるガス有を具えた連続相として液体を利用した。更に、新規なシステムと方法は、従来のシステムと方法(例えば、ミッドセンチュリープロセス)と逆の方法で機能する。即ち、本発明のシステムと方法は、固定相又はバッチ相として酸素気相を含む場合がある。それに応じて、酸素含有ガス環境(例えば、ガス反応域)にスプレーされる液滴を、スプレー又はミスト状で連続的に分散又は添加する。
【0038】
小さな反応物の液滴又はミストは、酸化が生じる直径数百ミクロン又はそれ以下の環境(例えば、液滴)を提供できる。周囲の酸素分子が液滴に即座に浸透すると(即ち、O拡散時間スケール(R/D)が、動力学的時間スケールより短いと)、液滴を通して酸化が実質的に均一に達成できる。ほぼ均一な酸化が、高純度の生成物を作り出す。例えば、p−キシレンからTPAへの高い変換速度により、比較的高い純度でTPA生成物を形成し、液滴から凝結する。Dは溶媒反応混合物中のO拡散率であり、Rは液滴の半径であることに留意されたい。一方、液滴のサイズが「大きい」と、酸素拡散時間スケール(R/D)は動力学的時間スケールよりずっと長くなる。この後の準最適シナリオで、液滴の外殻からTPAの形成と凝結を開始し、液滴の内部コアに向かって進行する。一旦固体が液滴の外層近くに形成すると、内部コアへのO拡散を妨害し、不完全酸化が、中間体により汚染されるあまり純粋でないTPA生成物をもたらすこととなる。従って、より小さい液滴は、より純粋な生成物の生成を促す。
【0039】
本明細書で記載されるように、反応を制御するために、液滴のサイズを制御することができる。液滴は、大きい液滴だけでなく、個々の小さい液滴の細かいミスト(例えば、約10ミクロン乃至約100ミクロン)として、細かい液滴(例えば、約100ミクロン乃至約300ミクロン)として、軽い液滴(例えば、約300ミクロン乃至約1000ミクロン)まで形成され得る。しかし、本明細書に記載のように、より小さい液滴が好まれる。「ミスト」は、本発明に見合うサイズの複数の小滴又は液滴であると解し、スプレーノズルにより形成される。
【0040】
本明細書に記載されたシステムとプロセスは、反応中の燃焼された/酸化された溶媒(例えば、酢酸)の量を減少させることができ、その結果、酢酸が燃焼により形成される副生成物を減少させる。酢酸とO間の表面積は増大しても、燃焼は、制御された物質移動ではなく酢酸と酸素間の接触時間に依存する。このスプレープロセスの間に反応器内のわずかな残留液が酢酸を更に連続的に除去するので、スプレープロセスにおいて従来のプロセス(即ち、ミッドセンチュリープロセス)と比べて接触時間を著しく削減する。
【0041】
発熱酸化反応により反応混合物の温度上昇し、これにより巨視的な反応器の条件が適切に制御されない場合には、溶媒が燃焼される。酸化可能な反応物(例えば、p−キシレン)が完全燃焼するため反応混合物中の断熱温度増加(ΔTad)を、標準的な手順の後に推定することができる。ΔTad値は圧力とともに増加し、到達した最大温度がその圧力における溶媒(例えば、酢酸)の沸点を示すことが明らかになった。反応熱を吸収して、反応混合物を完全に蒸発させることなく相変化温度(例えば、沸騰温度)で温度を維持するのに十分な熱容量を蒸発潜熱は提供する。このように、断熱温度上昇を制限し、溶媒燃焼を最小限にするレベルまで又はそれ以上に温度が上昇するのを防止する操作圧力を選択することができる。より高い操作圧力により溶媒の沸点がより高くなり、その結果溶媒の燃焼をもたらして副生成物が生成する原因となる。再び反応が生じる各滴の液滴の最大局部温度が、所定の圧力で溶媒沸点に到達することが計算を通して明らかとなった。
【0042】
市販のミッドセンチュリープロセスでは、液相を通して空気が激しく泡立てられる攪拌液相反応器内で液相中のO物質移動速度を行う。このプロセスを用いて生成された粗TPA固体は、分離され、後段で4−カルボキシベンズアルデヒド(主たる不純物である中間酸化生成物)含有量を削減するため更に精製される。更に、反応器に入る酢酸の約5%を更にこのプロセスで酸化(燃焼)する。固体TPA生成物の純度と酸化反応の有効性は、界面面積に依存する場合があるので、それによりOを含有するガス内に浮遊する反応物の液滴サイズで、より小さいサイズは、酸化反応と生成物の収率と純度を著しく向上させることができる。例えば、より小さい液滴は、より純粋なTPA生成物やより高いTPA収率をもたらす。
【0043】
図1は、本明細書に記載したスプレー酸化プロセスで用いられる酸化システム100の実施例の略図を示したものである。図1に示す酸化システム100は、p−キシレンをTPAに酸化するよう構成されるが、このシステム100は、本明細書に記載される任意の酸化に用いることもできる。
【0044】
システム100は、例えば流路110を通じて反応器108と流体連結する反応混合物容器102、酸素容器104、及び希釈ガス容器106を含むことがある。流路110は、ノズル128を通過する前に、例えば反応混合物容器102が、ポンプ114、スプリッタ118、ヒータ、及びジャンクション116に流体的に結合する様々な部品を互いに連結する管により示したものである。選択的に、反応器108と流体連結し、酸素又は希釈ガスを有する第2ガス容器107を含めることができる。この流路110は、流路110に流体を通過させる1又はそれ以上のバルブ112、ポンプ114、ジャンクション116、及びスプリッタ118を含むことができる。更に、記載の酸化反応が行えるように、反応混合物、酸素ガス、酸素含有ガス、不活性ガス、及び1又はそれ以上の希釈ガスを反応器108に選択的に移動するために配置を構成する場合がある。
【0045】
更に、酸化システム100は、酸化システム100の部品のいずれかに操作可能に結合するコンピュータシステム120を含むことができる。更に、バルブ112及び/又はポンプ114などの各部品は、流体の流路110の通過に関してコンピュータシステム120からの指示を受け取ることができる。コンピュータシステム120と酸化システム100間の一般的な連結は、酸化システム100の周りの点線の四角形により表示する。コンピュータシステム120は、個人用のコンピュータから工場規模のコンピュータシステムまでの範囲のいかなるタイプのコンピュータシステムでもよい。また、コンピュータシステムは、酸化反応の実行及び酸化システム100の部品を制御するコンピュータが実行可能な命令(例えば、ソフトウェア)を格納できるディスクドライブなどの記憶媒体を含むことができる。
【0046】
反応混合物容器102に流体的に結合する流路110は、図のように、ヒータ122を含むことができる。反応器108へ導入する前に所望の温度までヒータ122を予熱してもよい。示していないが、いずれかのガス容器に流体的に結合する流路110は、同様に反応器108に導入する前にある温度までガスを温めるためのヒータを含めることができる。コンピュータシステム120がヒータ122に操作命令できるように、及び/又はヒータ122が操作データをコンピュータシステム120に戻せるように、いずれかのヒータ122もコンピュータシステム120と操作可能に結合できる。従って、いずれかの部品同様このヒータ122は、制御モジュール同様(図示せず)データ送信機/受信機(図示せず)を装備することができる。
【0047】
反応混合物(及びガスと液体又はガスと液体の混合物を注入するためにノズル128が使用される場合は、104及び106からの酸素含有及び希釈ガス及び/又は容器107からのガスを選択的に含む)を反応器108にスプレーするよう構成された1又はそれ以上のノズル128と流路110を流体的に結合してもよい。限定された溶媒蒸発を発生させる酸化反応を可能にする適切な小さいサイズの反応混合物の液滴を提供するために、そのように配置されたノズル128を構成することができる。ノズル128は、反応混合物を所望のサイズ範囲内の複数の液滴にスプレーできる。図1は、ノズル128は下向きで示しているが、実際には任意の方向でよく、複数のノズル128を任意の配置で構成してもよい。同様に、液滴をスプレー溶液の噴射を分散する超音波のような別の方法で形成してもよい。
【0048】
反応器108は、酸化生成物を受け取るよう構成されたトレイ130を含んでもよい。酸化生成物が形成されるときに、酸化生成物は、凝結などにより液滴から落下してトレイ130上に落ちる。また、トレイ130は、液体を通過させ、酸化生成物を保持するメッシュ、フィルター、及び膜でもよく又は孔を有していてもよい。酸化生成物を捕らえることができる様々なタイプのトレイ130を、反応器108に含めることができる。
【0049】
コンピュータシステム120に操作可能に連結し、反応器108の温度を変えるため、そこからの温度指示を受信できる温度調節器124を反応器108に装備してもよい。このように温度調節器124は、熱交換部品と同様に加熱及び/又は冷却部品を含むことができる。この温度調節器124はまた、温度を測定するための熱電温度計を含むことができ、分析用に反応器108の動作温度をコンピュータシステム120に提供することができる。
【0050】
コンピュータシステム120に操作可能に結合し、反応器108の圧力を変えるために、そこからの圧力指示を受信できる圧力調節器126をこの反応器108は装備できる。同様に、この圧力調節器126は、コンプレッサ、ポンプ、又は別の圧力調節部品を含むことができる。この圧力調節器124はまた、反応器の圧力を測定するための圧力測定装置を含むことができ、分析用に反応器108の操作圧力をコンピュータシステム120に提供できる。
【0051】
更に、酸化システム100は、反応混合物容器102と第2ガス容器107に流体的に結合する質量流量調節器132を含むことができる。この質量流量調節器132は、ノズル128からスプレーされる前にガス(例えば、酸素、酸素含有ガス、不活性ガス、及び/又は希釈ガス)で充填される反応混合物の酸化プロセスにおいて有用である。コンピュータシステム120が反応混合物に充填されるガスの量を調節し、ノズル128からスプレーされる液滴のサイズを同様に調節するように、この質量流量調節器132を構成することができる。従って、活性ガスを液体反応混合物へ注ぎ、次いでノズル128を通って小滴の形成を補助するためにこの質量流量調節器132を使用することができる
【0052】
図1の酸化システム100は、貯蔵容器、貯蔵タンク、流路、バルブ、ポンプ、及びエレクトロニクスで一般的に使用される標準材料で作られる部品を含む場合がある。また、この反応器やノズルを耐酸化材料から作ってもよい。例えば、この反応器は、ヒータ、標準溶液ポンプ、及びセラミックスプレーノズル(例えば、非腐食性材料)を装備するチタン製圧力容器を含むことができる。ノズルを通して反応混合物を提供するのに高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)の溶液往復ポンプ又は非往復ピストンポンプを利用することができる。反応器に付随する管状ヒータによりこの反応混合物を反応温度に予熱してもよい。
【0053】
また、この反応器は、反応混合物及び/又はガスを受け取る前に所定量の液体溶媒を含めることができる。所望の圧力で溶媒の沸点まで又はおおよそ沸点まで予熱してこの液体溶媒を反応混合物に含まれる溶媒と同じ溶媒にすることができる。温度/圧力により酸化反応を行う前に反応器内に溶媒蒸気があるように溶媒を沸騰させることが可能である。反応混合物を有する液体溶媒が蒸発する可能性を低くするように、沸騰又は蒸発した溶媒の量を平衡状態又は飽和状態にすることができる。反応混合物の液滴が蒸発するのを阻止し、触媒又は酸化可能な反応物を溶媒として凝結するのを阻止するのに反応器の条件は有用である。このように、蒸発及び溶媒気液平衡のために反応器内に液体溶媒を含むと、酸化反応効率を改善させ、酸化生成物の純度を増大させると同様により高い反応速度を生じさせる。
【0054】
一の実施例では、定値温度及び圧力で反応器が安定したときに、質量流量調節器、予熱器(オイルバス)、及びミキシングティーを介して充填ガス(例えば、Nガス)を反応器に導入する。ミキシングティーとキャピラリーノズルを介して所定の流体速度でこの反応混合物をポンプすることもできる。この充填されたガスは、予熱された酸素分子と希釈ガス混合物(例えば、O/N/CO混合物)と接触する反応器に細かいミストとしてスプレーされる反応混合物中の成分を分散させる機能をする。
【0055】
一の実施例では、本発明は、スプレーをベースとする触媒酸化反応プロセスで使用する反応システムを含むことができる。この反応システムは:反応物、触媒組成、及び溶媒を含む液体反応混合物と;酸素及び不活性希釈ガスを有する酸化気体と;ガス反応域で酸化ガスを保持するように構成された反応槽と;反応域(例えば、ガス反応域)に液体反応混合物の細かい液滴をスプレーするように構成されたノズルを有するスプレーヤー(噴霧器)システムと;を含むことができる。この反応槽は、チタンを含む場合がある。このスプレーヤー(噴霧器)システムは、ステンレス鋼又はチタン又は他の合金などのセラミックキャピラリー管と不活性ノズルを含む場合がある。この反応物は、少なくとも一つの酸化可能な置換基を有する場合がある。更に、この反応槽は、凝結する酸化生成物を収集するように構成された部材を含むことができる。このシステムは、他の機能、組成、又は本明細書に記載したものなどを含むことができる。更に、反応器の圧力と温度を維持しながら生成流を連続的に引き出す一方、反応器に酸化剤を含むスプレー及びガス流が一定率で認められるように、この反応器を連続的に運用することもできる。
【0056】
一の実施例では、このシステムは、反応プロセスで不活性であるように構成された反応器とスプレーノズルを使用することができる。同様に、ステンレス鋼、チタンなどからこの反応器とスプレー部品を作ることができる。特にノズルは、ステンレス鋼よりチタン製が好ましい。また、反応器システムで不活性ポリマー成分又はセラミック成分を使用することができる。ノズルの数は、所望の生成速度に応じて調節することができる。また、実施される特定の反応の反応速度に応じて、必要又は所望通りに液滴のサイズを変えるようにこのノズルを構成することができる。反応液滴をミスト状にするスプレイヤー(噴霧器)を噴霧すると、反応効率を高める界面表面積が増大する。
【0057】
更に、この反応システムは、反応から熱を除去する伝熱装置を装備してもよい。増大した反応/生成速度はまた、反応により増大した発熱を引き起こす。それゆえ、この反応システムは、適切な範囲内に温度を維持するための温度制御システムを具えることができる。伝熱装置を具えるこの温度制御システムは、不要な温度上昇を防止し、溶媒(例えば、酢酸)燃焼を阻止すべく反応から熱を除去することができる。例えば、伝熱装置又は温度制御システムは、温度センサ、温度調節器、及び冷却コイルなどを具えることができる。
【0058】
本明細書で記載するように、この酸素含有ガスにスプレー又は吹き込まれる反応物の小滴を含むスプレープロセスが、従来のプロセスと比べてより純度の高いTPA生成物を生成することを実験データが明確に示している。更に、機械的攪拌法と比べて純度の高い他の生成物を生成するために小滴を含む同様のスプレープロセスを用いることができる。従って、この新規なスプレーシステム及びプロセスは、反応速度及び/又は生成選択性(例えば、純度と収率の増加)を増大させるためにガス/液体界面面積が最大となる反応を他のクラスに適用することができる。
【0059】
このシステムとプロセスは、小滴内で反応物を酸化させる酸化反応を提供する。この酸化反応は、酸化される基質に応じて触媒を用いたり用いなかったりして行うことができる。このように、このプロセスは、酸素と希釈ガスを含有するガス反応域への酸化可能な反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物の小滴を導入するステップを含むことができる。次いで酸化生成物を生成するのに適切な温度と適切な反応圧力で反応が行われる希釈ガス中の酸素と酸化可能な反応物は反応して酸化される。
【0060】
一実施例では、少なくとも一つの芳香族カルボン酸を生成するプロセスが:酸素、不活性希釈ガス、及び溶媒蒸気を含有するガス反応域に細かいミスト状の形で芳香族原料、触媒組成物、及び溶媒液体反応混合物を供給するステップと;少なくとも一つの芳香族カルボン酸基を含む酸化生成物を生成するのに適した反応温度と適した反応圧力で芳香族原料と酸素の相互反応を引き起こす又はできるようにするステップと;を含むことができる。
【0061】
更に広い意味では、芳香族原料が、少なくとも一つの酸化アルキル置換基を有するベンゼン、少なくとも一つの酸化アルキル置換基、ナフタレン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることができる。例えば、この芳香族原料は、パラ−キシレン、メタ−キシレン、オルト−キシレン、プソイドクメン、3−クロロ−メタ−キシレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることができる。特定の実施例では、この芳香族原料がパラ−キシレンであり、酸化生成物が少なくとも一つの芳香族カルボン酸を含むテレフタル酸である。
【0062】
一の実施例では、この酸化生成物が、実質的に純粋な固体材料としてミスト状液滴から凝結する。例えば、テレフタル酸は、実質的に純粋な固体材料としてミスト状液滴から凝結する。更に、このシステムは、液滴から凝結する酸化生成物を捕らえて、保持するよう構成されたトレイ、ネット、ふるい、又は他の部材を具えることができる。溶媒、反応物、又は副生成物は、可溶性であり凝結しないのに対し、生成物は、トレイ上に集まる凝結物なので、トレイは溶媒又は副生成物から酸化生成物を分離するのを補助することもできる。
【0063】
変形として、芳香族原料が、芳香族物質の部分酸化誘導体を含む場合がある。部分酸化誘導体は、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの要素を含むことができる。また、この芳香族原料は、酸化されない及び部分的に酸化された物質を含むことができる。従って、例えば、一の実施例では、酸化可能な反応物の酸化中間体を反応混合物に含むことができる。例えば、対応する芳香族原料を酸化して生じる酸化中間体を選択して、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びそれらの混合物を含む液体反応混合物に添加する。
【0064】
一の実施例では、触媒は、パラジウム、白金、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、モリブデン、及びそれらの混合物の溶媒(例えば、酢酸)可溶性組成物からなる群から選択され得るものでよい。このように、触媒は、液体反応混合物中に溶解されたコバルトを含むことができる。選択的に、この触媒は、液体反応混合物中に溶解されたマンガンを具える共触媒も含む場合がある。もう一つの選択として、触媒組成物は、液体反応混合物中に溶解され、更に臭素又は臭化水素を含む。
【0065】
システム及びプロセスのための溶媒は、酸化可能な反応物を溶解させる任意の有機溶媒でよく、実質的に純粋な酸化生成物が液体反応混合物から凝結し回収されるとき、触媒は溶媒中に溶解され保持される。適切な有機溶媒の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び類似の長鎖酸を含む。
【0066】
一の実施例では、溶媒は酢酸を含む。選択的に、酢酸はいくらか水を含有する。例えば、酢酸などの溶媒は、重量又は容量で約0.1%から10%の水、約0.5%から約5%、又は約1%から約3%の水を含むことができる。
【0067】
一の実施例では、巨視的な反応槽は、希釈ガス内に酸素分子を含む場合がある。選択的に、この希釈ガスは、実質的に不活性でよい。不活性希釈ガスの例として、希ガス、窒素、又は二酸化炭素を含むことができる。
【0068】
一の実施例では、反応混合物は、酸化可能な反応物の酸化中間体を含むことができる。例えば、酸化中間体は、液体反応混合物に添加したp−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0069】
一の実施例では、溶媒が酢酸のときは1気圧から約100気圧(又は約5乃至75バール、及び10乃至60バール)の圧力で、反応温度が約100乃至300℃、約170乃至230℃、又は約190乃至210℃で、細かいミストのスプレーの形の液体反応混合物をガス反応域で酸素に接触させる。例えば、酢酸は、約10乃至15バールで、常時250℃未満の一定の温度を保ち250℃未満で沸騰する。他の溶媒を使用することができ、十分な溶媒を液体状態の中に維持すべく適切な操作範囲と管理限界を提供するために一定圧力での溶媒の沸点を計算することができる。液体反応混合物及び/又はガスをガス反応域に導入する前に予熱することができる。
【0070】
一の実施例では、約0.1秒乃至約60分、約0.2秒乃至約15分、又は約0.3秒乃至約5分間、反応域内で酸素と細かいミストのスプレーの形で液体反応混合物を接触させる。
【0071】
一の実施例では、この反応圧力は、約1乃至約100気圧、約1乃至約40気圧、又は約1乃至約25気圧の範囲内である。
【0072】
一の実施例では、CO又はCOを形成する溶媒又は他の酸化可能な成分の燃焼を実質的に除去するよう液体反応混合物と反応性酸素分子が接触する時間を有する。また、溶媒の燃焼又は酸化を減少させるため液滴の温度、圧力、及び体積を制御することができる。
【0073】
反応器内のより狭い温度範囲と小さい温度勾配が、酸化生成物のより良い収率と純度を提供することがわかっている。温度勾配が存在すると少し温度が下がるので、蒸気中の溶媒(例えば、酢酸)が飽和状態に達することができなくなる。従って、溶媒を含む反応混合物が液滴として反応器へスプレーされるとき、液滴からの溶媒が溶媒の沸点より低い温度を有する反応域に入ることができるように、蒸気相中の溶媒の濃度が下がる。これは、液滴中のいくらかの溶媒を蒸気化させ、続いて触媒の凝結を引き起こす。例えば、酢酸を反応槽に取り込み、次いで、酢酸蒸気を約200℃で形成するように予熱し、それから、反応混合物が液滴として反応槽にスプレーされる前に酸素/希釈ガスの混合物でこの反応槽を加圧する。
【0074】
一の実施例では、このシステムとプロセスは、少なくとも一つのフランベースのカルボン酸の生成のために用いられる。このように、この反応プロセスが:細かいミストスプレーの形のフランをベースとする原料、触媒組成物、及び溶媒を含む液体反応混合物を酸素、不活性希釈ガス、及び溶媒蒸気を含有するガス反応域へ供給するステップと;少なくとも一つのフランをベースとするカルボン酸を形成する酸化生成物を生成するのに適切な反応温度及び適切な反応圧力でフランをベースとする原料を酸素と反応させるのを引き起こす又は許可するステップと;を含むことができる。フランをベースとする原料を、少なくとも一つの酸化アルキル置換基を有するフランからなる群から選択することができる。例えば、フランをベースとする原料は、5−ヒドロキシメチルフルフラール、フルフラール、5−ホルミルフルフラール、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。別の実施例では、このフランベースの原料は5−ヒドロキシメチルフルフラールを含み、フランカルボン酸はフラン−2,5−ジカルボン酸である。
【0075】
一の実施例では、このフランベースの原料は、5−ヒドロキシメチルフラン−2−カルボン酸、2,5−ジホルミルフラン、フルフラール−5−カルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの要素の部分的酸化誘導体を含めることができる。また、5−ヒドロキシメチルフラン−2−カルボン酸、2,5−ジホルミルフラン、フルフラール−5−カルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される酸化中間体を液体反応混合物に添加することができる。
【0076】
一の実施例では、この原料は、2,5−ジメチル−2,5−ジメチキシジヒドロフランへ酸化される2,5−ジメチルフラン(DMF)を含むことができる。
【0077】
ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)も原料になり得る。HMFは、多くが現在又は近く商業的に有用となる様々な誘導体へ変換することができる。HMFの酸化は、DMF、ジホルミルフラン(DFF)、ヒドロキシメチルフランカルボン酸(HMFCA)、ホルミルフランカルボン酸(FFCA)、及びフランジカルボン酸(FDCA)を含む酸化生成物を生成することができる。これらの酸化生成物は、接着剤、シーラント剤、合成物、コーティング、結合剤、発泡体、治療薬、モノマー、及び樹脂を含むがこれに限定されるものではない。DMF酸化生成物を代替燃料として用いることができる。
【0078】
選択的に、酸素含有ガス及び/又は不活性ガス又は希釈ガスなどのガスは、スプレーされる前に反応混合物に混合してもよい。スプレープロセス及びスプレー前に液体反応混合物にガスを混合することが可能な様々な構成がある。いくつかの実施例は、過熱を最小限にするための旋回ノズル、衝撃型ノズル、ガスアシストノズル、ノズルを介してガスシュラウドとして提供される希釈剤と/炭化と/圧力と/ノズルと液体ガス混合とスプレーの他のタイプと同様の熱応力と/を含むことができる。
【0079】
一の実施例では、反応槽内で液体混合物から形成される液滴が反応槽の底部にある。また、薄膜又は小径の連続フローストリームを通して酸素が吹き込まれる場合、反応槽に薄膜又は小径の連続フローストリームを導入することができる。
【0080】
一の実施例では、この反応槽を真空にして又は洗い流して、希釈ガスで充填する。次いで、液体反応混合物と共に又は単独で酸素を導入する。
【実施例】
【0081】
図1に実質的に示した反応システムを酸化反応に利用した。スプレー反応器ユニットの最大動作圧力は、300℃の温度で2500psiである。しかし、このスプレー反応器は、任意の圧力又は温度を構成してもよい。この反応ユニットは、シリカキャピラリーノズル又は市販のスプレーノズルを装備したチタン製反応器である。40mL(内径1.16インチ×高さ1.6インチ)と700mL(内径3インチ×高さ6インチ)の2つの反応器をうまく使用しているので、1L、10L、100L、又はこれより大きい容量も有効である可能性がある。より大きい反応器は、槽の底部の酢酸が大部分を占める液相に到達する前に酢酸液滴/粒子が降下するのにより長い滞留時間がかかるが、これは、収率と変換を増進させるのに有益である。検査済みのシリカキャピラリーノズルの内径は、50から180ミクロンに及んだ。漏れ検査用に及び活性ガス又は希釈ガスとしてN又は他の不活性ガスを用いることができる。また、可燃性の蒸気相を減少させるためCOを反応器内で不活性のガスとして用いた;しかし、希ガスなど他の不活性ガスも用いてもよい。
【0082】
質量流量調節器は、キャピラリーノズルを通して活性ガスを供給することができる。ノズルを通して溶液を供給するのにHPLCポンプ又は注射器ポンプ(例えば、主にスプレーの振動を回避するために使用する)を利用してもよい。管状ヒータにより反応温度までスプレー溶液を予熱してもよい。
【0083】
典型的なスプレー酸化の実験に関して本明細書で記載したように、このスプレー溶液を予熱してもよい。触媒成分(酢酸コバルトとして2.5mMのCo、酢酸マンガンとして2.5mMのMn及び臭化水素として6.5mMのBr)を、2.7重量%のp−キシレン、6.9%の水及び90.43%の酢酸を含有する液相で溶解した。既知量の酢酸(4mL)を反応器内に予め装填して、反応温度に予熱してもよい。このように、スプレーは反応温度及び圧力において酢酸が飽和する気相に入り、これにより不要な触媒凝結を引き起こす(触媒の析出につながる)スプレーの液滴から酢酸が蒸発することが回避された。Nを用いてシステム全体の漏れ検査をすることができる。漏れ検査に続いて、反応器にCOを103psiまでの圧力でかけてもよい。加熱テープ/バンドなどにより、この槽を選択した動作温度に加熱してもよい。温度になったら、終圧へ均等な分圧でOを添加してもよい。
【0084】
Lab Viewプログラム又は他の同様のソフトウェアをモニター、調節器に用いて、工程温度(例えば、予熱ヒータ、反応器)及び圧力、又は他の反応条件を記録するのに用いてもよい。定値温度で反応器が安定すると、ガス質量流量調節器、予熱ヒータ(オイルバス)、及びミキシングティーを介してNガスを反応器に導入してもよい。ミキシングティーとキャピラリーノズルを通して所定の流速で、スプレー溶液を圧送することができる。流れるNは、溶液ストリームを分散させ、これにより予熱されたO/N/CO混合物に接触する反応器に細かいミストとしてスプレーされ得る。小滴中のp−キシレン(又は他の反応物)は、反応器中でOと反応してTPA(又は他の対応する生成物)を生じた。一定溶液を反応器に供給したら、溶液ポンプを停止してもよい。三方弁を通して三方弁とティーの間の提供系路中の溶液を一掃することができる。このN流体を停止することができ、ヒータを止めることにより反応器を冷却することができる。反応器を室温まで冷却すると、固体TPA(又は他の生成物)や溶液を反応器から除去することができる。この固体を溶液から濾過し、オーブンで乾燥し計量した。反応器中の固形残渣をDMSOで洗浄して回収することができる。HPLC及び/又はUV分光光度計でTPAの純度を分析することができる。HPLCで洗浄液を分析することもできる。
【0085】
代替として、凝結した生成物を捕らえて、溶液を通過させる様々なサイズのメッシュ又はふるい膜を反応器に装着してもよい。
【0086】
[スプレー法を用いたTPAへのp−キシレンの酸化]
実験条件:溶液を0.6mL/分、Nを54scc/分で高圧噴射反応器に40mL、シリカキャピラリーノズルに100μm流入した。反応温度と圧力を以下の表に示す。スプレーを導入する前に、槽に4mLの酢酸と50%のCOと50%のOからなるガスを装填した。
【0087】
実験結果:小さい反応器とHPLCポンプを用いた実験結果を表1に示したが、XP−Xはp−キシレンの変換、YTPAはテレフタル酸の収率、Y4−CBAは4−カルボキシベンズアルデヒドの副生成物の収率、YPTAはp−トルイル酸の収率、YP−Taは観測されたp−トルアルデヒドの収率、及びOD340は、可視分光分析により決定された所望のTPA生成物の光学密度である。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に記載した全ての実験から得た固体TPA生成物は、99%の純度を有する。より高い温度(225℃)を用いると、中間生成物の収率がわずかに減少した。225℃で、スプレー後に更に4時間の反応時間を与えると、中間生成物を更に減少させ、TPAの純度が増進するが、これは、液相中の中間生成物の酸化が継続されていることを示している。このTPA生成物は、白色結晶性固体である。光学密度(OD340)値は、固体TPA生成物の高純度を裏付けている。
【0090】
[大きいチタン製反応器(700mL)とMicro Whirl(登録商標)スプレーノズル]
反応液の処理能力を増大させるため、米国特許第7,198,201号(MicroWhirl(登録商標)スプレーノズル、BETE Fog Nozzle社、グリーンフィールド、マサチューセッツ州01301)に従い組み立てられた大容量圧渦巻型スプレーノズルを入手して試した。この新しいノズルは、細かいスプレーを生成するために10倍を超える液体流速度(キャピラリーノズルと比べて)が必要であるが活性ガスを必要としない。スプレーの最小必要量は約35mL/分の液体である。だいたい各実験で105mLの液体溶液を35mL/分のスプレー速度でスプレーした。更により大きい容量の反応器(700mL)を増大された液体ホールドアップを処理するのに使用した。他の実験条件と結果を表2に示した。触媒の濃度が、表1の実験で用いられたものの5倍であることに留意されたい。
【0091】
【表2】

【0092】
225℃(32頁と33頁に記載)におけるTPAと中間生成物の収率は、小さい反応器中のキャピラリーノズルにより得られる収率より低い。しかし、TPA生成物の純度は同等である。比較的大きな物質収支の欠陥(全ての中間生成物収率を加算し、p−X変換を比較することによって得られる)は、より高い触媒濃度により促進され増進された燃焼に起因する。より低い温度(200及び180℃)は、同じように高いp−X変換とTPA生成純度を提供するが、物質収支の欠陥がずっと少ない。これは、より低い温度が、反応物及び/又は中間生成物の燃焼を減少させることを意味する。これらの結果は、(a)MicroWhirl(登録商標)ノズルが、とても高いTPA生成能力を提供することができ、(b)燃焼を最小限にする一方、変換と生成収率を改善するスプレープロセスを最適化する余地がまだあることを明確に示している。
【0093】
1ステップでより純粋なTPA(>99.9%)を得るために、実質的に均一な温度において様々な液滴中で反応が起きるように、反応器内で軸方向温度勾配を最小限するために700mLの反応器の加熱を再設計した。その改良は、予熱ヒータの浴温度を上昇させること、反応器中の様々な軸方向一で温度を測定するために、独立制御の二つのヒータとプロファイル熱電対(1.5”間隔の4つの熱電対を含む)を加えることを含む。実験の条件と結果を表3に示した。
【0094】
【表3】

【0095】
HPLC分析は、島津製作所の二波長検出器LC−20AT、及びC18逆相カラム(Alltech社より購入したWaters社のODS−2 5u カラム;250mm×4.6mm)を有するCT0/20 A/20 ACで行なった。移動相は:液相:0.1(重量%)のリン酸溶液−溶媒A:及び有機相:アセトニトリル:メタノール=7/2(容量で)−溶媒Bを含む。オーブン温度40℃、及び15μL注入の注入容量、254nmと215nm(二波長モード)の波長で測定した。
【0096】
表3より、TPAの収率が95%を超え、光学密度がより低いことがわかる。HPLC分析で固体TPA中の不純物を検出することができない。HPLC分析によりTPA生成物中に100ppmの4−CBAを確認したことに基づいて、TPA生成物中の4−CBA含有量(普通の不純物)が、100ppmを下回ると結論づけた。即ち、生成物中のTPAの純度は、少なくとも99.99重量%である。
【0097】
ヒータを再設計して実質的に一定の温度プロファイル後の反応槽内の典型的な温度プロファイルを図2Aに示す。ヒータを再設計しないで得られた温度プロファイルの比較に基づくと(図2B)、再設計した反応器内で温度勾配が、著しく最小化されたことは明らかである。
【0098】
図2Aより、室温からほぼ200℃にその温度を上げるためにスプレー溶液へ移される熱により、スプレー開始前にバスと入り口の両方の温度が10℃以上下がることがわかった。スプレー開始後(約1分後)、反応器の温度は、最大20℃上昇した。これは、酸化反応の発熱性に大いに起因する。図2Bは、低い熱容量のヒータブロック及び予熱ヒータを1つしか具えない反応器内の温度プロファイルを示す。明らかに、温度は、161℃から181℃に及ぶ。浴温は、スプレーの間に約70℃低下した。TPAの収率と純度の損失は、大きな温度勾配に起因すると考えられる。
【0099】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具現化することができる。上述の実施例は、全ての点において例示的なものに過ぎず、限定的なものとして考えるべきではない。従って、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲に該当するあらゆる変更は、その範囲に包含される。本明細書に列挙された全ての参考文献又は公開広報は、具体的参照により本明細書に組み込まれる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化プロセスであって:
反応域内で、酸化可能な反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物の小滴と酸素及び希釈ガスとを混ぜ合わせるステップと;
酸化生成物を生成する適切な温度及び適切な反応圧力において、酸素で前記反応物を酸化させるステップと;
を具えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって:
前記液体反応混合物が前記酸化可能な反応物として酸化可能な置換基を有する芳香族原料を含み;
前記酸化生成物が少なくとも一つのカルボン酸基を有する芳香族化合物であることを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロセスであって、前記芳香族原料が、少なくとも一つの酸化アルキル置換基を有するベンゼン環、少なくとも一つの酸化アルキル置換基を有するフランヘテロ環、少なくとも一つの酸化アルキル置換基を有するナフタレン多環、それらの誘導体、及びそれらの混合物を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のプロセスであって、前記芳香族原料が、パラ−キシレン、メタ−キシレン、オルト−キシレン、プソイドクメン、3−クロロ−メタ−キシレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,7ジメチルナフタレン、5−ヒドロキシメチルフルフラール、フルフラール、5−ホルミルフルフラール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項2乃至4に記載のプロセスであって:
前記芳香族原料がパラ−キシレンを含み、前記少なくとも一つのカルボン酸を有する芳香族化合物がテレフタル酸を含み;又は
前記芳香族原料が5−ヒドロキシメチルフルフラール又は2,5−ジメチルフランを含み、前記少なくとも一つのカルボン酸を有する芳香族化合物がフラン−2,5−ジカルボン酸を含む;ことを特徴とするプロセス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のプロセスであって、前記酸化生成物が、実質的に純粋な固体材料として液滴から凝結することを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のプロセスであって、前記反応域から前記酸化生成物を回収するステップを更に具えることを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載のプロセスであって、前記芳香族原料が、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、5−ヒドロキシメチルフラン−2−カルボン酸、2,5−ジホルミルフラン、5−ホルミル−2−フランカルボン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの要素の部分酸化誘導体であることを特徴とするプロセス。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のプロセスであって、前記液体反応混合物内に提供される前記触媒が、前記液体混合物に溶解されたパラジウム、白金、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、及びモリブデンの化合物の1又はそれ以上を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のプロセスであって、前記触媒が、前記液体反応混合物に溶解された共触媒を更に含むことを特徴とするプロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスであって、前記共触媒が、前記液体反応混合物中でマンガン、臭素、又は臭化水素を提供することを特徴とするプロセス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のプロセスであって、前記溶媒が、酢酸を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスであって、前記酢酸が、0.1%乃至10%の水を含有することを特徴とするプロセス。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のプロセスであって、不活性ガスが用いられることを特徴とするプロセス。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載のプロセスであって、前記不活性ガスが、窒素又は二酸化炭素の少なくとも一方を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載のプロセスであって、前記酸化可能な反応物の酸化中間体が、前記液体反応混合物に添加されることを特徴とするプロセス。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のプロセスであって、前記酸化可能な反応物の酸化中間体が前記液体反応混合物に添加され、前記酸化中間体がp−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載のプロセスであって、前記液体反応混合物が、約100乃至300℃の範囲で維持された反応温度における反応域内で、酸素と接触することを特徴とするプロセス。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載のプロセスであって、前記反応域内で前記液体反応混合物と酸素及び希釈ガスを混ぜ合わせるステップの前に、前記液体反応混合物を100乃至300℃に予熱するステップを更に具えることを特徴とするプロセス。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載のプロセスであって、前記液体反応混合物が、約0.1秒乃至約60分間、前記反応域内で酸素と接触することを特徴するプロセス。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれかに記載のプロセスであって、前記反応圧力が、約1乃至約100気圧の範囲に維持されることを特徴とするプロセス。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれかに記載のプロセスであって、前記反応混合物の蒸発時の潜熱が、前記反応混合物の全てを蒸発させないで反応により放出される熱を除去するように、前記温度と圧力が選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれかに記載のプロセスであって、液滴の形でノズルを通して前記液体反応混合物を前記反応域にスプレーすることにより、前記液体反応混合物が、前記反応域内で酸素及び希釈ガスと混ぜ合わされることを特徴とするプロセス。
【請求項24】
請求項1乃至22のいずれかに記載のプロセスであって、前記溶媒又は他の酸化可能な成分が燃焼しCO又はCOを形成するのが阻止されるように、前記液体反応混合物及び酸素が接触時間を有することを特徴とするプロセス。
【請求項25】
請求項1乃至23のいずれかに記載のプロセスであって、前記小滴が、0.1ミクロンから約1mmであることを特徴とするプロセス。
【請求項26】
請求項1乃至24のいずれかに記載のプロセスであって、前記液体反応混合物が、細かいミストであることを特徴とするプロセス。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載のプロセスであって:前記液体反応混合物が、前記液体反応混合物からの溶媒の蒸発を調節する前に、溶媒の蒸気を前記反応域に提供するステップを具えることを特徴とするプロセス。
【請求項28】
酸化反応システムであって:
酸化可能な反応物、触媒、及び溶媒を有する液体反応混合物と;
前記触媒の存在下で前記酸化可能な反応物を酸化させる酸化ガスと;
希釈ガスと;
反応域内で前記酸化ガスを保持するように構成された反応槽と;
前記液体反応混合物の液滴を前記反応域にスプレーするように構成されたノズルを有するスプレーシステムと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムにおいて、前記反応槽及び/又はスプレーシステムが、共に酸化に耐える不活性材料で作られることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28又は29に記載のシステムにおいて、前記反応槽及び/又はノズルが、チタン、ステンレス鋼、セラミック、又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項28乃至31のいずれかに記載のシステムにおいて、前記スプレーシステムが、酸化に耐える不活性キャピラリー管を含むことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項28乃至31のいずれかに記載のシステムにおいて、前記反応槽が、前記酸化ガスから凝結する酸化生成物を回収するように構成された回収部材を含むことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項28乃至32のいずれかに記載のシステムにおいて、前記反応物が、部分的に酸化された反応物を含むことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項28乃至33のいずれかに記載のシステムにおいて、約100乃至300℃の範囲の反応温度を得るように構成された温度制御システムを更に具えることを特徴するシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムにおいて、前記温度制御システムが、前記反応槽を通して実質的に均一な温度を維持するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項28乃至35のいずれかに記載のシステムにおいて、前記ノズルが、平均直径0.1ミクロンから1mmの前記液体反応混合物の液滴を提供するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項28乃至36のいずれかに記載のシステムにおいて、前記反応槽が、約1乃至約100気圧の範囲の圧力に耐えるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項28乃至37のいずれかに記載のシステムにおいて、約1乃至約100気圧の範囲の圧力を維持するように構成された圧力制御システムを更に具えることを特徴とするシステム。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2012−521985(P2012−521985A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502169(P2012−502169)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/028343
【国際公開番号】WO2010/111288
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508176441)ユニバーシティ・オブ・カンザス (9)
【Fターム(参考)】