説明

選択的酸素透過基体、空気電池用正極、空気電池、及び選択的酸素透過膜

【課題】空気中の酸素を選択的に内部に導入することが可能であるとともに電解液に対する耐性の高い選択的酸素透過基体を提供する。
【解決手段】無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜と、当該選択的酸素透過膜の一方の面に配設された多孔質基材とを備え、好ましくは、遷移金属イオン錯体が、無機骨格に結合しており、更に好ましくは、無機骨格を構成する材料が、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種である選択的酸素透過基体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的酸素透過基体、空気電池用正極、空気電池、及び選択的酸素透過膜に関する。更に詳しくは、空気中の酸素を選択的に内部に導入することが可能であるとともに電解液に対する耐性の高い選択的酸素透過基体に関する。更に、本発明は、当該選択的酸素透過基体を備えた空気電池用正極、及び当該空気電池用正極を備えた空気電池に関する。更に、本発明は、上記選択的酸素透過基体に用いることができる、空気中の酸素を選択的に透過することが可能であるとともに電解液に対する耐性の高い選択的酸素透過膜に関する。
【背景技術】
【0002】
空気電池は、負極活物質として金属を用い、正極活物質として酸素を用いるため、「正極活物質の単位質量」当たりの放電容量が極めて大きいものである。近年、電気自動車や携帯機器等において、電池の高容量化や高出力化が求められており、空気電池の高性能化が期待されている。
【0003】
上記のように、空気電池の正極活物質は酸素であるため、当該正極活物質として空気中の酸素を使用することができる。しかし、空気電池に空気をそのまま導入すると、空気中の二酸化炭素も導入されることになる。二酸化炭素は、空気電池に用いられている電解液と反応して、電池性能を低下させることがあるため、空気電池内には、導入しないことが望ましい。このように、空気電池の正極として空気中の酸素を使用する場合には、空気電池の正極には導入しないことが好ましい二酸化炭素も、空気電池に供給されるという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するため、空気電池や燃料電池の正極に酸素透過性高分子膜を取り付けて、当該酸素透過性高分子膜によって、空気から酸素を選択的に取り込む方法が検討されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0005】
一方、空気中に含有される酸素を濃縮することが可能な、酸素透過高分子膜が検討されている(例えば、特許文献4,5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−62687号公報
【特許文献2】特開平7−105991号公報
【特許文献3】特開平7−14565号公報
【特許文献4】特開平11−262643号公報
【特許文献5】特開2003−53125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1〜3に記載の空気電池においては、酸素透過膜として高分子膜を用いているため、電解液に対する耐性を更に向上させる余地があった。
【0008】
また、上記特許文献4,5に記載の酸素透過高分子膜についても、酸素透過膜として高分子膜を用いているため、電解液に対する耐性を更に向上させる余地があった。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、空気中の酸素を選択的に内部に導入することが可能であるとともに電解液に対する耐性の高い選択的酸素透過基体を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該選択的酸素透過基体を備えた空気電池用正極、及び当該空気電池用正極を備えた空気電池を提供することを目的とする。更に、本発明は、上記選択的酸素透過基体に用いることができ、空気中の酸素を選択的に透過することが可能であるとともに電解液に対する耐性の高い選択的酸素透過膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜と、前記選択的酸素透過膜の一方の面に配設された多孔質基材とを備える選択的酸素透過基体。
【0011】
[2] 前記遷移金属イオン錯体が、前記無機骨格に結合している[1]に記載の選択的酸素透過基体。
【0012】
[3] 前記無機骨格を構成する材料が、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の選択的酸素透過基体。
【0013】
[4] 前記遷移金属イオン錯体が、「コバルト(II)、銅(I)、鉄(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)及びロジウム(III)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属」と、「前記遷移金属に配位した、ポルフィリン、フタロシアニン、シクリデン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の配位子」とを有するものである、[1]〜[3]のいずれかに記載の選択的酸素透過基体。
【0014】
[5] 前記多孔質基材の材質が、セラミック、炭素、及び金属からなる群から選択される少なくとも1種である[1]〜[4]のいずれかに記載の選択的酸素透過基体。
【0015】
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の選択的酸素透過基体を備えた空気電池用正極。
【0016】
[7] 前記選択的酸素透過基体に担持された空気電池用触媒を更に備えた[6]に記載の空気電池用正極。
【0017】
[8] 正極と、金属リチウムを負極活物質とする負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解質層とを備え、前記正極が、[6]又は[7]に記載の空気電池用正極である空気電池。
【0018】
[9] 無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜。
【0019】
[10] 前記遷移金属イオン錯体が、前記無機骨格に結合している[9]に記載の選択的酸素透過膜。
【0020】
[11] 前記無機骨格を構成する材料が、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種である[9]又は[10]に記載の選択的酸素透過膜。
【0021】
[12] 前記遷移金属イオン錯体が、「コバルト(II)、銅(I)、鉄(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)及びロジウム(III)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属」と、「前記遷移金属に配位した、ポルフィリン、フタロシアニン、シクリデン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の配位子」とを有するものである、[9]〜[11]のいずれかに記載の選択的酸素透過膜。
【発明の効果】
【0022】
本発明の選択的酸素透過基体は、「無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる」選択的酸素透過膜と、「選択的酸素透過膜の一方の面に配設された」多孔質基材とを備える。そのため、本発明の選択的酸素透過基体によれば、遷移金属イオン錯体によって酸素を選択的に取り入れることが可能になり、また、酸素を選択的に透過することも可能になる。このとき、本発明の選択的酸素透過基体への、二酸化炭素の侵入は抑制される。また、本発明の選択的酸素透過基体は、選択的酸素透過膜が無機骨格を有することにより、空気電池用正極等の構成要素として用いた場合に空気電池等の電解液に対して高い耐性を有するものとなる。
【0023】
本発明の空気電池用正極によれば、上記本発明の選択的酸素透過基体を備えるため、空気中の酸素を選択的に空気電池用正極内(選択的酸素透過基体内)に導入することができる。また、本発明の空気電池用正極は、無機骨格を有する選択的酸素透過膜を備える上記本発明の選択的酸素透過基体を備えるため、電解液に対して高い耐性を有するものである。
【0024】
本発明の空気電池によれば、上記本発明の空気電池用正極を正極として用いるため、空気中の酸素を選択的に空気電池用正極内(選択的酸素透過基体内)に導入することができる。また、本発明の空気電池は、上記本発明の空気電池用正極を正極として用いるため、電解液に対して高い耐性を有するものである。
【0025】
本発明の選択的酸素透過膜は、無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができるため、上記本発明の選択的酸素透過基体を構成する選択的酸素透過膜として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の空気電池の一実施形態の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0028】
(1)選択的酸素透過基体:
本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態は、図1に示されるように、無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜2と、選択的酸素透過膜2の一方の面に配設された多孔質基材4とを備えるものである。図1は、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態(選択的酸素透過基体1)の断面を示す模式図である。
【0029】
このように、本実施形態の選択的酸素透過基体は、「無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる」選択的酸素透過膜と、「選択的酸素透過膜の一方の面に配設された」多孔質基材とを備えるものである。そのため、本実施形態の選択的酸素透過基体によれば、遷移金属イオン錯体によって酸素を選択的に取り入れることが可能になり、また、酸素を選択的に透過することも可能になる。酸素は、選択的酸素透過膜の、多孔質基材に接合された面とは反対側の面(気体導入面3)、から選択的酸素透過基体内に取り込まれる。また、このとき、本発明の選択的酸素透過基体への、二酸化炭素の侵入は抑制される。また、本発明の選択的酸素透過基体は、選択的酸素透過膜が無機骨格を有することにより、空気電池用正極として用いた場合に空気電池の電解液に対して高い耐性を有するものとなる。また、本実施形態の選択的酸素透過基体を、燃料電池用正極に用いた場合にも、同様の効果を得ることができる。選択的酸素透過膜が無機骨格を有することは、X線回折法やラマン分光法により確認することができる。また、選択的酸素透過膜が遷移金属イオン錯体を有することは、紫外可視吸収スペクトル法により確認することができる。
【0030】
本実施形態の選択的酸素透過基体1は、空気中の酸素を、選択的酸素透過膜2の気体導入面3から内部に導入し(取り入れ)、選択的酸素透過膜2内に導入された酸素は、選択的酸素透過膜2を透過して多孔質基材4内に移動する。そのため、本実施形態の選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として使用し、多孔質基材4において正極の反応(例えば、リチウムと酸素との反応)をさせることにすると、空気電池の正極に空気中の酸素を効率的に供給することが可能となる。そして、同時に、空気電池の正極に空気中の二酸化炭素が侵入することを防止することができる。尚、本実施形態の選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として使用した場合、多孔質基材4及び選択的酸素透過膜2の両方において正極の反応をさせてもよい。
【0031】
選択的酸素透過膜2は、無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる膜である。選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として使用する場合などにおいて、遷移金属イオン錯体を使用中も安定な状態に保つために、無機骨格と遷移金属イオン錯体は結合していることが好ましい。この場合、選択的酸素透過膜2は、無機骨格に遷移金属イオン錯体が結合したものであるため、有機−無機ハイブリッド膜であるということもできる。また、遷移金属イオン錯体の密度を上げるという観点から、無機骨格には、複数の遷移金属イオン錯体が結合していることが好ましい。無機骨格に遷移金属イオン錯体が結合していることは、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA測定)から求めた遷移金属イオン錯体の熱分解温度の変化により確認することができる。
【0032】
無機骨格と遷移金属イオン錯体との結合としては、特に限定されないが、適度な結合強度を有することから、特に、イオン結合、配位結合、水素結合、又はπ−π結合が好ましい。結合強度が弱い場合、使用中に無機骨格から遷移金属イオン錯体が遊離する可能性がある。また、結合強度が強すぎる場合、遷移金属イオン錯体への酸素の配位が妨げられて、酸素の透過量が減少する可能性がある。選択的酸素透過膜2においては、それぞれの遷移金属イオン錯体を構成する「一又は複数」の原子が、それぞれ、無機骨格を構成する「一又は複数」の原子と結合している。
【0033】
無機骨格を構成する無機材料は、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの材料を用いることにより、空気電池等の電解液に対する耐性を高くすることができる。シリカを材料として無機骨格を形成した場合には、無機骨格はシリカ骨格であるということができる。また、同様に、チタニア、アルミナ又はジルコニアを材料として無機骨格を形成した場合には、無機骨格は、それぞれ、チタニア骨格、アルミナ骨格又はジルコニア骨格であるということができる。また、無機骨格は、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも2種の混合物であってもよい。
【0034】
本実施形態の選択的酸素透過膜2において、遷移金属イオン錯体は、遷移金属と当該遷移金属に配位した配位子とを有するものである。遷移金属としては、コバルト(II)、銅(I)、鉄(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)及びロジウム(III)からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも、コバルト(II)が好ましい。また、配位子としては、ポルフィリン、フタロシアニン、シクリデン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも、ポルフィリン又はポルフィリン誘導体が好ましい。
【0035】
選択的酸素透過膜2は、無機骨格と遷移金属イオン錯体との合計が、全体の50質量%以上であることが好ましい。また、遷移金属イオン錯体が、遷移金属イオン錯体と無機骨格との合計に対して、0.1〜70質量%であることが好ましく、0.5〜50質量%であることが更に好ましく、1〜30質量%であることが特に好ましい。遷移金属イオン錯体が、0.1質量%より少ないと、酸素を選択的に透過させる機能が低下することがある。遷移金属イオン錯体が、70質量%より多いと、電解液に対する耐性が低下することがある。また、選択的酸素透過膜2には、遷移金属イオン錯体が均一に分散していることが好ましい。
【0036】
選択的酸素透過膜2の形状としては、特に限定されないが、例えば、板状、膜状、シート状、フィルム状、棒状等が好ましい。選択的酸素透過膜2が板状の場合、気体導入面3は、「板」における「並行する一対の面(表面と裏面)」の中の一方の面であることが好ましい。また、選択的酸素透過膜2が膜状、シート状又はフィルム状の場合、「膜、シート若しくはフィルム」における一方の面(並行する一対の面(表面と裏面)の中の、一方の面)であることが好ましい。
【0037】
選択的酸素透過膜2の厚さ(気体導入面3から、並行するもう一方の面までの距離)は、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜50μmであることが更に好ましい。0.01μmより薄いと、酸素を選択的に取り込む効果が低下することがある。100μmより厚いと、酸素が、多孔質基材4まで移動し難くなることがある。また、選択的酸素透過膜2の、気体導入面3の面積は、特に限定されず、用途に合わせて適宜決定することができる。
【0038】
本実施形態の選択的酸素透過基体1において、多孔質基材4の材質としては、セラミック、炭素、及び金属からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。セラミックとしては、シリカ、チタニア、アルミナ、又はジルコニアが好ましい。金属としては、ステンレス鋼又は貴金属が好ましい。材質をセラミック、炭素、及び金属からなる群から選択される少なくとも1種とすることにより、本実施形態の選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として用いた場合に、空気電池用正極が電解液により劣化することを防止することができる。また、多孔質基材4の材質を炭素又は金属にすると、多孔質基材4が導電性になるため、本実施形態の選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として使用する場合、正極の導電性は確保される。また、多孔質基材4の材質をセラミックにして、本実施形態の選択的酸素透過基体1を空気電池用正極の構成要素として使用する場合、正極の導電性を確保するために、当該セラミックに導電性部材(例えば、正極集電体)を複合化してもよい。
【0039】
多孔質基材4の形状としては、特に限定されないが、例えば、板状、膜状、シート状、フィルム状、棒状等が好ましい。
【0040】
多孔質基材4としては、既知のものを使用することができる。多孔質基材4の厚さ(選択的酸素透過膜2に接合している面(接合面A)から、当該「接合面A」に対して裏側に位置する面(接合面Aを表面としたときの裏面)までの距離)は、1〜500μmであることが好ましい。そして、多孔質基材4の厚さは、2〜100μmであることが更に好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。1μmより薄いと、本実施形態の選択的酸素透過基体1をハンドリングする(取り扱う)ことが困難になることがある。500μmより厚いと、選択的酸素透過膜2を透過して多孔質基材4内に導入される酸素が、多孔質基材4全体に供給され難くなることがある。また、多孔質基材4の、上記「接合面A」の面積は、特に限定されず、用途に合わせて適宜決定することができる。
【0041】
本実施形態の選択的酸素透過基体は、更に撥水性の層(撥水層)を有してもよい(図示せず)。本実施形態の選択的酸素透過基体は、撥水層を有することにより、水が内部に浸入することを防止することができる。これにより、本実施形態の選択的酸素透過基体を空気電池用正極の構成要素として用いた場合、空気電池用正極が水により影響を受けることを、防止することが可能となる。
【0042】
撥水層の材質は、フッ素樹脂等であることが好ましい。また、撥水層は、選択的酸素透過膜の気体導入面上に配設されてもよいし、選択的酸素透過膜と多孔質基材との間に配設されてもよい。尚、選択的酸素透過膜の気体導入面上に撥水層が配設された場合には、気体導入面は、外部に露出しない状態になるが、気体導入面は外部に露出した状態であってもよいし、外部に露出しない状態であってもよい。撥水層の形状は、板状、膜状、シート状、フィルム状、棒状等が好ましい。撥水層の厚さは、水が透過しなければ特に限定されない。撥水層は、多孔性撥水層であることが好ましい。
【0043】
(2)選択的酸素透過基体の製造方法:
次に、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態(選択的酸素透過基体1(図1参照))の製造方法について説明する。なお、選択的酸素透過基体の製造方法としては、下記に限定されない。
【0044】
本実施形態の選択的酸素透過基体を作製する方法としては、例えば多孔質基材を作製し、多孔質基材上に選択的酸素透過膜を積層することによって選択的酸素透過基体を作製する方法を挙げることができる。以下に、工程毎に説明する。
【0045】
多孔質基材の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の方法が好ましい。
【0046】
多孔質基材4の材質が、セラミックである場合、まず、粉末状のセラミック原料を含有する成形原料を調製する。セラミック原料としては、上記本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態において、多孔質基材の材質(材料)として好ましいとされたものが好ましい。セラミック原料に、必要に応じて、バインダー、造孔材、可塑剤、分散剤、分散媒等を混合することにより、スラリー状の成形原料を作製することが好ましい。次に、得られたスラリー状の成形原料を、シート状に成形加工して、多孔質基材用グリーンシートを形成することが好ましい。得られたグリーンシートを乾燥、脱脂し、その後に焼成することにより多孔質基材を得ることが好ましい。
【0047】
多孔質基材4の材質が、炭素からなる場合、例えば、粉末状又は繊維状の炭素原料(アモルファスカーボン、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、メソポーラスカーボンなど)を調製する。そして、当該炭素原料に、必要に応じて、バインダー、造孔材、可塑剤、分散剤、分散媒等を混合することにより、スラリー状の成形原料を作製することが好ましい。次に、得られたスラリー状の成形原料を、シート状に成形加工して、多孔質基材を得ることが好ましい。また、別の製造方法として、シート状に成形加工した高分子原料を、炭化処理することにより、多孔質基材を得ることも好ましい。
【0048】
多孔質基材4の材質が、金属からなる場合、例えば、粉末状又は繊維状の金属原料をシート状に成形加工し、その後に焼結して、多孔質基材を得ることが好ましい。また、別の製造方法として、発泡樹脂に金属めっき処理を施し、加熱処理することにより、多孔質基材を得ることも好ましい。さらに、別の製造方法として、繊維状の金属原料をメッシュ状に成形加工し、多孔質基材を得ることも好ましい。
【0049】
次に、多孔質基材上に選択的酸素透過膜を積層して、選択的酸素透過基体を作製する。例えば、まず、無機骨格と遷移金属イオン錯体の原料を混合することにより成膜用の原料溶液を調製することが好ましい。そして、多孔質基材上に、ディップコート、スピンコート、ドリップコート、スプレーコートなどの方法によって原料溶液を被覆して、被覆体を得ることが好ましい。次に、得られた被覆体を乾燥・熱処理することにより、選択的酸素透過膜を得ることが好ましい。
【0050】
上記製造過程における各条件は、所望の選択的酸素透過基体が得られるように適宜決定することができる。
【0051】
(3)空気電池用正極:
本発明の空気電池用正極の一実施形態は、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態(選択的酸素透過基体1(図1参照))を備えたものである。また、本実施形態の空気電池用正極10(図2参照)は、選択的酸素透過基体1に担持された空気電池用触媒を更に備えることが好ましい。
【0052】
本実施形態の空気電池用正極は、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態(選択的酸素透過基体1(図1参照))を備えるため、空気中の酸素を選択的に空気電池用正極内(選択的酸素透過基体内)に導入することができる。また、本発明の空気電池用正極は、無機骨格を有する選択的酸素透過膜を備える上記本発明の選択的酸素透過基体を備えるため、電解液に対して高い耐性を有するものである。
【0053】
空気電池用触媒は、選択的酸素透過基体の中の多孔質基材に担持されることが好ましい。また、多孔質基材及び選択的酸素透過膜に担持されていてもよい。
【0054】
空気電池用触媒としては、マンガンを含有する化合物、Au、Co、NiO、Fe、Pt、Pd、RuO、CuO、V、MoO、Y3、炭素等を用いることができる。これらのなかでも、特に、マンガンを含有する化合物が好ましく、マンガン酸化物が更に好ましい。マンガン酸化物としては、二酸化マンガン(α−MnO、β−MnO等)等を挙げることができる。
【0055】
本実施形態の空気電池用正極には、導電性を良好にするために、導電性部材(例えば、正極集電体)を配設してもよい。導電性部材としては、炭素や金属からなるものを用いることができる。
【0056】
(4)空気電池:
本発明の空気電池の一実施形態は、図2に示されるように、正極11と、金属リチウムを負極活物質とする負極12と、正極11と負極12との間に介在する電解質層13とを備えるものである。電解質層13は、ガラスフィルター、ポリオレフィン多孔膜等の基材に、電解液を含浸させたものである。そして、本実施形態の空気電池100は、正極11が本発明の空気電池用正極の一実施形態(空気電池用正極10)である。図2は、本発明の空気電池の一実施形態(空気電池100)の断面を示す模式図である。
【0057】
本実施形態の空気電池は、本発明の空気電池用正極の一実施形態を正極として用いるため、空気中の酸素を選択的に空気電池用正極内(選択的酸素透過基体内)に導入することができる。また、本発明の空気電池は、上記本発明の空気電池用正極を正極として用いるため、電解液に対して高い耐性を有するものである。
【0058】
図2に示すように、本実施形態の空気電池100において、正極11は、一の面(電解液導入面11b)が正極集電体16を介して電解液(電解質層)に接し、他の面(空気導入面11a)が空気に接するように配設されていることが好ましい。正極集電体16は、電解質層13と正極11との間に配設されていることが好ましい。また、正極集電体16には、外部に突き出た導電性の端子15が接続されていることが好ましい。正極集電体16の材質は、導電性であれば特に限定されないが、炭素、白金、ステンレス鋼、アルミニウム等が好ましい。端子15の材質は、導電性であれば特に限定されないが、白金、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル等が好ましい。ここで、選択的酸素透過基体の選択的酸素透過膜の気体導入面が、空気電池の正極の空気導入面11aになる。また、正極11の「一の面」と「他の面」は、例えば、正極11が板状、膜状、シート状、フィルム状等の場合、当該板、膜、シート、フィルム等の「表面」と「裏面」であることが好ましい。
【0059】
本実施形態の空気電池100において、電解質層13に含浸される電解液は、非水電解液、水性電解液、又はこれら両方の組み合わせ(混合するのではなく、セパレータ等を介して複数の層を形成する)であることが好ましい。電解液としては、既知のものを用いることができる。
【0060】
本実施形態の空気電池100は、正極と負極との間に膜状(層状)のセパレータを備えてもよい(図示せず)。セパレータとしては、空気電池の使用に耐えうる材質であれば特に限定されない。また、負極12の、電解質層13が配設されている面とは反対側の面に、負極集電体17が配設されていることが好ましい。また、負極集電体17には、外部に突き出た導電性の端子15が接続されていることが好ましい。負極集電体17の材質は、導電性であれば特に限定されないが、炭素、白金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等が好ましい。
【0061】
本実施形態の空気電池100は、図2に示されるように、正極11、負極12及び電解質層13が、空気電池用容器(ケーシング)14内に配設されたものである。空気電池用容器14は、ステンレス鋼等により形成されていることが好ましい。空気電池用容器14の形状は、所望の形状にすることができるが、正極11の空気導入面11aに、外気(空気)が供給されるような形状であることが好ましい。例えば、図2に示すように、正極11の空気導入面11aが、外側に露出するような形状であることが好ましい。また、空気電池用容器14の厚さは、空気電池の大きさ等に合わせて適宜決定することができる。
【0062】
(5)選択的酸素透過膜:
本発明の選択的酸素透過膜の一実施形態は、無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができるものである。本実施形態の選択的酸素透過膜は、上記、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態を構成する選択的酸素透過膜として用いることができる。本実施形態の選択的酸素透過膜の条件は、上記、本発明の選択的酸素透過基体の一実施形態を構成する選択的酸素透過膜の条件と同じであることが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
ドデシルベンゼンスルホン酸中に、コバルト(II)フタロシアニン(CoPh)を完全に溶解させた。その後、得られた溶液にフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)を添加し、撹拌しながら1質量%の硝酸水溶液を添加し、室温で24時間反応させ、成膜用の原料溶液(ゾル)を作製した。CoPhとPhTMSの質量比は、20:80(CoPh:PhTMS)とした。原料溶液中のCoPhの濃度は、2質量%であった。なお、CoPhとPhTMSはπ−π結合によって結合している。得られた成膜用の原料溶液を、多孔質のカーボンシート(多孔質基材)上に塗布し、150℃で加熱乾燥することにより、多孔質基材の表面に均質な選択的酸素透過膜が配設された選択的酸素透過基体を得た。選択的酸素透過膜の厚さは、4μmであった。
【0065】
得られた選択的酸素透過基体について、以下の方法で「ガス透過試験」を行った。得られた結果を表1に示す。
【0066】
また、成膜用の原料溶液を蒸発皿に少量秤量し、150℃で加熱乾燥することにより、選択的酸素透過膜と同じ材料から構成される粉末を得た。この粉末を用いて、以下の測定を行った。アルゴンレーザーを用いて測定したラマンスペクトルにおいて、シリカに由来する振動が観測されたことから、選択的酸素透過膜を構成する材料は、無機骨格を有することが確認された。また、紫外可視吸収スペクトルにおいて、遷移金属イオン錯体に由来するピークが観察されたことから、選択的酸素透過膜を構成する材料は、遷移金属イオン錯体を有することが確認された。大気中で示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA測定)を行った結果、遷移金属イオン錯体単体の場合に比べて、選択的酸素透過膜を構成する材料では遷移金属イオン錯体の熱分解温度が高くなった。これにより、無機骨格に遷移金属イオン錯体が結合していることが確認された。尚、以下に示す実施例2〜4の選択的酸素透過基体を構成する選択的酸素透過膜についても、同様にして、無機骨格を有すること、遷移金属イオン錯体を有すること、及び無機骨格に遷移金属イオン錯体が結合していることが確認された。
【0067】
(ガス透過試験)
多孔質基材に配設された膜の一方の面側に、100cm/分で乾燥空気を供給する。そして、膜を透過して他方の面側に流出したガス(透過ガス)の成分をガスクロマトグラフィーにて分析し、透過ガスの酸素濃度を求める。
【0068】
【表1】

【0069】
(実施例2)
1質量%の硝酸水溶液中に、スルホン酸基含有コバルト(II)ポルフィリン(SCoPo)を完全に溶解させた。その後、得られた溶液にアミノプロピルトリエトキシシラン(ATMS)を添加し、撹拌しながら室温で24時間反応させ、成膜用の原料溶液(ゾル)を作製した。SCoPoとATMSの質量比は、20:80(SCoPo:ATMS)とした。原料溶液中のCoPhの濃度は、2質量%であった。なお、SCoPoとATMSとはイオン結合によって結合している。得られた成膜用の原料溶液を、多孔質アルミナ板(多孔質基材)上に塗布し、150℃で加熱乾燥することにより、多孔質基材の表面に均質な選択的酸素透過膜が配設された選択的酸素透過基体を得た。選択的酸素透過膜の厚さは、2μmであった。
【0070】
得られた選択的酸素透過基体について、上記方法で「ガス透過試験」を行った。得られた結果を表1に示す。
【0071】
(実施例3)
「CoPh」の代わりに「銅(I)フタロシアニン」を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて成膜用の原料溶液(ゾル)を作製した。そして、実施例1と同様にして多孔質基材の表面に均質な選択的酸素透過膜が配設された選択的酸素透過基体を作製した。選択的酸素透過膜の厚さは、5μmであった。
【0072】
得られた選択的酸素透過基体について、上記方法で「ガス透過試験」を行った。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(実施例4)
「SCoPo」の代わりに「スルホン酸基含有鉄(II)フタロシアニン」を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて成膜用の原料溶液(ゾル)を作製した。そして、実施例2と同様にして多孔質基材の表面に均質な選択的酸素透過膜が配設された選択的酸素透過基体を作製した。選択的酸素透過膜の厚さは、2μmであった。
【0074】
得られた選択的酸素透過基体について、上記方法で「ガス透過試験」を行った。得られた結果を表1に示す。
【0075】
(比較例1)
SCoPoを用いずATMSのみを用いて、成膜用の原料溶液(ゾル)を作製した以外は、実施例2と同様にして、多孔質基材の表面に膜が配設された積層体を作製した。膜の厚さは、2μmであった。
【0076】
得られた積層体について、上記方法で「ガス透過試験」を行った。得られた結果を表1に示す。
【0077】
実施例1及び実施例2の選択的酸素透過基体を、空気電池の電解液として用いられている炭酸プロピレン中に100時間浸漬して、選択的酸素透過膜の電解液に対する耐性を確認した。具体的には、まず、実施例1及び実施例2の選択的酸素透過基体を、炭酸プロピレン中に100時間浸漬した。その後、選択的酸素透過基体を100℃、24時間の条件で乾燥させた。その後、上記ガス透過試験を行った。その結果、実施例1及び実施例2の選択的酸素透過基体を構成する選択的酸素透過膜は、炭酸プロピレンに浸漬した後も、酸素選択透過性が変化していないことが確認された。これにより、実施例1及び実施例2の選択的酸素透過基体を構成する選択的酸素透過膜の、電解液に対する優れた耐性が、確認された。また、これにより、実施例1及び実施例2の選択的酸素透過基体の、電解液に対する優れた耐性も、確認されたことになる。
【0078】
表1より、無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有する膜は、選択的酸素透過膜として機能していることが分かる。また、遷移金属イオン錯体を有さない膜は、酸素を選択的に透過させる機能を有さないことが分かる。
【0079】
また、実施例1の選択的酸素透過基体を正極として、リチウム空気電池を作製した。正極集電体として白金メッシュを用意した。負極集電体としてステンレス鋼板を用意し、当該ステンレス鋼板の一面側に金属リチウムを貼り合わせて、負極を作製した。電解液として1モル/リットルのリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドの炭酸プロピレン溶液を用意し、当該電解液をガラスフィルターに含浸させて、電解質層を作製した。負極集電体、金属リチウム、電解質層、正極集電体、正極の順に積層して積層体とし、積層体の両面に更にアルミラミネート箔(ナイロン薄膜、アルミニウム箔、及びポリプロピレン薄膜の積層体)を積層してラミネート加工することで、金属空気電池を作製した。ラミネート加工の際に、積層体を包むように空気電池用容器(アルミラミネート箔による容器)が形成された。なお、ラミネート加工した積層体の正極側の面には、10mm×10mmの空気孔(アルミラミネート箔に形成された孔)を設け、外気を正極に導入できるようにした。負極集電体と正極集電体には、それぞれ放電測定用の端子を接続した。以上の工程は、全て窒素雰囲気下のグローブボックス内で行った。
【0080】
作製したリチウム空気電池をグローブボックスから空気中に取り出し、0.01mA、20℃にて、定電流放電測定を行った。その結果、当該リチウム空気電池は、空気中であっても、安定して放電できることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の選択的酸素透過基体及び選択的酸素透過膜は、空気電池の正極の構成要素として好適に利用することができる。また、本発明の空気電池及び空気電池用正極は、電気自動車産業等の、電池が用いられる産業において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1:選択的酸素透過基体、2:選択的酸素透過膜、3:気体導入面、4:多孔質基材、10:空気電池用正極、11:正極、11a:空気導入面、11b:電解液導入面、12:負極、13:電解質層、14:空気電池用容器、15:端子、16:正極集電体、17:負極集電体、100:空気電池、A:接合面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜と、
前記選択的酸素透過膜の一方の面に配設された多孔質基材とを備える選択的酸素透過基体。
【請求項2】
前記遷移金属イオン錯体が、前記無機骨格に結合している請求項1に記載の選択的酸素透過基体。
【請求項3】
前記無機骨格を構成する材料が、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の選択的酸素透過基体。
【請求項4】
前記遷移金属イオン錯体が、
コバルト(II)、銅(I)、鉄(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)及びロジウム(III)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属と、
前記遷移金属に配位した、ポルフィリン、フタロシアニン、シクリデン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の配位子とを有するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の選択的酸素透過基体。
【請求項5】
前記多孔質基材の材質が、セラミック、炭素、及び金属からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の選択的酸素透過基体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の選択的酸素透過基体を備えた空気電池用正極。
【請求項7】
前記選択的酸素透過基体に担持された空気電池用触媒を更に備えた請求項6に記載の空気電池用正極。
【請求項8】
正極と、
金属リチウムを負極活物質とする負極と、
前記正極と前記負極との間に介在する電解質層とを備え、
前記正極が、請求項6又は7に記載の空気電池用正極である空気電池。
【請求項9】
無機骨格及び遷移金属イオン錯体を有し、酸素を選択的に透過することができる選択的酸素透過膜。
【請求項10】
前記遷移金属イオン錯体が、前記無機骨格に結合している請求項9に記載の選択的酸素透過膜。
【請求項11】
前記無機骨格を構成する材料が、シリカ、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9又は10に記載の選択的酸素透過膜。
【請求項12】
前記遷移金属イオン錯体が、
コバルト(II)、銅(I)、鉄(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)及びロジウム(III)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属と、
前記遷移金属に配位した、ポルフィリン、フタロシアニン、シクリデン、シッフ塩基、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の配位子とを有するものである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の選択的酸素透過膜。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−33721(P2013−33721A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109607(P2012−109607)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】