説明

選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストおよびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーを含有する医薬組成物

本発明はアンギオテンシンIIレセプター(AT1)ブロッカー(ARBs)と組み合わせた選択的イミダゾリンレセプターアゴニストを含有する医薬組成物に関する。特に、本発明はモキソニジンとエプロサルタンメシレートとを含有する医薬組成物に関する。本発明は高血圧症、特にII型の糖尿病にすでに罹患しているかまたはII型の糖尿病に罹患する可能性のある高血圧の患者において、高血圧症を治療するための薬剤を製造するための組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンギオテンシンIIレセプター(AT1)ブロッカー(ARBs)と組み合わせた選択的イミダゾリンレセプターアゴニストを含有する医薬組成物に関する。特に、本発明はモキソニジン(Moxonidine)とエプロサルタンメシレート(Eprosartan mesylate)とを含有する医薬組成物に関する。本発明は高血圧症、特にII型の糖尿病にすでに罹患しているかまたはII型の糖尿病に罹患する可能性のある高血圧の患者において、高血圧症を治療するための薬剤を製造するための組成物の使用に関する。
【0002】
本発明の背景
本発明の背景を明らかにするためにここに使用されている刊行物およびその他の資料は、特に、更に実地に関する詳細を提供する場合には、これを引用することにより本発明に含まれる。
【0003】
HOT(Hypertension Optimal Treatment(高血圧最適治療))のような最近の研究は、血圧をすでに存在する目標レベルより下に下げることの利点を示している[Hansson L等(1998)Lancet 351 (9118):1755-62]。HOTおよびその他の試みの結果としては、高血圧管理ガイドラインにおいて推奨される目標血圧レベルは近年ますます厳しくなってきている。2003年には、公的な高血圧ガイドラインはより効果的な血圧低下を推奨している。新規なESC/ESHガイドラインは全ての高血圧患者において血圧を少なくとも140/90mmHgより下に、および糖尿病患者には130/80mmHgより下に下げることを推奨している[European Society of Hypertension- European Society of Cardiology Guidelines Committee (2003) J Hypertens. 21(6):1011-53;およびChobanian AV et al. (2003) JAMA. 289(19): 2560-72]。いっそう低い目標レベルに対する趨勢は将来求められるであろう。
【0004】
現在の高血圧管理ガイドラインがますます血圧目標を厳しく推奨するにもかかわらず、この目標は臨床において、単独の薬剤で達成されることはほとんどない。
【0005】
特に、収縮期の血圧は一般にあまり制御されない[Taylor Nelson Sofres Healthcare, Cardio Monitor(R) Study (1998)]。僅か〜中程度の高血圧を有する患者においてすら、単独治療は患者の50〜70%にのみ有効であり、こうして厳しい血圧目標が達せられるべきである場合、組合せ治療が明らかに必要である。組合せ治療において使用される薬剤は、作用の相補的な機構、組合せにおける効果の強化および維持(または改善)される許容性を含む、多くの必要条件を満たさなければならない[Trenkwalder P. (2002) J of Human Hypertension 16, Suppl 3: s17-s25]。
【0006】
交感神経系(SNS)およびレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)は共に高血圧症の発生および持続の誘因である[Rupp H & Jaeger B.(2001) J Clin Basic Cardiol 4:47-51]。SNSの活性化は血管運動神経状態を上昇させ、こうして高血圧症の発生および持続の原因となっている。他方、RAASは心臓血管、腎および内分泌の機能の生理学的制御に重要な役割を有している。この系の過剰の活性化は、種々の高血圧症の発生および持続の誘因である。
【0007】
TOPIC研究によれば、モキソニジンとアンギオテンシン変換酵素(ACE)−阻害物質エナラプリルとの組合せ治療がプラスの効果を示すことがすでに示されている。この組合せはモキソニジンの単独治療に治療抵抗性である高血圧の患者の27%に効果を有した[Waters J. et al. (1999) J Clin Bas Cardiol. 2(2): 219-24; Prichard et al.(2002) Blood Press 11(3): 166-72]。
【0008】
VetterおよびDuesingにより更に示された論文は、モキソニジンとACE阻害剤との組合せを有用な組合せの例として示唆している。更に、利尿剤、カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、モキソニジンおよびACE阻害剤またはアンギオテンシンIIレセプター(AT1)ブロッカー(ARB)の四重組合せが記載されている[Vetter H & Duesing R.(1997) Nieren-und Hochdruckkrankhaiten 26(31): 105-107]。
【0009】
更に、その他の文献においてモキソニジンと他の抗高血圧剤、例えばACE阻害剤およびARBsとを組み合わせることが示唆された。ARBによるRAASの阻害と組み合わせた、モキソニジンによるイミダゾリンI1レセプター活性化を介しての中枢交感神経状態の低下は相加/相乗的な抗高血圧効果を示すことができる[Farsang C.(2001) J clin Basic Cardiol 4: 197-200]。
【0010】
更に、Aranda等は単独治療に応答しない中程度の本態性高血圧症の患者における、イルベサルタンおよびモキソニジンとの組合せ治療の相乗的抗高血圧効果を開示している[Aranda P. et al.(1999) (Conference abstract: 13th Scientific Meeting of the Inter-American Society of Hypertension, USA) Hypertension. 33(4): 1065]。
【0011】
しかしながら、血圧レベルの厳しい制御、特に最近提案されているヨーロッパおよびUSのガイドライン[上記参照]による新たに確立された目標レベルに関しての厳しい制御を達成するために、組合せ治療への新規で効果的なアプローチが明らかに必要である。特に、II型の糖尿病の患者は、その血圧を推奨されている新規レベルに下げるために2種以上の薬物療法が必要である[Zanchetti A & Ruilope LM(2002) J Hypertension; 20: 2099-2110]。この目標血圧レベルは、1g/日までのタンパク尿の糖尿病の対象においては130/80mmHgであり、1g/日を越えるタンパク尿の糖尿病の対象においては125/75mmHgである。いくつかの薬剤クラスの処方を取り巻く問題を受け入れることは(多薬剤のための費用のラセン的な上昇と共に)、組合せ製品の固定用量の継続的な増大および容認をあおるであろう。組合せ治療において使用される薬剤は、作用の相補的な機構、組合せにおける効果の強化および維持(または改善)される許容性を含む、多くの必要条件を満たさなければならない。
【0012】
本発明の概略
従って、本発明の課題は、血圧目標レベルの厳しい制御を達成するために、特に(前段階)−糖尿性の高血圧患者のために、異なる作用機構を有する薬剤を組み合わせることにより高血圧症の効果的な治療のための新規医薬組成物を開発することである。
【0013】
イミダゾリンI1レセプターアゴニストであるモキソニジンおよびアンギオテンシン(AT1)レセプターブロッカー(ARB)であるエプロサルタンを組み合わせて投与することが、両方の薬剤の相補的な薬理学的特性によりこれらの基準を完全に満たすことが判明した。この組み合わせたモキソニジンおよびエプロサルタン治療は高血圧症、特に収縮期高血圧症および代謝および腎障害および心不全と関連する高血圧症の治療のために非常に好適である、それというのもこの薬剤の組合せは2つの主要な血圧系SNS(交感神経系)およびRAAS(レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系)を阻止し、その結果として神経ホルモン活性化を阻止するためである。
【0014】
2種の完全に異なる作用形式の組合せは、現在のヒドロクロロチアジド(HCTZ)組合せに対する強力な代替えを提供すると共に、糖尿病および腎性の障害の患者のためのより大きな保護の可能性を提供する。
【0015】
従って、本発明は、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストまたはその薬学的に認容性の塩およびアンギオテンシンIIレセプターブロッカー(ARB)またはその薬学的に認容性の塩および薬学的に認容性の担持剤を含有する医薬組成物に関する。
【0016】
本発明の優れた実施態様においては、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストはモキソニジン、リルメニジン(rilmenidine)、LNP−509、S−23515、PMS−812、PMS−847およびBU−98008からなる群から選択される。特に、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストはモキソニジンまたはその薬学的に認容性の塩である。
【0017】
本発明の有利な実施態様においては、アンギオテンシンIIブロッカー(ARB)がカンデサルタン(candesartan)、エプロサルタン、イルベサルタン(irbesartan)、イオサルタン(iosartan)、オルメサルタン(olmesartan)、プラトサルタン(pratosartan)、テルミサルタン(telmisartan)およびバルサルタン(valsartan)からなる群から選択される。特に、アンギオテンシンIIレセプターブロッカーはエプロサルタンまたはその薬学的に認容性の塩である。
【0018】
特に、本発明はモキソニジンおよびエプロサルタンメシレートからなる固定した組合せからなる医薬組成物に関する。本発明による更に有利な実施態様においては、医薬組成物が、モキソニジン0.05〜1mg、有利に0.2〜0.6mgおよびエプロサルタン100〜1000mg、有利に200〜800mg、より有利には300〜600mg(これはエプロサルタンメシレートの122.6〜1226.3mg、有利に245.2mg〜980.8mg、より有利には367.9〜735.8mgに相当する)を有する。特に、本発明は、モキソニジンが用量0.2mg、0.3mg、0.4mgまたは0.6mgおよびエプロサルタンが用量400mg、600mgまたは800mgで存在する医薬組成物に関する。最も有利には、本発明は、モキソニジンが用量0.2mgまたは0.4mgおよびエプロサルタンが用量600mgで存在する医薬組成物に関する。
【0019】
本発明による医薬組成物は、主にエプロサルタンおよび更にこのエプロサルタン中に均一に分散したモキソニジンからなる錠剤の形であってよい。選択的に、医薬組成物がコーチング錠の形であり、小さなモキソニジン含有コアがエプロサルタン含有ブレンドでコートされていてもよい。更に加えて、本発明はモキソニジンを含有する薄層でコートされるエプロサルタン含有錠剤コアの形である医薬組成物にも関する。更に、医薬組成物が二層錠剤の形であるか、または三層錠剤の形であってもよい。上記の錠剤の全てのタイプは付加的なコーチング、例えば味の遮蔽および/または特別な薬剤放出プロフィールを付与するため付加的なコーチングを有してよい。
【0020】
本発明の更なる実施態様においては、該医薬組成物は付加的に利尿剤、特にヒドロクロロチアジドを有する。
【0021】
更に、本発明は、高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患したまたは罹患の可能性のある対象の治療のための薬剤を製造するための、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの治療有効量およびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーの治療有効量の新規使用にも関する。
【0022】
本発明の特に有利な実施態様においては、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの治療有効量およびエプロサルタンの治療有効量が高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するために使用される。エプロサルタンは100〜1000mg、有利に200〜800mg、最も有利に300〜600mgの日用量の範囲で投与されるのが有利である。
【0023】
本発明の更に有利な実施態様においては、モキソニジンの治療有効量およびアンギオテンシンIIレセプターブロッカー、特にエプロサルタン、の治療有効量が高血圧症、特に収縮期の高血圧症に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するために使用される。モキソニジンは0.05〜1mg、有利に0.2〜0.6mgの日用量の範囲で投与されるのが有利である。
【0024】
更に、エプロサルタンを400mg、600mgまたは800mgの日用量で、かつモキソニジンを0.2mg、0.3mg、0.4mgまたは0.6mgの日用量で高血圧症、特に収縮期の高血圧症に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するために使用することは本発明の対象である。有利に、エプロサルタンを600mgの日用量で、かつモキソニジンを0.2mgまたは0.4mgの日用量で高血圧症、特に収縮期の高血圧症に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するために使用することは本発明の対象である。
【0025】
本発明の有利な実施態様は、代謝障害と関連する高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するために前記任意の組合せを使用することに関する。特に、代謝障害とはインシュリン耐性、高血糖症、II型の糖尿病および/または高脂血症である。更に、対象はII型の糖尿病と関連する、高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患または罹患する可能性を有していてよい。更に、高血圧症は腎障害および/または心不全と関連していてよい。
【0026】
更に、本発明は、高血圧症、特に収縮期の高血圧症に、および前記のような関連する疾患に罹患しているまたは罹患可能性のある対象の治療用薬剤を製造するための、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの治療有効量、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー(ARB)の治療有効量および付加的に利尿剤、特にヒドロクロロチオアジドの治療有効量の新規使用に関する。
【0027】
発明の詳細な説明
I.定義および命名法
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特別な投与形、担持剤またはそのようなものに限定されず、変化させることができるとして理解されるべきである。この中で使用される用語は特別な実施態様を記載するためにのみ使用されており、これに限定する意図がないことが理解されるべきである。
【0028】
この明細書および添えられている請求項において使用されている際に、単数形の“a”、“an”および“the”はこの明細書においては明らかに他の方法で記載されていない限り複数も含む。こうして、例えば“活性剤”または“薬理学的に活性の薬剤”に関しては単独の活性剤と同様に、2種以上の異なる活性剤の組合せも包含し、“担持剤”に関しては2種以上の担持剤の混合物並びに単独の担持剤等を包含する。
【0029】
本発明の記載および請求項において、以下の用語は以下に定義するように使用される。
【0030】
用語“活性剤”、“薬理学的に活性の薬剤”および“薬剤”は、ここでは所望の薬理学的、生理学的効果を誘導する化学的化合物に関して交換可能に使用される。ここでは、主たる活性剤はレニン−アンギオテンシン系の阻害剤、特にアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよび選択的イミダゾリンレセプターアゴニストである。この用語は特に記載されているそのような活性剤の薬学的に認容性の薬理学的に活性な誘導体も含むが、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物質、類似のもの等に制限されない。用語“活性剤”、“薬理学的に活性の薬剤”および“薬剤”が使用される場合、更に活性剤がアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたは選択的イミダゾリンレセプターアゴニストのように特別に明らかにされる場合、これは活性剤自体並びに薬学的に認容性の薬理学的に活性の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝物質、類似のものなどが含まれていると理解されるべきである。
【0031】
ここで使用される用語“選択的イミダゾリンレセプターアゴニスト”は、イミダゾリンレセプターのI1サブ型(I1R)に選択的に結合する薬理学的に活性の薬学的に認容性の薬剤に関する。選択的なイミダゾリンレセプターアゴニストは中枢作用性抗高血圧剤と通常関連する鎮静および精神の抑鬱のような副作用なしに効果的に血圧を制御するために開発されている中枢作用性抗高血圧剤の新規クラスを表す。この新世代の中枢作用性抗高血圧剤はイミダゾリンレセプターに選択的であるが、アルファ(2)−アドレナリン作動性レセプターには低い親和性を有する。
【0032】
ここで使用される用語“レニン−アンギオテンシン系の阻害剤”はアンギオテンシン、特にアンギオテンシンIIの副作用を、直接または間接的に阻止する、薬理学的に活性で、薬学的に認容性の薬剤に関する。制限なしにこれに含まれるのは、アンギオテンシンII合成を阻止する;アンギオテンシンIIのAT1レセプターへの結合を阻止する;またはレニン活性を阻止する薬剤である。
【0033】
ここで使用される用語“アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト”または“アンギオテンシンIIレセプターブロッカー”は、他のホルモン系に作用することなく、アンギオテンシンIIがAT1レセプターへ結合することを阻止することによりアンギオテンシンIIタイプ1(AT(1))レセプターをブロックする薬理学的に活性で、薬学的に認容性の薬剤に関する。
【0034】
ここで使用される用語“利尿剤”は高血圧症の治療および鬱血性心不全でのような浮腫の管理において使用することのできる薬理学的に活性で、薬学的に認容性の薬剤に関する。
【0035】
“薬学的に認容性の担持剤”または“薬学的に認容性の酸付加塩”の説明におけるような“薬学的に認容性の”において、ここでは生物学的およびその他に不所望ではない材料を意味する、すなわちこの材料は、不所望な生物学的効果を全く引き起こすことなしに、またはこれを含有する組成物の他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用することなしに、患者に投与される医薬組成物中に混合することのできる材料である。“薬理学的に活性な”誘導体または代謝物質におけるような、“薬理学的に活性”(または単に“活性”)は、親化合物と同じタイプの薬理学的活性およびほぼ同程度の薬理学的活性を有する誘導体または代謝物質に関する。用語“薬学的に認容性”が活性剤の誘導体(例えば、塩)に関して使用される場合、この化合物が同様に薬理学的にも活性である、すなわち上昇した血圧を効果的に下げると理解される。
【0036】
ここで使用される“担持剤”または“ベヒクル”は薬剤投与のために好適である慣用の薬学的に認容性の賦形剤に関し、これは非毒性であり、かつ医薬組成物のまたは薬剤デリバリーシステムの他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用しない、該分野において公知の全ての材料である。
【0037】
薬剤または薬理学的に活性な薬剤の“有効”量または“治療に有効な量”においては、非毒性であるが、所望の効果を提供するための薬剤または剤の十分量を意味する。本発明の組合せ治療においては、組合せの1つの成分の“有効量”は、組合せの他の成分と組み合わせて使用する際に所望の効果を提供するために効果的である化合物の量である。“有効”である量は、対象ごとに、年齢および個々の一般的な状態、特別な活性剤または薬剤などに依存して変化する。こうして、正確な“有効量”を特定することは常に可能ではない。しかしながら、任意の個々の場合における適切な“有効な”量は当業者が使用している慣用な実験により決定することができる。
【0038】
ここで使用される用語“治療すること”および“治療”は、症状の厳しさおよび/または頻度における減少、症状および/または根本的な原因の排除、症状発現および/または根本的な原因の予防、および損傷の改善または矯正に関する。こうして、例えば患者を“治療すること”とは臨床的に症状を有している個体の治療と同様、罹患の可能性を有する個体における特別な異常または有害な生理学的事象の予防も含む。
【0039】
II.活性剤
選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニスト
イミダゾリンレセプターのI1サブ型(I1R)は多様な生理学的機能を有する、血漿膜蛋白質である。I1−イミダゾリンレセプターは脳幹、副腎髄質および腎臓に主に見いだされる新規神経伝達物質である。細胞レベルでのこのレセプターの機能は、ニューロン細胞中でアラキドン酸およびリン脂質信号カスケードを介して、最終結果として交感神経性前運動ニューロンを阻止する。
【0040】
中枢作用性抗高血圧剤の新規なクラスである、イミダゾリンレセプターアゴニストは中枢作用性抗高血圧剤と通常関連する鎮静および精神の抑鬱のような副作用なしに効果的に血圧を制御するために開発された。この新世代の中枢作用性抗高血圧剤はイミダゾリンレセプターに選択的であるが、アルファ(2)−アドレナリン作動性レセプターには低い親和性を有する。
【0041】
任意の経口的に活性な選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストは本発明において使用するために好適である。ここで使用するために好適である選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストのいくつかの例は、ヨーロッパ特許明細書EP0710658およびEP0846688中に、並びに国際特許WO01/41764およびWO00/02878中に記載されているが、これは選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの群を制限することはない。EP0710658中に記載されている新規5−(アリールオキシメチル)−オキサゾリン誘導体はI1イミダゾリンレセプターへの選択的親和性により特徴付けられる。文献EP084688はイミダゾリンレセプターに対して高い結合親和性を有するが、アドレナリン作動性レセプターには低い親和性を有する新規イミダゾリン誘導体を記載する。PCT明細書WO01/41764はイミダゾリンレセプターに対して選択的結合親和性を示すイソキノリンおよびキノリン誘導体を開示している。PCT明細書WO00/02878は有能なイミダゾリンレセプターのための新規リガンドとしての新規β−カルボリン誘導体に関する。該化合物は前記特許明細書に記載された周知の方法によりまたはこの方法に類似の方法で製造することができる。
【0042】
有利な選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストは以下により詳細に開示されているモキソニジン、リルメニジン、LNP−509、S−23515、PMS−812、PMS−847およびBU−98008を包含する。モキソニジンは特に有利である。
【0043】
式I
【0044】
【化1】

の化合物5−[(2−ブロモフェノキシ)メチル]−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イルアミン(S−23515)はEP0710658中に開示されている5−(アリールオキシメチル)−オキサゾリン誘導体に属する。
【0045】
更に、式II
【0046】
【化2】

の化合物1−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−イソキノリン(BU98008)が特別な選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストとして存在しており、これは前記国際特許明細書WO01/41764中に開示されている化合物のクラスに属する。
【0047】
特に、ドイツ特許明細書DE2849537中に開示されている、血圧を低下させる特性を有する5−[(2−イミダゾリン−2−イル)−アミノ]−ピリミジン誘導体は選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの群に属する。有利な実施態様において本発明は式III
【0048】
【化3】

の化合物4−クロロ−5−[(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミノ]−6−メトキシ−2−メチルピリミジン(=モキソニジン)の使用に関する。
【0049】
モキソニジンを含有する医薬組成物は、例えば商標名Physiotens(R)、Cynt(R)、Moxonとして購入可能であり、かつ抗高血圧剤として使用される。該分野においては、モキソニジンレセプターがイミダゾリンレセプターのI1サブ型(I1R)の選択的リガンドを表すことは十分に公知である[Ernsberger (2000) J Cardiovasc Pharmacol. 35: s27-41]。該化合物は前記の特許明細書中に記載された周知の方法によりまたはこの方法に類似の方法で製造することができる。モキソニジンの抗高血糖特性は十分に知られている[EP0689837]。更に、モキソニジンは空腹時血漿グルコースがまだ影響を与えていない、減じたグルコース許容度を有する患者においてすでに血漿インシュリンを減らすことができる。
【0050】
更に、ドイツ特許明細書DE2362754中に開示されかつ重要な血圧減少特性を有するシクロプロピルメチルアミン誘導体は選択制I1イミダゾリンレセプターアゴニストの群に属する。特に、本発明は式IV
【0051】
【化4】

の化合物N−(ジシクロプロピルメチル)−4,5−ジヒドロ−2−オキサゾールアミン(=リルメニジン)に関する。
【0052】
リルメニジンがイミダゾリンレセプターのI1サブ型(I1R)の選択的リガンドを表すことは、該分野においては十分に公知である[Bock et al. (1999) Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 359: 262-71]。この化合物は、前記特許明細書中に記載された周知の方法によりまたはこの方法に類似の方法で製造することができる。
【0053】
更に、ヨーロッパ特許明細書EP1101756中に開示されている、心血管不全、例えば高血圧症の治療に好適である新規アミノピロリン誘導体は選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの群に属する。特に、本発明は式V
【0054】
【化5】

の化合物シス−/トランス−ジシクロプロピルメチル−(4,5−ジメチル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル)−アミン(=LNP−509)の使用に関する。
【0055】
化合物LNP−509はイミダゾリンレセプターのI1サブ型のための選択的リガンドであり、血圧降下特性を示す[Schann et al.(2001) J Med Chem. 44: 1588-93]。該化合物は、前記特許明細書中に記載された周知の方法によりまたはこの方法に類似の方法で製造することができる。
【0056】
付加的に、ヨーロッパ特許明細書EP0638568中に開示されている、非インシュリン依存糖尿病の治療のために好適である新規置換ピペラジン誘導体は選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストのグループに属する。特に、本発明は式VI
【0057】
【化6】

の化合物1−(2,4−ジクロロベンジル)−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−4−メチルピペラジン(=PMS−812、同様にS−21663としても公知)または化合物1−メチル−4−(2,4−ジクロロベンジル)−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ピペラジン、並びに式VII
【0058】
【化7】

の化合物1,2−ジイソプロピル−2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−ピペラジン(PMS−847、同様にS−22068としても公知)にも関する。
【0059】
PMS−812(S−21663)並びにPMS−847(S−22068)の両方は、イミダゾリンレセプターに選択的に結合するイミダゾリン誘導体を表す[Rondu et al. (1997) J Med Chem. 40: 3793-803; Le Bihan et al. (1999) J Med Chem. 42: 1587-603]。該化合物は、前記特許明細書中に記載された周知の方法によりまたはこの方法に類似の方法で製造することができる。
【0060】
アンギオテンシンレセプターブロッカー
アンギオテンシンII(AII)は有効な血管収縮神経薬である。そのレニン−アンギオテンシンカスケード中での生成は血漿α2−グロブリン(アンギオテンシン源)上でのレニンの酵素活性により結果的にアンギオテンシンI(AI)を生じる。次いでAIはアンギオテンシン変換酵素(ACE)によりオクタペプチドホルモンAIIに変換する。アンギオテンシンIIはアンギオテンシンサブ型I(AT)およびサブ型2(AT)レセプターに、並びに他のいくつかのレセプターに結合する。アンギオテンシンIIの全ての公知の生理学的効果は明らかにそのAT1レセプターへの結合およびこの活性化によるものであり、これはアンギオテンシンIIにより作用を受ける組織中に豊富に発現される。アンギオテンシンIIは高血圧症における原因物質として関係している。アンギオテンシン変換酵素の阻止を介してAllの生産を阻止するアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の使用により、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)を阻害することは、高血圧症、鬱血性心不全(CHF)および進行性の腎不全の治療に非常に有用であることが証明された。更に最近、アンギオテンシンII型1(AT(1))レセプターを直接ブロックする薬剤、いわゆる“アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはブロッカー(AIIRAsまたはARBs)”が開発された。これらの非ペプチドアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストのほとんどはATレセプターに向けられている。アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストは一般に高く特異的であり、ACE阻害剤がするように他のホルモンレセプターにまたはイオンチャネルにはほとんど効果を有さない。そのような特異性が異なる効果プロフィールを結果として生じるかどうかは、なお測定中である。しかしながら、これらの薬剤は著しく許容性を有し、かつ安全である。ARBsは収縮期および拡張期の両方の血圧の低下に有効であり、他のクラスの薬剤と有利に匹敵する。ARBsはII型の糖尿病を患う患者に腎臓障害の進行を緩やかにする効果を有し、他のタンパク尿状態に効果的であると思われる。全体として、ARBsは優れた安全性の成績および多方面の心臓血管症状への有用性の新たなプロフィールで心臓血管治療の医療分野への重要な付加を表す[Schsterman N. (2002) Expert Opin Drug Saf.1(2): 137-52]。
【0061】
ATアンギオテンシンIIレセプターの任意の経口活性アンタゴニストは本発明において使用可能である。ここで使用するために好適であるアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストのいくつかの例は次のものであってよい:サララシン(saralasin:酢酸サララシンを含む)、カンデサルタン(カンデサルタンシレキセチル(Candesartan Cilexetil)を含む)、CGP−63170、EMD−66397、KT3−671、LRB/081、バルサルタン、A−81282、BIBR−363、BIBS−222、BMS−184698、CV11194、EXP−3174、KW−3433、L−161177、L−162154、LR−B/057、LY−235656、PD150304、U−96849、U−97018、UP−275−22、WAY−126227、WK−1492.2K、YM−31472、イオサルタン(イオサルタンカリウムを含む)、E−4177、EMD−73495、エプロサルタン、HN−65021、イルベサルタン、L−159282、ME−3221、プラトサルタン(Pratosartan)、SL−91.0102、タソサルタン(tasosartan)、テルミサルタン(telmisartan)、UP−269−6、YM−358、CGP−49870、GA−0056、L−159689、L−162234、L−162441、L−163007、PD−123177、A81988、BMS−180560、CGP−38560A、CGP−48369、DA−2079、DE−3489、DuP−167、EXP−063、EXP−6155、EXP−6803、EXP−7711、EXP−9270、FK−739、HR−720、ICI D6888、ICI D7155、ICI D8731、イソテオリン(isoteoline)、KRI−1177、L−158809、L−158978、L−159874、LR B087、LY−285434、LY−302289、LY−315995、RG−13647、RWJ−38970、RWJ−46458、S−8307、S−8308、サプリサルタン(saprisartan)、サルメシン(sarmesin)、WK−1360、X−6803、ZD−6888、ZD−7155、ZD−8731、BIBS39、CI−996、DMP−811、DuP−532、EXP−929、L163017、LY−301875、XH−148、XR−510、ゾラサルタン(zolasartan)およびPD−123319。
【0062】
有利なアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストはイオサルタン(これはプロトタイプであり最も知られたアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストである)、イルベサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、プラトサルタン、バルサルタン、テルミサルタンを含み、これらに関しては以下に更に詳細に開示する。特に有利であるのはエプロサルタンである。
【0063】
ロサルタンカリウム(イオサルタン)は米国特許第5138069号明細書およびEP0253310A1(これらの文献は引用することにより本願に含まれる)中に開示されているAllレセプターアンタゴニストのクラスの最初の抗高血圧剤を表す。式VIII
【0064】
【化8】

の化合物であるロサルタンは有効な経口活性Allアンタゴニストであり、かつAT1レセプターサブ型に選択的に結合することが示されている。ロサルタンは高血圧症の治療に有用である。
【0065】
カンデサルタンシレキセチル(カンデサルタン、TCV−116)は、作用期間の長い有効なアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストとして米国特許第5196444およびヨーロッパ特許EP0459136B1(これらの文献は引用することにより本願に含まれる)中に開示されている。カンデサルタンは式IX
【0066】
【化9】

の化合物であり、高血圧症の治療に有用である。
【0067】
エプロサルタンメシレート(エプロサルタン)はヨーロッパ特許EP0403159B1明細書および米国特許第5185351号(これらの文献は引用することにより本願に含まれる)中に開示されている新規イミダゾリル−アルケノイック酸である。式X
【0068】
【化10】

の化合物エプロサルタンは周知のアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストであり、高血圧症、鬱血性心不全および腎不全の治療のために好適である。
【0069】
イルベサルタン(2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[(2′−(テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル)−メチル]−2−イミダゾリン−5−オン)はビフェニル部分に結合するイミダゾリンベースの化合物の新規クラスに属し、アンギオテンシンII(AT−II)アンタゴニストとしての活性を有し、これは米国特許第520317およびヨーロッパ特許EP0454511B1に開示されており、これは引用することにより本願に含まれる。イルベサルタンは有効な長時間作用型のアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストであり、特に高血圧症および心不全のような心臓血管疾患の治療に特に有用であり、次の式XI
【0070】
【化11】

を有する。
【0071】
オルメサルタン(CS−866)は新規1−(ビフェニルメチル)イミダゾール化合物のシリーズであり、これはアンギオテンシンIIレセプターに対するアンタゴニストである。この化合物は非常に重要な抗高血圧活性を有し、従って心臓および循環系の疾患を含む高血圧症の治療および予防に使用される。オルメサルタンは次の式XII
【0072】
【化12】

の化合物であり、これはヨーロッパ特許第0503785B1号および米国特許第5616599中に開示されており、これらの特許の内容は引用により本願に含まれる。
【0073】
プラトサルタンは米国特許第5409947号中に開示されたシクロヘプトイミダゾール誘導体の新規クラスに属し、この特許の内容は引用により本願に含まれる。次の式XIII
【0074】
【化13】

を有するプラトサルタンは公知アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストであり、高血圧症および鬱血性心不全の治療のために好適である。
【0075】
テルミサルタン(4′[[2−n−プロピル−4−メチル−6−(1−メチルベンジイミダゾール−2−イル)−ベンズイミダゾール−1−イル]−メチル]−ビフェニル−2−カルボン酸)はアンギオテンシン−II−アンタゴニストであり、これは高血圧症および心不全の治療のために、および虚血性末梢循環障害、心筋虚血症(アンギナ)を含む他の心臓血管障害を治療するために有用である。次の式XIV
【0076】
【化14】

を有するテルミサルタンはアンギオテンシンIIアンタゴニスト活性を有する新規ベンズイミダゾール化合物のクラスに属し、これはヨーロッパ特許第0502314B1および米国特許第5591762中に開示されており、この内容は、引用により本願に含まれる。
【0077】
バルサルタン((S)−N−(1−カルボキシ−2−メチル−プロプ−1−イル)−N−ペンタノイル−N−[2′(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル−メチル]アミン)は有効なアンギオテンシンIIアンタゴニスト活性を示す新規アシル誘導体に属し、抗高血圧剤として有用である。これらの化合物はヨーロッパ特許第0443983B1および米国特許第5399578中に開示されており、この内容は、引用により本願に含まれる。バルサルタンは次の式XV
【0078】
【化15】

を有する。
【0079】
利尿剤
本発明の組合せに使用することのできる“利尿剤”は任意の好適な利尿剤、または2種以上の利尿剤の組合せであってよく、これは例えばアセタゾールアミド、アミロリド、アゾセミド、ベンドロフルメチアジド、ベンゾチアジド、ブメタニド、クロロチアジド、クロロタリドン、クロパミド、シクロペンチアジド、シクロチアジド、ジクロロフェンアミド、ドルゾルアミド(dorzolamide)、エタクリネートナトリウム、エタクリニック酸、エトキシゾルアミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、インダパミド、メフルシド、メタゾルアミド、メチルクロチアジド、メトラゾン、メトザロン、ムゾリミド、ピレタニド、ポリチアジド、キネサゾン、スピロノラクトン、トリクロロメチアジド、トルセミド、トリアムテレン、トリクロロメチアジド、トリパミド、キシパミドである。有利には、利尿剤はヒドロクロロチアジド(6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシド)である。
【0080】
誘導体
本発明においては、活性剤の全てのものを、その塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物質または類似物質が薬学的に認容性であり薬理学的に活性である塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物質、類似物質等の形で投与することができる。活性剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝物質、類似物質およびその他の誘導体は、有機合成化学の分野において当業者に公知のおよび例えばJ.Marchにより、Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisums and Structure、第4版(New York:Wiley-Interscience, 1992)中に記載されている標準的方法を使用して製造することができる。
【0081】
例えば、酸付加塩は、遊離塩基と酸との反応を含む慣用の方法を用いて遊離塩基の形の薬剤から製造することができる。酸付加塩を製造するために好適な酸は、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、スクシン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等、並びに無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸等の両方を含む。酸付加塩は、好適な塩基で処理することにより遊離塩基に転換することができる。逆に、活性剤に存在することのある酸部分の塩基塩の製造は、薬学的に認容性の塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミン等を用いて同様な方法で実施することができる。エステルの製造は、カルボニル基の炭素にRO部分の親核的攻撃を含む慣用のエステル化反応によるカルボン酸基の変換を含む。エステル化は酸クロリドのようなエステル化試薬とヒドロキシ基との反応によっても実施することができる。所望の場合には、慣用の水素化分解または加水分解法を用いて、エステルを遊離酸に変換することもできる。アミドは、好適なアミン反応成分を用いてエステルから実施することも、または無水物または酸塩化物からアンモニアまたは低級アルキルアミンと反応させることにより製造することもできる。プロドラッグおよび活性代謝物質は当業者に公知であるか、または適切な文献中に記載されている方法を用いて製造することも可能である。典型的には、プロドラッグはある部分の共有結合により製造され、これにより個体の代謝系により変換するまで治療的に不活性である化合物が生じる。
【0082】
活性剤の他の誘導体および類似物質は合成有機化学の分野において当業者に公知のスタンダードな方法を用いて製造することができるか、または適切な文献を参照することにより製造することもできる。更に、キラルな活性剤は異性体において純粋な形であってもよいし、または異性体のラセミ混合物として投与することもできる。
【0083】
III.医薬組成物および投与剤形
経口投与剤形は活性剤の組合せを投与するために使用され、剤形は錠剤、カプセル、キャップレット(caplet)、溶液、懸濁液および/またはシロップを含み、かつカプセル化されていてもまたはカプセル化されていなくてもよい、複数の顆粒、ビーズ、粉末またはペレットからなっていてもよい。そのような投与剤形は製薬の分野において慣用の方法を用いておよび適切なテキスト、例えばGennaro, A.R.著、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Lippincott, Williams and Wilkins,2000)中に記載された方法を用いて製造することができる。錠剤およびカプセルは最も慣用の経口投与剤形であり、この場合固体医薬担持剤が適用される。
【0084】
錠剤は標準的な錠剤製造法および装置を用いて製造することができる。錠剤の成形法の1つは活性剤を単独で含有するか、または1種以上の担体、添加物等と組み合わせて含有する粉末化、結晶、または顆粒の組成物を直接圧縮することである。直接的な圧縮の代わりとして、錠剤を湿式造粒または環式造粒法を用いて製造することができる。錠剤は圧縮ではなく水分または他の方法で成形可能な材料から開始して成形することもできるが;しかしながら、圧縮法および造粒法が有利である。
【0085】
更に、本発明の方法を用いて経口投与のために製造される錠剤は、活性剤に加えて、一般に他の材料、例えば結合剤、希釈剤、滑剤、崩壊剤、充填剤、安定剤、界面活性剤、着色剤等を含有する。結合剤は錠剤に凝集性を付与するために使用され、こうして錠剤が圧縮の後にも損傷を有さずに保持されることを確実にする。好適な結合剤は、デンプン(コーンスターチおよびα−デンプンを含む)、ゼラチン、糖(ショ糖、グルコース、デキストロースおよびラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、および天然ゴムまたは合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を含む)およびべーゴム(Veegum)を含むが、これに限定されない。典型的には希釈剤は、実用的な錠剤の大きさが最終的に提供されるように、容量を増すために必要である。好適な希釈剤は、燐酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉末糖を含む。滑剤は錠剤製造を容易にするために使用される;好適な滑剤の例は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸を含む。崩壊剤は錠剤の崩壊を促進するために使用され、これは一般にデンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、または架橋したポリマーである。充填剤は、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロースおよび微晶質セルロースのような材料、並びにマンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウムおよびソルビトールのような可溶性材料を含む。安定剤は薬剤崩壊反応、例えば酸化反応を含む、を阻止するかまたは遅延させるために使用される。界面活性剤はアニオン、カチオン、両性または非イオン界面活性剤であってよい。
【0086】
投与剤形はカプセルであってもよく、この場合には活性剤含有組成物は液体または固体の形(例えば顆粒、ビーズ、粉末またはペレットのような粒子を含む)でカプセル化されていてよい。好適なカプセルは硬質または軟質であってよく、一般にゼラチン、デンプンまたはセルロース材料からなり、ゼラチンカプセルが有利である。ツーピース硬質ゼラチンカプセルは有利にゼラチンバンドまたはそのようなものでシールされている。例えば、カプセル化された医薬品の製造のための材料および方法を記載している、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(前記)を参照。活性剤を含有する組成物がカプセル中に液体の形で存在する場合、液体担持剤は活性剤を溶解することが必要である。この担体はカプセル材料および全ての医薬組成物の成分と適合性でなければならず、経口摂取に好適でなければならない。
【0087】
2種以上の活性剤が単独の医薬投与剤形中に組み合わせられている場合、活性剤間の相互作用および活性剤と賦形剤との間の相互作用も可能でることを考慮しなければならない。そのような考慮は製薬の分野において熟練した者の範囲内で明確である。例えば、エプロサルタンメシレートは酸性であり、塩基性化合物またはアルカリエステルと反応することがあり、このようにして他の化合物、例えばモキソニジンの加水分解および/または崩壊を惹起することがある。こうして本発明の組成物は、医薬投与剤形の中で2種以上の活性剤を相互に分離している医薬組成物を包含する、例えば潜在的に相互作用する可能性のある化合物を医薬投与剤形中で、例えば錠剤の分離した平坦な層中に(例えば二層錠または三層錠)、同心的なまたはそれ以外のコートタイプの層またはコートされたビーズまたは顆粒(これは打錠した錠剤またはカプセル中に混合されていてよい)中に相互に分離することにより、および/または緩衝剤を使用することにより(例えば、米国特許第6235311号参照)、医薬投与剤形の中で2種以上の活性剤を相互に分離している医薬組成物を包含する。2種以上の活性剤が他の活性剤から物理的に分離されている投与剤形を、異なる活性剤が異なる放出プロフィールを有することができるように製造することができることは、例えば1種の活性剤が腸溶性コートを有するように成形されており、他の活性剤が持続放出マトリックス等に成形されている場合、当業者により高く評価される。選択的に、1種以上の潜在的に相互作用する化合物の非反応性の薬学的に活性の誘導体を使用することもできる。
【0088】
所望の場合には、固体投与剤形、例えば錠剤、カプセル、キャップレットまたは顆粒は味のマスキング/遅延放出を提供するようにコートされていてよい。遅延放出コートを有する投与剤形は標準的なコーチング法および装置を用いて製造することができる。そのような方法は当業者に公知であり、印刷されたテキスト、例えばRemington(前記)中に記載されている。一般に、固体投与剤形の製造後に、遅延放出コーチング組成物をコーチングパン、エアーレススプレー法、流動床コーチング装置等を用いて適用する。遅延放出コーチング組成物はポリマー材料、例えばセルロースブチレートフタレート、セルロース水素フタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ジオキシプロピルメチルセルローススクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、アクリル酸、メタクリル酸および/またはこれらのエステルから形成されたポリマーおよびコポリマーを有する。
【0089】
持続放出投与剤形は薬剤が延長した期間にわたって放出されることを提供し、遅延放出であっても遅延放出でなくともよい。一般に、当業者に評価されているように、持続放出投与剤形は、不溶性のプラスチック、親水性ポリマーまたは脂肪化合物のような、徐々に生体内で分解性(加水分解性)の材料のマトリックス中に薬剤を分散させることにより、またはそのような材料で固体の薬剤含有投与形をコーチングすることにより成形される。不溶性プラスチック材料は、例えばポリ塩化ビニルまたはポリエチレンからなっていてよい。持続放出コーチングまたはマトリックスを提供するために有用な親水性ポリマーは、セルロースポリマーを含むが、これに制限されず:セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、セルロースヘキサヒドロフタレート、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、有利にアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよび/またはエチルメタクリレートから形成されるコポリマー、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのターポリマー(商標名Eudragit RSとして販売)も有利であり:ビニルポリマーおよびコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、酢酸ポリビニル、ポリビニルアセテートフタレート、ビニルアセテートクロトン酸コポリマー、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー;ゼイン;およびシェラック、アンモニアシェラック、シェラック−アセチルアルコール、およびシェラックn−ブチルステアレートを含む。持続放出マトリックス材料として使用するための脂肪化合物は一般的にワックス(例えば、カルナウバロウ)およびトリステアリン酸グリセリルを含むが、これに限定されない。
【0090】
IV.有用性および投与
本発明の方法および組成物は高血圧症、特に収縮期高血圧症または代謝障害(インシュリン耐性、高血糖症、II型の糖尿病および/または高脂血症)および/または腎障害および/または心不全と関連する高血圧症に罹患しているかまたは罹患の可能性のある個体に向けられている。特に、本発明の方法および組成物は、糖尿病型に関連する高血圧症に罹患している個体におよび/またはその血圧レベルの厳しい制御を必要とする(前段階)−糖尿病性高血圧患者に向けられている。
【0091】
平均して、糖尿病の個体は高血圧症を非糖尿病の個体よりおそらく二倍有する。UK Prospective Diabetes Study(UKPDS)に従って、最近の推奨は高血圧糖尿患者における厳密な血圧制御を指摘する。2型の糖尿病患者における血圧の厳密な血圧制御は、糖尿病に関連する死亡、糖尿病に関連する合併症、糖尿病性の網膜障害の進行および視覚活性における衰弱の危険性を臨床的に著しく減少させる結果となった。2型の糖尿病は30歳を越えた肥満および過肥の成人に最も頻繁に生じ、更にしばしばインシュリン耐性および/または冠状動脈性心疾患にも関連する高血糖症においても優先的に生じる。インシュリン耐性および2型の糖尿病に寄与するファクターは、遺伝的性質、肥満、身体的不活性および加齢を含み、これらの全てが高血圧症および心血管疾患の危険性の主要な素因でもある。従って、糖尿病、高血圧症および微細血管およびマクロ血管の合併症の間の関係は複雑である。
【0092】
すでに存在する目標レベルを下回る血圧への厳しい制御を達成するための組合せ治療への新たな有効なアプローチが明らかに必要である。特に、II型の糖尿病の患者は、その血圧を推奨されている低いレベルに下げるために2種以上の薬物療法が必要である。この目標血圧レベルは、1g/日までのタンパク尿の糖尿病の対象においては130/80mmHgであり、1g/日を越えるタンパク尿の糖尿病の対象においては125/75mmHgである。血圧の厳しい制御を明らかに必要とする(前段階)−糖尿病性高血圧の個体の多くは、一般に効果的で、安全でかつ便利な治療法がないために、この症状のために適切に治療されていない。治療は(前段階)−糖尿病性高血圧の患者のために長期にわたる、たぶん患者の生涯にわたるので、患者にとって簡単で、かつ便利でなければならない。長期治療を遵守する確率は、薬剤が一日一回経口投与される場合である。
【0093】
本発明の有利な実施態様においては、選択的なイミダゾリンレセプターアゴニストおよびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーおよび場合により利尿剤の組合せが一日一回投与のための単独単位投与量の錠剤またはカプセルの中に包含される。こうして、本発明は効果的で、安全で、簡単でかつ便利な、患者の服用遵守の高い可能性を有する方法で、高血圧症の患者、特に(前段階)糖尿病患者において血圧レベルを下げることを提供することにより主要な医学的要求と向き合う。
【0094】
前に強調したように、活性剤を単独投与剤形で投与することは著しく有利である。しかしながら、いくつかの場合には、患者にそれぞれの活性剤をそれ自体の分離した投与剤形で、または存在する活性剤の2種以上を含有する個別の“組合せ”投与剤形の組合せで投与することができる。別々の投与剤形を使用する場合、選択的イミダゾリンレセプターアゴニストおよびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーおよび場合により利尿剤を本質的には同時に(同時的)、または別々に交互に(逐次的)投与することができる。最高に有利な効果は、それぞれの活性剤の活性血中レベル濃度がほぼ同じ時間に得られる場合に達せられる、すなわち同時の薬剤投与が一般に有利である。全ての活性剤からなる単独の経口投与剤形はより有利である。そのような投与剤形は患者にとって便利でかつ簡単であり、こうして患者の服用遵守の機会が上昇し、特に心臓疾患または他の疾患の存在のために多投薬がすでに行われている患者において服用遵守の機会が増大する。
【0095】
組合せ治療においては、2種または3種の活性剤が一緒に使用されるので、それぞれの薬剤の性能およびこれらを一緒にすることにより達せられる相互効果を考慮に入れることが必要である。これらのファクターを考慮に入れることは、臨床効果または予防効果を有する投与量を決定するために当業者にとって十分に範囲内である。
【0096】
有利な経口投与剤形はそれぞれの活性剤の治療的に有効な単位用量を含有し、その際この単位用量は一日一回経口投与のために好適である。任意の特別な活性剤の治療効果を有する単位用量は活性剤、患者の要求および処方する医師に公知の他のファクターにもちろん依存する。医薬製剤の分野の当業者には種々の活性剤のための好適な単位用量を容易に限定することができる。しかしながら、一般に、それぞれの活性剤のための治療有効な単位用量は以下のようである:
アンギオテンシンIIレセプターブロッカー:カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、イオサルタン、オルメサルタン、プラトサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンからなる群から選択されるアンギオテンシンIIレセプターブロッカー約1mg〜約1000mg。有利にエプロサルタン100〜1000mg、より有利に200〜800mg、最も有利には300〜600mg。
【0097】
選択的イミダゾリンレセプターアゴニスト:モキソニジン、リルメニジン、LNP−509、S−23515、PMS−812、PMS−847およびBU−98008からなる群から選択される選択的イミダゾリンレセプターアゴニスト約0.05mg〜約20mg。有利には、モキソニジン0.1〜0.6mg、より有利には0.2〜0.4mgである。
【0098】
利尿剤:場合により利尿剤約1mg〜約500mg、有利にヒドロクロロチアジド5〜50mgである。
【0099】
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 600mg
モキソニジン 0.2mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 600mg
モキソニジン 0.3mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 600mg
モキソニジン 0.4mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 400mg
モキソニジン 0.2mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 400mg
モキソニジン 0.3mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 400mg
モキソニジン 0.4mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 600mg
モキソニジン 0.4mg
ヒドロクロロチアジド 12.5mg
特に有利な実施態様においては、活性成分は以下のようである:
エプロサルタン 600mg
モキソニジン 0.4mg
ヒドロクロロチアジド 25mg
【0100】
本発明の製剤は高血圧症、特に収縮期高血圧症または代謝障害(インシュリン耐性、高血糖症、II型の糖尿病および/または高脂血症)および/または腎障害および/または心不全と関連する高血圧症に罹患しているかまたは罹患の可能性のある患者である限り投与される;非常に好ましくは、これは長期間および患者の生涯にわたって可能である。少なくとも1〜2週間の投与は達成されるべき最少の恩恵のために必要である。日用量のためにデザインされた有利な製剤に加えて、そのような製剤の持続放出形も適用することができ、これは隔週、週毎、月毎等に投与するために提供される。
【0101】
V.パッケージキット
他の実施態様において、自己投与のための複数の経口投与剤形;容器、有利にシールされた、使用に先立ち貯蔵する間投与剤形を入れるための容器;および薬剤投与を実施するための患者への指示書を有しているパッケージキットが提供される。この指示書は、典型的には、パッケージの内容物、ラベルおよび/または他のキットの構成分上に指示が記載されていて、かつ経口投与剤形であるとして記載されている。それぞれの投与剤形はそれぞれの投与剤形を他のものとは単離して個別の小室または半球状小室中有する金属フィルムプラスチックラミネートのシート中に収容されていてよく、またはこの投与剤形は単独の容器中に、例えばプラスチック瓶中に個別に入れられていてもよい。このキットは同様に典型的には個別のキット成分、例えば投与剤形、容器および使用に関する記載された指示書を包装するための手段を有する。そのような包装手段は、厚紙または紙容器、プラスチックまたはフォイルポーチ等の形を有していてよい。
【0102】
本発明は有利な特別な実施態様との関連において記載されているということ、以下の記載および例は本発明を詳細に説明するものであり、本発明を限定するものではないことは、理解されるべきである。によれば、本発明の範囲内における他の観点、利点および変法は該発明の属する分野の専門家において明らかである。
【0103】
この中に記載されている全ての特許、特許明細書および刊行物は、ここで引用することによりその全体が本発明に含まれる。
【0104】
図面
図1:右腎動脈狭窄6週間後の腎性高血圧ラットの収縮期血圧に対するモキソニジン(Mox、1mg/kg)、エプロサルタン(Epro、3mg/kg)またはその組合せでの経口治療の効果。
【0105】
図2:右腎動脈狭窄6週間後の腎性高血圧ラットの拡張期血圧に対するモキソニジン(Mox、1mg/kg)、エプロサルタン(Epro、3mg/kg)またはその組合せでの経口治療の効果。
【0106】
実験
本発明の実施は、他に記載のない限り、当業者の範囲内で製薬に慣用の技術を適用する。そのような技術は文献に十分に説明されている。次の実施例において、使用した数値(例えば量、温度など)に関する精度を確実にする努力は実施したが、いくつかの実験上の誤差および偏差は考慮されるべきである。他に記載されていない限り、温度は摂氏であり圧力は海面での大気圧であるかまたは大気圧に近い。全ての試薬は他に記載されていない場合には市販されている。
【0107】
例1
錠剤形の製剤を高剪断フィールダー造粒(high shear Fielder granulation)により製造した。エプロサルタン塩の二水和物を製造するために、純水を造粒の間添加した。フィルムコートをコアの質量の約2.5〜4%の量で適用する。
【0108】
【表1】

【0109】
例2 高血圧症のための薬理学的アッセイ
1.導入
選択的イミダゾリンI1−レセプターアゴニストの例としてのモキソニジンおよびアンギオテンシンIIAT −レセプターアンタゴニストの例としてのエプロサルタンの組合せ投与の効果を、2K1C(腎2個、1クリップ)高血圧ラットの血圧および心拍数への影響を測定することにより分析した。“腎2個、1クリップ”法は腎性の虚血および高血圧症の発現を生じさせる。ラットにおいて、この方法は片側腎動脈狭窄を有する人の慢性的変化に類似の慢性的変化をもたらす。2K1Cラットは、レニン−アンギオテンシンアルドステロン系(RAAS)の活性化および末梢血管収縮を特徴とする高血圧症の血圧過負荷モデルを表す。このモデルはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびアンギオテンシンレセプターアンタゴニスト(ARBs)の評価のために高血圧症の高レニンモデルとして広く使用される。
【0110】
2.方法
動物:雄のスプラークドウリーCFYラットを使用した。動物を市販の実験室用ラットフードペレットで給餌し、実験の間制限なしに生水をのむことを許可した。
【0111】
腎2個、1クリップ高血圧:エーテル麻酔下に背部椎肋骨角度で右側を切開した。右側腎臓を僅かに外に取り出し、銀製のクリップを腎動脈上に設置し、その大動脈からその発端を閉鎖する。左の腎臓は妨害されなかった。
【0112】
血圧および心拍数の測定:血圧および心拍数は尾部カフ法(Model 229、IITC Inc., CA, USA)により、腎動脈をクリップした後最初の1週から、1週間に1回6週間測定した。血圧測定の時間には、サーモスタットを有する加温箱を用いて、動物を最少に暖めて周囲温度29℃にする。
【0113】
実験報告:6週間の実験期間の間安定な高血圧症を示した動物を薬剤治療に使用した。確立した高血圧症の12匹の動物を以下の各治療群のために使用した:
・ ベヒクル
・ モキソニジン 1mg/kg
・ エプロサルタン 3mg/kg
・ モキソニジン 1mg/kg+エプロサルタン 3mg/kg
動物を経口的に治療し、その後、血圧を30分、1時間、2時間および4時間後に測定した。異なる治療はその日の間に無作為に適用した。
【0114】
統計学的分析:パラメータは平均を平均±標準偏差(SE)として表し、分散分析後にWallenstein等の修正“t”−統計法[Wallenstein S等 (1980) Circ. Res. 47:1-9]を用いて比較した。
【0115】
3.結果
血圧に対するモキソニジン(1mg/kg)、エプロサルタン(3mg/kg)およびその組合せの効果を第1表および図1および2に示す。
【0116】
モキソニジン処置は腎性高血圧ラットの血圧において明らかな低下を引き起こし、最大効果を薬剤の投与2時間後に示す(第1表;収縮期および拡張期血圧においてそれぞれ16%および19%の低下を示す)。血圧の穏やかな回復は治療の4時間後である。
【0117】
エプロサルタンの投与は治療の2時間後に最大効果19%および21%で血圧を明らかに低下させた(第1表)。
【0118】
この2種の薬剤を一緒に投与した結果はモキソニジンおよびエプロサルタン単独での血圧に対する効果に比べて収縮期および拡張期血圧の両方において明らかに強い低下を示し(第1表、図1および2)、最大値は投与4時間後に達成される(収縮期および拡張期においてそれぞれ26%および33%低下)。
【0119】
心拍数はベヒクル処置した動物において実験の間、明らかに変化しなかった。すべての処置において心拍数の明らかな変化は誘発されなかった(第2表)。
【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
4.結論
モキソニジンおよびエプロサルタンは腎性高血圧(2K1C)ラットの血圧を明らかに減少させる。2種の薬剤の組合せは、明らかな相乗効果を示す。この組合せは単独の化合物に比べて驚くほど強力に血圧を低下させる。この組合せの著しい抗高血圧効果は、より低い副作用で同じ抗高血圧効果を達成するために少量の個別の化合物の用量を使用することが妥当であることを示唆している。
【0123】
この結果は、高血圧の慢性の腎不全に罹患している10人のヒト患者に関する独立して後に公表された臨床検査により確認された[Neumann j et al. (2003) "Eprosartan combined with moxonidine normalizes synpathetic hyperactivity in hypertensive chronic renal failure patients" J Am Soc Nephrol; 14; 20A]。エプロサルタンとモキソニジンとの組合せ治療が交感神経活性を標準レベルに下げることが示された。
【0124】
例3−グルコース耐性に関する薬理学的アッセイ
1.導入
選択的イミダゾリンI1レセプターアゴニストの例としてのモキソニジンとアンギオテンシンIIAt1レセプターアンタゴニストの例としてのエプロサルタンとの組合せ投与の効果は、“糖ラット”における血漿グルコースレベルに対する影響を測定することにより分析された。“糖ラット”とは、欠陥的グルコース耐性のモデルであり、グルコース耐性に関する化合物の効果を分析するために広く使用される。
【0125】
2.方法
動物:Harlanからの雄の糖ラット(HsdOla fa/fa)を実験に使用した。この動物に市販のラボ固形飼料を給餌し、実験の間制限なしに生水をのむことを許可した。
【0126】
実験報告:動物をベヒクルまたは活性化合物で3週間の間処置した。モキソニジンを飲用水を介して適用した。エプロサルタンをカニューレを介して胃の中に毎日投与した。10匹の動物を以下の各治療群に使用した:
・ ベヒクル
・ モキソニジン 1mg/kg
・ モキソニジン 1mg/kg+エプロサルタン 3mg/kg
・ モキソニジン 1mg/kg+エプロサルタン 30mg/kg
・ モキソニジン 1mg/kg+エプロサルタン 100mg/kg。
【0127】
薬剤治療の最後に、動物に経口グルコース耐性テストを実施した。胃にカニューレを介してグルコース2gを含有する溶液を与えた。血液サンプルをグルコース負荷の前および30分、60分、90分および120分後に、尾部静脈カニューレを介して採取し、血漿グルコースレベルを分析した。
【0128】
統計学的分析:パラメータは平均の平均±標準偏差(SE)として表し、その変化の分析をT−テストを用いて比較した。
【0129】
3.結果
モキソニジン(1mg/kg)単独の効果およびエプロサルタンの上昇量(3mg/kg;30mg/kg;100mg/kg)との組合せの効果を第3表に示す。
【0130】
モキソニジン処置は経口グルコース攻撃の60分および90分後に、血漿グルコースレベルにおける明らかな減少を生じる。
【0131】
モキソニジン(1mg/kg)およびエプロサルタンの組合せ投与は血漿グルコースレベルにおいてさらに投与量依存の減少を惹起した。この更なる減少はモキソニジンに加えてエプロサルタン30mg/kgを投与された群において90分および120分で明らかであり、モキソニジンに加えてエプロサルタン100mg/kgを受けた群においては30、90および120分で明らかである。
【0132】
4.結論
前記の実験は、モキソニジンの十分に知られる抗高血糖効果の観点においてすら、モキソニジンとエプロサルタンとの組合せが、血漿グルコースレベルの更なる投与量に依存する減少を示すこと、ここでは相乗効果を示すことを示した。この薬剤の組合せは、化合物単独に比較して、欠陥的グルコース耐性のモデルにおいて驚くほど強力な血漿グルコースの低下効果を有した。薬剤組合せの明らかな抗高血圧効果に次ぐこの付加的な特徴は代謝障害、すなわちインシュリン耐性、高血糖症および/または糖尿病に罹患する高血圧症患者の治療のために理想的に好適である。
【0133】
【表4】

【0134】
前記の薬理学的テストから、モキソニジンのような選択的イミダゾリンレセプターアゴニストとエプロサルタンのようなアンギオテンシンIIレセプターブロッカーとの組合せは、従来存在する目標レベルを下回る血圧レベルの厳しい制御を必要とする高血圧患者のための強力な新規治療法を提供することが明らかになった。
【0135】
更に、ARBsの使用は高血圧症の個体における糖尿病の発症を予防し、かつ糖尿病患者の心臓血管の発作を減少させる。ARBを含まない治療管理に比較するとき、ARBsは糖尿患者における腎疾患の進行を緩慢にすることを示し、かつ末期腎疾患の発症を予防する。他方、モキソニジンは糖尿病患者における代謝に有利に影響を与えることが知られている。モキソニジンは空腹時血漿グルコースが影響を受けない欠陥的グルコース耐性を有する患者にすでに血漿インシュリンを減少させることができる。
【0136】
更に、モキソニジン/エプロサルタンの組合せの相補的薬理学的活性は、特に低レニン高血圧症においておよび収縮期高血圧症において特に期待される。天然の高血圧ラット(SHR)、低レニン高血圧に関するモデルにおけるエプロサルタンの低い応答速度はSHRにおける優れた活性を示すモキソニジンとの組合せにおいて上昇する。
【0137】
ARBsはシナプス前部AT1レセプターの遮断において交感神経末端からのカテコールアミンの流出を阻止することが記載されている。この効果は、エプロサルタンに関して特に記載されている[Ohlstein EH et al. (1997) Pharmacology 55:244-251]。モキソニジンの中枢交感神経遮断特性と組み合わさったエプロサルタンのこの明らかな末梢交感神経遮断活性は、特に収縮期高血圧症および心不全において相加および/または相乗効果を発現すると思われる。
【0138】
更に、高血圧症はしばしば代謝障害(インシュリン耐性、高血糖症および/またはII型の糖尿病および/または高脂血症)と関連し、この両者は交感神経系の過剰の活性に関連する。こうして、本発明の更なる観点においてはモキソニジン/エプロサルタン組合せの末梢/中枢交感神経遮断効果の両方がインシュリン耐性、高血糖症および/または糖尿病と関連する高血圧症の治療のための理想的な薬剤組合せを表す。このことはモキソニジンと血漿グルコースレベルへの付加的な相乗効果を示すエプロサルタンとの組合せ投与において証明された。
【0139】
SNSおよびRAASの両方の刺激は神経ホルモン活性化を発現させ(カテコールアミン、レニン、アンギオテンシンIIおよびアルドステロン血漿濃度の増加)、かつその結果、慢性的な心不全および腎疾患において見られるような血管組織、心臓組織および腎組織の構造的再構築を促進する。従って、終末器官疾患のための最適な薬剤治療はSNSおよびRAASの両方を低下させるであろう。モキソニジンは、脳システムおよび腎臓の両方におけるイミダゾリンI1レセプターの活性化を介して、抗高血圧用量を下回る投与量で、交感神経の過剰活性を減じ、その結果ラットにおける糸球体硬化症、尿タンパク症および腎再形成を改善し、その際エプロサルタンのようなアンギオテンシンレセプターブロッカーはAT1レセプターの遮断による心臓、腎臓および血管の構造的および機能的傷害を減少させることが公知である。
【0140】
結論としては、本発明は1つの医薬組成物の中にモキソニジンおよびエプロサルタンの組合せ投与、およびこの組合せが2つの主要な血圧システムSNSおよびRAASを阻止し、その結果神経ホルモン活性を阻止することにより、高血圧症、特に収縮期高血圧症、および代謝および腎障害および腎不全と関連する高血圧症の新規の非常に効果的な治療法を提供する。この作用のプロフィールは理想的な組合せ治療のために必要とされる状況、すなわち作用の相補的機構および強化された効果を完全に満たす。モキソニジンおよびエプロサルタンの優れた認容性は、両方の薬剤が優れた安全プロフィールを有していることが保持されることを予想させる。
【0141】
【表5】

【0142】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】腎性高血圧ラットの収縮期血圧に対するモキソニジン(Mox、1mg/kg)、エプロサルタン(Epro、3mg/kg)またはその組合せでの経口治療の効果を示すグラフ図。
【図2】腎性高血圧ラットの拡張期血圧に対するモキソニジン(Mox、1mg/kg)、エプロサルタン(Epro、3mg/kg)またはその組合せでの経口治療の効果を示すグラフ図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストまたはその薬学的に認容性の塩およびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーまたはその薬学的に認容性の塩および薬学的に認容性の担持剤を含有する医薬組成物。
【請求項2】
選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストがモキソニジン、リルメニジン、LNP−509、S−23515、PMS−812、PMS−847およびBU−98008からなる群から選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
アンギオテンシンIIレセプターブロッカーがカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、イオサルタン、オルメサルタン、プラトサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンからなる群から選択される、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストがモキソニジンまたはその薬学的に認容性の塩であり、かつアンギオテンシンIIレセプターブロッカーがエプロサルタンまたはその薬学的に認容性の塩である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
モキソニジンおよびエプロサルタンメシレートおよび薬学的に認容性の担持剤からなる固定した組合せからなる組成物である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
モキソニジンが用量0.05〜1mg、有利に0.2〜0.6mgで存在する、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
エプロサルタンが用量100〜1000mg、有利に300〜600mgで存在する、請求項5または6記載の医薬組成物。
【請求項8】
モキソニジンが用量0.2mgおよびエプロサルタンが用量600mgで存在する、請求項5から7までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
モキソニジンが用量0.4mgおよびエプロサルタンが用量600mgで存在する、請求項5から7までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物が主にエプロサルタンおよび更にこのエプロサルタン中に均一に分散したモキソニジンを有する錠剤の形である、請求項5から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が、小さなモキソニジン含有コアがエプロサルタン含有ブレンドでコートされているコーチング錠の形である、請求項5から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬組成物がモキソニジンを含有する薄層でコートされるエプロサルタン含有錠剤コアの形である、請求項5から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物が二層錠剤の形である、請求項5から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物が三層錠剤の形である、請求項5から9までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項15】
組成物が付加的に利尿剤を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項16】
利尿剤がヒドロクロロチアジドである、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項17】
高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患したまたは罹患する可能性のある対象の治療のための薬剤を製造するための、選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストの治療有効量およびアンギオテンシンIIレセプターブロッカーの治療有効量の使用。
【請求項18】
アンギオテンシンIIレセプターブロッカーがエプロサルタンである、請求項17記載の使用。
【請求項19】
エプロサルタンが100〜1000mg、有利に300〜600mgの日用量の範囲の量で存在する、請求項18記載の使用。
【請求項20】
選択的I1イミダゾリンレセプターアゴニストがモキソニジンである、請求項17から19までのいずれか1項記載の使用。
【請求項21】
モキソニジンが0.05〜1mg、有利に0.2〜0.6mgの日用量の範囲の量で存在する、請求項20記載の使用。
【請求項22】
エプロサルタンが600mgの日用量の量で、かつモキソニジンが0.2または0.4mgの日用量の量で存在する、請求項20記載の使用。
【請求項23】
対象が代謝障害と関連する高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患しているかまたは罹患する可能性がある、請求項17から22までのいずれか1項記載の使用。
【請求項24】
代謝障害がインシュリン耐性、高血糖症および/または高脂血症により特徴付けられている、請求項23記載の使用。
【請求項25】
対象がII型の糖尿病と関連する、高血圧症、特に収縮期高血圧症に罹患しているかまたは罹患する可能性がある、請求項17から24までのいずれか1項記載の使用。
【請求項26】
高血圧症、特に収縮期高血圧症が更に腎障害と関連している、請求項17から25までのいずれか1項記載の使用。
【請求項27】
高血圧症、特に収縮期高血圧症が更に心不全と関連している、請求項17から26までのいずれか1項記載の使用。
【請求項28】
更に、薬剤が利尿剤、特にヒドロクロロチオアジドの治療有効量を含有する、請求項17から27までのいずれか1項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−508276(P2007−508276A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530280(P2006−530280)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052468
【国際公開番号】WO2005/039639
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】