説明

遺伝子変異検出用プローブ

【課題】遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出することを可能にする遺伝子変異検出用プローブを提供する。
【解決手段】(P1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド等であり、目的遺伝子変異と非目的遺伝子変異とを含む対象遺伝子をコードする塩基配列における該目的遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子変異検出用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
「遺伝子多型」とは遺伝子をコードする塩基配列中の塩基が、ある集団の大多数の形質とは異なる塩基となることを差し、例えば、単一塩基置換、欠失、挿入、遺伝子融合などの遺伝子構造(塩基配列)の違いが生じているものである。
【0003】
一方、「遺伝子多型」とは、「遺伝子変異」の一部であって、ある集団において最も頻度の高い変異あるいはアリル(対立遺伝子)が99%以下の状態、言い換えると、頻度の低い変異やアリルの合計頻度が1%以上ある状態のことを差す。この1%という値は便宜的ではあるが、意味をもつ。毎世代生じる新しい突然変異の多くは自然選択によって集団中から除去されることから、その平衡頻度が理論的に計算される。この平衡頻度より高い値、1%を「多型」の基準としている。すなわち、多型現象がみられるということは、何らかの機序により集団中でそれらの変異の頻度が上がり、何世代にもわたって維持されてきたことを意味する。
【0004】
遺伝子変異と、各種疾患の罹患率や薬剤投与による副作用発生頻度との関連性が指摘されており、遺伝子多型を検出することにより、各種疾患発生頻度や、薬剤耐性等の予測が可能になるものと考えられている。そのため、遺伝子変異を正確にかつ短時間、低コストで簡便に測定する方法が待ち望まれている。
【0005】
遺伝子多型及び遺伝子変異の種類には、塩基配列中の塩基が1つ置換することによって生じる単一塩基置換や、1つ以上の塩基が欠損された欠失型変異、1つ以上の塩基が挿入された挿入型変異、また遺伝子融合などが存在する。以下、遺伝子多型と遺伝子変異をあわせて、遺伝子変異と呼ぶ。
【0006】
現在、遺伝子変異を測定する方法としては、変異を含む領域をPCR法で増幅した後、蛍光色素で標識された核酸プローブを、標的核酸にハイブリダイゼーションさせ、蛍光色素の発光の減少量を測定し、融解曲線分析の結果に基づいて塩基配列の変異を解析する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−119291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記核酸プローブを用いる方法により、遺伝子変異を検出するためには、変異毎に適正なる配列を有する核酸プローブを使用する必要がある。また、核酸プローブを用いて融解曲線分析を行う際に、核酸プローブ内に、検出対象となる遺伝子変異以外の変異が存在すると、遺伝子変異検出対象外の遺伝子変異の影響を受けることによって、融解温度(Tm値)にばらつきが生じるため、検出対象となる遺伝子変異を特異的に検出することが困難となる。
これらの現状を踏まえ、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、遺伝子変異検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を精度よく検出するためのさらなる技術開発が待ち望まれていた。
【0009】
本発明は、遺伝子をコードする塩基配列に含まれる複数の遺伝子変異から、非目的遺伝子変異の塩基型の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異のみを特異的に検出することを可能にする遺伝子変異検出用プローブ、これを用いる遺伝子変異検出方法を提供することを課題とする。また、本発明は、当該遺伝子変異検出用プローブを用いた遺伝子変異検出用試薬キットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下のとおりである。
<1> 下記P1、P1−1、P1’及びP1’−1からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチドであり、目的遺伝子変異と非目的遺伝子変異とを含む対象遺伝子をコードする塩基配列における該目的遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブ:
(P1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;
(P1−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基を有する配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド;
(P1’)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;及び
(P1’−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
<2> 下記(a)から(f)のうちのいずれか1つの関係を満たす<1>に記載の遺伝子変異検出用プローブ:
(a)前記非目的遺伝子変異が、A及びTから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はC又はGである;
(b)前記非目的遺伝子変異が、C及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はA又はTである;
(c)前記非目的遺伝子変異が、A及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はCであり、前記異なる塩基はT又はGである;
(d)前記非目的遺伝子変異が、A及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はGであり、前記異なる塩基はT又はCである;
(e)前記非目的遺伝子変異が、T及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はCであり、前記異なる塩基はA又はGである;
(f)前記非目的遺伝子変異が、T及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はGであり、前記異なる塩基はA又はCである。
<3> 前記オリゴヌクレオチドは、蛍光標識オリゴヌクレオチドである<1>又は<2>に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<4> 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、3’末端又は5’末端の塩基がシトシンであり、該シトシンが蛍光色素で標識されている<3>に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<5> 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、3’末端又は5’末端から数えて1〜3番目のいずれかに位置する<3>又は<4>に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<6> 融解曲線分析用のプローブである、<1>〜<5>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<7> 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少または増加する、<3>〜<6>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<8> 前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少する、<3>〜<7>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブ。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブを用いることにより、検出対象となる目的遺伝子変異を検出する遺伝子変異検出方法。
<10> (I)<3>〜<8>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブ及び試料中の一本鎖核酸を接触させて、ハイブリッドを得ることと、(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定することと、(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいてハイブリッドの解離温度であるTm値を検出することと、(IV)前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、遺伝子変異の存在を検出することと、を含む、<9>に記載の遺伝子変異検出方法。
<11> さらに、前記(I)のハイブリッドを得る前又は前記(I)のハイブリッドを得ることと同時に、核酸を増幅することを含む、<10>に記載の遺伝子変異検出方法。
<12> <1>〜<8>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブを含む遺伝子変異検出用試薬キット。
<13> さらに、<1>〜<8>のいずれかに記載の遺伝子変異検出用プローブがハイブリダイズする領域を有する塩基配列を増幅可能なプライマーを含む、<12>に記載の遺伝子変異検出用試薬キット。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出することを可能にする遺伝子変異検出用プローブ、これを用いる遺伝子変異検出方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該遺伝子変異検出用プローブを用いた遺伝子変異検出用試薬キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は、核酸混合物の融解曲線の一例であり、(B)は微分融解曲線の一例である。
【図2】(A)〜(P)は、本発明の実施例1にかかる試料の微分融解曲線である。
【図3】(A)〜(H)は、本発明の実施例2にかかる試料の微分融解曲線である。
【図4】(A)〜(P)は、本発明の比較例1にかかる試料の微分融解曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる遺伝子変異検出用プローブは、P1、P1−1、P1’及びP1’−1からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチドであり、目的遺伝子変異と非目的遺伝子変異とを含む対象遺伝子をコードする塩基配列における該目的遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブである。
これにより本発明にかかる遺伝子変異検出用プローブは、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出する。
【0014】
本発明にかかる遺伝子変異検出方法は、前記遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブを少なくとも1種用いて、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、遺伝子変異検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる目的遺伝子変異を検出することを含む方法である。
本発明にかかる遺伝子変異検出用試薬セットは、目的遺伝子変異を検出するための前記遺伝子変異検出用プローブを含むものである。
【0015】
本発明において、検出対象となる試料中の試料核酸、遺伝子変異検出用プローブ又はプライマーの個々の配列に関して、これら互いの相補的な関係に基づいて記述された事項は、特に断らない限り、それぞれの塩基配列と、各塩基配列に対して相補的な塩基配列とについても適用される。各塩基配列に対して相補的な当該塩基配列について本発明の事項を適用する際には、当該相補的な塩基配列が認識する塩基配列は、当業者にとっての技術常識の範囲内で、対応する本明細書に記載された配列に相補的な配列に、明細書全体を読み替えるものとする。
【0016】
本発明において、「Tm値」とは、二本鎖核酸が解離する温度(解離温度:Tm)であって、一般に、260nmにおける吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。即ち、二本鎖核酸、例えば、二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。Tm値は、この現象に基づき設定される。
本発明において、オリゴヌクレオチドの配列に関して「3’末端から数えて1〜3番目」という場合は、オリゴヌクレオチド鎖の3’末端を1番目として数える。同様に「5’末端から数えて1〜3番目」という場合は、オリゴヌクレオチド鎖の5’末端を1番目として数える。
【0017】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
【0018】
<遺伝子変異検出用プローブ>
本発明にかかる遺伝子変異検出用プローブは、下記P1、P1−1、P1’及びP1’−1からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチドであり、目的遺伝子変異と非目的遺伝子変異とを含む対象遺伝子をコードする塩基配列における該目的遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブである。
これにより、本発明にかかる遺伝子変異検出用プローブは、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出する。
(P1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;
(P1−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基を有する配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド;
(P1’)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;及び
(P1’−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【0019】
アデニン(A)及びチミン(T)と、グアニン(G)及びシトシン(C)とはそれぞれ水素結合を形成する。AT対が2つの水素結合を形成するのに対し、GC対は3つの水素結合を形成する。つまり「A―T間」、「G−C間」で水素結合が形成され、二重螺旋構造が維持される。これら以外の塩基の組み合わせでは二重螺旋構造を維持するのに十分な水素結合を形成することができない。
【0020】
例えば、試料核酸に含まれる非目的遺伝子変異を示す塩基における野生型と変異型との塩基の組み合わせが、A及びTの組み合わせである場合に、遺伝子変異検出用プローブにおける非相補的な塩基をC又はGにすれば、非目的遺伝子変異を示す塩基(A及びTから選ばれる塩基)と、非相補的な塩基(C又はG)とは水素結合せず、該遺伝子変異検出用プローブのTm値は非目的遺伝子変異の影響を受けることがない。一方、遺伝子変異検出用プローブにおける非相補的な塩基をAにすれば、試料核酸に含まれる非目的遺伝子変異を示す塩基がAの場合には水素結合せず、Tの場合には水素結合することになる。このような状況下において、該遺伝子変異検出用プローブのTm値は、目的遺伝子変異の影響だけではなく、非目的遺伝子変異の影響をも受けることになり、該遺伝子変異検出用プローブを用いた場合には、適切に目的遺伝子変異の状態を検出することができなくなる。
【0021】
このように、対象遺伝子をコードする塩基配列に含まれる複数の遺伝子変異において、該塩基配列に相補的な塩基配列に対して相同性を有する遺伝子変異検出用プローブを用いて、目的遺伝子変異を検出する場合、非目的遺伝子変異を示す塩基を、該非目的遺伝子変異の正常型と変異型とのいずれにも結合しない塩基(非相補的な塩基)にすることにより、本発明にかかる前記(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドからなる遺伝子変異検出用プローブは、非目的遺伝子変異の塩基型の影響を受けず、目的遺伝子変異を特異的に検出することが可能となる。
同様に、対象遺伝子をコードする塩基配列に含まれる複数の遺伝子変異において、該塩基配列と同一の塩基配列に対して相同性を有する遺伝子変異検出用プローブを用いて、目的遺伝子変異を検出する場合、非目的遺伝子変異を示す塩基を、該非目的遺伝子変異の正常型と変異型とのいずれにも結合しない塩基(異なる塩基)にすることにより、本発明にかかる前記(P1’)又は(P1’−1)オリゴヌクレオチドからなる遺伝子変異検出用プローブは、非目的遺伝子変異の塩基型の影響を受けず、目的遺伝子変異を特異的に検出することが可能となる。
【0022】
本発明における遺伝子変異検出用プローブは、単一塩基置換型、欠失型及び挿入型からなる変異のうち、いずれの変異であっても認識することが可能である。中でも、本発明における遺伝子変異検出用プローブは、検出感度の観点より、単一塩基置換型の変異(単一塩基変異)を認識する遺伝子変異検出用プローブとして特に有用である。
【0023】
本発明にかかる(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドは、非目的遺伝子変異を除き、目的遺伝子変異が含まれる遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列に対して、相同性を有するものである。
一方、(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドは、非目的遺伝子変異を除き、目的遺伝子変異が含まれる遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基配列に対して、相同性を有するものである。
【0024】
本発明における対象遺伝子には、公知の遺伝子全てが適用可能である。また、本発明における対象遺伝子には、構造遺伝子及び転写調節領域のいずれかが含まれる。
本明細書において転写調節領域とは、遺伝子シグナル配列の5'上流領域に多く存在する(第一イントロンに存在してもよい)配列であり、RNAポリメラーゼが遺伝子からRNAを転写する時に、その転写を制御する配列である。
なお、構造遺伝子においては、エクソンの部位又はイントロンの部位に遺伝子変異が存在していてもよく、遺伝子変異はエクソンの部位に存在していてもよい。
【0025】
本発明において「相同性を有する」とは、本発明の遺伝子変異検出用プローブをコードする塩基配列と、「前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列」とを比較した際に、80%〜100%の相同性を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。また、検出感度の観点より、85%以上の同一性、90%以上の同一性、95%以上の同一性、96%以上の同一性、97%以上の同一性、98%以上の同一性又は99%以上の同一性を示してもよい。
相同性が80%以上であれば、検出対象となる目的遺伝子変異が含まれる対象遺伝子を含む試料核酸に対する検出感度が良好となる。
【0026】
本発明において「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」について、以下に説明する。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001) に記載の方法等に従って行うことができる。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。典型的なストリンジェントな条件とは、例えば、カリウム濃度は約25mM〜約50mM、及びマグネシウム濃度は約1.0mM〜約5.0mM中において、ハイブリダイゼーションを行う条件があげられる。本発明の条件の1例としてTris−HCl(pH8.6)、25mMのKCl、及び1.5mMのMgCl2中においてハイブリダイゼーションを行う条件が、挙げられるが、これに限定されるものではない。その他、ストリンジェントな条件としては、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。当業者は、ハイブリダイゼーション反応や、ハイブリダイゼーション反応液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。
【0027】
以下、本発明にかかる(P1)、(P1−1)、(P1’)及び(P1’−1)のオリゴヌクレオチドについて説明する。必要に応じて、配列番号1又は配列番号2に示す塩基配列を例に挙げて説明するが、本発明にかかる(P1)、(P1−1)、(P1’)及び(P1’−1)のオリゴヌクレオチドはこれに限定されるものではない。
【0028】
配列番号1に示す塩基配列は、薬物代謝酵素であるCYP3A4遺伝子変異(CYP3A4*1B rs2740574)をコードする塩基配列である。CYP3A4をコードするCYP3A4遺伝子は、ヒトの第7染色体に位置する。CYP3A4遺伝子変異は、例えば、免疫抑制剤タクロリムス等の薬物代謝との関連が報告されている(Clin.Pharmacol.Ther.、2006年、Vol.80、p.179−191)。したがってCYP3A4遺伝子における変異の検出結果は、より効果的な疾患の治療方法の選択の際等に、極めて重要な情報である。
ここで、CYP3A4遺伝子変異のrs2740574は、配列番号1の501番目の塩基である。このrs番号は、National Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)の登録番号を示す(以下同様である)。CYP3A4遺伝子の野生型では、配列番号1に示す塩基配列の501番目に対応する塩基はA(アデニン)であるが、変異型においてはG(グアニン)に変異している。
配列番号2に示す塩基配列は、配列番号1で示される塩基配列中、501番目の目的遺伝子変異を検出するための本発明にかかる遺伝子変異検出用プローブの一例を示したものである。
【0029】
本発明における、対象遺伝子をコードする塩基配列は、複数の遺伝子変異を含む。具体的には、前記対象遺伝子をコードする塩基配列は、2以上の遺伝子変異を含んでおり、例えば3の遺伝子変異、4の遺伝子変異を含んでいてもよい。
対象遺伝子をコードする塩基配列に含まれる複数の遺伝子変異のうち、目的遺伝子変異は、対象遺伝子をコードする塩基配列から、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、配列番号1のCYP3A4遺伝子をコードする塩基配列においては、501番目の遺伝子変異が、検出対象となる目的遺伝子変異として選択される。そのため、配列番号1を例にとると、本発明にかかる「目的遺伝子変異を示す塩基」には、A(アデニン)又はG(グアニン)が該当する。
【0030】
(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基」には、T(チミン)又はC(シトシン)が該当する。
(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「非目的遺伝子変異を示す塩基」には、配列番号1に示す塩基配列の507番目のRが該当する。507番目のRは、野生型においてはA(アデニン)であるが、変異型においてはG(グアニン)に変異している。
(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基」には、A(アデニン)又はG(グアニン)が該当する。
【0031】
(P1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列」には、CYP3A4遺伝子をコードする塩基配列中、496番目〜516番目の塩基から形成される塩基配列に相補的な塩基配列が該当する。
(P1−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基を有する配列」には、CYP3A4遺伝子をコードする塩基配列中、496番目〜516番目の塩基から形成される塩基配列と同一の塩基を有する配列が該当する。
【0032】
(P1’)又は(P1’−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基」には、A(アデニン)又はG(グアニン)が該当する。
(P1’)又は(P1’−1)オリゴヌクレオチドにおいて、配列番号1に示す塩基配列を例にとると、「非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基」には、T(チミン)又はC(シトシン)が該当する。
(P1’)又は(P1’−1)オリゴヌクレオチドについては、(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドと共通する、上記以外の点については、前記(P1)又は(P1−1)オリゴヌクレオチドについて記載した全ての事項が適用される。
【0033】
なお、目的遺伝子変異を示す塩基が、1個の野生型の塩基及び1個の変異型の塩基である場合、1個の野生型の塩基及び2個の変異型の塩基である場合、並びに1個の野生型の塩基及び3個の変異型の塩基である場合のいずれの場合も、本発明における「目的遺伝子変異」に包含される。
【0034】
本発明における(P1)、(P1−1)、(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドは、下記(a)から(f)のうちのいずれか1つの関係を満たすものが挙げられる。
(a)前記非目的遺伝子変異が、A及びTから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はC又はGである。
(b)前記非目的遺伝子変異が、C及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はA又はTである。
(c)前記非目的遺伝子変異が、A及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はCであり、前記異なる塩基はT又はGである。
(d)前記非目的遺伝子変異が、A及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はGであり、前記異なる塩基はT又はCである。
(e)前記非目的遺伝子変異が、T及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はCであり、前記異なる塩基はA又はGである。
(f)前記非目的遺伝子変異が、T及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はGであり、前記異なる塩基はA又はCである。
【0035】
また、本発明における前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドには、前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドに塩基が挿入、欠失又は置換したオリゴヌクレオチドも本発明におけるオリゴヌクレオチドに包含される。
当該塩基が挿入、欠失又は置換したオリゴヌクレオチドは、前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドと同等程度の作用を示せばよい。塩基が挿入、欠失又は置換されている場合、その挿入、欠失又は置換の位置は、特に限定されない。挿入、欠失又は置換した塩基の数としては1塩基又は2塩基以上が挙げられ、オリゴヌクレオチド全体の長さによって異なるが、例えば1塩基〜10塩基又は1塩基〜5塩基が挙げられる。
【0036】
本発明の前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドの長さとしては、11mer〜60merである場合が挙げられる。当該範囲である場合には、遺伝子変異の検出感度が良好となる。
また、本発明の前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドの長さとしては、12mer〜55mer、15mer〜45mer、又は18mer〜40merとしうる。12mer〜55merという範囲にすることができる。これにより、例えば検出感度が高くなる等の傾向ある。
また前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドの塩基長を変化させることで、例えば前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドがその相補鎖(標的配列)と形成するハイブリッドの解離温度であるTm値を、所望の値に調整することができる。
【0037】
以下、本発明の遺伝子変異検出用プローブを設計するための方法について、具体例を挙げて説明する。しかし、本発明はこれらに限定されない。
【0038】
配列番号3に示す塩基配列は、rs20542を含む配列である。配列番号3に示す塩基配列には、251番目における目的遺伝子変異と、その近傍の256番目に非目的遺伝子変異が含まれる。
この場合、前記(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、251番目の塩基に対して相補的な塩基を選択し、256番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、非相補的な塩基を選択する。
具体的には、表1中、配列番号4又は配列番号5で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
また、前記(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、251番目の塩基に対して同一の塩基を選択し、256番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、異なる塩基を選択する。
具体的には、表1中、配列番号6又は配列番号7で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
【0039】
得られた配列番号4〜配列番号7で示される遺伝子変異検出用プローブのうち、いずれかのプローブを用いることで、配列番号3で示す塩基配列における251番目における目的遺伝子変異の有無を検出するにあたり、該251番目の塩基の近傍に非目的遺伝子変異が存在する場合においても、該251番目の目的遺伝子変異の有無を特異的に検出することが可能となる。
表1中、下線を付した大文字は、検出対象となる目的遺伝子変異を示し、下線を付していない大文字は、非目的遺伝子変異を示す。以下同様である。
【0040】
【表1】

【0041】
配列番号8に示す塩基配列は、rs11881222を含む配列である。配列番号8に示す塩基配列には、355番目における目的遺伝子変異と、その近傍の364番目に非目的遺伝子変異とが含まれている。
この場合、前記(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、355番目の塩基に対して相補的な塩基を選択し、364番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、非相補的な塩基を選択する。具体的には、表2中、配列番号9又は配列番号10で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
また、前記(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、355番目の塩基に対して同一の塩基を選択し、364番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、異なる塩基を選択する。具体的には、表2中、配列番号11又は配列番号12で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
【0042】
得られた配列番号9〜配列番号12で示される遺伝子変異検出用プローブのうち、いずれかのプローブを用いることで、配列番号8で示す塩基配列における、355番目における目的遺伝子変異の有無を検出するにあたり、該355番目の塩基の近傍に非目的遺伝子変異が存在する場合においても、該355番目における目的遺伝子変異の有無を特異的に検出することが可能となる。
【0043】
【表2】

【0044】
配列番号13に示す塩基配列は、rs80230660を含む配列である。配列番号13に示す塩基配列には、201番目における目的遺伝子変異と、その近傍の187番目に非目的遺伝子変異とが含まれる。
この場合、前記(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、201番目の塩基に対して相補的な塩基を選択し、187番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、非相補的な塩基を選択する。具体的には、表3中、配列番号14又は配列番号15で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
また、前記(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、201番目の塩基に対して同一の塩基を選択し、塩基187番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、異なる塩基を選択する。具体的には、表3中、配列番号16又は配列番号17で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
【0045】
得られた配列番号14〜配列番号17で示される遺伝子変異検出用プローブのうち、いずれかのプローブを用いることで、配列番号13で示す塩基配列において、201番目における目的遺伝子変異の有無を検出するにあたり、該201番目の塩基の近傍に非目的遺伝子変異が存在する場合においても、該201番目における目的遺伝子変異の有無を特異的に検出することが可能となる。
【0046】
【表3】

【0047】
配列番号13に示す塩基配列には、187番目における目的遺伝子変異と、その近傍の201番目の非目的遺伝子変異とが含まれる。
この場合、前記(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、187番目の塩基に対して相補的な塩基を選択し、201番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、非相補的な塩基を選択する。具体的には、表4中、配列番号18で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
また、前記(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、187番目の塩基に対して同一の塩基を選択し、201番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、異なる塩基を選択する。具体的には、表4中、配列番号19で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
【0048】
得られた配列番号18又は配列番号19で示される遺伝子変異検出用プローブのうち、いずれかのプローブを用いることで、配列番号13で示す塩基配列における、187番目における目的遺伝子変異の有無を検出するにあたり、該187番目の塩基の近傍に非目的遺伝子変異が存在する場合においても、該187番目における目的遺伝子変異の有無を特異的に検出することが可能となる。
【0049】
【表4】

【0050】
配列番号20に示す塩基配列は、rs74182491を含む配列である。配列番号20に示す塩基配列には、247番目における目的遺伝子変異と、その近傍の251番目の非目的遺伝子変異とが含まれる。
この場合、前記(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、247番目の塩基に対して相補的な塩基を選択し、251番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、非相補的な塩基を選択する。具体的には、表5中、配列番号21又は配列番号22で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
また、前記(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブは、247番目の塩基と同一の塩基を選択し、251番目の非目的遺伝子変異を示す塩基に対しては、異なる塩基を選択する。具体的には、表5中、配列番号23又は配列番号24で示される遺伝子変異検出用プローブが挙げられる。
【0051】
得られた配列番号21〜配列番号24で示される遺伝子変異検出用プローブのうち、いずれかのプローブを用いることで、配列番号20で示す塩基配列の中で、247番目における目的遺伝子変異の有無を検出するにあたり、該247番目の塩基の近傍に非目的遺伝子変異が存在する場合においても、該247番目における目的遺伝子変異の有無を特異的に検出することが可能となる。
【0052】
【表5】

【0053】
なお、目的遺伝子変異の近傍に存在する非目的遺伝子変異が、上述したような単一塩基置換変異である場合だけではなく、欠失型変異や挿入型変異が存在する場合においても、本発明に従えば検出感度の高い遺伝子変異検出用プローブを提供することができる。
非目的遺伝子変異が欠失型変異である場合には、欠失型変異を示す塩基に対して非相補的な塩基を選択し、その他は上述の方法に従うことにより、本発明にかかる(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブを得ることができる。具体的には、Aが欠失した変異である場合には、該Aに相当する塩基を、Aに非相補的な塩基であるA、C及びGから選ばれる塩基の少なくとも一つの塩基にすればよい。
同様に、非目的遺伝子変異が欠失型変異である場合には、欠失型変異を示す塩基に対して異なる塩基を選択し、その他は上述の方法に従うことにより、本発明にかかる(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブを得ることができる。具体的には、Aが欠失した変異である場合には、該Aに相当する塩基を、Aとは異なる塩基であるG、T及びCから選ばれる塩基の少なくとも一つの塩基にすればよい。
【0054】
非目的遺伝子変異が挿入型変異である場合には、挿入型変異を示す塩基に対して非相補的な塩基を選択し、その他は上述の方法に従うことにより、本発明にかかる(P1)又は(P1−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブを得ることができる。具体的には、Gが挿入された変異である場合には、該Gに相当する塩基を、Gに非相補的な塩基であるA、T及びGから選ばれる塩基の少なくとも一つの塩基にすればよい。
同様に、非目的遺伝子変異が挿入型変異である場合には、挿入型変異を示す塩基に対して異なる塩基を選択し、その他は上述の方法に従うことにより、本発明にかかる(P1’)又は(P1’−1)のオリゴヌクレオチドに該当する遺伝子変異検出用プローブを得ることができる。具体的には、Gが挿入された変異である場合には、該Gに相当する塩基を、Gとは異なる塩基であるA、T及びCから選ばれる塩基の少なくとも一つの塩基にすればよい。
【0055】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少(消光)するかまたは増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドであってもよい。その中でも標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少する蛍光標識オリゴヌクレオチドであってもよい。このような蛍光消光現象(Quenching phenomenon)を利用したプローブは、一般的に、グアニン消光プローブと呼ばれており、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。中でも、オリゴヌクレオチドを3'末端もしくは5'末端がCとなるように設計し、その末端のCが、Gに近づくと発光が弱くなるように蛍光色素で標識化されたオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0056】
なお、Q Probeを用いた検出方法以外にも、公知の検出様式を適用してもよい。このような検出様式としては、Taq−man Probe法、Hybridization Probe法、Moleculer Beacon法又はMGB Probe法などを挙げることができる。
【0057】
前記蛍光色素としては、特に制限されないが、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等が挙げられる。これらの蛍光色素の市販品としては、例えば、Pacific Blue、BODIPY FL、FluorePrime、Fluoredite、FAM、Cy3及びCy5、TAMRA等が挙げられる。
蛍光標識オリゴヌクレオチドの検出条件は特に制限されず、使用する蛍光色素により適宜決定できる。例えば、Pacific Blueは、検出波長445nm〜480nm、TAMRAは、検出波長585nm〜700nm、BODIPY FLは、検出波長520nm〜555nmで検出できる。
このような蛍光色素を有するプローブを使用すれば、それぞれの蛍光シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。蛍光色素のオリゴヌクレオチドへの結合は、通常の方法、例えば特開2002−119291号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
【0058】
また前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、例えば、3'末端にリン酸基が付加されてもよい。蛍光標識オリゴヌクレオチドの3'末端にリン酸基を付加させておくことにより、プローブ自体が遺伝子増幅反応によって伸長することを十分に抑制できる。後述するように、変異の有無を検出するDNA(標的DNA)は、PCR等の遺伝子増幅法によって調製することができる。その際、3'末端にリン酸基が付加された蛍光標識オリゴヌクレオチドを用いることで、これを増幅反応の反応液中に共存させることができる。
また、3'末端に前述のような標識化物質(蛍光色素)を付加することによっても、同様の効果が得られる。
【0059】
前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドは、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出するための遺伝子変異検出用プローブとして使用することができる。
また、前記遺伝子変異検出用プローブは、融解曲線分析用のプローブとして使用することができる。
【0060】
<プライマー>
後述する本発明における遺伝子変異検出方法では、検出対象となる目的遺伝子変異を含む配列をPCR法により増幅する場合には、プライマーが用いられる。
本発明において使用しうるプライマーは、検出対象となる目的遺伝子の遺伝子変異の部位である、例えば、配列番号1で示される塩基配列のうち501番目の塩基及び507番目の塩基に対応する塩基を含む核酸を増幅可能であれば特に制限されない。
【0061】
PCR法に適用するプライマーは、本発明の遺伝子変異検出用プローブがハイブリダイゼーションできる領域が増幅できるものであれば特に制限されず、例えば、配列番号1で示される塩基配列から、当業者であれば適宜設計することができる。プライマーの長さ及びTm値は、通常には、12mer〜40mer及び40℃〜70℃、又は16mer〜30mer及び55℃〜60℃にすることができる。
また、プライマーセットの各プライマーの長さは同一でなくてもよいが、両プライマーのTm値はほぼ同一(又は、Tm値の両プライマーでの差が5℃以内)であってもよい。
遺伝子変異の検出方法は前記蛍光標識ヌクレオチドをプローブとして利用する方法であれば、特に制限されない。前記P1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる遺伝子変異検出方法の一例として、Tm解析を利用した遺伝子変異検出方法について、以下に説明する。
【0062】
<遺伝子変異検出方法>
本発明にかかる遺伝子変異検出方法は、前記蛍光標識されたP1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチドを含む遺伝子変異検出用プローブ(以下、「蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブ」ともいう。)を少なくとも1種用いて遺伝子変異を検出することを含む遺伝子変異検出方法である。
本発明にかかる遺伝子変異検出方法によれば、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブを少なくとも1種含むことにより、遺伝子変異を簡便に、感度よく検出可能にする。
また、本発明の遺伝子変異検出方法は、様々なヒト遺伝子における遺伝子変異の検出方法であって、下記工程(I)〜(IV)を含むことができ、下記工程(V)を含んでいてもよい。なお、本発明の遺伝子変異検出方法は、前記遺伝子変異検出用プローブを使用することが特徴であって、その他の構成や条件等は、以下の記載に制限されない。
(I)前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブ及び試料中の一本鎖核酸を接触させて、ハイブリッドを得ること。
(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定すること。
(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいてハイブリッドの解離温度であるTm値を測定すること。
(IV)前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、遺伝子変異の存在又は遺伝子変異を有する一本鎖核酸の存在比を検出すること。
(V)前記多型の存在に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、多型を有する一本鎖核酸の存在比を検出すること。
【0063】
また、本発明においては、上記工程(I)〜(IV)又は上記工程(I)〜(V)に加えて、さらに、工程(I)のハイブリッドを得る前又は工程(I)のハイブリッドを得ることと同時に、核酸を増幅することを含んでいてもよい。
なお、(III)でTm値を測定することには、ハイブリッドの解離温度を測定することだけでなく、ハイブリット形成体の融解時に温度に応じて変動する蛍光シグナルの微分値の大きさを測定することを含んでもよい。
【0064】
本発明において、試料中の核酸は、一本鎖核酸でもよいし二本鎖核酸であってもよい。前記核酸が二本鎖核酸の場合は、例えば、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブとハイブリダイズすることに先立って、加熱により前記試料中の二本鎖核酸を融解(解離)させて一本鎖核酸とすることを含んでもよい。二本鎖核酸を一本鎖核酸に解離することによって、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブとのハイブリダイズが可能となる。
【0065】
本発明において、検出対象である試料に含まれる核酸は、例えば、生体試料に元来含まれる核酸でもよいが、検出精度が向上できることから、生体試料に元来含まれている核酸を鋳型としてPCR等により目的遺伝子の変異した部位を含む領域を増幅させた増幅産物であってもよい。増幅産物の長さは、特に制限されないが、例えば、50mer〜1000mer、又は80mer〜200merにすることができる。また、試料中の核酸は、例えば、生体試料由来のRNA(トータルRNA、mRNA等)からRT−PCR(Reverse Transcription PCR)により合成したcDNAであってもよい。
【0066】
本発明において、前記試料中の核酸に対する、本発明の多型検出用プローブの添加割合(モル比)は特に制限されない。試料中のDNAに対して例えば1倍以下がにすることができる。また、十分な検出シグナル確保の観点より、前記試料中の核酸に対する、本発明の多型検出用プローブの添加割合(モル比)は、0.1倍以下としうる。
ここで、試料中の核酸とは、例えば、検出目的の多型が発生している検出対象核酸と前記多型が発生していない非検出対象核酸との合計でもよいし、検出目的の多型が発生している検出対象配列を含む増幅産物と前記多型が発生していない非検出対象配列を含む増幅産物との合計でもよい。なお、試料中の核酸における前記検出対象核酸の割合は、通常、不明であるが、結果的に、前記多型検出用プローブの添加割合(モル比)は、検出対象核酸(検出対象配列を含む増幅産物)に対して10倍以下としうる。また、前記多型検出用プローブの添加割合(モル比)は、検出対象核酸(検出対象配列を含む増幅産物)に対して、5倍以下、又は3倍以下としうる。また、その下限は特に制限されないが、例えば、0.001倍以上、0.01倍以上、又は0.1倍以上としうる。
【0067】
前記DNAに対する本発明における蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブの添加割合は、例えば、二本鎖核酸に対するモル比でもよいし、一本鎖核酸に対するモル比でもよい。
【0068】
本発明において、Tm値を決定するための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から260nmの吸光度測定により行うこともできるが、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブに付加した標識のシグナルに基づくシグナルであって、一本鎖DNAと前記遺伝子変異検出用プローブとのハイブリッド形成の状態に応じて変動するシグナルを測定するものとする。このため、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブとして、前述の蛍光標識オリゴヌクレオチドを使用することができる。蛍光標識されたP1、P1−1、P1’又はP1’−1のオリゴヌクレオチド(以下、まとめて「蛍光標識オリゴヌクレオチド」ともいう。)としては、例えば、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少(消光)する蛍光標識オリゴヌクレオチド、または標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が増加する蛍光標識オリゴヌクレオチドが挙げられる。
前者のようなプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成している際には蛍光シグナルを示さないか、蛍光シグナルが弱いが、加熱によりプローブが解離すると蛍光シグナルを示すようになるか、蛍光シグナルが増加する。
また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成することによって蛍光シグナルを示し、加熱によりプローブが解離すると蛍光シグナルが減少(消失)する。したがって、この蛍光標識に基づく蛍光シグナルの変化を蛍光標識特有の条件(蛍光波長等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行ならびにTm値の決定を行うことができる。
【0069】
次に、本発明の遺伝子変異検出方法について、蛍光色素に基づくシグナルの変化を検出する方法について具体的例を挙げて説明する。なお、本発明の遺伝子変異検出方法は、前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブを使用すること自体が特徴であり、その他の工程や条件については何ら制限されない。
【0070】
核酸増幅を行う際の鋳型となる核酸を含む試料としては、核酸、特に目的遺伝子を含んでいればよく、特に制限されない。例えば、大腸や肺等の組織、白血球細胞等の血球、全血、血漿、喀痰、口腔粘膜懸濁液、爪や毛髪等の体細胞、生殖細胞、乳、腹水液、パラフィン包埋組織、胃液、胃洗浄液、尿、腹膜液、羊水、細胞培養などの任意の生物学的起源に由来する又は由来しうるものを挙げられる。なお、試料の採取方法、核酸を含む試料の調製方法等は、制限されず、いずれも従来公知の方法が採用できる。また、鋳型となる核酸は、該起源から得られたままで直接的に、あるいは該サンプルの特性を改変するために前処理した後で使用することができる。
例えば、全血を試料とする場合、全血からのゲノムDNAの単離は、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、市販のゲノムDNA単離キット(商品名GFX Genomic Blood DNA Purification kit;GEヘルスケアバイオサイエンス社製)等が使用できる。
【0071】
次に、単離したゲノムDNAを含む試料に、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドを含む蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブを添加する。
前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブは、単離したゲノムDNAを含む液体試料に添加してもよいし、適当な溶媒中でゲノムDNAと混合してもよい。前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、Tris−HCl等の緩衝液、KCl、MgCl、MgSO、グリセロール等を含む溶媒、PCR反応液等、従来公知のものが挙げられる。
【0072】
前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブの添加のタイミングは、特に制限されず、例えば、後述するPCR等の増幅処理を行う場合、増幅処理の後に、PCR増幅産物に対して添加してもよいし、増幅処理前に添加してもよい。
このようにPCR等による増幅処理前に前記蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブを添加する場合は、例えば、前述のように、その3'末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることができる。
【0073】
核酸増幅の方法としては、例えばポリメラーゼを用いる方法等が挙げられる。その例としては、PCR法、ICAN法、LAMP法、NASBA法等が挙げられる。ポリメラーゼを用いる方法により増幅する場合としては、本発明における蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブの存在下で増幅を行うことが挙げられる。用いる蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブ及びポリメラーゼに応じて、増幅の反応条件等を調整することは当業者であれば容易である。これにより、核酸の増幅後に蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブのTm値を解析するだけで遺伝子変異を検出できるので、反応終了後増幅産物を取り扱う必要がない。よって、増幅産物による汚染の心配がない。また、増幅に必要な機器と同じ機器で検出することが可能なので、容器を移動する必要がなく、自動化も容易である。
【0074】
またPCR法に用いるDNAポリメラーゼとしては、通常用いられるDNAポリメラーゼを特に制限なく用いることができる。例えば、GeneTaq(ニッポンジーン社製)、PrimeSTAR Max DNA Polymerase(タカラバイオ社製)、Taq ポリメラーゼ等を挙げることができる。
ポリメラーゼの使用量としては、通常用いられている濃度であれば特に制限はない。例えば、Taqポリメラーゼを用いる場合、例えば、反応溶液量50μlに対して0.01U〜100Uの濃度とすることができる。
【0075】
またPCR法は、通常用いられる条件を適宜選択することで行うことができる。
なお、増幅の際、リアルタイムPCRによって増幅をモニタリングし、試料に含まれるDNA(検出対象配列)のコピー数を調べることもできる。すなわち、PCRによるDNA(検出対象配列)の増幅に従ってハイブリッドを形成するプローブの割合が増えるので蛍光強度が変動する。これをモニタリングすることで、試料に含まれる検出対象配列(正常DNAまたは変異DNA)のコピー数や存在比を検出することができる。
【0076】
本発明の遺伝子変異検出方法においては、前記蛍光標識オリゴヌクレオチドと、試料中の一本鎖核酸とを接触させて、両者をハイブリダイズさせる。試料中の一本鎖核酸は、例えば、上記のようにして得られたPCR増幅産物を解離することで調製することができる。
【0077】
前記PCR増幅産物の解離(解離工程)における加熱温度は、前記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されない。例えば、85℃〜95℃である。加熱時間も特に制限されない。加熱時間は、例えば1秒〜10分、又は1秒〜5分としうる。
【0078】
また、解離した一本鎖DNAと前記蛍光標識オリゴヌクレオチドとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、40℃〜50℃である。
【0079】
ハイブリダイズ工程の反応液における各組成の体積や濃度は、特に制限されない。具体例としては、前記反応液におけるDNAの濃度は、例えば、0.01μM〜1μM、又は0.1μM〜0.5μMとしうる。前記蛍光標識オリゴヌクレオチドの濃度は、例えば、前記DNAに対する添加割合を満たす範囲であり、例えば、0.001μM〜10μM、又は0.001μM〜1μMとしうる。
【0080】
そして、得られた前記一本鎖DNAと前記蛍光標識オリゴヌクレオチドとのハイブリッドを徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光シグナルの変動を測定する。例えば、QProbeを使用した場合、一本鎖DNAとハイブリダイズした状態では、解離した状態に比べて蛍光強度が減少(または消光)する。したがって、例えば、蛍光が減少(または消光)しているハイブリッドを徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
【0081】
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃、又は25℃〜70℃としうる。終了温度は、例えば、40℃〜105℃としうる。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.1℃/秒〜20℃/秒、又は0.3℃/秒〜5℃/秒としうる。
【0082】
次に、前記シグナルの変動を解析してTm値として決定する。具体的には、得られた蛍光強度から各温度における微分値(−d蛍光強度/dt)を算出し、最も低い値を示す温度をTm値として決定できる。また、単位時間当たりの蛍光強度増加量(蛍光強度増加量/t)が最も高い点をTm値として決定することもできる。なお、蛍光標識された遺伝子変異検出用プローブとして、消光プローブではなく、ハイブリッド形成によりシグナル強度が増加するプローブを使用した場合には、反対に、蛍光強度の減少量を測定すればよい。
【0083】
また、本発明においては、前述のように、ハイブリッドを加熱して、温度上昇に伴う蛍光シグナル変動(好ましくは蛍光強度の増加)を測定するが、この方法に代えて、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動の測定を行ってもよい。すなわち、前記プローブを添加した試料の温度を降下させてハイブリッドを形成する際の前記温度降下に伴う蛍光シグナル変動を測定してもよい。
【0084】
具体例として、QProbeを使用した場合、前記プローブを試料に添加した際には、前記プローブは解離状態にあるため蛍光強度が大きいが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記加熱した試料の温度を徐々に降下して、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。
他方、ハイブリッド形成によりシグナルが増加するプローブを使用した場合、前記プローブを試料に添加した際には、前記プローブは解離状態にあるため蛍光強度が小さい(または消光)が、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光強度が増加するようになる。したがって、例えば、前記試料の温度を徐々に降下して、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
複数の遺伝子多型を、同一の系で検出する方法としては、特に制限されるものではない。例えば、各多型を検出できる各プローブを予め混合し、試料に添加してもよいし、一本鎖核酸を含む試料に各多型を検出できる各プローブを連続的に添加してもよい。
ここで、「系」とは、蛍光標識オリゴヌクレオチド及び一本鎖核酸がハイブリダイズしたハイブリッドを含む試料で形成される1個の独立した反応系を意味する。
【0085】
<遺伝子変異検出用試薬キット>
本発明の遺伝子変異検出用試薬キットは、上述した遺伝子変異検出用プローブを含む。
この遺伝子変異検出用試薬キットには、遺伝子をコードする塩基配列が複数の遺伝子変異を含んでいたとしても、検出対象外の遺伝子変異の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異を特異的に検出することが可能な既述の遺伝子変異検出用プローブの少なくとも1種を含むことにより、遺伝子変異の検出をより簡便に行うことができるなどの傾向がある。
【0086】
遺伝子変異検出用プローブとして2種以上のオリゴヌクレオチドを含む場合、それぞれのオリゴヌクレオチドは混合された状態で含まれていても、別個に含まれていてもよい。
2種以上の前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは発光波長が互いに異なる蛍光色素で標識化されていてもよい。
このように蛍光色素の種類を変えることで、同じ反応系であっても、それぞれの蛍光標識オリゴヌクレオチドについての検出を同時に行うことも可能になる。
【0087】
また、本発明における遺伝子変異検出用試薬キットは、前記遺伝子変異検出用プローブがハイブリダイズする領域を有する塩基配列を増幅するためのプライマーをさらに含んでいてもよい。
【0088】
なお、多型検出用試薬キットに含まれ得るプローブ及びプライマーについては、前述した事項をそのまま適用することができる。
【0089】
また、本発明における遺伝子変異検出用試薬キットは、前記遺伝子変異検出用プローブ及び前記プライマーの他に、本発明の検出方法における核酸増幅を行うのに必要とされる試薬類をさらに含んでいてもよい。また、遺伝子変異検出用プローブ、プライマー及びその他の試薬類は、別個に収容されていてもよいし、それらの一部が混合物とされていてもよい。
なお、「別個に収容」とは、各試薬が非接触状態を維持できるように区分けされたものであればよく、必ずしも独立して取り扱い可能な個別の容器に収容される必要はない。
遺伝子変異を示す塩基を含む塩基配列(遺伝子変異検出用プローブがハイブリダイズする領域)を増幅するためのプライマーセットを含むことで、例えば、より高感度に遺伝子変異を検出することができる。
【0090】
さらに本発明の遺伝子変異検出用試薬キットは、前記遺伝子変異検出用プローブを使用して、検出対象である核酸を含む試料について微分融解曲線を作成し、そのTm値解析を行って、遺伝子をコードする塩基配列における遺伝子変異を検出することが記載された取扱い説明書、又は遺伝子変異検出用試薬キットに含まれる若しくは追加的に含むことが可能な各種の試薬について記載された使用説明書を含むことができる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。
【0092】
[実施例1]
全自動SNPs検査装置(商品名i−densy(商標)、アークレイ社製)と、下記表6に記載した処方の検査用試薬を用いて、Tm解析を行った。
【0093】
【表6】

【0094】
なお、上記表6で使用したプローブ(配列番号2)の詳細を以下の表7に示し、鋳型(相補鎖)(ID−1〜ID−16)の詳細を以下の表8及び表9に示す。なお、プローブ中の3’末端の括弧内は蛍光色素の種類を示す。
Tm値は、Meltcalc 99 free(http://www.meltcalc.com/)を用い、設定条件:Oligoconc[μM]0.2、Na eq.[mM]50の条件で算出した。
表7中、Tm(WT)は、検出対象の遺伝子変異が、野生型である際のTm値を示し、Tm(mt)は、検出対象の遺伝子変異が、変異型である際のTm値を示す。Δは、mt(変異型)とWT(野生型)のTm値の差を示す。
【0095】
【表7】

【0096】
【表8】

【0097】
【表9】

【0098】
Tm解析は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、続けて温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から80℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。
【0099】
なお、蛍光色素Pacific Blueの励起波長は365nm〜415nmであり、検出波長は445nm〜480nmであり、各波長により、蛍光標識プローブに由来する蛍光強度の変化をそれぞれ測定した。
【0100】
Tm解析によって、プローブの蛍光値の変化量を示す図2(A)〜(P)を得た。図中、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量(d蛍光強度増加量/t)を表し、横軸は温度(℃)をそれぞれ表す。図2中、(A)は鋳型としてID−1、(B)は鋳型としてID−2、(C)は鋳型としてID−3、(D)は鋳型としてID−4、(E)は鋳型としてID−5、(F)は鋳型としてID−6、(G)は鋳型としてID−7、(H)は鋳型としてID−8、(I)は鋳型としてID−9、(J)は鋳型としてID−10、(K)は鋳型としてID−11、(L)は鋳型としてID−12、(M)は鋳型としてID−13、(N)は鋳型としてID−14、(O)は鋳型としてID−15、(P)は鋳型としてID−16をそれぞれ用いた場合の蛍光値の変化量を示す図である。
【0101】
図2(A)〜(P)の結果より、配列番号2で示されるプローブを使用した場合には、非目的遺伝子変異の有無に関わらず、配列番号1に示された塩基配列のうち、検出対象となる501番目の塩基について、遺伝子変異の有無を検出できることが明らかとなった。
【0102】
[実施例2]
全自動SNPs検査装置IS−5310(商品名i−densy(商標)、アークレイ社製)と下記表10に記載した処方の検査用試薬を用いて、Tm解析を行った。また、処方を実施例1のプローブを実施例2で用いているプローブに変更し、同様の実験を行っても同等の結果が得られる。
【0103】
【表10】

【0104】
Tm解析は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、続けて温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から75℃まで温度を上昇させ、この間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。励起波長を420nm〜485nmとし、測定波長を520nm〜555nmとして、蛍光標識プローブに由来する蛍光強度の変化をそれぞれ測定した。
【0105】
【表11】

【0106】
上記記載のプローブ及び一本鎖核酸の詳細を以下に示した。
【0107】
【表12】

【0108】
その結果、本発明に係る遺伝子変異検出用プローブを用いることにより、野生型(配列番号29の234番目の塩基がG)1及び2と、変異型(配列番号29の234番目の塩基がC)1及び2との両方のピークを検出できることが確認できた。さらに、ヒトゲノムタイプの野生型の一本鎖核酸と変異型の一本鎖核酸とを1:1で混合した混合型1〜4を用いた場合にも、本発明に係る遺伝子変異検出用プローブを用いることにより、ピークを検出できることが確認できた。
野生型1及び野生型2のTm値はいずれも50℃であり、変異型1及び変異型2のTm値はいずれも57℃であった。
また、混合型1のTm値は50℃と56℃であり、混合型2のTm値は50℃と56℃であり、混合型3のTm値は48℃と56℃であり、混合型4のTm値は49℃と57℃であった。
図3にTm解析により得られた野生型1(A)、野生型2(C)、変異型1(B)、変異型2(D)、混合型1(E)、混合型2(F)、混合型3(G)及び混合型4(H)のグラフをそれぞれ示す。なお、縦軸は蛍光強度の温度微分値を表し、横軸は温度をそれぞれ表す。
【0109】
[比較例1]
全自動SNPs検査装置(商品名i−densy(商標)、アークレイ社製)と、下記表13に記載した処方の検査用試薬を用いて、Tm解析を行った。
【0110】
【表13】

【0111】
なお、上記表13で使用したプローブ(配列番号35)の詳細を以下の表14に示し、鋳型(相補鎖)(ID−17〜ID−32)の詳細を以下の表15に示す。なお、プローブ中の3’末端の括弧内は蛍光色素の種類を示す。
【0112】
【表14】

【0113】
【表15】

【0114】
Tm解析は、95℃で1秒、40℃で60秒処理し、続けて温度の上昇速度1℃/3秒で、40℃から80℃まで温度を上昇させ、その間の経時的な蛍光強度の変化を測定した。
【0115】
Tm解析によって、プローブの蛍光値の変化量を示す図4を得た。図中、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量(d蛍光強度増加量/t)を表し、横軸は温度(℃)をそれぞれ表す。図4中、(A)は鋳型としてID−17、(B)は鋳型としてID−18、(C)は鋳型としてID−19、(D)は鋳型としてID−20、(E)は鋳型としてID−21、(F)は鋳型としてID−22、(G)は鋳型としてID−23、(H)は鋳型としてID−24、(I)は鋳型としてID−25、(J)は鋳型としてID−26、(K)は鋳型としてID−27、(L)は鋳型としてID−28、(M)は鋳型としてID−29、(N)は鋳型としてID−30、(O)は鋳型としてID−31、(P)は鋳型としてID−32をそれぞれ用いた場合の蛍光値の変化量を示す図である。
【0116】
その結果、比較例1で用いたプローブを使用した場合には、非目的遺伝子変異の有無の影響を受けるため、配列番号1に示された塩基配列のうち、検出対象となる501番目の塩基について、遺伝子変異の有無を検出することが困難であることが明らかになった。
【0117】
以上の通りであるので、本発明によれば、遺伝子をコードする塩基配列に含まれる複数の遺伝子変異から、非目的遺伝子変異の塩基型の影響を受けず、検出対象となる特定の遺伝子変異のみを特異的に検出することができることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記P1、P1−1、P1’及びP1’−1からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチドであり、目的遺伝子変異と非目的遺伝子変異とを含む対象遺伝子をコードする塩基配列における該目的遺伝子変異を検出するための遺伝子変異検出用プローブ:
(P1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;
(P1−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して相補的な塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも非相補的な塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基を有する配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド;
(P1’)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列と同一の塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有するオリゴヌクレオチド;及び
(P1’−1)前記目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれか一方に対して同一の塩基であり、前記非目的遺伝子変異を示す塩基の野生型及び変異型のいずれにも異なる塩基であり、前記対象遺伝子をコードする塩基配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
下記(a)から(f)のうちのいずれか1つの関係を満たす請求項1に記載の遺伝子変異検出用プローブ:
(a)前記非目的遺伝子変異が、A及びTから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はC又はGである;
(b)前記非目的遺伝子変異が、C及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基又は前記異なる塩基はA又はTである;
(c)前記非目的遺伝子変異が、A及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はCであり、前記異なる塩基はT又はGである;
(d)前記非目的遺伝子変異が、A及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はA又はGであり、前記異なる塩基はT又はCである;
(e)前記非目的遺伝子変異が、T及びCから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はCであり、前記異なる塩基はA又はGである;
(f)前記非目的遺伝子変異が、T及びGから選ばれる塩基である場合、前記非相補的な塩基はT又はGであり、前記異なる塩基はA又はCである。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドは、蛍光標識オリゴヌクレオチドである請求項1又は請求項2に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項4】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、3’末端又は5’末端の塩基がシトシンであり、該シトシンが蛍光色素で標識されている請求項3に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項5】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、3’末端又は5’末端から数えて1〜3番目のいずれかに位置する請求項3又は請求項4に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項6】
融解曲線分析用のプローブである、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項7】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少または増加する、請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項8】
前記蛍光標識オリゴヌクレオチドは、標的配列にハイブリダイズしていないときの蛍光強度に比べて、標的配列にハイブリダイズしているときの蛍光強度が減少する、請求項3〜請求項7のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブを用いることにより、検出対象となる目的遺伝子変異を検出する遺伝子変異検出方法。
【請求項10】
(I)請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブ及び試料中の一本鎖核酸を接触させて、ハイブリッドを得ることと、
(II)前記ハイブリッドを含む試料の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づく蛍光シグナルの変動を測定することと、
(III)前記蛍光シグナルの変動に基づいてハイブリッドの解離温度であるTm値を検出することと、
(IV)前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、遺伝子変異の存在を検出することと、
を含む、請求項9に記載の遺伝子変異検出方法。
【請求項11】
さらに、前記(I)のハイブリッドを得る前又は前記(I)のハイブリッドを得ることと同時に、核酸を増幅することを含む、請求項10に記載の遺伝子変異検出方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブを含む遺伝子変異検出用試薬キット。
【請求項13】
さらに、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の遺伝子変異検出用プローブがハイブリダイズする領域を有する塩基配列を増幅可能なプライマーを含む、請求項12に記載の遺伝子変異検出用試薬キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81448(P2013−81448A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−82391(P2012−82391)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】