説明

遺伝子導入用組成物およびその利用

【課題】遺伝子導入効率に優れる、非ウイルスベクターを利用した遺伝子導入方法を提供
する。
【解決手段】A−1.ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子、及び
A−2.リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質
からなる群より選択される少なくとも一種のカチオン性化合物;並びに
B.下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物
を含む、遺伝子導入用組成物。
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子導入用組成物およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子療法等に用いられる効率の高い遺伝子ベクターとしてウイルスベクターが知られている。しかしながら、ウイルスベクターは、臨床応用において死に至る重篤な副作用が報告されている。
【0003】
一方、非ウイルスベクターは安全性により優れるとされる。このため、非ウイルスベクターに関する研究が盛んに行われてきた。例えば、様々なカチオン性高分子とDNAとの複合体(ポリプレックス)を用いるポリフェクション法や、カチオン性脂質とDNAとの複合体(リポプレックス)を用いるリポフェクション法、さらにこれらを組み合わせたリポポリフェクション法などがこれまでに提案されている。
【0004】
本発明者らはこれまでに、独自のポリフェクション法として、ポリアミドデンドロンからなるヘッド部と、カチオン性高分子からなるテイル部で構成されるヘッド−テイル型ポリカチオンブロック共重合体とDNAとの複合体を用いる方法を検討してきた(非特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Bioconjugate Chem. 2006, 17, 3-5
【非特許文献2】Macromol. Biosci. 2009, 9, 605-612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、遺伝子導入効率に優れる、非ウイルスベクターを利用した遺伝子導入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の末、ポリプレックス形成能を有する他のカチオン性高分子(以下、「ポリプレックス形成カチオン性高分子」ということがある。)、又はリポプレックス形成能を有する他のカチオン性脂質(以下、「リポプレックス形成カチオン性脂質」ということがある。)の遺伝子導入作用を向上させることに成功した。すなわち、ポリアミドデンドロンからなるヘッド部と、カチオン性高分子からなるテイル部で構成されるヘッド−テイル型ポリカチオンブロック共重合体において、さらにヘッド部の樹状に拡がる末端側に親水性高分子を結合させた化合物を、ポリプレックス形成カチオン性高分子等と組み合わせることによって、その遺伝子導入作用を向上できることを見出した。
【0008】
本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0009】
項1.
A−1.ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子、及び
A−2.リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質
からなる群より選択される少なくとも一種のカチオン性化合物;並びに
B.下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物
を含む、遺伝子導入用組成物
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(上記式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を、
R1は、カチオン性高分子を、
R2は、親水性高分子を、かつ
Lは、リンカーを示す。)。
項2.
前記R1が、カチオン性直鎖状高分子である、請求項1に記載の遺伝子導入用組成物。
項3.
前記R1が、(A)n−(Aはリジン、アルギニン、ヒスチジン、若しくはオルニチン、又は側鎖にアミノ基、グアニジノ基、若しくはイミダゾール基を有するアミノ酸誘導体を示す。)、又はポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、若しくはポリビニルイミダゾールである、請求項1又は2に記載の遺伝子導入用組成物。
項4.
前記R2が、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリオキサゾリン、又はそれらの誘導体である、請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項5.
前記R2が、−(OCH2CH2n−Y(n=10〜500;Yは、親水性基を示す。)である、請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項6.
前記リンカーの分子量が14〜500である、請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項7.
前記リンカーが、−NH(CH2n−である、請求項1〜6のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項8.
前記ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子が、プロタミン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ(2-ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、又はポリリシンデンドリマーである、請求項1〜7のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項9.
前記リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファリジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、プラスマロゲン、ホスファチジン酸、又は2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)である、請求項1〜7のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
項10.
A−1.ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子、及び
A−2.リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質
からなる群より選択される少なくとも一種のカチオン性化合物;並びに
B.下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物
を含む、遺伝子導入用キット
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(上記式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を、
R1は、カチオン性高分子を、
R2は、親水性高分子を、かつ
Lは、リンカーを示す。)。
項11.
請求項1〜9のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物を遺伝子とともにイン・ビトロ又はイン・ビボ(ただし、ヒトを除く)で細胞に導入する工程を含む、細胞に遺伝子を導入する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、同じポリプレックス形成カチオン性高分子とDNAのみからなるポリプレックス、又は同じリポプレックス形成カチオン性脂質とDNAのみからなるリポプレックスを利用したリポプレックス法よりも高い遺伝子導入効率を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の化合物(1)〜(5)を示す図面である。なお、右側の図面は、化合物(4)の一例を示している。
【図2】本発明のTail−Linker−Head化合物のDNA凝縮能を試験した結果(試験例1)を示す図面である。
【図3】DNA凝縮能と無細胞系遺伝子発現との相関を試験した結果(試験例2)を示す図面である。
【図4】DNA凝縮能と無細胞系遺伝子発現との相関を試験した結果(試験例2)を示す図面である。
【図5】本発明の化合物を添加することによって、凝縮していたpDNAが脱凝縮し、それにより凝縮時よりも高い遺伝子導入効率を示すことを実証した結果(実施例1)を示す図面である。
【図6】本発明の化合物の培養細胞に対する遺伝子導入効率を実証した結果(実施例2)を示す図面である。
【図7】本発明の化合物の培養細胞に対する遺伝子導入効率を実証した結果(実施例3)を示す図面である。
【図8】本発明の化合物の培養細胞に対する遺伝子導入効率を実証した結果(実施例4)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.ポリプレックス形成カチオン性高分子
ポリプレックス形成カチオン性高分子としては、ポリフェクション法において用いられる、あるいは用いることができると考えられる様々なカチオン性高分子を用いることができる。
【0013】
ポリプレックス形成カチオン性高分子の分子量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、1000〜100000であれば好ましく、2500〜50000であればより好ましい。
【0014】
ポリプレックス形成カチオン性高分子の具体例としては、荷電性側鎖を有するアミノ酸又はアミノ酸誘導体のポリマーを挙げることができる。この場合、アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン等が挙げられる。
【0015】
アミノ酸誘導体としては、特に限定されないが、例えば、側鎖にアミノ基、グアニジノ基又はイミダゾール基をもつアミノ酸誘導体、並びに側鎖にジアミン構造をもつアミノ酸誘導体等が挙げられる。ジアミン構造としては、特に限定されないが、例えば次の式に示すような構造が挙げられる。
【0016】
【化1】

【0017】
アスパラギン酸の側鎖にジアミン構造を導入した誘導体のポリマーの例を次の式に示す。
【0018】
【化2】

【0019】
グルタミン酸の側鎖にジアミン構造を導入した誘導体のポリマーの例を次の式に示す。
【0020】
【化3】

【0021】
アミノ酸としては、L型アミノ酸が好ましい。
【0022】
ポリプレックス形成カチオン性高分子としては、1種または2種以上のアミノ酸又はアミノ酸誘導体からなるポリマーを用いることができる。
【0023】
ポリプレックス形成カチオン性高分子の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルイミダゾール、プロタミン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリ(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、ポリリシンデンドリマー等も挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
ポリプレックス形成カチオン性高分子の好適例としては、上に好適例として例示したような高分子においてさらに少なくとも1つ以上の置換基を有するものが挙げられる。置換基としては、カチオン性を示すものが好ましい。置換基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、又はイミダゾール基が好ましい。
【0025】
2.リポプレックス形成カチオン性脂質
リポプレックス形成カチオン性脂質としては、リポフェクション法において用いられる、あるいは用いることができると考えられる様々なカチオン性脂質を用いることができる。
【0026】
リポプレックス形成カチオン性脂質としては、リン脂質等が挙げられる。
【0027】
リポプレックス形成カチオン性脂質の具体例としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファリジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、プラスマロゲン、ホスファチジン酸、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファリジルコリンをそれぞれ単独で、または組み合わせて用いるのが好ましい。
【0028】
これらのリポプレックス形成カチオン性脂質の脂肪酸残基は、特に限定されるべきものではないが、炭素数12から18の飽和または不飽和の脂肪酸残基を挙げることができ、具体的には、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基等を挙げることができ、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)が特に好ましい。
【0029】
ポリプレックス形成カチオン性高分子の好適例としては、上に好適例として例示したような高分子においてさらに少なくとも1つ以上の置換基を有するものが挙げられる。置換基としては、カチオン性を示すものが好ましい。置換基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、又はイミダゾール基が好ましい。
【0030】
3.化合物(1)〜(5)
3−1.構造
化合物(1)〜(5)は、Tail−Linker−Headで表される化合物(図1)である。
【0031】
Tail部は、生理的pH条件下(pH 7.4)でイオン化しており、DNAと強固な複合体を形成する性質を有する。なお、本発明においてDNAとは好ましくはプラスミドDNA(pDNA)を意味する。
【0032】
Head部は、生理的pH条件下(pH 7.4)でイオン化しておらず、pHが低い部位に取り込まれた際にpH低下を抑制する性質(プロトンスポンジ効果)を有する。
【0033】
TailをR1、そしてLinkerをLと示すことがある。
【0034】
化合物(1)〜(5)は、下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物である。化合物(1)〜(5)は、互いにHeadの種類が異なっている。
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(上記式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を、
R1は、カチオン性高分子を、
R2は、親水性高分子を、かつ
Lは、リンカーを示す。)
【0035】
3−1−1. Tailの構造
Tail部は、生理的pH条件下(pH 7.4)でイオン化しており、Tail部を介してTail−Linker−Head はDNAとポリプレックスを形成する。
【0036】
R1は、カチオン性高分子である。
【0037】
R1としては、ポリフェクション法において用いられる、あるいは用いることができると考えられる様々なカチオン性高分子を用いることができる。
【0038】
R1は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは、カチオン性直鎖状高分子である。
【0039】
R1の分子量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、1000〜100000であれば好ましく、2500〜50000であればより好ましい。
【0040】
R1の具体例としては、例えば、(A)n−(Aは荷電性側鎖を有するアミノ酸又はアミノ酸誘導体を示す。)を挙げることができる。この場合、アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン等が挙げられる。アミノ酸誘導体としては、側鎖にアミノ基、グアニジノ基又はイミダゾール基をもつアミノ酸誘導体、並びに側鎖にジアミン構造をもつアミノ酸誘導体等が挙げられる。ジアミン構造としては、特に限定されないが、例えば前記式(化1)に示すような構造が挙げられる。
【0041】
アミノ酸としては、L型アミノ酸が好ましい。
【0042】
R1としては、1種または2種以上のアミノ酸又はアミノ酸誘導体からなるポリマーを用いることができる。
【0043】
R1の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルイミダゾール、プロタミン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、及びポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)等も挙げることができる。
【0044】
R1の好適例としては、上に好適例として例示したような構造の基においてさらに少なくとも1つ以上の置換基を有するものが挙げられる。置換基としては、カチオン性を示すものが好ましい。置換基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、及びイミダゾール基が好ましい。
【0045】
3−1−2. Linkerの構造
Lは、リンカーを示す。Lは単にTail部とHead部とを連結するものであり、特に機能を有さないものである。したがって、Tail部とHead部の機能を阻害しないものである必要がある。機能性高分子を連結する際に用いられる、あるいは用いることができると考えられる様々なリンカーを用いることができる。
【0046】
Lの分子量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、14〜500であれば好ましく、14〜200であればより好ましい。
【0047】
Lの具体例としては、−NH(CH2n−が挙げられる。
【0048】
Lは、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、−NH(CH2n−(n=1〜40)であれば好ましく、−NH(CH2n−(n=1〜15)であればより好ましい。
【0049】
3−1−3. Headの構造
Head部は、第2級アミノ基、及び第3級アミノ基を多く有するカチオン性高分子を構成する。これらのアミノ基は生理的pH条件下でイオン化しない。このため、いわゆるプロトンスポンジ効果を発現する。これにより、Tail−Linker−Head とDNAからなるポリプレックスが細胞内に導入された後に、エンドソーム内でDNAが分解される割合を低減できる。
【0050】
さらに、Head部は、多岐状に分布したポリエチレングリコール(PEG)鎖を有している。PEG鎖がない場合はTail部とDNAとの間のイオン性相互作用によりDNAが凝縮し、直径約0.2〜2μmの球状凝集体が形成されるが、PEG鎖がある場合はDNAの凝縮が抑えられ、長さ約100〜200nmのより小さな棒状凝集体が形成される。
【0051】
3−1−3−1.Xの構造
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を示す。
【0052】
3−1−3−2.R2の構造
R2は、親水性高分子を示す。
【0053】
R2は、直鎖状高分子であってもよいし、分岐状高分子であってもよい。
【0054】
R2の分子量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、400〜20000であれば好ましく、1000〜10000であればより好ましい。
【0055】
R2の具体例としては、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリオキサゾリン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。誘導体としては、例えばポリプロピレンオキシド等が挙げられる。
【0056】
R2の具体例としては、−(OCH2CH2n−Y (n=10〜500;Yは、親水性基を示す。)が挙げられる。−(OCH2CH2n−Y (n=20〜250)であればより好ましい。
【0057】
Yの具体例としては、例えば、メトキシ基、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0058】
3−2.製法
化合物(1)〜(5)は、例えば以下のようにして製造することができる。なお、以下には合成経路を示すが、各合成反応の具体的な反応条件については、実施例に記載の方法に準じたものとすることができる。
【0059】
Headのうちポリアミドデンドロン構造の部分の製法を以下の式に示す。「DG1〜DG5」の末尾はデンドロンの世代数を表しており、DG1〜DG4はそれぞれ化合物(1)〜(5)のHead部のポリアミドデンドロン構造に相当する。
【0060】
【化4】

【0061】
DG1〜DG5の構造を以下の式に示す。
【0062】
【化5】

【0063】
親水性高分子の導入は以下のようにして行うことができる。親水性高分子としてポリエチレングリコール、又はポリオキサゾリンを導入する際の例を示す。
【0064】
【化6】

【0065】
カチオン性高分子の導入は以下のようにして行うことができる。カチオン性高分子としてポリ-L-リシンを導入する際の例を示す。
【0066】
【化7】

【0067】
4.遺伝子導入用組成物
化合物(1)〜(5)とポリプレックス形成カチオン性高分子、又はリポプレックス形成カチオン性脂質の配合割合は、本発明の効果が奏される限り特に限定されない。ポリプレックス形成カチオン性高分子、又はリポプレックス形成カチオン性脂質の種類によっても異なるが、例えば、ポリプレックス形成カチオン性高分子、又はリポプレックス形成カチオン性脂質のカチオン性官能基数と、化合物(1)〜(5)のカチオン性高分子(R1)部分のカチオン性官能基数の総数のうち、化合物(1)〜(5)のカチオン性高分子(R1)部分のカチオン性官能基数が10%以上となるように配合する割合を挙げることができる。このとき、30%以上となるような割合であればより好ましい。
【0068】
ポリプレックス形成カチオン性高分子、又はリポプレックス形成カチオン性脂質の種類によっては、化合物(1)〜(5)の配合割合を一定割合以上としても遺伝子導入効率のさらなる向上がみられなくなる領域が存在する。このような事情を勘案すると、例えば、カチオン性官能基総数のうち、化合物(1)〜(5)の割合を80%以下、または好ましくは70%以下となるように配合する割合を上限として設定できる。
【0069】
本発明の遺伝子導入用組成物は、ポリプレックス形成カチオン性高分子、及びリポプレックス形成カチオン性脂質を組み合わせて含んでいてもよい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
遺伝子と遺伝子導入用組成物の配合割合は、遺伝子のリン酸基数に対し、遺伝子導入用組成物のカチオン性官能基数を1〜30倍、好ましくは3〜20倍、より好ましくは5〜10倍使用する。
【0071】
遺伝子としては、オリゴヌクレオチド、DNAおよびRNAのいずれでもよいが、より好ましくはプラスミドDNA(pDNA)である。特に形質転換等のイン・ビトロにおける導入用遺伝子や、イン・ビボで発現することにより作用する遺伝子、例えば、遺伝子治療用遺伝子、実験動物や家畜等の産業用動物の品種改良に用いられる遺伝子が好ましい。遺伝子治療用遺伝子としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、酵素、サイトカイン等の生理活性物質をコードする遺伝子等を挙げることができる。
【0072】
遺伝子が導入される細胞としては、ヒトなどの動物細胞、植物細胞などの真核細胞、細菌などの原核細胞が例示できる。
【0073】
本発明の組成物の形態としては、例えば、乾燥した脂質混合物形態、水系溶媒に分散した形態、さらにこれを乾燥させた形態や凍結させた形態等を挙げることができる。
【0074】
水系溶媒(分散媒)の組成も特に限定されるべきものではないが、水のほかに、グルコース、乳糖、ショ糖などの糖水溶液、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール水溶液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝化生理食塩液等の緩衝液、生理食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができる。この水系溶媒に分散した脂質膜構造体を安定に長期間保存するには、凝集などの物理的安定性の面から、水系溶媒中の電解質を極力なくすことが重要である。また、脂質の化学的安定性の面から、水系溶媒のpHを弱酸性から中性付近(pH3.0から8.0)に設定したり、窒素バブリングにより溶存酸素を除去することが重要である。さらに凍結乾燥保存や噴霧乾燥保存をする場合には、糖水溶液を、凍結保存する場合には、糖水溶液や多価アルコール水溶液をそれぞれ用いると効果的な保存が可能である。
【0075】
これらの水系溶媒の添加物の濃度は特に限定されるべきものではないが、例えば、糖水溶液においては、2から20%(W/V)が好ましく、5から10%(W/V)がさらに好ましい。また、多価アルコール水溶液においては、1から5%(W/V)が好ましく、2から2.5%(W/V)がさらに好ましい。緩衝液においては、緩衝剤の濃度が5から50mMが好ましく、10から20mMがさらに好ましい。
【0076】
本発明の遺伝子導入用組成物は、遺伝子だけでなく、親水性の大きい薬物、高分子量の生理活性ペプチド類、蛋白質などの細胞内に導入されにくい薬物などにも適用できる。本発明の組成物を用いれば、イン・ビトロ及びイン・ビボのいずれにおいても細胞内に遺伝子を効率良く導入することができる。
【0077】
イン・ビトロでの遺伝子導入は、標的とする細胞を含む懸濁液に本発明の遺伝子導入用組成物と遺伝子の混合物を添加したり、本発明の遺伝子導入用組成物と遺伝子を含有する培地で標的とする細胞を培養する等の手段により、行うことができる。
【0078】
イン・ビボでの遺伝子導入は、本発明の遺伝子導入用組成物と遺伝子の混合物を宿主に投与すればよい。宿主への投与手段としては、経口投与でも、非経口投与でもよいが、非経口投与が好ましい。剤形としては、通常知られたものでよく、経口投与の剤形としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等を挙げることができる。また、非経口投与の剤形としては、例えば、注射剤、点眼剤、軟膏剤、坐剤等を挙げることができる。中でも、注射剤が好ましく、投与方法としては、静脈注射、標的とする細胞や臓器に対しての局所注射が好ましい。
【実施例】
【0079】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例にのみ限定されるものではない。
【0080】
製造例.本発明のTail−Linker−Head化合物(4)及び(5)の製造
以下のようにして、本発明の化合物(4)及び(5)(Tail−Linker−Head化合物)を製造した。
【0081】
1.種々世代数のポリアミドアミンデンドロンの合成
tert-ブチル N-(2-アミノエチル)カルバミン酸 3.012 g(1.880×10-2 mol)を451 ml (11.1mol)のメタノールに溶解させた。これにアクリル酸メチル1000 ml(11.1 mol)を Ar 雰囲気下において加え、35 ℃ で 7 日間撹拌した。その後、アクリル酸メチルを減圧留去して得られた粗生成物を、シリカゲルを用いたカラム(溶離液:クロロホルム:メタノール=10:1、v/v)によって精製し、薄黄色で粘性のある液体を得た。得られた液体 5.954 g(1.791×10-2mol)を12 ml のメタノールに溶解させ、Ar 雰囲気下において、蒸留したエチレンジアミン 1200 ml(17.911 mol)とシアン化ナトリウム0.351 g(7.16×10-3mol)を加えた後、40 ℃で 8 日間撹拌した。その後、エチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、DG1を薄黄色で粘性のある液体として得た。DG1 2.290 g (5.895×10-3 mol)を476 ml のメタノールに溶解させ、アクリル酸メチル1062 ml(11.79 mol)を加え 35 ℃ で 4 日間撹拌した。その後、アクリル酸メチルを減圧留去して得られた粗生成物を Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、薄黄色で粘性のある液体を得た。得られた液体 2.540 g(3.466×10-3 mol)を 10 ml のメタノールに溶解させ、Ar 雰囲気下において、蒸留したエチレンジアミン 465 ml(6.93 mol)とシアン化ナトリウム0.1359 g(2.773×10-3 mol)を加えた後、35 ℃ で 6 日間撹拌した。その後、エチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、DG2を薄黄色で粘性のある液体として得た。DG2 1.543 g (1.826×10-3 mol)を295 ml のメタノールに溶解し、アクリル酸メチル658 ml (7.303 mol)を加え 35 ℃で 7 日間撹拌した。その後、アクリル酸メチルを減圧留去して得られた粗生成物を、Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、薄黄色で粘性のある液体を得た。得られた液体 2.610 g(1.702×10-3 mol)を 10 ml のメタノールに溶解させ、Ar 雰囲気下において蒸留したエチレンジアミン 915 ml(13.66 mol)とシアン化ナトリウム0.2678 g(5.464×10-3mol)を加えた後、35 ℃ で 7 日間撹拌した。その後、エチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、DG3を薄黄色で粘性のある液体として得た。DG3 1.605 g (9.13×10-4 mol)を300 ml のメタノールに溶解し、アクリル酸メチル658 ml (7.303 mol)を加え 35 ℃で 7 日間撹拌した。その後、アクリル酸メチルを減圧留去して得られた粗生成物を、Sephadex LH-20 カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、薄黄色で粘性のある液体を得た。得られた液体 1.057 g(3.371×10-4 mol)を5 mlのメタノールに溶解させ、Ar雰囲気下において、蒸留したエチレンジアミン361 ml(5.388 mol)とシアン化ナトリウム0.106 g(2.158×10-3 mol)の混合溶液へ加えた後、40℃で6日間撹拌した。その後、エチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、DG4を薄黄色で粘性のある液体として得た。DG4 0.299 g(8.341×10-5mol)を20 ml(0.493 mol)のメタノールに溶解させ、アクリル酸メチル46 ml(0.511 mol)を加え35℃で6日間撹拌した。その後、アクリル酸メチルを減圧留去して得られた粗生成物を、Sephadex LH-20カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、薄黄色で粘性のある液体を得た。得られた液体 0.122 g(1.924×10-5 mol)を6 mlのメタノールに溶解させ、Ar雰囲気下において、蒸留したエチレンジアミン41 ml(0.616 mol)とシアン化ナトリウム0.012 g(2.464×10-4 mol)の混合溶液へ加えた後、40℃で7日間撹拌した。その後、エチレンジアミンを減圧留去し、Sephadex LH-20カラム(溶離液:メタノール)によって精製することで、DG5を薄黄色で粘性のある液体として得た。
【0082】
2.ポリアミドアミンデンドロン先端部へのポリエチレングリコール鎖の導入
α-methoxy-ω-hydroxy-poly(ethylene glycol)(Mn=2000)39.80 g(19.90×10-3 mol)とTEA 12.5 ml(89.68×10-3 mol)をTHF 670 mlへ溶解させた溶液に、クロロ蟻酸-4-ニトロフェニル12.033 g(59.70×10-3mol)をTHF 130 mlへ溶解させた溶液を氷冷下で1時間かけて滴下した。さらに氷冷下で2時間撹拌後、室温で48時間撹拌した。得られた溶液を濾過した後、THFを減圧留去して、クロロホルム200 mlに溶解させた。この溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて分液洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムによって乾燥させた。有機層をジエチルエーテル3 Lに対して再沈殿した。得られた沈殿を吸引濾過した後、減圧下で乾燥させた。乾燥固体をベンゼン 100 mlに溶解させ、凍結乾燥してα-methoxy-ω-(p-nitrophenylcarbonate)-poly(ethylene glycol)(PEG-NPC)を白色固体として得た。
【0083】
DG4 0.365 g(0.102×10-3 mol)をDMSO 4 mlへ溶解させ、そこへDMSO 46 mlへ溶解させたPEG-NPC 20.337 g(9.393×10-3mol)を加えた。室温で5日間撹拌した後、反応溶液をジエチルエーテル1.5 Lに対して再沈殿した。得られた沈殿を吸引濾過した後、減圧下で乾燥させた。残渣をメタノール50 mlへ溶解させ、未反応のPEG-NPCをPEG-OHに変換するためにTEA 10.5 ml(7.533×10-2 mol)と蒸留水1.353 ml(7.514×10-2 mol)を加えて、水浴下で20時間攪拌した。反応溶液をジエチルエーテル1.5 Lに対して再沈殿した後、得られた沈殿を吸引濾過し、減圧下で乾燥させた。残渣を1M NaCl水溶液に対して分画14000の透析膜を用い精製した後、さらに蒸留水に対して精製を行い、凍結乾燥してPEG鎖16本を有するDG4(16PEG-DG4)とPEG-OHの混合物を白色固体として得た。16PEG-DG4とPEG-OHの混合物0.842gを氷冷下でTFA 7 ml(9.086×10-2 mol)に溶解させ、6時間撹拌した。反応後、ジエチルエーテル 350 ml に対して再沈殿し、吸引濾過したのち減圧下で乾燥させた。残渣を蒸留水に溶解させ、 NaOH水溶液で中和し、溶液を減圧濃縮した。蒸留水に対して分画14000 の透析膜を用いて精製した後、凍結乾燥をして白色固体を得た。得られた固体を50 mM 酢酸緩衝溶液(pH 4.5)に溶解させ、CM Sepharoseカラムに吸着させた後、1M NaCl含有50 mM酢酸緩衝溶液(pH 4.5)を溶出液として回収した。減圧濃縮した後、蒸留水に対して分画 14000 の透析膜を用いて精製し、凍結乾燥して16PEG-DG4を白色固体として得た。
【0084】
DG5 0.225 g(3.082×10-5 mol)をDMSO 11 mlに溶解させ、そこへDMSO 20 mlに溶解させたPEG-NPC 10.68 g(4.931×10-3mol)を加えた。室温で7日間撹拌した後、反応溶液をジエチルエーテル1 Lに対して再沈殿した。得られた沈殿を吸引濾過した後、減圧下で乾燥させた。残渣をメタノール31 mlへ溶解させ、未反応の PEG-NPC を PEG-OH に変換するために、TEA 5.5 ml(3.945×10-2mol)と蒸留水710μl(3.945×10-2 mol)を加えて、水浴下で3日間攪拌した。反応溶液をジエチルエーテル1 Lに対して再沈殿した後、得られた沈殿を吸引濾過し、減圧下で乾燥させた。残渣を1M NaCl水溶液に対して分画2000の透析膜を用い精製した後、さらに蒸留水に対して精製を行い、凍結乾燥してPEG鎖32本を有するDG5(32PEG-DG5)とPEG-OHの混合物を白色固体として得た。32PEG-DG5.0とPEG-OHの混合物0.774 gを氷冷下でTFA 6.45 ml(8.372×10-2 mol)に溶解させ、12時間撹拌した。反応後、ジエチルエーテル 200 ml に対して再沈殿し、吸引濾過したのち減圧下で乾燥させた。残渣を蒸留水に溶解させ、 NaOH水溶液で中和し、溶液を減圧濃縮した。蒸留水に対して分画2000 の透析膜を用いて精製した後、凍結乾燥をして白色固体を得た。得られた固体を10 mM 酢酸緩衝溶液(pH 4.5)に溶解させ、CM Sepharoseカラムに吸着させた後、1M NaCl含有10 mM酢酸緩衝溶液(pH 4.5)を溶出液として回収した。減圧濃縮した後、蒸留水に対して分画 2000 の透析膜を用いて精製し、凍結乾燥して32PEG-DG5を白色固体として得た。
【0085】
3.ポリリシン部の重合
16PEG-DG4 0.231 gを開始剤として、Ar雰囲気下においてDMF 1.5 mlへ溶解させた。ここへDMF 0.5 mlに溶解させたε-benzyloxycarbonyl-L-lysine N-カルボン酸無水物(Lys(Z)-NCA) 0.14 gを加え、40℃で24時間撹拌することで、Lys(Z)-NCAを重合させた。重合終了後、氷冷下でジエチルエーテルに対して反応溶液を再沈殿し、減圧乾燥を行うことで白色固体を得た。得られた固体 0.227 gをトリフルオロ酢酸 3.5mlへ溶解させた後、30 %臭化水素-酢酸溶液 4.7mlを加え、4時間撹拌した。これをジエチルエーテルに対して再沈殿した。残渣を1M NaCl水溶液に対して分画2000の透析膜を用い精製した後、さらに蒸留水に対して精製を行い、凍結乾燥して白色固体を得た。蒸留水に溶解し、1 M塩化ナトリウム水溶液、蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥することで16PEG-PLL(PLL重合度 75)を得た。
【0086】
32PEG-DG5 0.335 gを開始剤として、Ar雰囲気下においてDMF 1.5 mlへ溶解させた。ここへDMF 0.5 mlに溶解させたε-benzyloxycarbonyl-L-lysine N-カルボン酸無水物(Lys(Z)-NCA) 0.11 gを加え、40℃で24時間撹拌することで、Lys(Z)-NCAを重合させた。重合終了後、氷冷下でジエチルエーテルに対して反応溶液を再沈殿し、減圧乾燥を行うことで白色固体を得た。得られた固体 0.35 gをトリフルオロ酢酸 4.0mlへ溶解させた後、30 %臭化水素-酢酸溶液 3.8mlを加え、4時間撹拌した。これをジエチルエーテルに対して再沈殿した。残渣を1M NaCl水溶液に対して分画2000の透析膜を用い精製した後、さらに蒸留水に対して精製を行い、凍結乾燥して白色固体を得た。蒸留水に溶解し、1 M塩化ナトリウム水溶液、蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥することで32PEG-PLL(PLL重合度 72)を得た。
【0087】
試験例1.本発明のTail−Linker−Head化合物のDNA凝縮能
ポリ-L-リジン等のカチオン性高分子をDNA(pDNA)と混合するとポリプレックス形成が起こり、DNAが凝集する。カチオン性高分子である本発明のTail−Linker−Head化合物をDNAと混合することによって、同様のDNA凝集が起こるかについて検討した。
【0088】
16PEG-PLL、32PEG-PLL及びPLL(重合度 68)の140mM NaClを含む20 mM Tris-HCl溶液(以下トリス緩衝液)をそれぞれ調製し、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対して、種々の16PEG-PLL及びPLLのPLL部のアミノ基数になるように加えて混合し、4℃で1晩インキュベーションしてポリプレックスを調製した。このポリプレックス溶液にDNAの塩基対数に対して0.033当量のエチジウムブロマイドを加え、蛍光強度測定(励起波長 510nm、蛍光波長 590nm)を行った。pDNAとエチジウムブロマイドの混合溶液の蛍光強度を100%、エチジウムブロマイドのみの溶液の蛍光強度を0%としてrelative fluorescence intensity(RFI)を算出した。また、同様に調製したポリプレックス溶液に2.5μl の10X BlueJuiceを加え、40 mMTris/20 mM NaOAc/2mM EDTA-2Naバッファー中において、1レーン当たりDNAが0.4μgになるように10μl を0.6 wt%アガロースゲル(0.1 wt% EtBr含有)に加え、100 Vの電圧下、30分間 Mupid(登録商標)-exゲル泳動槽(ADVANCE Co.)を用いて、電気泳動を行った。泳動後、ゲルをルミノ・イメージアナライザー LAS-1000UVmini(FUJIFILM)を用いて画像化した。N/P比が3.00で調製したポリプレックス溶液については、表面を剥離した直後のマイカ(2cm×2cm)に10μlをたらし、一晩静置し乾燥した後、原子間力顕微鏡観察を行った。
【0089】
図2Aに示す通り、ポリ-L-リジン(PLL)とDNAとを混合した場合、ポリリジン中のアミノ基の数(N)とpDNA中のリン酸基の数(P)の比(N/P比)の変化に伴って、relative fluorescence intensity (RFI) が低下したことから、pDNAがPLLとのポリプレックス形成により凝縮することが確認された。また、電気泳動において(図2B)、N/P比の増加により泳動している遊離のpDNA量が減少することも確認された。
【0090】
ところが、本発明の化合物(16PEG-PLLおよび32PEG-PLL)をpDNAと混合させたとしても、RFIの低下は生じずpDNAは非凝縮状態であることが確認された。しかしながら、電気泳動では、N/P比の増加によりpDNAの泳動距離が短くなり、N/P比が3では泳動しなくなった。このことは、本発明の化合物(16PEG-PLLおよび32PEG-PLL)は、pDNAとポリプレックスを形成するが、pDNAの凝縮が起こらないことを示している。
【0091】
さらに、図2Dに示す通り、PLLとpDNAとを混合した場合には、直径約0.4〜1.0μmの球状ポリプレックスが形成されるが、本発明の化合物(16PEG-PLL)とDNAとを同様に混合した場合には、長さ約150〜200nmのより小さな棒状ポリプレックスが形成されることが分かった(図2E)。
【0092】
試験例2.DNA凝縮能と無細胞系遺伝子発現との相関
PLL及びポリエチレンイミン(PEI、分子量 25kDa)を用い、そのDNA凝集能と遺伝子発現効率との間にどのような相関関係があるかについて検討を行った。
【0093】
16PEG-PLL、32PEG-PLL、PLL(重合度 68)及びPEIのトリス緩衝液溶液をそれぞれ調製した後、16PEG-PLL溶液あるいは32PEG-PLL溶液と、PLLあるいはPEI溶液を、混合溶液中のPLLの比率を変化させて混合した。この混合溶液を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対するPLL部のアミノ基数がPLLの場合3.0、PEIの場合5.0になるように加えて混合し、4℃で1晩インキュベーションしてポリプレックスを調製した。このポリプレックス溶液にDNAの塩基対数に対して0.033当量のエチジウムブロマイドを加え、蛍光強度測定(励起波長 510nm、蛍光波長 590nm)を行った。また、PLLと16PEG-PLL、32PEG-PLLを混合した場合には、無細胞系遺伝子発現効率も評価した。1μgのpDNAを含むポリプレックス溶液50μLと40μLのTNT(登録商標) Quick Master Mix (Promega) と 2μLのmethionine水溶液 (1 mM)を混合し、30℃で90分間反応させた。反応溶液 5μLと 50μLのLuciferase Assay Reagent (Promega) を混合し、発光強度を測定した。ポリプレックスを形成させていていないpDNA溶液についても同様の反応を行い、発光強度を測定した。pDNAのみでの発光強度に対するポリプレックスの発光強度の比率からrelative gene expression(RGE)を算出した。
【0094】
図3A及び図4に示す通り、PLL及びPEIの含有量が低い場合はpDNAが凝縮していないのに対して、含有量が高い場合はpDNAが凝縮していることが分かった。凝縮状態と非凝縮状態の境界は、PLLとPEIで異なっており、カチオン性高分子の違いによって本発明の化合物の効果が異なることが分かった。同時に遺伝子発現効率についても検討したところ、PLLの含有量が低くpDNA凝縮がみられない領域では遺伝子発現効率が高いのに対して、pDNA凝縮がみられる領域では遺伝子発現効率が低いことが分かった(図3B)。このように、pDNAの凝縮状態と遺伝子発現効率との間には相関関係があることが分かった。
【0095】
実施例1.
PLLとDNAの凝集体を予め生じさせておき、そこへ本発明の化合物(5)を外部から添加することによって、DNA凝集がどのような影響を受けるかについて検討した。
【0096】
PLLのトリス緩衝液溶液を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対するPLL部のアミノ基数が1.5になるように加えて混合し、4℃で1晩インキュベーションしてポリプレックスを調製した。このポリプレックス溶液へ、16PEG-PLL、32PEG-PLLあるいはPLLのエチジウムブロマイドを含むトリス緩衝液溶液を、pDNAのリン酸エステル数に対してPLL部のアミノ基数が1.5(さきに調製したあったものとあわせると3.0)となるよう混合し、混合後の蛍光強度変化を測定した。また、16PEG-PLL、32PEG-PLLあるいはPLLのエチジウムブロマイドを含むトリス緩衝液溶液を加えて30分経過した後、1μgのpDNAを含むポリプレックス溶液と40μL のTNT(登録商標) Quick Master Mix (Promega) と 2μLのmethionine水溶液 (1 mM)を混合し、30℃で90分間反応させた。反応溶液5μLと 50μLのLuciferase Assay Reagent (Promega) を混合し、発光強度を測定した。ポリプレックスを形成させていていないpDNA溶液についても同様の反応を行い、発光強度を測定した。pDNAのみでの発光強度に対するポリプレックスの発光強度の比率からrelative gene expression(RGE)を算出した。
【0097】
図5Aに示す通り、本発明の化合物(16PEG-PLL及び32PEG-PLL)を添加することによって、凝縮していたpDNAが脱凝縮した。同時に遺伝子導入効率についても検討したところ、PLLとpDNAの凝集体の状態に比べ、化合物(16PEG-PLL及び32PEG-PLL)を添加して脱凝縮させた状態のほうが格段に高い遺伝子導入効率を示すことがわかった(図5B)。なお、この効果は、16PEG-PLLよりも32PEG-PLLを用いた場合のほうがより優れていた。
【0098】
実施例2.
培養細胞に対する遺伝子導入効率を検討した。
【0099】
16PEG-PLL、32PEG-PLL、PLL(重合度 68)及びPEIのトリス緩衝液溶液をそれぞれ調製した後、16PEG-PLL溶液あるいは32PEG-PLL溶液と、PLLあるいはPEI溶液を、混合溶液中のPLLの比率を変化させて混合した。この混合溶液を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対するPLL部のアミノ基数がPLLの場合3.0、PEIの場合5.0になるように加えて混合し、4℃で1晩インキュベーションしてポリプレックスを調製した。24穴マルチプレートに1穴あたり5万個のヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を播種し、10%FCSを含むDMEM培地で24時間培養した。培地を除去し、0.36 mM CaCl2と0.42 mM MgCl2を含むリン酸緩衝液で洗浄した後、10%FCSを含むDMEM培地1mlを加えた。そこへpDNAを1μg含むポリプレックス溶液を加え、37℃で培養した。48時間後、ルシフェラーゼアッセイとタンパク質定量により遺伝子導入効率を評価した。
【0100】
図6Aに示す通り、16PEG-PLL又は32PEG-PLLをPLLと組み合わせることによって、PLLのみを用いる場合に比べて遺伝子発現効率が向上した。また、図6Bに示す通り、32PEG-PLLをPEIと組み合わせることによっても、PEIのみを用いる場合に比べて遺伝子発現効率が向上した。
【0101】
以上のように、本発明では化合物(1)〜(5)とポリプレックス形成カチオン性高分子を組み合わせて用いることによって、ポリプレックス形成カチオン性高分子を単独で用いる場合よりも優れた遺伝子導入効率を達成できることが分かった。
【0102】
実施例3.
ポリプレックス形成カチオン性高分子として、樹状高分子であるポリアミドアミンデンドリマー(PAMAM dendrimer:エチレンジアミンコアの第4世代デンドリマー、Sigma-Aldrich製)との組み合わせで用いる効果を検討した。
【0103】
16PEG-PLL、32PEG-PLL、及びPAMAM dendrimerのトリス緩衝液溶液をそれぞれ調製した後、16PEG-PLL溶液あるいは32PEG-PLL溶液と、PAMAM dendrimer溶液を、混合溶液中のPAMAM dendrimerの第一級アミノ基数が、16PEG-PLLあるいは32PEG-PLLの第一級アミノ基数の3倍となるよう混合した。この混合溶液を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対する第一級アミノ基数が10になるように加えて混合し、4℃で1晩インキュベーションしてポリプレックスを調製した。24穴マルチプレートに1穴あたり5万個のヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を播種し、10%FCSを含むDMEM培地で24時間培養した。培地を除去し、0.36 mM CaCl2と0.42 mM MgCl2を含むリン酸緩衝液で洗浄した後、10%FCSを含むDMEM培地1mlを加えた。そこへpDNAを1μg含むポリプレックス溶液を加え、37℃で培養した。48時間後、ルシフェラーゼアッセイとタンパク質定量により遺伝子導入効率を評価した。
【0104】
図7に示すように、本発明の化合物と組み合わせることによって、ポリプレックス形成カチオン性樹状高分子であるPAMAM dendrimerの遺伝子導入効率の増強が確認された。線状高分子であるPEIだけでなくPAMAM dendrimerに対しても有効であったことから高分子鎖の形状を問わずポリプレックス形成カチオン性高分子の遺伝子導入効率の増強に本発明の化合物が有効であることが分かった。
【0105】
実施例4.
リポプレックス形成カチオン性脂質と組み合わせた場合の培養細胞に対する遺伝子導入効率を検討した。リポプレックス形成カチオン性脂質として市販されているLipofectamineTM Reagent(カチオン性脂質である2,3-dioleyloxy-N- [2(sperminecarboxamido)ethyl]-N,N-dimethyl-1-propanaminium trifluoroacetateと中性脂質であるdioleoyl phosphatidylethanolamineの3:1(重量比)混合物:Invitrogen製)との組み合わせを検討した。16PEG-PLL、32PEG-PLL及びPLL(重合度 68)のトリス緩衝液溶液をそれぞれ調製した後、16PEG-PLL溶液、32PEG-PLL溶液あるいはPLL溶液を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたpDNA(pCMV Luc)のトリス緩衝液溶液(0.5μg/5μl)にpDNAのリン酸エステル数に対するPLL部のアミノ基数が0.5、1.0、2.0になるように加えて混合した後、トリス緩衝液を加えることにより、pDNA濃度が0.25μg/25μlの混合溶液を得た。比較のためにポリマー溶液の代わりにトリス緩衝液を加え希釈を行ったpDNA溶液も調製した。この混合溶液25μlに、LipofectamineTM Reagent溶液 2μlにトリス緩衝液23μlを加え希釈した溶液25μlを加え、室温で30分間インキュベーションしてポリプレックスを調製した。24穴マルチプレートに1穴あたり5万個のヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を播種し、10%FCSを含むDMEM培地で24時間培養した。培地を除去し、0.36 mM CaCl2と0.42 mM MgCl2を含むリン酸緩衝液で洗浄した後、10%FCSを含むDMEM培地1mlを加えた。そこへpDNAを0.5μg含むポリプレックス溶液を加え、37℃で培養した。24時間後、ルシフェラーゼアッセイとタンパク質定量により遺伝子導入効率を評価した。
【0106】
図8に示すように、lipofectamine単独に比べて16PEG-PLL及び32PEG-PLLとの組み合わせは明らかな遺伝子導入効率の増強が確認された。PLLでの組み合わせでは、このような増強は確認されないことから、カチオン性高分子との組み合わせで生じる増強ではなく、本発明の化合物との組み合わせによる効果である。
【0107】
以上のように本発明の化合物は、ポリプレックス形成カチオン性高分子だけでなくリポプレックス形成カチオン性脂質との組み合わせによっても遺伝子導入効率を向上させる効果をもつことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A−1.ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子、及び
A−2.リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質
からなる群より選択される少なくとも一種のカチオン性化合物;並びに
B.下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物
を含む、遺伝子導入用組成物
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(上記式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を、
R1は、カチオン性高分子を、
R2は、親水性高分子を、かつ
Lは、リンカーを示す。)。
【請求項2】
前記R1が、(A)n−(Aはリジン、アルギニン、ヒスチジン、若しくはオルニチン、又は側鎖にアミノ基、グアニジノ基、若しくはイミダゾール基をもつアミノ酸誘導体を示す。)、又はポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、若しくはポリビニルイミダゾールである、請求項1又は2に記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項3】
前記R2が、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリオキサゾリン、又はそれらの誘導体である、請求項1又は2に記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項4】
前記R2が、−(OCH2CH2n−Y(n=10〜500;Yは、親水性基を示す。)である、請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項5】
前記リンカーの分子量が14〜500である、請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項6】
前記リンカーが、−NH(CH2n−である、請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項7】
前記ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子が、プロタミン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、又はポリリシンデンドリマーである、請求項1〜6のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項8】
前記リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファリジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、プラスマロゲン、ホスファチジン酸、又は2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)である、請求項1〜6のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物。
【請求項9】
A−1.ポリプレックス形成能を有するカチオン性高分子、及び
A−2.リポプレックス形成能を有するカチオン性脂質
からなる群より選択される少なくとも一種のカチオン性化合物;並びに
B.下記式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物
を含む、遺伝子導入用キット
(1)R1−L−N(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22
(2)R1−L−N(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR222
(3)R1−L−N(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR2222
(4)R1−L−N(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(5)R1−L−N(X(X(X(X(CH2CH2CONHCH2CH2NHCOR22222
(上記式中、
Xは、−CH2CH2CONHCH2CH2N−を、
R1は、カチオン性高分子を、
R2は、親水性高分子を、かつ
Lは、リンカーを示す。)。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の遺伝子導入用組成物を遺伝子とともにイン・ビトロ又はイン・ビボ(ただし、ヒトを除く)で細胞に導入する工程を含む、細胞に遺伝子を導入する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60997(P2012−60997A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179598(P2011−179598)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】