説明

遺伝子工学のためのプロモーターおよびプラスミドシステム

【課題】代謝負荷の影響を最小限にし、生成物の必要性を満たすために組み換え型タンパク質の産生量を制御し、かつ形質転換された宿主細胞の安定性を高めながら、複数の遺伝子またはオペロンを容易かつ迅速に方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ターミネーター配列にそれぞれ隣接する、少なくとも3つの異なる遺伝子またはオペロンのクローニングに有用な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、タンパク質発現のレベルを変えるためのグルコースイソメラーゼプロモーターの変異体を含有する、一連の低コピー数プラスミドに関する。この材料および方法は、特に複数の遺伝子挿入が求められる場合の、微生物における遺伝子工学に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、少なくとも3つの異なる遺伝子またはオペロンをクローニングするために有用である制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、その各部位が、ターミネーター配列と、タンパク質発現のレベルを変えるための一組のプロモーターに隣接する、一連の低コピー数プラスミドに関する。本発明は、特に複数の遺伝子挿入が求められる場合の、微生物における遺伝子工学に有用である。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2002年4月22日に出願された米国仮出願第60/374931号の特典を主張する。本出願は、特願2003−586334を基礎とする分割出願である。
【0003】
分子生物工学は、研究者が、遺伝情報の特定の単位を、ある生物から別の生物に導入する能力に基づく学問分野である。このプロセスは、クローニングとして知られ、有用な産物または商業的プロセスを生じるための組み換えDNA技術の技法に頼っている(非特許文献1)。
【0004】
商業的プロセスは、多くの場合、クローン化された遺伝子によってコードされるタンパク質が、速い発現速度で生成されることを必要とする。あらゆるクローン化された遺伝子の最大限の発現を実現するための単独の戦略は存在しない。大抵のクローン化された遺伝子は、特有の分子特性をもち、相当な時間と労力を投資した末にようやく、許容されるレベルの発現をもたらす特定の一連の条件が発見される。
【0005】
単に遺伝子をクローニングベクターに挿入するだけでは、必要とされるレベルでうまく発現されることが確実にはならない。速い発現速度の必要性に応えるため、転写、翻訳、タンパク質の安定性、酸素の制限、および宿主細胞からの分泌の状況を制御するいくつかの異なる遺伝因子を操作することによって、多くの特化された発現ベクターが作成されている。より具体的には、遺伝子発現を制御するために操作されている分子的特徴には、以下が含まれる。(1)該当する転写プロモーターおよびターミネーター配列の性質、(2)リボソーム結合部位の強度、(3)クローン化された遺伝子のコピー数、および、その遺伝子が、プラスミド上にのっているか、それとも宿主細胞のゲノムに組み込まれているか、(4)合成された外来タンパク質の最終的な細胞位置、(5)その宿主生物における翻訳の効率、ならびに(6)その宿主細胞内のクローン化された遺伝子タンパク質(gene protein)の本質的な安定性。
【0006】
さらに、宿主生物における外来DNAの導入および発現は、しばしば、通常の細胞機能を低下させる形で、その生物の代謝を変化させる。この現象は、外来DNAによって宿主に課せられる代謝負荷または負担が原因である。この代謝負荷は、以下を含めた様々な状態に起因する可能性がある。1)プラスミドコピー数の増加、2)タンパク質の過剰産生、3)輸送(export)部位の飽和、および/または4)外来タンパク質それ自体による細胞機能の妨害。
【0007】
上で示された障害のいくつかに対処するための技術は、既知である。いくつかのグループは、異なるRNAポリメラーゼからの、あるいは異なるファージ種における、細胞成長の異なる段階での遺伝子を発現させるために連係する複数のプロモーター(特許文献1)を使用している(米国特許公報(特許文献2);(非特許文献2);(非特許文献3))。別のグループは、プラスミドベクターからのDNAの出入りを容易にするために、タンデムリピート(tandem repeated)マルチクローニングサイト(MCS)((非特許文献4))を使用している。あるグループは、哺乳類の細胞における異なる遺伝子の発現のための異なるプロモーターの後ろに各々存在する3つのマルチクローニングサイトを有する高コピー数ベクターの使用を報告している(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許第1186856明細書
【特許文献2】米国特許第5,547,862号明細書
【特許文献3】国際公開第9,821,341号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,013,494号明細書
【特許文献5】国際公開第0112833号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献7】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献8】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献9】米国特許第6,025,184号明細書
【特許文献10】米国特許第5,599,689号明細書
【特許文献11】米国特許第6,136,576号明細書
【特許文献12】国際公開第9928480号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】グリック、B.R.(Glick,B.R.);パステルナーク、J.J(Pasternak,J.J.)、分子生物工学および組み換えDNAの原理と応用(Molecular Biotechnology and Principles and Applications of Recombinant DNA)、第2版、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC.(Washington,DC.)(1998年)
【非特許文献2】J.Biotechnol.、2(5):303〜316(1985年)
【非特許文献3】Biotechniques、18(1):152〜154、156〜157(1995年)
【非特許文献4】遺伝子(Gene)、139(1):83〜86(1994年)
【非特許文献5】Biotech.Bioeng.、57(1):1〜10(1998年)
【非特許文献6】特許出願におけるヌクレオチド及びアミノ酸配列の提示のための標準(Rules for the Standard Representation of Nucleotide and Amino Acid Sequences in Patent Applications)(Annexes I and II to the Decision of the President of the EPO, published in Supplement No. 2 to OJ EPO,12/1992)
【非特許文献7】37 C.F.R.1.821〜1.825ならびに付属書(Appendices)AおよびB(ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を含む出願の開示に関する要件(Requirements for Application Disclosures Containing Nucleotides and/or Amino Acid Sequences))
【非特許文献8】世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)標準(Standard)ST.25(1998年)
【非特許文献9】EPOおよびPCTの配列表の要件(the sequence listing requirements of the EPO and PCT)(Rules 5.2 and 49.5(a−bis), and Section 208 and Annex C of the Administrative Instructions)
【非特許文献10】Nucleic Acids Research 13:3021〜3030(1985年)
【非特許文献11】Biochemical Journal 219(No.2):345〜373(1984年)
【非特許文献12】特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブタペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure)
【非特許文献13】ダニエル(Daniel)他、FEMS Microbiol.Rev.、22:553(1999年)
【非特許文献14】トラヤ(Toraya)およびモリ(Mori)、J.Biol.Chem.、274:3372(1999年)
【非特許文献15】トモマツ(Tobimatsu)他、J.Bacteriol.、181:4110(1999年)
【非特許文献16】ホーリー、D.K.(Hawley,D.K.);マクルーア、W.R.(McClure,W.R.)、Nucleic Acids Res.、11:2237〜2255(1983年)
【非特許文献17】マディガン、M.T.(Madigan,M.T.);マルティンコ、J.M.(Martinko,J.M.);パーカー、J(Parker,J.);ブロック微生物学(Brock Biology of Microorganisms)、第8版、プレンティスホール出版(Prentice Hall);ニュージャージー州アッパーサドルリバー(Upper Saddle River,NJ)(1997年)
【非特許文献18】ポッスル、K.(Postle,K.);グッド、R.F.(Good,R.F.)、細胞(Cell)、41、577〜585(1985年)
【非特許文献19】ヤンゲット(Yanget)他、J.Biol.Chem.、270:23330〜23336(1995年)
【非特許文献20】タカギ(Takagi)他、Nucleic Acid Res.、13:2063〜2074(1985年)
【非特許文献21】ラーナー(Lerner)他、Nucleic Acids Res.、18:4631(1990年)
【非特許文献22】ダツセンコ(Datsenko)およびワーナー(Wanner)のLラムダレッド法(Llambda red method)(2000)PNAS 97:6640〜6645
【非特許文献23】ワン(Wang)他、J.Bact.、176:7091〜7095(1994年)
【非特許文献24】ララソン(Larason)他、Mol.Microbiol.、10:1101(1993年)
【非特許文献25】アルバーチン(Albertyn)他、Mol.Cell.Biol.、14:4135(1994年)
【非特許文献26】ノーベック(Norbeck)他、J.Biol.Chem.、271:13875(1996年)
【非特許文献27】サムブルック、J.(Sambrook,J.)、フリッチ、E.F.(Fritsch,E.F.)、およびマニアティス、T.(Maniatis,T.)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;コールドスプリングハーバー研究所出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press):コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(1989年)(マニアティス(Maniatis))
【非特許文献28】T.J.シルハベイ(T.J.Silhavy)、M.L.ベナン(M.L.Bennan)、およびL.W.エンクウィスト(L.W.Enquist)、Experiments with Gene Fusions、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor,NY)(1984年)
【非特許文献29】オーズベル、F.M.(Ausubel,F.M.)他、グリーンパブリッシングアソシエイツアンドワイリーインターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)によって出版された、分子生物学 最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(1987年)
【非特許文献30】Manual of Methods for General Bacteriology(フィリップ ゲルハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレー(R.G.E.Murray)、ラルフ N.コスティロ(Ralph N.Costilow)、ユージン W.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス A.ウッド(Willis A.Wood)、ノエル R.クリーグ(Noel R.Krieg)、およびG.ブリッグス フィリップス(G. Briggs Phillips)編)、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC(Washington,DC)(1994年))
【非特許文献31】トーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)、Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、シナウアーアソシエイツインコーポレイティッド(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland,MA)(1989年)
【非特許文献32】フォレージ(Forage)およびフォスター(Foster)によるBiochim.Biophys.Acta、569:249(1979年)
【非特許文献33】ヴァン・ダイク(Van Dyk)他、応用環境微生物学(Appl.Environ.Microbiol.)、180:785〜792(1995)
【非特許文献34】ヴァン・ダイク(Van Dyk)およびロッソン(Rosson)分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)、Vol.102:生物発光の方法および手順(Bioluminescence Methods and Protocols)、85(1998年)
【非特許文献35】リン(Lynn)他、J.Mol.Biol.、183:529〜541(1985年)
【非特許文献36】ワーナー(Wanner)およびダツセンコ(Datsenko)、PNAS、97(12):6640〜6645(2000年)
【非特許文献37】ファラボウ(Farabaugh)、ネイチャー(Nature)、274(5673):765〜769(1978年)
【非特許文献38】アマン(Amann)他、遺伝子(Gene)25:167〜178(1983年)
【非特許文献39】サトクリフ(Sutcliffe)、生物学専門家によるコールドスプリングハーバーシンポジウム(Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.)43:77〜90(1979年)
【非特許文献40】ポッスル、K.(Postle,K.)およびグッド、R.F.(Good,R.F.)、細胞(Cell)、41:577〜585(1985年)
【非特許文献41】タカギ(Takagi)他、Nucleic Acids Research.13(6):2063〜2072(1985年)
【非特許文献42】ホートン(Horton)他、Bio Techniques、8:528〜535、(1990年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの技術にもかかわらず、代謝負荷の影響を最小限にし、生成物の必要性(production need)を満たすために組み換え型タンパク質の産生量を制御し、かつ形質転換された宿主細胞の安定性を高めながら、複数の遺伝子またはオペロンを容易かつ迅速に方法という解決されるべき問題は残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人等は、産生生物における遺伝子発現のレベルを変えることが可能な新規のグルコースイソメラーゼプロモーター配列を作成した。本出願人等は、遺伝子工学のための一連のプラスミドを構築するために、変異体GIプロモーターを含有する発現カセットを、pCL1920から得られた低コピー数プラスミドに組み込んだ。転写ターミネーターは、このコンストラクトの外部に位置する他のプロモーターからの転写から、関連するプロモーターを隔てる。
【発明の効果】
【0012】
本出願人等はまた、複数のレアな(rare)制限酵素のためのクローニングサイトを含有し、さらに、このコンストラクトにおけるクローニング、または別のプラスミドまたはベクター骨格へのこのコンストラクトの導入を容易にするユニークな(unique)ヌクレオチド配列を構築した。このユニークなクローニングサイトは、様々な強度の適切なプロモーターの制御下で発現される遺伝子またはオペロンの導入を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下を包含する。
1.配列番号:9〜28からなる群から選択され、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ変異体をコードする単離されたまたは組み換え型の核酸分子;
2.配列番号:9〜28のいずれかのヌクレオチド配列を含み、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ変異体をコードする単離されたまたは組み換え型の核酸分子;
3.配列番号:9〜28のヌクレオチド配列を含み、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ変異体をコードする単離されたまたは組み換え型の核酸分子のライブラリ;
4.上で述べた種々のGI変異体の核酸分子を含む発現カセット;および
5.上で述べた種々のストレプトマイエスリビダンスグルコースイソメラーゼ変異体をコードする核酸分子を含むキット。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも3つの転写ターミネーターと、いずれか2つの転写ターミネーター間に位置する少なくとも1つのクローニングサイトを含むDNAコンストラクトである。このDNAコンストラクトの好ましい実施形態は、転写ターミネーターtonB、thrA、またはaspAを含み、クローニングサイトは、AvrII、NheI、BfaI、Cac8I、BsaJI、およびStyIからなる群から選択される。好ましいクローニングサイトは、NheIまたはAvrIIである。こうしたコンストラクトのライブラリもまた、本発明に包含される。
【0015】
本発明には、次のDNAコンストラクトが含まれる。
配列番号:30からなるpSYCO109mcsプラスミド、
配列番号:31からなる短い(short)1.5GIプロモーター、
配列番号:32からなる短い1.20GIプロモーター、
配列番号:70からなるpAH105プラスミド、
配列番号:71からなるpSYCO101プラスミド、
配列番号:72からなるpSYCO103プラスミド、
配列番号:73からなるpSYCO106プラスミド、
配列番号:74からなるpSYCO109プラスミド、
配列番号:78からなるpSCYO106mcsプラスミド、および
配列番号:79からなるpRJ50プラスミド。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、制限エンドヌクレアーゼAscI、NheI、PacI、RsrII、NsiI、SacII、MluI、AgeI、SapI、およびSnaBIに特異的な制限認識部位配列を含有するマルチクローニングサイトを有するベクターである。このベクターのある実施形態は、配列番号:77のヌクレオチド配列である。
【0017】
この発明の遺伝物質には、上で述べた核酸分子およびこのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含有する形質転換された宿主細胞が含まれる。
【0018】
(配列表および生物寄託の簡単な説明)
本出願人等は、(非特許文献6)に従って、また、(非特許文献7に従って、また、(非特許文献8)および(非特許文献9)に従って、83配列を提供した。これらの配列の説明(Sequence Descriptions)は、(非特許文献10)および(非特許文献11)に記載されたIUPAC−IYUB標準(これらを参照によって本明細書に組み込む)に従って定義される通りのヌクレオチド配列特性についての1文字のコード、およびアミノ酸についての3文字のコードを含む。
【0019】
配列番号:1は、野生型ストレプトマイセスリビダンス(Streptomyces lividans)グルコースイソメラーゼ(GI)プロモーターのヌクレオチド配列である。
【0020】
配列番号:2〜8は、GIプロモーターの飽和ミュータジェネシス(saturation mutagenesis)に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。配列番号:3〜8においては、「N」は、A、T、C、またはGのいずれかに相当する。
【0021】
配列番号:9〜28は、GIプロモーター変異体のヌクレオチド配列である。
【0022】
配列番号:29は、E.coli由来のyqhD遺伝子のヌクレオチド配列である。
【0023】
配列番号:30は、pSYCO109mcsプラスミドのヌクレオチド配列である。
【0024】
配列番号:31は、短い1.5GIプロモーターのヌクレオチド配列である。
【0025】
配列番号:32は、短い1.20GIプロモーターのヌクレオチド配列である。
【0026】
配列番号:33は、短い野生型GIプロモーターのヌクレオチド配列である。
【0027】
配列番号:34〜37は、短いGIプロモーターの組み込みを伴う、yqhDの増幅のために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0028】
配列番号:38〜39は、yqhD破壊を構築するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0029】
配列番号:40〜43は、yqhDの破壊を確認するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0030】
配列番号:44〜46は、短い野生型GIプロモーターへの染色体(chromosomal)ppcプロモーターの置き換えのために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0031】
配列番号:47は、マルチクローニングサイトおよびターミネーターのヌクレオチド配列である。
【0032】
配列番号:48は、pHK28−26プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0033】
配列番号:49〜50は、dhaB3を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0034】
配列番号:51〜52は、dhaB1を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0035】
配列番号:53〜54は、dhaT欠失を作成するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0036】
配列番号:55〜56は、リンカーを作成するために使用されるオリゴヌクレオチドである。
【0037】
配列番号:57は、制限部位によって隔てられる3つの転写ターミネーターをコードするヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号:58〜59は、配列番号:60を作成するために使用されるオリゴヌクレオチドである。
【0039】
配列番号:60は、EcoRIおよびKpnI部位に隣接する3つの転写ターミネーターをコードするヌクレオチド配列である。
【0040】
配列番号:61〜62は、配列番号:60を増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0041】
配列番号:63〜66は、発現カセットを増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0042】
配列番号:67は、pCR−pCL1920を作成するために使用される二重鎖リンカーのヌクレオチド配列である。
【0043】
配列番号:68〜69は、pTrc99A由来のrrnBT1T2ターミネーターを増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0044】
配列番号:70は、pAH105プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0045】
配列番号:71は、pSYCO101プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号:72は、pSYCO103プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0047】
配列番号:73は、pSYCO106プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0048】
配列番号:74は、pSYCO109プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0049】
配列番号:75〜76は、配列番号:77を形成するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0050】
配列番号:77は、次の酵素:NheI、RsrII、SacI、AgeI、SnaBI、AscI、PacI、NsiI、MluI、およびSapIのための制限認識部位を含有する複数のクローニング断片のヌクレオチド配列である。
【0051】
配列番号:78は、pSCYO106mcsプラスミドのヌクレオチド配列である。
【0052】
配列番号:79は、pRJ50プラスミドのヌクレオチド配列である。
【0053】
配列番号:80〜81は、orfオペロンを増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0054】
配列番号:82〜83は、実施例4において形質転換体を確認するためのオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0055】
本出願人等は、(非特許文献12)の条項に従って、以下の生物寄託を行った。
【0056】
【表1】

【0057】
本明細書では、「ATCC」は、アメリカ合衆国(U.S.A)20110〜1109 バージニア州マナサス市大学通り(University Blvd.,Manassas,VA)10801にあるアメリカンタイプカルチャーコレクション国際寄託機関(American Type Culture Collection International Depository)を意味する。「ATCC番号」は、ATCCに寄託中の培養株に対する受託番号である。
【0058】
記載された寄託物は、示された国際寄託機関で、少なくとも30年間保持されることとなり、これを開示している特許の付与後に一般に利用できることとなる。寄託の有効性は、関係官庁の決定によって付与された特許権を逸脱して対象となる発明を実施するためのライセンスを意味する訳ではない。
【0059】
本出願人等は、少なくとも3つのユニークなクローニングサイトを含有し、各クローニングサイトが、転写ターミネーターおよび強度の異なるプロモーターによって互いに作動可能に隔てられている一連のコンストラクトを作成することによって、ここで述べた問題を解決した。異なる強度のプロモーターは、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ(GI)プロモーター(配列番号:1)の変異体である。発現カセット中の変異体GIプロモーターを、産生土台としてのSYCOプラスミドと組み合わせることにより、非常に様々なバイオプロセス計画における生体触媒の開発に有用なシステムが提供される。
【0060】
本発明は、遺伝子発現のレベルを制御するベクターへの、内在または外因性遺伝子またはオペロンの容易かつ安定な組み込みを可能にする。複数の遺伝子またはオペロンを発現するために単一のプラスミドを使用すると、従来の方法において遺伝子産物を生じるために必要とされる、E.coli宿主中の複数のプラスミドを維持するのに必要な抗生物質マーカーの数が減少する。本発明の使用は、代謝負荷の影響を最小限にし、組み換え型タンパク質の産生量を最適化し、形質転換された宿主細胞の安定性を高めることができる。本発明は特に、産物形成のために、2つ以上の遺伝子またはオペロンの発現が必要とされる可能性がある場合のバイオプロセスにおける遺伝子工学に有用である。
【0061】
本出願人等は、遺伝子発現のレベルの変化を可能にする新規のGIプロモーター配列を作成した。本出願人等は、遺伝子工学のための一連のプラスミドを構築するために、pCL1920から得られた低コピー数プラスミドに、変異体GIプロモーターを含有する発現カセットを組み込んだ。転写ターミネーターは、このコンストラクトの外部に位置する他のプロモーターからの転写から、関連するプロモーターを隔てる。
【0062】
本出願人等はまた、少なくとも10のレアな制限酵素のためのクローニングサイトを含有し、さらに、このコンストラクトにおけるクローニング、または別のプラスミドまたはベクター骨格へのこのコンストラクトの導入を容易にするユニークなヌクレオチド配列を構築した。このユニークなクローニングサイトは、様々な強度の適切なプロモーターの制御下で発現される遺伝子またはオペロンの導入を可能にする。さらに、任意のコンストラクトは、pUC、pBR322、pACYC、pSC101、または当分野の技術者によって知られておりかつ予想できるその他のものを含めた任意の数のプラスミド骨格への容易な組み込みのためのユニークなクローニングサイトに隣接することが可能である。
【0063】
本出願人等は、特許請求の範囲に記載される材料を用いて形質転換されたE.coli中でのグルコースからの1,3−プロパンジオール(3G)の生合成における、本発明の特有の有用性を実証した。発現カセットは、本明細書で述べる通りの低コピー数プラスミド内に構築され、1,3−プロパンジオールの生成のための遺伝子を、このベクターにクローニングした。本発明を用いて、他の発現システムにおける遺伝子発現を変えることが可能である。
【0064】
(定義)
特許請求の範囲および明細書を説明するために、以下の定義および略語を用いる。
【0065】
「オープンリーディングフレーム」は、ORFと省略される。
【0066】
「ポリメラーゼ連鎖反応」は、PCRと省略される。
【0067】
用語「宿主細胞」または「宿主生物」は、外来または異種遺伝子あるいは内在遺伝子の複数のコピーを受け入れ、それらの遺伝子を発現して活性な遺伝子産物を生じることが可能な微生物を意味する。
【0068】
用語「DNAコンストラクト」または「コンストラクト」は、DNAの人為的に構築されたフラグメントを意味する。
【0069】
「遺伝子」は、コード配列の前(5’非コード配列)および後(3’非コード配列)の制御配列を含めて、特定のタンパク質を発現する核酸フラグメントを意味する。「天然の(native)遺伝子」」は、独自の制御配列を有する、天然においてみられるような遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」は、本来共にみられない制御配列およびコード配列を含む、天然の遺伝子ではない任意の遺伝子を意味する。したがって、キメラ遺伝子は、別の起源から得られた制御配列およびコード配列、または同じ起源から得られるが、本来みられるのとは異なる方式で配列された制御配列およびコード配列を含む可能性がある。「内在遺伝子」は、生物のゲノム中の本来の位置の天然の遺伝子を意味する。「外来」、「外因性」、または「異種」遺伝子は、宿主生物中に通常はみられないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入される遺伝子を意味する。外来遺伝子は、他の生物に挿入された天然の遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノムに導入された遺伝子である。「遺伝子コンストラクト」は、1種または複数の特定のタンパク質の発現をコードする核酸フラグメントを意味する。遺伝子コンストラクトにおいては、遺伝子は本来、天然、キメラ、または外来であり得る。
【0070】
用語「単離された核酸」は、天然の配列を本来伴う他の成分(例えば、リボソーム、ポリメラーゼ、および/または起源とする種由来の隣接するゲノム配列)から実質上分離された核酸(例えば、RNA、DNA、または混合されたポリマー)を意味する。この用語には、組み換え型またはクローン化されたDNA単離体および化学的に合成された類似体または異種システムによって生物学的に合成された類似体が含まれる。
【0071】
用語「コードする(encoding)」および「コードする(coding)」は、遺伝子が、転写および翻訳の機構を介して、アミノ酸配列を生じるプロセスを意味する。ある特定のアミノ酸配列をコードするプロセスには、コードされるアミノ酸を変化させない塩基変化、あるいは1つまたは複数のアミノ酸は変化してもよいが、DNA配列によってコードされるタンパク質の機能特性には影響を与えない塩基変化を含む可能性があるDNA配列が含まれる。したがって、本発明が、特定の例示的な配列以上のものを包含することは言うまでもない。配列に対する改変、例えば、得られるタンパク質分子の機能特性には実質上影響を与えないサイレントな変化を引き起こす、配列における欠失、挿入、または置換なども考えられる。例えば、遺伝暗号の縮重を反映する、あるいは、任意の部位での化学的に等価なアミノ酸の産生をもたらす遺伝子配列の変化が考えられる。したがって、アミノ酸アラニン、すなわち疎水性アミノ酸に対するコドンは、別の、より少ない疎水性残基(グリシンなど)、あるいはより多い疎水性残基(バリン、ロイシン、またはイソロイシンなど)をコードするコドンによって置換されてもよい。同様に、負の電荷をもつある残基から別の負の電荷をもつ残基への置換(アスパラギン酸からグルタミン酸へなど)、または正の電荷をもつある残基から別の正の電荷をもつ残基への置換(リジンからアルギニンへなど)をもたらす変化も、生物学的に等価な生成物を生じると考えることができる。タンパク質分子のN末端およびC末端部分の変化をもたらすヌクレオチド変化はまた、タンパク質の活性を変えるとは考えられない。場合によっては、変化の、タンパク質の生物学的活性に関する影響を研究するために、配列の変異体を作成することが、実際のところは望ましいかもしれない。提示された改変はそれぞれ、十分に当技術分野の範囲内であり、コードされる産物における生物学的活性の保持の決定も同様である。さらに、当分野の技術者は、この発明に包含される配列もまた、厳密な条件下(0.1×SSC、0.1% SDS、65℃)で、本明細書に例示される配列とハイブリダイズする能力によって定義されるということを理解する。
【0072】
用語「発現」は、ある遺伝子産物の配列をコードする遺伝子からの、その遺伝子産物への転写および翻訳を意味する。
【0073】
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが結合し、遺伝子の転写を開始するDNAの領域を意味する。
【0074】
用語「転写ターミネーター」または「ターミネーター」は、タンパク質合成を終わらせる遺伝因子を意味する。
【0075】
用語「オペロン」は、同調的に調節される遺伝子群を意味する。
【0076】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、遺伝子産物を意味するために同義的に用いられる。
【0077】
用語「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」は、細胞の中枢的な代謝の一部ではなく、通常環状の二重鎖DNA分子の形である遺伝子を多くの場合保有する追加的な染色体要素を意味する。こうした要素は、いずれかの起源から得られた一本鎖または二重鎖のDNAまたはRNAの、自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージ、またはヌクレオチド配列(直鎖状または環状)であり得る。こうした要素は、適切な3’非翻訳配列に加えて、選択された遺伝子産物のためのプロモーターフラグメントおよびDNA配列を、細胞に導入することが可能な独自の構築物に連結または再結合されているいくつかのヌクレオチド配列を含有する。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有し、この外来遺伝子の他に、ある特定の宿主細胞の形質転換を容易にする要素を有する特定のベクターを意味する。「発現カセット」は、外来遺伝子を含有し、この外来遺伝子の他に、宿主中でのこの遺伝子の高められた発現を可能にする要素を有する特定のベクターを意味する。
【0078】
用語「制限エンドヌクレアーゼ」は、任意の長さのDNAを、特定かつユニークな内部位置で切断する酵素の群を意味する。制限エンドヌクレアーゼは、DNA中に切れ目(cut)を作成することによって、その後のスプライシング、またはDNAの断片の内部位置への挿入を可能にする。用語「制限部位」または「制限認識部位」は、「認識」され、任意の制限酵素によって切断されるDNA分子中の(塩基対の)ヌクレオチド配列を意味する。
【0079】
制限酵素部位に適用される場合の用語「レアな」は、遺伝子中の任意の配列の出現頻度の低さを意味する。この明細書の目的のための、レアな制限酵素部位の好ましい群は、AscI、NheI、PacI、RsrII、NsiI、SacII、MluI、AgeI、SapI、およびSnaBIである。
【0080】
用語「クローニングサイト」は、DNAを挿入することができる、ベクター上の位置を意味する。用語「マルチクローニングサイト」または「mcs」は、ベクター上の定められた位置(制限部位)での挿入を可能にするいずれかの1つまたはいくつかの異なる制限酵素部位を含有する合成のDNA配列を意味する。用語「ユニークなクローニングサイト」は、任意のDNA配列を伴って一度だけ現れるクローニングサイトを意味する。
【0081】
ベクターの要素の相対的位置を述べる際、当該の要素の任意の部位または位置は、他の2つの要素を隔てるDNAの中間の距離に位置するならば、他の2つの要素「の間」である。環状ベクターの場合では、当該の要素の任意の部位または位置は、ベクター上の他の2つの部位を隔てる最短の長さのDNA内に位置するならば、他の2つの要素「の間」である。任意の部位または位置は、当該の要素の部位または位置の前または後に位置する別の要素に「隣接する」と呼ばれる。
【0082】
用語「遺伝子改変」は、形質転換または変異によって遺伝材料を変化させるプロセスを意味する。用語「形質転換」および「形質移入」は、核酸の組み込み後の、細胞における新たな遺伝子の獲得を意味する。この獲得される遺伝子は、染色体DNAに組み込まれる、あるいは染色体外の複製配列として導入することができる。用語「形質転換体」は、形質転換の産物を意味する。
【0083】
用語「グリセロールデヒドラターゼ」または「デヒドラターゼ酵素」は、グリセロール分子を生成物3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドに異性化または転換することができるコエンザイムB12依存性酵素活性に関与する1つまたは複数のポリペプチドを意味する。本発明の目的では、デヒドラターゼ酵素には、それぞれグリセロールと1,2−プロパンジオールという好ましい基質をもつグリセロールデヒドラターゼ(GenBank U09771、U30903)およびジオールデヒドラターゼ(GenBank D45071)が含まれる。肺炎桿菌(K.pneumoniae)ATCC 25955のグリセロールデヒドラターゼは、遺伝子dhaB1、dhaB2、およびdhaB3(GenBank U30903)によってコードされる。これらのdhaB1、dhaB2、dhaB3遺伝子はそれぞれ、グリセロールデヒドラターゼ酵素のα、β、γサブユニットをコードする。グリセロールデヒドラターゼおよびジオールデヒドラターゼは、コエンザイムB12を利用する複合体(α2β2γ2サブユニット構成をとる)である。
【0084】
グリセロールヒドラターゼおよびジオールヒドラターゼは、グリセロールおよびある種の他の基質によって、メカニズムに基づく自殺失活(suicide inactivate)を受けやすい(非特許文献13)。用語「デヒドラターゼ再活性化因子」は、デヒドラターゼ活性の再活性化に関与するタンパク質を意味する。用語「デヒドラターゼ再活性化活性」、「デヒドラターゼ活性の再活性化」、または「デヒドラターゼ活性の再生」は、基質の触媒作用が可能でないデヒドラターゼを、基質の触媒作用が可能なものに転換する事象、またはデヒドラターゼの失活を妨げる事象、またはin vivoのデヒドラターゼ酵素の有効半減期を延長する事象を意味する。デヒドラターゼ再活性化因子として使用されるものとして、2種のタンパク質が同定されている(特許文献3)(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公報(特許文献4)参照のこと)およびその中の参考文献;(非特許文献13);(非特許文献14);ならびに(非特許文献15)を参照のこと)。
【0085】
用語「オキシドレダクターゼ」または「1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ」は、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドの1,3−プロパンジオールへの還元を触媒することが可能な酵素活性に関与する1つまたは複数のポリペプチドを意味する。1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼには、例えば、dhaT遺伝子(GeneBank U09771、U30903)によってコードされるポリペプチドがある。あるいは、yqhD、すなわちクロストリジウム(Clostridium)中の遺伝子adhB(NADH依存性ブタノールデヒドラターゼ2と推定される)に対して40%の同一性をもつE.coliオープンリーディングフレームは、1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼとして機能するポリペプチドをコードする(特許文献5)。
【0086】
pSYCOプラスミド(pSYCO101、pSYCO103、pSYCO106、pSYCO109、pSYCO106mcs、およびpSYCO109mcs)によって発現される酵素はすべて、グリセロールデヒドラターゼ、デヒドラターゼ再活性化因子、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、およびグリセロール−3−ホスファターゼを発現するのに必要な遺伝子を含むと言うことができる。
【0087】
用語「発酵性の炭素基質」および「発酵性の炭素源」は、本発明の宿主生物によって代謝されることが可能な炭素源、特に、単糖、少糖、多糖、グリセロール、ジヒドロキシアセトン、および一炭素基質、またはそれらの混合物からなる群から選択される炭素源を意味する。
【0088】
(強度の異なるGIプロモーター変異体を用いた遺伝子発現システム)
有効な遺伝子発現システムに最低限必要なものは、クローン化された遺伝子の上流にあるプロモーター(RNAポリメラーゼが結合し、転写を開始する、DNA上の部位)の存在である。しばしば、強力なプロモーター、すなわち、RNAポリメラーゼに対して高い親和性を有し、その結果、隣接する下流領域が高度にまたは高頻度で転写されるものが使用される。
【0089】
プロモーターにおいては、プロモーター強度(下流遺伝子が転写されるレベル)の主な配列的決定因子は、最も高度に保存される塩基対である。この保存される配列から外れたプロモーターは、転写開始の頻度を下げる(非特許文献16)。
【0090】
E.coli RNAポリメラーゼに対するプロモーターは、転写開始部位の約10および35塩基対上流に位置する保存されるDNA配列の2領域を含有することが示されている。プロモーターの中で、12塩基対が最も高度に保存されることが判明した。これらの塩基は、およそ35塩基対上流部を含むTTGACA、いわゆる−35領域、およびおよそ10塩基対上流部を含むTATAAT、いわゆる−10領域である。−10領域と−35領域との間の最適間隔は、17塩基対である。この間隔が、17塩基対により近い場合、プロモーターは、より強力であるが、間隔が15および20塩基対であるプロモーターは、不完全な機能を保持する。
【0091】
本出願人等は、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ(GI)プロモーターの変異体を組み込んだ一連のコンストラクトを作成した。このコンストラクトは、必要とされる様々なレベルの遺伝子発現を調整する能力を与える一連の異なる強度を有するプロモーター変異体のライブラリまたはキットを構成する。ストレプトマイセスグルコースイソメラーゼ(EC 5.3.1.9)は、グルコース−6−リン酸の、フルクトース−6−リン酸のへの転換を触媒する。ホスホグルコースイソメラーゼ(pgi)をコードする遺伝子の転写は、特徴的な−10シグネチャ配列(AATAAT)および特徴的な−35シグネチャ配列(TTGACA)を含有するプロモーターによって制御される。プロモーターの−35領域において飽和ミュータジェネシスを実施したとしても、−35領域から約122bp上流のSpeI制限部位への変化は、発現された遺伝子活性に影響を与えた。さらに、−10と、このプロモーターの末端との間の25bp欠失は、SpeI制限部位への変化を伴っても、酵素活性の86%の保持を可能にした。こうした詳細な結果は、これまで報告されていなかった。
【0092】
RNA合成の転写終結は、DNA上の特定の塩基配列で起こり、転写の終結を制御する。DNA上の通常の終結配列は、中央の非繰り返し部分(central non−repeating segment)と共に逆位繰り返し配列(inverted repeat)を含有するものである。こうしたDNA配列が転写されると、RNAは、鎖内の塩基対合によるステム−ループ構造を成すことができる。それに続いて、RNAにおけるこうしたステム−ループ構造が、ウリジンを通る(run of)とき、これは、有効な転写ターミネーターとなる。他の終結部位は、GC−リッチ配列の後にAT−リッチ配列が続く領域である。こうした種類の構造は、いずれの追加因子を加えずとも転写の終結を招き、これらは時として内因性(intrinsic)ターミネーターまたはrho非依存性ターミネーターと呼ばれる。
【0093】
他のタイプのターミネーター配列は、機能するために、RNAポリメラーゼの他に、E.coli由来のRhoのようなタンパク質因子を必要とすることが発見されている。Rhoは、RNAポリメラーゼにもDNAにも結合しないが、RNAに固く結合し、RNAポリメラーゼ−DNA複合体に向かって鎖を下に移動する。RNAポリメラーゼが、Rho依存性終結部位で停止すると、Rhoは、RNAおよびポリメラーゼを、DNAから離れさせることができ、転写を終結させる。転写終結に関与する他のタンパク質は、Rhoのように、RNA結合タンパク質である。すべての場合において、終結に関与する配列は、RNAのレベルで作用する。しかし、RNAは、DNAから転写されるので、転写終結は、根本的には、DNA上の特定のヌクレオチド配列によって決定される(非特許文献17)。
【0094】
本出願人等は、3つの異なるターミネーター配列が、連係して配置された終結領域を構築した。これらの3つのターミネーターは、遺伝子またはオペロンのクローニングに有用なユニークな制限酵素部位に隣接する。tonBターミネーターは、E.coli tonB遺伝子と、反対の遺伝子との間に見られる両方向性のrho依存性転写ターミネーターである(非特許文献18)。構造が、他のrho依存性ターミネーターと同様のthrアテニュエーターは、E.coliスレオニンオペロンの転写の終結を容易にする(非特許文献19)。rho依存性ターミネーターの構造特性をもつaspAターミネーターは、E.coliアスパルターゼオペロンの転写の終結を容易にする(非特許文献20)。
【0095】
自律的な自己複製遺伝因子として、プラスミドは、自身を、クローン化されたDNAを運ぶための潜在的なベクターにするための基本的属性をもつ。天然に存在するプラスミドは、高性能のクローニングベクターに必要とされるいくつかの重要な特徴をしばしば欠いている。こうした特徴には、(1)小さなサイズ(外因性DNAの宿主への効率的な導入のために不可欠)、(2)インサートDNAをクローン化することができるユニークな制限エンドヌクレアーゼ認識部位、および(3)クローニングベクター−インサートDNAコンストラクトを保有する受容細胞を識別するための1つまたは複数の選択可能な遺伝マーカーが含まれる。したがって、プラスミドクローニングベクターは、遺伝子改変される必要がある(非特許文献1)。
【0096】
pCL1920/21ベクターは、lacプロモーター/オペレーターを保有する580bp BstUIフラグメント、マルチクローニングサイト、およびpGB2、すなわちE.coli中でスペクチノマイシンおよびストレプトマイシン耐性を与える、pSC101から得られたプラスミドにおけるポリリンカー領域の代わりにクローン化されたpUC19のlacZフラグメントを含有する一対の低コピー数プラスミドである。pCL1920/21ベクター(5コピー/細胞)は、pCL1920/21ベクターとpUCベクター(200コピー/細胞)との間のプラスミドコピー数において、40倍の違いがある。したがって、pCL1920/21ベクターは、菌株中で形質転換を行った場合に、プロモーター−オペレーターの下流に挿入された遺伝子の調節された低レベル発現を可能にする。これらはまた、高コピー数で有害となり得る遺伝子のクローニングにも有用であるだろう。pCL1920/21ベクターは、ColE1から得られたプラスミドと適合性があるので、これらを、pBR322またはpUCから得られたプラスミドと共に、安定な共形質転換体(co−transformant)を形成するために使用できる(非特許文献21)。
【0097】
本発明のプラスミドは、物質の制御された生物生産のための様々な宿主中で使用することができる。
【0098】
(転写レベルを変化させるための、任意の内在遺伝子またはオペロンの、染色体に位置する天然のプロモーターの置き換え)
遺伝子またはオペロンの転写レベルを変化させるために、任意の内在遺伝子またはオペロンに関連した、染色体に位置する天然のプロモーターを置き換える方法において、特許請求の範囲に記載されるプロモーター変異体(配列番号:31および32を含むコンストラクト)を使用することができる。その結果は、タンパク質生成レベルの変化である。置き換えられるプロモーターは、(非特許文献22)または同等の方法が実施可能であるどんな微生物におけるどんな遺伝子であってもよい。
【0099】
この方法では、標的遺伝子の5’コード領域に作動可能に連結された分岐的に配置された(divergently−arranged)非天然のプロモーターに作動可能に連結された選択可能なマーカーを含むキメラDNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって合成される。この合成は、以下を用いて行われる。(1)一対の化学的に合成されたプライマー、(a)以下を含む第1のプライマー、(i)置き換えられる天然の標的プロモーターの遠位のDNA領域、(ii)非天然のプロモーター、および(iii)選択可能なマーカーの3’または5’末端由来のDNA領域;および(b)以下を含む第2のプライマー、(i)標的とされる挿入部位の近位のDNA領域、および(ii)第1のプライマーに使用される選択可能なマーカーの逆の末端由来のDNA領域;ならびに(2)選択可能なマーカーをコードするDNAテンプレート。この産物を、(非特許文献22)(上記)の方法を用いて、任意の宿主細胞の染色体の標的部位で、上で合成されたDNA生成物に組み込む。このプロトコルの結果は、1つまたは複数の天然の標的プロモーターが、非天然のプロモーターを保有する、PCRで合成されたキメラ分子に置き換えられることである。
【0100】
この方法の拡張形態を用いて、生体触媒の性能に対する遺伝子発現レベルの変化の影響を評価することができる。
【0101】
(E.coli中でのグルコースからの1,3−プロパンジオール(3G)の生合成)
グルコースから1,3−プロパンジオール(3G)を生合成するために、E.coli中で、本発明のプラスミドを使用することができる。ここでの例としては、特許請求の範囲に記載される発明を具体化する産生生物の構築、および発酵性の炭素基質を1,3-プロパンジオールに転換するために必要な遺伝機構が挙げられる。
【0102】
1,3−プロパンジオール生成に関与する遺伝子には、デヒドラターゼ遺伝子(通常グリセロールまたはジオールデヒドラターゼ)、およびオキシドレダクターゼ、ならびに構築において、あるいはデヒドラターゼ酵素の安定性の維持において補助することが期待される他のタンパク質が含まれる。これらの遺伝子は、宿主細胞に導入された導入遺伝子であってもよいしまたは内在遺伝子であってもよい。これらの遺伝子のうちの少なくとも1つは、導入遺伝子であり、産生細胞に導入されることとなる。炭素基質を1,3−プロパンジオールに転換するための酵素経路をコードする必要な遺伝子を含有する組み換え型生物は、当技術分野でよく知られた技術を用いて構築することができる。その後、1,3−プロパンジオールを生成するために、この形質転換された産生細胞を、適切な条件下で増殖させる。
【0103】
E.coli中での1,3−プロパンジオールの生成は、これまでに記載されている(米国特許公報(特許文献6);米国特許公報(特許文献7);米国特許公報(特許文献8);米国特許公報(特許文献9);米国特許公報(特許文献4);米国特許公報(特許文献10);米国特許公報(特許文献11))。組み換え型E.coliによる、グルコースからの1,3−プロパンジオールの生成には、多くの異なる遺伝子の発現が必要である。グリセロールデヒドラターゼ(dhaB)および1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaT)をコードする遺伝子を、クレブシエラ(Klebsiella)などの天然の宿主から単離し、E.coli株DH5αまたはFM5;肺炎桿菌(K.pneumoniae)株ATCC 25955;K.オキシトカ(K.oxytoca)株ATCC 8724またはM5a1、S.セレビシエ(S.cerevisiae)株YPH499、P.パストリス(pastoris)株GTS115、およびA.ニガー(A.niger)株FS1などの宿主株を形質転換するために使用した。
【0104】
肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)、シトロバクターフレウンディ(Citrobacter freundii)、およびクロストリジウムパステウリアヌム(Clostridium pasteurianum)では、グリセロールデヒドラターゼの3つの構造的サブユニットをコードする遺伝子(dhaB1〜3またはdhaB、C、およびE)は、固有の1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードする遺伝子(dhaT)に隣接して位置する。これらの微生物の間では、遺伝機構は、多少異なるが、これらの遺伝子は、orfXおよびorfZ(グリセロールデヒドラターゼのためのデヒドラターゼ再活性化因子をコードする遺伝子)と、orfYおよびorfW(機能が知られていない遺伝子)も含むグループにまとめられる。これらの微生物の固有の1,3−プロパンジオールオキシドレダクターゼ(dhaTのもの)は、III型アルコールデヒドロゲナーゼのファミリーに属することが知られており、各々は、保存される鉄結合モチーフを示し、1,3−プロパンジオールと3−HPAの、NAD+/NADHに関連する相互転換が優先される。しかし、1,3−プロパンジオールと3−HPAの、NAD+/NADHに関連する相互転換はまた、効率の劣る動力学パラメータを有するとしても、デヒドラターゼ酵素に特に関連しないアルコールデヒドロゲナーゼ(例えばウマ肝臓およびパン酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.1))によって触媒される。グリセロールデヒドラターゼ(E.C.4.2.1.30)とジオール[1,2−プロパンジオール]デヒドラターゼ(E.C.4.2.1.28)は、関連性があるが、別の遺伝子によってコードされる別の酵素である。クレブシエラオキシトカ(Klebsiella oxytoca)およびサルモネラティフィムリウム(Salmonella typhimurium)由来のジオールデヒドラターゼ遺伝子も、グリセロールデヒドラターゼ遺伝子と同様であり、orfXおよびorfZと類似の遺伝子を含むグループにまとめられる((非特許文献13);(非特許文献14);GenBank AF026270)。
【0105】
グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(DAR1、GPD1)が、S.ディアスタティクス(S.diastaticus)からクローン化および配列決定された(非特許文献23)。DAR1遺伝子を、シャトルベクターにクローニングし、これを、そこでの発現により活性な酵素が生成されるE.coliを形質転換するために使用した。(非特許文献23)(上記)は、DAR1は、細胞の浸透圧環境によって調節されることを認めているが、この遺伝子が、組み換え型の微生物中で1,3−プロパンジオール生成を高めるために、どのように用いられるかということは示していない。
【0106】
他のグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ酵素も単離されている。例えば、sn−グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがサッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からクローン化および配列決定されている(非特許文献24)。(非特許文献25)は、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からの、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードするGPD1のクローニングを教示する。(非特許文献23)(上記)と同様に、(非特許文献25)と(非特許文献24)のどちらも、この遺伝子の調節の浸透圧感受性を認めているが、この遺伝子が、組み換え型の微生物中で1,3−プロパンジオールの生成にどのように用いられるかということは示していない。
【0107】
G3PDHと同様に、グリセロール−3−ホスファターゼも、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から単離され、このタンパク質は、GPP1およびGPP2遺伝子によってコードされると確認された(非特許文献26)。G3PDHをコードする遺伝子と同様に、GPP2も、浸透圧感受性であると思われる。
【実施例】
【0108】
本発明の好ましい実施形態を示す以下の実施例で、本発明をさらに明らかにする。これらの実施例および上記の論考から、当分野の技術者は、この発明の本質的特性を把握することが可能であり、また、その趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な変更および修飾を行って、これを、様々な使用および条件に適合させることが可能である。
【0109】
(一般的な方法)
実施例中で使用される標準の組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当技術分野でよく知られており、(非特許文献27)によって、また、(非特許文献28)によって、また、(非特許文献29)によって記載されている。
【0110】
細菌培養物の維持および増殖に適した材料および方法は、当技術分野でよく知られている。以下の実施例における使用に適した技術は、(非特許文献30)中で、または、(非特許文献31)中で述べられた通りである。菌細胞の増殖および維持のために使用される試薬、制限酵素、および材料はすべて、別段の指定がない限り、アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI))、ディフコ研究所(DIFCO Laboratories)(ミシガン州デトロイト(Detroit,MI))、ギブコ/ビーアールエル(GIBCO/BRL)(メリーランド州ゲイザースバーグ(Gaithersburg,MD))、ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)(マサチューセッツ州ビバリー(Beverly,MA))、またはシグマケミカルカンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO))から入手した。
【0111】
略語の意味は、以下の通りである:「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mM」はミリモル(millimolar)を意味し、「M」はモル(molar)を意味し、「mmol」はミリモル(millimole)を意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味する。
【0112】
(実施例1)
(グルコースイソメラーゼプロモーター変異体の構築)
ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ(GI)プロモーター(配列番号:1)は、特徴的な−10シグネチャ配列(AATAAT)と、特徴的な−35シグネチャ配列(−35T、−34T、−33G、−32A、−31C、−30A)を含有する。混合された塩基のオリゴヌクレオチドを用いて、pMP38(後に実施例6で述べる通り)中のGIプロモーターの−35領域の飽和ミュータジェネシスを、標準のPCRによって実施した。6つの下流プライマー(配列番号:3〜8)(−35領域における単一箇所での、Nと名付けられた4種すべての可能な塩基の等量混合物をそれぞれが含有する)のうちの1つと、上流プライマー(配列番号:2)を、6つのそれぞれのPCR反応において組み合わせた。この上流プライマーはまた、EcoRI部位のすぐ後のSpeI制限部位(ACTAGT)をAvrII制限部位(CCTAGG)に変える2つの単一の塩基対変化を組み込んでいる。6種のPCR産物を、EcoRIとHindIIIを用いて消化させ、それぞれEcoRI/HindIIIで消化したpMP38に連結した。連結生成物をE.coliに組み込んで形質転換させ、組み換えプラスミドを、SpeIからAvrIIへの転換による制限分析を介して同定し、ヌクレオチド配列決定にかけた。組み換えプラスミドのみに、起こりうる−35領域の変化があることが予想された。24種の可能な組み換え体の結果(6箇所で4塩基)のうち、18種が得られ、そのうちの13種は、−35領域に変化を示した(表1)。
【0113】
【表2】

【0114】
−35領域における可能な18の変化のうち、5つは単離されなかったが、これらもまた、クローン化されたあるいは染色体にコードされた天然および非天然の遺伝子またはオペロンの発現レベルを変えるのに有用である。これらの5種の追加のGIプロモーター変異体を、表2に記述する。
【0115】
【表3】

【0116】
(実施例2)
(グリセロールデヒドラターゼ活性の測定によるグルコースイソメラーゼプロモーター変異体の分析)
GIプロモーター変異体の影響を測定するためのレポーターとして、グリセロールデヒドラターゼ(GDH;dhaB1〜3によってコードされる)活性を使用した(表3)。−35領域の変化がない場合であっても、SpeIをAvrIIに転換する2つの塩基対の変化が原因で、GDH活性は、有意に落ちることが認められた(例えば,P1.6)。P3.4は、−35の変異を受けていないが、−10領域のすぐ後の25塩基対の欠失があり、ほぼ野生型(86%)プロモーターの長さであることも測定された。
【0117】
基質としてグリセロールまたは1,2−プロパンジオールを使用して、無細胞抽出液におけるデヒドラターゼ活性を求めた。無細胞抽出液は、フレンチプレスを用いた細胞破壊、それに続く細胞残渣の遠心分離によって調製された。この分析法は、アルデヒドのメチルベンゾ−2−チアゾロンヒドラゾンを用いた反応に基づくものであり、(非特許文献32)によって記載されている。
【0118】
【表4】

【0119】
(実施例3)
(ルクス(LUX)測定を用いたGIプロモーター変異体の分析)
GIプロモーター変異体から誘導された発現のレベルを測定するために、第2のタイプのレポーターを使用した。細菌の生物発光は、5つの構造遺伝子(luxA、luxB、luxC、luxD、およびluxE)の産物が協力して光を生じる現象である。luxD産物は、前駆体からC14脂肪酸を産生する。このC14脂肪酸は、ATP依存性の反応で活性化され、細菌の生物発光を細胞のエネルギー状態につなげるluxE産物の作用を介してアシル−酵素複合体となる。このアシル−酵素(luxE産物)は、伝達物質(transfer agent)として働き、アシル基をluxC産物に供与する。その後、このアシル−LuxC二成分複合体は、NADPHが、アシル複合体をC14アルデヒドに還元する電子対およびプロトン供与体として働く反応中に還元される。この反応は、細胞の還元力を細菌の発光につなげる。この光生成反応は、ルシフェラーゼ(luxAおよびluxBの産物)によって触媒され、光を生じる。発光のエネルギーは、アルデヒドによって、脂肪酸転換およびFMNH2酸化に供給され、光生成と細胞のエネルギー状態との間に別のつながりをもたらす。
【0120】
プフォトラブダスルミネスケンス(Photorabdus luminenscens)luxAB遺伝子は、GIプロモーター変異体強度のレポーターとして使用された(非特許文献33)。P.ルミネスケンス(P.luminenscens)luxAB遺伝子を保有し、3’および5’末端のSpeI部位とluxAの開始コドンで改変されたNcoI部位を含有するPCRフラグメントを、pMCS5(モビテック(MobiTec)、ドイツ国ゲッティンゲン(Goettingen,Germany))のSpeI部位にサブクローニングし、pJT13を得た。次いで、SwaI/NcoI末端を有する遺伝子ソーイング(SOEing)PCRに基づくカナマイシンカセットを、SwaI/NcoIで消化したpJT13にサブクローニングし、pJT14.HIGHCOPY、すなわち高コピーluxABプロモータープローブを作成した。次いで、pJT14.HIGHCOPYを、SpeIを用いて消化し、luxAB::カナマイシンカセットを生じ、これをpRJ50(配列番号:79)のユニークなNheI部位(SpeIと適合性がある)にサブクローニングし、pJT14.LOWCOPY.1、すなわち低コピーluxABプロモータープローブを作成した。GIプロモーター1.6、1.5、1.20、および天然のものを、pJT14.HIGHCOPYおよびpJT14.LOWCOPYとしてのNotI/NcoIフラグメントにクローニングし、高コピーコンストラクト、それぞれpJT18、pJT19、pJT20、およびpJT25、ならびに低コピーコンストラクト、それぞれpJT21.1、pJT22.1、pJT23.1、およびpJT26.1を作成した。次いで、これらのプラスミドを、in vivoでの生物発光測定のための選択したE.coli株に組み込んで形質転換させた。
【0121】
E.coliレポーター株のブロス培養液、アルデヒド基質としてのn−デカナール、および光度計を用いる光度分析(luminometry)によって、(非特許文献34)によって記載された通りに、プロモーター強度を測定した。E.coliクローンを、新鮮(fresh)寒天平板から、適切な抗生物質を含む標準のルリア−ベルターニ(Luria−Bertani)液体増殖培地を含有する試験管に植え付け、37℃で約16時間、(攪拌しながら)好気的に増殖させた。次いで、細胞を、新鮮な培地25mLを含有する100mLフラスコ中で継代培養し、同じ条件下で約8〜10時間増殖させた。次いで、各培養液からアリコート(200μL)を採取し、それぞれ600nmでの光学濃度測定(スペクトラマックス190プレートリーダー(SpectraMax 190 Plater Reader)、モレキュラーデバイス株式会社(Molecular Devices Corporation)、カリフォルニア州サンバレー(Sunnyvale,CA))および光度計測定(ルミノスキャンアセント タイプ392(Luminoscan Ascent TAype 392)、ラボシステムズ(LabSystems)、フィンランド国ヘルシンキ(Helsinki,Finland))のための、96ウェルの透明プレートおよび白色プレートに乗せた。光度分析の読み取りのために、各ウェルに外因性アルデヒド(n−デカナール)2μLを加え測定を行った。これらの測定から得られた結果を、表4に列挙する。これらの光度分析測定は、グリセロールデヒドラターゼ分析によって示されるものと同様の、プロモーター強度のレベルを示す。
【0122】
【表5】

【0123】
(実施例4)
(異なるレベルの遺伝子発現を実現するための短縮されたGIプロモーター配列の使用)
株RJ8n(yqhD−)を作成するために、染色体上でyqhD遺伝子が破壊された株RJ8n中のpSYCO109mcsプラスミド(実施例8で述べる通り、配列番号:30)由来のE.coli yqhD(配列番号:29)の発現のレベルを変えるために、実施例1〜3で説明および使用されたGIプロモーター配列の一部を用いた。
【0124】
yqhDのための3つの発現カセットを構築した。これらのカセットは、(i)短い1.5GI(配列番号:31)、短い1.20GI(配列番号:32)、または短い野生型GI(配列番号:33)と呼ばれる短縮されたGIプロモーターのうちの1つ;(ii)E.coli KLP23(特許文献12)由来のyqhD;および(iii)スレオニンターミネーター(非特許文献35)を含有する。短縮されたGIプロモーターのうちの1つを含有し、RsrII制限部位も組み込む短い1.5GI(配列番号:34)、短い1.20GI(配列番号:35)、または短い野生型GI(配列番号:36)のためのフォワード(forward)合成プライマーと、スレオニンターミネーターを含有し、SacI部位を含むyqhD(配列番号:37)のためのリバース(reverse)プライマーとを使用するPCR増幅によって、yqhD遺伝子を、ゲノムKLP23 DNAから単離した。プラスミドpSYCO109mcsをRsrII/SacIで消化し、RsrII/SacIで消化したPCR産物をプラスミドに連結した。この連結混合物を、電気穿孔法によってRJ8n(yqhD−)株に組み込んで形質転換させ、各株の酵素活性レベルを比較した(表5)。
【0125】
yqhDによって表される酵素活性は、還元当量(reducing equivalent)源としてのNADPHと同様の割合で、アルデヒドである3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)およびブタナールを還元することとなる。3−HPAは、市販品として入手できないので、一般に、ブタナールが使用される。この分析混合物は、総体積1mL中に、200mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、10mM ブタナール、0.2mM NADPH、および分析対象となる無細胞抽出液からの約0.01mgのタンパク質を含有していた。タンパク質サンプルを加えた後の、NADPHの初速度の酸化の後、340nm(Δε=6.22mM-1)での吸収の変化を測定した。活性の単位は、10mM ブタナールの存在下で、35℃で1分かけて1マイクロモルのNADPHを酸化するのに必要な量と定義される。種々の株の活性を、以下の表5に示すと、より長いGIプロモーター変異体によって与えられた発現のレベルと一貫性があった。
【0126】
【表6】

【0127】
RJ8n(yqhD−)を作成するために、レッド仲介型の(Red−mediated)相同組み換えについて(非特許文献36)によって記載された通りの手順を用いて、yqhD遺伝子を、E.coli MG1655中で破壊した。フォワードPCRプライマーH1::6574(配列番号:38)(yqhDに相同な42bpの配列およびpKD13に対するプライマー結合部位P1を含有する)およびリバースPCRプライマーH2::6706(配列番号:39)(相同な47bpのyqhD配列およびpKD13に対するプライマー結合部位P4を含有する)を調製した。テンプレートとしてのpKD13を用いるPCR増幅によって、各末端にyqhD配列、それに続いてカナマイシン耐性(kanR)マーカーと隣接するFRT(FLP認識標的)部位を有するPCR産物が生じた。このPCR産物を、E.coli MG1655細胞に組み込んで電気形質転換(electrotransform)させ、カナマイシン耐性形質転換体を選択した。yqhD遺伝子に隣接するプライマーyqhDUP(配列番号:82)およびyqhDDN(配列番号:83)を用いるPCRによって、形質転換体における適切な挿入が確認された。ラムダレッドシステム(Lambda Red system)を含有する温度感受性プラスミドを、42℃でのこれらの株の増殖によって除去した。
【0128】
yqhD::kan破壊を、P1形質導入によって、RJ8nに移し、kanR遺伝子(Vec61;配列番号:42およびVec60;配列番号:43)の内部のプライマーと対になるyqhDUP2(配列番号:40)およびyqhDDN2(配列番号:41)プライマーを用いるPCRによって確認した。カナマイシンマーカーを除去するために、組み込み体を、温度感受性レプリコン、すなわちFLPリコンビナーゼのための遺伝子を含有するpCP20を用いて形質転換した。FLPリコンビナーゼは、隣接するFRT(FLP認識標的)部位で、カナマイシンマーカーを切除する。その後、pCP20を除去するために、カナマイシン感受性細胞を、42℃で増殖させる。生じた株は、RJ8n(yqhD−)であった。
【0129】
(実施例5)
(GIプロモーターへの、E.coliホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ染色体プロモーターの置き換え)
実施例5では、短い野生型GIプロモーター(配列番号:33)による、大腸菌(Escherichia coli)ゲノムにおける本来のppc(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはPEPカルボキシラーゼをコードする)プロモーターの置き換えを述べる。
【0130】
(ppcプロモーター置き換えのためのオリゴヌクレオチドの設計)
本来のppcプロモーターの上流領域と相同な80bp配列、パン酵母FRT部位に隣接する、クロラムフェニコール耐性をコードする遺伝子(cat)、短い野生型GIプロモーター配列(配列番号:33)、および本来のppcプロモーターの+1転写開始部位の下流領域と相同な40bp配列を含有するカセットを、PCRによって増幅するために、2つのオリゴヌクレオチド(ppcF、配列番号:44およびppcR、配列番号:45)を設計した。
【0131】
ppcRプライマー(配列番号:45)は、100ヌクレオチド長であり、以下を含む。P1(本来のppcプロモーター)転写開始の+1から、ppcの41bp上流のATGまでの完全な配列、−35の4bp上流から−10の9bp下流までの短い野生型GIプロモーター配列(配列番号:33)、およびpKD3((非特許文献36)、上記)、すなわち2つのFRT部位に隣接するcat遺伝子を含有するR6Kプラスミドのプライミング部位(priming site)。ppcFプライマー(配列番号:44)は、100ヌクレオチド長であり、本来のppcプロモーターの上流の80bpの配列およびpKD3のプライミング部位を含む。
【0132】
プライマーppcFおよびppcR(配列番号:44および45)は、テンプレートとしてプラスミドpKD3を使用して、プロモーター置き換えカセットを増幅するために使用された。この1.15kbのPCR産物を、アガロースゲル電気泳動、続いてキアクイックゲル抽出キット(QIAquick gel extraction Kit)(キアゲン株式会社(Qiagen,Inc.)、カリフォルニア州バレンシア(Valencia,CA))によって精製した。
【0133】
(直鎖DNAを用いた相同組み換えによる、大腸菌(Escherichia coli)ゲノムへの本来のppcプロモーターの置き換え)
pKD46((非特許文献22)、上記)と、γ、βを発現しているレッド(Red)−リコンビナーゼプラスミドと、アラビノースプロモーターの制御下にあるexoとを含有するコンピテント大腸菌(Escherichia coli)MG1655細胞を、0.5μgの上記の1.15kb直鎖DNAを用いて電気形質転換させ、得られた形質転換体を、クロラムフェニコール耐性についてスクリーニングした(15μg/mL)。この組み換え株を、プライマーppcFおよびseqppcR(配列番号:46)を用いるPCRによって確認した。カセットの非特異的組み込みは、PCR産物をもたらさないのに対し、適正な組み換え体は、1.25−kb PCR産物をもたらす。短い野生型GIプロモーターの配列は、seqppcRプライマー(配列番号:46)を用いた1.25−kb PCR産物の配列決定によって確認された。
【0134】
(酵素活性の測定)
MG1655およびMG1655(短い野生型GI−ppc)におけるPEPカルボキシラーゼ活性を、以下の分析を用いて、超遠心を行った無細胞抽出液について測定し、表6に示した。この短い野生型GIプロモーターの制御下にあるPPCの活性は、本来のプロモーターの制御下にあるよりも3倍以上高かった。
【0135】
0.11M トリス(Tris)緩衝液(pH8.5)、NADH(0.22mM)、硫酸マグネシウム(11.1mM)、炭酸水素ナトリウム(11.1mM)、アセチル−CoA(0.25mM)、リンゴ酸DH(MalateDH)(シグマ(Sigma))、50μLの6U細胞抽出液、および0.03 ホスホエノールピルビン酸(1.11mM)を含有する混合物において、340nmでの減少(NADHの消費が原因)を測定した。活性を求めるために、次の式を用いた。
【0136】
タンパク質(ユニット(Unit)/mg)=ΔA340/分(試験)−ΔA340/分(盲検)
/6.22×タンパク質(mg)/反応混合物(mL)
【0137】
【表7】

【0138】
(実施例6)
(肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)dhaレギュロン由来の遺伝子を用いた大腸菌(Escherichia coli)の形質転換に使用するための発現プラスミドの構築)
(発現ベクターpTacIQの構築)
lacIQ遺伝子(非特許文献37)と、tacプロモーター(非特許文献38)を、pBR322(非特許文献39)のEcoRI部位に挿入することによって、E.coli発現ベクターpTacIQを調製した。マルチクローニングサイトおよびターミネーター配列(配列番号:47)を、EcoRIからSphIまでのpBR322配列と置き換えた。
【0139】
(グリセロールデヒドラターゼ遺伝子(dhaB1、2、3、X)のサブクローニング)
5’末端にEcoRI部位、3’末端にXbaI部位を組み込んだプライマー(配列番号:49〜50)を用いるPCRによって、pHK28−26(配列番号:48)から、dhaB3遺伝子のオープンリーディングフレームを増幅した。この産物を、pLitmus29(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs))にサブクローニングし、dhaB3を含有するプラスミドpDHAB3を作成した。
【0140】
領域(pHK28−26由来のdhaBオペロンのdhaB1、dhaB2、dhaB3、およびdhaBXに対する完全なコード領域を含有する)を、制限酵素KpnIおよび EcoRIを用いて、pBluescriptIIKS+(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラホーヤ(La Jolla,CA))にクローニングし、プラスミドpM7を作成した。
【0141】
ApaIおよびXbaIを用いてプラスミドpM7を消化し、5.9−kbフラグメントを精製し、プラスミドpDHAB3由来の325−bp ApaI−XbaIフラグメントを用いてこれを連結することによって、dhaBX遺伝子を除去し、pM11(dhaB1、dhaB2、およびdhaB3を含有する)を作成した。
【0142】
5’末端にHindII部位およびコンセンサスリボソーム結合部位(RBS)、3’末端にXbaI部位を組み込んだプライマー(配列番号:51〜52)を用いるPCRによって、pHK28−26から、dhaB1遺伝子のオープンリーディングフレームを増幅した。この産物を、pLitmus28(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs))にサブクローニングし、dhaB1を含有するプラスミドpDT1を作成した。
【0143】
pM11(dhaB1遺伝子、dhaB2遺伝子、およびdhaB3遺伝子の一部を含有する)由来のNotI−XbaIフラグメントを、pDT1に挿入し、dhaB発現プラスミド、pDT2を作成した。HindIII−XbaIフラグメント(pDT2由来のdhaB(1、2、3)遺伝子を含有する)を、pTacIQに挿入し、pDT3を作成した。
【0144】
(1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ遺伝子(dhaT)のサブクローニング)
pHK28−26のKpnI−SacIフラグメント(1,3−プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(dhaT)遺伝子を含有する)を、pBluescriptIIKS+にサブクローニングして、プラスミドpAH1を作成した。テンプレートDNAとしてのpAH1と、5’末端にXbaI部位、3’末端にBamHI部位を組み込まれた合成プライマー(配列番号:53−54)とを用いるPCRによって、dhaT遺伝子を増幅した。この産物を、SrfI部位でpCR−Script(ストラタジーン(Stratagene))にサブクローニングし、dhaTを含有するプラスミドpAH4およびpAH5を作成した。プラスミドpAH4は、dhaT遺伝子を、pCR−Script中のlacプロモーターからの発現に対して正しい向きで含有し、pAH5は、dhaT遺伝子を、逆向きに含有する。pAH4(dhaT遺伝子を含有する)由来のXbaI−BamHIフラグメントを、pTacIQに挿入し、プラスミドpAH8を作成した。pAH8(RBSおよびdhaT遺伝子を含有する)由来のHindII−BamHIフラグメントを、pBluescriptIIKS+に挿入し、pAH11を作成した。
【0145】
(dhaTおよびdhaB(1、2、3)のための発現カセットの構築)
dhaTおよびdhaB(1、2、3)のための発現カセットを、標準の分子生物学方法を用いて、先に述べた個々のdhaB(1、2、3)およびdhaTサブクローンから構築した。SpeI−SacIフラグメント(pDT3由来のdhaB(1、2、3)遺伝子を含有する)を、pAH11に、SpeI−SacI部位で挿入して、pAH24を作成した。配列番号:55−56から作成したSalI−XbaIリンカーを、制限酵素SalI−XbaIで消化したpAH5に挿入して、pDT16を作成した。このリンカーは、XbaI部位を破壊する。その後、pDT16からの由来の1−kb SalI−MluIフラグメントを、pAH24に挿入し、現存するSalI−MluIフラグメントと置き換えて、pDT18を作成した。pDT18由来のSalI−NotIフラグメントとpM7由来のNotI−XbaIフラグメントを、pCL1920(GenBank AX085428)に挿入することによって、pDT21を構築した。ストレプトマイセスリビダンス(配列番号:1)由来のグルコースイソメラーゼプロモーター配列を、PCRによってクローン化し、pLitmus28のEcoRI−HindIII部位に挿入し、pDT5を構築した。pDT5のEcoRI−PvuIIフラグメント(GIプロモーターを含有する)を、pCL1920(GenBank AX085428)のEcoRI−PvuII部位に挿入することによって、pCL1925を構築した。
【0146】
(ストレプトマイセスグルコースイソメラーゼプロモーターの制御下にあるグリセロールデヒドラターゼのための発現ベクターの構築)
pDT24から、HindIII制限フラグメント(dhaTを含有する)を欠失させ、pRN105を作成した。pDT21のHindIII−MluIフラグメントとpDT21のMluI−XbaIフラグメントを、pCL1925のHindIII−XbaI部位にクローニングすることによって、pDT24プラスミドを構築した。pRN105テンプレートから、PCR産物(ユニークなHpaI制限部位からdhaXの末端までのdhaXの3’領域を含み、5’末端のHpaI制限部位と3’末端のXbaI制限部位を組み込む)を作成し、pRN105中の現存するHpaI/XbaI制限フラグメントと置き換えるために使用して、pMP37を作成した。pDT29テンプレートから、PCR産物(開始コドンのすぐ上流のユニークなHindIII制限部位からdhaB1内のユニークなNotI制限部位までのdhaB1の5’領域を含み、5’末端のHindIII制限部位と3’末端のNotI制限部位を組み込む)を作成し、pRN105中の小さなHindIII/NotI制限フラグメントと置き換えるために使用して、pRJ25を作成した。pDT29は、pHK28−26のSacI−EcoRIフラグメントを、pCL1925のSacI−EcoRI部位に挿入することによって構築されていた。小さなHpaI/XbaI制限フラグメント(pMP37由来のdhaXの5’領域を含有する)を、pRJ25由来の大きなXbaI/HpaI制限フラグメントに連結して、pMP38(その中でストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼプロモーター(配列番号:1)が、天然のリボソーム結合部位を用いて、肺炎桿菌(K.pneumoniae)dhaB1−3、Xオペロンを発現させる)を作成した。
【0147】
(実施例7)
(1,3−プロパンジオールの生成のためのSYCOプラスミドの構築)
E.coli宿主中でグルコースから1,3−プロパンジオールを生成するために、異なる起源からのいくつかのオペロンを、発現させることができる。これらには、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、グリセロール−3−リン酸ホスファターゼ、およびグリセロールデヒドラターゼ活性をコードする遺伝子が含まれる。これらの遺伝子は、肺炎桿菌(Klebsiella pnuemoniae)由来のdhaオペロン(dhaR、dhaT、dhaX、およびdhaB1〜3を含有する)、および同様に肺炎桿菌(Klebsiella pnuemoniae)由来のorfオペロン(orfYXWを含有する)、およびサッカロミセス(Saccharomyces)由来のDAR1およびGPP2を含有するオペロンなどの起源から得ることができる。発酵中の株の安定性を保つためには、E.coli宿主中のプラスミドをできるだけ少なく保つことが好ましい。このため、単一のプラスミドで少なくとも3つの異なるオペロンのクローニングが可能であるように、一連のプラスミドを構築した。RNAポリメラーゼの読み過ごし(read−through)を防ぐために、3つの転写ターミネーターを用いて、ユニークなクローニングサイトと隣接させた。これらの転写ターミネーターには、tonBターミネーター、thrアテニュエーター、およびaspAターミネーターが含まれていた。tonBターミネーターは、E.coli tonB遺伝子と、反対の遺伝子との間に位置する両方向性のrho依存性ターミネーターである(非特許文献40)。thrアテニュエーターは、E.coliスレオニンオペロンの転写終結を容易にする(非特許文献35)。aspAターミネーターは、E.coliアスパルターゼオペロンの転写終結を容易にする(非特許文献41)。
【0148】
(ユニークなクローニングサイトに隣接する3つの転写ターミネーターを含むpRJ50の構築)
PCR仲介型の(PCR−mediated)オーバーラップ伸長法(overlap extension)(非特許文献42)を用いて、合成DNAフラグメント(tonB、thr、およびaspA転写ターミネーター(配列番号:57)、ならびにいくつかの制限部位を含む)を構築した。3’末端で25塩基対にわたって互いに相補する2種の100塩基オリゴヌクレオチド(配列番号:58−59)をアニーリングして、175塩基DNAフラグメント(配列番号:60)を作成した。2種の追加のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号:61−62)を用いて、EcoRIおよびKpnI制限部位に隣接するこの175塩基フラグメントをさらに増幅した。この175塩基対のPCR産物を、EcoRIおよびKpnIで消化し、EcoRI/KpnIで消化したプラスミドpCL1925にサブクローニングし、pRJ50(配列番号:79)を作成した。
【0149】
(dhaR、orfY、orfX、orfW、およびdhaB(1、2、3、X)のための発現カセットの構築)
PCR仲介型のオーバーラップ伸長法として知られている技術によって、遺伝子dhaTの最初の5つと最後の5つのコドン(+終止コドン)以外の全てを欠失させたプラスミドpDT29の誘導体を構築した。テンプレートとしてpDT29を用いて、2つの第1のPCR産物を、以下のプライマーを用いて作成した。
配列番号:63=5’GAC GCA ACA GTA TTC CGT CGC3’;
配列番号:64=5’ATG AGC TAT CGT ATG TTC CGC CAG GCA TTC TGA GTG TTA ACG3’;
配列番号:65=5’GCC TGG CGG AAC ATA CGA TAG CTC ATA ATA TAC3’;
配列番号:66=5’CGG GGC GCT GGG CCA GTA CTG3’。
【0150】
配列番号:65を配列番号:66と対にして、5’dhaB1(ユニークなScaI部位まで)、orfYのすべて、およびdhaTの最初の5つのコドンを含む核酸を包含する931bpの産物を作成した。配列番号:63を、配列番号:64と対にして、dhaTの最後の5つのコドン(+終止コドン)、orfXのすべて、orfWのすべて、および5’dhaR(ユニークなSapI部位まで)を含む核酸を包含する1348bpの産物を作成した。配列番号:64の5’末端の15塩基は、配列番号:65の15塩基部分の逆の相補体であるテール(tail)を構成する。同様に、配列番号:65の5’末端の11塩基は、配列番号:64の11塩基部分の逆の相補体であるテールを構成する。したがって、この2つの第1のPCR産物を、PCRによるアニーリング(26−bpテールオーバーラップを介する)および伸長後に連結して、2253bpの第3の核酸生成物を作成した。この第3のPCR産物を、SapIおよびScaIで消化して、同様にSapIおよびScaIで消化したpDT29に連結し、dhaT内の大きなインフレーム(in−frame)欠失以外はpDT29と同じであるプラスミドpKP32を作成した。
【0151】
(異なるGIプロモーター変異体を含有する、orfWXYおよびdhaB1〜3の発現のためのプラスミドの構築)
pKP32由来のorfオペロンを、5’末端のHindIIIおよび3’末端のAvrIIを用いてPCRで増幅(配列番号:80−81)し、pLitmus28(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs))中のHindIIIとAvrIIとの間にサブクローニングして、pKP38を作成した。EcoRI/HindIII制限フラグメント(pMP38/1.6由来のGI変異体プロモーターP1.6(配列番号:9)を含有する)を、pKP38中のEcoRIとHindIIIの間にサブクローニングして、pKP39を作成した。AvrII/XbaI制限フラグメント(pMP38/1.6由来のdhaB発現カセットを含有する)を、pLitmus28(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs))中のAvrIIとXbaIの間にサブクローニングして、pMP39を作成した。AvrII/XbaI制限フラグメント(pMP39由来のdhaB発現カセットを含有する)を、pRJ50のAvrII部位にサブクローニングして、pSYCO11を作成した。AvrII制限フラグメント(pKP39由来のorf発現カセットを含有する)を、pSYCO11のNheI部位にサブクローニングして、pSYCO12を作成した。プラスミドpSYCO11とpSYCO12は、pSYCO11が、orfオペロンを含有しないこと以外は同じである。
【0152】
EcoRI/HindIII制限フラグメント(pMP38/1.5由来のGI変異体プロモーターP1.5(配列番号:10)を含有する)を、pKP38中のEcoRIとHindIIIの間にサブクローニングして、pKP40を作成した。AvrII制限フラグメント(pKP40由来のP1.5によって制御されるorfオペロンを含有する)を、pSYCO11のNheI部位にサブクローニングして、pSYCO13を作成した。AvrII/NotI制限フラグメント(P1.6およびpSYCO13中のdhaB1の5’末端を含有する)を、pMP38/1.5由来の対応するAvrII/NotI制限フラグメントで置き換えて、pSYCO19を作成した。
【0153】
(転写ターミネーターによってそれぞれ隔てられた3つのオペロンを用いた、pSYCO101、pSYCO103、pSYCO106、およびpSYCO109ベクターの構築)
二重鎖の核酸リンカー(配列番号:67)を、pCL1920(GenBank AX085428)中のXbaI制限部位とSmaI制限部位の間にサブクローニングして、pCR−pCL1920を作成した。pTrc99A(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ))から得られたtrcプロモーター、S.セレビシエ(S.cerevisiae)の、DAR1およびGPP2のコード配列、およびターミネーターrrnBT1T2(pTrc99A由来)を含む、pAH48中のグリセロール経路発現カセットを、PCRで増幅(配列番号:68−69)し、pCR−pCL1920のSrfI制限部位にサブクローニングして、pAH105(配列番号:70)を作成した。
【0154】
PvuII(2)/PvuII(4)制限フラグメント(pAH105由来のDAR1/GPP2発現カセットを含有する)を、pSYCO12のBst1107I部位にサブクローニングして、pSYCO101(配列番号:71)を作成した。DAR1/GPP2オペロンは、orfオペロンおよびdhaBオペロンに対して逆の方向である。NheI制限フラグメント(pAH105由来のDAR1/GPP2発現カセットを含有する)を、pSYCO19のXbaI部位にサブクローニングして、pSYCO103(配列番号:72)を作成した。
【0155】
プラスミドpSYCO103は、(a)サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から得られた一組の2つの外因性遺伝子(DAR1(グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子)およびGPP2(グリセロール−3−ホスファターゼをコードする遺伝子));(b)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)から得られた一組の3つの外因性遺伝子(dhaB1(グリセロールデヒドラターゼの「α」サブユニットをコードする遺伝子)、dhaB2(グリセロールデヒドラターゼの「β」サブユニットをコードする遺伝子)、およびdhaB3(グリセロールデヒドラターゼの「γ」サブユニットをコードする遺伝子));ならびに(c)肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)から得られた一組の2つの外因性遺伝子(dhaBX(デヒドラターゼ再活性化因子の「α」サブユニットをコードする遺伝子)およびorfX(デヒドラターゼ再活性化因子の「β」サブユニットをコードする遺伝子)を含む。pSYCO103においては、DAR1/GPP2オペロンは、orfオペロンおよびdhaBオペロンに対して同じ方向である。
【0156】
NheI制限フラグメント(pAH105由来のDAR1/GPP2発現カセットを含有する)を、pSYCO12のXbaI部位にサブクローニングし、pSYCO106(配列番号:73)を作成した。DAR1/GPP2オペロンは、orfオペロンおよびdhaBオペロンに対して同じ方向である。pSYCO106中のPmlI/NotI制限フラグメントを除去し、pSYCO106由来のオーバーラップするStuI/NotI制限フラグメントで置き換えて、orfWの3’末端の近くに141塩基対の欠失をもたらし、pSYCO109(配列番号:74)を作成した。
【0157】
(実施例8)
(クローニングに有用な10個のレアな制限酵素部位を有する新規のヌクレオチド配列)
さらなる遺伝子、オペロン、またはカセットのクローニングのために、また、このプラスミドから別のプラスミドにカセットを導入するための部位として有用な10個のレアな制限エンドヌクレアーゼ部位をコードするように、新規のヌクレオチド配列を設計した。SpeIを用いてpSYCO106を制限し、クレノウ(Klenow)を用いて末端を埋め、再連結することによって、プラスミドpSCYCO106ΔSを構築した。このpSYCO106ΔSを、EcoRIで消化して、ベクター骨格を単離し、その後、連結によって再び環状にしてpSpREPdsを形成した。オリゴヌクレオチド(配列番号:75〜76)を、60℃でアニーリングし、KpnI/StuIで消化した。この複数のクローニング断片(配列番号:77)は、以下の酵素の認識部位を含有する。NheI、RsrII、SacI、AgeI、SnaBI、AscI、PacI、NsiI、MluI、およびSapI。このフラグメントを、ゲル精製(gel−purify)し、pSpREPdsにクローニングして、pSpREPmcsを形成した。このpSpREPmcsを、EcoRIを用いて直鎖化し、このEcoRIフラグメント(pSYCO106ΔSおよびpSYCO109由来の経路(pathway)遺伝子を含有する)を、pSpREPmcsに連結して、それぞれpSYCO106mcs(配列番号:78)とpSYCO109mcs(配列番号:30)を形成した。
【0158】
(実施例9)
(E.coli株RJ8n/PSYCO101を用いる1,3−プロパンジオールの生成)
プラスミドpSYCO101(配列番号:71)を用いて電気的にコンピテントな(electrocompetent)E.coli RJ8n細胞を形質転換し、E.coli株、RJ8n/pSYCO101を得た。
【0159】
発酵槽に接種するために、50mg/L スペクチノマイシンを含有する2YT培地(10g/L 酵母エキス、16g/L トリプトン、および10g/L NaCl)中で、RJ8n/pSYCO101を前培養した。培養株は、2L エルレンマイヤーフラスコ内の培地500mLに入れた凍結ストック(凍害保護物質として10%グリセロール)から出発し、250rpmの振盪機中、35℃で、OD550が、約1.0に到達するまで増殖させ、発酵槽に接種するために使用した。
【0160】
以下の成分を、発酵容器中で共に滅菌した。45g KH2PO4、12g クエン酸一水和物、12g MgSO4・7H2O、30g 酵母エキス、1.8g クエン酸鉄IIIアンモニウム、消泡剤としての5mL Mazu DF204、1.2g CaCl2・2H2O、7.2mL硫酸、および60mLの微量元素溶液。滅菌後、20〜28% NH4OHを用いてpHを6.8に上げ、以下の成分を加えた。0.30g スペクチノマイシン、およびグルコース(67重量%供給から)。微量元素の溶液は、以下を含有していた(g/L)。クエン酸、H2O(4.0)、MnSO4・H2O(3.0)、NaCl(1.0)、FeSO4・7H2O(0.10)、CoCl2・6H2O(0.10)、ZnSO4・7H2O(0.10)、CuSO4・5H2O(0.010)、H3BO3(0.010)、およびNa2MoO4・2H2O(0.010)。接種後、体積は、6.0Lであり、グルコース濃度は、10g/Lであった。
【0161】
上で述べた培地を用いて、15Lの攪拌されるタンク発酵槽を準備した。温度を34℃に制御し、アンモニア水溶液(20〜28重量%)を用いてpHを6.8に制御した。溶解酸素(DO)コントロールを、10%に設定し、背圧を、0.5バールに制御した。あまり例のない逸脱以外は、グルコースを、67%(重量)供給で、10g/Lと25g/Lの間に維持した。10時間の発酵時間の経過後、10mg ビタミンB12を加え、1時間後に同時供給(0.0167mg/mL溶液の2.64mg/時)を開始した。64時間後、99g/Lのタイターの1,3−プロパンジオールが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの転写ターミネーターと、いずれか2つの転写ターミネーター間に位置する少なくとも1つのクローニングサイトとを含むことを特徴とするDNAコンストラクト。
【請求項2】
各DNAコンストラクトが、少なくとも3つの転写ターミネーターと、いずれか2つの転写ターミネーター間に位置する少なくとも1つのクローニングサイトとを含むことを特徴とするDNAコンストラクトのライブラリ。
【請求項3】
a)配列番号:30からなるpSYCO109mcsプラスミド、
b)配列番号:31からなる短い1.5GIプロモーター用のDNAコンストラクト、
c)配列番号:32からなる短い1.20GIプロモーター用のDNAコンストラクト、
d)配列番号:70からなるpAH105プラスミド用のDNAコンストラクト、
e)配列番号:71からなるpSYCO101プラスミド用のDNAコンストラクト、
f)配列番号:72からなるpSYCO103プラスミド用のDNAコンストラクト、
g)配列番号:73からなるpSYCO106プラスミド用のDNAコンストラクト、
h)配列番号:74からなるpSYCO109プラスミド用のDNAコンストラクト、
i)配列番号:78からなるpSCYO106mcsプラスミド用のDNAコンストラクト、および
j)配列番号:79からなるpRJ50プラスミド用のDNAコンストラクト、
からなる群から選択されるDNAコンストラクト。
【請求項4】
制限エンドヌクレアーゼAscI、NheI、PacI、RsrII、NsiI、SacII、MluI、AgeI、SapI、およびSnaBIに特異的な制限認識部位配列を含有するマルチクローニングサイトを有するベクター。
【請求項5】
請求項3に記載の、ストレプトマイセスリビダンスグルコースイソメラーゼ変異体をコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする形質転換された宿主細胞。

【公開番号】特開2009−279007(P2009−279007A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−193493(P2009−193493)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【分割の表示】特願2003−586334(P2003−586334)の分割
【原出願日】平成15年4月22日(2003.4.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(500304408)ジェネンコー インターナショナル インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】