説明

遺伝子発現調節剤

【課題】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするな遺伝子発現調節剤および遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物を提供することを目的とする。酸化ストレスなどの要因による遺伝子発現の異常を治療・改善・予防を行うことができ、遺伝子発現の異常が原因となっている疾病の治療・改善・予防を行う。
【解決手段】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分として含有する遺伝子発現調節剤および遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物を提供し、遺伝子発現の異常、すなわち発現の過剰または発現の抑制により生じる症状の治療・改善・予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤、並びに該遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、体内での酸化物質により誘起される酸化障害や冠状動脈心疾患、癌、老化などとの関係が、特に生体内分子の酸化による組織の劣化および酵素機能や遺伝子発現の障害との関係で注目されている。抗酸化剤がフリーラジカルにより誘起される酸化的障害を阻害することによりこのような変成疾患の危険性を減少させる可能性があり、天然または合成抗酸化剤の生体内分子酸化阻害に関する報告がなされている。
【0003】
近年、β−カロテンと同じカロテノイドの一種で、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布する食経験豊かな赤色色素であるアスタキサンチンが、ビタミンE(α−トコフェロール)の100〜1,000倍、β−カロテンの約40倍もの強力な抗酸化作用を有することが見いだされ、従来単なる色素として扱われていた時代から、現在アスタキサンチンは健康食品として業界から期待されるまでに至っている。
【0004】
アスタキサンチンの有するその他の機能特性として、抗炎症作用、抗動脈硬化作用、記憶能力向上作用、日周リズム調節作用、免疫賦活作用、抗ストレス作用、筋肉持続力向上作用、光障害に対する網膜保護作用、目の調節機能改善作用、精子の質向上作用や膀胱がん誘発抑制等数多くの報告がなされている。また、皮膚に対する作用としては、色素沈着抑制、メラニン生成抑制および光加齢抑制の効果が報告されている。
【0005】
アスタキサンチンを糖尿病性マウスに投与してグルコースの血中濃度を低下させること、及び糖尿病性腎症による腎症の改善に効果があることが報告されている(非特許文献1)。また、アスタキサンチンを糖尿病性マウスに投与し糖尿病性腎症の症状を低減する結果から、生物個体のDNA検査から食品摂取システムの記載がある(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、アスタキサンチン及び/又はそのエステルが遺伝子発現を調節するということは知られていない。
【非特許文献1】Naito Y.ら、Astaxanthin protects beta-cells against glucose toxicity in diabetic db/db mice. Redox Rep, 7(5),290-3,2002.
【特許文献1】日本国特開第2003−265136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく、遺伝子発現を調節する物質を探索した結果、アスタキサンチン及び/又はそのエステルが遺伝子発現を調節する作用があることを見い出した。本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであり、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤、及び遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物を提供するものである。
【0008】
本発明は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤、並びに該遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物を提供することを目的とする。本発明の薬剤および飲食物は、遺伝子の異常な発現を調節することにより、遺伝子の発現が促進することによって生じる疾病、並びに遺伝子の発現が抑制されることによって生じる疾病の治療、改善および予防に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アスタキサンチン及び/又はそのエステルが遺伝子発現調節効果を示すことを見出した。本発明は係る知見に基づくものである。
【0010】
即ち、本発明は、(1)アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤であり、
(2)アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするサイトカイン関連遺伝子発現調節剤であり、
(3)アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするTGF−β関連遺伝子発現調節剤であり、
(4)アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするコラーゲン関連遺伝子発現調節剤であり、
(5)アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする筋骨細胞増減関連遺伝子発現調節剤であり、
(6)遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物である。
【発明の効果】
【0011】
以下に本発明を具体的に述べる。本発明において「遺伝子発現調節効果」とは、各種の要因によって様々な疾病を引き起こす異常な遺伝子の発現を、正常な状態の遺伝子発現に調節する効果であり、遺伝子の発現が異常に促進されている遺伝子の発現においては遺伝子の発現を抑制し、遺伝子の発現が異常に抑制されている遺伝子の発現に置いては遺伝子の発現を促進させて、正常な遺伝子発現に調節する効果である。
【0012】
調節される遺伝子の種類としては、特に選ばないが、酸化、サイトカイン、コラーゲン、TGF、筋骨細胞の増減に関連する遺伝子が挙げられる。
【0013】
具体的には、例えば、パーオキシレドキシン、カタラーゼ、イソシトレイト デハイドロゲナーゼ(NSDAP+)、スーパーオキシダーゼ ジスムターゼなどの酸化に関連する酵素や因子の生産に関する遺伝子;セプチン、フィブロシン、グラヌリン、リング フィンガー プロテイン、ポロテイン フォスファターゼ、セクリテッド フォスフォプロテイン、FMS−ライク チロシン キナーゼ、エリスロポイエチン リセプター、コロニー シティミュレイティング ファクター、インターロイキン、フィブロシンなどのサイトカインに関連する酵素や因子の生産に関する遺伝子;インスリン−ライク グロース ファクター リセプター、マクロファージ スカベンジャー リセプター、コラーゲン タイプXXV、プロコラーゲン タイプIV、C1qとツモーア ヌクロシス ファクター リレイティド プロテイン、C1q リレイティッド ファクター、マトリックス メタロプロタイナーゼなどのコラーゲンに関連する酵素や因子の生産に関する遺伝子;FK506 ビンディング プロテイン、カテニン ベータ、MAD ホモログ、TGF ベータ インデュースド トランスクリプト、セクレテッド フォスフォプロテインなどのTGFに関連する酵素や因子の生産に関する遺伝子;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ、リソソームプロテアーゼ、細胞質プロテアーゼ、RT1、ニューロナチンなど筋繊維の増減や筋骨細胞の増減に関連する酵素や因子の生産に関する遺伝子などが挙げられる。
【0014】
本発明のアスタキサンチン及び/又はそのエステルを配合した遺伝子発現調節剤、本発明のアスタキサンチン及び/又はそのエステルを配合した飲食物により、遺伝子発現の異常が原因となっている疾病の治療・改善・予防することができる。
【0015】
本発明において「アスタキサンチン」とは、天然物由来のものまたは合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、卵および臓器、種々の魚介類の皮および卵、緑藻ヘマトコッカスなどの藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、海洋性細菌、福寿草および金鳳花などの種子植物から得られるものをあげることができる。天然からの抽出物および化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0016】
アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などを、公知の方法に準拠して、適宜な培地で培養することにより得られる。培養や抽出のしやすさ、アスタキサンチンを最も高濃度で含有することや生産性の高さから緑藻ヘマトコッカスが最も好適である。ヘマトコッカス緑藻類のアスタキサンチン含量の高いものを得る培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽で培養する方法が適している。
【0017】
前記培養物または前記甲殻類から抽出および精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチン及びそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
【0018】
前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出または、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法が、夾雑物が少なく、すなわち本発明の遺伝子発現調節効果を阻害する物質が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ好適である。
【0019】
アスタキサンチンの使用形態としては、前記方法で得たアスタキサンチンの抽出物およびそれらを含有した粉末や水溶液、または赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌などの乾燥品およびそれらの破砕品を用いることができる。
【0020】
アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチンおよび(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。
【0021】
本発明の記載で、特に記載がない限り、アスタキサンチンはアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含む。さらに、アスタキサンチンのエステルにはモノエステル体及び/又はジエステル体を含む。
【0022】
アスタキサンチンは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004.)。
【0023】
本発明のアスタキサンチンを有効成分とする遺伝子発現調節剤には、アスタキサンチンの遊離体、モノエステル体、ジエステル体の少なくとも一種を用いることができる。ジエステル体は2つの水酸基がエステル結合により保護されているため物理的に遊離体やモノエステル体よりも安定性が高くペット用食物中で酸化分解されにくい。しかし、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかに遊離体のアスタキサンチンに加水分解され、効果を示すものと考えられている。
【0024】
アスタキサンチンのモノエステルとしては、低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸によりエステル化されたエステル類をあげることができる。前記低級または高級飽和脂肪酸、あるいは低級または高級不飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へブタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5−エイコセン酸、5−ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13−ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサオペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。また、アスタキサンチンのジエステルとしては前記脂肪酸からなる群から選択される同一または異種の脂肪酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。
【0025】
さらに、アスタキサンチンのモノエステルとしては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価または多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記モノエステル類の塩も含む。
【0026】
アスタキサンチンのジエステルとしては、前記低級飽和脂肪酸、高級飽和脂肪酸、低級不飽和脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、アミノ酸、一価または多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸およびグリセロリン酸からなる群から選択される同一または異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。グリセロリン酸のジエステルとしては、グリセロリン酸の飽和脂肪酸エステル類、または高級不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸から選択される脂肪酸類を含有するグリセロリン酸エステル類などをあげることができる。
【0027】
本発明の遺伝子発現調節剤は、異常な発現による酵素や因子の増加や異常な発現抑制による酵素や因子の減少・欠乏を治療・改善・予防することに有用である。また、遺伝子の発現を調節することにより、酵素や因子の生産・抑制を調節できるため、これらが原因であると言われている疾患、例えば、動脈硬化、高血圧、糖尿病、ガン、高脂血症、リュウマチ、痛風、脳卒中、虚血性心疾患、肺気腫、胃潰瘍、膵炎、腎炎、白内障、アルツハイマー病、アレルギー性疾患、老化、糖尿病の合併症である神経障害、網膜障害、腎症および血液疾患に関する疾病の治療・改善・予防効果も有している。神経障害においては、突発性の難聴、眼や顔面の異常(麻痺や痛み)、起立性低血圧、発汗の異常、下痢や便秘(消化器症状)、排尿障害、四肢の痛み、知覚の異常、筋肉の委縮、壊疽の治療・改善・予防に効果がある。網膜障害においては、黄斑変性、緑内障、白内障、単純網膜症、前増殖網膜症および増殖網膜症に効果がある。また、血液疾患においては脳梗塞・心筋梗塞の治療・改善・予防にも効果がある。
【0028】
本発明のアスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤は、経口または非経口で投与することがでる。経口用の剤形としては、例えば、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態で投与される。非経口の剤形としては、注射剤、点眼剤、点鼻剤、貼付剤、軟膏剤、坐剤の形態で投与される。
【0029】
本発明のアスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤は、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファ−化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などの無機化合物などがあげられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロースなどがあげられる。酸味剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などがあげられる。発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。界面活性剤として、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどがあげられる。アスタキサンチンは湿式造粒して粉末や顆粒として配合することができる。
【0030】
シロップ、ドリンク剤、懸濁液、点眼剤、注射剤などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0031】
本発明の遺伝子発現調節効果を高めるため、抗酸化能を有する物質を添加することができる。抗酸化剤は、本発明の遺伝子発現調節剤中のアスタキサンチンの酸化を抑制すること、生体中でのアスタキサンチンの酸化を抑制することなどによりアスタキサンチンの効果を高めるものと考えられる。抗酸化剤は特に限定されるものでなく、抗酸化作用を有するものであれば適用可能である。例えば、レチノール、3,4−ジデヒドロレチノールなどのビタミンA類;ビタミンB;D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸などのビタミンC類;トコフェロール、トコトリエノール、酢酸ビタミンE、コハク酸ビタミンE、リン酸ビタミンE類などのビタミンE類;β−カロチン、ルテインなどのカロテノイド類及びこれらの薬学的に許容できる塩;コエンザイムQ、フラボノイド、タンニン、エラグ酸、ポリフェノール類、核酸類、漢方薬類、海草類、無機物など、並びにそれらの混合物からなる群から1種または2種以上選択することができる。また、これらを含んだ果実や藻類、菌類などを配合することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、皮膚外用剤の形態には、上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0033】
本発明の遺伝子発現調節剤に用いられるアスタキサンチンまたはそのエステルの量は、アスタキサンチン遊離体換算量で、成人では1日あたり、0.5mg〜100mg、好ましくは1mg〜20mgの服用量で経口投与または非経口投与で行う。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。本発明の医薬品におけるアスタキサンチン量は0.01〜99.9重量%、好ましくは0.1〜90重量%の量で含有させることができる。
【0034】
本発明は、アスタキサンチンまたはそのエステルからなる、遺伝子発現調節作用を有する飲食物も含まれる。
【0035】
飲食物の形態例としては、マーガリン、バター、バターソース、チーズ、生クリーム、ショートニング、ラード、アイスクリーム、ヨーグルト、乳製品、ソース肉製品、魚製品、漬け物、フライドポテト、ポテトチップス、スナック菓子、かきもち、ポップコーン、ふりかけ、チューインガム、チョコレート、プリン、ゼリー、グミキャンディー、キャンディー、ドロップ、キャラメル、パン、カステラ、ケーキ、ドーナッツ、ビスケット、クッキー、クラッカー、マカロニ、パスタ、ラーメン、蕎麦、うどん、サラダ油、インスタントスープ、ドレッシング、卵、マヨネーズ、みそなど、または果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料などの炭酸系飲料または非炭酸系飲料など、茶、コーヒー、ココアなどの非アルコールまたはリキュール、薬用酒などのアルコール飲料などの一般食品への添加例を挙げることができる。
【0036】
本発明の飲食物は、アスタキサンチン及び/又はそのエステルを一般食品の原料と共に配合し、常法に従って加工製造することにより製造される。アスタキサンチンまたはそのエステルの配合量は食品の形態などにより異なり特に限定されるものではないが一般には0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%であり、予防または改善作用を発揮するのに必要な量だけ含まれるように調製する。アスタキサンチン及び/又はそのエステルの使用量は当業者が飲食物の種類に応じて適宜選択でき、成人1日摂取量あたり0.5〜100mg、好ましくは1〜20mgである。
【0037】
本発明の飲食物を栄養補助食品あるいは機能性食品として用いる場合、その形態は、上記医薬用製剤と同様の形態であってもよい。乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン蛋白質など、または、これらの分解物である卵白オリゴペプチド、大豆加水分解物、アミノ酸単体の混合物を併用することもできる。また、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料などを配合した自然流動食、半消化態栄養食および栄養食、ドリンク剤、カプセル剤、経腸栄養剤などの加工物を挙げることができる。ドリンク形態で提供する場合は、栄養バランス、摂取時の風味を良くするためにアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などの栄養的添加物、甘味料、香辛料、香料および色素などを配合してもよい。本発明の飲食物の形態は、これらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0039】
[糖尿病性合併症の発病]
2型糖尿病の雌db/dbマウスと非糖尿病db/mをクレアジャパン(株)から購入した。温度21−25℃、照明12時間−暗闇12時間の条件で飼育した。環境に慣れさせるため、1週間、自由に水を与え、餌としてCE−2(クレアジャパン(株))を与えた。それぞれ8匹からなる3つの群(非糖尿病db/m、糖尿病db/db、アスタキサンチン投与db/db)に分け、それぞれ餌を自由摂取させて飼育した。アスタキサンチン投与群にはCE−2に遊離体換算でアスタキサンチン0.02%の配合した餌をあたえた。各々12週間飼育し、体重、血中グルコース濃度、ipGTT、尿中8−OHdG濃度、尿中アルブミン濃度、腎臓組織変化を測定した。ここでのアスタキサンチンはアスタリール〔登録商標、富士化学工業(株)〕50Fであり、アスタキサンチンの脂肪酸エステルとトリグリセリド類からなるオイルであり、アスタキサンチンをアスタキサンチン遊離体換算で5%を含有する。
【0040】
[表1] 体重、血中グルコース濃度の変化

各値は標準偏差 *p<0.01 投与群vs対照群(t−test) db/dbはdb/dbマスス、db/db(Ax)はアスタキサンチンを投与したdb/dbマウス、db/mはdb/mマウスである。
【0041】
[表2] 尿中アルブミン濃度、尿中8−OHdG濃度の変化

各値は標準偏差 *p<0.05 投与群vs対照群(t−test)
【0042】
表1及び表2はアスタキサンチンの糖尿病マウスへの血中グルコース濃度、尿中アルブミン濃度、尿中8−OHdG濃度への効果を示す。
【0043】
この結果により、糖尿病でのアスタキサンチンは血中グルコース濃度、尿中アルブミン濃度、尿中8−OHdG濃度を抑制し、糖尿病及び糖尿病性腎症へ効果があることが判明した。
【0044】
db/db、db/db(Ax)、db/mマウス、各々の腎臓を摘出し、薄くスライスしたのち、顕微鏡で糸球体を観察した。db/dbマウスの糸球体メサンギウム領域が拡大してしたが、アスタキサンチンを投与したdb/db(Ax)は明らかに拡大の抑制がみられた。組織の図1に糸球体の顕微鏡写真を載せる。アスタキサンが腎糸球体の病変を抑制しているため、糖尿病性腎症の尿中アルブミン濃度、尿中8−OHdG濃度の増加を抑制していることが判明した。
【0045】
[遺伝子発現度の測定]
試験飼育期間終了後、腎臓を摘出し、−80℃凍結させた。LM200システム(オリンパス(株)製)を用いて、低温保持しながらマウスの腎臓から腎糸球体部分をレーザーで切り取った。腎糸球体のtRNAはtRNA抽出用試薬「アイソジェン」((株)ニッポンジーン)を用いて抽出したのち、Affimetrix GeneChip Eukaryotic Small Sample Target Labeling Assay Ver.IIに従い、cRNAの調製とハイブリダゼーションを行った。
(1)first strand cDNAの合成:total RNA(1μL)溶液とT7−Oligo(dT)プライマー(5μM、1μL)溶液を混合し、70℃で6分間加熱後、4℃で2分間冷却した。3μLのRT_Premix_1(1.5μL DEPC−処理水、4μLの5×First Strand Buffer、2μLのDTT(0.1M)、1.5μLのdNTP Mix(10mM)、1μLのRNase inhibitor(40U/μL)、2μLのSuperScript II(200U/μL))を加え、42℃で1時間、逆転写反応させた。Super Script IIを失活させるためサンプルを70℃で10分間加熱したのち、4℃に冷却した。
(2)second strand cDNA合成:first strand cDNA溶液に32.5μLのSS_Premix_1(91μL DEPC−処理水、30μLの5×Second Strand Bufferに、3μLのdNTP(10mM)、1μLのE−coli DNA リガーゼ(10U/μL)、4μLのE−coli DNAポリメラーゼ(10U/μL)、1μLのRNase H(2U/μL))を加えて、16℃で2時間反応させた。
(3)得られたcDNAは、1μLのT4 DNAポリメラーゼ(5U/μL)を加え16℃で10分間反応させ、エタノール沈殿によって精製した。
(4)インビトロ転写:乾燥したdouble strand cDNAペレットに10μLの(4μLのDEPC処理水、4μLのpremix NTPs、1μLの10×reaction buffer 1μLの10×enzyme mix)を加え、水浴中で37℃で6時間反応させた。
(5)RNeasy Mini Kitを用いてQIAGENのハンドブックのプロトコールに従い、first cycle cRNAを精製した。
(6)続いて、増幅とラベリングを行うため、cRNAサンプルにランダムプライマー(0.2μg/μL)と混合し、70℃で10分間、氷温で2分間処理し、5μLのRT_Premix_2(5×First Strand Buffer、DTT(0.1M)、dNTP mix(10mM)、RNase inhibitor(40U/μL)、SuperScript II(200U/μL))を加え、42℃で1時間反応させた。
(7)続いて5μMのT7−Oligo(dT)promotorを加え、70℃で6分間、4℃に冷却し、62μLのSS_Premix_2(43μLのDEPC処理水、15μLの5×Second Strand Buffer、1.5μLのdNTP mix(10mM)、2μLのE−coli DNAポリメラーゼ(10U/μL))を加えて、Second Strand cDNA合成を行った。
(8)得られたcDNAは、1μLのT4 DNAポリメラーゼ(5U/μL)を加え16℃で10分間反応させ、エタノール沈殿で精製した。
(9)ENZO BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kitでインビトロで転写とラベリングを行うために、乾燥したdouble Strand cDNAペレットに試薬(22μLのDEPC−処理溶液、4μLの10×HY reaction buffer、4μLの10×biotin labeled ribonucleotides、4μLの10×DTT、4μLの10×RNase inhibition mix、2μLの20×T7 RNA ポリメラーゼ)の40μLを加え、37℃で4時間反応させた。
(10)labeled cRNAはRNeasyカラムで精製した。
(11)「GeneChip Expression Analysis Tecnical Manual」に従って、フラグメンテーション、ハイブリダゼーションを行った。
【0046】
調整したlabeled cRNAは、Affimetrix社のGeneChip「mouse Expression Set 430A、22,690個のマウス転写体」でハイブリダゼーションさせた。データの解析はGeneChip Analysis Suite Ver.5.1(Affimetrix社製)を用いた。全マイクロアレイは目標強度1000で設定し、バックグラウンド、ノイズ、全染色強度と比較した。特異的に発現した転写産物はAffimetrixのソフトウェアのアルゴリズムによって同定した。
【0047】
[表3] 酸化ストレス関係の遺伝子発現強度比

※Acccession No.とは「mouse Expression Set 430A」でプローブの結合したサイトの番号であり、db/db:db/mはdb/dbマウスとdb/mマウスの遺伝子発現強度比、db/db(Ax):db/mはdb/dbマウスとアスタキサンチンを投与したdb/dbマウスの遺伝子発現強度比、db/db(Ax):db/mはアスタキサンチンを投与したdb/dbマウスとdb/dbマウスの遺伝子発現強度比、Descriptionsは結合したプローブが関与している因子を示す。以下の表4〜6も同様である。
【0048】
[表4] サイトカイン関係の遺伝子発現相対比

【0049】
[表5] サイトカイン関係の遺伝子発現相対比

【0050】
[表6] サイトカイン関係の遺伝子発現相対比

【0051】
遺伝子発現の異常が起きているdb/dbマウスの過剰な発現の遺伝子は抑制され、発現減少している遺伝子は発現が向上していることがわかる。
【実施例2】
【0052】
[筋萎縮試験]
あらかじめ温度21−25℃、照明12時間−暗闇12時間の条件で、飼育用の普通食および水を自由に与えて飼育し環境に慣らした9週齢のWistar系雄ラットを10匹ずつ2群に分け、それぞれ普通食(対照群)およびアスタキサンチン添加食(Ax群)を自由摂取させて飼育した。アスタキサンチン添加食としては、アスタキサンチン遊離体0.02%となるように混合して与えた。アスタリールの添加開始1週間後に左肢座骨神経を切断して、左下肢筋肉を不活動状態にした。さらに2週間飼育を行なったあと屠殺し、下腿三頭筋(ヒラメ筋、ヒフク筋、足底筋)を左足(除神経肢)と右足(対照肢)からそれぞれ摘出し、ヒフク筋の湿重量を計測した。萎縮率は各群の右下肢ヒフク筋湿重量に対する左下肢ヒフク筋湿重量の差から算出した[表7]。先述の遺伝子発現度の測定によって、対照群とアスタキサンチン投与群それぞれの右足と左足のヒフク筋についてGENEchip (Affymetrix)を用いたmRNA発現の網羅的測定を行った[表8]。
【0053】
[表7] ヒフク筋の重量と萎縮率の変化

【0054】
Ax群は、対照群に比べ萎縮率の値が小さく、Axの筋肉萎縮抑制効果が確認された。危険率5%以下であり、有意な結果であった。
【0055】
[表8] 筋骨細胞増減関係の遺伝子発現(発現増加)

※Acccession No.とは「mouse Expression Set 430A」でプローブの結合したサイトの番号であり、ndは対照群の左足(除神経肢)のヒラメ筋、ncは対照群の右足(対照)のヒラメ筋、adはアスタキサンチン投与群の左足(除神経肢)のヒラメ筋、acはアスタキサンチン投与群の右足(対照)のヒラメ筋の遺伝子でプローブの結合したサイトの発光強度であり、ad/ncはncは対照群の右足(対照)のヒラメ筋の遺伝子に対してのアスタキサンチン投与群の左足(除神経肢)のヒラメ筋の遺伝子発現強度比、ad/ndは対照群の左足(除神経肢)のヒラメ筋に対してのアスタキサンチン投与群の左足(除神経肢)のヒラメ筋の遺伝子発現強度比であり、Descriptionsは結合したプローブが関与している因子である。表9も同様である。
【0056】
筋萎縮に関する遺伝子で発現が増加している遺伝子は、アスタキサンチンを投与することにより発現の増加が押さえられていることがわかる。
【0057】
[表9] 筋骨細胞増減関係の遺伝子発現(発現抑制)

【0058】
筋萎縮に関する遺伝子で発現が抑制されている遺伝子は、アスタキサンチンを投与することにより発現が増えていることがわかる。
【0059】
[製造例1] 錠剤
下記成分を下記組成比(重量%)で均一に混合し、1粒180mgの錠剤とした。
アスタキサンチン 5%
乳糖 75%
重質酸化マグネシウム 20%
【0060】
[製剤例2] カプセル剤
下記成分からなるソフトカプセル剤皮の中にヘマトコッカス藻抽出オイル(アスタキサンチンを10重量%含有)を常法により充填し、1粒100mgのソフトカプセルを得た。
ゼラチン 70%
グリセリン 23%
パラオキシ安息香酸プロピル 0.5%
水 適量
計 100%
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によりアスタキサンチンが遺伝子発現調節効果を示し、遺伝子の発現を正常な状態とさせることが分かった。即ち、アスタキサンチンまたはそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1の腎臓糸球体の顕微鏡写真である。db/dbはdb/dbマスス、db/db(Ax)はアスタキサンチンを投与したdb/dbマウス、db/mはdb/mマウスの腎臓糸球体である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする遺伝子発現調節剤。
【請求項2】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするサイトカイン遺伝子発現調節剤。
【請求項3】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするTGF−α遺伝子発現調節剤。
【請求項4】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とするコラーゲン遺伝子発現調節剤。
【請求項5】
アスタキサンチン及び/又はそのエステルを有効成分とする筋骨細胞増減関連遺伝子発現調節剤。
【請求項6】
遺伝子発現調節作用を有するアスタキサンチン及び/又はそのエステルを含有する飲食物。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/074907
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517753(P2005−517753)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001718
【国際出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【出願人】(504046142)
【Fターム(参考)】