遺伝子診断システム、遺伝子診断方法
【課題】検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供する。
【解決手段】検体と試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、試薬と反応しないネガコントロール液と試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、第1の検出部と第2の検出部と第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、信号Vpと信号Vnとに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、信号Vsを基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
【解決手段】検体と試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、試薬と反応しないネガコントロール液と試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、第1の検出部と第2の検出部と第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、信号Vpと信号Vnとに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、信号Vsを基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子診断システム、遺伝子診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、マイクロチップ、バイオリアクタ、ラボ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。特に遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、μ−TAS(マイクロチップ)を用いることによりコスト、必要試料量、所要時間を削減できる。
【0003】
一方、従来の遺伝子検査では、試薬と検体の混合液を反応させて遺伝子増幅を行った後、試薬と検体の混合液に励起光を照射し、混合液から検出した蛍光検出値の絶対値に基づいて遺伝子の有無を判定していた。
【0004】
しかしながら、このような方法では蛍光のベース値との有意差がでるまで測定を続けると30分から2時間を要することがある。また、蛍光検出の絶対値を求めるためには蛍光のベース値を求める必要があるが、ベース値は光源の強度変化などの要因で経時変化するという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、測定した蛍光強度の反応曲線のデータを、予め記憶されている蛍光強度上昇開始から終了までの時間の基準量と、蛍光強度上昇終了後の蛍光強度の基準量とのデータと比較して、検体に判定すべき遺伝子が含まれているか否かを判定する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特開2007−328466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PCR法に代表される遺伝子増幅法では、試薬と検体の混合液に高温の熱サイクルを長時間かける必要があるが、密閉された容器で試薬と検体を反応させる場合は特に問題はおこらない。しかしながら、μ−TAS(マイクロチップ)のように一端が開放された流路で試薬と検体を反応させる場合は、高温を加熱すると試薬や検体が蒸発して液量が減少したり、流路内の空気が膨張して試薬と検体の混合液が所定の位置から移動して液量が変化する場合がある。このように検査中に試薬や検体の混合液の量が変化すると、混合液から検出する蛍光強度のレベルも変動する。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示されている方法では、測定した蛍光強度の反応曲線のデータを予め記憶されている一定の基準値と比較して遺伝子の有無を判定しているので、検査中に試薬や検体の混合液の量が変化すると正しい判定を行えない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
1.
マイクロチップの流路に蓄えられた検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断システムにおいて、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、
前記第1の検出部と前記第2の検出部と前記第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、
前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vpと前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vnとに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、
前記第1の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vsを前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、
を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
2.
前記基準値算出手段は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする1に記載の遺伝子診断システム。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
3.
検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断方法において、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させた第1の蛍光強度と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第2の蛍光強度と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第3の蛍光強度と、を検出する蛍光検出工程と、
前記第2の蛍光強度と前記第3の蛍光強度とに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出工程と、
前記第1の蛍光強度を前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定工程と、
を有することを特徴とする遺伝子診断方法。
4.
前記基準値算出工程は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする3に記載の遺伝子診断方法。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号、Vnは前記第3の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポジコントロール液と試薬とを混合して反応させた蛍光強度Vpとネガコントロール液と試薬とを混合して反応させた蛍光強度Vnとに基づいて、検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出し、遺伝子の有無を判定する。このようにすることにより、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における遺伝子診断システム80の外観図である。
【0013】
遺伝子診断システム80は、検査装置82とマイクロチップ1から構成される。検査装置82は、マイクロチップ1に予め注入された検体と試薬との反応を自動的に検出し、表示部84に結果を表示する装置である。
【0014】
検査装置82には挿入口83があり、マイクロチップ1を挿入口83に差し込んで検査装置82の内部にセットするようになっている。なお、挿入口83はマイクロチップ1を挿入時に挿入口83に接触しないように、マイクロチップ1の厚みより十分高さがある。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、87は操作パネル、88は入出力端子、89は電源スイッチである。
【0015】
検査担当者は図1の矢印方向にマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させる。検査装置82の内部では、マイクロチップ1内の反応の検査が自動的に行われ、検査が終了すると液晶パネルなどで構成される表示部84に結果が表示される。検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
【0016】
検査担当者は、検査終了後、マイクロチップ1を挿入口83から取り出す。
【0017】
次に、本発明のマイクロチップ1の一例について、図2を用いて説明する。
【0018】
図2は本発明の実施形態に係るマイクロチップ1の外観図である。
【0019】
図2(a)のマイクロチップ1の側面図に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。溝形成基板108と被覆基板109の基板材料は特に限定されるものではないが、少なくとも反応結果を光学的に検知する流路を覆う部分はガラスや樹脂などの透明な部材で構成する必要がある。
【0020】
図2(b)はマイクロチップ1の平面図であり、透明な被覆基板109を通して見える溝形成基板108の溝を図示している。溝形成基板108の溝を被覆基板109が覆うことにより流路250を形成している。マイクロチップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路250(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。
【0021】
流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。
【0022】
本実施形態では、特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理に用いるマイクロチップ1を例に説明する。
【0023】
図2(b)の注入口110a、110b、110cは、マイクロチップ1内部の流路に連通する被覆基板109に形成された開口であり、各注入口110から駆動液を流路250に注入し内部の検体や試薬等を駆動する。本実施形態のマイクロチップ1では図2(b)に示すように注入口110aから始まる流路の構成と、注入口110bから始まる流路の構成は全く同じであり、以降aチャンネル、bチャンネル、cチャンネルと呼び区別する。また、各構成要素にはa、b、cを付けて区別する。
【0024】
121aは検体を収容する検体収容部、121bは試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液を収容するポジコントロール液収容部、121cは試薬と反応しないネガコントロール液を収容するネガコントロール液収容部である。
【0025】
検体収容部121a、ポジコントロール液収容部121b、ネガコントロール液収容部121cはそれぞれ所定量の液体を収容するために他の流路より溝が深くなっている。本実施形態では予め、検体収容部121aには検体が、ポジコントロール液収容部121bにはポジコントロール液が、ネガコントロール液収容部121cにはネガコントロール液が、それぞれ収容されているものとして説明する。
【0026】
120a、120b、120cは試薬を収容する試薬収容部である。本実施形態では予め、試薬収容部120a、試薬収容部120b、試薬収容部120cには同じ試薬が収容されているものとして説明する。
【0027】
注入口110a、110b、110cから流路250a、250b、250cに駆動液を注入すると、検体収容部121a、ポジコントロール液収容部121b、ネガコントロール液収容部121cにそれぞれ収容された液体は押し出されてそれぞれ下流の試薬収容部120a、120b、120cに注入される。
【0028】
試薬収容部120a、試薬収容部120b、試薬収容部120cのさらに下流には混合部130a、混合部130b、混合部130cと混合部131a、混合部131b、混合部131cが設けられている。流路250aaを流れてきた検体と試薬は混合部130a、混合部131aで混合される。同様に、流路250baを流れてきたポジコントロール液と試薬は混合部130b、混合部131bで、流路250caを流れてきたネガコントロール液と試薬は混合部130c、混合部131cで混合される。
【0029】
混合部130a、混合部131aで混合された検体と試薬は検出部111aに注入される。同様に、混合部130b、混合部131bで混合されたポジコントロール液と試薬は検出部111bに、混合部130c、混合部131cで混合されたネガコントロール液と試薬は検出部111cに注入される。
【0030】
後に説明するように、検査装置82の内部でマイクロチップ1に温度調節ユニット3を密着させ、各検出部111に注入された混合液を所定の温度に加熱または吸熱して、検出部111内部の液体を所定の時間反応させる。
【0031】
検出部111は注入された混合液の蛍光を光学的に検出するために設けられ、所定量の混合液を収容するために他の流路より溝が深くなっている。
【0032】
各検出部111の下流に設けられた液溜部141は検出部111よりも流路の溝が浅くなっており、検出部111a、111b、111cに所定量の混合液が充填されると液溜部141a、141b、141cにも混合液が流入するようになっている。後に説明するように、液溜部141a、141b、141cに流入した混合液の有無を検出して、検出部111a、111b、111cにそれぞれ所定量の混合液が充填されたことを判定する。
【0033】
排出口150a、150b、150cは、流路と連通する溝形成基板108に形成された開口である。流路内の空気は試薬や混合液の先端が移動すると排出口150a、150b、150cから押し出される。
【0034】
なお、注入口110と排出口150を形成する基板は特に限定されるものではなく、溝形成基板108または被覆基板109のいずれに形成しても良い。また、今までの説明では注入口110a、110b、110cから駆動液を注入する例を説明したが、空気など気体を注入または吸引して試薬や検体などを移動させても良い。
【0035】
図3は、本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を示す断面図、である。
【0036】
検査装置82は、温度調節ユニット3、検出ユニット22、パッキン6、駆動液タンク10、タンク結合針13、電磁バルブ26、配管15、配管16、液体検知部28などから構成される。図3はマイクロチップ1をパッキン6に密着させている状態を示している。図3では、図2で説明したマイクロチップ1の3つのチャンネルのうち一つのチャンネルの断面を説明する。
【0037】
以下、図3を用いて遺伝子診断システム80の内部構成の例を説明する。
【0038】
温度調節ユニット3は、図示せぬ駆動部材により駆動され、紙面上下方向に移動可能である。
【0039】
初期状態において、図示せぬ駆動部材により温度調節ユニット3を、図3の状態からマイクロチップ1の厚み以上上昇させる。すると、マイクロチップ1は紙面左右方向に挿抜可能であり、検査担当者は挿入口83から図示せぬ規制部材に当接するまでマイクロチップ1を挿入する。所定の位置までマイクロチップ1を挿入するとフォトインタラプタなどを用いたチップ検知部95がマイクロチップ1を検知し、オンになる。
【0040】
次に、駆動部材により温度調節ユニット3とマイクロチップ1を下降させて、マイクロチップ1を温度調節ユニット3とパッキン6に密着させる。
【0041】
温度調節ユニット3は、ペルチェ素子、電源装置、温度センサなどを内蔵し、発熱または吸熱を行ってマイクロチップ1の面を所定の温度に調節するユニットである。
【0042】
駆動液タンク10は駆動液11を貯蔵するタンクであり、マイクロチップ1より上方に配置されている。駆動液量センサ19は駆動液タンク10に貯蔵されている駆動液11の量を検知するセンサである。
【0043】
駆動液11は、駆動液タンク10に設けられたタンク結合針13を介して駆動液11の自重により下方の配管15に流れていく。配管15と配管16の間には電磁バルブ26が設けられており、電気信号を与えることにより配管15と配管16の間の流路を開閉する。配管16はパッキン6と介して注入口110と連通している。
【0044】
電磁バルブ26が開いているときは、駆動液タンク10とマイクロチップ1の高低差によって駆動液11を駆動液タンク10から注入口110に注入することができる。電磁バルブ26を閉じると注入口110への駆動液11の注入を停止することができる。
【0045】
本実施形態では、各注入口110a、110b、110cにはそれぞれ配管16a、16b、16cが設けられており、3つの電磁バルブ26a、26b、26cでそれぞれのチャンネルの送液を制御できるように構成されている。
【0046】
本実施形態では、このようにポンプを用いない安価で簡単な構成により送液制御を行う例を説明するが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ポンプを用いて送液制御を行う場合にも適用できる。
【0047】
なお、電磁バルブ26に三方弁を用いると駆動液11の送液を停止させた後、三方弁を大気側に連通させることにより配管16に残留した駆動液11を外部に排出し、マイクロチップ1内部の駆動液11や試薬等を逆方向に移動させることもできる。
【0048】
液体検知部28は例えばフォトリフレクタであり、液溜部141a、141b、141cに流入した液体を光学的に検知するために各チャンネルにそれぞれ設けられている。
【0049】
検出ユニット22は図示せぬ発光部と受光部から成り、検出部111a、111b、111cにそれぞれ光を照射して検体と反応し試薬が発光する蛍光を、光学的に分離して受光部に受光するように構成されている。
【0050】
検出ユニット22は、各検出部111から検出した蛍光強度に応じた電気信号を出力する。検出ユニット22は、本発明の蛍光検出手段である。
【0051】
図4は、本発明の実施形態における検査装置82の回路ブロック図である。
【0052】
制御部99は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って検査装置82の各部を集中制御する。
【0053】
以下、いままでに説明した機能と同一機能を有する機能ブロックには同番号を付し、説明を省略する。
【0054】
CPU98は送液制御部411、基準値算出部412、蛍光判定部413を有する。基準値算出部は本発明の基準値算出手段、蛍光判定部413は本発明の蛍光判定手段である。
【0055】
送液制御部411は、プログラムに基づいて電磁バルブ26を開閉し、マイクロチップ1への送液を制御する。
【0056】
基準値算出部412は、プログラムに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する。基準値Vbについては後に詳しく説明する。
【0057】
蛍光判定部413は、プログラムに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する。
【0058】
電源部500は、検査装置82の各部に電源を供給する。
【0059】
次に、本発明の遺伝子診断方法に基づく検査の手順を説明する。
【0060】
図5は、本発明の遺伝子診断システムにおいて算出した基準値Vbに基づいて遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。図7は、従来の遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフであり、以降図5の本発明の手順と比較しながら説明する。
【0061】
図5、図7の横軸は時間軸であり、検査開始から蛍光検出ユニット22の出力する信号Vの変化を示している。
【0062】
図5、図7の図中に示すVsは検出部111aの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vpは検出部111bの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは検出部111cの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
【0063】
最初に図5(a)について説明する。
【0064】
図5(a)は、検出部111に蓄えられた液体の量が検査中に変化しない場合のVp、Vs、Vnの経過時間による変化を示している。
【0065】
検出部111bに蓄えられたポジコントロール液と試薬との混合液は、すぐに反応し蛍光強度を増すため、信号Vpも図5(a)のように検査開始直後から急速に出力を増し一定のレベルに飽和する。一方、検出部111cに蓄えられたネガコントロール液と試薬との混合液は、全く反応せず蛍光強度も変化しないため、信号Vnも図5(a)のように検査開始直後から一定のレベルである。
【0066】
基準値算出部412は、基準値Vbを下記(1)式に基づいて算出するので、図5(a)に点線で示す算出した基準値Vbは、徐々に増加した後一定値になる。
【0067】
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数である。
【0068】
検出部111aに蓄えられた検体と試薬との混合液の蛍光強度に応じた信号Vsは、図5(a)のように検査開始後しばらくしてから出力を増し基準値Vbのレベルを越える。
【0069】
蛍光判定部413は、信号Vsと基準値Vbとを比較し、信号Vsが基準値Vbを越えると検体に遺伝子が含まれている、すなわち陽性と判定する。なお、誤判定を防ぐため蛍光判定部413は、信号Vpが一定のレベルになる時間t1以降に判定を行う。
【0070】
図7(a)は、図5(a)と同様に検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動したりしない場合のVp、Vs、Vnの経過時間による変化を示している。従来の遺伝子診断方法では、基準値Vcは予め設定された一定の値である。従来は、信号Vsと一定の基準値Vcとを比較して判定していた。
【0071】
次に、図5(b)、図7(b)を用いて検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動して減少した場合について説明する。
【0072】
図5(b)、図7(b)に示すように信号Vp、信号Vnは、図5(a)、図7(a)と比べると時間と共に徐々に減少している。また、信号Vsも図5(a)、図7(a)と比べて増加率が少なくなっている。
【0073】
これは、検出部111a、検出部111b、検出部111cにそれぞれ蓄えられた混合液が蒸発や移動などにより減少するためである。それぞれの検出部111と流路は同じ構造であり、各検出部111に蓄えられた混合液の液量は時間とともに同じ割合で減少すると考えられる。そのため、得られる信号Vp、信号Vn、信号Vsも時間とともに同じ割合で減少する。
【0074】
図7(b)に示すように従来の遺伝子判定方法では、このような場合は信号Vsが一定の基準値Vcを越えていないので、信号Vsのレベルが図5(b)と同じでも検体に遺伝子が含まれている、すなわち陽性とは判定されない。
【0075】
一方、本発明では、基準値算出部412が(1)式に基づいて算出する基準値Vbは、図5(b)のように信号Vp、信号Vnに応じて減少する。このように本発明では検体と試薬の混合液が時間とともに減少しても基準値Vbも同じ割合で減少するので、図5(b)のように信号Vsが基準値Vbを越え、陽性と判定できる。
【0076】
このように本発明では、検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動して減少しても、遺伝子の有無を正しく判定できる。
【0077】
図6は本発明の実施形態において、遺伝子診断システム80が行う検査の手順を説明するフローチャートである。
【0078】
フローチャートでは、検査担当者がマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させてからの手順を説明する。温度調節ユニット3は所定の温度に調節されているものとする。
【0079】
S10:送液を開始するステップである。
【0080】
送液制御部411は、電磁バルブ26を制御して配管15と配管16を連通させ、駆動液を注入口110から注入する。
【0081】
S11:液溜部141に液体が到達したか、否か、を判定するステップである。
【0082】
CPU98は、液体検知部28の出力電圧から液溜部141に混合液が到達したことを判定する。液溜部141に混合液が到達すると、検出部111には所定量の混合液が充填されている。
【0083】
液溜部141に液体が到達していない場合、(ステップS11;No)、ステップS11に戻る。
【0084】
液溜部141に液体が到達した場合、(ステップS11;Yes)、ステップS12に進む。
【0085】
S12:送液を停止するステップである。
【0086】
送液制御部411は、電磁バルブ26を制御して配管15と配管16の間を閉鎖し、送液を停止させる。CPU98は、内部タイマで所定時間カウントし、その間に検出部111に充填された検体と試薬の混合液を反応させて、検体に含まれる遺伝子を増幅させる。所定の時間経過後、次のステップに進む。
【0087】
S13:反応結果を測定するステップである。
【0088】
CPU98は、検出ユニット22の発光部を発光させ、検出ユニット22からの出力される信号Vp、信号Vn、信号Vsのレベルを測定し、結果をRAM97に記憶する。
【0089】
S14:基準値Vbを算出するステップである。
【0090】
基準値算出部412は、ステップS13でRAM97に記憶された信号Vp、信号Vnの値を(1)式に代入し基準値Vbを算出する。なお、定数Cは、予めRAM97またはROM96に記憶されている値を基準値算出部412が読み出す。
【0091】
S15:蛍光を判定するステップである。
【0092】
蛍光判定部413は、信号Vsと基準値Vbとを比較して遺伝子の有無を判定する。
【0093】
Vs≧Vbの場合、(ステップS15;Vs≧Vb)、ステップS18に進む。
【0094】
S18:陽性と判定するステップである。
【0095】
蛍光判定部413は、陽性と判定し結果をRAM97に記憶して処理を終了する。
【0096】
Vs<Vbの場合、(ステップS15;Vs<Vb)、ステップS16に進む。
【0097】
蛍光判定部413は、信号Vsが基準値Vb未満の時、ステップS16に進む。
【0098】
S16:タイムアウトを判定するステップである。
【0099】
蛍光判定部413は、検査開始からの経過時間が所定時間以上か、否か、を判定する。
【0100】
所定時間以上の場合、(ステップS16;Yes)、ステップS17に進む。
【0101】
蛍光判定部413は、所定時間以上経過しても信号Vsが基準値Vb以上にならない場合は、ステップS17に進む。
【0102】
S17:陰性と判定するステップである。
【0103】
蛍光判定部413は、陰性と判定し結果をRAM97に記憶して処理を終了する。
【0104】
所定時間未満の場合、(ステップS16;No)、ステップS13に戻る。
【0105】
蛍光判定部413は、検査開始からの経過時間が所定時間未満の場合、ステップS13に戻り処理を継続する。
【0106】
フローチャートの説明は以上である。
【0107】
以上このように本発明によれば、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施形態における遺伝子診断システム80の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマイクロチップ1の外観図である。
【図3】本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を示す断面図、である。
【図4】本発明の実施形態における検査装置82の回路ブロック図である。
【図5】本発明の遺伝子診断システムにおいて算出した基準値Vbに基づいて遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。
【図6】本発明の実施形態において、遺伝子診断システム80が行う検査の手順を説明するフローチャートである。
【図7】従来の遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0109】
1 マイクロチップ
3 温度調節ユニット
6 パッキン
10 駆動液タンク
22 検出ユニット
26 電磁バルブ
28 液体検知部
80 遺伝子診断システム
82 検査装置
83 挿入口
84 表示部
110 注入口
150 排出口
411 送液制御部
412 基準値算出部
413 蛍光判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子診断システム、遺伝子診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、マイクロチップ、バイオリアクタ、ラボ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。特に遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、μ−TAS(マイクロチップ)を用いることによりコスト、必要試料量、所要時間を削減できる。
【0003】
一方、従来の遺伝子検査では、試薬と検体の混合液を反応させて遺伝子増幅を行った後、試薬と検体の混合液に励起光を照射し、混合液から検出した蛍光検出値の絶対値に基づいて遺伝子の有無を判定していた。
【0004】
しかしながら、このような方法では蛍光のベース値との有意差がでるまで測定を続けると30分から2時間を要することがある。また、蛍光検出の絶対値を求めるためには蛍光のベース値を求める必要があるが、ベース値は光源の強度変化などの要因で経時変化するという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、測定した蛍光強度の反応曲線のデータを、予め記憶されている蛍光強度上昇開始から終了までの時間の基準量と、蛍光強度上昇終了後の蛍光強度の基準量とのデータと比較して、検体に判定すべき遺伝子が含まれているか否かを判定する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特開2007−328466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PCR法に代表される遺伝子増幅法では、試薬と検体の混合液に高温の熱サイクルを長時間かける必要があるが、密閉された容器で試薬と検体を反応させる場合は特に問題はおこらない。しかしながら、μ−TAS(マイクロチップ)のように一端が開放された流路で試薬と検体を反応させる場合は、高温を加熱すると試薬や検体が蒸発して液量が減少したり、流路内の空気が膨張して試薬と検体の混合液が所定の位置から移動して液量が変化する場合がある。このように検査中に試薬や検体の混合液の量が変化すると、混合液から検出する蛍光強度のレベルも変動する。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示されている方法では、測定した蛍光強度の反応曲線のデータを予め記憶されている一定の基準値と比較して遺伝子の有無を判定しているので、検査中に試薬や検体の混合液の量が変化すると正しい判定を行えない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
1.
マイクロチップの流路に蓄えられた検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断システムにおいて、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、
前記第1の検出部と前記第2の検出部と前記第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、
前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vpと前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vnとに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、
前記第1の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vsを前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、
を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
2.
前記基準値算出手段は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする1に記載の遺伝子診断システム。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
3.
検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断方法において、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させた第1の蛍光強度と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第2の蛍光強度と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第3の蛍光強度と、を検出する蛍光検出工程と、
前記第2の蛍光強度と前記第3の蛍光強度とに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出工程と、
前記第1の蛍光強度を前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定工程と、
を有することを特徴とする遺伝子診断方法。
4.
前記基準値算出工程は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする3に記載の遺伝子診断方法。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号、Vnは前記第3の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポジコントロール液と試薬とを混合して反応させた蛍光強度Vpとネガコントロール液と試薬とを混合して反応させた蛍光強度Vnとに基づいて、検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出し、遺伝子の有無を判定する。このようにすることにより、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における遺伝子診断システム80の外観図である。
【0013】
遺伝子診断システム80は、検査装置82とマイクロチップ1から構成される。検査装置82は、マイクロチップ1に予め注入された検体と試薬との反応を自動的に検出し、表示部84に結果を表示する装置である。
【0014】
検査装置82には挿入口83があり、マイクロチップ1を挿入口83に差し込んで検査装置82の内部にセットするようになっている。なお、挿入口83はマイクロチップ1を挿入時に挿入口83に接触しないように、マイクロチップ1の厚みより十分高さがある。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、87は操作パネル、88は入出力端子、89は電源スイッチである。
【0015】
検査担当者は図1の矢印方向にマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させる。検査装置82の内部では、マイクロチップ1内の反応の検査が自動的に行われ、検査が終了すると液晶パネルなどで構成される表示部84に結果が表示される。検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
【0016】
検査担当者は、検査終了後、マイクロチップ1を挿入口83から取り出す。
【0017】
次に、本発明のマイクロチップ1の一例について、図2を用いて説明する。
【0018】
図2は本発明の実施形態に係るマイクロチップ1の外観図である。
【0019】
図2(a)のマイクロチップ1の側面図に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。溝形成基板108と被覆基板109の基板材料は特に限定されるものではないが、少なくとも反応結果を光学的に検知する流路を覆う部分はガラスや樹脂などの透明な部材で構成する必要がある。
【0020】
図2(b)はマイクロチップ1の平面図であり、透明な被覆基板109を通して見える溝形成基板108の溝を図示している。溝形成基板108の溝を被覆基板109が覆うことにより流路250を形成している。マイクロチップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路250(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。
【0021】
流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。
【0022】
本実施形態では、特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理に用いるマイクロチップ1を例に説明する。
【0023】
図2(b)の注入口110a、110b、110cは、マイクロチップ1内部の流路に連通する被覆基板109に形成された開口であり、各注入口110から駆動液を流路250に注入し内部の検体や試薬等を駆動する。本実施形態のマイクロチップ1では図2(b)に示すように注入口110aから始まる流路の構成と、注入口110bから始まる流路の構成は全く同じであり、以降aチャンネル、bチャンネル、cチャンネルと呼び区別する。また、各構成要素にはa、b、cを付けて区別する。
【0024】
121aは検体を収容する検体収容部、121bは試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液を収容するポジコントロール液収容部、121cは試薬と反応しないネガコントロール液を収容するネガコントロール液収容部である。
【0025】
検体収容部121a、ポジコントロール液収容部121b、ネガコントロール液収容部121cはそれぞれ所定量の液体を収容するために他の流路より溝が深くなっている。本実施形態では予め、検体収容部121aには検体が、ポジコントロール液収容部121bにはポジコントロール液が、ネガコントロール液収容部121cにはネガコントロール液が、それぞれ収容されているものとして説明する。
【0026】
120a、120b、120cは試薬を収容する試薬収容部である。本実施形態では予め、試薬収容部120a、試薬収容部120b、試薬収容部120cには同じ試薬が収容されているものとして説明する。
【0027】
注入口110a、110b、110cから流路250a、250b、250cに駆動液を注入すると、検体収容部121a、ポジコントロール液収容部121b、ネガコントロール液収容部121cにそれぞれ収容された液体は押し出されてそれぞれ下流の試薬収容部120a、120b、120cに注入される。
【0028】
試薬収容部120a、試薬収容部120b、試薬収容部120cのさらに下流には混合部130a、混合部130b、混合部130cと混合部131a、混合部131b、混合部131cが設けられている。流路250aaを流れてきた検体と試薬は混合部130a、混合部131aで混合される。同様に、流路250baを流れてきたポジコントロール液と試薬は混合部130b、混合部131bで、流路250caを流れてきたネガコントロール液と試薬は混合部130c、混合部131cで混合される。
【0029】
混合部130a、混合部131aで混合された検体と試薬は検出部111aに注入される。同様に、混合部130b、混合部131bで混合されたポジコントロール液と試薬は検出部111bに、混合部130c、混合部131cで混合されたネガコントロール液と試薬は検出部111cに注入される。
【0030】
後に説明するように、検査装置82の内部でマイクロチップ1に温度調節ユニット3を密着させ、各検出部111に注入された混合液を所定の温度に加熱または吸熱して、検出部111内部の液体を所定の時間反応させる。
【0031】
検出部111は注入された混合液の蛍光を光学的に検出するために設けられ、所定量の混合液を収容するために他の流路より溝が深くなっている。
【0032】
各検出部111の下流に設けられた液溜部141は検出部111よりも流路の溝が浅くなっており、検出部111a、111b、111cに所定量の混合液が充填されると液溜部141a、141b、141cにも混合液が流入するようになっている。後に説明するように、液溜部141a、141b、141cに流入した混合液の有無を検出して、検出部111a、111b、111cにそれぞれ所定量の混合液が充填されたことを判定する。
【0033】
排出口150a、150b、150cは、流路と連通する溝形成基板108に形成された開口である。流路内の空気は試薬や混合液の先端が移動すると排出口150a、150b、150cから押し出される。
【0034】
なお、注入口110と排出口150を形成する基板は特に限定されるものではなく、溝形成基板108または被覆基板109のいずれに形成しても良い。また、今までの説明では注入口110a、110b、110cから駆動液を注入する例を説明したが、空気など気体を注入または吸引して試薬や検体などを移動させても良い。
【0035】
図3は、本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を示す断面図、である。
【0036】
検査装置82は、温度調節ユニット3、検出ユニット22、パッキン6、駆動液タンク10、タンク結合針13、電磁バルブ26、配管15、配管16、液体検知部28などから構成される。図3はマイクロチップ1をパッキン6に密着させている状態を示している。図3では、図2で説明したマイクロチップ1の3つのチャンネルのうち一つのチャンネルの断面を説明する。
【0037】
以下、図3を用いて遺伝子診断システム80の内部構成の例を説明する。
【0038】
温度調節ユニット3は、図示せぬ駆動部材により駆動され、紙面上下方向に移動可能である。
【0039】
初期状態において、図示せぬ駆動部材により温度調節ユニット3を、図3の状態からマイクロチップ1の厚み以上上昇させる。すると、マイクロチップ1は紙面左右方向に挿抜可能であり、検査担当者は挿入口83から図示せぬ規制部材に当接するまでマイクロチップ1を挿入する。所定の位置までマイクロチップ1を挿入するとフォトインタラプタなどを用いたチップ検知部95がマイクロチップ1を検知し、オンになる。
【0040】
次に、駆動部材により温度調節ユニット3とマイクロチップ1を下降させて、マイクロチップ1を温度調節ユニット3とパッキン6に密着させる。
【0041】
温度調節ユニット3は、ペルチェ素子、電源装置、温度センサなどを内蔵し、発熱または吸熱を行ってマイクロチップ1の面を所定の温度に調節するユニットである。
【0042】
駆動液タンク10は駆動液11を貯蔵するタンクであり、マイクロチップ1より上方に配置されている。駆動液量センサ19は駆動液タンク10に貯蔵されている駆動液11の量を検知するセンサである。
【0043】
駆動液11は、駆動液タンク10に設けられたタンク結合針13を介して駆動液11の自重により下方の配管15に流れていく。配管15と配管16の間には電磁バルブ26が設けられており、電気信号を与えることにより配管15と配管16の間の流路を開閉する。配管16はパッキン6と介して注入口110と連通している。
【0044】
電磁バルブ26が開いているときは、駆動液タンク10とマイクロチップ1の高低差によって駆動液11を駆動液タンク10から注入口110に注入することができる。電磁バルブ26を閉じると注入口110への駆動液11の注入を停止することができる。
【0045】
本実施形態では、各注入口110a、110b、110cにはそれぞれ配管16a、16b、16cが設けられており、3つの電磁バルブ26a、26b、26cでそれぞれのチャンネルの送液を制御できるように構成されている。
【0046】
本実施形態では、このようにポンプを用いない安価で簡単な構成により送液制御を行う例を説明するが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ポンプを用いて送液制御を行う場合にも適用できる。
【0047】
なお、電磁バルブ26に三方弁を用いると駆動液11の送液を停止させた後、三方弁を大気側に連通させることにより配管16に残留した駆動液11を外部に排出し、マイクロチップ1内部の駆動液11や試薬等を逆方向に移動させることもできる。
【0048】
液体検知部28は例えばフォトリフレクタであり、液溜部141a、141b、141cに流入した液体を光学的に検知するために各チャンネルにそれぞれ設けられている。
【0049】
検出ユニット22は図示せぬ発光部と受光部から成り、検出部111a、111b、111cにそれぞれ光を照射して検体と反応し試薬が発光する蛍光を、光学的に分離して受光部に受光するように構成されている。
【0050】
検出ユニット22は、各検出部111から検出した蛍光強度に応じた電気信号を出力する。検出ユニット22は、本発明の蛍光検出手段である。
【0051】
図4は、本発明の実施形態における検査装置82の回路ブロック図である。
【0052】
制御部99は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って検査装置82の各部を集中制御する。
【0053】
以下、いままでに説明した機能と同一機能を有する機能ブロックには同番号を付し、説明を省略する。
【0054】
CPU98は送液制御部411、基準値算出部412、蛍光判定部413を有する。基準値算出部は本発明の基準値算出手段、蛍光判定部413は本発明の蛍光判定手段である。
【0055】
送液制御部411は、プログラムに基づいて電磁バルブ26を開閉し、マイクロチップ1への送液を制御する。
【0056】
基準値算出部412は、プログラムに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する。基準値Vbについては後に詳しく説明する。
【0057】
蛍光判定部413は、プログラムに基づいて検体に含まれる遺伝子の有無を判定する。
【0058】
電源部500は、検査装置82の各部に電源を供給する。
【0059】
次に、本発明の遺伝子診断方法に基づく検査の手順を説明する。
【0060】
図5は、本発明の遺伝子診断システムにおいて算出した基準値Vbに基づいて遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。図7は、従来の遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフであり、以降図5の本発明の手順と比較しながら説明する。
【0061】
図5、図7の横軸は時間軸であり、検査開始から蛍光検出ユニット22の出力する信号Vの変化を示している。
【0062】
図5、図7の図中に示すVsは検出部111aの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vpは検出部111bの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは検出部111cの蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
【0063】
最初に図5(a)について説明する。
【0064】
図5(a)は、検出部111に蓄えられた液体の量が検査中に変化しない場合のVp、Vs、Vnの経過時間による変化を示している。
【0065】
検出部111bに蓄えられたポジコントロール液と試薬との混合液は、すぐに反応し蛍光強度を増すため、信号Vpも図5(a)のように検査開始直後から急速に出力を増し一定のレベルに飽和する。一方、検出部111cに蓄えられたネガコントロール液と試薬との混合液は、全く反応せず蛍光強度も変化しないため、信号Vnも図5(a)のように検査開始直後から一定のレベルである。
【0066】
基準値算出部412は、基準値Vbを下記(1)式に基づいて算出するので、図5(a)に点線で示す算出した基準値Vbは、徐々に増加した後一定値になる。
【0067】
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数である。
【0068】
検出部111aに蓄えられた検体と試薬との混合液の蛍光強度に応じた信号Vsは、図5(a)のように検査開始後しばらくしてから出力を増し基準値Vbのレベルを越える。
【0069】
蛍光判定部413は、信号Vsと基準値Vbとを比較し、信号Vsが基準値Vbを越えると検体に遺伝子が含まれている、すなわち陽性と判定する。なお、誤判定を防ぐため蛍光判定部413は、信号Vpが一定のレベルになる時間t1以降に判定を行う。
【0070】
図7(a)は、図5(a)と同様に検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動したりしない場合のVp、Vs、Vnの経過時間による変化を示している。従来の遺伝子診断方法では、基準値Vcは予め設定された一定の値である。従来は、信号Vsと一定の基準値Vcとを比較して判定していた。
【0071】
次に、図5(b)、図7(b)を用いて検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動して減少した場合について説明する。
【0072】
図5(b)、図7(b)に示すように信号Vp、信号Vnは、図5(a)、図7(a)と比べると時間と共に徐々に減少している。また、信号Vsも図5(a)、図7(a)と比べて増加率が少なくなっている。
【0073】
これは、検出部111a、検出部111b、検出部111cにそれぞれ蓄えられた混合液が蒸発や移動などにより減少するためである。それぞれの検出部111と流路は同じ構造であり、各検出部111に蓄えられた混合液の液量は時間とともに同じ割合で減少すると考えられる。そのため、得られる信号Vp、信号Vn、信号Vsも時間とともに同じ割合で減少する。
【0074】
図7(b)に示すように従来の遺伝子判定方法では、このような場合は信号Vsが一定の基準値Vcを越えていないので、信号Vsのレベルが図5(b)と同じでも検体に遺伝子が含まれている、すなわち陽性とは判定されない。
【0075】
一方、本発明では、基準値算出部412が(1)式に基づいて算出する基準値Vbは、図5(b)のように信号Vp、信号Vnに応じて減少する。このように本発明では検体と試薬の混合液が時間とともに減少しても基準値Vbも同じ割合で減少するので、図5(b)のように信号Vsが基準値Vbを越え、陽性と判定できる。
【0076】
このように本発明では、検出部111に蓄えられた液体が蒸発したり移動して減少しても、遺伝子の有無を正しく判定できる。
【0077】
図6は本発明の実施形態において、遺伝子診断システム80が行う検査の手順を説明するフローチャートである。
【0078】
フローチャートでは、検査担当者がマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させてからの手順を説明する。温度調節ユニット3は所定の温度に調節されているものとする。
【0079】
S10:送液を開始するステップである。
【0080】
送液制御部411は、電磁バルブ26を制御して配管15と配管16を連通させ、駆動液を注入口110から注入する。
【0081】
S11:液溜部141に液体が到達したか、否か、を判定するステップである。
【0082】
CPU98は、液体検知部28の出力電圧から液溜部141に混合液が到達したことを判定する。液溜部141に混合液が到達すると、検出部111には所定量の混合液が充填されている。
【0083】
液溜部141に液体が到達していない場合、(ステップS11;No)、ステップS11に戻る。
【0084】
液溜部141に液体が到達した場合、(ステップS11;Yes)、ステップS12に進む。
【0085】
S12:送液を停止するステップである。
【0086】
送液制御部411は、電磁バルブ26を制御して配管15と配管16の間を閉鎖し、送液を停止させる。CPU98は、内部タイマで所定時間カウントし、その間に検出部111に充填された検体と試薬の混合液を反応させて、検体に含まれる遺伝子を増幅させる。所定の時間経過後、次のステップに進む。
【0087】
S13:反応結果を測定するステップである。
【0088】
CPU98は、検出ユニット22の発光部を発光させ、検出ユニット22からの出力される信号Vp、信号Vn、信号Vsのレベルを測定し、結果をRAM97に記憶する。
【0089】
S14:基準値Vbを算出するステップである。
【0090】
基準値算出部412は、ステップS13でRAM97に記憶された信号Vp、信号Vnの値を(1)式に代入し基準値Vbを算出する。なお、定数Cは、予めRAM97またはROM96に記憶されている値を基準値算出部412が読み出す。
【0091】
S15:蛍光を判定するステップである。
【0092】
蛍光判定部413は、信号Vsと基準値Vbとを比較して遺伝子の有無を判定する。
【0093】
Vs≧Vbの場合、(ステップS15;Vs≧Vb)、ステップS18に進む。
【0094】
S18:陽性と判定するステップである。
【0095】
蛍光判定部413は、陽性と判定し結果をRAM97に記憶して処理を終了する。
【0096】
Vs<Vbの場合、(ステップS15;Vs<Vb)、ステップS16に進む。
【0097】
蛍光判定部413は、信号Vsが基準値Vb未満の時、ステップS16に進む。
【0098】
S16:タイムアウトを判定するステップである。
【0099】
蛍光判定部413は、検査開始からの経過時間が所定時間以上か、否か、を判定する。
【0100】
所定時間以上の場合、(ステップS16;Yes)、ステップS17に進む。
【0101】
蛍光判定部413は、所定時間以上経過しても信号Vsが基準値Vb以上にならない場合は、ステップS17に進む。
【0102】
S17:陰性と判定するステップである。
【0103】
蛍光判定部413は、陰性と判定し結果をRAM97に記憶して処理を終了する。
【0104】
所定時間未満の場合、(ステップS16;No)、ステップS13に戻る。
【0105】
蛍光判定部413は、検査開始からの経過時間が所定時間未満の場合、ステップS13に戻り処理を継続する。
【0106】
フローチャートの説明は以上である。
【0107】
以上このように本発明によれば、検査中に試薬と検体の混合液の量が変化しても遺伝子の有無を正確に判定することができる遺伝子診断システム、遺伝子診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施形態における遺伝子診断システム80の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマイクロチップ1の外観図である。
【図3】本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を示す断面図、である。
【図4】本発明の実施形態における検査装置82の回路ブロック図である。
【図5】本発明の遺伝子診断システムにおいて算出した基準値Vbに基づいて遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。
【図6】本発明の実施形態において、遺伝子診断システム80が行う検査の手順を説明するフローチャートである。
【図7】従来の遺伝子の有無を判定する手順を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0109】
1 マイクロチップ
3 温度調節ユニット
6 パッキン
10 駆動液タンク
22 検出ユニット
26 電磁バルブ
28 液体検知部
80 遺伝子診断システム
82 検査装置
83 挿入口
84 表示部
110 注入口
150 排出口
411 送液制御部
412 基準値算出部
413 蛍光判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチップの流路に蓄えられた検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断システムにおいて、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、
前記第1の検出部と前記第2の検出部と前記第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、
前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vpと前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vnとに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、
前記第1の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vsを前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、
を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
【請求項2】
前記基準値算出手段は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする請求項1に記載の遺伝子診断システム。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
【請求項3】
検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断方法において、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させた第1の蛍光強度と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第2の蛍光強度と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第3の蛍光強度と、を検出する蛍光検出工程と、
前記第2の蛍光強度と前記第3の蛍光強度とに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出工程と、
前記第1の蛍光強度を前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定工程と、
を有することを特徴とする遺伝子診断方法。
【請求項4】
前記基準値算出工程は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする請求項3に記載の遺伝子診断方法。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号、Vnは前記第3の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号である。
【請求項1】
マイクロチップの流路に蓄えられた検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断システムにおいて、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させる第1の検出部と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第2の検出部と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させる第3の検出部と、を備えたマイクロチップと、
前記第1の検出部と前記第2の検出部と前記第3の検出部に励起光を照射しそれぞれの蛍光強度に応じた信号を出力する蛍光検出手段と、
前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vpと前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vnとに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出手段と、
前記第1の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号Vsを前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定手段と、
を有することを特徴とする遺伝子診断システム。
【請求項2】
前記基準値算出手段は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする請求項1に記載の遺伝子診断システム。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号、Vnは前記第3の検出部の蛍光強度に応じた前記蛍光検出手段の信号である。
【請求項3】
検体と試薬とを混合し反応中の検体と試薬との混合液の蛍光強度から遺伝子の有無を判定する遺伝子診断方法において、
前記検体と前記試薬とを混合し反応させた第1の蛍光強度と、前記試薬と反応して蛍光を発光するポジコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第2の蛍光強度と、前記試薬と反応しないネガコントロール液と前記試薬とを混合し反応させた第3の蛍光強度と、を検出する蛍光検出工程と、
前記第2の蛍光強度と前記第3の蛍光強度とに基づいて前記検体に含まれる遺伝子の有無を判定する基準値Vbを算出する基準値算出工程と、
前記第1の蛍光強度を前記基準値Vbと比較して遺伝子の有無を判定する蛍光判定工程と、
を有することを特徴とする遺伝子診断方法。
【請求項4】
前記基準値算出工程は、
下記(1)式に基づいて前記基準値Vbを算出することを特徴とする請求項3に記載の遺伝子診断方法。
Vb=C×(Vp−Vn)+Vn・・・・(1)
ただし、Cは0<C<1の定数、Vpは前記第2の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号、Vnは前記第3の蛍光強度の蛍光強度に応じた信号である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−284882(P2009−284882A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144243(P2008−144243)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]