説明

遺失物管理システム及び遺失物管理方法

【課題】遺失物引き渡しの際の本人確認を簡易に行うことを可能とする遺失物管理システムを提供する。
【解決手段】読み取り可能なタグ識別情報IDtを有するタグ1の当該タグ識別情報IDtと、媒体を特定する識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報IDnを有するICチップを備え且つ携帯可能な認証可能媒体2の当該認証識別情報IDnと、を対応づけた遺失物データを記憶する記憶装置を備える。上記遺失物データには、タグ若しくはタグが取り付けられた物品が遺失物と認定されているか否かを示す遺失物情報FLG−Lを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り可能な識別情報を有するタグが付された物品を管理するための遺失物管理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遺失物を管理する技術としては、例えば特許文献1〜特許文献5に記載の技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術は、次の通りである。
遺失物情報システムが識別番号とパスワードとを発行し、これら物品に関する識別情報は遺失物データベースに登録しておく。ここで、上記識別番号は物品(製品)に添付され、パスワードはその保証書に添付される。そして、ユーザからの通信回線を介した遺失物の問い合わせに対し、上記パスワードでユーザ認証を行って、遺失物の保管状況を返答する。
【0003】
特許文献2に記載の技術は、回収表示が視認でき且つ識別コードを有する媒体を物品に添付しておき、遺失物を発見した拾得者に、ポストへの投函を促すというものである。
特許文献3には、識別コードを有する識別媒体を物品に取り付けておき、当該物品を遺失した際に、ユーザは、該物品を遺失物として保管する遺失物保管部とネットワークに接続して、個人情報を入力することで回収状況の閲覧を行うことが開示されている。
【0004】
特許文献4には、遺失物に付されたICタグのタグIDに対応する連絡先をデータベース上にて管理し、遺失物回収時に当該ICタグを読み取りデータベースに登録された連絡先へ回収通知を行うことが開示されている。
特許文献5に記載の技術は、次の通りである。ユーザ端末から、タグ番号とユーザのメールアドレスとを管理サーバに送信し、管理サーバで受信したタグ番号とメールアドレスとを対応付けて記憶しておく。そして情報機器は、遺失物に付されたタグから読み取ったタグ番号と遺失物保管場所とを管理サーバに通知する。管理サーバは、タグ番号に対応するメールアドレスをデータベースから読み取り、そのメールアドレスに上記保管場所を連絡するメールを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−73908号公報
【特許文献2】特開2002−366644号公報
【特許文献3】特開2006−18704号公報
【特許文献4】特開2006−155296号公報
【特許文献5】特開2008−210197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のような遺失物を管理する技術では、遺失物の回収通知を受けるには、物品に付するタグに対応付けて、遺失物管理用のためだけにメールアドレスなどを個別に登録しておく必要がある。
また、従来の技術では、遺失物の引き渡しを受ける際に、その物品の所有者であるという本人確認を簡易に行うことが出来ないという課題がある
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、遺失物引き渡しの際の本人確認を簡易に行うことを可能とする遺失物管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、読み取り可能なタグ識別情報を有するタグの当該タグ識別情報と、媒体を特定する識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報を有するICチップを備え且つ携帯可能な認証可能媒体の当該認証識別情報と、を対応づけた遺失物データを記憶する記憶装置を備え、
上記遺失物データには、タグ若しくはタグが取り付けられた物品が遺失物と認定されているか否かを示す遺失物情報を有することを特徴とする遺失物管理システムを提供するものである。
【0008】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記タグのタグ識別情報と認証可能媒体の認証識別情報とを読み取り、読み取った情報を対応付けて上記記憶装置を管理する管理サーバに送信する情報送信手段を備えることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、 上記記憶装置に記憶する遺失物データは、上記タグの保管場所に関する保管場所情報を有することを特徴とするものである。
【0009】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した構成に対し、上記認証可能媒体は、特定の施設又は空間に対する通行確認用の通行確認端末で読み取り可能な通行許可用の通行認証情報を有することを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した構成に対し、上記通行確認端末は、交通機関を利用するために通過する改札口に設けられた自動改札機であることを特徴とするものである。
【0010】
次に、請求項6に記載した発明は、請求項4又は請求項5に記載した構成に対し、 上記通行確認端末で通行認証情報を読み取る際に、上記記憶装置を管理する管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体に対応する遺失物データの遺失物情報に基づき、遺失物と認定されている遺失物データがある場合には、その旨を上記通行確認端末の表示部に表示若しくは対応する認証可能媒体に送信する処理の少なくとも一方を実施することを特徴とするものである。
【0011】
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した構成に対し、上記認証可能媒体の所有者を認証可能な識別情報を読み取る認証読み取り端末で上記認証可能な識別情報を読み取る際に、上記記憶装置を管理する管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体に対応する遺失物データの遺失物情報に基づき、遺失物と認定されている遺失物データがある場合には、その旨を上記通行確認端末の表示部に表示若しくは対応する認証可能媒体に送信することを特徴とするものである。
【0012】
次に、請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した構成に対し、遺失物引き渡し時に、認証可能媒体の所有者を認証可能な識別情報を読み取る所有者確認用読み取り手段を備えることを特徴とするものである。
【0013】
次に、請求項9に記載した発明は、読み取り可能なタグ識別情報を有するタグのタグ識別情報と、媒体を特定する識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報を有するICチップを備え且つ携帯可能な認証可能媒体の当該認証識別情報と、を対応づけた遺失物データを記憶装置に記憶しておき、
上記タグを付した物品を遺失物と判定すると、対応する遺失物データに遺失物である旨の情報を設定し、
上記認証可能媒体内の情報を読み取り機で読み取る際に、上記記憶装置内の遺失物データとの照合を行って上記対応する遺失物データに遺失物である旨の情報がある場合には、その旨を通知することを特徴とする遺失物管理方法を提供するものである。
【0014】
次に、請求項10に記載した発明は、請求項9に記載した構成に対し、遺失物引き渡しの際に、上記認証可能媒体内の情報を、遺失物の所持者確認のための照合情報とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所有者が携帯するICチップ付き認証可能媒体に対する認証識別情報と、タグのタグ識別情報とを対応付けて(紐付けて)遺失物データとして記憶しておくことで、上記タグを付した遺失物の引き渡しの際に、遺失物の引き取りにきた人物が所有するICチップ付き認証可能媒体を読み取ることで、容易に遺失物の引渡人であることを確認することが可能となる。
【0016】
この結果、遺失物の引き渡しの際における、本人確認を簡易に実施できる。
また請求項2に係る発明によれば、認証可能媒体はICチップを有しているので、情報送信手段の読み取り機で簡易に認証識別情報を読み取ることが出来る。この結果、簡易に認証識別情報とタグ識別情報とを対応付けることが出来る。なお、一度に複数のタグを読み込んで登録してもよい。
【0017】
また請求項3に係る発明によれば、保管場所情報を有するので、どの保管場所に遺失物を受け取りに行けばよいかが分かる。
また請求項4に係る発明によれば、認証可能媒体は、少なくとも特定の施設又は空間においては、確実に所有者を認証可能な媒体となる。このため、上記特定の施設又は空間での遺失物に対して、認証可能媒体はより有効な認証媒体となると共に、より確実に所有者が携帯しているはずの媒体となる。
【0018】
特に請求項5に係る発明によれば、特定の施設又は空間が交通機関に関する場合には、移動が通常行われる場所であるので遺失物と所有者とが離れた位置となる可能性が高いために、より物品を紛失しやすい傾向にある。このため、より本発明の効果を奏しやすくなる。
【0019】
また請求項6に係る発明によれば、通行のために通行確認端末で通行確認情報を読み取る際に、自己の遺失物があれば、通知を受けることが出来る。特に交通機関の改札に設けられた通行確認端末である改札機は、出るときに必ず通過するので、少なくともそのときに遺失物の通知を行う事が可能となる。
【0020】
このとき、認証可能媒体側に遺失物の通知情報の書込が出来れば、通過時に気づかない場合でも、後で確認可能である。特にICチップ付き認証可能媒体が表示機能を有している場合は表示できて便利である。
【0021】
また請求項7に係る発明によれば、たとえ改札機能などの通行機能を有しないICチップ付き認証可能媒体であっても、紛失確認とは別の目的で認証読み取り端末とデータの授受を行う際に、遺失物の通知を受けることが可能となる。
【0022】
また請求項8に係る発明によれば、認証可能媒体を所有者確認用読み取り手段で読み取らせるだけで、簡易に遺失物の引き渡し人との認定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に基づく実施形態に係るシステム構成を説明する図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る遺失物管理サーバの構成を説明する図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る遺失物データの例を示す図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る登録時の処理を説明する図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る回収通知時の処理を説明する図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る遺失物引き渡し時の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(タグ1について)
本実施形態のタグ1は、光学的若しくは電気的に読み取り可能なタグIDなどのタグ識別情報IDtを有し、且つ物品に対し付することが可能なタグである。上記タグ識別情報IDtは、バーコードや二次元バーコードのような印刷された識別情報であっても良いし、ICチップに格納された識別子等からなっていても良い。もっともタグ識別情報IDtは視認可能な数字列であって良い。この場合には後述の読み取り機において、数字を打ち込むこととなるため若干面倒となる。
【0025】
本実施形態では、タグ1は、ICチップ付きのRFID(ICタグ)として説明する。なお、タグ識別情報IDtは、タグ毎に出来るだけ一意の識別情報となるように設定しておく。
また、タグ1を物品に付する手段としては、例えば貼り付けや、ストラップなどによって取り付け可能となっているなど、公知の手段を採用すればよい。
【0026】
(携帯可能な認証可能媒体2について)
認証可能媒体2は、ICチップ2aを備え且つ携帯可能な認証可能媒体である。上記ICチップ2aには、媒体を特定する個別の識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な個体識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報IDnが格納されている。その認証可能媒体2は、例えばICチップ2a付きカード若しくは携帯可能な移動端末から構成される。認証識別情報IDnは、例えばカード番号、定期券の個人認証番号、通行認証情報、社員番号などである。
【0027】
本実施形態の認証可能媒体2は、特定の施設又は空間に対する通行確認用の通行確認端末で読み取り可能な通行許可用の通行認証情報を有し、本実施形態では、その通行認証情報を上記認証識別情報IDnとした場合で説明する。なお、認証可能媒体2は、クレジットカードや銀行カードのようなものでも良い。
【0028】
ここで、通行確認用の通行確認端末としては、鉄道などの交通機関における自動改札機、飛行機による交通機関における搭乗用の改札機、美術館・劇場・映画館・球技場等の催し会場への入退場口に設けられた入退場確認用の端末、特定の企業施設に対する入退場のために通行する箇所に設けられた通行確認端末などが例示できる。また、これに対応した認証可能媒体2としては、ICチップ2aを備えた通行カードが例示出来る。
【0029】
最近では、携帯移動端末に対し、アプリによって上記通行認証情報が読み出し可能に格納されている場合もあり、このような場合には、上記携帯移動端末が認証可能媒体2となる。
認証可能媒体2は、液晶などからなる表示部2bを有していることがこのましい。
以下の例では、通行確認用の通行確認端末が、鉄道の交通機関における自動改札機とする。また、自動券売機や施設関係の売店などに設置された端末は、認証読み取り端末の一例となる。
【0030】
(遺失物管理システム)
図1は、本実施形態の遺失物管理システムの概要構成図である。
符号3は遺失物管理サーバである。遺失物管理サーバ3は、図2に示すように、データ記憶処理部3Aと、データ参照部3Bと、データ更新部3Cとを備える。
【0031】
データ記憶処理部3Aは、格納要求信号と共に、新たに対応するタグ識別情報IDtと認証識別情報IDnとが入力すると、そのタグ識別情報IDtと認証識別情報IDnに基づき、図3に示すような遺失物データ4を作成し、その作成した遺失物データ4を遺失物管理データベースを構成する記憶装置5に格納する。なお、入力したタグ識別情報IDtが、記憶装置5内に既に存在する場合には、その旨のエラーメッセージを返送する。また、記憶装置5に格納された遺失物データ4に対し、遺失物管理を行うための有効期限を設けておいても良い。
【0032】
ここで、各遺失物データ4は、図3に示すように、認証識別情報IDn、タグ識別情報IDt、遺失物情報FLG−L、保管場所情報HLのエリアを有し、各エリアに例えばコード番号の状態で情報を格納しておく。なお、遺失物データ4は、それぞれ物理的に一つのデータとなっていなくても良い。例えば、認証識別情報IDnを含むデータからチェーン付けによってタグ識別情報IDt等のデータが対応付けられていたりしても良い。本実施形態では、遺失物情報FLG−Lは、遺失物と認定されている場合に「1」を、遺失物と認定されていない初期状態の場合に「0」を設定するものとする。保管場所情報HLには保管場所に対応するコード番号を入力する。また、物品の種別情報などを別途格納して遺失物の特定が容易となるようにしても良い。
【0033】
データ参照部3Bは、参照要求信号と共に認証識別情報IDnが入力すると、記憶装置5を参照して入力した認証識別情報IDnの遺失物データ4を返信する。このとき、認証識別情報IDnと共に遺失物要求情報があった場合には、遺失物情報FLG−Lに基づき遺失物と認定されている遺失物データ4だけを返信する。
【0034】
データ更新部3Cは、データ更新要求信号と共に、認証識別情報IDn及び更新情報を入力すると、記憶装置5内の対応する遺失物データ4を更新する。例えば、遺失物情報FLG−L初期化の更新情報を入力した場合には、対応する遺失物データ4の遺失物情報FLG−Lに「0」を設定する。また、保管場所情報HLの新たなコード番号を更新情報として入力した場合には、対応する遺失物データ4の保管場所情報HLのコード番号を更新する。
【0035】
符号6は、認証識別情報IDn及びタグ識別情報IDtを読み取って送信するための第1リーダライタである。すなわち、第1リーダライタ6は、タグ登録用の読み取り機(情報送信手段)を構成する。第1リーダライタ6は、例えば、タグ1を販売する売店に設置しておく。第1リーダライタ6は、対応するタグ1と認証可能媒体2とそれぞれ接触若しくは近距離通信を行うことで、タグ識別情報IDt及び認証識別情報IDnを連続して読み取る。その後、不図示の格納要求ボタンを押すと、読み込んだタグ識別情報IDt及び認証識別情報IDnのデータが、格納要求信号と共に遺失物管理サーバ3に送信される。これによって、記憶装置5に遺失物データ4として格納される。
【0036】
なお、認証可能媒体2自身が、タグ読み取り機能と、サーバ3への送信アプリを持っている場合には、認証可能媒体2で直接、タグ識別情報IDtを読み取って、遺失物管理サーバ3に送信するようにしても良い。
【0037】
第2リーダライタ7は、遺失物登録用読み取り機である。すなわち、第2リーダライタ7は例えば駅員室に設置しておき、遺失物の持ち込みがあると、その遺失物に付されているタグ1のタグ識別情報IDtを読み取る。そして、読み取った識別情報と、保管場所コードと共にデータ更新要求信号と共に上記遺失物管理サーバ3に送信する。保管場所コードは、その遺失物登録用読み取り機に予め対応するコードを設定しておき、自動的に付するようにすればよい。または、コード番号を入力するようにしても良い。
【0038】
なお、遺失物の移動がある度に、第2リーダライタ7でタグ識別情報IDtの情報を読み取って送信する。これによって、保管場所情報HLの更新が行われる。
なお、上記第1リーダライタ6及び第2リーダライタ7の少なくも第2リーダライタ7は、認証可能媒体2の認証識別情報IDnだけの読み取り、参照ボタンを押すことで、認証識別情報IDnと参照要求信号と共に遺失物管理サーバ3に送信する機能を有する。この送信によって遺失物管理サーバ3から保管場所の情報が返信される。
【0039】
符号8は通行確認端末を構成する自動改札機8である。自動改札機8は、認証可能媒体2中の通行認証情報を読み取る際に、上記管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体2に対応する遺失物データ4の遺失物情報FLG−Lに基づき、遺失物と認定されている遺失物データ4がある場合には、その旨を自動改札機8の表示部8aに表示する。また認証可能媒体2に遺失物有りの情報を送信する。
【0040】
符号9は、認証可能媒体2の所有者を認証可能な識別情報を読み取る認証読み取り端末の一例としての券売機である。券売機9は、認証可能媒体2から、券売その他の目的で認証可能な識別情報を読み取る際に、上記管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体2に対応する遺失物データ4の遺失物情報FLG−Lに基づき、遺失物と認定されている遺失物データ4がある場合には、その旨を上記券売機9の表示部9aに表示する。若しくはその情報を認証可能媒体2に送信する。
【0041】
符号10は、認証可能媒体2の所有者を認証可能な識別情報を読み取る所有者確認用読み取り手段を構成する第3リーダライタである。
【0042】
第3リーダライタ10は、例えば遺失物の保管場所などの遺失物引き渡し場所に設置される。そして、第3リーダライタ10は、遺失物の持ち主が所有する認証可能媒体2中の認証識別番号を読み取る。そして、参照ボタンを押すと、その認証識別番号に対応する遺失物と認定されているタグ識別情報IDtを記憶装置5から読み出して表示部10aに表示される。なお、タグ1情報番号に紐付けて遺失物の特徴等が入力してあってもよい。
【0043】
そして、第3リーダライタ10は、対応する遺失物のタグ1からタグ識別情報IDtを読み取り、上記表示部10aに表示されているタグ識別情報IDtと照合する。
符号11は、鉄道の乗車一般を管理する乗車管理サーバ11である。その乗車管理サーバ11のデータベース12には、上記認証可能媒体2に対応する各種情報が格納されている。このデータベースの認証可能媒体2に対応するデータの一部として遺失物関係の情報を持っていても良い。例えば、遺失物の取得があった場合には、メールにて連絡して欲しいメールアドレスなどを記憶してあっても良い。この場合には、遺失物データ4中の遺失物情報が「1」となると、自動的に遺失物有りのメールを配信するように設定してあっても良い。
【0044】
ここで、上記第1〜第3リーダライタ10は、同一のリーダライタであって良い。本実施形態では便宜的に、3種類に分けて記載している。
【0045】
(動作その他)
「登録」
認証可能媒体2を携帯するユーザが、売店等でタグ1を購入する。このとき、図4に示すように、第1リーダライタ6で、認証可能媒体2及びタグ1の認証識別情報IDn及びタグ識別情報IDtを順番に読み取って遺失物管理サーバ3に送信することで、遺失物管理サーバ3は、対応する遺失物データ4を作成して記憶装置5に格納し、当該遺失物データ4が管理状態となる。このとき、遺失物データ4の遺失物情報FLG−Lは「0」となっている。なお、上記タグ識別情報IDtを認証可能媒体2にも格納しておいても良い。
【0046】
ここで本実施形態では、上記タグ識別情報IDtは、予めタグ1に設定している場合を想定して説明しているが、タグ1購買時に当該タグ1にタグ識別情報IDtを書き込むようにしても良い。
ユーザは、上記タグ1を自分の持ち物(以下物品とも呼ぶ。)に対し貼り付け等によって取り付けておく。
【0047】
「遺失物回収」
そして、上記タグ1を取り付けた物品が遺失物として回収されると、第2リーダライタ7で上記タグ1のタグ識別情報IDtが読み取られる。読み取られたタグ識別情報IDtが遺失物管理サーバ3に送られることで、対応する遺失物データ4の遺失物情報FLG−Lが「1」に変更されると共に、保管場所情報HLのコード番号も当該遺失物データ4に設定される。
【0048】
「遺失物確認」
持ち物の紛失に気づいたユーザは、最寄りのリーダライタによって認証可能媒体2の認証識別情報IDnを読み取り、参照要求信号と共に遺失物管理サーバ3に送信することで、対応する遺失物データ4の情報を表示部に表示させて、紛失物が回収されているか、回収されていればどの保管場所にあるか確認する。なお、紛失していない場合でも、登録されているタグ1の確認が出来、遺失物として登録不要なタグ1の消去(更新)を行うために使用しても良い。
【0049】
また、認証可能媒体2が携帯端末などであって、遺失物を問い合わせる事が可能なアプリが格納されている場合には、そのアプリを起動して遺失物の確認や保管場所の確認を行っても良い。
【0050】
「回収通知」
また、ユーザが自動改札機8で認証可能媒体2を読み取る際に、図5に示すように、自動改札機8の制御部は遺失物管理サーバ3と通信を行い、対応する遺失物が存在する場合には、自動改札機8の表示部にその旨の表示を行う。また、その情報を取得可能な認証可能媒体2の場合には、遺失物有りの情報を当該認証可能媒体2に送信する。上記処理は、券売機9で認証可能媒体2を読み取る際にも実施される。
【0051】
これによって、ユーザは遺失物があったことが簡易に通知される。
ここで、認証可能媒体2が表示部付きICカードや携帯端末などの場合には、認証可能媒体2の表示部に、上記遺失物有りの表示や保管場所情報HLなどを表示させるようにすることが好ましい。
また、乗車管理サーバ11のデータベースの情報に基づいて、メールにて携帯端末やユーザのパソコン等に遺失部が有る旨を、ユーザに通知しても良い。
【0052】
「遺失物引き渡し」
図6に示すように、ユーザが所有する認証可能媒体2の認証識別情報IDnを第3リーダライタ10で読み取る。その読み取った認証識別情報IDnを遺失物管理サーバ3に送信する、遺失物管理サーバ3では、遺失物有りのタグ1情報との照合を行い、照合結果を第3リーダライタ10に送信し、第3リーダライタ10用の表示部に表示する。なお、このとき、ユーザが所有する認証可能媒体2にその情報を送って、当該認証可能媒体2の表示部に表示するようにしても良い。
【0053】
そして、駅員が、表示部に表示されたタグ識別情報IDtに対応するであろう物品を持ってきて、その物品に取り付けあるタグ1を第3リーダライタ10で読み取って、上記照合結果のタグ識別情報IDtか確認し、間違いがなければ、その物品をユーザに引き渡す。
このとき、ユーザが所有する認証可能媒体2の認証識別情報IDnを第3リーダライタ10で読み取っているので、遺失物の持ち主か否かの確認が不要であり、簡易に引き渡し作業を行うことが出来る。
【0054】
なお、上記説明では、ユーザが保管場所に出向く場合で説明した。これに代えて、最寄り駅まで遺失物を移動させて貰って、当該最寄り駅のリーダライタで上記遺失物引き渡し処理を行うようにしても良い。
【0055】
(本実施形態の効果)
以上のように、所有者が携帯するICチップ2a付き認証可能媒体2に対する認証識別情報IDnと、タグ1のタグ識別情報IDtとを対応付けて(紐付けて)遺失物データ4として記憶しておくことで、上記タグ1を付した遺失物の引き渡しの際に、遺失物の引き取りにきた人物のICチップ2a付き認証可能媒体2を読み取ることで、遺失物の引渡人と容易に確認することが可能となる。
【0056】
この結果、遺失物の引き渡しの際における、本人確認を簡易に実施できる。
また、認証可能媒体2はICチップ2aを有しているので、情報送信手段の読み取り機で簡易に認証識別情報IDnを読み取ることが出来るので、簡易に認証識別情報IDnとタグ識別情報IDtとを対応付けることが出来る。なお、一度に複数のタグ1を読み込んでもよい。
【0057】
また、保管場所情報HLを有するので、どの保管場所に遺失物受け取りに行けばよいかが分かる。
また、認証可能媒体2は、少なくとも特定の施設又は空間においては、確実に所有者を認証可能な媒体となる。このため、上記特定の施設又は空間での遺失物に対して、認証可能媒体2はより有効な認証媒体となると共に、より確実に携帯している媒体となる。
【0058】
特に、特定の施設又は空間が交通機関の施設又は空間の場合には、移動が通常行われる場所であるので遺失物と所有者とが離れた位置となる可能性が高いために、より物品を紛失しやすいなど、より本発明の効果を奏する。
また、通行のために通行確認端末で通行確認情報を読み取る際に、自己の遺失物があれば、通知を受けることが出来る。特に交通機関の改札に設けられた通行確認端末である改札機8は、出るときに必ず通過するので、少なくともそのときに遺失物の通知を行う事が可能となる。
【0059】
このとき、認証可能媒体2側に遺失物の通知情報の書込が出来れば、通過時に気づかない場合でも、後で確認可能である。特にICチップ2a付き認証可能媒体2が表示機能を有している場合に便利である。
また、たとえ改札機8能などの通行機能を有しないICチップ2a付き認証可能媒体2であっても、紛失確認とは別の目的で認証読み取り端末とデータの授受を行う際に、遺失物の通知を受けることが可能となる。
【0060】
また、認証可能媒体2を所有者確認用読み取り手段で読み取らせるだけで、簡易に遺失物の引き渡し人との認定が可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 タグ
2 認証可能媒体
2a ICチップ
3 遺失物管理サーバ
3A データ記憶処理部
3B データ参照部
3C データ更新部
4 遺失物データ
5 記憶装置
6 第1リーダライタ(読み取り機、情報送信手段)
7 第2リーダライタ(読み取り機)
8 自動改札機(通行確認端末)
9 券売機(認証読み取り端末)
10 第3リーダライタ(読み取り機、所有者確認用読み取り手段)
11 乗車管理サーバ
IDn 認証識別情報
IDt タグ識別情報
FLG−L 遺失物情報
HL 保管場所情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り可能なタグ識別情報を有するタグの当該タグ識別情報と、媒体を特定する識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報を有するICチップを備え且つ携帯可能な認証可能媒体の当該認証識別情報と、を対応づけた遺失物データを記憶する記憶装置を備え、
上記遺失物データには、タグ若しくはタグが取り付けられた物品が遺失物と認定されているか否かを示す遺失物情報を有することを特徴とする遺失物管理システム。
【請求項2】
上記タグのタグ識別情報と認証可能媒体の認証識別情報とを読み取り、読み取った情報を対応付けて上記記憶装置を管理する管理サーバに送信する情報送信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載した遺失物管理システム。
【請求項3】
上記記憶装置に記憶する遺失物データは、上記タグの保管場所に関する保管場所情報を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した遺失物管理システム。
【請求項4】
上記認証可能媒体は、特定の施設又は空間に対する通行確認用の通行確認端末で読み取り可能な通行許可用の通行認証情報を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した遺失物管理システム。
【請求項5】
上記通行確認端末は、交通機関を利用するために通過する改札口に設けられた自動改札機であることを特徴とする請求項4に記載した遺失物管理システム。
【請求項6】
上記通行確認端末で通行認証情報を読み取る際に、上記記憶装置を管理する管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体に対応する遺失物データの遺失物情報に基づき、遺失物と認定されている遺失物データがある場合には、その旨を上記通行確認端末の表示部に表示若しくは対応する認証可能媒体に送信する処理の少なくとも一方を実施することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した遺失物管理システム。
【請求項7】
上記認証可能媒体の所有者を認証可能な識別情報を読み取る認証読み取り端末で上記認証可能な識別情報を読み取る際に、上記記憶装置を管理する管理サーバと通信を行い、対応する認証可能媒体に対応する遺失物データの遺失物情報に基づき、遺失物と認定されている遺失物データがある場合には、その旨を上記通行確認端末の表示部に表示若しくは対応する認証可能媒体に送信することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した遺失物管理システム。
【請求項8】
遺失物引き渡し時に、認証可能媒体の所有者を認証可能な識別情報を読み取る所有者確認用読み取り手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した遺失物管理システム。
【請求項9】
読み取り可能なタグ識別情報を有するタグのタグ識別情報と、媒体を特定する識別情報若しくは媒体の所有者を認証可能な識別情報の少なくとも一方からなる認証識別情報を有するICチップを備え且つ携帯可能な認証可能媒体の当該認証識別情報と、を対応づけた遺失物データを記憶装置に記憶しておき、
上記タグを付した物品を遺失物と判定すると、対応する遺失物データに遺失物である旨の情報を設定し、
上記認証可能媒体内の情報を読み取り機で読み取る際に、上記記憶装置内の遺失物データとの照合を行って上記対応する遺失物データに遺失物である旨の情報がある場合には、その旨を通知することを特徴とする遺失物管理方法。
【請求項10】
遺失物引き渡しの際に、上記認証可能媒体内の情報を、遺失物の所持者確認のための照合情報とすることを特徴とする請求項9に記載した遺失物管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−253353(P2011−253353A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126658(P2010−126658)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)