説明

避難経路取得システム、携帯端末装置、避難指示装置、避難経路取得方法、避難経路送信方法、避難経路取得プログラム、避難経路送信プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、および電子会議システム

【課題】ユーザが簡便に操作でき、ユーザに現状に即した避難経路を提供でき、ユーザを安心させて安全に避難誘導するシステムを実現する。
【解決手段】避難経路取得システム100では、携帯端末装置101と複数の表示装置111…とを無線ネットワーク110で接続している。複数の表示装置111…は、それぞれ、対応する記憶装置212…と接続している。携帯端末装置101は、複数の表示装置111…との位置関係を演算する演算部104と、演算部104にて演算した結果に基づき、前記複数の表示装置111…の中から所定の表示装置111を選択する送信先選択部105と、送信先選択部105にて選択した所定の表示装置111に要求データを送信し、当該表示装置111が対応する記憶装置212から読み出した当該表示装置111の設置位置に応じた避難経路情報を受信する通信部102と、受信した避難経路情報を表示する表示部106とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害等の緊急時にユーザを適切に避難させるためのシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、地震予報や津波予報等がテレビで速報として放送されている。しかし、例えば情報を表示する表示装置を使用した会議を想定した場合、会議参加者は、地震や津波が起こったときに、地震予報や津波予報等の災害情報を入手できず、また会議室における地震や津波に対する対処方法や避難経路等が全く解らず、災害を被る可能性が高くなる。
【0003】
ここで、大地震等、災害発生時に災害情報を取得し所持者を安全地域に誘導するための携帯型通信端末およびこの携帯型通信端末と基地局とからなる避難路表示システムが、例えば、特許文献1に開示されている。この避難路表示システムの基地局は、安全地域の情報を含む地図情報および/または安全地域への避難経路を含む避難経路情報を格納するメモリと、災害発生時に地図情報および/または避難経路情報を携帯型通信端末へ送信する通信回路とを備えている。また、この、基地局は、地図情報および/または避難経路情報の送信に先立って、携帯型通信端末に自動起動要求信号を送信している。
【特許文献1】特開2007−60370(平成19年3月8日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のシステムにおいて、携帯型通信端末の表示の表示画面は小さく、避難経路情報の地図を閲覧するには大変見づらい。また、縮尺を変えるためには、携帯型通信端末を操作する必要がある。しかし、緊急避難という精神的に逼迫した状態で携帯型通信端末を自在に操作するのは極めて困難であり、より操作手順の簡便さが要求される。また、避難経路地図をリアルタイムで閲覧できるものの避難経路が不通であった場合、携帯型通信端末の基地局が即座に代替避難経路地図を提供するのは非常に困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、ユーザが簡便に操作でき、ユーザに現状に即した避難経路を提供でき、ユーザを安心させて確実でより安全に避難誘導するシステム等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る避難経路取得システムは、上記課題を解決するために、携帯端末装置と複数の避難指示装置とがネットワークで接続した避難経路取得システムであって、前記複数の避難指示装置は、それぞれ、前記携帯端末装置からの要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、前記携帯端末装置に送る送受信部を備え、前記携帯端末装置は、前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算部と、前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択部と、前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信部と、前記受信した避難経路情報を表示する表示部とを備えたことを特徴としている。
【0007】
上記システムでは、携帯端末装置にて、複数の避難指示装置との位置関係を演算した結果に基づき、所定の避難指示装置を選び、その所定の避難指示装置から避難経路情報を取得し、表示する。この避難経路情報は、取得先の避難指示装置の設置位置に応じたものとなっている。よって、携帯端末装置を保持するユーザの避難途中に、所定の避難指示装置、例えば、最寄の避難指示装置や移動先の避難指示装置から、その避難指示装置の設置位置に応じた、つまり、避難途中の位置に即した避難経路情報を取得して、表示することができる。
【0008】
このように、本発明に係る避難経路取得システムでは、ユーザが簡便に操作でき、ユーザに、確実に避難途中の現状に沿った避難経路情報を提供でき、ユーザを安心させて安全に避難誘導することができる。
【0009】
ここで、上記複数の避難指示装置は、携帯端末装置と第1のネットワークで接続した表示装置であり、上記記憶部は、上記複数の表示装置と第2のネットワークで接続した記憶装置が有する記憶媒体であってもよい。
【0010】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記携帯端末装置は、ユーザの入力を受付ける入力部を備え、前記表示部は、前記演算部にて演算した結果を前記複数の避難指示装置とそれぞれ対応させて表示し、前記入力部は、所定の避難指示装置を指定する入力を受付け、前記送信先選択部は、前記入力部にて受付けた前記所定の避難指示装置を選択してもよい。
【0011】
上記システムでは、ユーザが、演算部にて演算した結果を複数の避難指示装置とそれぞれ対応させて表示したものを閲覧して、所定の避難指示装置を指定することができる。そしてこの所定の避難指示装置が、避難経路情報の要求データの送信先として選択される。よって、ユーザの情況に応じて避難経路情報を取得する避難指示装置を選択できるので、使い勝手がよいものとなる。
【0012】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記記憶部は、緊急時の情報である緊急情報に関連した情報であり前記避難指示装置の設置場所から避難する際の情報である避難情報を記憶しており、前記複数の避難指示装置は、情報表示部と、前記緊急情報の信号を検出する緊急信号検出部と、印刷装置と、前記緊急信号検出部が前記緊急情報の信号を検出すると、そのときに前記情報表示部に表示されている表示情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部から前記避難情報を読み出し、前記避難情報と前記緊急情報とを前記情報表示部に表示させ、かつ前記避難情報を前記印刷装置により印刷させる制御部と、を備えていてもよい。
【0013】
上記システムでは、緊急情報の信号が検出されると、そのとき避難指示装置の情報表示部に表示されている表示情報が記憶部に記録され、緊急情報とこれに関連した情報であり避難指示装置の設置場所からの避難についての情報である避難情報とが避難指示装置の情報表示部に表示され、かつ、避難情報が印刷装置にて印刷される。よって、緊急情報の信号が検出された緊急時に、表示装置が設置されている場所にいるユーザは、避難指示装置の情報表示部に表示された緊急情報に気が付き、避難情報を確認して避難を行うことができる。また、その避難情報は印刷されるので、その印刷物を持って避難することができる。ここで、避難情報は、避難指示装置が設置されている場所から避難する際の情報であるということは、避難指示装置が設置されている場所によってカスタマイズされているということである。ユーザは、この避難指示装置が設置されている場所によってカスタマイズされた避難情報の印刷物を持って避難するため、緊急時に、迷ったりパニックになったりせずに避難することができる。よって、本発明に係る避難経路取得システムでは、避難指示装置が設置されている場所のユーザを適切に避難させることができる。なお、避難情報は、避難指示装置の設置場所から避難する際の情報であればどのようなものでもよく、避難のための経路を示すための情報であってもよいし、避難するために必要な対処方法の情報であってもよい。
【0014】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記避難情報は、前記避難経路情報よりも縮尺の大きな避難経路の情報、および、緊急時の対処方法の情報、の少なくとも一方を含んでもよい。
【0015】
上記システムによると、避難経路情報よりも縮尺の大きな避難経路の情報が避難指示装置の情報表示部に表示され、また、印刷されることで、ユーザは、避難経路情報よりも縮尺の大きな避経路を確認しながら避難することができる。そして、避難経路情報は、縮尺の大きな避難経路の情報よりも縮尺が小さいので、詳細な避難経路となっており、ユーザは、縮尺の大きな避難経路の情報は印刷物で確認し、移動先々のその場所に応じたより詳細な避難経路は携帯端末装置にて確認しながら避難することができる。そのため、ユーザは、より避難場所が解り易く、安全確実に避難することができる。このように、本発明に係る避難経路取得システムでは、災害時にユーザをより適切に誘導して避難させることができる。また、上記避難情報は、災害時の対処方法の情報を含んでいてもよい。災害時の対処方法の情報を含むことで、ユーザに災害に適切に対応させたり、ユーザを落ち着かせたりすることができる。
【0016】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記複数の避難指示装置は、音声出力装置を備え、前記避難情報には音声情報が含まれており、前記緊急信号検出部が前記緊急情報の信号を検出した場合に、前記制御部は、前記避難情報に含まれる音声情報を読み出し、前記音声出力装置に出力させてもよい。
【0017】
上記システムによると、避難情報に含まれる音声情報が出力されることで、表示情報、印刷情報に加えて、音声情報によりユーザを的確に避難させることができる。
【0018】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記記憶部は、前記避難経路情報および前記避難情報が記録されており、かつ前記表示情報を記録する、取り出し可能な記録媒体であってもよい。
【0019】
上記システムによると、緊急情報を受信した緊急時、記憶部である記録媒体を、避難指示装置から取り出し持って避難することが可能になる。よって、例えば災害で避難指示装置が修復不可能な状態に全壊したとしても、表示されていた表示情報は手元に残る。したがって、例えば、表示装置が会議の議事を表示するのに用いられていた場合、会議の議事情報が手元に残り、会議の再開が滞りなく行われるようになり、過去の会議討論等が無駄にならない。
【0020】
また、会議の議事情報にフルハイビジョン映像(例えば、縦1,920画素×横1,080画素の約207万個の画素の映像)が含まれている場合であっても、映像を劣化させずに鮮やかに記録保存、再生が可能となる。
更に、記憶装置から記録媒体を取り出し持って避難することを怠った場合でも、避難途中に携帯端末装置から会議で使用していた表示装置や記憶装置を探索して、会議の議事情報を入手することも可能である。
【0021】
ここで、前記記録媒体は、レーザ光により情報の記録再生が行われる媒体であってもよい。また、前記記録媒体は、前記避難経路情報および前記避難情報を記録している、再生専用のROM層、または1回のみ記録が可能な追記型記録層を有していてもよい。
【0022】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記複数の避難指示装置はそれぞれ撮像装置と接続しており、前記制御部は、前記撮像装置による前記避難指示装置の設置場所の撮影データに写り込んだ人物の数を算出し、当該人物の数を印刷部数として、前記印刷装置を制御してもよい。
【0023】
上記システムでは、避難情報を印刷する際、印刷部数を、避難指示装置が設置されている場所にて撮影を行う撮像装置による撮影データに写り込んだ人物の数、とする。そのため、避難指示装置が設置されている場所にいるユーザ全員に印刷物がいき渡り、どの人もその印刷物に印刷された避難情報を持って避難することができる。
【0024】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、上記複数の避難指示装置は、携帯端末装置と第1のネットワークで接続した表示装置であり、上記記憶部は、上記複数の表示装置と第2のネットワークで接続した記憶装置が有する記憶媒体である場合、前記第1ネットワークは、携帯端末装置と複数の表示装置とを直接接続し、前記第2ネットワークは、複数の表示装置と、それぞれに対応する記憶装置とを直接接続していてもよい。
【0025】
上記構成によると、第1ネットワークが携帯端末装置と、複数の表示装置とを、直接接続している。また、第2ネットワークは、複数の表示装置と、それぞれに対応する記憶装置とを直接接続している。よって、基地局を必要としない。そのため、災害による基地局のシステムダウンがあっても携帯端末装置は、表示装置から避難経路情報を取得することができる。よって、携帯端末装置は、一定の通信基地局を必要とせず、常に安定した通信が可能であり、ユーザが希望する避難経路を即座に入手することができる。
【0026】
本発明に係る避難経路取得システムでは、上記構成に加え、前記第1ネットワークはUWB無線ネットワークであってもよい。UWB無線ネットワークであると、大容量データの高速送受信でき、測距と方位とも探索可能となる。この場合、前記携帯端末装置および前記複数の表示装置は、UWB無線のインターフェースを内蔵している、または、UWB無線のアダプタのコネクタを装填している。またこの場合、前記演算部は、前記位置関係として、前記複数の表示装置へ送信したUWB無線の電波の放射パターンと、前記複数の表示装置から受信したUWB無線の電波による放射パターンとの歪みから、前記携帯端末装置からの前記複数の表示装置の方位をそれぞれ求めてもよい。また、この場合、前記演算部は、前記位置関係として、前記複数の表示装置に送信した前記UWB無線の電波の送信時間と、前記複数の表示装置から受信した前記UWB無線の電波の受信時間との差の時間から、前記複数の表示装置との距離をそれぞれ求めてもよい。
【0027】
なお、上記何れか1つの避難経路取得システムに含まれる前記携帯端末装置も本発明に含まれる。
【0028】
また、本発明に係る携帯端末装置は、上記課題を解決するために、要求データを受信すると自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して前記要求データの発信先に送信する複数の避難指示装置と、ネットワークで接続した携帯端末装置であって、前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算部と、前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択部と、前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信部と、前記受信した避難経路情報を表示する表示部とを備えたことを特徴としている。
【0029】
上記方法によると、本発明に係る避難経路取得システムで使用する携帯端末装置を提供でき、本発明に係る避難経路取得システムでの携帯端末装置と同様の効果を奏し、ユーザは、簡便な操作でわかりやすい避難経路情報を取得でき表示できるので、安心して安全に避難できる。
【0030】
また、本発明に係る避難経路取得方法は、上記課題を解決するために、要求データを受信すると自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して前記要求データの発信先に送信する複数の避難指示装置と、ネットワークで接続した携帯端末装置での避難経路取得方法であって、前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算ステップと、前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択ステップと、前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信ステップと、前記受信した避難経路情報を表示する表示ステップとを含むことを特徴としている。
【0031】
上記方法によると、本発明に係る避難経路取得システムでの携帯端末装置と同様の効果を奏し、ユーザは、簡便な操作でわかりやすい避難経路情報を取得でき表示できるので、安心して安全に避難できる。
【0032】
また、本発明に係る携帯端末装置は、コンピュータによって実現してもよく、上記避難経路取得方法の各ステップをコンピュータにて実現させる避難経路取得プログラム、及びその避難経路取得プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0033】
これらの構成によれば、上記避難経路取得プログラムを、コンピュータに読み取り実行させることによって、本発明に係る避難経路取得システムにおける携帯端末装置と同一の作用効果を実現することができる。
【0034】
また、本発明に係る避難指示装置は、上記課題を解決するために、携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置であって、携帯端末装置から要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、前記携帯端末装置に送信する、送受信部を備えたことを特徴としている。
【0035】
上記構成によると、本発明に係る避難経路取得システムで使用する避難指示装置を提供でき、本発明に係る避難経路取得システムでの避難指示装置と同様の効果を奏する。
【0036】
また、本発明に係る避難経路送信方法は、上記課題を解決するために、携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置での避難経路送信方法であって、携帯端末装置から要求データを受信するステップと、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出すステップと、前記携帯端末装置に前記避難経路情報を送信するステップと、を含むことを特徴としている。
【0037】
上記方法によると、本発明に係る避難経路取得システムでの避難指示装置と同様の効果を奏する。
【0038】
また、本発明に係る避難指示装置は、コンピュータによって実現してもよく、上記避難経路送信方法の各ステップをコンピュータにて実現させる避難経路送信プログラム、及びその避難経路送信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0039】
これらの構成によれば、上記避難経路送信プログラムを、コンピュータに読み取り実行させることによって、本発明に係る避難経路取得システムにおける避難指示装置と同一の作用効果を実現することができる。
【0040】
また、本発明に係る電子会議システムは、上記課題を解決するために、携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置であって、携帯端末装置から要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、前記携帯端末装置に送信する、送受信部を備えた避難指示装置として機能する、表示装置、記憶装置および印刷装置の少なくとも何れか1つを含んでいればよい。
【0041】
上記構成によると、表示装置、記憶装置および印刷装置の少なくとも何れか1つが、本発明に係る避難経路取得システムでの避難指示装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る避難経路取得システムでは、以上のように、携帯端末装置と複数の表示装置とを第1ネットワークで接続した避難経路取得システムであって、前記複数の表示装置は、それぞれ、前記携帯端末装置からの要求データを受信すると、第2ネットワークで接続した記憶装置から、自身の表示装置の設置位置に応じた避難経路情報を読み出して、前記携帯端末装置に送る送受信部を備え、前記携帯端末装置は、前記複数の表示装置との位置関係を演算する演算部と、前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の表示装置の中から所定の表示装置を選択する送信先選択部、前記送信先選択部にて選択した前記所定の表示装置に要求データを送信し、当該表示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信部と、前記受信した避難経路情報を表示する表示部とを備えている。
【0043】
上記システムでは、携帯端末装置にて、複数の表示装置との位置関係を演算した結果に基づき、所定の表示装置を選び、その所定の表示装置から避難経路情報を取得し、表示する。この避難経路情報は、取得先の表示装置の設置位置に応じたものとなっている。よって、携帯端末装置を保持するユーザの避難難途中に、所定の表示装置、例えば、最寄の表示装置や移動先の表示装置から、その表示装置の設置位置に応じた、つまり、避難途中の位置に即した避難経路情報を取得することができる。
【0044】
このように、本発明に係る避難経路取得システムでは、ユーザが簡便に操作でき、ユーザに、確実に避難途中の現状に沿った避難経路情報を提供でき、ユーザを安心させて安全に避難誘導することができる。
【0045】
また、携帯端末装置は、表示装置が記憶装置から自身の設置位置に応じた避難経路情報を読み出したものを取得するため、基地局を必要としない。そのため、災害による基地局のシステムダウンがあっても携帯端末装置は、表示装置から避難経路情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の避難経路取得システム100のブロック図である。避難経路取得システム100は、複数の表示装置(避難指示装置)111…と携帯端末装置101とを含んでいる。尚、表示装置111の構成は、図2を参照して後から説明する。本実施形態では、一つの携帯端末装置101を取り上げて説明するが、携帯端末装置101は、ユーザがそれぞれ保持しており、避難経路取得システム100に複数含まれている。
【0047】
携帯端末装置101は、例えば、携帯型PC、パームトップ型PC、携帯端末PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機等である。携帯端末装置101は、制御部103、通信部102、演算部104、送信先選択部105、入力部109、記憶部108、画像出力部107、表示部106を備えている。
【0048】
通信部102は、他の通信装置とのデータの送受信を行う。携帯端末装置101は、通信部102により、複数の表示装置111…と無線ネットワーク110を形成している。ここで、本実施形態では、通信部102はUWB通信を行い、複数の表示装置111…との無線ネットワーク110は、UWB無線ネットワークであるとする。ここでUWBとはウルトラワイドバンドの略で、超広帯域無線のことであり、WirelessUSBと呼ばれることもある。UWB無線は、周波数帯域3.1〜10.6GHz、帯域幅7.5GHz、送信電力0.1〜0.5mW、通信速度は480Mbps以上2Gbps未満である。また、UWB無線は、測距と方位とを探索可能なレーダー無線通信方式である(UWB無線の参考文献『UWB/ワイヤレスUSB教科書 阪田史郎(著, 編集) 出版社:インプレス』)。
【0049】
通信部102は、図1に示す携帯端末装置101では、内蔵型のUWB通信部である。しかし、携帯端末装置にUWB通信部が内蔵されていない場合には、後述する図3のUWBアダプタ301を装着することで、UWB通信が行える。
【0050】
制御部103は、携帯端末装置101の各ブロックを制御する。また、記憶部108は、各種データを記憶する。
【0051】
表示部106は、画像出力部107を介した制御部103の制御により各種情報を表示する。
【0052】
画像出力部107は、制御部103からの画像情報を、制御部103の制御の下で、表示部106に表示させる。
【0053】
入力部109は、携帯端末装置へのユーザ入力を行うインターフェースである。入力部109は、マウス、キーボード、タッチパネル等から成る。ユーザは、入力部109を操作して、携帯端末装置101を操作する。このとき、例えば表示部106に表示された情報を見ながら操作してもよい。入力部109に、複数の表示装置111…の距離情報および方位情報を問い合わせるユーザ入力があると、その入力を制御部103が受け付ける。制御部103は、複数の表示装置111…へ、距離情報および方位情報を問い合わせる問い合わせ情報を、通信部102に送らせるよう制御する。
【0054】
通信部102は、問い合わせ情報を複数の表示装置111…へ、UWB無線ネットワーク110を通して送信する。また、通信部102は、複数の表示装置111…から送られて来た信号を受信し、制御部103を経由して記憶部108へ送る。
【0055】
演算部104は、携帯端末装置101と、複数の表示装置111…との距離を求める。距離の求め方の一例を示す。まず、記憶部108が、通信部102から上記問合せ情報を送信した時間t1と、複数の表示装置111…から、それぞれ送られて来た信号を受信した時間t2と、を記憶する。演算部104は、t1とt2との各時間の情報を受け取り、t1とt2の時間差分値から、携帯端末装置101と複数の表示装置111…との距離を、それぞれ演算して求める。
【0056】
また、演算部104は、携帯端末装置101からの、複数の表示装置111…の方位を求める。方位の求め方の一例を示す。まず、通信部102は、後述する図7に示すアンテナ701を備えている。アンテナ701が無指向性アンテナの場合は、複数の表示装置111…からのUWB電波の電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)の強度を利用して、複数の表示装置111…の方位を求める。即ち、アンテナ701から送信したUWB電波の放射パターンAを、記憶部108で記憶する。そして、複数の表示装置111…からのUWB電波は、放射パターンAに歪みが発生した歪み放射パターンBに変化している。演算部104は、この放射パターンAと歪み放射パターンBとの情報を受け取り、放射パターンAと歪み放射パターンBとを比較して、歪みの大きい方位を演算して、複数の表示装置111…の方位を、それぞれ求める。
【0057】
また、通信部102が備えたアンテナが、指向性アンテナの場合は、必要な数だけ装着し、複数の表示装置111…の方位を求めることができる。
【0058】
送信先選択部105は、演算部104の演算結果に基づき、最寄の表示装置111を選択する。そして、制御部103を経由して通信部102へ選択結果を送り、通信部102から最寄の表示装置111へ、表示装置111が有するデータを取得するための要求信号が送信される。
【0059】
以上の構成により、携帯端末装置101は、複数の表示装置111…の距離と方位とを演算して求め、最も近距離の位置にあり、かつ方位を決定した表示装置111から、所望のデータを取得することできる。
【0060】
なお、表示部106が、演算部104にて演算した結果を複数の表示装置111…とそれぞれ対応させて表示してもよい。この表示は、後述するように、例えばグラフィック表示であってもよい。また、この表示を基に、ユーザが、入力部109から、所定の表示装置を指定できるようになっていてもよい。この場合、入力部109が、所定の表示装置を指定するユーザ入力を受付けると、送信先選択部105は、入力部109にて受付けた所定の表示装置111を選択して、制御部103を経由して通信部102へ選択結果を送る。このようになっていると、例えば、最寄りの表示装置111ではなく、ユーザの移動先の表示装置111を選ぶことができる。
【0061】
図3は、本実施形態の携帯端末装置の他の例である携帯端末装置101’の斜視図である。上記で説明した携帯端末装置101は、通信部102は、UWB通信部であった。携帯端末装置101’は、UWB通信部を内蔵していないだけで、他の基本的構成は携帯端末装置101と同様である。携帯端末装置101’は、USBポート303にて、UWBアダプタ301と接続することができる。
【0062】
UWBアダプタ301は、USBポート接続部302を備え、USBポート接続部302を携帯端末装置101のUSBポートに接続することで、UWB通信部を内蔵していない携帯端末装置101’をUWB無線で送受信可能とする。
【0063】
図4は、図3の携帯端末装置101’の表示部106をスライドして、入力部109を露出させて、ユーザ入力が可能な状態にした斜視図である。
【0064】
ここで、UWB無線での送信機、受信機、送受信機について説明する。図5は、UWB無線の送信機500のブロック図である。UWB通信は、短時間パルス通信であり、例えば携帯端末装置101に送信機500が内蔵された場合、次のような処理が行われる。表示装置111との距離情報と方位情報は、データ入力507へ入力され、変調器506でデータ変調され、コード発生器505からの信号とを合わせて時間遅延回路503へ送られる。時間遅延回路503に送られた信号は、通信路の波形遅延、歪み化等の処理を施され、クロック発信器504のクロック信号によりパルス発生器502へ送られ、アンテナ501から信号が短時間パルスで送信される。
【0065】
図6はUWB通信の受信機600のブロック図である。図5のアンテナ501より送信された短時間パルスを、アンテナ601で受信し、復調部602にて復調にする。復調は受信した短時間パルス波形との相関検波である。復調部602は整合フィルタと呼ばれ、乗算器603と時間積分器604とを経由して、復調は、ベースバンド信号処理608で信号処理される。そして、データ出力609から出力信号として出力される。
【0066】
また、復調された受信信号は、ベースバンド信号処理608で処理され、コード発生器610からの信号とを合わせて時間遅延回路606に送られ、クロック発信器607からのクロックと共にパルス発生器605を経由して乗算器603に接続している。
【0067】
また、ベースバンド信号処理608からの信号とコード発生器610からの信号とを合わせて時間遅延回路606に送り、クロック発信器607からのクロックと共にパルス発生器605を経由して乗算器603に接続されるループを形成している。
【0068】
データの変調および復調は、短時間パルスの送信時間を時間軸上で位相変更する位相変調や、位置を変更する位置変調、振幅変調等を用いることができる。
【0069】
なお、図6のアンテナ601の詳細は図示していないが、ディスコーンアンテナを小型化した無指向性アンテナがよい。また、指向性アンテナの場合は、必要な数だけアンテナを装着すればよい。図7は、UWB送受信機700のブロック図である。アンテナ制御部702により、短時間パルスの送受信が可能である。パルスの送受信の構成は、図5のUWB通信の送信機500と図6の受信機600とを合わせた構成となっている。
【0070】
またUSBポート715に接続でき、UWB送受信機を内蔵していない携帯端末装置や表示装置、記憶装置、印刷装置等にUSBポート715を介して接続し、これらをUWB無線通信可能とすることができる。
【0071】
次に、表示装置111について説明する。図2は、表示装置のブロック図である。表示装置111は、携帯端末装置101からの要求により、自身の表示装置111の設置位置に応じた避難経路情報を保持する記憶装置212から当該避難経路情報を読み出して携帯端末装置101に送る構成である。本実施形態では、このように、表示装置111が、携帯端末装置101から要求を受信して、避難経路情報を送信する構成であるが、記憶装置212、または、印刷装置213が、携帯端末装置101からの要求により、自身の装置の設置位置に応じた避難経路情報を保持する記憶部から当該避難経路情報を読み出して携帯端末装置101に送る構成であってもよい。この場合、携帯端末装置101は、通信が可能で、自身の装置の設置位置に応じた避難経路情報を保持する記憶部から当該避難経路情報を読み出して携帯端末装置101に送る構成の装置(表示装置、記憶装置、印刷装置)のいずれかから、避難経路情報を取得する。また、本発明に係る電子会議システムは、本実施形態では、以下で説明するように、表示装置111を含むシステムとして説明する。しかし、本発明に係る電子会議システムは、携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置であって、携帯端末装置から要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、携帯端末装置101に送信する、送受信部を備えた避難指示装置として機能する、表示装置、記憶装置および印刷装置の少なくとも何れか1つを含んでいればよい。
【0072】
ここで、表示装置111は、以下では、会議室での会議に用いられているものとして説明する。また、表示装置111は、緊急情報を検出したとき、表示部209にて出力されている会議の議事データを記憶装置212へ記録保存し、緊急時の対処方法や避難経路の地図を記憶装置212から読み出し、表示し、印刷する構成である。緊急情報は、緊急時の情報であり、以下では、緊急地震速報または緊急警報放送として説明する。また、以下で、緊急地震速報の信号を検出(緊急地震速報を受信)したときを緊急地震速報時、緊急警報放送識別子を検出(緊急警報放送を受信)したときを緊急警報放送時と呼ぶことにする。
【0073】
表示装置111は、UHFアンテナ201とBS・CSアンテナ202とに接続した三波共用デジタルテレビ放送受信機203と、信号検出部(緊急信号検出部)204とを備え、表示部209に接続されている。しかし、特に三波共用デジタルテレビ放送受信機203でなくとも、UHFアンテナ用地上デジタル放送受信機や、BS・CSアンテナ用地上デジタル放送受信機を備えていてもよい。また、三波共用デジタルテレビ放送受信機203と信号検出部204とは、表示装置101とは別途設けられていてもよい。
【0074】
三波共用デジタルテレビ放送受信機203は、UHFアンテナ201やBS・CSアンテナ202を介してテレビ放送局からの信号を受信し、受信した信号は、信号検出部204を通して制御部206に送られる。
【0075】
信号検出部204は、三波共用デジタルテレビ放送受信機203が受信した信号を検出する。信号検出部204は、緊急地震速報の信号を、また、緊急警報放送識別子を検出するようになっている。
【0076】
表示部209は、画像出力部208を介した制御部206の制御により各種表示を行う。画像出力部208は、制御部206からの画像情報を、制御部206の制御の下で、表示部209に表示させる。記憶部207は、各種データが記憶される。
【0077】
ユーザインターフェース接続部210は、入力部121a、入力部211b…からの表示装置111に対するユーザ入力を、受付ける。また、ユーザインターフェース接続部210は、USBポートを含んでいる。
【0078】
信号検出部204と画像出力部208とは制御部206に接続され、画像出力部208は、表示部209に接続している。また、制御部206は通信部205を介して、記憶装置212と印刷装置213とに接続されている。通信部205と、記憶装置212と印刷装置213との接続は、上記したUWB無線ネットワーク110にて行われる。つまり通信部205は、内蔵型のUWB通信部であるとする。しかし、表示装置にUWB通信部が内蔵されていない場合には、例えば、前述したUWBアダプタ301を装着することで、UWB通信が行える。
【0079】
なお、表示装置111は、図示しないLANケーブル、ファストイーサネット(登録商標)、ギガビットイーサネット、USB2.0、USB3.0等の有線とも接続可能でもよく、インターネットを使用できてもよい。
【0080】
また、表示装置111は図示しないタッチパネルを備えタッチペンによる座標入力により図形や文字、記号、その他任意に線の太さや色を種々切り替えて入力可能になっているものとする。
【0081】
記憶装置212は、会議中の議事データが記憶され、後述する、緊急地震速報時の対処方法と避難経路の地図と、緊急警報放送時の対処方法と避難経路の地図(縮尺が大きい地図と、が含まれている避難情報を記憶している。この避難情報は、表示装置111の設置場所(ここでは会議室のある建物)に応じて、カスタマイズされている。避難経路の地図は、例えば、建屋の敷地や地域全体の避難場所が示された地図)である。
【0082】
また、記憶装置212には、表示装置111が携帯端末装置101からの要求によりにより読み出す、避難経路の詳細地図(避難経路情報、縮尺の小さい地図)が記憶されている。この避難経路の詳細地図は、表示装置111の設置位置(ここでは会議室)に応じて、例えば、会議室のある建物における位置あるいは環境またその建物の敷地条件等に応じて、カスタマイズされており、上記避難経路の地図よりも詳細なものとなっている。なお、縮尺が大きい地図とは、例えば学校や公園等の地域の避難場所を含めた広域地図であり、縮尺の小さい地図とは、例えば一棟の建屋内であり、企業所有のビル、テナント(賃貸)ビル、ホテル等であってもよく、機密情報が含まれた詳細な地図であればよい。
【0083】
また、記憶装置212は、本実施形態では、Blu-rayディスク(記録媒体)に情報を書き込み、およびBlu-rayディスクから情報を読み出す装置であるとする。
【0084】
本実施形態では、複数の表示装置111…は、それぞれ別個の記憶装置212と印刷装置213とに接続しているものとする。このように、表示装置111と記憶装置212と印刷装置213とが接続した電子会議システム200の一例を図10に示す。記憶装置212には、記録媒体着脱トレイ212aが備えられている。また、電子会議システム200は、脚部1001と、台座1002と、キャスター1003とを備えていてもよい。
【0085】
図9に、表示装置111が設置された会議室900の例を示す。このように、本実施形態では、複数の表示装置111…は、それぞれ離れた会議室(場所)にあるものとし、それぞれ別個の記憶装置212と印刷装置213とに接続しているものとする。しかし、例えば、一つの会議室(近隣の場所)に複数の表示装置111…がある場合、それらについては、記憶装置212および印刷装置213が共用されていてもよい。この場合も、他の会議室(離れた場所)にある表示装置111には、当該他の会議室にある記憶装置212および印刷装置213を接続している。
【0086】
三波共用デジタルテレビ放送受信機203と信号検出部204とは、表示装置111の図示しない電源をONにすると同時に動作可能となる。また、表示装置101の図示しない電源をONにすると同時に、記憶装置212と印刷装置213の電源もON状態となって動作可能となるのが好ましい。しかし、特に限定しなくとも個別に電源を入れて夫々を動作可能な状態にしてもよい。
【0087】
本実施形態において、会議の議事データを記憶装置212へ記録保存し、緊急地震速報時または緊急警報放送時の対処方法や避難経路の地図を記憶装置212から読み出すまでを、読み出しモード設定と定義する。表示装置111の図示しない電源をONにすると自動的に読み出しモード設定がONになるとする。読み出すモード設定を解除(OFF)する場合は、表示部209に図示しないアイコン等を図示しないタッチペン等の入力装置で選択すると、解除することができるものとする。また、読み出しモード設定は操作者が表示部209に図示しないアイコンを図示しないタッチペン等の入力装置で選択することで読み出しモード設定をONに設定することも可能である。
【0088】
なお、会議の議事データを記憶装置212へ記録保存し、緊急地震速報時や緊急警報放送時の各々の対処方法や避難経路の地図を記憶装置212から読み出すまでを読み出しモード設定と定義したが、会議の議事データを記憶装置212へ記録保存することを第1モードとし、緊急地震速報時や緊急警報放送時の各々の対処方法や避難経路の地図を記憶装置212から読み出すことを第2モードと定義して、夫々を個別に設定(ON/OFF)することも可能である。
【0089】
今、表示部209には会議の議事等が表示され、図示しないユーザによって図形や文字、記号、その他をタッチペンを用いて記入しながら会議が進行しているとする。そして、読み出しモード設定がON状態で、図示しないデジタルテレビ放送局から緊急地震速報または緊急警報放送の情報を含んだ信号を、UHFアンテナ201やBS・CSアンテナ202を経由して三波共用デジタルテレビ放送受信機203が受信したとする。すると、信号検出部204が緊急地震速報の信号や緊急警報放送識別子を検出して、検出した旨の信号を制御部206へ送信する。また、三波共用デジタルテレビ放送受信機203が受信した緊急地震速報または緊急警報放送の情報の信号は、信号検出部204を介して制御部206に送られる。
【0090】
制御部206は、信号検出部204からの信号を受信して、緊急地震速報または緊急警報放送の情報に含まれる映像データ(文字データを含んでもよい)を、画像出力部208を経由して表示部209へ送信して表示制御する。また、緊急地震速報または緊急警報放送の情報に含まれる音声データを、図示しない音声出力装置へ送信して音声出力制御を行う。
【0091】
さらに、制御部206は、図11に示す表示部209に表示された会議の議事データ11を、記憶装置212へ記録する。加えて、制御部206は、緊急地震速報の受信時には、記憶装置212から、緊急地震速報時の対処方法と避難経路の地図とが含まれている避難情報を読み出す。緊急警報放送の受信時には、記憶装置212から、緊急警報放送時の対処方法と避難経路の地図とが含まれている避難情報を読み出す。これらの避難情報には、映像データ、音声データ、および印刷データが含まれている。そして、上記したように、避難情報は、表示装置111の設置場所によってカスタマイズされている。ここで、会議の議事データ11を記憶装置212へ記録する場合は、図14(a),(b)に示すBlu-rayディスク(記録媒体)1400のRE層である第2情報記録層1405に記録し保存する。また記憶装置212から避難情報を読み出す場合には、Blu-rayディスク1400のROM層である第1情報記録層1403のから、読み出す。
【0092】
さらに、制御部206は、避難情報の映像データを表示部209にて表示し、避難情報の音声データを図示しない音声出力装置から出力する。さらに、制御部206は、印刷装置213へ、避難情報の印刷データを送り、印刷を行わせる。なお、制御部206は、表示装置111が設置された会議室を撮影できる図示しない撮像装置に接続しており、撮像装置による会議参加者を撮像した撮像データから、会議参加者(ユーザ)の人数を求め、印刷部数に変換してもよい。そして、この印刷部数を印刷装置213に送ると、印刷データは会議参加者分印刷され、その印刷物を会議参加者全員に配布することができる。
【0093】
図12に、信号検出部204が緊急地震速報の信号を検出した緊急地震速報時の表示部209における表示例を示す。この場合、表示部209の上半分に、地震時の心得と題された地震時の対処方法1201および地震時の避難経路の地図1202が表示される。下半分に、緊急地震速報の映像データ1203が表示される。また、このとき地震の時の対処方法1201に対応した音声データを出力し、地震の時の対処方法1201および地震の時の避難経路の地図1202の印刷データを印刷する。
【0094】
図13に、信号検出部204が緊急警報放送識別子を検出した緊急警報放送時の表示部209における表示例を示す。この場合、表示部209の上半分に、地震の時の心得と題された地震時の対処方法1201と津波警報・注意報時の心得と題された津波警報・注意報時の対処方法1301とが繰り返し表示される。ここでは、交互に表示させるものとするが、まとめて表示させてもよい。また、地震時の避難経路の地図1202と津波時の避難経路の地図1302とが繰り返し表示される。ここでは、交互に表示させるものとするが、まとめて表示させてもよい。下半分に、緊急警報放送の映像データ1203が表示されている。また、このとき各々の対処方法の音声データを出力し、地震の時の対処方法1201および地震の時の避難経路の地図1202と、津波警報・注意報の時の対処方法1301および津波時の避難経路の地図1302と、の印刷データを印刷する。
【0095】
ここで、避難経路の地図の一例を図8に示す。複数の表示装置111…が9階建てのビル(建屋)801の、それぞれの会議室に設置されているものとする。このビル801のある会議室にユーザがいるとする。避難経路の地図800は、敷地内での避難経路を示している。避難経路の途中には、第2ビル803、第3ビル805、池兼防火用水806がある。なお、図中下方に図示しない海があるものとする。緊急地震速報時は、避難経路の地図800は、ユーザの現在位置のビル801の出入口802から、避難経路Aに沿い、避難場所807のグランドまでユーザを避難誘導するよう、例えば、避難経路Aが実線となって、表示され、印刷される。また、緊急警報放送時に、津波の恐れがある場合は、ユーザの現在位置のビル801の出入口802から点線の避難経路Bに沿い、高台804へ避難するよう、例えば、避難経路Bが実線となって、表示され、印刷される。
【0096】
次に、記憶装置212にて使用するBlu-rayディスクの一例について説明する。図14(a)は、Blu-rayディスク1400の概略図であり、図14(b)は、その断面図である。Blu-rayディスク1400は、図14(b)に示すように、再生光入射面側から順に、透光層1402、第1情報記録層1403、中間層1404、第2情報記録層1405、基板1406、が積層された構造になっている。Blu-rayディスク1400に対する再生光は青色可視光領域である青紫色レーザ(波長略405nm)を用いる。第1情報記録層1403は、ROM層である。第2情報記録層1405は、RE層であり、本実施形態では、7層(1405a〜g)の薄膜からなっている。
【0097】
このBlu-rayディスク1400に記録する情報の属性を図15に示す。図15に示すように、第1情報記録層(読取り専用型 ROM層)には、記憶装置212の各種動作を機能させる各種プログラムが記録される。なお、第1情報記録層は、1回のみ追記が可能な追記型記録層(R層)であってもよい。またコンテンツも記録され、本実施形態では、カスタマイズされた緊急地震警報時および緊急警報放送時の対処方法および避難経路の地図(縮尺が大きい地図)についての各種データ(映像・音声・印刷データ)が記録されている。図示しないが、さらに、避難経路の詳細地図(縮尺の小さい地図)も、第1情報記録層(読取り専用型 ROM層)に記録されている。
【0098】
第2情報記録層(書き換え可能型 RE層)には、会議の議事について表示部209に表示されたデータを記録し保存できるようになっている。
【0099】
以上に説明した、表示装置111、記憶装置212、印刷装置213の構成により、会議参加者(ユーザ)は、リアルタイムに緊急地震速報あるいは緊急警報放送を視聴しつつ、夫々の対処方法や避難経路の地図を映像や音声で知ることできる上、夫々の対処方法や避難経路の地図が印刷された書面(印刷物)を持って避難することができる。ここで、夫々の対処方法や避難経路の地図は、表示装置111が設置されている場所によってカスタマイズされている。よって会議参加者(ユーザ)は、表示装置111が設置されている場所によってカスタマイズされた避難情報の印刷物を持って避難することができるため、緊急時に、迷ったりパニックになったりせずに避難することができる。さらに、会議の議事データが記録されたBlu-rayディスクを持って避難することができる。以上のことから、ユーザ全員が安全に会議室から避難することが可能となる。
【0100】
次に、会議参加者(ユーザ)が避難中に、避難経路が不通になった場合、最寄の表示装置111を探索し、避難経路の詳細地図を入手する方法について説明する。
【0101】
会議参加者(ユーザ)が保持する携帯端末装置101から、最寄りの表示装置111を探索する為、例えば、図16に示すネットワーク接続画面1600を携帯端末装置101の表示部106に表示させる。ネットワーク接続画面1600は、携帯端末装置101の入力部109を操作することにより表示させることができるようになっている。ユーザが図示しないポインタまたはタッチパネルにタッチし、UWB接続1602が選択されると、例えば、図17に示すUWB接続のプロパティ画面1700を表示部106に表示する。
【0102】
図17に示すUWB接続のプロパティ画面1700では、接続方法欄1701は、Ultra-wideband(UWB)に設定されていることを示している。また使用項目欄1702では、ネットワーク用クライアントと、ネットワーク用ファイルとプリンタ共有と、のチェックボックスにチェックが入れられている。また、説明欄1703は、コンピュータ(携帯端末装置101)がUWBネットワークに接続可能であることを示している。また、常時最も近距離の機器にアクセスするチェックボックス1704と、アクセスの中断時は再接続後、再実行を許可するのチェックボックス1705とに、チェックを入れることにより、例えば、次のことができるものとする。ユーザの保持する携帯端末装置101から最も近距離にある表示装置111へ信号を送信後、ユーザが移動して最も近距離にある表示装置111が変った場合には、移動先の新たな最も近距離にある表示装置へ信号を自動的に再送信することができる。このときのコンピュータ(携帯端末装置101)から送信される信号には、コンピュータ(携帯端末装置101)固有の情報、例えばID番号やIPアドレス等の情報が付加されているものとする。なお、表示装置111には、UWB通信を許可するコンピュータ(携帯端末装置101)の例えばID番号やIPアドレス等が予め登録されており、登録されたコンピュータ(携帯端末装置101)のみと相互通信が可能な設定になっているものとする。
【0103】
また、図17に示すUWB接続のプロパティ画面1700の、UWBエリア検出表示ボタン1706を、図示しないポインタまたはタッチパネルにタッチして選択すると、例えば、図18に示すUWB検出画面が、表示部106に表示される。
【0104】
図18に示すUWB検出画面1800は、携帯端末装置101を中心として、複数の表示装置111…との距離と方位とを示したグラフィック表示画面である。ここでは、携帯端末装置101と通信可能な表示装置が、表示装置111A,111B,111Cの3つあるものとする。UWB検出画面の表示装置111A,111B,111Cの位置は、演算部104にて演算した結果に基づくものである。
【0105】
図18に示すUWB検出画面1800から、携帯端末装置101と最も近距離の表示装置は111Aであり、距離は約5mで方位は東南であることが分かる。
【0106】
ここで、送信先選択部105が、演算部104の演算結果に基づき、自動的に、最寄りの表示装置111A選択する場合には、通信部102から最寄りの表示装置111Aへ、避難経路の詳細地図を取得するための要求信号(詳細地図取得要求信号)が送信される。他方、ユーザが所定の表示装置を指定できるようになっている場合は、例えば、次のようになる。ユーザが図18に示すUWB検出画面1800から表示装置111Aを、入力部109(ここでは、図示しないポインタやタッチパネル)にて選択すると、画面の表示装置111Aは、携帯端末装置101と同色で表示されるなどグラフィック表示されて、ユーザが指定したことが分かるようになっている。このように、ユーザが所定の表示装置(ここでは表示装置111A)を指定し、次に、UWB検出画面1800に表示された情報取得ボタン1805を押す(タッチする)と、送信先選択部105が表示装置111Aを選択して、通信部102から表示装置111Aへ、詳細地図取得要求信号が送信される。なお、UWB検出画面1800のUWBエリア検出情報ボタン1801は、UWB無線ネットワーク110内の複数の表示装置111…を探索する際の、ユーザ入力を受付けるボタンである。ユーザが移動等して、再度表示装置を検索したい場合には、このボタンを使用する。
【0107】
表示装置111Aは詳細地図取得要求信号を受信すると、記憶装置212から読み出した避難経路の詳細地図を、ユーザの携帯端末装置101宛に送信する。このとき、コンピュータ(携帯端末装置101)から送信される信号には、コンピュータ(携帯端末装置101)固有の情報、例えばID番号やIPアドレス等の情報が付加されているものとする。なお、表示装置111には、UWB通信を許可するコンピュータ(携帯端末装置101)の例えばID番号やIPアドレス等が予め登録されており、登録されたコンピュータ(携帯端末装置101)のみと相互通信が可能な設定になっているものとする。
【0108】
次に、避難中のユーザの保持する携帯端末装置101の表示部106に表示された、最寄りの表示装置111Aから送られてきた避難経路の詳細地図1902の例を図19に示す。ユーザは、今、北西の階段で避難しようとしていたが、行き先1903が不通になっているものとする。ここで、図19における、行き先1903が不通となっている×印は、説明上の位置を表したものであり、表示装置111Aから取得した避難経路の詳細地図には載っていない。また、携帯端末装置101も、ユーザの位置を説明上示したものであり、表示装置111Aから取得した避難経路の詳細地図には載っていない。
【0109】
図19に示す避難経路の詳細地図1902には、西側の非常階段(避難する経路A)、東側の非常階段(避難する経路B)、東南の階段(避難する経路C)があることが記載されている。そのため、携帯端末装置101を保持するユーザは、経路A、B、Cの何れかで、新たに避難をすることが可能となる。なお、図19の表示部106に示された、UWBエリア検出情報ボタン1901は、UWB無線ネットワーク110内の複数の表示装置111…を探索する際の、ユーザ入力を受付けるボタンである。ユーザが移動等して、再度検索したい場合には、このボタンを使用する。また、情報取得ボタン1904は、最寄の表示装置111へ避難経路の詳細地図を取得するための要求信号を送信する際の、ユーザ入力を受付けるボタンである。
【0110】
次に、避難経路取得システム100での表示装置111の処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。
【0111】
初めに、ステップS1では、地上デジタルテレビ放送局から送信された緊急地震速報または緊急警報放送を含んだデジタル信号を、UHFアンテナ201またはBS・CSアンテナ202を経由して三波共用デジタルテレビ放送受信機203で受信する。次に、ステップS2では、三波共用デジタルテレビ放送受信機203で受信した緊急地震速報または緊急警報放送を含んだデジタル信号から、緊急地震速報の信号または緊急警報放送識別子の信号を信号検出部204で検出し、検出した旨の信号と、緊急地震速報または緊急警報放送の出力データ(文字データを含む映像データ、音声データ等)と、を制御部206へ送信する。
【0112】
そして、ステップS3では、制御部206が緊急地震速報の信号または緊急警報放送識別子の信号を信号検出部204で検出した旨の信号を受信し、また信号検出部204を経由して得られる緊急地震速報または緊急警報放送の出力データを受信する。そして、読み出しモード設定がONであるかOFFであるかを判定する。
【0113】
ステップS3で読み出しモード設定がONであると判定した場合は、ステップS4へ進む。ステップS4では、表示部209に表示されている議事データを記憶装置212のBlu-rayディスク1400の第2情報記録層1405へ記録する。そして、記憶装置212のBlu-rayディスク1400の第1情報記録層1403から、緊急地震速報時には、緊急地震速報時の地震時の対処方法と地震時の避難経路の地図等の、映像データと音声データと印刷データと(以下では、まとめて、緊急地震速報時読み出しデータとする)を読み出す。
緊急警報放送時には、緊急警報放送時の対処方法および避難経路の地図等の、映像データと音声データと印刷データと(以下では、まとめて、緊急警報放送時読み出しデータとする)を読み出す。緊急警報放送時の対処方法には、地震時の対処方法および津波警報・注意報時の対処方法があり、片方だけの場合もある。また、緊急警報放送時の避難経路の地図には地震時の避難経路の地図および津波時の避難経路の地図があり、片方だけの場合もある。そして、ステップS5に進む。
【0114】
ステップS5では、受信した緊急地震速報または緊急警報放送の文字データを含む映像データと、記憶装置212から読み出した緊急地震速報時読み出しデータまたは緊急警報放送時読み出しデータのうちの、映像データと、を表示部209にて表示する。
【0115】
緊急地震速報または緊急警報放送の音声データと、記憶装置212から読み出した緊急地震速報時読み出しデータまたは緊急警報放送時読み出しデータのうちの音声データ、とを図示しない音声出力装置にて出力する。また、記憶装置212から読み出した緊急地震速報時読み出しデータまたは緊急警報放送時読み出しデータのうちの印刷データを、印刷装置213へ送信して印刷を行わせる。
【0116】
ステップS3で、読み出しモード設定がOFFである場合は、ステップS6へ進み、会議中の議事データを表示部209に継続表示する。
【0117】
次に、避難経路取得システム100での携帯端末装置101の処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0118】
初めに、ステップS11で、入力部109から図示しないユーザの入力があると、制御部103を介して、通信部102からUWB無線ネットワーク110内の複数の表示装置111…へ探索信号を送信する。次に、ステップS12で、複数の表示装置111…から返信信号を通信部102が受信する。そして、ステップS13では、演算部104が、複数の表示装置111…からの返信信号を基に、複数の表示装置111…までの距離情報と方位情報とを、それぞれ演算して求める。さらに、ステップS14では、送信先選択部105が、ステップS13での演算結果を基に、最寄の表示装置111を選択する。
【0119】
そして、ステップS15では、ステップS14で選択した表示装置111へ、避難経路の詳細地図を取得する為の詳細地図取得要求信号を送信するか否かについて判断する。ここでは、表示部106に送信するか否かを選択させる画面を表示してユーザの判断を求めるものとする。選択した表示装置111へ詳細地図取得信号を送信するというユーザ入力を受け付た(詳細地図取得要求信号を送信すると判断した)場合(ステップS15でYES)、ステップS16に進む。そして、最寄の表示装置111から避難経路の詳細地図を取得して完了する(END)。なお、ステップS15でユーザ判断を求めず、ステップS16に進んでもよい。ステップS16では、最寄の表示装置111へ避難経路の詳細地図を取得するための要求信号を送信する。
【0120】
しかし、ステップS15で、例えば、ユーザが更に移動するなどして詳細地図取得要求信号を送信しないと判断した場合(ステップS15でNO)、ステップS17に進む。ステップS17では、表示装置111の再検索をすることを決定し、ステップS11へ戻る。ステップS11へ戻ると、再度、通信部102からUWB無線ネットワーク内の複数の表示装置111…へ探索信号を送信し、上記処理が、繰り返される。
【0121】
なお、上記の本実施形態では、ユーザの保持する携帯端末装置101から見た携帯端末装置101と複数の表示装置111との距離と方位とを演算して求め、携帯端末装置101の移動に連動して、最も近い位置にある表示装置111から、避難経路の詳細地図を取得するものとして説明した。しかし、複数の表示装置111から見た携帯端末装置101の移動と連動して、複数の表示装置111が携帯端末装置101との距離情報と方位情報とを演算して、携帯端末装置101に最も近い位置にある表示装置111が、避難経路の詳細地図を送信するようにしてもよい。
【0122】
また、以上の本実施形態では、UWB無線はインパルス方式を用いて説明した。しかし3.1〜10.6GHzの帯域を802.11a無線LANの使用帯域を避けてローバンド、ハイバンドの2つの帯域を利用するDS-UWB方式、及び3.1〜10.6GHz帯域を528MHzを単位として14のバンドに分割するMB-OFDM方式を用いてもよい。
【0123】
UWB無線はGPSと違って、屋内であっても無線レーダー機能が使用出来る為、優位である。更には、高速データ通信機能と無線レーダー機能とを同時に使用出来る為、他にない高機能な無線と言える。
【0124】
また、本実施形態では、携帯端末装置101と表示装置111との避難経路取得システムを例示したが、例えば、携帯端末装置101が、UWB無線を搭載したポータブルデジタルテレビ、デジタルオーディオ機器、デジタル撮像機器、表示装置((表示部には液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)、FED(Field Emission Display)、有機ELディスプレイ(organic electro-luminescence display)、PTAディスプレイ(plasma tube array Display)、リアプロジェクションディスプレイ(Rear Projection display)、電子ペーパーディスプレイ等を用いることができる))、デジタル記録機器等の民生機器や、ポータブルナビゲーション等の車載機器を適宜組み合わせて、応用展開することは、無論可能である。なお、携帯端末装置101の表示部106にも液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、SED、FED、有機ELディスプレイ、PTAディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ等を用いることができる。
【0125】
また、本実施形態では、地上デジタル放送やBS・CSデジタル放送から緊急地震速報や緊急警報放送等の災害情報を検出した場合を例示したが、国や地域が異なれば当然のことながら災害情報は異なる。よって、災害情報には、例えば、地震および津波以外に、竜巻、ハリケーン、台風、火山、火事、ロケットや人工衛星および隕石等の落下、等の天災や人災に関わるあらゆる災害情報も含まれる。また、災害情報でなくても、緊急を要する情報、例えばテロリズム、犯罪や事件等、であれば、どのような情報であってもよい。また、上記した以外の放送に災害情報が含まれていてもよい。即ち、ユーザが知らない土地や地域、国等に出向いた場合に天災や人災に被災しないで無事に避難できるような情報を放送する場合にも、本発明を適用できる。
【0126】
また、上記実施の形態では、本発明に係る情報出力装置を用いる場として、会議を想定して説明したが、例えば、各種イベント会場やホテル等での催し、フォトショップ、スポーツ等の戦略戦術の検討、医療関連、テレビ局や出版社等のマスメディア、アミューズメントフロア等、人が集うシーン等に、本発明に係る情報出力装置を用いることができる。
【0127】
また、携帯端末装置101および表示装置111の各ブロックは、特に、制御部103、演算部104、送信先選択部105、信号検出部204、制御部206は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0128】
すなわち、携帯端末装置101および表示装置111は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯端末装置101、表示装置111の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、携帯端末装置101、表示装置111に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0129】
また、携帯端末装置101、表示装置111、記憶装置212、印刷装置213を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網((WiMAX(IEEE 802.16-2004、IEEE 802.16e、IEEE 802.16a、IEEE 802.16h等))、衛星通信網、光無線(LED照明無線も含む)等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線LAN、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0130】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に開示した範囲で、種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、災害等の緊急時にユーザを避難場所に誘導するシステムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る表示装置のブロック図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る携帯端末装置の斜視図である。
【図4】図3の携帯端末装置の表示部をスライドして入力部を露出させた状態にした斜視図である。
【図5】UWB無線の送信機のブロック図である。
【図6】UWB無線の受信機のブロック図である。
【図7】UWB無線の送受信機のブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る表示装置が備えられた会議室を有するビルからの避難経路が示された地図を表す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る表示装置が備えられた会議室を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の概観図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部に表示した議事録の例を示す図である。
【図12】緊急地震速報の検出時における、本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部での表示例を示す図である。
【図13】緊急警報放送の検出時における、本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部での表示例を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の一実施形態に係る記憶装置が用いる光情報記録媒体の概略図であり、(b)は、(a)の光情報記録媒体の断面図である。
【図15】図14の光情報記録媒体に記録する情報の属性を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の表示部に表示したネットワーク接続画面の一例を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の表示部に表示したUWB接続のプロパティ画面を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の表示部に表示したUWB検出画面の一例を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の表示部に表示した避難経路の詳細地図を示す図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る表示装置での処理のフローチャートである。
【図21】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置での処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
100 避難経路取得システム
101,101’ 携帯端末装置
102 通信部(データ通信部)
103 制御部
104 演算部
105 送信先選択部
106 表示部
109 入力部
110 無線ネットワーク(第1ネットワーク、第2ネットワーク)
111 表示装置(避難指示装置)
200 電子会議システム
201 UHFアンテナ
202 BS・CSアンテナ
203 三波共用デジタルテレビ放送受信機(緊急信号受信部)
204 信号検出部
205 通信部(送受信部)
206 制御部
209 表示部
212 記憶装置
213 印刷装置
301 UWBアダプタ
11 会議の議事データ(表示情報)
800 ビルからの避難経路が示された地図(避難情報)
1201 地震時の心得(避難情報)
1202 地震時の避難経路の地図(避難情報)
1203 緊急地震速報の映像および文字データ(緊急情報)
1400 Blu-rayディスク(記録媒体)
1301 津波警報・注意報の時の心得(避難情報)
1302 津波時の避難経路の地図(避難情報)
1303 緊急警報放送に関する臨時ニュース(緊急情報)
1902 避難経路の詳細地図(避難経路情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置と複数の避難指示装置とをネットワークで接続した避難経路取得システムであって、
前記複数の避難指示装置は、それぞれ、前記携帯端末装置からの要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、前記携帯端末装置に送る送受信部を備え、
前記携帯端末装置は、
前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算部と、
前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択部と、
前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信部と、
前記受信した避難経路情報を表示する表示部とを備えたことを特徴とする避難経路取得システム。
【請求項2】
上記複数の避難指示装置は、携帯端末装置と第1のネットワークで接続した表示装置であり、
上記記憶部は、上記複数の表示装置と第2のネットワークで接続した記憶装置である、ことを特徴とする請求項1に記載の避難経路取得システム。
【請求項3】
前記携帯端末装置は、ユーザの入力を受付ける入力部を備え、
前記表示部は、前記演算部にて演算した結果を前記複数の避難指示装置とそれぞれ対応させて表示し、
前記入力部は、所定の避難指示装置を指定する入力を受付け、
前記送信先選択部は、前記入力部にて受付けた前記所定の避難指示装置を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の避難経路取得システム。
【請求項4】
前記記憶部は、緊急時の情報である緊急情報に関連した情報であり前記避難指示装置の設置場所から避難する際の情報である避難情報を記憶しており、
前記複数の避難指示装置は、情報表示部と、前記緊急情報の信号を検出する緊急信号検出部とを備え、印刷装置に接続しており、
前記緊急信号検出部が前記緊急情報の信号を検出すると、そのときに前記情報表示部に表示されている表示情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部から前記避難情報を読み出し、前記避難情報と前記緊急情報とを前記情報表示部に表示させ、かつ前記避難情報を前記印刷装置により印刷させる制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の避難経路取得システム。
【請求項5】
前記避難情報は、前記避難経路情報よりも縮尺の大きな避難経路の情報、および、緊急時の対処方法の情報、の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の避難経路取得システム。
【請求項6】
前記複数の避難指示装置は、音声出力装置を備え、
前記避難情報には音声情報が含まれており、前記緊急信号検出部が前記緊急情報の信号を検出した場合に、前記制御部は、前記避難情報に含まれる音声情報を読み出し、前記音声出力装置に出力させることを特徴とする請求項4または5に記載の避難経路取得システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記避難経路情報および前記避難情報が記録されており、かつ前記表示情報を記録する、取り出し可能な記録媒体であることを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の避難経路取得システム。
【請求項8】
前記記録媒体は、レーザ光により情報の記録再生が行われる媒体であることを特徴とする請求項7に記載の避難経路取得システム。
【請求項9】
前記記録媒体は、前記避難経路情報および前記避難情報を予め記録している再生専用のROM層、または1回のみ記録が可能な追記型記録層を有することを特徴とする請求項7または8記載の避難経路取システム。
【請求項10】
前記複数の避難指示装置はそれぞれ撮像装置と接続しており、
前記制御部は、前記撮像装置による前記避難指示装置の設置場所の撮影データに写り込んだ人物の数を算出し、当該人物の数を印刷部数として、前記印刷装置を制御することを特徴とする請求項4から9の何れか1項に記載の避難経路取得システム。
【請求項11】
前記第1ネットワークは、携帯端末装置と複数の表示装置とを直接接続し、前記第2ネットワークは、複数の表示装置とそれぞれに対応する記憶装置とを直接接続する、ことを特徴とする請求項2に記載の避難経路取得システム。
【請求項12】
前記第1ネットワークは、UWB無線ネットワークであることを特徴とする請求項2または11に記載の避難経路取得システム。
【請求項13】
前記携帯端末装置および前記複数の表示装置とは、UWB無線のインターフェースを内蔵している、または、UWB無線のアダプタを装填している、ことを特徴とする請求項12に記載の避難経路取得システム。
【請求項14】
前記演算部は、前記位置関係として、前記複数の表示装置へ送信したUWB無線の電波の放射パターンと、前記複数の表示装置から受信したUWB無線の電波による放射パターンとの歪みから、前記携帯端末装置からの前記複数の表示装置の方位をそれぞれ求めることを特徴とする請求項12または13に記載の避難経路取得システム。
【請求項15】
前記演算部は、前記位置関係として、前記複数の表示装置に送信した前記UWB無線の電波の送信時間と、前記複数の表示装置から受信した前記UWB無線の電波の受信時間との差の時間から、前記複数の表示装置との距離をそれぞれ求めることを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の避難経路取得システム。
【請求項16】
要求データを受信すると自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して前記要求データの発信先に送信する複数の避難指示装置と、ネットワークで接続した携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、
前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算部と、
前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択部と、
前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信部と、
前記受信した避難経路情報を表示する表示部とを備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項17】
要求データを受信すると自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して前記要求データの発信先に送信する複数の避難指示装置と、ネットワークで接続した携帯端末装置での避難経路取得方法であって、
前記複数の避難指示装置との位置関係を演算する演算ステップと、
前記演算部にて演算した結果に基づき、前記複数の避難指示装置の中から所定の避難指示装置を選択する送信先選択ステップと、
前記送信先選択部にて選択した前記所定の避難指示装置に要求データを送信し、当該避難指示装置が読み出した避難経路情報を受信するデータ通信ステップと、
前記受信した避難経路情報を表示する表示ステップと、を含むことを特徴とする避難経路取得方法。
【請求項18】
請求項17に記載の避難経路取得方法の各ステップをコンピュータに実行させる避難経路取得プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載の避難経路取得プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置であって、
携帯端末装置から要求データを受信すると、自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出して、前記携帯端末装置に送信する、送受信部を備えたことを特徴とする避難指示装置。
【請求項21】
携帯端末装置とネットワークで接続した避難指示装置での避難経路送信方法であって、
携帯端末装置から要求データを受信するステップと、
自身の避難指示装置の設置位置に応じた避難経路情報を記憶部から読み出すステップと、
前記携帯端末装置に前記避難経路情報を送信するステップと、を含むことを特徴とする避難経路送信方法。
【請求項22】
請求項21に記載の避難経路送信方法の各ステップをコンピュータに実行させる避難経路送信プログラム。
【請求項23】
請求項22に記載の避難経路送信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項24】
請求項20に記載の避難指示装置として機能する、表示装置、記憶装置および印刷装置の少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする電子会議システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−267844(P2009−267844A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116208(P2008−116208)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】