説明

避難装置並びに避難装置の基礎施工方法

【課題】 安くして有効な津波対策を講じることのできる避難装置並びに避難装置の基礎施工方法を提供すること。
【解決手段】 基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記複数本の支柱間の下部には、交番・消防署・救助ステーション・老人ホーム舎などの特定目的のための構築体が設けられていることを特徴とする。また、基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記支柱は、一側に溝を有する部材とされ、同支柱の複数本が、溝を対向させて立設されるとともに、前記溝内を介して前記階段ステップが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難装置並びに避難装置の基礎施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古来から大地震に伴って発生する津波により多大な被害を生み、その対策は遅々として講じられていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした対策として、コンクリート製の大掛かりな避難装置が設置されているが、このものは莫大な費用がかかり、有効な問題解決になっていないのが実状である。
上記に鑑み、本発明は、安くして有効な津波対策を講じることのできる避難装置並びに避難装置の基礎施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、請求項1記載の発明は、基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記複数本の支柱間の下部には、交番・消防署・救助ステーション・老人ホーム舎などの特定目的のための構築体が設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記支柱は、一側に溝を有する部材とされ、同支柱の複数本が、溝を対向させて立設されるとともに、前記溝内を介して前記階段ステップが設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のものにおいて、支柱の高さ方向中途には、休息ステージが設けられて階段ステップとの間で乗り移れるように構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記避難部には、避難コンテナが固定設置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段と、前記支柱の津波襲来側である前方に立設された緩衝支柱とを備えた避難装置であって、前記緩衝支柱は、前方の1本の中央緩衝支柱と、同中央緩衝支柱より後方の左右両側に配置された脇緩衝支柱とでなるとともに、これら複数本のなす平面専有面積内に前端が高く後方へ下がり傾斜する形の前面山形のコンクリート重石を備えて前方からの津波流が左右に分けられるように構成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のものにおいて、中央・脇緩衝支柱の基盤内に相当する下端にはオーバーハング材が設けられ、同ハング材は、避難部を備えた支柱側に連結支持されている。
請求項7記載の発明は、基盤内に堀穴を掘削形成して同堀穴内にコンクリートを流し込むことでコンクリート基礎を造成し、同コンクリート基礎上に支柱を立設して同支柱上部に避難部を構成して昇降可能な階段を構築する避難装置の基礎施工方法であって、前記にて形成される堀穴の内周面の複数個所を通じて外方向に向くように打脚材を打設固定してのち前記コンクリートを流し込むようにする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のものにおいて、コンクリート基礎上に避難装置の支柱を立設したあと、同支柱と打脚材とを相互連結する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、安くして有効な津波対策を講じることのできる避難装置並びに避難装置の基礎施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態・実施例】
【0006】
図1は、本発明に係る避難装置の一実施形態を示す。図1の実施形態は、3本や4本などの支柱166に横周りの連結材167で上下複数段に亘って連結することで上部に避難部168を構成し、階段169で避難可能にした避難タワー(救助タワーともいう)170であり、特に、同タワー170は、避難機能をもつほかに、その下部に交番用構築体171を一体構成してなる。構築体171は、交番のほか、消防署、救助ステーション、老人ホーム舎などにするほか、下部が歩道になることもある。
【0007】
構築体171を利用して階段169を設けることができる。避難部168は図示のように上下複数段に設けることができるが1段でもよい。支柱166の基部は、地盤よりも低くして固定することができる。
【0008】
図2の実施形態は、2階建て家屋223の1階周囲の地盤中に矢板でなる防護材224…を打ち込むことにより立設し地震や津波、洪水などから防護しようとするものである。防護材224…は、家屋の可及的全周に亘るべく立設配備してもよいが、この実施形態では、特に家屋の隅部に対応して互いに直交する関係で配備してガードするようにしたものである。尚、津波などにおいては増水により室内空気が抜け出ることが困難であるため、2階壁部分や屋根部分などに右上欄に示すゴム質の空気抜きノズル225を配備して、通常は図示のように口を閉じているが室内圧力の上昇に応じて自動的に口を開いて内部空気を抜くように作用する。また、家屋223の全体は、アンカー226とワイヤ227などにより引き固めるようにしてもよい。さらに、家屋の庭には、避難タワー228を立設して、避難可能にしてもよい。この場合も支柱229として矢板を使用できる。
【0009】
図3ないし図5の実施形態は、矢板(支柱)235を家庭普及用あるいは公園など設置用などとして活用できる簡易型津波(洪水も含む)避難タワーの主柱236の主要なメンバーとして利用したものを示す。Xは津波が襲来してくると想定される方向を、Yは戻り流の方向をそれぞれ示し、矢板235は現地での津波想定高さに2m+2.5m=4.5mの余裕を持たせた地上高のもとに立設され、ここでは、一対の矢板235をその溝側を対向させた状態で前後に離間させて平行に立設してなる。圧入長さは限定されないが例えば、3mとする。
【0010】
同矢板235は、図4のように、幅Wが600mmで全厚Tが180mmのもので、その一対の前後面間の寸法Lが1000mmとなるようにして配されている。そして、両矢板235の基部は、圧入や埋め込みなどにより両者基部間に央部コンクリート237を打ち込んで基礎固めをしてある。両矢板235の前後側には、縦パイプ238と横パイプ239および斜めパイプ240とで溶接一体化してなる補強体241の一対が縦パイプ238および横パイプ239の基部を埋め込みしかも縦パイプ238を矢板235に平行に添わせることで固定され、主柱236を前後から防護してなる。補強体241と矢板235とを溶接で連結してもよい。尚、242は基礎コンクリート(基盤)で、タワーを地盤に固定する他、こうした基礎コンクリート242で完全固定してもよい。
【0011】
両矢板235は、左右一対ずつ上下複数段に亘って固定配備した連結板(連結材)243…により一体化されている。そして、各矢板235には、地盤上から手摺244付きの避難部245の避難ステージ246よりも少し高いところまで多数階に亘って配備した階段ステップ247…が設けられ、この各ステップ247は、丸や角パイプで図2のように矢板235の溝開口端を横断するようにして水平に溶接固定されている。
【0012】
手摺高さは2mの高いものにしてあるが、それより低くしてもよい。また、主柱236の上端には、放送スピーカー248・照明ランプ249・GPS(全地球測位システム設備)250・避雷針251などを上面に配備した天端設置ステージ252が固定設置されてそれぞれに機能するようになっている。
【0013】
さらに、両矢板235間には、前後の階段ステップ247を利用して避難する際に避難者の背に接触して落下の危険をなくすようにまた背もたれとして休息もできるようにする3本の背当て253が上下に亘って張られている。この背当て253は、ワイヤーロープや樹脂ロープ、ロッドその他の線条材でもよく、板材やメッシュなどでもよく、その下端基部を地盤やコンクリートに完全固定するとタワーの耐震機能を果たす(このことは他の実施形態でも同様に適用することがある)。背当て253を利用して登れるようにしてもよい。一方、この背当て253を構成しないこともある。
【0014】
尚、矢板235は、津波Xの襲来する側が幅広サイズで逆側がそれより狭いサイズのものにして津波Xにより登る者がさらわれないようにしてもよい。
また、矢板235は単一本にしてもよい。逆に矢板235を2枚で互いが平行でなく直角など角度をもって合わさるようにしてもよい。
さらに、矢板235には通孔を開けてもよい。
また、前記実施形態においては津波Xの方向に対し矢板235の凸面を直交するようにしてあったが、図3の手前側が津波Xの襲来する方向であるようにすることもある。この場合、矢板235間には、防護手段、例えば、板材を張ったり、メッシュ材を張ったりすることができる。
また、前記実施形態ではステップ247のみで登るようにしたが、矢板235をガイドレールとし、その溝や耳フランジなどを案内部としてローラー付きリフターが津波Xの浮上力を利用したりあるいは簡易ウインチなどの昇降源により登れるように構成してもよい。この場合、矢板235の他の面にはステップ247を併設式に設けることができる。
【0015】
図6ないし図8の実施形態は、簡易津波避難タワーの他の態様を示す。図3の実施形態では、比較的低いタワーを対象とするが、これが少し高いタワーになるとその途中で体みたくなるものであり、図6ないし図8の実施形態は、そのためにタワー途中に休息ステージ255を付加したものである。
【0016】
図9の実施形態は、地盤が岩盤258である場合に矢板235を打ち込むことが困難であるので、下の基盤259上に補強体260を介して矢板235を溶接により立設したものである。261はアンカーである。
【0017】
図10ないし図13は、家庭(個人)用などの津波(洪水)タワーについての他の実施形態を示す。図49のように、中心には、丸パイプあるいは中実状の支柱370が設けられ、その下部には、コンクリート基台371上にアンカー372で固定される座盤373が水平に一体化されている。支柱370がパイプである場合には、その下側内部に通した複数の鉄筋374…がコンクリート基台371内に一体埋め込みされる。また、支柱370がコンクリート基台371内に太い外巻きパイプ375を介して埋め込み固着されるようにしてもよい。
【0018】
支柱370の外周には、一定径でなる昇降用階段377…と、同階段377の上端につながり径が次第に大きくなった昇降・腰掛け兼用階段378…が設けられている。昇降・腰掛け兼用階段378…は、図12の横断面図のように、昇降用階段377の上端から次第に径が大きくなるように180°分(それ以上でもよい)配され、その上端からは水平な半月状平面板の主避難ステージ379が設けられている。380は底フレームである。
【0019】
381は第1昇降防護柵、382は第2昇降防護柵、383はステージ防護柵であり、図12、図13のように配備されている。384はルーフであり、385は投光器、386は避難警報器(サイレン)である。尚、コンクリート基台371とタワー上部との間には、牽引ワイヤ387を張設してもよい。また、図13のように、タワーの外周には本数は限定されないが補助支柱388を配備してもよい。389は避雷針である。
【0020】
従って、同実施形態では、一定径の昇降用階段377の上部近くに設定された図11の津波想定水位Pより上位に昇降・腰掛け兼用階段378が設けられて次第に径が広がるように設けられているので、同階段378を通じて主避難ステージ379上に避難することができるだけでなく、同階段378に腰掛けて避難時間を楽に過ごすことができるし、その階段378の広さも図示のように広くなっているのでより多くの人を避難させることができる。図12のように、主避難ステージ379の一部あるいは全部を仮想線のように下がり階段390…にしてもよい。下がり階段390から更に上がり階段を連結してもよい。
【0021】
図14・図15は、コンクリート基礎700を介して地盤701上に津波避難施設物を建造した実施形態で、同実施形態において、702は支柱で、丸パイプでなり、基部フランジ703をアンカーボルト704に連結することで図14の手前側と奥側にそれぞれ4本ずつ立設されている。津波は図14の矢印X方向から襲来し、そのことを想定してその前側となる支柱702は最も高く、その後側の支柱702はそれより少し低く、さらに後方の支柱702は最も低く設定してある。
【0022】
705は横連結材(連結材)で、地盤701を1階とすると2階部分と3階である屋上部分にかけて支柱702を相互につなぐ形で設けられている。2階部分の一部は手摺付きの踊り場706とされ、それに至るようにコンクリート基礎700からは第1階段707が突っ張り部材を兼ねて設けられている。踊り場706からは屋上である避難ステージ(避難部)708へと連絡するように第2階段709が設けられている。710はステージ手摺、711は乗降ゴンドラで旋回操作可能な巻揚ウインチ712により非常時の避難者の避難を補助するものである。
【0023】
こうした避難施設物は、津波の襲来を知ったとき避難者が第1階段707から踊り場706を廻って第2階段709を介して避難ステージ708に避難するために利用される。老人など階段を使用できない場合には乗降ゴンドラ711に載り上から巻揚ウインチ(手動あるいは電動式)712で避難させてもらうようにする。このゴンドラ711は、車椅子を収容できるに充分な大きさとする。また、このゴンドラ711は複数基配備してもよい。
【0024】
避難ステージ708上には津波高さによってはそれより高い津波が押し寄せることがあり、そうした地域では、図14のように背面に扉713を備えた剛強コンテナ714をステージ前に対応して固定設置しておけばそれが津波避けとして機能するし、その中に避難する子供や老人などがより安全に確保される。このコンテナ714は、図15に示すように、支柱702により前後4点から位置決めされている。この支柱702とコンテナ714との間に緩衝材を介装すれば津波からより安全に避難者を護ることができる。同コンテナ714は、X方向からの津波に対する戻り流にも対抗すべくステージ708の後部上にも配備してもよい。そして、前後にコンテナ714を配備した場合にはこれら相互を連結材で結ぶことができる。尚、図15に仮想線で示すように、津波襲来側を山形にしたコンテナ714′にして津波Xが左右に振り分けられるようにしてもよい。その先端は図16のように丸凸形にすると抵抗がより少なく収まるし、その山形前面には緩衝材を付してもよい。また、図14に仮想線で示すように、前面を斜め前下がりにしたコンテナ715にして津波Xが上に逃げるようにしてもよい。このコンテナ715に図15の仮想線で示す前面山形とを組み合わせてもよい。
【0025】
716は中央緩衝支柱、717は左右一対の脇緩衝支柱である。中央緩衝支柱716が施設物の幅間中央前方に位置し、それより少し後方に脇緩衝支柱717が配置され、これらが三角形を形成している。これら支柱716,717は、コンクリートや鋼管などいずれでもよい。この実施形態では、コンクリート基礎700に同時に埋め込まれて前方へ水平に延びた3本のオーバーハング材718…に支柱716,717の基部が一体あるいは連結により取り付けられて立設されている。オーバーハング材718は施設物のアンカーボルト704に連結しておいてもよい。また、3本の支柱716,717および支柱702の形成する平面専有面積内には、後方へ下がり傾斜するコンクリート重石719があとで施工される。こうした構造であるので、例えば、図14の上方の矢印Xのように高い津波がきて施設物の前面に衝当した場合には、コンクリート基礎700が抵抗するだけでなく、オーバーハング材718・支柱716,717やコンクリート重石719などが総合的に抵抗するので浮き上がるおそれがない。尚、コンクリート重石719の前面は山形になっているので、津波Xの流れを左右に分散させる作用がある。
【0026】
尚、図16に示すように、高い津波を上手く左右に逃がして抵抗を減少させるために左右の支柱702を介して山形折り状の津波切り720を装備してもよい。この場合、先端には津波をより抵抗なく切るために丸凸部721を備えてもよい。この丸凸部721は仮想線のように丸パイプに代えて構成してもよい。上蓋補強板722で強くしてもよい。また、支柱702の前後間には、側面防護板723を備えてもよい。尚、仮想線で示すように、津波切り720の斜面には、前向きに突出する凸部724…を多数設けて補強効果を上げるとともに津波Xからの放逸作用を得るようにしてもよい。
【0027】
図17は、やや軟弱な地盤727が対象地でそこに鉄骨構造物である津波避難施設物728を立設するような場合の対策例を示すもので、729はコンクリート基礎(ベタ基礎)で、図18のように予め掘った堀穴730内にあとで造成されたものである。同基礎729上には、束部731が一体形成され、その中から延びたアンカーボルト732を介して施設物728側の支柱734下端に備え付けた基部フランジ733が締め付け固定されている。
【0028】
この例では、コンクリート基礎729を造成する前に図18ないし図20に示す方式で堀穴730内から打脚材735を打ち込み同穴730内にその一部が突き出すようにしてある。736はその打ち込みのための専用打ち込み具である。
同打ち込み具736は、堀穴730内の底面と立面に適合できるL形をし架台740を備え、同架台740を手動(あるいは油圧駆動)によるジャッキ741により高さ調整自在とするとともに、架台740上に突設した受台742を介して上下角度調節自在な油圧式打込シリンダ743を装備してターンバックル744の操作で角度を変更・固定可能としてある。尚、架台740のL形に立ち上がる面にもジャッキ741を装備することもある。745は吊り受け具(アイボルト)である。打込シリンダ743からのロッド746先端には押し盤747が付けられている。
【0029】
打脚材735は、単一の長いものでなく、先端に鋭利な先行ビットを備えた第1打込杆750とその後部の2本の共通型第2打込杆751とでなる。全て第2打込杆751に共通化して、第1打込杆750としてその先端の先行ビットをねじ込みなどで別途装着可能にしてもよい。第1・第2打込杆750,751にはそれぞれの尾端にメスねじ752が付されるとともに先端にはこのメスねじ752にねじ込まれるオスねじ753が設けられて逐次継ぎ足すことができるようになっている。
【0030】
図18のように、堀穴730内にセットされた専用打ち込み具736は、ターンバックル744で打込シリンダ743の角度を決めると共にジャッキ741…で高さ調節をする。その状態で第1打込杆750を所定の打ち込み個所に先端がくるようにして打込シリンダ743にセットするのであるが、その前にオスねじ付きの受け盤754を第1打込杆750の尾端にねじ込んでおく。この受け盤754を打込シリンダ743の押し盤747にあてがい打込シリンダ743を駆動する。同第1打込シリンダ743は仮想線のように打ち込まれて図19のようになる。その後、図20のように、前記受け盤754を外して第2打込杆751に同盤754を付け第1打込杆750にねじ付けて上記と同じように打ち込むようにする。
【0031】
次に同じく第2打込杆751を継ぎ足して打ち込むことを繰り返す。そうして得られた1本の打脚材735の一部は堀穴730内に突き出すようにされる。これら打脚材735は、図17に示すように堀穴730の他の底コーナーにも打ち込まれる。その平面的な位置は、図21に示す。只、先に打ち込まれた打脚材735があると他の打脚材735を打ち込む際の専用打ち込み具736のセットがスペース的に困難な場合もあるので、同図のように対向する関係の打脚材735については互いにずれた位置関係になるようにしてある。しかし、図20に示すように、第1打込杆750と1本の第2打込杆751を打ち込んだあと最後の第2打込杆751をねじ込まずにしておくと前記施工スペースを確保することができるので図21の対向する打脚材735は同列状に打ち込むことができる。その場合に対処して架台740の後コーナー部分は第2打込杆751に当らないように凹ませたり穴を開けたりしておく。
【0032】
そして、堀穴730内に複数本の打脚材735が突き出した状態にして同堀穴730内にベタ基礎であるコンクリート基礎729を打設し施設物728を建ち上げる。こうすれば、複数本の打脚材735…がコンクリート基礎729内に一体に埋め込まれた状態になるとともに打脚材735…が軟弱地盤727内に四方に延びた形を得て地震時にこれらが突っ張りとなって施設物728の傾倒などを阻止するものである。前記打脚材735は、コンクリート・金属パイプなどいかなるものも使用可能である。また、前記では打脚材735が3本つなぎ式であったが、2本のみあるいは4本以上継ぎ足し方式でもよい。
【0033】
尚、755は水抜きパイプで、液状化現象が発生した場合に孔756…を通じて地上へと水抜きをすることができるものである。この水抜きパイプ755はコンクリート基礎729を打設とともに一体埋設するのであるが、コンクリート基礎729に縦孔を残しておいてあとで装入してもよい。同パイプ755は複数本でもよい。また、図22のように、斜め広がり状に打設してもよい。
【0034】
図23は他の専用打ち込み具758を示す。同打ち込み具758は、1本の長い打脚材759を1回で打ち込むことができるもので、堀穴760の上縁個所を利用して架台761をセットするようにしてその上の受台762上に打込シリンダ763を装備するとともにターンバックル764を装備したものである。受台762は回転自在にしてもよい。
【0035】
図24は、先端と軸中間に傘部を有するコンクリート製の第1打込杆767を備え、その後部に金属製の継ぎパイプ768…をねじ付け得るようにして1本の打脚材769を作製したものである。
【0036】
図25は、矢板772を溝合わせに止着具773で結合して1本化した打脚材774の先端に先鋭プレート775を一体化したもので、これを使用して堀穴776内に斜めに打ち込んだあと、その内部空間を利用して鉄筋777を1本あるいは複数本装入して堀穴776内に突き出し状態とするとともに、内部に生コン778を注入して固化するようにした方法を示したものである。鉄筋777の他生コン778の重量が加算されてより傾倒などを抑えることができる。尚、右下欄のように箱型鋼材を打脚材779としてもよい。
【0037】
図26は、打脚材782を打ち込んだのち、その先端寄りに設けたノズル783から高圧水を噴射するとともに泥抜き孔784から除去した泥類を打脚材782を通じて排除することにより仮想線Aのように球穴785を造り、その穴785内にコンクリートを打設して球根付きの打脚材782として軟弱地盤でも施設物が倒れないようにしようとするものである。
【0038】
図27は、コンクリート基礎787を打設する際に同時に打ち込み用の通孔788を複数本明けておき、図28に示すように、あとで打脚材789を複数本四方へ向けて地盤790内に斜め打ち込みする方法を示すものである。この場合、打込シリンダ792を備えた専用打ち込み具793の架台794は、同時に一体化されたアンカーボルト795をそのまま利用して打ち込むものとする。
【0039】
図29は、コンクリート基礎798上に固定設置した津波避難施設物799の支柱800にブラケット801を突設して打込シリンダ802とターンバックル803を装備して打脚材804をあとで打ち込むようにした実施形態を示す。
尚、支柱800回りに受具805を装着してその上側に抱持ブラケット806を回転調節可能に装備し、このブラケット806に角度調節可能な打込シリンダ807を装備して1つの支柱800回りに打込シリンダ807を振ることで多方向に打込シリンダ807を向けて打ち込みができるようにしたものである。受具805・ブラケット806・シリンダ807などは他の支柱に付け替えることでさらに打ち込み作業をすることができる。
打ち込み後の打脚材804は、補助打脚材808を継ぎ足して支柱800側にブラケット809に連結すれば津波避難施設物799の倒れを有効に阻止することができる。
【0040】
図30は、津波避難施設物812の基礎813から延びた打脚材814…の先端側をビル815や石垣816などの他の建造物の底下まで潜らせて倒壊を阻止する方式を示す。
【0041】
図31ないし図33は、例えば、矢板819を合わせ型にしてその先端に斜め板820を備え、これら矢板819を打ち込んだ後に内部に装入されたジャッキ821により図33のように口開き状態にするとともに内部にコンクリートを打設して重くし施設物の倒壊のおそれをなくすようにしたものである。前記矢板819の先端部分のみを口内ヒンジ824で開閉可能にしてジャッキ821で開くようにしてもよい。
【0042】
尚、図34のように溝型鋼823を合わせ型にし、その一方を深溝のものにすることで側方にコンクリートが漏れ出ないようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の一実施形態を示す正面図。
【図2】他の実施形態を示す斜視図。
【図3】他の実施形態を示す左側面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】図3のB−B線断面図。
【図6】他の実施形態を示す左側面図。
【図7】図6のC−C線断面図。
【図8】図6のD−D線断面図。
【図9】他の実施形態を示す左側面図。
【図10】他の実施形態を示す図11の平面図。
【図11】避難タワーの正面図。
【図12】図11のG−G線断面図。
【図13】図11のH−H線断面図。
【図14】他の実施形態を示す津波避難施設物の側面図。
【図15】図14の平面図。
【図16】他の実施形態を示す斜視図。
【図17】軟弱地盤対策例を示す縦断面図。
【図18】図17の施工説明図。
【図19】図17の施工説明図。
【図20】図17の施工説明図。
【図21】打脚材の施工例を示す平面図。
【図22】他の実施形態を示す縦断面図。
【図23】他の実施形態を示す縦断面図。
【図24】他の打脚材を示す側面図。
【図25】他の実施形態を示す説明図。
【図26】他の実施形態を示す縦断面模式図。
【図27】他の実施形態を示す縦断面図。
【図28】図27の施工例を示す断面図。
【図29】他の実施形態を示す縦断面図。
【図30】他の実施形態を示す断面図。
【図31】他の実施形態を示す側面図。
【図32】図31の横断面模式図。
【図33】図31の作用説明図。
【図34】他の実施形態を示す横断面模式図。
【符号の説明】
【0044】
166…支柱 167…連結材 168…避難部 171…構築体 242…基盤 235…支柱 243…連結材 245…避難部 247…階段ステップ 255…休息ステージ 702…支柱 705…連結材 708…避難部 714…避難コンテナ 716、717…緩衝支柱 719…コンクリート重石 718…オーバーハング材 729…コンクリート基礎 730…堀穴 735,755,759,769,772,774,779,782,789,804,814…打脚材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記複数本の支柱間の下部には、交番・消防署・救助ステーション・老人ホーム舎などの特定目的のための構築体が設けられていることを特徴とする避難装置。
【請求項2】
基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記支柱は、一側に溝を有する部材とされ、同支柱の複数本が、溝を対向させて立設されるとともに、前記溝内を介して前記階段ステップが設けられていることを特徴とする避難装置。
【請求項3】
請求項2記載のものにおいて、支柱の高さ方向中途には、休息ステージが設けられて階段ステップとの間で乗り移れるように構成されていることを特徴とする避難装置。
【請求項4】
基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段とを備えた避難装置であって、前記避難部には、避難コンテナが固定設置されていることを特徴とする避難装置。
【請求項5】
基盤上に立設された複数本の支柱と、これら支柱間をつなぐ連結材と、前記支柱の上部に設けられた避難部と、基盤と避難部との間を昇降可能な階段と、前記支柱の津波襲来側である前方に立設された緩衝支柱とを備えた避難装置であって、前記緩衝支柱は、前方の1本の中央緩衝支柱と、同中央緩衝支柱より後方の左右両側に配置された脇緩衝支柱とでなるとともに、これら複数本のなす平面専有面積内に前端が高く後方へ下がり傾斜する形の前面山形のコンクリート重石を備えて前方からの津波流が左右に分けられるように構成されていることを特徴とする避難装置。
【請求項6】
請求項5記載のものにおいて、中央・脇緩衝支柱の基盤内に相当する下端にはオーバーハング材が設けられ、同ハング材は、避難部を備えた支柱側に連結支持されている避難装置。
【請求項7】
基盤内に堀穴を掘削形成して同堀穴内にコンクリートを流し込むことでコンクリート基礎を造成し、同コンクリート基礎上に支柱を立設して同支柱上部に避難部を構成して昇降可能な階段を構築する避難装置の基礎施工方法であって、前記にて形成される堀穴の内周面の複数個所を通じて外方向に向くように打脚材を打設固定してのち前記コンクリートを流し込むようにする避難装置の基礎施工方法。
【請求項8】
請求項7記載のものにおいて、コンクリート基礎上に避難装置の支柱を立設したあと、同支柱と打脚材とを相互連結する避難装置の基礎施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2006−177138(P2006−177138A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296881(P2005−296881)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【分割の表示】特願2005−47906(P2005−47906)の分割
【原出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(503018571)有限会社フジカ (48)
【Fターム(参考)】