説明

避難誘導システム、避難誘導方法、避難誘導サーバ、携帯情報端末、及び、その携帯情報端末の避難誘導プログラム

【課題】 津波発生時など緊急避難が必要な場合に、そのことをユーザへ確実に知らせ、そのユーザを安全な避難場所へ速やかに誘導することを可能にする。
【解決手段】
災害情報配信サーバ5は、緊急避難が必要となる災害の情報を配信する。携帯電話端末1は、災害情報配信サーバ5から配信された災害情報の受信をトリガとして自端末の現在位置を検出し、その現在位置情報を避難誘導サーバ2へ送信し、その後当該避難誘導サーバ2から送信されてきた避難経路情報により、自端末のユーザを避難誘導するためのナビゲーション処理を実行する。避難誘導サーバ2は、緊急避難が必要となる災害の情報と、携帯電話端末1から受信した現在位置情報と、携帯電話端末1の現在位置周辺の地図情報とを基に、携帯情報端末1のユーザが緊急避難するための避難経路情報を生成して、携帯情報端末1へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば津波発生時のような緊急避難が必要な時に、ユーザを緊急避難場所へ速やかに誘導可能とする避難誘導システム、避難誘導方法、避難誘導サーバ、携帯電話端末等のようなユーザが常に持ち歩く携帯情報端末、及びその携帯情報端末の避難誘導プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話端末は、自端末の現在位置を特定することができるGPS(Global Positioning System)機能を搭載しているものが多い。またそれに伴い、携帯電話端末が検出した位置情報と、別途用意した地図情報とを用い、その端末ユーザが望む目的地までの経路を、当該端末へ提示するようなナビゲーションサービスも多く存在している。さらに、最近は、電子コンパスを搭載している携帯電話端末も増えてきており、当該電子コンパスによる方位の検知情報を用いることで、ユーザの進行方向に合わせたナビゲーションも可能になっている。
【0003】
また、ナビゲーションサービスの他の具体例として、特開2005−17027号の公開特許公報(特許文献1)には、案内ホスト装置が、GPS付携帯電話機から避難誘導の要求と所在地の情報を受信すると、その位置情報を基に地図情報データベースを検索し、所在地近くの避難場所への危険の少ない経路を見つけ出し、その避難経路を地図情報と共に携帯電話機へ通知するような避難誘導システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−17027号公報(図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなナビゲーションサービスは、ユーザが目的地や検索条件等を入力することでナビゲーションが開始されるものとなされている。したがって、当該ナビゲーションサービスを受けることを望むユーザは、自らが目的地を特定し、また、その目的地を表す情報や当該目的地までの経路を要求することなどの情報を端末を通じて入力し、さらに、それらの情報をサービス提供者側へ送るための入力操作などを行わなければならない。
【0006】
このようなことから、例えば津波発生時など、緊急に安全な目的地を定めて移動(すなわち緊急に安全な場所へ避難)しなければならないような場合には、上述した従来のナビゲーションサービスでは対応できない。すなわち、安全な場所へ緊急に避難しなければならない場合において、安全な場所の検索やそのための入力等を行った上でナビゲーションサービスへ接続し、その後にナビゲーションが実際に開始されるのでは、津波から逃げ遅れてしまう危険性が非常に高い。また、現状のナビゲーションサービスでは、例えば津波から避難するような場合に、どの場所(高さ等)まで逃げれば安全なのかどうかを知る方法がなく、避難誘導としては不完全と言わざるを得ない。その他にも、津波発生時などの緊急時には、人はパニックに陥ってしまうことがあり、そのような場合、緊急避難のためにナビゲーションサービスを利用することそのものを忘れてしまう虞もある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば津波発生時など緊急避難が必要となった場合に、緊急避難が必要なことをユーザへ確実に知らせることができるとともに、そのユーザを安全な避難場所へ速やかに誘導することを可能とする避難誘導システム、避難誘導方法、避難誘導サーバ、携帯情報端末、及びその携帯情報端末の避難誘導プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、災害情報配信サーバが緊急避難が必要となる災害の情報を配信し、その災害情報配信サーバから配信された災害情報の受信をトリガとして携帯情報端末が現在位置を検出し、その現在位置情報を避難誘導サーバへ送信する。そして、避難誘導サーバは、緊急避難が必要となる災害の情報と、携帯情報端末から受信した現在位置情報と、携帯情報端末の現在位置周辺の地図情報とを基に、携帯情報端末のユーザが緊急避難するための避難経路情報を生成して携帯情報端末へ送信し、その避難経路情報を受信した携帯情報端末は、当該避難経路情報により、自端末のユーザを避難誘導するためのナビゲーション処理を実行する。これにより、本発明は上述した課題を解決する。
【0009】
すなわち、本発明によれば、災害情報配信サーバから緊急避難の必要な災害情報が配信され、その災害情報を携帯情報端末が受信すると、当該携帯情報端末ではユーザを避難誘導するためのナビゲーションが開始される。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、緊急避難が必要となる災害の情報の受信をトリガとして、携帯情報端末では、避難誘導サーバから取得した避難経路情報を用いた、避難誘導のためのナビゲーション処理が開始されるようになっている。このため、本発明によれば、例えば津波発生時など緊急避難が必要となった場合に、緊急避難が必要なことをユーザへ確実に知らせることができるとともに、そのユーザを安全な避難場所へ速やかに誘導することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明実施形態の避難誘導システムの概略的な一構成例を示す図である。
【図2】避難誘導のための情報が表示された状態の携帯電話端末のディスプレイ画面表示の一例を示す図である。
【図3】本発明実施形態の避難誘導システムのシーケンス図である。
【図4】本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態の携帯電話端末において、災害情報配信サーバから災害情報のメール受信をトリガとして避難誘導プログラムが起動し、その避難誘導プログラムの実行により避難誘導ナビゲーションが実行されるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明実施形態の避難誘導サーバの概略的な内部構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明実施形態の避難誘導サーバの動作フローチャートである。
【図8】避難誘導経路を擬似的三次元画像として表示する場合のディスプレイ表示例を示す図である。
【図9】避難誘導経路の擬似的三次元画像上に、津波の到達高さを同時に表示する場合のディスプレイ表示例を示す図である。
【図10】津波の到達予想場所の近辺に存在している携帯電話端末にのみ災害情報を配信可能とする避難誘導システムの一構成例を示す図である。
【図11】避難誘導サーバと通信できなくなったオフライン時に、本実施形態の携帯電話端末が自ら避難誘導ナビゲーションを実行する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
なお、本発明が適用される一例として、本実施形態では、津波などのように緊急避難が必要な災害が発生する虞がある時に、その災害発生からユーザを緊急避難させることを可能とする携帯情報端末の一例として携帯電話端末を挙げている。勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0014】
[本発明実施形態の避難誘導システムの概略構成例]
図1には、本発明実施形態の避難誘導システムの概略的な一構成例を示す。
【0015】
この図1において、本発明実施形態の避難誘導システムは、少なくとも、携帯電話端末1、災害情報管理サーバ4、災害情報配信サーバ5、避難誘導サーバ2、地図情報管理サーバ3を有して構成されている。
【0016】
災害情報管理サーバ4は、例えば気象庁や国土交通省等により管理され、地震の発生や津波の発生、火山噴火、土砂崩れ、河川氾濫などのような様々な災害が発生した場合、或いは、災害が発生する虞がある場合に、それら災害に関連する情報を送信可能なサーバである。なお、本実施形態では、それら災害の一例として地震による津波の発生を挙げているが、勿論本発明にかかる災害は津波に限定されず他の災害発生にも適用可能であることは言うまでもない。本実施形態のように災害として地震による津波の発生を例に挙げた場合、災害情報管理サーバ4は、地震の発生場所や規模、その地震による津波の発生の可能性、津波が発生する場合にその津波が到達する場所や地域、それら各地における津波の到達予想時刻、それら各地において予想される津波の高さ、地震や津波等による道路や交通機関の被害情報、地震や津波等による建物や橋等の被害情報、地震等による土地陥没や山崩れなどの情報、避難する人や車などによる道路等の渋滞情報など、様々な被害情報を、上記災害関連情報として送信する。そして、上記災害情報管理サーバ4による上述の災害関連情報は、災害情報配信サーバ5と避難誘導サーバ2へ直ちに送られる。なお、上記災害関連情報は、上記災害情報配信サーバ5と避難誘導サーバ2の両方へ送られてもよいが、上記災害情報配信サーバ5へは、例えば上記津波が到達する場所や地域、各地における津波の到達予想時刻、各地で予想される津波の高さを示す情報のみを送るようにしてもよい。
【0017】
災害情報配信サーバ5は、災害情報配信サービスの提供者により管理されているサーバである。なお、災害情報配信サービスの提供者は、各種自治体や民間企業のいずれであってもよく、また、当該災害情報配信サービスは、独自に各種災害関連情報を電子メールで配信している既存の情報配信サービスであってもよい。また、災害情報配信サービスは、例えば、携帯電話端末1のユーザが予め登録することにより提供されるサービスであっても、或いは、携帯電話サービス提供者により全ての端末ユーザに自動的に提供されるサービスであってもよい。上記災害情報配信サーバ5は、上記災害情報管理サーバ4から災害関連情報が送信されてくるか、若しくは独自に災害関連情報を生成すると、当該災害関連情報の中から、ユーザ端末において本実施形態の避難誘導ナビゲーションを実行するために必要となる災害情報(本実施形態の場合は津波情報)を抽出し、その災害情報を、例えば電子メール等のような略々リアルタイムに情報を配信可能な情報伝達媒体を用いて、直ちに各ユーザの携帯電話端末1へ配信する。すなわち、本実施形態のように津波に関する災害情報を配信する場合、災害情報配信サーバ5は、上記災害関連情報のうち、少なくとも、津波が到達する場所、津波の到達予想時刻、予想される津波の高さの情報を、電子メールの形式にて、ユーザの携帯電話端末1へ配信する。
【0018】
上記携帯電話端末1は、通信デバイスやディスプレイデバイス、スピーカ、バイブレータなどの一般的な携帯電話端末が備える全ての機能とともに、GPS機能と電子コンパス機能を有している。また、本実施形態の場合、携帯電話端末1は、複数のアプリケーションプログラムのうちの一つとして、例えば津波の到達が予想される場合のように緊急避難が必要な時に、ユーザを安全な避難場所へ誘導するための本発明に係る避難誘導プログラム(避難経路表示アプリケーションプログラム)と、当該避難誘導プログラムを自動的に起動させることが可能な端末アプリケーションプログラムとを備えている。なお、本実施形態では、避難誘導プログラムを起動させる端末アプリケーションプログラムの一例として電子メールプログラムを挙げているが、他の専用アプリケーションプログラムを用意しておいてもよい。
【0019】
すなわち本実施形態において、携帯電話端末1は、電子メールプログラムにより、上記災害情報配信サーバ5から自端末に宛てて配信された上記災害情報(津波情報)の電子メールを受信すると、それをトリガとして、上記避難誘導プログラムを自動的に起動させる。なお、上記受信した電子メールが上記災害情報を配信するメールであるか否かは、例えば当該災害情報の配信用として予め決められているフラグが例えばメールヘッダ等に付加されていることの検知や、電子メールの件名に入れられた所定のテキスト情報の検知、或いは、その電子メールの送信元アドレス(災害情報配信用に予め決められている電子メールアドレス)の検知などにより判定することができる。
【0020】
上記避難誘導プログラムが起動すると、携帯電話端末1は、例えば、バイブレータを振動させたり、スピーカから避難用のアラーム音やメッセージ音声を出力させたり、ディスプレイ画面上に避難すべきことを通知するメッセージを表示することにより、ユーザに直ちに避難が必要であることを知らせると同時に、緊急避難誘導のナビゲーションが行われることを通知する。
【0021】
またこの時の携帯電話端末1は、避難誘導プログラムによる制御の基で、GPS機能を起動させて自端末の現在位置を取得し、その現在位置情報を、予め決められている避難誘導サーバ2へ送信する。なお、避難誘導サーバ2へは、上記現在位置情報とともに、上記受信メールの本文に記述されていた上記津波が到達する場所、津波の到達予想時刻、予想される津波の高さの情報も送信される。また、それら現在位置情報等の送信は、携帯電話網を通じた送信や電子メールによる送信など、予め決められた通信媒体を用いて行われる。
【0022】
上記避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1から上記現在位置情報等を受信すると、先ず、現在位置情報に基づいて、携帯電話端末1の現在位置を中心にした周囲の地図情報を地図情報管理サーバ3から取得する。さらに、避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1の現在位置の周囲の地図情報と、災害情報管理サーバ4から受け取っている災害関連情報と、上記携帯電話端末1から送られてきた上記津波が到達する場所、津波の到達予想時刻、予想される津波の高さの情報とを基に、上記津波から携帯電話端末1のユーザが最も早く(つまり最も近く)且つ安全に避難するための避難場所を特定するとともに、上記現在位置から当該避難場所までの避難経路を算出する。また、避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1の現在位置に実際に津波が到達する予想時刻と、その現在位置へ到達する津波の予想高さをも算出する。なお、津波から端末ユーザを避難させる場合には、一刻を争うことになるため、上記到達予想時刻については、例えば秒単位で表される詳細な時間とする。また、避難場所としては、通常の災害時などに利用される指定避難場所ではなく、ユーザが最も素早く到達できる高所(海抜の高い地、高いビルなど)を指定する。但し、避難場所としてビルを特定する場合には、地震によりエレベータが利用できなくなっていることを想定し、ユーザが階段を登る時間も考慮した計算を行う。このため、地図情報管理サーバ3から取得する地図情報は、ユーザが利用可能な階段の数や階段の幅の情報をも含むものとする。そして、避難誘導サーバ2は、上記避難経路とその周辺を表す地図情報、上記実際に津波が到達する予想時刻、津波の予想高さ等の情報を、携帯電話端末1へ送信する。
【0023】
携帯電話端末1は、上記現在位置情報の送信等に対する応答として、上記避難誘導サーバ2から送信されてきた上記避難経路等の情報を受信すると、例えば、バイブレータを振動させたり、スピーカからの音声出力やディスプレイ画面上の表示により、避難誘導のナビゲーションが実際に開始されることをユーザへ通知する。次いで、携帯電話端末1は、上記避難経路の情報と、電子コンパスから得られる方角情報(方位情報)とを基に、ディスプレイ画面上に、避難経路及び避難経路を表す地図と、ユーザが避難すべき方向(進むべき方向)と、津波が到達するまでの残り時間を表示して、緊急避難誘導のナビゲーションを実行する。なお、ディスプレイ上の表示とともに、音声ガイドによる避難誘導をも行うことが望ましい。また、津波到達時間までの残り時間に応じて、急ぐべきかどうかを判断して、ユーザへガイドすることが望ましい。
【0024】
これにより、携帯電話端末1のユーザは、緊急に避難するべきことを即座に知ることができるとともに、避難用のナビゲーションプログラムをユーザが自ら起動させる操作等を行う必要がなく、また安全な場所の検索やそのための入力等をユーザが自らが行わなくても、安全な避難方向や避難経路を知ることができることになる。また、本実施形態によれば、ディスプレイ表示や音声によるナビゲーションが自動的に行われるため、例えばユーザがパニックに陥って正常な操作が出来ない状態であったとしても安全に避難場所へ誘導することが可能となる。
【0025】
なお、上述の説明では、災害情報配信サーバ5,避難誘導サーバ2,地図情報管理サーバ3、災害情報管理サーバ4を、それぞれ独立したものとしているが、それらは一つに纏められていてもよいし、或いは、災害情報管理サーバ4以外の他の三つのサーバが一つに纏められても、若しくは、避難誘導サーバ2と地図情報管理サーバ3のみが一つに纏められていてもよい。
【0026】
[避難誘導時における携帯電話端末のディスプレイ表示例]
図2には、上述のように避難誘導のための情報が表示された状態の携帯電話端末1のディスプレイ画面表示の一例を示す。
【0027】
図2において、携帯電話端末1のディスプレイ画面31上には、避難場所を表す避難場所マーク42と自端末(ユーザ)の現在位置を表す現在位置マーク43及びそれらを含む地図40とが表示される。なお、図2の例では、津波到達予想時刻等の表示の図示は省略している。また、ディスプレイ画面31上には、上記地図40とは別に、ユーザが見やすい大きな表示により、現在位置(43)から避難場所(42)までの方向を示す避難方向マーク41が表示される。なお、当該避難方向マーク41は、地図40上に表示してもよい。
【0028】
[避難誘導システムのシーケンス]
図3には、本発明実施形態の避難誘導システムのシーケンス図を示す。
【0029】
図3において、例えば地震が発生(T1)すると、例えば気象庁等の災害情報管理サーバ4は、その地震の発生場所と規模から津波の発生の可能性を判定し、津波が発生すると判定した場合には、その津波が到達する場所や地域、各地における津波の到達予想時刻、各地において予想される津波の高さ等を算出取得(T2)する。そして、災害情報管理サーバ4は、それらの災害関連情報を災害情報配信サーバ5と避難誘導サーバ2へ送信(T3,T4)する。
【0030】
上記災害関連情報を受信した災害情報配信サーバ5は災害関連情報から抽出した災害情報を例えば電子メールにより携帯電話端末1へ送信(T6)する。一方、避難誘導サーバ2は災害関連情報を内部に保存(T5)する。
【0031】
上記災害情報を受信した携帯電話端末1は、前述のように避難誘導プログラムを自動的に起動し、前述のようにユーザへ避難すべきこと及び避難誘導ナビゲーションの開始の通知を行い、また現在位置を取得し、上記災害情報の電子メールから得られた情報と当該現在位置情報を、避難経路の要求とともに避難誘導サーバ2へ送信(T7)する。
【0032】
避難誘導サーバ2は、上記携帯電話端末1から避難経路の要求等を受信すると、前述のように地図情報管理サーバ3から地図情報を要求(T8)し、その要求に応じて地図情報管理サーバ3から送られてきた地図情報を取得(T9)する。そして、避難誘導サーバ2は、それらの情報を基に、避難経路等を作成(T10)し、その避難経路等の情報を携帯電話端末1へ送信(T11)する。
【0033】
携帯電話端末1は、上記避難経路等の情報を受け取ると、前述のように実際に避難誘導のナビゲーションが開始されることをユーザへ通知した後、当該避難誘導ナビゲーションのための避難経路,避難方向の表示等(T12)を行う。
【0034】
その後、災害情報管理サーバ4は、例えば国土交通省等から地震による道路の寸断や建物の倒壊等の被害情報を取得(T13)すると、それらの被害情報を避難誘導サーバ2へ伝達(T14)する。
【0035】
これら被害情報を受け取った避難誘導サーバ2は、それら被害を受けた道路や建物の状況を加えた避難経路を再計算する(T15)。そして、避難誘導サーバ2は、当該再計算された避難経路等の情報を携帯電話端末1へ送信(T16)する。
【0036】
上記避難誘導サーバ2から新たな情報を受信した携帯電話端末1は、その情報を基に避難誘導のためのナビゲーション表示等を更新する(T17)。これにより、携帯電話端末1のユーザへは、建物や道路の被害状況に応じた最新の避難経路等が提示されることになり、より安全な避難場所へ迅速に避難することが可能となる。
【0037】
[携帯電話端末の概略構成]
図4には、本発明実施形態の携帯電話端末1の概略的な内部構成例を示す。
【0038】
図4において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり、通話や電子メール等のパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0039】
スピーカ20は、携帯電話端末に設けられている受話用のスピーカや、リンガ(着信音)、アラーム音、警告音等の出力用スピーカであり、制御部10から供給された音声信号を音響波に変換して空気中に出力する。
【0040】
マイクロホン21は、送話用及び外部音声集音用のマイクロホンであり、音響波を音声信号に変換し、その音声信号を制御部10へ送る。
【0041】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示デバイスと、そのディスプレイの表示駆動回路とを含み、制御部10から供給された画像信号により、上記ディスプレイ上に例えば電子メール等の各種文字やメッセージを表示したり、本実施形態にかかる避難誘導のためのナビゲーション画像等を表示する。
【0042】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話キー、終話/電源キー等の各キーや十字キー,ジョグダイヤル,タッチパネル等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0043】
バイブレータ22は、モータとそのモータの駆動回路とからなり、モータ軸には偏芯するように錘が取り付けられており、当該モータを回転させることにより端末本体に振動を発生させる。
【0044】
電子コンパス23は、地磁気を検出し、その検知信号を制御部10に出力する。これにより、制御部10は、端末本体が向いている方位を求めることができる。
【0045】
GPS部24は、GPSアンテナ25を通じて、GPS測地衛星からのGPS信号を受信し、そのGPS信号を用いて自端末の現在位置の緯度及び経度を求める。このGPS部24により得られたGPSデータ(緯度,経度を表す情報)は制御部10へ送られる。これにより、制御部10は、自端末の現在位置を知ることができる。
【0046】
メモリ部15は、当該端末の内部に設けられている内蔵メモリと、いわゆるSIM(Subscriber Identity Module)情報等を格納する着脱可能なカード状メモリとを含む。内蔵メモリは、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とからなる。上記ROMは、OS(Operating System)、制御部10が各部を制御するための制御プログラム、各種の初期設定値、辞書データ、本実施形態にかかる緊急避難報知用のアラーム音や避難時のナビゲーションガイダンス用の音データ、本発明実施形態にかかる避難誘導プログラムや当該避難誘導プログラムを自動起動させる端末プログラム(電子メールプログラム)、その他の各種アプリケーションプログラムなどが格納されている。またROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、避難経路サーバ等の接続先アドレス情報を含むアドレス帳のデータ等の様々なデータ、ユーザ辞書データ、ディスプレイ表示用の各種データ、各種のユーザ設定値等をも保存可能となされている。なお、図4の例では、上記内蔵メモリの上記各種データやプログラムの格納領域のうち、特に、本実施形態の避難誘導プログラムや端末プログラム等の各種アプリケーションプログラムが保持されるプログラム格納部16と、災害情報や避難経路情報、後述するオフライン時の避難誘導ナビゲーションに使用される地図情報等を保持するためのデータ格納部17とを図示している。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0047】
制御部10は、CPU(中央処理ユニット)からなり、通信回路11における通信の制御、音声処理及びその制御、画像処理及びその制御、その他各種信号処理や各部の制御等を行う。また、制御部10は、メモリ部15に格納されている各種の制御プログラムやアプリケーションプログラムの実行及びそれに付随する各種データ処理等を行う。特に、本実施形態の場合、制御部10は、メモリ部15のプログラム格納部16に格納されている電子メールプログラムを常に起動した状態としており、前述した災害情報のメール受信をトリガとして避難誘導プログラムを起動させた場合には、その避難誘導プログラムの実行により避難誘導サーバ2へのアクセスや、その避難誘導サーバ2から受け取った避難経路情報等に基づく避難誘導ナビゲーションなどの各種処理を実行する。
【0048】
その他、図2には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、写真画像の撮影のためのディジタルカメラ部、キー照明や着信ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、外部メモリ用スロット、ディジタル放送の受信チューナ部とAVコーデック部、タイマ(時計部)、いわゆるブルートゥース(BlueTooth:登録商標)方式などの近距離無線通信部、いわゆるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)や非接触型ICカード等で用いられる非接触通信を行うための非接触通信部等をも備えている。
【0049】
[避難誘導プログラムの実行による携帯電話端末の動作]
図5には、本発明実施形態の携帯電話端末において、災害情報配信サーバ5から災害情報のメール受信をトリガとして避難誘導プログラムが起動し、その避難誘導プログラムの実行により避難誘導ナビゲーションが実行されるまでの処理の流れを示す。なお、この図5に示すフローチャートの処理は、メモリ部15のプログラム格納部16に格納されている本実施形態の通信プログラム(メーラ)及び避難誘導プログラムを、制御部10が実行することにより実現される処理である。
【0050】
この図5に示すフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS1にて電子メールを受信すると、ステップS2の処理として、前述のようにフラグや件名のテキスト解析、送信元アドレスなどの情報を基に、当該電子メールが災害情報(津波情報)の配信メールであるか判断する。そして、制御部10は、当該電子メールが災害情報の配信メールではないと判断した場合にはこの図5のフローチャートの処理を終了し、一方、災害情報の配信メールであると判断した場合にはステップS3へ処理を進める。
【0051】
ステップS3の処理に進むと、制御部10は、上記災害情報の配信メールの本文を解析することで、その配信メール本文中に記述されている例えば津波の到達場所、津波の到達予想時刻、津波の予想高さの情報を取得する。また、この時の制御部10は、ステップS4の処理として、GPS部24を起動させ、当該GPS部に現在位置情報を取得させる。
【0052】
次いで、制御部10は、ステップS5の処理として、上記現在位置情報とともに、上記津波の到達場所、津波の到達予想時刻、津波の予想高さの情報を、通信回路11を通じて避難誘導サーバ2へ送信する。
【0053】
またこの時の制御部10は、ステップS6の処理として、バイブレータ22の振動、スピーカ20からの避難用アラーム音やメッセージ音声の出力、表示部13のディスプレイ画面上への避難メッセージの表示を行うことにより、緊急避難誘導のナビゲーションが開始されることを通知する。
【0054】
そして、制御部10は、ステップS7の処理として、避難誘導サーバ2から避難経路等の情報を受信できたか否か判定し、受信できていない時にはステップS10へ処理を進め、一方、受信できた時にはステップS8へ処理を進める。
【0055】
ステップS8の処理に進むと、制御部10は、前述したようにバイブレータの振動や、スピーカからの音声出力、ディスプレイ画面上の表示により、避難誘導のナビゲーションが実際に開始されることをユーザへ通知した後、ステップS9の処理として、避難場所と避難経路及び避難方向等をディスプレイ画面上に表示して避難誘導ナビゲーションを実行する。
【0056】
その後、制御部10は、ステップS10の処理として、操作部14を通じてユーザから避難誘導ナビゲーションの終了指示が入力されたか否か判断する。ここで、例えばユーザが避難場所に到着することなどにより避難誘導のナビゲーションが不要となったことでユーザから避難誘導ナビゲーションの終了指示が入力された場合、制御部10は、ステップS11の処理として、避難誘導サーバ2へ終了を通知した後、避難誘導プログラムを終了させる。
【0057】
一方、ステップS10において避難誘導ナビゲーション終了指示が入力されていない間、制御部10は、ステップS7へ処理を戻す。これにより、新たな避難経路等の更新情報が受信された場合には、その避難経路等の更新情報に基づいて避難誘導ナビゲーションが行われることになる。
【0058】
[避難誘導サーバの概略構成]
図6には、本発明実施形態の避難誘導サーバ2の概略的な内部構成例を示す。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の避難誘導サーバ2は、少なくとも、通信部60,災害関連情報取得部62,地図情報取得部64,避難経路計算部63、サーバ制御部61を有して構成されている。なお、この図6に示す各構成要素において、災害関連情報取得部62,地図情報取得部64,避難経路計算部63、サーバ制御部61は、ハードウェア構成であっても、また、ソフトウェア構成であってもよい。
【0060】
上記通信部60は、災害情報管理サーバ4や地図情報管理サーバ3,携帯電話端末1との間で情報通信を行う。
【0061】
災害関連情報取得部62は、通信部60を介して災害情報管理サーバ4と接続し、当該災害情報管理サーバ4から送信されてくる前述の災害関連情報を取得し、その情報を内部に保持する。
【0062】
サーバ制御部61は、当該避難誘導サーバ2の各構成要素の動作を制御するとともに、例えば通信部60を介して携帯電話端末1から前述の位置情報等を取得した場合、その位置情報等を避難経路計算部63へ渡す。
【0063】
避難経路計算部63は、サーバ制御部61を介して上記携帯電話端末1の位置情報等を受け取ると、その位置情報を基に地図情報取得部64に地図情報を要求し、その要求に応じて地図情報取得部64から地図情報が得られると、上記携帯電話端末1からの位置情報等と上記災害関連情報取得部62が取得した災害関連情報とを基に前述したように避難経路を求める計算を行う。そして、避難経路計算部63は、上記避難経路等の情報を生成すると、その避難経路等の情報を、サーバ制御部61を通じて通信部60へ送ることにより、携帯電話端末1へ送信させる。
【0064】
地図情報取得部64は、上記避難経路計算部63からの要求に応じて、通信部60を介して地図情報管理サーバ3へ接続し、当該地図情報管理サーバ3から地図情報が得られると、その取得した地図情報を避難経路計算部63へ送る。
【0065】
[避難誘導サーバの動作フロー]
図7には、本発明実施形態の避難誘導サーバ2の動作フローを示す。
【0066】
図7において、避難誘導サーバ2の通信部60は、常に災害情報管理サーバ4から災害関連情報を受信可能な状態となされており、ステップS21として、通信部60が上記災害情報管理サーバ4からの災害関連情報を受信すると、災害関連情報取得部62がその災害関連情報を内部に保持する。
【0067】
また、避難誘導サーバ2の通信部60は、常に携帯電話端末からの避難経路の要求等についても受信可能な状態となされており、ステップS22として、通信部60が携帯電話端末からの避難経路の要求等を受信すると、サーバ制御部61が当該携帯電話端末から送られてきた現在位置情報等を避難経路計算部63へ送る。また、この時、避難経路計算部63には、上記災害関連情報取得部62が保持している上記災害関連情報も送られる。
【0068】
上記現在位置情報等を受け取ると避難経路計算部63は、ステップS23の処理として、地図情報管理サーバ3から地図情報を取得する。
【0069】
次に、避難経路計算部63は、ステップS24の処理として、上記携帯電話端末の現在位置と上記災害関連情報取得部62から得られた災害関連情報とから、当該携帯電話端末のユーザの現在位置に津波等が実際に到達する可能性があるか否か、つまり避難経路の計算が必要か否か判定する。
【0070】
そして、携帯電話端末のユーザの現在位置に津波が到達することはないと判定した場合、避難経路計算部63は、その旨をサーバ制御部61に通知する。この時のサーバ制御部61は、ステップS29の処理として、上記携帯電話端末に対し、津波が到達しないことを知らせる安全通知と、安全ではあっても十分に注意することを促すメッセージ等を、通信部60を介して送信する。当該ステップS29の後、サーバ制御部61は、この図7のフローチャートの処理を終了させる。
【0071】
一方、携帯電話端末のユーザの現在位置に津波が到達すると判定した場合、避難経路計算部63はステップS25へ処理を進める。当該ステップS25の処理に進むと、避難経路計算部63は、前述したように携帯電話端末の現在位置の情報や災害関連情報を基に避難場所と避難経路を計算する。そして、それら避難経路等の情報は、ステップS26において、通信部60を通じて携帯電話端末へ送信される。
【0072】
また、災害関連情報取得部62は、ステップS27の処理として、災害関連情報の更新情報が取得されたか監視しており、災害関連情報の更新情報が取得された場合には、サーバ制御部61を通じてステップS24へ処理を戻す。なお、当該災害関連情報の更新情報により、ステップS24において、携帯電話端末のユーザの現在位置に津波が到達することはなくなったと判定された場合、サーバ制御部61は、ステップS29の処理として、上記携帯電話端末のユーザに対していち早く安全通知等を行うことが可能となる。
【0073】
一方、ステップS27において、災害関連情報取得部62が災害関連情報の更新情報を取得していないと判定されている場合、サーバ制御部61は、通信部60を通じて携帯電話端末から避難誘導ナビゲーションの終了要求が送られてきたか監視しており、終了要求が送られてきていない間はステップS27へ処理を戻し、終了要求が送られてきた場合にはこの図7のフローチャートの処理を終了させる。
【0074】
[避難誘導時における携帯電話端末のディスプレイ表示の他の例]
前述した図2では、ディスプレイ画面上に、避難場所、ユーザの現在位置、地図、及び、避難方向を表示する例を挙げたが、避難誘導のナビゲーション時には図8及び図9に示すような表示を行うことも可能である。
【0075】
これら図8及び図9に示すディスプレイ表示例の場合、ディスプレイ画面31上には、地図に代えて、携帯電話端末の現在位置周辺の街並み等を、その時の携帯電話端末の向き(つまりユーザが見ている方向)を映し出した擬似的三次元画像50が表示される。また、当該擬似的三次元画像50上には、携帯電話端末のユーザを表すオブジェクト51と、当該ユーザが避難すべき経路を示すマーク52等が表示される。なお、この図8及び図9に示す表示例の場合も、ディスプレイ画面上には前記避難方向マーク41を表示することが望ましい。
【0076】
また図8及び図9に示すディスプレイ表示例の場合、当該ディスプレイ画面31の上記擬似的三次元画像50の上には、津波が到達した場合に、その津波の高さを表すオブジェクト53を例えば表示/非表示の繰り返しや半透明等により表示する。これにより、携帯電話端末のユーザは、津波の高さが実際のどの程度までになるのかを認識できるようになる。
【0077】
この例の場合、予期しない出来事の発生などにより、津波到達予想時刻までに避難場所へ逃げることができないようになった場合でも、ユーザは、上記津波の高さを表すオブジェクト53よりも高い場所に咄嗟に避難することが可能となる。
【0078】
[避難誘導システムの他の構成例]
図1に示した避難誘導システムの場合、災害情報配信サーバ5は、災害情報の配信サービスに登録等されている全ての携帯電話端末1へ災害情報を配信するようにしているが、例えば地震発生時のように通信トラフィックが急激に増大する可能性が高い状況において、全ての携帯電話端末へ送信するようなことは避けることが望ましい。
【0079】
図10には、津波の到達予想場所の近辺に存在している携帯電話端末にのみ災害情報を配信可能とする避難誘導システムの一構成例を示す。なお、この図10のシステム構成において、図1と同じ構成要素にはそれぞれ図1と同じ参照符号を付し、それらの説明は省略する。
【0080】
この図10のシステム構成例の場合、携帯電話網6は各基地局に対して位置登録が行われた各携帯電話端末1を把握しており、災害情報配信サーバ5Aは携帯電話網6から各基地局エリア内に何れの携帯電話端末が所在しているのかを示す情報を取得する。
【0081】
これにより、災害情報配信サーバ5Aは、例えば津波が到達すると予想される地域内に存在している携帯電話端末1を予め知ることができる。すなわち、この場合の災害情報配信サーバ5Aは、津波が到達すると予想される地域内に存在している携帯電話端末1に対してのみ災害情報(津波情報)を配信する。
【0082】
したがって、この図10のシステム構成例の場合、津波が到達すると予想される地域以外の存在している携帯電話端末には災害情報(津波情報)が配信されないため、通信トラフィックの増大を抑えることができる。また、津波が到達すると予想される地域以外の存在している携帯電話端末には災害情報が配信されないため、それら携帯電話端末のユーザに対して、不要な災害情報の受信により不安を与えてしまうことがなくなる。
【0083】
[オフライン時の避難誘導プログラムの実行による携帯電話端末の動作]
前述の実施形態では、避難誘導サーバ2により生成された避難経路等を用いて携帯電話端末1にて避難誘導のナビゲーションが行われる例を挙げたが、例えば地震による通信網の切断等により、携帯電話端末1が避難誘導サーバ2と通信できなくなってしまっているような場合、携帯電話端末1はそれ自身で避難誘導のナビゲーションを行うことが望ましい。
【0084】
図11には、避難誘導サーバ2と通信できなくなったオフライン時に、本実施形態の携帯電話端末が自ら避難誘導ナビゲーションを実行する場合の処理の流れを示す。なお、この図11のフローチャートの処理についても、前述の図5の場合と同様に、本実施形態の通信プログラム(メーラ)及び避難誘導プログラムを制御部10が実行することにより実現される処理である。但し、この図11の例の場合、携帯電話端末1のメモリ部15のデータ格納部17には、例えばユーザが日頃行動している地域を略々全てカバーできるだけの地図情報が予め格納されている。なお、この図11のフローチャートにおいて、前述の図5のフローチャートの各ステップと同じ処理には、図5と同じ参照符号を付して、それらの説明は省略する。
【0085】
この図11に示すフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS4にてGPSによる現在位置の取得後、ステップS40の処理として避難誘導サーバ40へアクセスが可能か否か判定し、アクセスできる場合には前述の図5のステップS5以降へ処理を進める。一方、避難誘導サーバ40へアクセスできないと判定した場合、ステップS41へ処理を進める。
【0086】
ステップS41の処理に進んだ場合の制御部10は、バイブレータ22の振動、スピーカ20からの避難用アラーム音やメッセージ音声の出力、表示部13のディスプレイ画面上への避難メッセージの表示を行うことにより、オフラインによる緊急避難誘導のナビゲーションが開始されることを通知する。
【0087】
次いで、制御部10は、ステップS42の処理として、メモリ部15のデータ格納部17に格納されている地図情報を用いて避難場所や避難経路を算出する。その後、制御部10は、ステップS8へ処理を進める。
【0088】
また、この図11のフローチャートの場合、ステップS10において、操作部14を通じてユーザから避難誘導ナビゲーションの終了指示が入力されたと判定した場合、制御部10は、避難誘導プログラムを終了させる。一方、ステップS10において避難誘導ナビゲーション終了指示が入力されていない場合、制御部10は、ステップS9へ処理を戻して、避難誘導のナビゲーションを続ける。
【0089】
[まとめ]
以上説明したように、本発明実施形態においては、津波などの災害発生が予想される場合に、災害情報配信サーバ5は災害情報を携帯電話端末1へ送信し、携帯電話端末1はその災害情報の受信をトリガとして避難誘導プログラムを自動起動させるとともに現在位置情報等を避難誘導サーバ2へ送信し、避難誘導サーバ2は端末ユーザが安全且つ早く避難できる避難経路等を携帯電話端末1へ送り、携帯電話端末1ではその避難経路等の情報を基に避難誘導ナビゲーションを行うようにしている。これにより、本実施形態によれば、津波発生時など緊急避難が必要な場合に、端末ユーザは緊急避難が必要なことを確実に知ることができ、またユーザは安全な避難場所へ速やかに避難することが可能となる。
【0090】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0091】
上述した実施形態では、本発明の携帯情報端末の一例として携帯電話端末を挙げたが、本発明の携帯情報端末は、災害情報配信サーバ5や避難誘導サーバ2と通信可能であり、また自端末の現在位置を測定可能で且つナビゲーションの為の表示部や音声出力部を備えているのであれば、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や小型のノート型パーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機、携帯型デジタルテレビジョン受信機、携帯ナビゲーション端末などにも適用可能である。
【0092】
また、本実施形態では、避難誘導の一例として津波からの避難誘導を例に挙げたが、例えば火山噴火、土砂崩れ、河川氾濫などのような他の災害からの避難誘導にも適用可能である。例えば火山噴火からの避難誘導を挙げた場合、災害情報配信サーバ5は、火山噴火が予測される災害情報を携帯情報端末へ送信し、携帯情報端末は、その災害情報の受信をトリガとして避難誘導プログラムを自動起動させるとともに現在位置情報等を避難誘導サーバ2へ送信し、避難誘導サーバ2は、端末ユーザの現在位置から最も近い堅固な建造物や岩陰などを避難場所として特定して、その避難場所への避難経路等を携帯情報端末へ送信し、その時の携帯情報端末は当該避難経路等の情報を基に避難誘導ナビゲーションを行う。また例えば、土砂崩れからの避難誘導を挙げた場合、災害情報配信サーバ5は、土砂崩れの発生が予測される範囲を示す災害情報を携帯情報端末へ送信し、携帯情報端末はその災害情報の受信により避難誘導プログラムを起動させて現在位置情報等を避難誘導サーバ2へ送信し、避難誘導サーバ2は、土砂崩れの及ばない避難場所を特定し、その避難場所への避難経路等を携帯情報端末へ送信し、その時の携帯情報端末は当該避難経路等の情報を基に避難誘導ナビゲーションを行う。また例えば、河川氾濫からの避難誘導を挙げた場合、災害情報配信サーバ5は、河川が氾濫する範囲を示す災害情報を携帯情報端末へ送信し、携帯情報端末はその災害情報の受信により避難誘導プログラムを起動させて現在位置情報等を避難誘導サーバ2へ送信し、避難誘導サーバ2は、河川氾濫の及ばない避難場所を特定し、その避難場所への避難経路等を携帯情報端末へ送信し、その時の携帯情報端末は当該避難経路等の情報を基に避難誘導ナビゲーションを行う。
【符号の説明】
【0093】
1…携帯電話端末、2…避難誘導サーバ、3…地図情報管理サーバ、4…災害情報管理サーバ、5,5A…災害情報配信サーバ、6…携帯電話網
10…制御部、11…通信回路、12…通信アンテナ、13…表示部、14…操作部、15…メモリ部、16…プログラム格納部、17…データ格納部、20…スピーカ、21…マイクロホン、22…バイブレータ、23…電子コンパス、24…GPS部、25…GPSアンテナ
31…ディスプレイ画面、40…地図、41…避難方向マーク、42…避難場所マーク、43…現在位置マーク
60…通信部、61…サーバ制御部、62…災害関連情報取得部、63…避難経路計算部、64…地図情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急避難が必要となる災害の情報を配信する災害情報配信サーバと、
上記災害情報配信サーバから配信された災害情報の受信をトリガとして自端末の現在位置を検出し、その現在位置情報を避難誘導サーバへ送信し、その後当該避難誘導サーバから送信されてきた避難経路情報により、自端末のユーザを避難誘導するためのナビゲーション処理を実行する携帯情報端末と、
緊急避難が必要となる災害の情報と、上記携帯情報端末から受信した上記現在位置情報と、上記携帯情報端末の現在位置周辺の地図情報とを基に、上記携帯情報端末のユーザが緊急避難するための避難経路情報を生成して上記携帯情報端末へ送信する避難誘導サーバと、
により構築されてなる避難誘導システム。
【請求項2】
上記携帯情報端末は、自端末が現在向いている方位を計測する方位計測部を有し、当該方位計測部にて計測された方位と上記避難経路情報とを基に、自端末のユーザが避難すべき方向を算出し、上記ナビゲーション処理の一つとして当該避難すべき方向を上記ユーザへ通知する請求項1記載の避難誘導システム。
【請求項3】
上記避難誘導サーバは、上記災害の情報の更新に応じて、上記避難経路情報を更新して上記携帯情報端末へ送信し、
上記携帯情報端末は、上記更新された避難経路情報により上記ナビゲーション処理を実行する請求項1又は請求項2記載の避難誘導システム。
【請求項4】
上記緊急避難が必要となる災害が津波である時、上記避難誘導サーバは、上記携帯情報端末の現在位置から最も近く且つ上記津波の高さよりも高い避難場所まで上記携帯情報端末のユーザを誘導するための避難経路情報を生成する請求項1乃至請求項3のうち何れか一項記載の避難誘導システム。
【請求項5】
上記携帯情報端末は、地図情報を保持しており、上記災害情報の受信後、上記避難誘導サーバとの間の通信が不能である時、上記保持している地図情報と上記現在位置情報とを基に避難経路情報を生成し、当該生成した避難経路情報により上記ナビゲーション処理を実行する請求項1記載の避難誘導システム。
【請求項6】
緊急避難が必要となる災害の情報を災害情報配信サーバが配信するステップと、
上記災害情報配信サーバから配信された災害情報を受信の受信をトリガとして、携帯情報端末が自端末の現在位置を検出して、その現在位置情報を避難誘導サーバへ送信するステップと、
緊急避難が必要となる災害の情報と、上記携帯情報端末から受信した上記現在位置情報と、上記携帯情報端末の現在位置周辺の地図情報とを基に、避難誘導サーバが、上記携帯情報端末のユーザを緊急避難させるための避難経路情報を生成して上記携帯情報端末へ送信するステップと、
上記避難誘導サーバから送信されてきた避難経路情報により、携帯情報端末が、自端末のユーザを避難誘導するためのナビゲーション処理を実行するステップと、
からなる避難誘導方法。
【請求項7】
情報を送受信する通信部と、
上記通信部を通じて、緊急避難が必要となる災害の情報を取得する情報取得部と、
上記通信部を通じて携帯情報端末からその端末の現在位置情報を取得すると、当該携帯情報端末の現在位置情報と、その現在位置周辺の地図情報とを基に、上記携帯情報端末のユーザを緊急避難させるための避難経路情報を計算する避難経路計算部と、
上記避難経路計算部にて計算された避難経路情報を、上記通信部を通じて上記携帯情報端末へ送信させる制御部と、
を有する避難誘導サーバ。
【請求項8】
上記避難経路計算部は、上記情報取得部が取得した上記災害の情報の更新に応じて、上記避難経路情報を再計算し、
上記制御部は、上記再計算された避難経路情報を上記通信部を通じて上記携帯情報端末へ送信させる請求項7記載の避難誘導サーバ。
【請求項9】
情報を送受信する通信部と、
自端末の現在位置を検出する位置検出部と、
自端末が現在向いている方位を計測する方位計測部と、
情報を表示するための表示部と、
音声を出力するための音声出力部と、
上記通信部により緊急避難が必要となる災害の情報を受信した時、その受信をトリガとして上記位置検出部による自端末の現在位置検出を行い、その現在位置情報を上記通信部を介して所定の避難誘導サーバへ送信し、その後当該避難誘導サーバから返信されてきた避難経路情報と上記方位計測部により計測された方位情報とを基に、自端末のユーザが避難すべき方向を算出し、当該避難すべき方向を上記表示部及び音声出力部を通じて自端末のユーザに通知する避難誘導ナビゲーション処理を実行する制御部と、
を有する携帯情報端末。
【請求項10】
上記制御部は、上記災害情報の受信後、上記通信部による上記避難誘導サーバとの間の通信が不能である時、予め内部に保持している地図情報と上記現在位置情報とを基に避難経路情報を生成し、当該生成した避難経路情報を用いて上記ナビゲーション処理を実行する請求項9記載の携帯情報端末。
【請求項11】
情報を送受するための通信手段により、緊急避難が必要となる災害の情報が受信された時、その受信をトリガとして、位置検出手段を動作させて自端末の現在位置を検出させる位置検出制御処理と、
上記通信手段を介して上記現在位置情報を所定の避難誘導サーバへ送信し、その後当該避難誘導サーバから返信されてきた避難経路情報を取得する位置情報送信・避難経路情報受信処理と、
方位計測手段を制御して自端末が現在向いている方位を計測させる方位計測制御処理と、
上記方位計測手段により計測された方位情報と上記避難経路情報とを基に、自端末のユーザが避難すべき方向を算出し、当該避難すべき方向を、表示手段による表示及び音声出力手段による音声出力を通じて自端末のユーザに通知する避難誘導ナビゲーション処理を行うナビゲーション制御処理と、
を携帯情報端末に実行させる避難誘導プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−244407(P2010−244407A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94070(P2009−94070)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】