説明

還元型補酵素Q10の安定化法

【課題】 本発明は、栄養機能食品、特定保健用食品等として有用な還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法等を提供する。又、還元型補酵素Q10を、工業的生産に適した方法で、高品質且つ効率的に得る方法を提供する。
【解決手段】 還元型補酵素Q10を、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸を含有する溶媒中で結晶化させる、還元型補酵素Q10の結晶化方法。酸化型補酵素Q10をアスコルビン酸類を用いて還元して還元型補酵素Q10に変換した後、生成した還元型補酵素Q10をクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で引き続き結晶化する、還元型補酵素Q10結晶の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元型補酵素Q10の安定化方法、それを利用した保存方法、単離(結晶化)方法並びに組成物に関する。更には、還元型補酵素Q10の製造方法にも関する。還元型補酵素Q10は、既に食品等として用いられている酸化型補酵素Q10に比べ高い経口吸収性を示し、優れた食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
広く生物界に分布するベンゾキノン誘導体である酸化型補酵素Q10は、そのビタミン様の機能からビタミンQとも呼ばれており、弱った細胞活性を健康な状態に戻す栄養源として身体を若返らせる成分である。一方、還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10の2電子還元体であり、酸化型補酵素Q10が橙色結晶であるのに対し、還元型補酵素Q10は白色結晶である。還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10は、ミトコンドリア、リソゾーム、ゴルジ体、ミクロソーム、ペルオキシソーム、或いは細胞膜などに局在し、電子伝達系の構成成分としてATP産生賦活、生体内での抗酸化作用、膜安定化に関与している事が知られている生体の機能維持に必要不可欠な物質である。
【0003】
還元型補酵素Q10は、分子酸素によって酸化型補酵素Q10に酸化されやすい。工業的規模での製造、保存や取り扱いにおいては、完全な酸素の除去あるいは遮断は極めて難しく、更に、個々の操作に要する時間が、ラボスケールでの製造とは異なり、かなり長時間になるため、残存する酸素により、還元型補酵素Q10が酸化型補酵素Q10に酸化されるなどの悪影響が大きい。このように、工業的規模で高品質の還元型補酵素Q10の結晶を取得するのは難しいが、たとえ、高品質の還元型補酵素Q10を製造したとしても、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養剤、栄養補助剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等、或いは、それらの素材や組成物に加工するに際して、及び/又は、加工後保存するに際して、還元型補酵素Q10の酸化安定性が極めて重要な問題となる。上記の加工や保存に際しても、完全な酸素の除去或いは遮断は極めて難しく、特に加工時の加温や長期にわたる保存において、残存する或いは混入する酸素が大きな悪影響を及ぼす。上記の製造、保管、取り扱いや加工、保存における酸化防護は極めて重要である。上記還元型補酵素Q10の酸化により副生する酸化型補酵素Q10は、還元型補酵素Q10の収率を下げ、また、酸化型補酵素Q10は、還元型補酵素Q10からの分離が困難であるので、製品としての還元型補酵素Q10に不純物として混入し、純度を下げたり、結晶が黄色がかったものとなって、消費者や顧客に違和感を与えたりするといった問題を発生させる。
【0004】
還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られることが知られている(特許文献1)。この場合には、上記還元型補酵素Q10中に不純物として存在する酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の一般的な還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行っても良いこと、また、還元型補酵素Q10は、既存の高純度補酵素Q10に上記還元剤を作用させる方法によっても得られることが、該公開公報中に記載されている。また、還元剤として、亜鉛を用いる方法も知られている(非特許文献1)。しかしながら、還元型補酵素Q10の上記製法は、必ずしも満足できるものではない。例えば、クロマトグラフィーを使用する方法は、工業的規模で使用するには煩雑であり、上記還元剤は、工業的規模で使用する場合、あるいは、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等に用いる還元型補酵素Q10を製造する場合、ガス(水素、二酸化硫黄等)の発生、臭気、安全性、使用後の処理、取り扱いにくさ等の問題があり、必ずしも好ましいものではないし、クロマトグラフィーで補酵素Q10の画分を取得した後、上記還元剤を用いて還元型補酵素Q10を取得する方法は、好ましい工業的製法からさらに遠ざかる。プロセスや後処理の煩雑さは、後述する分子酸素による酸化により、品質の低下の原因となる。
【0005】
更に、上記方法で得られる還元型補酵素Q10を単離しようとしても、還元型補酵素Q10の分子酸素に対する不安定性から、純度の高い状態で単離するのは必ずしも容易ではなく、例えば、酸化型補酵素Q10をはじめとする不純物を含有する低純度結晶、半固体状や油状物として得られる場合が多い。このように、還元反応で、酸化型補酵素Q10を全く、或いは、ほとんど含まない還元型補酵素Q10の反応混合物を得たとしても、高品質の還元型補酵素Q10の結晶を得るのは極めて難しい。
【0006】
このように還元型補酵素Q10を安定化する、すなわち、酸化から防護することは非常に重要な課題であるが、現在まで還元型補酵素Q10が市販されていないために、還元型補酵素Q10を安定に保持するための方法等に関する研究はほとんどなされていない。わずかに、還元剤を共存させた組成物並びにその製造法について記述した特許文献2を認めるのみである。
上記特許文献2は、食品等に使用できるより好ましい還元剤として、ビタミンC類(すなわち、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等のアスコルビン酸類)やビタミンE等の種々の還元剤を用いて還元することにより還元型補酵素Q10を製造する方法を開示している。更に、還元型補酵素Q10、還元剤、及び、界面活性剤又は植物油又はこれらの混合物等からなる組成物、並びに、上記組成物をゼラチンカプセル又はタブレットに製剤化した経口投与のための組成物、更に、上記組成物を得るための方法として、酸化型補酵素Q10並びに還元剤を用いてin situで調製する方法も提案している。
【0007】
上記の組成物やその調製方法は複雑・煩雑であり、それは上記組成物に複数の役割(すなわち、第一に酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に還元するための反応の場となりうる組成物であり、第二に還元型補酵素Q10を安定に保持するための組成物でもある)を期待したためと考えられる。言い換えれば、極めて特殊な環境において、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に還元すると共に、得られた還元型補酵素Q10を安定に保持することを可能にしている。しかし、この方法は、界面活性剤や植物油といった高沸点成分や脂溶性成分中で還元する方法であり、還元反応後、還元型補酵素Q10を単離するのは極めて難しく、上記の安定化方法並びに組成物の用途は、実質的に、食用等への直接的な使用に制限される。上記方法は、反応混合物中においてのみ、還元型補酵素Q10を純粋な状態に保持しうる、in situ preparationである。
【0008】
上記特許文献2に記載される組成物中、溶媒として、例えば、グリセリン、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)等の多価アルコールやエタノールといった有機溶剤を0.25〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは1.5〜15−20重量%、所望により、含ませることができると記載されている。しかし、上記多価アルコールやエタノールは必須成分ではなく、該明細書の実施例中、実施例2においてはこれらを含有しない組成物が記載され、また、実施例4においてグリセリン又はプロピレングリコールを1.63重量%含有する組成物、実施例1及び3においてはグリセリンを各々4重量%、3.55重量%含有する組成物しか記載されていない。
【0009】
本発明者らが還元型補酵素Q10の安定化に関して予備的に検討した結果、ビタミンC類には安定化効果があるが、ビタミンEには安定化効果がないこと、又、ビタミンC類をグリセリン等の3価以上のアルコールと共に用いた場合の安定化効果は非常に乏しいことが分かった。
上記特許文献2には、組成物中に含まれる還元型補酵素Q10の品質や安定化効果等に関する詳細な記述はなく、ビタミンC類と1価及び/又は2価アルコールの組み合わせ、とりわけ1価アルコールとの組合せが、極めて優れた安定化効果を発揮するとの開示もなされていない。さらに、ビタミンC類と1価及び/又は2価アルコールの併用による安定化効果を利用した結晶化方法、組成物、又、取り扱い、保存(通常遭遇しうる温度での長期安定保存も含む)に関する記述もない。
【0010】
このように、酸化型補酵素Q10を還元して還元型補酵素Q10を製造し、安定に保存する方法において、従来法は必ずしも満足できるものではなかった。このような状況下、上記問題を克服した汎用性の高い安定化方法、また、それを利用した保存方法、単離(結晶化)方法、ならびに、組成物の開発が望まれていた。また、高品質の還元型補酵素Q10を反応混合物として得るだけでなく、結晶としても好適に取得できるといった、種々の用途に利用しやすい製造方法の開発も望まれていた。
【特許文献1】特開平10−109933号公報
【特許文献2】WO01/52822A1
【非特許文献1】Journal of Lavelled Compounds,6巻,1970年,66−75
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記に鑑み、還元型補酵素Q10の簡便かつ好適な安定化方法、それを利用した保存方法、単離(結晶化)方法並びに組成物を提供することを目的とする。更には、上記安定化方法を利用した汎用性ある還元型補酵素Q10の製造方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、優れた安定化方法が確立できれば、その安定化方法を、保存方法、単離(結晶化、製造)するための方法、あるいは、組成物として好適に利用できるとの考えに至った。そこで、鋭意研究した結果、
(1)還元型補酵素Q10は、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で、分子酸素による酸化から好適に防護される。特に、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒の存在下に好適に防護される。
(2)還元型補酵素Q10は、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で結晶化することにより、酸化型補酵素Q10の副生が最小化された状態で結晶状態へ移行させ、高品質の還元型補酵素Q10結晶として得ることができる。特に、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒の存在下で、好適に結晶化できる。
(3)酸化型補酵素Q10をアスコルビン酸類を用いて還元して還元型補酵素Q10に変換した後、生成した還元型補酵素Q10をアスコルビン酸類の存在下で引き続き結晶化することにより、酸化型補酵素Q10の副生が最小化された状態で結晶状態へ移行させ、高品質の還元型補酵素Q10結晶として得ることができる。特に、アスコルビン酸類と1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性有機溶媒の存在下で、好適に実施しうる。
ことを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明は、還元型補酵素Q10をクエン酸類と共存させることを特徴とする還元型補酵素Q10の安定化方法に関する。
又、本発明は、還元型補酵素Q10とアスコルビン酸類とを共存させることにより還元型補酵素Q10を安定化する方法であって、該共存を1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒の存在下に行い、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒は全混合物中5重量%以上であることを特徴とする還元型補酵素Q10の安定化方法にも関する。
更に、本発明は、還元型補酵素Q10を、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類を含有する溶媒中で結晶化させることを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶化方法にも関する。
更に、本発明は、酸化型補酵素Q10をアスコルビン酸類を用いて還元して還元型補酵素Q10に変換した後、生成した還元型補酵素Q10をクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で引き続き結晶化することを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の製造方法にも関する。
【0014】
また、本発明は、前記方法により安定化された還元型補酵素Q10を50℃以下で保存する還元型補酵素Q10の保存方法にも関する。
本発明は、更に、還元型補酵素Q10及びクエン酸類を含有することを特徴とする、還元型補酵素Q10含有組成物にも関する。また、本発明は、還元型補酵素Q10、アスコルビン酸類、及び、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒を含有し、且つ、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒は全組成物中5重量%以上であることを特徴とする、還元型補酵素Q10含有組成物にも関する。
本発明によれば、安全で取り扱いやすい試剤を用い、又、その目的や用途に応じて、使用する溶媒も好適に選択することができ、還元型補酵素Q10の単離や更なる誘導化、食用や医薬用等の組成物としての利用にも適するなど、広範に利用できる方法であるため、その利点は大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施においては、還元型補酵素Q10から酸化型補酵素Q10への酸化を抑制し還元型補酵素Q10を安定化させる、または還元型補酵素Q10を安定に保存するため、さらに、高品質の還元型補酵素Q10結晶を取得するためにクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類を用いる。
クエン酸類としては、特に制限されず、クエン酸や、クエン酸イソプロピル、クエン酸エチル、クエン酸ブチル、クエン酸グリセリド等のクエン酸エステル、さらに、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等の塩を挙げることができる。特に、クエン酸、クエン酸イソプロピル、クエン酸グリセリドが好ましい。本発明の還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法、結晶化方法並びに組成物においては、その目的や用途に応じて、上記クエン酸類を自由に選択することができる。これらのクエン酸類は単独あるいは複数用いても良い。後述するアスコルビン酸類と併用してもさしつかえない。
【0016】
アスコルビン酸類としては、特に制限されず、例えば、アスコルビン酸のみならず、rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸等のアスコルビン酸に類するものを含み、更に、それらのエステル体や塩であってもかまわない。これらは、L体、D体、或いは、ラセミ体であっても良い。具体的には、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸2パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カルシウム、D−arabo−アスコルビン酸等を挙げることができる。本発明の還元型補酵素Q10結晶の製造方法においては、上記アスコルビン酸類をいずれも好適に使用しうるが、生成した還元型補酵素Q10との分離のしやすさ等を考慮すると、上記のアスコルビン酸関連化合物のうち、特に水溶性の高いものが好適に用いられ、最も好ましくは、入手容易性、価格等の観点から、L−アスコルビン酸、D−arabo−アスコルビン酸等のフリー体である。本発明の還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法、結晶化方法並びに組成物においては、その目的や用途に応じて、上記アスコルビン酸類を自由に選択することができる。これらのアスコルビン酸類は単独あるいは複数用いても良い。前述のクエン酸類と併用してもさしつかえない。
【0017】
本発明の還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法、結晶化方法及び組成物のいずれにもこれらの上記クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類を使用できる。また、本発明の還元型補酵素Q10結晶の製造方法においては、上記アスコルビン酸類を特に好ましく使用できる。必要に応じ、クエン酸類を併用してもよい。
還元型補酵素Q10が、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類と共存する形態、つまり還元型補酵素Q10とクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類を接触させる形態は特に制限されず、例えば、還元型補酵素Q10とクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類が共に固相として存在する場合、還元型補酵素Q10を含む液相にクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類のうち少なくとも一つが固相として存在する場合、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類のうち少なくとも一つを含む液相に還元型補酵素Q10が固相として存在する場合、還元型補酵素Q10とクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類が共に液相であるか又は、液相中に存在する場合等が挙げられる。上記液相は、均一であっても不均一(異なる複数の液相から成る)であってもさしつかえないが、好ましくは均一である。言うまでもなく、還元型補酵素Q10とクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類との接触効率の高い系が、酸化防護に好適であり、特に、還元型補酵素Q10とクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類が共に液相であるか又は液相中に存在する場合が好ましく、又、液相は均一であるのが好ましい。尚、言うまでもなく、還元型補酵素Q10を含む液相とは、還元型補酵素Q10の溶液であってもよいし、還元型補酵素Q10の融液であってもよい。
【0018】
本発明において使用しうる溶媒としては、特に制限されず、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができる。これらの溶媒は任意の2種以上の混合物としても使用することができる。
炭化水素類としては、特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。特に、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が好ましく、とりわけ、脂肪族炭化水素が好ましい。
【0019】
脂肪族炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数3〜20、特に炭素数5〜12、とりわけ炭素数5〜8のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプタン異性体(例えば、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン)、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、2−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、シクロヘキセン等を挙げることができる。ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプタン異性体(例えば、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン)、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン等が好ましく、特に、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプタン異性体(例えば、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン)、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が好ましい。一般に、ヘプタン類、ヘプタンはもちろん、炭素数7を有するメチルシクロヘキサン等の異種ヘプタンやそれらの複数混合物が好ましく用いられる。通常、炭素数5のペンタン類(例えば、ペンタン等)、炭素数6のヘキサン類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等)、炭素数7のヘプタン類(例えば、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等)等が好ましく用いられるが、最も好ましくは、ヘプタン類(例えば、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等)であり、とりわけヘプタンが好ましい。
【0020】
芳香族炭化水素としては、特に制限されないが、普通、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12、とりわけ炭素数7〜10のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、スチレン等を挙げることができる。トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン等が好ましく、特に、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、テトラリン等が好ましい。最も好ましくは、クメンである。
【0021】
ハロゲン化炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、非環状のものが好ましく用いられる。普通、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素が好ましく、特に塩素化炭化水素が好ましい。炭素数1〜6、特に炭素数1〜4、とりわけ炭素数1〜2のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等を挙げることができる。ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等が好ましく、特に、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等が好ましい。
【0022】
脂肪酸エステル類としては、特に制限されないが、例えば、プロピオン酸エステル、酢酸エステル、ギ酸エステル等を挙げることができる。特に、酢酸エステル、ギ酸エステルが好ましく、とりわけ、酢酸エステルが好ましい。特に制限されないが、一般に、エステル基としては、炭素数1〜8のアルキルエステル又はアラルキルエステル、好ましくは炭素数1〜6のアルキルエステル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましく用いられる。プロピオン酸エステルの具体例としては、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル等を挙げることができる。酢酸エステルの具体例としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等を挙げることができる。酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル等が好ましい。最も好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等であり、とりわけ、酢酸エチルが好ましい。ギ酸エステルの具体例としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸ペンチル等を挙げることができる。ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル等が好ましい。最も好ましくは、ギ酸エチルである。
【0023】
エーテル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数3〜20、特に炭素数4〜12、とりわけ炭素数4〜8のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が好ましく、特に、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が好ましい。最も好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等であり、とりわけ、ジオキサン、テトラヒドロフランが好ましい。
【0024】
ニトリル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数2〜20、特に炭素数2〜12、とりわけ炭素数2〜8のものが好適に用いられる。
具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、オクチルシアニド、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、トリデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ステアロニトリル、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニトリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチルシアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチルベンゾニトリル、ナフトニトリル、ビフェニルカルボニトリル、フェニルプロピオニトリル、フェニルブチロニトリル、メチルフェニルアセトニトリル、ジフェニルアセトニトリル、ナフチルアセトニトリル、ニトロフェニルアセトニトリル、クロロベンジルシアニド、シクロプロパンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロヘプタンカルボニトリル、フェニルシクロヘキサンカルボニトリル、トリルシクロヘキサンカルボニトリル等を挙げることができる。なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0025】
アルコール類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数1〜20、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数1〜6、なかでも炭素数1〜5の1価アルコールが好ましく、又、炭素数2〜5の2価アルコールが好ましい。これらアルコール類の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
【0026】
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール等が好ましく、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール等が好ましく、なかでもメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール等が好ましい。最も好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール等であり、なかでも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、が好ましく、とりわけ、エタノールが好ましい。
【0027】
2価アルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が好ましく、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコールが最も好ましい。
クエン酸類を使用した場合には、3価アルコールも好適に用いることができる。3価アルコールとしてはグリセリンが好ましい。
【0028】
脂肪酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等を挙げることができるが、ギ酸、酢酸が好ましく、最も好ましくは酢酸である。
ケトン類としては、特に制限されず、普通炭素数3〜6のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができ、特にアセトン、メチルエチルケトンが好ましく、アセトンが最も好ましい。
窒素化合物類としては、例えば、ニトロメタン、トリエチルアミン、ピリジン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
【0029】
上述の溶媒のうち、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類あるいはニトリル類、好ましくは水溶性のエーテル類あるいはニトリル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等)は、酸化防護効果の高い溶媒であるので、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類による還元型補酵素Q10の安定化効果を助成し、酸化型補酵素Q10の副生抑制に寄与しうる。
又、上記溶媒のうち、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒(好ましくは水溶性有機溶媒)は、アスコルビン酸類及び/又はクエン酸類による著しい酸化防護効果を発現し、本発明の効果を最大に発揮する。アスコルビン酸類を用いる場合は、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒(好ましくは水溶性有機溶媒)との共存が効果的であり、なかでも1価アルコールとの共存が特に効果的である。
【0030】
1価又は2価のアルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール等が好ましく、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール等が好ましく、なかでもメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール等が好ましい。最も好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール等であり、なかでも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、が好ましく、とりわけ、エタノールが好ましい。2価アルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が好ましく、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコールが最も好ましい。
【0031】
又、アルコール以外の水溶性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等の窒素化合物類、水等を挙げることができる。好ましくは、テトラヒドロフラン、アセトンであり、より好ましくはアセトンである。
【0032】
なかでも、食用、医薬用等に利用する場合、エタノール、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール(好ましくは、分子量300〜1000のポリエチレングリコール)等が特に好適である。言うまでもなく、これらの混合物も好適に使用できる。
以上述べた溶媒の使用量は、特に制限されず、期待すべき好適な効果や能力を生じうる量(すなわち、有効量)であればよいが、一般的には、全混合物中、例えば、普通5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上、とりわけ40重量%以上、なかんずく50重量%以上であり、中でも50重量%超である。
【0033】
とりわけ、アスコルビン酸類の場合には、前記溶媒の使用量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。
また、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の効果を最大限に発揮させるという観点からは、簡単な組成が好ましく、植物油及び/又は界面活性剤を実質的に含まないのが好ましい。
【0034】
まず、還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法について述べる。
本発明に使用するクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の使用量は、例えば、期待すべき好適な効果や能力を生じうる量(すなわち、有効量)であればよく、具体的には、還元型補酵素Q10が酸化型補酵素Q10に酸化されるのを防護しうる有効量であればよい。したがって、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の種類にもより、特に制限されないが、普通、還元型補酵素Q10が100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上である。溶媒が混在する場合には、クエン酸類又はアスコルビン酸類の種類にもよるが、溶媒100重量部に対して、普通0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上で用いるのが良い。
溶媒中での還元型補酵素Q10の酸化防護効果は、還元型補酵素Q10の高濃度溶液において更に高まる傾向もあるので、特に制限はされないが、溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10として通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上の濃度で取り扱う、又は、保存するとより効果的であろう。
【0035】
本発明の安定化方法の実施に際して、温度は特に制限されないが、安定化効果を最大限に発揮する為には、普通50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
従って、上記安定化方法により安定化された還元型補酵素Q10を50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下で保存する態様も本発明に含まれる。
以上、本発明によれば、上記クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の使用によって、還元型補酵素Q10は分子酸素による酸化から好適に防護され、安定化させることができる。したがって、抽出、水洗、濃縮、カラムクロマトグラフィー等の操作をする場合にも好適に実施することができるし、さらに、還元型補酵素Q10を安定に保存することができる。
【0036】
次に、本発明の結晶化方法について述べる。本発明では還元型補酵素Q10をクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類を含む溶媒中で結晶化させる。
結晶化に用いる還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により得ることができる。好ましくは、還元型補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10、或いは、酸化型補酵素Q10を還元することにより得られたものであり、より好ましくは、後述する本発明の還元反応を用いて得られたものである。
【0037】
本発明の結晶化法は、酸化型補酵素Q10を比較的多く含有する還元型補酵素Q10についても適用できるが、後述する還元方法等により調製された高純度の還元型補酵素Q10に対して特に有効である。本発明においては、従来公知の方法により得られた、あるいは、後述する還元方法等により製造された還元型補酵素Q10を含有する反応液や抽出液に含有される不純物の除去も兼ねて精製晶析するのが特に効果的である。これにより、共存する不純物、特に、通常除去するのが必ずしも容易ではない構造の類似した類縁化合物(具体的には、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q等)を母液に除去することができる。言うまでもなく、上記精製晶析は還元型補酵素Q10結晶を再精製するための、再結晶法としても非常に有効である。
【0038】
還元型補酵素Q10の結晶化は、冷却、濃縮、溶媒置換、貧溶媒の使用等の一般的な結晶化操作を、単独で用いて、又は、適宜組み合わせて、実施することができる。特に、冷却操作(冷却晶析)を用いる、又は、併用するのが好ましい。
本発明に使用するクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の使用量は、例えば、期待すべき好適な効果や能力を生じうる量(すなわち、有効量)であればよく、具体的には、還元型補酵素Q10が酸化型補酵素Q10に酸化されるのを防護しうる有効量であればよい。一般的に、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の種類にもより、特に制限されないが、普通、還元型補酵素Q10が100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、溶媒100重量部に対して普通0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上あればよい。上限は特に制限されないが、経済性も考慮して、普通10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下で良い。
【0039】
還元型補酵素Q10の結晶化は、強制流動下に実施するのが好ましい。過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、或いは、高品質化の観点から、単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m以上、好ましくは約0.1kW/m以上、より好ましくは約0.3kW/m以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法などを利用しても良い。
結晶化に際しては、過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、種晶を添加するのが好ましい。
【0040】
還元型補酵素Q10の結晶化温度(結晶化時の冷却温度)は、結晶化溶媒の種類や結晶化方法にもより異なるので、一律に規定できないが、例えば、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、とりわけ15℃以下、なかんずく10℃以下である。下限は、系の固化温度である。通常、0〜25℃程度で好適に実施できる。
得られる還元型補酵素Q10中への各種不純物の混入を最小化する、又は良好な性状のスラリーを得る目的で、晶析時の単位時間当たりの結晶の晶出量を制御することができる。好ましい単位時間当たりの晶出量は、例えば、単位時間当たり全晶出量の約50%量が晶出する速度以下(即ち、最大で50%量/時間)であり、好ましくは、単位時間当たり全晶出量の約25%量が晶出する速度以下(即ち、最大で25%量/時間)である。尚、冷却晶析における冷却速度は、普通、約40℃/時間以下であり、好ましくは約20℃/時間以下である。
【0041】
溶媒中での還元型補酵素Q10の酸化防護効果は、還元型補酵素Q10の高濃度溶液において更に高まる傾向もあるので、特に制限はされないが、溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10として通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上濃度で結晶化させるとより効果的であろう。結晶化の濃度の上限は、結晶化溶媒の種類や結晶化方法により異なるので、一律に規定できないが、例えば、結晶化終了時の結晶化溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10として、好ましくは約15重量部以下、より好ましくは約13重量部以下、とりわけ約10重量部以下である。普通およそ5〜10重量部で好適に実施できる。
【0042】
このようにして得られる還元型補酵素Q10の結晶は、好ましくは、例えば、遠心分離、加圧濾過、減圧濾過等による固液分離、更に、必要に応じてケーキ洗浄を行い、湿体として取得することができる。また、更に内部を不活性ガスに置換した減圧乾燥器(真空乾燥器)に湿体を仕込み、減圧下、乾燥し、乾体として取得することができるし、乾体として取得するのが好ましい。
【0043】
上記結晶化方法において使用しうる溶媒としては、前述の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができるが、最も好適に使用できる溶媒は、上述したように、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒である。特に好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、又は、水、或いはこれらの混合物であり、とりわけ、エタノール、アセトン、又はこれらの混合物である。
1価又は2価のアルコールあるいはケトン、好ましくは1価又は2価のアルコールあるいは水溶性のケトン(具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等、好ましくはエタノール、アセトン等)を用いた場合には、スラリー性状や結晶性状の良い還元型補酵素Q10の結晶を取得することができる。
【0044】
更に、還元型補酵素Q10の溶解性を好適に減じて高い収率を得る、スラリー性状を改善する、そして特に、注目すべきことであるが、固液分離性(濾過性)を大きく改善するという観点から、特に1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒に水を少量存在させるのが好ましい。1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒と水の割合は、溶媒の種類によっても異なるので一律に規定できず、実質的に上記1価又は2価アルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒を主成分とする溶媒であれば特に制限されないが、好ましくは、全溶媒100重量部に対する上記1価又は2価アルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒の割合が、普通、下限は、約90重量部、好ましくは約91重量部、より好ましくは約92重量部、とりわけ約93重量部であり、上限は約99.5重量部、好ましくは約99重量部、より好ましくは約98重量部、とりわけ約97重量部である。通常、約93〜97重量部で最も好適に実施できる。
【0045】
溶媒中での還元型補酵素Q10の酸化防護効果は、還元型補酵素Q10の高濃度溶液において更に高まる傾向もあるので、特に制限はされないが、溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10として通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上の濃度で結晶化させるとより効果的であろう。
本発明によれば、還元型補酵素Q10を、アスコルビン酸類及び/又はクエン酸類の存在下にて結晶化させることにより、望ましくない酸素の副反応が、最小化された状態で結晶状態に移行させ、高収率で高品質の還元型補酵素Q10結晶を得ることができる。
本発明の結晶化方法により得られる還元型補酵素Q10結晶は、極めて高品質であり、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は、98/2以上、好ましくは99/1以上が期待できる。
【0046】
次に、還元型補酵素Q10の製造方法について説明する。本発明では、酸化型補酵素Q10をアスコルビン酸類を用いて還元して還元型補酵素Q10に変換した後、生成した還元型補酵素Q10をクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で引き続き結晶化する(直接単離法(ワンポット法))。ここで「引き続き結晶化する」とは、還元反応により得られた反応液に対して、抽出・洗浄等の付加的な操作を行うことなく、結晶化を行うことを意味する。これにより、操作を簡便化且つ最短化して、分子酸素からの酸化を最小化することができる。
まず、還元反応について説明する。本発明では、還元剤として前述したアスコルビン酸類を使用する。
【0047】
上記のアスコルビン酸類の使用量は、特に制限されず、例えば、期待すべき好適な効果や能力を生じうる量(すなわち、有効量)であればよく、具体的には、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に変換しうる有効量であればよい。一般的に、酸化型補酵素Q10に対して、普通1倍モル量以上、好ましくは1.2倍モル量以上である。上限は特に制限されないが、経済性も考慮して、普通10倍モル量、好ましくは5倍モル量、より好ましくは3倍モル量である。
なお、クエン酸類は還元剤としては働かないが、続く結晶化時の安定化効果の観点から、クエン酸類を還元反応時から添加しておくこともできる。
【0048】
上記アスコルビン酸類を用いる還元は、還元型補酵素Q10の製造における反応促進剤(例えば、反応温度の低下、反応時間の短縮等)として塩基性物質や亜硫酸水素塩等の反応促進効果を有する添加剤を共存させて実施することができる。
上記の塩基性物質としては、特に制限されず、例えば、無機化合物、有機化合物を問わず使用しうる。上記無機化合物としては、特に制限されないが、例えば、金属(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩やアンモニア等を挙げることができる。その代表的なものとして、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等を挙げることができる。上記有機化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン等のアミン等を挙げることができる。上記の塩基性物質のうち、金属(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)の炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア等の無機化合物;トリエチルアミン等のアミン等の有機化合物といった弱い塩基性物質(弱塩基又は弱アルカリ)を特に好ましく使用できる。最も好ましくは、上記無機化合物であり、より好ましくは、上記の弱塩基性の無機化合物である。
【0049】
また、亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸水素塩等を好適なものとして挙げることができる。
上記添加剤の量は、期待する程度の反応の促進効果を発揮しうる量(有効量)であればよく、特に制限されないが、一般的に、経済性も考慮して、アスコルビン酸類に対して、普通20倍モル量以下、好ましくは10倍モル量以下、より好ましくは5倍モル量以下、特に2倍モル以下である。下限は、特に制限されないが、普通0.01倍モル量以上、好ましくは0.05倍モル量以上、より好ましくは0.1倍モル量以上、特に0.2倍モル量以上である。
【0050】
本発明において記載される還元反応は、強制流動下に実施するのが好ましい。単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m以上、好ましくは約0.1kW/m以上、より好ましくは約0.3kW/m以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法などを利用しても良い。
還元温度は、普通30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上で実施される。上限は系の沸点である。通常、30〜150℃程度、好ましくは40〜120℃程度、より好ましくは50〜100℃程度で好適に実施できる。
【0051】
反応濃度は、特に制限はないが、一般に、溶媒100重量部に対する酸化型補酵素Q10の重量として、普通約1重量部以上、好ましくは3重量部以上、より好ましくは10重量部以上、とりわけ15重量部以上である。上限は、特に制限されないが、普通約60重量部、好ましくは50重量部、より好ましくは40重量部、とりわけ30重量部である。一般に、約2〜30重量部、好ましくは約5〜30重量部、より好ましくは約10〜30重量部で好適に実施できる。
還元反応は、還元剤の種類や量によって異なり、一律に規定できないが、通常、48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは10時間以内、とりわけ5時間以内に完了させることができる。
【0052】
上記方法において還元反応を行った後、引き続き、反応液から上述した結晶化を行う。この場合、結晶化においては、上記結晶化方法において記載した有効量のクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類が系中に存在しておればよく、それらは還元反応時に添加したアスコルビン酸類(及びクエン酸類)であってよい。還元反応時に添加したアスコルビン酸類が残存し、結晶化時に共存するのが好ましい。上記還元型補酵素Q10の製造方法における結晶化方法の好ましい態様も、上述の結晶化方法において記載したものである。
【0053】
上記製造方法において使用しうる溶媒としては、前述の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができるが、最も好適に使用できる溶媒は、上述したように、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒である。特に好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、又は、水、或いはこれらの混合物であり、とりわけ、エタノール、アセトン、水又はこれらの混合物である。
1価又は2価のアルコールあるいはケトン、好ましくは1価又は2価のアルコールあるいは水溶性のケトン(具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等、好ましくはエタノール、アセトン等)を用いた場合には、スラリー性状や結晶性状の良い還元型補酵素Q10の結晶を取得することができる。
【0054】
更に、還元型補酵素Q10の溶解性を好適に減じて高い収率を得る、スラリー性状を改善する、そして特に、注目すべきことであるが、固液分離性(濾過性)を大きく改善するという観点から、結晶化に際して、特に1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒に水が少量存在するのが好ましい。1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒と水の割合は、溶媒の種類によっても異なるので一律に規定できず、実質的に上記1価又は2価アルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒を主成分とする溶媒であれば特に制限されないが、好ましくは、全溶媒100重量部に対する上記1価又は2価アルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒の割合が、普通、下限は、約90重量部、好ましくは約91重量部、より好ましくは約92重量部、とりわけ約93重量部であり、上限は約99.5重量部、好ましくは約99重量部、より好ましくは約98重量部、とりわけ約97重量部である。通常、約93〜97重量部で最も好適に実施できる。
【0055】
溶媒中での還元型補酵素Q10の酸化防護効果は、還元型補酵素Q10の高濃度溶液において更に高まる傾向もあるので、特に制限はされないが、溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10として通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上の濃度で結晶化させるとより効果的であろう。
本発明の製造方法により、極めて高品質、すなわち、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比が98/2以上、好ましくは99/1以上の還元型補酵素Q10結晶を簡便にしかも安定的に取得できる。
上記製造方法は、酸化型補酵素Q10を含有する還元型補酵素Q10から、還元型補酵素Q10の重量比をより高める精製方法としても極めて有効である。
【0056】
次に本発明の組成物について説明する。本発明における組成物の一つは、還元型補酵素Q10及びクエン酸類を含有する、還元型補酵素Q10含有組成物である。本発明の組成物においては、前述の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を溶媒として使用することができるが、上述の1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒(好ましくは水溶性有機溶媒)が特に好ましい。
又、本発明における組成物の他の一つは、還元型補酵素Q10、アスコルビン酸類、及び、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒を含有し、且つ、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性有機溶媒は全組成物中5重量%以上である、還元型補酵素Q10含有組成物である。
【0057】
上記本発明における組成物において、アスコルビン酸類及びクエン酸類は併用しうる。
本発明に使用するクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の使用量は、例えば、期待すべき好適な効果や能力を生じうる量(すなわち、有効量)であればよく、具体的には、還元型補酵素Q10が酸化型補酵素Q10に酸化されるのを防護しうる有効量であればよい。一般的に、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の種類にもより、特に制限されないが、普通、還元型補酵素Q10が100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、溶媒100重量部に対して普通0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上あればよい。上限は特に制限されないが、経済性も考慮して、普通10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下で良い。
本発明の組成物において使用しうる溶媒としては、前述の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができるが、最も好適に使用できる溶媒は、上述したように、1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒である。
本発明の組成物は、その目的や用途に応じて、好適な溶媒を選択・使用することができる。例えば、還元型補酵素Q10を単離する、あるいは、得られる反応混合物を更なる誘導化(次反応)に利用する観点からは、沸点が普通150℃以下、好ましくは100℃以下のものを使用するのが特に好ましい。また、食用、医薬用等に利用する場合、エタノール、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール(好ましくは、分子量300〜1000のポリエチレングリコール)等が好適である。
【0058】
上記の1価又は2価のアルコール及び/又はアルコール以外の水溶性溶媒(好ましくは水溶性有機溶媒)の使用量としては、一般的に、全組成物中、例えば、普通5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上、とりわけ40重量%以上、なかんずく50重量%以上であり、中でも50重量%超である。とりわけ、アスコルビン酸類の場合には、前記溶媒の使用量は60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。本発明の組成物を、食用、医薬用、好ましくは、食用、医薬用の経口投与のために利用する場合、全組成物中、例えば、下限、普通5重量%、好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%、特に好ましくは30重量%、とりわけ40重量%、なかんずく50重量%、上限、普通99重量%、好ましくは95重量%、より好ましくは90重量%、特に好ましくは85重量%、とりわけ80重量%、なかんずく70重量%であるのが非常に好ましい。
還元型補酵素Q10は、本発明の製造方法により得られた上記反応混合物として供しても良く、また、外部添加したものであってもよい。外部添加には、例えば、上記反応混合物から単離したもの又は別途合成単離したものを使用しうる。
【0059】
反応混合物が用いられる場合、簡便であるというメリットがある一方、身体に必ずしも好適でない、還元反応時に生じる副生物等が組成物中に同伴する可能性が懸念される。この観点から、還元型補酵素Q10としては、上記反応混合物を利用するよりも、外部添加したものを使用するのがより好ましい。
尚、言うまでもなく、本発明の組成物においては、還元型補酵素Q10以外の他の活性物質を共存させることを妨げない。他の活性物質としては、例えば、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、有機酸、糖類、ペプチド、タンパク質等が挙げられる。
【0060】
本発明の組成物は、そのまま使用することができるが、それをカプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、錠剤、シロップ、飲料等の経口投与形態に更に加工して好ましく使用しうるし、クリーム、坐薬、練り歯磨き等のための形態に更に加工しても使用しうる。特に好ましくは、カプセル剤であり、とりわけ、ソフトカプセルである。カプセル基材としては特に制限されず、牛骨、牛皮、豚皮、魚皮等を由来とするゼラチンをはじめとして、他の基材(例えば、食品添加物として使用しうるカラギーナン、アルギン酸等の海藻由来品やローカストビーンガムやグアーガム等の植物種子由来品等の増粘安定剤やセルロース類を含む製造用剤)も使用しうる。
【0061】
本発明の還元型補酵素Q10の安定化方法、保存方法、結晶化方法及び製造方法は、脱酸素雰囲気下で実施することにより、酸化防止効果を高めることができる。また本発明の組成物は脱酸素雰囲気下で調製又は保管されるのが好ましい。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
【0062】
上記安定化方法や上記組成物においては、所定期間の保存後、還元型補酵素Q10を、還元型補酵素Q10/(還元型補酵素Q10+酸化型補酵素Q10)の重量比として90重量%以上、好ましくは95重量%以上維持することが期待できる。上記保存期間は、例えば、1日以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは1ヶ月以上、特に半年以上、とりわけ1年以上、なかんずく2年以上である。
【0063】
本発明によれば、安全で取り扱いやすい試剤を用い、又、その目的や用途に応じて、使用する溶媒も好適に選択することができ、還元型補酵素Q10の単離や更なる誘導化、食用や医薬用等の組成物や経口投与形態としての利用にも適するなど、広範に利用できる方法であるため、その利点は大きい。
【発明の効果】
【0064】
本発明は、上述の構成よりなるので、還元型補酵素Q10の簡便かつ好適な安定化方法、それを利用した保存方法、単離(結晶化)方法並びに組成物を提供することができる。更には、上記安定化方法を利用した汎用性ある還元型補酵素Q10の製造方法も提供することができる。還元型補酵素Q10を安定化し、さらに安定に保存することができる。また、工業的規模での生産に適した方法で、高品質の還元型補酵素Q10を簡便且つ効率的に得ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、実施例中の還元型補酵素Q10の純度、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比は下記HPLC分析により求めたが、得られた還元型補酵素Q10の純度は本発明における純度の限界値を規定するものではなく、また、同様に、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比における還元型補酵素Q10の割合も、その上限値を規定するものではない。
【0066】
(HPLC分析条件)
カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径)、移動相;COH:CHOH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
【0067】
(実施例1)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Qを0.40%含有、純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノールを400g添加した。このエタノール溶液(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Qを0.40%含有)を含む)を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノール、で順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Qを0.21%含有、除去率48%)を得た(有姿収率95モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
【0068】
(実施例2)
100gの酸化型補酵素Q10を25℃で1000gのヘプタンに溶解させた。上記酸化型補酵素Q10ヘプタン溶液を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gを1000mlの水に溶解させた水溶液を上記ヘプタン溶液に徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上すべての操作は窒素雰囲気下で行った。このヘプタン溶液を減圧下で溶媒置換し、エタノール100重量部に対して還元型補酵素Q10が1重量部のエタノール溶液を調整した。
このエタノール溶液を分注し、エタノール100重量部に対して0.1重量部(還元型補酵素Q10の100重量部に対しては10重量部)となるように表1に記載したアスコルビン酸類又はクエン酸類を各々添加し、25℃、空気中で攪拌した。24時間後、エタノール溶液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表1に示す。なお、比較のため、無添加の場合の結果も合わせて示す。
【0069】
【表1】

【0070】
(参考例1)
実施例2と同様にしてエタノール溶液を調整し、表2の抗酸化剤をエタノール100重量部に対して0.1重量部(還元型補酵素Q10の100重量部に対しては10重量部)添加し、25℃、空気中で攪拌した。24時間後、エタノール溶液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
(実施例3)
実施例1で得られた還元型補酵素Q10結晶を用いて、エタノール100重量部に対して還元型補酵素Q10が5重量部のエタノール溶液を調整した。このエタノール溶液に、溶媒100重量部に対して1重量部(還元型補酵素Q10の100重量部に対しては20重量部)となるようにL−アスコルビン酸を添加し、50℃、空気中で攪拌した。50時間後、溶液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比、及び、L−アスコルビン酸の残存率を表3に示す。なお、比較のため、還元型補酵素Q10、及び、L−アスコルビン酸各々単独での結果も合わせて示す。これらの結果より、L−アスコルビン酸の存在による還元型補酵素Q10の安定化効果は、空気酸化により生成する酸化型補酵素Q10がL−アスコルビン酸による還元作用に基づくもので安定化されているわけではないことが示唆された。
【0073】
【表3】

【0074】
(実施例4)
エタノール100重量部に対し、実施例1で得られた還元型補酵素Q10結晶1重量部、表4に記載したアスコルビン酸類1重量部を添加し、45℃、空気中で攪拌した。24時間後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表4に示す。なお、比較のため、無添加の場合の結果も合わせて示す。
【0075】
【表4】

【0076】
(比較例1)
グリセリン100重量部に対し、実施例1で得られた還元型補酵素Q10結晶1重量部、表5に記載したアスコルビン酸類1重量部を添加し、45℃、空気中で攪拌した。24時間後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表5に示す。なお、比較のため、無添加の場合の結果も合わせて示す。
【0077】
【表5】

【0078】
(実施例5)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Qを0.40%含有、純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノール330gと水70g添加した。このエタノール溶液(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Qを0.40%含有)を含む)を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは実施例1と比較して非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノール、で順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97g(還元型補酵素Qを0.24%含有、除去率41%)を得た(有姿収率97モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
【0079】
(実施例6)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸、30gの炭酸水素ナトリウムを加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。3時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノール330gと水70g添加した。このエタノール溶液を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは実施例1と比較して非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノール、で順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97gを得た(有姿収率97モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
【0080】
(実施例7)
1000gのアセトン中に、100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Qを0.40%含有、純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸、30gの炭酸水素ナトリウムを加え、50℃にて攪拌し、還元反応を行った。45時間後、同温を保持しながらアセトンを400g添加した。このアセトン溶液(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Qを0.40%含有)を含む)を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷アセトン、冷水、冷アセトンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93g(還元型補酵素Qを0.23%含有、除去率42%)を得た(有姿収率93モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4、還元型補酵素Q10の純度は99.3%であった。
【0081】
(実施例8)
使用した酸化型補酵素Q10の純度が98.4%(酸化型補酵素Qを1.0%、酸化型補酵素Qを0.30%、及び、酸化型補酵素Qを0.04%含有)であること以外は、実施例5とまったく同条件下にて還元反応、エタノール、水の添加を行い、50℃の還元型補酵素Q10の含水エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Qを1.00%、還元型補酵素Qを0.30%、及び、還元型補酵素Qを0.04%含有)。この含水エタノール溶液を攪拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら、3℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは実施例1に比べ非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Qを0.52%含有、除去率48%、還元型補酵素Q及び還元型補酵素Qは検出せず)を得た(収率97モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
【0082】
(実施例9)
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに溶解させた。上記酸化型補酵素Q10ヘプタン溶液を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gを1000mlの水に溶解させた水溶液を上記ヘプタン溶液に徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上すべての操作は窒素雰囲気下で行った。このヘプタン相を減圧下で溶媒置換し、エタノール100重量部に対して還元型補酵素Q10が7重量部の50℃のエタノール溶液を得た。このエタノール溶液にクエン酸イソプロピルを10g(エタノール100重量部に対し0.7重量部、還元型補酵素Q10の100重量部に対しは10重量部)を添加し、空気中で攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら2℃まで冷却することにより、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノール、で順に洗浄し(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。
【0083】
(実施例10)
実施例9と同様にして、還元型補酵素Q10(純度99.4%)のヘプタン溶液を得た。このヘプタン溶液を減圧下で溶媒置換し、エタノール100重量部に対して還元型補酵素Q10が7重量部の50℃のエタノール溶液を得た。このエタノール溶液にL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルを10g(エタノール100重量部に対し0.7重量部、還元型補酵素Q10の100重量部に対し10重量部)を添加し、空気中で攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら2℃まで冷却することにより、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノール、で順に洗浄し(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.4/0.6、還元型補酵素Q10の純度は99.1%であった。
【0084】
(実施例11)
晶析の際、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステルを1g(エタノール100重量部に対し0.07重量部、還元型補酵素Q10の100重量部に対し1重量部)添加する以外はすべて実施例10と同様に行い、白色の乾燥結晶95gを得た(収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は98.5/1.5、還元型補酵素Q10の純度は98.2%であった。
【0085】
(比較例2)
晶析の際、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステルを添加しないこと以外はすべて実施例10と同様に行い、白色の乾燥結晶95gを得た(収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は96.4/3.6、還元型補酵素Q10の純度は96.1%であった。
【0086】
(実施例12)
実施例9で得られた還元型補酵素Q10の結晶2gを表6に記載したアスコルビン酸類又はクエン酸類0.2gと共に乳鉢ですりつぶし、混合した。25℃、空気中で4日放置後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表2に示す。なお、比較のため、無添加の場合の結果も合わせて示す。
【0087】
【表6】

【0088】
(実施例13)
ポリエチレングリコールを50℃に加温し、実施例1で得られた還元型補酵素Q10の結晶とL−アスコルビン酸を同温にてポリエチレングリコールに添加し、常法により下記成分よりなるゼラチンのソフトカプセル製剤を得た。
還元型補酵素Q10 60重量部
L−アスコルビン酸 100重量部
ポリエチレングリコール 1000重量部
【0089】
(実施例14)
ポリエチレングリコールを50℃に加温し、実施例1で得られた還元型補酵素Q10の結晶、L−アスコルビン酸及びエタノールを同温にてポリエチレングリコールに添加し、常法により下記成分よりなるカラギーナンのソフトカプセル製剤を得た。
還元型補酵素Q10 30重量部
L−アスコルビン酸 1重量部
ポリエチレングリコール 950重量部
エタノール 50重量部
【0090】
(実施例15)
ポリエチレングリコールを50℃に加温し、実施例1で得られた還元型補酵素Q10の結晶とクエン酸を同温にてポリエチレングリコールに添加し、常法により下記成分よりなるゼラチンのソフトカプセル製剤を得た。
還元型補酵素Q10 60重量部
クエン酸 10重量部
ポリエチレングリコール 1000重量部
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、上述の構成よりなるので、還元型補酵素Q10の簡便かつ好適な安定化方法、それを利用した保存方法、単離(結晶化)方法並びに組成物を提供することができる。更には、上記安定化方法を利用した汎用性ある還元型補酵素Q10の製造方法も提供することができる。還元型補酵素Q10を安定化し、さらに安定に保存することができる。また、工業的規模での生産に適した方法で、高品質の還元型補酵素Q10を簡便且つ効率的に得ることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元型補酵素Q10を、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸を含有する溶媒中で結晶化させることを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶化方法。
【請求項2】
クエン酸類が、クエン酸、そのエステル及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1記載の結晶化方法。
【請求項3】
溶媒100重量部に対し、クエン酸類が0.01重量部以上存在することを特徴とする請求項1又は2記載の結晶化方法。
【請求項4】
アスコルビン酸類が、アスコルビン酸、rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸、それらのエステル及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1記載の結晶化方法。
【請求項5】
溶媒100重量部に対し、アスコルビン酸類が0.01重量部以上存在することを特徴とする請求項1又は4記載の結晶化方法。
【請求項6】
溶媒が、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類、硫黄化合物類、及び、水からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項7】
溶媒が、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒である請求項6記載の結晶化方法。
【請求項8】
1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒は、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性有機溶媒と水との混合溶媒として用いられ、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性有機溶媒の割合が90〜99.5重量%である請求項7記載の結晶化方法。
【請求項9】
1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒が、エタノール、アセトン、あるいはこれらの混合物である請求項7又は8記載の結晶化方法。
【請求項10】
溶媒が、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類及びニトリル類からなる群より選択される少なくとも一種である請求項6記載の結晶化方法。
【請求項11】
結晶化は、冷却、濃縮、溶媒置換又は貧溶媒の使用を、単独又は組み合わせて実施する請求項1〜10のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項12】
結晶化温度は、25℃以下である請求項11記載の結晶化方法。
【請求項13】
結晶化は冷却晶析を用いる、又は、併用する請求項11又は12記載の結晶化方法。
【請求項14】
冷却速度は、40℃/時間以下である請求項13記載の結晶化方法。
【請求項15】
溶媒100重量部に対し、還元型補酵素Q10を1重量部以上含有する濃度において、還元型補酵素Q10を結晶化させる請求項1〜14のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項16】
溶媒100重量部に対し、還元型補酵素Q10を5〜10重量部含有する濃度において、還元型補酵素Q10を結晶化させる請求項15記載の結晶化方法。
【請求項17】
結晶化は、単位容積当たりの撹拌所要動力として0.01kW/m以上の強制流動下に実施する請求項1〜16のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項18】
結晶化に際して種晶を添加する請求項1〜17のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項19】
脱酸素雰囲気下に行う請求項1〜18のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項20】
不純物を母液に除去する請求項1〜19のいずれかに記載の結晶化方法。
【請求項21】
除去される不純物が、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q、及び、還元型補酵素Qからなる群より選択される少なくとも一種である請求項20記載の結晶化方法。
【請求項22】
酸化型補酵素Q10をアスコルビン酸類を用いて還元して還元型補酵素Q10に変換した後、生成した還元型補酵素Q10をクエン酸類及び/又はアスコルビン酸類の存在下で引き続き結晶化することを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の製造方法。
【請求項23】
アスコルビン酸類が、アスコルビン酸、rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸、それらのエステル及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項22記載の製造方法。
【請求項24】
還元反応に用いるアスコルビン酸類の使用量は、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に変換しうる有効量である請求項22又は23記載の製造方法。
【請求項25】
有効量は、酸化型補酵素Q10に対して、1倍モル量以上である請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
塩基性物質又は亜硫酸水素塩の共存下に還元を行う請求項22〜25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項27】
結晶化に際して、溶媒100重量部に対し、クエン酸類及び/又はアスコルビン酸類が0.01重量部以上存在することを特徴とする請求項22〜26のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
使用する溶媒が、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類、硫黄化合物類及び水からなる群より選択される少なくとも一種である請求項22〜27のいずれかに記載の製造方法。
【請求項29】
使用する溶媒が、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒である請求項28記載の製造方法。
【請求項30】
結晶化は、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性有機溶媒と水との混合溶媒中で行われ、1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性有機溶媒の割合が90〜99.5重量%である請求項29記載の製造方法。
【請求項31】
1価又は2価のアルコール類及び/又はアルコール類以外の水溶性溶媒又は水溶性有機溶媒が、エタノール、アセトン、水又はこれらの混合物である請求項29又は30記載の製造方法。
【請求項32】
結晶化温度は、25℃以下である請求項31記載の製造方法。
【請求項33】
30℃以上で還元反応を行った後、25℃以下で結晶化を行う請求項22〜32のいずれかに記載の製造方法。
【請求項34】
結晶化は、冷却晶析を用いる、又は併用する請求項22〜33のいずれかに記載の製造方法。
【請求項35】
冷却晶析における冷却速度は、40℃/時間以下である請求項34記載の製造方法。
【請求項36】
脱酸素雰囲気下に行う請求項22〜35のいずれかに記載の製造方法。
【請求項37】
不純物を母液に除去する請求項22〜36のいずれかに記載の製造方法。
【請求項38】
除去される不純物が、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q、及び、還元型補酵素Qからなる群より選択される少なくとも一種である請求項37記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−8681(P2006−8681A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165781(P2005−165781)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【分割の表示】特願2003−535771(P2003−535771)の分割
【原出願日】平成14年10月10日(2002.10.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】