部分めっきライン
【課題】広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止した、コンパクトで安価な、部分めっきラインを提供する。
【解決手段】回転ドラム101を備えた第1めっき装置10aと第2めっき装置10bを備え、第1めっき装置10aの導出案内ロール3aから導出された第1面が部分めっきされた金属条1aを、水平方向に隣接して配置した第2めっき装置10bの導入案内ロール2bへと搬送案内するために、第1めっき装置10aの導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、案内ロール4によりそのパスラインを転向して搬送案内する。
【解決手段】回転ドラム101を備えた第1めっき装置10aと第2めっき装置10bを備え、第1めっき装置10aの導出案内ロール3aから導出された第1面が部分めっきされた金属条1aを、水平方向に隣接して配置した第2めっき装置10bの導入案内ロール2bへと搬送案内するために、第1めっき装置10aの導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、案内ロール4によりそのパスラインを転向して搬送案内する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料に部分めっきを施すための回転ドラム法による部分めっきラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル家電等の分野で端子、コネクタ等の電子部品は、小型化が急速に進む一方、自動車の分野でもエレクトロニクス化が進み、端子、コネクタの使用量が急速に増えつつある。また、例えば、自動車の分野では、端子、コネクタ等の電子部品は、信頼性の点からデジタル家電に比べればそのサイズが大きくされている。即ち、端子、コネクタは寸法において、2極化が進みつつある。
【0003】
特に、大型の端子、コネクタ用のめっき素材は、当然に、幅も広く、厚さも厚くなっている。
【0004】
従来、端子、コネクタ等の電子部品は、金属材料に金、錫、はんだ等をめっきして使用されることが多い。
【0005】
めっきを施す目的は、耐食性を向上させ、コンタクトの接触抵抗を減少させ、はんだ付け性を向上させる等の目的があり、目的に応じて各種めっきが施される。
【0006】
そして、多種の機能が電子部品に要求される場合には、その機能に対応して異種のめっきが一つの電子部品に施される。例えば、接触抵抗を減少させる部位には金めっきが施されるが、金自体が高価な金属であるため必要最小限の部位にしか金めっきは行わない。他の部位は耐食性、はんだ付け性の向上を目的として、錫又ははんだめっきが施される。
【0007】
即ち、部分めっき材として、部分的に金めっきと、錫又ははんだめっきが施されるが、その部分めっきは、近年の電子部品の小型化、高機能化に対応し、高い位置精度が要求される。
【0008】
部分めっきを行う方法としては、条材とされる金属材料、即ち、金属条にストライプめっきを施してから後でプレス加工する方法(前めっき)と、金属条をプレス加工後必要部分にスポットめっきする方法(後めっき)がある。
【0009】
金属条にストライプめっきする方法としては、テープマスク法と回転ドラムを用いた方法が一般的である。
【0010】
テープマスク法とは、金属条に下地めっきを施した後めっきが必要ない部分にマスキングテープを貼り、めっき後マスキングテープを剥がす方法である。この方法だと、高価なマスキングテープを使い捨てで使用することになり、製造コストが高い欠点がある。なお、特殊なケースとして、下地めっきを施さずにマスキングテープを貼り、直接金属条にめっきを行うこともある。
【0011】
一方、回転ドラムを用いる方法は、めっき液に浸漬された回転ドラムに金属条を巻きつけ、その外側からめっきを施さない部位をエンドレスマスキングベルトにて覆い、露出した部分のみにめっきを行う。
【0012】
つまり、図4に示すように、めっき槽100中に回転ドラム101と電極102を配置し、槽中にはめっき液103が収容され、また、回転ドラム101の周りにエンドレスマスキングベルト104を巻回し、回転ドラム101とマスキングベルト104の間に金属条1を供給して部分めっきする。
【0013】
このエンドレスマスキングベルト104は、繰り返し使用され、マスキングテープ法に比べて安価に部分めっきを施すことができる。
【0014】
このように、回転ドラム法はマスキングテープ法に比べて、安価にめっきが可能である一方、その形態から一つのセルで片面しかめっきできない(例えば非特許文献1参照)。
【0015】
例えば、回転ドラムを用いたストライプめっき方法に関して、特許文献1において、表裏同時にめっきを行う技術が提案されているが、この方法では、めっきを施す部分と施さない部分の境界にてめっきの「にじみ」が完全には防止できず、回転ドラムを用い両面同時にめっきを行うことは実現できていない。
【0016】
そのため、金属条1の両面にめっきを施す場合は、単一のめっき装置(セル)しか保有しない部分めっきラインでは、ラインを2回通し、片面づつめっきを行っていた。
【0017】
また、図5に示すように、二つのめっき装置(第1及び第2セル)10a、10bを連続して水平に且つ直線的に配置して有する部分めっきライン10においては、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、この片面にめっきがされた金属条1aを180°反転させて第2のめっきセル10bを通し、金属条1aの他面にめっきを施すことにより、両面にめっきが施された金属条1bを得ることが可能である。
【0018】
しかしながら、この部分めっきライン10では、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、この片面にめっきがされた金属条1aを180°反転させることが必要であり、特に、金属条1が広幅、厚板であると、180°反転が難しく、無理に反転させたとしても、以下の問題が発生した。
【0019】
つまり、
(1)180°の反転後の金属条が第2セルに均等に接触せず、幅方向の片端のみが第2セルの回転ドラムに強く当り、金属条表面に疵、或いは、折れが発生する。
(2)幅方向の片端のみが第2セルの回転ドラムに強く当る結果、金属条が蛇行し、パスラインが安定せず、めっき位置精度が悪くなる。
【0020】
そこで、図6に示すような部分めっきライン10が考えられる。この部分めっきライン10でも、図5に示すラインと同様に、二つのめっき装置(第1及び第2めっきセル)10a、10bを連続して水平に且つ直線的に配置して有しており、第1のめっきセル10aを出た金属条1は、案内ロール4a、4bにより360°転向され、第2のめっきセル10bへと通される。斯かる構成により、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、第2のめっきセル10bにて金属条1aの他面にめっきが行われる。
【0021】
しかしながら、この構成では、案内ロール4a、4bにより転向された金属条1(1a、1b)が、図面上位置Pにおいて交差してしまい、これを避けるために条材幅方向のパス欄を斜めにすることが必要となる。
【0022】
特に、広幅、厚板の金属条を、途中で斜めにパスラインを変更するには条材に無理がかかり、180°反転と同様の疵、折れ、めっき位置精度不良を起こす原因となる。
【特許文献1】特開昭63−53286号公報
【非特許文献1】日本鉄鋼協会編「鉄鋼便覧第3版第VI巻」、出版1982年、p413〜414
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止した、コンパクトで安価な、部分めっきラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的は本発明に係る部分めっきラインにて達成される。要約すれば、本発明は、第1の態様によると、めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、水平方向に直線的に並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、水平方向に隣接して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
前記第2めっき装置から導出された両面に部分めっきが行われた金属条を、巻取り手段へと送給するために、前記第2めっき装置の外周囲に配置された搬送ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきラインを提供する。
【0025】
本発明は、第2の態様によると、めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、垂直方向に整列して並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、垂直方向に整列して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきラインを提供する。
【0026】
上記本発明にて、一実施態様によると、前記案内ロールは、金属条を180°転向する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の部分めっきラインは、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。又、コンパクトで安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る部分めっきラインを図面に則して更に詳しく説明する。
【0029】
実施例1
図1に、本発明の部分めっきライン10の一実施例を示す。
【0030】
本実施例によると、部分めっきライン10は、二つのめっき装置、即ち、第1めっきセル10a及び第2めっきセル10bが、金属条1のパスラインが上流側から下流側へと直線状となるように、水平に且つ直線的に連続して配置される。
【0031】
第1めっきセル10a及び第2めっきセル10bは、同様の構成とされ、従来のめっき装置と同様の構成とされる。
【0032】
つまり、第1及び第2めっきセル10(10a、10b)は、めっき槽100(100a、100b)中に回転ドラム101(101a、101b)と電極102(102a、102b)を配置し、めっき槽100中にはめっき液103(103a、103b)が収容され、また、回転ドラム101(101a、101b)の周りに配置した複数の担持ロール105にてエンドレスマスキングベルト104(104a、104b)を巻回し、回転ドラム101(101a、101b)とマスキングベルト104(104a、104b)の間に金属条1を供給して部分めっきする。
【0033】
本実施例によると、第1及び第2めっきセル10(10a、10b)の回転ドラム101(101a、101b)は、互いに逆方向に回転している。本実施例では、第1めっきセル10aの回転ドラム101aは、反時計方向に回転し、第2めっきセル10bの回転ドラム101bは、時計方向に回転している。
【0034】
本実施例の部分めっきライン10によると、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1めっきセル10aに対しては、図中、回転ドラム101aの左側上方に位置した第1導入案内ロール2aにて案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。第1面に部分めっきされた金属条1aは、図中、回転ドラム101aの右側上方に位置した第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出される。そして、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第2めっきセル10bに対して、図中、回転ドラム101bの右側上方に位置した第2導入案内ロール2bに案内されて導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。第2面に部分めっきされた金属条1bは、図中、回転ドラム102aの左側上方に位置した第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出される。
【0035】
本実施例の特徴ある構成によれば、第2めっきセル10bの上方で、即ち、第2めっきセル10bの第2導入案内ロール2b及び第2導出案内ロール3bの上方で、かつ、第2めっきセル10bの第2導入案内ロール2bより、第2めっきセル10bへと延びるパスラインの下流側、即ち、図中第2導入案内ロール2bの右側上方に、案内ロール4が配置される。
【0036】
従って、第1めっきセル10aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0037】
又、本実施例によると、第2めっきセル10bの下方外周囲に、複数個の、本実施例では、4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)が配置されている。従って、第2めっきセル10bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、これら4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル10bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0038】
つまり、本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル10aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出され、パスラインの下流側に配置された案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0039】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出され、4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル10bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0040】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0041】
従って、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0042】
実施例2
図2に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0043】
実施例1の部分めっきライン10が、2つの第1及び第2めっきセル10a、10bを水平方向に並置した横型とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル10a、10bを垂直方向に配置した縦型とした点において大きく異なる。
【0044】
第1及び第2めっきセル10a、10bの構成は、実施例1の部分めっきライン10における第1及び第2めっきセル10a、10bと同じ構成とされるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用する。
【0045】
本実施例によると、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、第1めっきセル10aの下方に配置した第2めっきセル10bへと搬送案内するために、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aのパスラインの下流側に、即ち、図中右側にて第1のめっきセル10aの側部に沿って下方へと案内する。そのために、本実施例では、第1面が部分めっきされた金属条1aを第2めっきセル10bの方に搬送案内するための、複数個の、即ち、本実施例では2個の第1及び第2の案内ロール4(4a、4b)が配置される。
【0046】
従って、第1めっきセル10aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0047】
又、本実施例によると、実施例1にては使用された第2めっきセル10bの下方外周囲の4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)は配置されていない。
【0048】
従って、第2めっきセル10bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、巻取り手段202へと直ちに送給され、巻き取られる。
【0049】
本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル10aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出され、パスラインの下流側に配置された第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。第1面が部分めっきされた金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10bへと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0050】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出され、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0051】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0052】
従って、広幅、厚板の金属条1であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0053】
上記実施例では、上方に配置した第1めっきセル10aから、下方に配置した第2めっきセル10bへと金属条1を供給搬送するものとして説明したが、その逆としても良い。
【0054】
つまり、図3に示すように、下方に第1めっきセル10aを配置し、上方に第2めっきセル10bを配置し、下方に配置した第1めっきセル10aから、上方に配置した第2めっきセル10bへと金属条1を供給搬送する構成とすることもできる。この実施例においても、第1及び第2めっきセル10a、10bの構成、及び、全体の構成は、上記実施例の部分めっきライン10と同じであるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、前の説明を援用する。
【0055】
この図3に示す構成でも、図2に示す構成の部分めっきラインと同様の作用効果を達成することができる。
【0056】
実施例3
図7〜図9に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0057】
実施例1、2の部分めっきライン10が、ストライプめっきを行う2つのストライプめっき装置、即ち、第1及び第2めっきセル10a、10bを水平方向に並置した構成とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル10a、10bの代わりに、二つのスポットめっきを行うスポットめっき装置20(20a、20b)(図9)が並置された点で異なる。
【0058】
先に述べたように、自動車用コネクタはデジタル家電用コネクタに比べればサイズが大きくピッチも大きい。また、信頼性の観点から金も厚くめっきされる。従って、自動車用コネクタには金めっきを施す面積を、より小さくすることがコスト的に重要となり,スポットめっきが好適に用いられる。
【0059】
先ず、図7及び図8を参照して、スポットめっき装置20について説明する。
【0060】
本実施例にて、スポットめっき装置20は、回転ドラムである支持体ドラム101とドラム内側に設置されためっき液射出機構30と、めっき液が溜められためっき槽100とを備えている。
【0061】
金属条1は、巻き出し手段201から導入案内ロール2により支持体ドラム101へと送給される。金属条1は、その長手方向に複数のキャリア穴11が穿設されており、支持体ドラム101のドラム本体13の外周面に設けられた突起部13aに係合し、ドラム本体13の外周部に沿って搬送される。そして、ドラム本体13に形成されためっき孔13bを介して射出装置30からめっき液を供給することにより金属条1にスポットめっきが施される。その後、導出案内ロール3から導出され、巻き取り手段202に巻き取られる。
【0062】
また、本実施例のスポットめっき装置20は、支持体ドラム101に巻回された金属条1を支持体ドラム101に押圧するために、複数の支持ローラ42及び調整ローラ43に所定の張力で張架されたベルト41を備えた押圧機構40が設けられている。
【0063】
上記構成のスポットめっき装置20においても、ストライプめっきと同様に支持体ドラム101である回転ドラムを用いるので、広幅条の両面にスポットめっきする際には、上述したストライプめっきと同様の問題がある。従って、本発明に従った部分めっきラインの概念をスポットめっきにおいても適用することにより、実施例1、2で説明したと同様の効果を得ることができる。
【0064】
次に、図9を参照して、スポットめっき装置20を使用する部分めっきラインについて説明する。
【0065】
図9に、本実施例の部分めっきライン10を示す。全体構成は、実施例1と同様とされる。即ち、本実施例によると、部分めっきライン10は、二つのスポットめっき装置、即ち、第1めっきセル20a及び第2めっきセル20bが、金属条1のパスラインが上流側から下流側へと直線状となるように、水平に且つ直線的に連続して配置される。
【0066】
第1めっきセル20a及び第2めっきセル20bは、同様の構成とされ、図7及び図8に示す従来のスポットめっき装置20である。
【0067】
本実施例によると、第1及び第2めっきセル20(20a、20b)の回転ドラム101(101a、101b)は、互いに逆方向に回転している。本実施例では、第1めっきセル20aの回転ドラム101aは、時計方向に回転し、第2めっきセル20bの回転ドラム101bは、反時計方向に回転している。
【0068】
本実施例の部分めっきライン10によると、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1めっきセル20aに対しては、第1導入案内ロール2aにて案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出される。そして、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第2めっきセル20bに対して、第2導入案内ロール2bに案内されて導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出される。
【0069】
本実施例によれば、第1めっきセル20aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、案内ロール4(4a、4b、4c、4d)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0070】
又、本実施例によると、第2めっきセル20bの概略下方外周囲に、複数個の、本実施例では、4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)が配置されている。従って、第2めっきセル20bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、これら4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル20bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0071】
つまり、本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル20aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出され、パスラインの下流側に配置された案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0072】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出され、4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル20bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0073】
斯かる構成の本実施例の部分めっきライン10は、実施例1の場合と同様に、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0074】
従って、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0075】
実施例4
図10に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0076】
実施例3の部分めっきライン10が、2つの第1及び第2めっきセル20a、20bを水平方向に並置した横型とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル20a、20bを垂直方向に配置した縦型とした点において大きく異なる。
【0077】
つまり、本実施例は、実施例2で説明した部分ラインに、実施例3で説明したスポットめっき装置20(20a、20b)を適用した場合である。
【0078】
第1及び第2めっきセル20a、20bの構成は、実施例3の部分めっきライン10における第1及び第2めっきセル20a、20bと同じ構成とされるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例3の説明を援用する。
【0079】
本実施例によると、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、第1めっきセル20aの下方に配置した第2めっきセル20bへと搬送案内するために、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aのパスラインの下流側に、即ち、図中右側にて第1のめっきセル20aの側部に沿って下方へと案内する。そのために、本実施例では、第1面が部分めっきされた金属条1aを第2めっきセル20bの方に搬送案内するための、複数個の、即ち、本実施例では2個の第1及び第2の案内ロール4(4a、4b)が配置される。
【0080】
従って、第1めっきセル20aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル20b内へと導入される。
【0081】
又、本実施例によると、実施例3にては使用された第2めっきセル20bの下方外周囲の4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)は配置されていない。
【0082】
従って、第2めっきセル20bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、巻取り手段202へと直ちに送給され、巻き取られる。
【0083】
本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル20aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出され、パスラインの下流側に配置された第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。第1面が部分めっきされた金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル20bへと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0084】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出され、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0085】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0086】
従って、広幅、厚板の金属条1であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0087】
上記実施例では、上方に配置した第1めっきセル20aから、下方に配置した第2めっきセル20bへと金属条1を供給搬送するものとして説明したが、実施例3で説明したと同様に、下方に第1めっきセル20aを配置し、上方に第2めっきセル20bを配置し、下方に配置した第1めっきセル20aから、上方に配置した第2めっきセル20bへと金属条1を供給搬送する構成とすることもできる。この場合も、上記実施例の部分めっきラインと同様の作用効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る部分めっきラインの一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図3】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図4】部分めっきラインを構成する部分めっき装置の概略構成図である。
【図5】従来の部分めっきラインの概略構成図である。
【図6】従来の部分めっきラインの概略構成図である。
【図7】部分めっきラインを構成するスポットめっき装置の一実施例を説明する斜視図である。
【図8】支持体ドラムの斜視図である。
【図9】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図10】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
1(1a、1b) 金属条
2(2a、2b) 導入案内ロール
3(3a、3b) 導出案内ロール
4(4a、4b) 案内ロール
5(5a、5b) 搬送ロール
10 部分めっきライン
10(10a、10b) ストライプめっき装置(めっきセル)
20(20a、20b) スポットめっき装置(めっきセル)
100(100a、100b) めっき槽
101(101a、101b) 回転ドラム
102(102a、102b) 電極
103(103a、103b) めっき液
104(104a、104b) エンドレスマスキングベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料に部分めっきを施すための回転ドラム法による部分めっきラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル家電等の分野で端子、コネクタ等の電子部品は、小型化が急速に進む一方、自動車の分野でもエレクトロニクス化が進み、端子、コネクタの使用量が急速に増えつつある。また、例えば、自動車の分野では、端子、コネクタ等の電子部品は、信頼性の点からデジタル家電に比べればそのサイズが大きくされている。即ち、端子、コネクタは寸法において、2極化が進みつつある。
【0003】
特に、大型の端子、コネクタ用のめっき素材は、当然に、幅も広く、厚さも厚くなっている。
【0004】
従来、端子、コネクタ等の電子部品は、金属材料に金、錫、はんだ等をめっきして使用されることが多い。
【0005】
めっきを施す目的は、耐食性を向上させ、コンタクトの接触抵抗を減少させ、はんだ付け性を向上させる等の目的があり、目的に応じて各種めっきが施される。
【0006】
そして、多種の機能が電子部品に要求される場合には、その機能に対応して異種のめっきが一つの電子部品に施される。例えば、接触抵抗を減少させる部位には金めっきが施されるが、金自体が高価な金属であるため必要最小限の部位にしか金めっきは行わない。他の部位は耐食性、はんだ付け性の向上を目的として、錫又ははんだめっきが施される。
【0007】
即ち、部分めっき材として、部分的に金めっきと、錫又ははんだめっきが施されるが、その部分めっきは、近年の電子部品の小型化、高機能化に対応し、高い位置精度が要求される。
【0008】
部分めっきを行う方法としては、条材とされる金属材料、即ち、金属条にストライプめっきを施してから後でプレス加工する方法(前めっき)と、金属条をプレス加工後必要部分にスポットめっきする方法(後めっき)がある。
【0009】
金属条にストライプめっきする方法としては、テープマスク法と回転ドラムを用いた方法が一般的である。
【0010】
テープマスク法とは、金属条に下地めっきを施した後めっきが必要ない部分にマスキングテープを貼り、めっき後マスキングテープを剥がす方法である。この方法だと、高価なマスキングテープを使い捨てで使用することになり、製造コストが高い欠点がある。なお、特殊なケースとして、下地めっきを施さずにマスキングテープを貼り、直接金属条にめっきを行うこともある。
【0011】
一方、回転ドラムを用いる方法は、めっき液に浸漬された回転ドラムに金属条を巻きつけ、その外側からめっきを施さない部位をエンドレスマスキングベルトにて覆い、露出した部分のみにめっきを行う。
【0012】
つまり、図4に示すように、めっき槽100中に回転ドラム101と電極102を配置し、槽中にはめっき液103が収容され、また、回転ドラム101の周りにエンドレスマスキングベルト104を巻回し、回転ドラム101とマスキングベルト104の間に金属条1を供給して部分めっきする。
【0013】
このエンドレスマスキングベルト104は、繰り返し使用され、マスキングテープ法に比べて安価に部分めっきを施すことができる。
【0014】
このように、回転ドラム法はマスキングテープ法に比べて、安価にめっきが可能である一方、その形態から一つのセルで片面しかめっきできない(例えば非特許文献1参照)。
【0015】
例えば、回転ドラムを用いたストライプめっき方法に関して、特許文献1において、表裏同時にめっきを行う技術が提案されているが、この方法では、めっきを施す部分と施さない部分の境界にてめっきの「にじみ」が完全には防止できず、回転ドラムを用い両面同時にめっきを行うことは実現できていない。
【0016】
そのため、金属条1の両面にめっきを施す場合は、単一のめっき装置(セル)しか保有しない部分めっきラインでは、ラインを2回通し、片面づつめっきを行っていた。
【0017】
また、図5に示すように、二つのめっき装置(第1及び第2セル)10a、10bを連続して水平に且つ直線的に配置して有する部分めっきライン10においては、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、この片面にめっきがされた金属条1aを180°反転させて第2のめっきセル10bを通し、金属条1aの他面にめっきを施すことにより、両面にめっきが施された金属条1bを得ることが可能である。
【0018】
しかしながら、この部分めっきライン10では、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、この片面にめっきがされた金属条1aを180°反転させることが必要であり、特に、金属条1が広幅、厚板であると、180°反転が難しく、無理に反転させたとしても、以下の問題が発生した。
【0019】
つまり、
(1)180°の反転後の金属条が第2セルに均等に接触せず、幅方向の片端のみが第2セルの回転ドラムに強く当り、金属条表面に疵、或いは、折れが発生する。
(2)幅方向の片端のみが第2セルの回転ドラムに強く当る結果、金属条が蛇行し、パスラインが安定せず、めっき位置精度が悪くなる。
【0020】
そこで、図6に示すような部分めっきライン10が考えられる。この部分めっきライン10でも、図5に示すラインと同様に、二つのめっき装置(第1及び第2めっきセル)10a、10bを連続して水平に且つ直線的に配置して有しており、第1のめっきセル10aを出た金属条1は、案内ロール4a、4bにより360°転向され、第2のめっきセル10bへと通される。斯かる構成により、第1のめっきセル10aにて金属条1の片面にめっきを施した後、第2のめっきセル10bにて金属条1aの他面にめっきが行われる。
【0021】
しかしながら、この構成では、案内ロール4a、4bにより転向された金属条1(1a、1b)が、図面上位置Pにおいて交差してしまい、これを避けるために条材幅方向のパス欄を斜めにすることが必要となる。
【0022】
特に、広幅、厚板の金属条を、途中で斜めにパスラインを変更するには条材に無理がかかり、180°反転と同様の疵、折れ、めっき位置精度不良を起こす原因となる。
【特許文献1】特開昭63−53286号公報
【非特許文献1】日本鉄鋼協会編「鉄鋼便覧第3版第VI巻」、出版1982年、p413〜414
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止した、コンパクトで安価な、部分めっきラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的は本発明に係る部分めっきラインにて達成される。要約すれば、本発明は、第1の態様によると、めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、水平方向に直線的に並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、水平方向に隣接して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
前記第2めっき装置から導出された両面に部分めっきが行われた金属条を、巻取り手段へと送給するために、前記第2めっき装置の外周囲に配置された搬送ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきラインを提供する。
【0025】
本発明は、第2の態様によると、めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、垂直方向に整列して並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、垂直方向に整列して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきラインを提供する。
【0026】
上記本発明にて、一実施態様によると、前記案内ロールは、金属条を180°転向する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の部分めっきラインは、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。又、コンパクトで安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る部分めっきラインを図面に則して更に詳しく説明する。
【0029】
実施例1
図1に、本発明の部分めっきライン10の一実施例を示す。
【0030】
本実施例によると、部分めっきライン10は、二つのめっき装置、即ち、第1めっきセル10a及び第2めっきセル10bが、金属条1のパスラインが上流側から下流側へと直線状となるように、水平に且つ直線的に連続して配置される。
【0031】
第1めっきセル10a及び第2めっきセル10bは、同様の構成とされ、従来のめっき装置と同様の構成とされる。
【0032】
つまり、第1及び第2めっきセル10(10a、10b)は、めっき槽100(100a、100b)中に回転ドラム101(101a、101b)と電極102(102a、102b)を配置し、めっき槽100中にはめっき液103(103a、103b)が収容され、また、回転ドラム101(101a、101b)の周りに配置した複数の担持ロール105にてエンドレスマスキングベルト104(104a、104b)を巻回し、回転ドラム101(101a、101b)とマスキングベルト104(104a、104b)の間に金属条1を供給して部分めっきする。
【0033】
本実施例によると、第1及び第2めっきセル10(10a、10b)の回転ドラム101(101a、101b)は、互いに逆方向に回転している。本実施例では、第1めっきセル10aの回転ドラム101aは、反時計方向に回転し、第2めっきセル10bの回転ドラム101bは、時計方向に回転している。
【0034】
本実施例の部分めっきライン10によると、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1めっきセル10aに対しては、図中、回転ドラム101aの左側上方に位置した第1導入案内ロール2aにて案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。第1面に部分めっきされた金属条1aは、図中、回転ドラム101aの右側上方に位置した第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出される。そして、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第2めっきセル10bに対して、図中、回転ドラム101bの右側上方に位置した第2導入案内ロール2bに案内されて導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。第2面に部分めっきされた金属条1bは、図中、回転ドラム102aの左側上方に位置した第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出される。
【0035】
本実施例の特徴ある構成によれば、第2めっきセル10bの上方で、即ち、第2めっきセル10bの第2導入案内ロール2b及び第2導出案内ロール3bの上方で、かつ、第2めっきセル10bの第2導入案内ロール2bより、第2めっきセル10bへと延びるパスラインの下流側、即ち、図中第2導入案内ロール2bの右側上方に、案内ロール4が配置される。
【0036】
従って、第1めっきセル10aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0037】
又、本実施例によると、第2めっきセル10bの下方外周囲に、複数個の、本実施例では、4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)が配置されている。従って、第2めっきセル10bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、これら4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル10bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0038】
つまり、本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル10aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出され、パスラインの下流側に配置された案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0039】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出され、4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル10bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0040】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0041】
従って、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0042】
実施例2
図2に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0043】
実施例1の部分めっきライン10が、2つの第1及び第2めっきセル10a、10bを水平方向に並置した横型とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル10a、10bを垂直方向に配置した縦型とした点において大きく異なる。
【0044】
第1及び第2めっきセル10a、10bの構成は、実施例1の部分めっきライン10における第1及び第2めっきセル10a、10bと同じ構成とされるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用する。
【0045】
本実施例によると、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、第1めっきセル10aの下方に配置した第2めっきセル10bへと搬送案内するために、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aのパスラインの下流側に、即ち、図中右側にて第1のめっきセル10aの側部に沿って下方へと案内する。そのために、本実施例では、第1面が部分めっきされた金属条1aを第2めっきセル10bの方に搬送案内するための、複数個の、即ち、本実施例では2個の第1及び第2の案内ロール4(4a、4b)が配置される。
【0046】
従って、第1めっきセル10aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0047】
又、本実施例によると、実施例1にては使用された第2めっきセル10bの下方外周囲の4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)は配置されていない。
【0048】
従って、第2めっきセル10bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、巻取り手段202へと直ちに送給され、巻き取られる。
【0049】
本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル10aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル10aから導出され、パスラインの下流側に配置された第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル10bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。第1面が部分めっきされた金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10bへと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0050】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル10bから導出され、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0051】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0052】
従って、広幅、厚板の金属条1であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0053】
上記実施例では、上方に配置した第1めっきセル10aから、下方に配置した第2めっきセル10bへと金属条1を供給搬送するものとして説明したが、その逆としても良い。
【0054】
つまり、図3に示すように、下方に第1めっきセル10aを配置し、上方に第2めっきセル10bを配置し、下方に配置した第1めっきセル10aから、上方に配置した第2めっきセル10bへと金属条1を供給搬送する構成とすることもできる。この実施例においても、第1及び第2めっきセル10a、10bの構成、及び、全体の構成は、上記実施例の部分めっきライン10と同じであるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、前の説明を援用する。
【0055】
この図3に示す構成でも、図2に示す構成の部分めっきラインと同様の作用効果を達成することができる。
【0056】
実施例3
図7〜図9に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0057】
実施例1、2の部分めっきライン10が、ストライプめっきを行う2つのストライプめっき装置、即ち、第1及び第2めっきセル10a、10bを水平方向に並置した構成とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル10a、10bの代わりに、二つのスポットめっきを行うスポットめっき装置20(20a、20b)(図9)が並置された点で異なる。
【0058】
先に述べたように、自動車用コネクタはデジタル家電用コネクタに比べればサイズが大きくピッチも大きい。また、信頼性の観点から金も厚くめっきされる。従って、自動車用コネクタには金めっきを施す面積を、より小さくすることがコスト的に重要となり,スポットめっきが好適に用いられる。
【0059】
先ず、図7及び図8を参照して、スポットめっき装置20について説明する。
【0060】
本実施例にて、スポットめっき装置20は、回転ドラムである支持体ドラム101とドラム内側に設置されためっき液射出機構30と、めっき液が溜められためっき槽100とを備えている。
【0061】
金属条1は、巻き出し手段201から導入案内ロール2により支持体ドラム101へと送給される。金属条1は、その長手方向に複数のキャリア穴11が穿設されており、支持体ドラム101のドラム本体13の外周面に設けられた突起部13aに係合し、ドラム本体13の外周部に沿って搬送される。そして、ドラム本体13に形成されためっき孔13bを介して射出装置30からめっき液を供給することにより金属条1にスポットめっきが施される。その後、導出案内ロール3から導出され、巻き取り手段202に巻き取られる。
【0062】
また、本実施例のスポットめっき装置20は、支持体ドラム101に巻回された金属条1を支持体ドラム101に押圧するために、複数の支持ローラ42及び調整ローラ43に所定の張力で張架されたベルト41を備えた押圧機構40が設けられている。
【0063】
上記構成のスポットめっき装置20においても、ストライプめっきと同様に支持体ドラム101である回転ドラムを用いるので、広幅条の両面にスポットめっきする際には、上述したストライプめっきと同様の問題がある。従って、本発明に従った部分めっきラインの概念をスポットめっきにおいても適用することにより、実施例1、2で説明したと同様の効果を得ることができる。
【0064】
次に、図9を参照して、スポットめっき装置20を使用する部分めっきラインについて説明する。
【0065】
図9に、本実施例の部分めっきライン10を示す。全体構成は、実施例1と同様とされる。即ち、本実施例によると、部分めっきライン10は、二つのスポットめっき装置、即ち、第1めっきセル20a及び第2めっきセル20bが、金属条1のパスラインが上流側から下流側へと直線状となるように、水平に且つ直線的に連続して配置される。
【0066】
第1めっきセル20a及び第2めっきセル20bは、同様の構成とされ、図7及び図8に示す従来のスポットめっき装置20である。
【0067】
本実施例によると、第1及び第2めっきセル20(20a、20b)の回転ドラム101(101a、101b)は、互いに逆方向に回転している。本実施例では、第1めっきセル20aの回転ドラム101aは、時計方向に回転し、第2めっきセル20bの回転ドラム101bは、反時計方向に回転している。
【0068】
本実施例の部分めっきライン10によると、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1めっきセル20aに対しては、第1導入案内ロール2aにて案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出される。そして、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第2めっきセル20bに対して、第2導入案内ロール2bに案内されて導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出される。
【0069】
本実施例によれば、第1めっきセル20aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、案内ロール4(4a、4b、4c、4d)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入される。
【0070】
又、本実施例によると、第2めっきセル20bの概略下方外周囲に、複数個の、本実施例では、4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)が配置されている。従って、第2めっきセル20bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、これら4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル20bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0071】
つまり、本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル20aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出され、パスラインの下流側に配置された案内ロール4により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル10b内へと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0072】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは、第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出され、4個の第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)により、第2めっきセル20bの下方外周囲を通り、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0073】
斯かる構成の本実施例の部分めっきライン10は、実施例1の場合と同様に、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0074】
従って、広幅、厚板の金属条であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0075】
実施例4
図10に、本発明の部分めっきライン10の他の実施例を示す。
【0076】
実施例3の部分めっきライン10が、2つの第1及び第2めっきセル20a、20bを水平方向に並置した横型とされたのに対して、本実施例では、第1及び第2めっきセル20a、20bを垂直方向に配置した縦型とした点において大きく異なる。
【0077】
つまり、本実施例は、実施例2で説明した部分ラインに、実施例3で説明したスポットめっき装置20(20a、20b)を適用した場合である。
【0078】
第1及び第2めっきセル20a、20bの構成は、実施例3の部分めっきライン10における第1及び第2めっきセル20a、20bと同じ構成とされるので、同じ構成及び機能をなす部材には同じ参照番号を付し、実施例3の説明を援用する。
【0079】
本実施例によると、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aを、第1めっきセル20aの下方に配置した第2めっきセル20bへと搬送案内するために、第1導出案内ロール3aから導出された金属条1aのパスラインの下流側に、即ち、図中右側にて第1のめっきセル20aの側部に沿って下方へと案内する。そのために、本実施例では、第1面が部分めっきされた金属条1aを第2めっきセル20bの方に搬送案内するための、複数個の、即ち、本実施例では2個の第1及び第2の案内ロール4(4a、4b)が配置される。
【0080】
従って、第1めっきセル20aから第1導出案内ロール3aにより導出された第1面に部分めっきされた金属条1aは、この第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル20b内へと導入される。
【0081】
又、本実施例によると、実施例3にては使用された第2めっきセル20bの下方外周囲の4個の、第1、第2、第3、第4搬送ロール5(5a、5b、5c、5d)は配置されていない。
【0082】
従って、第2めっきセル20bの第2導出案内ロール3bから導出された、両面に部分めっきが施された金属条1bは、巻取り手段202へと直ちに送給され、巻き取られる。
【0083】
本実施例の上記構成とされる部分めっきライン10によれば、巻出し手段201から供給される金属条1は、第1導入案内ロール2aにて第1めっきセル20aへと案内されて導入され、金属条1の第1面に部分めっきが施される。次いで、第1面に部分めっきされた金属条1aは、第1導出案内ロール3aにより案内されて第1めっきセル20aから導出され、パスラインの下流側に配置された第1及び第2案内ロール4(4a、4b)により略180°転向され、第2めっきセル20bへの第2導入案内ロール2bへと案内される。第1面が部分めっきされた金属条1aは、上述のように、第2導入案内ロール2bに案内されて、第2めっきセル20bへと導入され、金属条1aの他の第2面に部分めっきされる。
【0084】
次いで、第2面に部分めっきされた金属条1bは第2導出案内ロール3bにより案内されて第2めっきセル20bから導出され、巻取り手段202へと送給され、巻き取られる。
【0085】
斯かる構成の部分めっきライン10は、金属条1(1a、1b)のパスラインが直線状とされ、途中で斜めにパスラインを変更する必要がなく、また、金属条1(1a、1b)が交差することもない。更には、斯かる構成の部分めっきライン10は、その構成がコンパクトで、設備費も安価である。
【0086】
従って、広幅、厚板の金属条1であっても、1回の通板で、金属条1の両面を無理なく部分めっきすることが可能で、疵、折れの発生を防止することができる。
【0087】
上記実施例では、上方に配置した第1めっきセル20aから、下方に配置した第2めっきセル20bへと金属条1を供給搬送するものとして説明したが、実施例3で説明したと同様に、下方に第1めっきセル20aを配置し、上方に第2めっきセル20bを配置し、下方に配置した第1めっきセル20aから、上方に配置した第2めっきセル20bへと金属条1を供給搬送する構成とすることもできる。この場合も、上記実施例の部分めっきラインと同様の作用効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る部分めっきラインの一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図3】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図4】部分めっきラインを構成する部分めっき装置の概略構成図である。
【図5】従来の部分めっきラインの概略構成図である。
【図6】従来の部分めっきラインの概略構成図である。
【図7】部分めっきラインを構成するスポットめっき装置の一実施例を説明する斜視図である。
【図8】支持体ドラムの斜視図である。
【図9】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【図10】本発明に係る部分めっきラインの他の実施例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0089】
1(1a、1b) 金属条
2(2a、2b) 導入案内ロール
3(3a、3b) 導出案内ロール
4(4a、4b) 案内ロール
5(5a、5b) 搬送ロール
10 部分めっきライン
10(10a、10b) ストライプめっき装置(めっきセル)
20(20a、20b) スポットめっき装置(めっきセル)
100(100a、100b) めっき槽
101(101a、101b) 回転ドラム
102(102a、102b) 電極
103(103a、103b) めっき液
104(104a、104b) エンドレスマスキングベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、水平方向に直線的に並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、水平方向に隣接して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
前記第2めっき装置から導出された両面に部分めっきが行われた金属条を、巻取り手段へと送給するために、前記第2めっき装置の外周囲に配置された搬送ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきライン。
【請求項2】
めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、垂直方向に整列して並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、垂直方向に整列して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきライン。
【請求項3】
前記案内ロールは、金属条を180°転向することを特徴とする請求項1又は2の部分めっきライン。
【請求項1】
めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、水平方向に直線的に並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、水平方向に隣接して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
前記第2めっき装置から導出された両面に部分めっきが行われた金属条を、巻取り手段へと送給するために、前記第2めっき装置の外周囲に配置された搬送ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきライン。
【請求項2】
めっき液が収容されためっき槽中に回転ドラムを配置し、前記回転ドラムの周りに金属条を供給して部分めっきする第1めっき装置と第2めっき装置であって、前記回転ドラムの回転方向が互いに反対方向とされる、垂直方向に整列して並置された第1めっき装置と第2めっき装置と、
前記第1めっき装置の導出案内ロールから導出された第1面が部分めっきされた金属条を、垂直方向に整列して配置した前記第2めっき装置の導入案内ロールへと搬送案内するために、前記第1めっき装置の前記導出案内ロールから導出された金属条を、そのパスラインを転向して搬送案内するための案内ロールと、
を有することを特徴とする部分めっきライン。
【請求項3】
前記案内ロールは、金属条を180°転向することを特徴とする請求項1又は2の部分めっきライン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−283125(P2006−283125A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104700(P2005−104700)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(593148077)冨士電子工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(593148077)冨士電子工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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