説明

部分めっき装置

【課題】部分めっき装置におけるフープの位置決め装置に関するものであり、フープが変更となりピン穴の位置、及び径が変更になっても、容易にピンの位置、及び径を変更することができるものである。
【解決手段】回転のつまみ19a,19bを回転させるとピン1a,1bをフープ38の長手方向と直角方向に容易に動かすことができ、また、回転つまみ13a,13bを回転させるとピン1a,1bをフープ38の長手方向に容易に動かすことができる。このような構成にすることにより、フープ38が変更になりフープ38のピン穴40の位置が変更になっても、容易にピン1a,1bの位置を変更することができる。また、ピン1a,1bを変更すると容易にピン径を変更することができる構成をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に被めっき体となるフープに部分的にめっきを行う部分めっき装置におけるフープの位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、部分めっきを行ったフープの概略図である。
【0003】
図4において、38はフープであり、39はフープ38上の一部にめっきを施した部分めっきエリアであり、40はフープ38に設けたピン穴である。このような部分めっきを行う装置を図5に示す。
【0004】
図5は、部分めっき装置の概略図である。
【0005】
図5において、22はめっき液を入れておくリザーブタンク、23は配管、24はめっき液を送るポンプ、25は配管、26は部分めっきを行うための下側スパージャーで、フープ38にめっきを行う部分のみ穴があけられ、部分めっきを行うようになっている。27は配管、28はめっき液を送るポンプ、29は配管、30は部分めっきを行うための上側スパージャーで、フープ38にめっきを行う部分のみ穴があけられている。32は配管、33はシリンダー、34はガイドで、シリンダー33を動作させると、上側スパージャー30が上下し、フープ38を上側スパージャー30と下側スパージャー26で挟むようになっている。35aはフープを送るための送りローラで、モータ(図示せず)が取り付けられている。35bはフープ38を送りローラ35aで挟むための押えローラである。36は位置決め装置、37は筐体である。
【0006】
次に、動作について説明する。まず、送りローラ35aを回転させてフープ38を所定の量送り、位置決め装置36でフープ38を固定し、シリンダー33を動作させ、上側スパージャー30と下側スパージャー26で挟み、ポンプ24,28を動作させ、下側スパージャー26と上側スパージャー30にめっき液を送り、電気エネルギーを印加してフープ38の部分めっきエリア39にめっきする。
【0007】
従来、この種の部分めっき装置の位置決め装置は、図6、図7、図8に示されるような構成を有していた。
【0008】
図6は従来の位置決め装置の平面図、図7は従来の位置決め装置の正面図、図8は従来の位置決め装置の側面図である。
【0009】
図6、図7、図8において、41はフープ38のピン穴40用のピンである。42はブロック、43はピン41を上下するためのシリンダー、44はブラケット、45はピン41をガイドするためのブロック、46はプレート、47はブロック、48はブロック、49はフープ受けで、プレート46、ブロック47,48でフープ受け49をガイドしている。50はつまみで、このつまみ50を回転させると、ピン41をフープの長手方向に移動できる。51はつまみ50をロックさせるためのナット、53はブロック、52は引張ばねである。
【0010】
動作について説明すると、シリンダー43を動作させ、ピン41を上下させ、フープ38のピン穴40にピン41を入れ、フープ38を固定するような構造になっていた。
【0011】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特許第2551531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の構成では、部分めっき装置に投入するフープ38のピン穴40が位置変更、または、径変更になると位置決め装置36の部品を交換する必要が発生するため、交換時間が必要である。また、余分な位置決め装置の部品が必要なため費用が高価になるという課題を有していた。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、位置決め装置の部品の交換を不要にした位置決め装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、特にピンをフープの長手方向とフープの長手方向に対して直角の方向に自由に調整できる機能とピンの径を容易に変更できる機能を備えた位置決め装置を有する部分めっき装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の位置決め装置を有する部分めっき装置は、ピンをフープの長手方向とフープの長手方向に対して直角の方向に自由に調整できる機能、及び、ピンの径を容易に変更できる機能を設けることにより、フープ形状が変更になりピン穴の位置変更、及び、径変更になっても、容易にピンの位置変更、及び、径変更を行うことができるため、位置決め装置を変更する時間が不要となる。また、余分な位置決め装置の部品が不要となるため装置費用を安くできるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における部分めっき装置におけるフープの位置決め装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の位置決め装置の平面図、図2は、本発明の位置決め装置の正面図、図3は、本発明の位置決め装置の側面図である。
【0018】
図1、図2、図3において、1a,1bはフープ38のピン穴40に入れるピン、2はピン1a,1bを取り付けるためのシャフト、3はピン1a,1b、シャフト2を上下するためのシリンダー、4はシャフト2とシリンダー3を連結するブロック、5aは圧縮ばね、5bは押え、ピン1a,1bがフープのピン穴40に入らなかった時、圧縮ばね5aは圧縮してピン1a,1bが逃げるようになっている。6はシャフト2をガイドするブロック、7a,7bはブラケット、9はルール、10はレール9上を動くブロック、11はブラケット、12は位置決め装置を載置しているプレート、13aは回転つまみ、14aはねじであり、回転つまみ13aを回すとねじ14aが回転し、ブロック18が動く。また、13bは回転つまみ、14bはねじであり、回転つまみ13bを回すとねじ14bが回転し、ブロック18が動く。15aは回転つまみ13aを回転しないようにするためのつまみ、15bは回転つまみ13bを回転しないようにするためのつまみ、16aはフープ受け、16bはフープが浮き上がらないようにするためのフープ押え、17はねじ14a,14bのバックラッシュを取り除くための引張ばね、8はレール、18はレール8上を動くブロック、19aは回転つまみ、20aはねじであり、回転つまみ19aを回すとねじ20aが回転し、ブロック18が動く。また、19bは回転つまみ、20bはねじであり、回転つまみ19bを回すとねじ20bが回転しブロック18が動く。21aは回転つまみ19aを回転しないようにするためのつまみ、21bは回転つまみ19bを回転しないようにするためのつまみ、20はブラケット、21はねじ20a,20bのバックラッシュを取り除くための引張ばねで構成されている。
【0019】
以上のような構成において、回転つまみ19a,19bを回転させるとピン1a,1bをフープ38の長手方向と直角方向に容易に動かすことができる。また、回転つまみ13a,13bを回転させるとピン1a,1bをフープの長手方向に容易に動かすことができる。また、ピン1a,1bを交換することによりピン径も容易に変更することができる。このような構成にすることにより、フープ38が変更になりフープ38のピン穴40の位置、及び径が変更になっても、容易にピン1a,1bの位置、及び径を変更することができるため、位置決め装置を交換する時間が不要となる。また、余分な位置決め装置の部品が不要となるため費用が安価になるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のフープの位置決め装置を有する部分めっき装置は、フープの位置決め用のピン穴、及び径が変更になっても、容易にピンの位置、及び径を変更することができるため、位置決め装置を交換する時間が不要となる。また、余分な位置決め装置の部品が不要となるため費用が安価になるため、各種の被めっき体を部分めっきする部分めっき装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の位置決め装置の平面図
【図2】本発明の位置決め装置の正面図
【図3】本発明の位置決め装置の側面図
【図4】部分めっきを行ったフープの概略図
【図5】部分めっき装置の概略図
【図6】従来の位置決め装置の平面図
【図7】従来の位置決め装置の正面図
【図8】従来の位置決め装置の側面図
【符号の説明】
【0022】
1a,1b ピン
2 シャフト
3 シリンダー
4 ブロック
5a 圧縮ばね
5b 押え
6 ブロック
7a,7b ブラケット
8 レール
9 レール
10 ブロック
11 ブラケット
12 プレート
13a,13b 回転つまみ
14a,14b ねじ
15a,15b つまみ
16a フープ受け
16b フープ押え
17 引張ばね
18 ブロック
19a,19b 回転つまみ
20a,20b ねじ
21a,21b つまみ
22 リザーブタンク
23 配管
24 ポンプ
25 配管
26 下側スパージャー
27 配管
28 ポンプ
29 配管
30 上側スパージャー
32 配管
33 シリンダー
34 ガイド
35a 送りローラ
35b 押えローラ
36 位置決め装置
37 筐体
38 フープ
39 部分めっきエリア
40 ピン穴
41 ピン
42 ブロック
43 シリンダー
44 ブラケット
45 ブロック
46 プレート
47 ブロック
48 ブロック
49 フープ受け
50 つまみ
51 ナット
52 引張ばね
53 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき体となるフープの長手方向と直角の方向の両側にある上記フープを位置決めする位置決めピンを有し、上記ピンの2本がそれぞれ独立した位置決め装置を有する部分めっき装置。
【請求項2】
位置決めピンがフープの長手方向に自由に調整できる機構を備えた位置決め装置を有する請求項1に記載の部分めっき装置。
【請求項3】
位置決めピンがフープの長手方向と直角方向に自由に調整できる機構を備えた位置決め装置を有する請求項1に記載の部分めっき装置。
【請求項4】
フープの位置決め用のピン穴径が変わっても、容易に位置決めピンを変更できる位置決め装置を有する請求項1に記載の部分めっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−348355(P2006−348355A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177243(P2005−177243)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】