説明

部分的に手触り面を備えた弾性グリップおよびその製造方法

【課題】道具の弾性グリップのグリップ機能および審美的外観を改善した方法または手段を提供する。
【解決手段】隆起した部分のパターン14を有して、手触り感のある隆起部16の表面を備えた道具のハンドル12用の弾性を有する成形グリップ10である。隆起した手触り部は、中間の滑らかな部分の上方に0.5mm〜2mmの範囲で広がっている。各隆起部16の面積は、中間の領域の面積の100〜200パーセント(%)の範囲である。隆起部のパターンは、例えば、多角形、円形、長円形および楕円形のパターンを含むことができる。弾性グリップを製造する方法は、成形型で隆起部16を形成するステップと、成形型から取り外した後に、隆起部16に手触り面を形成するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、デヴィッド キース ギルによって、2010年12月2日に出願された「部分的に手触り面を備えた弾性グリップ」という名称の仮特許出願第61/418,964号の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、参照することによってその全体がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、道具やスポーツ用具のような衝撃を与えるハンドルに採用されるタイプの弾性グリップに関するものである。弾性グリップは、ハンマー、手斧、斧の柄などのハンドツールの中実ハンドルまたは中空ハンドル、或いは、テニスラケット、ゴルフクラブなどのスポーツ用具の中実ハンドルや中空ハンドルの上に組み付けられる。上述した用途の弾性グリップは、個々に採用される道具のハンドルのグリップ部を保持する手に、弾力感または「ソフト」感を付与するために、ゴム、エラストマー材料、或いは、高可塑化プラスチック材料などの弾性のある材料から成形されている。
【0003】
従来、弾性のある成形ハンドグリップは、求められるグリップの仕上げや外観に応じて、成形型から手触り感のある表面、または、滑らかな表面すなわち「光沢のある」表面を提供してきた。また、グリップに審美的外観を付与するために、または、装飾的なデザインロゴを提供するために、窪んだパターンすなわち窪んだデザインを備えたグリップ部分を提供することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
滑らかなグリップまたは「光沢のある」グリップの長所は、十分に柔軟性のある材料を採用した場合、「粘着」感、すなわち、「ネバネバ」感をユーザーに示すことによって、例えば、ハンマーやゴルフクラブの場合のように、道具を、力とスピードでスウィングして使用する時に、ユーザーの手によるグリップの摩擦保持力を改善することにある。
【0005】
このように、道具のために弾性グリップのグリップ機能および審美的外観を改善する方法または手段を提供することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゴム、エラストマーまたは高可塑化プラスチックのような弾性のある材料から成形され、表面に、わずかに隆起した交互の領域または分散した領域のパターンを有するタイプの、道具のハンドル用の弾性グリップを開示する。隆起部の表面は、例えば、成形後のバフ仕上げにより、隆起部の間に、滑らかな表面、すなわち、光沢のある表面または艶のある表面の窪んだ領域(スペース)を備えて、手触り感(質感)を持たせる。この隆起した手触り部分は、パターンの窪んだ滑らかな部分の上に、約0.5mm〜2mmの範囲の量で広がっている。バフ仕上げした隆起部に採用したパターンにより、光沢のある窪み部と感覚的に識別可能なかみ合いを維持すると共に、ユーザーに改善したグリップ特性を提供するために、光沢のある窪み部の面積(領域)の約100%から200%の範囲の隆起部が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、道具のハンドル上に組み付けられた本発明の弾性グリップの斜視図である。
【図2】図2は、図1のグリップに採用した型押し模様の一バージョンの一部の平面図である。
【図3】図3は、図2の3−3線に沿う断面を示す断面図である。
【図4】図4は、図2の4−4線に沿う断面の一部を示す断面図である。
【図5】図5は、図2の5−5線に沿う断面の一部を示す断面図である。
【図6】図6は、図2の6−6線に沿う断面の一部を示す断面図である。
【図7】図7は、図1のグリップ用の型押し模様の他のバージョンの平面図である。
【図8】図8は、図1のグリップ用の型押し模様の他のバージョンの一部の平面図である。
【図9】図9は、図1のグリップ用の型押し模様の他のバージョンの一部の平面図である。
【図10】図10は、図8の10−10線に沿う断面の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、広く使用されている筒状部材の形態の道具のハンドル12の端部に組み付けられた弾性グリップ10が示されている。図1に示すグリップ10の基端部は閉鎖されるか、或いは、実質的に閉鎖されていることが理解できるであろう。このグリップ10では、符号14で示すパターンを採用しており、このパターンは、グリップの表面を連続的に覆っているが、図示を簡略化するために、その一部だけが示されている。このパターンすなわちグリップ14は、図1では、六角形の形状を有する隆起部16を有している。隆起部16の間の領域(スペース)は、六角形の形状のわずかな窪みを有するように示されると共に、網掛けされないで、参照番号18で表示されている。図1の実施の形態10で採用されているパターンは図7により詳細に示されており、図7では、隆起部は、六角形状の中心を通過する直線で連結された対向頂部を有する六角形で示されており、この隆起部は、図1の網掛けされている六角形状の領域16に対応する。この実施の形態では、グリップ10は、未硬化ゴムまたは硬化可能な材料を、隆起部のパターンを形成するような形状の成形型の表面を有する成形型にインサート(鋳ぐるみ)して、成形型内で硬化させることによって成形される。或いは、六角形以外の多角形形状、例えば、八角形形状を採用することができる。
【0009】
実際には、グリップ10は、未硬化ゴムまたは硬化可能な材料を、隆起部のパターンを形成するような形状の成形型の表面を有する成形型に鋳ぐるみして、成形型内で硬化させることによって成形される。隆起部16の表面は光沢を有するように成形され、続いて、バフ仕上げされ、成形型から取り外された後、グリップ特性を向上させるように型押し仕上げされて、所望の外観が付与される。この実施の形態では、各隆起部16の面積が各窪み部(スペース)18の面積の100〜200%の範囲にあるように、各パターン14を形成することで十分であることが分かる。実際には、横断面寸法すなわち幅が2mmから10mmの範囲で、高さが0.5mmから2mmの範囲の隆起部16を形成するように、成形型を形成することで十分であることが分かる。
【0010】
図2〜図6を参照すると、グリップ10に採用する他の実施の形態のパターンが、符号20で示されている。このパターンでは、中間の窪み部を有する織物の外観が付与されたほぼ四角形の形状の隆起領域を含んでいる。符号22で示され、直角に配置されたX字状のクロスハッチの小さい正方形の領域が領域24と領域26との交差部に形成され、最大量で窪んでいる。参照番号24で示され間隔をあけた平行線で表示される領域は、編物の外観を有するようにバフ仕上げされた表面を有する隆起部であり、また、参照番号26で示される部分は、光沢または艶仕上げの窪んだ領域である。参照番号24で示される領域は、図6において参照文字「h」で示される量だけ、参照番号26で示される領域から隆起している。実際には、グリップに感覚的に識別可能な触覚を付与するように、寸法「h」は、0.5mmから2mmの範囲で十分であることが分かる。
【0011】
図4、図5及び図6を参照すると、パターン20の縦糸(経糸)と横糸(緯糸)の形状の間に四角形を形成する中間領域22は、手触りのある隆起部24と窪み部26の交差部に四角形の部分22が介在される場合だけ表れるように示されている。実際には、領域22は、約「h」の深さを有している。
【0012】
図8を参照すると、図1のグリップ10用の手触りパターンの他のバージョンが符号30で示されており、同じ直径の隆起した円形の領域34の列で形成されたパターンを含んでおり、また、中間の窪んだ領域32は円形の隆起した領域34により囲まれている。或いは、円形の隆起した領域は、他の形状、例えば、楕円形または長円形にすることができる。領域34は、図10に示された参照文字「h」で示された量だけ表面32から隆起している。この範囲は上述したとおりである。
【0013】
この実施の形態では、ほぼ同じ面積の隆起した各領域34と窪んだ領域32を形成することで十分であることが分かる。
【0014】
図9を参照すると、図1のグリップ用の六角形状のパターンの他のバージョンが符号40で示されており、複数の窪んだ六角形状の領域42を有しており、各領域42は、その6つの辺が、参照番号44で示された対応する六角形状の隆起した部分で取り囲まれている。図9では、隆起した領域44は、対向する頂部を連結する線で表示されている。この実施の形態では、各隆起した領域44は、他のバージョンに関連させて説明したように、参照文字「h」で示された量だけ窪んだ部分42から隆起している。
【0015】
このように、本発明では、ハンドルを有する道具用の弾性グリップ、特に、大きな力とスピードでスウィングする道具用のグリップについて説明している。このグリップは、ほぼ同じ面積と形状を有し、ほぼ同様の形状の中間部分からわずかに隆起する部分を形成するパターンを有する表面を備えた成形型で成形され、また、隆起した部分の表面は、手の保持を改善するために、例えばバフ仕上げすることによって、手触り感が付与される。表面の隆起した部分は、例えば、円形、長円形、楕円形または多角形等のパターンに形成することができ、また、このパターンは、グリップの周囲を取り囲むようにすることができる。ユーザーは、隆起した部分と光沢または艶のある窪んだ部分を感覚的に識別または感じることができる。この隆起した部分と窪んだ部分が、粘着したまたはネバネバしたグリップ動作を提供する。隆起部分は、光沢または艶のある表面で成形して、成形型から取り外した際に、手触り感のある表面を提供するようにバフ仕上げすることができる。
【0016】
当然に、上述した詳細な説明を読んで、理解することにより、修正や変更が思い浮かぶであろう。本開示は、添付した請求項の範囲内にある限り、これらの全ての修正や変更、および、これらと同等のものを含むと理解されることを意図するものである。
【符号の説明】
【0017】
10 グリップ
12 道具のハンドル
14、20、30、40 パターン
16、24、34、44 隆起部
18、26、32、42 窪み部
22 中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料から形成された筒状部材を含む道具のハンドル用の成形グリップであって、
該筒状部材は、
(a)道具のハンドルを収容する開口端部と、
(b)前記開口から離れた閉鎖端部と、
(c)手触り面を有する複数の間隔をあけた隆起面と、隆起した部分の間に介在された手触り面のない表面と、を一体に有するように形成された外周の少なくとも一部と、
を備える道具のハンドル用の成形グリップ。
【請求項2】
前記手触り面は、成形後のバフ仕上げによって形成される請求項1に記載のグリップ。
【請求項3】
前記隆起面は、筒状グリップの周囲に含まれる請求項1に記載のグリップ。
【請求項4】
前記隆起した部分は、約0.5mm〜約2mmの範囲で隆起している請求項1に記載のグリップ。
【請求項5】
前記隆起面は、各隆起面の面積が、中間の表面の面積の約100〜200パーセント(%)の範囲のパターンで配置されている請求項1に記載のグリップ。
【請求項6】
部分的に手触り面を有する弾性グリップを製造する方法であって、該方法は、
(a)成形型を準備して、グリップの隆起部のパターンを形成するために、成形型の表面を形成するステップと、
(b)成形型でグリップを成形し、かつ、硬化させて、硬化したグリップを成形型から取り除くステップと、
(c)硬化したグリップの隆起部の表面に手触り面を形成するステップと、
を含む部分的に手触り面を有する弾性グリップの製造方法。
【請求項7】
前記成形型の表面を形成するステップは、グリップ上に、約0.5mm〜2mmの範囲の隆起した隆起面を形成するために、成形型の表面を形成するステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記手触り面を形成するステップは、グリップの隆起面をバフ仕上げするステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記成形型の表面を形成するステップは、グリップ上に、該グリップの周囲を取り囲むように隆起面のパターンを形成するステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記成形型の表面を形成するステップは、各隆起面の面積が、各隆起面の間の表面の約100〜200パーセント(%)の範囲のパターンで、グリップ上に隆起面のパターンを形成するステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
パターンを形成するために前記成形型の表面を形成するステップは、光沢面を有するパターンを形成するために、前記成形型の表面を形成するステップを含む請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−143540(P2012−143540A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−264702(P2011−264702)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】