説明

部分芳香族ポリアミド成形組成物及びそれらの使用

【課題】難燃剤を含む非強化のハロゲンフリーのポリアミド成形組成物を提供する。
【解決手段】特定の融点範囲を有する部分芳香族の部分結晶ポリアミド、部分的に又は完全に金属イオンで中和された有効量のイオノマー、及び、難燃剤(好ましくはホスフィン酸又はジホスフィン酸塩に基づく)に基づくポリアミド成形組成物を提供する。本発明の成形組成物のはんだぬれ性は、少なくとも80%であり、好ましくは85%より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ハロゲン含有難燃剤を使用することなく難燃性とし、かつ、テレフタル酸コポリアミドをベースとした非強化ポリアミド成形組成物、並びに、それの製造方法及びそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
電気及び電子分野において、ポリマー材料は、
・水を吸収した後でさえも、無鉛はんだを用いて、表面温度260℃で、ブリスターなしにはんだ付け可能であり、
・ハロゲン含有難燃剤を使用することなく難燃性とすることができ、確実にUL94の等級V0に達し、
・少なくとも5%の破断点伸びを有し、かつ、
・型の中に付着物を残すことなく低圧及び高い流動長で容易に加工されうること
が要求される。
【0003】
難燃剤を含む脂肪族ポリアミドの混合物は、非常に低い融点及び/又は非常に高い吸水率を有するので、それらは、空調で調節された状態ではんだぬれ性が不十分である。また、難燃剤を含む非強化のPA66及びPA6混合物は、例えばHDT値が不十分である。
【0004】
JP2928325に記載されるような、PA6T/66タイプの部分芳香族ポリアミドをベースとし、かつ、難燃剤を含む混合物は、十分に高い融解点を有するが、比較的多量の水分を吸収する。それらは、乾燥状態ではんだ付けされることができ、最大湿度感度レベル2(Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に従ったSML)に達し、すなわちそれらは、はんだ付け前に85℃及び60%相対湿度で、最大168時間調整されうる。このことは、一般的に、これらの材料で作られる電子部材が、無制限の保存寿命を持たず、かつ、該部材がはんだ付けされるまで厳しい湿度の制御のもとで包装されなければならないことを意味する。一般的に、難燃剤を含む非強化の成形物組成物は、不十分で低い破断点伸びを有する。同様に、芳香族ポリアミドと多量の割合の充填剤及び衝撃改質剤との混合物は、US 2001/003766で知られている。衝撃改質剤として、イオノマーを使用することができ、混合物は、例えば電子部材で使用されうると考えられている。顔料のような添加剤をこのようなポリアミドに添加することができると記載されているが、この文献は、はんだ付けプロセスに関連するものではなく、いずれの場合にも、この文献で提案されたポリアミドは、はんだ付けプロセスに不適である。なぜなら、例えば、305℃の高い融点を有する場合ですら、過度に高い吸水率と、過度に高い割合のアモルファス材料のために、重度のブリスター形成がおこるためである。さらに、ガラス繊維で強化された製品は、破断点伸びが非常に低い。
【0005】
EP 1 988 113には、モノマーの1,10-デカンジアミン及びテレフタル酸で形成される40〜95 mol%の10Tユニット、並びに、モノマーの1,6-ヘキサンジアミン及びテレフタル酸で形成される5〜60 mol%の6Tユニットを有するポリアミドが開示されている。これらのポリアミドは、高い熱変形抵抗性、良好なプロセス加工性、低吸水性、水吸収後でも変わらない機械的特性、ガラス繊維強化製品の高い表面品質、及び、高い寸法安定性を有する。吸収後の260℃でのはんだぬれ性は、PA6T/66タイプの部分芳香族ポリアミドのはんだぬれ性よりも有意に高い。ガラス繊維強化PA10T/6T製の電気及び電子部材のはんだぬれ性は、既知のものであり、すなわち、それらは、好適な設計をされた場合にのみ、最大湿感レベル1(Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に従ったSML)に達しうる。これらの成形組成物の破断点伸びは、EPR又はEPDMのような一般的な衝撃改質剤によって改良されうるが、この方法で改良されている成形組成物は、もはや確実にUL94等級V0を達成できず、はんだぬれ性は保証されない。
【0006】
US3845163には、60〜85質量%のポリアミド、及び、α-オレフィン及びα,β-不飽和カルボン酸をベースとする15〜40質量%のイオノマーから構成され、かつ、遊離カルボキシル基が金属イオンで少なくとも10%程度中和されたときに、接合強度が改良されるブレンドが開示されている。ナトリウム又は亜鉛イオンで中和されたPA66、及び、エチレン及びメタアクリル酸のイオノマーのブレンドを加工する。これらのブレンドは、260℃ではんだ付けできず、難燃剤を含まない。
【0007】
EP0356978A2は、PA6、PA66及びPA66/6、及び、10〜25質量%のイオノマーをベースとし、硬くて丈夫であり、また型中に付着物が形成されないと考えられている成形組成物に関する。使用されるイオノマーは、部分的に金属イオンで中和され、エチレン、メタクリル酸及びアルキルアクリラート、特にブチルアクリラートから構成される。これらの成形組成物は、はんだ付けができず、難燃剤を含まない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の説明
従って、本発明の目的は、難燃剤を含む非強化のハロゲンフリーのポリアミド成形組成物を提供することである。この組成物から電気及び/又は電子部材を製造することが可能であり、この組成物は、確実にはんだ付けでき、すなわち、はんだ付けプロセス中、特に、吸水後260℃、場合によりそれより高い温度で、及び、部材の最終設計の場合に、特にブリスターが形成されることなく、かつ、該組成物は、少なくとも5%の破断点伸びを有し、確実にUL94等級V0に達する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に従ったポリアミド成形組成物、すなわち、広義の意味で、特定の融点範囲を有する部分芳香族の部分結晶ポリアミド、部分的に又は完全に金属イオンで中和された有効量のイオノマー、及び、難燃剤(好ましくはホスフィン酸又はジホスフィン酸塩に基づく)に基づくポリアミド成形組成物により達成される。
本発明の成形組成物のはんだぬれ性(定義に関しては、下記参照)は、少なくとも80%であり、好ましくは85%より大きい。はんだぬれ性は、Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に従って、85℃及び85%相対湿度で、168時間調整された後に6つの異なるテスト条件下で、ブリスターを生じない、3つの異なる厚みのポジティブな(positively)試験棒材の相対割合で定義される。
【0010】
はんだ付けプロセスで高い温度要件を満たすことができる非強化の成形組成物に関して、親ポリアミドは、十分に高い融点を有していなければならず、また、アモルファスであるべきではない。従って、本発明に従ったポリアミド(成分 (A))は、270〜320℃の範囲、好ましくは280〜315℃の範囲、特に290〜310℃の範囲内で融点を有する。
ポリアミドは、テレフタル酸(少なくとも部分的にナフタレンジカルボン酸で置き換えられても良い)、及び、少なくとも1種のジアミン(ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン及びドデカンジアミンからなる群から選択される)を含む。テレフタル酸は、50 mol%以下の程度までイソフタル酸で置き換えられても良い。
好ましい部分芳香族ポリアミドは、特に、4T/4I/46、4T/4I/66、5T/5I、5T/5I/56、5T/5I/66、6T/6I/66、6T/9T、6T/10T、6T/12T、10T/6T、10T/66、10T/10I、10T/10I/6T、10T/6I、6T/10T/6I、6T/6I/10T/10I、6T/10T/10I、9T、10T、12T、及び、TPA、IPA、HMDA及び別の脂肪族ジアミン(9〜12個の炭素原子を有する)のコポリアミド、特に、例えば、TPA、IPA、HMDA及びデカンジアミンのコポリアミドである。
【0011】
さらに好ましい態様において、系6T及び/又は6T/6I及び6I/6Tは除外され、すなわち、これらの特定の系が排除されるという条件のもとで、成分(A)の一般的な定義は、適応する。
完全に意図的に、提案されるポリアミド成形組成物は、好ましくは実質的に充填剤及び/又は強化材料を含まず、特に、ガラス繊維、カーボン繊維などを含まない。「これらの成分を含まない(フリー)」とは、ポリアミド成形組成物が、有効量の当該強化材料を含まないということを意味する。一般的には、そうでなければ、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、特に好ましくは少なくとも7%の好ましい破断点伸びの標的値は、達成され得ない。
別の好ましい態様において、成分(A)のコポリアミドは、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸 (IPA)、1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、別の脂肪族ジアミン(9〜12個の炭素原子を有する)(C9-C12-ジアミン)から構成され、定義された量のC9-C12-ジアミン及びイソフタル酸が順守(adhered to)される。好ましくは、これらのコポリアミドは、300〜315℃の範囲の融点、高結晶度、好ましくは110〜140℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0012】
具体的には、本発明は、特に以下の組成を有するポリアミド成形組成物を提供する:
(A) 62〜87質量%の部分芳香族の部分結晶コポリアミド(270℃〜320℃の融点を有する)であって、
50〜100質量%のテレフタル酸(TPA)、及び/又は、ナフタレンジカルボン酸、及び、0〜50質量%のイソフタル酸(IPA)から構成される100質量%の二塩基酸のフラクション
及び
ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン及びドデカンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種のジアミンから構成される100質量%のジアミンのフラクション
から構成される部分結晶コポリアミド;
(B) 5〜15質量%のイオノマー;
(C) 8〜18質量%の難燃剤;
(D) 0〜5質量%の添加剤。
(但し、成分(A)〜(D)は合わせて100質量%となる。)
【0013】
好ましくは、成分(A)の二塩基酸のフラクションは、50〜98.3質量%、好ましくは50〜95質量%又は72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)(及び/又はナフタレンジカルボン酸)、及び、1.7〜50質量%又は5.0〜50質量%、又は1.7〜28質量%のイソフタル酸(IPA)から構成され、全ての二塩基酸の合計が100質量%となる。
更に、好ましくは、成分(A)のジアミンのフラクションは、10〜80質量%の少なくとも1種のC4-C6ジアミン、好ましくは1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)からなる群から選択される少なくとも1種の当該ジアミン、及び、20〜90質量%の少なくとも1種の別のジアミン、すなわちC9-C12ジアミンから構成される。
更なる態様において、成分(A)のジアミンのフラクションは、1,6-ヘキサンジアミン(好ましくは51〜80質量%の割合);及び、1種か、それ以上のC9-C12-ジアミン(好ましくは20〜49質量%の割合)から構成される。これらの態様において、ジアミンの量は、合わせて全ジアミンのフラクションの100質量%となる。
【0014】
好ましい態様に従うと、C9-C12-ジアミンは、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、及び、当該ジアミンの混合物からなる群から選択されるジアミンであり、1,10-デカンジアミン及び1,12-ドデカンジアミン、及び、特に1,10-デカンジアミン単独が好ましい。
上述したように、成分(A)は、好ましくは、4T/4I/46、4T/4I/66、5T/5I、5T/5I/56、5T/5I/66、6T/6I/66、6T/9T、6T/10T、6T/12T、10T/6T、10T/66、10T/10I、10T/10I/6T、10T/6I、6T/10T/6I、6T/6I/10T/10I、6T/10T/10I、9T、10T、12Tからなる群から選択され、これらの系はそれらが規定される範囲で融点を有するように選択される。
成分(A)のジアミンのフラクションは、好ましくは、55.0〜75.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、25.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミンから構成される。
成分(A)のジアミンのフラクションは、より好ましくは、55.0〜70.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、30.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミンから構成される。
【0015】
本発明の好ましい態様において、C9-C12-ジアミンの割合と、イソフタル酸の割合は、互いに特定の比で存在する。詳細には、これは、この好適な態様において、成分(A)の二塩基酸のフラクションが、72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、ジアミンのフラクションの百分率で、C9-C12-ジアミンの含有量の関数として決定される質量%範囲の含有量のイソフタル酸(IPA)から構成されることを意味する。以下の式に従って好ましくは決定される質量百分率のイソフタル酸の含有量は、+/-5質量%の範囲内である。
IPA (質量%) = (39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)
好ましくは、これは一般的に、イソフタル酸の含有量が、いずれにしても少なくとも1.7質量%であるとの条件付きである。
このことは、例えば、C9-C12-ジアミンの含有量が20質量%であり、イソフタル酸の含有量が20〜30質量%の範囲内であることを意味する。35質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、9.5〜19.5質量%の範囲内である。49質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、1.7〜9.7質量%の範囲内にある。
更に好ましい態様において、範囲は、+/- 3質量%、特に好ましくは+/- 2質量%である。
【0016】
従って、好ましくは、例えば成分(A)に関して、ジアミンの合計をベースにして20〜49質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースにして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量(但し、IPAの含有量はいずれにしても少なくとも1.7質量%である)を有するポリアミドを用いる。
更に特定の態様において、以下の組成がコポリアミド(ポリアミドマトリクス)にとって好ましい:
ジアミンの合計をベースとして20〜49質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして20〜49質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
【0017】
ジアミンの合計をベースとして25〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量を有するポリアミドが好ましい。
ジアミンの合計をベースとして25〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして25〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
【0018】
ジアミンの合計をベースとして30〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量を有するポリアミドが好ましい。
ジアミンの合計をベースとして30〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして30〜45質量%のC9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
別の脂肪族ジアミン(C9-C12-ジアミン)の中で、1,10-デカンジアミン及び1,12-ドデカンジアミンが好ましく、1,10-デカンジアミンを用いることが特に好ましい。
【0019】
部分芳香族の部分結晶コポリアミド(成分(A))の溶液粘度ηrel(m-クレゾール中で測定される(0.5質量%、20℃))は、2.0以下、好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。好ましくは、コポリアミドの溶液粘度ηrelは、1.45〜2.0の範囲にあり、特に1.5〜1.9又は1.5〜1.8の範囲にある。
コポリアミド(成分A)は、好ましくは110〜140℃の範囲、好ましくは115〜135℃の範囲、特に120〜130℃の範囲のガラス転移温度を有する。
融解点は、好ましくは270〜320℃の範囲、より好ましくは280〜315℃の範囲、特に290〜310℃の範囲である。
コポリアミドの融解エンタルピー(つまり結晶度の基準)は、好ましくは30〜60 J/gの範囲、より好ましくは35〜60 J/gの範囲、特に好ましくは40〜60 J/g範囲である。
【0020】
コポリアミド中のアモルファス材料の割合が高い場合(低い融解エンタルピーから確認されうる)、260℃の領域でのはんだ付け温度での強度は低すぎて、成形組成物は、このような使用に適さない。
更に、組成物は、好ましくは、成分(A)及び/又は全ポリアミド成形組成物が、例えば、95℃の温度で水中に336時間置いた後に、5質量%未満、好ましくは4質量%未満の吸水率を有するように調合される。吸水率が非常に高い場合、この材料は同様に当該はんだ付け使用に適さない;特に、適当な高さであまり高くない融点で、低い吸水率と低い割合のアモルファス材料(すなわち、正しい範囲での融解エンタルピー)との良いバランスをとることが特に好適であり、はんだ付けプロセスの間のブリスター形成を防ぐことができることが判明した。
【0021】
上記の特性が達成される限りにおいて、成分(A)の8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下の芳香族ジカルボン酸が、10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸で置き換えられても良い。好ましい脂肪族二塩基酸は、セバシン酸及びドデカン二酸である。更に、ジアミンの8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、メチル-1,5-ペンタンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、m-キシリレンジアミン(MXDA)又はp-キシリレンジアミン(PXDA)で置き換えられても良い。ジアミン及び二塩基酸の合計をベースとして、5質量%以下のラクタム又はアミノカルボン酸が、特に、ラウロラクタム又はアミノラウリン酸が、成分(A)に存在しても良い。しかしながら、成分(A)は、芳香族二塩基酸TPA及びIPA、並びに、ジアミンである1,6-ヘキサンジアミン及び少なくとも1種のC9-C12-ジアミン、特に、1,10-デカンジアミンのみによって形成される態様が特に好ましい。
【0022】
提案されるポリアミド成形組成物の重要成分は、成分(B)である。好ましくは、それは、7〜12質量%の範囲の割合で存在する。成分(B)として使用されるイオノマーは、無極性のポリマー鎖に結合する少量のイオン基を有する。本発明に従って、モノマーであるα-オレフィン、α,β-不飽和カルボン酸(及び、更に別のコモノマーを含んでもよい)から調製されるイオノマーであって、完全に又は部分的に金属イオンで中和されているイオノマーが使用される。α-オレフィンの例は、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン及びヘキセン(単独でも組み合わせても使用できる)である。α,β-不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸 無水物、モノエチル マレアート、及び、マレイン酸である。カルボン酸は、単独でも組み合わせても使用されうる。カルボン酸のアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。本発明に従ったコモノマーの例は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ノルボルネン誘導体などである。市販用の製品は、例えば、AClyn(Honeywell)及びSurlyn(DuPont)である。
【0023】
従って、更に、成分(B)のイオノマーは、一般的に好ましくは、モノマーであるα-オレフィン、α,β-不飽和カルボン酸(及び、更に別のコモノマーを含んでも良い)から製造され、イオノマーは、完全に又は部分的に金属イオンで中和されている。α-オレフィンが好ましくはエテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン及びこれらのα-オレフィンの組合せからなる群から選択される。
α,β-不飽和カルボン酸は好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸及びこれらの系の組合せからなる群から選択され、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を使用することが特に好ましい。
更に、記載されたコモノマーは、好ましくはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ノルボルネン誘導体からなる群から選択される。
概して、好ましくは、これらのイオノマーのカルボン酸基の3〜100%、特に5〜90%が金属イオンで中和され、ここで、これらの金属イオンは好ましくは、元素の周期表のIa、IIa、IIb、IIIa、IVa、VIb及びVIII族から選択され、特に好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、スズ、カルシウム、バリウム及びマグネシウムからなる群から選択される。ナトリウム及び/又は亜鉛が特に好ましい。
【0024】
本発明のエチレンイオノマーは、直接又はグラフト共重合によって製造されうる。直接共重合のプロセスでは、フリーラジカル重合開始剤の存在下で、α-オレフィン、例えば、エチレン、α,β-不飽和カルボン酸(及び、不飽和コモノマーを含んでも良い)を重合させて、次いで、形成される直接コポリマーのカルボン酸基を金属イオンで中和させることを含む。
グラフト共重合のプロセスでは、フリーラジカル重合開始剤の存在下で、α-オレフィン、例えば、エチレン(及び、コモノマーを含んでも良い)の重合を行うことができ、エチレン-コモノマーポリマー骨格上にα,β-不飽和カルボン酸をグラフト化して、次いで、形成されるグラフトコポリマーのカルボン酸基を金属イオンで中和させることを含む。
更に、成分(B)のイオノマーは、好ましくは以下の群の系:
エチレン-アクリル酸;エチレン-メタクリル酸;エチレン-マレイン酸無水物;エチレン-アクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-2-エトキシエチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-プロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-エトキシエチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-オクチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-ペンチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-ペンチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-エチルヘキシルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-プロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-ヘプチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-メトキシエチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-3-メトキシプロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-3-エトキシプロピルアクリラートをベースとするイオノマー又はこれらのイオノマーの組合せの中から選択される。
単独の酸性成分をベースとして明確に完全に構成されるイオノマーが、好ましい。
【0025】
本発明の組成物中での使用に好ましいエチレンイオノマーは、とりわけ、エチレン-アクリル酸;エチレン-メタクリル酸;エチレン-メタクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-メトキシエチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-エチルヘキシルアクリラートである。
成分(B)のイオノマーは、非常に特に好ましくは、下記の群の系をベースとするイオノマーから選択される:エチレン-(メト)アクリル酸、及び/又は、エチレン-(メト)アクリル酸-n-ブチルアクリラート。
さらに、成分(B)のイオノマーは、好ましくは組成E/X/Yを有するエチレンイオノマーであり、Eが45〜94質量%のエチレンであり、Xが1〜20質量%のアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、並びに、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸のモノエステルからなる群から選択される不飽和カルボン酸であり、Yが5〜35質量%の少なくとも1種の別の不飽和コモノマーである。
好ましくは、イオノマーは、0.5〜5.0 g/10分、好ましくは0.5〜2.0 g/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)(190℃、2.16kgの質量下で、ISO 1133に従って測定される)を有する。
好ましくは、イオノマーは、60〜120℃、特に好ましくは70〜100℃の範囲の融点を有する。
【0026】
本発明の成形組成物は、更に、8〜18質量%、好ましくは9〜18質量%、より好ましくは10〜17質量%、特に12〜16質量%の難燃剤(成分(C)の一部として、又は、全成分(C)を形成するものとして)を含む。
好ましくは、成分(C)中の、又は、全成分(C)を形成する難燃剤は、60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%又は70〜98質量%、特に80〜100質量%又は80〜96質量%のホスフィン酸塩、及び/又は、ジホスフィン酸塩(成分(C1))、及び、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%又は2〜30質量%、特に0〜20質量%又は4〜20質量%の窒素含有相乗剤、及び/又は、窒素及びリン含有難燃剤(成分(C2))を含む。
更に特に好ましい態様において、成分(C)は、更なる相乗剤(成分(C2))を含まないで形成される。
【0027】
好ましくは、成分(C2)は、メラミン又はメラミンの縮合生成物、例えばメレム、メラム、メロン、又は、メラミンとポリリン酸との反応生成物、又は、メラミンの縮合組成物とポリリン酸との反応生成物、又は、それらの混合物である。
成分(C2)として、メラミンポリホスファートが特に好ましい。このような難燃剤は、従来技術で知られている。この点において、DE 103 46 3261を参照することができ、ここでこの文献は、参照により明確に本明細書に組み込まれる。
成分(C1)として、一般式(I)及び/又は一般式(II)のホスフィン酸塩、及び/又は、それらのポリマーを用いることが好ましい。
【0028】
【化1】

【0029】
(式中、
R1、R2は、同一又は異なっており、夫々好ましくは、直鎖又は分枝のC1-C8-アルキル、又はアリールであり;
R3は、直鎖又は分枝のC1-C10-アルキレン、C6-C10-アリーレン、-アルキルアリーレン、又は、アリールアルキレンであり;
Mは、周期表の2族又は3族の典型又は遷移金属イオンであり;そして
mが2又は3であり;
nが1又は3であり;
xが1又は2である。)
金属イオンMとして、好ましくは、Al、Ca、Ba及びZnを用いる。
【0030】
難燃剤成分(C1)及び(C2)と組み合わせて、0.5〜5質量%の酸素、窒素又は硫黄含有金属化合物を、腐食損傷を抑えるための安定剤(成分(C3))として更に加えることも可能である。ここで成分C1からC3の合計は100質量%となる。本明細書で好ましい金属は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、マンガン及び亜鉛である。適切な化合物は酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、スズ酸塩及び脂肪酸の塩、及びこれらの化合物の組み合わせ及び混合物、例えば酸化物の水酸化物又は酸化物の炭酸水酸化物塩からなる群から選択される。例としては、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドロタルサイト(dihydrotalcite)、ヒドロカルマイト(hydrocalumite)、水酸化カルシウム、酸化スズ水和物、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸カリウム、ベヘン酸マグネシウムが挙げられる。
【0031】
更に、強調されるべきことは、本発明のポリアミド成形組成物又はそれから製造される成形体との関連において、優れた耐燃性が、上述の優れた特性と組み合わせて達成されることである。成形組成物は、1.6 mmの厚みの試験片でUL等級がV0である(UL-94,Underwritersラボラトリーズ(U.L.)の標準に従ったテスト。www.ulstandards.com参照)。
本発明のコポリアミドは、相乗剤(C2)を添加しなかった場合でさえ、防火等級「V0」になる。従って、添加される難燃剤は、好ましくは成分C1及びC3のみから構成される。
【0032】
好ましい態様において、ポリアミド成形組成物は、概して成分(C)の割合が、10〜18質量%の範囲内であることを特徴とする。上述したように、ある態様に従って、成分(C)がホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩、及び、窒素-含有相乗剤及び/又は窒素-及び/又はリン-含有難燃剤から構成される。この場合において、後者は、好ましくは、メラミン及びメラミンの縮合生成物、特にメレム、メラム、メロン、及び、メラミンとポリリン酸との反応生成物、及び、メラミンの縮合組成物とポリリン酸との反応生成物、及び、それらの混合物、特にメラミンポリホスファートから選択される。
本発明の成形組成物は、更に添加剤(D)、例えば、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、静電防止剤、伝導性添加剤、離型剤、光学的光沢剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、又は、上述の添加剤の混合物からなる群から選択される添加剤を含んでも良い。本発明の成形組成物中で、静電防止剤として、例えば、カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを使用することができる。しかしながら、カーボンブラックの使用は、成形組成物の黒着色を改良するのにも役立ちうる。
【0033】
本発明の成形組成物中で、層状ケイ酸塩として、例えば、カオリン、蛇紋石、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物又はそれらの混合物を使用することができる。層状ケイ酸塩は、表面処理されても良いし、処理されなくても良い。
本発明の成形組成物中で、安定剤又はエージング阻害剤として、例えば、酸化防止剤、光安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、又は、UVブロッカーを使用することができる。
好ましくは、ポリアミド成形組成物は、その破断点伸びが、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、特に好ましくは少なくとも7%であることを特徴とする。この目的のために、上述したように、ポリアミド成形組成物は、非強化であり、すなわち通常本質的に、又は、完全に、特に、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリマー繊維などのような繊維強化材料を含まない。しかしながら、成分(D)に関して、好ましくは、ポリアミド成形組成物はまた、4%以下の粒子状充填剤、好ましくは2%以下の粒子状充填剤を含み、特に好ましくは、実質的に粒子状充填剤を全く含まない。本発明の目的のために、粒子状充填剤は、粒子状カオリン、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、アモルファスシリカ、ケイ酸塩(例えば、珪灰石のようなケイ酸カルシウム)、粉末石英、マイカ、長石、タルクなどである。
【0034】
概して、別の好ましい態様において、ポリアミド成形組成物は、安定剤、加工助剤、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、静電防止剤、伝導性添加剤、離型剤、光学的光沢剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、又は、上述の添加剤の混合物が、好ましくは1〜4質量%の範囲の割合で、成分(D)の添加剤として存在し、帯電防止剤としてカーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを用いることが好ましい。ポリアミド成形組成物は、好ましくは、添加剤(D)として衝撃改質剤を含まない。
【0035】
別の好ましい態様は、成分(A)及び/又はポリアミド成形組成物自体は、融点が280〜315℃の範囲内であり、特に好ましくは290〜310℃の範囲内であることが特徴である。
本発明のコポリアミドは、前縮合(precondensate)及び後縮合(after-condensation)の連続プロセスによって一般的な重縮合プラントで製造されうる。好ましくは、鎖レギュレーター(chain regulator)は、粘度を調整するために重縮合プロセスで使用される。好ましい鎖レギュレーターは、モノアミン又は一塩基酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミンなどである。更に、粘度は、過剰なジアミン又は二塩基酸を用いることで調製されてもよい。
【0036】
180〜230℃の溶解温度で、塩溶液が均一で、かつ、透明であるために、通常20〜30%の水がモノマーに添加される。減圧及び脱気の間、又は押出機での融解物の後縮合の間の過剰な発泡を防ぐために、消泡剤を混合物に添加することが好ましい。好ましい消泡剤は、水性シリコンエマルジョン、ポリジメチルシロキサン担持固体担体、例えば、ゼオライト、水を含まない(water-free)、高分子量ポリシロキサン、又は、水溶性有機溶媒中のシロキサン(0.01〜0.5質量%の量)である。
重縮合触媒として、0.005〜1.5質量%のリン化合物、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、及び/又は、一価から三価のカチオン、例えば、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlとのそれらの塩、及び/又は、それらのエステル、例えば、トリフェニルホスファート、トリフェニルホスファイト又はトリス(ノニルフェニル)ホスファイトが、好ましくはモノマー混合物に添加される。コポリアミドをベースとして100〜500 ppmのリン酸の量の次亜リン酸、及び、次亜リン酸水素ナトリウム一水和物が好ましい。
【0037】
更に、本発明はまた、ポリアミド成形組成物の製造方法も提供する。更に、本発明は、当該ポリアミド成形組成物を使用して製造された成形体も提供する。ブリスターは、例えば、臨界厚さを有するコネクター及び熱を内部に伝える金属インサートにおいて、はんだ付けの間に形成されうる。1〜2mmの範囲の厚みは、しばしば特に重要となり、比較的低温でブリスターを形成し始める。この効果は下記のメカニズムで説明できるが、それにより論理的説明にとらわれず、それに限定されることもない:
比較的薄い壁厚みでは、ブリスターの形成をそれほど留意する必要はない。なぜなら、この場合において、ブリスター形成可能な臨界量の水は蓄積できず、かつ、水は短い拡散経路による加熱で簡単に蒸発しうるためである。より厚い壁厚みでは、同様にあまり気にかけなくても良い。なぜなら、厚み試験棒材は、短い加熱時間で十分に加熱され得ないためである。提案される材料は、好ましくは、壁厚みの範囲が0.5〜3 mm、特に、1〜2 mmの成形体で使用され、この壁厚みは、少なくともはんだ付けの間の熱伝導によって影響をうけ、ブリスターが形成されやすい範囲にある。
【0038】
従って、更に、本発明は、少なくとも部分的に当該ポリアミド成形組成物で構成され、上述されたポリアミド成形組成物を用いて製造される成形体を提供し、この成形体は、特に好ましくは、電気又は電子のパッシブ又はアクティブの部材、印刷回路板、印刷回路板の部品、ハウジング構成要素、フィルム、ラインの形態又はこれらの部品であり、特に、スイッチ、プラグ、ブッシング、配電器、継電器、抵抗体、キャパシタ、コイル又はコイルコア、ランプ、ダイオード、LED、トランジスター、コネクター、レギュレーター、集積回路(IC)、プロセッサ、コントローラー、メモリー、及び/又は、センサーの形態又はこれらの部品である。
更に、成形物は、電気又は電子の部材用の、印刷回路板用の、又は、部材集合体用の締結要素(例えば、スペーサー、ピン、ストリップ、差込形のガイド、ネジ及びナットである。
【0039】
ベース、プラグコネクション、プラグ又はブッシングの形態又はその部品としての成形物が特に好ましい。成形物は、好ましくは機械的靱性を要する機能要素を含む。当該機能要素の例は、フィルムヒンジ、スナップインホック及びばねである。この場合に当該成形物又はポリアミド成形組成物は、概して、特に破断点伸びが、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、特に好ましくは少なくとも7%であることを特徴とする。
別の形態は、従属項に記載されている。
本発明の好ましい形態を以下に示し、部分的に、説明の目的で単に役立つ図面を用いるが、制限するものとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】テスト2の条件下で時間の関数として1.6 mmの薄さのUL94焼成棒材の表面温度を示す図である(表4も参照のこと)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
好ましい形態の記載
本発明は、特定の実施例により以下で説明され、従来技術に従った性能が劣る系と比較される。以下に示される実施例は、本発明を支持し、従来技術との差異を示すのに役立つものであり、請求項に定義された本発明の全体の対象を制限するものとして解釈されるべきでない。
【0042】
原料の(Raw)ポリマーRP1-RP3:
ポリアミドRP1-RP3を前縮合と後縮合の連続法によって製造した。表1に示される調合成分を、触媒、レギュレーター及び水と一緒に20Lのオートクレーブに入れて、50〜80分間、260℃の製造温度に加熱し、1時間32バールの圧力下で保持し、次いで、ノズルから吐出させた。前縮合物を24時間、30ミリバールの減圧下で、120℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリアミド前縮合物を前述したプロセスパラメーター(バレル温度:340℃、スクリューの回転速度:150 rpm、スループット:6 kg/時間)で、25mmの直径のスクリューを有するツインスクリュー押出機(Werner&Pfleiderer製)を用いて後縮合した。融解物を、ゾーン10で窒素ストリームを用いて脱気させた。生成物を直径3mmのノズルから押出物として吐出(take off)させ、ペレット化した。ペレットを100℃で30ミリバールの減圧下で、24時間乾燥させた。
【0043】
ポリアミドをArburg Allrounder 320-210-750射出成形機を用いて、ゾーン1から4の定義されたバレル温度及び定義された金型温度で射出成形し、ISO試験片を製造した。
原料のポリマーRP1-RP3は、純粋なコポリアミドであって、RP2及びRP3は、成分(A)の本発明に従った例であり、RP1を比較例C5のコポリアミド成分として使用した。表1に示される割合において、原料のポリマーRP1-RP3は、混ぜ合わされず、つまり難燃剤を含まず、イオノマーを含まず、本質的に添加剤を含まないものとした。この形態において、コポリアミドは、JEDEC SML1に従ったはんだ付けの要件を満たした。しかしながら、これは満足のいく溶液ではなかった。なぜなら、原料のポリマーは、UL 94 V0に従った十分な難燃性を示さなかったためである。
表2で示されたように、実施例E1〜E3及び比較例C1〜C4では、例RP3のコポリアミドを用い、実施例E4では、原料のポリマーRP2を用い、比較例C5では、コポリアミドRP1を用いたが、ここで表2に示された量のイオノマー、難燃剤、及び添加剤を添加した。
表1:原料のポリマーRP1-RP3(JP 2928325に従ったRP1及びEP 1988113に従ったRP2)
【0044】
【表1】

【0045】
[実施例 E1]
実施例E1を製造するために、表2に対応する原料のポリマーRP4を前述したプロセスパラメーター(バレル温度:320℃、スクリューの回転速度:250 rpm、スループット:10 kg/時間)で、25mmの直径のスクリューを有するツインスクリュー押出機(Werner&Pfleiderer製)を用いて混合した。このために、難燃剤Exolit OP 1230を除く、表2の通り全ての成分を前混合し、天秤はかりによって計量し、二軸押出機の吸入口(intake)に入れた。第二の天秤はかりによって、難燃剤を同様に計量し吸入口に入れた。融解物を任意でわずかにゾーン10で窒素ストリームを用いて脱気させた。生成物を直径3mmのノズルから押出物として吐出(take off)させ、ペレット化した。ペレットを100℃で30ミリバールの減圧下で、24時間乾燥させた。
【0046】
[実施例E2〜E4、及び、比較例C1〜C5]
実施例E2〜E4及び比較例C1〜C5を、実施例E1の製造プロセスの記載と同様の方法で製造した。
表2:比較例C1-C5及び実施例E1-E4の混合物の組成及び特性
RP3の場合と同様の比較例C1〜C5及び実施例E1〜E4の射出成形条件
【0047】
【表2】

Exolit(登録商標)OP1230:有機リン酸塩(Phosphorous-organic salt)(Clariant Produkte GmbH)、難燃剤
Irganox 1098:立体障害のフェノール系酸化防止剤(BASF SE)
Surlyn 9320:エチレン-メタクリル酸-アクリラートターポリマー(部分的に亜鉛イオンで中和されたもの)(DuPont)
Scona TSKD9103 GCT:無水マレイン酸でグラフト化されたスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(Kometra GmbH)
Scona TPPP2112 GA:1.2%の無水マレイン酸でグラフト化されたポリプロピレン(Kometra GmbH)
Lotader 4700:エチレン-アクリル酸エステル-マレイン酸無水物ターポリマー(Arkema)
MPP:メラミンポリホスファート(DSM)
【0048】
C1では、発明に従った完全に又は部分的に中和されたイオノマーの添加なしに、原料のポリマー及び難燃剤から本質的に構成され、かつ、はんだぬれ性及び難燃性への要件を満たすが、十分な破断点伸び(5%より高いことが求められる)を有しない組成物が表された。
C2からC4では、混合物の機械的特性を改良するには不十分な試行が示された:衝撃改質剤の添加による靱性の改良の普通の方法は、著しく(C4)から十分に(C2)破断点伸びを改良したが、もはやはんだぬれ性及び難燃性は達成されなかった。更に、Lotaderを用いたときに、成形物及び射出成形部品上に付着物が見つかった。
【0049】
本発明に従ってイオノマーを添加するだけで、UL94 V0に従った難燃特性を保持したままで、靱性(破断点伸びで示される)増加の技術的課題を解決した。また、驚いたことに、はんだぬれ性は、全体的に改善されるか(E1及びE2)、又は、少なくとも悪くはならなかった(E3及びE4)。更に、当業者が良く知るであろう添加剤を添加しても良い。従って、E2では、例として核形成剤の添加を示し、E3では、相乗剤として更なる難燃剤の添加を示し、E4では、少量の更なるポリアミドの添加を示した。
好適な原料のポリマーを選択するのに必要なものをC5により明示した。この組成物は、難燃性の要件を満たしたが、それは確実にJEDEC SML1条件下ではんだ付けが不可能であった。また、要求される少なくとも5%の破断点伸びが達成されなかった。
この測定は、以下の標準に従って、以下の試験片で行われた。
【0050】
≪熱挙動≫:
融解点、融解エンタルピー及びガラス転移温度(Tg):
ISO標準 11357-11-2
ペレット
示差走査熱量測定(DSC)を、20℃/分の加熱速度で行なった。
ガラス転移温度(Tg)に関しては、開始温度を記載した。
≪相対粘度≫:
DIN EN ISO 307、0.5質量%濃度のm-クレゾール溶液中、温度20℃
ペレット
≪引張弾性係数(Tensile E modulus)、引張強度及び引裂強度≫:
ISO 527(伸張速度50 mm/分(非強化変形)又は伸張速度5 mm/分(強化変形))
ISO引張棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプAl、170 x 20/10 x 4 mm、温度23℃
≪シャルピー衝撃靭性≫:
ISO 179/*eU
ISO 試験棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装化、 2 = 計装化
【0051】
≪シャルピーノッチ付衝撃靭性≫:
ISO 179/*eA
ISO 試験棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装化、2 = 計装化
≪吸水率≫:
95℃で、336時間水中で、ISO 527に従った引張棒材の質量変化
≪UL94≫
厚み1.6mmを有するUL94標準試験片におけるUL94に従った焼成クラス(Burning class)
≪付着物≫
付着物を評価するために、100×100×3 mmの寸法を有するプレートを、RP3に関して表1に記載された条件下で射出成形した。30回の射出成形サイクルの後、型及び成形物を付着物に関して検査した。十分な付着物が型の中又は成形物の表面に見つかった場合、これを表2の「付着物」の行において夫々の実験で「yes」と記載した。
【0052】
≪はんだぬれ性≫:
0.8、1.6及び3.2 mmの厚みを有するUL94焼成棒材(burning bar)を射出成形した。これらの棒材を、85℃及び85%相対湿度で、168時間、Allen 600制御大気キャビネット(Angelantoniインダストリーズs.p.a(IT)製)を用いて、Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に記載されているように、湿度感度レベル1(SML 1)で保持した。次いで、3つの異なる厚みの5つの試験棒材を、夫々プレートにおいて(片側加熱)、リフローはんだ付けシステムRO300FC(Essemtec AG(CH)製)で、200mm/分のベルト速度で輸送した。加熱ゾーンを表3に示される温度に設定した。ピーク温度260℃で、1.6mmの厚みのUL94焼成棒材を用いて、テスト2(片側)で上述したはんだ付けプロフィールを得た。図1に示すように、1.6mmの厚みのUL94焼成棒材の表面温度は54秒間で255℃を超え、22秒間で260℃を超えた。次いで、3つの異なる厚みの5つの試験棒材を夫々、プレートなしで直接ワイヤーメッシュの上に置いたので、両側が加熱された。はんだぬれ性を計算するために、ブリスターなしの試験棒材の数を試験された試験棒材の合計数(= 90)で割り、100%を乗じた。
表3:リフローはんだ付けシステムの加熱ゾーンの温度設定
【0053】
【表3】

【0054】
JEDEC SML 1:
1.6 mm厚みUL94焼成棒材が湿度感度レベル1(SML 1)に達した。このことは、表3及び85℃で85%相対湿度にて168時間の調節の後に図1で示された温度プロフィールのように、ブリスターをテスト2(片側)の条件下で測定できなかったことを意味した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成を有するポリアミド成形組成物:
(A) 62〜87質量%の部分芳香族の部分結晶コポリアミド(270℃〜320℃の融点を有する)であって、
50〜100質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、0〜50質量%のイソフタル酸(IPA)から構成される100質量%の二塩基酸のフラクション
及び
ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、及び、ドデカンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種のジアミンから構成される100質量%のジアミンのフラクション
から構成される部分結晶コポリアミド;
(B) 5〜15質量%のイオノマー;
(C) 8〜18質量%の難燃剤;
(D) 0〜5質量%の添加剤;
(但し、成分(A)〜(D)は合わせて100質量%となる)。
【請求項2】
100質量%の成分(A)のジアミンのフラクションが、
10〜80質量%のC4-C6ジアミン、好ましくは1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)からなる群から選択される少なくとも1種の当該ジアミン、及び、
20〜90質量%のC9-C12ジアミンから構成され、
ここで特に好ましくは、100質量%の成分(A)のジアミンのフラクションが、
1,6-ヘキサンジアミン(好ましくは51〜80質量%の割合)、及び、
C9-C12-ジアミン(好ましくは20〜49質量%の割合)から構成される、請求項1に記載されたポリアミド成形組成物。
【請求項3】
成分(A)の二塩基酸のフラクションが、
50〜98.3質量%、好ましくは72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)、及び、1.7〜50質量%、好ましくは1.7〜28質量%のイソフタル酸 (IPA)から構成される、請求項1又は2に記載のポリアミド成形組成物。
【請求項4】
成分(A)が、4T/4I/46、4T/4I/66、5T/5I、5T/5I/56、5T/5I/66、6T/6I/66、6T/9T、6T/10T、6T/12T、10T/6T、10T/66、10T/10I、10T/10I/6T、10T/6I、6T/10T/6I、6T/6I/10T/10I、6T/10T/10I、9T、10T、12Tからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項5】
成分(B)の割合が、7〜12質量%の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項6】
成分(B)のイオノマーがモノマーのα-オレフィン、α,β-不飽和カルボン酸(及び、更に別のコモノマーを含んでも良い)から製造され、
イオノマーは、完全に又は部分的に金属イオンで中和され、
ここで、α-オレフィンが好ましくはエテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、及び、これらのα-オレフィンの組合せからなる群から選択され、及び/又は、
α,β-不飽和カルボン酸が好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸、及び、これらの系の組合せからなる群から選択され、
特に好ましくは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸が使用され、及び/又は、
更に好ましくは、上述のコモノマーがアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ノルボルネン誘導体からなる群から選択され、
ここで、より好ましくは、イオノマーのカルボン酸基の3〜100%、特に5〜90%が、元素の周期表のIa、IIa、IIb、IIIa、IVa、VIb及びVIII族から選択される金属イオン、特に好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、スズ、カルシウム、バリウム及びマグネシウムからなる群から選択される金属イオンで中和される、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項7】
成分(B)のイオノマーが、以下の系の群:
エチレン-アクリル酸;エチレン-メタクリル酸;エチレン-マレイン酸無水物;エチレン-アクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-ブチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-2-エトキシエチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-プロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-エトキシエチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-オクチルアクリラート;エチレン-メタクリル酸-n-ペンチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-ペンチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-エチルヘキシルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-プロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-n-ヘプチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-2-メトキシエチルアクリラート;エチレン-アクリル酸-3-メトキシプロピルアクリラート;エチレン-アクリル酸-3-エトキシプロピルアクリラート、
をベースとするイオノマー、又は、これらのイオノマーの組合せの中から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項8】
成分(B)のイオノマーが、
エチレン-(メト)アクリル酸及びエチレン-(メト)アクリル酸-n-ブチルアクリラートの系の群をベースとするイオノマーの中から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項9】
成分(B)のイオノマーが、組成E/X/Yを有するエチレンイオノマーである
(ここで、Eが45〜94質量%のエチレンであり、Xが1〜20質量%のアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、並びに、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸のモノエステルからなる群から選択される不飽和カルボン酸であり、Yが5〜35質量%の少なくとも1種の別の不飽和コモノマーである)、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項10】
成分(C)の割合が10〜17質量%の範囲であり、
好ましくは、成分(C)が、60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%のホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩、及び、0〜40質量%、0〜30質量%又は0〜20質量%の窒素含有相乗剤及び/又は窒素-及び/又はリン-含有難燃剤から構成され、
ここで後者は、好ましくは、メラミン又はメラミンの縮合生成物、特にメレム、メラム、メロン、又は、メラミンとポリリン酸との反応生成物、又は、メラミンの縮合組成物とポリリン酸との反応生成物、又は、それらの混合物、特にメラミンポリホスファートから選択される、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項11】
安定剤、加工助剤、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、静電防止剤、伝導性添加剤、離型剤、光学的光沢剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、又は、上述の添加剤の混合物が、
成分(D)の添加剤として存在し、
好ましくは、静電防止剤として、カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを使用する、請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項12】
イオノマーのメルトフローインデックス(MFI)は、0.5〜5.0 g/10分、好ましくは0.5〜2.0 g/10分の範囲にある、請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項13】
成分(A)及び/又はポリアミド成形組成物全体としての融点が、280〜315℃、特に好ましくは290〜310℃の範囲にある、請求項1〜12のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のポリアミド成形組成物を用いて製造される成形体であって、
特に好ましくは、電気又は電子のパッシブ又はアクティブの部材、印刷回路板、印刷回路板の部品、ハウジング構成要素、フィルム、ライン
の形態又はこれらの部品であり、
特に、スイッチ、プラグ、ブッシング、配電器、継電器、抵抗体、キャパシタ、コイル又はコイルコア、ランプ、ダイオード、LED、トランジスター、コネクター、集積回路(IC)、プロセッサ、コントローラー、レギュレーター、メモリー、センサー、電気又は電子の部材用の、印刷回路板用の、又は、部材集合体用の締結要素(例えば、スペーサー、ピン、ストリップ、差込形のガイド、ネジ及び/又はナット、ベース、プラグコネクター、プラグ又はブッシング、フィルムヒンジ、スナップインホック、及び/又は、ばね舌片)
の形態又はこれらの部品である、成形体。
【請求項15】
成形物の破断点伸びが、少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、特に好ましくは少なくとも7%である、請求項14に記載の成形物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−25954(P2012−25954A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161212(P2011−161212)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(505319810)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】