説明

部品の取付構造及びプッシュナット

【課題】製造コストを削減できるとともに、結合強度及び取り付け性の向上を図ることができる部品の取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】第一留め具41に対して第二留め具61を押し込んで、第一留め具41と第二留め具61とで部品3を挟んで保持する部品の取付構造であって、プッシュナット31は、リング状を呈する板体32と、板体32の内側に形成され凹部21の底部21aに向かうにつれて、軸孔35の中心方向に傾斜する第一係合爪33と、板体32の外側に形成され凹部21の底部21aから離間するにつれて、軸孔35の中心方向から離間する方向に傾斜する第二係合爪34と、を備え、第一留め具41の先端と第一係合爪33とが係合するとともに、凹部21と第二係合爪34とが係合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付部品に対して部品を取り付ける部品の取付構造に関する。また、本発明は、第一部材に第二部材を取り付けるためのプッシュナットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される燃料タンク(以下、「被取付部品」ともいう)の外側に、被取付部品を保護するプロテクター(以下、「部品」ともいう。)を取り付ける取付構造が知られている。従来、被取付部品に部品を取り付ける場合には、被取付部品に設けた突起に留め具を用いて部品を固定するようにしていた。例えば、特許文献1には、被取付部品に固設された取付ボスに板バネ状のクリップを用いて部品を固定する技術が開示されている。また、特許文献2には、被取付部品に固設されたナットに、ボルトを螺合して部品を固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−37230号公報
【特許文献2】特許第4034104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る発明においては、クリップを介して比較的容易に部品を取り付けることができるが、クリップの一方側が切り欠かれているため、この切欠きからクリップが外れやすいという問題があった。また、特許文献2に係る発明においては、ボルトで螺合するため、部品と被取付部品とを比較的強固に結合することができるが、螺合する作業が煩雑になるという問題があった。つまり、従来の発明では結合強度の向上と取り付け性の向上を両立させることが困難であった。
【0005】
また例えば、合成樹脂材料によるブロー成形により被取付部品を形成する場合、前記したように部品を固定するための突起を被取付部品の外面に設けるには、樹脂部材の溶着や、インサートブローによることが一般的であるが、このような方法では以下のような問題がある。
【0006】
溶着による方法では、被取付部品の形状が車種ごとに異なるため、留め具の取り付け位置も車種ごとに異なる。したがって、車種ごとに専用の溶着機が必要になるため、設備コスト及び製造コストが嵩むという問題がある。さらに、被取付部品に対する溶着部位と留め具の係止部位とでは求められる物性が異なることから、二種類の樹脂材料による二色成形となる。このため、製造コストが嵩むという問題がある。また、インサートブロー成形による方法では、金型内へのインサート品の装填などの作業に手間を要し、製造工数が増えるため製造コストが嵩むという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、製造コストを削減できるとともに、結合強度及び取り付け性の向上を図ることができる部品の取付構造を提供することを目的とする。また、本発明は、結合強度及び取り付け性の向上を図ることができるプッシュナットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、外面に凹部を備えた被取付部品と、前記被取付部品の外面に取り付けられる部品と、前記被取付部品に対して前記部品の内側に配設される第一留め具と前記第一留め具に係合し前記部品の外側に配設される第二留め具と前記第一留め具の先端に挿通されるプッシュナットとを備える留め具と、を有し、前記第一留め具に対して前記第二留め具を押し込んで、前記第一留め具と前記第二留め具とで前記部品を挟んで保持する部品の取付構造であって、前記プッシュナットは、前記第一留め具の先端が挿通される軸孔を備えた基板と、前記基板の内側に形成され前記凹部の底部に向かうにつれて、前記軸孔の中心方向に傾斜する第一係合部と、前記基板の外側に形成され前記凹部の底部から離間するにつれて、前記軸孔の中心から離間する方向に傾斜する第二係合部と、を備え、前記第一留め具の先端と前記第一係合部とが係合するとともに、前記凹部と前記第二係合部とが係合することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、被取付部品の外面には凹部を設けるだけでよいため、被取付部品を形成する手間が省ける。これにより、製造コストを低減することができる。また、第一留め具に対して第二留め具を押し込むだけで、部品を保持することができる。これにより、取り付け性を向上させることができる。
また、プッシュナットの第一係合部及び第二係合部が、軸孔の中心方向に傾斜しているため、取り付ける際にはスムーズに押し込むことができる。一方、部品に外力が発生した場合は、第一係合部が第一留め具に、第二係合部が被取付部品の凹部にそれぞれ食い込むように係合する。これにより、結合強度を高めることができる。
【0010】
また、前記第二係合部は、複数の第二係合爪を有することが好ましい。かかる構成によれば、第二係合部が複数の第二係合爪を有しているため撓みやすい。これにより、取り付ける際によりスムーズに押し込むことができる。
【0011】
また、前記第二係合爪は、基端側に比べて先端側が幅広に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第二係合爪がより撓みやすくなる。また、先端側が幅広になっているため、凹部との係合部分を大きくすることができる。
【0012】
また、前記第二係合爪には、前記凹部の底部に向けて凸状となる湾曲部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、プッシュナットに外力が作用した際に、湾曲部でその外力を吸収することができる。これにより、プッシュナットが凹部から外れ難くなる。
【0013】
また、前記第一係合部は、複数の第一係合爪を有することが好ましい。かかる構成によれば、第一係合部が複数の第一係合爪を有しているため撓みやすい。これにより、取り付ける際によりスムーズに押し込むことができる。
【0014】
また、前記第一留め具の先端の外周面に、前記第一係合部と係合する突条を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、第一留め具の先端からプッシュナットが抜けてしまうのを防ぐことができる。
【0015】
また、前記第一留め具は、板状の第一頭部と、前記第一頭部に立設する第一脚部と、前記第一脚部と反対方向に第一頭部に立設する筒状部と、前記第一頭部、前記第一脚部及び前記筒状部に亘って形成された中空部と、前記筒状部に穿設された係合孔と、を有し、
前記第二留め具は、板状の第二頭部と、第二頭部に立設する第二脚部と、前記第二脚部に形成された係合突起と、を有し、前記第二脚部は、前記中空部に挿入されるとともに、前記係合突起が前記係合孔に係合されることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、係合孔及び係合突起を備えることで第一留め具と第二留め具を確実に係合させることができる。
【0017】
また、前記第一頭部は、板状の本体部と、前記本体部において外側に開放するように切り欠かれた切欠き部と、前記切欠き部において前記第一頭部の中心側から外側に張り出した羽根部材と、を有し、前記羽根部材は、前記第二留め具側に傾斜しており、前記部品を前記第二留め具側に付勢することが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、羽根部材が部品を第二留め具側に付勢するため、部品のガタつきを抑えることができる。
【0019】
また、前記第二脚部は、前記第二頭部に立設する基軸部と、前記基軸部の先端側から前記第二頭部に向けて延設され前記係合突起を備えた一対の係合片と、を有し、前記第二頭部は、前記基軸部の両側に穿設され前記係合片の先端を逃がす逃げ孔を有し、前記係合片が弾性変形されることにより、前記筒状部の前記係合孔に前記係合突起が係合されることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、係合突起を備えた係合片が弾性変形するため、第一留め具と第二留め具を容易に係合させることができる。また、逃げ孔から一対の係合片の先端をつまむなどして弾性変形させることにより、第一留め具と第二留め具の係合を解除することができる。これにより、第一留め具から第二留め具を容易に外すことができる。
【0021】
また、本発明は、第一部材に形成された凹部に第二部材を取り付けるためのプッシュナットであって、前記第二部材が挿通される軸孔を備えた基板と、前記基板の内側に形成され前記凹部の底部に向かうにつれて、前記軸孔の中心方向に傾斜する第一係合部と、前記基板の外側に形成され前記凹部の底部から離間するにつれて、前記軸孔の中心から離間する方向に傾斜する第二係合部と、を備え、前記第二部材と前記第一係合部とが係合するとともに、前記凹部と前記第二係合部とが係合することを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、第一部材の外面には凹部を設けるだけでよいため、第一部材を形成する手間が省ける。これにより、製造コストを低減することができる。また、凹部に対してプッシュナット及び第二部材を押し込むだけで、第一部材に第二部材を取り付けることができる。これにより、取り付け性を向上させることができる。
【0023】
また、プッシュナットの第一係合部及び第二係合部が、軸孔の中心方向に傾斜しているため、取り付ける際にはスムーズに押し込むことができる。一方、第二部材に外力が発生した場合は、第一係合部が第二部材に、第二係合部が第一部材の凹部にそれぞれ食い込むように係合する。これにより、結合強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る部品の取付構造及びプッシュナットによれば、製造コストを削減できるとともに、結合強度及び取り付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態に係る部品の取付構造を示す図であって、車両の裏側から臨む斜視図である。
【図2】第一実施形態に係る部品の取付構造を示す断面図である。
【図3】第一実施形態に係る留め具周りの構造を示す分解断面図である。
【図4】第一実施形態に係るプッシュナットを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図5】第一実施形態に係る第一留め具を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図6】第一実施形態に係る第二留め具を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図7】第一実施形態に係る部品の取り付け方法を段階的に示す断面図である。
【図8】第一実施形態に係る留め具の係合状態を示す断面図である。
【図9】第一変形例を示す断面図である。
【図10】第二変形例を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図11】第二実施形態に係る留め具周りの構造を示す分解断面図である。
【図12】第二実施形態に係る凹部を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図13】第二実施形態に係るプッシュナットを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図14】第二実施形態に係る第一留め具を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図15】第二実施形態に係る留め具の係合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について適宜図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る部品の取付構造1は、被取付部品2と、被取付部品2の外側を覆う部品3と、部品3を被取付部品2に留め付ける複数の留め具4と、被取付部品2及び部品3を外側から保持する2本のタンクバンド5とを主に有する。本実施形態に係る部品の取付構造1では、車両に配設された燃料タンク(被取付部品2)に板状のプロテクター(部品3)を取り付ける場合を例示する。
【0027】
被取付部品2は、図1及び図2に示すように、合成樹脂材料によるブロー成形により形成され、バリア材層の内外に熱可塑性樹脂を積層した多層構造をなす燃料タンクである。被取付部品2の配設位置は特に制限されないが、本実施形態では車両のシャーシSの裏側にタンクバンド5,5を介して保持(吊持)されている。被取付部品2は、扁平な筐体であって、車両の構造や強度を考慮してその外面が適宜凸凹に形成されている。被取付部品2の外面には、タンクバンド5,5を挿通させるための2条の窪み2a,2aが形成されている。また、被取付部品2の外面には、後記する留め具4が係合する凹部21が形成されている。凹部21の構成については後記する。
【0028】
被取付部品2は、その長手方向を車両の幅方向、その短手方向を車両の前後方向となるように配設されている。以下の説明における前後左右上下は、車両の進行方向を基準として図1の矢印にしたがう。
【0029】
部品3は、図1及び図2に示すように、本実施形態では、排気管や他の装置からの熱を遮蔽したり、外力から被取付部品2を保護したりするプロテクターである。部品3は、金属製又は樹脂製の板状部材であって被取付部品2の下側をほぼ覆い隠す。部品3は、被取付部品2の外面の形状に沿うように形成されている。部品3は、後記する複数の留め具4を介して被取付部品2に取り付けられるとともに、タンクバンド5によって被取付部品2とともに車両に保持される。
【0030】
部品3には、図2及び図3に示すように、二条の窪み3a,3aと、複数の貫通孔3bが形成されている。窪み3aは、タンクバンド5が挿通される部位であって、被取付部品2の窪み2aに対応して形成されている。貫通孔3bは、留め具4が挿入される部位である。貫通孔3bは、本実施形態では、留め具4の数に合わせて9箇所に形成されている。部品3は、本実施形態では前記したように形成したが、被取付部品2を保護するものであれば、その形状、材料等は特に制限されるものではない。
【0031】
留め具4は、図2及び図3に示すように、部品3の貫通孔3bを挿通するとともに部品3の外側(下側)から部品3を被取付部品2に留め付けている。留め具4及びその取り付け構造については後記する。
【0032】
タンクバンド5は、図1及び図2に示すように、被取付部品2及び部品3を車両に保持する部材である。タンクバンド5は、本実施形態では、被取付部品2の前後方向に亘って2条に掛け渡されている。タンクバンド5は、その両端部に締結部5a,5aを備えており、締結部5aを介して車両のシャーシS等にボルトで締結されている。タンクバンド5は、本実施形態では、樹脂製部材を用いているが材料は特に制限されるものではない。
【0033】
タンクバンド5を備えることで、被取付部品2及び部品3を車両に保持することができるとともに、被取付部品2に対する部品3の位置ずれを防止できる。また、被取付部品2は窪み2a,2aを、部品3は窪み3a,3aをそれぞれ備えることで、被取付部品2と部品3との位置決め及びタンクバンド5の取り付け作業を容易に行うことができる。また、被取付部品2の窪み2a及び部品3の窪み3aを備えることで、タンクバンド5が部品3の最下面よりも下側に突出するのを防ぐことができる。
【0034】
次に、凹部21、留め具4及びこれらの取付構造について詳述する。留め具4は、図3に示すように、それぞれ分離するプッシュナット31と、第一留め具41と、第二留め具61とを備えており、第一留め具41と第二留め具61とで部品3を挟持しつつ、被取付部品2の凹部21に挿入される。
【0035】
凹部21は、図3に示すように、被取付部品2の外面に凹設されている。凹部21は、被取付部品2をブロー成形する際に形成される。凹部21は、本実施形態では、下方(被取付部品2の外側)に開口しており、おわん状にくり貫かれている。凹部21の形状、大きさ等は特に制限されるものではない。
【0036】
プッシュナット31は、図3及び図4に示すように、扁平なリング状を呈する金属製部材である。プッシュナット31は、第一留め具41の先端に挿通されつつ、凹部21内に設置される。プッシュナット31は、基板32と、基板32の内側に形成された第一係合爪(第一係合部)33と、基板32の外側に形成された第二係合爪(第二係合部)34とを備えている。プッシュナット31は、板状の金属部材をプレス加工した後、第一係合爪33及び第二係合爪34となる部分を曲げ加工して形成されている。基板32の中央には、軸孔35が形成されている。軸孔35は、第一留め具41が挿通される部位である。
【0037】
基板32は、リング状を呈する板状部材である。基板32の内縁32aには、第一係合爪33が形成されている。第一係合爪33は、図3に示すように、基板32の内縁32aに形成され凹部21の底部21aに向かうにつれて、軸孔35の中心Cに近づくように傾斜している。図4に示すように、第一係合爪33には、平面視略V字状を呈する複数の第一スリット部33aが放射状に形成されている。第一スリット部33aは、等間隔に形成されており、軸孔35の中心Cに近づくにつれて隙間が大きくなるようになっている。なお、第一スリット部33aの大きさや数は特に制限されるものではない。
【0038】
図3に示すように、基板32の外縁32bには、第二係合爪34が形成されている。第二係合爪34は、基板32の外縁32bに形成され凹部21の底部21aから離間するにつれて、軸孔35の中心Cから離間するように傾斜している。つまり、第一係合爪33と第二係合爪34とは同じ方向に傾斜している。図4に示すように、第二係合爪34には、平面視略V字状を呈する複数の第二スリット部34aが放射状に形成されている。第二スリット部34aは、等間隔に形成されており、軸孔35の中心Cから離間するにつれて隙間が大きくなるようになっている。第二スリット部34aの大きさや数は特に制限されるものではない。
【0039】
なお、本実施形態では、第一係合部として、爪形状の第一係合爪33を例示し、第二係合部として、爪形状の第二係合爪34を例示したが、これに限定されるものではない。第一係合部が、第一留め具41に係合するとともに、第二係合部が凹部21に係合すれば他の形態であってもよい。例えば、前記した形態において、第一スリット部33a及び第二スリット部34aを設けなくてもよい。
【0040】
第一留め具41は、図3に示すように、第一頭部42と、第一頭部42から凹部21側に立設する第一脚部43と、第一頭部42から部品3側に立設する筒状部44と、内部に形成された中空部45とを有する。第一留め具41は、被取付部品2と部品3との間に配設される。第一留め具41の材料は特に制限されないが、本実施形態では、樹脂を用いている。
【0041】
第一頭部42は、図3、図5の(a)及び(b)に示すように、板状を呈する部材であって、部品3の貫通孔3bの外径よりも大きく形成されている。第一頭部42は、厚肉部49と、厚肉部49の周囲に形成された一対の薄肉部47,48と、薄肉部47,48の間に形成された凹溝46とを有する。
【0042】
厚肉部49は、リング状に形成されている。厚肉部49は、被取付部品2に対して内側に位置する内面49aと、外側に位置する外面49bとを有する。また、図5の(b)に示すように、厚肉部49には、上下方向に貫通する肉抜き孔49cが穿設されている。肉抜き孔49cは、本実施形態では、第一脚部43周りに4つ設けられている。肉抜き孔49cによって第一頭部42の軽量化を図ることができる。
【0043】
薄肉部47は、厚肉部49の全周に亘って、その外縁上端から上方に傾斜して延設されている。つまり、薄肉部47の内面(上面)47aは、厚肉部49の内面(上面)49aに対して上方に傾斜している。言い換えると、薄肉部47は、厚肉部49の内面49aから径方向に延設されるとともに厚肉部49の内面49aよりも内方(被取付部品2側)に傾斜している。また、薄肉部47は、第一頭部42の中心から離間するにつれて徐々に薄くなるように形成されている。
【0044】
薄肉部48は、厚肉部49の全周に亘って、その外縁下端から下方に傾斜して延設されている。つまり、薄肉部48の外面(下面)48aは、厚肉部49の外面(下面)49bに対して下方に傾斜している。言い換えると、薄肉部47は、厚肉部49の外面49bから径方向に延設されるとともに厚肉部49の外面49bよりも外方(被取付部品2から離間する方向)に傾斜している。また、薄肉部48は、第一頭部42の中心から離間するにつれて徐々に薄くなるように形成されている。
【0045】
凹溝46は、第一頭部42の全周に亘って、第一頭部42の中心に向けて凹状に形成されている。このように、第一頭部42の外縁側は、一対の薄肉部47,48を備えているため、外力が加わった場合に撓むことが可能となる。つまり、薄肉部47,48は、外力が作用すると互いの間隔が狭まる方向に変形し、外力が無くなると元の状態に復元する。
【0046】
第一脚部43は、第一頭部42の中央に立設している。第一脚部43は、大径部51と小径部52とを有する。大径部51は、第一頭部42に立設しており、内部に中空部を備えている。大径部51の外径は、凹部21の内径よりも小さくなっている。
【0047】
小径部52は、大径部51と同心で形成されている。小径部52は、大径部51の上面51aに立設しており、円柱状を呈する。小径部52の外径は、プッシュナット31の軸孔35の直径よりも若干小さくなっている。小径部52の外周面52aには、突条52bが四つ設けられている。突条52bは、プッシュナット31が小径部52の上方から抜けるのを防止する部位である。突条52bは、本実施形態では、断面視三角形で形成されている。突条52bの設置数や形状は、プッシュナット31を突条52bよりも下方に挿入させることができ、かつ、プッシュナット31が小径部52の上方から抜けないようであれば、特に制限されるものではない。
【0048】
筒状部44は、リング状を呈し、第一頭部42から下方に向けて立設されている。筒状部44は、部品3の位置決めをするとともに、第二留め具61を受け入れる部位である。筒状部44の対向する側面には左右方向に貫通する一対の係合孔44aが形成されている。
【0049】
中空部45は、図5の(a)に示すように、大径部51、第一頭部42及び筒状部44の内部に連続して形成されている。中空部45は、第二留め具61の第二脚部63が挿入される部位である。
【0050】
第一留め具41は、本実施形態では前記したように形成したが、他の形態であってもよい。例えば、第一留め具41に薄肉部47,48を設けなくてもよい。
【0051】
第二留め具61は、図3に示すように、第二頭部62と、第二頭部62から上方に立設する第二脚部63と、を有する。第二留め具61は、部品3の下側(外側)に配設される。第二留め具61の材料については特に制限はないが、本実施形態では、第一留め具41よりも耐火性及び耐熱性に優れた材料を用いている。
【0052】
第二頭部62は、図3及び図6の(a)及び(b)に示すように、略円板状を呈する部材であって、部品3に対向する面が中央に窪むように形成されている。第二頭部62の外径は、第一留め具41の厚肉部49の外径と略同一になっている。第二頭部62には、一対の逃げ孔65と、4つの凸部66が形成されている。逃げ孔65は、後記する係合片68を逃がすための貫通孔である。逃げ孔65は、後記する第二脚部63の基軸部67の両側に形成されている。逃げ孔65は、本実施形態では平面視矩形となるように形成したが、他の形状であってもよい。凸部66は、本実施形態では4つ設けており、第二脚部63周りに均等の間隔で配設されている。
【0053】
第二脚部63は、図6の(a)及び(b)に示すように、基軸部67と、基軸部67から延設された一対の係合片68とを有する。基軸部67は、第二頭部62の中央に立設されている。係合片68の基端側は基軸部67の先端に連結されており、自由端となる先端(下端)側は逃げ孔65に臨んでいる。係合片68は、基軸部67から離間する方向に膨らむように若干湾曲して形成されている。係合片68は、この係合片68の先端(下端)に基軸部67方向に向けて外力を作用させると、基軸部67に近づく方向に弾性変形し、外力を除くと元の位置に復元する。
【0054】
一対の係合片68の側面には、基軸部67から離間する方向に突出した係合突起68aがそれぞれ形成されている。係合突起68aの形状は特に制限されなないが、本実施形態では断面視三角形で形成されている。係合突起68aは、前記した筒状部44の係合孔44aに係合される部位である。
【0055】
なお、第二留め具61は、本実施形態では前記したように形成したが、他の形態であってもよい。例えば、第二留め具61に凸部66を設けなくてもよい。
【0056】
次に、部品3の取り付け方法について説明する。
まず、図7の(a)に示すように、第一留め具41の小径部52にプッシュナット31を挿入する。つまり、プッシュナット31の第二係合爪34側から小径部52を挿入させ、基板32を大径部51の上面に当接させる。第一係合爪33は、小径部52によって若干拡径されつつ突条52bよりも下の位置(大径部51側)で小径部52の外周面52aに当接する。
【0057】
次に、図7の(b)に示すように、プッシュナット31を備えた第一留め具41を被取付部品2の凹部21に押し込む。第二係合爪34は、押し込まれる際に凹部21の内壁によって若干縮径され内壁に当接する。また、第一留め具41の第一頭部42が被取付部品2の外面に当接する。次に、第一留め具41の筒状部44に部品3の貫通孔3bを挿通させる。
【0058】
最後に、図7の(c)に示すように、第一留め具41に、第二留め具61を押し込んで、第一留め具41と第二留め具61とを係合させる。第一留め具41と第二留め具61とで部品3が挟持されるため、被取付部品2に部品3を取り付けることができる。
【0059】
なお、部品3の取り付け方法は、前記した方法に限定されるものではない。例えば、プッシュナット31、第一留め具41、部品3及び第二留め具61を予め一体化させた後、一体化させた部材を凹部21に押し込んで取り付けてもよい。
【0060】
次に、図8を用いて留め具4の係合状態について説明する。図8に示すように、第二留め具61の係合片68の先端側は、押し込まれる際に、第一留め具41の筒状部44の内壁に押されて基軸部67側に移動する。係合片68の係合突起68aが、筒状部44の係合孔44aに臨む位置まで押し込まれると、係合片68が元の状態に復元されることにより、係合突起68aと係合孔44aとが係合する。これにより、第一留め具41と第二留め具61とが係合されるとともに部品3が挟持される。
【0061】
第二留め具61を第一留め具41から外す際には、第二留め具61の逃げ孔65,65に例えば指を入れて、係合片68,68の先端を基軸部67側に移動させ、筒状部44の係合孔44aと係合片68の係合突起68aとの係合を解除する。そして、第二留め具61を第一留め具41から離間する方向に引き抜く。これにより、第一留め具41から第二留め具61及び部品3を取り外すことができる。
【0062】
以上説明した部品の取付構造1によれば、被取付部品2の外面には凹部21を設けるだけでよいため、ブロー成形の際の金型の構造を簡素化でき被取付部品2を形成する手間が省ける。これにより、従来のようにボスなどを溶着させる作業や、インサートブロー等の面倒な作業を行う必要が無いため、製造コストを削減することができる。
【0063】
また、プッシュナット31を挿通させた第一留め具41に対して第二留め具61を押し込むだけで部品3を保持することができる。これにより、取り付け性を向上させることができる。
【0064】
また、プッシュナット31の第一係合爪33及び第二係合爪34が、凹部21の底部21aに向かうにつれて、軸孔35の中心Cに近づくように傾斜しているため、プッシュナット31を第一留め具41に取り付ける際、及び、プッシュナット31を備えた第一留め具41を凹部21に押し込む際にスムーズに作業を行うことができる。
【0065】
一方、例えば部品3に対して被取付部品2から離間する方向に外力が発生した場合は、第一係合爪33が第一留め具41の小径部52に、第二係合爪34が被取付部品2の凹部21にそれぞれ食い込むように係合する。これにより、結合強度を高めることができる。
【0066】
また、プッシュナット31の第一係合爪33に、第一スリット部33aを設けたため第一係合爪33が撓みやすくなり、プッシュナット31の軸孔35に第一留め具41の小径部52を挿通させやすい。また、プッシュナット31の第二係合爪34に、第二スリット部34aを設けたため第二係合爪34が撓みやすくなり、被取付部品2の凹部21にプッシュナット31を挿入しやすい。
【0067】
また、第一留め具41の小径部52の外周面52aに突条52bを形成したため、第一留め具41の小径部52(先端)からプッシュナット31が抜けてしまうのを防ぐことができる。
【0068】
また、第一留め具41に係合孔44aを、第二留め具61に係合突起68aをそれぞれ設けたため、第一留め具41と第二留め具61とを確実に係合させることができる。また、係合片68を基軸部67に対して弾性変形可能に形成したことにより、係合孔44aと係合片68とを容易に係合することができる。また、一対の係合片68を摘むことによって、係合片68が弾性変形するため、第二留め具61及び部品3を容易に取り外すことができる。
【0069】
また、第一留め具41には、薄肉部47,48が形成されているため、第一頭部42の外縁側が撓みやすくなる。被取付部品2の凹部21、部品3及び留め具4は、成形歪みが発生するため、製品の寸法公差に起因して被取付部品2に対して部品3ががたつく可能性がある。また、部品3の取り付け作業が困難になる場合がある。しかし、本実施形態によれば、薄肉部47,48が撓むことで被取付部品2等の形状に追従して変形する。これにより、各部材の寸法公差を吸収するため、安定して組み付けることができる。また、薄肉部47,48が撓むことで留め具4の取り付け性を高めることができる。また、薄肉部47,48は、厚肉部49の上側及び下側に形成されているため、被取付部品2側及び部品3側の両方の部材に応じて撓むことができる。
【0070】
[第一変形例]
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。図9は、第一変形例を示す断面図である。図9に示す第一変形例では、被取付部品2の凹部21に、突起爪21bを設けている点で、前記した実施形態と相違する。
【0071】
突起爪21bは、凹部21の内壁に、凹部21の中央方向に突出するように形成されている。突起爪21bは、本実施形態では、凹部21の内周の全長に亘って設けられている。突起爪21bを備えることにより、第二係合爪34が突起爪21bに引っ掛かりやすくなる。これにより、部品3に外力が発生した場合に、第一留め具41が外れにくいため、より結合力を高めることができる。
【0072】
[第二変形例]
図10は、第二変形例を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、断面図である。前記した実施形態では、部品としてプロテクターを例示したが、第二変形例では、部品としてチューブPを取り付けるためのチューブ保持具101のベース板を例示する。
【0073】
チューブ保持具101は、図10の(a)に示すように、例えば、被取付部品2(燃料タンク)にベーパーリターンチューブなどのチューブPを取り付けるための部材である。チューブ保持具101は、部品(ベース板)102と、部品102に立設された一対のクランプ用クリップ103,103とを有する。
【0074】
部品(ベース板)102には、図10の(b)に示すように、留め具4を挿通させる貫通孔104が形成されている。クランプ用クリップ103は、側面視U字状を呈し、開放側からチューブPを押し込むことでチューブPを挟持することができる。
【0075】
図10の(b)に示すように、部品102は、貫通孔104を介して第二留め具61に挿通されるとともに、第一留め具41と第二留め具61とで挟持されている。このように、部品102(ベース板)であっても留め具4によって容易に取り付けることができる。
【0076】
<他の変形例>
また、前記した実施形態では、留め具4の一部としてプッシュナット31を用いたが、プッシュナット31のみで部品を取り付けてもよい。例えば、図7の(b)を参照すると、被取付部品2(第一部材)に形成された凹部21に、プッシュナット31を介して第一留め具41(第二部材)を取り付けることができる。ここでは、第一部材を燃料タンク、第二部材を第一留め具としているが、それぞれ他の部材でもよいことは言うまでもない。
【0077】
このような構成によれば、第一部材の外面には凹部21を設けるだけでよいため、第一部材を形成する手間が省ける。これにより、製造コストを低減することができる。また、凹部21に対してプッシュナット31及び第二部材を押し込むだけで、第一部材に対して第二部材を取り付けることができる。これにより、取り付け性を向上させることができる。
【0078】
また、プッシュナット31の第一係合爪33及び第二係合爪34が、凹部21の底部21aに向かうにつれて、軸孔の中心方向に傾斜しているため、取り付ける際にはスムーズに押し込むことができる。一方、第二部材に外力が発生した場合は、第一係合爪33が第二部材に、第二係合爪34が第一部材の凹部21にそれぞれ食い込むように係合する。これにより、結合強度を高めることができる。
【0079】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、図11に示すように、凹部221、留め具204のプッシュナット231及び第一留め具241の形態が第一実施形態と相違する。
【0080】
第二実施形態に係る留め具204は、プッシュナット231と、第一留め具241と、第二留め具261とを備えており、第一留め具241と第二留め具261とで部品203を挟持しつつ、被取付部品202の凹部221に挿入される。なお、第一実施形態と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
【0081】
凹部221は、図12の(a)及び(b)に示すように、被取付部品202の外面に凹設されている。凹部221は、被取付部品202をブロー成形する際に形成される。凹部221は、本実施形態では、下方(被取付部品2の外側)に開口しており、おわん状にくり貫かれている。
【0082】
凹部221の内壁には、突起爪221bが形成されている。突起爪221bは、凹部221の中央方向に突出するように形成されている。突起爪221bは、本実施形態では、等間隔で3つ設けられている。突起爪221bを備えることにより、後記する第二係合爪234が突起爪221bに引っ掛かりやすくなる。これにより、部品203に外力が発生した場合に、第一留め具241が外れにくいため、より結合力を高めることができる。
【0083】
プッシュナット231は、図13の(a)及び(b)に示すように、扁平なリング状を呈する金属部材である。プッシュナット231は、第一留め具241の先端に挿通されつつ、凹部221内に設置される。プッシュナット231は、基板232と、基板232の内側に形成された第一係合爪(第一係合部)233と、基板232の外側に形成された第二係合爪(第二係合部)234とを備えている。
【0084】
基板232は、リング状を呈する板状部材である。基板232の中央には、軸孔235が形成されている。基板232は、図13の(b)に示すように、第一留め具241の大径部251に当接しつつ大径部251側に凸状となる第一湾曲部232aと、大径部251から離間する位置に配設された平板部232bとを有する。第一湾曲部232aは、平板部232bの外側に形成されている。
【0085】
第一係合爪233は、図11及び図13に示すように、平板部232bの内縁に形成され、凹部221の底部221aに向かうにつれて、軸孔235の中心Cに近づくように傾斜している。図13の(a)に示すように、第一係合爪233には、放射状に切り込まれた複数の第一スリット部233aが形成されている。第一スリット部233aの数は特に制限されないが、本実施形態では4箇所に形成されている。
【0086】
第二係合爪234は、図11及び図13に示すように、第一湾曲部232aの外縁に形成され、凹部221の底部221aから離間するにつれて、軸孔235の中心Cから離間するように傾斜している。つまり、第一係合爪233と第二係合爪234は同じ方向に傾斜している。図13の(a)に示すように、第二係合爪234には、放射状に切り込まれた複数の第二スリット部234aが形成されている。第二スリット部234aの数は特に制限されないが、本実施形態では8箇所に形成されている。第二スリット部234aは、等間隔で切り欠かれており、内側に比べて外側が幅狭になっている。これにより、第二係合爪234は、先端側が基端側に比べて幅広になっている。
【0087】
図13の(b)に示すように、第二係合爪234には、凹部221の底部221a側に向けて凸状となる第二湾曲部234bが形成されている。プッシュナット231に外力が作用した際に、第一湾曲部232a及び第二湾曲部234bが撓むことにより、その力を吸収することができる。
【0088】
第一留め具241は、図14に示すように、第一頭部242と、第一頭部242に立設する第一脚部243と、第一頭部242に第一脚部243とは反対側に立設する筒状部244と、内部に形成された中空部245とを有する。
【0089】
第一頭部242は、略円板状を呈する本体部246と、本体部246に切り欠かれた切欠き部247と、切欠き部247に配設された羽根部材248とを有する。切欠き部247は、平面視矩形を呈し、外側に向けて開放されている。切欠き部247は、本実施形態では、放射状に四つ形成されている。
【0090】
羽根部材248は、切欠き部247の内部にそれぞれ設けられており、第一留め具241の中央側から外側に向けて張り出している。羽根部材248の先端は、自由端になっている。図14の(b)に示すように、羽根部材248は、下方(筒状部244側)に向けて傾斜している。羽根部材248の下端248bは、本体部246の下面246bよりも下方に位置している。なお、切欠き部247及び羽根部材248の個数は特に制限されない。
【0091】
第一脚部243は、第一頭部242の中央に立設している。第一脚部243は、大径部251と小径部252とを有する。大径部251は、第一頭部242に立設しており、内部に中空部を備えている。大径部251の外径は、凹部221の内径よりも小さくなっている。
【0092】
小径部252は、大径部251と同心で形成されている。小径部252の外径は、プッシュナット231の軸孔235の直径よりも若干小さくなっている。
【0093】
筒状部244は、図14の(b)に示すように、リング状を呈し、第一頭部242から下方に向けて立設されている。筒状部244は、部品203の位置決めをするとともに、第二留め具261を受け入れる部位である。筒状部244の対向する側面には左右方向に貫通する一対の係合孔244aが形成されている。
【0094】
中空部245は、図14の(b)に示すように、大径部51、小径部52、第一頭部242及び筒状部244の内部に連続して形成されている。中空部245は、第二留め具261の第二脚部263が挿入される部位である。
【0095】
なお、第二留め具261及び部品203については第一実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。また、留め具204の取り付け手順及び取外し手順も第一実施形態と略同一であるため説明を省略する。
【0096】
次に、図15を用いて留め具204の係合状態について説明する。図15に示すように、第一実施形態と略同等の構造により、部品203が第一留め具241と第二留め具261とに挟持されつつ、凹部221に取り付けられている。また、部品に外力が発生した場合は、プッシュナット231の第一係合爪233が第一留め具241に、第二係合爪234が凹部221にそれぞれ食い込むように係合する。これにより、結合強度を高めることができる。
【0097】
以上説明した第二実施形態によれば、第一実施形態と略同等の効果に加えて、以下の効果も奏することができる。第一留め具241の羽根部材248は、本体部246よりも下方(第二留め具261側)に傾斜しているため、第一留め具241と第二留め具261とで部品203で挟むと、部品203が羽根部材248によって第二留め具261側に付勢される。これにより、部品203のガタつきを抑えることができる。
【0098】
また、凹部221には、突起爪221bが形成されているため、第二係合爪234が突起爪221bに引っ掛かりやすくなる。これにより、留め具204の結合力を高めることができる。
【0099】
また、プッシュナット231の第二係合爪234は、基端側に比べて先端側が幅広に形成されているため、第二係合爪234が撓みやすくなっている。これにより、留め具204をスムーズに取り付けることができる。また、先端側が幅広になっているため、凹部221との係合部分を大きくすることができる。これにより、結合強度を高めることができる。
【0100】
また、部品203に外力が作用した際に、プッシュナット231の第一湾曲部232a及び第二湾曲部234bでその外力を吸収することができるため、プッシュナット231が凹部221から外れ難い。なお、本実施形態では、第一湾曲部232a及び第二湾曲部234bを設けたが少なくとも第二湾曲部234bを備えていれば外力を吸収することができる。
【0101】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では、被取付部品の下方又は上方に部品を配設し留め具で留め付けたが、被取付部品の側方に部品を配設して留め具で留め付けてもよい。また、被取付部品及び部品において、留め具を取り付ける位置を窪ませて、留め具がその窪みに収容するように形成してもよい。これにより、留め具が付属部品の最下面から下側に突出するのを防ぐことができる。また、前記した実施形態及び変形例では、部品としてプロテクターやベース板を例示したが、被取付部品の外側に取り付けられる部材であって、留め具で挟持可能な形態を備えていれば他の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 部品の取付構造
2 被取付部品(燃料タンク)
3 部品(プロテクター、ベース板)
4 留め具
5 タンクバンド
21 凹部
21a 底部
21b 突起爪
31 プッシュナット
32 基板
33 第一係合爪(第一係合部)
33a 第一スリット部
34 第二係合爪(第二係合部)
34a 第二スリット部
35 軸孔
41 第一留め具
42 第一頭部
43 第一脚部
44 筒状部
44a 係合孔
45 中空部
52b 突条
61 第二留め具
62 第二頭部
63 第二脚部
65 逃げ孔
67 基軸部
68 係合片
68a 係合突起
231 プッシュナット
232 基板
232a 第一湾曲部
233 第一係合爪(第一係合部)
233a 第一スリット部
234 第二係合爪(第二係合部)
234a 第二スリット部
234b 第二湾曲部
235 軸孔
246 本体部
247 切欠き部
248 羽根部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に凹部を備えた被取付部品と、
前記被取付部品の外面に取り付けられる部品と、
前記被取付部品に対して前記部品の内側に配設される第一留め具と前記第一留め具に係合し前記部品の外側に配設される第二留め具と前記第一留め具の先端に挿通されるプッシュナットとを備える留め具と、を有し、
前記第一留め具に対して前記第二留め具を押し込んで、前記第一留め具と前記第二留め具とで前記部品を挟んで保持する部品の取付構造であって、
前記プッシュナットは、
前記第一留め具の先端が挿通される軸孔を備えた基板と、
前記基板の内側に形成され前記凹部の底部に向かうにつれて、前記軸孔の中心方向に傾斜する第一係合部と、
前記基板の外側に形成され前記凹部の底部から離間するにつれて、前記軸孔の中心から離間する方向に傾斜する第二係合部と、を備え、
前記第一留め具の先端と前記第一係合部とが係合するとともに、前記凹部と前記第二係合部とが係合することを特徴とする部品の取付構造。
【請求項2】
前記第二係合部は、複数の第二係合爪を有することを特徴とする請求項1に記載の部品の取付構造。
【請求項3】
前記第二係合爪は、基端側に比べて先端側が幅広に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の部品の取付構造。
【請求項4】
前記第二係合爪には、前記凹部の底部に向けて凸状となる湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の部品の取付構造。
【請求項5】
前記第一係合部は、複数の第一係合爪を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の部品の取付構造。
【請求項6】
前記第一留め具の先端の外周面に、前記第一係合部と係合する突条を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の部品の取付構造。
【請求項7】
前記第一留め具は、板状の第一頭部と、前記第一頭部に立設する第一脚部と、前記第一脚部と反対方向に第一頭部に立設する筒状部と、前記第一頭部、前記第一脚部及び前記筒状部に亘って形成された中空部と、前記筒状部に穿設された係合孔と、を有し、
前記第二留め具は、板状の第二頭部と、第二頭部に立設する第二脚部と、前記第二脚部に形成された係合突起と、を有し、
前記第二脚部は、前記中空部に挿入されるとともに、前記係合突起が前記係合孔に係合されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の部品の取付構造。
【請求項8】
前記第一頭部は、板状の本体部と、前記本体部において外側に開放するように切り欠かれた切欠き部と、前記切欠き部において前記第一頭部の中心側から外側に張り出した羽根部材と、を有し、
前記羽根部材は、前記第二留め具側に傾斜しており、前記部品を前記第二留め具側に付勢することを特徴とする請求項7に記載の部品の取付構造。
【請求項9】
前記第二脚部は、前記第二頭部に立設する基軸部と、前記基軸部の先端側から前記第二頭部に向けて延設され前記係合突起を備えた一対の係合片と、を有し、
前記第二頭部は、前記基軸部の両側に穿設され前記係合片の先端を逃がす逃げ孔を有し、
前記係合片が弾性変形されることにより、前記筒状部の前記係合孔に前記係合突起が係合されることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の部品の取付構造。
【請求項10】
第一部材に形成された凹部に第二部材を取り付けるためのプッシュナットであって、
前記第二部材が挿通される軸孔を備えた基板と、
前記基板の内側に形成され前記凹部の底部に向かうにつれて、前記軸孔の中心方向に傾斜する第一係合部と、
前記基板の外側に形成され前記凹部の底部から離間するにつれて、前記軸孔の中心から離間する方向に傾斜する第二係合部と、を備え、
前記第二部材と前記第一係合部とが係合するとともに、前記凹部と前記第二係合部とが係合することを特徴とするプッシュナット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−67810(P2012−67810A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211540(P2010−211540)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)
【Fターム(参考)】