説明

部品の表面処理のためのプラント

本発明は列内に配された複数のタンク(101,102,103)を含む処理タンクに収容された処理液中への金属部品の浸漬によるその表面処理装置およびタンク間で部品を移送するデバイスに関し、タンクは部品の浸漬で生じる気泡が表面から排除されるよう構造体の回転で沈められる部品を受け取るための回転軸(810,820,830)に設けられた構造体(801,802,803)を含み、回転軸は共通駆動デバイスに結合されかつそれによって駆動される。列内に配されたタンクは隣接していてもよく、構造体の回転軸は装置全体を貫通する共通回転軸を形成するよう整列させられかつ組み合わされてもよい。回転軸(810)は他の軸(820,830)から絶縁され、軸端に配された回転コネクター(806)を介して動力発生機に連結される。列内の下流側タンクは高温空気が供給される蒸気洗いタンク(112)である。装置は、そこからの全ての流体を閉じ込めかつ再処理する手段を備えたケーシング内に収まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理タンク内に収容された連続する液中に、これら部品を浸漬することによる、そしてこれらのタンク間での部品の移送による部品の表面処理、たとえばアルミニウム部品の電気化学処理の分野に属する。そうした電気化学処理の実例として、バリア陽極酸化あるいはアノード不動態化、酸性媒体中での多孔質陽極酸化、酸性溶解、硬質あるいは内部着色陽極酸化、電解研磨、そしてニッケルメッキなどの電気メッキが挙げられる。処理液には、電解液だけでなく、脱脂液、着色液および、すすぎ液などの前処理液が含まれる。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、処理タンクに収容された少なくとも1種の処理液中への金属部品の浸漬による部品の表面処理のための設備を提供し、当該設備は、列内に配置された複数のタンクと、このタンク間での部品の移送のためのデバイスとを含み、タンクは、それぞれ、回転アクスル上に設けられると共に部品を受け取ることができる回転構造体を具備してなり、部品は、この部品の浸漬の間に生じ得る気泡が、部品の表面から排除されるように選択された処理タンクの回転要素の回転動作によって処理液中に沈められる。
【背景技術】
【0003】
アルミニウム部品の表面の処理のために最も広範に使用されている設備は、バッチ方式で、すなわち大きな体積のチャージによって運転される。特許文献1には、複数の処理タンク上を移動する動力化されたカートリッジを備えた、そうした設備の例が開示されている。このカートリッジは、処理される物体の重要なチャージを浸漬するために、そして連続タンク内へと可動カートリッジから垂れ下がり、そこからそれらを引き上げるために、大きなストロークを伴った垂直動作を実行するための可動アームを備える。この種の設備には、いくつかの欠点がある。
・処理される部品が中空である場合、処理液中への浸漬ステップの間に、その表面のある領域に気泡あるいはエアポケットが出現することがある。これによって、処理ムラが、したがって部品の品質欠陥が生じる。
・タンクの容積は重要であり、これは、廃棄前に再処理される汚染液状放出物の重要な体積につながる。
・タンク上でのチャージの垂直動作は、これらのタンクの重要な開口表面と同様、処理ユニットの雰囲気中で、活性製品の蒸気および液滴、特に酸性蒸気を発生させるが、これは、こうしたガス状放出物の処理のための強力かつ高価な通気・ろ過システムを必要とする。
【0004】
この結果、そうした処理ユニットは表面処理および加工に特化した化学プラント内にしか設置できず、それゆえ厳しい環境安全基準を守ることできる。したがって部品は、それらが機械加工される金属工場から、表面処理が実施される工場へと、続いてエンドユーザーへと、輸送される必要があり、パッケージングおよび輸送のための高いコストが発生する。
【0005】
その開示内容はこの引用によって本明細書中に組み込まれる特許文献2においては、出願人は、そのそれぞれが動力化された回転ドラムを備え、かつ、その回転軸線はドラムの大部分が対応するタンク内に収容された処理液内に浸漬されるように水平に配置された複数の処理タンクから形成された、部品の連続した表面処理のための設備を既に説明している。処理される部品は、特にそれが小さなものである場合、ボックス、たとえば出願人名義の特許出願(特許文献3参照)の開示されたものの形状を有するサポート上で小さなバッチとして予め置くことができ、そしてこれらのボックスは続いて、処理される部品を各タンクへと供給し、そして既に処理された部品を下流側へと移送するためのコンベアシステムによって移送される。コンベアシステムは、タンクの上側部分の両側に配置された二つの平行なコンベアチェーンを有し、ドラム軸線は、二つのコンベアチェーンに対して垂直に配置される。各タンクは、コンベアチェーンの軸線に対して垂直する水平プッシュによる油圧シリンダーによって、それらが回転ドラムの周縁に配置されたスライドレール上に一時的に固定されかつそれらが処理液中で1回以上回転させられるタンクを通過した後、あるコンベアチェーンから別のものへと交互に、次々に、ボックスを移送するデバイスを備える。各回転ドラムは、歯付きディスクの周縁と、あるいは2枚のディスク間に配置された一連のピンと噛み合う、そのモーターのシャフト上の歯車を介して駆動され、これらのディスクはドラムの終端面を構成している。ギアポイントは、タンク内に収容された液体のレベルの上に位置させられる。ドラムには、出願人名義の国際出願(特許文献4参照)において説明された様式で、これらディスクに載りかつ処理液のレベルの上でタンク内に配置されたスライドコンタクトシューによって、これらのディスクを介して電流が供給される。電流が、続いて、ドラムによって部品のサポートに、続いて処理される部品に供給される。
【0006】
処理液内で部品の回転によって、部品の表面から気泡あるいはエアポケットが排除され、優れた表面品質を実現することが可能となる。タンク上でのかなりの程度の部品の垂直変位の排除によって、設備の全体スペース要求ならびに液滴および蒸気の生成が低減され、それゆえ処理ユニットにおける空気ろ過システムの出力を低減することが可能なる。だが、各タンクは、その動力化されたドラムおよびその移送デバイスを備えた自律処理サブユニットを構成するので、上記設備は比較的複雑なコンベアシステムおよび移送システムを使用し、全てのこれらのコンポーネントの良好な同期を必要とする。上記設備はまた、各コンベアチェーン用の駆動デバイスと、チェーンとタンクとの間の移送のための複数のデバイスとを必要とし、こうしたデバイスのコストは無視できない。
【0007】
特許文献5(その内容はこの引用によって本明細書に組み込まれる)によれば、出願人は、上記種類の、そして特許文献2に記載されたものと類似の動力化された回転ドラムを収容するタンクからなる、部品の連続表面処理のための設備を説明しており、そして電気化学処理ステップを実施するタンクに関して、それは、特許文献4に記載されたものと類似の給電システムを含む。各タンクは、その動力化されたドラムと共に、それゆえ、設備の、他のタンクから機械的に独立した自律サブユニットのみを構成する。だが、この設備は、各タンクに処理される部品を供給するために、既に処理された部品を収集するために、そしてそれらを次の処理ステーションへと移送するために、独特のコンベアチェーンを使用する。部品の輸送は水平方向にかつドラム軸線と平行に実施される。コンベアチェーンはタンク間に配置された水平移送スライドレールを備え、それに対して、回転ドラムのスライドレールは、それが処理液から出現するその最も上方のポジションに達するときに整列させられる。これらのスライドレール上に配置された動力化された移送レールは、軸線と平行な一つのガイドレール上で往復運動を行う。各カートリッジは連結されたロッカーバーシステムを備えるが、これは垂直アームを備え、これは、その上側ポジションにあるボックスを押しやることを、そして、ドラムのスライドレール上でかつ移送スライドレール上で長さ方向に各往復サイクルにおいて、それらを駆動することを可能とする。この設備においては、それが二つのタンク間のおよび/または最後のタンクの後の移送スライドレール上に配置されたとき、ジェットによる部品のすすぎを実現することが意図されている。
【0008】
この設備は、特許文献2に記載されたものと同じ利点を有し、コンベアシステムの構造を簡素化する。だが、それは、ドラムと同じ位多くの駆動モーターを、そして少なくともタンクと同じ位多くの連結カートリッジを使用し、こうしたデバイスのコストは無視できない。当該設備はまた、コンポーネントの良好な同期を必要とする。とういのは、全ての変位はクロック方式で動作させる必要があるからである。
【0009】
上記二つの設備において、グラファイトからなる電気コンタクトプロットは、電解処理タンクの非常に内部に配置された損耗部品であり、かつ、給電部とのそして機械的駆動部とのドラムディスクのコンタクト領域は処理液にさらされるが、そのいくつかは腐食性を有することは明らかである。また、ドラムの各駆動モーターは後者の付近に、タンクの上側開口に、したがってその中に収容された液体の表面に隣接して配置されることに留意されたい。モーターのキャビネットはそれゆえ蒸気に、特に当該タンクからの腐食性蒸気にさらされる。それゆえ、メンテナンス、特にコンタクト部品およびモーター部品の交換のコストが生じ、こうしたコストは無視できない。
【0010】
上述した連続処理のための二つの設備において、コンベアチェーンは、これら設備の下流側に配置された乾燥トンネル内へと、最後のすすぎステップ後の処理された部品を輸送する。乾燥トンネルからの空気は、表面処理プラントの空気ろ過システム内に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許発明第2 119 401号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/084973号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1 433 537号明細書
【特許文献4】国際公開第2007/122471号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/035199号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、部品の変位の同期をより簡単に実現できる上記種類の設備を提供することである。
【0013】
本発明の別な目的は、タンク内での部品の回転のためのデバイスに加えて、処理される部品に対する電力の供給を実現するためのデバイスのメンテナンスコストが最小限に抑えられる設備を提供することである。
【0014】
本発明の第3の目的は、電気化学処理のためのプラントが必要とする基準に対応する溶出液の処理のためのデバイスを備えていない、金属部品の製造および加工のためのプラント内で稼働できる設備、特に、アルミニウム部品を陽極酸化処理するための設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の対象は、処理タンクに収容された少なくとも1種の処理液中への金属部品の浸漬による当該部品の表面処理のための装置であり、当該装置は、列内に配置された複数のタンクと、これらタンク間での部品の移送デバイスとを含み、タンクは、それぞれ、回転アクスル上に設けられると共に部品を受け取ることができる回転構造体を具備してなり、部品は、当該部品の浸漬の間に生じ得る気泡が部品の表面から排除されるように選択された処理タンクの回転要素の回転動作によって処理液中に沈められ、当該装置のタンクの列における回転構造体の回転アクスルは、回転連動状態にあり、かつ、共通駆動デバイスによって駆動される。
【0016】
独特のデバイスによる回転構造体のアクスルと、その駆動機構との回転結合は、回転構造体の動作の同期の困難さを排除する。
【0017】
本発明はまた、別の対象として、金属部品の表面処理のための設備を包含し、これは、上記装置から流出する流体のための閉じ込め・再処理手段を含むコンテナ内に設けられた、上記特徴を有する装置を具備してなる。したがってコンテナは、表面処理のために特殊化されていないプラント内に設置され、そしてその中で作動させることができる処理ユニットである。
【0018】
本発明に基づく装置において、列内のタンクは隣接状態であってもよい。タンクの蒸気回転構造体の回転アクスルは、装置全体を横断する共通回転シャフトあるいはアクスルを形成するように整列させられ組み合わされてもよい。
【0019】
本発明に基づく装置において、共通駆動デバイスは、共通回転シャフトあるいはカップリングを用いた回転インターロックによって一つにされた、そのセグメントを直に駆動する電気モーターによって実現されてもよい。この駆動モーターは、タンク列の第1の端に、特に下流側端に配置されてもよい。
【0020】
好ましくは、電気化学処理ステップを実現するよう意図された処理タンクの回転構造体は、処理タンクの回転アクスルを介して、発電機に接続され、かつ、上記処理タンクの上記回転アクスルは装置アクスルの別のセグメントから電気的に絶縁される。現実化のモードによれば、接続は、処理タンクの上記回転アクスル上に設けられた回転コネクターによって実施される。特別な実現化のモードによれば、回転コネクターはタンク列の第2の端に配置される。
【0021】
本発明に基づく設備において、共通の駆動デバイス、特に回転構造体のアクスルおよび/またはこのアクスル上に設けられた電気コネクターを駆動する電気モーターが、このアクスルの端部に配置される場合、これら末端部分の長さは、駆動デバイスあるいはデバイス群および/または電気接続デバイスがコンテナの外部に配置されるように、それらがコンテナの壁を横切るように選択されてもよい。そうした形態においては、これらのデバイスは腐食性蒸気と接触することはなく、部品の交換の頻度が低減し、そしてデバイスのメンテナンスが一層容易なものとなる。
【0022】
本発明に基づく装置が、処理される部品を保持するためのサポート、たとえばボックスの形態のサポートを使用する場合、上記回転構造体は、この回転構造体の回転動作の間、上記サポートを一時的に保持でき、かつ、二つの回転動作の間にサポートの移送動作を可能とすることができる、保持デバイスを備え、上記サポートの寸法は上記保持デバイスに適合させられる。上記サポートは、同様に、上記表面処理の間中、上記サポート上に上記部品を保持・固定するための構成を備えた取り付け手段を有する。
【0023】
好ましい実現モードによれば、上記保持デバイスは、回転構造体の回転アクスルと平行に配置されたスライドレールを含み、タンクの各回転構造体は、移送手段の作用のもと、タンク上で、かつ、上記スライドレールに沿ったスライドによって、あるタンクから次のものへと上記サポートの移送を可能とするように、それぞれ直ぐ上流および/または下流で回転構造体と整列させられる。
【0024】
本発明に基づく装置は、上記回転構造体上のその上方ポジションにあるサポートのための把持要素を備えた、タンクの上に配置されかつ装置アクスルの駆動デバイスと同期させられた移送デバイスを含み、上記移送デバイスはハイポジションでの上記サポートの同時移送動作をもたらし、ハイポジションにある各サポートは、移送動作の作用のもと、直ぐ下流側で、そのハイポジションにあるサポートによって上記移送動作前に占有されていた位置を獲得する。
【0025】
現実化モードによれば、上記把持要素は、タンクの列にわたって延在する回転シャフトと、このシャフトに設けられたアームの群とを含み、各アームは、アームから離間しかつそれと直交する二つのピンをその自由端部において支持し、当該アームのこれら二つのピン間の距離は、上側ポジションにある二つの連続したサポートを分離している距離に対応し、二つのアーム間の距離は一つの上記サポートの長さに対応する。好ましくは、アームの長さは調整可能であり、かつ、ピンの高さも調整可能である。
【0026】
好ましくは、移送デバイスは、上記把持要素の上流側および下流側間の交互変位のための手段を含み、かつ、特定の実現モードは、駆動ピニオンおよび歯付きラックからなる群を含み、当該ピニオンは、フレームおよびスライドレールに取り付けられており、かつ、スライダーブロックに対して取り付けられた歯付きラックと噛み合っており、交互変位のための上記手段のストロークは、ハイポジションにあるサポートの二つの連続した位置間の距離と等しい。
【0027】
移送デバイスはまた、上記把持要素をリリースするための手段を具備してなり、これは、現実モードによれば、上側ポジションにある全てのサポートの上記把持要素を同時に作動させかつ同時にリリースするために、上記回転シャフトを駆動するための連結ロッドおよびクランクによって形成された動力化されたユニットを含む。
【0028】
本発明の特定の対象は、上記のとおり規定され、かつ、アルミニウム部品を陽極酸化処理するために用いられる装置であって、これは、上流側から下流側へと、
電解処理液、たとえば硫酸を収容するための酸化処理タンクであって、この酸化タンクは、カソード、特に処理タンクの回転構造体の両側に配置された二つのカソードとして機能する一つ以上の電極を具備してなり、回転構造体はアノードとして機能する酸化処理タンクと、
すすぎ液、たとえば水を収容するためのすすぎタンクと、
高温空気が供給される加温・乾燥タンクとを具備する。
【0029】
本発明の別の特定の対象は、上記のとおり規定され、かつ、スチール部品の電解ニッケルメッキのために使用される装置であり、これは、上流側から下流側へと、
酸洗い液を収容するための酸洗いタンクと、
水を収容するための第1のすすぎタンクと、
水性脱脂溶液を収容するための脱脂タンクと、
水を収容するための第2のすすぎタンクと、
硫酸脱不動態化液を収容するための脱不動態化タンクと、
水を収容するための第3のすすぎタンクと、
実電気メッキのためのニッケルメッキタンクであって、硫酸ニッケルを収容すると共に、ニッケルメッキを形成する電極、特にニッケルメッキタンクの回転構造体の両側に配置された二つのアノードを備えたニッケルメッキタンクと、
水を収容するための第4のすすぎタンクと、
高温空気が供給される加温・乾燥タンクと、を含む。
【0030】
これらの装置においては、すすぎタンクは、当該すすぎタンクの回転アクスルによって横断された、一つ以上の横断分離壁によって実現された、その上流側および下流側部分間のコンパートメントを有することができ、当該回転アクスルは各コンパートメント内で回転構造体を支持している。下流側コンパートメントは新しいすすぎ液の導入のための入口を有し、かつ、上流側コンパートメントは使用されたすすぎ液のための出口を有し、かつ、分離壁は、すすぎ液用の通路を有する。こうした通路は、上記横断仕切りの上側部分に設けられたオーバーフロー開口の形態を取ることができる。
【0031】
本発明に基づく設備においては、コンテナの底部は液用の貯蔵たらいを形成する。この貯蔵たらいの容量は、装置内に存在する全液の体積の総計を受け容れることができるように選択可能である。
【0032】
好ましくは、コンテナは、処理液のためのリザーバと、使用された処理液のためのリザーバと、使用されたすすぎ液のためのリザーバとを含む。
【0033】
好ましくは、使用された処理およびすすぎ液を再処理するためのデバイスはコンテナ内に設けられる。実現モードによれば、使用された液の再処理のためのデバイスは、蒸留および凝結によって、これら使用された液を処理するエバポレータである。
【0034】
好ましくは、コンテナはガス洗浄ステーションを含む。特に、洗浄ガスのためのステーションは、水回路に接続され、そしてタンクの上方のスペース内に配置される。
【0035】
本発明のその他の特徴および利点は、非限定的実施例として提示した以下の詳細な説明から、そして図面を参照することで、当業者にとって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に基づく設備全体の外観図である。
【図2】図1に示す設備の斜視図であるが、コンベアチェーンが省略され、かつ、当該設備の外壁が省略されている。
【図3】本発明に基づく装置のタンクの列の斜視図であり、その回転構造体を示している。
【図4】電解処理タンクの回転構造体の斜視図である。
【図5】図2に基づく装置の移送デバイスの斜視図である。
【図6】図3に基づく処理タンクの回転構造体の上流側端、およびその電気コネクターを示す拡大斜視図である。
【図7】乾燥タンクの回転構造体の下流側端およびアクスルを駆動するモーターを示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1および図2は、本発明に基づく金属部品の表面処理のための、この例ではアルミニウム部品を陽極酸化処理するための設備を示しており、処理には、電解液およびすすぎ液の連続的な使用が必要である。
【0038】
図1は設備700の外観を示す斜視図である。流体を使用する全ての部分は貯蔵たらい702の上に載置されたコンテナ701内に配置されている。図1の右側に示すドア703はコンテナ701の内部へのアクセスをもたらす。タービンの空気導入口704がコンテナ701の前面に配置されている。コンテナ701内の装置に直流電流を供給するための整流ブロック705がコンテナの外部に配置されかつ図1において左側に示されている。陽極酸化処理される未処理部品は、支持ボックス(図示していない処理ステップ)上に予め固定され、左側コンベアバンド706上に載置され、そして。コンテナからの発散物を低減するためにその寸法が可能な限り小さなものとされた開口707を経てコンテナの導入口へと移送される。陽極酸化処理された部品を収容する支持ボックスは、図1の右側に示すコンベアバンド709によってコンテナの出口における類似の開口708を経て取り上げられ、続いて、下流側用途へと移送するために降ろされる。この種のコンベアバンドは、それ自体、当業者にとっては公知のものである。部品が積載された支持ボックス850,851は、全図において、簡単な直方体によってのみ示しているが、これは、その外面的空間要求を示すためである。そうした支持ボックスの例は、出願人名義の欧州特許第1 433 537号明細書において詳しく説明されており、その開示内容はこの引用によって本明細書中に組み込まれる。
【0039】
図2は、図1に示すコンテナ701の内部の斜視図であり、アクセスキャットウォーク710および貯蔵たらい702を示しており、その上には、液体タンク500,600、流体の処理のためのそして以下で説明するデバイス300,400の群、および本発明に基づく表面処理のための装置1が配置されている。
【0040】
処理装置1は、タンクの群100、回転構造体800の群、そして移送デバイス200を備える。図2および図3から分かるように、タンク100は直列的に配置され、かつ、連続している。以下で説明する移送デバイス200は、タンクによって形成された群100の上に配置される。移送デバイスは、コンテナ701のアーマチュア(分かり易くするために図2には示していない)に固定された三つのトラバース711上で支持されている。
【0041】
図3は、図2におけるタンクの列100を構成する三つのタンク101,102,103の斜視図であり、タンク内での支持ボックスが搭載された回転構造体の配置を示している。三つのタンクによって形成されたユニットは、上流側から下流側へと、そして図2および図3において左側から右側へと、
電解処理タンク101であって、その中には、この例ではカソードを構成する二つの電極を形成する2枚の金属プレート104,105が横方向に両側に配置された電解処理タンク101と、
その上流側部分とその下流側部分との間にコンパートメントを備えたすすぎタンク102であって、二つの交差分離壁106,107によって形成され、下流側コンパートメント108は新しいすすぎ液の供給のための導入口を有し、上流側コンパートメント110は使用されたすすぎ液のための出口を有し、かつ、分離壁は、その上側部分にオーバーフロー開口を有する、すすぎタンク102と、
案内部112を介してタービン111によって高温空気が供給される加温・乾燥タンク103とを含む。
【0042】
図4は、電解処理タンク101の回転構造体801の拡大図である。回転構造体は、アクスル810を備えるが、これは、回転のために水平に設けられており、かつ、対応するタンクの上流側壁および下流側壁に配置されたベアリング間で支持されている。三つのタンク101,102および103のアクスル810,820および830は、互いに整列させられており、かつ、装置全体を横断すると共に三つのアクスル810,820および830から構成される独特の共通アクスル840が協同で形成されるように、その端部において固定される。電気モーター805が、乾燥タンク103の末端下流側壁に固定されているが、これは、組み合わされたアクスル840を、したがってタンク101,102,0よび103の回転構造体を直接駆動によって駆動する。
【0043】
電解処理タンク101のアクスルセグメント810は、電気絶縁素材からなる要素を介して、すすぎタンク102のアクスルセグメント820に連結されている。このアクスルセグメント810は、電解処理タンクの上流側壁を越えて延在するその他端で支持されており、このアクスルセグメント810は、内部で回転し、かつ、直流電流を供給するためのデバイスを構成する整流ブロック705に接続されたコンタクトシリンダーと接触状態である三つのロールを含む回転コネクター804を支持している。
【0044】
図3、図4、図6および図7から分かるように、各回転構造体は本質的に多角形輪郭を有する複数の交差プレート807,808,812を備え、それは、対応するアクスルセグメント810,820および830上に垂直に設けられ、かつ、組み合わされたアクスル840の回転のために互いに噛み合わされている(たとえば、参照数字819参照)。長手方向スライドレール809,811の対は、回転アクスルと平行な、これら交差プレートの周縁に設けられている。その寸法および距離は、既に説明したもののように、支持ボックス850,851を受けるために適合させられる。図3、図4、図6および図7に示す実現モードにおいて、交差プレート807,808および812は、互いに90°で配置されたスライドレール809,811の四つの対を支持する。交差プレート807,808および812は、回転構造体からなるユニットの重量を低減するために、そして乾燥タンク103内のプレート812の場合には、空気流の通過をより容易にするために、切欠き817および818を備えてもよい。図3から分かるように、電解処理タンク101の各スライドレールは、下流側に配置されたタンクのスライドレールと整列させられており、この結果、当該スライドレールに沿ったスライドによる、あるタンクから次のものへの支持ボックスの移送が可能となっている。スライドレールのポジションのアライメントは、装置の組み立て間に、そしてアクスルセグメントの接続の間に実施され、そして、この処置によって、最初から、その後の同期問題が排除される。
【0045】
図3に示す電解処理タンク101内において、スライドレール809,811はタンクの上流側から下流側へと連続している。対照的に、すすぎタンク102内のスライドレールは、短い距離で、三つのセクション814,815および816へと細分化されかつ整列させられており、スライドレールの各セクションは一対の交差プレート821,822上に固定され、そのようにして形成された三つの回転構造体は、すすぎタンク102の二つの分離壁106,107によって互いに分離させられている。
【0046】
図3に示す加温タンク内において、スライドレール823,824もまた二つのセクションへと分割されており、これらセクションのそれぞれは一対の交差プレート812,825に固定されているが、このタンク内にこのようにして形成された二つの回転構造体は、区画手段によって互いに分離させられていない。
【0047】
スライドレールは弾性コンタクトプロット813を支持するが、そのポジションおよび距離は、支持ボックス850,851の長さに、そしてすすぎタンク102のコンパートメント108,109,110に対応し、これによって、回転動作の間、スライドレール上の所定の前後方向ポジションで上記支持ボックスを制止することが可能となり、そして支持ボックスのスライドは、二つの回転動作のみの間で、移送デバイスの作用のもと許容される。
【0048】
本発明に基づく装置は移送デバイス200を備えるが、タンク100のセクション上のその搭載ポジションが図2に示されている。その構成要素は図5に示されている。それは、装置アクスルの駆動デバイス805と同期させられる。それは、支持ボックスの把持要素の群を含むが、これは、上記支持構造体上にその上側ポジションにおいて一時的に配置される。移送デバイスは、その上側ポジションにある全ての支持ボックス850,851の同時移送動作をもたらし、ハイポジションにある各サポート850は、上記移送動作の作用のもと、当該移送動作の前にそのハイポジションにある直ぐ下流の支持ボックス851によって占有された位置に着く。
【0049】
図5に示すように、支持ボックス用の把持要素は、タンク100の列の上で長さ方向に延在する水平シャフト201と、当該シャフト210上に垂直に設けられたアーム202,205の群とを含み、各アームは、このアームに対して直交するように方向付けられた二つのピン203,204をその自由端において支持し、二つのピン203,204間の距離は、その上側ポジションにある二つの連続した支持ボックスを隔てる距離に対応し、かつ、二つの隣接するアーム202,205間の距離は支持ボックスの長さに対応する。アーム202,205の長さおよびピン203,204の高さはまた調整可能である。したがって、移送デバイスは、それが前方からおよび後方から同時に各支持ボックス850,851を取り上げることができ、回転構造体のジオメトリーの起こり得る欠陥が補償され、そしてシステム全体の信頼性が改善されるように配置しかつ調整することができる。
【0050】
図5に示すように、移送デバイス200は、シャフト201の、したがって上記把持要素の群の上流側および下流側ポジション間での交互水平方向変位のための手段を含み、そして駆動ピニオンおよび歯付きラックの形態を取る。ピニオン206は、フレーム、および上記デバイスを支持するアーマチュアに対してトラバース711によって取り付けられたスライドレールに対して取り付けられ、そしてスライダーブロック207上に設けられた上記ラックと噛み合う。このスライダーブロック207はシャフト201に取り付けられ、上記交互変位手段のストロークは、そのハイポジションでの支持ボックスの二つの連続位置間の距離に等しい。
【0051】
移送デバイス200は、また、上記把持要素のリリースのためのシステムを備えるが、これは、コネクティングロッドおよびクランクからなる独特の群209を駆動する駆動モーター210を含み、後者は、シャフト201の、したがってアーム202,205の交互ピボットを駆動し、そしてこの回動動作は、ハイポジションにある全ての支持ボックスのピン203,204と同時に係合および分離し、そして回転構造体が回転することを可能とする。アーム202は、水平面付近の降下ポジションと上昇ポジションとの間で回動する。シャフト201、スライダーブロック207およびスライドレール208は、したがって、支持ボックスと平行であり、ただし、ハイポジションではスライドレール対に対して横方向にオフセットしている。把持システムがその上昇ポジションにあるとき、移送デバイスは、ピニオンおよびラックのシステムによって、上流側方向にシャフト201を並進移動させ、そして、それは、次の移送動作のために以前のポジションを取る。
【0052】
先に説明した処理装置1を使用した陽極酸化処理のための方法において、電解処理タンク101は、たとえば、硫酸溶液で満たされ、そして、支持ボックスに対して取り付けられたアルミニウム部品の陽極酸化を実現することを可能とする。この種の処理のために、タンク101は、カソードを形成すると共にタンクの側壁付近で回転構造体801の両側に配置された2枚の金属プレートを含み、回転構造体には、電極に対して反対の極性を有する電流が供給され、この電流は、アクスル810、トラバースプレート807,808、スライドレール809,811および支持ボックス850を連続的に介して、処理される部品に対して供給される。本発明に基づく処理設備において上記方法を実施する間、部品と接触状態にあるタンクの内部に形成される気泡およびエアポケットが排除されるように、それを図に示す実現モードに基づいて完全に4回転させることによって、各部品はタンク101内に浸漬され、こうして、処理液が部品の表面を全体的に処理することが可能となり、処理が完全に均一なものとなる。
【0053】
したがって、コンベアチェーン706によって運ばれた、まだ処理されていない部品を保持する支持ボックスは、浸漬させられておらずかつ回転構造体801の頂点に瞬間的に位置させられたスライドレールの対の上流側端において水平変位によって係合させられ、各支持ボックスは、スライドレールの対の弾性コンタクトデバイス813と協働する移送デバイス200によって、スライドレールの上側対上で長手方向に位置決めされる。図2ないし図5に示す処理装置の全体は、一定順序の、クロック式でかつ同期させられた動作によって機能する。図示された実現モードによれば、回転構造体801はその周縁に、互いに90°で配置されかつ、処理される部品を保持する支持ボックス850,851を受けるために設けられたスライドレール809,811の四つの対を備える。各90°の回転の後、その露出したハイポジションに瞬間的に配置される全ての支持ブロック850,851は長手方向に並進移動させられるが、その長さは二つの隣接する支持ボックス間の距離に対応し、一方、浸漬された別な支持ボックスはスライドレール上で変位させられない。図3および図4に示すように、各支持ボックスは、2回の並進移動の間、それぞれ90°ずつ4回の回動へと細分された360°の完全な回転によって回転させられる。各支持ボックスは、したがって、部品の設置、前進、移送および回収を可能とするために支持ボックスが液体の外に瞬間的に位置させられる各回転中の上側部分を除いて、電解処理タンク101内に収容された液体内に、概ね4回の完全な回転の間、浸漬される。
【0054】
各シーケンスにおいて、すなわち90°毎の各回転の後、電解法によって処理された部品を収容する一つの支持ボックスは、完全な回転を行うために、電解処理タンク101から、すすぎタンク102の第1のコンパートメント110の回転構造体802へと移送され、そして続いて、次の回転の間、すすぎ液内に浸漬される。続いて、それは、第2のコンパートメント109内へと輸送され、その中で360°の回転を行い、そして続いて、第3のコンパートメント108内へと移動するが、ここで、それは、加温タンク103内へと輸送される前に360°の最終回転を行う。すすぎタンクには、すすぎ液が連続的に供給される。このすすぎ液は、まず、すすぎタンクの第3のコンパートメント103内へと流入し、続いて、これら二つのコンパートメント間の分離壁1007の開口を経て第2のコンパートメント109内に流入し、続いて、使用された液体用の貯蔵タンク内へと吸い出される前に第1のコンパートメント110内へと流入する。こうした構成によって、すすぎ作業は、化学的分離の分野の用語に基づく一種の「逆流洗浄」として実施されることは当業者にとって自明である。
【0055】
その長さが支持ボックスの二つの部分と等しい回転構造体803を含む第3のタンク103内で、これら後者は、設備下流のコンベアチェーン709に対して移送デバイス200によって係合される前に2度の完全な回転を行う。この加温タンクは、いかなる液体も収容しておらず、タービン111,112によって供給される高温空気流が通過する。空気流の方向に対するタンク103内で部品の回転によって、たとえば部品がキャビティおよび中空部分を有していても、すすぎ液の滴は部品の壁から効果的に除去される。そうした回転は従来の乾燥トンネル内では行われない。
【0056】
湿気が加えられかつ乾燥タンク103を出て行く空気は収集され、そして、酸化タンク101の上に、そしてすすぎタンク102の上に配置されたフード401によって吸い出された蒸気が供給された空気と混合させられ、そして続いて、コンテナ701内に設置された、ファンおよびガススクラバーを収容するブロック402内で処理される。フード401およびファンおよびスクラバーブロック402の毎時間の吸気能力は、コンテナの内部容積の2ないし8倍であるように、通常は4倍に設定される。この種の装置はそれ自体、表面処理の分野における当業者には公知である。このガス収集・洗浄ステーション400から出てくる空気は、周囲の大気中へと制限を伴わずに放出することができる。
【0057】
ガススクラバーから吐出する水は、中間貯蔵タンク内で収集される。この水は、使用されたすすぎ液体と混合され、かつ、小型蒸留凝縮ユニットを形成するエバポレータ300内で再処理される。蒸留液はすすぎ液として再使用される。酸性電解液からなる残留物は中間貯蔵タンクへと輸送され、そして続いて新しい電解液と混合される。
【0058】
使用された電解液もまた中間貯蔵タンク内に貯蔵され、続いてエバポレータ内で再処理される。蒸留液は新しい電解液と混合され、そしてその体積が小さなものである蒸留液残留物は外的再処理のために貯蔵される。全体として見ると、本発明に基づく設備は、現場で処理できない僅かな量の廃棄物しか生み出さず、したがって本設備は、電気化学表面処理のためのプラントの機能を持たない工場において使用可能である。
【0059】
本発明に基づく装置を往来する各支持ボックスは、概ね螺旋として見なすことができる経路を形成するが、それは、実際、一連の回転および並進移動から構成される。さらに、各支持ボックスの経路は、これらの動作のクロックシーケンスからなるが、多数の支持ボックスを処理することによる全体処理は連続プロセスと見なされるべきである。したがって、確立された連続処理を実施するために、流体、処理液、すすぎ液および空気の供給の流量を調整することが可能であり、列の全てのタンク100内の流体の体積および濃度は一定のままである。したがって、処理された部品の品質は、完全に一定のままである。
【0060】
さらに、ガススクラバー設備によって棄却された空気の質もまた完全に一定のままである。コンテナ内の液体溶出物の再処理は、中間貯蔵を可能とするタンク500,600によって、連続的あるいはバッチ式処理として実施できる。
【0061】
[実施例]
1.アルミニウム部品の陽極処理の実施例
上述し、そしてそのタンクの群が図2および図3に示されている設備が特に以下のものを処理するために使用された。
・化粧品ボトル用のキャップ
・圧力インジケータ用のナット
・ブレーキピストン
・ギアボックスケーシング
・自転車のハブ用の変速機
・ハンドバッグ用のバックル
・自動車の雨検出器用のサポート
・オートマチックギアボックス用のカプラー
【0062】
図1に示す当該設備のコンテナは約5メートルの長さを有し、一方、同じ処理を実施するための国際公開第2008/035199号パンフレットに記載の設備は約12メートルの長さを有する(乾燥トンネルを含む)。
【0063】
2.電気メッキ処理の実施例
本発明に基づく設備を、自動車製造業者用のスチール部品の電解ニッケルメッキ(すなわち転化方法ではなく電気メッキ方法)のために使用した。部品は、溶剤中で、先に脱脂した。
【0064】
このプロセスを実施するために、本設備は、合計14個のコンパートメントを備えた9個のタンクを使用する。
・第1のタンクはスルホリン酸酸洗い(ピックリング)用のタンクである。
・第2のタンクは、純水を用いた二重すすぎのためのタンクである。
・第3のタンクは、水酸化ナトリウムの使用を伴う電気陽極脱脂用のタンクである。
・第4のタンクは、純水を収容する二重すすぎのためのタンクである。
・第5のタンクは、硫酸脱不動態化用のタンクである。
・第6のタンクは、純水を収容する二重すすぎのためのタンクである。
・第7のタンクは、実際の電気メッキが生じるニッケルスルファメートを用いたニッケルメッキのためのタンクであり、このタンクは60℃まで温められた硫酸ニッケル溶液を収容する。このタンクは、電極を形成すると共に当該タンクの回転構造体の両側に配置された2枚のニッケルプレートを備える。このタンクの回転構造体のアクスルのセクションは、上流側および下流側に配置された当該アクスルのセクションから電気的に絶縁される。
・第8のタンクは、「死すすぎ」と呼ばれる、すすぎを含む三重すすぎのためのタンクであり、三つのコンパートメントは純水を含んでいる。
・第9のタンクは、高温空気が供給される加温・乾燥タンクである。
【0065】
ニッケルメッキタンク内の電極および部品に対して供給される電流の強さは、約0.5A/平方デシメートルである。部品の表面に形成されたニッケル付着物は、3ないし5マイクロメートルの本質的に平均な厚みを呈する。欠陥部品の不良率は0.1%未満である。
【0066】
全てのすすぎタンクは、上流側に配置された処理タンク内の活性溶液の残滓を可能な限り完全に除去する目的で対向流れによって部品を洗浄し、すすぐための、そして下流側処理タンク内の活性溶液の汚染を回避するための二つあるいは三つのコンパートメントを含むことに留意されたい。
【0067】
3.本発明に基づく装置および設備において実施可能な処理の実施例
a)電解処理
以下のもののカソード電解コーティング
ニッケルワッツ(Watts)およびニッケルスルファメート
亜鉛および亜鉛ニッケル
スズ

貴金属(銀、金、ロジウム、白金属...)

陽極変容
酸化アルミニウム
酸化チタニウム...

塗装
ケミカル
陽極泳動
電気泳動

ステンレススチールの電解研磨

b)プラスチックの電気メッキ
プラスチックへの銅メッキ
プラスチックへのニッケルメッキ
プラスチックへのクロムメッキ

c)以下のようなさまざまな化学処理
アルミニウム合金およびその他の基材の化学的バリ除去および/または鏡面仕上げによる変容
スチールおよびアルミニウム不動態化などの化学的変容
(ニトロフッ化水素混合物を用いた)チタニウム合金の化学的ストリッピング
一般的なスチールの化学的ニッケルメッキ
【0068】
もちろん、処理の上記リストは全てを列挙したものではなく、非限定的な実例として提示したに過ぎない。当業者にとっては、全ての具体的な用途に関して、溶出物の処理のために提供された設備だけでなく、タンクのそして装置のコンパートメントの数をどのように適応させるかは明らかである。
【0069】
もちろん、本発明は上述した実現モードに限定されるものではなく、それは、数多くの技術的変形例およびその組み合わせを含む。
・したがって、図4はボックスのための四つの取り付けポジションを含む回転構造体を示している。この数は異なるものであってもよい。たとえば僅か二つの固定ポジションを用いて、各交差プレートを二つのアームによって代替させることができる。
・上記支持ボックスは、小さな寸法を有する一連の部品の処理に特に良好に適合させられる。大きいが一定の寸法を有する部品の処理のためのユニットの場合、これらの部品は回転構造体にスライダー以外の取り付け手段を介して直に取り付けることができる。
・二つの連続したタンクの回転構造体のアクスルは、強制的なアライメントを伴わずに、それらを回転インターロック状態とするギアを介して連結可能である。
・タンク体100は、別個に構成され、その後、列内に設置された複数のタンクを含んでいてもよい。それはまた、大きな長さを有するタンクによって実現され、かつ、異なる機能を提供する複数のコンパートメントを形成するために分離壁によって分割されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 処理装置
100 タンクの群
101,102,103 タンク
104,105 金属プレート
106,107 交差分離壁
108,109,110 コンパートメント
111,112 タービン
200 移送デバイス
201 水平シャフト
202,205 アーム
203,204 ピン
206 ピニオン
207 スライダーブロック
208 スライドレール
210 駆動モーター
300 エバポレータ
400 ガス収集・洗浄ステーション
401 フード
402 スクラバーブロック
500,600 液体タンク
700 設備
701 コンテナ
702 貯蔵たらい
703 ドア
704 空気導入口
705 整流ブロック
706 左側コンベアバンド
707,708 開口
709 コンベアチェーン
710 アクセスキャットウォーク
711 トラバース
800,801 回転構造体
804 回転コネクター
805 電気モーター
807,808,812 交差プレート
809,811 長手方向スライドレール
810,820,830 アクスルセグメント
812,825 交差プレート
813 弾性コンタクトプロット
814,815,816 セクション
817,818 切欠き
821,822 交差プレート
823,824 スライドレール
840 共通アクスル
850,851 支持ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理タンクに収容された少なくとも1種の処理液中への金属部品の浸漬による前記部品の表面処理のための装置であって、前記装置(1)は、列(100)内に配置された複数のタンク(101,102,103)と、前記タンク間での前記部品の移送デバイス(200)とを含み、前記タンクは、それぞれ、回転アクスル(810,820,830)上に設けられると共に前記部品を受け取ることができる回転構造体(801,802,803)を具備してなり、前記部品は、前記部品の浸漬の間に生じ得る気泡が、前記部品の表面から排除されるように選択された前記処理タンク(101)の前記回転要素(801)の回転動作によって前記処理液中に沈められ、タンクの前記列(100)における前記回転構造体の前記回転アクスルは、回転連動状態にあり、かつ、共通駆動デバイス(805)によって駆動されるようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
列内に配置された前記タンクは隣接しており、かつ、前記タンク列の前記回転構造体の前記回転アクスルは、前記装置全体を横断する共通回転アクスル(840)が形成されるように整列させられかつ組み合わされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記共通駆動デバイスは、前記回転アクスルの直接駆動を実現する電気モーター(805)を、特にタンクの前記列の第1の端に配置された電気モーター(805)を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理タンクの前記回転アクスル(810)は前記アクスル(820,830)の他の部分から電気的に絶縁されており、前記処理タンクの前記回転構造体(801)は、前記処理タンクの前記回転アクスル(810)の媒介によって、特に前記タンクの列の第2の端に配置された回転コネクター(804,806)によって、発電機(705)と連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記回転構造体は、部品のためのサポート(850,851)を一時的に保持できる保持デバイス(809,811,813,814,815,816,823,824)を備え、サポート寸法は前記回転構造体の回転動作の間、前記保持デバイスに適合させられ、前記保持デバイスは、前記移送デバイスの作用のもと、二つの回転動作の間で、サポート(850,851)の移送動作を可能とすることができ、前記サポートは、前記表面処理の間、前記金属部品を保持するよう構成された固定手段を支持するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記保持デバイスは、前記回転構造体の前記回転アクスルと平行に配置されたスライドレール(809,811,814,815,816,823,824)を含み、タンクの前記スライドレールのそれぞれのものは、前記スライドレールに沿ったスライドの際に前記移送デバイスの作用のもと、次のものへの、タンクの前記サポートの移送が許容されるように、上流側および下流側にそれぞれ配置された前記タンクのスライドレールに対して整列させられており、かつ、前記スライドレールの少なくとも一部は、移送デバイスの作用のもと、前記サポートの前記回転動作および前記スライドの間、前記スライドレール上の所定のポジションにおいて前記サポートを保持することを可能とする弾性接触デバイス(813)を支持するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記タンクの上に配置されかつ前記装置の駆動デバイス(805)と同期させられた移送デバイス(200)を含み、これは、前記回転構造体上のその最も上方のポジションへと一時的に持ち上げられたサポート(850,851)を把持する把持要素(201,202,203,204,205)と、上側ポジションにおいて前記サポートから前記把持要素をリリースするための手段(209,210)と、交互の上流‐下流様式で前記把持要素を変位させるための手段(206,207,208)と、を具備してなり、前記交互変位手段のストロークは、その上側ポジションでのサポートの二つの連続した台座間の距離と等しく、前記移送デバイスは、その上側ポジションでの前記サポートの同時移送動作を行い、上側ポジションにある各サポートは、前記移送動作の作用のもと、上側ポジションにある直ぐ下流のサポートによって前記移送動作前に占有されていたポジションを取るようになっていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記把持要素は、タンクの前記列の上方で延在するシャフト(201)と、前記シャフト上に設けられたアーム(202,205)の群と、を含み、各アームは、前記アームから離間しかつそれと直交する二つのピン(203,204)をその自由端部において支持し、前記アーム(202)のこれら二つのピン(203,204)間の距離は、上側ポジションにある二つの連続したサポート(850,851)を分離している距離に対応し、二つのアーム(202,205)間の距離は一つの前記サポートの長さに対応し、前記移送デバイスは、駆動ピニオン(206)および歯付きラックからなる群を含み、前記ピニオンは、フレームおよびスライドレール(208)に取り付けられており、かつ、スライダーブロック(207)に対して取り付けられた前記歯付きラックと噛み合っており、前記スライダーブロックは、前記シャフト、および上側ポジションにある全てのサポートの前記把持要素を同時にリリースするために前記シャフトを駆動するための連結ロッドおよびクランクによって形成された動力化されたユニット(209)を支持していることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
金属部品を陽極酸化処理するための、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の装置であって、上流側から下流側へと、
電解処理液を収容するための酸化処理タンク(101)であって、前記酸化タンクは、カソード、特に前記処理タンク(101)の前記回転構造体(801)の両側に配置された二つのカソードとして機能する一つ以上の電極(104,105)を具備してなり、前記回転構造体はアノードとして機能するようになっている酸化処理タンク(101)と、
すすぎ液を収容するための、すすぎタンク(102)と、
高温空気が供給される加温タンク(103)と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
スチール部品の電解ニッケルメッキのための、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の装置であって、上流側から下流側へと、
酸洗い液を収容するための酸洗いタンクと、
水を収容するための第1のすすぎタンクと、
水性脱脂溶液を収容するための脱脂タンクと、
水を収容するための第2のすすぎタンクと、
硫酸脱不動態化液を収容するための脱不動態化タンクと、
水を収容するための第3のすすぎタンクと、
実電気メッキのためのニッケルメッキタンクであって、硫酸ニッケルを収容すると共に、ニッケルメッキを形成する電極、特に前記ニッケルメッキタンクの回転構造体の両側に配置された二つのアノードを備えたニッケルメッキタンクと、
水を収容するための第4のすすぎタンクと、
高温空気が供給される加温・乾燥タンクと、を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
前記すすぎタンクあるいはタンク群は、その上流側および下流側部分の間で、少なくとも一つの交差分離壁(106,107)によってコンパートメントへと細分され、かつ、前記すすぎタンクの前記回転アクスル(820)によって横断されており、前記回転アクスルは各コンパートメント(108,109,110)内で回転構造体(814,821,822)を支持しており、前記下流側コンパートメント(108)は新しいすすぎ液の導入のための入口を含み、前記上流側コンパートメント(110)は使用された、すすぎ液のための出口を含み、前記分離壁は、下流側から上流側への前記すすぎ液の通過を可能とする開口を具備してなることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の装置。
【請求項12】
金属部品の表面処理のための設備であって、前記装置から流出する流体のための閉じ込め(702)および再処理(300,400)手段を含むコンテナ(701)内に設けられた、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の前記装置(1)を具備してなることを特徴とする設備。
【請求項13】
前記コンテナの底部は、液貯蔵たらい(702)を形成し、特に前記貯蔵たらいの容量は、それが前記装置内に存在する全液の体積の総計を受け容れることができるように選択されることを特徴とする請求項12に記載の設備。
【請求項14】
前記コンテナは前記処理液用のたらい(500)と、使用された処理液用のたらいと、使用されたすすぎ液(600)用のたらいと、を含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の設備。
【請求項15】
使用された処理およびすすぎ液の再処理のためのデバイスが前記コンテナの内部に設けられており、かつ、特に、使用された液の再処理のための前記デバイスはエバポレータ(300)であり、ここで、前記使用された液は蒸留および凝結によって再処理されるようになっていることを特徴とする請求項14に記載の設備。
【請求項16】
前記コンテナは、前記タンク排出口の上に設置されたガス洗浄ステーション(400)を、特に水回路に接続されたガス洗浄ステーションを含むことを特徴とする請求項12ないし請求項15のいずれか1項に記載の設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−525498(P2012−525498A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507871(P2012−507871)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051827
【国際公開番号】WO2010/125515
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511260780)トルノス・マネージメント・ホールディング・エスアー (1)