説明

部品カタログ作成支援装置、部品カタログ閲覧装置、プログラム、および部品カタログ作成支援方法

【課題】3次元の部品形状データを含むデータから、部品データのグループ化を自動的に行い、データを活用しやすくする。
【解決手段】3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出する。抽出された各形状データについて、その形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を3次元の部品形状データから選択する。そして、抽出された各形状データについて、上記選択された部品をグループとして登録し、登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品に用いられる各種部品を一覧として閲覧するための部品カタログデータを作成するための部品カタログ作成支援装置、その部品カタログデータを閲覧するための部品カタログ閲覧装置、プログラム、および部品カタログ作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造業において、設計は3次元CAD(Computer Aided Design)の利用に移行しつつある。このため、こうした3次元CADのデータを設計以外、生産、保守などの用途に利用することが行われている。
【0003】
こうした3次元CADによる設計データを多方面に活用することを意図したものとして、本出願人によるパーツ管理システムでは、多数のパーツによるパーツ構成情報を参照し、検索ヒットしたパーツだけを強調した組み付け図を表示できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、パーツカタログ作成支援装置として、パーツリストに含まれる多数のパーツ情報と、3次元のCADデータとのリンク生成を自動で行うようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1,2のものなど、上述のような3次元CADによる設計データの活用では、例えばある軸部品と共通の軸による軸部分をもつ部品だけをグループとして登録したい場合など、パーツリストに含まれる多数の部品からいくつかをグループとして登録しようとする場合、それらの部品が設計段階でグループ化されていないと対応することができなかった。
すなわち、設計段階で予めグループとして登録されていないものをグループ化して活用することについてまで考慮されたものではなかった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、3次元の部品形状データを含むデータから、部品データのグループ化を自動的に行い、データを活用しやすくすることができる部品カタログ作成支援装置、部品カタログ閲覧装置、プログラム、および部品カタログ作成支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明に係る部品カタログ作成支援装置は、3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出手段と、抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択手段と、抽出された各形状データについて、グループ部品選択手段で選択された部品をグループとして登録するグループ登録手段と、グループ登録手段により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る部品カタログ作成支援プログラムは、3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出手順と、抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択手順と、抽出された各形状データについて、グループ部品選択手順で選択された部品をグループとして登録するグループ登録手順と、グループ登録手順により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る部品カタログ作成支援方法は、3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出工程と、抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択工程と、抽出された各形状データについて、グループ部品選択工程で選択された部品をグループとして登録するグループ登録工程と、グループ登録工程により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、3次元の部品形状データを含むデータから、部品データのグループ化を自動的に行い、データを活用しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態におけるハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図2】部品カタログ作成支援装置200の機能的構成例を示すブロック図である。
【図3】グループデータ出力部210の構成例を示すブロック図である。
【図4】部品カタログ閲覧装置400の機能的構成例を示すブロック図である。
【図5】グループデータの生成動作例を示すフローチャートである。
【図6】各部品形状から軸データを抽出して登録する動作例を示すフローチャートである。
【図7】軸データを持つ部品の登録動作例を示すフローチャートである。
【図8】軸画像出力時の動作例を示すフローチャートである。
【図9】ステップE3での表面・背景部品登録動作例を示すフローチャートである。
【図10】ステップE4での画像出力動作例を示すフローチャートである。
【図11】グループデータ表示動作例を示すフローチャートである。
【図12】ステップV2、V3での画像合成の動作例を示すフローチャートである。
【図13】ステップV1での構成部品画像の位置移動の動作例を示すフローチャートである。
【図14】カタログデータ中のグループデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る部品カタログ作成支援装置、部品カタログ閲覧装置、プログラム、および部品カタログ作成支援方法を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
本発明の実施形態としての部品カタログ作成支援装置は、任意の幾何形状により部品データをグループ化し、部品カタログデータを作成できるものとなっている。
以下の説明では、一実施形態として、幾何形状に軸を利用した場合の例について説明する。
【0014】
まず、本実施形態におけるハードウエア構成について説明する。
図1は、ハードウエア構成例を示すブロック図である。部品カタログ作成支援装置も、部品カタログ閲覧装置も、ハードウエア構成は同様であってよい。
【0015】
ハードウエア構成としては、図1に示すように、プログラムにしたがって動作するCPU101と、そのプログラムや各種データを一時的に記憶するメモリ(例えば、ROMやRAM等)103と、プログラムや各種データを保存しておく記憶部(例えば、ハードディスク装置等)104と、キーボードやマウスなどを有して3次元形状データを含む各種データや指示を入力する入力部105と、3次元形状モデルなどを表示する表示部102などを備えて構成される。これら各部は、バスによって接続される。
【0016】
図2に、部品カタログ作成支援装置200における、ハードウエアおよびソフトウェアにより実現される機能的構成例を示す。
部品カタログ作成支援装置200は、図2に示すように、パーツリストを取得するパーツリスト取得部201と、部品構成情報を含んだ設計CADデータを取得するCADデータ取得部202と、これら2種の取得部からの入力による部品構成情報の対応付けを自動的に行う自動リンク部203と、上記2種の取得部からの入力による部品構成情報を表示し、ユーザによる対応付け指定を受け付ける手動リンク部204と、部品構成表間の対応付けおよび入力データを管理する作業データ管理部205と、CADデータに基づいてグループデータを自動生成するグループデータ生成部206と、生産用部品表と対応付けられたCADデータより画像を生成する画像生成部207と、画像生成部で生成された画像の境界情報を含む部品の属性データを生成する属性データ生成部208と、閲覧データに付加するツリー情報を生成するツリー生成部209と、登録されたグループデータを閲覧データに付加するグループデータ出力部210と、閲覧用データ生成部211と、を有して構成される。
【0017】
閲覧用データ生成部211は、画像生成部207、属性データ生成部208、ツリー生成部209およびグループデータ出力部210で生成されたデータをまとめて閲覧用データのフォーマットで出力する。
【0018】
自動リンク部203は、さらにツリー解析部221、およびリンク設定部222に分けられる。
手動リンク部は、2種のツリーを表示するツリー表示制御部223と、2種のツリー間のリンクを設定するリンク設定部224とを有する。
【0019】
作業データ管理部205は、作業データ保存部で保存されたデータを取得する作業データ取得部225と、部品構成表間の対応付けおよび入力データをワークファイルとして保存する作業データ保存部226と、を有する。
【0020】
グループデータ生成部206は、計算機上の3次元の部品形状データの組み合わせよりなるアセンブリデータから特定の部品形状データを抜き出すグループ幾何抽出部227と、抽出された形状データをもつ部品を選択するグループ部品選択部228と、抜き出した形状データおよび選択された部品を登録するグループ登録部229と、を有する。
【0021】
上述したグループデータ出力部210は、図3に示すように、さらに次の構成に分けられる。
グループデータ出力部210は、グループの幾何情報を出力するグループ幾何出力部301と、グループの構成部品情報を出力するグループ構成部品出力部302と、グループの構成部品の画像を出力する構成部品画像出力部303と、ある部品をグループ画像のうち背景部品とするか表面部品とするかを判断する背景・表面部品選択部304と、背景となる画像を出力する背景部品画像出力部305と、表面としてかぶさる画像を出力する表面部品画像出力部306と、を有して構成される。
【0022】
構成部品画像出力部303は、黒背景画像生成部311と、白背景画像生成部312よりなる。
また、表面部品画像出力部306も同様に、黒背景画像生成部313と、白背景画像生成部314よりなる。
【0023】
次に、部品カタログ閲覧装置400における、ハードウエアおよびソフトウェアにより実現される機能的構成例について説明する。
部品カタログ閲覧装置400は、図4に示すように、閲覧用データを取得する閲覧用データ取得部401と、閲覧用データを管理する閲覧用データ管理部402と、ユーザが選択したアセンブリおよび部品を表示する画像表示部403とを有して構成される。
【0024】
上述した閲覧用データ管理部402は、ツリー表示や、ツリー上で表示したいアセンブリをユーザが選択するツリー表示・アセンブリ選択部411と、表示したい部品をユーザが選択する部品選択部412と、表示したいグループをユーザが選択するグループ選択部413と、グループ構成部品の移動をユーザが指定する部品移動指定部414よりなる。
【0025】
上述した画像表示部403は、通常画像表示部421と、合成画像表示部422とを有する。
合成画像表示部422は、画像合成を行う比率を計算する合成比計算部423と、構成部品を指定された量だけ移動させて表示する構成部品移動部424と、実際の画像合成を行う画像合成部425よりなる。
【0026】
次に、本実施形態としての部品カタログ作成支援装置200によるグループデータ生成部の動作について説明する。
まず、本実施形態によるグループデータの生成の前には、上述した自動リンク部203および手動リンク部204により、データ間のリンクができているものとする。
【0027】
データ間のリンク作成処理は、部品カタログ作成支援処理が開始されると呼び出される。まず、自動リンク部203が呼び出され、自動リンク処理を実行する。自動リンク処理は、パーツID、データIDのテキスト検索および階層構造の検索により行われ、検索に成功したパーツIDおよびデータIDに自動リンク処理に成功したことを示すアイコンイメージを割当てて表示する。ここで、自動リンク処理が失敗したパーツIDがある場合、手動リンク部204が呼び出され、マニュアルによるパーツIDと、CADデータとの対応付けを支援する。
【0028】
自動リンク部203は、自動リンク処理を行うため、ツリー解析部221と、リンク設定部222とを含んで構成されている。ツリー解析部221は、パーツリストを、GUI上にパーツおよびサブパーツの階層構造に対応付けて表示させると共に、パーツおよびサブパーツの検索処理を、パーツIDおよび階層情報を使用して精度を高めるために、パーツリストと3次元CADデータとのツリー構造を突き合わせる。また、リンク設定部222は、自動リンク処理において突き合わせが成功したパーツIDに対して、3次元CADデータが参照するイメージを自動リンクさせる処理を実行する。
【0029】
手動リンク部204は、自動リンク部203が突き合わせ処理を終了した後に呼び出され、自動リンク部203による突き合わせが失敗したパーツIDに対して、マニュアル操作によるパーツIDとデータIDとのイメージ参照構造を共通化させている。このために、部品カタログ作成支援装置200は、突き合わせ状態に対応したアイコンイメージをパーツIDおよびデータIDに対応するようにGUI上に表示させ、オペレータによるマニュアルリンク処理を支援している。
【0030】
このため、手動リンク部204は、ツリー表示制御部223と、リンク設定部224とを含んでおり、ツリー表示制御部223は、現在処理しているパーツIDと、データIDとをツリーで表示される階層構造における対応付けを修正する処理を行う。また、リンク設定部224は、マニュアル操作で突き合わせが行われたパーツIDとデータIDとを共通の3次元CADデータを参照するように、リンクを設定することにより、イメージ参照構造を共通化させている。
【0031】
こうしたデータ間のリンクは、パーツリストのパーツIDと、3次元の設計CADデータのデータIDとを互いに関連付けるものであれば、データの行番号により関連付けてもよく、ハイパーリンクの形式により関連付けてもよい。
【0032】
次に、データ間のリンクができている状態からの、グループデータの生成動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
ステップA1として、各部品形状から軸データを登録する。
ステップA2として、軸データをもつ部品を軸部品として登録する。
【0034】
次に、各部品形状から軸データを抽出して登録する動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
ステップC1として、カタログ表示対象の各部品Pに対して処理を行う。
ステップC2として、部品Pが境界に円柱面があり、その円柱面が複数あったとするとすべて同じ軸を持っているか判断する。
ステップC3として、これまで登録された各軸ARについて処理を行う。
ステップC4として、部品Pの軸が軸ARと一致するか判断する。
ステップC5として、ステップC3に返って次の登録された軸の処理を行う。
ステップC6として、部品Pの軸はいままで登録されていないので、登録する。
ステップC7として、ステップC1に帰って、次の部品の処理を行う。
【0036】
次に、軸データを持つ部品の登録動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップD1として、登録された各軸ARに対して処理を行う。
ステップD2として、カタログ表示対象の各部品Pに対して処理を行う。
ステップD3として、部品Pの境界のすべての円柱面が持つ軸APに対して処理を行う。
ステップD4として、登録された軸ARと部品の軸APが幾何的に一致するかどうか判断する。
ステップD5として、軸ARへの登録部品データに部品Pを追加する。
ステップD6として、ステップD3に返って部品Pの次の軸の処理を行う。
ステップD7として、ステップD2に返って次の部品の処理を行う。
ステップD8として、軸ARの登録部品データの数がN個以下かどうか判断する。Nはカタログ作成装置利用者があらかじめ設定した数である。
ステップD9として、軸ARの部品数が少ないので、軸AR自体の登録を削除する。
ステップD10として、ステップD1に返って次の部品の処理を行う。
【0038】
次に、部品カタログ作成支援装置200からの軸画像出力時の動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
以下の説明では、3次元の設計CADデータから、予め定められた1つ以上の視点Vから見た2次元画像を出力することで全体の閲覧画像データとし、グループとして登録される各部品について、その視点Vから見た2次元画像を3次元の設計CADデータから出力することとする。このため、上述したグループデータ出力部210は、この全体の閲覧画像データに、各部品の2次元画像等を関連付けることとなる。
【0040】
ステップE1として、登録された各軸ARに対して処理を行う。
ステップE2として、画像出力されるすべての視点Vに対して処理を行う。
ステップE3として、表面画像出力、背景画像出力それぞれで利用される部品を分類登録する。
ステップE4として、分類や登録された部品情報に基づいて、画像出力する。
ステップE5として、ステップE2に返って次の視点の処理を行う。
ステップE6として、ステップE1に返って次の軸の処理を行う。
【0041】
次に、上述したステップE3での表面・背景部品登録について、図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップF1として、軸ARの幾何情報と視点Vでの視線ベクトルから平面1と平面2を計算する。
平面1は、軸ARを含み視線ベクトルと平行な平面として求める。
平面2は、軸ARを含み平面2に垂直な平面として求める。
【0042】
ステップF2として、カタログ表示対象の各部品Pに対して処理を行う。
ステップF3として、部品Pが平面1と交わり、かつ平面2と交わらないかつ、平面2の注視点側にあるかどうか判定する。
ステップF4として、ステップF3における判定がYESであれば、部品Pを表面画像用部品として登録する。
ステップF5として、ステップF3における判定がNOであれば、部品Pを背景画像用部品として登録する。
【0043】
次に、上述したステップE4での画像出力について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
ステップG1として、背景画像として登録された部品の半透明表示画像を、視点V、黒背景で生成する。
ステップG2として、表面画像として登録された部品の半透明表示画像を、視点V、黒背景で生成する。
ステップG3として、表面画像として登録された部品の半透明表示画像を、視点V、白背景で生成する。
ステップG4として、軸ARに登録された各部品PRに対して処理を行う。
ステップG5として、部品PRの非透明表示画像を、視点V、黒背景で生成する。
ステップG6として、部品PRの非透明表示画像を、視点V、白背景で生成する。
【0045】
次に部品カタログ閲覧装置400でのグループデータの表示動作について説明する。
まず、グループデータ表示について、図11のフローチャートを参照して説明する。
ステップV1として、構成部品画像の位置をユーザ指定に応じて移動する。
ステップV2として、背景部品画像に対して、構成部品画像を手前側に重ねるよう合成する。
ステップV3として、ステップV2の結果の画像に、さらに表面部品画像を手前側に重ねるよう合成する。
【0046】
次に、上述したステップV2およびステップV3での画像合成の動作について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
ステップW1として、奥側に合成される画像および手前側に合成される画像の対応する位置のそれぞれの画像の各ピクセルについて処理を行う。
ステップW2、W3として、手前側に合成される画像には白背景のものと黒背景のものがある。具体的には次のように合成比および合成結果の色を求める。
【0048】
ここで、画像の各ピクセルの色はRGB値の組で表現されているものとし、黒は(0,0,0)、白は(1,1,1)で表現されているとする。また、奥側に合成される画像は、部品カタログ作成支援装置200について上述したように黒背景で出力されている。
各ピクセル毎に、合成比を(Wm−Km)として、合成結果は次のように得られる。
B=(Wm−Km)*A+K
ただし、
B: 合成結果のピクセルの色(RGBについては独立して計算)
K: 手前側に合成される黒背景画像のピクセルの色(RGBについては独立して計算)
A: 奥側に合成される黒背景画像のピクセルの色(RGBについては独立して計算)
Wm: 手前側に合成される白背景画像のピクセルの色についてのRGBの平均値
Km: 手前側に合成される黒背景画像のピクセルの色についてのRGBの平均値
【0049】
こうして合成結果が算出されると、ステップW4として、上述したステップW1に返って次のピクセルの処理を行う。
【0050】
次に、上述したステップV1で、構成部品画像の位置をユーザ指定に応じて移動する動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
ステップX1として、移動距離とその正負の情報が「部品移動指定部」からユーザ入力されているので、その情報を「画像表示部」にコピーする。
ステップX2として、構成部品画像を、白背景、黒背景ともに移動する。その移動は元の位置から画像上の軸情報に平行に行う。
【0052】
図14に、カタログデータ中のグループデータ例を示す。
グループデータとしては、図14に示すように、3次元データとしての軸部品の情報に、登録された特定の視点から見た2次元画像データのファイル名と、その軸部品を構成する構成部品の部品IDとが関連付けられ、それぞれの部品IDにはさらに、その視点から見たその部品の2次元画像データのファイル名が関連付けられて構成される。
それぞれの2次元画像データのファイルとしては、白背景の場合における部品画像のファイル名と、黒背景の場合における部品画像のファイル名とが関連付けられる。
【0053】
以上のように、上述した実施形態では、部品カタログ作成支援装置200は、計算機上の3次元の部品形状データの組み合わせよりなるアセンブリデータから、特定の部品形状データを抜き出すグループ幾何抽出部227と、抽出された形状データをもつ部品を選択するグループ部品選択部228と、抜き出した形状データと選択された部品を登録するグループ登録部229と、登録されたグループデータをカタログデータ中の一部として出力するグループデータ出力部210と、を備える。
【0054】
このように、グループ幾何抽出部227が、3次元の設計CADデータおよびパーツリストに基づいて、図6のフローチャートで上述したようにして、軸データを有する部品を抽出する。
【0055】
そして、図7のフローチャートで上述したようにして、グループ部品選択部228は、軸データを有する抽出された部品それぞれに対して、共通の軸による円柱面を有する部品データを選択し、グループ登録部229は、選択された部品群をグループとして関連付けて登録する。
【0056】
こうした構成により、カタログデータ中に幾何情報をもとにした部品グループを追加することができる。
【0057】
ここで、既存技術では、設計CADデータに含まれる部品データいくつかをグループ化しようとしても、その設計CADデータを作成する設計段階であらかじめ決められているものについてしか対応することができなかった。
例えばある軸部品にささっている部品群だけの表示が望ましい場合や、共通の軸部分および共通の軸による穴部分を有する部品だけを表示させたい場合など、そうした部品をグループ化しようにも、設計CADデータを作成する設計段階でそのように分けられていなければ対応することができなかった。
【0058】
また、既存技術での表示では、各部品の表示位置は組付けられている位置に固定されており、例えば分解図のように各部品が重ならないように表示させるなど、各部品の表示位置を移動させることができなかった。
このため、例えば分解時の状態を確認したい場合であれば、表示部品を順々に切り替えるしかなかった。
【0059】
これに対し、本実施形態の部品カタログ作成支援装置200では、設計CADデータおよびパーツリストに基づいて、所定の部品形状について、3次元形状から幾何的に関連する部品を抽出することで、幾何形状に応じたグループ化を自動的に行うことができる。
このため、設計段階では入っていなかったが、カタログ閲覧時には重要となる幾何形状に応じたグループ化も自動的に行うことができる。このため、部品カタログ閲覧装置400により、そうした幾何形状に応じたグループ単位で表示させることも可能となり、カタログ閲覧時の利便性を向上させることができる。
【0060】
また、カタログ表示のための画像のうち、組付表示のための画像を3枚以上組み合わせることで、対象部品の位置を移動させて表示することが可能になり、分解時の状態も確認することができる。
【0061】
また、上述した実施形態における部品カタログ作成支援装置200は、グループデータ出力部210が、グループとして登録されたグループデータを構成する各構成部品データに対して、所定の視点ベクトルVによる2次元画像データを出力する構成部品画像出力部303を備える。また、構成部品画像出力部303は、黒背景画像生成部311と白背景画像生成部312とを備えることにより、各構成部品に対しての2次元画像データを、非透明の黒背景画像および非透明の白背景画像として生成する。
【0062】
また、グループデータ出力部210は、グループ化の際に共通要素を選択する元部品となる、抽出された部品である構成部品を含み、視線ベクトルVに垂直である平面よりも手前側にある表面部品に対して、その視点ベクトルVによる2次元画像データを出力する表面部品画像出力部306を備える。また、表面部品画像出力部306は、黒背景画像生成部313と白背景画像生成部314とを備えることにより、表面部品全体に対しての2次元画像データを、半透明の黒背景画像および半透明の白背景画像として生成する。
【0063】
また、グループデータ出力部210は、設計CADデータの全体中で表面部品以外である背景部品に対して、視点ベクトルVによる2次元画像データを黒背景画像として生成し、出力する背景部品画像出力部305を備える。
【0064】
こうした構成により、グループデータ出力部210は、各構成部品についての構成部品画像と、表面部品画像と、背景部品画像とを3次元の設計CADデータから生成し、これらをグループデータの一部として部品カタログデータに含めて出力する。
【0065】
このため、上述のようにして抽出、選択されて登録された各グループの構成部品を、部品カタログ閲覧装置400での表示時に移動させることが可能な状態として、部品カタログデータに含め、部品カタログの画像データを構成することができる。
【0066】
また、上述した実施形態における部品カタログ閲覧装置400は、合成比計算部423で算出された合成比を用いて、上述のようにして合成後の色を算出し、黒背景の表面部品画像と、黒背景の背景部品画像とを合成する画像合成部425を備える。
【0067】
また、部品カタログ閲覧装置400は、構成部品に対しての2次元画像データを、その画像合成部425で合成された画像と共に、図13のフローチャートで上述のように位置入力された位置に表示させる構成部品移動部424を備える。
【0068】
こうした構成により、部品カタログ作成支援装置200で作成された部品カタログデータを部品カタログ閲覧装置400で閲覧する際、登録された各グループの構成部品を移動させて表示させることができる。また、画像合成部425で合成される画像も、構成部品画像も、いずれも2次元画像であるため、構成部品画像を移動させる場合などであっても、コンピュータのCPUやGPU性能に依存せず、高速に表示させることができる。
【0069】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、抽出してグループ化する幾何形状として、軸データを有する部品を抽出することとして説明したが、抽出してグループ化する幾何形状は軸に限定されず、他の幾何形状であってもよい。
この場合、例えば抽出対象とする所定の幾何形状が直方体であれば、その直方体形状における重心を通り、最大面積の面に直交する直線を軸とし、その軸を共有する部品をグループ化するなど、予めその形状についての抽出および選択のルールを登録しておくことにより、上述した実施形態と同様に実現することができる。
【0071】
また、上述した部品カタログ作成支援装置200や部品カタログ閲覧装置400は、特定の機能を実現する機能部が論理的に集合したものであれば、単一の筐体内にあるか否かは特に問われるものではない。例えば、複数の装置により上述した実施形態の各機能が実現される構成であっても、本発明は同様に実現可能である。
【0072】
また、上述した各実施形態としての部品カタログ作成支援装置200や部品カタログ閲覧装置400を実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えばハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いてよい。
【0073】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御されるコンピュータに、上述した実施形態における各機能を実現させることができる。
【符号の説明】
【0074】
200 部品カタログ作成支援装置
206 グループデータ生成部
207 画像生成部
208 属性データ生成部
209 ツリー生成部
210 グループデータ出力部
211 閲覧用データ生成部
227 グループ幾何抽出部
228 グループ部品選択部
229 グループ登録部
301 グループ幾何出力部
302 グループ構成部品出力部
303 構成部品画像出力部
304 背景・表面部品選択部
305 背景部品画像出力部
306 表面部品画像出力部
400 部品カタログ閲覧装置
422 合成画像表示部
423 合成比計算部
424 構成部品移動部
425 画像合成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2007−109221号公報
【特許文献2】特開2011−76561号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出手段と、
前記抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を前記3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択手段と、
前記抽出された各形状データについて、前記グループ部品選択手段で選択された部品をグループとして登録するグループ登録手段と、
前記グループ登録手段により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力手段と、を備えたことを特徴とする部品カタログ作成支援装置。
【請求項2】
前記部品カタログデータは、前記3次元の部品形状データを組み合わせた全体に対する所定の視点ベクトルによる2次元画像データを含み、
前記グループデータ出力手段は、
前記グループ登録手段により登録されたグループデータを構成する各構成部品データに対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
前記視線ベクトルに垂直かつ前記構成部品を含む平面よりも手前側にある表面部品に対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
前記3次元の部品形状データを組み合わせた全体中で前記表面部品以外である背景部品に対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
を前記3次元の部品形状データから生成し、前記部品カタログデータの一部として出力することを特徴とする請求項1記載の部品カタログ作成支援装置。
【請求項3】
前記グループデータ出力手段は、
前記各構成部品に対しての2次元画像データを、非透明の黒背景画像および非透明の白背景画像として生成し、
前記表面部品に対しての2次元画像データを、半透明の黒背景画像および半透明の白背景画像として生成することを特徴とする請求項2記載の部品カタログ作成支援装置。
【請求項4】
請求項3記載の部品カタログ作成支援装置により作成された前記部品カタログデータを表示する部品カタログ閲覧装置であって、
前記部品カタログデータに含まれる画像データを合成する画像合成手段と、
前記構成部品に対しての2次元画像データを、前記画像合成手段で合成された画像と共に、位置入力された位置に表示させる構成部品移動手段と、を備え、
前記画像合成手段は、
前記表面部品に対しての前記白背景の2次元画像データの色と、
前記表面部品に対しての前記黒背景の2次元画像データの色と、
前記背景部品に対しての黒背景の2次元画像データの色と、に基づいて合成後の色を算出することにより、
前記表面部品に対しての前記黒背景の2次元画像データと、
前記背景部品に対しての黒背景の2次元画像データと、を合成することを特徴とする部品カタログ閲覧装置。
【請求項5】
3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出手順と、
前記抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を前記3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択手順と、
前記抽出された各形状データについて、前記グループ部品選択手順で選択された部品をグループとして登録するグループ登録手順と、
前記グループ登録手順により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする部品カタログ作成支援プログラム。
【請求項6】
前記部品カタログデータは、前記3次元の部品形状データを組み合わせた全体に対する所定の視点ベクトルによる2次元画像データを含み、
前記グループデータ出力手順では、
前記グループ登録手順により登録されたグループデータを構成する各構成部品データに対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
前記視線ベクトルに垂直かつ前記構成部品を含む平面よりも手前側にある表面部品に対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
前記3次元の部品形状データを組み合わせた全体中で前記表面部品以外である背景部品に対しての前記所定の視点ベクトルによる2次元画像データと、
を前記3次元の部品形状データから生成し、前記部品カタログデータの一部として出力することを特徴とする請求項5記載の部品カタログ作成支援プログラム。
【請求項7】
前記グループデータ出力手順は、
前記各構成部品に対しての2次元画像データを、非透明の黒背景画像および非透明の白背景画像として生成し、
前記表面部品に対しての2次元画像データを、半透明の黒背景画像および半透明の白背景画像として生成することを特徴とする請求項6記載の部品カタログ作成支援プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の部品カタログ作成支援プログラムにより作成された前記部品カタログデータを表示する部品カタログ閲覧プログラムであって、
前記部品カタログデータに含まれる画像データを合成する画像合成手順と、
前記構成部品に対しての2次元画像データを、前記画像合成手順で合成された画像と共に、位置入力された位置に表示させる構成部品移動手順と、をコンピュータに実行させ、
前記画像合成手順では、
前記表面部品に対しての前記白背景の2次元画像データの色と、
前記表面部品に対しての前記黒背景の2次元画像データの色と、
前記背景部品に対しての黒背景の2次元画像データの色と、に基づいて合成後の色を算出することにより、
前記表面部品に対しての前記黒背景の2次元画像データと、
前記背景部品に対しての黒背景の2次元画像データと、を合成することを特徴とする部品カタログ閲覧プログラム。
【請求項9】
3次元の部品形状データの組み合わせを含むアセンブリデータから、所定の形状を有する部品データを抽出するグループ幾何抽出工程と、
前記抽出された各形状データについて、当該形状データと共通の軸による形状部分をもつ部品を前記3次元の部品形状データから選択するグループ部品選択工程と、
前記抽出された各形状データについて、前記グループ部品選択工程で選択された部品をグループとして登録するグループ登録工程と、
前記グループ登録工程により登録されたグループデータを部品カタログデータの一部として出力するグループデータ出力工程と、を有することを特徴とする部品カタログ作成支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−109512(P2013−109512A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253064(P2011−253064)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】