説明

部品供給装置

【課題】比較的簡単な方法を用いて部品の取出し位置における誤差の精度を向上させることができ、且つ、コストパフォーマンスにも優れる部品供給装置を提供する。
【解決手段】上側が部品2の最大外形寸法よりも広く開放されると共に下側が前記最大外形寸法よりも小さく狭まっており、部品2に対して両側壁が当接する形状の部品受部、を有し、部品2を一定の方向に直線的に搬送する搬送部材3と、搬送部材3に対して振動を加えることで、部品受部に投入された部品2を一方向に搬送させることが可能な振動発生装置5と、搬送部材3に着脱可能に取付けられ、部品受部の上部の少なくとも一部を閉塞し、部品2が上側より飛び出るのを防止するフタ6とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置に関するものであり、特に、直線状に部品を搬送する部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品や小型の機械部品などを自動的に供給する装置として、パーツフィーダと呼ばれるものが知られている。具体的には、振動を与えることでバラ積みの部品を一定の姿勢に整列させ、ロボットアームなどが掴みやすい位置へと自動的に供給する装置である。
【0003】
パーツフィーダは、一般的には、部品を搬送する搬送部材の形状がボール状であるボール型振動フィーダ(以下、「ボールフィーダ」と云う)と、同搬送部材の形状が直線状であるリニア型振動フィーダ(以下、「リニアフィーダ」と云う)の2種類に大別される。これらは、各々別のシステムや用途で使われる場合もあるが、互いに一体として使われる場合も多い。例えば、ボールフィーダで部品の方向・姿勢を揃えたのち、リニアフィーダで部品を受け取り所定位置まで搬送する。そして、ロボットアームが当該所定位置から部品を掴み取り、組み立て対象となるワーク本体まで運ぶ、というものである。
【0004】
従来のリニアフィーダは、より具体的には図6に示すように、角形の溝部53を有する直線状の搬送部材50に部品51を載置し、この搬送部材50に所定の振動を与えることで、部品51を一定の方向(例えば矢印52の方向)に搬送する。なお、図6(a)は搬送部材50の斜視図であり、(b),(c)は(a)を矢印Aの方向から見た正面図である。
【0005】
以上の従来技術は、当業者において当然として行われているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図6に示すリニアフィーダでは、(b)に示すように、溝部53の幅Wを部品51の最大外形寸法(直径R)より大きくして、溝部53との間に左右方向の隙間Sを設ける必要があった。このシステムでは、振動を与えることによって部品51を矢印52の方向(図6(a)参照)に押し出すものであるところ、仮に幅Wと直径Rとが略一致していると、過剰な摩擦によって部品51の動きが制限され、スムーズに搬送できないからである。また、部品51の最大外形寸法は複数の部品51間で微妙にばらつくので、溝部53の幅Wは、これらのばらつきが許容される範囲で対応せねばならず、ゆとり(隙間S)を持たせる必要があった。
【0007】
しかし、隙間Sがあることによって、部品51が隙間Sを介して溝部53の中で動いてしまい(図6(c)の部品51a,51b参照)、左右方向の位置が安定しなかった。従って、部品51をロボットアームで取出す際に、その取出し位置が安定せず、ワーク本体への取付け位置の誤差が大きくなってしまったり、うまく取出せないことによる搬送エラーを生じさせてラインが停止するという問題があった。
【0008】
また、例えば図6(c)の部品51では、部品51と溝部53とが一点のみで接触するが、部品51aでは二点で接触している。このような状態では、部品51と部品51aとの溝部53に対する静摩擦抵抗が異なるため、同じ振動を加えられた時に、搬送スピードが異なってしまう虞があった。これにより、部品51に対して後続の部品51aが衝突する場合があり、搬送エラーの原因となる場合があった。
【0009】
そこで、搬送を邪魔せず且つ取出し位置が安定するように、隙間Sの大きさを適度な値に調節しなければならないが、係る調節は極めてナイーブであり、作成者の技巧によって完成度にばらつきが生じていた。さらに、部品51の直径Rが変わると対応できなくなるため、部品ごとに専用の搬送部材を夫々用意する必要があり、コストパフォーマンスが悪かった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、比較的簡単な方法を用いて部品の取出し位置における誤差の精度を向上させることができ、且つ、コストパフォーマンスにも優れる部品供給装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る部品供給装置は、「部品を一定の方向に直線的に搬送する部材であって、搬送方向に長手の溝として形成された部品受部を有しており、該部品受部は、下側の幅が上側の幅よりも狭まっていることで、前記部品に対して両側壁が当接する形状である搬送部材と、該搬送部材に対して振動を加えることで、前記部品受部に投入された前記部品を前記一定の方向に搬送させることが可能な駆動部材と、前記搬送部材に着脱可能に取付けられ、前記部品受部の上部の少なくとも一部を閉塞し、前記部品が前記上側より飛び出るのを防止する飛び出し防止部材とを具備する」ものである。
【0012】
ここで、「部品」とは、電子部品や、比較的小型の機械部品等を示し、その形状は特に限定されるものではない。例えば、スプリングのような断面略円形のものであっても良いし、小型の角ロッドのように、断面略正方形状のものであっても良い。なお、部品受部に対して当接する当接部が搬送中に変化しても、取り出し方向に制限を受けない形状の部品であると、より望ましい。このような形状をしている部品としては、具体的には、前述したスプリングや角ロッド、その他ネジやピンのように、部品受部に受け止められて搬送される場合に、該部品受部内で回転して部品受部との当接部が変化しても、その取り出し方向に制限の無い部品が挙げられる。例えば、一辺に接点部が形成されたICなどは、例え断面形状が正方形や円形であっても、前述の「部品受部に対して当接する当接部が搬送中に変化しても、取り出し方向に制限を受けない形状の部品」には含まれない。接点部がどの方向を向くかによって、取り出し方向に制限を受けるからである。または、断面形状が台形や長方形である部品も、同様にして当該部品には含まれない。このような部品を搬送する場合は、上記の構成に加え、さらに「搬送部材によって搬送された前記部品の取り出し方向を補正する姿勢補正装置」を具備することが望まれる。
【0013】
また、「下側の幅が上側の幅よりも狭まっている」形状とは、具体的には、略V字型の溝や、上底より下底の方が狭くなったすりばち状の溝の形状等を示す。要するに、搬送方向に対して左右方向の長さ(=幅)が、上側よりも下側のほうが狭くなっており、且つ下底部分の幅が部品の幅よりも小さいことにより、部品の外周の二点以上(若しくは二辺以上)が部品受部に当接するような形状を示す。なお、断面略円形の部品を二点で支持する場合は、2つの接触点が互いに離れているほうが部品の左右方向(搬送方向を前後方向とする)の位置が安定する。特にスプリングのような断面略円形の部材を搬送する場合は、当該円形状の直径により近い距離で接触点が形成されると、部品が左右方向に位置ずれすることなくまっすぐに搬送され効果的である。また、本発明では、少なくとも両側壁が部品に対して当接していれば良いから、部品受部の形状は、線対称なものに限られない。つまり、両側壁の傾斜角度が異なっていても良く、例えば一方の側壁が垂直であり、他方の側壁が傾斜しているような形状(カタカナのレの字のような形状)の溝であっても構わない。
【0014】
さらに、「搬送部材」とは、前記「部品受部」を有するものであれば特に限定されるものではないが、搬送方向が長手の直方体形状をしたブロック状のもの等が例示できる。その他には、駆動部材(後述する)に巻回させた無端ベルト状のもの等も例示できるが、後述の飛び出し防止部材を簡易に取付けるためには、ブロック状の搬送部材を適用した方がより簡易で好適である。
【0015】
また、「駆動部材」とは、搬送部材を振動させて水平往復運動をさせるものであれば、その機構は特に限定されない。例えば、ピエゾ(圧電素子)を用いたものや、電磁石と板バネを組み合わせたもの、高周波を発生させるものなど、公知の振動発生装置が適宜に適用される。
【0016】
さらに、「着脱可能に取付けられ」とは、搬送部材が振動によって部品の搬送を行っている時には固定されており、必要が生じた時(部品が詰まる等)には取り外せるような固定状態を示す。つまり、ボルトやバックルのような適宜の固定手段を用いる場合を示しており、接着剤などを用いて脱着困難な状態に固定されていたり、凹凸形状で簡易に搬送部材に嵌合されており、搬送中に安易に外れてしまうような固定状態は除外する。
【0017】
従って、本発明の部品供給装置によれば、部品受部の下側の幅は上側の幅よりも狭く構成されている。そして、部品受部の両側壁が部品に対してそれぞれ当接するので、搬送中における部品の左右方向の移動が規制される。これにより、部品が左右方向にぶれることなくまっすぐに搬送される。
【0018】
また、部品と部品受部との間に、従来のような左右方向の隙間を設ける必要がないから、ナイーブな調整が必要なく、簡易でありながら且つ精度の高い部品供給装置を実現することができる。さらに、隙間の調整が必要ないことから、部材の外形寸法が変わっても対応することが可能であり、複数種類のサイズの部品を一つの種類の搬送部材で搬送することが可能になる。
【0019】
さらに、本発明によれば、飛び出し防止部材がさらに備えられているから、部品受部の上側から部品が飛び出さず、確実に搬送方向へと搬送される。一方、飛び出し防止部材は、着脱可能に搬送部材に固定されているから、部品受部内部で部品やゴミが詰まった場合でも、飛び出し防止部材を取り外すことでその内部が開放され、簡易にメンテナンスできる。
【0020】
また、本発明の部品供給装置において、「前記部品受部は、V字型の溝部として形成されている」ものとすることができる。
【0021】
ここで、「V字型の溝部」としては、少なくとも上部が部品を投入可能な程度に開放され、下部が部品の外形よりも狭くなっていれば良い。つまり、V字型の為す角度は鈍角であっても鋭角であっても構わない。但し、あまりに鋭角であると搬送部材の厚みを厚くする必要があるし、溝部の下部にゴミなどが詰まっても取り除きにくいという弊害が考えられる。一方、あまりに鈍角にすると、搬送部材の幅を大きくする必要が生じるので、例えばV字型の為す角度を60度から90度程度に設定するとより効率的である。
【0022】
従って、本発明によれば、部品受部がV字型の溝部として形成されているので、部品受部の両側壁が部品に当接する。このため、左右方向(搬送方向を前後方向とする)に位置ずれすることなく、まっすぐに搬送されるから、搬送部材から取り出す部品の位置が安定する。また、取り出し位置が安定することから、ワーク本体への取り付け位置に誤差が生じにくく、比較的簡易に正確な取り付け作業が行える。さらに、取り出し位置が安定することで、搬送部材から部品を取り出す際のエラーが生じにくくなり、ラインの停止回数を削減できる。従って、生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の部品供給装置によれば、搬送部材は、下側の幅が上側の幅よりも狭まっていることで、部品に対して両側壁が当接するような部品受部を有している。これにより、部品受部に投入された部品の左右方向の移動が規制され、左右方向にぶれることなくまっすぐに前後方向に搬送される。従って、その取り出し位置がぶれにくく、精度良く部品を取り出せる。
【0024】
また、本発明によると、部品受部と部品との間に、左右方向の隙間を設ける必要がないから、隙間の調節作業が必要なくなり、便利である。さらに、部品受部に投入された複数の部品が夫々確実に部品受部の両側壁に当接するので、搬送スピードにばらつきが生じにくく、衝突に起因する搬送エラーを起こしにくい。従って、生産性を向上させることができる。また、隙間を設ける必要がないことから、部品の外形寸法が変化した場合でも隙間の再調整をする必要がなくなる。従って、外形寸法の異なる部品をひとつの搬送部材で搬送させることが可能となり、極めてコストパフォーマンスの良い部品供給装置を提供できる。
【0025】
さらに、本発明には、飛び出し防止部材が設けられているから、搬送中に、部品が部品受部の上側より飛び出してしまうことを防止することができる。従って、生産性の高い部品供給装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態である部品供給装置について、図1乃至図4に基づき説明する。図1は本発明の部品供給装置を用いた搬送システムを示す斜視図であり、図2は搬送部材を示す斜視図及び正面図であり、図3及び図4は搬送部材の機能を説明する説明図である。
【0027】
本発明の部品供給装置1を用いた搬送システム40は、主に図1に示すように、部品2の方向・姿勢を整えるボールフィーダ20と、ボールフィーダ20で姿勢が整えられた部品2を受け取って直線的に搬送する部品供給装置1と、部品供給装置1によって次々と搬送されていく複数の部品2の中から一つの部品2を切り出す切り出し装置30とを有して構成されている。
【0028】
部品供給装置1は、部品2を受け止める部品受部4(図2参照)を有する搬送部材3と、搬送部材3に水平往復運動を与える振動発生装置5とを具備している。
【0029】
搬送部材3は、部品受部4に部品2を受け止めて、直線状に搬送されるようガイドする部材であり、一端部(入口側)がボールフィーダ20に臨むように配置され、他端部(出口側)が切り出し装置30に臨むよう配置されている。
【0030】
図2(a)は搬送部材3の斜視図であり、図2(b)は出口側から見た正面図である。部品受部4は、より具体的には図2に示すように、V字型の溝部として形成されている。部品2と部品受部4とは、部品受部4の側壁4aに当接する接触点Q1、及び側壁4bに当接する接触点Q2の二点で接触しており、換言すると、部品2は接触点Q1及び接触点Q2の二点で支持されて搬送される。また、部品受部4の上側はフタ6によって一部が閉塞されている。ここで、側壁4a,4bが、本発明の「両側壁」に相当する。
【0031】
フタ6は、ボルト7によって搬送部材3に着脱可能に固定されている。ここで、フタ6が、本発明の「飛び出し防止部材」に該当する。フタ6は、部品受部4の上側を完全に閉塞するものであっても良いが、本実施形態では間隙Tを介して一部のみを閉塞している。間隙Tの幅は、部品2の搬送状態が視認可能な程度に広く、且つ部品2の飛び出しを防止できる程度(例えば、部品2の半径より小さい程度)に狭いことが望ましい。
【0032】
部品受部4の具体的な大きさとしては、本実施形態では、中心角が略60度程度のV字型の溝部として形成されている。中心角は、搬送部材3の許容幅と部品2の直径とを勘案して適宜に設定可能であるが、例えば略60度から90度の間で好適に選択される。これより小さいと、例えば図3(a)に示すように、溝の深さが深くなりすぎて(搬送装置3a参照)ゴミなどが溜まった際にメンテナンス性が低下する傾向がある。また、同図に示すように、溝の奥側に部品2が入り込む形になるから、部品2の上方に、部品2の直径よりも大きな隙間が生じ易くなる。そうすると、部品2が上下に重なった(例えば二段積みされた)状態で搬送され、エラーを起こす虞がある。なお、一点差線部は、本例(部品受部4の中心角が約60度程度)の場合の搬送装置と部品とを説明を助けるために付記したものである。
【0033】
一方、90度よりも大きく設定すると、図3(b)に示すように、搬送部材3bの幅が大きくなりすぎて装置が大型化する傾向がある。さらに、点線部に示すように、部品2の左右方向の移動の規制が緩くなり、搬送位置がぶれやすくなるので(同図一点差線円参照)、取り出しの際にエラーが起こる可能性が高まる。従って、本例のように、60度から90度の間で選択すると、より効果的である。
【0034】
また、部品受部4は、その深さが、部品2を所定方向に投入した状態において、フタ6との間に所定の間隙K(図2(b)参照)が形成されるよう設定されている。そして、間隙Kは、本実施形態では、部品2の直径より小さくなるよう設定されている。この理由は、前述したように、部品2の二段積みを防止する趣旨である。また、本例のように、間隙Kを設けることによって、部品2よりも直径の大きな部品2aを搬送することも可能となる(図4参照)。従来の角溝の部品受部を用いる搬送装置では、部品と部品受部との間に、左右方向の隙間を設け、微妙に調整する必要があったから、部品の直径に応じて専用品の搬送部材を用いる必要があった。これに比して、本実施形態の搬送部材3では、部品受部4の側壁4a,4bの両側壁が部品2に対して当接することにより、前述のような左右方向の隙間を設ける必要がなくなるから、仮に部品2の直径が変化しても(部品2a等)、同じ搬送部材3で対応することが可能となる。なお、当然のことながら、部品2の直径より小さいもの(部品2b)でも搬送可能である。
【0035】
搬送部材3は、振動発生装置5の上面に適宜に固定されている。振動発生装置5(図1参照)は、搬送部材3に水平往復運動を与える装置である。本実施形態では圧電素子を用いた公知のものを適用しているが、その構成は特に限定されない。ここでいう「水平往復運動」とは、搬送方向(前述でいう「出口側」)に大きく(速く)、搬送方向と逆行する方向(「入り口側」)に小さく(遅く)振動を与えるものである。このような振動を与えることで、部品受部4内の部品2が一定の方向へと搬送される。なお、この他の振動パターンであっても、部品2が出口側へと搬送されるものであれば良いことは、云うまでもない。振動発生装置5が、本発明の「駆動部材」に相当する。
【0036】
切り出し装置30(図1参照)は、搬送部材3によって次々と送られてくる複数の部品2の中から一つの部品2を切り出し、次の工程へと送り出すための装置である。例えば図1の一点差線円内に示すように、部品受部4と略等しい形状の受部を有する受台8と、搬送部材3より送り込まれてくる部品2を仮止めするストッパ9とを有して構成されている。ストッパ9は、図略のスプリングによって架台10に支持されている。より具体的には、受台8に受けられた部品2に対して緩やかに付勢されており、当該受け取られた部品2が、搬送部材3から次々と送り込まれてくる後続の部品2によって押し出されないように停止させるストッパとして機能している。なお、図1の一点差線円内は、切り出し装置30の要部を拡大したものである。
【0037】
続いて、本実施形態の部品供給装置1を用いた部品2の搬送方法について説明する。まず、ボールフィーダ20の中に複数の部品2が投入される。ボールフィーダ20としては、その構成は特に限定されないが、本実施形態では、円筒ボール状の搬送部材にらせん状のガイド(図示しない)が設けられているものを適用している。すなわち、円筒ボール状の搬送部材の内部に部品2が投入され、同搬送部材に回転力が加えられると、遠心力に沿ってらせん状のガイド部材に部品2が案内され、一定の姿勢に整えられる。そして、下側から上側へと順に部品2が搬送され、部品供給装置1の搬送部材3へと送り込まれる。
【0038】
振動発生装置5が搬送部材3に対して水平往復運動を加えると、搬送部材3の部品受部4へと送り込まれた部品2は、切り出し装置30の方向に向って部品2を搬送する。この時、部品2と部品受部4とは、図2(b)に示すように接触点Q1,Q2の二点で接触可能なので、一点のみで接触する場合に比べて、部品2の左右方向(矢印R1参照)の位置が規制され動きにくい。また、仮に部品受部4内を転動して左右方向や上方(矢印R2参照)へと移動することがあっても、フタ6が備えられていることによりその動きが規制され、元の位置(図2(b)に示す部品2の位置)へと戻され、まっすぐ搬送される。
【0039】
ボールフィーダ20から供給された部品2は、搬送部材3の部品受部4内を直進して、
切り出し装置30の受台8(図1参照)へと搬送される。切り出し装置30では、連続して搬送されてくる複数の部品2の中から一つの部品2を切り出し、次工程へと送り出す。次工程については説明を省略する。
【0040】
以上のように、本実施形態の部品供給装置1を用いた搬送システム40では、部品2が部品受部4に二点で支持された状態で搬送されるため、左右方向(矢印R1)への移動が規制され、ぶれずにまっすぐ搬送される。従って、比較的簡単な方法を用いて正確な搬送を行える部品供給装置1を実現することができる。
【0041】
また、部品2が左右方向にぶれずにまっすぐ搬送されることから、部品2を取り出して次工程に送り出す際に、その取り出し位置が安定してエラーを起こしにくい。従って、ラインの生産性を向上させることができる。
【0042】
また、部品2の左右側に隙間を設けて調整する必要がないから、部品2の直径が変化(部品2a,2b等)しても対応することができる。従って、部品2の直径に応じた専用の搬送部材を作成する必要が無く、一つの搬送部材3で多種の部品2を搬送することができ、経済的である。
【0043】
さらに、本例の部品供給装置1では、部品受部4の上方にフタ6が備えられているから、搬送中に部品2が部品受部4の上方より飛び出すことを防止できる。また、フタ6は、搬送部材3に対して着脱可能に固定されているから、内部でゴミや部品2が詰まっても簡単に取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。さらに、フタ6は、部品受部4の上方を完全には閉鎖せず、隙間Tを有して一部のみ閉鎖する構成だから、フタ6を取り付けた状態で隙間Tを介して内部の部品2を視認することができ、より便利である。
【0044】
また、本例の部品供給装置1では、部品受部4は、中心角度が約60度のV型の溝部として構成されているから、メンテナンス性を損なわず且つ搬送部材3の幅を最適化している。
【0045】
なお、本例の部品供給装置1を用いた搬送システム40では、さらに切り出し装置30を備えているから、部品供給装置1によって次々と送られてくる複数の部品2から一つの部品2を取り出し、正確に次工程へと送り出すことができる。なお、切り出し装置30の受台8の形状は、部品2を受けることができればその構成は特に限定されないが、本例では、部品受部4と略等しいV字型の溝部を構成している。これにより、部品2が受台8に正確に受け取られ、エラーを起こしにくくしてラインの生産効率をさらに向上させている。
【0046】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0047】
上記実施形態においては、部品2の形状として、断面略円形のものを例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、台形や正方形、その他多角形状の断面を有する部材であっても構わない。但し、台形等のように、部品受部4内で回転すると、その取り出し姿勢にばらつきが生じる形状の部品や、一部に接点が設けられていることにより取り出し方向に制限がある部品を搬送する場合は、取り出した部品2の姿勢を一定に揃えるために、搬送装置3の出口部や切り出し装置30などに、別途の姿勢補正装置を具備すると良い。姿勢補正装置とは、具体的には、例えば部品2の向きを検知するセンサーと、該センサーの検知した結果に応じて部品2の取り出し方向を変化させ、一定の姿勢で取り出す取り出し装置とを有するものが例示できる。
【0048】
また、上記実施形態においては、部品受部4の形状がV字型の溝であるものを例示したが、側壁4a,4bの両側壁が部品2に対して当接するものであれば、他の形状であっても良い。例えば、図5(a)に示すように、三点(P1,P2,P3)で部品2に対して当接する部品受部11を有する搬送部材3cであっても良いし、同図(b)に示すように、四点(U1,U2,U3,U4)で部品2に当接する部品受部12を有するもの(搬送部材3d)であっても良い。但し、これらの搬送部材3c,3dでは、部品2の直径が変化した場合、特に直径が小さくなった場合に、部品2が部品受部11、12の両側壁に対して当接しない場合が起り得るから、本例のように、二点で確実に当接する部品受部4の方が、より好適である。
【0049】
また、上記実施形態においては、一つの搬送部材3に対して、一列の部品受部4が配置されたものを例示したが、この構成には限定されない。二列であっても良いし、三列以上であっても当然構わない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の部品供給装置を用いた搬送システムを示す斜視図である。
【図2】(a)は搬送部材を示す斜視図であり、(b)は正面図である。
【図3】搬送部材の機能を説明する説明図である。
【図4】搬送部材の機能を説明する説明図である。
【図5】その他の形態を示す正面図である。
【図6】(a)は従来の部品供給装置の一部を示す斜視図であり、(b),(c)は正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 部品供給装置
2 部品
3 搬送部材
4 部品受部
4a 側壁(両側壁)
4b 側壁(両側壁)
5 振動発生装置(駆動部材)
6 フタ(飛び出し防止部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を一定の方向に直線的に搬送する部材であって、搬送方向に長手の溝として形成された部品受部を有しており、該部品受部は、下側の幅が上側の幅よりも狭まっていることで、前記部品に対して両側壁が当接する形状である搬送部材と、
該搬送部材に対して振動を加えることで、前記部品受部に投入された前記部品を前記一定の方向に搬送させることが可能な駆動部材と、
前記搬送部材に着脱可能に取付けられ、前記部品受部の上部の少なくとも一部を閉塞し、前記部品が前記上側より飛び出るのを防止する飛び出し防止部材と
を具備することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記部品受部は、V字型の溝部として形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−120542(P2008−120542A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307574(P2006−307574)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(395017173)エヌ・エス・ケイ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】