説明

部品供給装置

【課題】装置起動時や部品残量減少時における部品供給時間の短縮化を図ることにより部品の安定供給を行ない、供給する部品の傷付きを防止する部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置1は、供給する部品Pを受ける給材部10と、部品Pの整列方向Aに沿って形成される溝部31を有し、給材部10から供給される複数の部品Pを溝部31で受ける部品整列部30と、部品整列部30を上下方向に移動させる整列駆動部40と、を備える。また、部品整列部30は、溝部31の内面側に突出して形成され、未整列の部品Pに当接させることにより、供給される部品Pの姿勢を規制する規制部32を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を整列して供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品のメカニカルな組立作業を行う製造ラインは、複数の製造工程を備えており、製造工程ごとに必要となる部品を供給し、供給した部品を画像認識などによりロボット等で把持させ、必要な位置に搬送させて組立てることが行われている。
【0003】
部品を整列させて供給する部品供給装置において、一般的に用いられる装置は、特許文献1で開示されるような、振動式のボールフィーダーがある。この方式は、装置の始動時や機種切り替え直後等には、部品がボールの基底部にしかない状態から、給材位置まで部品が到達する状態になるまでには、多くの時間が必要となる。また、運転中であっても、ボール内に存在する部品の数が少なくなると、姿勢判別部を通過して供給される部品数が極端に少なくなることで、部品の供給能力不足によるサイクルタイムの増加に繋がる。
【0004】
上記の課題に対して、特許文献2では、振動式ボールフィーダーのボール基底部から姿勢判別部の直前の位置までをつなぐバイパスを設け、装置の始動から部品供給までの時間を短縮することが開示されている。
【0005】
また、振動式ボールフィーダーとは異なる方式の部品供給装置として、特許文献3では、円錐台形の螺旋ローラーで、円筒状の部品を整列させることが開示されている。この装置は、始動時や部品残量が少なくなった場合にも部品が安定供給されるため、上記の課題が解決されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−41312号公報
【特許文献2】特開2006−96497号公報
【特許文献3】特開平5−85615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2では、真空装置などにより部品を吸い上げる必要があるため、真空で吸い上げ可能な比較的小さい外形の部品には適用できるが、大きな外形の部品に対しては適用が難しいことが懸念される。これにより、大きな外形の部品を供給する際の、装置始動時における部品供給時間に課題がある。また、特許文献3では、部品を螺旋ローラーで擦りながら整列及び供給を行なうため、部品表面がフィルムなどの軟らかい材質の部材を有している場合、表面に傷が付いたり、フィルムが剥がれたりする等の不具合が発生し易いという課題がある。
【0008】
従って、装置起動時や部品残量減少時等における部品供給時間の短縮化を図ることにより部品の安定供給を行ない、供給する部品の傷付きを防止する部品供給装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例に係る部品供給装置は、(a)供給する部品を受ける給材部と、(b)部品の整列方向に沿って形成される溝部を有し、給材部から供給される複数の部品を溝部で受ける部品整列部と、(c)部品整列部を上下方向に移動させる整列駆動部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
このような部品供給装置によれば、溝部が整列方向に沿って形成されているため、給材部から供給された部品は、溝部の整列方向に沿って整列させ易くすることができる。また、整列駆動部により部品整列部を上下方向に移動させることにより、溝部に不安定な姿勢で保持された部品を更に整列させ易くすること、及び、溝部に不安定な姿勢で保持された部品を、例えば落下させること等により溝部から排除させることもできる。この構成により、部品を溝部に概ね整列させることができ、部品供給時間の短縮化と、部品の安定供給を図ることができる。
【0012】
[適用例2]上記適用例に係る部品供給装置において、部品整列部は、溝部の内面側に突出して形成され、未整列の部品に当接させることにより、供給される部品の姿勢を規制する規制部を備えていることが好ましい。
【0013】
このような部品供給装置によれば、規制部により、整列した部品以外の部品の姿勢を、溝部内で不安定とさせることができるため、未整列部品を排除させ易くすることができる。また、上下動を行なうことで、未整列部品を更に排除させ易くすることができる。
【0014】
[適用例3]上記適用例に係る部品供給装置において、溝部は、断面形状が曲線形状を有していることが好ましい。
【0015】
このような部品供給装置によれば、溝部により、特に外径が円柱形状の部品はこの曲線形状に沿って整列方向に整列させ易くできる。
【0016】
[適用例4]上記適用例に係る部品供給装置において、給材部は、部品整列部の整列方向に略平行に形成される受部を備えていることが好ましい。
【0017】
このような部品供給装置によれば、受部が整列方向に略平行に形成されるため、部品の重なりを抑制して供給する部品を受けることができる。
【0018】
[適用例5]上記適用例に係る部品供給装置において、給材部を上下方向に移動または整列方向に略平行に設置される軸を中心に回転させ、供給される部品を溝部に供給する給材駆動部を備えていることが好ましい。
【0019】
このような部品供給装置によれば、給材駆動部により、受部に収納される複数の部品を一度に溝部に供給することができることにより、溝部への部品供給時間の短縮化を図ることができる。
【0020】
[適用例6]上記適用例に係る部品供給装置において、受部は、整列方向に垂直な断面形状が曲線形状を有していることが好ましい。
【0021】
このような部品供給装置によれば、受部の整列方向に垂直な断面形状が曲線形状を有していることにより、特に、外径が円柱形状の部品に対して、複数の部品の重なりを抑制すると共に、複数の部品を整列させ易く受部で受けることができるため、溝部へ部品を供給する際に、溝部に整列し易い状態で供給することができる。
【0022】
[適用例7]上記適用例に係る部品供給装置において、受部は、溝部の方向に下がる傾斜形状を有していることが好ましい。
【0023】
このような部品供給装置によれば、受部が溝部の方向に下がる傾斜形状を有していることにより、受部に供給された部品を溝部に即座に供給することができる。
【0024】
[適用例8]上記適用例に係る部品供給装置において、部品整列部に整列された部品を整列方向に沿って搬送する搬送部を備えていることが好ましい。
【0025】
このような部品供給装置によれば、溝部が整列方向に沿って形成されているため、搬送部により、溝部に整列された部品を整列方向に沿って搬送することにより、摩擦を軽減することができ、部品表面への擦り傷等を防止できる。
【0026】
[適用例9]上記適用例に係る部品供給装置において、部品の姿勢を検出する検出部と、検出部により、所定の姿勢以外の姿勢の部品に対し、搬送経路上から排除する排除部と、を備えていることが好ましい。
【0027】
このような部品供給装置によれば、所定の姿勢の部品のみを搬送させることができる。
【0028】
[適用例10]上記適用例に係る部品供給装置において、搬送経路上から排除された部品を誘導して給材部に戻す誘導部を備えていることが好ましい。
【0029】
このような部品供給装置によれば、排除部から排除された部品を、誘導部により給材部に戻すことで、効率的に部品を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る部品供給装置を上方から見た斜視図。
【図2】部品供給装置の動作を示す断面図。
【図3】部品整列部に供給された部品の整列状態の例を示す断面図。
【図4】判別部を示す断面図。
【図5】第2実施形態に係る部品供給装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0032】
図1は、第1実施形態に係る部品供給装置1を上方から見た斜視図である。図2は、部品供給装置1の動作を示す断面図であり、図2(a)は、給材部10の回転前の状態を示す断面図であり、図2(b)は、給材部10の回転後の状態を示す断面図であり、図2(c)は、部品整列部30が押上げられた状態を示す断面図である。図3は、部品整列部30に供給された部品Pの整列状態の例を示す断面図であり、図3(a)は、部品Pが整列した状態を示す図であり、図3(b),(c),(d),(e)は、部品Pが整列していない状態(未整列の状態)を示す図である。図1〜図3を参照して、部品供給装置1の構成と動作に関して説明する。
【0033】
本実施形態の部品供給装置1は、複数の製造工程を備えたメカニカルな組立作業を行う製造ラインの中の、1つの製造工程を担う装置として組まれている。そして、部品供給装置1は、その工程で必要となる部品Pを供給する。また、供給した部品Pは、ロボットにより把持させて必要な位置に搬送させ、組み立てが行われる。なお、供給する部品Pが不足した場合には、部品供給装置1は、再び部品Pを供給する。なお、部品供給装置1は、このような供給動作を繰り返し実行する。
【0034】
なお、本実施形態の部品Pには、円柱形状を有するローラーを用いている。また、このローラーの外面には、テープ状のインクリボンが幾重にも巻回されている。従って、本実施形態の部品供給装置1は、インクリボンが巻回されたローラー(部品P)を、整列させて供給する装置である。なお、ロボットは、このローラーを把持して搬送し、収容するケース等に組み込む動作を行う。
【0035】
本実施形態を説明する図面は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、図1において、部品供給装置1の幅方向をX軸方向(+X方向)とする。また、X軸方向に直交して、部品供給装置1の奥行き方向をY軸方向(+Y方向)、X軸方向およびY軸方向に直交し、部品供給装置1の高さ方向をZ軸方向(+Z方向)とする。なお、+X方向を前方向(−X方向を後方向)、+Y方向を右方向(−Y方向を左方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
【0036】
部品供給装置1は、供給する部品Pを受ける給材部10と、給材部10を回転させて部品整列部30に部品Pを供給する給材駆動部20と、給材駆動部20の駆動により、給材部10から供給される複数の部品Pを受ける部品整列部30と、部品整列部30を供給位置から搬送位置に移動させる整列駆動部40とを備えて構成される。なお、供給位置とは、給材部10から部品整列部30に部品Pが供給される場合の部品整列部30の位置とする。また、搬送位置とは、部品整列部30の部品Pが後述する搬送部50により搬送される場合の部品整列部30の位置とする。
【0037】
部品供給装置1は、部品整列部30の部品Pを搬送する搬送部50と、搬送部50を駆動する搬送駆動部60とを備えている。また、部品供給装置1は、部品Pを搬送する際に、部品Pの整列姿勢を判別する判別部70を備えている。また、部品供給装置1は、判別部70を通過して搬送部50により搬送される部品Pを受け、ロボットに把持させる位置に順次移動させる部品移動部80と、部品移動部80を駆動する部品移動駆動部90とを備えている。
【0038】
部品供給装置1は、ベース基板3に立設する2つの支持基板4に、給材駆動部20、整列駆動部40、搬送駆動部60、判別部70が設置される。また、支持基板4に挟まれる形態で、給材部10、部品整列部30が設置される。部品整列部30の右方向(+Y方向)には搬送駆動部60が配設され、この搬送駆動部60に搬送部50が移動自在に設置される。
【0039】
また、部品供給装置1は、ベース基板5に部品移動駆動部90が設置され、部品移動駆動部90の上方に部品移動部80が設置されている。なお、部品移動部80の後方向の端部は、判別部70に接続されている。
【0040】
部品整列部30は、整列方向A(図1に矢印Aで示す)に沿って、給材部10から供給された部品Pを整列させるものである。部品整列部30は、整列方向Aに沿って形成される溝部31を備えている。溝部31は、本実施形態では、断面形状が、図2に示すように、曲線形状となる概円弧形状を有して形成されている。また、本実施形態では、円弧の径は、部品Pの径よりも若干大きくなる径として、左右方向の移動を規制している。
【0041】
また、溝部31の右方向上部には、整列方向Aに沿って溝部31の内面側に突出して形成される規制部32が設置されている。規制部32は、部品Pが所定の姿勢で溝部31に整列するように、供給される部品Pの姿勢を規制している。そのために、規制部32は、未整列の部品Pを不安定な姿勢とさせることで排除させ易くしている。規制部32の詳細に関しては後述する。
【0042】
整列駆動部40は、部品整列部30を供給位置から搬送位置に移動させるものである。整列駆動部40は、いわゆるエアーシリンダー41で構成されている。このエアーシリンダー41が部品整列部30の下方向に設置されており、エアーシリンダー41の駆動により、部品整列部30を上下方向に移動させる動作を行う。
【0043】
給材部10は、図示省略する別の給材部から供給される部品Pを受けるものであり、受けた部品Pを、部品整列部30に供給するものである。なお、図1には、給材部10に受けた部品Pの例を示している。給材部10は、図2に示すように、円柱形状の部材を長手方向に概ね4等分に切断した形状を有している。そして、給材部10は、部品整列部30の整列方向Aに略平行に設置されている。
【0044】
また、給材部10は、整列方向Aに略平行に形成される受部11を備えている。受部11は、本実施形態では、整列方向に垂直な断面形状が、図2に示すように、曲線形状となる概円弧形状を有して形成されている。また、給材部10は、受部11の前後の端部に、斜面12,13が形成されている。この斜面12,13には、それぞれ複数の孔121,131が形成されている。この複数の孔121,131は、後述するセンサー15の赤外光を通過させる孔である。
【0045】
給材部10は、上述した斜面12,13に形成する複数の孔121,131に相対して、支持基板4に設置される複数のセンサー15を備えている。センサー15は、孔121から孔131を通過する赤外光を出力及び受信することにより、受部11内の部品Pの有無を検出している。なお、検出されたデータは図示省略する制御部により処理され、部品数量が少ない場合には、図示省略する給材部から部品Pが供給される。なお、本実施形態では、給材部10に供給される部品数は約5〜10個程度としている。
【0046】
給材駆動部20は、給材部10の部品Pを部品整列部30に供給させるために、給材部10を回動させるものである。給材駆動部20は、いわゆるロータリーシリンダー21で構成されている。また、ロータリーシリンダー21の軸22が、整列方向Aに平行で回動自在に支持基板4に挿通されている。この軸22に給材部10の受部11の右側端部が保持されることで、給材部10は軸22を中心に従動して回動する。
【0047】
図2(a)に示すのは、給材部10の初期位置を示しており、給材部10に部品Pが供給される位置である。この状態から給材駆動部20が駆動することにより、図2(b)に示すように、軸22を中心として、給材部10が時計方向に回転する。この動作により、給材部10の部品Pは、供給位置に位置する部品整列部30(溝部31)に落とし込まれて供給される。なお、部品整列部30への部品供給が終了した場合、給材駆動部20が駆動することにより、軸22を中心にして、給材部10が反時計方向に回転する。この動作により、給材部10は、図2(a)に示す初期位置に回転して戻る。
【0048】
なお、給材部10から部品整列部30に供給された部品Pは、図3(a)に示すように、円柱状の部品Pの長手方向が溝部31に沿って(整列方向Aに沿って)並ぶ姿勢(所定の姿勢)で整列することが理想である。なお、本実施形態では、所定の姿勢で整列する部品Pが大半となるが、中には、図3(b),(c),(d)に示すように、溝部31と規制部32とに渡って、起立した姿勢となる部品P1,P2,P3もある。また、図3(e)に示すように、整列した部品Pの端部に重なる姿勢となる部品P4もある。なお、本実施形態では、規制部32を設置することにより、供給される部品Pに当接することで、整列しない部品Pに対して部品P1〜P4の姿勢のように不安定な姿勢とさせている。
【0049】
図2(b)に示すように、部品Pが給材部10から供給位置に位置する部品整列部30に供給された後、部品整列部30は、整列駆動部40が駆動することにより、上方向に押し上げられる。そして、図2(c)に示すように、整列駆動部40は、部品整列部30が搬送位置に位置する状態で停止する。
【0050】
部品整列部30が供給位置から搬送位置まで上昇する際、上昇による振動等により、未整列の部品P1〜P4は、その姿勢の不安定さから、下方向に落下する。落下した部品Pは、下方向に位置する給材部10の受部11に再度戻ることになる。
【0051】
搬送部50は、図1、図2に示すように、部品整列部30の部品Pを、判別部70を介して部品移動部80に搬送するものである。上述したように、搬送部50は、部品整列部30の右方向に設置される搬送駆動部60に移動自在に設置されている。なお、搬送駆動部60は部品整列部30及び判別部70に渡って設置されている。搬送駆動部60は、エアーシリンダー61で構成されている。
【0052】
搬送部50は、搬送駆動部60(エアーシリンダー61)の右側側面で、整列方向Aに沿って移動自在に設置されている。搬送部50は、搬送駆動部60の右側側面から曲折して形成され、部品整列部30が搬送位置に位置した場合に、部品整列部30の溝部31上方から溝部31に入り込む状態に形成されている。なお、部品整列部30の部品Pは、溝部31に入り込む状態で形成される搬送部50の押圧片51に押圧されて搬送される。なお、搬送部50(押圧片51)は、搬送駆動部60の駆動により、部品整列部30の後側端部から、後述する判別部70の溝部71前側端部まで、整列方向Aに沿って移動する。
【0053】
図4は、判別部70を示す図であり、図4(a)は、判別部70を示す部品供給装置1の斜視図であり、図4(b)は、判別部70を示す部品供給装置1の断面図である。図4を参照して判別部70の構成と動作に関して説明する。
【0054】
判別部70は、搬送部50により搬送される部品Pの整列姿勢を最終的に判別し、部品整列部30から送られてくる部品Pに対して、整列方向Aに沿って整列している部品Pのみを部品移動部80に供給するものである。判別部70は、部品整列部30の溝部31と同様の円弧形状に形成される溝部71を備えている。この溝部71は、部品整列部30が搬送位置に位置した場合、部品整列部30の溝部31と円滑に接続される位置関係で設置される。
【0055】
また、判別部70は、溝部71の上方で、後述するセンサー部75の後側(−X方向)には、溝部31の規制部32と同様の動作を行わせ、規制部32の突出量よりも更に溝部71の内面側に突出する規制部72を備えている。また、溝部71の左側端部には、搬送経路上(溝部71)から排除された部品Pを給材部10に戻すため、下方に位置する給材部10の方向に傾斜する面で形成される傾斜部73が構成されている。なお、傾斜部73は、誘導部として構成されている。
【0056】
また、判別部70は、部品Pの整列姿勢を最終的に判別するために、赤外光の出力及び受光により部品Pの姿勢を検出する検出部としてのセンサー部75を備えている。また、判別部70は、センサー部75で検出したデータを処理する検出部としての図示省略する制御部を備えている。また、判別部70は、制御部により所定の姿勢ではない(未整列)と判断された場合、エアーにより溝部71から未整列な部品Pを左方向(−Y方向)に吹き飛ばして排除する排除部としてのエアー出力部76を備えている。
【0057】
部品整列部30が搬送位置に位置し、搬送部50の押圧片51により、溝部31に整列した部品P(中には、未整列の例えば図3(e)に示す部品P4が入る場合もある)が押圧されて整列方向Aに沿って搬送された場合の判別部70の動作を説明する。
【0058】
押圧片51に押圧され、部品整列部30の溝部31の部品Pは、判別部70の溝部71に順次搬送される(滑りながら移動する)。ここで、溝部31から溝部71に搬送された場合、最初に、規制部72により、部品Pの姿勢が規制される。未整列の部品P(例えば部品P4)は、この規制部72により、不安定な姿勢とされ、移動に伴って、溝部71から傾斜部73に落とされる(搬送経路上から排除される)。
【0059】
また、この規制部72を通過した部品Pは、次に、センサー部75を通過する。このセンサー部75(及び図示省略する制御部)により、未整列の部品Pとして判断された場合、エアー出力部76から吐出されるエアーにより、未整列の部品P(例えば部品P4)は、溝部71から傾斜部73に吹き飛ばされて落とされる(搬送経路上から排除される)。なお、排除された部品Pは、いずれも傾斜部73を転がり給材部10に落下する。
【0060】
上述したように、規制部72やセンサー部75を通過することで、最終的に排除されずに残った部品Pが、所定の姿勢で整列した部品Pとされて、押圧片51に押圧されながら後述する部品移動部80の移動溝81に順次搬送される。
【0061】
部品移動部80は、判別部70の溝部71に接続する移動溝81を備え、整列方向Aに沿って構成されている。また、移動溝81の途中には、センサー部82が設置されている。また、部品移動駆動部90は、いわゆるリニアフィーダー91として構成されており、リニアフィーダー91が駆動することにより、移動溝81が前方向へ振動することで、移動溝81に供給された部品Pは、前方(+X方向)に順次移動する。
【0062】
なお、センサー部82は、移動溝81の前方先端部からの部品Pの数量を検出している。そして、このセンサー部82(及び図示省略する制御部)により、数量が不足していると判断された場合には、部品整列部30から部品Pが逐次供給される。
【0063】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の部品供給装置1によれば、供給する部品Pを受ける給材部10と、部品Pの整列方向Aに沿って形成される溝部31を有し、給材部10から供給される複数の部品Pを溝部31で受ける部品整列部30と、部品整列部30を上下方向に移動させる整列駆動部40とを備えている。これにより、給材部10から供給された部品Pは、溝部31の整列方向Aに沿って整列させ易くすることができる。また、整列駆動部40により部品整列部30を供給位置から搬送位置へと、上方向に移動させることにより、溝部31に不安定な姿勢で保持された部品P(部品P1〜P4等)を、落下させることにより溝部31から排除させることもできる。
【0064】
本実施形態の部品供給装置1によれば、規制部32により、整列した部品P以外の部品の姿勢を、溝部31内で不安定とさせることができるため、未整列部品P(部品P1〜P4等)を排除させ易くすることができる。
【0065】
本実施形態の部品供給装置1によれば、部品整列部30の溝部31は、断面形状が概円弧形状を有していることにより、本実施形態の部品Pのように、インクリボンが巻回された円柱状のローラーは溝部31に沿って整列方向Aに整列させ易くできる。
【0066】
本実施形態の部品供給装置1によれば、給材部10は、部品整列部30の整列方向Aに略平行に形成される受部11を備えていることにより、部品P同士の重なりを抑制して供給する部品Pを受けることができる。
【0067】
本実施形態の部品供給装置1によれば、整列方向Aに略平行に設置される軸22を中心に給材部10を回転させ、部品Pを溝部31に供給する給材駆動部20を備えていることにより、受部11に収納される複数の部品Pを一度に溝部31に供給することができることにより、溝部31への部品供給時間の短縮化を図ることができる。従って、部品Pの安定供給が行える。
【0068】
本実施形態の部品供給装置1によれば、受部11の整列方向に垂直な断面形状が概円弧形状を有していることにより、本実施形態の部品Pのように、インクリボンが巻回された円柱状のローラーに対して、部品P同士の重なりを抑制すると共に、複数の部品Pを整列させ易く受部11で受けることができる。これにより、溝部31へ部品Pを供給する際に、溝部31に整列し易い状態で供給することができる。従って、本実施形態の部品供給装置1は、部品Pの供給時間の短縮化を更に図ることができる。
【0069】
本実施形態の部品供給装置1によれば、溝部31が整列方向Aに沿って形成されているため、搬送部50により、溝部31に整列された部品Pを整列方向Aに沿って搬送することにより、摩擦を軽減することができ、部品表面への擦り傷等を防止できる。
【0070】
本実施形態の部品供給装置1によれば、判別部70において、部品Pの姿勢を判別する検出部(センサー部75、制御部)と、検出部により、所定の姿勢以外の姿勢の部品P(未整列の部品P)に対し、搬送経路上(溝部71)から排除する排除部(エアー出力部76)を備えていることにより、所定の姿勢の部品P(整列した部品P)のみを搬送させることができる。
【0071】
本実施形態の部品供給装置1によれば、搬送経路上(溝部71)から排除された部品Pを給材部10に戻す誘導部(傾斜部73)を備えていることにより、効率的に部品Pを使用することができる。また、誘導部は、傾斜する面で形成される傾斜部73で構成されているため、簡易な構成で誘導部を実現することができる。
(第2実施形態)
【0072】
図5は、第2実施形態に係る部品供給装置2の断面図である。図5を参照して、部品供給装置2の構成と動作に関して説明する。
【0073】
本実施形態の部品供給装置2は、第1実施形態の部品供給装置1と比較して、給材部の構成が異なっている。また、第1実施形態では、給材部10を回動させる給材駆動部20を備えているが、本実施形態では給材駆動部を備えていない点が異なっている。他の構成は第1実施形態と同様に構成される。なお、図5では、第1実施形態と同様の構成には同様の符号を付記している。
【0074】
本実施形態の給材部100は、図5に示すように、部品整列部30の溝部31の方向に下がる傾斜形状となるように形成される受部111を備えている。詳細には、受部111は、断面形状が直線状の斜面として形成されている。また、給材部100は、図5に示すように、部品整列部30が供給位置に位置している状態で、受部111の右側端部が、溝部31の左側端部の若干上方に位置するように設置されている。
【0075】
給材部100は、支持基板4に固定されており、第1実施形態の給材部10のように回動等を行なわない。給材部100は、図示省略する別の給材部から供給される部品Pを受部111で受ける。受部111に受けた部品Pは、受部111の傾斜面を滑り、溝部31に供給される。
【0076】
溝部31に部品Pを供給された部品整列部30は、整列駆動部40の駆動により、供給位置から搬送位置に移動する。この移動に際して、不安定となる部品Pは、下方向に落下する。なお、部品整列部30は、溝部31の左側端部から下方に形成される面部33を有しており、部品整列部30が搬送位置に位置した場合に、受部111の右側端部と溝部31の左側端部との断面方向の領域を覆う状態となる。また、本実施形態では、供給位置から搬送位置までの移動距離を、第1実施形態での移動距離に比較して長く設定している。これらにより、部品整列部30を上方に移動させることで、不安定となる部品Pを溝部31から受部111に確実に落下させ、落下させた部品Pに対して、面部33が壁となり、受部111で確実に受けさせることができる。
【0077】
なお、受部111で受けた部品Pは、部品整列部30が下降して供給位置に位置した場合に、再度、溝部31に供給される。なお、部品整列部30が下降することによる、受部111の部品Pへの傷付け等は、受部111と面部33との隙間関係や、面の状態等を考慮することで防止している。
【0078】
なお、部品整列部30が搬送位置に位置した場合以降の動作は、第1実施形態と同様となるため、説明を省略する。
【0079】
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる他に以下の効果が得られる。
本実施形態の部品供給装置2によれば、給材部100の受部111は、溝部31の方向に下がる傾斜形状を有していることにより、受部111に供給された部品Pを即座に溝部31に供給することができる。
【0080】
本実施形態の部品供給装置2によれば、給材部100は回動等を行なわないため、給材部100を駆動する給材駆動部等の構成部が不必要となるため、部品供給装置2の簡易化を図ることができる。
【0081】
なお、上述した第1、第2実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良などを加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0082】
前記第1実施形態の部品供給装置1において、部品整列部30の溝部31の断面形状は概円弧形状を有しているが、これに限られず、円弧形状以外の曲線形状を有していてもよい。
【0083】
前記第1実施形態の部品供給装置1において、受部11の整列方向に垂直な断面形状は概円弧形状を有しているが、これに限られず、円弧形状以外の曲線形状を有していてもよい。
【0084】
前記第1実施形態の部品供給装置1において、給材部10は、給材駆動部20の軸22を中心に回転して溝部31に部品Pを供給する。しかし、給材部10は、回転ではなく上下方向に移動することで、溝部31に部品Pを供給する構成としてもよい。
【0085】
前記第2実施形態の部品供給装置2において、給材部100は、回動や上下方向への移動等は行わずに溝部31に部品Pを供給する。しかし、給材部100は、回動や上下方向への移動等を行うことで、溝部31に部品Pを供給する構成としてもよい。
【0086】
前記第2実施形態の部品供給装置2において、給材部100は、部品整列部30の溝部31の方向に下がる傾斜形状として、断面形状が直線状の斜面として構成されている。しかし、これに限られず、断面形状が曲線形状の斜面として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,2…部品供給装置、10…給材部、11…受部、20…給材駆動部、22…軸、30…部品整列部、31…溝部、32…規制部、40…整列駆動部、50…搬送部、60…搬送駆動部、70…判別部、73…傾斜部、75…センサー部、76…エアー出力部、100…給材部、111…受部、A…整列方向、P…部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給する部品を受ける給材部と、
前記部品の整列方向に沿って形成される溝部を有し、前記給材部から供給される複数の前記部品を当該溝部で受ける部品整列部と、
前記部品整列部を上下方向に移動させる整列駆動部と、
を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給装置であって、
前記部品整列部は、前記溝部の内面側に突出して形成され、未整列の前記部品に当接させることにより、供給される前記部品の姿勢を規制する規制部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品供給装置であって、
前記溝部は、断面形状が曲線形状を有していることを特徴とする部品供給装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記給材部は、前記部品整列部の前記整列方向に略平行に形成される受部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記給材部を上下方向に移動または前記整列方向に略平行に設置される軸を中心に回転させ、前記供給される部品を前記溝部に供給する給材駆動部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の部品供給装置であって、
前記受部は、前記整列方向に垂直な断面形状が曲線形状を有していることを特徴とする部品供給装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記受部は、前記溝部の方向に下がる傾斜形状を有していることを特徴とする部品供給装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の部品供給装置であって、
前記部品整列部に整列された前記部品を前記整列方向に沿って搬送する搬送部を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載の部品供給装置であって、
前記部品の姿勢を検出する検出部と、
前記検出部により、所定の姿勢以外の姿勢の部品に対し、搬送経路上から排除する排除部と、を備えていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の部品供給装置であって、
前記搬送経路上から排除された部品を誘導して前記給材部に戻す誘導部を備えていることを特徴とする部品供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−223827(P2012−223827A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90761(P2011−90761)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】