説明

部品実装基板、光受光装置、光記録装置及び光再生装置

【課題】 半導体ベアチップ及びチップ部品の双方に対して、優れた機械的・電気的接続特性を確保することのできる部品実装基板を提供する。
【解決手段】 半導体ベアチップ3やチップ部品4が接続されるプリント配線基板16の配線パターン2は、銅箔に金メッキを施して、半導体ベアチップ3のボンディングに備える一方、配線パターン2のチップ部品4が装着される部位には、当該配線パターン2を貫通して基板の表面を露出させた基板露出孔8を形成して、チップ部品4を配線パターン2に接着する導電性接着剤9を基板露出孔8に充填することで、導電性接着剤9による接着強度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ベアチップとチップ部品とが同一のプリント配線基板上に実装される部品実装基板に関し、特に、プリント配線基板に対するチップ部品の接続強度を向上させるための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ベアチップとチップ部品とが同一のプリント配線基板上に実装された部品実装基板がある。
例えば、所謂、OE−IC(光電気変換集積回路)として光受光装置に搭載される部品実装基板である。この部品実装基板では、高速で動作するフォトダイオードを組み込んだ集積回路が前記半導体ベアチップとしてプリント配線基板に実装され、その同一基板上に、前記チップ部品としてのコンデンサが実装される。
この場合に、チップ部品としてのコンデンサは、電気回路的には、集積回路の電源とグランドと間に接続されて、集積回路への給電動作を安定させる役割を果たす。
【0003】
近年、OE−ICとして使用される部品実装基板の場合、OE−ICの高速化や、高密度実装による装置のコンパクト化のために、プリント配線基板上のチップ部品は、半導体ベアチップに近接した位置に実装されるようになってきている。
図1は、このようなOE−ICとして使用される部品実装基板の従来例を示したものである。
この部品実装基板7は、一つのプリント配線基板6上に、光電気変換集積回路を構成するための半導体ベアチップ3と、半導体ベアチップ3への給電動作を安定させるためのチップ部品4とを実装したものである。
プリント配線基板6の表面には、半導体ベアチップ3やチップ部品4を接続するための配線パターン2が形成されている。
【0004】
通常、OE−IC用の部品実装基板7は、ハンダ付けにて他の基板に実装されるが、他の基板へのハンダ付けの際に、かなりの加熱を受ける。半導体ベアチップ3やチップ部品4をハンダ付けでプリント配線基板6の配線パターン2に接続していると、基板相互のハンダ付けの際の加熱で、半導体ベアチップ3やチップ部品4の接着に使用されているハンダが溶けて、接続不良や剥離等の問題が発生する虞がある。
そこで、このような問題の発生を回避するために、半導体ベアチップ3及びチップ部品4は、ハンダよりも耐熱性の高い導電性接着剤によって、前記配線パターン2に接続している。
【0005】
また、半導体ベアチップ3の表面にはボンディングパッド5が形成され、ボンディングパッド5と配線パターン2とはボンディングワイヤー1で接続されている。ボンディングワイヤー1の材料は金線であり、ボンディングパッド5及び配線パターン2とは熱圧着にてボンディングされる。
【0006】
プリント配線基板6上の配線パターン2は、通常、銅箔によって形成されるが、銅箔のままでは、ボンディングワイヤー1の熱圧着で充分な接続強度を得ることが難しい。
そこで、配線パターン2は、ボンディングワイヤー1との熱圧着性を向上させるために、予め、銅箔の表面に金メッキを施す表面処理が実施される(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平6−77615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、ボンディングワイヤー1の接続強度を高めるために金メッキ処理した配線パターン2の表面は、ツルツルの光沢面となり、導電性接着剤による接着強度がきわめて悪くなってしまう。
特に、チップ部品4を配線パターン2に接着する際の接着強度が得られないため、チップ部品4と配線パターン2との間の電気的接続が不良となったり、最悪の場合、チップ部品4の剥離という重大な欠陥が発生してしまう虞があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題としては、半導体ベアチップとプリント配線基板上の配線パターンとの間のボンディングによる接続に安定した接続強度を得ることができ、しかも、導電性接着剤によるチップ部品と配線パターンとの間の接着にも十分な接着強度を確保して、半導体ベアチップ及びチップ部品の双方に対して、優れた機械的・電気的接続特性を確保することのできる部品実装基板を提供すること、また、この部品実装基板をOE−ICとして使用することで動作信頼性を高めた光受光装置や光記録装置、光再生装置を提供することがそれぞれ一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の部品実装基板は、半導体ベアチップとチップ部品とが同一のプリント配線基板上に実装される部品実装基板であって、前記プリント配線基板は、前記半導体ベアチップやチップ部品を接続する配線パターンが銅箔に金メッキを施した構造に形成されると共に、前記配線パターンの前記チップ部品が装着される部位には、当該配線パターンを貫通して基板の表面を露出させた基板露出孔が形成され、前記半導体ベアチップは、ボンディングワイヤーにより前記配線パターンに接続され、前記チップ部品は、前記基板露出孔に充填されるように塗布された導電性接着剤によって前記配線パターンに接続されたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る部品実装基板の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は本発明に係る部品実装基板の一実施の形態の平面図、図3は図2に示した部品実装基板におけるチップ部品の接続構造の説明図で、図3(a)は図2のA部拡大図、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図である。
なお、図2及び図3に示した一実施の形態において、既に図1において説明した部材と同一の構成については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0012】
図2に示した一実施の形態の部品実装基板21は、OE−IC(光電気変換集積回路)として光受光装置に搭載される基板である。
この一実施の形態の部品実装基板21は、一つのプリント配線基板16上に、光電気変換集積回路を構成するための半導体ベアチップ3と、半導体ベアチップ3への給電動作を安定させるためのチップ部品4とを実装したものである。
プリント配線基板16の表面には、半導体ベアチップ3やチップ部品4を接続するための配線パターン2が形成されている。
【0013】
半導体ベアチップ3及びチップ部品4は、ハンダよりも耐熱性の高い導電性接着剤によって、前記配線パターン2に接続している。
【0014】
また、半導体ベアチップ3の表面にはボンディングパッド5が形成され、ボンディングパッド5と配線パターン2とはボンディングワイヤー1で接続されている。ボンディングワイヤー1の材料は金線であり、ボンディングパッド5及び配線パターン2とは熱圧着にてボンディングされる。
【0015】
配線パターン2は、ボンディングワイヤー1の熱圧着性を向上させるために、銅箔の表面に金メッキを施した構成とされている。また、本実施の形態の場合、配線パターン2の前記チップ部品4が装着される部位には、当該配線パターン2を貫通してプリント配線基板16の表面を露出させた基板露出孔8が形成されている。この基板露出孔8は、平面視の形状が円形の孔である。
【0016】
そして、チップ部品4は、前記基板露出孔8に充填されるように塗布された導電性接着剤9によって前記配線パターン2に接続されている。
塗布された導電性接着剤9は、基板露出孔8を通ってプリント配線基板16の表面まで達している。OE−ICに適したプリント配線基板16の材料として、高耐熱樹脂が用いられ、その表面は、ある程度平滑処理されているが繊維の目などにより凹凸が存在する表面(粗面)状態になっている。そのため、金メッキによってツルツルの光沢面となった配線パターン2にそのままチップ部品4を導電性接着剤9によって接着する場合に比べて、プリント配線基板16の凹凸部によって大幅に接着強度が向上する。
【0017】
なお、配線パターンは、無電解メッキ法又は電解メッキ法などを用いてその表面が金メッキされる。
【0018】
以上に説明した部品実装基板21では、半導体ベアチップ3上のボンディングパッド5は、金線によるボンディングワイヤー1によってプリント配線基板16上の配線パターン2に電気的接続されるが、配線パターン2の表面が金メッキ処理されていて、配線パターン2とボンディングワイヤー1との熱圧着性が良いため、半導体ベアチップ3とプリント配線基板16の配線パターン2との間のボンディングによる接続に安定した接続強度を得ることができる。
その一方、チップ部品4を配線パターン2に接続する導電性接着剤9は、配線パターン2に貫通形成された基板露出孔8によって、基板露出孔8内及びプリント配線基板16の表面(粗面)とも接着を果たしていて、接着面積の増大による機械的な接着強度の向上が、金メッキ処理によって光沢面化された配線パターン2との間の接着強度の低下を補い、チップ部品4と配線パターン2との間の安定した電気的・機械的接続を実現する。
従って、半導体ベアチップ3及びチップ部品4の双方に対して、優れた機械的・電気的接続特性を確保することができる。
【0019】
なお、上記実施の形態では、導電性接着剤9を充填する基板露出孔8の横断面形状は、上記実施の形態に限らない。例えば、上記実施の形態では、基板露出孔8の横断面形状は円形であったが、例えば、角型や台形型、星型などの孔にすれば、更に接着面積が増大し、また、角部にくさびのようにかかるアンカー効果により、より一層の接着強度が得られる。
【0020】
図4は、プリント配線基板上に半導体ベアチップとチップ部品とが実装されたOE−IC(光電気変換集積回路)として上記部品実装基板21を使用した光受光装置の斜視図である。
図4に示すように、光受光装置31は、部品実装基板21の表面を、透明樹脂10でモールドしている。また、当該光受光装置31を他の基板に実装するために、プリント配線基板16の外周部には、実装用の接続端子11が延設されている。
【0021】
また、光受光装置31は、部品実装基板21上での半導体ベアチップ3及びチップ部品4の電気的接続特性が安定しているため、例えば、チップ部品4等の電気的接続部における剥離や接続不良に起因した故障を防止して、動作信頼性を向上させることができる。
【0022】
さらに、光受光装置31は、光記録装置又は光再生装置に使用するのに好都合である。一般に、光記録装置や光再生装置の光ピックアップ部は振動や温度変化にさらされるため、部品の接続強度の向上や電気的接続の信頼性が特に要求される。光受光装置31はチップ部品4の接着強度が向上しているため、光ピックアップ部に用いても、振動や温度変化によって接触不良などを起こしにくく、高性能な光記録装置,光再生装置を構成することができる。
【0023】
なお、本発明において、プリント配線基板上に実装されるチップ部品は、上記実施の形態に示したチップコンデンサに限らない。例えば、チップ部品として、チップ抵抗、チップインダクタ、チップ振動子などが搭載される場合も考えられる。
【0024】
以上、詳述したように、本発明の実施の形態に係る部品実装基板21は、半導体ベアチップ3とチップ部品4とが同一のプリント配線基板上に実装され、半導体ベアチップ3やチップ部品4を接続する配線パターン2が銅箔に金メッキを施した構造に形成されると共に、配線パターン2のチップ部品4が装着される部位には、当該配線パターン2を貫通して基板の表面を露出させた基板露出孔8が形成され、半導体ベアチップ3は、ボンディングワイヤー1により配線パターン2に接続され、チップ部品4は、基板露出孔8に充填されるように塗布された導電性接着剤9によって配線パターン2に接続される。
これにより、半導体ベアチップ3上のボンディングパッド5は、金線によるボンディングワイヤー1によってプリント配線基板16上の配線パターン2に電気的接続されるが、配線パターン2の表面が金メッキ処理されていて、配線パターン2とボンディングワイヤー1との熱圧着性が良いため、半導体ベアチップ3とプリント配線基板16の配線パターン2との間のボンディングによる接続に安定した接続強度を得ることができる。
その一方、チップ部品4を配線パターン2に接続する導電性接着剤9は、配線パターン2に貫通形成された基板露出孔8によって、基板露出孔8内及びプリント配線基板16の表面(粗面)とも接着を果たしていて、接着面積の増大による機械的な接着強度の向上が、金メッキ処理によって光沢面化された配線パターン2との間の接着強度の低下を補い、チップ部品4と配線パターン2との間の安定した電気的・機械的接続を実現する。
従って、半導体ベアチップ3及びチップ部品4の双方に対して、優れた機械的・電気的接続特性を確保することができる。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係る光受光装置31は、光受光素子を含む半導体ベアチップ3とチップ部品4とがプリント配線基板16上に実装された部品実装基板として上記部品実装基板21を備えたことにより、部品実装基板21上での半導体ベアチップ3及びチップ部品4の電気的接続特性が安定しているため、例えば、チップ部品等の電気的接続部における剥離や接続不良に起因した故障を防止して、動作信頼性を向上させることができる。
さらに、本発明の実施の形態に係る光受光装置31を使用した光記録装置や光再生装置では、搭載する光受光装置31の動作信頼性が高いため、安定した動作性能を長期に渡って維持する耐久性の向上等が図り易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の部品実装基板の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る部品実装基板の一実施の形態の平面図である。
【図3】図2に示した部品実装基板におけるチップ部品の接続構造の説明図で、(a)は図2のA部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】図2に示した部品実装基板を使用した光受光装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ボンディングワイヤー
2 配線パターン
3 半導体ベアチップ
4 チップ部品
5 ボンディングパッド
8 基板露出孔
9 導電性接着剤
11 接続端子
16 プリント配線基板
21 部品実装基板
31 光受光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ベアチップとチップ部品とが同一のプリント配線基板上に実装される部品実装基板であって、
前記プリント配線基板は、前記半導体ベアチップやチップ部品を接続する配線パターンが銅箔に金メッキを施した構造に形成されると共に、前記配線パターンの前記チップ部品が装着される部位には、当該配線パターンを貫通して基板の表面を露出させた基板露出孔が形成され、
前記半導体ベアチップは、ボンディングワイヤーにより前記配線パターンに接続され、
前記チップ部品は、前記基板露出孔に充填されるように塗布された導電性接着剤によって前記配線パターンに接続されたことを特徴とする部品実装基板。
【請求項2】
光受光素子を含む半導体ベアチップとチップ部品とがプリント配線基板上に実装された部品実装基板として請求項1に記載の部品実装基板を備えたことを特徴とする光受光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光受光装置を使用したことを特徴とする光記録装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光受光装置を使用したことを特徴とする光再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−93360(P2006−93360A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276173(P2004−276173)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(503213291)パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社 (25)