部品選択装置,方法及びプログラム
【課題】 部品選択装置において,標準部品から,設計対象の接続関係に最適な部品を抽出,及び抽出した部品の合致評価に関する情報を出力することを目的とする。
【解決手段】 部品選択装置1は,部品毎に端子間の内部接続関係を示す部品内部情報から分岐部品テーブル21を生成する分岐部品テーブル作成部11,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報から回路テーブル23を生成する回路テーブル作成部15と,部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,部品内部情報の内部接続情報が配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部17と,適合判定処理による合致評価情報6を出力する結果出力部19とを備える。
【解決手段】 部品選択装置1は,部品毎に端子間の内部接続関係を示す部品内部情報から分岐部品テーブル21を生成する分岐部品テーブル作成部11,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報から回路テーブル23を生成する回路テーブル作成部15と,部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,部品内部情報の内部接続情報が配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部17と,適合判定処理による合致評価情報6を出力する結果出力部19とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,製品設計において使用する部品を選択する技術に関する。より詳しくは,本発明は,配線設計に適用する分岐部品の選択をするための技術に関する。
【0002】
分岐部品とは,ワイヤ(線部品)を分岐する部品である。
【背景技術】
【0003】
製品設計において,部品を接続するワイヤを分岐するために,分岐部品が使用される。製品に搭載されるワイヤ数や長さ等のワイヤの規模に応じて必要な分岐部品は異なる。しかし,設計の都度分岐部品を開発すると非効率であるため,複数の端子が内部で異なるパターンで分岐する分岐部品を予め標準部品として開発しておき,対象製品に最適とされる分岐部品を選択して用いることが一般的である。
【0004】
例えば,車両のワイヤハーネス設計では,分岐部品として,ワイヤ同士を結合,分岐,中継するための端子及び保護箱であるジャンクションボックスが使用される。設計者は,予め開発された標準部品である複数のジャンクションボックスの中から,自らの経験に基づいて最適とするジャンクションボックスを選択していた。
【0005】
従来,電子回路設計において,部品,端子及び端子間の接続を含む回路情報をもとに,検出対象となる部品,端子及び接続を含むブロック情報を登録しておき,対象となる論理回路情報からブロック情報に該当する部品,接続等を含む回路ブロックを検出する技術が知られている。
【0006】
また,入力された部品の使用条件に基づいて製造者により選定された最適部品を選択し,選択した最適部品による設計に必要なその最適部品に対応する技術情報を表示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−234297号公報
【特許文献2】特開2002−092043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のワイヤハーネス設計では,設計者は,予め開発された複数の標準部品である分岐部品の中から,自らの経験に基づいて最適とする分岐部品を選択していた。上述した車両のワイヤハーネス設計の例では,設計者は,設計対象の車種を過去に設計された車種と比較して類似する車種で採用されたジャンクションボックスを選択したり,設計対象の車種での改良によって増加するワイヤ分を予測して端子や分岐に余裕のあるジャンクションボックスを選択したりしていた。
【0009】
しかし,過去の類似車種で使用されているジャンクションボックスが,設計対象の車種についても最適であるとは限らない。選択されたジャンクションボックスが備える分岐では対応できずに,ジャンクションボックス外での分岐加工(スプライス)が必要となる場合,改良に対応して選択したジャンクションボックスの余裕が過分であるために高コストとなる場合などの問題が生じることがある。
【0010】
特に,製品に搭載されるワイヤ数が数百〜数千となるような設計規模の場合には,ワイヤの接続関係から分岐の状態を判断して,標準部品から最適なジャンクションボックスを選択することは,さらに困難になる。また,設計規模が大きくなるにつれて,端子数や分岐数が増加して分岐パターンが複雑かつ多様化するため,最適なジャンクションボックスが標準部品に存在する確率が低くなり,合致しない部品からできる限り低コストとなる部品を選択する必要がある。
【0011】
また,標準部品から最適なジャンクションボックスが選択できない場合には,ジャンクションボックスを新たに設計・作成するか,標準部品のジャンクションボックスに手作業で分岐を設けることが必要となり,開発コスト,作業コストなどのコストがかかる要因となる。特に,分岐設定の手作業は,分岐数の増加によりコスト高騰を招くことになる。
【0012】
かかる問題は,自動車のワイヤハーネス設計だけでなく,部品間を接続する信号線等のワイヤを分岐する分岐部品を使用する製品設計についても同様である。
【0013】
本発明は,内部の接続関係が異なる部品から,設計対象の製品における部品間の接続関係に最適な部品を抽出し,又は抽出した部品の合致評価に関する情報を出力して,配線設計の支援を行うことを目的とする。
【0014】
なお,本発明の上述の目的,他の目的,特徴及び利点は,以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様として開示される部品選択装置は,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部と,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付ける配線情報取得部と,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部とを備える。
【0016】
また,本発明の一態様として開示される部品選択方法は,コンピュータが,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出するものである。
【0017】
また,本発明の一態様として開示される部品選択プログラムは,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する,処理をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
上述の部品選択装置によれば,複数の部品から,設計対象の配線情報に示される接続情報に最適な部品を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】部品選択装置の第1の実施例におけるブロック構成例を示す図である。
【図2】第1の実施例における部品内部回路データの例を示す図である。
【図3】第1の実施例における分岐部品テーブルの例を示す図である。
【図4】第1の実施例におけるコストテーブルの例を示す図である。
【図5】第1の実施例における設計対象の論理回路データ及び回路テーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施例における比較テーブルの例を示す図である。
【図7】分岐部品JB1に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図8】分岐部品JB1の合致評価情報の例を示す図である。
【図9】分岐部品JB2に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図10】分岐部品JB2の合致評価情報の例を示す図である。
【図11】分岐部品JB3に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図12】分岐部品JB3の合致評価情報の例を示す図である。
【図13】結果出力部19の出力例を示す図である。
【図14】第2の実施例における設計対象の論理回路の例を示す図である。
【図15】第2の実施例における論理回路データの例及び回路データの例を示す図である。
【図16】第2の実施例における部品内部回路データの例を示す図である。
【図17】第2の実施例における分岐部品JB4の分岐部品テーブルの例を示す図である。
【図18】第2の実施例における比較テーブルの例を示す図である。
【図19】第3の実施例における設計対象の車両に搭載される部品の搭載位置を模式的に示す図である。
【図20】第3の実施例における設計対象となる車両の論理回路データの例を示す図である。
【図21】第3の実施例における論理回路データの例を示す図である。
【図22】第3の実施例における回路テーブルの例を示す図である。
【図23】実施例における適合判定部による処理の処理フロー例を示す図である。
【図24】実施例における適合判定部による処理の処理フロー例を示す図である。
【図25】実施例における部品選択装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図26】車両におけるワイヤハーネスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本願発明の一態様として開示する部品選択装置について説明する。
【0021】
以下の実施例において,開示する部品選択装置が,自動車のワイヤハーネス設計において,ワイヤを結合,分岐,中継するジャンクションボックスと呼ばれる分岐部品を選択する場合の処理を説明する。
【0022】
なお,以下の説明に用いる図面において,ジャンクションボックスは,JBと表す場合がある。
【0023】
図26は,車両におけるワイヤハーネスの例を示す図である。
【0024】
ワイヤハーネスとは,電源供給や信号通信に用いられる複数の電線(ワイヤ)を束にして集合部品としたものである。
【0025】
車両を一例とすると,車両は,様々な電子制御装置(ECU:electronic cntrol unit),例えばシャシECU,メータECU等を備え,各ECUは,必要に応じた信号通信を行って他のECU等と連動した制御を実現する。自動車のワイヤハーネスは,図26に示すように,ECU間を接続するワイヤ(信号線)の束,ECUとワイヤとを接続するコネクタ,ワイヤを結合,分岐,中継する1つの分岐部品(ジャンクションボックス)を含み,1つの集合部品として設計される。したがって,車両のワイヤハーネス設計において,複数用意された標準となる分岐部品から,ECU間の接続関係を満たす分岐を実現できる内部接続関係を有する分岐部品を抽出する必要がある。
【0026】
〔第1の実施例〕
図1は,部品選択装置の第1の実施例におけるブロック構成例を示す図である。
【0027】
部品選択装置1は,制御部10及び記憶部20を備える。
【0028】
制御部10は,分岐部品テーブル作成部11,コスト情報取得部13,回路テーブル作成部15,適合判定部17,及び結果出力部19を備える。
【0029】
分岐部品テーブル作成部11は,標準部品として管理されている分岐部品毎に,その分岐部品内部の端子間の内部接続関係を示す部品内部回路データ3から,端子数毎の接続グループ数を示す分岐部品テーブル21を作成し,記憶部20に格納する。
【0030】
分岐部品テーブル作成部11は,部品内部回路データ3を,例えば標準部品データベース,CADシステム等から取得する。
【0031】
図2は,部品内部回路データ3の例を示す図である。
【0032】
図2の左側は,分岐部品JB1,JB2,JB3の端子間の内部接続関係を示す図であり,図2の右側は,その分岐部品の内部接続関係を示す部品内部回路データ3の例を示す図である。
【0033】
分岐部品JB1,JB2,JB3は,それぞれ,t1〜t6,t1〜t7,t1〜t8の端子を有する。分岐部品内で分岐を介して相互に接続する端子群を1つの接続グループとする。
【0034】
部品内部回路データ3は,分岐部品の各端子番号(t)に対して,属する接続グループ番号(g)を対応付けている。例えば,分岐部品JB1の部品内部回路データ3−1は,端子t1,t2,t4が接続グループg1に,端子t3,t5,t6が接続グループg2に,それぞれ属することを示している。同様に,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−2は,端子t1,t2,t4が接続グループg1に,端子t3,t5,t6,t7が接続グループg2に属することを,分岐部品JB3の部品内部回路データ3−3は,端子t1,t2,t4,t5が接続グループg1に,端子t3,t6,t7,t8が接続グループg2に属することを示している。
【0035】
図3は,分岐部品テーブル21の例を示す図である。
【0036】
分岐部品テーブル21では,接続グループに含まれる端子数毎に,該当する接続グループ数が設定される。分岐部品テーブル21の初期状態は,「端子数」の列に2〜N(整数)を設定し,各行の「接続グループ数」を“0”とする。
【0037】
分岐部品テーブル作成部11は,各分岐部品の部品内部回路データ3毎に,接続グループ番号で検索して端子数を抽出し,抽出した端子数に一致する分岐部品テーブル21の端子数に対応する接続グループ数に1を加算する。例えば,分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−2を接続グループ番号=1で検索して3つの端子を抽出すると,部品内部回路データ3−2に対応する分岐部品テーブル21−2の端子数=3の「接続グループ数」の初期値“0”を“1”にする。さらに,分岐部品テーブル作成部11は,部品内部回路データ3−2を接続グループ番号=2で検索して4つの端子を抽出すると,分岐部品テーブル21−2の端子数=4に対応する「接続グループ数」の“0”を“1”にする。図3に示す分岐部品テーブル21−2は,端子数=3である接続グループ数が“1”,端子数=4である接続グループ数が“1”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを示す。また,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−1から作成された分岐部品テーブル21−1では,端子数=3である接続グループ数が“2”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを,分岐部品JB3の部品内部回路データ3−3から作成された分岐部品テーブル21−3では,端子数=4である接続グループ数が“2”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを示す。
【0038】
分岐部品テーブル作成部11は,標準部品として管理される全分岐部品についての分岐部品テーブル21を作成する。
【0039】
コスト情報取得部13は,入力装置,通信装置等を介して,標準部品として管理されている分岐部品毎の種々のコストに関するコストデータ4を受け付け,分岐部品毎に1又は複数のコストを設定したコストテーブル22を作成し,記憶部20に格納する。コストデータ4が含むコストは,例えば,分岐部品の製造費,重量,サイズなどの情報である。
【0040】
図4は,コストテーブル22の例を示す図である。図4に示すコストテーブル22は,コストとして,分岐部品毎の製造費(円)が記録されている。
【0041】
回路テーブル作成部15は,設計対象の車両の論理回路情報を示す論理回路データ5を受け付ける。論理回路データ5は,少なくとも設計対象の車両に搭載される部品間の接続情報を示す配線情報を含む。
【0042】
回路テーブル作成部15は,受け付けた論理回路データ5から,車両に搭載される部品間の接続関係から,接続する部品の端子群をグループ分けし,端子数毎の接続グループ数を示す回路テーブル23を作成し,記憶部20に格納する。
【0043】
図5は,設計対象の論理回路データ及び回路テーブルの例を示す図である。
【0044】
図5(A)は,設計対象の車両の論理回路情報に含まれる部品間の接続関係の例を示す図である。
【0045】
図5(A)に示す例は,設計対象の車両には,5つの部品PartA,B,C,D,Eが搭載されること,及び,部品PartAの端子t1,部品PartBの端子t1の端子群,部品PartAの端子t2,t3,部品PartBの端子t2との端子群,部品PartAの端子t4,部品PartC,D,Eの各端子t1との端子群が,それぞれ接続グループをなすことを示す。
【0046】
図5(B)は,その論理回路情報に含まれる接続関係を示す論理回路データ5の例を示す図である。
【0047】
図5(B)の論理回路データ5は,部品名,部品が備える端子の端子番号(t),端子が属する接続グループ番号(g)のデータ項目を有し,各端子が属する接続グループ番号が設定されている。
【0048】
図5(C)は,図5(B)に示す論理回路データ5から生成される回路テーブル23の例である。
【0049】
回路テーブル23は,接続グループに含まれる端子数毎に,該当する端子数を持つ接続グループの数が記録される。回路テーブル23の初期状態は,「端子数」列に3〜N(整数)を設定し,接続グループ数を“0”とする。回路テーブル23は,分岐を含まない接続関係,すなわち端子数が2である接続グループ数は記録されない。
【0050】
回路テーブル作成部15は,論理回路データ5で,接続グループ番号で検索して端子数を抽出し,抽出した端子数が3以上であれば,抽出した端子数に一致する回路テーブル23の端子数に対応する接続グループ数に加算する。
【0051】
適合判定部17は,設計対象の車両の接続関係を,標準部品として管理されている分岐部品の内部接続関係と比較し,設計対象の接続関係に適合する分岐部品を抽出する。さらに,適合判定部17は,抽出した分岐部品の合致評価に関する合致評価情報6を生成する。
【0052】
そのため,適合判定部17は,差分作成部171,余剰回路処理部172,不足回路処理部173を備える。
【0053】
差分作成部171は,各分岐部品の分岐部品テーブル21と回路テーブル23とを比較し,回路テーブル23が示す設計対象の車両の部品の接続関係と,分岐部品テーブル21が示す各分岐部品の内部接続関係との差分を示す比較テーブル24を分岐部品毎に生成する。
【0054】
図6は,比較テーブル24の例を示す図である。
【0055】
比較テーブル24は,端子数,接続グループ数,グループ数差,空き端子数,不足分岐数の各データ項目備える。
【0056】
「接続グループ数」は,分岐部品テーブル21の端子数毎の接続グループ数を示す。「グループ数差」は,設計対象の接続関係を示す回路テーブル23の端子数毎の接続グループ数と分岐部品テーブル21の接続グループ数との差分(過不足)を示す。「グループ数差」の値“0”は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数と同数(一致)であることを示す。「グループ数差」の“正”の値は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数より多い(余剰である)ことを,“負”の値は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数より少ない(不足である)ことを示す。
【0057】
「空き端子数」は,余剰している接続グループによって生じている使用されない(未接続の)端子数を示す。「不足分岐数」は,不足している接続グループ数によって生じている,接続に必要な端子数を示す。
【0058】
さらに,差分作成部171は,比較テーブル24の各行の「グループ数差」が“0”であるかを調べ,全ての行の「グループ数差」が“0”である場合に,その分岐部品テーブル21に対応する分岐部品を抽出する。比較テーブル24の全行の「グループ数差」が“0”であれば,分岐部品テーブル21が示す分岐部品の内部接続関係と,回路テーブル23が示す設計対象の接続関係とが完全に一致するからである。
【0059】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24の各行の「グループ数差」が“0”でない場合に,不足する接続グループを,余乗の接続グループで補充できるかを調べ,補充できる場合に分岐部品テーブル21に対応する分岐部品JBを抽出する。
【0060】
不足回路処理部173は,不足する接続グループを,余乗の接続グループで補充できない場合に,不足する接続グループを,余剰の接続グループで補充した場合にさらに残る不足分が最少である分岐部品テーブル21に対応する分岐部品JBを抽出する。
【0061】
結果出力部19は,適合判定部17で抽出された分岐部品及びその合致評価情報6を表示装置,印刷装置等に出力する。
【0062】
以上説明した部品選択装置1のブロック構成は,以下に説明する他の実施例においても同様である。
【0063】
次に,第1の実施例における適合判定部17の処理を,より具体的に説明する。
【0064】
図7は,分岐部品JB1に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0065】
第1の実施例において,標準部品として分岐部品JB1,JB2,JB3が用意されているとする。また,分岐部品テーブル作成部11及び回路テーブル作成部15によって,分岐部品JB1,JB2,JB3に対応する分岐部品テーブル21−1,21−2,21−3,及び,設計対象の車両の回路テーブル23がそれぞれ生成され,記憶部20に格納されているとする。
【0066】
図7(A)は,設計対象の接続関係を示す回路テーブル23と,分岐部品JB1の分岐部品テーブル21−1との例を示す図である。
【0067】
差分作成部171は,図7(A)の分岐部品テーブル21−1の各端子数の「接続グループ数」を比較テーブル24−1の「接続グループ数」に記録し,分岐部品テーブル21−1と回路テーブル23との端子数毎の「接続グループ数」の差を求め,比較テーブル24−1の「グループ数差」に記録する。
【0068】
図7(B)は,「接続グループ数」と「グループ数差」を記録した比較テーブル24−1の例を示す図である。
【0069】
図7(B)の比較テーブル24−1では,分岐部品テーブル21−1の端子数=3の接続グループ数が“2”,回路テーブル23の端子数=3の接続グループ数が“1”であって,差分作成部171は,「グループ数差」に,その差“1(余剰)”を記録する。端子数=4の接続グループ数についても同様に,差分作成部171は,「グループ数差」にその差“−1(不足)”を記録する。
【0070】
次に,差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。「グループ数差」の値が全て“0”である場合には,余剰回路処理及び不足回路処理は不要となり,分岐部品JBの内部接続関係と設計対象の接続関係が完全に合致するので,設計対象に適合する分岐部品JBとして抽出される。
【0071】
しかし,図7(B)に示す比較テーブル24−1では「グループ数差」の値が全て“0”ではないので,さらに余剰回路処理又は不足回路処理が実行される。
【0072】
余剰回路処理では,設計対象の接続関係に対して不足となっている接続グループを,その分岐より端子数が多い余剰の接続グループを用いて補充可能であるかを調べる。余剰回路処理により,設計対象の接続関係に対して分岐部品での4端子の分岐が空いており3端子の分岐が不足している場合に,3端子の分岐の代わりに4端子の分岐が活用可能と判定して,分岐部品の適合性を評価することができる。よって,分岐部品外部で分岐追加を生じない分岐部品,その合致評価情報を設計者に提示して,配線設計における分岐部品の決定を支援することができる。
【0073】
不足回路処理では,設計対象の接続関係に対して不足となっている接続グループを,その分岐より端子数が少ない接続グループを用いて補充した場合の分岐の状態を判定する。不足回路処理により,設計対象の接続関係に対して分岐部品での3端子の分岐が空いているが4端子の分岐が不足している場合に,4端子の分岐の補充に3端子の分岐を活用可能かつ追加端子数を判定して,分岐部品の適合を評価することができる。よって,分岐部品外部での分岐追加数が少ない分岐部品,その合致評価情報を設計者に提示して,配線設計における分岐部品の決定を支援することができる。
【0074】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24−1の各行の「空き端子数」に,端子数とグループ数差との積を計算し,積が正であれば「空き端子数」に,積が負であれば「不足分岐数」に記録する。例えば,図7(C)の比較テーブル24−1に示すように,余剰回路処理部172は,比較テーブル24−1の端子数=3の行の「グループ数差」が“1(余剰)”であるので,「空き端子数」に“3(3×1)”を記録し,端子数=4の行の「グループ数差」が“−1(不足)”であるので,「不足分岐数」に“−4(4×−1)”を記録する。よって,図7(C)の比較テーブル24−1は,設計対象の接続関係に分岐部品JB1の内部接続関係を適用した場合には,3端子の分岐が1つ余り,4端子の分岐が1つ不足することを示している。
【0075】
余剰回路処理部172は,図7(C)に示す比較テーブル24−1の「端子数」が多い行(例えば,端子数の最大値−1)から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,余剰回路処理部172は,検索行から端子数の昇順に(検索行から下方向へ)各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”の行)を検出して該当行に設定する。検索行より端子数が多い行を対象に端子数の昇順に該当行を求めるのは,設計対象の接続関係に対して不足する分岐(接続グループ)の代用に,より端子数が近い分岐(接続グループ)を用いて,代用される分岐での端子数の無駄を排除するためである。
【0076】
図7(C)の比較テーブル24−1では,検索行(端子数=4)以降で該当行(端子数=5以上の行)を検出できないので,余剰回路処理部172は,余剰回路処理を終了し,不足回路処理へ処理を渡す。
【0077】
不足回路処理部173は,図7(D)に示す比較テーブル24−1の「端子数」が少ない行(例えば,最大値=2)から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,不足回路処理部173は,検索行から端子数の昇順に(検索行から上方向へ)各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”である行)を検出して該当行とする。検索行より端子数が少ない行を対象に端子数の降順に該当行を求めるのは,設計対象の接続関係に対して不足する分岐(接続グループ)の補充に,より端子数が近い分岐(接続グループ)を用いて,補充できない端子数を少なくするためである。
【0078】
不足回路処理部173は,検索行の「不足分岐数(−4)」を該当行の「空き端子数(3)」で補充し,補充後に残った不足端子数(−1)を該当行の「不足分岐数」に記録し,補充された検索行の「不足分岐数」を“0”とする。
【0079】
図7(E)は,不足回路処理部173の処理の結果例を示す比較テーブル24−1の例である。図7(E)の比較テーブル24−1は,分岐部品JB1の場合には,2つの3端子の分岐が使用されるが,1端子分が不足していることを示している。
【0080】
適合判定部17は,余剰回路処理及び不足回路処理の後,分岐部品JB1について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0081】
合致評価情報6は,例えば,想定コスト,余剰容量,不足数を含む。
【0082】
想定コストは,コストテーブル22に基づく分岐部品JBのコストと分岐追加コスト等の合計値である。分岐追加コストは,スプライスコストと不足分岐数から計算される。スプライスコストは,分岐を1つ追加するためのコストであり,例えば“@100円”等の値が,予め適合判定部17に保持される。
【0083】
余剰容量は,分岐部品JBの内部接続関係で設計対象の接続関係に対して余剰となる端子数を示し,比較テーブル24の「空き端子数」の合計である。不足数は,分岐部品の内部接続関係で設計対象の接続関係に対して不足する端子数を示し,比較テーブル24の「不足分岐数」の合計である。
【0084】
図8は,分岐部品JB1の合致評価情報の例を示す図である。
【0085】
適合判定部17は,分岐部品JB1の処理結果から,「想定コスト=JB1コスト(2,000)+分岐追加コスト(@100×1);余剰容量=0;不足数=1」の合致評価情報を生成する。
【0086】
なお,合致評価情報6には,記憶部20のコストテーブル22に記録されている種々のコスト情報を含めることができる。
【0087】
図9は,分岐部品JB2に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0088】
図9(A)は,分岐部品JB2の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23との例を示す図である。
【0089】
差分作成部171は,上述の図7(A)について説明した処理と同様にして,図9(A)の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23から分岐部品JB2の比較テーブル24−2を生成し,端子数毎に接続グループ数の差を計算し「グループ数差」に記録する。
【0090】
次に,差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。
【0091】
図9(B)に示す比較テーブル24−2の例は,図9(A)の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23から生成されている。図9(B)に示す比較テーブル24−2では,全ての端子数に対する「グループ数差」の値が“0”となる。
【0092】
差分作成部171は,「グループ数差」の値が全て“0”であるので,分岐部品JB2を抽出する。よって,分岐部品JB2に対する余剰回路処理と不足回路処理は実行されない。
【0093】
適合判定部17は,抽出された分岐部品JB2について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0094】
図10は,分岐部品JB2の合致評価情報の例を示す図である。
【0095】
分岐部品JB2の合致評価情報6は,「想定コスト=JB2コスト(2,500);余剰容量=0;不足数=0」となる。
【0096】
図11は,分岐部品JB3に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0097】
図11(A)は,分岐部品JB3の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23との例を示す図である。
【0098】
上述で図7(A)について説明した処理と同様にして,差分作成部171は,図11(A)の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23から,分岐部品JB3に対する比較テーブル24−3を生成し,端子数毎の接続グループ数の差を求めて「グループ数差」に記録する。
【0099】
図11(B)は,図11(A)の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23から生成された比較テーブル24−3の例を示す図である。分岐部品テーブル21−3では,端子数=3の接続グループ数の差は“−1(不足)”,端子数=4の接続グループ数の差は“1(余剰)”となる。
【0100】
差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。比較テーブル24−3では,「グループ数差」の値が全て“0”ではないので,余剰回路処理,不足回路処理が実行される。
【0101】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24−3の「端子数」と「グループ数差」とを乗算して,余剰又は不足となる端子数を計算する。
【0102】
図11(C)の比較テーブル24−3に示すように,余剰回路処理部172は,端子数=3については,積(−3)が負であるので「不足端子数」に値を記録し,端子数=4については,積(4)が正であるので「空き端子数」に記録する。
【0103】
次に,余剰回路処理部172は,図11(C)に示す比較テーブル24−3の「端子数」が多い行から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,余剰回路処理部172は,検索行から下方向へ,すなわち検索行の端子数から昇順に各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”の行)を検出して該当行に設定する。
【0104】
余剰回路処理部172は,検索行の「不足分岐数」を該当行の「空き端子数」で補充し,空き端子数(4)から補充された不足分岐数(3)を差し引いた数(1)を,該当行の「空き端子数(1)」に記録し,検索行の「不足分岐数」を“0”に記録する。
【0105】
図11(D)は,余剰回路処理部172の処理の結果例を示す比較テーブル24−3の例である。図11(D)の比較テーブル24−3は,分岐部品JB3の場合には,2つの4端子の分岐が使用され,分岐のうちの1端子分が余る(空く)ことを示している。
【0106】
その後,不足回路処理部173は,比較テーブル24−3の「グループ数差」から負の値を調べるが,全ての端子数で値が“0”であって負の値を検出しないので,比較テーブル24−3に対する不足回路処理を終了する。
【0107】
適合判定部17は,不足回路処理の終了後に,分岐部品JB3について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0108】
図12は,分岐部品JB3の合致評価情報の例を示す図である。
【0109】
分岐部品JB3の合致評価情報6は,「想定コスト=JB3コスト(3,000);余剰容量=1;不足数=0」となる。
【0110】
適合判定部17によって,記憶部20に記憶されている分岐部品テーブル21毎に適合判定処理が行われた後,又は,分岐部品テーブル21の全てについて適合判定処理が行われた後に,結果出力部19は,適合判定処理の結果情報として,各分岐部品の合致評価情報6を表示装置,印刷装置等に出力する。
【0111】
図13は,結果出力部19の出力例を示す図である。
【0112】
結果出力部19は,適合判定部17で抽出された1又は複数の分岐部品JBに対する合致評価情報6を出力する。図13に示す結果出力部19の出力例では,合致評価情報6の想定コストが良い順に,分岐部品JB2,JB1,JB3の順で,設計対象の接続関係に各分岐部品JBを用いた場合の配線例と合致評価情報6とを表示している。
【0113】
合致評価情報6(各分岐部品の配線とコスト情報)の出力によって,設計者は,設計対象の接続関係に適合する分岐部品JBの想定コストを知ることができる。
【0114】
〔第2の実施例〕
自動車のハーネス設計において,接続する端子の属性などが設計の制約条件として設定されることがある。例えば,端子のメッキの種類,ワイヤ径の大きさ等が設計上の制約条件となる。
【0115】
部品選択装置1は,設計上の制約条件に対応する分岐部品JBの情報を用いて,分岐部品JBの適合判定処理を行うことができる。
【0116】
第2の実施例では,部品選択装置1は,接続関係の適合判定として,端子の金メッキの有無が設定されている制約条件を含めた適合判定を行う。
【0117】
図14は,第2の実施例における設計対象の論理回路の例を示す図である。
【0118】
第2の実施例において設計対象となる車両の論理回路は,図5(A)に示す論理回路と同じ接続関係であるが,部品PartAの端子t2,t3,部品PartBの端子t2に金メッキの端子が施されているとする。また,設計上の制約条件として,部品の金メッキの端子と接続する分岐部品JBの端子は金メッキであるという条件が設定されているとする。
【0119】
部品選択装置1の回路テーブル作成部15は,金メッキの有無の情報を含む論理回路データ5’を取得して回路テーブル23’を生成する。
【0120】
図15は,論理回路データの例及び回路データの例を示す図である。
【0121】
図15(A)は,図14に示す設計対象の論理回路データ5’の例である。
【0122】
論理回路データ5’は,図5(B)に示す論理回路データ5のデータ構成に,さらに金メッキの有無を示す「金メッキ」を含む。「金メッキ」の値“無”は端子が金メッキでないことを示し,“有”は端子が金メッキであることを示す。
【0123】
回路テーブル作成部15は,論理回路データ5’から,端子数と端子の金メッキの有無をもとに接続関係をグループ分けし,そのグループ数(接続グループ数)を計算し,回路テーブル23’に記録する。
【0124】
図15(B)は,図15(A)の論理回路データ5’から生成される回路テーブル23’の例である。回路テーブル23’は,図5(C)の回路テーブル23のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0125】
分岐部品テーブル作成部11は,金メッキの有無の情報を含む部品内部回路データ3を取得し,分岐部品テーブル21を生成する。
【0126】
分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB4の内部接続関係を,端子数と端子の金メッキの有無でグループ分けし,その接続グループ数を計算する。
【0127】
図16は,部品内部回路データの例を示す図である。
【0128】
図16(A)は,分岐部品JB4の内部接続関係を示し,図16(B)は,分岐部品JB4の内部接続関係を示す部品内部回路データ3−4の例である。図16(B)の部品内部回路データ3−4は,分岐部品JB4は,金メッキではない端子t1,t2,t4が接続グループg1に,金メッキの端子t3,t5,t6が接続グループg2に,それぞれ属することを示している。
【0129】
図17は,分岐部品JB4の分岐部品テーブル21−4の例を示す図である。
【0130】
分岐部品テーブル21−4は,図3に示す分岐部品テーブル21のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0131】
なお,分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB1,JB2,JB3についても,分岐部品テーブル21−4と同様の「金メッキ」のデータ項目を持つ分岐部品テーブルを生成する。
【0132】
また,コスト情報取得部13は,分岐部品JB4のコスト情報を含むコストデータ4を取得して,コストテーブル22を生成している。
【0133】
差分作成部171は,分岐部品テーブル21−4と回路テーブル23とをもとに比較テーブル24−4を作成する。
【0134】
図18は,比較テーブル24−4の例を示す図である。
【0135】
比較テーブル24−4は,図6に示す比較テーブル24のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0136】
差分作成部171は,同じ端子数と金メッキの値(有/無)をもとに接続グループ数の差を計算し,「グループ数差」に記録する。
【0137】
適合判定部17における比較テーブル24−4が作成された後の処理,及び結果出力部19の処理は,第1の実施例で説明した処理とほぼ同様であるので,説明を省略する。
【0138】
第2の実施例における余剰回路処理及び不足回路処理で,属性が異なる端子の分岐を不足分岐として使用することを許容するかどうかの判定条件は,適合判定部17に,予め設定されているものとする。例えば,同一の属性の端子による分岐のみで不足分岐を補充できる,金メッキが“有”の端子の分岐は金メッキが“無”の分岐を補充できる,等の条件が設定される。
【0139】
以上の第2の実施例の説明では,端子の属性として金メッキの有無の情報を用いる場合の処理を示したが,ワイヤ径に関する制約条件がある場合も同様の処理が行われる。この場合には,分岐部品テーブル21,回路テーブル23,比較テーブル24として,「金メッキ」の代わりに,ワイヤ径の分類を示すデータ項目を含むテーブルが生成される。
【0140】
〔第3の実施例〕
車両のハーネス設計において,部品間の接続を1つの分岐部品でまとめると,分岐部品と部品との搭載位置によっては,分岐部品を介することで,かえって接続される部品間おワイヤ長が長くなり,ワイヤハーネスの全体コストを上昇させる状態が生じる。
【0141】
図19は,設計対象の車両に搭載される部品の搭載位置を模式的に示す図である。
【0142】
設計対象の車両において部品を搭載するエリアを,エンコパ(エンジンコンパートメント),インパネ,フロア,リアの4つに分けるものとする。図19の例では,部品PartA,Cはインパネに,部品PartBはエンコパに,部品PartE,Dはリアに搭載される。また,分岐部品JBの搭載エリアの指定は,回路テーブル作成部15に予め設定されるものとし,ここでは,分岐部品JBはインパネに搭載されるものとする。
【0143】
したがって,図19に示す搭載位置の例では,リアに搭載される部品PartE,Dの配線上の分岐は,インパネに搭載される分岐部品JBの外部に設けたほうが,ワイヤ長を短くでき,全体コストを抑えることができる。
【0144】
第3の実施例では,分岐部品外の分岐のほうが低コストになる場合として,分岐部品JBの搭載エリアと異なるエリアの分岐を想定する。そして,部品選択装置1は,部品の搭載されるエリアに関する情報を用いて,設計対象の接続関係から,分岐部品の搭載エリアと異なるエリアに搭載される部品間の分岐を除いた接続関係を生成して適合判定処理を行う。
【0145】
図20は,設計対象となる車両の論理回路データの例を示す図である。
【0146】
図20は,第3の実施例において設計対象となる車両の論理回路の例を示す図である。図20の論理回路は,図5(A)に示す論理回路と同じ接続関係であるが,各部品が搭載されるエリアの情報が付与されているとする。図20に示す論理回路において各部品PartA,B,C,D,Eの搭載エリアは,図19に示す例と対応している。
【0147】
図21は,論理回路データ5”の例を示す図である。
【0148】
図21(A)に示す論理回路データ5”は,図20に示す論理回路に対応する論理回路データ5”であり,図5(B)に示す論理回路データ5のデータ構成に,さらに部品が搭載されるエリアを示す「搭載エリア」を含む。「搭載エリア」の値“インパネ,エンコパ,リア,フロア”等は,図19に示す車両でのエリアを示す。
【0149】
部品選択装置1の回路テーブル作成部15は,搭載エリアの情報を含む論理回路データ5”を取得し,分岐部品JBの搭載エリア(インパネ)以外の搭載エリアの部品について,同一の接続グループかつ同一の搭載エリアの部品を検索し,該当する部品の接続関係を分岐の対象外とする。図21(A)に示す論理回路データ5”では,行番号(No)8,9の部品PartD,Eが該当する。図21(B)は,該当する接続関係を除いた後の論理回路データ5”の例を示す図である。
【0150】
回路テーブル作成部15は,図21の論理回路データ5”をもとに,回路テーブル23”を生成する。
【0151】
図22は,回路テーブル23”の例を示す図である。回路テーブル23”は,図5(C)に示す回路テーブル23と同じ構成である。
【0152】
したがって,差分作成部171は,図22の回路テーブル23”と分岐部品テーブル21とをもとに比較テーブル24を生成する。
【0153】
適合判定部17における比較テーブル24が作成された後の処理,及び結果出力部19の処理は,第1の実施例で説明した処理とほぼ同様であるので,説明を省略する。
【0154】
図23及び図24は,実施例における適合判定部17による処理の処理フロー例を示す図である。
【0155】
適合判定部17の差分作成部171は,記憶部20から,設計対象の接続関係に対応する回路テーブル23を取得し(ステップS1),適合判定の対象とする分岐部品の分岐部品テーブル21を取得する(ステップS2)。差分作成部171は,比較テーブル24を生成し,取得した分岐部品テーブルの情報を転記する(ステップS3)。
【0156】
次に,差分作成部171は,回路テーブル23と分岐部品テーブル21から端子数が一致する行の接続グループ数を取得し,グループ数の差を比較テーブル24の「グループ数差」に記録する(ステップS4)。
【0157】
さらに,差分作成部171は,行毎に,端子数とグループ数差とを乗算して,「空き端子数」,「不足分岐数」を計算する(ステップS5)。
【0158】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24の「端子数」が“最多数−1”の行(最終行の1つ上の行)を検索行とし(ステップS6),検索行の「グループ数差」の値が負であるかを判定する(ステップS7)。余剰回路処理部172は,検索行の「グループ数差」が負でなければ(ステップS7のN),ステップS11の処理へ進み,検索行の「グループ数差」が負であれば(ステップS7のY),ステップS8の処理へ進む。
【0159】
ステップS8の処理で,余剰回路処理部172は,検索行より下の行から「グループ数差」の値が正であるかを順に検索し,該当する行(該当行)があれば(ステップS9のY),該当行の「空き端子数」から検索行の「不足分岐数」を減算し,該当行の「空き端子数」に差を記録し,検索行の「不足分岐数」に“0”を記録する(ステップS10)。
【0160】
ステップS8の検索処理で該当行がなければ(ステップS9のN),余剰回路処理部172は,現在の検索行の1つ上の行を新たな検索行とする(ステップS11)。
【0161】
比較テーブル24の全ての行について,検索行としての処理を終了していなければ(ステップS12のN),余剰回路処理部172は,ステップS7の処理へ戻り,処理を繰り返す。一方,比較テーブル24の全ての行について検索行としての処理を終了していれば(ステップS12のY),不足回路処理部173が処理を引き継ぎ,ステップS13の処理へ進む。
【0162】
図24の処理フローにおいて,不足回路処理部173は,比較テーブル24の「端子数」が“2”の行(先頭行の1つ下の行)を検索行とし(ステップS13),検索行の「グループ数差」の値が負であるかを判定する(ステップS14)。検索行の「グループ数差」が負でなければ(ステップS14のN),ステップS18の処理へ進み,検索行の「グループ数差」が負であれば(ステップS7のY),ステップS15の処理へ進む。
【0163】
ステップS15の処理で,不足回路処理部173は,検索行より上の行から「グループ数差」の値が正であるかを順に検索し,該当する行(該当行)があれば(ステップS16のY),検索行の「不足分岐数」から該当行の「空き端子数」を減算し,検索行の「不足分岐数」に差を記録し,該当行の「空き端子数」に“0”を記録する(ステップS17)。
【0164】
ステップS15の検索処理で該当行がなければ(ステップS16のN),不足回路処理部173は,現在の検索行の1つ下の行を新たな検索行とする(ステップS18)。
【0165】
比較テーブル24の全ての行に対して検索行としての処理を終了していなければ(ステップS19のN),不足回路処理部173は,ステップS14の処理へ戻り,処理を繰り返す。一方,比較テーブル24の全ての行に対して検索行としての処理を終了していれば(ステップS19のY),適合判定部17は,合致評価情報を生成して(ステップS20),処理を終了する。
【0166】
図25は,実施例における部品選択装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
【0167】
部品選択置1は,図25に示すコンピュータ100として実施することができる。コンピュータ100は,例えば,演算装置(CPU:Central Processing Unit)101,メモリ102,入力装置103,出力装置104,外部記憶装置105,ネットワーク接続装置106,媒体駆動装置107などを備え,これらの各装置がバス108に接続された構成である。
【0168】
CPU101は,コンピュータ100の全体を制御する。メモリ102は,プログラムの実行やデータ更新などの処理において,外部記憶装置105や可搬型のデータ記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などである。メモリ102は,CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラム,アプリケーションプログラム,CPU101による処理に必要な各種データの少なくとも一部が一時的に格納される。
【0169】
入力装置103は,例えばキーボード,マウス,タッチパネルなどである。出力装置104は,例えばディスプレイなどである。外部記憶装置105は,例えばハードディスク装置などである。外部記憶装置105には,プログラムやデータが格納される。
【0170】
ネットワーク接続装置106は,インターネットなどのネットワークに接続し,外部のCADシステム等の情報処理システムとデータの送受信を行う。
【0171】
媒体駆動装置107は,可搬型記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み出す。可搬記憶媒体は,例えば,FD(フレキシブルディスク),CD−ROM,DVD,光磁気ディスクなどの媒体である。
【0172】
コンピュータ100のCPU101は,メモリ102に読み出したプログラムやデータを用いて,部品選択装置1の上述した実施例に示す処理を含む各種処理を実行する。
【0173】
すなわち,部品選択装置1の制御部10の分岐部品テーブル作成部11,コスト情報取得部13,回路テーブル作成部15,適合判定部17,結果出力部19は,プログラムで構成することができ,これらのプログラムがメモリ102にロードされてCPU101で実行されることにより,部品選択装置1の処理部が有する各機能が実現される。
【0174】
また,記憶部20などは,メモリ102及び外部記憶装置105で実現される。
【0175】
なお,部品選択装置1の各処理及び機能を実現するプログラム及びデータは,必ずしも外部記憶装置105に記憶されている必要はなく,可搬型記憶媒体に記憶されているプログラム及びデータが,媒体駆動装置107によって読み取られ,メモリ102に格納されるようにしてもよい。さらに,ネットワーク接続装置106が,公衆回線,インターネット,LAN,WANなどのネットワークを介して他のコンピュータなどに記憶された上述のプログラム及びデータを取得するようにしてもよい。
【0176】
以上,本発明の一態様として開示した部品選択装置1について詳細に説明したが,本発明は上述する実施形態に限定されず,本発明の要旨を逸脱しない範囲において,各種の改良及び変更を行ってもよいことは当然である。
【0177】
本発明の一態様として開示した部品選択装置1によれば,配線設計において,標準部品として用意された分岐部品の中から,設計対象の接続関係に適合した1又は複数の分岐部品を自動的に抽出することができる。よって,設計者は,抽出された分岐部品から,採用する分岐部品を選択することができ,適合する分岐部品の選択がより容易になる。
【0178】
また,部品選択装置1によれば,抽出した1又は複数の分岐部品についてコスト情報を出力することができる。よって,設計者は,抽出された分岐部品のコストを勘案して採用する分岐部品を選択することができ,ワイヤハーネスの全体コストを最小化することができる。
【符号の説明】
【0179】
1 部品選択装置
10 制御部
11 分岐部品テーブル作成部
13 コスト情報取得部
15 回路テーブル作成部
17 適合判定部
171 差分作成部
172 余剰回路処理部
173 不足回路処理部
19 結果出力部
20 記憶部
21 分岐部品テーブル
22 コストテーブル
23 回路テーブル
24 比較テーブル
3 部品内部回路データ
4 コストデータ
5 論理回路データ
6 合致評価情報
【技術分野】
【0001】
本発明は,製品設計において使用する部品を選択する技術に関する。より詳しくは,本発明は,配線設計に適用する分岐部品の選択をするための技術に関する。
【0002】
分岐部品とは,ワイヤ(線部品)を分岐する部品である。
【背景技術】
【0003】
製品設計において,部品を接続するワイヤを分岐するために,分岐部品が使用される。製品に搭載されるワイヤ数や長さ等のワイヤの規模に応じて必要な分岐部品は異なる。しかし,設計の都度分岐部品を開発すると非効率であるため,複数の端子が内部で異なるパターンで分岐する分岐部品を予め標準部品として開発しておき,対象製品に最適とされる分岐部品を選択して用いることが一般的である。
【0004】
例えば,車両のワイヤハーネス設計では,分岐部品として,ワイヤ同士を結合,分岐,中継するための端子及び保護箱であるジャンクションボックスが使用される。設計者は,予め開発された標準部品である複数のジャンクションボックスの中から,自らの経験に基づいて最適とするジャンクションボックスを選択していた。
【0005】
従来,電子回路設計において,部品,端子及び端子間の接続を含む回路情報をもとに,検出対象となる部品,端子及び接続を含むブロック情報を登録しておき,対象となる論理回路情報からブロック情報に該当する部品,接続等を含む回路ブロックを検出する技術が知られている。
【0006】
また,入力された部品の使用条件に基づいて製造者により選定された最適部品を選択し,選択した最適部品による設計に必要なその最適部品に対応する技術情報を表示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−234297号公報
【特許文献2】特開2002−092043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のワイヤハーネス設計では,設計者は,予め開発された複数の標準部品である分岐部品の中から,自らの経験に基づいて最適とする分岐部品を選択していた。上述した車両のワイヤハーネス設計の例では,設計者は,設計対象の車種を過去に設計された車種と比較して類似する車種で採用されたジャンクションボックスを選択したり,設計対象の車種での改良によって増加するワイヤ分を予測して端子や分岐に余裕のあるジャンクションボックスを選択したりしていた。
【0009】
しかし,過去の類似車種で使用されているジャンクションボックスが,設計対象の車種についても最適であるとは限らない。選択されたジャンクションボックスが備える分岐では対応できずに,ジャンクションボックス外での分岐加工(スプライス)が必要となる場合,改良に対応して選択したジャンクションボックスの余裕が過分であるために高コストとなる場合などの問題が生じることがある。
【0010】
特に,製品に搭載されるワイヤ数が数百〜数千となるような設計規模の場合には,ワイヤの接続関係から分岐の状態を判断して,標準部品から最適なジャンクションボックスを選択することは,さらに困難になる。また,設計規模が大きくなるにつれて,端子数や分岐数が増加して分岐パターンが複雑かつ多様化するため,最適なジャンクションボックスが標準部品に存在する確率が低くなり,合致しない部品からできる限り低コストとなる部品を選択する必要がある。
【0011】
また,標準部品から最適なジャンクションボックスが選択できない場合には,ジャンクションボックスを新たに設計・作成するか,標準部品のジャンクションボックスに手作業で分岐を設けることが必要となり,開発コスト,作業コストなどのコストがかかる要因となる。特に,分岐設定の手作業は,分岐数の増加によりコスト高騰を招くことになる。
【0012】
かかる問題は,自動車のワイヤハーネス設計だけでなく,部品間を接続する信号線等のワイヤを分岐する分岐部品を使用する製品設計についても同様である。
【0013】
本発明は,内部の接続関係が異なる部品から,設計対象の製品における部品間の接続関係に最適な部品を抽出し,又は抽出した部品の合致評価に関する情報を出力して,配線設計の支援を行うことを目的とする。
【0014】
なお,本発明の上述の目的,他の目的,特徴及び利点は,以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様として開示される部品選択装置は,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部と,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付ける配線情報取得部と,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部とを備える。
【0016】
また,本発明の一態様として開示される部品選択方法は,コンピュータが,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出するものである。
【0017】
また,本発明の一態様として開示される部品選択プログラムは,設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する,処理をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
上述の部品選択装置によれば,複数の部品から,設計対象の配線情報に示される接続情報に最適な部品を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】部品選択装置の第1の実施例におけるブロック構成例を示す図である。
【図2】第1の実施例における部品内部回路データの例を示す図である。
【図3】第1の実施例における分岐部品テーブルの例を示す図である。
【図4】第1の実施例におけるコストテーブルの例を示す図である。
【図5】第1の実施例における設計対象の論理回路データ及び回路テーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施例における比較テーブルの例を示す図である。
【図7】分岐部品JB1に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図8】分岐部品JB1の合致評価情報の例を示す図である。
【図9】分岐部品JB2に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図10】分岐部品JB2の合致評価情報の例を示す図である。
【図11】分岐部品JB3に対する適合判定処理を説明するための図である。
【図12】分岐部品JB3の合致評価情報の例を示す図である。
【図13】結果出力部19の出力例を示す図である。
【図14】第2の実施例における設計対象の論理回路の例を示す図である。
【図15】第2の実施例における論理回路データの例及び回路データの例を示す図である。
【図16】第2の実施例における部品内部回路データの例を示す図である。
【図17】第2の実施例における分岐部品JB4の分岐部品テーブルの例を示す図である。
【図18】第2の実施例における比較テーブルの例を示す図である。
【図19】第3の実施例における設計対象の車両に搭載される部品の搭載位置を模式的に示す図である。
【図20】第3の実施例における設計対象となる車両の論理回路データの例を示す図である。
【図21】第3の実施例における論理回路データの例を示す図である。
【図22】第3の実施例における回路テーブルの例を示す図である。
【図23】実施例における適合判定部による処理の処理フロー例を示す図である。
【図24】実施例における適合判定部による処理の処理フロー例を示す図である。
【図25】実施例における部品選択装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図26】車両におけるワイヤハーネスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本願発明の一態様として開示する部品選択装置について説明する。
【0021】
以下の実施例において,開示する部品選択装置が,自動車のワイヤハーネス設計において,ワイヤを結合,分岐,中継するジャンクションボックスと呼ばれる分岐部品を選択する場合の処理を説明する。
【0022】
なお,以下の説明に用いる図面において,ジャンクションボックスは,JBと表す場合がある。
【0023】
図26は,車両におけるワイヤハーネスの例を示す図である。
【0024】
ワイヤハーネスとは,電源供給や信号通信に用いられる複数の電線(ワイヤ)を束にして集合部品としたものである。
【0025】
車両を一例とすると,車両は,様々な電子制御装置(ECU:electronic cntrol unit),例えばシャシECU,メータECU等を備え,各ECUは,必要に応じた信号通信を行って他のECU等と連動した制御を実現する。自動車のワイヤハーネスは,図26に示すように,ECU間を接続するワイヤ(信号線)の束,ECUとワイヤとを接続するコネクタ,ワイヤを結合,分岐,中継する1つの分岐部品(ジャンクションボックス)を含み,1つの集合部品として設計される。したがって,車両のワイヤハーネス設計において,複数用意された標準となる分岐部品から,ECU間の接続関係を満たす分岐を実現できる内部接続関係を有する分岐部品を抽出する必要がある。
【0026】
〔第1の実施例〕
図1は,部品選択装置の第1の実施例におけるブロック構成例を示す図である。
【0027】
部品選択装置1は,制御部10及び記憶部20を備える。
【0028】
制御部10は,分岐部品テーブル作成部11,コスト情報取得部13,回路テーブル作成部15,適合判定部17,及び結果出力部19を備える。
【0029】
分岐部品テーブル作成部11は,標準部品として管理されている分岐部品毎に,その分岐部品内部の端子間の内部接続関係を示す部品内部回路データ3から,端子数毎の接続グループ数を示す分岐部品テーブル21を作成し,記憶部20に格納する。
【0030】
分岐部品テーブル作成部11は,部品内部回路データ3を,例えば標準部品データベース,CADシステム等から取得する。
【0031】
図2は,部品内部回路データ3の例を示す図である。
【0032】
図2の左側は,分岐部品JB1,JB2,JB3の端子間の内部接続関係を示す図であり,図2の右側は,その分岐部品の内部接続関係を示す部品内部回路データ3の例を示す図である。
【0033】
分岐部品JB1,JB2,JB3は,それぞれ,t1〜t6,t1〜t7,t1〜t8の端子を有する。分岐部品内で分岐を介して相互に接続する端子群を1つの接続グループとする。
【0034】
部品内部回路データ3は,分岐部品の各端子番号(t)に対して,属する接続グループ番号(g)を対応付けている。例えば,分岐部品JB1の部品内部回路データ3−1は,端子t1,t2,t4が接続グループg1に,端子t3,t5,t6が接続グループg2に,それぞれ属することを示している。同様に,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−2は,端子t1,t2,t4が接続グループg1に,端子t3,t5,t6,t7が接続グループg2に属することを,分岐部品JB3の部品内部回路データ3−3は,端子t1,t2,t4,t5が接続グループg1に,端子t3,t6,t7,t8が接続グループg2に属することを示している。
【0035】
図3は,分岐部品テーブル21の例を示す図である。
【0036】
分岐部品テーブル21では,接続グループに含まれる端子数毎に,該当する接続グループ数が設定される。分岐部品テーブル21の初期状態は,「端子数」の列に2〜N(整数)を設定し,各行の「接続グループ数」を“0”とする。
【0037】
分岐部品テーブル作成部11は,各分岐部品の部品内部回路データ3毎に,接続グループ番号で検索して端子数を抽出し,抽出した端子数に一致する分岐部品テーブル21の端子数に対応する接続グループ数に1を加算する。例えば,分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−2を接続グループ番号=1で検索して3つの端子を抽出すると,部品内部回路データ3−2に対応する分岐部品テーブル21−2の端子数=3の「接続グループ数」の初期値“0”を“1”にする。さらに,分岐部品テーブル作成部11は,部品内部回路データ3−2を接続グループ番号=2で検索して4つの端子を抽出すると,分岐部品テーブル21−2の端子数=4に対応する「接続グループ数」の“0”を“1”にする。図3に示す分岐部品テーブル21−2は,端子数=3である接続グループ数が“1”,端子数=4である接続グループ数が“1”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを示す。また,分岐部品JB2の部品内部回路データ3−1から作成された分岐部品テーブル21−1では,端子数=3である接続グループ数が“2”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを,分岐部品JB3の部品内部回路データ3−3から作成された分岐部品テーブル21−3では,端子数=4である接続グループ数が“2”,他の端子数である接続グループ数が“0”であることを示す。
【0038】
分岐部品テーブル作成部11は,標準部品として管理される全分岐部品についての分岐部品テーブル21を作成する。
【0039】
コスト情報取得部13は,入力装置,通信装置等を介して,標準部品として管理されている分岐部品毎の種々のコストに関するコストデータ4を受け付け,分岐部品毎に1又は複数のコストを設定したコストテーブル22を作成し,記憶部20に格納する。コストデータ4が含むコストは,例えば,分岐部品の製造費,重量,サイズなどの情報である。
【0040】
図4は,コストテーブル22の例を示す図である。図4に示すコストテーブル22は,コストとして,分岐部品毎の製造費(円)が記録されている。
【0041】
回路テーブル作成部15は,設計対象の車両の論理回路情報を示す論理回路データ5を受け付ける。論理回路データ5は,少なくとも設計対象の車両に搭載される部品間の接続情報を示す配線情報を含む。
【0042】
回路テーブル作成部15は,受け付けた論理回路データ5から,車両に搭載される部品間の接続関係から,接続する部品の端子群をグループ分けし,端子数毎の接続グループ数を示す回路テーブル23を作成し,記憶部20に格納する。
【0043】
図5は,設計対象の論理回路データ及び回路テーブルの例を示す図である。
【0044】
図5(A)は,設計対象の車両の論理回路情報に含まれる部品間の接続関係の例を示す図である。
【0045】
図5(A)に示す例は,設計対象の車両には,5つの部品PartA,B,C,D,Eが搭載されること,及び,部品PartAの端子t1,部品PartBの端子t1の端子群,部品PartAの端子t2,t3,部品PartBの端子t2との端子群,部品PartAの端子t4,部品PartC,D,Eの各端子t1との端子群が,それぞれ接続グループをなすことを示す。
【0046】
図5(B)は,その論理回路情報に含まれる接続関係を示す論理回路データ5の例を示す図である。
【0047】
図5(B)の論理回路データ5は,部品名,部品が備える端子の端子番号(t),端子が属する接続グループ番号(g)のデータ項目を有し,各端子が属する接続グループ番号が設定されている。
【0048】
図5(C)は,図5(B)に示す論理回路データ5から生成される回路テーブル23の例である。
【0049】
回路テーブル23は,接続グループに含まれる端子数毎に,該当する端子数を持つ接続グループの数が記録される。回路テーブル23の初期状態は,「端子数」列に3〜N(整数)を設定し,接続グループ数を“0”とする。回路テーブル23は,分岐を含まない接続関係,すなわち端子数が2である接続グループ数は記録されない。
【0050】
回路テーブル作成部15は,論理回路データ5で,接続グループ番号で検索して端子数を抽出し,抽出した端子数が3以上であれば,抽出した端子数に一致する回路テーブル23の端子数に対応する接続グループ数に加算する。
【0051】
適合判定部17は,設計対象の車両の接続関係を,標準部品として管理されている分岐部品の内部接続関係と比較し,設計対象の接続関係に適合する分岐部品を抽出する。さらに,適合判定部17は,抽出した分岐部品の合致評価に関する合致評価情報6を生成する。
【0052】
そのため,適合判定部17は,差分作成部171,余剰回路処理部172,不足回路処理部173を備える。
【0053】
差分作成部171は,各分岐部品の分岐部品テーブル21と回路テーブル23とを比較し,回路テーブル23が示す設計対象の車両の部品の接続関係と,分岐部品テーブル21が示す各分岐部品の内部接続関係との差分を示す比較テーブル24を分岐部品毎に生成する。
【0054】
図6は,比較テーブル24の例を示す図である。
【0055】
比較テーブル24は,端子数,接続グループ数,グループ数差,空き端子数,不足分岐数の各データ項目備える。
【0056】
「接続グループ数」は,分岐部品テーブル21の端子数毎の接続グループ数を示す。「グループ数差」は,設計対象の接続関係を示す回路テーブル23の端子数毎の接続グループ数と分岐部品テーブル21の接続グループ数との差分(過不足)を示す。「グループ数差」の値“0”は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数と同数(一致)であることを示す。「グループ数差」の“正”の値は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数より多い(余剰である)ことを,“負”の値は,分岐部品テーブル21の接続グループ数が回路テーブル23の接続グループ数より少ない(不足である)ことを示す。
【0057】
「空き端子数」は,余剰している接続グループによって生じている使用されない(未接続の)端子数を示す。「不足分岐数」は,不足している接続グループ数によって生じている,接続に必要な端子数を示す。
【0058】
さらに,差分作成部171は,比較テーブル24の各行の「グループ数差」が“0”であるかを調べ,全ての行の「グループ数差」が“0”である場合に,その分岐部品テーブル21に対応する分岐部品を抽出する。比較テーブル24の全行の「グループ数差」が“0”であれば,分岐部品テーブル21が示す分岐部品の内部接続関係と,回路テーブル23が示す設計対象の接続関係とが完全に一致するからである。
【0059】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24の各行の「グループ数差」が“0”でない場合に,不足する接続グループを,余乗の接続グループで補充できるかを調べ,補充できる場合に分岐部品テーブル21に対応する分岐部品JBを抽出する。
【0060】
不足回路処理部173は,不足する接続グループを,余乗の接続グループで補充できない場合に,不足する接続グループを,余剰の接続グループで補充した場合にさらに残る不足分が最少である分岐部品テーブル21に対応する分岐部品JBを抽出する。
【0061】
結果出力部19は,適合判定部17で抽出された分岐部品及びその合致評価情報6を表示装置,印刷装置等に出力する。
【0062】
以上説明した部品選択装置1のブロック構成は,以下に説明する他の実施例においても同様である。
【0063】
次に,第1の実施例における適合判定部17の処理を,より具体的に説明する。
【0064】
図7は,分岐部品JB1に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0065】
第1の実施例において,標準部品として分岐部品JB1,JB2,JB3が用意されているとする。また,分岐部品テーブル作成部11及び回路テーブル作成部15によって,分岐部品JB1,JB2,JB3に対応する分岐部品テーブル21−1,21−2,21−3,及び,設計対象の車両の回路テーブル23がそれぞれ生成され,記憶部20に格納されているとする。
【0066】
図7(A)は,設計対象の接続関係を示す回路テーブル23と,分岐部品JB1の分岐部品テーブル21−1との例を示す図である。
【0067】
差分作成部171は,図7(A)の分岐部品テーブル21−1の各端子数の「接続グループ数」を比較テーブル24−1の「接続グループ数」に記録し,分岐部品テーブル21−1と回路テーブル23との端子数毎の「接続グループ数」の差を求め,比較テーブル24−1の「グループ数差」に記録する。
【0068】
図7(B)は,「接続グループ数」と「グループ数差」を記録した比較テーブル24−1の例を示す図である。
【0069】
図7(B)の比較テーブル24−1では,分岐部品テーブル21−1の端子数=3の接続グループ数が“2”,回路テーブル23の端子数=3の接続グループ数が“1”であって,差分作成部171は,「グループ数差」に,その差“1(余剰)”を記録する。端子数=4の接続グループ数についても同様に,差分作成部171は,「グループ数差」にその差“−1(不足)”を記録する。
【0070】
次に,差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。「グループ数差」の値が全て“0”である場合には,余剰回路処理及び不足回路処理は不要となり,分岐部品JBの内部接続関係と設計対象の接続関係が完全に合致するので,設計対象に適合する分岐部品JBとして抽出される。
【0071】
しかし,図7(B)に示す比較テーブル24−1では「グループ数差」の値が全て“0”ではないので,さらに余剰回路処理又は不足回路処理が実行される。
【0072】
余剰回路処理では,設計対象の接続関係に対して不足となっている接続グループを,その分岐より端子数が多い余剰の接続グループを用いて補充可能であるかを調べる。余剰回路処理により,設計対象の接続関係に対して分岐部品での4端子の分岐が空いており3端子の分岐が不足している場合に,3端子の分岐の代わりに4端子の分岐が活用可能と判定して,分岐部品の適合性を評価することができる。よって,分岐部品外部で分岐追加を生じない分岐部品,その合致評価情報を設計者に提示して,配線設計における分岐部品の決定を支援することができる。
【0073】
不足回路処理では,設計対象の接続関係に対して不足となっている接続グループを,その分岐より端子数が少ない接続グループを用いて補充した場合の分岐の状態を判定する。不足回路処理により,設計対象の接続関係に対して分岐部品での3端子の分岐が空いているが4端子の分岐が不足している場合に,4端子の分岐の補充に3端子の分岐を活用可能かつ追加端子数を判定して,分岐部品の適合を評価することができる。よって,分岐部品外部での分岐追加数が少ない分岐部品,その合致評価情報を設計者に提示して,配線設計における分岐部品の決定を支援することができる。
【0074】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24−1の各行の「空き端子数」に,端子数とグループ数差との積を計算し,積が正であれば「空き端子数」に,積が負であれば「不足分岐数」に記録する。例えば,図7(C)の比較テーブル24−1に示すように,余剰回路処理部172は,比較テーブル24−1の端子数=3の行の「グループ数差」が“1(余剰)”であるので,「空き端子数」に“3(3×1)”を記録し,端子数=4の行の「グループ数差」が“−1(不足)”であるので,「不足分岐数」に“−4(4×−1)”を記録する。よって,図7(C)の比較テーブル24−1は,設計対象の接続関係に分岐部品JB1の内部接続関係を適用した場合には,3端子の分岐が1つ余り,4端子の分岐が1つ不足することを示している。
【0075】
余剰回路処理部172は,図7(C)に示す比較テーブル24−1の「端子数」が多い行(例えば,端子数の最大値−1)から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,余剰回路処理部172は,検索行から端子数の昇順に(検索行から下方向へ)各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”の行)を検出して該当行に設定する。検索行より端子数が多い行を対象に端子数の昇順に該当行を求めるのは,設計対象の接続関係に対して不足する分岐(接続グループ)の代用に,より端子数が近い分岐(接続グループ)を用いて,代用される分岐での端子数の無駄を排除するためである。
【0076】
図7(C)の比較テーブル24−1では,検索行(端子数=4)以降で該当行(端子数=5以上の行)を検出できないので,余剰回路処理部172は,余剰回路処理を終了し,不足回路処理へ処理を渡す。
【0077】
不足回路処理部173は,図7(D)に示す比較テーブル24−1の「端子数」が少ない行(例えば,最大値=2)から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,不足回路処理部173は,検索行から端子数の昇順に(検索行から上方向へ)各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”である行)を検出して該当行とする。検索行より端子数が少ない行を対象に端子数の降順に該当行を求めるのは,設計対象の接続関係に対して不足する分岐(接続グループ)の補充に,より端子数が近い分岐(接続グループ)を用いて,補充できない端子数を少なくするためである。
【0078】
不足回路処理部173は,検索行の「不足分岐数(−4)」を該当行の「空き端子数(3)」で補充し,補充後に残った不足端子数(−1)を該当行の「不足分岐数」に記録し,補充された検索行の「不足分岐数」を“0”とする。
【0079】
図7(E)は,不足回路処理部173の処理の結果例を示す比較テーブル24−1の例である。図7(E)の比較テーブル24−1は,分岐部品JB1の場合には,2つの3端子の分岐が使用されるが,1端子分が不足していることを示している。
【0080】
適合判定部17は,余剰回路処理及び不足回路処理の後,分岐部品JB1について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0081】
合致評価情報6は,例えば,想定コスト,余剰容量,不足数を含む。
【0082】
想定コストは,コストテーブル22に基づく分岐部品JBのコストと分岐追加コスト等の合計値である。分岐追加コストは,スプライスコストと不足分岐数から計算される。スプライスコストは,分岐を1つ追加するためのコストであり,例えば“@100円”等の値が,予め適合判定部17に保持される。
【0083】
余剰容量は,分岐部品JBの内部接続関係で設計対象の接続関係に対して余剰となる端子数を示し,比較テーブル24の「空き端子数」の合計である。不足数は,分岐部品の内部接続関係で設計対象の接続関係に対して不足する端子数を示し,比較テーブル24の「不足分岐数」の合計である。
【0084】
図8は,分岐部品JB1の合致評価情報の例を示す図である。
【0085】
適合判定部17は,分岐部品JB1の処理結果から,「想定コスト=JB1コスト(2,000)+分岐追加コスト(@100×1);余剰容量=0;不足数=1」の合致評価情報を生成する。
【0086】
なお,合致評価情報6には,記憶部20のコストテーブル22に記録されている種々のコスト情報を含めることができる。
【0087】
図9は,分岐部品JB2に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0088】
図9(A)は,分岐部品JB2の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23との例を示す図である。
【0089】
差分作成部171は,上述の図7(A)について説明した処理と同様にして,図9(A)の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23から分岐部品JB2の比較テーブル24−2を生成し,端子数毎に接続グループ数の差を計算し「グループ数差」に記録する。
【0090】
次に,差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。
【0091】
図9(B)に示す比較テーブル24−2の例は,図9(A)の分岐部品テーブル21−2と回路テーブル23から生成されている。図9(B)に示す比較テーブル24−2では,全ての端子数に対する「グループ数差」の値が“0”となる。
【0092】
差分作成部171は,「グループ数差」の値が全て“0”であるので,分岐部品JB2を抽出する。よって,分岐部品JB2に対する余剰回路処理と不足回路処理は実行されない。
【0093】
適合判定部17は,抽出された分岐部品JB2について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0094】
図10は,分岐部品JB2の合致評価情報の例を示す図である。
【0095】
分岐部品JB2の合致評価情報6は,「想定コスト=JB2コスト(2,500);余剰容量=0;不足数=0」となる。
【0096】
図11は,分岐部品JB3に対する適合判定処理を説明するための図である。
【0097】
図11(A)は,分岐部品JB3の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23との例を示す図である。
【0098】
上述で図7(A)について説明した処理と同様にして,差分作成部171は,図11(A)の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23から,分岐部品JB3に対する比較テーブル24−3を生成し,端子数毎の接続グループ数の差を求めて「グループ数差」に記録する。
【0099】
図11(B)は,図11(A)の分岐部品テーブル21−3と回路テーブル23から生成された比較テーブル24−3の例を示す図である。分岐部品テーブル21−3では,端子数=3の接続グループ数の差は“−1(不足)”,端子数=4の接続グループ数の差は“1(余剰)”となる。
【0100】
差分作成部171は,比較テーブル24の各行(各端子数)の「グループ数差」の値が全て“0”であるかを調べる。比較テーブル24−3では,「グループ数差」の値が全て“0”ではないので,余剰回路処理,不足回路処理が実行される。
【0101】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24−3の「端子数」と「グループ数差」とを乗算して,余剰又は不足となる端子数を計算する。
【0102】
図11(C)の比較テーブル24−3に示すように,余剰回路処理部172は,端子数=3については,積(−3)が負であるので「不足端子数」に値を記録し,端子数=4については,積(4)が正であるので「空き端子数」に記録する。
【0103】
次に,余剰回路処理部172は,図11(C)に示す比較テーブル24−3の「端子数」が多い行から順に「グループ数差」の値を調べて,分岐が不足している行(「グループ数差」の値が負の行)を検出して検索行に設定する。さらに,余剰回路処理部172は,検索行から下方向へ,すなわち検索行の端子数から昇順に各行の「グループ数差」を調べて,分岐が余剰である行(「グループ数差」の値が“正”の行)を検出して該当行に設定する。
【0104】
余剰回路処理部172は,検索行の「不足分岐数」を該当行の「空き端子数」で補充し,空き端子数(4)から補充された不足分岐数(3)を差し引いた数(1)を,該当行の「空き端子数(1)」に記録し,検索行の「不足分岐数」を“0”に記録する。
【0105】
図11(D)は,余剰回路処理部172の処理の結果例を示す比較テーブル24−3の例である。図11(D)の比較テーブル24−3は,分岐部品JB3の場合には,2つの4端子の分岐が使用され,分岐のうちの1端子分が余る(空く)ことを示している。
【0106】
その後,不足回路処理部173は,比較テーブル24−3の「グループ数差」から負の値を調べるが,全ての端子数で値が“0”であって負の値を検出しないので,比較テーブル24−3に対する不足回路処理を終了する。
【0107】
適合判定部17は,不足回路処理の終了後に,分岐部品JB3について,適合判定処理の結果をもとに合致評価情報6を生成する。
【0108】
図12は,分岐部品JB3の合致評価情報の例を示す図である。
【0109】
分岐部品JB3の合致評価情報6は,「想定コスト=JB3コスト(3,000);余剰容量=1;不足数=0」となる。
【0110】
適合判定部17によって,記憶部20に記憶されている分岐部品テーブル21毎に適合判定処理が行われた後,又は,分岐部品テーブル21の全てについて適合判定処理が行われた後に,結果出力部19は,適合判定処理の結果情報として,各分岐部品の合致評価情報6を表示装置,印刷装置等に出力する。
【0111】
図13は,結果出力部19の出力例を示す図である。
【0112】
結果出力部19は,適合判定部17で抽出された1又は複数の分岐部品JBに対する合致評価情報6を出力する。図13に示す結果出力部19の出力例では,合致評価情報6の想定コストが良い順に,分岐部品JB2,JB1,JB3の順で,設計対象の接続関係に各分岐部品JBを用いた場合の配線例と合致評価情報6とを表示している。
【0113】
合致評価情報6(各分岐部品の配線とコスト情報)の出力によって,設計者は,設計対象の接続関係に適合する分岐部品JBの想定コストを知ることができる。
【0114】
〔第2の実施例〕
自動車のハーネス設計において,接続する端子の属性などが設計の制約条件として設定されることがある。例えば,端子のメッキの種類,ワイヤ径の大きさ等が設計上の制約条件となる。
【0115】
部品選択装置1は,設計上の制約条件に対応する分岐部品JBの情報を用いて,分岐部品JBの適合判定処理を行うことができる。
【0116】
第2の実施例では,部品選択装置1は,接続関係の適合判定として,端子の金メッキの有無が設定されている制約条件を含めた適合判定を行う。
【0117】
図14は,第2の実施例における設計対象の論理回路の例を示す図である。
【0118】
第2の実施例において設計対象となる車両の論理回路は,図5(A)に示す論理回路と同じ接続関係であるが,部品PartAの端子t2,t3,部品PartBの端子t2に金メッキの端子が施されているとする。また,設計上の制約条件として,部品の金メッキの端子と接続する分岐部品JBの端子は金メッキであるという条件が設定されているとする。
【0119】
部品選択装置1の回路テーブル作成部15は,金メッキの有無の情報を含む論理回路データ5’を取得して回路テーブル23’を生成する。
【0120】
図15は,論理回路データの例及び回路データの例を示す図である。
【0121】
図15(A)は,図14に示す設計対象の論理回路データ5’の例である。
【0122】
論理回路データ5’は,図5(B)に示す論理回路データ5のデータ構成に,さらに金メッキの有無を示す「金メッキ」を含む。「金メッキ」の値“無”は端子が金メッキでないことを示し,“有”は端子が金メッキであることを示す。
【0123】
回路テーブル作成部15は,論理回路データ5’から,端子数と端子の金メッキの有無をもとに接続関係をグループ分けし,そのグループ数(接続グループ数)を計算し,回路テーブル23’に記録する。
【0124】
図15(B)は,図15(A)の論理回路データ5’から生成される回路テーブル23’の例である。回路テーブル23’は,図5(C)の回路テーブル23のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0125】
分岐部品テーブル作成部11は,金メッキの有無の情報を含む部品内部回路データ3を取得し,分岐部品テーブル21を生成する。
【0126】
分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB4の内部接続関係を,端子数と端子の金メッキの有無でグループ分けし,その接続グループ数を計算する。
【0127】
図16は,部品内部回路データの例を示す図である。
【0128】
図16(A)は,分岐部品JB4の内部接続関係を示し,図16(B)は,分岐部品JB4の内部接続関係を示す部品内部回路データ3−4の例である。図16(B)の部品内部回路データ3−4は,分岐部品JB4は,金メッキではない端子t1,t2,t4が接続グループg1に,金メッキの端子t3,t5,t6が接続グループg2に,それぞれ属することを示している。
【0129】
図17は,分岐部品JB4の分岐部品テーブル21−4の例を示す図である。
【0130】
分岐部品テーブル21−4は,図3に示す分岐部品テーブル21のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0131】
なお,分岐部品テーブル作成部11は,分岐部品JB1,JB2,JB3についても,分岐部品テーブル21−4と同様の「金メッキ」のデータ項目を持つ分岐部品テーブルを生成する。
【0132】
また,コスト情報取得部13は,分岐部品JB4のコスト情報を含むコストデータ4を取得して,コストテーブル22を生成している。
【0133】
差分作成部171は,分岐部品テーブル21−4と回路テーブル23とをもとに比較テーブル24−4を作成する。
【0134】
図18は,比較テーブル24−4の例を示す図である。
【0135】
比較テーブル24−4は,図6に示す比較テーブル24のデータ構成に,さらに「金メッキ」のデータ項目を含む。
【0136】
差分作成部171は,同じ端子数と金メッキの値(有/無)をもとに接続グループ数の差を計算し,「グループ数差」に記録する。
【0137】
適合判定部17における比較テーブル24−4が作成された後の処理,及び結果出力部19の処理は,第1の実施例で説明した処理とほぼ同様であるので,説明を省略する。
【0138】
第2の実施例における余剰回路処理及び不足回路処理で,属性が異なる端子の分岐を不足分岐として使用することを許容するかどうかの判定条件は,適合判定部17に,予め設定されているものとする。例えば,同一の属性の端子による分岐のみで不足分岐を補充できる,金メッキが“有”の端子の分岐は金メッキが“無”の分岐を補充できる,等の条件が設定される。
【0139】
以上の第2の実施例の説明では,端子の属性として金メッキの有無の情報を用いる場合の処理を示したが,ワイヤ径に関する制約条件がある場合も同様の処理が行われる。この場合には,分岐部品テーブル21,回路テーブル23,比較テーブル24として,「金メッキ」の代わりに,ワイヤ径の分類を示すデータ項目を含むテーブルが生成される。
【0140】
〔第3の実施例〕
車両のハーネス設計において,部品間の接続を1つの分岐部品でまとめると,分岐部品と部品との搭載位置によっては,分岐部品を介することで,かえって接続される部品間おワイヤ長が長くなり,ワイヤハーネスの全体コストを上昇させる状態が生じる。
【0141】
図19は,設計対象の車両に搭載される部品の搭載位置を模式的に示す図である。
【0142】
設計対象の車両において部品を搭載するエリアを,エンコパ(エンジンコンパートメント),インパネ,フロア,リアの4つに分けるものとする。図19の例では,部品PartA,Cはインパネに,部品PartBはエンコパに,部品PartE,Dはリアに搭載される。また,分岐部品JBの搭載エリアの指定は,回路テーブル作成部15に予め設定されるものとし,ここでは,分岐部品JBはインパネに搭載されるものとする。
【0143】
したがって,図19に示す搭載位置の例では,リアに搭載される部品PartE,Dの配線上の分岐は,インパネに搭載される分岐部品JBの外部に設けたほうが,ワイヤ長を短くでき,全体コストを抑えることができる。
【0144】
第3の実施例では,分岐部品外の分岐のほうが低コストになる場合として,分岐部品JBの搭載エリアと異なるエリアの分岐を想定する。そして,部品選択装置1は,部品の搭載されるエリアに関する情報を用いて,設計対象の接続関係から,分岐部品の搭載エリアと異なるエリアに搭載される部品間の分岐を除いた接続関係を生成して適合判定処理を行う。
【0145】
図20は,設計対象となる車両の論理回路データの例を示す図である。
【0146】
図20は,第3の実施例において設計対象となる車両の論理回路の例を示す図である。図20の論理回路は,図5(A)に示す論理回路と同じ接続関係であるが,各部品が搭載されるエリアの情報が付与されているとする。図20に示す論理回路において各部品PartA,B,C,D,Eの搭載エリアは,図19に示す例と対応している。
【0147】
図21は,論理回路データ5”の例を示す図である。
【0148】
図21(A)に示す論理回路データ5”は,図20に示す論理回路に対応する論理回路データ5”であり,図5(B)に示す論理回路データ5のデータ構成に,さらに部品が搭載されるエリアを示す「搭載エリア」を含む。「搭載エリア」の値“インパネ,エンコパ,リア,フロア”等は,図19に示す車両でのエリアを示す。
【0149】
部品選択装置1の回路テーブル作成部15は,搭載エリアの情報を含む論理回路データ5”を取得し,分岐部品JBの搭載エリア(インパネ)以外の搭載エリアの部品について,同一の接続グループかつ同一の搭載エリアの部品を検索し,該当する部品の接続関係を分岐の対象外とする。図21(A)に示す論理回路データ5”では,行番号(No)8,9の部品PartD,Eが該当する。図21(B)は,該当する接続関係を除いた後の論理回路データ5”の例を示す図である。
【0150】
回路テーブル作成部15は,図21の論理回路データ5”をもとに,回路テーブル23”を生成する。
【0151】
図22は,回路テーブル23”の例を示す図である。回路テーブル23”は,図5(C)に示す回路テーブル23と同じ構成である。
【0152】
したがって,差分作成部171は,図22の回路テーブル23”と分岐部品テーブル21とをもとに比較テーブル24を生成する。
【0153】
適合判定部17における比較テーブル24が作成された後の処理,及び結果出力部19の処理は,第1の実施例で説明した処理とほぼ同様であるので,説明を省略する。
【0154】
図23及び図24は,実施例における適合判定部17による処理の処理フロー例を示す図である。
【0155】
適合判定部17の差分作成部171は,記憶部20から,設計対象の接続関係に対応する回路テーブル23を取得し(ステップS1),適合判定の対象とする分岐部品の分岐部品テーブル21を取得する(ステップS2)。差分作成部171は,比較テーブル24を生成し,取得した分岐部品テーブルの情報を転記する(ステップS3)。
【0156】
次に,差分作成部171は,回路テーブル23と分岐部品テーブル21から端子数が一致する行の接続グループ数を取得し,グループ数の差を比較テーブル24の「グループ数差」に記録する(ステップS4)。
【0157】
さらに,差分作成部171は,行毎に,端子数とグループ数差とを乗算して,「空き端子数」,「不足分岐数」を計算する(ステップS5)。
【0158】
余剰回路処理部172は,比較テーブル24の「端子数」が“最多数−1”の行(最終行の1つ上の行)を検索行とし(ステップS6),検索行の「グループ数差」の値が負であるかを判定する(ステップS7)。余剰回路処理部172は,検索行の「グループ数差」が負でなければ(ステップS7のN),ステップS11の処理へ進み,検索行の「グループ数差」が負であれば(ステップS7のY),ステップS8の処理へ進む。
【0159】
ステップS8の処理で,余剰回路処理部172は,検索行より下の行から「グループ数差」の値が正であるかを順に検索し,該当する行(該当行)があれば(ステップS9のY),該当行の「空き端子数」から検索行の「不足分岐数」を減算し,該当行の「空き端子数」に差を記録し,検索行の「不足分岐数」に“0”を記録する(ステップS10)。
【0160】
ステップS8の検索処理で該当行がなければ(ステップS9のN),余剰回路処理部172は,現在の検索行の1つ上の行を新たな検索行とする(ステップS11)。
【0161】
比較テーブル24の全ての行について,検索行としての処理を終了していなければ(ステップS12のN),余剰回路処理部172は,ステップS7の処理へ戻り,処理を繰り返す。一方,比較テーブル24の全ての行について検索行としての処理を終了していれば(ステップS12のY),不足回路処理部173が処理を引き継ぎ,ステップS13の処理へ進む。
【0162】
図24の処理フローにおいて,不足回路処理部173は,比較テーブル24の「端子数」が“2”の行(先頭行の1つ下の行)を検索行とし(ステップS13),検索行の「グループ数差」の値が負であるかを判定する(ステップS14)。検索行の「グループ数差」が負でなければ(ステップS14のN),ステップS18の処理へ進み,検索行の「グループ数差」が負であれば(ステップS7のY),ステップS15の処理へ進む。
【0163】
ステップS15の処理で,不足回路処理部173は,検索行より上の行から「グループ数差」の値が正であるかを順に検索し,該当する行(該当行)があれば(ステップS16のY),検索行の「不足分岐数」から該当行の「空き端子数」を減算し,検索行の「不足分岐数」に差を記録し,該当行の「空き端子数」に“0”を記録する(ステップS17)。
【0164】
ステップS15の検索処理で該当行がなければ(ステップS16のN),不足回路処理部173は,現在の検索行の1つ下の行を新たな検索行とする(ステップS18)。
【0165】
比較テーブル24の全ての行に対して検索行としての処理を終了していなければ(ステップS19のN),不足回路処理部173は,ステップS14の処理へ戻り,処理を繰り返す。一方,比較テーブル24の全ての行に対して検索行としての処理を終了していれば(ステップS19のY),適合判定部17は,合致評価情報を生成して(ステップS20),処理を終了する。
【0166】
図25は,実施例における部品選択装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
【0167】
部品選択置1は,図25に示すコンピュータ100として実施することができる。コンピュータ100は,例えば,演算装置(CPU:Central Processing Unit)101,メモリ102,入力装置103,出力装置104,外部記憶装置105,ネットワーク接続装置106,媒体駆動装置107などを備え,これらの各装置がバス108に接続された構成である。
【0168】
CPU101は,コンピュータ100の全体を制御する。メモリ102は,プログラムの実行やデータ更新などの処理において,外部記憶装置105や可搬型のデータ記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などである。メモリ102は,CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラム,アプリケーションプログラム,CPU101による処理に必要な各種データの少なくとも一部が一時的に格納される。
【0169】
入力装置103は,例えばキーボード,マウス,タッチパネルなどである。出力装置104は,例えばディスプレイなどである。外部記憶装置105は,例えばハードディスク装置などである。外部記憶装置105には,プログラムやデータが格納される。
【0170】
ネットワーク接続装置106は,インターネットなどのネットワークに接続し,外部のCADシステム等の情報処理システムとデータの送受信を行う。
【0171】
媒体駆動装置107は,可搬型記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み出す。可搬記憶媒体は,例えば,FD(フレキシブルディスク),CD−ROM,DVD,光磁気ディスクなどの媒体である。
【0172】
コンピュータ100のCPU101は,メモリ102に読み出したプログラムやデータを用いて,部品選択装置1の上述した実施例に示す処理を含む各種処理を実行する。
【0173】
すなわち,部品選択装置1の制御部10の分岐部品テーブル作成部11,コスト情報取得部13,回路テーブル作成部15,適合判定部17,結果出力部19は,プログラムで構成することができ,これらのプログラムがメモリ102にロードされてCPU101で実行されることにより,部品選択装置1の処理部が有する各機能が実現される。
【0174】
また,記憶部20などは,メモリ102及び外部記憶装置105で実現される。
【0175】
なお,部品選択装置1の各処理及び機能を実現するプログラム及びデータは,必ずしも外部記憶装置105に記憶されている必要はなく,可搬型記憶媒体に記憶されているプログラム及びデータが,媒体駆動装置107によって読み取られ,メモリ102に格納されるようにしてもよい。さらに,ネットワーク接続装置106が,公衆回線,インターネット,LAN,WANなどのネットワークを介して他のコンピュータなどに記憶された上述のプログラム及びデータを取得するようにしてもよい。
【0176】
以上,本発明の一態様として開示した部品選択装置1について詳細に説明したが,本発明は上述する実施形態に限定されず,本発明の要旨を逸脱しない範囲において,各種の改良及び変更を行ってもよいことは当然である。
【0177】
本発明の一態様として開示した部品選択装置1によれば,配線設計において,標準部品として用意された分岐部品の中から,設計対象の接続関係に適合した1又は複数の分岐部品を自動的に抽出することができる。よって,設計者は,抽出された分岐部品から,採用する分岐部品を選択することができ,適合する分岐部品の選択がより容易になる。
【0178】
また,部品選択装置1によれば,抽出した1又は複数の分岐部品についてコスト情報を出力することができる。よって,設計者は,抽出された分岐部品のコストを勘案して採用する分岐部品を選択することができ,ワイヤハーネスの全体コストを最小化することができる。
【符号の説明】
【0179】
1 部品選択装置
10 制御部
11 分岐部品テーブル作成部
13 コスト情報取得部
15 回路テーブル作成部
17 適合判定部
171 差分作成部
172 余剰回路処理部
173 不足回路処理部
19 結果出力部
20 記憶部
21 分岐部品テーブル
22 コストテーブル
23 回路テーブル
24 比較テーブル
3 部品内部回路データ
4 コストデータ
5 論理回路データ
6 合致評価情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部と,
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付ける配線情報取得部と,
前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部とを備える
ことを特徴とする部品選択装置。
【請求項2】
前記適合判定部は,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致しない場合に,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係を包含する部品を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品選択装置。
【請求項3】
前記適合判定部は,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致又は包含しない場合に,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係に対して不足する分が最小である部品を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の部品選択装置。
【請求項4】
前記適合判定部の処理結果を出力する結果出力部を備えて,
前記記憶部に,前記部品各々のコストに関するコスト情報が記憶され,
前記適合判定部は,処理結果として,前記コスト情報をもとに前記抽出した部品のコストを含む合致評価情報を生成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の部品選択装置。
【請求項5】
前記適合判定部は,分岐を追加するスプライスのコストを示すスプライスコストを保持し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係に対して不足する分を補充するスプライスコストを計算し,該計算したスプライスのコストを含む前記合致評価情報を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の部品選択装置。
【請求項6】
コンピュータが,
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,
前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する
ことを特徴とする部品選択方法。
【請求項7】
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,
前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する,処理をコンピュータに実行させる部品選択プログラム。
【請求項1】
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部と,
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付ける配線情報取得部と,
前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する適合判定部とを備える
ことを特徴とする部品選択装置。
【請求項2】
前記適合判定部は,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致しない場合に,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係を包含する部品を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品選択装置。
【請求項3】
前記適合判定部は,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致又は包含しない場合に,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係に対して不足する分が最小である部品を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の部品選択装置。
【請求項4】
前記適合判定部の処理結果を出力する結果出力部を備えて,
前記記憶部に,前記部品各々のコストに関するコスト情報が記憶され,
前記適合判定部は,処理結果として,前記コスト情報をもとに前記抽出した部品のコストを含む合致評価情報を生成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の部品選択装置。
【請求項5】
前記適合判定部は,分岐を追加するスプライスのコストを示すスプライスコストを保持し,前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係に対して不足する分を補充するスプライスコストを計算し,該計算したスプライスのコストを含む前記合致評価情報を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の部品選択装置。
【請求項6】
コンピュータが,
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,
前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する
ことを特徴とする部品選択方法。
【請求項7】
設計対象の部品間の接続関係を示す配線情報を受け付け,
部品毎に,部品が備える端子間の内部接続関係を示す部品内部情報を記憶する部品内部情報記憶部を参照して,前記部品内部情報の内部接続関係と前記配線情報の接続関係とを比較し,
前記部品内部情報の内部接続情報が前記配線情報の接続関係と一致する部品を抽出する,処理をコンピュータに実行させる部品選択プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−89168(P2013−89168A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231751(P2011−231751)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]