部材の接合方法及び接合装置
【課題】部材と他の部材とをそれらの間に挟んだ接着剤で接合する際に、接着剤への気泡の混入を確実に防止する。
【解決手段】第1の部材10と第2の部材12とを、第1表面10aと第2表面12aとが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とが互いに直交する方向へ延びる相対位置に配置する。第2の部材12を第1の部材10に接近させ、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力Pを加えて、1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とを押し広げる。押圧力Pを第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに、第2の部材12の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材14を第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。
【解決手段】第1の部材10と第2の部材12とを、第1表面10aと第2表面12aとが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とが互いに直交する方向へ延びる相対位置に配置する。第2の部材12を第1の部材10に接近させ、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力Pを加えて、1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とを押し広げる。押圧力Pを第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに、第2の部材12の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材14を第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の接合方法に関する。本発明はまた、部材の接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの部材と他の部材とを、それらの間に挟んだ接着剤で接合する際に、接着剤への気泡の混入を防止しながら接合する手法が知られている。
【0003】
例えば特許文献1は、接着樹脂中に気泡を生じることなく2枚の平板を貼り合わせる方法及び装置を開示する。特許文献1には、「平板マイクロレンズ22(平板1)の上面及びガラス基板23(平板2)の上面に、それぞれ樹脂付与部18、19から紫外線硬化樹脂などの接着樹脂3を滴下する(図1(a))。次に、ガラス基板23を上下反転して平板マイクロレンズ22と対向させ、ガラス基板23に点状に付着した接着樹脂3をつらら状に垂れ下がらせる(図1(b))。この状態を保ったまま、ガラス基板23を降下して平板マイクロレンズ22上面の接着樹脂3と接触させる(図1(c))。さらに、ガラス基板23を降下して、接着樹脂3をガラス基板23と平板マイクロレンズ22との貼り合わせ面全面に押し広げ、必要に応じて加圧部21によりガラス基板23を平板マイクロレンズ22に十分圧接する。最後に紫外線ランプ24から紫外線を照射して接着樹脂3を硬化させる(図1(d))。」、「平板貼り合わせ装置43は、図5に示すように上側に支持されたガラス基板23の下面に接着樹脂3を付着できる樹脂付与部32と下側に支持された平板マイクロレンズ22の上面に接着樹脂3を滴下できるディスペンサ型の樹脂付与部33とが備えられている。樹脂付与部32は、上端部が開口された円筒形状をしており、接着樹脂3はその表面張力によりその上端開口から盛り上がるように供給され、この盛り上がりにガラス基板23の下面を接触させることによりガラス基板23の下面に接着樹脂3を転移できるようになっている。」と記載されている。
【0004】
また特許文献2は、2枚の基板を両者間の樹脂材料への気泡の混入なく貼り合わせることができる貼合装置および貼合方法を開示する。特許文献2には、「本発明による貼合装置は、樹脂材料が配置された第1基板を保持する第1基板保持部と、第2基板の対向する二辺を保持し、第2基板と第1基板保持部に保持された第1基板の樹脂材料側とを対向させる第2基板保持部と、第2基板の中央部から対向する二辺の各々へ向かって互いに逆方向へ移動しながら第2基板に押圧力を付与することにより、第2基板と第1基板とを樹脂材料を介して貼り合わせる一対の押圧部とを備えたものである。」、「塗布部220は、樹脂材料30を、間隔をあけて複数本の連続した線状に塗布可能となっている。」、「第2基板保持部320によって封止基板20と素子基板10の樹脂材料30との間に間隙Gを維持した状態で、初期押圧部330により、封止基板20の対向する二辺21,22の中線23で押圧する。これにより、封止基板20の中央部が撓んで樹脂材料30に線接触し、線接触部24が形成される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−209076号公報(要約、0020)
【特許文献2】特開2004−296139号公報(0007、0034、0040)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの部材と他の部材とをそれらの間に挟んだ接着剤(特に常態で液体の接着剤)で接合する技術においては、接着剤への気泡の混入を一層確実に防止できるようにすることが望まれている。また、部材の接合方法及び接合装置の構成を簡略化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、部材の接合方法であって、第1の部材の第1表面に、各々が線状形態を有する複数の第1接着部材を互いに間隔を空けて配置し、第2の部材の第2表面に、線状形態を有する1つの第2接着部材を配置し、第1の部材と第2の部材とを、第1表面と第2表面とが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材と1つの第2接着部材とが互いに交差する方向へ延びる相対位置に配置し、この相対位置で第2の部材を撓ませて、第2の部材と第1の部材との間で最初に1つの第2接着部材を複数の第1接着部材に接触させ、第2の部材の第2表面の反対側の裏面に、第2の部材の一部分を第1の部材に押し付ける局所的な押圧力を加えて、1つの第2接着部材と、複数の第1接着部材の第2接着部材に接触した部分とを押し広げ、この局所的な押圧力を裏面に沿って移動させるとともに第2の部材の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材を第1表面と第2表面との間でさらに押し広げ、以て第1表面と第2表面との間に単一の接着層を形成し、接着層を固化させる、接合方法である。
【0008】
本発明の他の態様は、上記した接合方法を実施するための部材の接合装置において、複数の第1接着部材を配置した第1表面を上に向けて第1の部材を支持する第1支持部と、1つの第2接着部材を配置した第2表面を下に向けて第2の部材を支持し、第2の部材をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部と、第2の部材の裏面に局所的な押圧力を加える可動式の押圧部と、第2支持部の動作と押圧部の動作とを制御する制御部とを具備し、第2支持部は、第2の部材の外縁部分を第1の部材の第1表面から可変高さの位置に支持して、第2の部材を撓ませる可動台と、可動台を移動して第2の部材と第1の部材との相対位置を変化させる可動台駆動機構とを備え、押圧部は、各々の回転軸線を中心に互いに独立して回転可能でかつ回転軸線が互いに独立して変位可能な複数のローラであって、1つの第2接着部材に平行する方向へ回転軸線を配置して第2の部材の裏面に載せられる複数のローラと、複数のローラを、第2の部材の裏面に沿って平行移動するローラ駆動機構とを備え、制御部は、可動台駆動機構を制御して、第2の部材と第1の部材との間で最初に1つの第2接着部材を複数の第1接着部材に接触させ、可動台駆動機構とローラ駆動機構とを制御して、局所的な押圧力を裏面に沿って移動させるとともに第2の部材の撓み量を漸減させ、第1表面と第2表面との間に接着層を形成させる、接合装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る部材接合方法によれば、接合対象の第1の部材と第2の部材との間で最初に1つの第2接着部材と複数の第1接着部材とが接触するから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法に比べて、接触開始点での接着部材への空気の取り込みを効果的に防止できる。しかも、線状形態の複数の第1接着部材に、線状形態の1つの第2接着部材を、互いに交差する配置で接触させるようにしたから、一方の部材に配置した接着剤に対し、他方の部材に点状に配置した接着剤を、つらら状に垂れ下がらせて接触させる接合手法に比べて、より広範囲に配置される複数の第1接着部材に対して一様に接触開始点での空気の取り込みを防止できる。したがって、第1の部材と第2の部材とをそれらの間に挟んだ接着層で接合する際に、接着層への気泡の混入を一層確実に防止できる。
【0010】
本発明の他の態様に係る部材接合装置によれば、部材接合方法による上記効果が奏される。さらに、例えば第2の部材の厚みの不均一さ等に起因して第2の部材の裏面に凹凸が存在する場合であっても、複数のローラを第2の部材の裏面上で平行移動させる間に、個々のローラの回転軸線が独立して変位することで第2の部材の裏面の凹凸を吸収して、個々のローラの重量による押圧力を、第2の部材の裏面に一様に加えることができる。したがって、第1の部材の第1表面と第2の部材の第2表面との間に、全体に渡って第1接着部材を、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による部材接合方法の一ステップを模式図的に示す図で、接合対象となる第1の部材を三面図で示す。
【図2】本発明の一実施形態による部材接合方法の他のステップを模式図的に示す図で、接合対象となる第2の部材を三面図で示す。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態による部材接合方法の後続するステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図4】(a)〜(c)は、図3(a)〜(c)のステップを、図3(a)の線IV−IVに沿った断面で示す図で、部材接合装置の主要構成要素を一部省略して示す。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態による部材接合方法のさらに後続するステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図6】(a)図1の第1の部材における第1接着部材の形成方法の一例を模式図的に示す図、(b)変形例による第1接着部材の形成方法を模式図的に示す図である。
【図7】図2の第2の部材における第2接着部材の形成方法の一例を模式図的に示す図である。
【図8】(a)図7の形成方法で使用可能な塗布ノズルの一例を概略で示す図、(b)変形例による塗布ノズルを概略で示す図である。
【図9】図3〜図5の部材接合方法で使用可能なローラの一例を概略で示す断面図である。
【図10】図3〜図5の部材接合方法で採用可能な第2の部材の撓み条件を説明する図である。
【図11】変形例による部材接合方法の1ステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図12】本発明の一実施形態による部材接合方法で追加実施可能なステップを模式図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1〜図5は、本発明の一実施形態による部材接合方法の主要ステップを、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に、模式図的に示す。図示の接合方法及び接合装置は、第1の部材10と第2の部材12とを、それらの間に挟んだ常態で液体の接着剤により互いに接合するためのものである。
【0013】
図1に三面図で示すように、本発明の一実施形態による接合方法を適用する第1の部材10は、平面視で略矩形の平板状部材であり、略平坦な第1表面10aと、第1表面10aの反対側の裏面10bと、互いに平行する一対の長縁10cと、互いに平行する一対の短縁10dとを有する。図示の接合方法では、第1の部材10の第1表面10aに、各々が直線状形態を有する複数の液状の第1接着部材14を、互いに平行に間隔を空けて配置する。それら第1接着部材14は、第1の部材10の両長縁10cに平行に、かつ等間隔に整列して配置され、最も外側の2個の第1接着部材14が、両長縁10cからそれぞれ任意の間隔を空けて配置される。また、個々の第1接着部材14は、各長縁10cの中央を通って第1の部材10を長手方向へ二等分する中心線10eに対し、線対称の形状を有して、各短縁10dから任意の間隔をあけた位置で終端する。各第1接着部材14は、その全長に渡って略一様な太さ(幅及び高さ)とドーム形の断面形状とを有する。なお、隣り合う第1接着部材14の間の領域16は、第1の部材10と第2の部材12とを互いに接合する際に、第1接着部材14への空気の取り込みを防止するための排気通路として機能する。
【0014】
図2に三面図で示すように、本発明の一実施形態による接合方法を適用する第2の部材12は、平面視で略矩形の平板状部材であり、略平坦な第2表面12aと、第2表面12aの反対側の裏面12bと、互いに平行する一対の長縁12cと、互いに平行する一対の短縁12dとを有する。図示の接合方法では、第2の部材12の第2表面12aに、直線状形態を有する1つの液状の第2接着部材18を配置する。第2接着部材18は、第2の部材12の両短縁12dに平行に配置される。また、第2接着部材18は、第2の部材12の各長縁12cの中央を通って第2の部材12を長手方向へ二等分する中心線12e上に配置され、各長縁12cから任意の間隔をあけた位置で終端する。第2接着部材18は、その全長に渡って略一様な太さ(幅及び高さ)とドーム形の断面形状とを有する。図示構成では、第2の部材12は、長縁12c及び短縁12d(つまり平面視で横方向及び縦方向)の寸法が、それぞれ、第1の部材10の長縁10c及び短縁10d(つまり平面視で横方向及び縦方向)の寸法よりも僅かに大きく、また、第2接着部材18は、第1の部材10の短縁10dよりも僅かに短い全長を有する。
【0015】
なお、第1及び第2の部材10、12の平面視形状は、図1及び図2に示す長方形に限らず、正方形、平行四辺形等の他の形状とすることができる。また、第1の部材10と第2の部材12とは、図示のように互いに略同一の形状を有していてもよいし、或いは互いに異なる形状や寸法を有していてもよい。
【0016】
第1接着部材14及び第2接着部材18はいずれも、常態で液体の接着剤から構成される。図示の接合方法では、この接着剤は、最終ステップで固化される性質を有する。或いは、後述する第1の部材10と第2の部材12との貼り合わせステップに際して、徐々に固化する接着剤から、第1接着部材14及び第2接着部材18を構成することもできる。第1接着部材14及び第2接着部材18の素材となる接着剤は、例えば、放射線(紫外線、可視光等)硬化型接着剤、二液反応型接着剤、熱硬化型接着剤等から、適宜選択することができる。
【0017】
図示の接合方法の次ステップでは、図3(a)及び図4(a)に示すように、第1の部材10と第2の部材12とを、第1表面10aと第2表面12aとが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とが互いに直交する方向へ延びる相対位置に配置する。さらに詳述すると、第1の部材10と第2の部材12とは、第1の部材10の長縁10c及び短縁10dがそれぞれ第2の部材12の長縁12c及び短縁12dに平行するとともに、第1の部材10の中心線10eが第2の部材12の中心線12eに平行しかつ重力方向に見て重なるような、相対位置に配置される。
【0018】
ここで、図示の接合方法を実施するための、本発明の一実施形態による部材接合装置は、複数の第1接着部材14を配置した第1表面10aを上に向けて第1の部材10を支持する第1支持部20と、1つの第2接着部材18を配置した第2表面12aを下に向けて第2の部材12を支持し、第2の部材12をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部22とを備えている(図3(a))。第1支持部20は、第1の部材10の裏面10bの略全体に接触する平坦な支持面24を有し、支持面24上に、平板状の第1の部材10を平置き状態で静止支持できる。第2支持部22は、第2の部材12の外縁部分(図では一対の短縁12dに沿った部分)を第1の部材10の第1表面10aから任意の可変高さの位置に支持する一対の可動台26と、それら可動台26を高さ方向へ移動して第2の部材12と第1の部材10との相対位置を変化させる可動台駆動機構28とを備える。一対の可動台26は、第2の部材12の外縁部分(一対の短縁12dに沿った部分)を支持することにより、平板状の第2の部材12を、その自重により下へ凸に撓ませることができる。可動台駆動機構28は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備え、一対の可動台26を互いに独立して所望速度で移動することができる。
【0019】
図3(a)及び図4(a)に示す初期の相対位置では、一対の可動台26が、第2の部材12の一対の短縁12dに沿った部分を互いに同一の高さに支持しており、それにより、第2の部材12の中心線12eの領域(したがって第2接着部材18)が最も下方に(すなわち第1の部材10に最も近接して)配置されている。なお、図示の相対位置では、第2接着部材18は、複数の第1接着部材14の全てを横断して最も外側の2個の第1接着部材14の略真上まで延びるように、配置されている。
【0020】
図示の接合方法の次ステップでは、上記した初期の相対位置から、図3(b)及び図4(b)に示すように、可動台駆動機構28の駆動により一対の可動台26を互いに同期して同一距離だけ任意の速度で下方移動し、第2の部材12の全体を平行移動させて第1の部材10に接近させる。それにより、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に、1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。このとき、1つの第2接着部材18が全ての第1接着部材14に略同時に接触することが好ましく、予め第1支持部20及び第2支持部22を調整して第1接着部材14及び第2接着部材18の水平度を向上させておくことが望ましい。ただしこのことは必須ではなく、第2接着部材18が複数の第1接着部材14に若干の時間差を有して接触しても良い。
【0021】
また、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間にそれら接着部材中に空気を取り込まないように、一対の可動台26の下方移動速度を適切に制御することが有利である。具体的には、第2接着部材18が個々の第1接着部材14に接触する瞬間の、一対の可動台26の下方移動速度は、例えば0.5mm/秒以下であることが好ましい。可動台26の下方移動速度が0.5mm/秒を超えると、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間にそれら接着部材中に空気を取り込み易くなる傾向がある。なお、第2接着部材18と個々の第1接着部材14との接触が生じる直前までは、接合工程のサイクルタイムを削減して生産性を高める観点で、0.5mm/秒よりも速い適当な速度で一対の可動台26を下方移動して、第2の部材12を第1の部材10に迅速に接近させ、その後に0.5mm/秒以下の適当な速度に減速して接合を行うことが望ましい。
【0022】
図示の接合方法の次ステップでは、図3(c)及び図4(c)に示すように、第2の部材12の裏面12bに、第2の部材12の一部分を第1の部材10に押し付ける方向への局所的な押圧力(すなわち荷重)Pを加えて、1つの第2接着部材18と、複数の第1接着部材14の第2接着部材18に接触した部分とを押し広げる。図示構成では、第2の部材12の中心線12eに沿った領域(つまり第2接着部材18が位置する領域)に、一様に押圧力Pが加えられ、第2接着部材18の全体が、接触する全ての第1接着部材14とそれらの間の第1の部材10の表面10aの中心線10eに沿った領域とに押し付けられる。この状態で、第1の部材10及び第2の部材12の中心線10e、12eに沿った領域で、第2接着部材18と第1接着部材14とが合わさって、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16(図1)を満たす。ここで、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間に、前述したようにそれら接着部材中に空気を取り込まないように構成することで、その後に第1接着部材14と第2接着部材18とを押し付け合う間は、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気が円滑に押し出されるので、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0023】
図示の接合方法の次ステップでは、図5(a)に示すように、局所的な押圧力Pを第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに、第2の部材12の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材14を第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。図示構成では、局所的な押圧力Pを、第2の部材12の中心線12eに沿った領域から、第2の部材12の一方(図で右方)の短縁12dに向かって、複数の第1接着部材14に平行する方向へ、裏面12bに沿って移動させる。そして、押圧力Pのこのような移動に同期して、第2の部材12の、中心線12eから図で右側の部分の撓み量を漸減させることにより、第2の部材12の応力集中による損傷を防止しながら、複数の第1接着部材14の、第1の部材10の中心線10eから図で右側の部分を押し広げることができる。ここで、第2の部材12の中心線12eに沿った領域に最初に押圧力Pを加えて第2接着部材18と複数の第1接着部材14の接触部分とを押し広げるときに、前述したようにそれら接着部材中に空気を取り込まないように構成することで、その後に押圧力Pを移動させる間は、押圧力Pによって第1接着部材14が、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気を円滑に押し出しながら、第1の部材10の右方の短縁10dに向かって領域(排気通路)16を漸進的に満たすから、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0024】
第2の部材12の裏面12bに最初に加えた押圧力Pを上記のように移動させる間、当該押圧力Pが第2の部材12の一方の短縁12dに到達しないうちに、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に、第2の部材12の一部分を第1の部材10に押し付ける方向への他の局所的な押圧力(すなわち荷重)P´を加える(図5(a))。そして、押圧力P´を、第2の部材12の中心線12eに沿った領域から、第2の部材12の他方(図で左方)の短縁12dに向かって、複数の第1接着部材14に平行する方向へ、裏面12bに沿って移動させる(図5(b))。また、押圧力P´のこのような移動に同期して、第2の部材12の、中心線12eから図で左側の部分の撓み量を漸減させることにより、第2の部材12の応力集中による損傷を防止しながら、複数の第1接着部材14の、第1の部材10の中心線10eから図で左側の部分を、第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。このステップにおいても、移動する押圧力P´によって第1接着部材14が、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気を円滑に押し出しながら、第1の部材10の左方の短縁10dに向かって領域(排気通路)16を漸進的に満たすから、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0025】
最初の押圧力Pが第2の部材12の右方の短縁12dに到達する(図5(b))と、同時に第2の部材12の中心線12eから右側の部分の撓みが除去されて、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間の、中心線10e、12eよりも右側の領域に、第1接着部材14が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡る。続いて、次の押圧力P´が第2の部材12の左方の短縁12dに到達する(図5(c))と、同時に第2の部材12の中心線12eから左側の部分の撓みが除去されて、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間の、中心線10e、12eよりも左側の領域に、第1接着部材14が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡る。なお、中心線10e、12eの近傍では、第1接着部材14と第2接着部材18とが気泡の混入無く接触しており、第2接着部材18の幾分かは、押圧力P、P´の移動に伴って、第1接着部材14に混入した形態で中心線10e、12eから離れた位置まで押し広げられている。
【0026】
両押圧力P、P´が第2の部材12の左右両方の短縁12dに順次到達した後は、それら押圧力P、P´を解除するとともに、第2の部材12を、全体に撓みの無い初期の形態に復元させる。このようにして、平板状の第1の部材10の第1表面10aと、平板状の第2の部材12の第2表面12aとの間に、第1接着部材14及び第2接着部材18の混合体としての単一の接着層30が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く広がって形成される(図5(d))。なお、押圧力P、P´は、互いに同じ大きさであることが、接着層30の厚みや広がり方を中心線10e、12eの左右で均一化する観点で望ましい。
【0027】
本発明の一実施形態による部材接合装置は、図3〜図5に示す工程を実施するために、第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力P、P´を加える可動式の押圧部32と、第2支持部22の動作と押圧部32の動作とを制御する制御部34とを、さらに備えている(図3(a)、(c))。押圧部32は、第2の部材12に設けた1つの第2接着部材18に略平行する方向(つまり第2の部材12の中心線12eに略平行する方向)へ回転軸線36aを配置して第2の部材12の裏面12bに載せられるローラ36、36´と、ローラ36、36´を第2の部材12の裏面12bに沿って任意の速度で平行移動するローラ駆動機構38とを備える(図3(c)、図5(a))。制御部34は、第2支持部22の可動台駆動機構28を制御して、一対の可動台26を前述したように所望の速度で下方移動させ、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる(図3(b))。
【0028】
制御部34はまた、可動台駆動機構28とローラ駆動機構38とを制御して、局所的な押圧力P、P´を第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに第2の部材12の撓み量を漸減させ、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に接着層30を形成させる。詳述すると、第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させた状態の第2の部材12(図3(b))に対し、1つのローラ36を、その回転軸線36aを第2接着部材18に平行する方向へ配置して、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に載せる。このとき、ローラ36の外周面36bは、第2の部材12の中心線12eに略平行する接触面を形成して、第2の部材12の裏面12bに接触する。そして、ローラ36の重量により、局所的な押圧力Pを第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に一様に加える(図3(c))。なお、ローラ36を第2の部材12の裏面12bに載せる作業は、図示しない運搬装置や人手等により実施できる。また、適当な外力をローラ36に加えることにより、ローラ36の重量による押圧力Pを加減することもできる。
【0029】
ローラ36が第2の部材12の中心線12eに沿った領域に押圧力Pを加えている上記の状態から、制御部34は、ローラ駆動機構38を制御して、ローラ36を、第2の部材12の右方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(a))。この平行移動の間、ローラ36は、その外周面36bを第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動する。そして、ローラ36のこのような平行移動に同期して、制御部34は、可動台駆動機構28を制御して、図で右側の可動台26を適当な速度で下方移動させ、第2の部材12の中心線12eから右側の部分の撓み量を漸減させる。制御部34は、可動台駆動機構28及びローラ駆動機構38に対するこのような同期制御を、ローラ36が第2の部材12の右方の短縁12dに到達する(図5(b))まで実行する。なお、ローラ駆動機構38は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備えている。
【0030】
ローラ36を上記のように平行移動させる間、ローラ36が第2の部材12の一方の短縁12dに到達しないうちに、もう1つのローラ36´を、その回転軸線36´aを第2の部材12の中心線12eに平行する方向へ配置して、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に載せる。このとき、ローラ36´の外周面36´bは、第2の部材12の中心線12eに平行する接触面を形成して、第2の部材12の裏面12bに接触する。そして、ローラ36´の重量により、局所的な押圧力P´を第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に一様に加える(図5(a))。なお、ローラ36´を第2の部材12の裏面12bに載せる作業は、図示しない運搬装置や人手等により実施できる。また、適当な外力をローラ36´に加えることにより、ローラ36´の重量による押圧力P´を加減することもできる。
【0031】
ローラ36´が第2の部材12の中心線12eに沿った領域に押圧力P´を加えている上記の状態から、制御部34は、ローラ駆動機構38を制御して、ローラ36´を、第2の部材12の左方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(b))。この平行移動の間、ローラ36´は、その外周面36´bを第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動する。そして、ローラ36´のこのような平行移動に同期して、制御部34は、可動台駆動機構28を制御して、図で左側の可動台26を適当な速度で下方移動させ、第2の部材12の中心線12eから左側の部分の撓み量を漸減させる。制御部34は、可動台駆動機構28及びローラ駆動機構38に対するこのような同期制御を、ローラ36´が第2の部材12の左方の短縁12dに到達する(図5(c))まで実行する。
【0032】
両ローラ36、36´が第2の部材12の左右両方の短縁12dに順次到達した後は、それらローラ36、36´を第2の部材12から離脱するとともに、両側の可動台26を第2の部材12から離隔させて、第2の部材12を、全体に撓みの無い初期の形態に復元させる。このようにして、平板状の第1の部材10の第1表面10aと、平板状の第2の部材12の第2表面12aとの間に、第1接着部材14及び第2接着部材18の組合せ体としての単一の接着層30が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く広がって形成される(図5(d))。
【0033】
図示の接合方法の次ステップでは、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に形成した接着層30を、第1接着部材14及び第2接着部材18の素材である接着剤の種類に応じた適当な手段により固化させる。例えば、第1接着部材14及び第2接着部材18の双方が、紫外線硬化型接着剤である場合には、図5(d)に示す組合せ状態の第1の部材10と第2の部材12とに紫外線を照射して、接着層30を固化させる。或いは、第1接着部材14及び第2接着部材18の双方が、二液反応型接着剤である場合には、図5(d)に示す組合せ状態の第1の部材10と第2の部材12とをそのまま放置して、接着層30を固化させる。このようにして、第1の部材10と第2の部材12との接合工程が完了する。
【0034】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、前述したように、接合対象の第1の部材10と第2の部材12との間で最初に1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とが接触するから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法(例えば既述の特許文献2に記載の手法)に比べて、接触開始点での接着部材14、18への空気の取り込みを効果的に防止できる。しかも、直線状形態の複数の第1接着部材14に、直線状形態の1つの第2接着部材18を、互いに略直交する配置で接触させるようにしたから、一方の部材に配置した接着剤に対し、他方の部材に点状に配置した接着剤を、つらら状に垂れ下がらせて接触させる接合手法(例えば既述の特許文献1に記載の手法)に比べて、より広範囲に配置される複数の第1接着部材14に対して一様に接触開始点での空気の取り込みを防止できる。したがって、上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置によれば、第1の部材10と第2の部材12とをそれらの間に挟んだ接着層30で接合する際に、接着層30への気泡の混入を一層確実に防止できる。
【0035】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、有機ELディスプレイ等の表示装置(すなわち第1の部材)の画面に、保護等の目的でガラス板等の透明な平板状の部材(すなわち第2の部材)を接合する作業に適用できる。特に、例えば42型(42インチ)以上の画面サイズを有する表示装置の画面に、同サイズ以上の寸法のガラス板を接合する作業に、好適に適用できる。このような適用において、画面とガラス板との間に介在する接着層は、例えば50μm〜200μmの厚みを有するものであり、上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置を用いることにより、気泡が混入せず、ガラス板を通した画面の視認性に影響を及ぼさないものとなる。なお、ここに開示した部材接合方法及び部材接合装置を、42型未満であって例えば12型以上の画面サイズを有する表示装置に対して適用することもできる。
【0036】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、第1接着部材14と第2接着部材18とを互いに同一の接着剤で形成することが、相互接触時の気泡の混入を防止する観点で有利である。或いは、相互接触時の相溶性を一定水準で確保できることを条件として、第1接着部材14と第2接着部材18とを互いに異なる接着剤で形成することもできる。また、第1接着部材14及び第2接着部材18は、例えば1Pa・s(1000cP)〜10Pa・s(10000cP)の粘度と、ある程度のチキソ性と、任意の濡れ性とを有することが、第1接着部材14及び第2接着部材18を全長に渡って一様な太さ及び断面形状に形成する観点、及び相互接触後に第1接着部材14及び第2接着部材18を満遍無く円滑に押し広げることを可能にする観点で望ましい。
【0037】
また、第2接着部材18は、図3(a)及び図4(a)に示す初期の相対位置で、重力により第2の部材12の第2表面12aから垂れ落ちない程度の量を、適宜選択して配置しておくことが望ましい。例えば、第2接着部材18の太さが、幅3〜10mm程度、高さ0.5〜5mm程度になるように、第2接着部材18の量を選択できる。なお、第2接着部材18の量は、使用する接着剤の粘度、チキソ性、第2表面12aに対する濡れ性等に基づき、最適値を選択することができる。
【0038】
第1接着部材14及び第2接着部材18の素材となる接着剤の組成、種類は、好ましくは上記性質を確保できることを要件として適宜選定できる。第1接着部材14及び第2接着部材18に使用可能な、常態で流動性を有する液状の接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルアセタール系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、セルロース系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリアロマティック系接着剤、クロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレン系接着剤、ブチルゴム系接着剤、ポリサルファイド系接着剤及びシリコーンゴム系接着剤等がある。
【0039】
これらのうち、アクリル系モノマー及び平均分子量が10万以下のオリゴマーを50重量%以上含有するアクリル系接着剤を、好適に使用できる。アクリル系モノマー及びオリゴマーとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート(n−C16)、ステアリル(メタ)アクリレート(n−C18)、アラキル(メタ)アクリレート(n−C20)、及びベヘニル(メタ)アクリレート(n−C22)等の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソセチル(メタ)アクリレート(iso−C16)、イソステアリル(メタ)アクリレート(iso−C18)、及び2−オクチルドデカニル(メタ)アクリレート(iso−C20)等の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、並びにN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、及びt−オクチルアクリルアミド等の置換アクリルアミドがある。
【0040】
また、アクリル系モノマー及びオリゴマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素添加ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水素添加イソプレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等がある。
【0041】
また、第1接着部材14及び第2接着部材18に使用できる液状接着剤は、紫外線若しくは可視光の照射によって、又は加熱することによって硬化することが好ましい。この場合、接着剤の成分中に、放射線(光)重合開始剤又は熱重合開始剤を含むことができる。
【0042】
第1接着部材14及び第2接着部材18は、種々の装置や手作業により、第1の部材10の第1表面10a及び第2の部材12の第2表面12aに配置できる。例えば、複数の第1接着部材14及び1つの第2接着部材18を、塗布ノズルを備えた塗布装置を用いて接着剤を第1表面10a及び第2表面12aに塗布することにより形成する手法によれば、それら第1接着部材14及び第2接着部材18を広範囲に渡って一様な寸法及び形状で配置でき、以て広範囲に渡る接触開始点での空気の取り込みを一様に防止できる。この場合、例えば、第1表面10aを上に向けて平置きした第1の部材10に対し、素材となる接着剤を図示しない1つの塗布ノズルで塗布することにより、複数の第1接着部材14を1本ずつ順次形成することができる。或いは、複数の塗布ノズルを用いて、複数の第1接着部材14を同時に形成することもできる。
【0043】
1つの塗布ノズルを用いる場合は、図6(a)に示すように、第1の部材10の第1表面10aの両短縁10dに近接する領域をマスク40で覆った状態で、第1接着部材14の素材となる接着剤を1つの塗布ノズルにより第1表面10a及びマスク40に連続的に塗布し、塗布終了後にマスク40を除去する手法を採用することもできる。この手法によれば、第1接着部材14の配置に要する時間を短縮できるとともに、個々の第1接着部材14の長さ方向両端で供給接着剤の流れが断続しないので、塗布作業中の気泡の混入を防止できる。
【0044】
複数の第1接着部材14は、互いに平行に配置される上記構成に限定されず、隣り合う第1接着部材14の間に排気通路として機能する領域16を形成できること(つまり隣り合う第1接着部材14が互いに接触しないこと)を条件として、互いに斜行して配置される構成とすることもできる。この構成においても、図6(b)に示すように、マスク40を用いた塗布方法が有効である。また、個々の第1接着部材14は、図示の直線状形態に限定されず、略一様な太さ及び断面形状を有する線状形態であること、及び隣り合う第1接着部材14の間に排気通路として機能する領域16を形成できることを条件として、曲線状の形態を有することもできる。第1接着部材14の寸法(太さや長さ)、本数、配置間隔等は、素材となる接着剤の組成や性質、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの接着面積等に応じて決定される。
【0045】
第2接着部材18は、例えば、第2表面12aを上に向けて平置きした第2の部材12に対し、素材となる接着剤を図示しない1つの塗布ノズルで塗布することによって形成できる。しかし、第2表面12aに第2接着部材18を配置した第2の部材12を表裏反転させて第1の部材10の上方に配置する手間と時間を削減するべく、例えば第2支持部22の一対の可動台26に、第2表面12aを下に向けて第2の部材12を両端支持した状態で、自重により下に凸に撓んだ第2表面12aの中心線12eの領域に、素材となる接着剤を1つの塗布ノズルで線状に塗布することにより、第2接着部材18を形成することが有利である。
【0046】
なお第2接着部材18は、図示の直線状形態に限定されず、略一様な太さ及び断面形状を有する線状形態であること、及び第2の部材12の中心線12eに実質的に沿って配置できることを条件として、曲線状(例えば蛇行状)の形態を有することもできる。第2接着部材18の寸法(太さや長さ)は、素材となる接着剤の組成や性質、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの接着面積等に応じて決定される。第1接着部材14が斜行していたり曲線状形態を有していたり、また第2接着部材18が曲線状形態を有していたりした場合には、第1の部材10と第2の部材12とを図3(a)及び図4(a)に示す相対位置に配置したときに、複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とは互いに適当な角度で交差する方向へ延びることになる。
【0047】
本発明の一実施形態による部材接合装置は、上記した第2接着部材18の形成作業を実行するために、図7に示すように、第2支持部22の一対の可動台26に第2表面12aを下に向けて支持した第2の部材12の第2表面12aに、第2接着部材18の素材となる接着剤を線状に塗布する塗布装置42をさらに備えることができる。塗布装置42は、吐出口を上に向けた塗布ノズル44と、塗布ノズル44を第2の部材12の第2表面12aに平行な方向へ直線状に移動するノズル駆動機構46と、塗布ノズル44の吐出口から所定量の接着剤を吐出させる接着剤供給機構48と、ノズル駆動機構46及び接着剤供給機構48を制御する塗布制御部50とを備える。
【0048】
塗布ノズル44は、接着剤供給機構48に接続される接着剤供給路52と、接着剤供給路52の軸線方向に略直交する端面を有する上向きの吐出口54とを備える(図8(a))。或いは塗布ノズル44は、接着剤供給路52と、接着剤供給路52の軸線方向に斜交する端面を有する上向きの吐出口54´とを備えることもできる(図8(b))。また、塗布作業中に吐出口54から溢出して塗布ノズル44の外面を流れ落ちる過剰な接着剤を受ける受け皿56と、受け皿56の底面に開口する排液管58とを備えることもできる(図8(a))。
【0049】
ノズル駆動機構46は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備え、第2の部材12の下向きの第2表面12aと塗布ノズル44の上向きの吐出口54、54´との間に一定の間隙を維持した状態で、塗布ノズル44を第2表面12aに平行な方向へ任意の速度で直線状に移動することができる。接着剤供給機構48は、接着剤貯蔵部並びにポンプ及びバルブ等の流体装置を備え、接着剤の組成や性質、塗布ノズル44の移動速度等に応じた任意の流量で、第2接着部材18の素材となる接着剤を塗布ノズル44に供給することができる。塗布制御部50は、ノズル駆動機構46及び接着剤供給機構48を制御して、塗布ノズル44の移動速度と塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量とを調整させ、一様な所望太さ(幅及び高さ)の第2接着部材18を連続した線状形態で安定して形成できるようにする。ここで、塗布ノズル44の移動速度が塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量に比較して速すぎる場合には、接着剤が断続して塗布されてしまう恐れがあり、連続した線状形態の第2接着部材18を形成することが困難になる。他方、塗布ノズル44の移動速度が塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量に比較して遅すぎる場合には、接着剤が吐出口54から溢出して塗布ノズル44の外面を流れ落ち、一様な所望太さ(幅及び高さ)の第2接着部材18を安定して形成することが困難になる。
【0050】
なお、第1接着部材14及び第2接着部材18を、塗布ノズル以外の塗布法や、スクリーン印刷等の印刷法等の、他の様々な液体適用法により、第1の部材10の第1表面10a及び第2の部材12の第2表面12aに配置することもできる。
【0051】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、前述したように、第2接着部材18が個々の第1接着部材14に接触する瞬間の一対の可動台26(したがって第2の部材12)の下方移動速度を、例えば0.5mm/秒以下とすることで、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間に接着剤中に空気を取り込まないようにすることができる。他方、第1の部材10と第2の部材12との間で最初に1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とが接触する構成であるから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法(例えば既述の特許文献2に記載の手法)とは異なり、第2接着部材18が第1接着部材14に接触する瞬間の一対の可動台26(したがって第2の部材12)の下方移動速度を、例えば0.05mm/秒よりも速くしたとしても、接着剤中への空気の取り込みを回避することができる。
【0052】
なお、第2の部材12を移動可能に支持する第2支持部22は、第2の部材12を下から支持する可動台26を有する構成に限定されず、例えば上方から吊り下げ式に第2の部材12を支持する構成とすることもできる。
【0053】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、ローラ36、36´の重量が重いほど、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間で第1接着部材14及び第2接着部材18を迅速に押し広げることができ、したがって、ローラ36、36´の平行移動の速度を速くして生産性を向上させることができる。よって、ローラ36、36´の素材としては、鉄等の比重の大きい金属材料を用いることが好ましい。この構成では、第2の部材12がガラス等の脆性素材からなる場合、ローラ36、36´の外周面36b、36´bをゴム等の柔軟な被覆で覆うことが望ましい。なお、所望の重量を確保できるのであれば、ローラ36、36´を金属以外の種々の材料から形成することもできる。また、ローラ36、36´の平行移動の速度は、ローラ36、36´の重量だけでなく、第1接着部材14及び第2接着部材18の組成や性質等、第2の部材12の素材等の種々のパラメータに基づいて、適当に設定できる。
【0054】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置の変形例として、前述したローラ36、36´に代えて、図9に示すように、各々の回転軸線(図示せず)を中心に互いに独立して回転可能な複数のローラ60を用いることができる。図示の複数のローラ60は、いずれも同一の寸法、形状及び重量を有し、中心の貫通孔62に、共通する1本の軸64が隙間を介して挿入される。個々のローラ60は、貫通孔62と軸64との間の隙間に対応する距離を上限として、互いに独立して任意の径方向へ自在に変位する(つまり個々の回転軸線が互いに独立して平行移動する)ことができ、変位した位置で、軸64の軸線64aに略平行な回転軸線の周りを互いに独立して回転することができる。なお、各ローラ60の寸法は、例えば軸線方向長さ50mm程度、直径100mm程度とすることができる。
【0055】
これら複数のローラ60を最初に第2の部材12の裏面12bに載せる際には、ローラ36と同様に、個々のローラ60の回転軸線及び軸64の軸線64aを、第2の部材12に設けた1つの第2接着部材18に平行する方向(つまり第2の部材12の中心線12eに平行する方向)へ配置し、複数のローラ60を回転軸線方向へ並べて配置する。そして、複数のローラ60により、第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力Pを加える(図3(c))とともに、ローラ駆動機構38を制御して、軸64及び複数のローラ60を一括して、第2の部材12の右方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(a))。同様に、後続のローラ36´に代えて複数のローラ60を用いる場合にも、ローラ駆動機構38を制御して、軸64及び複数のローラ60を一括して、第2の部材12の左方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(b))。この平行移動の間、複数のローラ60は、個々の外周面60a(図9)を第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動し、裏面12bに凹凸が有る場合にはその凹凸に応じて、互いに独立して任意の径方向へ自在に変位する。
【0056】
上記構成によれば、例えば第2の部材12の厚みの不均一さ等に起因して裏面12bに凹凸が存在する場合であっても、複数のローラ60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させる間に、個々のローラ60が独立して軸64に対し任意の径方向へ自在に変位することで第2の部材12の裏面12bの凹凸を吸収して、個々のローラ60の重量による押圧力Q(Q=P/ローラ60の個数)を、第2の部材12の裏面12bに一様に加えることができる。その結果、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に、全体に渡って第1接着部材14を、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡らせることができる。この構成は、第1の部材10の第1表面10aの平面度が悪い場合にも、同様に有効である。なお、複数のローラ60が同一密度を有することを条件として、それらローラ60を異なる素材から形成したり異なる寸法に形成したりすることもできる。また、個々のローラが独立して任意の径方向へ自在に変位できることを前提に、共通する軸64に代えて各ローラ60が専用の軸を有する構成とすることもできる。
【0057】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、ローラ36、36´、60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させる間に、可動台26を適当な速度で下方移動させることにより、第2の部材12の撓み量を漸減させている。このとき、図10に模式図的に示すように、ローラ36の回転軸線36aからローラ移動方向に見て距離Dの位置における、第1の部材10と第2の部材12との間隔Gが、0.02<G/D<0.2となるように、可動台駆動機構28を制御することが望ましい。ただし、ローラ36の回転軸線36aが、第2の部材12の短縁12dから100mm以上の位置にある間は、D=100(mm)の一定値とする。G/Dが0.2以上になると、第2の部材12がガラス等の脆性素材からなる場合に、第2の部材12が破損する恐れがある。他方、G/Dが0.02以下になると、ローラ36、36´、60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させて第1接着部材14及び第2接着部材18を押し広げる間に、接着剤に空気を取り込む恐れが高まる。
【0058】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置の他の変形例として、図11に示すように、第2の部材12の第2表面12aの一方の短縁12dに沿った領域に、直線状形態を有する1つの第2接着部材18を配置するとともに、押圧力P(すなわちローラ36)を、第2の部材12の裏面12bの一方の短縁12dに沿った領域から他方の短縁12dに向かって移動させる構成とすることもできる。この構成では、第1の部材10と第2の部材12とが前述した初期の相対位置に配置されているときに、一方の可動台26が、第2の部材12の第2接着部材18に近接する短縁12bを任意の高さに支持するとともに、他方の可動台26が、第2の部材12の第2接着部材18から離れた短縁12bを、一方の可動台26よりも前述した範囲を満たす間隔Gだけ高い位置に支持し、それにより、第2の部材12の第2接着部材18の領域が最も下方に(すなわち第1の部材10に最も近接して)配置される。この相対位置から、両方の可動台26を同期して下方移動し、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に、1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。そして、第2の部材12の裏面12bにローラ36を載せて第2接着部材18に近接する領域に局所的な押圧力Pを加え、さらに、押圧力P(ローラ36)を、第2の部材12の裏面12bの他方の短縁12dに向かって移動させると同時に、他方の可動台26を下方移動して第2の部材12の撓みを漸減させる。このような変形例による接合方法及び接合装置は、図1〜図5に示す部材接合方法及び部材接合装置に比べて、構成が単純化される利点がある。
【0059】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、追加ステップとして、接着層30を固化させる前に、第1表面10aと第2表面12aとの間に接着層30を形成した第1の部材10と第2の部材12との全体を、所定の空気圧により加圧するステップを実施することができる。この追加ステップでは、例えば図12に示すように、接着層30を形成した第1の部材10と第2の部材12との全体を密閉容器66に収容し、密閉容器66の内圧をコンプレッサ68等により大気圧以上(好ましくは大気圧の2倍以上)に上昇させて、適度な時間に渡りこの空気圧を維持した後、大気圧に戻す。この工程を経ることで、接着層30に混入しているかもしれない微小な気泡を、固化前の接着層30に気泡中の空気を溶け込ませることにより、完全に除去することができる。
【0060】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置を適用可能な第1の部材10及び第2の部材12は、平板状の部材に限らず、第1表面10a及び第2表面12aが局部的又は全体的に曲面を含む部材であってもよい。特に第1の部材10は、第1表面10aの寸法よりも大きな厚みを有するブロック状の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 第1の部材
12 第2の部材
14 第1接着部材
18 第2接着部材
20 第1支持部
22 第2支持部
26 可動台
28 可動台駆動機構
30 接着層
32 押圧部
34 制御部
36、36´、60 ローラ
38 ローラ駆動機構
42 塗布装置
44 塗布ノズル
46 ノズル駆動機構
48 接着剤供給機構
66 密閉容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の接合方法に関する。本発明はまた、部材の接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの部材と他の部材とを、それらの間に挟んだ接着剤で接合する際に、接着剤への気泡の混入を防止しながら接合する手法が知られている。
【0003】
例えば特許文献1は、接着樹脂中に気泡を生じることなく2枚の平板を貼り合わせる方法及び装置を開示する。特許文献1には、「平板マイクロレンズ22(平板1)の上面及びガラス基板23(平板2)の上面に、それぞれ樹脂付与部18、19から紫外線硬化樹脂などの接着樹脂3を滴下する(図1(a))。次に、ガラス基板23を上下反転して平板マイクロレンズ22と対向させ、ガラス基板23に点状に付着した接着樹脂3をつらら状に垂れ下がらせる(図1(b))。この状態を保ったまま、ガラス基板23を降下して平板マイクロレンズ22上面の接着樹脂3と接触させる(図1(c))。さらに、ガラス基板23を降下して、接着樹脂3をガラス基板23と平板マイクロレンズ22との貼り合わせ面全面に押し広げ、必要に応じて加圧部21によりガラス基板23を平板マイクロレンズ22に十分圧接する。最後に紫外線ランプ24から紫外線を照射して接着樹脂3を硬化させる(図1(d))。」、「平板貼り合わせ装置43は、図5に示すように上側に支持されたガラス基板23の下面に接着樹脂3を付着できる樹脂付与部32と下側に支持された平板マイクロレンズ22の上面に接着樹脂3を滴下できるディスペンサ型の樹脂付与部33とが備えられている。樹脂付与部32は、上端部が開口された円筒形状をしており、接着樹脂3はその表面張力によりその上端開口から盛り上がるように供給され、この盛り上がりにガラス基板23の下面を接触させることによりガラス基板23の下面に接着樹脂3を転移できるようになっている。」と記載されている。
【0004】
また特許文献2は、2枚の基板を両者間の樹脂材料への気泡の混入なく貼り合わせることができる貼合装置および貼合方法を開示する。特許文献2には、「本発明による貼合装置は、樹脂材料が配置された第1基板を保持する第1基板保持部と、第2基板の対向する二辺を保持し、第2基板と第1基板保持部に保持された第1基板の樹脂材料側とを対向させる第2基板保持部と、第2基板の中央部から対向する二辺の各々へ向かって互いに逆方向へ移動しながら第2基板に押圧力を付与することにより、第2基板と第1基板とを樹脂材料を介して貼り合わせる一対の押圧部とを備えたものである。」、「塗布部220は、樹脂材料30を、間隔をあけて複数本の連続した線状に塗布可能となっている。」、「第2基板保持部320によって封止基板20と素子基板10の樹脂材料30との間に間隙Gを維持した状態で、初期押圧部330により、封止基板20の対向する二辺21,22の中線23で押圧する。これにより、封止基板20の中央部が撓んで樹脂材料30に線接触し、線接触部24が形成される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−209076号公報(要約、0020)
【特許文献2】特開2004−296139号公報(0007、0034、0040)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの部材と他の部材とをそれらの間に挟んだ接着剤(特に常態で液体の接着剤)で接合する技術においては、接着剤への気泡の混入を一層確実に防止できるようにすることが望まれている。また、部材の接合方法及び接合装置の構成を簡略化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、部材の接合方法であって、第1の部材の第1表面に、各々が線状形態を有する複数の第1接着部材を互いに間隔を空けて配置し、第2の部材の第2表面に、線状形態を有する1つの第2接着部材を配置し、第1の部材と第2の部材とを、第1表面と第2表面とが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材と1つの第2接着部材とが互いに交差する方向へ延びる相対位置に配置し、この相対位置で第2の部材を撓ませて、第2の部材と第1の部材との間で最初に1つの第2接着部材を複数の第1接着部材に接触させ、第2の部材の第2表面の反対側の裏面に、第2の部材の一部分を第1の部材に押し付ける局所的な押圧力を加えて、1つの第2接着部材と、複数の第1接着部材の第2接着部材に接触した部分とを押し広げ、この局所的な押圧力を裏面に沿って移動させるとともに第2の部材の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材を第1表面と第2表面との間でさらに押し広げ、以て第1表面と第2表面との間に単一の接着層を形成し、接着層を固化させる、接合方法である。
【0008】
本発明の他の態様は、上記した接合方法を実施するための部材の接合装置において、複数の第1接着部材を配置した第1表面を上に向けて第1の部材を支持する第1支持部と、1つの第2接着部材を配置した第2表面を下に向けて第2の部材を支持し、第2の部材をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部と、第2の部材の裏面に局所的な押圧力を加える可動式の押圧部と、第2支持部の動作と押圧部の動作とを制御する制御部とを具備し、第2支持部は、第2の部材の外縁部分を第1の部材の第1表面から可変高さの位置に支持して、第2の部材を撓ませる可動台と、可動台を移動して第2の部材と第1の部材との相対位置を変化させる可動台駆動機構とを備え、押圧部は、各々の回転軸線を中心に互いに独立して回転可能でかつ回転軸線が互いに独立して変位可能な複数のローラであって、1つの第2接着部材に平行する方向へ回転軸線を配置して第2の部材の裏面に載せられる複数のローラと、複数のローラを、第2の部材の裏面に沿って平行移動するローラ駆動機構とを備え、制御部は、可動台駆動機構を制御して、第2の部材と第1の部材との間で最初に1つの第2接着部材を複数の第1接着部材に接触させ、可動台駆動機構とローラ駆動機構とを制御して、局所的な押圧力を裏面に沿って移動させるとともに第2の部材の撓み量を漸減させ、第1表面と第2表面との間に接着層を形成させる、接合装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る部材接合方法によれば、接合対象の第1の部材と第2の部材との間で最初に1つの第2接着部材と複数の第1接着部材とが接触するから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法に比べて、接触開始点での接着部材への空気の取り込みを効果的に防止できる。しかも、線状形態の複数の第1接着部材に、線状形態の1つの第2接着部材を、互いに交差する配置で接触させるようにしたから、一方の部材に配置した接着剤に対し、他方の部材に点状に配置した接着剤を、つらら状に垂れ下がらせて接触させる接合手法に比べて、より広範囲に配置される複数の第1接着部材に対して一様に接触開始点での空気の取り込みを防止できる。したがって、第1の部材と第2の部材とをそれらの間に挟んだ接着層で接合する際に、接着層への気泡の混入を一層確実に防止できる。
【0010】
本発明の他の態様に係る部材接合装置によれば、部材接合方法による上記効果が奏される。さらに、例えば第2の部材の厚みの不均一さ等に起因して第2の部材の裏面に凹凸が存在する場合であっても、複数のローラを第2の部材の裏面上で平行移動させる間に、個々のローラの回転軸線が独立して変位することで第2の部材の裏面の凹凸を吸収して、個々のローラの重量による押圧力を、第2の部材の裏面に一様に加えることができる。したがって、第1の部材の第1表面と第2の部材の第2表面との間に、全体に渡って第1接着部材を、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による部材接合方法の一ステップを模式図的に示す図で、接合対象となる第1の部材を三面図で示す。
【図2】本発明の一実施形態による部材接合方法の他のステップを模式図的に示す図で、接合対象となる第2の部材を三面図で示す。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態による部材接合方法の後続するステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図4】(a)〜(c)は、図3(a)〜(c)のステップを、図3(a)の線IV−IVに沿った断面で示す図で、部材接合装置の主要構成要素を一部省略して示す。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態による部材接合方法のさらに後続するステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図6】(a)図1の第1の部材における第1接着部材の形成方法の一例を模式図的に示す図、(b)変形例による第1接着部材の形成方法を模式図的に示す図である。
【図7】図2の第2の部材における第2接着部材の形成方法の一例を模式図的に示す図である。
【図8】(a)図7の形成方法で使用可能な塗布ノズルの一例を概略で示す図、(b)変形例による塗布ノズルを概略で示す図である。
【図9】図3〜図5の部材接合方法で使用可能なローラの一例を概略で示す断面図である。
【図10】図3〜図5の部材接合方法で採用可能な第2の部材の撓み条件を説明する図である。
【図11】変形例による部材接合方法の1ステップを模式図的に示す図で、第1の部材及び第2の部材を、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に正面図で示す。
【図12】本発明の一実施形態による部材接合方法で追加実施可能なステップを模式図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1〜図5は、本発明の一実施形態による部材接合方法の主要ステップを、本発明の一実施形態による部材接合装置の主要構成要素と共に、模式図的に示す。図示の接合方法及び接合装置は、第1の部材10と第2の部材12とを、それらの間に挟んだ常態で液体の接着剤により互いに接合するためのものである。
【0013】
図1に三面図で示すように、本発明の一実施形態による接合方法を適用する第1の部材10は、平面視で略矩形の平板状部材であり、略平坦な第1表面10aと、第1表面10aの反対側の裏面10bと、互いに平行する一対の長縁10cと、互いに平行する一対の短縁10dとを有する。図示の接合方法では、第1の部材10の第1表面10aに、各々が直線状形態を有する複数の液状の第1接着部材14を、互いに平行に間隔を空けて配置する。それら第1接着部材14は、第1の部材10の両長縁10cに平行に、かつ等間隔に整列して配置され、最も外側の2個の第1接着部材14が、両長縁10cからそれぞれ任意の間隔を空けて配置される。また、個々の第1接着部材14は、各長縁10cの中央を通って第1の部材10を長手方向へ二等分する中心線10eに対し、線対称の形状を有して、各短縁10dから任意の間隔をあけた位置で終端する。各第1接着部材14は、その全長に渡って略一様な太さ(幅及び高さ)とドーム形の断面形状とを有する。なお、隣り合う第1接着部材14の間の領域16は、第1の部材10と第2の部材12とを互いに接合する際に、第1接着部材14への空気の取り込みを防止するための排気通路として機能する。
【0014】
図2に三面図で示すように、本発明の一実施形態による接合方法を適用する第2の部材12は、平面視で略矩形の平板状部材であり、略平坦な第2表面12aと、第2表面12aの反対側の裏面12bと、互いに平行する一対の長縁12cと、互いに平行する一対の短縁12dとを有する。図示の接合方法では、第2の部材12の第2表面12aに、直線状形態を有する1つの液状の第2接着部材18を配置する。第2接着部材18は、第2の部材12の両短縁12dに平行に配置される。また、第2接着部材18は、第2の部材12の各長縁12cの中央を通って第2の部材12を長手方向へ二等分する中心線12e上に配置され、各長縁12cから任意の間隔をあけた位置で終端する。第2接着部材18は、その全長に渡って略一様な太さ(幅及び高さ)とドーム形の断面形状とを有する。図示構成では、第2の部材12は、長縁12c及び短縁12d(つまり平面視で横方向及び縦方向)の寸法が、それぞれ、第1の部材10の長縁10c及び短縁10d(つまり平面視で横方向及び縦方向)の寸法よりも僅かに大きく、また、第2接着部材18は、第1の部材10の短縁10dよりも僅かに短い全長を有する。
【0015】
なお、第1及び第2の部材10、12の平面視形状は、図1及び図2に示す長方形に限らず、正方形、平行四辺形等の他の形状とすることができる。また、第1の部材10と第2の部材12とは、図示のように互いに略同一の形状を有していてもよいし、或いは互いに異なる形状や寸法を有していてもよい。
【0016】
第1接着部材14及び第2接着部材18はいずれも、常態で液体の接着剤から構成される。図示の接合方法では、この接着剤は、最終ステップで固化される性質を有する。或いは、後述する第1の部材10と第2の部材12との貼り合わせステップに際して、徐々に固化する接着剤から、第1接着部材14及び第2接着部材18を構成することもできる。第1接着部材14及び第2接着部材18の素材となる接着剤は、例えば、放射線(紫外線、可視光等)硬化型接着剤、二液反応型接着剤、熱硬化型接着剤等から、適宜選択することができる。
【0017】
図示の接合方法の次ステップでは、図3(a)及び図4(a)に示すように、第1の部材10と第2の部材12とを、第1表面10aと第2表面12aとが互いに対向かつ離間するとともに複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とが互いに直交する方向へ延びる相対位置に配置する。さらに詳述すると、第1の部材10と第2の部材12とは、第1の部材10の長縁10c及び短縁10dがそれぞれ第2の部材12の長縁12c及び短縁12dに平行するとともに、第1の部材10の中心線10eが第2の部材12の中心線12eに平行しかつ重力方向に見て重なるような、相対位置に配置される。
【0018】
ここで、図示の接合方法を実施するための、本発明の一実施形態による部材接合装置は、複数の第1接着部材14を配置した第1表面10aを上に向けて第1の部材10を支持する第1支持部20と、1つの第2接着部材18を配置した第2表面12aを下に向けて第2の部材12を支持し、第2の部材12をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部22とを備えている(図3(a))。第1支持部20は、第1の部材10の裏面10bの略全体に接触する平坦な支持面24を有し、支持面24上に、平板状の第1の部材10を平置き状態で静止支持できる。第2支持部22は、第2の部材12の外縁部分(図では一対の短縁12dに沿った部分)を第1の部材10の第1表面10aから任意の可変高さの位置に支持する一対の可動台26と、それら可動台26を高さ方向へ移動して第2の部材12と第1の部材10との相対位置を変化させる可動台駆動機構28とを備える。一対の可動台26は、第2の部材12の外縁部分(一対の短縁12dに沿った部分)を支持することにより、平板状の第2の部材12を、その自重により下へ凸に撓ませることができる。可動台駆動機構28は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備え、一対の可動台26を互いに独立して所望速度で移動することができる。
【0019】
図3(a)及び図4(a)に示す初期の相対位置では、一対の可動台26が、第2の部材12の一対の短縁12dに沿った部分を互いに同一の高さに支持しており、それにより、第2の部材12の中心線12eの領域(したがって第2接着部材18)が最も下方に(すなわち第1の部材10に最も近接して)配置されている。なお、図示の相対位置では、第2接着部材18は、複数の第1接着部材14の全てを横断して最も外側の2個の第1接着部材14の略真上まで延びるように、配置されている。
【0020】
図示の接合方法の次ステップでは、上記した初期の相対位置から、図3(b)及び図4(b)に示すように、可動台駆動機構28の駆動により一対の可動台26を互いに同期して同一距離だけ任意の速度で下方移動し、第2の部材12の全体を平行移動させて第1の部材10に接近させる。それにより、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に、1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。このとき、1つの第2接着部材18が全ての第1接着部材14に略同時に接触することが好ましく、予め第1支持部20及び第2支持部22を調整して第1接着部材14及び第2接着部材18の水平度を向上させておくことが望ましい。ただしこのことは必須ではなく、第2接着部材18が複数の第1接着部材14に若干の時間差を有して接触しても良い。
【0021】
また、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間にそれら接着部材中に空気を取り込まないように、一対の可動台26の下方移動速度を適切に制御することが有利である。具体的には、第2接着部材18が個々の第1接着部材14に接触する瞬間の、一対の可動台26の下方移動速度は、例えば0.5mm/秒以下であることが好ましい。可動台26の下方移動速度が0.5mm/秒を超えると、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間にそれら接着部材中に空気を取り込み易くなる傾向がある。なお、第2接着部材18と個々の第1接着部材14との接触が生じる直前までは、接合工程のサイクルタイムを削減して生産性を高める観点で、0.5mm/秒よりも速い適当な速度で一対の可動台26を下方移動して、第2の部材12を第1の部材10に迅速に接近させ、その後に0.5mm/秒以下の適当な速度に減速して接合を行うことが望ましい。
【0022】
図示の接合方法の次ステップでは、図3(c)及び図4(c)に示すように、第2の部材12の裏面12bに、第2の部材12の一部分を第1の部材10に押し付ける方向への局所的な押圧力(すなわち荷重)Pを加えて、1つの第2接着部材18と、複数の第1接着部材14の第2接着部材18に接触した部分とを押し広げる。図示構成では、第2の部材12の中心線12eに沿った領域(つまり第2接着部材18が位置する領域)に、一様に押圧力Pが加えられ、第2接着部材18の全体が、接触する全ての第1接着部材14とそれらの間の第1の部材10の表面10aの中心線10eに沿った領域とに押し付けられる。この状態で、第1の部材10及び第2の部材12の中心線10e、12eに沿った領域で、第2接着部材18と第1接着部材14とが合わさって、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16(図1)を満たす。ここで、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間に、前述したようにそれら接着部材中に空気を取り込まないように構成することで、その後に第1接着部材14と第2接着部材18とを押し付け合う間は、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気が円滑に押し出されるので、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0023】
図示の接合方法の次ステップでは、図5(a)に示すように、局所的な押圧力Pを第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに、第2の部材12の撓み量を漸減させて、複数の第1接着部材14を第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。図示構成では、局所的な押圧力Pを、第2の部材12の中心線12eに沿った領域から、第2の部材12の一方(図で右方)の短縁12dに向かって、複数の第1接着部材14に平行する方向へ、裏面12bに沿って移動させる。そして、押圧力Pのこのような移動に同期して、第2の部材12の、中心線12eから図で右側の部分の撓み量を漸減させることにより、第2の部材12の応力集中による損傷を防止しながら、複数の第1接着部材14の、第1の部材10の中心線10eから図で右側の部分を押し広げることができる。ここで、第2の部材12の中心線12eに沿った領域に最初に押圧力Pを加えて第2接着部材18と複数の第1接着部材14の接触部分とを押し広げるときに、前述したようにそれら接着部材中に空気を取り込まないように構成することで、その後に押圧力Pを移動させる間は、押圧力Pによって第1接着部材14が、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気を円滑に押し出しながら、第1の部材10の右方の短縁10dに向かって領域(排気通路)16を漸進的に満たすから、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0024】
第2の部材12の裏面12bに最初に加えた押圧力Pを上記のように移動させる間、当該押圧力Pが第2の部材12の一方の短縁12dに到達しないうちに、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に、第2の部材12の一部分を第1の部材10に押し付ける方向への他の局所的な押圧力(すなわち荷重)P´を加える(図5(a))。そして、押圧力P´を、第2の部材12の中心線12eに沿った領域から、第2の部材12の他方(図で左方)の短縁12dに向かって、複数の第1接着部材14に平行する方向へ、裏面12bに沿って移動させる(図5(b))。また、押圧力P´のこのような移動に同期して、第2の部材12の、中心線12eから図で左側の部分の撓み量を漸減させることにより、第2の部材12の応力集中による損傷を防止しながら、複数の第1接着部材14の、第1の部材10の中心線10eから図で左側の部分を、第1表面10aと第2表面12aとの間でさらに押し広げる。このステップにおいても、移動する押圧力P´によって第1接着部材14が、隣り合う第1接着部材14の間の領域(排気通路)16から空気を円滑に押し出しながら、第1の部材10の左方の短縁10dに向かって領域(排気通路)16を漸進的に満たすから、やはり接着部材中への空気の取り込みを防止することができる。
【0025】
最初の押圧力Pが第2の部材12の右方の短縁12dに到達する(図5(b))と、同時に第2の部材12の中心線12eから右側の部分の撓みが除去されて、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間の、中心線10e、12eよりも右側の領域に、第1接着部材14が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡る。続いて、次の押圧力P´が第2の部材12の左方の短縁12dに到達する(図5(c))と、同時に第2の部材12の中心線12eから左側の部分の撓みが除去されて、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間の、中心線10e、12eよりも左側の領域に、第1接着部材14が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡る。なお、中心線10e、12eの近傍では、第1接着部材14と第2接着部材18とが気泡の混入無く接触しており、第2接着部材18の幾分かは、押圧力P、P´の移動に伴って、第1接着部材14に混入した形態で中心線10e、12eから離れた位置まで押し広げられている。
【0026】
両押圧力P、P´が第2の部材12の左右両方の短縁12dに順次到達した後は、それら押圧力P、P´を解除するとともに、第2の部材12を、全体に撓みの無い初期の形態に復元させる。このようにして、平板状の第1の部材10の第1表面10aと、平板状の第2の部材12の第2表面12aとの間に、第1接着部材14及び第2接着部材18の混合体としての単一の接着層30が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く広がって形成される(図5(d))。なお、押圧力P、P´は、互いに同じ大きさであることが、接着層30の厚みや広がり方を中心線10e、12eの左右で均一化する観点で望ましい。
【0027】
本発明の一実施形態による部材接合装置は、図3〜図5に示す工程を実施するために、第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力P、P´を加える可動式の押圧部32と、第2支持部22の動作と押圧部32の動作とを制御する制御部34とを、さらに備えている(図3(a)、(c))。押圧部32は、第2の部材12に設けた1つの第2接着部材18に略平行する方向(つまり第2の部材12の中心線12eに略平行する方向)へ回転軸線36aを配置して第2の部材12の裏面12bに載せられるローラ36、36´と、ローラ36、36´を第2の部材12の裏面12bに沿って任意の速度で平行移動するローラ駆動機構38とを備える(図3(c)、図5(a))。制御部34は、第2支持部22の可動台駆動機構28を制御して、一対の可動台26を前述したように所望の速度で下方移動させ、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる(図3(b))。
【0028】
制御部34はまた、可動台駆動機構28とローラ駆動機構38とを制御して、局所的な押圧力P、P´を第2の部材12の裏面12bに沿って移動させるとともに第2の部材12の撓み量を漸減させ、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に接着層30を形成させる。詳述すると、第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させた状態の第2の部材12(図3(b))に対し、1つのローラ36を、その回転軸線36aを第2接着部材18に平行する方向へ配置して、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に載せる。このとき、ローラ36の外周面36bは、第2の部材12の中心線12eに略平行する接触面を形成して、第2の部材12の裏面12bに接触する。そして、ローラ36の重量により、局所的な押圧力Pを第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に一様に加える(図3(c))。なお、ローラ36を第2の部材12の裏面12bに載せる作業は、図示しない運搬装置や人手等により実施できる。また、適当な外力をローラ36に加えることにより、ローラ36の重量による押圧力Pを加減することもできる。
【0029】
ローラ36が第2の部材12の中心線12eに沿った領域に押圧力Pを加えている上記の状態から、制御部34は、ローラ駆動機構38を制御して、ローラ36を、第2の部材12の右方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(a))。この平行移動の間、ローラ36は、その外周面36bを第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動する。そして、ローラ36のこのような平行移動に同期して、制御部34は、可動台駆動機構28を制御して、図で右側の可動台26を適当な速度で下方移動させ、第2の部材12の中心線12eから右側の部分の撓み量を漸減させる。制御部34は、可動台駆動機構28及びローラ駆動機構38に対するこのような同期制御を、ローラ36が第2の部材12の右方の短縁12dに到達する(図5(b))まで実行する。なお、ローラ駆動機構38は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備えている。
【0030】
ローラ36を上記のように平行移動させる間、ローラ36が第2の部材12の一方の短縁12dに到達しないうちに、もう1つのローラ36´を、その回転軸線36´aを第2の部材12の中心線12eに平行する方向へ配置して、第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に載せる。このとき、ローラ36´の外周面36´bは、第2の部材12の中心線12eに平行する接触面を形成して、第2の部材12の裏面12bに接触する。そして、ローラ36´の重量により、局所的な押圧力P´を第2の部材12の裏面12bの中心線12eに沿った領域に一様に加える(図5(a))。なお、ローラ36´を第2の部材12の裏面12bに載せる作業は、図示しない運搬装置や人手等により実施できる。また、適当な外力をローラ36´に加えることにより、ローラ36´の重量による押圧力P´を加減することもできる。
【0031】
ローラ36´が第2の部材12の中心線12eに沿った領域に押圧力P´を加えている上記の状態から、制御部34は、ローラ駆動機構38を制御して、ローラ36´を、第2の部材12の左方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(b))。この平行移動の間、ローラ36´は、その外周面36´bを第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動する。そして、ローラ36´のこのような平行移動に同期して、制御部34は、可動台駆動機構28を制御して、図で左側の可動台26を適当な速度で下方移動させ、第2の部材12の中心線12eから左側の部分の撓み量を漸減させる。制御部34は、可動台駆動機構28及びローラ駆動機構38に対するこのような同期制御を、ローラ36´が第2の部材12の左方の短縁12dに到達する(図5(c))まで実行する。
【0032】
両ローラ36、36´が第2の部材12の左右両方の短縁12dに順次到達した後は、それらローラ36、36´を第2の部材12から離脱するとともに、両側の可動台26を第2の部材12から離隔させて、第2の部材12を、全体に撓みの無い初期の形態に復元させる。このようにして、平板状の第1の部材10の第1表面10aと、平板状の第2の部材12の第2表面12aとの間に、第1接着部材14及び第2接着部材18の組合せ体としての単一の接着層30が、気泡の混入を防止した状態で満遍無く広がって形成される(図5(d))。
【0033】
図示の接合方法の次ステップでは、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に形成した接着層30を、第1接着部材14及び第2接着部材18の素材である接着剤の種類に応じた適当な手段により固化させる。例えば、第1接着部材14及び第2接着部材18の双方が、紫外線硬化型接着剤である場合には、図5(d)に示す組合せ状態の第1の部材10と第2の部材12とに紫外線を照射して、接着層30を固化させる。或いは、第1接着部材14及び第2接着部材18の双方が、二液反応型接着剤である場合には、図5(d)に示す組合せ状態の第1の部材10と第2の部材12とをそのまま放置して、接着層30を固化させる。このようにして、第1の部材10と第2の部材12との接合工程が完了する。
【0034】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、前述したように、接合対象の第1の部材10と第2の部材12との間で最初に1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とが接触するから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法(例えば既述の特許文献2に記載の手法)に比べて、接触開始点での接着部材14、18への空気の取り込みを効果的に防止できる。しかも、直線状形態の複数の第1接着部材14に、直線状形態の1つの第2接着部材18を、互いに略直交する配置で接触させるようにしたから、一方の部材に配置した接着剤に対し、他方の部材に点状に配置した接着剤を、つらら状に垂れ下がらせて接触させる接合手法(例えば既述の特許文献1に記載の手法)に比べて、より広範囲に配置される複数の第1接着部材14に対して一様に接触開始点での空気の取り込みを防止できる。したがって、上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置によれば、第1の部材10と第2の部材12とをそれらの間に挟んだ接着層30で接合する際に、接着層30への気泡の混入を一層確実に防止できる。
【0035】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマパネル)、有機ELディスプレイ等の表示装置(すなわち第1の部材)の画面に、保護等の目的でガラス板等の透明な平板状の部材(すなわち第2の部材)を接合する作業に適用できる。特に、例えば42型(42インチ)以上の画面サイズを有する表示装置の画面に、同サイズ以上の寸法のガラス板を接合する作業に、好適に適用できる。このような適用において、画面とガラス板との間に介在する接着層は、例えば50μm〜200μmの厚みを有するものであり、上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置を用いることにより、気泡が混入せず、ガラス板を通した画面の視認性に影響を及ぼさないものとなる。なお、ここに開示した部材接合方法及び部材接合装置を、42型未満であって例えば12型以上の画面サイズを有する表示装置に対して適用することもできる。
【0036】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、第1接着部材14と第2接着部材18とを互いに同一の接着剤で形成することが、相互接触時の気泡の混入を防止する観点で有利である。或いは、相互接触時の相溶性を一定水準で確保できることを条件として、第1接着部材14と第2接着部材18とを互いに異なる接着剤で形成することもできる。また、第1接着部材14及び第2接着部材18は、例えば1Pa・s(1000cP)〜10Pa・s(10000cP)の粘度と、ある程度のチキソ性と、任意の濡れ性とを有することが、第1接着部材14及び第2接着部材18を全長に渡って一様な太さ及び断面形状に形成する観点、及び相互接触後に第1接着部材14及び第2接着部材18を満遍無く円滑に押し広げることを可能にする観点で望ましい。
【0037】
また、第2接着部材18は、図3(a)及び図4(a)に示す初期の相対位置で、重力により第2の部材12の第2表面12aから垂れ落ちない程度の量を、適宜選択して配置しておくことが望ましい。例えば、第2接着部材18の太さが、幅3〜10mm程度、高さ0.5〜5mm程度になるように、第2接着部材18の量を選択できる。なお、第2接着部材18の量は、使用する接着剤の粘度、チキソ性、第2表面12aに対する濡れ性等に基づき、最適値を選択することができる。
【0038】
第1接着部材14及び第2接着部材18の素材となる接着剤の組成、種類は、好ましくは上記性質を確保できることを要件として適宜選定できる。第1接着部材14及び第2接着部材18に使用可能な、常態で流動性を有する液状の接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルアセタール系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、セルロース系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリアロマティック系接着剤、クロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレン系接着剤、ブチルゴム系接着剤、ポリサルファイド系接着剤及びシリコーンゴム系接着剤等がある。
【0039】
これらのうち、アクリル系モノマー及び平均分子量が10万以下のオリゴマーを50重量%以上含有するアクリル系接着剤を、好適に使用できる。アクリル系モノマー及びオリゴマーとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート(n−C16)、ステアリル(メタ)アクリレート(n−C18)、アラキル(メタ)アクリレート(n−C20)、及びベヘニル(メタ)アクリレート(n−C22)等の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソセチル(メタ)アクリレート(iso−C16)、イソステアリル(メタ)アクリレート(iso−C18)、及び2−オクチルドデカニル(メタ)アクリレート(iso−C20)等の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、並びにN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、及びt−オクチルアクリルアミド等の置換アクリルアミドがある。
【0040】
また、アクリル系モノマー及びオリゴマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素添加ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水素添加イソプレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等がある。
【0041】
また、第1接着部材14及び第2接着部材18に使用できる液状接着剤は、紫外線若しくは可視光の照射によって、又は加熱することによって硬化することが好ましい。この場合、接着剤の成分中に、放射線(光)重合開始剤又は熱重合開始剤を含むことができる。
【0042】
第1接着部材14及び第2接着部材18は、種々の装置や手作業により、第1の部材10の第1表面10a及び第2の部材12の第2表面12aに配置できる。例えば、複数の第1接着部材14及び1つの第2接着部材18を、塗布ノズルを備えた塗布装置を用いて接着剤を第1表面10a及び第2表面12aに塗布することにより形成する手法によれば、それら第1接着部材14及び第2接着部材18を広範囲に渡って一様な寸法及び形状で配置でき、以て広範囲に渡る接触開始点での空気の取り込みを一様に防止できる。この場合、例えば、第1表面10aを上に向けて平置きした第1の部材10に対し、素材となる接着剤を図示しない1つの塗布ノズルで塗布することにより、複数の第1接着部材14を1本ずつ順次形成することができる。或いは、複数の塗布ノズルを用いて、複数の第1接着部材14を同時に形成することもできる。
【0043】
1つの塗布ノズルを用いる場合は、図6(a)に示すように、第1の部材10の第1表面10aの両短縁10dに近接する領域をマスク40で覆った状態で、第1接着部材14の素材となる接着剤を1つの塗布ノズルにより第1表面10a及びマスク40に連続的に塗布し、塗布終了後にマスク40を除去する手法を採用することもできる。この手法によれば、第1接着部材14の配置に要する時間を短縮できるとともに、個々の第1接着部材14の長さ方向両端で供給接着剤の流れが断続しないので、塗布作業中の気泡の混入を防止できる。
【0044】
複数の第1接着部材14は、互いに平行に配置される上記構成に限定されず、隣り合う第1接着部材14の間に排気通路として機能する領域16を形成できること(つまり隣り合う第1接着部材14が互いに接触しないこと)を条件として、互いに斜行して配置される構成とすることもできる。この構成においても、図6(b)に示すように、マスク40を用いた塗布方法が有効である。また、個々の第1接着部材14は、図示の直線状形態に限定されず、略一様な太さ及び断面形状を有する線状形態であること、及び隣り合う第1接着部材14の間に排気通路として機能する領域16を形成できることを条件として、曲線状の形態を有することもできる。第1接着部材14の寸法(太さや長さ)、本数、配置間隔等は、素材となる接着剤の組成や性質、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの接着面積等に応じて決定される。
【0045】
第2接着部材18は、例えば、第2表面12aを上に向けて平置きした第2の部材12に対し、素材となる接着剤を図示しない1つの塗布ノズルで塗布することによって形成できる。しかし、第2表面12aに第2接着部材18を配置した第2の部材12を表裏反転させて第1の部材10の上方に配置する手間と時間を削減するべく、例えば第2支持部22の一対の可動台26に、第2表面12aを下に向けて第2の部材12を両端支持した状態で、自重により下に凸に撓んだ第2表面12aの中心線12eの領域に、素材となる接着剤を1つの塗布ノズルで線状に塗布することにより、第2接着部材18を形成することが有利である。
【0046】
なお第2接着部材18は、図示の直線状形態に限定されず、略一様な太さ及び断面形状を有する線状形態であること、及び第2の部材12の中心線12eに実質的に沿って配置できることを条件として、曲線状(例えば蛇行状)の形態を有することもできる。第2接着部材18の寸法(太さや長さ)は、素材となる接着剤の組成や性質、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの接着面積等に応じて決定される。第1接着部材14が斜行していたり曲線状形態を有していたり、また第2接着部材18が曲線状形態を有していたりした場合には、第1の部材10と第2の部材12とを図3(a)及び図4(a)に示す相対位置に配置したときに、複数の第1接着部材14と1つの第2接着部材18とは互いに適当な角度で交差する方向へ延びることになる。
【0047】
本発明の一実施形態による部材接合装置は、上記した第2接着部材18の形成作業を実行するために、図7に示すように、第2支持部22の一対の可動台26に第2表面12aを下に向けて支持した第2の部材12の第2表面12aに、第2接着部材18の素材となる接着剤を線状に塗布する塗布装置42をさらに備えることができる。塗布装置42は、吐出口を上に向けた塗布ノズル44と、塗布ノズル44を第2の部材12の第2表面12aに平行な方向へ直線状に移動するノズル駆動機構46と、塗布ノズル44の吐出口から所定量の接着剤を吐出させる接着剤供給機構48と、ノズル駆動機構46及び接着剤供給機構48を制御する塗布制御部50とを備える。
【0048】
塗布ノズル44は、接着剤供給機構48に接続される接着剤供給路52と、接着剤供給路52の軸線方向に略直交する端面を有する上向きの吐出口54とを備える(図8(a))。或いは塗布ノズル44は、接着剤供給路52と、接着剤供給路52の軸線方向に斜交する端面を有する上向きの吐出口54´とを備えることもできる(図8(b))。また、塗布作業中に吐出口54から溢出して塗布ノズル44の外面を流れ落ちる過剰な接着剤を受ける受け皿56と、受け皿56の底面に開口する排液管58とを備えることもできる(図8(a))。
【0049】
ノズル駆動機構46は、電動機等の駆動源及び任意の動力伝達装置を備え、第2の部材12の下向きの第2表面12aと塗布ノズル44の上向きの吐出口54、54´との間に一定の間隙を維持した状態で、塗布ノズル44を第2表面12aに平行な方向へ任意の速度で直線状に移動することができる。接着剤供給機構48は、接着剤貯蔵部並びにポンプ及びバルブ等の流体装置を備え、接着剤の組成や性質、塗布ノズル44の移動速度等に応じた任意の流量で、第2接着部材18の素材となる接着剤を塗布ノズル44に供給することができる。塗布制御部50は、ノズル駆動機構46及び接着剤供給機構48を制御して、塗布ノズル44の移動速度と塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量とを調整させ、一様な所望太さ(幅及び高さ)の第2接着部材18を連続した線状形態で安定して形成できるようにする。ここで、塗布ノズル44の移動速度が塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量に比較して速すぎる場合には、接着剤が断続して塗布されてしまう恐れがあり、連続した線状形態の第2接着部材18を形成することが困難になる。他方、塗布ノズル44の移動速度が塗布ノズル44の吐出口54、54´からの単位時間当たりの接着剤吐出量に比較して遅すぎる場合には、接着剤が吐出口54から溢出して塗布ノズル44の外面を流れ落ち、一様な所望太さ(幅及び高さ)の第2接着部材18を安定して形成することが困難になる。
【0050】
なお、第1接着部材14及び第2接着部材18を、塗布ノズル以外の塗布法や、スクリーン印刷等の印刷法等の、他の様々な液体適用法により、第1の部材10の第1表面10a及び第2の部材12の第2表面12aに配置することもできる。
【0051】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、前述したように、第2接着部材18が個々の第1接着部材14に接触する瞬間の一対の可動台26(したがって第2の部材12)の下方移動速度を、例えば0.5mm/秒以下とすることで、第1接着部材14と第2接着部材18とが接触する瞬間に接着剤中に空気を取り込まないようにすることができる。他方、第1の部材10と第2の部材12との間で最初に1つの第2接着部材18と複数の第1接着部材14とが接触する構成であるから、一方の部材に配置した接着剤を最初に他方の部材の表面に接触させる接合手法(例えば既述の特許文献2に記載の手法)とは異なり、第2接着部材18が第1接着部材14に接触する瞬間の一対の可動台26(したがって第2の部材12)の下方移動速度を、例えば0.05mm/秒よりも速くしたとしても、接着剤中への空気の取り込みを回避することができる。
【0052】
なお、第2の部材12を移動可能に支持する第2支持部22は、第2の部材12を下から支持する可動台26を有する構成に限定されず、例えば上方から吊り下げ式に第2の部材12を支持する構成とすることもできる。
【0053】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、ローラ36、36´の重量が重いほど、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間で第1接着部材14及び第2接着部材18を迅速に押し広げることができ、したがって、ローラ36、36´の平行移動の速度を速くして生産性を向上させることができる。よって、ローラ36、36´の素材としては、鉄等の比重の大きい金属材料を用いることが好ましい。この構成では、第2の部材12がガラス等の脆性素材からなる場合、ローラ36、36´の外周面36b、36´bをゴム等の柔軟な被覆で覆うことが望ましい。なお、所望の重量を確保できるのであれば、ローラ36、36´を金属以外の種々の材料から形成することもできる。また、ローラ36、36´の平行移動の速度は、ローラ36、36´の重量だけでなく、第1接着部材14及び第2接着部材18の組成や性質等、第2の部材12の素材等の種々のパラメータに基づいて、適当に設定できる。
【0054】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置の変形例として、前述したローラ36、36´に代えて、図9に示すように、各々の回転軸線(図示せず)を中心に互いに独立して回転可能な複数のローラ60を用いることができる。図示の複数のローラ60は、いずれも同一の寸法、形状及び重量を有し、中心の貫通孔62に、共通する1本の軸64が隙間を介して挿入される。個々のローラ60は、貫通孔62と軸64との間の隙間に対応する距離を上限として、互いに独立して任意の径方向へ自在に変位する(つまり個々の回転軸線が互いに独立して平行移動する)ことができ、変位した位置で、軸64の軸線64aに略平行な回転軸線の周りを互いに独立して回転することができる。なお、各ローラ60の寸法は、例えば軸線方向長さ50mm程度、直径100mm程度とすることができる。
【0055】
これら複数のローラ60を最初に第2の部材12の裏面12bに載せる際には、ローラ36と同様に、個々のローラ60の回転軸線及び軸64の軸線64aを、第2の部材12に設けた1つの第2接着部材18に平行する方向(つまり第2の部材12の中心線12eに平行する方向)へ配置し、複数のローラ60を回転軸線方向へ並べて配置する。そして、複数のローラ60により、第2の部材12の裏面12bに局所的な押圧力Pを加える(図3(c))とともに、ローラ駆動機構38を制御して、軸64及び複数のローラ60を一括して、第2の部材12の右方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(a))。同様に、後続のローラ36´に代えて複数のローラ60を用いる場合にも、ローラ駆動機構38を制御して、軸64及び複数のローラ60を一括して、第2の部材12の左方の短縁12dに向かって適当な速度で平行移動させる(図5(b))。この平行移動の間、複数のローラ60は、個々の外周面60a(図9)を第2の部材12の裏面12bに接触させつつ円滑に転動し、裏面12bに凹凸が有る場合にはその凹凸に応じて、互いに独立して任意の径方向へ自在に変位する。
【0056】
上記構成によれば、例えば第2の部材12の厚みの不均一さ等に起因して裏面12bに凹凸が存在する場合であっても、複数のローラ60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させる間に、個々のローラ60が独立して軸64に対し任意の径方向へ自在に変位することで第2の部材12の裏面12bの凹凸を吸収して、個々のローラ60の重量による押圧力Q(Q=P/ローラ60の個数)を、第2の部材12の裏面12bに一様に加えることができる。その結果、第1の部材10の第1表面10aと第2の部材12の第2表面12aとの間に、全体に渡って第1接着部材14を、気泡の混入を防止した状態で満遍無く行き渡らせることができる。この構成は、第1の部材10の第1表面10aの平面度が悪い場合にも、同様に有効である。なお、複数のローラ60が同一密度を有することを条件として、それらローラ60を異なる素材から形成したり異なる寸法に形成したりすることもできる。また、個々のローラが独立して任意の径方向へ自在に変位できることを前提に、共通する軸64に代えて各ローラ60が専用の軸を有する構成とすることもできる。
【0057】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、ローラ36、36´、60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させる間に、可動台26を適当な速度で下方移動させることにより、第2の部材12の撓み量を漸減させている。このとき、図10に模式図的に示すように、ローラ36の回転軸線36aからローラ移動方向に見て距離Dの位置における、第1の部材10と第2の部材12との間隔Gが、0.02<G/D<0.2となるように、可動台駆動機構28を制御することが望ましい。ただし、ローラ36の回転軸線36aが、第2の部材12の短縁12dから100mm以上の位置にある間は、D=100(mm)の一定値とする。G/Dが0.2以上になると、第2の部材12がガラス等の脆性素材からなる場合に、第2の部材12が破損する恐れがある。他方、G/Dが0.02以下になると、ローラ36、36´、60を第2の部材12の裏面12b上で平行移動させて第1接着部材14及び第2接着部材18を押し広げる間に、接着剤に空気を取り込む恐れが高まる。
【0058】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置の他の変形例として、図11に示すように、第2の部材12の第2表面12aの一方の短縁12dに沿った領域に、直線状形態を有する1つの第2接着部材18を配置するとともに、押圧力P(すなわちローラ36)を、第2の部材12の裏面12bの一方の短縁12dに沿った領域から他方の短縁12dに向かって移動させる構成とすることもできる。この構成では、第1の部材10と第2の部材12とが前述した初期の相対位置に配置されているときに、一方の可動台26が、第2の部材12の第2接着部材18に近接する短縁12bを任意の高さに支持するとともに、他方の可動台26が、第2の部材12の第2接着部材18から離れた短縁12bを、一方の可動台26よりも前述した範囲を満たす間隔Gだけ高い位置に支持し、それにより、第2の部材12の第2接着部材18の領域が最も下方に(すなわち第1の部材10に最も近接して)配置される。この相対位置から、両方の可動台26を同期して下方移動し、第2の部材12と第1の部材10との間で最初に、1つの第2接着部材18を複数の第1接着部材14に接触させる。そして、第2の部材12の裏面12bにローラ36を載せて第2接着部材18に近接する領域に局所的な押圧力Pを加え、さらに、押圧力P(ローラ36)を、第2の部材12の裏面12bの他方の短縁12dに向かって移動させると同時に、他方の可動台26を下方移動して第2の部材12の撓みを漸減させる。このような変形例による接合方法及び接合装置は、図1〜図5に示す部材接合方法及び部材接合装置に比べて、構成が単純化される利点がある。
【0059】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置においては、追加ステップとして、接着層30を固化させる前に、第1表面10aと第2表面12aとの間に接着層30を形成した第1の部材10と第2の部材12との全体を、所定の空気圧により加圧するステップを実施することができる。この追加ステップでは、例えば図12に示すように、接着層30を形成した第1の部材10と第2の部材12との全体を密閉容器66に収容し、密閉容器66の内圧をコンプレッサ68等により大気圧以上(好ましくは大気圧の2倍以上)に上昇させて、適度な時間に渡りこの空気圧を維持した後、大気圧に戻す。この工程を経ることで、接着層30に混入しているかもしれない微小な気泡を、固化前の接着層30に気泡中の空気を溶け込ませることにより、完全に除去することができる。
【0060】
上記構成を有する部材接合方法及び部材接合装置を適用可能な第1の部材10及び第2の部材12は、平板状の部材に限らず、第1表面10a及び第2表面12aが局部的又は全体的に曲面を含む部材であってもよい。特に第1の部材10は、第1表面10aの寸法よりも大きな厚みを有するブロック状の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 第1の部材
12 第2の部材
14 第1接着部材
18 第2接着部材
20 第1支持部
22 第2支持部
26 可動台
28 可動台駆動機構
30 接着層
32 押圧部
34 制御部
36、36´、60 ローラ
38 ローラ駆動機構
42 塗布装置
44 塗布ノズル
46 ノズル駆動機構
48 接着剤供給機構
66 密閉容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の接合方法であって、
第1の部材の第1表面に、各々が線状形態を有する複数の第1接着部材を互いに間隔を空けて配置し、
第2の部材の第2表面に、線状形態を有する1つの第2接着部材を配置し、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記第1表面と前記第2表面とが互いに対向かつ離間するとともに前記複数の第1接着部材と前記1つの第2接着部材とが互いに交差する方向へ延びる相対位置に配置し、
前記相対位置で前記第2の部材を撓ませて、前記第2の部材と前記第1の部材との間で最初に前記1つの第2接着部材を前記複数の第1接着部材に接触させ、
前記第2の部材の前記第2表面の反対側の裏面に、前記第2の部材の一部分を前記第1の部材に押し付ける局所的な押圧力を加えて、前記1つの第2接着部材と、前記複数の第1接着部材の前記第2接着部材に接触した部分とを押し広げ、
前記局所的な押圧力を前記裏面に沿って移動させるとともに前記第2の部材の撓み量を漸減させて、前記複数の第1接着部材を前記第1表面と前記第2表面との間でさらに押し広げ、以て前記第1表面と前記第2表面との間に単一の接着層を形成し、
前記接着層を固化させる、
接合方法。
【請求項2】
前記第1の部材の前記第1表面に、各々が直線状形態を有する前記複数の第1接着部材を互いに平行に間隔を空けて配置し、前記第2の部材の前記第2表面に、直線状形態を有する前記1つの第2接着部材を配置し、前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記複数の第1接着部材と前記1つの第2接着部材とが互いに直交する方向へ延びる前記相対位置に配置し、前記局所的な押圧力を、前記裏面に沿って前記複数の第1接着部材に平行する方向へ移動させる、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
下に向けた前記第2の部材の前記第2表面に、前記第2接着部材を線状に塗布することにより、前記1つの第2接着部材を配置する、請求項1又は2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記1つの第2接着部材に平行する方向へ延びる回転軸線を各々に有する複数のローラを、互いに独立して回転可能に、回転軸線方向へ並べて配置し、該複数のローラにより、前記第2の部材の前記裏面に前記局所的な押圧力を加える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項5】
前記接着層を固化させる前に、前記第1表面と前記第2表面との間に前記接着層を形成した前記第1の部材と前記第2の部材との全体を、空気圧により加圧する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項6】
請求項1に記載の接合方法を実施するための部材の接合装置において、
前記複数の第1接着部材を配置した前記第1表面を上に向けて前記第1の部材を支持する第1支持部と、
前記1つの第2接着部材を配置した前記第2表面を下に向けて前記第2の部材を支持し、前記第2の部材をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部と、
前記第2の部材の前記裏面に前記局所的な押圧力を加える可動式の押圧部と、
前記第2支持部の動作と前記押圧部の動作とを制御する制御部とを具備し、
前記第2支持部は、
前記第2の部材の外縁部分を前記第1の部材の前記第1表面から可変高さの位置に支持して、前記第2の部材を撓ませる可動台と、
前記可動台を移動して前記第2の部材と前記第1の部材との相対位置を変化させる可動台駆動機構とを備え、
前記押圧部は、
各々の回転軸線を中心に互いに独立して回転可能でかつ該回転軸線が互いに独立して変位可能な複数のローラであって、前記1つの第2接着部材に平行する方向へ該回転軸線を配置して前記第2の部材の前記裏面に載せられる複数のローラと、
前記複数のローラを、前記第2の部材の前記裏面に沿って平行移動するローラ駆動機構とを備え、
前記制御部は、
前記可動台駆動機構を制御して、前記第2の部材と前記第1の部材との間で最初に前記1つの第2接着部材を前記複数の第1接着部材に接触させ、
前記可動台駆動機構と前記ローラ駆動機構とを制御して、前記局所的な押圧力を前記裏面に沿って移動させるとともに前記第2の部材の撓み量を漸減させ、前記第1表面と前記第2表面との間に前記接着層を形成させる、
接合装置。
【請求項7】
前記第2支持部に支持した前記第2の部材の前記第2表面に、前記第2接着部材を線状に塗布する塗布装置をさらに具備し、該塗布装置は、吐出口を上に向けた塗布ノズルと、該塗布ノズルを前記第2の部材の前記第2表面に平行な方向へ直線状に移動するノズル駆動機構と、該塗布ノズルの該吐出口から所定量の接着剤を吐出させる接着剤供給機構とを備える、請求項6に記載の接合装置。
【請求項1】
部材の接合方法であって、
第1の部材の第1表面に、各々が線状形態を有する複数の第1接着部材を互いに間隔を空けて配置し、
第2の部材の第2表面に、線状形態を有する1つの第2接着部材を配置し、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記第1表面と前記第2表面とが互いに対向かつ離間するとともに前記複数の第1接着部材と前記1つの第2接着部材とが互いに交差する方向へ延びる相対位置に配置し、
前記相対位置で前記第2の部材を撓ませて、前記第2の部材と前記第1の部材との間で最初に前記1つの第2接着部材を前記複数の第1接着部材に接触させ、
前記第2の部材の前記第2表面の反対側の裏面に、前記第2の部材の一部分を前記第1の部材に押し付ける局所的な押圧力を加えて、前記1つの第2接着部材と、前記複数の第1接着部材の前記第2接着部材に接触した部分とを押し広げ、
前記局所的な押圧力を前記裏面に沿って移動させるとともに前記第2の部材の撓み量を漸減させて、前記複数の第1接着部材を前記第1表面と前記第2表面との間でさらに押し広げ、以て前記第1表面と前記第2表面との間に単一の接着層を形成し、
前記接着層を固化させる、
接合方法。
【請求項2】
前記第1の部材の前記第1表面に、各々が直線状形態を有する前記複数の第1接着部材を互いに平行に間隔を空けて配置し、前記第2の部材の前記第2表面に、直線状形態を有する前記1つの第2接着部材を配置し、前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記複数の第1接着部材と前記1つの第2接着部材とが互いに直交する方向へ延びる前記相対位置に配置し、前記局所的な押圧力を、前記裏面に沿って前記複数の第1接着部材に平行する方向へ移動させる、請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
下に向けた前記第2の部材の前記第2表面に、前記第2接着部材を線状に塗布することにより、前記1つの第2接着部材を配置する、請求項1又は2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記1つの第2接着部材に平行する方向へ延びる回転軸線を各々に有する複数のローラを、互いに独立して回転可能に、回転軸線方向へ並べて配置し、該複数のローラにより、前記第2の部材の前記裏面に前記局所的な押圧力を加える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項5】
前記接着層を固化させる前に、前記第1表面と前記第2表面との間に前記接着層を形成した前記第1の部材と前記第2の部材との全体を、空気圧により加圧する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項6】
請求項1に記載の接合方法を実施するための部材の接合装置において、
前記複数の第1接着部材を配置した前記第1表面を上に向けて前記第1の部材を支持する第1支持部と、
前記1つの第2接着部材を配置した前記第2表面を下に向けて前記第2の部材を支持し、前記第2の部材をその自重により撓ませることができる可動式の第2支持部と、
前記第2の部材の前記裏面に前記局所的な押圧力を加える可動式の押圧部と、
前記第2支持部の動作と前記押圧部の動作とを制御する制御部とを具備し、
前記第2支持部は、
前記第2の部材の外縁部分を前記第1の部材の前記第1表面から可変高さの位置に支持して、前記第2の部材を撓ませる可動台と、
前記可動台を移動して前記第2の部材と前記第1の部材との相対位置を変化させる可動台駆動機構とを備え、
前記押圧部は、
各々の回転軸線を中心に互いに独立して回転可能でかつ該回転軸線が互いに独立して変位可能な複数のローラであって、前記1つの第2接着部材に平行する方向へ該回転軸線を配置して前記第2の部材の前記裏面に載せられる複数のローラと、
前記複数のローラを、前記第2の部材の前記裏面に沿って平行移動するローラ駆動機構とを備え、
前記制御部は、
前記可動台駆動機構を制御して、前記第2の部材と前記第1の部材との間で最初に前記1つの第2接着部材を前記複数の第1接着部材に接触させ、
前記可動台駆動機構と前記ローラ駆動機構とを制御して、前記局所的な押圧力を前記裏面に沿って移動させるとともに前記第2の部材の撓み量を漸減させ、前記第1表面と前記第2表面との間に前記接着層を形成させる、
接合装置。
【請求項7】
前記第2支持部に支持した前記第2の部材の前記第2表面に、前記第2接着部材を線状に塗布する塗布装置をさらに具備し、該塗布装置は、吐出口を上に向けた塗布ノズルと、該塗布ノズルを前記第2の部材の前記第2表面に平行な方向へ直線状に移動するノズル駆動機構と、該塗布ノズルの該吐出口から所定量の接着剤を吐出させる接着剤供給機構とを備える、請求項6に記載の接合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−46663(P2012−46663A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190869(P2010−190869)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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