説明

部材接合構造

【課題】異種材にも対応可能な部材接合構造を提供する。
【課題手段】互いに連なる孔3,4がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材1,2と、これら被接合部材1,2の孔3,4に連なるねじ孔20が形成してあり且つ第2の被接合部材2とは真反対に位置するように第1の被接合部材1に当接する締結部材5と、締結部材5のねじ孔20、及び第1、第2の被接合部材1,2の孔3,4に差し込んだ補助部材7とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材7に由来する材料を、締結部材5のねじ孔20のねじ溝に入り込ませ且つ第2の被接合部材2の孔4の周囲を覆うように形作り、第1、第2の被接合部材1,2を接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部材接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接合すべき部材を溶融させずに相互に接続する方法として摩擦撹拌接合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技法では、被接合部材を重ね合わせた被接合物を、裏当て部材である支持ツールに載せたうえ、被接合物に接合ツールを回転させながら押し付け、摩擦熱と塑性流動により軟化した材料を撹拌して同化させる。
【0004】
次いで、接合ツールを被接合物から離して材料が同化した部位を硬化させ、被接合部材を相互に接合する。
【0005】
接合ツールは、円柱状のショルダ部と、当該ショルダ部に同軸に連なり且つツール先端へ向けて突出する短円筒状でショルダ部よりも外径が小さいピン部とを備えている。
【特許文献1】特開2004−136365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の手法では、例えば鋼とアルミニウム合金とのように、硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材の接合には対応できない。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、異種材にも対応可能な部材接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材と第2の被接合部材に係合するように形作った構成を採る。
【0009】
請求項2に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、締結部材の空間内側面に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材の空間内側面の溝に入り込ませ且つ第2の被接合部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【0010】
請求項3に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に係合するように形作り且つ第2の被接合部材に同化させた構成を採る。
【0011】
請求項4に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、締結部材の空間内側面に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材の空間内側面の溝に入り込ませ且つ第2の被接合部材に同化させた構成を採る。
【0012】
請求項5に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に同化させ且つ第2の被接合部材に係合するように形作った構成を採る。
【0013】
請求項6に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に同化させ且つ第2の被接合部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【0014】
請求項7に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材と第2の被接合部材に同化させた構成を採る。
【0015】
請求項8に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材に係合するように形作った構成を採る。
【0016】
請求項9に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【0017】
請求項10に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に係合するように形作り且つ第2の締結部材に同化させた構成を採る。
【0018】
請求項11に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材の孔の周囲を覆うように形作り且つ第2の締結部材に同化させた構成を採る。
【0019】
請求項12に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に同化させ且つ第2の締結部材に係合するように形作った構成を採る。
【0020】
請求項13に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に同化させ且つ第2の締結部材の孔の周囲を覆うように形作った構成を採る。
【0021】
請求項14に記載の発明では、互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材に同化させた構成を採る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の部材接合構造によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0023】
(1)請求項1、2に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第2の被接合部材、及び締結部材に係合させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0024】
(2)請求項3、4に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第2の被接合部材に同化させ且つ締結部材に係合させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0025】
(3)請求項5、6に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第2の被接合部材に係合させ且つ締結部材に同化させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0026】
(4)請求項7に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第2の被接合部材、及び締結部材に同化させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0027】
(5)請求項8、9に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第1、第2の締結部材に係合させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0028】
(6)請求項10、11に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第1の締結部材に係合させ且つ第2の締結部材に同化させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0029】
(7)請求項12、13に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第1の締結部材に同化させ且つ第2の締結部材に係合させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【0030】
(8)請求項14に記載の発明では、摩擦熱と塑性流動によって補助部材を、第1、第2の締結部材に同化させるので、第1、第2の被接合部材が異種材であっても、両部材を効率よく且つ確実に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0032】
図1は本発明の部材接合構造の第1の例であり、請求項1、2に対応している。
【0033】
この部材接合構造は、面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材1,2と、第2の被接合部材2とは真反対に位置するように第1の被接合部材1に当接する締結部材5と、補助部材7とを備えている。
【0034】
補助部材7はアルミニウム合金を素材とし、第2の被接合部材2と締結部材5は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0035】
第1、第2の被接合部材1,2には部材厚み方向に貫通する孔3,4が、同軸に穿設してある。
【0036】
締結部材5には部材厚み方向に貫通するねじ孔20が、前記第1、第2の被接合部材1,2の孔3,4と同軸に位置するように穿設してある。
【0037】
上記ねじ孔20は、部材厚み方向へ貫通しないねじ穴であってもよく、締結部材5としては、ナットや袋ナットを利用することができる。
【0038】
図1(a)に示すように、ねじ孔20、及び孔3,4には補助部材7が差し込まれる。
【0039】
締結部材5は、第1の被接合部材1に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0040】
図1(d)に示すように、補助部材7に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、締結部材5のねじ孔20内周面、及び第1、第2の被接合部材1,2の孔3,4内周面のそれぞれに密着し且つ当該第2の被接合部材2の孔4の周囲を覆うように形作られ、補助部材7が第1、第2の被接合部材1,2を接合している。
【0041】
補助部材7を上述したような形状とする際には、裏当て部材6と接合ツール10を用いる。
【0042】
裏当て部材6と接合ツール10は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0043】
接合ツール10は、短円柱状のピン部8を円柱状のショルダ部9の先端面に同軸に連ねた形をしており、また、裏当て部材6は、締結部材5と補助部材7を受ける役割をする。
【0044】
裏当て部材6で保持されている補助部材7の第2の被接合部材2側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図1(b)に示すように、補助部材7が摩擦熱と塑性流動により軟化する。
【0045】
この後、図1(c)に示すように、補助部材7に由来する材料が、ねじ孔20のねじ溝に入り込み、第2の被接合部材2の孔4の周囲を覆う。
【0046】
更に、図1(d)に示すように、接合ツール10を補助部材7から引き離して、孔4を覆う補助部材7の塑性流動部位、及びねじ孔20に密着した補助部材7の塑性流動部位を硬化させると、第1、第2の被接合部材1,2の接合が完了する。
【0047】
つまり、第1の被接合部材1の素材が、第2の被接合部材2と同じ鋼でも、あるいは鋼以外の硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材1,2を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0048】
また、第1の被接合部材1の素材が補助部材7と同じアルミニウム合金であれば、補助部材7に由来する材料が第1の被接合部材1に同化する。
【0049】
この他に、第2の被接合部材2に対して第1の被接合部材1が薄手である場合、第1の被接合部材1に締結部材5を溶接などの手法で予め固着しておけば、締結部材5によって補助部材7に加わる剪断力が分散され、第1、第2の被接合部材1,2に互いにずれる方向への力が働いても補助部材7が破断せず、第1の被接合部材1の剥離も防止できる。
【0050】
図2は本発明の部材接合構造の第2の例であり、請求項3、4に対応し、図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0051】
この部材接合構造は、面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材1,21と、第2の被接合部材21とは真反対に位置するように第1の被接合部材1に当接する締結部材5と、補助部材7とを備えている。
【0052】
第2の被接合部材21と補助部材7はアルミニウム合金を素材とし、締結部材5は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0053】
第1、第2の被接合部材1,21には部材厚み方向に貫通する孔3,22が、同軸に穿設してある。
【0054】
締結部材5には部材厚み方向に貫通するねじ孔20が、前記第1、第2の被接合部材1,21の孔3,22と同軸になるように位置させてある。
【0055】
図2(a)に示すように、ねじ孔20、及び孔3,22には補助部材7が差し込まれる。
【0056】
締結部材5は、第1の被接合部材1に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0057】
図2(d)に示すように、補助部材7に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、締結部材5のねじ孔20内周面、及び第1の被接合部材1の孔3内周面のそれぞれに密着し且つ第2の被接合部材2に同化するように形作られ、補助部材7が第1、第2の被接合部材1,21を接合している。
【0058】
補助部材7を上述したような形状とする際には、裏当て部材6と接合ツール10を用いる。
【0059】
裏当て部材6で保持されている補助部材7の第2の被接合部材21側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図2(b)に示すように、補助部材7が摩擦熱と塑性流動により軟化する。
【0060】
この後、図2(c)に示すように、補助部材7に由来する材料が、ねじ孔20のねじ溝に入り込み、第2の被接合部材2に同化する。
【0061】
更に、図2(d)に示すように、接合ツール10を補助部材7から引き離して、第2の被接合部材2に同化した補助部材7の塑性流動部位、及びねじ孔20に密着した補助部材7の塑性流動部位を硬化させると、第1、第2の被接合部材1,21の接合が完了する。
【0062】
つまり、第1の被接合部材1の素材が、第2の被接合部材21と同じアルミニウム合金でも、あるいはアルミニウム合金以外の硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材1,21を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0063】
また、第1の被接合部材1の素材が補助部材7と同じアルミニウム合金であれば、補助部材7に由来する材料が第1の被接合部材1に同化する。
【0064】
この他に、第2の被接合部材21に対して第1の被接合部材1が薄手である場合、第1の被接合部材1に締結部材5を溶接などの手法で予め固着しておけば、締結部材5によって補助部材7に加わる剪断力が分散され、第1、第2の被接合部材1,21に互いにずれる方向への力が働いても補助部材7が破断せず、第1の被接合部材1の剥離も防止できる。
【0065】
図3は本発明の部材接合構造の第3の例であり、請求項5、6に対応し、図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0066】
この部材接合構造は、面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材1,2と、第2の被接合部材2とは真反対に位置するように第1の被接合部材1に当接する締結部材23と、補助部材7とを備えている。
【0067】
締結部材23と補助部材7はアルミニウム合金を素材とし、第2の被接合部材2は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0068】
締結部材23には部材厚み方向に貫通する孔24が、前記第1、第2の被接合部材1,2の孔3,4と同軸に位置するように穿設してある。
【0069】
上記孔24は、第1の被接合部材1側へ開口し且つ部材厚み方向へは貫通しない穴であってもよい。
【0070】
図3(a)に示すように、孔24,3,4には補助部材7が差し込まれる。
【0071】
締結部材23は、第1の被接合部材1に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0072】
図3(d)に示すように、補助部材7に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、締結部材23に同化し且つ第1、2の被接合部材1,2の孔3,4内周面のそれぞれに密着して当該第2の被接合部材2の孔4の周囲を覆うように形作られ、補助部材7が第1、第2の被接合部材1,2を接合している。
【0073】
補助部材7を上述したような形状とする際には、裏当て部材6と接合ツール10を用いる。
【0074】
裏当て部材6は、締結部材23と補助部材7を受ける役割をする。
【0075】
裏当て部材6で保持されている補助部材7の第2の被接合部材2側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図3(b)に示すように、補助部材7が摩擦熱と塑性流動により軟化する。
【0076】
この後、図3(c)に示すように、補助部材7に由来する材料が、締結部材23に同化し、第2の被接合部材2の孔4の周囲を覆う。
【0077】
更に、図3(d)に示すように、接合ツール10を補助部材7から引き離して、孔4を覆う補助部材7の塑性流動部位、及び締結部材23に同化した補助部材7の塑性流動部位を硬化させると、第1、第2の被接合部材1,2の接合が完了する。
【0078】
つまり、第1の被接合部材1の素材が、第2の被接合部材2と同じ鋼でも、あるいは鋼以外の硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材1,2を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0079】
また、第1の被接合部材1の素材が補助部材7と同じアルミニウム合金であれば、補助部材7に由来する材料が第1の被接合部材1に同化する。
【0080】
この他に、第2の被接合部材2に対して第1の被接合部材1が薄手である場合、第1の被接合部材1に締結部材23を溶接などの手法で予め固着しておけば、締結部材23によって補助部材7に加わる剪断力が分散され、第1、第2の被接合部材1,2に互いにずれる方向への力が働いても補助部材7が破断せず、第1の被接合部材1の剥離も防止できる。
【0081】
図4は本発明の部材接合構造の第4の例であり、請求項7に対応し、図中、図2、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0082】
この部材接合構造は、面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材1,21と、第2の被接合部材21とは真反対に位置するように第1の被接合部材1に当接する締結部材23と、補助部材7とを備えている。
【0083】
第2の被接合部材21と締結部材23と補助部材7はアルミニウム合金を素材としている。
【0084】
締結部材23には部材厚み方向に貫通する孔24が、前記第1、第2の被接合部材1,21の孔3,22と同軸に位置するように穿設してある。
【0085】
上記孔24は、第1の被接合部材1側へ開口し且つ部材厚み方向へは貫通しない穴であってもよい。
【0086】
図4(a)に示すように、孔24,3,22には補助部材7が差し込まれる。
【0087】
締結部材23は、第1の被接合部材1に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0088】
図4(d)に示すように、補助部材7に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の被接合部材1の孔3内周面のそれぞれに密着し且つ締結部材23と第2の被接合部材2に同化するように形作られ、補助部材7が第1、第2の被接合部材1,21を接合している。
【0089】
補助部材7を上述したような形状とする際には、裏当て部材6と接合ツール10を用いる。
【0090】
裏当て部材6で保持されている補助部材7の第2の被接合部材21側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図4(b)に示すように、補助部材7が摩擦熱と塑性流動により軟化する。
【0091】
この後、図4(c)に示すように、補助部材7に由来する材料が、締結部材23と第2の被接合部材2に同化する。
【0092】
更に、図4(d)に示すように、接合ツール10を補助部材7から引き離して、第2の被接合部材2に同化した補助部材7の塑性流動部位、締結部材23に同化した補助部材7の塑性流動部位を硬化させると、第1、第2の被接合部材1,21の接合が完了する。
【0093】
つまり、第1の被接合部材1の素材が、第2の被接合部材21と同じアルミニウム合金でも、あるいはアルミニウム合金以外の硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材1,21を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0094】
また、第1の被接合部材1の素材が補助部材7と同じアルミニウム合金であれば、補助部材7に由来する材料が第1の被接合部材1に同化する。
【0095】
この他に、第2の被接合部材21に対して第1の被接合部材1が薄手である場合、第1の被接合部材1に締結部材23を溶接などの手法で予め固着しておけば、締結部材23によって補助部材7に加わる剪断力が分散され、第1、第2の被接合部材1,21に互いにずれる方向への力が働いても補助部材7が破断せず、第1の被接合部材1の剥離も防止できる。
【0096】
図5は本発明の部材接合構造の第5の例であり、請求項8、9に対応している。
【0097】
この部材接合構造は、面接触するように重ねた板状の第1、第2の被接合部材11,12と、第2の被接合部材12とは真反対に位置するように第1の被接合部材11に当接する第1の締結部材15と、第1の被接合部材11とは真反対に位置するように第2の被接合部材12に当接する第2の締結部材16と、補助部材19とを備えている。
【0098】
補助部材19はアルミニウム合金を素材とし、第1、第2の締結部材15,16は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0099】
第1、第2の被接合部材11,12には部材厚み方向に貫通する孔13,14が、同軸に穿設してある。
【0100】
第1、第2の締結部材15,16には部材厚み方向に貫通するねじ孔25,26が、前記第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14と同軸に位置するように穿設してある。
【0101】
上記ねじ孔25,26は、部材厚み方向へ貫通する単なる孔であってもよい。
【0102】
図5(a)に示すように、ねじ孔25、孔13,14、並びにねじ孔26には補助部材19が差し込まれる。
【0103】
第1、第2の締結部材15,16は、第1,第2の被接合部材11,12に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0104】
図5(d)に示すように、補助部材19に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の締結部材15のねじ孔25内周面、第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14内周面、並びに第2の締結部材16のねじ孔26内周面のそれぞれに密着し且つ第1、第2の締結部材15,16のねじ孔25,26の周囲を覆うように形作られ、補助部材19が第1、第2の被接合部材11,12を接合している。
【0105】
補助部材19を上述したような形状とする際には、裏当て部材18と接合ツール10を用いる。
【0106】
裏当て部材18と接合ツール10は、アルミニウム合金よりも硬く且つ軟化温度が高い鋼を素材としている。
【0107】
接合ツール10は、短円柱状のピン部8を円柱状のショルダ部9の先端面に同軸に連ねた形をしており、また、裏当て部材18は、第1の締結部材15と補助部材19を受ける役割をする。
【0108】
裏当て部材18は、第1、第2の締結部材15,16を受ける部位の中央に、補助部材19の端面を支持可能な凹部17を有している。
【0109】
裏当て部材18で保持されている補助部材19の第2の被接合部材12側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図5(b)に示すように、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が、ねじ孔26のねじ溝に入り込み、第2の締結部材16のねじ孔26の周囲を覆う。
【0110】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、ねじ孔26の周囲を覆う補助部材19に由来する材料を硬化させる。
【0111】
次いで、図5(c)に示すように、第1、第2の被接合部材11,12を逆向きにし、補助部材19の第2の被接合部材12側の端部を裏当て部材(図示せず)で受け、補助部材19の第1の被接合部材11側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が、ねじ孔25のねじ溝に入り込み、第1の締結部材15のねじ孔25の周囲を覆う。
【0112】
この後、図5(d)に示すように、接合ツール10を補助部材19から引き離し、ねじ孔25の周囲を覆う補助部材19に由来する材料を硬化させると、第1、第2の被接合部材11,12の接合が完了する。
【0113】
これにより、第1、第2の被接合部材11,12が、例えば鋼とアルミニウム合金とのように、硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材11,12を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0114】
また、第1、第2の被接合部材11,12の素材が補助部材19と同じアルミニウム合金であれば、補助部材19に由来する材料が第1、第2の被接合部材11,12に同化する。
【0115】
図6は本発明の部材接合構造の第6の例であり、請求項10、11に対応し、図中、図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0116】
この部材接合構造は、第1、第2の被接合部材11,12と、第2の被接合部材12とは真反対に位置するように第1の被接合部材11に当接する第1の締結部材15と、第1の被接合部材11とは真反対に位置するように第2の被接合部材12に当接する第2の締結部材27と、補助部材19とを備えている。
【0117】
第2の締結部材27は、補助部材19と同じアルミニウム合金を素材としている。
【0118】
第2の締結部材27には部材厚み方向に貫通する孔28が、前記第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14と同軸に位置するように穿設してある。
【0119】
図6(a)に示すように、ねじ孔25、並びに孔13,14,28には補助部材19が差し込まれる。
【0120】
第1、第2の締結部材15,27は、第1,第2の被接合部材11,12に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0121】
図6(d)に示すように、補助部材19に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の締結部材15のねじ孔25内周面、並びに第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14内周面のそれぞれに密着し且つ第1の締結部材15のねじ孔25の周囲を覆い、第2の締結部材27に同化するように形作られ、補助部材19が第1、第2の被接合部材11,12を接合している。
【0122】
補助部材19を上述したような形状とする際には、裏当て部材18と接合ツール10を用いる。
【0123】
裏当て部材18は、第1の締結部材15と補助部材19を受ける役割をする。
【0124】
裏当て部材18で保持されている補助部材19の第2の被接合部材12側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図6(b)に示すように、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が第2の締結部材27に同化する。
【0125】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、第2の締結部材27に同化した補助部材19に由来する材料を硬化させる。
【0126】
次いで、図6(c)に示すように、第1、第2の被接合部材11,12を逆向きにし、補助部材19の第2の被接合部材12側の端部を裏当て部材(図示せず)で受け、補助部材19の第1の被接合部材11側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が、ねじ孔25のねじ溝に入り込み、第1の締結部材15のねじ孔25の周囲を覆う。
【0127】
この後、図6(d)に示すように、接合ツール10を補助部材19から引き離し、ねじ孔25の周囲を覆う補助部材19に由来する材料を硬化させると、第1、第2の被接合部材11,12の接合が完了する。
【0128】
これにより、第1、第2の被接合部材11,12が、例えば鋼とアルミニウム合金とのように、硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材11,12を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0129】
また、第1、第2の被接合部材11,12の素材が補助部材19と同じアルミニウム合金であれば、補助部材19に由来する材料が第1、第2の被接合部材11,12に同化する。
【0130】
図7は本発明の部材接合構造の第7の例であり、請求項12、13に対応し、図中、図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0131】
この部材接合構造は、第1、第2の被接合部材11,12と、第2の被接合部材12とは真反対に位置するように第1の被接合部材11に当接する第1の締結部材29と、第1の被接合部材11とは真反対に位置するように第2の被接合部材12に当接する第2の締結部材16と、補助部材19とを備えている。
【0132】
第1の締結部材29は、補助部材19と同じアルミニウム合金を素材としている。
【0133】
第1の締結部材29には部材厚み方向に貫通する孔30が、前記第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14と同軸に位置するように穿設してある。
【0134】
図7(a)に示すように、孔30,13,14、並びにねじ孔26には補助部材19が差し込まれる。
【0135】
第1、第2の締結部材29,16は、第1,第2の被接合部材11,12に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0136】
図7(d)に示すように、補助部材19に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の締結部材29に同化し且つ第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14内周面、並びに第2の締結部材16のねじ孔26内周面のそれぞれに密着して第2の締結部材16のねじ孔26の周囲を覆うように形作られ、補助部材19が第1、第2の被接合部材11,12を接合している。
【0137】
補助部材19を上述したような形状とする際には、裏当て部材18と接合ツール10を用いる。
【0138】
裏当て部材18は、第1の締結部材29と補助部材19を受ける役割をする。
【0139】
裏当て部材18で保持されている補助部材19の第2の被接合部材12側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図7(b)に示すように、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が、ねじ孔26のねじ溝に入り込み、第2の締結部材16のねじ孔26の周囲を覆う。
【0140】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、ねじ孔26の周囲を覆う補助部材19に由来する材料を硬化させる。
【0141】
次いで、図7(c)に示すように、第1、第2の被接合部材11,12を逆向きにし、補助部材19の第2の被接合部材12側の端部を裏当て部材(図示せず)で受け、補助部材19の第1の被接合部材11側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が第1の締結部材29に同化する。
【0142】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、第1の締結部材29に同化した補助部材19に由来する材料を硬化させると、第1、第2の被接合部材11,12の接合が完了する。
【0143】
これにより、第1、第2の被接合部材11,12が、例えば鋼とアルミニウム合金とのように、硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材11,12を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0144】
また、第1、第2の被接合部材11,12の素材が補助部材19と同じアルミニウム合金であれば、補助部材19に由来する材料が第1、第2の被接合部材11,12に同化する。
【0145】
図8は本発明の部材接合構造の第8の例であり、請求項14に対応し、図中、図6、図7と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0146】
この部材接合構造は、第1、第2の被接合部材11,12と、第2の被接合部材12とは真反対に位置するように第1の被接合部材11に当接する第1の締結部材29と、第1の被接合部材11とは真反対に位置するように第2の被接合部材12に当接する第2の締結部材27と、補助部材19とを備えている。
【0147】
第1、第2の締結部材29,27は、補助部材19と同じアルミニウム合金を素材としている。
【0148】
第1、第2の締結部材29,27には部材厚み方向に貫通する孔30,28が、前記第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14と同軸に位置するように穿設してある。
【0149】
図8(a)に示すように、孔30,13,14,28には補助部材19が差し込まれる。
【0150】
第1、第2の締結部材29,27は、第1,第2の被接合部材11,12に溶接などの手法により予め固着しておいてもよい。
【0151】
図8(d)に示すように、補助部材19に由来する材料は、摩擦熱と塑性流動によって、第1の締結部材29に同化し且つ第1、第2の被接合部材11,12の孔13,14内周面のそれぞれに密着して第2の締結部材27に同化するように形作られ、補助部材19が第1、第2の被接合部材11,12を接合している。
【0152】
補助部材19を上述したような形状とする際には、裏当て部材18と接合ツール10を用いる。
【0153】
裏当て部材18は、第1の締結部材29と補助部材19を受ける役割をする。
【0154】
裏当て部材18で保持されている補助部材19の第2の被接合部材12側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、図8(b)に示すように、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が、第2の締結部材27に同化する。
【0155】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、第2の締結部材27に同化した補助部材19に由来する材料を硬化させる。
【0156】
次いで、図8(c)に示すように、第1、第2の被接合部材11,12を逆向きにし、補助部材19の第2の被接合部材12側の端部を裏当て部材(図示せず)で受け、補助部材19の第1の被接合部材11側の端面に、接合ツール10を回転させながら押し付けると、補助部材19が摩擦熱と塑性流動により軟化し、当該補助部材19に由来する材料が第1の締結部材29に同化する。
【0157】
この後、接合ツール10を補助部材19から引き離し、第1の締結部材29に同化した補助部材19に由来する材料を硬化させると、第1、第2の被接合部材11,12の接合が完了する。
【0158】
これにより、第1、第2の被接合部材11,12が、例えば鋼とアルミニウム合金とのように、硬さや軟化温度などの物性が著しく違う異種材であっても、これらの部材11,12を効率よく且つ確実に接合することができる。
【0159】
また、第1、第2の被接合部材11,12の素材が補助部材19と同じアルミニウム合金であれば、補助部材19に由来する材料が第1、第2の被接合部材11,12に同化する。
【0160】
なお、本発明の部材接合構造は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の部材接合構造は、様々な部品の接合組付工程に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の部材接合構造の第1の例の施工手順を示す概念図である。
【図2】本発明の部材接合構造の第2の例の施工手順を示す概念図である。
【図3】本発明の部材接合構造の第3の例の施工手順を示す概念図である。
【図4】本発明の部材接合構造の第4の例の施工手順を示す概念図である。
【図5】本発明の部材接合構造の第5の例の施工手順を示す概念図である。
【図6】本発明の部材接合構造の第6の例の施工手順を示す概念図である。
【図7】本発明の部材接合構造の第7の例の施工手順を示す概念図である。
【図8】本発明の部材接合構造の第8の例の施工手順を示す概念図である。
【符号の説明】
【0163】
1 第1の被接合部材
2 第2の被接合部材
3 孔
4 孔
5 締結部材
7 補助部材
11 第1の被接合部材
12 第2の被接合部材
13 孔
14 孔
15 第1の締結部材
16 第2の締結部材
19 補助部材
20 ねじ孔
21 第2の被接合部材
22 孔
23 締結部材
24 孔
25 ねじ孔
26 ねじ孔
27 第2の締結部材
28 孔
29 第1の締結部材
30 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材と第2の被接合部材に係合するように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項2】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、締結部材の空間内側面に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材の空間内側面の溝に入り込ませ且つ第2の被接合部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項3】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に係合するように形作り且つ第2の被接合部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項4】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、締結部材の空間内側面に周方向に延びる溝を設けておき、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材の空間内側面の溝に入り込ませ且つ第2の被接合部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項5】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に同化させ且つ第2の被接合部材に係合するように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項6】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材に同化させ且つ第2の被接合部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項7】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の空間が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する締結部材と、当該締結部材の空間、及び第1、第2の被接合部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、締結部材と第2の被接合部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項8】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材に係合するように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項9】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項10】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に係合するように形作り且つ第2の締結部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項11】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材の孔の周囲を覆うように形作り且つ第2の締結部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。
【請求項12】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に同化させ且つ第2の締結部材に係合するように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項13】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1の締結部材に同化させ且つ第2の締結部材の孔の周囲を覆うように形作ったことを特徴とする部材接合構造。
【請求項14】
互いに連なる補助部材挿入用の孔がそれぞれ穿設してあり且つ面接触するように重ねた第1、第2の被接合部材と、これら被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第2の被接合部材とは真反対に位置するように第1の被接合部材に当接する第1の締結部材と、前記被接合部材の孔に連なる補助部材挿入用の孔が形成してあり且つ第1の被接合部材とは真反対に位置するように第2の被接合部材に当接する第2の締結部材と、第1の締結部材の孔、第1、第2の被接合部材の孔、及び第2の締結部材の孔に差し込んだ補助部材とを備え、摩擦熱と塑性流動により補助部材に由来する材料を、第1、第2の締結部材に同化させたことを特徴とする部材接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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