説明

部材施工情報の邸別配布システム。

【課題】 施工者に確実に部材施工情報を伝達することができるとともに、施工者が確実に閲覧する部材施工情報の邸別配布システムを提供する。
【解決手段】 部材施工情報の邸別配布システム1は、部材施工情報と、部材の識別情報と、を互いに関連付けて記憶する部材施工情報記憶手段と、当該住宅の施工に必要な割付図を生成する図面生成手段と、割付図を住宅毎に記憶する邸別記憶手段と、割付図に基づいて、住宅の施工に必要な部材を抽出する部材抽出手段と、部材抽出手段が抽出した部材の識別コードに関連付けられて記憶されている部材施工情報を抽出するとともに、部材施工情報を邸別記憶手段に記憶されている割付図に添付する図面添付手段と、割付図の出力要求があったときに、割付図及び割付図に添付して記憶された部材施工情報を出力する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材施工情報の邸別配布システムに関し、より確実に住宅の適切な施工に必要な部材施工情報を住宅の施工者に配布することができる部材施工情報の邸別配布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の施工に際しては、設計者が設計した設計図に基づいて作成される平面図、割付図、仕様書などの図面や図書に基づいて、施工者が住宅を組み立てる。特に工業化された住宅においては、施工者の技量によらず均一な品質を得るために、住宅に用いられる各部材を工場で加工して出荷するとともに、施工者に対して各部材を施工する際に適切な施工方法を伝達する。
【0003】
このように施工者に適切な施工方法を伝達する手段としては、施工者に施工指導を行うことや施工者に対して研修を行うなどの方法により直接指導する方法がある。しかし、このような直接指導する方法は、指導、研修に多くのスタッフが必要となり、また、時間的な制約から全ての施工者に徹底することは極めて困難である。
【0004】
そこで、施工要領、設計施工技術マニュアル、施工ポイント集などのように部材や仕様毎に作成される図面や図書を、施工者に配布する方法が考えられる。例えば、これらの図面や図書を配布する方法として、紙媒体に印刷して施工者などに送付する方法が考えられるが、直接全施工者に配布することはコストの面からも困難であり、支店、工事店などを経由して施工者に配布する場合には、タイムリーに確実に施工者に配布することが困難である。そこで、例えば、特許文献1に記載されているように、予めデータベースに記憶されているマニュアルなどを施工現場でダウンロードして端末の画面に表示することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−87067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、施工要領、設計施工技術マニュアル、施工ポイント集などの情報は膨大で多種多様であり、たとえマニュアルなどをダウンロードできる環境にあったとしても、どの資料を閲覧すればよいかわからない場合が多い。また、ダウンロードした図面や図書が膨大であると、結局施工者がこれら図面や図書を十分に理解しながら閲覧することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、施工者に確実に部材施工情報を伝達することができるとともに、施工者が確実に閲覧する部材施工情報の邸別配布システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の部材施工情報の邸別配布システムは、予め住宅を構成する部材を適切に施工するための部材施工情報と、当該部材の識別情報と、を互いに関連付けて記憶する部材施工情報記憶手段と、予め住宅毎に設計される設計図面に基づいて、当該住宅の施工に必要な割付図を生成する図面生成手段と、前記割付図を住宅毎に記憶する邸別記憶手段と、前記割付図に基づいて、前記住宅の施工に必要な部材を抽出する部材抽出手段と、前記部材抽出手段が抽出した部材の識別コードに関連付けられて記憶されている部材施工情報を抽出するとともに、当該部材施工情報を前記邸別記憶手段に記憶されている前記割付図に添付する図面添付手段と、前記割付図の出力要求があったときに、当該割付図及び当該割付図に添付して記憶された前記部材施工情報を出力する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の部材施工情報の邸別配布システムは、前記割付図の出力要求があったときに、当該出力要求をしたアカウントの認証を行う認証手段と、前記部材施工情報のアカウント毎の出力回数を計数する出力計数手段と、を更に備える施工資料の邸別配布システムであって、前記制御手段は、前記割付図の出力要求があったときに、当該割付図に添付して記憶された前記部材施工情報の出力回数が予め登録された閲覧基準回数か否か判断し、前記出力回数が前記閲覧基準回数以下であると判断すると、前記割付図及び当該部材施工情報を出力し、前記出力回数が前記閲覧基準回数を超えると判断すると、前記邸別記憶手段から前記部材施工情報を削除して、前記割付図を出力することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の部材施工情報の邸別配布システムは、前記部材施工情報記憶手段は前記部材施工情報記憶手段の閲覧期間を更に記憶しており、当該閲覧期間外である場合に、前記制御手段は、当該部材施工情報を添付せずに前記割付図を出力することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の部材施工情報の邸別配布システムは、前記部材施工情報記憶手段は、予め住宅の仕様毎に当該仕様を施工する際に用いる前記部材施工情報を記憶するものであって、前記図面添付手段は、予め住宅毎に作成される仕様書に基づいて前記住宅の仕様を特定し、当該住宅の仕様を施工する際に用いる前記部材施工情報を抽出するとともに、当該住宅の前記割付図に当該部材施工情報を添付して前記邸別記憶手段に記憶することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の部材施工情報の邸別配布システムは、前記仕様は、住宅の型式、外壁種類、屋根種類、及び屋根勾配のいずれかを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の部材施工情報の邸別配布システムによると、部材抽出手段により個別の住宅の施工に必要な部材が抽出されるとともに、制御手段により当該部材の識別コードに関連付けられている部材施工情報が抽出されるので、個別の住宅の施工に必要な部材の部材施工情報のみが抽出されることとなり、多くの部材施工情報の中から必要な部材施工情報のみを閲覧することができる。しかも、部材施工情報は割付図に添付されて出力されるので、施工者が割付図を確認する際に必ず部材施工情報も確認することになり、施工者に確実に部材施工情報を伝達することができるとともに、施工者がこの部材施工情報を確実に閲覧させることができる。
【0014】
請求項2に記載の部材施工情報の邸別配布システムによると、アカウント毎に部材施工情報の出力回数を計数しており、出力回数が閲覧基準回数以下であると、割付図に部材施工情報を添付して出力し、出力回数が閲覧基準回数を超えると、割付図のみを出力することになるので、既に何度も出力されており、施工者が何度も閲覧している部材施工情報については、再度出力されることはない。したがって、閲覧すべき部材施工情報の数が多くなりすぎて施工者の負担となることがない。
【0015】
請求項3に記載の部材施工情報の邸別配布システムによると、閲覧期間外である場合に、制御手段が部材施工情報を添付せずに割付図を出力するので、閲覧期間内にない不適切な部材施工情報を出力することなく割付図を出力することができ、無駄な部材施工情報を確認することを抑制し、施工者の負担を軽減することができる。
【0016】
請求項4に記載の部材施工情報の邸別配布システムによると、住宅の仕様に基づいて、この住宅の仕様を施工する際に用いる部材施工情報を抽出するとともに、割付図にこの部材施工情報を添付して出力することになるので、部材毎に定められる識別情報と住宅の仕様とに基づいて住宅の施工に必要な部材施工情報を判別することができ、部材施工情報の判別精度を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の部材施工情報の邸別配布システムによると、住宅の型式、外壁種類、屋根種類、及び屋根勾配のいずれかに基づいて必要な部材施工情報を判別し、割付図に添付して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】部材施工情報の邸別配布システムの構成を示すブロック図。
【図2】部材施工情報登録処理のルーチンを示すフローチャート。
【図3】部材施工情報の登録画面を示す簡略正面図。
【図4】図面添付処理のルーチンを示すフローチャート。
【図5】出力処理のルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、部材施工情報の邸別配布システム1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。この部材施工情報の邸別配布システム1は、図1に示すように、住宅メーカーの業務基幹システムサーバ2と、住宅を構成する各部材を製造する工場に設けられた工場サーバ3と、複数のPC4、5、6と、を社内ネットワーク7により接続して構成される。
【0020】
業務基幹システムサーバ2は、図1に示すように制御部21(CPU Central Processing Unit)、RAM22(Random Access Memory)、HDD23(Hard
disk drive)、LAN−I/F24(Local Area Network−Interface)を備えており、各部はバス25によって通信可能に接続されている。なお、業務基幹システムサーバ2の構成はこれに限定されるものではなく、システムを制御する機能、情報を記憶する機能、ネットワーク通信する機能を備えたサーバであれば如何なる構成であってもよい。
【0021】
制御部21は、HDD23に記憶された各種制御プログラムにしたがって、情報処理を行い、業務基幹システムサーバ2の動作を制御する。RAM22は、この業務基幹システムの動作に用いる各種情報を展開する記憶領域である。HDD23は、制御部21による情報処理に用いられる図面添付プログラム233、出力プログラム234、登録プログラム235などの各種制御プログラムを記憶するものである。なお、このHDD23には、この他に住宅を構成する部材を適切に施工するための部材施工情報と、部材の識別情報である工場品コードとを互いに関連付けて記憶する部材施工情報記憶領域231と、設計された個別の住宅毎に平面図、割付図、仕様書等の情報を記憶する邸別記憶領域232と、を有している。また、LAN−I/F24は、ネットワークに接続された工場サーバ3及び各PC4、5、6から情報の入力を受付けるとともに、情報の出力を行うものである。なお、ここで「部材施工情報」は、住宅の施工に用いられる図面や図書のうち共通する部材や共通する仕様を採用した住宅に共通するマニュアル、施工要領、参考施工図、ポイント集等のように住宅の施工者に施工方法や施工の際の注意点を伝達するための図面や図書である。
【0022】
工場サーバ3は、住宅メーカーの工場に設置されるサーバであって、本社や支店の設計担当者のPC4、6等から受信した設計図に基づいて、工場割付図を生成し、各住宅の施工に際して出荷するべき部材を抽出するものである。この工場サーバ3は、LAN−I/F31、CPU32、及びHDD33により構成されている。なお、この工場サーバ3の構成は、これに限定されるものではなく、工場サーバ3としての機能を実現することができる種々のサーバを用いることができる。
【0023】
工場サーバ3のLAN−I/F31は、ネットワークに接続された業務基幹システムサーバ2及び各PC4、5、6から情報の入力を受付けるとともに、情報の出力を行うものである。CPU32は、HDD33に記憶された各種制御プログラムにしたがって、情報処理を行い、工場サーバ3の動作を制御する。HDD33は、CPU32による情報処理に用いられる部材抽出プログラム331、及び図面生成プログラム332などの各種制御プログラムを記憶するものである。
【0024】
本社PC4、施工者PC5、支店PC6はそれぞれ本社、施工者、支店で管理されるPCであり、社内ネットワーク7を介して業務基幹システムサーバ2や工場サーバ3にアクセス可能に構成されている。
【0025】
次に以上のように構成される部材施工情報の邸別配布システム1において、主に制御部21が登録プログラム235に基づいて行う業務基幹システムサーバ2のHDD23に部材施工情報を記憶させる部材施工情報登録処理について説明する。例えば本社PC4などを操作して登録プログラム235を起動し、登録を選択すると、図2に示すように、まず登録画面8が表示される(S201)。
【0026】
この登録画面8は、上段に図3に示すように、資料名811、工程812、部位813、添付エリア814、閲覧基準回数815、閲覧期間816、施工資料817、関連図面818、からなる部材施工情報固有情報81がそれぞれ入力可能に表示されており、更に、登録者及び作成者が入力可能に表示されている。また、下段には住宅の型式821、外壁種類822、屋根種類823、屋根勾配834、商品名825、工場品コード826、仕様書番号827からなる判別情報82がそれぞれ入力可能に表示されている。そして、最下段には、戻るボタン83及び登録ボタン84がそれぞれ表示されている。
【0027】
資料名811は部材施工情報の資料名であり例えば「外壁固定用金具施工ポイント」が入力される。工程812は当該部材施工情報に基づいて施工する工程であり、例えば「外装工程」が入力される。部位813は当該部材施工情報に基づいて施工する部位であり、例えば「外壁」が入力される。添付エリア814は、この部材施工情報が添付されるエリアであり、例えば寒冷地仕様の住宅にのみ必要な部材施工情報であれば添付エリアを寒冷地エリアに限定することができ、また品質管理の状況に応じて必要なエリアを限定することができ、エリアを限定する必要がない場合は、「全国」と入力される。閲覧基準回数815は、部材施工情報を閲覧するアカウント毎またはグループ毎の閲覧回数を定めたものである。重要度の高い部材施工情報やクレームが多い部分の部材施工情報などは閲覧基準回数を多くすることができ、施工上重要度が低い部材施工情報などは閲覧基準回数を少なくすることができる。
【0028】
閲覧期間816は、この部材施工情報を閲覧させる期間が入力される。施工資料817は、具体的な部材施工情報の内容が記載されたファイルのアドレス又は識別情報が入力される。そして関連図面818は部材施工情報に添付すべき関連図面ファイルのアドレス又は識別情報が入力される。
【0029】
「登録者」は、この部材施工情報登録処理を行う入力者の識別番号が入力される。なお、予め社内ネットワーク7に接続する際に例えばID及びパスワードにより認証を行い、認証された入力者の識別番号を自動的に表示してもよい。また、「作成者」は、登録を行う部材施工情報を作成した者の識別番号が入力される。
【0030】
型式821は、部材施工情報固有情報領域に入力された部材施工情報に基づいて施工される住宅の型式が入力される。外壁種類822は、この部材施工情報に基づいて施工される住宅の外壁種類が例えばダインコンクリートなどのように入力される。屋根種類823は、この部材施工情報に基づいて施工される住宅の屋根種類が、入力される。屋根勾配824は、この部材施工情報に基づいて施工される住宅の屋根勾配が例えば、5寸勾配、陸屋根のように入力される。商品名825は、この部材施工情報に基づいて施工される住宅の商品名が入力される。工場品コード826は、施工する際に部材施工情報が必要な部材の識別コードが入力される。仕様書品番827は、施工する際に部材施工情報が必要な住宅の仕様を特定するコードが入力される。
【0031】
戻るボタン83は、マウスのクリックなどによりこのボタンを選択すると、登録画面8から初期画面に戻るボタン83であり、登録ボタン84は、入力した内容を確定させて、HDD23の部材施工情報記憶領域231に記憶させるものである。
【0032】
以上のように登録画面8が表示され、登録する部材施工情報固有情報及び判別情報が入力されると、次に制御部21は、登録ボタン84が選択されたか否か判断する(S202)。そして、登録ボタン84が選択されたと判断すると(S202:YES)、制御部21は、入力された部材施工情報固有情報と判別情報とを互いに関連付けてHDD23の部材施工情報記憶領域231に記憶させて(S204)、部材施工情報登録処理を終了する。一方、登録ボタン84が選択されていないと判断すると(S202:NO)、制御部21は次に、戻るボタン83が選択されたか否か判断する(S203)。戻るボタン83が選択されていると判断すると(S203:YES)、そのまま部材施工情報登録処理を終了する。戻るボタン83が選択されていないと判断すると(S203:NO)、S202に戻って待機する。
【0033】
次に、主に業務基幹システムサーバ2の制御部21が実行する図面添付処理について説明する。本社のPC4又は支店のPC6から設計図、仕様書などの情報を受信した工場サーバ3のCPU32は、HDD33に記憶されている図面生成プログラム332にしたがって、住宅毎の工場割付図を生成する。そして、CPU32は生成された工場割付図及びHDD33に記憶されている部材抽出プログラム331にしたがって、住宅の施工に必要な部材を抽出する。そして、CPU32は、LAN−I/F31を制御して、この工場割付図及び抽出した部材の一覧である工場オーダー情報(部材抽出情報)を社内ネットワーク7を介して業務基幹システムサーバ2に送信する。
【0034】
図面添付処理では、業務基幹システムサーバ2の制御部21は、まず図4に示すように、個別の住宅毎の設計図に基づいて作成された平面図、仕様書、及び工場サーバ3で生成された工場割付図を受信したか否か判断する(S301)。そして、これら平面図、仕様書、割付図を受信したと判断すると(S301:YES)、次に工場サーバ3から工場オーダー情報を受信したか否か判断する(S302)。一方、平面図、仕様書、割付図を受信していないと判断すると(S301:NO)、そのまま図面添付処理のルーチンを終了する。
【0035】
S302に戻って工場オーダー情報を受信したと判断すると(S302:YES)、制御部21は、HDD23の部材施工情報記憶領域231に記憶されている部材施工情報を抽出する処理を行う(S303)。一方、工場オーダー情報を受信していないと判断すると(S302:NO)、工場オーダー情報を受信するまで待機する。部材施工情報抽出処理は、具体的には、工場オーダー情報に基づいて特定される工場品コードに関連付けてHDD23の部材施工情報記憶領域231に記憶されている部材施工情報を抽出するとともに、仕様書により特定される仕様書品番、住宅の型式、外壁種類、屋根種類、屋根勾配、又は商品名に関連付けて部材施工情報記憶領域231に記憶されている部材施工情報を抽出する。このようにして、住宅の施工に必要な部材施工情報を抽出すると、次に、制御部21は、平面図、仕様書、及び割付図に、抽出した部材施工情報を添付してHDD23の邸別記憶領域232に記憶させて(S304)、図面添付処理のルーチンを終了する。
【0036】
次に、施工者のPC5などから割付図等の出力要求があった場合に、主に業務基幹システムサーバ2の制御部21が実行する出力処理について図5を参照しつつ説明する。施工者は住宅を施工する際に必要な平面図、仕様書、及び割付図を社内ネットワーク7を介してダウンロードし、閲覧を行う。出力処理では、まず、制御部21は、割付図等の出力要求があったか否か判断する(S401)。割付図等の出力要求があったと判断すると(S401:YES)、次にアカウントの認証処理を行う(S402)。一方、割付図等の出力要求がなかったと判断すると(S401:NO)、そのまま処理を終了させる。
【0037】
アカウントの認証処理は、例えばユーザID及びパスワードを入力させて予め登録されているユーザID及びパスワードと一致するか否か判断するものであってもよいし、社内ネットワーク7に接続されるPC4、5、6に予め記憶されている電子証明書による認証であってもよい。また、このアカウントは、住宅の施工者一人ひとりに付与されたものであってもよいし、例えば施工会社毎又は支店毎に付与されたものであってもよい。アカウントの認証処理が終わると、アカウントが認証されたか否か判断する(S403)。アカウントが認証されていないと判断すると(S403:NO)、アカウントが認証されるまで処理を中断する。
【0038】
一方、アカウントが認証されたと判断すると(S403:YES)、次に、出力要求された割付図等に添付されてHDD23の邸別記憶領域232に記憶されている部材施工情報の閲覧期間を読み出し各部材施工情報が閲覧期間内か否か判断する(S404)。具体的には、割付図等に添付されて記憶されている部材施工情報とともに予め登録された閲覧期間内にあるか否か判断する。そして、閲覧期間内であると判断すると(S404:YES)、次に、各部材施工情報は閲覧基準回数以下であるか否か判断する(S405)。具体的には、HDD23の邸別記憶領域232に部材施工情報とともに記憶されている出力回数が、予め登録された閲覧基準回数以下であるか否か判断する。
【0039】
閲覧基準回数以下であると判断すると(S405:YES)、平面図、仕様書、及び割付図とともに、閲覧基準回数であった部材施工情報を出力要求元に社内ネットワーク7を介して送信する(S407)。そして、邸別記憶領域232に部材施工情報とともに記憶されている出力回数を1加算して(S408)、出力処理を終了する。一方、部材施工情報が閲覧期間内でないと判断する(S404:NO)、又は部材施工情報の出力回数が閲覧基準回数を超えている(S405:NO)と判断すると、HDD23の邸別記憶領域232に記憶されている当該部材施工情報を削除し(S409)、平面図、仕様書、及び割付図のみを要求元に出力して(S410)、出力処理のルーチンを終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態の部材施工情報の邸別配布システム1によると、設計図に基づいて工場サーバ3で生成される割付図、平面図、及び仕様書に基づいて、自動的に個別の住宅の施工に必要な部材施工情報が抽出され、HDD23の邸別記憶領域232に記憶される。したがって、多種多様で膨大な量の部材施工情報の中から個別の住宅の施工に必要なもののみを確実に抽出することができる。しかも、邸別記憶領域232に記憶された部材施工情報は平面図、仕様書、及び割付図に添付されて出力されるので、施工者が割付図等を確認する際に必ず部材施工情報も確認することになり、施工者に確実に部材施工情報を伝達することができるとともに、施工者がこの部材施工情報を確実に閲覧させることができる。
【0041】
さらに、本実施形態の部材施工情報の邸別配布システム1によると、アカウント毎に部材施工情報の出力回数が計数されて、出力回数が閲覧基準回数以下である部材施工情報のみを割付図等に添付して出力するので、既に何度も出力されており、施工者が何度も閲覧している部材施工情報については、再度出力されることはない。したがって、閲覧すべき部材施工情報の数が多くなりすぎて施工者の負担となることがない。
【0042】
また、本実施形態の部材施工情報の邸別配布システム1によると、予め登録された閲覧期間内でない場合は、部材施工情報を添付せずに割付図等を出力するので、閲覧期間内にない不適切な部材施工情報や古い部材施工情報を出力することなく、割付図等を出力することができ、施工者が無駄な部材施工情報を確認することがなくなり、施工者の負担を軽減することができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態の部材施工情報の邸別配布システム1によると、部材施工情報を抽出する際の判別情報として、部材毎に定められる識別コードである工場品コードのほかに、住宅の仕様も併用するものであるので、個別の住宅の施工に際して必要な部材施工情報を高い精度で抽出することができる。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る部材施工情報の邸別配布システム1によると、工場で部材を生産して現場で組み立てる住宅メーカーにおいて施工者に部材施工情報を配布するシステムとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 部材施工情報の邸別配布システム
21 制御部(制御手段)
231 部材施工情報記憶領域(部材施工情報記憶手段)
232 邸別記憶領域(邸別記憶手段)
233 図面添付プログラム(図面添付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め住宅を構成する部材を適切に施工するための部材施工情報と、当該部材の識別情報と、を互いに関連付けて記憶する部材施工情報記憶手段と、
予め住宅毎に設計される設計図面に基づいて、当該住宅の施工に必要な割付図を生成する図面生成手段と、
前記割付図を住宅毎に記憶する邸別記憶手段と、
前記割付図に基づいて、前記住宅の施工に必要な部材を抽出する部材抽出手段と、
前記部材抽出手段が抽出した部材の識別コードに関連付けられて記憶されている部材施工情報を抽出するとともに、当該部材施工情報を前記邸別記憶手段に記憶されている前記割付図に添付する図面添付手段と、
前記割付図の出力要求があったときに、当該割付図及び当該割付図に添付して記憶された前記部材施工情報を出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする部材施工情報の邸別配布システム。
【請求項2】
前記割付図の出力要求があったときに、当該出力要求をしたアカウントの認証を行う認証手段と、
前記部材施工情報のアカウント毎の出力回数を計数する出力計数手段と、
を更に備える施工資料の邸別配布システムであって、
前記制御手段は、前記割付図の出力要求があったときに、当該割付図に添付して記憶された前記部材施工情報の出力回数が予め登録された閲覧基準回数か否か判断し、前記出力回数が前記閲覧基準回数以下であると判断すると、前記割付図及び当該部材施工情報を出力し、前記出力回数が前記閲覧基準回数を超えると判断すると、前記邸別記憶手段から前記部材施工情報を削除して、前記割付図を出力することを特徴とする請求項1に記載の部材施工情報の邸別配布システム。
【請求項3】
前記部材施工情報記憶手段は前記部材施工情報記憶手段の閲覧期間を更に記憶しており、
当該閲覧期間外である場合に、前記制御手段は、当該部材施工情報を添付せずに前記割付図を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部材施工情報の邸別配布システム。
【請求項4】
前記部材施工情報記憶手段は、予め住宅の仕様毎に当該仕様を施工する際に用いる前記部材施工情報をさらに記憶するものであって、
前記図面添付手段は、予め住宅毎に作成される仕様書に基づいて前記住宅の仕様を特定し、当該住宅の仕様を施工する際に用いる前記部材施工情報を抽出するとともに、当該住宅の前記割付図に当該部材施工情報を添付して前記邸別記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の部材施工情報の邸別配布システム。
【請求項5】
前記仕様は、住宅の型式、外壁種類、屋根種類、及び屋根勾配のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の部材施工情報の邸別配布システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129016(P2011−129016A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288835(P2009−288835)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)