説明

郵便切手

【課題】
本発明が解決しようとする課題は、切手サイズをコンパクトにし、基体とする切手原紙の使用効率が高く、切手購入者が要望する書画像を切手の広い範囲で印刷することができる郵便切手を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明による郵便切手では、購入者が要望する書画像から、発行者名と料額とを含む領域の部分を切り抜き、前記発行者名と前記料額に重複して印刷することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切手にその購入者が要求した書画像を印刷する郵便切手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、郵便切手は日本郵政公社で印刷され、定められた書画像が入っていたが、近年、購入者の要望する書画像を挿入した切手が望まれるようになってきている。これに対応して、書画像を挿入可能な切手が発案されており、そのことによって切手の普及を更に図ることができると期待されている。
【0003】
このような背景の中、いくつかの特許文献には同様の提案が見られる。図6は特許文献1に記載された、従来の切手シートの製造方法を示す図である。これは第1の工程で、切手として機能を果たす額面を印刷した第2領域と、書画像の印刷予定領域である第1の領域を印刷しておき、次の第2の工程で、書画像を第1の領域に印刷する。この場合、第1の領域と第2の領域という2つの印刷領域を有している為、印刷領域が広くなり、不必要に用紙を大きく使用するという欠点があった。
【特許文献1】特許3293517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような事情から、解決しようとする課題は、切手サイズをコンパクトにし、基体とする切手原紙の使用効率が高く、書画像を切手の広い範囲で印刷することができる郵便切手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための手段として、購入者が要望する書画像から、発行者名と料額とを含む領域の部分を切り抜き、前記発行者名と前記料額に重複して印刷することにより解決を図る。以下、請求範囲に沿って説明する。
【0006】
請求項1記載の発明は、郵便切手であって、発行者名と料額と購入者の希望する書画像を有し、前記発行者名と前記料額の配置部を含む領域を前記書画像から抜いて、前記発行者名と前記料額に重複して配置されたことを特徴とする。これにより、基体とする切手原紙の使用効率を上げることができ、切手サイズはコンパクトでありながらも、切手の広い範囲に書画像を印刷することができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の郵便切手において、前記発行者名と前記料額が、予め前記郵便切手の原紙に印刷されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の郵便切手において、前記配置部を含む領域は、取得された前記郵便切手の画像から作成された領域であるか、前記郵便切手の原紙を発行する発行者から入手した前記発行者名と前記料額の配置部を含む領域であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の郵便切手において、前記発行者名と前記料額の配置部を含む前記領域の形状は、多角形、楕円、円、文字に沿った形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の郵便切手において、前記発行者名と、前記料額と、前記書画像の少なくともいずれか1つの部分において、偽造防止を目的とする印刷が施されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の郵便切手において、前記偽造防止は、紫外線または赤外線で特定の波長範囲に吸収・反射に敏感な印刷用インクで施されたことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の郵便切手において、前記偽造防止は、予め決まった参照光によりホログラム処理がされた偽造防止パターンが形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項5記載の郵便切手において、前記偽造防止は、紫外線または赤外線の吸収・反射に敏感なインクで印刷されたドットパターンの並びにより施され、前記ドットパターンに前記発行者名または前記料額が重ね印刷されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明は、購入者の要望する書画像を、発行者名と料額とを含む領域の部分を切り抜いて、前記発行者名と前記料額に重複して印刷することにより、基体とする切手原紙の使用効率を上げることができ、切手サイズはコンパクトでありながらも、切手の広い範囲で書画像を印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明を実施する為の最良の形態として、以下に実施態様を説明する。
【0016】
図1は、本発明における郵便切手の一実施態様を示す図である。1-Aは、発行者名101、料額102が既に印刷された切手原紙100である。1-Bは、購入者が挿入希望する書画像105である。1-Cは、1-Bの書画像105から切り抜き部103を切り抜いた切り抜き書画像104である。切り抜き部103は、発行者名と料額の配置部を含む領域であって、書画像105から切り抜く部分である。また、1-Bと1-Cにおいて書画像のサイズは、予め切手原紙100に合わせてある。1-Dは1-Aと1-Cを重ねたもので、切手の最終形態である。このとき、A,B,C,Dの符号が合致するように重ねる。以上のように、最終形態1-Dでは、購入者の希望する書画像が切手の発行者名101と料額102を含む画像が重ねることなく広い範囲に印刷され、尚且つ、切手サイズはコンパクトな郵便切手が完成する。
【0017】
図5は、本発明による郵便切手の作成フローの一実施態様である。上記説明の発行者名101および料額102の配置データが、切り抜き書画像104を得るため必要であった。フローでは、この配置データが無い場合(右側)と、有る場合(左側)に分けて説明する。
【0018】
まず、フロー右側の発行者名および料額の配置データが無い場合、切手原紙100を画像として取得(501)、画像から発行者名および料額部分の配置データを作成(502)した後、前記配置データに基づき、書画像105から発行者名101および料額102に重なる領域を切り抜いた(503)後、切り抜き書画像104を切手原紙100へ印刷(504)する。
【0019】
次に、フロー左側の発行者名および料額の配置データが有る場合には、上記工程(503)、(504)を実施する。
【0020】
また、切り抜き部103の形状は、図1では四角、図2では楕円、図3は文字に沿った形状、図4は角が滑らかな四角である。このように、図5の工程(503)を実施する場合、書画像105を切り抜く形状は、四角や楕円、角が滑らかな四角、文字に沿った形も含め、それ以外の種々の形状でもよいのである。
【0021】
切手原紙100の画像から、発行者名および料額部分の配置データを作成するにあたっては、取得された画像に対して、輪郭処理、連続点と連続点集団間の距離の計算による文字枠認識、重心計算、形状割り当てなどの画像処理手段を用いることが出来る。
【0022】
発行者名および料額部分、書画像のいずれか、特に発行者名および料額部分に偽造防止の処理が施されていることが好ましい。このためには、偽造防止の処理を施す部分に他の文字が入らないように印刷できる枠を小さくすることや、発行者名および料額の文字を他の部分の印刷とは違ったものとすることで達成できる。印刷を違えるには、インクに紫外線または赤外線の吸収・反射に敏感なものを使うことで、更に、特定の波長範囲に吸収・反射に敏感なものを使うことで、偽造者に知られずに偽造を検出できる。他の手段としては、ホログラム処理により偽造防止パターンを形成し、予め決まった参照光で読み出す手段がある。同じ参照光で変調したホログラムを書かないと、読み出したとき誤差になるからであり、キーになっている参照光を知られない限り、偽造が難しいからである。ドットパターンの並びを特定の規則により並べたものを背景にするのも簡単な偽造防止になる。ドットパターンを紫外線または赤外線の吸収・反射に敏感なインクで印刷し、この上に発行者名および料額部分の印刷を重ねる。ドットパターンは可視光では見えないが、センサーでの検出は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明は、購入者の要望する書画像を、発行者名と料額とを含む領域の部分を切り抜いて、前記発行者名と前記料額に重複して印刷することにより、基体とする切手原紙の使用効率を上げることができ、切手サイズはコンパクトでありながらも、書画像を切手の広い範囲で印刷することができるため、産業上利用性が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による郵便切手の一実施態様を示す図である。
【図2】本発明による郵便切手の別の実施態様を示す図である。
【図3】本発明による郵便切手の別の実施態様を示す図である。
【図4】本発明による郵便切手の別の実施態様を示す図である。
【図5】本発明による郵便切手の作成フローの一実施態様を示す図である。
【図6】従来の切手シートの製造方法を説明する概要図である。
【符号の説明】
【0025】
100切手原紙
101発行者名
102料額
103切抜き部
104切り抜き書画像
105書画像
501切手原紙の画像取得工程
502発行者名と料額の配置データ作成工程
503書画像切り抜き工程
504切り抜き書画像印刷工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行者名と料額と購入者の希望する書画像を有し、前記発行者名と前記料額の配置部を含む領域を前記書画像から抜いて、前記発行者名と前記料額に重複して配置されたことを特徴とする郵便切手。
【請求項2】
前記発行者名と前記料額が、予め前記郵便切手の原紙に印刷されていることを特徴とする請求項1記載の郵便切手。
【請求項3】
前記配置部を含む領域は、取得された前記郵便切手の画像から作成された領域であるか、前記郵便切手の原紙を発行する発行者から入手した前記発行者名と前記料額の配置部を含む領域であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の郵便切手。
【請求項4】
前記発行者名と前記料額の配置部を含む前記領域の形状は、多角形、楕円、円、文字に沿った形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の郵便切手。
【請求項5】
前記発行者名と、前記料額と、前記書画像の少なくともいずれか1つの部分において、偽造防止を目的とする印刷が施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の郵便切手。
【請求項6】
前記偽造防止は、紫外線または赤外線で特定の波長範囲に吸収・反射に敏感な印刷用インクで施されたことを特徴とする請求項5記載の郵便切手。
【請求項7】
前記偽造防止は、予め決まった参照光によりホログラム処理がされた偽造防止パターンが形成されたことを特徴とする請求項5記載の郵便切手。
【請求項8】
前記偽造防止は、紫外線または赤外線の吸収・反射に敏感なインクで印刷されたドットパターンの並びにより施され、前記ドットパターンに前記発行者名または前記料額が重ね印刷されていることを特徴とする請求項5記載の郵便切手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−251187(P2009−251187A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97460(P2008−97460)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【Fターム(参考)】