配信システム及び車載器
【課題】ユーザの嗜好を予め記憶して嗜好情報に自動的に反映させることにより、嗜好情報の入力の際の操作負担を軽減する。
【解決手段】配信システム100は、車載器10と路側無線装置20がDSRC通信によって接続され、路側無線装置20とセンター装置30がネットワークNによって接続されており、車載器10は、前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信モジュール2と、ユーザ嗜好データテーブルT2とジャンル再生回数テーブルT3とジャンル−嗜好データ関連テーブルT4を記憶部1fに記憶し、嗜好データ自動選択処理によって自動的にユーザ嗜好データテーブルT2を更新して、嗜好情報をアップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信する。センター装置30は、車載器10から受信したアップリンク情報m1に含まれる嗜好情報に基づいて当該車載器10に対して配信するコンテンツ情報を編成して配信する。
【解決手段】配信システム100は、車載器10と路側無線装置20がDSRC通信によって接続され、路側無線装置20とセンター装置30がネットワークNによって接続されており、車載器10は、前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信モジュール2と、ユーザ嗜好データテーブルT2とジャンル再生回数テーブルT3とジャンル−嗜好データ関連テーブルT4を記憶部1fに記憶し、嗜好データ自動選択処理によって自動的にユーザ嗜好データテーブルT2を更新して、嗜好情報をアップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信する。センター装置30は、車載器10から受信したアップリンク情報m1に含まれる嗜好情報に基づいて当該車載器10に対して配信するコンテンツ情報を編成して配信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及び車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、地域情報(例えば周辺の店舗や医療機関の情報)や広告情報等の各種コンテンツ情報を配信するのである。
【0003】
また、前記車載器では、路側無線装置から配信された各種コンテンツ情報を記憶することにより、路側無線装置と通信できず受信時にコンテンツ情報の再生ができない環境においても当該各種コンテンツ情報を再生することが可能になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−109032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記車載器には多くのコンテンツ情報が配信されるが、必ずしもユーザの嗜好に沿ったコンテンツ情報が配信されるとは限らない。そこで、ユーザの嗜好を反映させたアップリンク情報を車載器からセンター装置に対して送信し、当該受信したアップリンク情報に基づいてセンター装置からユーザの嗜好に応じたコンテンツ情報を配信することが検討されている。
【0005】
しかし、ユーザの嗜好をアップリンク情報に反映させるためには、ユーザから車載器に対して入力を行うことにより嗜好情報を作成し、当該嗜好情報をアップリンク情報に含ませる必要がある。
【0006】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの嗜好を予め記憶して嗜好情報に自動的に反映させることにより、嗜好情報の入力の際の操作負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車載器と、前記車載器と無線通信可能に接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記車載器は、
前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備え、
前記センター装置は、前記車載器から受信した更新された前記嗜好情報に基づいて当該車載器に対して配信するコンテンツ情報を編成し、当該編成されたコンテンツ情報を当該車載器に対して配信することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
路側無線装置を介してコンテンツ情報を配信するセンター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記嗜好情報は、少なくとも楽曲のジャンルを含み、
前記更新情報は、少なくとも楽曲のジャンルと当該楽曲のジャンルに属する楽曲の再生回数を含み、
前記更新手段は、予め定められた回数以上の再生回数がある前記更新情報の楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
楽曲を再生する再生手段と、
前記再生手段によって再生された楽曲のジャンルを取得するジャンル取得手段と、
を更に備え、
前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルは、前記ジャンル取得手段によって取得された楽曲のジャンルであり、前記再生回数は前記再生手段によって再生された回数であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記記憶手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記嗜好情報に含まれる楽曲のジャンルを対応付けるテーブルを更に記憶し、
前記更新手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記テーブルによって対応付けられた楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明において、
前記記憶手段の記憶可能容量を取得し、当該取得された前記記憶手段の記憶可能容量に基づいて前記コンテンツ情報を記憶するか否かを判断する保存可能領域判断手段を更に備え、
前記更新手段は、前記保存可能領域判断手段によって前記コンテンツ情報を記憶すると判断した場合に、前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの嗜好を予め記憶して嗜好情報に自動的に反映させることができ、嗜好情報の入力の際の操作負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように、車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成される。センター装置30は路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツ情報を配信する。
路側無線装置20は路上や駐車場等に複数設置され、各路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続されている。路側無線装置20と、車両Cの車載器10とは無線通信が可能である。
【0015】
なお、コンテンツ情報とは、データ形式等の詳細は後述するが、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音声情報等)の他、コンテンツ情報を提供する事業者に関する情報、コンテンツ情報の有効期限の情報(例えば、有効期限の開始と終了の日時)、サービスを提供可能な対象地点の情報(例えば、広告している店舗の地点を示す緯度経度や店舗名等)が含まれる。例えば、位置情報を含むコンテンツ情報であれば緯度経度情報も格納されているが、コンテンツ情報に位置情報が含まれなければ緯度経度情報は必要がなく、当該位置情報を示すデータ領域には情報は格納されない。
他にも、コンテンツ情報として、当該コンテンツ情報の通知を行うためのポップアップ画面を表示させるべき再生地点(例えば、ポップアップ画面を表示させる地点を示す緯度経度、ポップアップ画面を表示させる道路種別や車両の進入方向を指定する情報等)、コンテンツ情報の表示画面の遷移情報(次に表示する画面を指定する情報等)等を含む情報が格納されていてもよい。
【0016】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は、道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射する。この電波放射範囲を以下、路側エリアZという。この路側エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置20と車載器10間の狭域無線通信を路車間通信という場合がある。
【0017】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば直径数メートルから数十メートルである。各路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、各路側無線装置20の路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0018】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツ情報を車載器10へ転送する。本体装置20aとしては、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【0019】
車載器10は、車両Cに搭載され、案内経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electronic Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、通信モジュール2、DSRC部3、制御部4、再生部5を備えて構成されている。
【0020】
制御部4は、制御手段として機能し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、制御部4は、路側無線装置20との路車間通信を行う際にはDSRC部3の通信動作を制御する。なお、制御部4は、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。また、制御部4は、DSRC部3を介してセンター装置30から受信したコンテンツ情報の保存、再生制御等を行う。
【0021】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f等を備えて、車両Cを案内経路へ誘導するための処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図情報等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの案内経路を算出する。そして、カーナビ制御部1aは、地図記憶部1cに記憶されている地図情報を用いて算出した案内経路へ誘導するための地図画面を生成し、表示部1eにより表示させる。
【0022】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車の加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行い、車両の絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両の現在地を示す現在地情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0023】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図情報、通信モジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。
【0024】
入力部1dは、操作キーや表示部1eと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、制御部4に出力する。
表示部1eは、モニタを備え、制御部4の制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。各種情報とは、例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツ情報の表示画面等である。
【0025】
記憶部1fは、メモリ等から構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。また、記憶部1fは、後述する嗜好データ自動選択処理によって使用されるユーザ嗜好データテーブルT2、ジャンル再生回数テーブルT3、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4等を記憶する記憶手段として機能する。
また、記憶部1fは、センター装置30に提供するアップリンク情報m1を記憶するとともに、センター装置30から受信したコンテンツ情報を記憶する。正規の配信事業者が複数ある場合には、アップリンク情報m1は各配信事業者に応じた内容で制御部4によりそれぞれ生成され、記憶部1fに記憶される。ここで、正規の配信事業者とは、ユーザがコンテンツ情報の配信について契約をした配信事業者をいう。
アップリンク情報m1は最新の内容となるように制御部4が常に更新を行って記憶部1fに保存させる。なお、アップリンク情報m1の詳細については後述する。
【0026】
通信モジュール2は、通信手段として機能し、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、通信センターと光通信、FM通信、電波通信を行う。通信モジュール2は通信センターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。通信センターとしてはVICSセンター等を挙げることができるが、これに限らない。また、通信センターから受信する情報としては、渋滞情報や道路交通情報に限らない。
なお、通信モジュール2として他にもWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等のDSRC以外の通信手段を使用することにより、インターネット等の情報を入手することもできる。
【0027】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツ情報を受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0028】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツ情報を受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツ情報を受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0029】
通信部3bは、例えば車両Cのダッシュボード上でフロントガラス近傍等の位置に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0030】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に対してユーザが欲する情報を提供するためのアップリンク情報m1専用に設けられた記憶領域であり、アップリンク情報m1の他、車載器10の特性情報が記憶される。
【0031】
アップリンク情報m1とは、具体的なデータ格納例等は後述するが、センター装置30においてどのような内容のコンテンツ情報を配信するかを決定する際に用いられる情報である。アップリンク情報m1は、サービス事業者ごとに作成され、車両Cが立寄った地点や、車載器10のユーザの嗜好情報、次回来店時の特典等を個別に配信するなどの多目的な情報を扱うための会員情報等が含まれる。サービス事業者は、これらの情報をもとに車載器10に配信するコンテンツ情報を決定することとなる。
【0032】
嗜好情報とは車載器10のユーザの嗜好を反映させた情報であり、サービス事業者ごとに配信されるコンテンツ情報の嗜好データに基づいて作成される。詳細は後述するが、本実施の形態においては、嗜好データとしてセンター装置30は車載器10に対して配信嗜好データテーブルT1を配信する。車載器10は、当該配信嗜好データテーブルT1に基づいてユーザの嗜好を反映させたユーザ嗜好データテーブルT2を作成する。当該ユーザ嗜好データテーブルT2には嗜好情報が含まれ、当該嗜好情報がアップリンク情報m1に反映させてセンター装置30に対して送信されることになる。
【0033】
特性情報とは、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10の車載器ID、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、車載器10が対応できる著作権管理技術、表示部1eのディスプレイの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、コンテンツ情報を蓄積可能な記憶容量等の情報が含まれる。なお、車載器IDは各車載器10に固有の識別情報である。
【0034】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eの間で情報のやりとりを仲介する。
【0035】
再生部5は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)が再生可能な機器や、USB(Universal Serial Bus)オーディオが接続可能に構成され、各種メディアに記憶された楽曲を再生することができる。制御部4は、再生部5に当該楽曲の再生指示を行うと共に、後述する楽曲ジャンル取得処理によって、楽曲のジャンルを取得する。
【0036】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、制御部や記憶部等から構成され、コンテンツ情報を記憶し、これを路側無線装置20を介して車載器10に配信する。
なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、コンテンツ情報を配信する配信事業者は複数あり、センター装置30は配信事業者毎に備えられるものである。また、図1ではセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されている例を示したが、センター装置30の一部の機能を路側無線装置20が所有していてもよい。この場合、複数の路側無線装置20が保持するセンター装置30の機能を管理するサーバとしてのセンター装置30が存在し、当該サーバとしての役割を果たすセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されていてもよい。
【0037】
以下、図4及び図5を用いて、コンテンツ情報の詳細について説明する。
図4に、センター装置30から配信されるコンテンツ情報のデータ構造の一例について示す。図4に示すように、センター装置30からは一時に複数の情報グループが配信され、車載器10では複数の情報グループを受信して、再生又は記憶部1fに蓄積することとなる。
ここで、図4における情報グループ1、2、・・nのそれぞれが1つのコンテンツ情報であり、車載器10においてはコンテンツ情報を単位として再生処理が行われる。
【0038】
図4に示すように、1つのコンテンツ情報は、内容により分類された複数の要素で構成される。各構成要素はID番号(00、01、・・等)と当該ID番号に対応して格納される実データからなる。図4において、情報グループ1を構成するコンテンツ情報には、ID00(ID番号が「00」であることを示す、以下同じ)、ID01、ID02、ID03、ID04、ID05、ID10、ID30で規定される情報が含まれていることを示している。
【0039】
図5に、コンテンツ情報のフォーマットの一例を示す。
図5に示すように、コンテンツ情報には、個々にIDが付された情報、例えば構成ID情報、サービス事業者情報、情報提供企業情報、再生条件、対象地点情報、詳細情報、嗜好データ等が含まれている。
【0040】
ID00の構成ID情報は、コンテンツ情報に含まれる各情報の識別番号の一覧を示す情報である。この構成ID情報中の各情報の識別番号の有無を確認することにより、当該各情報が存在するか否かを即時に判断することが出来る。
【0041】
識別番号は、コンテンツ情報に含まれる各情報の分類を示す。
また、識別番号は、ID00〜ID255まで割り振られており、例えばID10は対象地点情報、ID40は詳細情報であることを示す。
なお、コンテンツ情報に含まれる各IDに対応する情報にはヘッダ情報(図示せず)が含まれており、各IDに含まれている情報量を示す情報バイト等、各IDに対応する内容を示す情報やフラグ等がヘッダ情報として格納されている。
以下、識別番号に対応する各情報について説明する。
【0042】
ID01のサービス事業者情報は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えばサービス事業者に一意に付与されたサービス事業者コード等である。
ID02の情報提供企業情報は、コンテンツ情報に関する詳細な情報であり、例えば当該コンテンツ情報の情報提供元を特定することのできる企業コード、サービス事業者がコンテンツ情報に対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツ情報の内容を示すための情報表示用テキスト、コンテンツ情報が属する嗜好データのカテゴリ等である。
他にも、企業コードに対応する企業を通知するテキスト等をID02のコンテンツ情報として格納してもよい。情報コードは先述の通り、コンテンツ情報に割り当てられたコードであり、コンテンツ情報を識別することができる。
ID03の再生条件は、車載器10が受信したコンテンツ情報の再生を即時に行うか記憶部1fに蓄積(記憶)するかを示す即時/蓄積コード等である。
【0043】
ID10の対象地点情報は、サービスの提供を行う店舗や施設等をいい、対象地点の情報としては、例えば対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)が含まれる。対象地点座標が存在しないコンテンツ情報の場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
対象地点座標が存在するコンテンツ情報の場合は、他にも対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、対象地点が駐車場である場合に、当該駐車場と提携している駐車場を示す提携駐車場情報、サービス提供可能な場所を表すアイコンのデータであるアイコン表示画像データ、サービスの説明用のテキスト情報である表示用文字データ、サービスを表す静止画像である表示画像データ、サービスを表す表音文字列情報である表音文字列データ等が格納される。
他にも、例えば対象地点の説明等に係る圧縮音声データ、表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す音声再生順、ビデオデータ、サービスのURL等からなる。この圧縮音声データには楽曲のデータが格納されていてもよいし、ビデオデータには当該楽曲のプロモーションビデオ等が格納されていてもよい。この場合、表示用文字データや後述するID40の詳細情報に、当該楽曲等のジャンルが格納されていてもよい。
なお、対象地点が存在しないコンテンツ情報の場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
【0044】
ID40の詳細情報は、当該コンテンツ情報に関する詳細な情報が格納され、汎用的な利用をすることができる。
コピーコントロールフラグは、車載器10がコンテンツ情報を受信した際に詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込むか否かを示すフラグである。コピーコントロールフラグがオン(値が「1」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込み、コピーコントロールフラグがオフ(値が「0」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込まないよう制御されることになる。
したがって、コピーコントロールフラグがオンになっている場合は、詳細情報データには会員情報が格納されていることになるので、上記の例では情報内容フラグは「2」の値をとることになる。
【0045】
情報内容フラグは、詳細情報データの内容の種別を示すための識別情報である。本実施の形態においては、情報内容フラグが「0」の場合は詳細情報データに情報コードが格納されていることを示し、「1」の場合は詳細情報データに串刺し検索コードが格納されていることを示す。串刺し検索コードとは、当該コンテンツ情報の種類を識別するためのコードである。例えば、サービス事業者が、串刺し検索コードが「00001」であれば、当該コンテンツ情報はクーポンの情報であることを示し、「00002」であれば当該コンテンツ情報は新着情報であること等を示すことを設定すれば、車載器10はその串刺し検索コードを用いてコンテンツ情報を検索することが可能である。情報内容フラグが「2」の場合は詳細情報データに会員情報が格納されていることを示す。
【0046】
詳細情報データは、情報コード、串刺し検索コード、会員情報等が格納される。他にも、当該コンテンツ情報の内容の説明をするためのテキスト情報や、ID10の対象地点情報に楽曲データが格納されている場合には、当該楽曲のジャンル等が格納されてもよい。
表示用文字データは、サービス対象地点や画面遷移の案内を行う情報や、検索のための検索用語等、表示部1eに表示させてユーザを補助するための情報である。表音文字列は音声によってユーザに伝達するための情報を格納している。
なお、表示用文字データや表音文字列は、通常詳細情報データに関連するものである。
【0047】
ID80の嗜好データ情報は、配信するコンテンツ情報の選択のために用いられる情報である。嗜好データ情報は、例えば嗜好データバージョン情報、嗜好データ表示用テキスト、嗜好データ番号、嗜好データ表示用ネスト、嗜好データ対象識別子、嗜好データデフォルト値、表音文字列等からなる。
【0048】
図6に、ID80の嗜好データ情報のデータ形式を詳細に示す。
嗜好データ表示用テキストとは、車載器10の表示部1eにID80の内容を表示させる際の文字情報である。嗜好データ番号とは、嗜好データ1〜嗜好データ127に連番に付与された1〜127の数値である。
嗜好データ表示用ネストとは、嗜好データ表示用テキストを表示部1eに表示させる際の位置を示す情報であり、本実施の形態においては8段階あるものとし、0〜7のいずれかの数字が格納される。例えば、「0」は表示部1eの左端を示し、「1」は左端から全角1文字右にずらした位置等のように判断されることになる。
【0049】
嗜好データ対象識別子とは、車載器10がセンター装置30に対して送信すべき嗜好データを示す値が格納される。当該値が「0」の嗜好データは、嗜好データのメニューとしての情報であり、車載器10からセンター装置30に対して送信せず、「1」の嗜好データは、嗜好データのカテゴリを示し、つまり当該嗜好データは車載器10からセンター装置30に対して送信すべき嗜好データであると判断する。
嗜好データデフォルト値とは、当該嗜好データを選択する/しないを示すデフォルトの値が格納される。当該フィールドに格納された値が「0」の嗜好データは選択しない旨を示し、「1」の嗜好データは選択する旨を示す。当該値はサービス事業者が設定することになる。表音文字列とは、嗜好データを車載器10において音声で通知するためのデータが格納される。
【0050】
本実施の形態においては、図6に示すようにID80に対応するデータ領域には、嗜好データ1〜127が格納されており、使用しない嗜好データX(Xは1〜127の任意の整数を示す)にはデータは格納されない。例えば、ID80のうち、嗜好データ1〜100のみ使用したい場合には嗜好データ101〜127にはデータは格納しないことになる。
【0051】
車載器10では、センター装置30から配信されたID80の嗜好データ情報がユーザの嗜好に応じて編集される。車載器10は、当該編集された嗜好データ情報をアップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信することになる。以降においては、区別をするため、センター装置30から車載器10に対して配信するID80の嗜好データ情報を利用した嗜好データテーブル(図6の嗜好データ1〜127を含むデータテーブルである)を配信嗜好データテーブルT1といい、車載器10においてユーザの嗜好を反映させた嗜好データテーブルをユーザ嗜好データテーブルT2という。
【0052】
図7に、センター装置30から車載器10に対して配信される配信嗜好データテーブルT1のデータ格納例を示す。
図7に示すように、配信嗜好データテーブルT1は、「嗜好データ番号」フィールド、「嗜好データ表示用テキスト」フィールド、「嗜好データ表示用ネスト」フィールド、「嗜好データ対象識別子」フィールド、「嗜好データデフォルト値」フィールド、及び「表音文字列」フィールドから構成される。
「嗜好データ番号」フィールドの値は、ID80の嗜好データ番号である。「嗜好データ表示用テキスト」フィールドの値は、ID80の嗜好データ表示用テキストである。「嗜好データ表示用ネスト」フィールドの値は、ID80の嗜好データ表示用ネストである。
「嗜好データ対象識別子」フィールドの値は、ID80の嗜好データ対象識別子である。「嗜好データデフォルト値」フィールドの値は、ID80の嗜好データデフォルト値である。「表音文字列」フィールドの値は、ID80の表音文字列である。
【0053】
図6に示したように、ID80の嗜好データ情報は嗜好データ1〜嗜好データ127が含まれるので、配信嗜好データテーブルT1は図7に示すように最大で127個のレコードが存在することになる。先述したように、センター装置30から車載器10に対して、図7に示すようなデータが格納された配信嗜好データテーブルT1が配信され、車載器10においては当該配信された配信嗜好データテーブルT1に基づいて自己の嗜好に応じた編集(配信嗜好データテーブルT1の内容を変更することを示す)し、アップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信することになる。
【0054】
図8に、車載器10において生成されるユーザ嗜好データテーブルT2のデータが格納された一例を示す。図8に示すように、ユーザ嗜好データテーブルT2は「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールド、「嗜好データ選択」フィールド、及び「嗜好データ番号」フィールドから構成される。
「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドには、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データ表示用テキスト」フィールドの嗜好データ表示用テキストと、「嗜好データ表示用ネスト」フィールドの嗜好データ表示用ネストが格納される。図8に示す例では、説明の便宜上、表示用ネストの値を反映させて表示用テキストを記載している。
「嗜好データ選択」フィールドには、嗜好データを選択する/しないを示す値が格納される。当該フィールドに格納された値が「0」の嗜好データは選択しない旨を示し、「1」の嗜好データは選択する旨を示す。つまり、車載器10のユーザがサービス事業者に登録し、登録後初めて配信嗜好データテーブルT1が車載器10に対して配信された時は、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値は、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データデフォルト値」フィールドの値がそのまま格納されることになる。
「嗜好データ番号」とは、センター装置30に対して通知すべき嗜好データに連番に割り当てられた識別番号が格納される。本実施の形態においては、嗜好データとしてセンター装置30に対して通知する数は96個までとする。つまり、配信嗜好データテーブルT1の嗜好データは最大で128であるので、嗜好データ対象識別子の値が1である嗜好データが96個以上ある場合は、嗜好データ番号が小さい順に96個までがセンター装置30に対して送信されるものとする。
先述したように、センター装置30から車載器10に対して配信された図7に示すような配信嗜好データテーブルT1に基づいて、車載器10のユーザは嗜好データを編集することにより、自己の嗜好を反映させ、図8に示すようなユーザ嗜好データテーブルT2を作成することになる。
【0055】
図9に、本実施の形態において車載器10の表示部1eに表示される嗜好データ設定画面G1の一例を示す。図9に示すように、嗜好データ設定画面G1は、嗜好データ表示用テキスト表示欄G1a、嗜好データ選択欄G1b等から構成される。
嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「表示用テキスト/ネスト」フィールドに格納された値が表示されることになる。
嗜好データ選択欄G1bは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドに格納された値が表示されることになる。図9に示す嗜好データ選択欄G1bの網掛けで表示した領域は当該値を選択している旨を示している。
【0056】
図9に示す嗜好データ設定画面G1は、図8に示すユーザ嗜好データテーブルT2のようにデータが格納された際に表示される場合を示している。つまり、例えば「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの値が「地域の情報」であるレコードは、「嗜好データ選択」フィールドの値が「1」であるので、嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aに「地域の情報」が表示されている行に対応する嗜好データ選択欄G1bが「ON」となっている。
ユーザは、入力部1dからの入力により、嗜好データ選択欄G1bの「OFF」を選択すること等により、嗜好データ選択欄G1bの対応する行の嗜好データを設定画面G1に表示された嗜好データを選択する/しないを変更することができる。つまり、例えば嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aに「地域の情報」を表示している行の嗜好データ選択欄G1bを「ON」から「OFF」となるように入力部1dから指示を行うと、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの値が「地域の情報」であるレコードは、「嗜好データ選択」フィールドの値が「1」から「0」に変更されることになる。このようにして、ユーザはユーザ嗜好データテーブルT2の内容を変更する。
上記説明したユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値がアップリンク情報m1に含まれて、センター装置30に対して送信されることになる。
【0057】
コンテンツ情報は上記各IDの情報を含めて予め作成されたものをセンター装置30に保存しておき、配信時には、これらのコンテンツ情報のうち配信するコンテンツ情報をセンター装置30が選択する。なお、各IDの情報は必要に応じてコンテンツ情報に含められ、常に全てのIDの情報がコンテンツ情報に含まれているわけではない。例えば、対象地点において提携指定されている提携駐車場が無ければ、ID10の対象地点に提携駐車場情報は含まれないことになる。
【0058】
次に、図10を参照してアップリンク情報m1について説明する。
アップリンク情報m1には、配信事業者の特定情報、車両Cの目的地/経由地、累計走行距離、嗜好ジャンルテーブルバージョン、嗜好ジャンルデータ、会員情報、過去立寄地、受信/再生履歴等が含まれる。図10に例を示すように、アップリンク情報m1は配信事業者A、B等の配信事業者毎に生成され、アップリンク情報記憶領域Mに記憶される。
【0059】
配信事業者の特定情報は、ユーザが予めコンテンツ情報の配信について契約した配信事業者を特定する情報であり、例えば、ID01のサービス事業者コードが格納される。
目的地/経由地は、カーナビ部1で設定された目的地の緯度、経度の情報や、カーナビ部1で設定された目的地までの誘導経路において経由する経由地の緯度、経度の情報である。例えば、目的地や経由地として設定されたID10の対象地点座標が格納される。
【0060】
累計走行距離は車載器10を購入し、センター装置30に車載器IDが登録された時点から現在地までの車両Cの累計走行距離の情報である。
嗜好ジャンルテーブルバージョンは、サービス事業者より配信された配信嗜好データテーブルT1のバージョンが格納される。つまり、ID80の嗜好データバージョン情報が格納される。サービス事業者から配信される配信嗜好データテーブルT1が更新された時は、ID80の嗜好データバージョン情報も更新されているので、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルテーブルバージョンには車載器10が受け取った最新の嗜好データバージョン情報が格納されることになる。
【0061】
嗜好ジャンルデータは、サービス事業者より配信された配信嗜好データテーブルT1に基づいてユーザの嗜好を反映させた嗜好情報が格納される。嗜好ジャンルデータに基づいて、センター装置30は車載器10に対して配信するコンテンツ情報を編成し、送信することになる。本実施の形態においては、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値(「0」又は「1」のいずれかの値)が格納される。つまり、本実施の形態においては、ユーザ嗜好データテーブルT2は、先述したように96個までを嗜好データとして設定できるので、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータには96bitのデータ格納されることになる。センター装置30は、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データ対象識別子」フィールドの値が「1」となっている嗜好データと、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータの96bitのデータ(つまり嗜好情報を示す)に基づいて、当該嗜好データが選択されている/いないを判別することになる。
【0062】
会員情報には、センター装置30から配信されたコンテンツ情報のID40の詳細情報データが書き込まれる。会員情報は、次回来店時の特典(クーポン情報)等を個別に配信するなどの多目的な情報を扱う。また、会員情報はDSRC以外の通信手段で受け取ることも考えられるため、車載器10からの入力が可能な構成としてもよい。先述したように、ID40のコピーコントロールフラグによって、ID40の詳細情報データから書き込まれるか否かが判断されることになる。
過去の立ち寄り地は、過去に車両Cが停車した(つまり車載器10の電源がON又はOFFされた)地点の緯度、経度の情報及び時刻情報である。
受信/再生履歴は、受信したコンテンツ情報の情報コードや、再生したコンテンツ情報の情報コード等の履歴である。
【0063】
また、図10に示すように、アップリンク情報記憶領域Mには、先述した特性情報を記憶する領域である特性情報領域m2が存在する。特性情報領域m2には、路側無線装置20と車載器10との間に、DSRC接続によって通信路が確立され、路側無線装置20から車載器10に対して特性情報の送信要求がなされた際に送信されるべき特性情報が記憶されることになる。
【0064】
次に、動作について説明する。
図11に、コンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の各装置における処理の流れを示す。
図11に示すように、まず車両Cのエンジンが起動し、車載器10の電源が投入されると(ステップS1)、車載器10の特性情報が生成され、記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mの特性情報領域m2に書き込まれる(ステップS2)。特性情報は、予めセンター装置30との間で取り決められている項目について制御部4が表示部1e等の各部に問い合わせて取得したり、予め記憶部1fに記憶されている情報を読み出す等して取得する。そして、取得された情報を制御部4がコード化し、特性情報領域m2に当該コードが書き込まれる。なお、実際には書込を指示する制御情報がDSRC制御部3aに出力され、このDSRC制御部3aが特性情報領域m2に書き込まれる。
【0065】
その後、車両Cが走行を開始し、路側無線装置20の路側エリアZに進入すると(エリアイン)、路側無線装置20は車両Cを検出し、車載器10のDSRC部3とDSRC通信による接続処理が開始される(ステップS3a、S3b)。すなわち、DSRCの電波が送出され、車載器10からの応答が得られると、通信路が確立される。通信路が確立されると、路側無線装置20はセンター装置30に対し接続が完了した旨の通知情報が送信される(ステップS4a)。一方、車載器10のDSRC部3から制御部4に対し接続が完了した旨の通知情報が出力される(ステップS4b)。なお、DSRC接続時には、車載器10の記憶部3c等に記憶されている車載器10を識別するための車載器IDがセンター装置30に対して送信されている。
【0066】
次いで、路側無線装置20から車載器10のDSRC部3に対し、特性情報の送信要求が行われると、DSRC部3から特性情報領域m2に書き込まれている特性情報が路側無線装置20に送信される(ステップS5)。特性情報は路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される。
センター装置30では、DSRC接続時に取得される車載器ID等をもとに、車載器10のユーザが配信サービスの会員か否かが判断される(ステップS6)。
【0067】
センター装置30に記憶されている配信サービスの全会員の車載器IDのうち、受信した車載器IDと一致するものがなく、非会員であると判断されると(ステップS6;N)、非会員用のコンテンツ情報が路側無線装置20を介して車載器10に送信される(ステップS61)。その後、ステップS16の処理に移行する。なお、非会員用のコンテンツ情報とは、電車の遅延情報、納税通知情報等の公共の広告情報や、入会を促す情報や迷惑(スパム)とは成り得ない程度の民間の広告情報等の一般向けの内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報は保存又は再生される(ステップS11)。保存されたコンテンツ情報は所定のタイミングで再生されることとなる。
一方、一致する車載器IDがあれば会員であると判断され(ステップS6;Y)、配信事業者のサービス事業者コードの通知情報が路側無線装置20に送信される(ステップS7)。なお、ステップS7においては、サービス事業者コードと共に他の情報(例えば、Welcome画面を表示部1eに表示させるためにID10を配信する等)のコンテンツ情報を含むようにしても良い。
【0068】
路側無線装置20を介してサービス事業者コードの通知情報が受信されると、記憶部1fに記憶されているアップリンク情報m1に含まれるサービス事業者コードと、通知されたサービス事業者コードとが照合される(ステップS8)。一致するサービス事業者コードがない場合(ステップS8;N)、処理は何もされずエリアアウトを待つ。
【0069】
一致するサービス事業者コードがある場合(ステップS8;Y)、受信されたサービス事業者コードの配信事業者は正規の配信事業者であると判断され、当該サービス事業者コードに対応するアップリンク情報m1が記憶部1fから読み出され、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれる(ステップS9)。前述のようにアップリンク情報m1は各配信事業者に応じて生成され、更新が行われているので、配信事業者に応じた最新の内容となっている。
【0070】
一方、センター装置30によってデフォルトのコンテンツ情報が路側無線装置20を介して車載器10に配信される(ステップS10)。デフォルトのコンテンツ情報とは、主に公共の広告情報等のスパムとならない内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報が保存もしくは再生されることになる(ステップS11)。具体的には、受信したコンテンツ情報のID03の即時/蓄積コードが蓄積を示していれば、当該コンテンツ情報であれば記憶部1fに保存され、ID03の即時/蓄積コードが即時を示していれば、当該コンテンツ情報は受信後所定のタイミングで再生されることになる。
また、センター装置30では車載器10に対し、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれたアップリンク情報m1の送信を要求する(ステップS12)。以降は、車載器がエリアアウトするまで(車載器との無線通信が途切れるまで)、センター装置30は車載器10に対し、定期的にアップリンク情報m1のポーリングを行う。
【0071】
DSRC部3は、アップリンク情報m1の書込が行われると、センター装置30からのポーリングに応じて、アップリンク情報記憶領域Mに記憶されているアップリンク情報m1が、路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される(ステップS13)。
【0072】
センター装置30では、送信されたアップリンク情報m1より会員の趣向に適したコンテンツ情報が編成され、当該コンテンツ情報が車載器10に配信される(ステップS14)。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報は保存又は再生される(ステップS15)。
【0073】
その後、センター装置30が配信すべきコンテンツ情報が全て配信されると、配信終了を通知するメッセージ情報が生成され、車載器10に対して送信され(ステップS16)、処理は終了する。なお、メッセージ情報の送信と共に、ユーザに対しエリアアウトを促しても良い。
このように、図11に示した処理の流れにより、センター装置30から配信されたコンテンツ情報は車載器10の記憶部1fに保存もしくは所定のタイミングで再生されることになる。
【0074】
次に、本実施の形態における車載器10の動作を説明する。
図12に、車載器10において行われる楽曲ジャンル取得処理を示す。当該処理は、再生部5において楽曲が再生された際に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理では、再生部5において再生されている楽曲のジャンルが取得され、後述するジャンル再生回数テーブルT3に当該取得されたジャンルの回数がカウントされる等によってジャンル再生回数テーブルT3が更新される。
【0075】
図12に示すように、再生部5において再生中の楽曲のジャンルが取得される(ステップS101)。具体的には、例えば再生部5においてCDが再生されている場合には、当該CDのCDDB(CD Data Base)を参照し、再生中の楽曲のジャンルを取得したり、MP3が再生されている場合にはID3タグを参照する等によって、再生中の楽曲のジャンルが取得される。
【0076】
次いで、ステップS101において、再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあるか否かが判断される(ステップS102)
再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあると判断された場合(ステップS102;YES)、カウンタ変数iに1が代入される(ステップS103)。次いで、記憶部1fに記憶されたジャンル再生回数テーブルT3が参照され、ジャンル数N1が取得される(ステップS104)。
【0077】
図13に、ジャンル再生回数テーブルT3の一例を示す。
図13に示すように、ジャンル再生回数テーブルT3は「ジャンル」フィールド、「回数」フィールド、及び「最終再生時間」フィールドから構成される。
「ジャンル」フィールドには、車載器10の再生部5において再生された楽曲のジャンルが格納されている。「回数」フィールドには、各ジャンルに属する楽曲が再生部5において再生された回数が格納される。「最終再生時間」フィールドには、各ジャンルに属する楽曲が直近で再生された時間が格納される。
【0078】
図13に示すジャンル再生回数テーブルT3の例では、「Pop」というジャンルに属する楽曲は、再生部5において「25」回されており、当該ジャンルの楽曲の直近の再生時間は「2008年2月12日12時34分」であることを示している。
ステップS104においては、ジャンル再生回数テーブルT3に格納されたレコード数をカウントする等によってジャンル数N1の取得が行われる。
【0079】
カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であるか否かが判断される(ステップS105)。カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であると判断された場合(ステップS105;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のジャンル名が取得される(ステップS106)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードが参照され、当該レコードの「ジャンル」フィールドに格納されている文字列が抽出されること等によって行われる。
【0080】
次いで、ステップS101において取得された再生部5で再生中の楽曲のジャンルと、ステップS106において取得されたジャンルが一致しているか否かが判断される(ステップS107)。ジャンルが一致していると判断されない場合(ステップS107;NO)、カウンタ変数iが1加算され(ステップS109)、処理はステップS105に戻る。
ジャンルが一致していると判断された場合(ステップS107;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3が更新される(ステップS108)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードの「回数」フィールドに対応する値が1加算され、「最終再生時間」フィールドに対応する値に現在の時間が格納されることによって更新が行われる。
【0081】
一方、カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であると判断されない場合(ステップS105;NO)、ジャンル再生回数テーブルT3が更新される(ステップS110)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi+1番目に新たなレコードを追加し、当該レコードの「ジャンル」フィールドにステップS101において取得されたジャンルが、「回数」フィールドに再生回数を示す「1」が、「最終再生時間」フィールドに現在の時間が、それぞれ格納されることによって更新が行われる。
一方、再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあると判断されない場合(ステップS102;NO)、処理は終了する。
以上説明した楽曲ジャンル取得処理によって、再生部5において再生されている楽曲のジャンルに基づいてジャンル再生回数テーブルT3が更新される。
【0082】
図14に、車載器10において行われる嗜好データ候補抽出処理を示す。当該処理は、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理は、ジャンル再生回数テーブルT3に格納されているレコードから、予め定められた規定回数以上の再生回数があるレコードに対応するジャンルを抽出する。
【0083】
図14に示すように、記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faが初期化される(ステップS201)。次いで、カウンタ変数iに1が代入され(ステップS202)、ジャンル再生回数テーブルT3のジャンル数N2が取得される(ステップS203)。具体的な処理は、ステップS104と同様であるので説明を省略する。
次いで、カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であるか否かが判断される(ステップS204)。カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であると判断された場合(ステップS204;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のジャンルの再生回数が取得される(ステップS205)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3が参照され、i番目のレコードの「回数」フィールドの値が取得されることになる。
【0084】
次いで、ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であるか否かが判断される(ステップS206)。具体的には、ステップS205において取得された再生回数と、記憶部1fに予め記憶されている規定回数(例えば10回等)が比較されることによって判断が行われる。
ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であると判断された場合(ステップS206;YES)、i番目のジャンルの候補を抽出するための候補抽出処理が行われる(ステップS207)。例えば、ステップS206で判断される規定回数が10回であった場合、図13に示すジャンル再生回数テーブルT3の例であれば、「ジャンル」フィールドの値が「Pop」(「回数」フィールドの値が「25」)と「Fusion」(「回数」フィールドの値が「12」)の場合に、ステップS207の候補抽出処理が行われることになる。
【0085】
図15に、ステップS207において行われる候補抽出処理を示す。当該処理では、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4から嗜好データ候補を抽出する。
まず、カウンタ変数jに1が代入され(ステップS301)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のジャンル数N3が取得される(ステップS302)。
【0086】
図16に、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の一例を示す。図16に示すように、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は「ジャンル」フィールドと「嗜好データ候補」フィールドから構成される。
「ジャンル」フィールドには、楽曲のジャンルが格納される。「嗜好データ候補」フィールドには、楽曲のジャンルに対応した嗜好データ候補の文字列が格納される。
図16に示す例では、「Pop」というジャンルに対して「Pop」、「Pops」、「ポップス」という文字列の嗜好データが対応付けられている。つまり、コンテンツ情報のジャンルがPopである場合であっても、サービス事業者によっては、ID80の嗜好データ表示用テキストにおいて「Pops」や「ポップス」のように表記が異なる場合があるため、当該ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4によって、同様のジャンルの表記を対応付けているのである。
なお、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は、車載器10の記憶部1fに記憶されており、車載器10の入力部1dからの入力によりジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の内容が変更できるようにしてもよい。
ステップS302における処理はステップS104と同様であるので説明を省略する。
【0087】
ステップS303においては、カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であるか否かが判断される(ステップS303)。カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であると判断された場合(ステップS303;YES)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のジャンルが取得される(ステップS304)。具体的には、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のレコードが参照され、「ジャンル」フィールドの値が取得されることになる。
【0088】
次いで、i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致するか否かが判断される(ステップS305)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードの「ジャンル」フィールドの値と、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のレコードの「ジャンル」フィールドの値が比較されることにより行われる。
i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致すると判断された場合(ステップS305;YES)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のジャンルの嗜好データ数Lが取得される(ステップS306)。具体的には、ステップS305において一致すると判断されたジャンルとジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の「ジャンル」フィールドの値が一致するレコードの数が嗜好データ数Lとして取得されることになる。図16に示すジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の例では、「Pop」というジャンルの嗜好データ数Lは3、「Rock」というジャンルの嗜好データ数Lは2、「Fusion」というジャンルの嗜好データ数Lは2ということになる。
【0089】
次いで、カウンタ変数kに1が代入され(ステップS307)、カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であるか否かが判断される(ステップS308)。カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であると判断された場合(ステップS308;YES)、j番目のジャンルのk番目の嗜好データの候補が記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに保持される(ステップS309)。次いで、カウンタ変数kが1加算され(ステップS310)、処理はステップS308に戻る。
ステップS308〜ステップS310においては、i番目のジャンルとジャンルが一致したジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の「嗜好データ候補」フィールドの値が取得されることになる。
【0090】
i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致すると判断されない場合(ステップS305;NO)、カウンタ変数jが1加算され(ステップS311)、処理はステップS303に戻る。
一方、カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であると判断されない場合(ステップS303;NO)、カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であると判断されない場合(ステップS308;NO)、処理はステップS208に移行する。
【0091】
ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であると判断されない場合(ステップS206;NO)、カウンタ変数iが1加算され(ステップS208)、処理はステップS204に戻る。
一方、カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であると判断されない場合(ステップS204;NO)、処理は終了する。
以上説明した、嗜好データ候補抽出処理によって、規定回数以上の再生回数があったジャンルに対応する嗜好データ候補が記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに格納される。
【0092】
図17に、車載器10において行われる嗜好データ自動選択処理を示す。当該処理は、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に、嗜好データ候補抽出処理が行われた後に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理は、嗜好データ候補保存領域1faに格納された嗜好データ候補を基にユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値を選択し、ユーザ嗜好データテーブルT2を更新する。当該フィールドの値は、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータに嗜好情報として格納されることになる。
また、当該処理において使用されるジャンル再生回数テーブルT3とジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は更新情報として使用され、制御部4は更新手段として機能する。
【0093】
図17に示すように、カウンタ変数iとjにそれぞれ1が代入される(ステップS401)。次いで、ユーザ嗜好データテーブルT2が参照され、嗜好項目数N4が取得される(ステップS402)。嗜好項目数N4とは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ番号」フィールドに格納された値の最大値である。
【0094】
次いで、記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに格納された嗜好データの候補の数(以下、嗜好データ候補数N5という)が取得される(ステップS403)。
次いで、カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であるか否かが判断される(ステップS404)。カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であると判断された場合(ステップS404;YES)、i番目の嗜好データ表示用テキストが取得される(ステップS405)。具体的には、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ番号」フィールドの値が「i」のレコードの「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの嗜好データ表示用テキストが取得されることになる。
【0095】
次いで、嗜好データ候補保存領域のj番目の嗜好データ候補が取得される(ステップS406)。ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データの候補が一致するか否かが判断される(ステップS407)。なお、ステップS407における判断は文字列の完全一致でもよいし、前後の部分一致としてもよい。
【0096】
ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データの候補が一致すると判断された場合(ステップS407;YES)、i番目の嗜好データがONに選択される(ステップS408)。具体的には、ユーザ嗜好データテーブルT2が参照され、ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストと一致するレコードの「嗜好データ選択」フィールドに対応する値が1(本実施の形態においてはONを示す)となる。
【0097】
一方、ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データ候補が一致すると判断されない場合(ステップS407;NO)、処理はステップS409に移行する。
ステップS409においては、カウンタ変数jが1加算され(ステップS409)、カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であるか否かが判断される(ステップS410)。
カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であると判断されない場合(ステップS410;NO)、処理はステップS406に戻る。
カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であると判断された場合(ステップS410;YES)、カウンタ変数iが1加算される(ステップS411)。次いで、カウンタ変数jに1が代入され(ステップS412)、処理はステップS404に戻る。
【0098】
一方、カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であると判断されない場合(ステップS404;NO)、処理は終了する。
以上説明した、嗜好データ自動選択処理によって嗜好データ候補保存領域1faに保存された嗜好データの候補と文字列が一致する嗜好データがONにされることになる。
【0099】
以上のように、本実施の形態における配信システム100においては、車載器10における楽曲ジャンル取得処理によって取得された楽曲のジャンル情報に基づいて、嗜好データ候補抽出処理及び嗜好データ自動選択処理が行われ、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値が自動的に更新される。したがって、ユーザが再生部5において再生した楽曲のジャンルのうち、再生回数が多いジャンルの楽曲をユーザが好んでいると判断し、当該ジャンルがユーザ嗜好データテーブルT2に含まれていた場合に選択するよう処理が行われるので、ユーザが好んで再生している楽曲のジャンルのコンテンツ情報をサービス事業者が配信することができるようになる。
【0100】
また、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4に、楽曲のジャンルと嗜好データ候補を対応付けておくことにより、嗜好データ自動選択処理における嗜好データの自動選択を、より汎用的に行うことができる。つまり、楽曲のジャンルと対応する嗜好データ候補がジャンル−嗜好データ関連テーブルT4において管理されているので、楽曲のジャンルとユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データ表示用テキストの文字列が一致しない場合であっても、楽曲のジャンルと嗜好データ表示用テキストの関連付けを容易に行うことができる。
【0101】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な配信システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態においては、嗜好データ候補保存領域1faに記憶された、再生部5において再生された楽曲のジャンルに対応する嗜好データの候補に基づいて嗜好データ自動選択処理が行われるようにしたが、嗜好データ候補保存領域1faに記憶されるのは楽曲のジャンルに限られない。例えば、再生部5においてユーザがCDを再生した回数を記憶部1fに記憶させ、CDを再生した回数が一定回数を超えた場合に、「レンタルショップA」等の特定の嗜好データの候補を嗜好データ候補保存領域に記憶させ、嗜好データ自動選択処理が実行されるようにしてもよい。
【0102】
また、再生部5の楽曲再生のための条件としてセットされているイコライザ設定(「Pops」、「Rock」等の音響の設定をいう)に基づいて嗜好データ自動選択処理が行われてもよい。例えば、イコライザ設定が「Pops」として設定されていれば、当該イコライザ設定と対応する嗜好データの候補を記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに記憶しておき、当該嗜好データを読み出すことによって嗜好データ自動選択処理が行われてもよい。
【0103】
また、本実施の形態においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理を嗜好データ選択画面G1を表示させる際に実行させたが、車両Cのエリアイン時や楽曲の再生時等に嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が実行され、ユーザ嗜好データテーブルT2が更新されてもよい。この場合には、ユーザが嗜好データ選択画面G1を表示させていない場合であっても、更新されたユーザ嗜好データテーブルT2に基づいてアップリンク情報m1を作成することができる。
【0104】
また、本実施の形態においては、再生部5において楽曲が再生された際に、ジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしたが、ジャンル再生回数テーブルT3の更新の方法はこれに限られない。例えば、車載器10に外部接続された再生機器が楽曲の再生履歴を記憶していた場合には、当該履歴の情報からジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしてもよいし、記憶部1fに記憶されたコンテンツ情報のID10に楽曲等のコンテンツが含まれている場合、当該コンテンツを再生した場合に、ID40の詳細情報データ等に格納されているジャンルを取得することによってジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしてもよい。
【0105】
また、ジャンル再生回数テーブルT3に格納された値に基づいて嗜好データを自動的に選択するようにしたが、ジャンル再生回数テーブルT3に格納された値に基づいて嗜好データの選択を解除するようにしてもよい。例えば、ジャンル再生回数テーブルT3の「最終再生時間」フィールドの値から判断して、一定時間以上再生されていなかった楽曲のジャンルの嗜好データを選択しないようにユーザ嗜好データテーブルT2が更新されるようにしてもよい。
【0106】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0107】
その他、配信システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0108】
(第2の実施の形態)
次に図18及び図19を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態は、センター装置30や車載器10の構成は第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態において図11に示した配信システム100の処理の流れのみが第1の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0109】
第1の実施の形態においては、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が行われたが、第2の実施の形態においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理は、車載器10の記憶部1fがコンテンツ情報を記憶できる空き容量があると判断した場合に行われる。
【0110】
図18、図19に、第2の実施の形態においてコンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の各装置における処理の流れを示す。
図18に示すステップS21〜ステップS28、ステップS261は、それぞれ図11のステップS1〜ステップS8、ステップS61と同様であるので説明を省略する。
ステップS29においては、車載器10のユーザが選択している嗜好データに基づいたアップリンク情報m1がDSRC部に対して書き込まれる点でステップS9と異なる。つまり、第2の実施の形態においては、ステップS29の時点においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理は行われておらず、ユーザが自ら嗜好データ選択画面G1からの入力等によって選択したユーザ嗜好データテーブルT2に基づいて作成されたアップリンク情報m1がDSRC部に対して書き込まれることになる。
【0111】
図18、図19のステップS30〜ステップS35は、それぞれ図8のステップS10〜ステップS15と同様であるので説明を省略する。
ステップS35において記憶部1fにコンテンツ情報が保存もしくは再生されると、記憶部1fにコンテンツ情報を保存するための保存可能領域があるか否かが判断される(ステップS36)。具体的には、記憶部1fの空き容量が取得され、予め定められた閾値以下となっているか否か等によって保存可能領域があるか否かが判断されることになる。制御部4は、ステップS36における処理により保存可能領域判断手段として機能する。
【0112】
保存可能領域があると判断された場合(ステップS36;Y)、記憶部1fに記憶されているユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データが更新される(ステップS37)。具体的には、ステップS37において嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が行われることにより、ユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データが更新されることになる。
【0113】
当該更新されたユーザ嗜好データテーブルT2に基づいて、アップリンク情報m1が作成され、DSRC部に書き込まれる(ステップS38)。続くステップS39〜ステップS42の処理は、それぞれステップS13〜ステップS16と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS40においては、センター装置30は嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理によって更新されたユーザの嗜好データに基づいてコンテンツ情報を配信することになる。
一方、保存可能領域があると判断されない場合(ステップS36;N)、処理は終了する。
【0114】
以上のように、第2の実施の形態における配信システム100によれば、エリアイン時には、まずユーザが予め設定していたユーザ嗜好データテーブルT2の内容を基に、コンテンツ情報の受信を行い、車載器10の記憶部1fに保存可能であれば、嗜好データ自動選択処理によってユーザ嗜好データテーブルT2を更新しアップリンクすることにより追加でコンテンツ情報の受信が行われる。したがって、記憶部1fの空き容量が少なくなっている場合に、嗜好データ自動選択処理によって自動的にユーザ嗜好データテーブルT2を更新したことにより、嗜好データ選択画面G1からの入力によって本来ユーザが選択していた嗜好データのコンテンツ情報が受信できなくなる恐れがなくなる。
【0115】
その他、配信システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の路側エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】コンテンツ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】コンテンツ情報のデータ形式の一例を示す図である。
【図6】嗜好データのデータ形式の詳細を示す一例である。
【図7】本実施の形態における配信嗜好データテーブルのデータ格納例である。
【図8】本実施の形態におけるユーザ嗜好データテーブルのデータ格納例である。
【図9】車載器の表示部に表示される嗜好データ設定画面の一例である。
【図10】アップリンク情報のデータ形式を示す一例である。
【図11】第1の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図12】車載器における楽曲ジャンル取得処理を説明する図である。
【図13】本実施の形態におけるジャンル再生回数テーブルのデータ格納例である。
【図14】車載器における嗜好データ候補抽出処理を説明する図である。
【図15】車載器における候補抽出処理を説明する図である。
【図16】本実施の形態におけるジャンル−嗜好データ関連テーブルのデータ格納例である。
【図17】車載器における嗜好データ自動選択処理を説明する図である。
【図18】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図19】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0117】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1d 入力部
1e 表示部
1f 記憶部
1fa 嗜好データ候補保存領域
3 DSRC部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
5 再生部
20 路側無線装置
30 センター装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及び車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、地域情報(例えば周辺の店舗や医療機関の情報)や広告情報等の各種コンテンツ情報を配信するのである。
【0003】
また、前記車載器では、路側無線装置から配信された各種コンテンツ情報を記憶することにより、路側無線装置と通信できず受信時にコンテンツ情報の再生ができない環境においても当該各種コンテンツ情報を再生することが可能になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−109032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記車載器には多くのコンテンツ情報が配信されるが、必ずしもユーザの嗜好に沿ったコンテンツ情報が配信されるとは限らない。そこで、ユーザの嗜好を反映させたアップリンク情報を車載器からセンター装置に対して送信し、当該受信したアップリンク情報に基づいてセンター装置からユーザの嗜好に応じたコンテンツ情報を配信することが検討されている。
【0005】
しかし、ユーザの嗜好をアップリンク情報に反映させるためには、ユーザから車載器に対して入力を行うことにより嗜好情報を作成し、当該嗜好情報をアップリンク情報に含ませる必要がある。
【0006】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの嗜好を予め記憶して嗜好情報に自動的に反映させることにより、嗜好情報の入力の際の操作負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車載器と、前記車載器と無線通信可能に接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記車載器は、
前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備え、
前記センター装置は、前記車載器から受信した更新された前記嗜好情報に基づいて当該車載器に対して配信するコンテンツ情報を編成し、当該編成されたコンテンツ情報を当該車載器に対して配信することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
路側無線装置を介してコンテンツ情報を配信するセンター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記嗜好情報は、少なくとも楽曲のジャンルを含み、
前記更新情報は、少なくとも楽曲のジャンルと当該楽曲のジャンルに属する楽曲の再生回数を含み、
前記更新手段は、予め定められた回数以上の再生回数がある前記更新情報の楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
楽曲を再生する再生手段と、
前記再生手段によって再生された楽曲のジャンルを取得するジャンル取得手段と、
を更に備え、
前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルは、前記ジャンル取得手段によって取得された楽曲のジャンルであり、前記再生回数は前記再生手段によって再生された回数であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記記憶手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記嗜好情報に含まれる楽曲のジャンルを対応付けるテーブルを更に記憶し、
前記更新手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記テーブルによって対応付けられた楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明において、
前記記憶手段の記憶可能容量を取得し、当該取得された前記記憶手段の記憶可能容量に基づいて前記コンテンツ情報を記憶するか否かを判断する保存可能領域判断手段を更に備え、
前記更新手段は、前記保存可能領域判断手段によって前記コンテンツ情報を記憶すると判断した場合に、前記嗜好情報を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの嗜好を予め記憶して嗜好情報に自動的に反映させることができ、嗜好情報の入力の際の操作負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように、車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成される。センター装置30は路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツ情報を配信する。
路側無線装置20は路上や駐車場等に複数設置され、各路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続されている。路側無線装置20と、車両Cの車載器10とは無線通信が可能である。
【0015】
なお、コンテンツ情報とは、データ形式等の詳細は後述するが、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音声情報等)の他、コンテンツ情報を提供する事業者に関する情報、コンテンツ情報の有効期限の情報(例えば、有効期限の開始と終了の日時)、サービスを提供可能な対象地点の情報(例えば、広告している店舗の地点を示す緯度経度や店舗名等)が含まれる。例えば、位置情報を含むコンテンツ情報であれば緯度経度情報も格納されているが、コンテンツ情報に位置情報が含まれなければ緯度経度情報は必要がなく、当該位置情報を示すデータ領域には情報は格納されない。
他にも、コンテンツ情報として、当該コンテンツ情報の通知を行うためのポップアップ画面を表示させるべき再生地点(例えば、ポップアップ画面を表示させる地点を示す緯度経度、ポップアップ画面を表示させる道路種別や車両の進入方向を指定する情報等)、コンテンツ情報の表示画面の遷移情報(次に表示する画面を指定する情報等)等を含む情報が格納されていてもよい。
【0016】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は、道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射する。この電波放射範囲を以下、路側エリアZという。この路側エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置20と車載器10間の狭域無線通信を路車間通信という場合がある。
【0017】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば直径数メートルから数十メートルである。各路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、各路側無線装置20の路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0018】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツ情報を車載器10へ転送する。本体装置20aとしては、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【0019】
車載器10は、車両Cに搭載され、案内経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electronic Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、通信モジュール2、DSRC部3、制御部4、再生部5を備えて構成されている。
【0020】
制御部4は、制御手段として機能し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、制御部4は、路側無線装置20との路車間通信を行う際にはDSRC部3の通信動作を制御する。なお、制御部4は、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。また、制御部4は、DSRC部3を介してセンター装置30から受信したコンテンツ情報の保存、再生制御等を行う。
【0021】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f等を備えて、車両Cを案内経路へ誘導するための処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図情報等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの案内経路を算出する。そして、カーナビ制御部1aは、地図記憶部1cに記憶されている地図情報を用いて算出した案内経路へ誘導するための地図画面を生成し、表示部1eにより表示させる。
【0022】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車の加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行い、車両の絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両の現在地を示す現在地情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0023】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図情報、通信モジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。
【0024】
入力部1dは、操作キーや表示部1eと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、制御部4に出力する。
表示部1eは、モニタを備え、制御部4の制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。各種情報とは、例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツ情報の表示画面等である。
【0025】
記憶部1fは、メモリ等から構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。また、記憶部1fは、後述する嗜好データ自動選択処理によって使用されるユーザ嗜好データテーブルT2、ジャンル再生回数テーブルT3、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4等を記憶する記憶手段として機能する。
また、記憶部1fは、センター装置30に提供するアップリンク情報m1を記憶するとともに、センター装置30から受信したコンテンツ情報を記憶する。正規の配信事業者が複数ある場合には、アップリンク情報m1は各配信事業者に応じた内容で制御部4によりそれぞれ生成され、記憶部1fに記憶される。ここで、正規の配信事業者とは、ユーザがコンテンツ情報の配信について契約をした配信事業者をいう。
アップリンク情報m1は最新の内容となるように制御部4が常に更新を行って記憶部1fに保存させる。なお、アップリンク情報m1の詳細については後述する。
【0026】
通信モジュール2は、通信手段として機能し、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、通信センターと光通信、FM通信、電波通信を行う。通信モジュール2は通信センターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。通信センターとしてはVICSセンター等を挙げることができるが、これに限らない。また、通信センターから受信する情報としては、渋滞情報や道路交通情報に限らない。
なお、通信モジュール2として他にもWiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等のDSRC以外の通信手段を使用することにより、インターネット等の情報を入手することもできる。
【0027】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツ情報を受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0028】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツ情報を受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツ情報を受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0029】
通信部3bは、例えば車両Cのダッシュボード上でフロントガラス近傍等の位置に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0030】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に対してユーザが欲する情報を提供するためのアップリンク情報m1専用に設けられた記憶領域であり、アップリンク情報m1の他、車載器10の特性情報が記憶される。
【0031】
アップリンク情報m1とは、具体的なデータ格納例等は後述するが、センター装置30においてどのような内容のコンテンツ情報を配信するかを決定する際に用いられる情報である。アップリンク情報m1は、サービス事業者ごとに作成され、車両Cが立寄った地点や、車載器10のユーザの嗜好情報、次回来店時の特典等を個別に配信するなどの多目的な情報を扱うための会員情報等が含まれる。サービス事業者は、これらの情報をもとに車載器10に配信するコンテンツ情報を決定することとなる。
【0032】
嗜好情報とは車載器10のユーザの嗜好を反映させた情報であり、サービス事業者ごとに配信されるコンテンツ情報の嗜好データに基づいて作成される。詳細は後述するが、本実施の形態においては、嗜好データとしてセンター装置30は車載器10に対して配信嗜好データテーブルT1を配信する。車載器10は、当該配信嗜好データテーブルT1に基づいてユーザの嗜好を反映させたユーザ嗜好データテーブルT2を作成する。当該ユーザ嗜好データテーブルT2には嗜好情報が含まれ、当該嗜好情報がアップリンク情報m1に反映させてセンター装置30に対して送信されることになる。
【0033】
特性情報とは、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10の車載器ID、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、車載器10が対応できる著作権管理技術、表示部1eのディスプレイの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、コンテンツ情報を蓄積可能な記憶容量等の情報が含まれる。なお、車載器IDは各車載器10に固有の識別情報である。
【0034】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eの間で情報のやりとりを仲介する。
【0035】
再生部5は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)が再生可能な機器や、USB(Universal Serial Bus)オーディオが接続可能に構成され、各種メディアに記憶された楽曲を再生することができる。制御部4は、再生部5に当該楽曲の再生指示を行うと共に、後述する楽曲ジャンル取得処理によって、楽曲のジャンルを取得する。
【0036】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、制御部や記憶部等から構成され、コンテンツ情報を記憶し、これを路側無線装置20を介して車載器10に配信する。
なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、コンテンツ情報を配信する配信事業者は複数あり、センター装置30は配信事業者毎に備えられるものである。また、図1ではセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されている例を示したが、センター装置30の一部の機能を路側無線装置20が所有していてもよい。この場合、複数の路側無線装置20が保持するセンター装置30の機能を管理するサーバとしてのセンター装置30が存在し、当該サーバとしての役割を果たすセンター装置30がネットワークNを介して路側無線装置20と接続されていてもよい。
【0037】
以下、図4及び図5を用いて、コンテンツ情報の詳細について説明する。
図4に、センター装置30から配信されるコンテンツ情報のデータ構造の一例について示す。図4に示すように、センター装置30からは一時に複数の情報グループが配信され、車載器10では複数の情報グループを受信して、再生又は記憶部1fに蓄積することとなる。
ここで、図4における情報グループ1、2、・・nのそれぞれが1つのコンテンツ情報であり、車載器10においてはコンテンツ情報を単位として再生処理が行われる。
【0038】
図4に示すように、1つのコンテンツ情報は、内容により分類された複数の要素で構成される。各構成要素はID番号(00、01、・・等)と当該ID番号に対応して格納される実データからなる。図4において、情報グループ1を構成するコンテンツ情報には、ID00(ID番号が「00」であることを示す、以下同じ)、ID01、ID02、ID03、ID04、ID05、ID10、ID30で規定される情報が含まれていることを示している。
【0039】
図5に、コンテンツ情報のフォーマットの一例を示す。
図5に示すように、コンテンツ情報には、個々にIDが付された情報、例えば構成ID情報、サービス事業者情報、情報提供企業情報、再生条件、対象地点情報、詳細情報、嗜好データ等が含まれている。
【0040】
ID00の構成ID情報は、コンテンツ情報に含まれる各情報の識別番号の一覧を示す情報である。この構成ID情報中の各情報の識別番号の有無を確認することにより、当該各情報が存在するか否かを即時に判断することが出来る。
【0041】
識別番号は、コンテンツ情報に含まれる各情報の分類を示す。
また、識別番号は、ID00〜ID255まで割り振られており、例えばID10は対象地点情報、ID40は詳細情報であることを示す。
なお、コンテンツ情報に含まれる各IDに対応する情報にはヘッダ情報(図示せず)が含まれており、各IDに含まれている情報量を示す情報バイト等、各IDに対応する内容を示す情報やフラグ等がヘッダ情報として格納されている。
以下、識別番号に対応する各情報について説明する。
【0042】
ID01のサービス事業者情報は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えばサービス事業者に一意に付与されたサービス事業者コード等である。
ID02の情報提供企業情報は、コンテンツ情報に関する詳細な情報であり、例えば当該コンテンツ情報の情報提供元を特定することのできる企業コード、サービス事業者がコンテンツ情報に対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツ情報の内容を示すための情報表示用テキスト、コンテンツ情報が属する嗜好データのカテゴリ等である。
他にも、企業コードに対応する企業を通知するテキスト等をID02のコンテンツ情報として格納してもよい。情報コードは先述の通り、コンテンツ情報に割り当てられたコードであり、コンテンツ情報を識別することができる。
ID03の再生条件は、車載器10が受信したコンテンツ情報の再生を即時に行うか記憶部1fに蓄積(記憶)するかを示す即時/蓄積コード等である。
【0043】
ID10の対象地点情報は、サービスの提供を行う店舗や施設等をいい、対象地点の情報としては、例えば対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)が含まれる。対象地点座標が存在しないコンテンツ情報の場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
対象地点座標が存在するコンテンツ情報の場合は、他にも対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、対象地点が駐車場である場合に、当該駐車場と提携している駐車場を示す提携駐車場情報、サービス提供可能な場所を表すアイコンのデータであるアイコン表示画像データ、サービスの説明用のテキスト情報である表示用文字データ、サービスを表す静止画像である表示画像データ、サービスを表す表音文字列情報である表音文字列データ等が格納される。
他にも、例えば対象地点の説明等に係る圧縮音声データ、表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す音声再生順、ビデオデータ、サービスのURL等からなる。この圧縮音声データには楽曲のデータが格納されていてもよいし、ビデオデータには当該楽曲のプロモーションビデオ等が格納されていてもよい。この場合、表示用文字データや後述するID40の詳細情報に、当該楽曲等のジャンルが格納されていてもよい。
なお、対象地点が存在しないコンテンツ情報の場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
【0044】
ID40の詳細情報は、当該コンテンツ情報に関する詳細な情報が格納され、汎用的な利用をすることができる。
コピーコントロールフラグは、車載器10がコンテンツ情報を受信した際に詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込むか否かを示すフラグである。コピーコントロールフラグがオン(値が「1」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込み、コピーコントロールフラグがオフ(値が「0」の場合)の場合には、ID40の詳細情報データをアップリンク情報m1の会員情報に書き込まないよう制御されることになる。
したがって、コピーコントロールフラグがオンになっている場合は、詳細情報データには会員情報が格納されていることになるので、上記の例では情報内容フラグは「2」の値をとることになる。
【0045】
情報内容フラグは、詳細情報データの内容の種別を示すための識別情報である。本実施の形態においては、情報内容フラグが「0」の場合は詳細情報データに情報コードが格納されていることを示し、「1」の場合は詳細情報データに串刺し検索コードが格納されていることを示す。串刺し検索コードとは、当該コンテンツ情報の種類を識別するためのコードである。例えば、サービス事業者が、串刺し検索コードが「00001」であれば、当該コンテンツ情報はクーポンの情報であることを示し、「00002」であれば当該コンテンツ情報は新着情報であること等を示すことを設定すれば、車載器10はその串刺し検索コードを用いてコンテンツ情報を検索することが可能である。情報内容フラグが「2」の場合は詳細情報データに会員情報が格納されていることを示す。
【0046】
詳細情報データは、情報コード、串刺し検索コード、会員情報等が格納される。他にも、当該コンテンツ情報の内容の説明をするためのテキスト情報や、ID10の対象地点情報に楽曲データが格納されている場合には、当該楽曲のジャンル等が格納されてもよい。
表示用文字データは、サービス対象地点や画面遷移の案内を行う情報や、検索のための検索用語等、表示部1eに表示させてユーザを補助するための情報である。表音文字列は音声によってユーザに伝達するための情報を格納している。
なお、表示用文字データや表音文字列は、通常詳細情報データに関連するものである。
【0047】
ID80の嗜好データ情報は、配信するコンテンツ情報の選択のために用いられる情報である。嗜好データ情報は、例えば嗜好データバージョン情報、嗜好データ表示用テキスト、嗜好データ番号、嗜好データ表示用ネスト、嗜好データ対象識別子、嗜好データデフォルト値、表音文字列等からなる。
【0048】
図6に、ID80の嗜好データ情報のデータ形式を詳細に示す。
嗜好データ表示用テキストとは、車載器10の表示部1eにID80の内容を表示させる際の文字情報である。嗜好データ番号とは、嗜好データ1〜嗜好データ127に連番に付与された1〜127の数値である。
嗜好データ表示用ネストとは、嗜好データ表示用テキストを表示部1eに表示させる際の位置を示す情報であり、本実施の形態においては8段階あるものとし、0〜7のいずれかの数字が格納される。例えば、「0」は表示部1eの左端を示し、「1」は左端から全角1文字右にずらした位置等のように判断されることになる。
【0049】
嗜好データ対象識別子とは、車載器10がセンター装置30に対して送信すべき嗜好データを示す値が格納される。当該値が「0」の嗜好データは、嗜好データのメニューとしての情報であり、車載器10からセンター装置30に対して送信せず、「1」の嗜好データは、嗜好データのカテゴリを示し、つまり当該嗜好データは車載器10からセンター装置30に対して送信すべき嗜好データであると判断する。
嗜好データデフォルト値とは、当該嗜好データを選択する/しないを示すデフォルトの値が格納される。当該フィールドに格納された値が「0」の嗜好データは選択しない旨を示し、「1」の嗜好データは選択する旨を示す。当該値はサービス事業者が設定することになる。表音文字列とは、嗜好データを車載器10において音声で通知するためのデータが格納される。
【0050】
本実施の形態においては、図6に示すようにID80に対応するデータ領域には、嗜好データ1〜127が格納されており、使用しない嗜好データX(Xは1〜127の任意の整数を示す)にはデータは格納されない。例えば、ID80のうち、嗜好データ1〜100のみ使用したい場合には嗜好データ101〜127にはデータは格納しないことになる。
【0051】
車載器10では、センター装置30から配信されたID80の嗜好データ情報がユーザの嗜好に応じて編集される。車載器10は、当該編集された嗜好データ情報をアップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信することになる。以降においては、区別をするため、センター装置30から車載器10に対して配信するID80の嗜好データ情報を利用した嗜好データテーブル(図6の嗜好データ1〜127を含むデータテーブルである)を配信嗜好データテーブルT1といい、車載器10においてユーザの嗜好を反映させた嗜好データテーブルをユーザ嗜好データテーブルT2という。
【0052】
図7に、センター装置30から車載器10に対して配信される配信嗜好データテーブルT1のデータ格納例を示す。
図7に示すように、配信嗜好データテーブルT1は、「嗜好データ番号」フィールド、「嗜好データ表示用テキスト」フィールド、「嗜好データ表示用ネスト」フィールド、「嗜好データ対象識別子」フィールド、「嗜好データデフォルト値」フィールド、及び「表音文字列」フィールドから構成される。
「嗜好データ番号」フィールドの値は、ID80の嗜好データ番号である。「嗜好データ表示用テキスト」フィールドの値は、ID80の嗜好データ表示用テキストである。「嗜好データ表示用ネスト」フィールドの値は、ID80の嗜好データ表示用ネストである。
「嗜好データ対象識別子」フィールドの値は、ID80の嗜好データ対象識別子である。「嗜好データデフォルト値」フィールドの値は、ID80の嗜好データデフォルト値である。「表音文字列」フィールドの値は、ID80の表音文字列である。
【0053】
図6に示したように、ID80の嗜好データ情報は嗜好データ1〜嗜好データ127が含まれるので、配信嗜好データテーブルT1は図7に示すように最大で127個のレコードが存在することになる。先述したように、センター装置30から車載器10に対して、図7に示すようなデータが格納された配信嗜好データテーブルT1が配信され、車載器10においては当該配信された配信嗜好データテーブルT1に基づいて自己の嗜好に応じた編集(配信嗜好データテーブルT1の内容を変更することを示す)し、アップリンク情報m1に含ませてセンター装置30に対して送信することになる。
【0054】
図8に、車載器10において生成されるユーザ嗜好データテーブルT2のデータが格納された一例を示す。図8に示すように、ユーザ嗜好データテーブルT2は「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールド、「嗜好データ選択」フィールド、及び「嗜好データ番号」フィールドから構成される。
「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドには、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データ表示用テキスト」フィールドの嗜好データ表示用テキストと、「嗜好データ表示用ネスト」フィールドの嗜好データ表示用ネストが格納される。図8に示す例では、説明の便宜上、表示用ネストの値を反映させて表示用テキストを記載している。
「嗜好データ選択」フィールドには、嗜好データを選択する/しないを示す値が格納される。当該フィールドに格納された値が「0」の嗜好データは選択しない旨を示し、「1」の嗜好データは選択する旨を示す。つまり、車載器10のユーザがサービス事業者に登録し、登録後初めて配信嗜好データテーブルT1が車載器10に対して配信された時は、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値は、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データデフォルト値」フィールドの値がそのまま格納されることになる。
「嗜好データ番号」とは、センター装置30に対して通知すべき嗜好データに連番に割り当てられた識別番号が格納される。本実施の形態においては、嗜好データとしてセンター装置30に対して通知する数は96個までとする。つまり、配信嗜好データテーブルT1の嗜好データは最大で128であるので、嗜好データ対象識別子の値が1である嗜好データが96個以上ある場合は、嗜好データ番号が小さい順に96個までがセンター装置30に対して送信されるものとする。
先述したように、センター装置30から車載器10に対して配信された図7に示すような配信嗜好データテーブルT1に基づいて、車載器10のユーザは嗜好データを編集することにより、自己の嗜好を反映させ、図8に示すようなユーザ嗜好データテーブルT2を作成することになる。
【0055】
図9に、本実施の形態において車載器10の表示部1eに表示される嗜好データ設定画面G1の一例を示す。図9に示すように、嗜好データ設定画面G1は、嗜好データ表示用テキスト表示欄G1a、嗜好データ選択欄G1b等から構成される。
嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「表示用テキスト/ネスト」フィールドに格納された値が表示されることになる。
嗜好データ選択欄G1bは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドに格納された値が表示されることになる。図9に示す嗜好データ選択欄G1bの網掛けで表示した領域は当該値を選択している旨を示している。
【0056】
図9に示す嗜好データ設定画面G1は、図8に示すユーザ嗜好データテーブルT2のようにデータが格納された際に表示される場合を示している。つまり、例えば「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの値が「地域の情報」であるレコードは、「嗜好データ選択」フィールドの値が「1」であるので、嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aに「地域の情報」が表示されている行に対応する嗜好データ選択欄G1bが「ON」となっている。
ユーザは、入力部1dからの入力により、嗜好データ選択欄G1bの「OFF」を選択すること等により、嗜好データ選択欄G1bの対応する行の嗜好データを設定画面G1に表示された嗜好データを選択する/しないを変更することができる。つまり、例えば嗜好データ表示用テキスト表示欄G1aに「地域の情報」を表示している行の嗜好データ選択欄G1bを「ON」から「OFF」となるように入力部1dから指示を行うと、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの値が「地域の情報」であるレコードは、「嗜好データ選択」フィールドの値が「1」から「0」に変更されることになる。このようにして、ユーザはユーザ嗜好データテーブルT2の内容を変更する。
上記説明したユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値がアップリンク情報m1に含まれて、センター装置30に対して送信されることになる。
【0057】
コンテンツ情報は上記各IDの情報を含めて予め作成されたものをセンター装置30に保存しておき、配信時には、これらのコンテンツ情報のうち配信するコンテンツ情報をセンター装置30が選択する。なお、各IDの情報は必要に応じてコンテンツ情報に含められ、常に全てのIDの情報がコンテンツ情報に含まれているわけではない。例えば、対象地点において提携指定されている提携駐車場が無ければ、ID10の対象地点に提携駐車場情報は含まれないことになる。
【0058】
次に、図10を参照してアップリンク情報m1について説明する。
アップリンク情報m1には、配信事業者の特定情報、車両Cの目的地/経由地、累計走行距離、嗜好ジャンルテーブルバージョン、嗜好ジャンルデータ、会員情報、過去立寄地、受信/再生履歴等が含まれる。図10に例を示すように、アップリンク情報m1は配信事業者A、B等の配信事業者毎に生成され、アップリンク情報記憶領域Mに記憶される。
【0059】
配信事業者の特定情報は、ユーザが予めコンテンツ情報の配信について契約した配信事業者を特定する情報であり、例えば、ID01のサービス事業者コードが格納される。
目的地/経由地は、カーナビ部1で設定された目的地の緯度、経度の情報や、カーナビ部1で設定された目的地までの誘導経路において経由する経由地の緯度、経度の情報である。例えば、目的地や経由地として設定されたID10の対象地点座標が格納される。
【0060】
累計走行距離は車載器10を購入し、センター装置30に車載器IDが登録された時点から現在地までの車両Cの累計走行距離の情報である。
嗜好ジャンルテーブルバージョンは、サービス事業者より配信された配信嗜好データテーブルT1のバージョンが格納される。つまり、ID80の嗜好データバージョン情報が格納される。サービス事業者から配信される配信嗜好データテーブルT1が更新された時は、ID80の嗜好データバージョン情報も更新されているので、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルテーブルバージョンには車載器10が受け取った最新の嗜好データバージョン情報が格納されることになる。
【0061】
嗜好ジャンルデータは、サービス事業者より配信された配信嗜好データテーブルT1に基づいてユーザの嗜好を反映させた嗜好情報が格納される。嗜好ジャンルデータに基づいて、センター装置30は車載器10に対して配信するコンテンツ情報を編成し、送信することになる。本実施の形態においては、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値(「0」又は「1」のいずれかの値)が格納される。つまり、本実施の形態においては、ユーザ嗜好データテーブルT2は、先述したように96個までを嗜好データとして設定できるので、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータには96bitのデータ格納されることになる。センター装置30は、配信嗜好データテーブルT1の「嗜好データ対象識別子」フィールドの値が「1」となっている嗜好データと、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータの96bitのデータ(つまり嗜好情報を示す)に基づいて、当該嗜好データが選択されている/いないを判別することになる。
【0062】
会員情報には、センター装置30から配信されたコンテンツ情報のID40の詳細情報データが書き込まれる。会員情報は、次回来店時の特典(クーポン情報)等を個別に配信するなどの多目的な情報を扱う。また、会員情報はDSRC以外の通信手段で受け取ることも考えられるため、車載器10からの入力が可能な構成としてもよい。先述したように、ID40のコピーコントロールフラグによって、ID40の詳細情報データから書き込まれるか否かが判断されることになる。
過去の立ち寄り地は、過去に車両Cが停車した(つまり車載器10の電源がON又はOFFされた)地点の緯度、経度の情報及び時刻情報である。
受信/再生履歴は、受信したコンテンツ情報の情報コードや、再生したコンテンツ情報の情報コード等の履歴である。
【0063】
また、図10に示すように、アップリンク情報記憶領域Mには、先述した特性情報を記憶する領域である特性情報領域m2が存在する。特性情報領域m2には、路側無線装置20と車載器10との間に、DSRC接続によって通信路が確立され、路側無線装置20から車載器10に対して特性情報の送信要求がなされた際に送信されるべき特性情報が記憶されることになる。
【0064】
次に、動作について説明する。
図11に、コンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の各装置における処理の流れを示す。
図11に示すように、まず車両Cのエンジンが起動し、車載器10の電源が投入されると(ステップS1)、車載器10の特性情報が生成され、記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mの特性情報領域m2に書き込まれる(ステップS2)。特性情報は、予めセンター装置30との間で取り決められている項目について制御部4が表示部1e等の各部に問い合わせて取得したり、予め記憶部1fに記憶されている情報を読み出す等して取得する。そして、取得された情報を制御部4がコード化し、特性情報領域m2に当該コードが書き込まれる。なお、実際には書込を指示する制御情報がDSRC制御部3aに出力され、このDSRC制御部3aが特性情報領域m2に書き込まれる。
【0065】
その後、車両Cが走行を開始し、路側無線装置20の路側エリアZに進入すると(エリアイン)、路側無線装置20は車両Cを検出し、車載器10のDSRC部3とDSRC通信による接続処理が開始される(ステップS3a、S3b)。すなわち、DSRCの電波が送出され、車載器10からの応答が得られると、通信路が確立される。通信路が確立されると、路側無線装置20はセンター装置30に対し接続が完了した旨の通知情報が送信される(ステップS4a)。一方、車載器10のDSRC部3から制御部4に対し接続が完了した旨の通知情報が出力される(ステップS4b)。なお、DSRC接続時には、車載器10の記憶部3c等に記憶されている車載器10を識別するための車載器IDがセンター装置30に対して送信されている。
【0066】
次いで、路側無線装置20から車載器10のDSRC部3に対し、特性情報の送信要求が行われると、DSRC部3から特性情報領域m2に書き込まれている特性情報が路側無線装置20に送信される(ステップS5)。特性情報は路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される。
センター装置30では、DSRC接続時に取得される車載器ID等をもとに、車載器10のユーザが配信サービスの会員か否かが判断される(ステップS6)。
【0067】
センター装置30に記憶されている配信サービスの全会員の車載器IDのうち、受信した車載器IDと一致するものがなく、非会員であると判断されると(ステップS6;N)、非会員用のコンテンツ情報が路側無線装置20を介して車載器10に送信される(ステップS61)。その後、ステップS16の処理に移行する。なお、非会員用のコンテンツ情報とは、電車の遅延情報、納税通知情報等の公共の広告情報や、入会を促す情報や迷惑(スパム)とは成り得ない程度の民間の広告情報等の一般向けの内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報は保存又は再生される(ステップS11)。保存されたコンテンツ情報は所定のタイミングで再生されることとなる。
一方、一致する車載器IDがあれば会員であると判断され(ステップS6;Y)、配信事業者のサービス事業者コードの通知情報が路側無線装置20に送信される(ステップS7)。なお、ステップS7においては、サービス事業者コードと共に他の情報(例えば、Welcome画面を表示部1eに表示させるためにID10を配信する等)のコンテンツ情報を含むようにしても良い。
【0068】
路側無線装置20を介してサービス事業者コードの通知情報が受信されると、記憶部1fに記憶されているアップリンク情報m1に含まれるサービス事業者コードと、通知されたサービス事業者コードとが照合される(ステップS8)。一致するサービス事業者コードがない場合(ステップS8;N)、処理は何もされずエリアアウトを待つ。
【0069】
一致するサービス事業者コードがある場合(ステップS8;Y)、受信されたサービス事業者コードの配信事業者は正規の配信事業者であると判断され、当該サービス事業者コードに対応するアップリンク情報m1が記憶部1fから読み出され、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれる(ステップS9)。前述のようにアップリンク情報m1は各配信事業者に応じて生成され、更新が行われているので、配信事業者に応じた最新の内容となっている。
【0070】
一方、センター装置30によってデフォルトのコンテンツ情報が路側無線装置20を介して車載器10に配信される(ステップS10)。デフォルトのコンテンツ情報とは、主に公共の広告情報等のスパムとならない内容の情報である。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報が保存もしくは再生されることになる(ステップS11)。具体的には、受信したコンテンツ情報のID03の即時/蓄積コードが蓄積を示していれば、当該コンテンツ情報であれば記憶部1fに保存され、ID03の即時/蓄積コードが即時を示していれば、当該コンテンツ情報は受信後所定のタイミングで再生されることになる。
また、センター装置30では車載器10に対し、アップリンク情報記憶領域Mに書き込まれたアップリンク情報m1の送信を要求する(ステップS12)。以降は、車載器がエリアアウトするまで(車載器との無線通信が途切れるまで)、センター装置30は車載器10に対し、定期的にアップリンク情報m1のポーリングを行う。
【0071】
DSRC部3は、アップリンク情報m1の書込が行われると、センター装置30からのポーリングに応じて、アップリンク情報記憶領域Mに記憶されているアップリンク情報m1が、路側無線装置20を介してセンター装置30に送信される(ステップS13)。
【0072】
センター装置30では、送信されたアップリンク情報m1より会員の趣向に適したコンテンツ情報が編成され、当該コンテンツ情報が車載器10に配信される(ステップS14)。車載器10では、配信された当該コンテンツ情報は保存又は再生される(ステップS15)。
【0073】
その後、センター装置30が配信すべきコンテンツ情報が全て配信されると、配信終了を通知するメッセージ情報が生成され、車載器10に対して送信され(ステップS16)、処理は終了する。なお、メッセージ情報の送信と共に、ユーザに対しエリアアウトを促しても良い。
このように、図11に示した処理の流れにより、センター装置30から配信されたコンテンツ情報は車載器10の記憶部1fに保存もしくは所定のタイミングで再生されることになる。
【0074】
次に、本実施の形態における車載器10の動作を説明する。
図12に、車載器10において行われる楽曲ジャンル取得処理を示す。当該処理は、再生部5において楽曲が再生された際に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理では、再生部5において再生されている楽曲のジャンルが取得され、後述するジャンル再生回数テーブルT3に当該取得されたジャンルの回数がカウントされる等によってジャンル再生回数テーブルT3が更新される。
【0075】
図12に示すように、再生部5において再生中の楽曲のジャンルが取得される(ステップS101)。具体的には、例えば再生部5においてCDが再生されている場合には、当該CDのCDDB(CD Data Base)を参照し、再生中の楽曲のジャンルを取得したり、MP3が再生されている場合にはID3タグを参照する等によって、再生中の楽曲のジャンルが取得される。
【0076】
次いで、ステップS101において、再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあるか否かが判断される(ステップS102)
再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあると判断された場合(ステップS102;YES)、カウンタ変数iに1が代入される(ステップS103)。次いで、記憶部1fに記憶されたジャンル再生回数テーブルT3が参照され、ジャンル数N1が取得される(ステップS104)。
【0077】
図13に、ジャンル再生回数テーブルT3の一例を示す。
図13に示すように、ジャンル再生回数テーブルT3は「ジャンル」フィールド、「回数」フィールド、及び「最終再生時間」フィールドから構成される。
「ジャンル」フィールドには、車載器10の再生部5において再生された楽曲のジャンルが格納されている。「回数」フィールドには、各ジャンルに属する楽曲が再生部5において再生された回数が格納される。「最終再生時間」フィールドには、各ジャンルに属する楽曲が直近で再生された時間が格納される。
【0078】
図13に示すジャンル再生回数テーブルT3の例では、「Pop」というジャンルに属する楽曲は、再生部5において「25」回されており、当該ジャンルの楽曲の直近の再生時間は「2008年2月12日12時34分」であることを示している。
ステップS104においては、ジャンル再生回数テーブルT3に格納されたレコード数をカウントする等によってジャンル数N1の取得が行われる。
【0079】
カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であるか否かが判断される(ステップS105)。カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であると判断された場合(ステップS105;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のジャンル名が取得される(ステップS106)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードが参照され、当該レコードの「ジャンル」フィールドに格納されている文字列が抽出されること等によって行われる。
【0080】
次いで、ステップS101において取得された再生部5で再生中の楽曲のジャンルと、ステップS106において取得されたジャンルが一致しているか否かが判断される(ステップS107)。ジャンルが一致していると判断されない場合(ステップS107;NO)、カウンタ変数iが1加算され(ステップS109)、処理はステップS105に戻る。
ジャンルが一致していると判断された場合(ステップS107;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3が更新される(ステップS108)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードの「回数」フィールドに対応する値が1加算され、「最終再生時間」フィールドに対応する値に現在の時間が格納されることによって更新が行われる。
【0081】
一方、カウンタ変数iがステップS104において取得されたジャンル数N1以下であると判断されない場合(ステップS105;NO)、ジャンル再生回数テーブルT3が更新される(ステップS110)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi+1番目に新たなレコードを追加し、当該レコードの「ジャンル」フィールドにステップS101において取得されたジャンルが、「回数」フィールドに再生回数を示す「1」が、「最終再生時間」フィールドに現在の時間が、それぞれ格納されることによって更新が行われる。
一方、再生部5で再生中の楽曲のジャンルがあると判断されない場合(ステップS102;NO)、処理は終了する。
以上説明した楽曲ジャンル取得処理によって、再生部5において再生されている楽曲のジャンルに基づいてジャンル再生回数テーブルT3が更新される。
【0082】
図14に、車載器10において行われる嗜好データ候補抽出処理を示す。当該処理は、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理は、ジャンル再生回数テーブルT3に格納されているレコードから、予め定められた規定回数以上の再生回数があるレコードに対応するジャンルを抽出する。
【0083】
図14に示すように、記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faが初期化される(ステップS201)。次いで、カウンタ変数iに1が代入され(ステップS202)、ジャンル再生回数テーブルT3のジャンル数N2が取得される(ステップS203)。具体的な処理は、ステップS104と同様であるので説明を省略する。
次いで、カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であるか否かが判断される(ステップS204)。カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であると判断された場合(ステップS204;YES)、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のジャンルの再生回数が取得される(ステップS205)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3が参照され、i番目のレコードの「回数」フィールドの値が取得されることになる。
【0084】
次いで、ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であるか否かが判断される(ステップS206)。具体的には、ステップS205において取得された再生回数と、記憶部1fに予め記憶されている規定回数(例えば10回等)が比較されることによって判断が行われる。
ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であると判断された場合(ステップS206;YES)、i番目のジャンルの候補を抽出するための候補抽出処理が行われる(ステップS207)。例えば、ステップS206で判断される規定回数が10回であった場合、図13に示すジャンル再生回数テーブルT3の例であれば、「ジャンル」フィールドの値が「Pop」(「回数」フィールドの値が「25」)と「Fusion」(「回数」フィールドの値が「12」)の場合に、ステップS207の候補抽出処理が行われることになる。
【0085】
図15に、ステップS207において行われる候補抽出処理を示す。当該処理では、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4から嗜好データ候補を抽出する。
まず、カウンタ変数jに1が代入され(ステップS301)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のジャンル数N3が取得される(ステップS302)。
【0086】
図16に、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の一例を示す。図16に示すように、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は「ジャンル」フィールドと「嗜好データ候補」フィールドから構成される。
「ジャンル」フィールドには、楽曲のジャンルが格納される。「嗜好データ候補」フィールドには、楽曲のジャンルに対応した嗜好データ候補の文字列が格納される。
図16に示す例では、「Pop」というジャンルに対して「Pop」、「Pops」、「ポップス」という文字列の嗜好データが対応付けられている。つまり、コンテンツ情報のジャンルがPopである場合であっても、サービス事業者によっては、ID80の嗜好データ表示用テキストにおいて「Pops」や「ポップス」のように表記が異なる場合があるため、当該ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4によって、同様のジャンルの表記を対応付けているのである。
なお、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は、車載器10の記憶部1fに記憶されており、車載器10の入力部1dからの入力によりジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の内容が変更できるようにしてもよい。
ステップS302における処理はステップS104と同様であるので説明を省略する。
【0087】
ステップS303においては、カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であるか否かが判断される(ステップS303)。カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であると判断された場合(ステップS303;YES)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のジャンルが取得される(ステップS304)。具体的には、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のレコードが参照され、「ジャンル」フィールドの値が取得されることになる。
【0088】
次いで、i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致するか否かが判断される(ステップS305)。具体的には、ジャンル再生回数テーブルT3のi番目のレコードの「ジャンル」フィールドの値と、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のレコードの「ジャンル」フィールドの値が比較されることにより行われる。
i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致すると判断された場合(ステップS305;YES)、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4のj番目のジャンルの嗜好データ数Lが取得される(ステップS306)。具体的には、ステップS305において一致すると判断されたジャンルとジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の「ジャンル」フィールドの値が一致するレコードの数が嗜好データ数Lとして取得されることになる。図16に示すジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の例では、「Pop」というジャンルの嗜好データ数Lは3、「Rock」というジャンルの嗜好データ数Lは2、「Fusion」というジャンルの嗜好データ数Lは2ということになる。
【0089】
次いで、カウンタ変数kに1が代入され(ステップS307)、カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であるか否かが判断される(ステップS308)。カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であると判断された場合(ステップS308;YES)、j番目のジャンルのk番目の嗜好データの候補が記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに保持される(ステップS309)。次いで、カウンタ変数kが1加算され(ステップS310)、処理はステップS308に戻る。
ステップS308〜ステップS310においては、i番目のジャンルとジャンルが一致したジャンル−嗜好データ関連テーブルT4の「嗜好データ候補」フィールドの値が取得されることになる。
【0090】
i番目のジャンルとj番目のジャンルが一致すると判断されない場合(ステップS305;NO)、カウンタ変数jが1加算され(ステップS311)、処理はステップS303に戻る。
一方、カウンタ変数jがステップ302において取得されたジャンル数N3以下であると判断されない場合(ステップS303;NO)、カウンタ変数kがステップS306において取得された嗜好データ数L以下であると判断されない場合(ステップS308;NO)、処理はステップS208に移行する。
【0091】
ステップS205において取得されたi番目のジャンルの再生回数は規定回数以上であると判断されない場合(ステップS206;NO)、カウンタ変数iが1加算され(ステップS208)、処理はステップS204に戻る。
一方、カウンタ変数iがステップS203において取得されたジャンル数N2以下であると判断されない場合(ステップS204;NO)、処理は終了する。
以上説明した、嗜好データ候補抽出処理によって、規定回数以上の再生回数があったジャンルに対応する嗜好データ候補が記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに格納される。
【0092】
図17に、車載器10において行われる嗜好データ自動選択処理を示す。当該処理は、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に、嗜好データ候補抽出処理が行われた後に、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実行される。当該処理は、嗜好データ候補保存領域1faに格納された嗜好データ候補を基にユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値を選択し、ユーザ嗜好データテーブルT2を更新する。当該フィールドの値は、アップリンク情報m1の嗜好ジャンルデータに嗜好情報として格納されることになる。
また、当該処理において使用されるジャンル再生回数テーブルT3とジャンル−嗜好データ関連テーブルT4は更新情報として使用され、制御部4は更新手段として機能する。
【0093】
図17に示すように、カウンタ変数iとjにそれぞれ1が代入される(ステップS401)。次いで、ユーザ嗜好データテーブルT2が参照され、嗜好項目数N4が取得される(ステップS402)。嗜好項目数N4とは、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ番号」フィールドに格納された値の最大値である。
【0094】
次いで、記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに格納された嗜好データの候補の数(以下、嗜好データ候補数N5という)が取得される(ステップS403)。
次いで、カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であるか否かが判断される(ステップS404)。カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であると判断された場合(ステップS404;YES)、i番目の嗜好データ表示用テキストが取得される(ステップS405)。具体的には、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ番号」フィールドの値が「i」のレコードの「嗜好データ表示用テキスト/ネスト」フィールドの嗜好データ表示用テキストが取得されることになる。
【0095】
次いで、嗜好データ候補保存領域のj番目の嗜好データ候補が取得される(ステップS406)。ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データの候補が一致するか否かが判断される(ステップS407)。なお、ステップS407における判断は文字列の完全一致でもよいし、前後の部分一致としてもよい。
【0096】
ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データの候補が一致すると判断された場合(ステップS407;YES)、i番目の嗜好データがONに選択される(ステップS408)。具体的には、ユーザ嗜好データテーブルT2が参照され、ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストと一致するレコードの「嗜好データ選択」フィールドに対応する値が1(本実施の形態においてはONを示す)となる。
【0097】
一方、ステップS405において取得された嗜好データ表示用テキストとステップS406において取得された嗜好データ候補が一致すると判断されない場合(ステップS407;NO)、処理はステップS409に移行する。
ステップS409においては、カウンタ変数jが1加算され(ステップS409)、カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であるか否かが判断される(ステップS410)。
カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であると判断されない場合(ステップS410;NO)、処理はステップS406に戻る。
カウンタ変数jがステップS406において取得された嗜好データ候補数N5以上であると判断された場合(ステップS410;YES)、カウンタ変数iが1加算される(ステップS411)。次いで、カウンタ変数jに1が代入され(ステップS412)、処理はステップS404に戻る。
【0098】
一方、カウンタ変数iが嗜好データ候補数N4以下であると判断されない場合(ステップS404;NO)、処理は終了する。
以上説明した、嗜好データ自動選択処理によって嗜好データ候補保存領域1faに保存された嗜好データの候補と文字列が一致する嗜好データがONにされることになる。
【0099】
以上のように、本実施の形態における配信システム100においては、車載器10における楽曲ジャンル取得処理によって取得された楽曲のジャンル情報に基づいて、嗜好データ候補抽出処理及び嗜好データ自動選択処理が行われ、ユーザ嗜好データテーブルT2の「嗜好データ選択」フィールドの値が自動的に更新される。したがって、ユーザが再生部5において再生した楽曲のジャンルのうち、再生回数が多いジャンルの楽曲をユーザが好んでいると判断し、当該ジャンルがユーザ嗜好データテーブルT2に含まれていた場合に選択するよう処理が行われるので、ユーザが好んで再生している楽曲のジャンルのコンテンツ情報をサービス事業者が配信することができるようになる。
【0100】
また、ジャンル−嗜好データ関連テーブルT4に、楽曲のジャンルと嗜好データ候補を対応付けておくことにより、嗜好データ自動選択処理における嗜好データの自動選択を、より汎用的に行うことができる。つまり、楽曲のジャンルと対応する嗜好データ候補がジャンル−嗜好データ関連テーブルT4において管理されているので、楽曲のジャンルとユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データ表示用テキストの文字列が一致しない場合であっても、楽曲のジャンルと嗜好データ表示用テキストの関連付けを容易に行うことができる。
【0101】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な配信システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態においては、嗜好データ候補保存領域1faに記憶された、再生部5において再生された楽曲のジャンルに対応する嗜好データの候補に基づいて嗜好データ自動選択処理が行われるようにしたが、嗜好データ候補保存領域1faに記憶されるのは楽曲のジャンルに限られない。例えば、再生部5においてユーザがCDを再生した回数を記憶部1fに記憶させ、CDを再生した回数が一定回数を超えた場合に、「レンタルショップA」等の特定の嗜好データの候補を嗜好データ候補保存領域に記憶させ、嗜好データ自動選択処理が実行されるようにしてもよい。
【0102】
また、再生部5の楽曲再生のための条件としてセットされているイコライザ設定(「Pops」、「Rock」等の音響の設定をいう)に基づいて嗜好データ自動選択処理が行われてもよい。例えば、イコライザ設定が「Pops」として設定されていれば、当該イコライザ設定と対応する嗜好データの候補を記憶部1fの嗜好データ候補保存領域1faに記憶しておき、当該嗜好データを読み出すことによって嗜好データ自動選択処理が行われてもよい。
【0103】
また、本実施の形態においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理を嗜好データ選択画面G1を表示させる際に実行させたが、車両Cのエリアイン時や楽曲の再生時等に嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が実行され、ユーザ嗜好データテーブルT2が更新されてもよい。この場合には、ユーザが嗜好データ選択画面G1を表示させていない場合であっても、更新されたユーザ嗜好データテーブルT2に基づいてアップリンク情報m1を作成することができる。
【0104】
また、本実施の形態においては、再生部5において楽曲が再生された際に、ジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしたが、ジャンル再生回数テーブルT3の更新の方法はこれに限られない。例えば、車載器10に外部接続された再生機器が楽曲の再生履歴を記憶していた場合には、当該履歴の情報からジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしてもよいし、記憶部1fに記憶されたコンテンツ情報のID10に楽曲等のコンテンツが含まれている場合、当該コンテンツを再生した場合に、ID40の詳細情報データ等に格納されているジャンルを取得することによってジャンル再生回数テーブルT3が更新されるようにしてもよい。
【0105】
また、ジャンル再生回数テーブルT3に格納された値に基づいて嗜好データを自動的に選択するようにしたが、ジャンル再生回数テーブルT3に格納された値に基づいて嗜好データの選択を解除するようにしてもよい。例えば、ジャンル再生回数テーブルT3の「最終再生時間」フィールドの値から判断して、一定時間以上再生されていなかった楽曲のジャンルの嗜好データを選択しないようにユーザ嗜好データテーブルT2が更新されるようにしてもよい。
【0106】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0107】
その他、配信システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0108】
(第2の実施の形態)
次に図18及び図19を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態は、センター装置30や車載器10の構成は第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態において図11に示した配信システム100の処理の流れのみが第1の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0109】
第1の実施の形態においては、嗜好データ選択画面G1を表示させる際に嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が行われたが、第2の実施の形態においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理は、車載器10の記憶部1fがコンテンツ情報を記憶できる空き容量があると判断した場合に行われる。
【0110】
図18、図19に、第2の実施の形態においてコンテンツ情報を配信する際におけるセンター装置30、路側無線装置20、車載器10の各装置における処理の流れを示す。
図18に示すステップS21〜ステップS28、ステップS261は、それぞれ図11のステップS1〜ステップS8、ステップS61と同様であるので説明を省略する。
ステップS29においては、車載器10のユーザが選択している嗜好データに基づいたアップリンク情報m1がDSRC部に対して書き込まれる点でステップS9と異なる。つまり、第2の実施の形態においては、ステップS29の時点においては、嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理は行われておらず、ユーザが自ら嗜好データ選択画面G1からの入力等によって選択したユーザ嗜好データテーブルT2に基づいて作成されたアップリンク情報m1がDSRC部に対して書き込まれることになる。
【0111】
図18、図19のステップS30〜ステップS35は、それぞれ図8のステップS10〜ステップS15と同様であるので説明を省略する。
ステップS35において記憶部1fにコンテンツ情報が保存もしくは再生されると、記憶部1fにコンテンツ情報を保存するための保存可能領域があるか否かが判断される(ステップS36)。具体的には、記憶部1fの空き容量が取得され、予め定められた閾値以下となっているか否か等によって保存可能領域があるか否かが判断されることになる。制御部4は、ステップS36における処理により保存可能領域判断手段として機能する。
【0112】
保存可能領域があると判断された場合(ステップS36;Y)、記憶部1fに記憶されているユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データが更新される(ステップS37)。具体的には、ステップS37において嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理が行われることにより、ユーザ嗜好データテーブルT2の嗜好データが更新されることになる。
【0113】
当該更新されたユーザ嗜好データテーブルT2に基づいて、アップリンク情報m1が作成され、DSRC部に書き込まれる(ステップS38)。続くステップS39〜ステップS42の処理は、それぞれステップS13〜ステップS16と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS40においては、センター装置30は嗜好データ候補抽出処理と嗜好データ自動選択処理によって更新されたユーザの嗜好データに基づいてコンテンツ情報を配信することになる。
一方、保存可能領域があると判断されない場合(ステップS36;N)、処理は終了する。
【0114】
以上のように、第2の実施の形態における配信システム100によれば、エリアイン時には、まずユーザが予め設定していたユーザ嗜好データテーブルT2の内容を基に、コンテンツ情報の受信を行い、車載器10の記憶部1fに保存可能であれば、嗜好データ自動選択処理によってユーザ嗜好データテーブルT2を更新しアップリンクすることにより追加でコンテンツ情報の受信が行われる。したがって、記憶部1fの空き容量が少なくなっている場合に、嗜好データ自動選択処理によって自動的にユーザ嗜好データテーブルT2を更新したことにより、嗜好データ選択画面G1からの入力によって本来ユーザが選択していた嗜好データのコンテンツ情報が受信できなくなる恐れがなくなる。
【0115】
その他、配信システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の路側エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】コンテンツ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】コンテンツ情報のデータ形式の一例を示す図である。
【図6】嗜好データのデータ形式の詳細を示す一例である。
【図7】本実施の形態における配信嗜好データテーブルのデータ格納例である。
【図8】本実施の形態におけるユーザ嗜好データテーブルのデータ格納例である。
【図9】車載器の表示部に表示される嗜好データ設定画面の一例である。
【図10】アップリンク情報のデータ形式を示す一例である。
【図11】第1の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図12】車載器における楽曲ジャンル取得処理を説明する図である。
【図13】本実施の形態におけるジャンル再生回数テーブルのデータ格納例である。
【図14】車載器における嗜好データ候補抽出処理を説明する図である。
【図15】車載器における候補抽出処理を説明する図である。
【図16】本実施の形態におけるジャンル−嗜好データ関連テーブルのデータ格納例である。
【図17】車載器における嗜好データ自動選択処理を説明する図である。
【図18】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図19】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0117】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1d 入力部
1e 表示部
1f 記憶部
1fa 嗜好データ候補保存領域
3 DSRC部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
5 再生部
20 路側無線装置
30 センター装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器と、前記車載器と無線通信可能に接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記車載器は、
前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備え、
前記センター装置は、前記車載器から受信した更新された前記嗜好情報に基づいて当該車載器に対して配信するコンテンツ情報を編成し、当該編成されたコンテンツ情報を当該車載器に対して配信することを特徴とする配信システム。
【請求項2】
路側無線装置を介してコンテンツ情報を配信するセンター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車載器。
【請求項3】
前記嗜好情報は、少なくとも楽曲のジャンルを含み、
前記更新情報は、少なくとも楽曲のジャンルと当該楽曲のジャンルに属する楽曲の再生回数を含み、
前記更新手段は、予め定められた回数以上の再生回数がある前記更新情報の楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新する請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
楽曲を再生する再生手段と、
前記再生手段によって再生された楽曲のジャンルを取得するジャンル取得手段と、
を更に備え、
前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルは、前記ジャンル取得手段によって取得された楽曲のジャンルであり、前記再生回数は前記再生手段によって再生された回数であることを特徴とする請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記嗜好情報に含まれる楽曲のジャンルを対応付けるテーブルを更に記憶し、
前記更新手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記テーブルによって対応付けられた楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする請求項3又は4に記載の車載器。
【請求項6】
前記記憶手段の記憶可能容量を取得し、当該取得された前記記憶手段の記憶可能容量に基づいて前記コンテンツ情報を記憶するか否かを判断する保存可能領域判断手段を更に備え、
前記更新手段は、前記保存可能領域判断手段によって前記コンテンツ情報を記憶すると判断した場合に、前記嗜好情報を更新することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の車載器。
【請求項1】
車載器と、前記車載器と無線通信可能に接続された路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツ情報を配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記車載器は、
前記路側無線装置を介して前記センター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備え、
前記センター装置は、前記車載器から受信した更新された前記嗜好情報に基づいて当該車載器に対して配信するコンテンツ情報を編成し、当該編成されたコンテンツ情報を当該車載器に対して配信することを特徴とする配信システム。
【請求項2】
路側無線装置を介してコンテンツ情報を配信するセンター装置と通信を行う通信手段と、
前記センター装置に対して送信すべきユーザの嗜好情報及び当該嗜好情報を更新するための更新情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記更新情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記嗜好情報を新たな嗜好情報に更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記嗜好情報を前記通信手段に送信させる制御手段と、
を備えることを特徴とする車載器。
【請求項3】
前記嗜好情報は、少なくとも楽曲のジャンルを含み、
前記更新情報は、少なくとも楽曲のジャンルと当該楽曲のジャンルに属する楽曲の再生回数を含み、
前記更新手段は、予め定められた回数以上の再生回数がある前記更新情報の楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新する請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
楽曲を再生する再生手段と、
前記再生手段によって再生された楽曲のジャンルを取得するジャンル取得手段と、
を更に備え、
前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルは、前記ジャンル取得手段によって取得された楽曲のジャンルであり、前記再生回数は前記再生手段によって再生された回数であることを特徴とする請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記嗜好情報に含まれる楽曲のジャンルを対応付けるテーブルを更に記憶し、
前記更新手段は、前記更新情報に含まれる楽曲のジャンルと前記テーブルによって対応付けられた楽曲のジャンルと一致する楽曲のジャンルを含む前記嗜好情報を更新することを特徴とする請求項3又は4に記載の車載器。
【請求項6】
前記記憶手段の記憶可能容量を取得し、当該取得された前記記憶手段の記憶可能容量に基づいて前記コンテンツ情報を記憶するか否かを判断する保存可能領域判断手段を更に備え、
前記更新手段は、前記保存可能領域判断手段によって前記コンテンツ情報を記憶すると判断した場合に、前記嗜好情報を更新することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の車載器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−294890(P2009−294890A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147591(P2008−147591)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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