説明

配信制御装置

【課題】データ配信のスケジュール作成における管理者の負担を軽減することができる配信制御装置20を提供する。
【解決手段】本発明の配信制御装置20は、データの配信時における各配信先までの配信経路の最低利用可能帯域を推定し、推定したそれぞれの最低利用可能帯域で全ての配信先へ配信が終了する予定時刻を推定し、推定した配信終了予定時刻が指定された配信終了時刻を越える場合に、各配信経路に存在する中継装置に指示して帯域を増加させることにより、指定された時刻までに配信を終了するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ配信装置から、指定された宛先へのデータの配信を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、受信装置からデータの送信依頼があった場合に、当該受信装置が接続されている通信回線を使ってデータの送信を既に許可している受信装置の台数が、当該通信回線について予め設定された最大受信装置数以下であれば、送信依頼に応じてデータの送信を開始すると共に、当該送信依頼を行った受信装置が接続されている通信回線を使ってデータの送信を既に許可している受信装置の台数を1増やすことにより、回線の輻輳を防止するデータ配布システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−168007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、業務用ソフトウェアの製造元が当該ソフトウェアのバグを修正するためのファイル等のデータを作成した場合、当該データを、データ配信装置を用いて、ネットワーク経由で多数のコンピュータに配布する場合がある。そのようなデータの配付は、通常の業務に影響が出ないように業務が行われていない夜間等に実施される場合が多い。
【0005】
しかし、配付するデータ量が多かったり、配付先が多い場合には、通常の業務が開始される時間帯までにデータの配付が終了しない場合がある。そのため、管理者は、データの配付先をいくつかのグループに分け、数日間にわたって、業務が行われていない時間帯にデータの配付が終了するようなスケジュールを計画する必要がある。配付先が多くなると、配付ケジュールの作成における管理者の負担が多くなる。
【0006】
上記特許文献1に開示されている技術では、ネットワークの輻輳を防止することは可能であるが、配付対象の個々のデータの配付が終了する時間を考慮していないため、前述のような管理者の負担は解消されない。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、データ配信のスケジュール作成における管理者の負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明では、データの配信時における各配信先までの配信経路の最低利用可能帯域を推定し、推定したそれぞれの最低利用可能帯域で全ての配信先へ配信が終了する予定時刻を推定し、推定した配信終了予定時刻が指定された配信終了時刻を越える場合に、各配信経路に存在する中継装置に指示して帯域を増加させることにより、指定された時刻までに配信を終了するようにする。
【0009】
例えば、本発明の第一の態様は、データ配信装置から、指定された宛先へのデータの配信を制御する配信制御装置であって、
2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持する利用可能帯域情報保持部と、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付部と、
前記配信経路情報に基づいて前記利用可能帯域情報保持部を参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出部と、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出部と、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出部に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記データ配信装置に登録する配信情報登録部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整部によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御部と
を備えることを特徴とする配信制御装置を提供する。
【0010】
また、本発明の第二の態様は、コンピュータを、データ配信装置から、指定された宛先へのデータの配信を制御する配信制御装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付機能、
前記配信経路情報に基づいて、2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からからのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持するデータベースを参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出機能、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出機能、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出機能に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整機能、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記データ配信装置に登録する配信情報登録機能、および
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整機能によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御機能
を実現させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0011】
また、本発明の第三の態様は、指定された宛先へデータを配信するデータ配信装置であって、
2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持する利用可能帯域情報保持部と、
配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を保持する配信データ保持部と、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付部と、
前記配信経路情報に基づいて前記利用可能帯域情報保持部を参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出部と、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出部と、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出部に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記配信データ保持部に登録する配信情報登録部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整部によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御部と、
前記配信データ保持部を参照して、配信開始時刻となった場合に、配信対象のデータを、対象となる宛先へ配信する配信実行部と
を備えることを特徴とするデータ配信装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、データ配信のスケジュール作成における管理者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ配信システム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】中継装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】帯域制御情報保持部42に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図4】データ配信装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】配信情報保持部31に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図6】配信制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】中継装置情報保持部208に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図8】履歴情報保持部203に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図9】利用可能帯域情報保持部202に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図10】利用可能帯域情報作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】配信調整処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】配信情報50の構造の一例を示す図である。
【図13】最低利用可能帯域算出部201によって算出された最低利用可能帯域情報60の構造の一例を示す図である。
【図14】想定帯域調整部204によって帯域が増やされた最低利用可能帯域情報60の構造の一例を示す図である。
【図15】配信制御装置20の機能を実現するコンピュータ70の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【図16】データの配信終了予定時刻を算出する際の最低利用可能帯域を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ配信システム10の構成を示すシステム構成図である。データ配信システム10は、配信制御装置20およびデータ配信装置30を備える。配信制御装置20およびデータ配信装置30は、複数の中継装置40を有する通信ネットワークに接続されている。
【0016】
データ配信装置30は、設定された配信開始時間から順次、設定された宛先のコンピュータ12毎に、配信対象データを、通信ネットワークを介して配信する。本実施形態においてデータ配信装置30は、1つのコンピュータ12へのデータの配信が終了した場合に、順次、次のコンピュータ12へデータを配信する。
【0017】
配信制御装置20は、各中継装置40から、使用されている通信帯域の情報を定期的に収集して、隣接する中継装置40間において時間帯毎に利用可能な通信帯域の統計値を算出して保持する。また、配信制御装置20は、配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報を含む配信情報を、データの配信を管理する管理者11から受け付ける。配信経路情報とは、例えば、データ配信装置30から宛先のコンピュータ12までの配信経路に含まれる1つ以上の中継装置40の装置IDである。
【0018】
そして、配信制御装置20は、予め算出しておいた、隣接する中継装置40間において時間帯毎に利用可能な通信帯域の統計値を用いて、宛先毎の配信経路における最低利用可能帯域を算出する。そして、配信制御装置20は、算出したそれぞれの最低利用可能帯域を用いてそれぞれの宛先への配信の終了予定時刻を順次算出する。そして、配信制御装置20は、最後の宛先への配信が終了する時刻が、指定された配信終了時刻を越える場合に、各配信経路に存在する中継装置40に指示して帯域を増加させることにより、指定された時刻までに配信を終了させるようにする。
【0019】
図2は、中継装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。中継装置40は、ルーティングテーブル41、帯域制御情報保持部42、帯域制御情報変更部43、中継処理部44、および通信トラフィック計測部45を有する。本実施形態において、中継装置40は、例えばルータである。
【0020】
ルーティングテーブル41は、データの中継先を示す情報を保持する。ルーティングテーブル41の内容は、一般的なルータが有する情報と同様であるため、詳細な説明は省略する。帯域制御情報保持部42は、例えば、図3に示すように、アプリケーション種別420に対応付けて、当該アプリケーション種別420における通信に許容されている通信帯域の最大値を示す帯域制御情報421を保持する。本実施形態において、データ配信装置30は、FTP(File Transfer Protocol)を用いてデータを配信する。そのため、図3に例示された帯域制御情報保持部42を有する中継装置40では、データ配信装置30からのデータ配信に使用可能な通信帯域の最大値は10Mbpsである。
【0021】
中継処理部44は、各アプリケーションの通信に関し、帯域制御情報保持部42に規定されている値以下の通信帯域内で、他の中継装置40またはコンピュータ12から受信したデータを、そのデータの宛先に応じてルーティングテーブル41に登録された転送先へ転送する。また、中継処理部44は、データ配信装置30と帯域制御情報変更部43および通信トラフィック計測部45との通信を中継する。
【0022】
帯域制御情報変更部43は、データ配信に使用可能な通信帯域の増加量、および、その増加量を適用する時間帯を示す情報を含む帯域制御指示を、中継処理部44を介して配信制御装置20から受信する。そして、帯域制御情報変更部43は、中継装置40に内蔵されている時計を参照して、帯域制御指示に含まれている時間帯になった場合に、帯域制御情報保持部42において、データ配信装置30からのデータ配信に使用可能な通信帯域の最大値(FTPの帯域制御情報)を、帯域制御指示に含まれている増加量分増加させる。
【0023】
そして、帯域制御情報変更部43は、通信帯域の最大値を増加させた分、他のアプリケーション種別(例えばHTTP)に対応付けられている通信帯域の最大値を減少させる。そして、帯域制御情報変更部43は、中継装置40に内蔵されている時計を参照して、帯域制御指示に含まれている時間帯を過ぎた場合に、帯域制御情報保持部42内の設定値を元に戻す。
【0024】
通信トラフィック計測部45は、中継処理部44で転送されているデータに関し、データ配信装置30によるデータ配信で使用されるアプリケーション(例えばFTP)について使用中の帯域を測定する。そして、通信トラフィック計測部45は、例えば10分間の測定値を平均して、10分毎に、平均した測定値、当該帯域を用いた通信の送信元の中継装置40の(すなわち自身の)IPアドレス、および当該帯域を用いた通信の送信先の中継装置40のIPアドレスを含む使用帯域通知を作成してデータ配信装置30へ送信する。
【0025】
図4は、データ配信装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。データ配信装置30は、配信情報保持部31、配信実行部32、および配信情報登録部33を有する。
【0026】
配信情報保持部31は、例えば図5に示すように、配信の順番310に対応付けて、宛先311、当該宛先311へ配信する配信データ312、および、配信を開始する時刻である配信開始時刻313を保持する。配信データ312は、配信対象のデータ本体である必要はなく、データが格納されている外部のサーバの格納場所を示す情報(例えばURL等)であってもよい。
【0027】
配信実行部32は、データ配信装置30に内蔵されている時計を参照して、配信情報保持部31内の配信開始時刻になった場合に、1番目の宛先から順次、対応する配信データを中継装置40を介して配信する。配信情報登録部33は、中継装置40を介して、順番が対応付けられた宛先および配信データと共に、配信開始時刻を受信した場合に、受信したこれらの情報を配信情報保持部31に登録する。
【0028】
図6は、配信制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。配信制御装置20は、配信情報受付部200、最低利用可能帯域算出部201、利用可能帯域情報保持部202、履歴情報保持部203、想定帯域調整部204、終了予定時刻算出部205、帯域制御部206、配信情報登録部207、中継装置情報保持部208、および利用可能帯域情報算出部209を有する。
【0029】
中継装置情報保持部208は、例えば図7に示すように、それぞれの中継装置40を識別する装置ID2080に対応付けて、当該中継装置40のIPアドレス2081、当該中継装置40が転送するデータの送信先の中継装置40を識別する送信先装置ID2082、および、装置ID2080に対応する中継装置40が送信先装置ID2082に対応する中継装置40へデータを送信する際に使用する送信ポートにおいて、データ配信装置30によるデータ配信に使用可能な通信帯域の最大値(FTPの帯域制御情報)を示す割当帯域2083を保持する。
【0030】
なお、送信先装置ID2082の欄に登録されているIDは、装置ID2080の欄にも登録されているものとする。そのため、中継装置情報保持部208を参照することによってIPアドレスから中継装置40の装置IDを特定することができる。中継装置40とコンピュータ12中継装置情報保持部208内のデータは、データ配信システム10の管理者等によって予め設定される。
【0031】
履歴情報保持部203は、例えば図8に示すように、装置ID2030毎にテーブル2031を保持する。それぞれのテーブル2031には、送信先装置ID2032毎にテーブル2033が格納されている。それぞれのテーブル2033には、時間帯2034毎に、装置ID2030に対応する中継装置40から送信先装置ID2032に対応する中継装置40への、データ配信装置30によるデータ配信に使用可能な通信帯域の値が、算出された順番に格納されている。
【0032】
図8の例において、各時間帯は、1日を1時間毎に区切ったものである。また、利用可能帯域の履歴に登録されているデータは、各時間帯において、左側のデータほど新しく、右側のデータほど古い。本実施形態において、履歴情報保持部203は、利用可能帯域の履歴として、各時間帯毎に例えば1000個のデータを保持する。
【0033】
利用可能帯域情報保持部202は、例えば図9に示すように、装置ID2020および送信先装置ID2021の組み合わせに対応付けて、時間帯毎の利用可能帯域2022を保持する。
【0034】
次に、図10および図11を用いて、配信制御装置20の動作について説明する。図10は、配信制御装置20による利用可能帯域情報作成処理の一例を示すフローチャートである。使用帯域通知を中継装置40から受信した場合に、配信制御装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0035】
まず、利用可能帯域情報算出部209は、受信した使用帯域通知に含まれている送信元の中継装置40のIPアドレスに対応する装置IDおよび送信先の中継装置40のIPアドレスに対応する装置IDを中継装置情報保持部208からそれぞれ抽出する。そして、利用可能帯域情報算出部209は、中継装置情報保持部208を参照して、送信元の中継装置40に対応する装置IDに対応付けられている送信先装置IDの中から、送信先の中継装置40に対応する装置IDと同一のIDを特定する(S100)。
【0036】
次に、利用可能帯域情報算出部209は、特定した送信先装置IDに対応付けられている割当帯域を示す情報を中継装置情報保持部208から抽出し、抽出した割当帯域から、受信した使用帯域通知に含まれている使用帯域を引いて利用可能帯域を算出する(S101)。
【0037】
次に、利用可能帯域情報算出部209は、受信した使用帯域通知に含まれているIPアドレスの組み合わせで特定される、装置IDおよび送信先装置IDの組み合わせに対応する履歴情報保持部203内のテーブル2033(図8)を参照して、現在時刻が含まれる時間帯に対応付けて、既に所定数(例えば1000個)の利用可能帯域の履歴が登録されているか否かを判定する(S102)。
【0038】
現在時刻が含まれる時間帯に対応付けて、既に所定数の利用可能帯域の履歴が登録されている場合(S102:Yes)、利用可能帯域情報算出部209は、最も古い履歴のデータ(図8の例では最も右側にあるデータ)を削除する。そして、利用可能帯域情報算出部209は、それぞれの履歴のデータを1つ右にずらし、ステップS101で算出した利用可能帯域のデータを最新のデータとして最も左側に格納し(S103)、ステップS105に示す処理を実行する。
【0039】
現在時刻が含まれる時間帯に対応付けて登録されている利用可能帯域の履歴の数が、所定数に満たない場合(S102:No)、利用可能帯域情報算出部209は、それぞれの履歴のデータを1つ右にずらし、ステップS101で算出した利用可能帯域のデータを最新のデータとして最も左側に格納する(S104)。
【0040】
次に、利用可能帯域情報算出部209は、履歴情報保持部203を参照して、受信した使用帯域通知に含まれているIPアドレスの組み合わせで特定される、装置IDおよび送信先装置IDの組み合わせに対応するテーブルを参照して、ステップS103またはS104で履歴のデータが格納された時間帯の履歴のデータを平均して利用可能帯域を算出する(S105)。
【0041】
次に、利用可能帯域情報算出部209は、利用可能帯域情報保持部202を参照して、受信した使用帯域通知に含まれているIPアドレスの組み合わせで特定される、装置IDおよび送信先装置IDの組み合わせに対応付けられている利用可能帯域の中で、現在時刻が含まれる利用可能帯域を、ステップS105で算出した利用可能帯域で更新し(S106)、配信制御装置20は、本フローチャートに示した利用可能帯域情報作成処理を終了する。
【0042】
なお、図10に示した例では、利用可能帯域情報算出部209は、中継装置40から使用帯域通知を受信するたびに利用可能帯域情報保持部202内の利用可能帯域を更新するが、他の例として、利用可能帯域情報算出部209は、中継装置40から使用帯域通知を受信するたびに履歴情報保持部203内の履歴を更新し、現在時刻が含まれる時間帯が変わった場合に、前の時間帯の利用可能帯域を履歴情報保持部203内の履歴を用いて算出して更新するようにしてもよい。
【0043】
図11は、配信制御装置20による配信調整処理の一例を示すフローチャートである。配信情報受付部200が管理者11から配信情報を受け付けた場合に、配信制御装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0044】
まず、配信情報受付部200は、受け付けた配信情報を最低利用可能帯域算出部201へ渡す。配信情報は、例えば図12に示すような構造である。配信情報50には、配信開始時刻51、配信終了時刻52、宛先53、配信データ54、および配信経路情報55が含まれる。配信経路情報55には、データ配信装置30から宛先のコンピュータ12までの配信経路において、データ配信装置30から配信されたデータが通過する順に中継装置40の装置IDが格納されている。
【0045】
図12に示した配信経路情報の例では、左側に格納された装置IDに対応する中継装置40ほどデータ配信装置30から配信されたデータが先に通過し、右側に格納された装置IDに対応する中継装置40ほどデータ配信装置30から配信されたデータが後に通過する。配信経路情報55を参照することにより、所定の宛先にデータを配信する場合に、配信経路上において、どの中継装置40からどの中継装置40へ向けてデータが送信されるかを特定することができる。なお、配信データ54は、配信対象のデータ本体である必要はなく、データが格納されている外部のサーバの格納場所を示す情報(例えばURL等)であってもよい。
【0046】
図11に戻って説明を続ける。最低利用可能帯域算出部201は、配信情報に含まれているそれぞれの宛先について、配信経路情報に含まれる装置ID毎に、右隣に格納されている装置IDへの経路における時間帯毎の利用可能帯域を利用可能帯域情報保持部202から抽出する。そして、最低利用可能帯域算出部201は、配信情報に含まれているそれぞれの宛先について、配信経路情報に含まれる装置ID毎に抽出した時間帯毎の利用可能帯域の中で時間帯毎の最低の帯域を、その宛先にデータを配信する際のボトルネックである最低利用可能帯域として抽出する(S200)。
【0047】
ステップS200において算出された最低利用可能帯域を図示すると例えば図13のようになる。図13に示すように、最低利用可能帯域算出部201は、ステップS200において、宛先61毎に、時間帯毎の最低利用可能帯域62を算出し、算出した最低利用可能帯域を含む最低利用可能帯域情報60を、配信情報受付部200から受け取った配信情報と共に終了予定時刻算出部205へ送る。
【0048】
次に、終了予定時刻算出部205は、変数である配信終了予定時刻に、配信情報に含まれている配信開始時刻をセットする(S201)。そして、終了予定時刻算出部205は、最低利用可能帯域情報60の中で未選択の宛先のそれぞれについて、配信終了予定時刻が含まれる時間帯における最低利用可能帯域を抽出し(S202)、抽出した最低利用可能帯域の中で、最大の帯域に対応する宛先を1つ選択する(S203)。このとき、終了予定時刻算出部205は、選択した順番を宛先に対応付けて記憶する。
【0049】
次に、終了予定時刻算出部205は、選択した宛先に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先への配信対象のデータの転送時間を算出し、配信終了予定時刻に現在セットされている時刻から、算出した転送時間が経過した時刻を、配信終了予定時刻にセットする(S204)。そして、終了予定時刻算出部205は、最低利用可能帯域情報60に格納されている全ての宛先を選択したか否かを判定する(S205)。最低利用可能帯域情報60内に未選択の宛先が存在する場合(S205:No)、終了予定時刻算出部205は、再びステップS202に示した処理を実行する。
【0050】
最低利用可能帯域情報60に格納されている全ての宛先を選択した場合(S205:Yes)、終了予定時刻算出部205は、最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも後の時刻か否かを判定する(S206)。最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも前の時刻である場合(S206:No)、即ち、配信情報で指定された配信終了時刻までに全ての宛先への配信が終了する場合、終了予定時刻算出部205は、宛先毎の選択順番を示す情報と共に、配信情報を配信情報登録部207に送る。
【0051】
次に、配信情報登録部207は、宛先毎の選択順番を配信順番として、配信情報に含まれる宛先に対応付け、配信順番が対応付けられた配信情報を、中継装置40を介してデータ配信装置30へ送信し(S207)、配信制御装置20は、本フローチャートに示す動作を終了する。
【0052】
一方、最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも後の時刻である場合(S206:Yes)、即ち、配信情報で指定された配信終了時刻までに全ての宛先への配信が終了しない場合、終了予定時刻算出部205は、その旨を想定帯域調整部204に通知する。想定帯域調整部204は、図11のフローチャートが開始してから終了予定時刻算出部205に指示した通信帯域の増加量の累積値(本フローチャートがスタートしたときに0にリセットされる)に、予め定められた量(例えば1kbps)の通信帯域を加算し、加算した累積値を、通信帯域の増加量として終了予定時刻算出部205に指示する。
【0053】
終了予定時刻算出部205は、想定帯域調整部204から指示された通信帯域の増加量を、図13に示した最低利用可能帯域情報60における全ての宛先の全ての時間帯における最低利用可能帯域に加算する(S208)。例えば1kbpsの帯域が加算された最低利用可能帯域情報60は、例えば図14のようになる。終了予定時刻算出部205は、帯域が加算された最低利用可能帯域情報60を用いて、ステップS201からS205に示した処理を再度実行する(S209)。
【0054】
次に、終了予定時刻算出部205は、ステップS209において最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも後の時刻か否かを判定する(S210)。ステップS209において最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも後の時刻である場合(S210:Yes)、終了予定時刻算出部205は、その旨を想定帯域調整部204に通知し、想定帯域調整部204は、通信帯域の増加量の累積値を更新して、通信帯域の増加量を終了予定時刻算出部205に指示し、終了予定時刻算出部205は、再びステップS208に示した処理を実行する。
【0055】
一方、ステップS209において最後にセットされた配信終了予定時刻が、最低利用可能帯域算出部201から受け取った配信情報に含まれている配信終了時刻よりも前の時刻である場合(S210:No)、終了予定時刻算出部205は、宛先毎の選択順番を示す情報と共に、配信情報を想定帯域調整部204および配信情報登録部207に送る。そして、配信情報登録部207は、宛先毎の選択順番を配信順番として、配信情報に含まれる宛先に対応付け、配信順番が対応付けられた配信情報を、中継装置40を介してデータ配信装置30へ送信する(S211)。
【0056】
次に、想定帯域調整部204は、通信帯域の増加量の累積値を、終了予定時刻算出部205から受け取った配信情報と共に帯域制御部206に送る。帯域制御部206は、想定帯域調整部204から受け取った配信情報に含まれている配信開始時刻および配信終了時刻と、想定帯域調整部204から受け取った通信帯域の増加量の累積値とを含む帯域制御指示を作成する。そして、帯域制御部206は、配信情報中の配信経路情報に含まれているそれぞれの装置IDに対応する中継装置40のIPアドレスを中継装置情報保持部208から抽出する。そして、帯域制御部206は、作成した帯域制御指示をそれぞれの中継装置40へ送信し(S212)、配信制御装置20は、本フローチャートに示した配信調整処理を終了する。
【0057】
図15は、配信制御装置20の機能を実現するコンピュータ70の構成の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ70は、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、ROM(Read Only Memory)73、HDD(Hard Disk Drive)74、通信インターフェイス(I/F)75、入出力インターフェイス(I/F)76、およびメディアインターフェイス(I/F)77を備える。
【0058】
CPU71は、ROM73またはHDD74に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM73は、コンピュータ70の起動時にCPU71によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ70のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0059】
HDD74は、CPU71によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス75は、中継装置40を介して他の機器からデータを受信してCPU71へ送ると共に、CPU71が生成したデータを、中継装置40を介して他の機器へ送信する。
【0060】
CPU71は、入出力インターフェイス76を介して、キーボードやマウス等の入力装置やディスプレイ等の出力装置を制御し、入出力インターフェイス76を介して入力装置からデータを取得したり、生成したデータを入出力インターフェイス76を介して出力装置へ出力する。
【0061】
メディアインターフェイス77は、記録媒体78に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM72を介してCPU71に提供する。CPU71は、当該プログラムを、メディアインターフェイス77を介して記録媒体78からRAM72上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体78は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0062】
コンピュータ70のCPU71は、RAM72上にロードされたプログラムを実行することにより、配信情報受付部200、最低利用可能帯域算出部201、利用可能帯域情報保持部202、履歴情報保持部203、想定帯域調整部204、終了予定時刻算出部205、帯域制御部206、配信情報登録部207、中継装置情報保持部208、および利用可能帯域情報算出部209の各機能を実現する。HDD74には、利用可能帯域情報保持部202、履歴情報保持部203、および中継装置情報保持部208内のデータが格納される。
【0063】
コンピュータ70のCPU71は、これらのプログラムを、記録媒体78から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、中継装置40を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0065】
上記説明から明らかなように、本実施形態の配信制御装置20によれば、データ配信のスケジュール作成における管理者の負担を軽減することができる。
【0066】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記した実施形態において、各宛先について配信終了予定時刻を算出する場合、終了予定時刻算出部205は、前回選択した宛先について算出された配信終了予定時刻が含まれる時間帯の最低利用可能帯域を用いて当該宛先へ配信対象のデータの転送時間を算出するが、本発明はこれに限られない。
【0068】
例えば、図16に示すように、終了予定時刻算出部205は、k番目のAk宛のデータの配信終了予定時刻を算出する場合、図16の(1)の区間についてはk−1番目のAk-1宛のデータの配信終了予定時刻が含まれる時間帯の最低利用可能帯域(図16の例では3Mbps)を用いてAkへの配信対象のデータの転送時間を算出する。また、終了予定時刻算出部205は、図16の(2)の区間については次の時間帯の最低利用可能帯域(図16の例では4Mbps)を用いてAkへの配信対象のデータの転送時間を算出するようにしてもよい。これにより、終了予定時刻算出部205は、より精度よくデータの転送時間を見積もることができる。
【0069】
また、上記した実施形態では、配信制御装置20およびデータ配信装置30を別個の装置を例に説明したが、本発明はこれに限られず、データ配信装置30内に配信制御装置20の機能を組み込んで、配信制御装置20およびデータ配信装置30を1台の装置として実現するようにしてもよい。また、配信制御装置20の機能を中継装置40等の他の装置に組み込んでもよい。また、配信制御装置20の機能を2台以上のコンピュータに分散させて、これらのコンピュータをネットワークを介して協調動作させることにより、配信制御装置20の機能を実現させてもよい。
【0070】
また、上記した実施形態では、1日で終了するデータの配信計画を例に説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、配信開始日時および配信終了日時が配信情報に含まれていてもよい。この場合、配信制御装置20は、配信開始日時から配信終了日時までの1日以上の期間において、配信開始時刻および配信終了時刻で規定される時間帯においてデータの配信が可能か否かを、その時間帯の最低利用可能帯域を用いて判定するようにしてもよい。
【0071】
また、上記した実施形態では、データの配信が配信終了時刻までに完了しなかった場合に、配信経路上の中継装置40にデータ配信のための帯域を増加させるが、本発明はこれに限られず、データの配信が配信終了時刻までに完了するまで、配信開始時刻を所定時間(例えば10分ずつ)前倒しするようにしてもよい。
【0072】
ただし、配信開始時刻を前倒しすることによってデータの配信が配信終了時刻までに完了するようになった場合、実際に配信が開始される時刻は、管理者11から当初に指示された配信開始時刻とは異なるため、配信制御装置20は、変更された配信開始時刻を管理者11に提示し、管理者11から許可を得た場合に限り、変更した配信開始時間で配信を開始するようにデータ配信装置30に指示するようにすることが好ましい。
【0073】
また、上記した実施形態において、データ配信用の帯域を増加させることでデータの配信を予定通り完了させる場合、帯域制御部206は、配信経路上の全ての中継装置40に、配信開始時刻から配信終了時刻までの全ての時間帯において、データ通信用の帯域の増加を指示するが、本発明はこれに限られない。
【0074】
例えば、終了予定時刻算出部205は、それぞれの宛先について最後にデータの配信完了予定時刻を算出した際に、それぞれの宛先毎に、データの配信時間帯を記憶し、帯域制御部206は、それぞれの中継装置40に、データ配信装置30から配信されるデータが通過する時間帯に限り、データ通信用の帯域の増加を指示するようにしてもよい。これにより、他の通信に与える影響を低く抑えることができる。
【0075】
また、上記した実施形態における各構成要素は、配信制御装置20の構成の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて機能別に区分したものである。そのため、構成要素の区分方法やその名称によって、本願発明が制限されることはない。また、上記した実施形態に係る配信制御装置20の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に区分することもできるし、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように区分することもできる。
【符号の説明】
【0076】
10・・・データ配信システム、11・・・管理者、12・・・コンピュータ、13・・・ネットワーク、20・・・配信制御装置、200・・・配信情報受付部、201・・・最低利用可能帯域算出部、202・・・利用可能帯域情報保持部、203・・・履歴情報保持部、204・・・想定帯域調整部、205・・・終了予定時刻算出部、206・・・帯域制御部、207・・・配信情報登録部、208・・・中継装置情報保持部、209・・・利用可能帯域情報算出部、30・・・データ配信装置、31・・・配信情報保持部、32・・・配信実行部、33・・・配信情報登録部、40・・・中継装置、41・・・ルーティングテーブル、42・・・帯域制御情報保持部、43・・・帯域制御情報変更部、44・・・中継処理部、45・・・通信トラフィック計測部、50・・・配信情報、51・・・配信開始時刻、52・・・配信終了時刻、53・・・宛先、54・・・配信データ、55・・・配信経路情報、60・・・最低利用可能帯域情報、61・・・宛先、62・・・最低利用可能帯域、70・・・コンピュータ、71・・・CPU、72・・・RAM、73・・・ROM、74・・・HDD、75・・・通信インターフェイス、76・・・入出力インターフェイス、77・・・メディアインターフェイス、78・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ配信装置から、指定された宛先へのデータの配信を制御する配信制御装置であって、
2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持する利用可能帯域情報保持部と、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付部と、
前記配信経路情報に基づいて前記利用可能帯域情報保持部を参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出部と、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出部と、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出部に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記データ配信装置に登録する配信情報登録部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整部によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御部と
を備えることを特徴とする配信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配信制御装置であって、
前記終了予定時刻算出部は、
それぞれの宛先について、最初に配信する場合には、配信対象のデータのデータ量を、配信開始時刻が含まれる時間帯の最低利用可能帯域で割って配信時間を算出し、2番目以降に配信する場合には、前回の宛先への配信終了予定時刻が含まれる時間帯の最低利用可能帯域で割って配信時間を算出し、配信時間が短い宛先から順に配信終了予定時刻を算出することを特徴とする配信制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配信制御装置であって、
前記利用可能帯域情報保持部は、
2つの中継装置の装置IDに対応付けて、1日の中の所定の時間帯毎に利用可能帯域を保持し、
前記配信情報に含まれる配信開始時刻および配信終了時刻には日時が指定され、
前記配信情報には、配信時間帯がされに含まれ、
前記終了予定時刻算出部は、
それぞれの宛先について、配信開始時刻として指定された日時から、配信終了時刻として指定された日時までの間において、配信時間帯に含まれる時間帯における最低利用可能帯域を用いて配信終了予定時刻を算出することを特徴とする配信制御装置。
【請求項4】
コンピュータを、データ配信装置から、指定された宛先へのデータの配信を制御する配信制御装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付機能、
前記配信経路情報に基づいて、2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からからのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持するデータベースを参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出機能、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出機能、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出機能に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整機能、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記データ配信装置に登録する配信情報登録機能、および
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付機能が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整機能によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御機能
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
指定された宛先へデータを配信するデータ配信装置であって、
2つの中継装置のそれぞれを識別する装置IDに対応付けて、当該2つの中継装置間において、前記データ配信装置からのデータの配信に利用可能な通信帯域を時間帯毎に保持する利用可能帯域情報保持部と、
配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を保持する配信データ保持部と、
配信開始時刻、配信終了時刻、配信対象のデータ、当該データの宛先、および、当該宛先毎の配信経路情報であって、前記データ配信装置から当該宛先の機器までの配信経路に含まれる中継装置の装置IDを示す配信経路情報を含む配信情報を受け付ける配信情報受付部と、
前記配信経路情報に基づいて前記利用可能帯域情報保持部を参照し、時間帯毎の最低利用可能帯域を、それぞれの宛先に対応する配信経路毎に算出する最低利用可能帯域算出部と、
ある宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻を算出し、次の宛先の機器に対応する最低利用可能帯域を用いて、前回算出した配信終了予定時刻から当該宛先の機器へデータを配信した場合の配信終了予定時刻をさらに算出する処理を、配信開始時刻を基準として全ての宛先について繰り返すことにより、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を算出する終了予定時刻算出部と、
最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも後の時刻である場合に、当該配信終了予定時刻を算出する際に用いられた、それぞれの宛先に対応する配信経路毎の最低利用可能帯域に予め定められた帯域を加算し、前記終了予定時刻算出部に、予め定められた帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて、最後の宛先へのデータの配信が終了する配信終了予定時刻を再度算出させる想定帯域調整部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻、配信対象のデータ、および、それぞれの配信対象のデータの宛先を前記配信データ保持部に登録する配信情報登録部と、
帯域が加算された最低利用可能帯域を用いて算出された、最後の宛先の配信終了予定時刻が、前記配信情報受付部が受け付けた配信終了時刻よりも前の時刻である場合に、配信開始時刻から配信終了予定時刻までの間の利用可能帯域を前記想定帯域調整部によって加算された帯域分増加させるように、宛先毎の配信経路に含まれる中継装置に指示する帯域制御部と、
前記配信データ保持部を参照して、配信開始時刻となった場合に、配信対象のデータを、対象となる宛先へ配信する配信実行部と
を備えることを特徴とするデータ配信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−35614(P2011−35614A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179246(P2009−179246)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】