説明

配備するための力が減少された送達装置

【課題】配備するための力が減少された送達装置を提供する。
【解決手段】この装置は、2つの層を伴う外側シースを有しており、これら2つの層は、ステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置、を配備するために必要な配備力を減少させるように、互いに対して相対的に移動する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願に対するクロスリファレンス〕
本願は、2004年7月28日に出願された米国仮特許出願第60/591,950号の恩典を主張している。
【0002】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は送達装置に関連しており、特に、自己配備式内腔内装置(self-deploying intraluminal devices)のための、配備するための力が減少された送達装置に関連している。
【0003】
2.関連技術の検討
動脈瘤は、通常において全身系的なコラーゲン合成、または構造的な欠陥により生じる、動脈壁部における1層以上の層の異常な拡張である。腹部大動脈瘤は、通常において2個の腸骨動脈の一方または両方の中、またはその近くにおいて、あるいは、腎動脈の近くにおいて存在する、大動脈の腹部における動脈瘤である。この動脈瘤は、例えば、腎臓の下方における病気の大動脈の腎下部の中に生じる場合が多い。また、胸部大動脈瘤は大動脈の胸部の中における動脈瘤である。これらは治療せずに放置すると、その動脈瘤が破裂して、通常、急速で致命的な出血を生じる。
【0004】
動脈瘤は、それらの位置および一群の動脈瘤の数により、分類または類別できる。一般的に、腹部大動脈瘤は5種類の型に分類できる。I型の動脈瘤は、腎動脈と腸骨動脈との間に存在する、単一の拡張部分である。一般的に、I型の動脈瘤においては、その大動脈は腎動脈とその動脈瘤との間およびその動脈瘤と腸骨動脈との間において健康である。
【0005】
IIA型の動脈瘤は腎動脈と腸骨動脈との間に存在する単一の拡張部分である。このIIA型の動脈瘤においては、その大動脈は腎動脈とその動脈瘤との間において健康であるが、その動脈瘤と腸骨動脈との間において健康ではない。換言すれば、この拡張部分は大動脈の分枝部分にまで延在している。また、IIB型の動脈瘤は3個の拡張部分を含む。これらの内の1個の拡張部分は腎動脈と腸骨動脈との間に存在している。前記IIA型の動脈瘤と同様に、大動脈はその動脈瘤と腎動脈との間において健康であるが、その動脈瘤と腸骨動脈との間において健康ではない。他の2個の拡張部分は大動脈の分枝部分と外腸骨と内腸骨との間の分枝部分との間における腸骨動脈の中に存在している。この場合に、これらの腸骨動脈はその腸骨の分枝部分と動脈瘤との間において健康である。IIC型の動脈瘤もまた3個の拡張部分を含む。しかしながら、このIIC型の動脈瘤においては、腸骨動脈の中の拡張部分はその腸骨分枝部分にまで延在している。
【0006】
III型の動脈瘤は腎動脈と腸骨動脈との間において存在する単一の拡張部分である。このIII型の動脈瘤においては、その大動脈は腎動脈とその動脈瘤との間において健康ではない。換言すれば、この拡張部分は腎動脈にまで延在している。
【0007】
破裂した腹部大動脈瘤は、現在、米国において、13番目に多い死因である。腹部大動脈瘤の通常の管理は外科バイパス術であり、その関連の部分または拡張した部分の中へのグラフトの配置を伴う。経腹膜的または腹膜後的な方式における合成グラフトによる切除が標準的な治療法であったが、この方法は相当な危険性を伴う。例えば、合併症として、手術時の心筋虚血、腎不全、勃起不能、腸虚血、感染、下肢虚血、麻痺を伴う脊髄損傷、大動脈−腸管瘻(aorta-enteric fistula)、および死亡が含まれる。腹部大動脈瘤の外科的治療は無症候性の患者において5%、症候性の患者において16%〜19%という全体的な死亡率を伴い、破裂した腹部大動脈瘤を伴う患者においては50%程度という高い死亡率である。
【0008】
従来の外科手術に伴う不都合な点は、その死亡率の高さに加えて、大手術による切開部分および腹腔の開口部に伴う延長された回復期間、大動脈に対するグラフトの縫合における困難さ、グラフトを支持して補強する既存の血栓部分の喪失、腹部大動脈瘤を有する多くの患者における手術の不適当さ、および動脈の破裂後の緊急状態における手術の実施に付随する問題を含む。さらに、一般的な回復期間は、病院内における1〜2週間、および、合併症がその後に生じた場合には、2〜3ヶ月またはそれ以上の、家庭における回復期間である。腹部大動脈瘤を有する多くの患者は、これらの患者の多くが比較的に高齢であると言う事実に加えて、別の慢性疾患、例えば、心疾患、肺疾患、肝疾患および/または腎疾患を有しているので、これらの患者は手術の理想的な候補者とは言えない。
【0009】
動脈瘤の発生は腹部領域には限定されない。腹部大動脈瘤は一般に最もよく知られているが、大動脈における別の領域内またはその分枝部分の1つにおける動脈瘤も有りうる。例えば、動脈瘤は胸部大動脈の中に生じる場合がある。腹部大動脈瘤の場合と同様に、胸部大動脈の中の動脈瘤の治療に対して広く受け入れられている方法は、プロテーゼ装置によるその動脈瘤部分の置換を含む手術による、修復である。このような手術は、前述したように、付随の高い危険性、ならびに相当な死亡率および罹患率を伴う大がかりな作業である。
【0010】
過去5年間にわたり、動脈瘤、特に、腹部大動脈瘤の治療のために、比較的低侵襲性の、血管内用の、例えば、カテーテルに関連する技法の開発に関心が向けられた多くの研究が行なわれている。この技法は様々な血管ステントの開発により容易化されており、これらの血管ステントはステントグラフトまたは体内グラフト(endograft)を形成するための標準的な薄壁型のグラフト材料と共に使用可能であり、このようなグラフト材料と共に用いられている。比較的低侵襲性の治療の潜在的な利点は、手術による罹患率および死亡率が減少すると共に、病院および集中治療室における滞在期間が短くなることを含む。
【0011】
ステントグラフトまたは体内プロテーゼは、現在において、米国食品医薬品局(FDA)により認可されており、市販されている。この送達方法は、一般的に、総大腿動脈または上腕動脈等のような遠隔の動脈の外科的切開部分を介して得られる血管の接近部分を通して行なわれる高度な血管造影技法、を含む。この場合に、適当な寸法の導入装置をガイドワイヤ上に配置する。その後、カテーテルおよびガイドワイヤを動脈瘤の中に挿通し、この導入装置の中を通してステントグラフトが適当な位置まで前進させる。このステントグラフト装置の一般的な配備は、このステントグラフトの位置を内部安定化装置により維持した状態で、外部シースを後退させる必要がある。大抵のステントグラフトは自己拡張型であるが、さらに別の血管形成方法、例えば、バルーン式血管形成術もステントグラフトの位置を固定するために必要とされる場合がある。このようなステントグラフトの配置後に、標準的な血管造影図を得ることができる。
【0012】
一般的に、6.37mm(20フレンチ(3フレンチ(F)=1mm))よりも大きい、前記の装置の大きな直径により、動脈切開部分の閉鎖は開口式の外科的修復(open surgical repair)を必要とする。さらに、一部の方法は動脈瘤を適切に治療するため、または、両方の下肢に対する血流を維持するために、下腹動脈塞栓形成(hypogastric artery embolization)、血管結紮、または外科的バイパス術等のような、付加的な外科技法を必要とする場合がある。これと同様に、一部の方法において、動脈瘤を有効に排除すると共にその漏れを効率的に管理するために、血管形成術、ステントの配備、および塞栓形成等のような、さらに別の高度なカテーテルによる技法が必要になる。
【0013】
前記の体内プロテーゼは従来の外科技法に優るかなりの改善を示しているが、変化する生物学的な諸条件に対応してこれらの体内プロテーゼ、その使用方法および適用性を改善する必要性がある。したがって、腹部大動脈瘤および胸部大動脈瘤を含む動脈瘤を治療するための安全で効果的な別の手段を提供するために、現在において知られている体内プロテーゼ、およびこれらの体内プロテーゼの送達システムに伴う多数の問題を解決する必要がある。これらの体内プロテーゼの使用に伴う一例の問題は、体内漏れ(endo-leaks)の防止、および血管における通常の流体力学による破裂である。いずれの技法を採用している装置も必要に応じて位置決めおよび再位置決めすることが簡単であることが当然に好ましく、急速な液密シールを形成することも当然に好ましく、さらに、動脈瘤のある血管および分枝している各血管の両方における通常の血流に対して影響することなく移動を防止するように固定できることが当然に好ましい。加えて、前記の技法を採用している装置は、分枝状の血管、曲がりくねっている血管、急な角度の血管、部分的に罹患した血管、石灰化している血管、異形の血管、短い血管、および長い血管の中において、固定、密封、および維持できることが当然に好ましい。さらに、これらのことを達成するために、前記の体内プロテーゼは、短時間で備えられて長期間にわたる液密シール(acute and long-term fluid tight seals)と固定の位置とを維持すると共に、耐久性が高く、伸長可能であり、かつ、再構成可能であることが当然に好ましい。
【0014】
今日の市場は、およそ6.37cm(20フレンチ)の装置により占められていて、開放性の外科的介入の必要性を実質的に排除する、カテーテル、ガイドワイヤ、および付属装置を利用する外科的な切開法に対する要求、をさらに強く求めている。しかしながら、このような切開法は、多くの場合に開放性の外科的介入に伴う急性の合併症、を著しく減少させるが、その最終的な目的および市場における傾向は、送達システムの形状を減少させること、および、切開処置に対する必要性を排除する、セルディンガー(Seldinger)技法による等の、体内プロテーゼを経皮的に送達させる処置を行なうことが可能になることである。
【0015】
送達システムの相当量の低度の形状(significantly lower profile)を達成するために、前記の内腔内装置は、一般的に、より堅くクリンプされ、このことは、そのシースにおける応力を増大させる傾向がある。それゆえ、体内プロテーゼおよび/または送達システムに対する損傷の危険性を減少させるために、配備するための力(すなわち、配備力)を最小化するための何らかの方法を見出す必要がある。
【0016】
〔発明の概要〕
本明細書において記載されている様々な実施形態の配備力が減少された送達装置は、現在において利用されている装置に伴う制約を解消することを目的としており、この場合に、本明細書において言及されているように、近位側(proximial)は、オペレータ側の方向または位置、を示し、遠位側(distal)は、オペレータから離れる方向または位置、を示している。
【0017】
一例の実施形態によれば、前記の配備力が減少された送達装置は、目的とされる血管または解剖学的な通路に、内腔内装置を送達する。この送達装置は、近位側の領域および遠位側の領域を有する内側管、を備えており、この内側管の遠位側の領域は、ステント、ステントグラフトまたはその他の内腔内装置等のような、内腔内装置、を受容するように構成されている。さらに、近位端部および遠位端部を有するシースが、前記内側管の少なくとも一部分の周りに、同心状に配置されている。このシースの遠位端部は、前記内腔内装置を少なくとも部分的に被覆している内側層、および、外側層、を有している。この外側層の近位端部は前記シースの遠位端部に連結されており、これらの内側層および外側層は、それぞれの遠位端部において、互いに連結されており、これらの間において相対的な移動を行なうように構成されている。この様式において、内側層が完全に反転されるまで前記シースが後退すると、この内側層は、ステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置から離れるように剥がされ、その後に、その内側層の残りの部分が、そのステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置の配備を達成するために、従来の様式で後退する。
【0018】
また、別の実施形態において、前記の配備力が減少された送達装置は、目的とされる血管または解剖学的な通路に内腔内装置を送達し、この場合に、この送達装置は、近位側の領域および遠位側の領域を有する内側管、を備えている。この内側管の遠位側の領域は、ステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置等のような、内腔内装置、を受容するように構成されている。近位端部および遠位端部を有するシースが、前記内側管の少なくとも一部分の周りに、同心状に配置されている。このシースの遠位端部は外側層を有しており、この外側層の近位端部は、前に記載されている実施形態におけるのと同様に、シースの遠位端部に連結されている。同様に、この外側層は、前に記載されている実施形態におけるのと同様に、内側層に連結されている。しかしながら、この場合の内側層は、ステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置の内腔の遠位端部を越えて、その内側層の遠位端部部分まで、そのステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置の内腔を通して、そのステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置の近位端部の周りに巻き付くように、そのステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置の一部分に沿って進行する。その後、その内側層は、前記送達装置の内側管の遠位側の先端部分(distal tip)に連結するために進行する前に、そのステント、ステントグラフト、または内腔内装置の遠位側の部分に沿って、近位側にわずかに戻る。この様式で、そのステント、ステントグラフト、または内腔内装置の近位端部は、シースの継続された後退により、その内腔内装置の遠位端部よりも前に配備されることができる。
【0019】
本明細書において記載されている実施形態のいずれにおいても、前記内側層および外側層の移動をさらに容易にするために、その内側層と外側層との間に、潤滑性の材料を備えることも可能である。同様に、いずれの実施形態における内側層も、その遠位端部において比較的に大きくなるように、その近位端部からその遠位端部まで、テーパー状になっていてよいが、この内側層は一定の寸法であってもよい。
【0020】
本発明の前記の特徴および利点、ならびに、その他の特徴および利点は、以下の添付の図面において示されているような本発明の好ましい実施形態のさらに詳細な説明により、明らかになるであろう。
【0021】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
拡張可能なステントおよび/またはステントグラフトを含む様々な体内プロテーゼ組立体が、動脈瘤の修復等のような、血管形成処理およびその他の医療処置に関連して使用するために、提案および開発されている。このような体内プロテーゼ組立体は、一般に、治療部位まで、カテーテルにより誘導されて、遮断されているか、狭くなっている部分を開口することにより解剖学的な通路の円滑な開通性を回復させるためか、グラフトされたステントの場合に、血管または胆管の中などの開口部、または動脈瘤への血流を排除するために、そのステントおよび/またはステントグラフトが拡張される。ステントは、一般的に、形状が円筒形であり、拡張可能な開口状のフレームを含む。このステントおよび/またはステントグラフトは、一般的に、それ自体で拡張するか(自己拡張型ステント)、あるいは、バルーンカテーテル等により、そのステントのフレームの内表面部に外側に向いた半径方向の力が加えられる時に拡張する。このステント、またはステントグラフトの配備は、以下において詳述されている様式と実質的に同一である。
【0022】
したがって、曲がりくねった通路を通り抜けることができ、その通路の中に、ステント、ステントグラフトまたは内腔内装置、が食い込むことを防ぎ、医者が、そのステント、ステントグラフト、または内腔内装置を、標的領域の中に、比較的に容易に、かつ正確に配備することを可能にする、自己拡張型のステント、ステントグラフト、または内腔内装置、の送達システムに対する要望が存在している。
【0023】
例えば、血管等の通路の開通性を維持または回復するために、その血管等の中への血管内の植え込み(ebovascular implantation)を行なうためのステントが、冠動脈バイパス形成中における治療部位の外科的な露出に伴う侵襲性を最少にするために、経皮的に配備されている。この経皮的な配備は、患者の血管系の中に到る、一般的に大腿動脈の中に到る、切開により、開始される。次に、導入装置の管状またはシースの部分が、その切開部分を通して、挿入されて、その動脈の中に延びる。この導入装置は、中央内腔部を有しており、この内腔部は、患者の皮膚および動脈壁部を通りその動脈の内部に到る通路、を形成する。さらに、前記シースの外側に沿って動脈から血液が漏れ出ることを防ぐために、その導入装置の外側にテーパー状になっているハブ部分が患者の体外に保持されている。この導入装置の内腔部は、その導入装置の通路を通る動脈からの血液の流れを遮断するための弁、を含む。その後、ガイドワイヤの遠位端部が前記導入装置の通路を通り、患者の血管の中に挿通される。このガイドワイヤは、その挿入されている遠位端部が治療部位をわずかに越えて延在するまでその血管の中に通される。一方、このガイドワイヤの近位端部は、前記導入装置から外側に延出している。
【0024】
血管内の配備において、ステントは、無拡張状態、または圧縮された形態で、バルーンカテーテルの収縮されたバルーン部分の上に、クリンプされる。このバルーン部分は、通常において、バルーンカテーテルの遠位端部の近くに配置されている。このカテーテルは、その全体の長さにわたって延在している中央内腔部、を有している。次に、このバルーンカテーテルの遠位端部は前記ガイドワイヤの近位端部の上に通される。その後、このカテーテルの遠位端部は前記導入装置の内腔部の中に挿入されて、そのカテーテルは、そのステントが治療部位に到達するまで、ガイドワイヤに沿って押し出される。さらに、この治療部位において、前記バルーンが膨張することにより、ステントが半径方向に拡張して、拡張状態の形態をとる。前記ステントが血管壁部の一部分を補強するために用いられる場合に、このステントは、その外径が治療部位における血管の内径よりも約10%〜20%だけ大きくなって、そのステントと血管の間に、締り嵌めの状態が効果的に生じるように、拡張して、ステントの移動を防止する。その後、バルーンが収縮して、バルーンカテーテルが患者の身体から抜き取られる。ガイドワイヤが同様に除去され、最後に、導入装置が動脈から除去される。
【0025】
一般的に用いられているステントの一例が、1985年11月7日にパルマズ(Palmaz)により出願された米国特許第4,733,665号において、記載されている。これらのステントはバルーン拡張可能型ステントと称される場合が多い。一般的に、このステントはステンレス鋼の中実の管から作成されている。その後、一連の切断部分がそのステントの壁部に作成される。このステントはバルーンカテーテルの上にクリンプされることにより、そのステントが人間の血管の中を通して送達されることを可能にする、第1の比較的に小さな直径、を有する。このステントはまた、第2の、すなわち拡張された直径も有している。この拡張された直径は、その管状の形状の部材の内部に配置されているバルーンカテーテルによる、半径方向に外側に向いた力の供給により、達成される。
【0026】
しかしながら、前記のような「バルーン拡張可能型の(balloon expandable)」ステントは頸動脈等の表存性の動脈のような一部の血管における使用において実用的でないことが多い。この頸動脈は人体の外部から容易に接触可能である。このような頸動脈の中に配置されている、ステンレス鋼等により作製されているバルーン拡張可能型のステントを伴う患者は、日々の活動を通して深刻な傷害を受ける可能性が高い。例えば、転倒等により、このような患者の頸部に十分な力が働くと、ステントが崩壊して、その患者に傷害が生じる可能性がある。そこで、このような事態を防ぐために、自己拡張式のステントが、前記のような血管内において使用するために、これまでに提案されている。これらの自己拡張式のステントはばねのように動作し、つぶされた後にそれぞれの拡張した、または植え込まれる形態に復帰する。
【0027】
前記自己拡張型ステントの一種が米国特許第4,665,771号において開示されている。この開示されているステントは、所定の直径を伴う、半径方向および軸方向に柔軟な、弾性で管状の本体部分を有しており、この直径は、本体部分の両端部の相対的な軸方向の移動において、可変であり、その本体部分は、半径方向に自己拡張性の螺旋構造を画定している、複数の個々に剛性であるが柔軟で弾性の糸状の要素により、構成されている。この種のステントは、当業界において「編組型ステント(braided stent)」として知られており、本明細書においてそのように示されている。体内血管の中におけるこのようなステントの配置は、その遠位端部において、そのステントを保持するための外側のカテーテル、および、そのステントを配置した後にこれを前方に押し出す内側のピストン、を備えている装置により、達成できる。
【0028】
また、別の種類の自己拡張型のステントはニチノール(Ni−Ti合金)等のような、合金を使用しており、これらの合金は患者の体内に挿入するように設計されている医療装置において、形状記憶および/または超弾性の特性を有する。これらの形状記憶特性は、前記の装置が変形して、身体の内腔(lumen)または空洞(cavity)の中にこれらを挿入した後に、その体内において、加熱されて、その装置がその元の形状に戻ることを可能にする。一方、超弾性特性は、一般に、金属を変形させて、その変形した状態に拘束することにより、その金属を含む医療装置の、患者の体内への挿入を容易にすることを可能にし、このような変形は相転移を生じる。その後、身体の内腔の中に入ると、前記の超弾性部材における拘束が解除され、これにより、その内部における応力が減少して、その超弾性部材はその元の相に戻る転移により、その元の変形されていない形状に戻ることができる。
【0029】
前記の形状記憶/超弾性の特性を有する合金は一般に少なくとも2つの相を有している。これらの相は、比較的に低い引張強度を有しており、比較的に低い温度で安定であるマルテンサイト相、および、比較的に高い引張強度を有しており、マルテンサイト相よりも高い温度において安定であるオーステナイト相である。
【0030】
ニチノール等のような金属の試料に応力を加えると、そのオーステナイト相が安定である温度よりも高い温度(すなわち、マルテンサイト相からオーステナイト相への変換が完全になる温度)において超弾性の特性が示され、その試料は、この試料が特定の応力レベルに到達するまで弾性的に変形し、この応力レベルにおいて、その合金はその後にオーステナイト相からマルテンサイト相への応力誘導型の相変換を生じる。このような相変換の進行に伴って、前記の合金はひずみの相当な増加を生じるが、これに対応する応力の増加はほとんど、または全く伴わない。このひずみは増大するが、応力は、前記のオーステナイト相からマルテンサイト相への変換が完全になるまで実質的に一定である。その後、さらに変形を生じるために応力のさらなる増加が必要になる。この結果、このマルテンサイト相の金属は、追加の応力の供給時に弾性的に変形した後に、その永久的な残留変形により可塑的に変形する。
【0031】
前記の試料における負荷を何らかの永久的な変形が生じる前に除去すれば、そのマルテンサイト相の試料は弾性的に回復してオーステナイト相に変換して戻る。この応力の減少は、最初にひずみにおける減少を生じる。この応力の減少が前記のマルテンサイト相がオーステナイト相に変換して戻るレベルに到達すると、その試料における応力のレベルは、オーステナイト相に戻る変換が完全になるまで実質的に一定に保たれる(しかしながら、前記のオーステナイト相がマルテンサイト相に変換する応力レベルより実質的に低い)。すなわち、対応する応力の無視できる程度の減少のみを伴う、ひずみの著しい回復がある。その後、オーステナイト相に戻る変換が完了すると、その後の応力の減少は弾性的なひずみの減少を生じる。このような、負荷の供給時の比較的に一定の応力における相当量のひずみを受けて、その負荷の除去時における変形から復帰する能力は、一般的に超弾性または擬似弾性と称される。このような材料の特性は、管切出型の自己拡張型ステント(tube cut self-expanding stents)の製造において、その材料を有用にしている。従来技術は、患者の体内に挿入するか、または別の方法で使用することを目的としている、様々な医療装置において超弾性の特性を有する金属合金の使用を参考にしている。例えば、ジャービス(Jervis)に発行されている米国特許第4,665,905号、およびサカモト(Sakamoto)他に発行されている米国特許第4,925,445号を参照されたい。
【0032】
自己拡張型のステントを送達するための送達システムの設計は困難であることが示されている。従来技術の自己拡張型ステント送達システムの一例がギアンツルコ(Gianturco)に発行されている米国特許第4,580,568号において示されている。この特許は、カテーテル等のような中空のシースを使用する送達装置を開示している。このシースは体内の血管の中に挿入されて、その遠位端部が標的部位の近くになるように、その血管の中に通される。その後、ステントが比較的に小さな直径に圧縮されて、そのシースの近位端部からそのシースの中に装填される。そのシースの内径にほとんど等しい直径を有する円筒形で平坦な端部プッシャーがステントの後ろからシースの中に挿入される。その後、このプッシャーは、シースの近位端部から遠位端部まで、前記ステントを押し動かすために用いられる。その後、このステントがシースの遠位端部に到達すると、そのシースが引き戻されて、プッシャーが静止したままに維持され、これにより、ステントが露出してその血管の中に拡張することが可能になる。
【0033】
しかしながら、前記ステントをカテーテルの全長を通して送達することは、その移動中の血管またはステントに対する可能な損傷を含む、多くの問題を生じる可能性がある。加えて、カテーテルの中を進行するために十分な柔軟さと共に、カテーテルからステントを押し出すために十分な剛性を有するプッシャーを設計することが困難である場合が多い。このため、ステントをカテーテルの遠位端部の中に予め装填した後に、そのカテーテルを、血管を通して、標的部位に送達することが比較的に優れた方法になりうることが確定されている。カテーテルの中におけるステントの適当な配置を確実にするために、ステントがその製造場所において予め装填されることが好ましい場合が多い。しかしながら、このことを除いて、それ自体が幾つかの問題を示している。例えば、カテーテルは自己拡張型のステントに相当な力を及ぼして拡張しないように保持するので、そのステントはそのカテーテルの壁部の中に食い込みやすくなる。この状況が生じると、そのカテーテルは送達中にステント上をスライドすることが困難になる。この状況は、ステントがカテーテルの内側に突き刺さる状態を生じるか、または、送達中にそのステントを損傷する可能性がある。
【0034】
従来技術の自己拡張型ステント送達システムの別の例が、ウォールステン(Wallsten)他に発行されている米国特許第4,732,152号において記載されている。この特許は、自己拡張型ステントが遠位端部の中に予め装填されているプローブ、またはカテーテルを開示している。このステントは、柔軟なホースの中にまず配置された後に、カテーテルの中に装填される前に圧縮される。このステントが送達部位に到達すると、カテーテルおよびホースがステント上を後退して、そのステントが血管の中に拡張できる。しかしながら、拡張中に柔軟なホースをステント上を後退させる処理は、そのステントを損傷する可能性もある。
【0035】
したがって、曲がりくねった通路を進行することができ、その通路の中に、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置が食い込むことを防止し、医者が、そのステント、ステントグラフト、または内腔内装置を標的領域の中に比較的に容易に、かつ正確に配備することを可能にする、自己拡張型のステント、ステントグラフト、または内腔内装置の送達システムに対する要望が存在している。
【0036】
図1および図2は、内腔内装置の配備の様々な段階における、従来の内腔内装置の送達システム10の部分的な概略図を示している。例えば、図1は、内側管12と外側シース14とにより一般に構成されているシステム10、を示している。この内側管12はガイドワイヤ内腔部(guidewaire lumen)を含んでおり、この内腔部を通して、ガイドワイヤ(図示せず)が、標的部位に進行するように、配備される。ステント、またはその他の内腔内装置は、標的とされた部位に到達するまで、シース14の中の内側管12の遠位端部の上に、位置決めされている。その後、図2において示されているように、シース14は、ステント、またはその他の内腔内装置を配備するために、後退する。図2において、ステント、またはその他の内腔内装置20は、例えば、部分的に配備されている状態で、示されている。その後、このステント、またはその他の内腔内装置20が、シースの継続された後退により、遠位側から近位側まで完全に配備されると、前記配備システム10を構成している部品も後退する。
【0037】
図3および図4において、本発明による送達装置の代替の実施形態が示されている。説明を簡単にするために、装置の遠位側の領域のみが示されており、その近位側の領域は従来の送達装置と実質的に同じであると考えることができる。この図3および図4の本発明の配備力が減少された送達装置100は、内側管すなわちシャフト102と外側のシース104とを有している。この内側管すなわちシャフト102はガイドワイヤ内腔部を含む。ステント、ステントグラフト、またはその他の内腔内装置200は、内側管またはシャフト102の遠位端部の上に位置決めされて、内側層106の少なくとも一部分、外側層108、外側シース104、またはこれらの何らかの組み合わせにより、その位置が保持されている。この外側シース104の遠位端部は、外側層108の近位端部に連結されており、この外側層108は、その遠位端部で、コネクタ110を介して内側層106に連結している。この実施形態において、コネクタ110は、内側層106と外側層108との間の単純に折り込まれた領域である。しかしながら、このコネクタ110は、以下において詳述されているように、内側層106と外側層108との間の相対的な移動を可能にするための任意の適当な装置を含んでいてよい。コネクタ110は、同一または非同一の材料により構成されている内側層106と外側層108とを連結する、例えば、結合された領域(bonded region)、であってもよい。あるいは、外側シース104は、前記外側層を構成し、かつ、コネクタ110を介して内側層106に連結するように、遠位側に向かって延びることも可能である。前記内側管すなわちシャフト102、および外側シース104は、送達カテーテルに利用されている任意の適当な生体適合性の材料を含むことができる。例えば、内側シャフト(inner shaft)102は、高密度ポリエチレンを含むことができ、外側シース104は、編組状のナイロン(Nylon)(登録商標)を含むことができる。前記の内側層および外側層は、任意の適当な材料を含むことができるが、好ましくは、織り状のダクロン(Dacron)(登録商標)、織り状のダイニーマHDPE(woven Dyneema HDPE)、ePTFE、またはこれらの何らかの組み合わせ等のような、極めて柔軟であるが強度のある材料を含む。しかしながら、当業者が容易に理解するように、これらの内側層および外側層は、本明細書において具体的に明らかにされている材料とは別の材料を含んでいてよい。また、潤滑性の材料を、前記内側層と外側層との間の相対的な移動を補助するために、これらの内側層と外側層との間に供給してもよい。内側層は一定の寸法であってもよく、または、その遠位端部でさらに大きな寸法になるように、遠位側に向かってテーパー状になっていてもよい。
【0038】
操作において、医者は外側シース104を後退させて、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置200を配備する。この外側シース104の後退時に、このシース104は外側層108を引っ張り、この外側層108は、さらに、内側層106を反転させて、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置200を露出させる。図4において示されているように、内側層106が完全に反転されると、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置200の残りの部分は通常の様式で配備される。
【0039】
図5および図6は、遠位側の棘部(distal barbs)を有する腹部大動脈瘤修復用のステントグラフト装置において適用できると考えられるステント、ステントグラフト、または内腔内装置200の最も遠位側の部分が最後に配備されることを可能にする、配備力が減少された配給装置300の別の代替の実施形態、を示している。この実施形態においても、前と同様に、第1の外側層108の近位端部はシース104の遠位端部に連結されており、この第1の外側層108の遠位端部は内側層106に連結されている。しかしながら、この実施形態においては、内側層106は、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置200の近位端部の周りに巻き付いて、その内側層106の遠位端部部分107までこの装置200の内腔を通して、進行している。この内側層106の遠位端部部分107は、次に、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置200の遠位側部分(distal portion)に沿って近位側に進み、内側管102の遠位側先端部分(distal tip)112に取り付けられる前に、第2の外側層109になっている。このような様式で、前記のステント、ステントグラフトまたは内腔内装置200は、第1の外側層108を後退させ、これに続いて、内側層106およびその遠位端部部分107、および第2の外側層109を後退させ、シース104を継続して後退させることにより、配備される。すなわち、内側層106の遠位端部部分107が、シース104の継続的な後退等により、まっすぐになるまで、前記のステント、またはステントグラフトの遠位端部は、図6において示されているように、非拡張状態に留まる。当然ながら、外側シース104は第1の外側層部分を有していてよく、前記コネクタ110を介して、内側層106に連結することも可能である。
【0040】
前記の実施形態のそれぞれにおいて、前記内側層は、一定であってもよく、この内側層の遠位端部よりもこの内側層の近位端部で、より大きくなるように、遠位側に向かってテーパー状であってもよく、または、この内側層の近位端部とこの内側層の遠位端部との間で可変にテーパー状であってもよく、このようにテーパー状にすることにより、ステント、ステントグラフト、または内腔内装置の、さらに円滑で容易な配備を可能にすることができる。加えて、前記のステント、ステントグラフト、または内腔内装置の配備も向上させるために、前記内側層および外側層の少なくとも一方を潤滑性の材料により被覆してもよい。さらに、各実施形態における内側層および外側層は、本明細書において明らかにされているように、同類の材料により構成されていてよいが、当業者は、同様の品質および特性である別の材料もまた、本明細書において明らかにされている材料とは別に使用可能であることを容易に理解するであろう。
【0041】
前記において図示および説明されている内容は、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられる事例であるが、これらの説明され、図示されている具体的な設計、および方法からの発展形が、当業者には自然に想到され、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用可能であることは明らかである。すなわち、本発明は、前記において説明され、図示されている特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれると考えられる全ての変更例に対して一貫するように構成されるべきである。
【0042】
〔実施の態様〕
(1)内腔内装置のための、配備するための力が減少された送達装置において、
近位側の領域、および遠位側の領域、を有する内側管であって、前記遠位側の領域は、内腔内装置を受容するように構成されている、内側管と、
近位端部、および遠位端部を有し、前記内側管の少なくとも一部分の周りに同心状に配置されている、シースであって、前記遠位端部は、前記内腔内装置を少なくとも部分的に被覆している内側層にさらに連結されている外側層を備え、前記外側層の近位端部が、前記シースの遠位端部に連結されており、これにより、前記内側層と前記外側層との間の相対的な移動が、前記内腔内装置を配備する、シースと、
を備えている、送達装置。
(2)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層と前記外側層との間に設けられた、潤滑性の被膜、
をさらに備えている、送達装置。
(3)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層は、前記内側層の近位端部でより大きくなるように、前記内側層の近位端部から前記内側層の遠位端部までテーパー状になっている、送達装置。
(4)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダクロン(Dacron)により構成されている、送達装置。
(5)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダイニーマHDPE(woven Dyneema HDPE)により構成されている、送達装置。
【0043】
(6)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、ePTFEにより構成されている、送達装置。
(7)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダクロン(Dacron)と織り状のダイニーマ(Dyneema)との組み合わせにより構成される、送達装置。
(8)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
(9)実施態様1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、これらの層の間の結合された領域により連結されている、送達装置。
(10)実施態様1に記載の送達装置において、
前記外側シースは、前記外側層を構成するように遠位側に向かって延びており、かつ、コネクタを介して前記内側層に連結している、送達装置。
【0044】
(11)内腔内装置のための、配備するための力が減少された送達装置において、
近位側の領域、および遠位側の領域、を有する内側管であって、前記遠位側の領域は、内部を通る内腔を有する内腔内装置を受容するように構成される、内側管と、
近位端部、および遠位端部、を有するシースと、
近位端部、および遠位端部、を有する第1の外側層であって、前記第1の外側層の前記近位端部は、前記シースの前記遠位端部に連結されている、第1の外側層と、
近位端部、および遠位端部、を有する第2の外側層と、
内側層であって、前記内腔内装置の内腔を通してこの内側層の遠位端部部分まで進行する、前記第1の外側層の前記遠位端部に連結されており、前記内側層の前記遠位端部部分は、さらに進行して前記第2の外側層になり、この第2の外側層の遠位端部は、前記内側管の前記遠位側の領域に連結している、内側層と、
を備えている、送達装置。
(12)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層と前記第1の外側層部分との間、および、前記内側層の遠位端部部分と前記第2の外側層部分との間に設けられた、潤滑性の被膜、
をさらに備えている、送達装置。
(13)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層は、この内側層の近位端部でより大きくなるように、テーパー状になっている、送達装置。
(14)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層は、この内側層の近位端部とこの内側層の遠位端部との間において、可変にテーパー状になっている、送達装置。
(15)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダクロン(Dacron)により構成されている、送達装置。
【0045】
(16)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダイニーマHDPE(woven Dyneema HDPE)により構成されている、送達装置。
(17)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、ePTFEにより構成されている、送達装置。
(18)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダクロン(Dacron)と織り状のダイニーマHDPE(woven Dyneema HDPE)との組み合わせにより、構成されている、送達装置。
(19)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第1の外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
(20)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第2の外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
【0046】
(21)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第1の外側層は、これらの層の間の結合された領域により連結されている、送達装置。
(22)実施態様11に記載の送達装置において、
前記内側層の遠位端部部分および前記第2の外側層は、この内側層の遠位端部部分とこの第2の外側層との間の結合された領域により連結されている、送達装置。
(23)実施態様11に記載の送達装置において、
前記シースは、前記第1の外側層を構成するように遠位側に向かって延びており、かつ、コネクタを介して前記内側層に連結している、送達装置。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の配備力の送達システムの概略図である。
【図2】内腔内装置が部分的に配備されている状態の、従来の配備力の送達システムの概略図である。
【図3】本発明による、低配備力の送達システムの、代替の実施形態の概略図である。
【図4】内腔内装置が本発明にしたがって部分的に配備されている状態の、図3の配備力の送達システムの、代替の実施形態の概略図である。
【図5】本発明による、別の代替の低配備力の送達システムの概略図である。
【図6】内腔内装置が本発明にしたがって部分的に配備されている状態の、図5の配備力の送達システムの、代替の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔内装置のための、配備するための力が減少された送達装置において、
近位側の領域、および遠位側の領域、を有する内側管であって、前記遠位側の領域は、内腔内装置を受容するように構成されている、内側管と、
近位端部、および遠位端部を有し、前記内側管の少なくとも一部分の周りに同心状に配置されている、シースであって、前記遠位端部は、前記内腔内装置を少なくとも部分的に被覆している内側層にさらに連結されている外側層を備え、前記外側層の近位端部が、前記シースの遠位端部に連結されており、これにより、前記内側層と前記外側層との間の相対的な移動が、前記内腔内装置を配備する、シースと、
を備えている、送達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層と前記外側層との間に設けられた、潤滑性の被膜、
をさらに備えている、送達装置。
【請求項3】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層は、前記内側層の近位端部でより大きくなるように、前記内側層の近位端部から前記内側層の遠位端部までテーパー状になっている、送達装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダクロンにより構成されている、送達装置。
【請求項5】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダイニーマHDPEにより構成されている、送達装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、ePTFEにより構成されている、送達装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、織り状のダクロンと織り状のダイニーマとの組み合わせにより構成されている、送達装置。
【請求項8】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
【請求項9】
請求項1に記載の送達装置において、
前記内側層および前記外側層は、これらの層の間の結合された領域により連結されている、送達装置。
【請求項10】
請求項1に記載の送達装置において、
前記外側シースは、前記外側層を構成するように遠位側に向かって延びており、かつ、コネクタを介して前記内側層に連結している、送達装置。
【請求項11】
内腔内装置のための、配備するための力が減少された送達装置において、
近位側の領域、および遠位側の領域、を有する内側管であって、前記遠位側の領域は、内部を通る内腔を有する内腔内装置を受容するように構成されている、内側管と、
近位端部、および遠位端部、を有するシースと、
近位端部、および遠位端部、を有する第1の外側層であって、前記第1の外側層の前記近位端部は、前記シースの前記遠位端部に連結されている、第1の外側層と、
近位端部、および遠位端部、を有する第2の外側層と、
内側層であって、前記内腔内装置の内腔を通してこの内側層の遠位端部部分まで進行する、前記第1の外側層の前記遠位端部に連結されており、前記内側層の前記遠位端部部分は、さらに進行して前記第2の外側層になり、この第2の外側層の遠位端部は、前記内側管の前記遠位側の領域に連結している、内側層と、
を備えている、送達装置。
【請求項12】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層と前記第1の外側層部分との間、および、前記内側層の遠位端部部分と前記第2の外側層部分との間に設けられた、潤滑性の被膜、
をさらに備えている、送達装置。
【請求項13】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層は、この内側層の近位端部でより大きくなるように、テーパー状になっている、送達装置。
【請求項14】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層は、この内側層の近位端部とこの内側層の遠位端部との間において、可変にテーパー状になっている、送達装置。
【請求項15】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダクロンにより構成されている、送達装置。
【請求項16】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダイニーマHDPEにより構成されている、送達装置。
【請求項17】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、ePTFEにより構成されている、送達装置。
【請求項18】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層、この内側層の遠位端部部分、前記第1の外側層、および、前記第2の外側層は、織り状のダクロンと織り状のダイニーマHDPEとの組み合わせにより、構成されている、送達装置。
【請求項19】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第1の外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
【請求項20】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第2の外側層は、これらの層の間の折り込まれた領域により連結されている、送達装置。
【請求項21】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層および前記第1の外側層は、これらの層の間の結合された領域により連結されている、送達装置。
【請求項22】
請求項11に記載の送達装置において、
前記内側層の遠位端部部分および前記第2の外側層は、この内側層の遠位端部部分とこの第2の外側層との間の結合された領域により連結されている、送達装置。
【請求項23】
請求項11に記載の送達装置において、
前記シースは、前記第1の外側層を構成するように遠位側に向かって延びており、かつ、コネクタを介して前記内側層に連結している、送達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−508048(P2008−508048A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523772(P2007−523772)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026650
【国際公開番号】WO2006/015049
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】