説明

配列ヘッド

【課題】繊維束断面が扁平な状態で巻かれたボビンから供給される繊維束を、扁平の程度が小さくなるのを従来よりも抑制した状態で配列することができる配列ヘッドを提供する。
【解決手段】配列ヘッド11は棒状に形成されるとともに、繊維束を案内する案内孔12は、断面形状が扁平で、かつ配列ヘッド11の基端から先端まで延びるように形成されている。配列ヘッド11は、長手方向と直交する断面における形状が円形で、案内孔12が扁平な矩形状に形成されている。配列ヘッド11は、案内孔12の扁平な側と垂直の方向から見た場合、先端に円弧状突出部11aを備えている。配列ヘッド11は外径が一定で、案内孔12の断面積は先端部及び基端部を除いて一定に形成されている。配列ヘッド11は、案内孔12の扁平な側が互いに分かれる状態に2分割する平面に対して対称に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配列ヘッドに係り、詳しくは所定ピッチでピンが配置された繊維束被配列部材上の前記ピンで囲まれた範囲に、繊維束をピンに係合させて折り返すように配列して積層繊維束群(積層糸群)を形成する際に好適に使用される配列ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材は軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化複合材のうち、三次元織物(三次元繊維構造体)を強化材として使用したものは強度が非常に高く、強化繊維として比弾性率が大きく、かつ比強度が大きい炭素繊維を使用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、その優れた性能を生かして航空機の構造材等に使用が考えられ、一部使用されている。このような繊維強化複合材の強化材に使用する三次元繊維構造体の製法として、繊維束(糸)が折り返し状に配列された複数の糸層を積層して少なくとも2軸配向となる積層糸群(積層繊維層)を形成し、その積層糸群を各糸層と直交する方向に配列される厚さ方向糸で結合する製造方法がある。ボビンから供給される繊維束を案内する配列ヘッドとして、従来は案内孔の断面形状が円形のパイプが使用されていた。
【0003】
積層糸群を形成する繊維束は、繊維束断面が扁平な状態で配列されることが、最終的に得られる三次元繊維構造体の物性の点から好ましい。そして、近年、炭素繊維束(炭素繊維糸)として、繊維単糸数(フィラメント数)が3000〜24000本程度で、無撚りの扁平な糸条(繊維束)がボビンに巻かれた状態で市販されている。
【0004】
また、FRP(繊維強化プラスチック)製のパイプを効率よく形成する方法としてフィラメントワインディング法がある。フィラメントワインディング法により強度の大きなFRP製パイプを製造するには、FRP全体の体積に占める繊維の割合(Vf)を高くする必要がある。Vfを高くするには細い繊維を使用して狭いピッチで配列する必要があり、細い繊維を狭いピッチで配列するにはマンドレルの両端に狭いピッチで配置された位置決めピンの間を通過して繊維の配列が可能な繊維供給ヘッドが必要になる。そして、フィラメントワインディングに使用した場合に繊維束又は糸を傷付けずに供給することができ、狭いピッチで配列されたピン間を通して繊維束又は糸を配列できる繊維供給ヘッドが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示された繊維供給ヘッドは、支持筒部と、その先端にベアリングを介して回動可能に支持された案内パイプとを備えている。図5(a),(b)に示すように、案内パイプ31は、円筒状の本体31aの先端部に、その片側に膨出部31bが形成されている。膨出部31bは、案内パイプ31の先端側ほど案内パイプ31の軸と直交する断面積が大きくなるとともに内面が内側に凸の曲面形状に形成されている。膨出部31bは扁平に形成されるとともに、その内面は案内パイプ31の先端における接線が案内パイプ31とほぼ直交する方向に延びるように形成されている。また、図5(b)に示すように、膨出部31bの先端は平らに形成されているため、繊維束が引き出される際に、繊維束断面が扁平な状態で配列され易くなる。
【特許文献1】特開2000−108212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の配列ヘッドは、案内孔の断面形状が円形のパイプで構成されているため、扁平な状態でボビンに巻かれた繊維束が配列ヘッドに供給されても、繊維束が配列ヘッドの案内孔を通過する間に、案内孔の内面に沿って変形して、扁平の程度が小さな状態になる。特許文献1に記載の案内パイプ31は、先端部に膨出部31bが設けられるとともに膨出部31bの先端が平らに形成されているため、案内パイプ31内を移動する間に扁平の程度が小さな状態になった繊維束断面の扁平の程度が、膨出部31bの先端が平らな部分に当たって移動する際に多少回復する。しかし、平らな部分の幅は案内パイプ31の内径より小さく、扁平の程度はボビンに巻かれていた状態より小さな状態となる。
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、繊維束断面が扁平な状態で巻かれたボビンから供給される繊維束を、扁平の程度が小さくなるのを従来よりも抑制した状態で配列することができる配列ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、繊維束をその断面が扁平な状態で配列する配列ヘッドであって、棒状に形成されるとともに、前記繊維束を案内する案内孔は、断面形状が扁平で、かつ断面形状が扁平状態を維持しつつ配列ヘッドの基端から先端まで延びるように形成されている。
【0009】
この発明の配列ヘッドを使用して、扁平な状態でボビンに巻かれた繊維束の配列を行うと、断面円形の案内孔を有する従来の配列ヘッドと異なり、繊維束が配列ヘッドの案内孔を通過する間に、繊維束断面の扁平の程度が小さくなるのが抑制される。従って、繊維束断面が扁平な状態で巻かれたボビンから供給される繊維束を、その扁平の程度が小さくなるのを従来よりも抑制した状態で配列することができる。ここで、「繊維束断面が扁平な状態」とは、糸幅/糸厚み比が2以上を意味し、10〜70であると好ましい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記配列ヘッドは、前記案内孔の扁平な側と垂直な方向から見た場合、先端が円弧状に突出した形状に形成されている。ここで、「案内孔の扁平な側」とは、例えば、案内孔の断面形状が矩形の場合は長辺側を意味し、案内孔の断面形状が楕円の場合は長軸と対向する側を意味する。
【0011】
この発明の配列ヘッドを使用した場合、案内孔に案内されて配列ヘッドの先端部に至った繊維束は、一方の扁平な側全体が、配列ヘッドの円弧状に突出した部分に押圧された状態で移動する。そして、円弧状に突出した部分が繊維束断面を押し拡げる作用を繊維束に与えるため、繊維束断面はより扁平な状態になって配列される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記案内孔の先端周縁部は円弧面に形成されている。この発明では、繊維束として炭素繊維のように毛羽の発生し易い繊維束を使用した場合にも支障なく繊維束を案内することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記配列ヘッドは、前記案内孔の中心を通り、かつ前記案内孔の扁平な側が互いに分かれる状態に2分割する平面に対して対称に形成されている。例えば、案内孔の断面形状が矩形の場合は、二つの短辺の中心を通る平面に対して対称に分割され、案内孔の断面形状が楕円の場合は、長軸を含む平面に対して対称に分割される。この発明では、繊維束をピンに係合させて折り返すように配列する場合、配列ヘッドをピンと対応する位置で90度あるいは180度回動させなくても、円滑に繊維束の配列を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繊維束断面が扁平な状態で巻かれたボビンから供給される繊維束を、扁平の程度が小さくなるのを従来よりも抑制した状態で配列することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、配列ヘッド11は棒状に形成されるとともに、繊維束を案内する案内孔12が扁平な状態で延びるように基端から先端まで形成されている。図1(b)に示すように、配列ヘッド11は、長手方向と直交する断面における形状が円形で、案内孔12が扁平な矩形状に形成されている。図1(a),(c)に示すように、配列ヘッド11は、案内孔12の扁平な側と垂直の方向から見た場合、先端(繊維束の出口側端部)が円弧状に突出した形状に形成されている。即ち、配列ヘッド11は、円弧状突出部11aを備えている。この実施形態では、案内孔12の扁平な側は、矩形の長辺となる。配列ヘッド11は外径が一定で、案内孔12の断面積は先端部及び基端部を除いて一定に形成されている。配列ヘッド11は、案内孔12の中心を通り案内孔12の扁平な側が互いに分かれる状態に2分割する平面、即ち、矩形の二つの短辺の中心を通る平面に対して対称に形成されている。配列ヘッド11は金属製又はセラミック製である。
【0016】
案内孔12は、扁平な矩形の短辺が、例えば、0.5mm程度に形成されている。図1(d)に示すように、配列ヘッド11は、先端部において内面が内側に凸の曲面で形成されている。また、図1(c)に示すように、案内孔12の先端部において、矩形の短辺に対応する部分も内面が内側に凸の曲面で形成されている。即ち、案内孔12の先端周縁部は円弧面に形成されている。
【0017】
次に前記のように構成された配列ヘッド11の作用を説明する。配列ヘッド11は、繊維束配列装置の繊維束配列部に取り付けられて使用される。図2に示すように、繊維束配列装置は、ベース部21、繊維束配列部22を備えている。ベース部21は繊維束被配列部材としての枠体23を支持する。枠体23は長方形状に形成され、ピン24が枠体23の上面に所定ピッチ(例えば、数mmピッチ)で配置されている。各ピン24は、枠体23の上方に向かって垂直に突出するように、枠体23に取外し可能に固定されている。
【0018】
繊維束配列部22は、ベース部21に対してX方向、Y方向及びZ方向に対して相対移動可能に設けられている。この実施形態では、X方向とはベース部21に固定された枠体23の長手方向と平行な方向を意味し、Y方向はベース部21の上面と平行な面内でX方向と直交する方向を意味し、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向を意味する。
【0019】
繊維束配列部22は、上下方向に延びる支持部25を備え、その先端に配列ヘッド11が支持されている。支持部25はX,Y,Z方向へ任意に移動可能、かつ鉛直軸に対して回動可能なロボットアーム26に固定されている。繊維束配列部22には、繊維束Fが扁平な状態で巻かれたボビンを備える繊維束供給部(図示せず)から繊維束Fが供給され、繊維束F(使用する繊維束として、例えば、糸幅は6.5mm、糸厚みは0.15mmで扁平率が43である)は支持部25及び配列ヘッド11を経て配列ヘッド11の先端から扁平な状態で引き出されて配列されるようになっている。
【0020】
繊維束Fの配列に先立って、図示しないボビンから繰り出した繊維束Fを図示しない張力調整装置、ガイド部等を経て支持部25へ導き、配列ヘッド11の案内孔12に挿通して、繊維束Fの端部FEを配列ヘッド11の先端から引き出す。そして、ロボットアーム26を駆動させて配列ヘッド11を枠体23の一隅の配列開始位置に配置し、繊維束Fの先端を枠体23の外側の所定位置に固定する。繊維束Fの固定は例えば図示しない接着テープを使用して行う。この状態からロボットアーム26が駆動され、支持部25が配列面に対して垂直に保持された状態で支持部25が移動される。そして、ボビンから扁平な状態で繰り出された繊維束Fは、張力調整装置で適正な張力が付与された状態で配列ヘッド11から繰り出されて枠体23上のピン24で囲まれた範囲に、ピン24に係合して折り返す状態で配列される。
【0021】
配列ヘッド11が枠体23のX方向における他端側のピン24の外側まで移動された時点でロボットアーム26は一時停止し、次にピン24の1ピッチ分Y方向に移動し、次にX方向の逆方向へ移動して繊維束Fの配列を行う。以下、同様にして、繊維束Fの1層分のX方向への配列が完了した後、Y方向への繊維束Fの配列が行われる。そして、1層分のY方向への繊維束Fの配列が完了した後、X方向及びY方向に対して±45°の角度を成すバイアス方向への繊維束Fの配列が行われる。
【0022】
バイアス方向への繊維束Fの配列を行う場合は、ロボットアーム26が回動されて、案内孔12の扁平側がX方向及びY方向に対して45°の角度を成すように配列ヘッド11が配置される。その状態でロボットアーム26がX方向及びY方向に対して同じ速度で移動され、配列ヘッド11がX方向及びY方向に対して45°の角度で移動されてバイアス方向への繊維束Fの配列が行われる。1層分の45°のバイアス方向への繊維束Fの配列が行われた後、1層分の−45°のバイアス方向への繊維束Fの配列が行われる。
【0023】
以下、同様にしてX方向配列繊維束層、Y方向配列繊維束層及びバイアス方向配列繊維束層が所定数積層されると積層繊維束群の配列が完了する。そして、枠体23が積層繊維束群と共にベース部21から取り外され、公知の方法で結合糸(厚さ方向糸)が挿入されて三次元繊維構造体が形成される。なお、図2においては、配列された繊維束Fを分かり易く表すために隣接する繊維束Fの間に隙間を設けているが、実際は隣接する繊維束Fの端部は重なった状態で配列されている。
【0024】
繊維束Fはその幅がピン24の中心間の距離と同じ状態でボビンに巻かれており、配列ヘッド11は、外径が隣接するピン24間の距離とほぼ同じため、繊維束Fは配列ヘッド11を通過する際に幅が狭くなる。この実施形態の配列ヘッド11では、図3(a)に示すように、案内孔12の断面形状が矩形のため、繊維束Fはその幅が若干狭まった状態で案内孔12を通過して、案内孔12の出口から繰り出されて枠体23上に配列される。配列ヘッド11の先端が平らな場合でも、案内孔12の断面形状が扁平な矩形状であれば、幅が若干狭くなった状態で案内孔12を通過した繊維束Fは、配列ヘッド11の先端から引き出されるとほぼ元の状態に戻る。
【0025】
この実施形態の配列ヘッド11は、先端部に円弧状突出部11aが形成されているため、案内孔12から引き出される繊維束Fが円弧状突出部11aに押圧された状態で引き出されることにより、円弧状突出部11aが繊維束Fの幅を拡げるように作用し、繊維束Fはボビンに巻かれていた時の幅以上の幅で配列される。
【0026】
一方、図3(c)に示すように、従来の配列ヘッドのように案内孔12の断面形状が円形の場合、繊維束Fが案内孔12を構成する配列ヘッド11の内面に沿って中心に寄る状態となり、扁平の程度が小さくなって出口へ向かう。また、配列ヘッド11がピン24と対応する位置で繊維束Fをピン24に係合させて折り返すように移動する際、繊維束Fが案内孔12内で捻れる虞もある。また、案内孔12が扁平であっても、図3(b)に示すように、案内孔12の断面形状が矩形の長辺を内側に凸となるように湾曲させた形状の場合は、繊維束Fが端に寄ってしまう虞がある。
【0027】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)配列ヘッド11は、棒状に形成されるとともに、繊維束Fを案内する案内孔12が扁平な状態で延びるように基端から先端まで形成されている。そして、扁平な状態でボビンに巻かれた繊維束Fを配列ヘッド11に供給して繊維束Fの配列を行うと、断面円形の案内孔を有する従来の配列ヘッドと異なり、繊維束Fが配列ヘッド11の案内孔12を通過する間に、繊維束Fの断面の扁平の程度が小さくなるのが抑制される。従って、繊維束Fの断面が扁平な状態で巻かれたボビンから供給される繊維束Fを、その扁平の程度が小さくなるのを従来よりも抑制した状態で配列することができる。
【0028】
(2)案内孔12の断面形状が扁平な矩形状、即ち断面形状が一対の平行な長辺を有する形状に形成されている。従って、繊維束Fは、平面に沿って移動し、断面形状が扁平であっても円弧を含む形状の場合に比較して、繊維束Fの断面の扁平の程度を小さくせずに、即ち繊維束Fの幅を狭くせずに案内することができる。
【0029】
(3)配列ヘッド11は、案内孔12の扁平な側と垂直な方向から見た場合、先端が円弧状に突出した形状に形成されている。従って、案内孔12に案内されて配列ヘッド11の先端部に至った繊維束Fは、一方の扁平な側全体が、配列ヘッド11の円弧状に突出した部分(円弧状突出部11a)に押圧された状態で移動する。そして、円弧状突出部11aが繊維束Fの断面を押し拡げる作用を繊維束Fに与えるため、繊維束Fはより扁平な状態、即ち幅が拡げられた状態になって配列される。
【0030】
(4)案内孔12の先端周縁部は円弧面に形成されている。従って、繊維束Fとして炭素繊維のように毛羽の発生し易い繊維束Fを使用した場合にも支障なく繊維束Fを案内することができる。また、配列ヘッド11の先端に形成された円弧状突出部11aによる繊維束Fを拡げる作用が円滑に行われる。
【0031】
(5)配列ヘッド11は、案内孔12の中心を通り案内孔12の扁平な側が互いに分かれる状態に2分割する平面に対して対称に形成されている。従って、繊維束Fをピン24に係合させて折り返すように配列する場合、配列ヘッド11をピン24と対応する位置で90度あるいは180度回動させなくても、円滑に繊維束Fの配列を行うことが可能になる。
【0032】
(6)配列ヘッド11は外径が一定で断面円形の棒状に形成されている。従って、配列ヘッド11の外形を案内孔12の形状に対応させて扁平な形状とした場合に比較して、繊維束Fの配列時に配列ヘッド11がピン24に係合した際に、配列ヘッド11が変形し難い。
【0033】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 配列ヘッド11の案内孔12は、断面形状が扁平な矩形状に限らない。例えば、一対の平行な長辺を有する台形状や、あるいは扁平な矩形の長辺が湾曲した形状や楕円状であってもよい。しかし、一対の平行な長辺に代えて、湾曲した長辺を有する形状の場合は、一対の平行な長辺を有する形状の場合に比較して繊維束Fが案内孔12を通過する間に繊維束Fの断面の扁平の程度が小さくなり易いため、配列ヘッド11の先端に円弧状突出部11aを形成するのが好ましい。
【0034】
○ 配列ヘッド11は、案内孔12の断面形状が扁平な形状であればよく、先端に円弧状突出部11aを設けずに、配列ヘッド11の先端を平らな端面にしてもよい。
○ 配列ヘッド11は案内孔12の中心を通る平面に対して対称に形成されていなくてもよい。例えば、円弧状突出部11aを一対設けずに、片側のみ設けてもよい。
【0035】
○ 配列ヘッド11は、図4(a)に示すように、扁平な筒状に形成してもよい。また、図4(b)に示すように、扁平な筒状のパイプ13の外側に樹脂部14を設けて断面形状が円形の棒状に形成してもよい。パイプ13は金属製の方がセラミック製に比べて、破損し難く、容易に製造できる。
【0036】
○ 繊維束配列装置で配列する繊維束Fは炭素繊維に限らず、例えば、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維等の無機繊維やポリアラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の有機繊維を使用してもよい。
【0037】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、配列ヘッドは断面円形の棒状に形成されている。
【0038】
(2)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記案内孔は断面形状が一対の平行な長辺を有する形状である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一実施形態を示し、(a)は配列ヘッドの模式斜視図、(b)は長手方向と直交する面による断面図、(c)は(d)のC−C線における断面図、(d)は配列ヘッドを案内孔の扁平な面と垂直な平面で切断した状態における断面図。
【図2】繊維束の配列状態を示す模式斜視図。
【図3】(a),(b),(c)は配列ヘッドにおける孔の断面形状の違いによる作用を説明する模式断面図。
【図4】(a),(b)は別の実施形態における配列ヘッドの模式断面図。
【図5】(a),(b)は従来技術を示す模式図。
【符号の説明】
【0040】
F…繊維束、11…配列ヘッド、12…案内孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束をその断面が扁平な状態で配列する配列ヘッドであって、棒状に形成されるとともに、前記繊維束を案内する案内孔は、断面形状が扁平で、かつ断面形状が扁平状態を維持しつつ配列ヘッドの基端から先端まで延びるように形成されていることを特徴とする配列ヘッド。
【請求項2】
前記配列ヘッドは、前記案内孔の扁平な側と垂直の方向から見た場合、先端が円弧状に突出した形状に形成されている請求項1に記載の配列ヘッド。
【請求項3】
前記案内孔の先端周縁部は円弧面に形成されている請求項1又は請求項2に記載の配列ヘッド。
【請求項4】
前記配列ヘッドは、前記案内孔の中心を通り、かつ前記案内孔の扁平な側が互いに分かれる状態に2分割する平面に対して対称に形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の配列ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−332484(P2007−332484A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164544(P2006−164544)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】