説明

配向ポリプロピレン用調整剤

ポリプロピレンを含有しかつポリトリメチレンテレフタレートまたはポリメチルペンテンのいずれかを空洞化剤として5重量%から25重量%の量で含有して成る二軸配向フィルム。このフィルムは90%から100%のヘイズ値および10から150の光沢値を示す。このフィルムは食品包装用途および産業用途で使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリプロピレン、より詳細には配向ポリプロピレンフィルムに関する。更により詳細には、本発明は特定の調整剤を配向ポリプロピレンフィルムに関して用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、特にポリプロピレンに二軸配向を受けさせると、ポリオレフィンフィルム業界、例えばスナック食品包装材、タバコオーバーラップ、電子構成品包装、包装用テープおよび収縮フィルムなどで用いられるフィルムがもたらされる。二軸配向フィルムの製造で通常用いられる重合体は高い立体規則性を示すイソタクティックホモ重合体であるが、ある場合には、シンジオタクテック重合体の使用も提案されている。また、イソタクティックポリプロピレンと少量のエチレンの共重合体(ミニランダム共重合体)も適切である。
【0003】
ポリオレフィンフィルムの製造は単に透明フィルムとしてではなくむしろ不透明フィルムとして行われ得る。ある用途では、不透明性がそのような包装用フィルムに好ましい特性である。不透明にすると材料が光による劣化から保護され得る。例えば、包装されている食品は光暴露、特に波長が約450nm以下の光暴露によって引き起こされる劣化を受ける可能性がある。ある度合の不透明度をフィルムに存在させたとしても、そのフィルムが光をあまりにも多量に透過すると損傷が起こる可能性があり、従って、そのような目的に最も好ましいフィルムは不透明度が高いフィルムである。
【0004】
食品包装における主要な最終使用用途はスナック食品包装材、ベーカリー製品、キャンディー包装材、チーズ包装材、コーヒーおよび茶包装材、クラッカーバッグ、ペットフード包装材、パスタ包装材などであった。
【0005】
他の分野は産業用途、例えば感圧テープ、ラベル、キャパシタフィルム、オーディオ/ビデオカセットおよびCDオーバーラップ、ケーブル絶縁材などであった。
【0006】
そのような2つの主要な市場により、不透明フィルムは下記の2つの主要用途で用いられる:キャンディーバーラッパー(食品包装用途)およびラベル(産業用途)。
【0007】
樹脂調整剤を用いてポリプロピレンから不透明なフィルムを製造することが達成できれば、これは好ましいことである。伝統的な空洞化剤以外の材料を用いて不透明なフィルムを得る必要性が存在する。そのような材料にはポリメチルペンテンおよびポリトリメチレンテレフタレートが含まれ得る。
【0008】
要約
1つの態様において、本発明は、ポリプロピレンを含有しかつポリメチルペンテン(PMP)およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)から成る群より選択される空洞化剤を含有して成るフィルムを包含する。
【0009】
別の態様において、本発明のフィルムは二軸配向していてもよい。
【0010】
別の態様では、前記空洞化剤を約5重量%から約25重量%の量で存在させる。
【0011】
別の態様において、本発明のフィルムが示すヘイズ値は約90%から約100%であり
得る。
【0012】
別の態様において、本発明のフィルムが示す光沢値は約10から約150であり得る。
【0013】
別の態様では、本発明のフィルムを成形して製品を生じさせるが、そのような製品には、これらに限定するものでないが、スナック食品包装材、ベーカリー製品、キャンディー包装材、チーズ包装材、コーヒーおよび茶包装材、クラッカーバッグ、ペットフード包装材、パスタ包装材、感圧テープ、ラベル、キャパシタフィルム、オーディオ/ビデオカセットおよびCDオーバーラップおよびケーブル絶縁材が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1に、引き伸ばしを145℃および155℃で受けさせたフィルムが示したWVTRを示す。
【図2】図2に、1%横方向割線係数を示す。
【図3】図3は、引き伸ばしを145℃で受けさせたフィルムの写真である(ADR=5.0x5.0)。
【図4】図4は、引き伸ばしを155℃で受けさせたフィルムの写真である(ADR=5.0x7.5)。
【図5】図5は、配向フィルムの光顕微鏡写真である。
【図6】図6は、配向フィルムのAFM高さ画像である。
【図7】図7は、配向フィルムのAFM位相画像である。
【0015】
詳細な説明
序論および定義
ここに詳細な説明を行う。添付請求項の各々で個別の発明を定義するが、それは、侵害の目的で、本請求項に明記するいろいろな要素または制限の相当物を包含すると理解する。以下に“発明”を言及する場合、その文脈に応じて、ある場合には、それら全部が特定の具体的態様のみを言及するものであり得る。他の場合として、“発明”の言及は、必ずしも全部ではないが本請求項の中の1つ以上に示した主題事項を指すものであると理解する。ここに、本発明の各々を以下により詳細(具体的態様、変形および実施例を包含する)に記述するが、本発明をそのような態様にも変形にも実施例にも限定するものでなく、それらを、本特許に示す情報を入手可能な情報および技術と組み合わせた時に通常の当業者が本発明を製造および使用することができるように含める。
【0016】
本明細書で用いる如きいろいろな用語を以下に示す。ある請求項で用いる用語を以下に定義しない場合、その度合で、関連する技術分野の技術者がその用語に印刷された出版物および発行された特許に示されている如く与えた最も幅広い定義を与えるべきである。更に、特に明記しない限り、本明細書に記述する化合物は全部が置換されているか或は置換されていなくてもよく、化合物のリストにそれらの誘導体を包含させる。本明細書で用いる如き用語“ポリメチルペンテン”と“ポリ(4−メチルペンテン−1)”を互換的に用い、両方ともPMPとして示す。
【0017】
本明細書に開示する特定の重合方法は、オレフィン単量体を1種以上の触媒系と接触さ
せて重合体を生じさせることを伴う。
【0018】
触媒系
本明細書で用いる触媒系は担持型触媒系または非担持型触媒系(時には均一触媒とも呼ぶ)として特徴づけ可能である。このような触媒系はメタロセン触媒系、チーグラー・ナッタ触媒系、またはポリオレフィン製造技術分野における技術者に公知の他の触媒系などであり得る。そのような触媒系の簡単な考察を以下に含めるが、決して本発明の範囲をそのような触媒に限定することを意図するものでない。
【0019】
A. チーグラー・ナッタ触媒系
チーグラー・ナッタ触媒系の生成は一般に金属成分(例えば触媒前駆体)を1種以上の追加的成分、例えば触媒担体、共触媒および/または1種以上の電子供与体などと一緒にすることで行われる。
【0020】
触媒前駆体の具体例は、式:
MR
[式中、Mは遷移金属であり、Rはハロゲン、アルコキシまたはヒドロカルボキシル基であり、そしてxは前記遷移金属の原子価である]
で一般に表される金属成分である。例えば、xは1から4であり得る。本明細書および請求項の全体に渡って記述する如きチーグラー・ナッタ触媒化合物の遷移金属は、1つの態様ではIV族からVIB族から選択可能であり、より特別な態様ではチタン、クロムまたはバナジウムから選択可能である。1つの態様において、Rは塩素、臭素、カーボネート、エステルまたはアルコキシ基から選択可能である。触媒前駆体の例には、これらに限定するものでないが、TiCl、TiBr、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC13Cl、Ti(OCBrおよびTi(OC1225)Clが含まれる。
【0021】
当業者は、ある触媒前駆体が重合用触媒の助長で有効になる前にそれをある種の方法で“活性化”させてもよいことを理解するであろう。以下に更に考察するように、活性化は、当該触媒前駆体を活性化剤(これをある場合にはまた“共触媒”とも呼ぶ)と一緒にすることで達成可能である。本明細書で用いる如き用語“Z−N活性化剤”はZ−N触媒前駆体を活性化させ得る担持もしくは非担持型の化合物もしくは化合物組み合わせのいずれかを指す。そのような活性化剤の態様には、これらに限定するものでないが、有機アルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEAl)およびトリイソブチルアルミニウム(TiBAl)などが含まれる。
【0022】
そのようなチーグラー・ナッタ触媒系に更に1種以上の電子供与体、例えば内部電子供与体および/または外部電子供与体なども含有させることで立体選択性を向上させることも可能である。内部電子供与体は、結果としてもたらされる重合体のアタクティック形態を減少させて重合体中のキシレン可溶物量を低下させる目的で用いられ得る。重合体が有するペンダント型基が重合体鎖の両側に無作為な様式で配列している時のそれは“アタクティック”(低い立体選択性)である。対照的に、重合体が有するペンダント型基の全部が鎖の同じ側に配列している時のそれは“イソタクティック”であり、そして重合体が有するペンダント基が鎖の相対する側に交互に存在する時のそれは“シンジオタクテック”である(両方とも立体選択性が高い例である)。1つの態様において、そのような内部電子供与体には、アミン、アミド、エステル、ケトン、ニトリル、エーテルおよびホスフィンが含まれ得る。より特別な態様における内部電子供与体には、これらに限定するものでないが、ジエーテル、スクシネートおよびフタレート、例えば米国特許第5,945,366号(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。別の態様における内部電子供与体には、ジアルコキシベンゼン、例えば米
国特許第6,399,837号(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。
【0023】
外部電子供与体は、生じるアタクティック重合体の量を更に制御しようとする時に使用可能である。そのような外部電子供与体には、単官能もしくは多官能カルボン酸、無水カルボン酸、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機燐化合物および/または有機ケイ素化合物が含まれ得る。1つの態様における外部供与体には、ジフェニルジメトキシシラン(DPMS)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDS)、ジイソプロピルジメトキシシランおよび/またはジシクロペンチルジメトキシシラン(CPDS)が含まれ得る。そのような外部供与体は使用する内部電子供与体と同じか或は異なってもよい。
【0024】
そのチーグラー・ナッタ触媒系の成分(例えば触媒前駆体、活性化剤および/または電子供与体)を互いに組み合わせてか或は互いに個別に担体と結合させてもよいか或は結合させなくてもよい。典型的な担体材料には、マグネシウムの二ハロゲン化物、例えば二塩化マグネシウムまたは二臭化マグネシウムなどが含まれ得る。
【0025】
チーグラー・ナッタ触媒系および前記触媒系の製造方法は少なくとも米国特許第4,298,718、米国特許第4,544,717および米国特許第4,767,735(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0026】
B. メタロセン触媒系
メタロセン触媒は、一般に、1種以上のシクロペンタジエニル(Cp)基(これは置換されているか或は置換されていなくてもよく、各置換基は同じまたは異なってもよい)が組み込まれていてそれが遷移金属にπ結合を通して配位している配位化合物であるとして特徴付け可能である。
【0027】
Cpの置換基は直鎖、分枝または環式ヒドロカルビル基であり得る。環式ヒドロカルビル基は更に他の隣接環構造物を形成していてもよく、そのような隣接環構造物には、例えばインデニル、アズレニルおよびフルオレニル基が含まれる。そのような追加的環構造物もまたヒドロカルビル基、例えばCからC20ヒドロカルビル基などで置換されているか或は置換されていなくてもよい。
【0028】
メタロセン触媒の特定例は、かさ高い配位子を有するメタロセン化合物であり、これは式:
[L]M[A]
[式中、Lはかさ高い配位子であり、Aは脱離基であり、Mは遷移金属であり、そしてmおよびnは、配位子の総結合価が遷移金属の原子価に相当するような数である]
で一般に表される。例えば、mは1から3であってもよく、そしてnは1から3であってもよい。
【0029】
本明細書および請求項の全体に渡って記述する如きメタロセン触媒化合物の金属原子“M”は、1つの態様では3族から12族の原子およびランタニド族の原子から選択可能であり、より特別な態様では3族から10族の原子から選択可能であり、更により特別な態様ではSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、IrおよびNiから選択可能であり、更により特別な態様では4、5および6族の原子から選択可能であり、更により特別な態様ではTi、Zr、Hf原子から選択可能であり、更により特別な態様ではZrであってもよい。金属原子“M”の酸化状態は、1つの態様では0から+7の範囲であってもよく、より特別な態様では+1、+2、+3、+4または+5であり、更により特別な態様では+2、+3または+4である。金属原子
“M”と結合している基は、特に明記しない限り、以下の式および構造に記述する化合物が電気的に中性であるような基である。
【0030】
そのようなかさ高い配位子には一般にシクロペンタジエニル基(Cp)またはこれの誘導体が含まれる。そのCp配位子1種または2種以上が金属原子Mと一緒に少なくとも1種の化学結合を形成することで“メタロセン触媒化合物”がもたらされる。そのCp配位子は、置換/引き抜き反応にあまり敏感でない点で、当該触媒化合物と結合している脱離基とは異なる。
【0031】
Cpは典型的に縮合環1種または2種以上または環系を含有する。そのような環1種または2種以上または環系1種または2種以上は典型的に13から16族の原子、例えば炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、燐、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウムおよびこれらの組み合わせなどから選択される原子を含有するが、炭素がその環員の少なくとも50%を構成している。非限定例には、2−メチル、4フェニルインデニル、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレネイル、インデニル、ベンゾインデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントロインデニル、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペント[a]アセナフチレニル、7−H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水添バージョン(例えば4,5,6,7−テトラヒドロインデニルまたは“HInd”)、それらの置換バージョンおよびそれらの複素環式バージョンなどが含まれる。
【0032】
Cpの置換基には、水素基、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボモイル、アルキル−およびジアルキル−カルバモイル、アシルオキシ、アシルアミノ、アロイルアミノおよびこれらの組み合わせが含まれ得る。アルキル置換基のより特別な非限定例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニルおよびt−ブチルフェニル基など(これらの異性体、例えばt−ブチル、イソプロピルなどの全部を包含)が含まれる。他の可能な基には、置換アルキルおよびアリール、例えばフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジルおよびヒドロカルビル置換有機半金属基(トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリルなどを包含)、ハロカルビル置換有機半金属基(トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル、ブロモメチルジメチルゲルミルなどを包含)、二置換ホウ素基(ジメチルホウ素などを包含)、二置換15族基(ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを包含)、および16族基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィドおよびエチルスルフィドを包含)などが含まれる。他の置換基Rには、オレフィン、例えばこれらに限定するものでないが、オレフィン系不飽和置換基(ビニル末端配位子、例えば3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニルなどを包含)が含まれる。1つの態様では、少なくとも2個のR基、1つの態様では隣接して位置する2個のR基が連結して炭素、窒素、酸素、燐、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素およびこれらの組み合わせから選択される原子を3から30個有する環構造を形成している。また、置換基R基、例えば1−ブタニルなどは元素Mと結合関係を形成してもよい。
【0033】
各アニオン性脱離基を独立して選択し、これには如何なる脱離基も含まれ得、例えばハロゲンイオン、ハイドライド、CからC12アルキル、CからC12アルケニル、CからC12アリール、CからC20アルキルアリール、CからC12アルコキシ、
からC16アリールオキシ、CからC18アルキルアリールオキシ、CからC12フルオロアルキル、CからC12フルオロアリール、CからC12ヘテロ原子含有炭化水素およびそれらの置換誘導体が含まれ得、更により特別な態様では、ハイドライド、ハロゲンイオン、CからCアルキルカルボキシレート、CからCフッ素置換アルキルカルボキシレート、CからC12アリールカルボキシレート、CからC18アルキルアリールカルボキシレート、CからCフルオロアルキル、CからCフルオロアルケニルおよびCからC18フルオロアルキルアリールが含まれ得、更により特別な態様では、ハイドライド、クロライド、フルオライド、メチル、フェニル、フェノキシ、ベンゾキシ、トシル、フルオロメチルおよびフルオロフェニルが含まれ得、更により特別な態様では、CからC12アルキル、CからC12アルケニル、CからC12アリール、CからC20アルキルアリール、置換CからC12アルキル、置換CからC12アリール、置換CからC20アルキルアリール、CからC12ヘテロ原子含有アルキル、CからC12ヘテロ原子含有アリールおよびCからC12ヘテロ原子含有アルキルアリールが含まれ得、更により特別な態様では、クロライド、フルオライド、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからC18アルキルアリール、ハロゲン置換CからCアルキル、ハロゲン置換CからCアルケニルおよびハロゲン置換CからC18アルキルアリールが含まれ得、更により特別な態様では、フルオライド、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フルオロメチル(モノ−、ジ−およびトリフルオロメチル)およびフルオロフェニル(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタフルオロフェニル)が含まれ得、更により特別な態様では、フルオライドが含まれ得る。
【0034】
脱離基の他の非限定例には、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、炭素原子数が1から20の炭化水素基、フッ素置換炭化水素基(例えば−−C(ペンタフルオロフェニル))、フッ素置換アルキルカルボキシレート(例えばCFC(O)O)、ハイドライド、ハロゲンイオンおよびこれらの組み合わせが含まれる。脱離基の他の例には、アルキル基、例えばシクロブチル、シクロヘキシル、メチル、ヘプチル、トリル、トリフルオロメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メチオキシ、エチオキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィド基などが含まれる。1つの態様では、2個以上の脱離基が縮合環または環系の一部を形成している。
【0035】
LとAが互いに橋渡しされていてもよい。橋状メタロセンは、例えば一般式:
XCpCpMA
[式中、Xは構造ブリッジであり、CpおよびCpは各々シクロペンタジエニル基を表し、これらは各々同じまたは異なりかついずれも置換されているか或は置換されていなくてもよく、Mは遷移金属であり、そしてAはアルキル、ヒドロカルビルまたはハロゲン基であり、そしてnは0から4の範囲の整数であり、特定の態様では1または2のいずれかである]
で記述可能である。
【0036】
橋渡し基(X)の非限定例には、13から16族の原子を少なくとも1個、例えばこれらに限定するものでないが、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫およびこれらの組み合わせの中の少なくとも1つを含有する二価の炭化水素基が含まれ、かつそのようなヘテロ原子は、また、結合価が中性であることを満足させるように置換されているCからC12アルキルもしくはアリールであってもよい。そのような橋渡し基はまた上で定義した如き置換基(ハロゲン基を包含)および鉄も含有していてもよい。橋渡し基のより特別な非限定例の代表は、CからCアルキレン、置換CからCアルキレン、酸素、硫黄、RC=、RSi=、−−Si(R)Si(R)-およびRGe=、RP=[ここで、“=”は2個の化学結合を表し、Rは独立してハ
イドライド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機半金属、ハロカルビル置換有機半金属、二置換ホウ素、二置換15族原子、置換16族原子およびハロゲン基の群から選択され、そして2個以上のRが連結して環もしくは環系を形成していてもよい]である。1つの態様における橋状メタロセン触媒成分は橋渡し基(X)を2個以上有する。
【0037】
本明細書で用いる如き用語“メタロセン活性化剤”は、シングルサイト触媒化合物(例えばメタロセン、15族含有触媒など)を活性化させる能力を有する担持もしくは非担持型の化合物もしくは化合物組み合わせのいずれかであると定義する。それは、典型的に、当該触媒成分の金属中心から少なくとも1個の脱離基(前記式/構造中のA基など)を引き抜くことを伴う。このようにして、本発明の触媒成分にそのような活性化剤を用いた活性化を受けさせることでそれがオレフィン重合に向かうようにする。そのような活性化剤の態様には、ルイス酸、例えば環式もしくはオリゴマー状のポリヒドロカルビルアルミニウムオキサイドおよびいわゆる非配位性でイオン性の活性化剤(“NCA”)、或は“イオン化活性化剤”または“化学量論的活性化剤”、または中性のメタロセン触媒成分をオレフィン重合に関して活性のあるメタロセンカチオンに変化させる能力を有する他の化合物のいずれも含まれる。
【0038】
より詳細には、ルイス酸、例えばアルモキサン(例えば“MAO”)、修飾アルモキサン(例えば“TIBAO”)およびアルキルアルミニウム化合物などを活性化剤として用いて本明細書に記述する所望のメタロセンを活性化させることは本発明の範囲内である。MAOおよびアルミニウムが基になった他の活性化剤は当該技術分野で良く知られている。本明細書に記述する触媒用の活性化剤として使用可能なアルミニウムアルキル化合物の非限定例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムなどが含まれる。
【0039】
イオン化活性化剤は当該技術分野で良く知られており、例えばEugene You−Xian Chen & Tobin J.Marks、Cocatalysts for Metal−Catalyzed Olefin Polymerization:Activators,Activation Processes,and Structure−Activity Relationships 100(4)CHEMICAL REVIEWS 1391−1434(2000)に記述されている。中性のイオン化活性化剤の例には、13族の三置換化合物、特に三置換ホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウムおよびインジウム化合物およびこれらの混合物(例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素および/またはトリスパーフルオロフェニルホウ素半金属前駆体)などが含まれる。前記3個の置換基は各々独立してアルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシおよびハライドなどから選択される。1つの態様では、その3個の基を独立してハロゲン、単環式もしくは多環式(ハロ置換を包含)アリール、アルキル、アルケニル化合物およびこれらの混合物の群から選択する。別の態様では、その3個の基を炭素原子数が1から20のアルケニル基、炭素原子数が1から20のアルキル基、炭素原子数が1から20のアルコキシ基、炭素原子数が3から20のアリール基(置換アリールを包含)およびこれらの組み合わせの群から選択する。更に別の態様では、その3個の基を炭素原子数が1から4のアルキル、フェニル、ナフチルおよびこれらの混合物の群から選択する。更に別の態様では、その3個の基を高度にハロゲン置換されている炭素原子数が1から4のアルキル、高度にハロゲン置換されているフェニル、高度にハロゲン置換されているナフチルおよびこれらの混合物の群から選択する。“高度にハロゲン置換”は、水素の少なくとも50%がフッ素、塩素および臭素から選択されるハロゲン基に置き換わっていることを意味する。更に別の態様における中性の化学量論的活性化剤は、高度にフッ素置換され
ているアリール基(この基は高度にフッ素置換されているフェニルおよび高度にフッ素置換されているナフチル基である)を含有して成る三置換13族化合物である。
【0040】
当該活性化剤を当該触媒成分(例えばメタロセン)と一緒にか或は触媒成分とは個別に担体に結合または固定させるか或はさせなくてもよい(例えばGregory G.Hlatky、Heterogeneous Single−Site Catalysts
for Olefin Polymerization 100(4)CHEMICAL REVIEWS 1347−1374(2000)に記述されているようにして)。
【0041】
メタロセン触媒は担持型もしくは非担持型であってもよい。典型的な担体材料には、タルク、無機酸化物、粘土および粘土材料、イオン交換を受けた層状化合物、ケイソウ土化合物、ゼオライトまたは樹脂状担体材料、例えばポリオレフィンなどが含まれ得る。
【0042】
具体的無機酸化物には、これらに限定するものでないが、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアなどが含まれる。担体材料として用いる無機酸化物の平均粒径は30ミクロンから600ミクロン、または30ミクロンから100ミクロンなどであってもよく、表面積は50m/gから1,000m/g、または100m/gから400m/gなどであってもよく、かつ細孔容積は0.5cc/gから3.5cc/g、または0.5cc/gから2cc/gなどであってもよい。メタロセンイオン性触媒の好ましい担持方法が米国特許第5,643,847;09184358および09184389(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0043】
重合工程
本明細書の他の場所に示すように、触媒系を用いてポリオレフィン組成物を生じさせる。前記触媒系を調製した後、その組成物を用いていろいろな工程を上述した如くかつ/または当業者に公知の如く実施してもよい。使用可能な様々な方策には、とりわけ米国特許第5,525,678号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている手順が含まれる。装置、工程条件、反応体、添加剤および他の材料は勿論所定工程で生じさせるべき重合体の所望組成および特性に応じて変わるであろう。例えば、米国特許第6,420,580、米国特許第6,380,328、米国特許第6,359,072、米国特許第6,346,586、米国特許第6,340,730、米国特許第6,339,134、米国特許第6,300,436、米国特許第6,274,684、米国特許第6,271,323、米国特許第6,248,845、米国特許第6,245,868、米国特許第6,245,705、米国特許第6,242,545、米国特許第6,211,105、米国特許第6,207,606、米国特許第6,180,735および米国特許第6,147,173(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている工程を用いてもよい。
【0044】
上述した触媒系は様々な重合工程で幅広い範囲の温度および圧力に渡って使用可能である。その温度は約-60℃から約280℃または約50℃から約200℃の範囲であってもよくそして用いる圧力は1気圧から約500気圧またはそれ以上の範囲であってもよい。
【0045】
重合工程には、溶液、気相、スラリー相、高圧工程またはこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0046】
特定の態様において、本発明の方法は、炭素原子数が2から30または炭素原子数が2から12または炭素原子数が2から8の1種以上のオレフィン単量体、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンおよびデセンなど
の溶液、高圧、スラリーまたは気相重合方法に向けたものである。他の単量体には、エチレン系不飽和単量体、炭素原子数が4から18のジオレフィン、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体および環式オレフィンが含まれる。非限定単量体には、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンテンが含まれ得る。1つの態様では、共重合体、例えばプロピレン/エチレンなどを生じさせるか或は三元重合体を生じさせる。溶液方法の例が米国特許第4,271,060、米国特許第5,001,205、米国特許第5,236,998および米国特許第5,589,555(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0047】
気相重合工程の一例では一般に連続サイクルを用い、その場合には、循環する気体流れ(他に再循環流れまたは流動媒体としても知られる)を反応槽内で重合熱によって加熱する。前記反応槽の外部に位置させた冷却装置によって、そのサイクルの別の部分の中を循環する流れを用いてその熱を除去する。1種以上の単量体が入っている気体流れを触媒存在下の流動床に通して反応条件下で連続的に循環させてもよい。その気体流れを前記流動床から取り出して前記反応槽に再循環させて戻す。それと同時に重合体生成物を前記反応槽から取り出しそして重合した単量体の代わりに新鮮な単量体を添加する(例えば米国特許第4,543,399、米国特許第4,588,790、米国特許第5,028,670、米国特許第5,317,036、米国特許第5,352,749、米国特許第5,405,922、米国特許第5,436,304、米国特許第5,456,471、米国特許第5,462,999、米国特許第5,616,661および米国特許第5,668,228(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照)。
【0048】
気相工程における反応槽の圧力は約100psigから約500psig、または約200psigから約400psig、または約250psigから約350psigなどに及んで多様であり得る。気相工程における反応槽の温度は約30℃から約120℃、または約60℃から約115℃、または約70℃から約110℃、または約70℃から約95℃に及んで多様であり得る。本方法で意図する他の気相工程には、米国特許第5,627,242、米国特許第5,665,818および米国特許第5,677,375(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。
【0049】
スラリー工程は、一般に、固体粒子状重合体が液状の重合用媒体に入っている懸濁液を生じさせてそれに単量体および場合により水素と一緒に触媒を添加することを包含する。その懸濁液(希釈剤を入れておいてもよい)を断続的または連続的に前記反応槽から取り出し、揮発性成分を重合体から分離しそして場合により蒸留を実施した後に前記反応槽に再循環させてもよい。その重合用媒体に入れて用いる液化希釈剤は、典型的に、炭素原子数が3から7のアルカン、例えば分枝アルカンなどである。その用いる媒体は一般に重合条件下で液体でありかつ比較的不活性である。例えばヘキサンまたはイソブタン。
【0050】
スラリー工程またはバルク工程(例えば希釈剤を用いない工程)は1基以上のループ反応槽内で連続的に実施可能である。当該触媒をスラリーまたは自由流れする乾燥した粉末として反応槽ループ(これ自身を成長する重合体粒子が希釈剤の中に入っている循環するスラリーで満たしておいてもよい)に規則的に注入してもよい。場合により、水素を分子量調節剤として添加してもよい。その反応槽を約27バールから約45バールの圧力および約38℃から約121℃の温度などに維持してもよい。反応槽の多くは二重ジャケット付きパイプの形態であることから、反応熱をループ壁に通して除去することができる。そのスラリーを反応槽から規則的な間隔または連続的に出させて加熱された低圧フラッシュ容器、回転式乾燥機および窒素パージカラムに送ることで順次形態で希釈剤そしてあらゆ
る未反応単量体および共重合用単量体を除去してもよい。次に、その結果として炭化水素が除去された粉末をコンパウンドにして、いろいろな用途で用いてもよい。別法として、他の種類のスラリー重合工程を用いることも可能であり、例えば撹拌型反応槽を直列、並列またはこれらの組み合わせで位置させる。
【0051】
不透明フィルムの製造を典型的にはテンターフレーム(tenter frame)工程で実施する。粒子状充填剤材料を配向工程中に空洞部もしくは空隙を生じさせるに充分な量で添加することでフィルムを不透明にする。その充填剤の粒径を一般に0.7から5ミクロンにすべきである。通常用いられる空隙用粒状充填剤は炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどである。炭酸カルシウムは不透明化技術分野で最も一般的に用いられる充填剤である。また、特定の有機重合体である充填剤、例えばナイロン、ポリスチレンおよびポリブチレンテレフタレート(PBT)なども公知である。そのような材料もまたフィルム用の空隙用充填剤として働き得る。そのような伝統的充填剤の最も好適な濃度は8から20%の範囲である。本発明のフィルムの調製を通常の当業者に公知の方法のいずれかで達成する。
【0052】
不透明化用充填剤に加えて、空隙用ではない他の添加剤、例えば二酸化チタン(TiO2)などを添加することでフィルムの光透過性を低下させることも可能であり、それを白色顔料として典型的には1から5%の濃度で用いる。
【0053】
そのような不透明フィルムの密度は幅広い範囲で多様であり得、当該充填剤の性質および量に依存する。空隙度は密度が低ければ低いほど高い。その密度は一般に0.55から1.1g/cmの範囲内である。
【0054】
上述したように、炭酸カルシウム(CaCO)が不透明フィルム配合に入れる空洞化剤として用いられる主充填剤であるが、ある場合にはポリブチレンテレフタレート(PBT)が用いられる。PBTを充填剤として用いることに関していくつかの懸念が米国特許第6194060号および米国特許第6183856号に記述されており、それらには、PBTはフィルム押出し加工中に分解を起こす傾向があり得ると述べられている。PBTが分解を起こすと、その付着物の形態は加工装置に付着する卵の殻のようなスケールの形態であり得る。そのスケールが時折分解を起こすことで下流処理中にフィルムに可視的欠陥もしくは破壊がもたらされる。PBTを用いて不透明フィルムを成形する典型的なラインはそのようなスケール形成の問題そしてその後にダイスを清掃する必要がある結果として1カ月当たり10時間以上の休止時間を要すると言った欠点を示し得ることを確認した。
【0055】
重合体生成物
本明細書に記述する方法で製造した重合体は幅広く多様な製品および最終使用用途で使用可能である。そのような重合体にはポリプロピレンおよびポリプロピレン共重合体が含まれ得る。
【0056】
特定の態様では、本明細書に記述する方法を用いてプロピレンが基になった重合体を製造することができる。そのような重合体にはアタクティックポリプロピレン、イソタクティックポリプロピレン、ヘミ−イソタクティックおよびシンジオタクテックポリプロピレンが含まれる。他のプロピレン重合体には、プロピレンのブロックもしくは耐衝撃性共重合体が含まれる。
【0057】
特定の態様では、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)をプロピレンが基になった重合体に組成物の総重量を基準にして5重量%から25重量%、または10重量%から15重量%の量で混合する。
【0058】
特定の態様では、ポリメチルペンテン(PMP)をプロピレンが基になった重合体に組成物の総重量を基準にして5重量%から25重量%、または10重量%から15重量%の量で混合する。
【0059】
次に、その結果として得た重合体混合物を成形することで、この上で考察した如き不透明フィルムを生じさせる。そのような不透明フィルムに持たせるシート厚は0.5ミルから5.0ミルまたは1.5ミルから3.0ミルまたは2.0ミルから2.5ミルであってもよい。
【0060】
そのフィルムをASTM F1249で測定した時にそれが示す水蒸気透過率(WVTR)は0.5g・ミル/100平方インチ/日から2.0g・ミル/100平方インチ/日または0.6g・ミル/100平方インチ/日から1.0g・ミル/100平方インチ/日であり得る。
【0061】
また、前記フィルムをASTM D882で測定した時にそれが示す1%割線係数(secant modulus)(横方向)は約150kpsiから約500kpsiまたは約200kpsiから約400kpsiまたは約250kpsiから約350kpsiであり得る。
【0062】
前記フィルムをASTM 1003を用いて測定した時にそれが示すヘイズ値は90%から約100%または95%から約100%または99%から約100%であり得る。前記フィルムをASTM D523を用いて45°で測定した時にそれが示す光沢値は10から約150または20から約125または約25から約110であり得る。前記フィルムが示す透明度は0%から約5%または0%から約2%であり得る。
【0063】
特定の態様において、本重合体混合物で用いるポリプロピレンをASTM D−1238を用いて230℃および2160gで測定した時にそれが示すメルトフロー値は1.0から6.0g/10分または1.5から2.5g/10分または1.8から2.2g/10分または約2.0g/10分であり得る。また、前記ポリプロピレンをASTM D−1505で測定した時にそれが示す密度は0.890から0.950g/ccまたは0.895から0.930g/ccまたは0.900から0.920g/ccまたは約0.910g/ccであり得る。また、前記ポリプロピレンを示差走査熱量法(DSC)で測定した時にそれが示す融点は145℃から175℃または160℃から170℃または約165℃であり得る。また、前記ポリプロピレンが示すキシレン可溶物量(重量%)は7.0重量%未満または5.0重量%未満または3.0重量%未満または1.0重量%未満であり得る。XS%の測定方法は当該技術分野で公知であり、例えばXS%はASTM D5492−98に従って測定可能である。典型的には、重合体中のXS%は生じた結晶性重合体の度合の指標である。キシレン可溶画分(XS%)を測定しようとする時、当該重合体を沸騰キシレンに溶解させた後、その溶液を0℃に冷却すると、結果として当該重合体のイソタクティックまたは結晶性部分が沈澱を起こす。XS%は、冷キシレン中に溶解したままである部分を元々の量と対比させたパーセントである。重合体の総量(100%)はキシレン可溶画分とキシレン不溶画分の合計である。
【0064】
生成物の用途
製造した重合体は多様な最終用途、例えば二軸配向フィルムなどで用いるに有用である。
【0065】
本発明のフィルムは、例えばスナック食品包装材、タバコオーバーラップ、電子構成品包装、包装用テープ、収縮フィルム、ベーカリー製品、キャンディー包装材、チーズ包装
材、コーヒーおよび茶包装材、クラッカーバッグ、ペットフード包装材、パスタ包装材などで使用可能である。本フィルムはまた感圧テープ、ラベル、キャパシタフィルム、オーディオ/ビデオカセットおよびCDオーバーラップ、ケーブル絶縁材などとしても使用可能である。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は単に例示の目的で示すものであり、限定を意図するものでない。
【0067】
この研究では3種類の40ミルシート配合物を流し込み成形した。それらは混ぜ物無しのTotal Petrochemicals 3270、3270/Mitsui DX845が85/15重量%の混合物および3270/Corterra PTT200が85/15重量%の混合物であった。Mitsui DX845は、溶融温度が231℃の商業的グレードのポリ(4−メチルペンテン−1)(PMP)である。Corterra PTT200は溶融温度が225℃の商業的グレードのポリ(トリメチルテレフタレート)(PTT)である。これらの材料に引き伸ばしを2種類の条件で受けさせることで空洞化を誘発する試みを行った。延伸性を基にして条件を選択し、前記混合物の中の1つが所定温度で示す最大延伸性を確認した後、そのような条件を用いてフィルムを作成した。両方の温度下で前記3270/PTT混合物が最も早く不合格になり、従って、それで使用面積延伸比を決定した。引き伸ばし条件の詳細を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
前記40ミルのシートに数種類の特性に関する試験を受けさせた。それらが290kpsiから325kpsiの範囲の同様な引張り係数を示す引張り試験を確立した。前記混合物の方が若干低い降伏強度および低い降伏時伸びを示した。混ぜ物無し3270シートが示した45°光沢値は41.7±3.8であった。前記混合物のシートが示した光沢値の方が若干高く、PMPを用いた場合には光沢値が46.4±0.9まで高くなった一方、PTTを用いた場合にはシートの光沢値が49.8±1.1になった。
【0070】
延伸フィルムを評価する目的で最初に厚みを測定した。空洞化フィルムの厚みの方が空洞化を受けていないフィルムよりも若干厚いはずである、と言うのは、空洞が体積に加わるからである。引き伸ばしを145℃で行うことで、そのような期待が裏付けされた。混ぜ物無し3270のフィルムは1.5ミルであるのに対比してPTTを含有させたフィルムは2.5ミルであった(表2)。PMPを含有させたフィルムは1.74ミルであり、若干厚かった。引き伸ばしを155℃で行うと空洞化は誘発されなかったが、それでも両方の混合物とも不透明なフィルムをもたらした。
【0071】
【表2】

【0072】
その配向フィルムから85x85mm2の正方形中心部を切り取って重量を測定することで、厚みが増したことを実証した。PPの密度が0.905g/cmでPMPの密度が0.83g/cmでPTTの密度が1.33g/cmであると言った追加的関係を仮定することで厚みの計算を行った。空洞化を受けさせていないフィルムの厚みは1.3から1.5ミルの範囲であると予測することができるであろう(表3)。3270/PTT200の予測厚である1.33ミルは実験で測定した2.50ミルのほぼ半分である。そのような差を説明することができるのは空洞化が起こったことによってのみである。3270/DX845フィルムの場合の予測は1.51ミルであるのに対して1.74ミルであったことは、それほどでもないが同様に空洞化がある程度誘発されたことを示唆している。
【0073】
【表3】

【0074】
水蒸気透過率(WVTR)の結果は145℃で空洞化を起こったことを裏付けている。PMPを用いるとWVTRが100%上昇する一方でPTTを用いるとWVTRが200%上昇した(図1)。温度を155℃にまで高くするとあらゆるフィルムが示すWVTR値が同様になった。3270/PMP混合物の方が〜20%高く、このことはPMPを用いると透過性がより高くなることと一致している。
【0075】
引張り特性に関してさらなる確認を行う。空洞化フィルムの方が弾性率が低く、このことは厚みが増したことと一致している(図2)。破壊時引張り強度も同様により低い。
【0076】
空洞化フィルムにとってフィルムの光学特性が別の鍵となる要素である。表面が艶消しのフィルムはヘイズ値が>65%で光沢値が<12であることを要求する。空洞化フィルムは不透明である傾向があるが、不透明度は重要でない可能性がある。
【0077】
引き伸ばしを145℃で行った時の光透過性および透明性は非常に低い(表4、図3)。前記混合物が145℃の時に示したヘイズ値は100%で155℃の時に示したヘイズ値は>90%であり、この場合に空洞化が起こらないとフィルムがより薄くなる。両方の
温度とも空洞化が起こったか或は起こらなかったに拘わらず前記混合物のフィルムは不透明である(図3および図4)。
【0078】
【表4】

【0079】
前記混ぜ物無しシートは同様な光沢値を示したが、それらを配向させてフィルムにするとその類似性が失われた。前記3270/PMP混合物が示した光沢値は混ぜ物無し3270が示したそれと合致している(表4)。
【0080】
逆に、3270/PTT混合物は一貫して低い光沢値を示したことから、それは艶消し仕上げ用途にとって理想的である(光沢値<12)。両方の温度とも光沢値は約21−3から約24−6であった(表4)。光沢値を12以下に押し下げるにはPTTを耐衝撃性共重合体または少量の艶消し仕上げ用マスターバッチと一緒に用いることで充分であろう。
【0081】
光顕微鏡を用いてフィルムの構造をより緊密に調べると光透過性の影響が強調される。混ぜ物無し3270フィルムの両方に欠陥部が見られるが、前記混合物に同じ欠陥部が見られたのは引き伸ばしを155℃で行った時のみである(図5)。3270/PMP混合物が示す透過率がより低いのは明らかである、と言うのは、見られる波形欠陥部の数がより少ないからである。145℃の時には両方の混合物とも不透明さが理由で外観は特徴付けられない。
【0082】
大きさがずっと小さな規模を探求する目的で原子力顕微鏡法を用いた。高さ画像によってフィルム間の相対的形態が分かる(図6)。混ぜ物無し3270が有する形態はBOPPフィルムに典型的な繊維状である。混ぜ物無し3270の場合に用いた高さの範囲は200nmであった。PMPまたはPTTのいずれかを添加すると表面がより粗くなり、600nmの範囲の高さを用いる必要があった。両方の混合成分とも混ぜ物無し3270が示した繊維状形態を壊したが、PTTの方がより有効であると思われる。3270/PMP混合物の方が3270/PTT混合物よりも繊維状構造を維持している。
【0083】
高さの画像を用いてまた表面の粗さも量化した。混ぜ物無し3270が最も滑らかな表面をもたらし、それに続いて3270/PMP混合物そして次に3270/PTT混合物であった(表5)。AFMによる測定で3270/PMP混合物の方が混ぜ物無し3270よりもずっと粗かったが、その粗さは光沢を低下させるほどではない(表4を参照)。粗さが増してずっと光沢のない配向フィルムがもたらされたのはPTTを用いた時のみである。
【0084】
【表5】

【0085】
PMPとPTTの間の比較ではそれらの密度も同様に考慮すべきである。PMPの密度の方がPTTのそれよりもずっと小さく(0.83g/cmに対して1.33g/cm)、従って重量分率を等しくした時の体積分率はそれぞれ16.1%および10.7%になるであろう。PTTドメインの数の方が多いと思われ、それは高さが高くなるにつれて丸い点として見られる。
【0086】
PMPドメインとPTTドメインを更に対比させる目的で、位相画像を図7に示す。AFMをタッピングモードで操作することで前記画像を得たが、材料の表面特性(例えば剛性および化学的組成)の差によってチップ−サンプル(tip−sample)界面の所にエネルギー逸散の変化がもたらされる。3270/PTT構造物が最も明瞭なコントラストをもたらし、PTTがPPマトリクス中に円形ドメインを形成している。そのようなドメインは小さく、大部分の直径が<5μmである。3270/PMP混合物が示したコントラストは3270/PTTが示したそれほどではない(図7)。
【0087】
PMPの分散度および伸長応力に対する反応も同様にPTTが示すそれらとは異なるであろう。145℃の時のフィルムにはしばしばマトリクスの中に埋め込まれている20から30μmの特徴物が存在する(図7に示す3270/PMPタイルの上方左側隅を参照)。それらはマトリクスと密接に関係して引き伸ばされるより大きなPMPドメインであり得る。加工条件を適切にするとPMPは固体状態の引き伸ばしを受け得る。逆に、155℃の時の画像で解像されたドメインの多くは直径が<1μmであるように見える。如何なる所定理論にも限定するものでないが、温度が高くなるにつれてPMPが示す弾性率の方が3270マトリクスが示す弾性率よりも有意に高くなる結果としてPMPがほとんど変形を起こさなかった可能性がある。
【0088】
PMPおよびPTTがフィルムの収縮に対して示す影響はほとんどなかった(表6)。PTTを用いて作成したフィルムが示す収縮率の方が混ぜ物無し3270のフィルムが示すそれに比べて若干高い傾向があった。PMPを用いた時の結果は一貫した傾向を示さなかったが、引き伸ばしを145℃で行うと若干高い収縮率を示すことが分かる。一般的に3270基礎重合体は収縮を大きく制御すると思われる。
【0089】
【表6】

【0090】
PMPを用いると透過率が100%高くなる一方でPTTを用いると透過率が200%高くなった。PTTを用いた場合の不透明フィルムは光沢がなく、艶消し仕上げ用途に可能性を有する。PMPを用いると魅力的な光沢を有する不透明なフィルムがもたらされ、これは特殊用途に可能性を有する。空洞化は引き伸ばし温度に敏感であった。空洞化を助長するには温度を比較的低くする必要があった。BOPPのAFM結果は、3270/PMP混合物の方が3270/PTT混合物よりも滑らかであることを示していた。位相画像の中にPTTドメインが明瞭に見られた。PMPドメインはそれほど明瞭には見られず、より小さいと思われた。
【0091】
前記は本発明の態様に向けたものであるが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく本発明の他の更に態様を考案することができ、本発明の範囲を以下の請求項で決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンを含有しかつポリメチルペンテン(PMP)およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)から成る群より選択される空洞化剤を含有して成るフィルム。
【請求項2】
二軸配向している請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記空洞化剤が約5重量%から約25重量%の量で存在する請求項1記載のフィルム。
【請求項4】
約90%から約100%のヘイズ値を示す請求項1記載のフィルム。
【請求項5】
約10から約150の光沢値を示す請求項1記載のフィルム。
【請求項6】
0%から約5%の透明度を示す請求項1記載のフィルム。
【請求項7】
150kpsiから500kpsiの範囲内の1%割線係数を示す請求項1記載のフィルム。
【請求項8】
0.5から2.0g・ミル/100平方インチ/日のWVTRを示す請求項1記載のフィルム。
【請求項9】
前記空洞化剤がPMPである請求項1記載のフィルム。
【請求項10】
約100%のヘイズ値および約110の光沢値を示す請求項9記載のフィルム。
【請求項11】
艶消し仕上げを有する請求項9記載のフィルム。
【請求項12】
請求項10記載のフィルムを含有して成る製品。
【請求項13】
前記空洞化剤がPTTである請求項1記載のフィルム。
【請求項14】
約100%のヘイズ値および約25の光沢値を示す請求項13記載のフィルム。
【請求項15】
請求項13記載のフィルムを含有して成る製品。
【請求項16】
請求項1記載のフィルムを含有して成る製品。
【請求項17】
スナック食品包装材、ベーカリー製品、キャンディー包装材、チーズ包装材、コーヒーおよび茶包装材、クラッカーバッグ、ペットフード包装材、パスタ包装材、感圧テープ、ラベル、キャパシタフィルム、オーディオ/ビデオカセットおよびCDオーバーラップおよびケーブル絶縁材である請求項16記載の製品。
【請求項18】
ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン(PMP)を含有して成るフィルム。
【請求項19】
ポリプロピレンおよびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を含有して成るフィルム。
【請求項20】
ポリプロピレンを含有しかつポリメチルペンテン(PMP)およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)から成る群より選択される空洞化剤を含有して成るフィルムであって、約90%から約100%のヘイズ値および約10から約150の光沢値を示すフィ
ルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−511108(P2011−511108A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544482(P2010−544482)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/032317
【国際公開番号】WO2009/097375
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】