配向多層ポリオレフィンフィルム
【課題】特性の組み合わせ、特に低破壊抵抗、低指引裂抵抗、低曇り度、MDでの低引張強度、および屈折率差(Δn)の組み合わせを示す切断可能で指引き裂き可能な接着ポリオレフィン系テープを提供する。
【解決手段】少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は第1の融点より高い第2の融点を有するポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、多層構造が二軸延伸される多層二軸配向フィルム。多層フィルムは、書き込み可能多層フィルムを提供するために表面仕上げ層をさらに含む。この延伸フィルムは、横方向(TD)で測定された屈折率より大きい機械方向(MD)での屈折率を示す。
【解決手段】少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は第1の融点より高い第2の融点を有するポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、多層構造が二軸延伸される多層二軸配向フィルム。多層フィルムは、書き込み可能多層フィルムを提供するために表面仕上げ層をさらに含む。この延伸フィルムは、横方向(TD)で測定された屈折率より大きい機械方向(MD)での屈折率を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テープ裏地として有用なフィルムに関し、より詳しくは、プロピレン含有一次層および少なくとも1層のポリオレフィン含有二次層を含むとともに表面艶消層などの表面仕上げ層をさらに含む多層ラミネート二軸配向裏地に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されている感圧接着テープは、通常ロール状で提供され、テープディスペンサー上で提供することが可能である(例えば、米国特許第4,451,533号および第4,908,278号を参照すること)。一般に、市販されているディスペンサーは、金属鋸歯状刃またはプラスチック鋸歯状刃のいずれかを有する。ディスペンサーが設けられていない場合、テープを手で引き裂くことができることが望ましい。
【0003】
接着テープの「切断可能性」は、所望のエネルギー量または仕事量でテープディスペンサーの鋸歯状切断縁上の歯上でテープを引くことによりテープの一定長さを裁断または切断する能力として定義される。切断可能性は「分配可能性」とも呼ぶ。切断されたテープが予想できない仕方で割れない、縦割れしない、破断しない、破壊しないことが望ましい(米国特許第4,451,533号および第4,908,278号参照)。こうした切断可能性は、切断されたテープストリップ上に綺麗に切断された切り口を生じさせるために望ましい。
【0004】
接着テープは多くの異なるフィルムから製造される。強靱すぎる傾向があるとともに荷重下にある間に破壊前に著しく伸びるフィルムは、特にプラスチック刃ディスペンサー上でこうしたフィルムを切断するのを非常に難しくする。プラスチック刃付きテープディスペンサーは、ミネソタ州セントポールのミネソタマイニングアンドマニュファクチャリングカンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company)から入手できるカタログ番号104 3M Magic(登録商標)テープディスペンサーなどの手持ち式装置用に一般に用いられる。しかし、プラスチック刃付きテープディスペンサーは、一般に、配向したポリプロピレンテープを切断するのに十分に鋭くなく耐久性でない。この理由で、二軸配向ポリプロピレンテープ用の代表的なディスペンサーには、通常は、鋭い金属刃が装着されている。こうした金属刃ディスペンサーは、プラスチック刃付きディスペンサーより高価であるとともに製造するのが難しい。
【0005】
二軸配向アイソタクチックポリプロピレンフィルムは、靱性、低コスト、良好な色、防水性、耐縦割れ性およびクラリティに関して周知されており、接着剤テープ裏地として長く用いられてきた(米国特許第3,241,662号および第3,324,218号参照)。けれども、上述したように、こうしたフィルムは、特にプラスチックディスペンサーを用いて分配するのが、より難しい。さらに、こうしたフィルムは、手で引き裂くのが非常に難しいことが考えられ、一般に、ある程度の指引き裂き性を可能にするのに十分な縁欠陥を提供するために粗回転刃または平回転刃でスリットされる。この方法は、見苦しい不均一縁およびずっと低下したテープ強度の原因になる。
【0006】
切断可能で指引き裂き可能な接着テープ裏地フィルムを製造するためにポリオレフィンフィルムを改善しようとする幾つかの試みがあった。
【0007】
例えば、JP第53034834号には、より脆くて指引き裂き可能なフィルム裏地を製造するために、ポリプロピレンと低分子量ポリオレフィンの混合物が記載されている。米国特許第3,887,745号には、テープ交差方向の直線引き裂きを促進するために厚い二次層が横(または垂直)方向に一軸配向されている2層ポリプロピレンテープが記載されている。同様に、米国特許第3,952,073号および第4,045,515号には、アイソタクチックポリプロピレンとランダムプロピレン−エチレンコポリマーのブレンドを含むテープ裏地が記載されている。その後、このテープ裏地は配向されて、フィルムを横切って良好な指引き裂き性を有するフィルムを製造するために機械方向の場合よりも横方向の場合に大きい配向を有するフィルムを生じさせる。
【0008】
米国特許第4,410,582号には、指引き裂き性フィルム裏地を製造するために、より高い結晶性の二次層より低い融点を有する低分子量ポリオレフィン一次層から成る逐次二軸配向多層フィルムが記載されている。米国特許第4,137,362号には、アイソタクチックポリプロピレンと他のポリオレフィンの単層ブレンドの逐次二軸配向によって製造された接着剤テープ裏地が記載されている。米国特許第4,393,115号、米国特許第4,414,261号およびJP出願11−第1998835号には、ブレンドまたは層中にポリプロピレン−エチレンコポリマーまたは炭化水素樹脂を含む逐次二軸配向多層フィルムが記載されており、この多層フィルムは、フィルムの脆い挙動を増加させることによって指引き裂き性を促進することを意図している。
【0009】
同様に、米国特許第4,447,485号および米国特許第4,513,028号には、より脆い構造を生じさせるために存在するポリメチルペンテンとブレンドされたポリプロピレン含むベースシートを有する延伸フィルムが記載されている。JP出願6−第305014号には、逐次二軸配向プロセスを用いて熱処理条件に起因して二次/一次構造を作り出すポリプロピレン−エチレンコポリマーを含む単一組成単一シートフィルムが記載されている。
【0010】
接着剤被覆面とは反対側に艶消面を有する感圧接着テープは、オフィス、小売店および学校で用いるために一般に販売されている。これらのテープは、一般に、裂け目の補修、メモの記入、および文書を一緒に添付するために紙と合わせて用いられ、そういうものとして、感圧テープが、最終用途において見えないままであり、にもかかわらず下にある一切の印刷を見ようとし明確且つ綺麗に写真複写しようとすることを見越していることが好ましい。さらに、これらのテープの艶消面が、ボールペン、鉛筆およびパーマネントマーカーなどの様々な書き込み器具で上に書き込むことが可能であることが好ましい。エンボス艶消仕上げ付き酢酸セルロースフィルムは、優れた光学的特性および書き込み特性によって艶消接着テープ用の基材として主として用いられてきた。
【0011】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、優れた強度、防水性および低コストにより接着テープ用のフィルム基材として広く用いられている。一般に、BOPPフィルムにはフィルムの表面を単にエンボスすることによって艶消および/または書き込み性表面を付与することができない。一般に、こうした方法は、BOPPフィルムのベースポリプロピレン層の上に別の層を設けることを必要とする。ここで艶消面または書き込み性表面の所望特性の幾つかは別の層によって提供される。
【0012】
こうした公知の別の層は、多くの場合、ブレンドの形を取った二種以上のポリマーを組み合わせることによって製造されてきた。こうしたブレンド中のポリマーの少なくとも一種は、BOPPフィルム中のポリプロピレン主層に粘着力を提供するので通常はポリオレフィンである。こうしたブレンド中のポリオレフィン系成分には、ポリプロピレン、プロピレンに基づくコポリマーまたはターポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレンブロックコポリマー、極性基で変性されたエチレン系コポリマーまたはターポリマー、ブテン−1モノマーを含むポリマーおよびメチルペンテンポリマー(TPX)が挙げられてきた。こうしたブレンド中の非ポリオレフィン成分には、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアルキルメタクリレートおよびポリエステルなどの熱可塑性プラスチックが挙げられてきた。さらに、公知の別の層組成物の一部は、シリカ、炭酸カルシウムまたはクレーなどの無機充填剤を含んでいた。こうした公知の別の層の例は、米国特許第5,501,905号、米国特許第5,474,820号、米国特許第5,425,990号、米国特許第5,366,796号、米国特許第5,364,704号、米国特許第4,960,637号、米国特許第4,513,028号、米国特許第4,447,485号、EP第033824B1号およびJP第76032668B号において見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、公知の方法のどれもが艶消外観の望ましい属性のすべてを兼ね備える艶消面を満足に提供しないし、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントインキマーカーで書き込むことができないし、写真複写で「ゴースト」するし、製造するのが容易ではない問題が依然としてある。特に、上述したすべての特性を提供するが、艶消外観を最適化するために押出フィルムシートの徐冷を必要とせず、フィルムを延伸するために有用な温度範囲を限定しない艶消層組成物が必要とされている。
【0014】
しかし、上述した代替方法のどれもが、強度、容易な分配性、容易な指引き裂き、良好なクラリティ、良好な機械的強度および費用効果性の望ましいすべての属性を兼ね備える接着テープ裏地を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡単に言うと、本発明の一つの態様において、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、多層構造が二軸延伸されているフィルム多層二軸配向フィルムが提供される。好ましくは、この延伸フィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示す。単一方位走査最大は、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0016】
別の実施形態において、各層は、ホモポリマー、コポリマーおよびブレンドなどを含んでよい。こうした実施形態において、本発明は、(a)一次層が全多層厚さ(接着剤組成物層を除く)の少なくとも50%を構成するとともに、一次層の主成分として表される第1のポリマー成分を少なくとも50%含有し、(b)第2ポリマー成分の示差走査熱分析融点(MPdsc)が第1のポリマー成分のMPdscより高いように、二次層が二次層(複数を含む)の主成分として表される第2のポリマー成分を少なくとも50%含有する多層フィルムを提供する。
【0017】
任意のポリマー成分も一次層に含めてよい。さらに、一次層の任意のポリマー成分は、第1のポリマー成分とほぼ同じかまたは異なるMPdscを有してよい。但し、この任意のポリマー成分または二種以上の成分が、望ましいフィルム属性が維持されるようなレベルで存在することを条件とする。任意のポリマー成分(複数を含む)は適するいかなるポリマーであってもよい。一般に、望ましい低レベルの曇り度を得るために、任意のポリマー成分には、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーなど、より好ましくはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーなどのポリオレフィン含有ポリマーが含まれる。
【0018】
任意の中間層を用いてよく、任意の中間層を一次層ポリマーまたは二次層ポリマーのいずれかから主として構成することが可能であり、あるいは任意の中間層は二種のブレンドまたは混合物であってよく、そして加工性およびフィルム特性を最適化するために別の成分をさらに含有してよい。加工性を助けるために、種々の層のメルトフローレート(MFR)が似た値を有することが好ましい。
【0019】
本発明は、特性の組み合わせ、特に低破壊抵抗、低指引裂抵抗、低曇り度、MDでの低引張強度および屈折率差(Δn)の組み合わせを示す切断可能で指引き裂き可能な接着ポリオレフィン系テープを有利に提供する。
【0020】
フィルムは、多くの好ましくて有用な特性の組み合わせを有する独特のフィルムを提供するために二軸延伸される。本発明のフィルムは、単一の実施形態で特性のすべてを示すとは限らず、そうでなく本フィルムは、特性を特定の目的のために調整できるようなフィルムである。有用な特性には、以下の特性が挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
1.単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向。
2.基準MDに対して約±75°以内、好ましくは約±45°以内、より好ましくは約±25°以内の角度に位置する前記最大。
3.約40°〜約75°の単一方位走査最大の幅(半ピーク最大での角全幅)。
4.本明細書に記載されたように示差走査熱分析(DSC)を用いて測定して少なくとも約2℃、好ましくは少なくとも約5℃、より好ましくは少なくとも約8℃の一次層と二次層の主成分間の融点差。ここで一次層の融点は二次層の融点より低い。
5.MDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3×10−3より大きい、好ましくは0以上の屈折率差。
6.幅2.54cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に20J/cm2以下、好ましくは15J/cm2以下、より好ましくは10J/cm2以下、あるいは幅1.27cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に90J/cm2以下の破壊エネルギー。
7.幅2.54cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に約1.3cm以下、好ましくは1.0cm以下、あるいは幅1.27cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に2.0cm以下の破壊伸び。
8.MDでの140MPa以下の引張強度。
9.約4.0%未満、好ましくは約2.0%未満、より好ましくは約1.0%未満のASTM・D1003−97に準拠した一次層および二次層の透過曇り度。
【0022】
一つの好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すとともに明確なピークを示さない単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示すフィルムを提供する。単一方位走査最大は、約40°〜75°の間の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0023】
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、MDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3.0×10−3より大きい屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0024】
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、横方向(TD)での屈折率とほぼ同じかまたは大きい機械方向(MD)での屈折率、換言するとMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された0以上の屈折率差を示すフィルムを提供する。この差が約0である場合、フィルム配向は等方性であると言われる。
【0025】
なおもう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向およびMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3.0×10−3より大きい屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0026】
なおもう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向およびMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された0以上の屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0027】
異なる表面仕上げを設けるために、少なくとも1層の表面仕上げ層を含めてよく、この表面仕上げ層は、書き込み可能表面または艶消面および剥離面などを提供する組成物に限定されない。
【0028】
別の実施形態において、少なくとも1層の一次層、少なくとも1層の二次層および少なくとも1層の表面仕上げ層を含む艶消面多層フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記表面仕上げ層は、前記表面仕上げ層が艶消外観を有するように相分離系を生じさせる非相溶性ポリオレフィンと無機または有機充填剤粒子のブレンドまたは混合物を含み、多層フィルムは二軸延伸されるフィルムが提供される。
【0029】
有利には、本発明の艶消面多層フィルムは、空隙も割れも特になく、曇り度は70〜90%であり、全%光透過率はASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して90%より大きく、光沢はASTM・D2457−97(「Specular Gloss of Plastic Films and Solid Plastics」)によって60°の入射角で測定して10%以下である。さらに、表面仕上げ層は、鉛筆、ボールペンまたはパーマネントマーカーのような物を用いて書き込み可能な層であることが可能である。
【0030】
有利には、本発明のフィルムは手で引き裂き可能であってよい。フィルムが(幅2.54cmのサンプルで試験された時に)10J/cm2以下の破壊エネルギーおよび100MPa以下の引張強度を有する時に、フィルムは手で引き裂くのが適度に容易であることが見出された。フィルムが(幅2.54cmのサンプルで試験された時に)5J/cm2以下の破壊エネルギーおよび50MPa以下の引張強度を有する時に、フィルムは手で引き裂くのにより容易である。
【0031】
さらに、実施形態のすべては、第1の一次層、二次層および第2の一次層を含む構造などの、別の一次層、二次層および表面仕上げ層を含めるようなやり方で構成してよい。さらに、中間層も用いてよく、中間層には、繋ぎ層、プライマー層およびバリア層などが挙げられる。保護層も本発明の範囲を限定せずに加えてよい。上に関して提供された多層フィルムは接着剤層で被覆して、手引き裂き性、分配可能性、書き込み性、艶消およびそれらの一切の組み合わせを得ることが可能である。
【0032】
本発明は、上述したフィルム、こうしたフィルムから製造されたテープ裏地、裏地を含むテープ、およびフィルム、裏地およびテープを製造する方法を提供する。
【0033】
この出願において用いられる時、
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「二軸延伸」とは、フィルムの平面内で二つの異なる方向である第1の方向と第2の方向で延伸されたフィルムを意味する。一般に、常にとは限らないが、二つの方向は実質的に垂直であり、フィルムの縦方向すなわち機械方向(「MD」)(フィルム製造機でフィルムが製造される方向)およびフィルムの横方向(「TD」)(フィルムのMDに垂直の方向)である。MDは、時には「縦方向」(「LD」)と呼ばれる。二軸延伸フィルムは逐次に延伸してよく、同時に延伸してよく、あるいは同時延伸と逐次延伸のある組み合わせによって延伸してよい。さらに、こうした延伸は、釣り合いのとれたフィルムまたは釣り合いのとれていないフィルムを生じさせることが可能である。異方性の分子配向を有するフィルムは、本明細書に記載された所望の特性属性が満たされるかぎり、フィルムのどの主軸にも平行に整列された異方性を示してよい。
【0034】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「複屈折」とは、フィルムの平面内で、すなわち、屈折率を測定するために用いられる入射直線偏光に対して直角の平面内で二つの垂直軸に沿って測定して、フィルムが異なる屈折率値を有することを意味する。このいわゆる「平面内」複屈折は、規定方向に平行の屈折率と第1の方向に垂直に測定された屈折率の差である(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2cd ed.,v.14,pp.552〜562、Wiley−Interscience,NY(1987))。この場合、複屈折((ΔnM−T)と表される)は、機械方向すなわち縦方向に平行に測定された屈折率の値(ΔnM)と表される)マイナス機械方向に垂直に測定された屈折率の値(ΔnT)と表される)として定義される。
(ΔnM−T)=nM−nT,
ここで、屈折率の測定値は四桁の精度である(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2cd ed.,v.10,p.605〜608、Wiley−Interscience,NY(1987))。
【0035】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「同時二軸延伸」とは、二つの方向の各々において延伸のかなりの部分が同時に行われることを意味する。
【0036】
延伸の方法または延伸フィルムを説明するために本明細書において用いられる「延伸比」とは、延伸フィルムの所定の部分の直線寸法対、延伸の前の同じ部分の直線寸法の比を意味する。例えば、5:1のMD延伸比(MDR)を有する延伸フィルムにおいて、機械方向で1cm直線測定値を有する未延伸フィルムの所定の部分は、延伸後に機械方向で5cm測定値を有するであろう。9:1のTD延伸比(TDR)を有する延伸フィルムにおいて、横方向で1cm直線測定値を有する未延伸フィルムの所定の部分は、延伸後に横方向で9cm測定値を有するであろう。
【0037】
「面積延伸比」とは、延伸フィルムの所定の部分の面積対、延伸前の同じ部分の面積の比を意味する。例えば、50:1の全体的面積延伸比を有する二軸延伸フィルムにおいて、未延伸フィルムの所定の1cm2部分は、延伸後に50cm2の面積を有するであろう。
【0038】
文脈によって特に要求されないかぎり、「配向する」、「ドローする」および「延伸する」という用語は全体を通して互換可能に用いられ、「配向された」、「ドローされた」および「延伸された」という用語、ならびに「オリエンティング」、「ドローイング」および「ストレッチング」という用語も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による2層フィルム構造を示す端面図である。
【図2】本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図3】本発明による5層フィルム構造を示す端面図である。
【図4】本発明による艶消面3層フィルム構造を示す端面図である。
【図5】一次層と二次層との間に繋ぎ層をさらに含む本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図6】接着剤層をさらに含む本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図7a】逐次延伸フィルムの説明図である。
【図7b】Δn<−3.0×10−3である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図8a】同時延伸フィルムの説明図である。
【図8b】Δn=0である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図9a】MD偏り同時延伸フィルムの説明図である。
【図9b】Δn>0である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図10a】TD偏り同時延伸フィルムの説明図である。
【図10b】Δn>−3.0×10−3である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図11】本発明のフィルムの切断縁の顕微鏡写真である。
【図12】先行技術のフィルムの切断縁の顕微鏡写真である。
【図13】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図16】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図18】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図19】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図20】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示す多層二軸配向フィルムが提供される。単一方位走査最大は、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0041】
今図1を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム100の端面図が示されている。フィルム100は二軸配向され、一次層15および二次層10を含む。好ましくは、フィルム100は、約0.002〜約0.006センチメートルの範囲内の厚さを有する。
【0042】
好ましくは、フィルム100は、少なくとも2層である、一次層15および二次層10を有する多層ラミネート構造を含み、ここで一次層15はプロピレン含有ポリマーを含み、二次層10は、一次層15より高い融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、ここでフィルムは、本明細書に記載された望ましい特性を提供するために二軸延伸される。
【0043】
さて、図2を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム200の端面図が示されている。フィルム200は二軸配向され、一次層25および二次層20、21を含む。ここで一次層25は、二層の二次層20、21の間にある。二次層20、21は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分は同じであるが比は異なるか、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。
【0044】
さて、図3を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム300の端面図が示されている。フィルム300は二軸配向され、2層以上の一次層35、36および3層以上の二次層30、31、32を含み、ここで一次層35、36は二次層30、31の二層の間にある。第3の層32(二次層と呼ぶけれども)は、二層の一次層35、36の間に配置してよい。内層32が実際の二次層30、31と同じ特性および組成を有するので、「二次層」の名称が維持されることに注意すること。二次層30、31、32は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分は同じであるが比が異なるか、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。さらに、一次層35、36は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分が同じであるが比が異なる点で異なってよく、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。
【0045】
今図4を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム400の端面図が示されている。フィルム400は二軸配向され、一次層45、二次層40および艶消面外観を有する表面仕上げ層42を含む。
【0046】
多様な構成を有するフィルムを本発明により組み立ててよい。但し、フィルム構造が二軸延伸される時、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向をフィルムが示すことを条件とする。
【0047】
ポリオレフィンフィルムの多層の組成物
一次層、二次層、表面仕上げ層において用いられるポリマー、および一切の中間層(複数を含む)ポリマーの分子量は、加工性および層間の付着力を最適化するように選択される。本発明の特に注目すべき一つのエレメントは、比較的高い分子量のポリマーを指引き裂き性フィルムおよびテープを製造するために使用できることである。一般に、ポリマーの高分子量は靱性を促進する。さらに、種々の層間の付着力を促進する不純物または添加剤も組み込んでよい。
【0048】
本発明の目的において、「ポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー」という用語は、少なくとも約90重量%のプロピレンモノマー単位を含むコポリマーを包含することを意味する。こうしたコポリマーは、一般に、知られているループ重合技術、スラリー重合技術または気相重合技術を介してプロピレンおよびエチレンのフィードストリームの反応器重合によって製造される(Polypropylene Structure,Blends and Composites,v.2,ed.J.Karger−Kocsis,Chapman & Hall,NY(1995))。
【0049】
本発明において二次層として用いるための「アイソタクチックポリプロピレン」という用語は、少なくとも約80モル%、好ましくは95モル%より大きい鎖アイソタクティシティ指数、約15重量%未満のn−ヘプタン可溶分およびASTM・D1505−96(「Density of Plastics by the Density−Gradient Technique」)に準拠して測定して約0.86〜0.92g/cm3の密度を有するホモポリマーポリプロピレンを包含することを意味する。ホモポリマーアイソタクチックポリプロピレンは、一般に、高収率触媒およびプロピレンモノマーのみを用いて製造される(Polypropylene Structure,blends and Composites,v.1,ed.J.Karger−Kocsis,Chapman & Hall,NY(1995))。
【0050】
本発明において用いるための代表的なポリプロピレンおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーは、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して約0.1〜25g/分の間、より好ましくは約0.5〜15g/10分の間、なおより好ましくは約1.0〜10g/10分のメルトフローレート、約100,000〜900,000g/モルの重量平均分子量および約2〜15の間の多分散性指数を有する。樹脂または樹脂の組み合わせは、溶媒可溶非結晶性ポリマー分および低分子量化学種などをさらに含んでよい。
【0051】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM1238−95に記載されたように得られる。商業生産者は、一般に自らのポリマーのMFRを報告する。ポリマーを特性決定するもう一つの手段は、固有粘度(IV)を用いることである。高%(>95%)のプロピレン単位を有するポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーに関する固有粘度値は、一般に、テトラリン、デカリンまたは他の適切な溶媒などの溶媒中で、規定された通常は高い温度で測定される。ASTM446−93には、この測定のために適する粘度計が記載されている。「Handbook of Polyolefins:Synthesis and Properties」,eds Corneria Vasile and Raymond B.Seymour,Marcel Dekkaer,Inc.New York,1993,(Pages140〜142)には、マーク−ホーウィンク−サクラダの式を用いるIVと粘度平均分子量Mvとの間の実験的相関およびハギンズの式を用いるIVの決定が記載されている。これらの関係のすべては当業者に周知されている。参考のために、Mwは、約5の分子量分布を有する代表的な商用ポリプロピレンに関してMvより約20%高い。Maroglio(Chim Ind.(Milan)41,879(1959))、ヤマグチ(Makromol Chem,128,19(1969))、Scholte,et al.(T.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.29,3763−3782,(1984))、Grand and Dieckmann(J.Appl.Polym.Sci.9,3231−3244,(1965))およびKinsinger and Hughes(J.Phys.Chem.63,2002−2007,(1959))の結果は、デカリン中で測定されたIVがテトラリン中で測定された時より約0.15単位高いことを示している。
【0052】
The Society of Plastics Engineers,in Polypropylene Fibers−Science and Thechnology,M.Ahmed,Elsevier Science Publishing Company,New York,NY,p.26−29 and 156−161,(1982)には、ポリプロピレンに関するIV(135℃でデカリン中)とMFRとの間の相関、log IV=0.50−0.197log[MFR]が示されている。
【0053】
ポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンコポリマー樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。
【0054】
一次層
さて、今層の組成物について言うと、一次層は、一次層ポリマー組成物の主成分のMPDSCが二次層ポリマー組成物の主成分のMPDSCより少なくとも約2℃低いように、(i)プロピレンホモポリマーまたは(ii)二種以上のプロピレン含有ポリマーのブレンドまたはミックスあるいは(iii)プロピレン含有ポリマーと他の適するポリマーのブレンドまたはミックスを含むプロピレン含有ポリマーを含む。
【0055】
一般に、一次層(複数を含む)の主成分の融点が二次層ポリマーの主成分の融点より約2℃未満しか低くない場合、本発明のフィルムは指で引き裂くのが、より難しくなる。一次層と二次層との間の融点の差に上限はないけれども、実用上の上限は、指引き裂き可能で切断可能なテープ裏地に向けて製造するために本発明のフィルムを二軸延伸することを可能にする限界である。
【0056】
適する一次層ポリマーには、プロピレンとエチレンのランダムコポリマーが挙げられ、約0.5〜4.5%のエチレン含有率が特に適する。他のC2〜C8オレフィンポリマーとのポリプロピレンコポリマーおよび数種のポリプロピレンコポリマーのブレンド、あるいはポリプロピレン−エチレンコポリマーとポリプロピレンのブレンドも適する。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP6253およびテキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)製のEXXON PP9122が挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
他の適する一次層ポリマーには、場合によってチーグラーナッタ触媒系(例えば、米国特許第5,416,228号参照)を用いて重合されたポリプロピレンより低い融点を有するポリマーを生じさせるメタロセン型触媒を用いて重合されたポリプロピレンが挙げられる。メタロセン型触媒によるポリプロピレンの場合、アイソタクチックポリプロピレンが好ましい。
【0058】
任意または副次的なポリマー成分(複数を含む)も一次層に含めてよい。但し、低破壊エネルギーまたは低曇り度のような望ましいフィルム属性を維持できるようなレベルで任意のポリマー成分または二種以上の成分が存在することを条件とする。任意のポリマー成分(複数を含む)は適するいかなるポリマーであってもよいが、低い曇り度レベルを得るために、一次層および二次層は、好ましくは、ポリオレフィンポリマー、コポリマーおよびターポリマーなど、より好ましくはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0059】
特に適するポリプロピレンは、本明細書に記載された所望の特徴および特性に悪影響を及ぼさない量で、約300〜8000g/モルの分子量を有するとともに約60℃〜180℃の軟化点を有する合成起源または天然起源の樹脂も含んでよい。一般に、こうした樹脂は、石油樹脂、スチレン樹脂、シクロペンタジエン樹脂およびテルペン樹脂の四主要クラスの一つから選択される。任意に、これらのクラスのいずれかからの樹脂は、部分的にまたは完全に水素添加されていてよい。石油樹脂は、一般に、単量体成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンおよび/またはペンチレンを有する。スチレン樹脂は、一般に、単量体成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンおよび/またはブタジエンを有する。シクロペンタジエン樹脂は、一般に、単量体成分として、シクロペンタジエンおよび任意に他のモノマーを有する。テルペン樹脂は、一般に、単量体成分として、ピネン、アルファ−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセンおよびカンフェンを有する。
【0060】
一次層中で用いられるポリマーは、出発MFRが0.1〜25g/10分である時(または135℃でデカリンまたはテトラリン中で測定されたIVが約1.7〜5.0である時)、あるいは、より好ましくはMFRが0.5〜15g/10分である時(またはIVが約1.85〜3.6である時)、あるいは、なおより好ましくはMFRが1〜10g/10分である時(またはIVが約2.0〜3.2である時)に適する。
【0061】
一次層のために適する一種のポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーは、1.5g/10分のメルトフローレートを有し、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名6253で市販されている。適するもう一種のポリマー樹脂は、2.1g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー樹脂であり、テキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)から商品名Escorene9122で市販されている。ポリマー樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。これらのMFR値は、IV>2.3(デカリンまたはテトラリン中で135℃で測定されたもの)に相関する。
【0062】
一次層を構成するポリマーに関する好ましい重量平均分子量範囲は、約150,000〜900,000g/モルである。
【0063】
二次層
二次層ポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーまたはエチレンおよびブチレンなどの約1重量%未満のコモノマーを含むコポリマーなどのプロピレン含有ポリマーを含む(2℃のMP差を満たすように)。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP3571アイソタクチックポリプロピレンおよびテキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)製のEXXON PP4792、およびペンシルバニア州ピッツバーグのアリステックケミカル(Aristech Chemical Co.)製のAristech FF036Q2が挙げられるが、それらに限定されない。適するポリマーには、チーグラーナッタ触媒またはメタロセン触媒あるいはそれらの組み合わせを用いて重合されたポリマーが挙げられる。
【0064】
二次層(複数を含む)は、一次層コポリマーとポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーのブレンドも含んでよい。但し、二次層(複数を含む)組成物の主成分の融点が一次層の主成分の融点より少なくとも約2℃高いことを条件とする。
【0065】
適する二次層ポリマーには、一次層ポリマー組成物より少なくとも約2℃高い融点を有するアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンコポリマー、および一種以上のプロピレンコポリマーおよびホモポリマーのブレンドまたは混合物が挙げられる。さらに、二次層組成物は、隣接層間の粘着力を改善するために、アイソタクチックまたは低エチレン含有率ポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーと、より高いエチレン含有率を有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドを含んでよい。
【0066】
二次層中で用いられるポリマーは、MFRが0.5〜25g/10分である時(あるいは135℃でデカリンまたはテトラリン中で測定されたIVが約1.7〜3.6である時)に適する。
【0067】
二次層のためのエチレン1.0%未満の適する一種のプロピレンコポリマーは、約3.5g/10分のメルトフローレートを有し、ペンシルバニア州ピッツバーグのアリステックケミカル(Aristech Chemical Corp.)から商品名FF036Q2で市販されている。エチレン含有率1.0%未満の二次層のために適するもう一種のポリマー樹脂は、約2.5g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー樹脂であり、エクソン(EXXON Chemical)から商品名Escorene4792で市販されている。エチレンを含まない二次層のために適するもう一種のポリマー樹脂は、約2.5g/10分のメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマー樹脂であり、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名3374で市販されている。適するもう一種のポリマー樹脂は、約9.0g/10分のメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマー樹脂であり、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名3571で市販されている。ポリプロピレン樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。上述した適する樹脂は2.0より大きいVIに相関するMFR値を有する。
【0068】
二次層を構成するポリマーに関する好ましい重量平均分子量Mwの範囲は、約100,000〜800,000g/モルである。
【0069】
表面仕上げ層
さらに、フィルム構造は、艶消面および書き込み可能面を付与するために表面仕上げ層を含んでよい。こうした表面仕上げ層は、非相溶性ポリマーのブレンドまたは混合物(すなわち、相分離系を生じさせるブレンドまたは混合物)を含む。例えば、こうした非相溶性ポリマーは、一般に、高い曇り度、低い光沢および艶消外観を示す。こうした非相溶性ポリマーには、例えば、ポリプロピレンと低、中または高密度ポリエチレンのブレンド、およびプロピレンコポリマーまたはターポリマーなどが挙げられる。艶消外観および書き込み性などの特性をさらに改善するために、炭酸カルシウム、二酸化チタンまたはシリケートなどの粒状添加剤を表面仕上げ層組成物に添加してよい。最後に、表面仕上げ層組成物は、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアミドなどのような他のポリマー種を含んでよい。ポリマーのこれらのクラスは、例えば、低下した破壊エネルギー、改善された艶消外観およびバリア特性などのような全体的フィルム構造に特定の特性を付与することが可能である。
【0070】
代表的な表面仕上げ層組成物には、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して30g/分以上、より好ましくは50g/10分以上、なおより好ましくは約75g/10分以上のメルトフローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーなどのプロピレン含有ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。プロピレン含有ポリマーの融点は140℃〜165℃である。
【0071】
プロピレン含有ポリマーの選択は、一般に、一次層の配向温度に基づいて行われる。本発明に関して、表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は、一次層の配向温度より少なくとも2℃低い。表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は、本明細書に記載されたように示差走査熱分析(DSC)を用いて測定される。
【0072】
適するプロピレン含有ポリマーには、プロピレンとエチレンのランダムコポリマーが挙げられ、約0.5〜4.5%のエチレン含有率が特に適する。他のC2〜C8アルファ−オレフィンポリマーとのポリプロピレンコポリマーおよび数種のポリプロピレンコポリマーのブレンド、あるいはポリプロピレン−エチレンコポリマーとポリプロピレンのブレンドも適する。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP3860およびFINA7825が挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】
本発明の表面仕上げ層中で用いられる代表的な高密度ポリエチレンは、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して1g/分以下、より好ましくは0.5g/10分未満、なおより好ましくは0.25g/10分未満のメルトフローレートを有する。本発明において用いられる高密度ポリエチレンの密度は、ASTM・D15050−96(「Density of Plastics by the Density−Gradient Technique」)に準拠して測定して約0.92〜0.97g/cm3である。高密度ポリエチレンの融点は、120℃〜150℃、好ましくは約125℃〜135℃である。
【0074】
適する高密度ポリエチレンには、ポリエチレンホモポリマー、他のC2〜C8アルファ−オレフィンポリマーとのエチレンコポリマーおよび数種のポリエチレンコポリマーのブレンド、あるいはポリエチレンコポリマーとポリエチレンのブレンドが挙げられる。表面仕上げ層中で用いるために適する一種の樹脂は、テキサス州ヒューストンのシェブロンケミカル(Chevron Chemical Co.)から商品名HiD(登録商標)9640で市販されている高密度線状コポリマーである。
【0075】
本発明によると、表面仕上げ層の高密度ポリエチレンのメルトフローレート(230℃および2160gの荷重で測定されたもの)対、プロピレン含有コポリマーのメルトフローレート(230℃および2160gの荷重で測定されたもの)の比は、優れた外観を有する低光沢艶消面を設けるために、少なくとも1:30、好ましくは0.2:30、より好ましくは0.2:100であるのがよい。高密度ポリエチレンとプロピレン含有コポリマーのメルトフローレートの大きな差は、フィルムが表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点より少なくとも2℃高い温度で配向されているかぎり、光沢が低い優れた艶消外観および空隙も割れも特にない艶消面をもたらす。
【0076】
本発明の艶消層ブレンド中で用いられる適する粒状充填剤には、炭酸カルシウム、シリカおよび二酸化チタンなどが挙げられる。本発明によると、微粒子のモース硬度は2より大きいのがよい。粒状充填剤の平均直径が5μm以下、好ましくは3.5μm以下であり、最大粒子径が15μm以下であることが好ましい。粒状充填剤は、粒状充填剤の大きな凝集物がないように表面仕上げ層中で適切に混合されるのがよい。艶消層ブレンド中で用いるために適する一種の粒状充填剤は、ペンシルバニア州ベツレヘムのスペシャルティミネラルズ(Specialty Minerals)から商品名HiPflex(登録商標)100で市販されている。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、表面仕上げ層は、20〜80重量%の高密度ポリエチレンと80〜20重量%のアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマー、より好ましくは40〜60重量%の高密度ポリエチレンと60〜40重量%のアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドを含む。高密度ポリエチレンとアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドに、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントマーカーで書き込むことができる表面を作るために5〜30重量%の粒状充填剤、好ましくは10〜20重量%の粒状充填剤が添加される。
【0078】
本発明の好ましい一実施形態によると、二軸配向後に、全体のフィルム構造の厚さは25〜50μmであり、艶消層の厚さは2〜7μm、より好ましくは3〜5μmである。
【0079】
本発明のフィルムは、優れた艶消外観を有するような所望の光学的外観を有する。本発明の目的において、「艶消外観」は、低い表面光沢および高い曇り度を有するとして定義される。「低い表面光沢」は、ASTM・D2457−97(「Specular Gross of Plastic Films and Solid Plastics」)によって60°の入射角で測定して10%以下の光沢の値として定義される。「高い曇り度」は、ASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して70%より大きく90%より小さい曇り度の値として定義される。フィルムの「全%光透過率」は、ASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して90%より大きい。
【0080】
さらに、本発明は、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントマーカーで書き込むことができる表面を有するフィルムを提供する。こうした書き込み性を得るために、粒状充填剤は、フィルムの表面上に書き込む時に、鉛筆の芯をすり減らすことができ、よって実線を生じさせるように一般には2より大きいモース硬度を有する。
【0081】
技術上知られているような添加剤および他の成分をポリプロピレン組成物に含めてよい。例えば、本発明のフィルムは、充填剤、顔料およ他の着色剤、粘着防止剤、滑剤、可塑剤、加工助剤、核剤または透明剤(clarifying)、帯電防止剤、粘着性付与樹脂、酸化防止剤および熱安定剤、紫外線安定剤および他の特性改良剤を含有してよい。一般に、こうした材料は、ポリマーを配向フィルムに作り込む前にポリマーに添加される(例えば、フィルムに押し出す前にポリマー溶融物中に)。こうした添加剤および他の成分は、当業者に知られうるような有効量で添加される。
【0082】
中間層
さて、図5を参照すると、種々の層53、55、56の間にある中間層(複数を含む)51、52があってよく、あるいは無くてよい。一般に、中間層(51または52)は、二次層53を一次層56に、あるいは一次層56を表面仕上げ層55に「結合」するため等の層付着力またはフィルム加工性を改善するために用いられる。こうした中間層は「繋ぎ層」と一般に呼ばれ、繋ぎ層のいかなる数も一次層、二次層および表面仕上げ層とのいかなる組み合わせでも使用することができる。これは、両方の層と相溶性であるポリマー組成物を用いることにより達成してよく、あるいは両方の層からの一部のポリマーを含む層であってよく、よって良好な付着力および安定な溶融加工性を提供する。
【0083】
中間層は、必要ならば、加工性およびフィルム特性を最適化するために、一次層ポリマーまたは二次層ポリマーのいずれかから主として構成することが可能であるか、または二つのブレンドであってよいか、あるいは別の成分を含有してよい。組み合わせた二次層(複数を含む)と中間層(複数を含む)の厚さは、全フィルム厚さの約5%〜約50%であってよい。さらに、二次層組成物は、コーティングなどの後続の加工中に溶融に耐えるのに十分に熱安定性でなければならない。
【0084】
フィルムの加工−押出/キャスティング
本発明の多層構造は、当業者に知られている装置によってシート状に溶融共押出し、キャストすることができる。その後、こうしたキャストフィルムは、本明細書に記載された好ましいフィルムに到達するために延伸される。本発明によるフィルムを製造する時に、多層シートをキャストする適する方法は、押出機バレル温度を安定な均質溶融物を製造するために調節させた単一スクリュー押出機システム、二軸スクリュー押出機システムまたは他の押出機システムの原料ホッパーに樹脂をフィードすることである。溶融物は、多層またはマニホールド/フィードブロック形式のシートダイを通して回転冷却金属キャスティングホイール上に共押出することが可能である。任意に、キャスティングホイールを流体充填冷却浴に部分的に浸すことができ、あるいは任意に、キャスティングホイールから除去後にキャストシートを流体充填冷却浴に通すことも可能である。この操作の温度は、得られた延伸フィルムが本明細書に記載された所望の特徴および特性を有するように所望の核形成の密度、サイズ、成長速度および層間粘着力を提供するために本明細書における教示の恩恵を用いて当業者によって選択されうる。代表的なキャスティングホイール温度および水浴温度は、適切に結晶化したシートを提供するために、約60℃未満、好ましくは約40℃未満である。
【0085】
フィルムの加工−延伸/配向
本明細書に記載された好ましい方法によりフィルムを二軸延伸するために適するいかなる装置も本明細書に記載された好ましい特性を得ることが可能である。
すべての延伸方法の内、テープ裏地用のフィルムの商用生産のために好ましい装置には、速度が投入速度より速い排出フィルムライン速度を提供する一連の回転ロール上にフィルムを通すことにより一般には最初にMDに延伸し、その後分岐レール上でテンター内でTD延伸する逐次二軸延伸装置、米国特許第4,330,499号および第4,595,738号において開示された装置などの機械的テンターによる同時二軸延伸、米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第4,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号において開示された同時二軸延伸用のテンター装置が挙げられる。二軸延伸フィルムをチューブラーブローフィルムプロセスまたはバブルフィルム製造プロセスによって製造できるけれども、不均一な厚さおよび延伸などの加工問題およびチューブラーブローフィルムプロセスで発生しうる不適切な温度制御を避けるために、テープ裏地として用いる時には本発明のフィルムをフラットフィルム延伸装置によって製造することが好ましい。
【0086】
配向の程度およびタイプまたは方向性は、特に特定の方向に加えられた荷重に関して延伸フィルムの機械的特性をある程度決定する。配向した構造状態は、観察された機械的特性とよく相関する(R.J.Samuels,「Structured Polymer Properties」,Ch.5,John Wiley & Sons,N.Y.およびA.J.DeVries,Polymer Engineering & Science,23(5),241(1983))。
【0087】
延伸操作の温度は、本明細書に記載された所望の特徴と特性を有するフィルムを提供するために本明細書における教示の恩恵を用いて当業者によって選択されうる。これらの温度は、用いられる材料、用いられる特定の装置の伝熱特性によって異なる。同時延伸裏地に関しては、予熱および延伸が約130℃〜200℃の範囲内で行われることが好ましい。
【0088】
分子配向
配向ポリマー系において分子配向を測定する幾つかの広く受け入れられた手段が存在し、それらの中で、光散乱またはX線散乱、吸光度測定および機械的特性分析などがある。定量的方法には、広角X線散乱(「WAXS」)、光学的複屈折、赤外二色作用、および小角X線散乱(「SAXS」)が挙げられる。結晶鎖軸配向分布を決定する好ましい方法は、原線維構造内の結晶平面がブラッグ角として知られている確立された角度で入射X線ビームを散乱または回折するWAXS技術である(A.W.Wilchinski,Journal of Appled Physics,31(11),1969(1960)およびW.B.Lee et al.,Journal of Materials Engineering and Performance,5(5),637(1996)を参照すること)。WAXSにおいて、結晶平面、例えば、ポリプロピレン分子鎖(またはc−)軸に関する情報を含むアイソタクチックポリプロピレンの単斜(110)結晶面を測定し、その後、サンプルの形状によって外部座標に関連づける。
【0089】
本発明フィルムは、好ましくは、MDまたは基準方向「R」のいずれかに関して特定の単結晶モルホロジー配向を有する。
【0090】
図7a〜10bを特に参照すると、図7a、8a、9aおよび10aは、延伸フィルムの配向状態の説明図である。特定の配列(order)および配向を以下で記載する。図7b、8b、9bおよび10bは、それぞれ図7a、8a、9aおよび10aにおいて示された延伸フィルムの種々の値でのWAXS結果の図式説明図である。
【0091】
本明細書において用いられる「基準方向」は、結晶配向の定義の基準となるフィルムの平面内にある軸である。フィルムの機械的特性を決定する時、基準方向はフィルムが延伸される方向である。フィルムを破壊するエネルギーを決定する時、基準方向は、本明細書に記載された破壊試験に供する前にフィルムをぴんと張る方向である。ロール状の接着剤テープに転換された裏地フィルムに関して、基準方向は、テープロールに巻き取ろうとする狭い幅にストックロールをスリットする方向である。一般に、常にとは限らないけれど、基準方向は、フィルムの縦方向すなわち機械方向(MD)と同じである。
【0092】
本発明フィルムの特に有用な特性は、基準方向に対して±75°以下の角度に位置する単一方位走査最大を有するか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱測定によって決定される結晶配向を示すことである。記載された回折図は、代表的なWAXS回折図の一つの四分区間、例えば、90°〜180°の方位角範囲の検査によって検出された図である。図17b〜10bが0°〜180°の角度の間の回折図を描いているけれども、0°〜90°の領域が90°〜180°の領域の鏡像であると言える。0°〜180°のデータを描く選択は、約90°角を中心に置いた回折図を可能にするために行われる。すなわち、MDをより明確に見分けることを可能にするために行われる。単一方位走査最大は、図9aおよび9bに示されたように約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅をさらに有する。本発明フィルムが等方性結晶配向分布を有する場合、WAXS方位走査は、図8aおよび8bに示されたように明確な最大を示さない。この場合、結晶鎖軸配向はフィルムの平面内で均一に分配されている。
【0093】
それに反して、少なくとも一方が基準方向に対して約±75°より大きい角度に位置する図7bに示されたような二個以上のWAXS方位走査最大、あるいは基準方向に対して約±75°より大きい角度に位置する単一特定WAXS方位走査最大の発生は、好ましくないほど延伸されたフィルムの特徴である。ピークまたは二個以上のピークが約40°未満の半ピーク最大での全幅(FWHM)をさらに有する場合、フィルム特性はそれによって本発明の目的のために特に適さない。この場合、フィルムは、一般にはあまりにも伸びやすく、めり込むか隙間ができる傾向があるテープロール、および市販接着剤テープディスペンサーの刃で切断された時に伸び、変形し応力白化する傾向があるテープを生じさせる。さらに、こうしたフィルムは、指を用いて引き裂くのが難しいか不可能であることが判明している。
【0094】
フィルムの配向、または全体的なポリマー系が最も高度に配向されている方向を決定する好ましいもう一つの方法は、ASTM・D542−95に記載されているようにフィルムの屈折率を測定することである。屈折率は、電磁波と材料中の分極性分子の相互作用の理由による材料を通した電磁波の減速または光学的遅延を表す(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,v.14,John Wiley & Son,NY(1987))。ポリプロピレンおよびポリエチレンを含むポリオレフィンに関しては、屈折率は、電子の移動度または分極率が主鎖化学結合に最大平行であるので、屈折率は主鎖方向に沿って最高である。ポリプロピレンフィルムに関しては、主配向方向に平行に測定された屈折率は、この方向に垂直に測定された屈折率より大きい。これを正の複屈折と呼ぶ。こうした場合、フィルムは、配向方向に垂直より平行で大きな配向を有する。本発明の目的において、屈折率は、フィルムのMD方向およびTD方向で測定される。
【0095】
MDでの屈折率がTDでの屈折率より低く、等方性WAXS方位走査またはここではMDであるとする基準方向に対して約±75°以下に位置する特定単一WAXS方位走査最大のいずれかをフィルムが示す場合、得られたフィルムは、特定の用途特性要件が満たされるかぎり本発明においてなお有用でありうる。この場合の配向表現およびWAXS描写は、図10aおよび10bに示されている。
しかしMDでの屈折率がTDでの屈折率より低く、少なくとも一方が基準方向に±75°より大きい位置にある二個以上のWAXS方位走査最大または基準方向に±75°より大きい角度に位置する特定単一WAXS方位走査最大のいずれかをフィルムが示す場合、上述したように、得られたフィルムは、本発明の目的のために適さないことが判明している。
【0096】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「二軸延伸」とは、フィルムがフィルムの平面内で二つの異なる方向で延伸されていることを意味する。一般に、常にとは限らないが、二つの方向は垂直である。二軸延伸フィルムは配向されており、逐次に延伸してよく、同時に延伸してよく、あるいは同時延伸と逐次延伸のある組み合わせによって延伸してよい。フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「同時二軸延伸」とは、二つの方向の各々において延伸のかなりの部分が同時に行われることを意味する。本明細書において開示された本発明フィルムのWAXS方位走査を説明するために用いられる時、「単一最大」は、単斜アイソタクチックポリプロピレンの回折計幾何学および結晶物理学によりX線走査によって精査された360°角範囲内で対称を示すWAXS透過方位走査から観察された単一屈曲として識別可能である。こうした単一最大は、データ中のノイズ、および一般に最大値の1%未満の大きさを有する、ランダム配向を有するポリマーマトリックスの部分に起因する散乱強度から区別可能である。
【0097】
一つの好ましい実施形態において、二軸面積延伸比は、約30:1より大きい、より好ましくは約36:1〜90:1、最も好ましくは約45:1〜90:1である。面積延伸比に関する上限は、かなりの高速において市販装置でフィルムをもう延伸できない実用的限界である。MD延伸比は、好ましくは約4:1より大きい、より好ましくは約4:1〜8.5:1、なおより好ましくは約5:1〜8.5:1、最も好ましくは約6.1:1〜8.5:1である。これらの実施形態のMD成分とTD成分は、本明細書に記載された所望のフィルム特性および特徴を提供するように選択される。本発明のフィルムの配向が、前述した範囲を下回る場合、フィルムは延伸不足になる傾向がある、すなわち、1.3cmより大きい破壊伸び値を示し、それは、切断中または手引き裂き中に過度の伸びにつながり、それは、歪んだ切断縁および応力白化につながる。さらに、不適切な延伸は、局所的くびれおよびシートを横切る厚さと物理的特性の不均一性につながり、その両方は、接着テープの製造の観点から非常に好ましくない。
【0098】
一つの好ましい実施形態において、機械方向延伸比は、機械方向での低い破壊抵抗および限定的な破壊伸びを有する接着テープ裏地を提供するために、横方向延伸比とほぼ同じか、あるいは横方向延伸比より大きい。こうしたテープは、綺麗に切断された縁をもたらすために市販テープディスペンサーの歯で切断中に伸びおよび歪みを避ける。
【0099】
特性および特徴は、好ましい実施形態に関して本明細書に記載されており、接着剤組成物を上に被覆していなフィルムについての例に関して本明細書に報告されている。殆どの場合、物品の特徴および特性が主として裏地によって決まり、接着剤、その他の層、コーティングによる影響は殆どないことが予想される。従って、上の好ましい特徴および特性は本発明の接着テープにも当てはまる。
【0100】
機械的には、切断可能性(分配特性)は、テープ裏地が市販接着テープディスペンサーの歯上で引かれる時の、テープ裏地の破壊荷重として考えることができる。同様に、手で接着テープを引き裂く能力は、裏地が指の間で引かれる時の、裏地の破壊荷重として考えることができる。いずれの場合にも、破壊エネルギーと引張破壊伸びの両方は、使用のための特定のテープ裏地の適性を評価するために用いられる。耐破壊性は、引張試験において、またはテープ裏地をクランプ内に固定して保持し、テープが破壊するまで試験プローブをテープ裏地に通す破壊試験によって評価することができる。手で切断可能且つ引き裂き可能であるように十分に低い引張強度および低い破壊抵抗を有する二軸配向された多層ポリオレフィン系テープまたはテープ裏地を得ることが望ましい。
【0101】
多層二軸配向ポリマーフィルムに関して、切断可能性または引き裂き可能性に関する主要な物理的特性は、一次層と二次層(複数を含む)との間の結晶性の相違、全体的な配向および配向の方向である。これらの物理的特性は、次に、強度、靱性、引張破壊伸びおよび破壊抵抗などのフィルム機械特性を決める。切断可能且つ手引き裂き可能な接着テープが、縦テープまたは機械方向で特に低い破壊抵抗、低い引裂抵抗、低い破壊伸び不良および低い引張強度の特性の組み合わせを示すことが望ましい。
【0102】
本発明の場合、高い破壊抵抗または引裂抵抗を有するフィルムは、この靱性がテープ裏地フィルムに関する所望の切断可能特性に反する点で切断可能接着剤テープ裏地として用いるために不適である。さらに、接着剤テープ裏地は、コーティング操作中および乾燥操作中に処理可能であるために、および縦収縮または熱不安定性によって引き起こされることが知られているめり込みまたは隙間形成を示さない接着剤テープの安定で均一なロールを製造するために、寸法安定性、耐熱性且つ耐収縮性でなければならない。さらに、低破壊抵抗と寸法安定性の組み合わせは、接着剤テープ裏地のために特に望ましい特性である。
【0103】
接着剤被覆テープ
本発明のフィルムは、好ましくは約0.002〜0.006cmの間の最終厚さを有する接着剤被覆テープのための裏地として特に有用である。フィルム厚さの変動は好ましくは約5%未満である。フィルムが好ましくないほど硬いかまたは堅いとともに取り扱いまたは使用し難いほどに厚くない状態でありつつ、過度に薄っぺらいこと、および取り扱い難いことを避けるのに十分に厚いのがよいことを理解した上で、より厚いフィルムおよびより薄いフィルムを用いてよい。
【0104】
本発明のフィルムは、スリーエム(3M)によって商品名Scotch(登録商標)Magic(登録商標)テープまたはScotch(登録商標)Satin(登録商標)テープで販売されているものなどの接着剤被覆テープの構造において特に有用である。特に図6を参照すると、接着剤層をさらに含む本発明によるこうした三層フィルム構造の端面図が示されている。裏地または基材として本発明のフィルム600を用いて、接着剤組成物62は裏地の第1の主表面上に被覆され、接着剤組成物62は技術上知られているような適するいかなる接着剤であってもよい。好ましい接着剤組成物は、圧力、熱またはそれらの組み合わせによって活性化できるものである。フィルム600は二軸配向されており、2層の二次層60、61の間にある一次層65および2層の二次層60、61を含む。
二次層60、61は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは二次層60、61は異なってよい。二次層60、61は、成分が同じであるが比が異なる(二種以上の成分の場合)点で異なってよく、あるいは成分自体が異なる点で異なってよい。
【0105】
接着剤層62のために適する接着剤組成物は、アクリレート、ゴム樹脂、エポキシ、ウレタンまたはそれらの組み合わせに基づくものが挙げられるが、それらに限定されない。接着剤組成物は、溶液コーティング法、水性コーティング法またはホットメルトコーティング法によって塗布してよく、接着剤組成物には、ホットメルト被覆配合物、トランスファー被覆配合物、溶媒被覆配合物およびラテックス配合物、ならびに積層接着剤組成物、熱活性化接着剤組成物および水活性化接着剤組成物を挙げてよい。
【0106】
本明細書に記載された裏地は、ユーティリティテープ、ライトデューティテープ、シールテープおよび補修テープを含む多くの接着テープ裏地用途のために適切である。本裏地は順応性であるので、マスキングテープ裏地としても有用である。
【0107】
接着剤層
本発明において有用な特に有用な接着剤には、すべての感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は、乾燥粘着性、永久粘着性、指圧以下の圧力による粘着性および被着物上に保持する十分な能力を含む特性を有することが周知されている。
【0108】
本発明において有用な接着剤の例には、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンなどのジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ブタジエン−アクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマーおよびスチレン−ブタジエンポリマーなどのブロックコポリマー、ポリ−アルファ−オレフィン、非晶質ポリオレフィン、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル、および上述したものの混合物またはブレンド(連続相または不連続相)の一般組成物に基づくものが挙げられる。
【0109】
さらに、接着剤組成物は、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散性材料、硬化剤、繊維、フィラメントおよび溶媒などの添加剤を含有してよい。
【0110】
有用な感圧接着剤の一般的説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley−Interscience Publishers,(New York,1988))において見られる。有用な感圧接着剤の別の説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers,(New York,1964))において見られる。
【0111】
接着剤組成物の層などのコーティング層の付着力を改善するために、本発明フィルムは、炎放電またはコロナ放電あるいは化学プライミングを含む他の表面処理にさらすことにより任意に処理してよい。さらに、いかなるテープ構造も、粘着を防ぎ制限するために、例えば、任意の低付着力バックサイズ材料などの別のコーティングを含むことができ、よって接着剤被覆テープ製造技術上周知されているように容易な巻き戻しができる接着テープロールの製造を考慮に入れている。
【0112】
本発明の作用を以下の詳細な実施例に関してさらに説明する。種々の特定の実施形態および技術ならびに好ましい実施形態および技術をさらに説明するためにこれらの実施例を提示する。しかし、本発明の範囲内に留まりつつ、多くの変形および修正を行いうることが理解されるべきである。
【実施例】
【0113】
試験方法
フィルムの引張特性の決定
ASTM・D882−97「Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting,」方法Aに記載された手順に準拠して機械方向(MD)破断点引張強度を測定した。試験の前に、フィルムを22℃(72°F)および50%相対湿度(RH)で24時間にわたり状態調節した。ミネソタ州エデンプレーリーのエムティーエスシステムコーポレーション(MTS System Corporation)からModel No.Sintech200/Sとして市販されている引張試験機を用いて試験を行った。この試験用の試験片は、幅2.54cm長さ15cmであった。10.2cmの初期顎距離および25.4cm/分のクロスヘッド速度を用いた。6個の試験片をMDでサンプルごとに試験した。
【0114】
破壊エネルギーの決定
以下に記載したような変更を行ったASTM・F1306−94に基づいた方法を用いて、破壊エネルギーおよび破壊伸びを決定した。ミネソタ州エデンプレーリーのエムティーエスシステムコーポレーション(MTS System Corporation)によって製造されたModel No.Sintech200/S引張試験機を試験のために用いた。ASTM・F1306−94に記載された試験片掴み具を各プレートの中心に径7.62cmの正方形開口を有する二つの硬いプレートを含むように修正した。ASTM・F1306−94に記載された浸透(penetrarion)プローブを半球チップを有する径0.318cmの円筒スチールロッドと取り替えた。プランジャーアセンブリーの押しのけ量を各試験片の装填中および完全浸透(penetrarion)中に測定した。試験用の試験片を以下に報告したように幅2.54cmのストリップまたは幅1.27cmのストリップにMDに平行に切断した。試験片は、クランプアセンブリー内で適切に掴むために長さ12.7cmであった。各試験を254cm/分の速度で行った。少なくとも6個の試験片を決定ごとに試験した。試験の前に、22℃(72°F)および50%相対湿度(RH)で24時間にわたりフィルムを状態調節した。
【0115】
試験ごとに、試験片をアセンブリー中に掴んだ。各試験片をプレート開口を横切って中心に置いた。クランプアセンブリーの底プレートの一方側上にサンプルを保持するために感圧接着剤テープの片を用いた一方で、サンプルが一定張力下で装填されたことを確実にするために試験片の他方側に重り(75g)を吊した。その後、サンプルが試験中に滑らないように、蝶ねじを用いてクランププレートを締め付けた。クランプアセンブリーをプランジャーの下に置いて、プランジャーの経路がサンプルの中心を通るようにした。サンプルを破壊するために要した全エネルギーおよび破壊伸びを決定した。
【0116】
請求の範囲を含む本明細書において用いられる時、「破壊試験−2.54cm」という用語は、幅2.54cmのサンプルで行われたような丁度今記載した試験を指し、「破壊試験−1.27cm」という用語は、幅1.27cmのサンプルで行われたような丁度今記載した試験を指す。
【0117】
幅2.54cmのサンプルについて得られた破壊試験結果と幅1.27cmのサンプルについて得られた試験結果との間に相関関係が存在すると結論付けられた。すなわち、幅1.27cmのサンプルについて得られた試験結果は、幅2.54cmのサンプルで測定された同じフィルムタイプに関するよりも値が約3.25〜3.5倍高かった。
【0118】
広角X線散乱(WAXS)測定
Picker4サークル回折計、銅Kα線、および散乱放射線のシンチレーション検出器レジストリーの使用によって広角X線回折データ(WAXS)を集めた。回折計には固定入口スリットおよび固定受取りスリットを装備した。有効基準方向軸が垂直に向き、回折計2θ軸と一致している透過データ収集配置(geometry)を用いた。X線発生器を40kVおよび25mAの設定で運転した。入射X線ビームにさらされたフィルムの部分下で裏地プレートも支持体も用いずに二重被覆接着テープを用いて、試験片をアルミニウムホールダ上に取り付けた。
【0119】
0.05度ステップサイズおよび30秒の計数時間を用いて5から35度(2θ)まで行ったサーベイステップ走査からポリプロピレンのピーク位置を突き止めた。3度ステップサイズおよび10分の計数時間を用いて、ポリプロピレン単斜(110)最大の方位ステップ走査を−180〜+180度(X)の計器設定から行った。得られた散乱データを方位角と強度値のx−y対に換算し(reduced)、データ分析ソフトウェアORIGIN(登録商標)(One Roadhouse Plaza,Northhampton,MA.01060のミコロカルソフトウェア(Microcal Software Inc.)から入手できるORIGIN(登録商標)バージョン4.1)を用いてプロファイルフィッティングに供した。方位走査で観察された強度最大を記載するためにガウスの形状モデルを用いた。上述したプロファイルフィリング手順で測定された幅を直線バックグラウンドモデルより上で半最大での全幅(FWHM)として解釈した。WAXSの結果を表1に示している。
【0120】
屈折率の試験方法
一般には機械方向(MD)であるとする基準方向に平行および垂直の方向でASTM・D542−95に準拠してフィルムサンプルの屈折率を測定した。屈折率を測定するために、米国ニュージャージー州ペニントンのメトリコンコーポレーション(Metricon Corporation)から入手できるMetricon Model2010Prism Cpuplerを用いた。このモデルには、200−P−1型プリズムおよび低動力(公称0.5mw)He−Neレーザー(632.8nm)、CDRH/BRH ClassII光源が装備されていた。このシステムに関する屈折率範囲は1.80未満である。
【0121】
サイズ1.3cm×3.8cmの試験片を測定しようとするフィルムサンプルから切り出した。基準方向を光源に対して垂直に向けるように試験片をサンプルチャンバ内に装填した。空気式作動カップリングヘッドによってプリズムのベースに試験片を接触させ、プリズムベースから光検出器上に反射するレーザービームによって試験片を走査した。入射角(モード角)の特定の離散(discrete)値で、光検出器に達する光の強度の急激な低下が起きた。その後、第1のモードの角位置はフィルムの屈折率を決定する。
【0122】
同様に、基準方向を水平に向けるようにサンプルを90°(すなわち、垂直)回転させた後に、屈折率を決定した。その後、基準方向または横方向に垂直として付記されたこの方向で屈折率を測定した。
【0123】
曇り度の試験方法
実施例フィルム構造の曇り度をASTM・D1003−97に準拠して測定した。測定において用いた曇り度計は、メリーランド州コロンビアのビーワイケーガードナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−gardプラス,Cat.No.4725であった。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度計の曇り口を横切って手で取り付け、測定を作動させた。10回の曇り度測定を行い、これらの10回の測定の平均を本明細書における曇り度値として報告した。
【0124】
融点の決定
25℃〜200℃の温度範囲を通して10℃/分の加熱速度を用いるDuPont Model2100示差走査熱分析計(DSC)を用いて、ASTM・E794−98に準拠して樹脂サンプルの融点を決定した。約5mgの樹脂サンプルを金属DSC皿に装填し、押し付け(crimped)、試験チャンバにセットした。25℃から200℃まで10℃/分で窒素正圧下でサンプルを最初に加熱し、200℃で3分にわたり保持し、10℃/分で25℃に冷却し、その後、サンプルとDSC皿との間の良好な接触を確保するために再走査し、第2の走査の吸熱ピークをポリマーサンプルの融点と解釈した。値を表1において報告している。
【0125】
本発明の作用を以下の詳細な実施例に関してさらに説明する。種々の特定の実施形態および技術ならびに好ましい実施形態および技術をさらに説明するためにこれらの実施例を提示する。実施例が示しているように、技術上一般に教示されているように公称機械延伸比を記載することによってフィルムを定義するのではなく、本明細書に記載されたフィルムの好ましいモルホロジーを得るためにある程度までフィルムを延伸することによりフィルムの所望の特性が得られる。しかし、本発明の範囲内に留まりつつ、多くの変形および修正を行いうることが理解されるべきである。
【0126】
切断されたフィルム縁の光学顕微鏡法
ディスペンサー刃を横切ってテープを真っ直ぐ下に引くことにより手によって切断プラスチック刃(ミネソタ州セントポールのミネソタマイニングアンドマニュファクチャリングカンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Companyから本明細書の出願日付けで入手できる3Mカタログ#105)で、本発明により製造されたフィルムおよび本明細書に記載された比較フィルムを分配した。こうして得られた試験片をガラス顕微鏡スライド上に取り付けて、切断縁の画像を得た。ミネソタ州ミネアポリスのリーズプレシジョンインストルメンツ(Leeds Precision Instruments,Inc.)から市販されているOlympus BHSM Type BH−2光学顕微鏡を用いて写真画像を得た。ASA3000のPolaroid(登録商標) Type57白黒インスタントプリントフィルムおよび反射光によって写真画像を得た。各画像は、参照のために2mmの尺度バーを含んでいる。図11は、上述したように切断された本発明のフィルムの縁である一方で、図12は、これも上述したように切断された先行技術フィルムの縁である。
【0127】
光沢の試験方法
実施例フィルム構造の光沢をASTM・D2457−97に準拠して測定した。測定において用いた光沢計は、メリーランド州コロンビアのビーワイケーガドナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−Gloss反射率計,Cat.No.4601であった。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度−光沢反射率計のサンプル支持台上に手で取り付け、測定を60°の光入射の角度で行う。
【0128】
鉛筆の%面積付着量
鉛筆の%面積付着量を次のように決定した。重りを加えて60角で鉛筆によりサンプル上に書き込むために書き込み機を用いた。その後、鉛筆の芯の%面積付着量を決定するために定量的画像分析を用いた。鉛筆の%面積付着量結果を表9に示している。比較として、酢酸セルロースでの鉛筆の%面積付着量は0.9%であり、紙では0.4%である。
【0129】
全%光透過率試験方法
実施例フィルム構造の全%光透過率をASTM・D1003−97に準拠して測定した。メリーランド州コロンビアのビーワイケーガドナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−Glossプラス,Cat.No.4725を用いて測定を行った。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度計の曇り口を横切って手で取り付け、測定を作動させた。10回の反復全%光透過率測定を行い、これらの10回の測定の平均を本明細書における透過率値として報告した。
【0130】
走査型電子顕微鏡写真(SEM)
Hitachi S−530走査型電子顕微鏡を用いてフィルム表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。電子ビーム出力は20kVであった。倍率は150倍であった。
【0131】
実施例の作製
実施例1〜49のフィルムの二次層および一次層のために用いたポリマー樹脂を表1に記載し、実施例50〜55を表6に記載する。用いた層比(重量)を表2および表7に記載する。一次層の厚さが約90%であった実施例21および22を除いて、すべての場合に一次層の厚さを全フィルム厚さの約80%で一定に保った。
【0132】
同時延伸プロセス
米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第4,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号に記載されたプロセスを用いて、実施例1〜43に記載されたような同時二軸配向多層フィルムを作製した。ドイツのシーグスドルフのブリュックナーマシネンバウ(Bruckner Maschinenbau)によって製造された同時延伸装置で同時延伸プロセスを行った。
【0133】
実施例1において、多層フィルムは、二次層中で約20%のプロピレンホモポリマーB(一次層の各側で約10%)を伴って一次層中で約80%のプロピレンコポリマーGから成っていた。詳しくは、一次層に関しては、約202℃〜265℃の溶融温度を有する安定な溶融物を生じさせるために、Berstorff6.0cm二軸スクリュー押出機を用いた。
【0134】
二次層に関しては、約195℃〜245℃の溶融温度を有する安定な溶融物を生じさせるために、HPM4.45cm単軸スクリュー押出機を用いた。
【0135】
セレクターハウジングが装備されたCloeren3−層共押出ダイに溶融物を移送した。実施例1〜実施例20および実施例27〜実施例43において、「ABA」セレクタープラグを設置し、HPM押出機からのポリマー溶融物「A」がチャンネルを通して流れるようにして、Berstorff押出機からの溶融物「B」を差し込み、よって三層、二次/一次/二次または溶融物の「ABA」サンドイッチを内部で形成し、その後、この三層溶融物をスロットダイを通して押出し、約4.7〜6.8メートル/分で回転している水冷スチールキャスティングホイール上にキャストした。キャスティングホイールは、内部水循環を用いて、そして水浴にキャスティングホイールを浸漬することにより20℃〜30℃の範囲の温度に維持されていた。キャストシートは、幅約35cm、厚さ約0.15〜0.20cmであった。
【0136】
実施例21および22において、「ABB」セレクタープラグを設置し、HPM押出機からのポリマー溶融物「A」がチャンネル外の一つを通して流れるようにした。Berstorff押出機からの溶融物「B」を一次に、そして両側の一方に送り、よって溶融物の三層「A/B/B」サンドイッチを内部で形成し、その後、この三層溶融物をスロットダイを通して押出した。キャスティングを既に記載したように完了した。
【0137】
実施例23〜26において、5−層構造を有する多層フィルムを作製した。構造を「ACBCA」構造と呼んでよく、「A」二次層は、上述したようにHPM押出機を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成り、「B」一次層は、上述したようにBerstorff押出機を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成る。「C」層は、3.8cmのDavis Standard単軸スクリュー押出機Model DS15を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成っていた。約250℃の溶融温度を有する安定な溶融物が生成した。セレクタープラグを設置し、最初にポリマー溶融物「C」をポリマー「B」溶融物ストリームの各側に送り、多層「CBC」溶融物ストリームを形成し、その後、ポリマー溶融物「A」をこの「CBC」多層ポリマー溶融物ストリームの各側に送った。その後、得られた「ACBCA」層状溶融物ストリームはダイから出、水冷スチールキャスティングホイール上へのキャスティングを既に記載したように完了した。「A」層、「B」層および「C」層を構成するポリマー成分を表1および2において明示している。
【0138】
キャストシートを約600℃に設定されたIRヒーターのバンクに通して、テンターオーブン内で同時延伸する前にキャストフィルムを予熱した。キャストされ予熱されたフィルムを直ちに縦方向(MD)および横方向(TD)に同時延伸して、二軸延伸フィルムを生じさせた。約45:1〜約75:1の最終面積延伸比を用いた。MDおよびTDの比をMDRについて約7.5〜8.0倍およびTDRについて約7.0倍でほぼ一定に保ち、MDとTDの各々でほぼ同じか、あるいは好ましくは、TDの場合よりMDの場合に、より大きくフィルムを延伸するようにした。
【0139】
実施例ごとのテンターの予熱区画、延伸区画およびアニール区画内で用いたテンターオーブン温度設定点を表3に記載している。実施例1に関しては、テンター内の予熱ゾーンを約207℃に設定し、延伸ゾーンを約175℃に設定し、アニールゾーンを約130℃に設定した。フィルムは厚さ約0.030mmであり、スリット幅は約127cmであった。約45メートル/分の巻き上げ速度を用いた。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向および横方向にスリットした(オフラインで)。フィルムの機械的特性を表4に示している。分子配向データを表5aおよび5bに記載している。
【0140】
逐次延伸プロセス
実施例44〜48を次の通り作製した。
【0141】
実施例44において、多層フィルムは、三台の押出機の産出量を基準にして一次層中の約80%のプロピレンコポリマーGおよび二次層中の約20%のプロピレンホモポリマーB(PP−B)(一次層の各側で約10%)から成っていた。
オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機に一次ポリマーをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された2.54cmの単軸スクリュー押出機(Model番号D5−10−HM15)に一次の両側の一方(キャスティングホイールに接触した側)上に二次層ポリマーをフィードした。ニュージャージー州S.ハッケンサックのブラベンダー(Brabender)によって製造された3.18cmの単軸スクリュー押出機(Controller Type SP−T2504D付きType D−51)に一次の他方側(キャスティングホイールに接触しなかった側)の二次層ポリマーをフィードした。約240℃〜260℃に至る約194℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約252℃に加熱した。溶融物をフィードブロックに移送し、溶融物の3層二次/一次/二次サンドイッチを内部で形成することを可能にし、その後、このサンドイッチを17.8cmのシートダイを通して押し出した。ホイールの一部が浸漬されている循環水浴で約60℃に維持された回転平滑スチールキャスティングホイール上に三層押出物をキャストした。キャスティングホイールの温度は、循環周囲温度(60℃)水によっても維持した。
【0142】
キャストフィルムを125℃に内部加熱された一連のロール上に通し、約5:1の延伸比に縦方向すなわち機械方向(MD)に延伸した。次に、MD延伸シートを分岐テンターレール上で一連のクリップ内に縁状に掴み、約9:1の最終TD延伸比に交差方向すなわち横方向(TD)に延伸した。特定の延伸条件およびテンター温度条件を表3に記載している。得られた二軸延伸フィルムを室温に冷却し、その縁をレーザースリッティングによってトリムし、約10メートル/分でマスターロール上に巻き取った。フィルムは厚さ約0.028〜0.038mmであり、スリット幅は約25〜30cmであった。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向および横方向にスリットした。フィルムの特性を表4に示している。分子配向データを表5aおよび5bに記載している。
【0143】
結果および考察の節
逐次配向プロセスを用いて実施例44〜48を作製した。このプロセスは、一般に、過度のMD伸びおよびWAXSと複屈折測定によって決定されるような破壊エネルギーの高い値を逐次サンプルが示す点で本発明の目的のためにあまり適さない。実施例47は低い破壊エネルギー値を示す一方で、このサンプルを伸びさせ、歪ませ、そして代表的な接着テープディスペンサーを用いて切断するのを難しくなるようにする非常に高い伸びも示した。
【0144】
実施例1および2は、一次層と二次層との間の望ましい融点差、および適切な配向をもったフィルムの例である。これらのサンプルは、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、さらに、これらの実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。
【0145】
実施例3は、配向は適切であるが、二次層と一次層との間の融点の不適切な差を有するフィルムである。これは、好ましくないほど高い破壊エネルギーおよび靱性を有するフィルムを生じさせ、市販接着テープディスペンサーを用いて切断することを難しくさせる。
【0146】
実施例12は一次層中に核剤を含有しており、それは、フィルムにクラリティと改善された剛性を付与した。一般に、高い剛性または弾性率を有するフィルムは、従来のウェブ取り扱い装置内で、より容易に取り扱われる。
【0147】
実施例15〜20は二次層中にブレンド樹脂を有し、ブレンド樹脂の大部分の成分は一次層ポリマーに対する適切な融点差をもっていた。より低い融点の樹脂または一次層樹脂でさえを二次層に組み込むと、外皮層と一次層との間の粘着力を改善し、加工性を助け、あるいはクラリティを改善した。
【0148】
実施例21〜22は、適切な配向および低い破壊エネルギー値を提供するのに外皮層と一次層との間で十分な融点差を有する2層構造を説明している。こうしたフィルムは、加工中またはロール巻き戻し中に生じる応力が、別の層が存在するなら、その別の層の部分離層を引き起こすのに十分に高い場合、特定の包装用途およびテープ裏地において有用でありうる。
【0149】
実施例23〜26は、層間付着力および必要とされる全体的フィルム特性を改良するために繋ぎ層を組み込んだ5層フィルム構造を実証した。こうした繋ぎ層は、全体的なフィルム機械的挙動に殆ど寄与しないように十分に少量で存在していた。
【0150】
実施例28〜30は、一次層中にブレンドする樹脂の効果、特に、より結晶性のアイソタクチックポリプロピレンの添加の効果を実証した。これらの場合、フィルムは増加する破壊エネルギーを犠牲にして剛性を獲得したが、後続のコンバーティング操作での、より安定なウェブ取り扱いを提供する際に有用であった。
【0151】
実施例32、33および35を同時二軸延伸して、5.5の低下したMD延伸比を提供した。驚くべきことに、これらの場合は引張伸びの増加を示す一方で、低い破壊エネルギー値をなお保持し、そして容易に切断可能であったか、あるいは手で引き裂かれた。表5bに示しているように、これらの実施例に関して測定された分子配向は若干の横特性をもっていた。その特性は、驚くべきことに、こうしたフィルム裏地の破壊エネルギーまたは有用性に強い影響を及ぼしていない。これは、実施例C−1〜C−5に関してはそうではなかった。実施例C−1〜C−5は、市販接着テープディスペンサーを用いて分配された時に均等でないか歪んだ切断縁に加えて、大きな負の複屈折値、および続いて高いMD引張伸び、そして殆どの場合高い破壊エネルギー値をもっていた。
【0152】
実施例38および41に加えて実施例39、40、42および43は、フィルムの一次層に炭化水素粘着性付与樹脂を添加する効果を示している。これらの場合が示すように、粘着性付与性樹脂は破壊エネルギーを改善するとともに破壊応力値を減少させる傾向がある。これらの実施例は、粘着性付与性樹脂を用いずに作製された比較例より顕著に剛性であった。前に述べたように、より剛性のフィルムは、後続のウェブ取り扱い操作に関して、より軟らかいフィルムより好ましいことが多い。相互に接着することになる隣接フィルム層の傾向を増加させうる場合、表面への移行またはブリードを避けるために、こうした樹脂を一次層に添加することが好ましい。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
逐次延伸プロセス
実施例50〜55を次の通り作製した。
【0160】
実施例50
三層フィルム構造を作製した。この構造は、「C」表面層(キャスティングホイールに接触しなかった側)、「B」コア層および「A」二次表面層(キャスティングホイールに接触した側)を伴った「ABC」構造と呼ぶことができる。共押出プロセスを用いてフラットフィルムダイから三層フィルムを作製した。
【0161】
層A、BおよびC中で用いたポリマーを表6に記載している。層Bおよび層AはポリマーPP1を含む。表面仕上げ層(層C)は、表7に記載されたような20/40/40のCC/PP2/HDPE2のブレンドを含む。ニュージャージー州サマビルのレイストリッツ(Leistritz)によって製造された27mmの同時回転二軸スクリュー押出機にCCを1.4kg/hrで、PP2を2.7kg/hrで、HDPE2を2.7kg/hrでフィードすることにより、このブレンドを調製した。約195℃〜230℃のバレルゾーン加熱設定点を用いて、このブレンドを約230℃に加熱した。ストランドダイを通してブレンドを押出し、約15℃の温度で維持された水浴にストランドを通した。その後、回転ナイフを用いてストランドをペレットに切断した。
【0162】
オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機にコア層(層B)ポリマーをフィードした。ニュージャージー州S.ハッケンサックのブラベンダー(Brabender)によって製造された3.18cmの単軸スクリュー押出機に表面層(層C)ポリマーブレンドをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された2.54cmの単軸スクリュー押出機に第2の表面層(層A)ポリマーをフィードした。約194℃〜250℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約250℃に加熱した。ポリマー溶融物を三層フィードブロックに、その後、幅17.8cmのシートダイに移送した。両方ともテキサス州オレンジのクローレン(Cloeren)によって製造されたものである。約50℃に維持された回転平滑スチールキャスティングホイール上に厚さ1.37cmの三層シートをキャストした。その後、シートを20℃の水浴に浸漬する。
【0163】
120℃に内部加熱された一連のロール上に通すことによりキャストフィルムを加熱し、その後、縦方向すなわち機械方向(MD)で約5:1の延伸比に延伸した。次に、MD延伸シートを分岐テンターレール上で一連のクリップ内で縁状に掴み、交差方向すなわち横方向(TD)で約9:1の最終TD延伸比に延伸した。特定の延伸条件およびテンター温度条件を表8に記載する。得られた二軸延伸フィルムを室温に冷却し、その縁をレーザースリッティングによってトリムし、約10メートル/分でマスターロール上に巻き取った。フィルムは厚さ約0.030mmであり、コア層(B)は厚さ約0.021mmであり、各表面層は厚さ約0.0045mmである。フィルムの特性を表9に示している。図13に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。SEMは、低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも示している。
【0164】
実施例51
実施例50を繰り返した。層C中で用いたブレンドは、表7に記載したように20/40/40のCC/RCP3/HDPE2のブレンドを含んでいた。層B中で用いたポリマーはRCP1を含んでいた。この実施例を作製するために用いられた加工条件を表8に示している。フィルムの特性を表9に記載している。図14に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0165】
実施例52
実施例51を繰り返した。延伸温度T2を142℃に下げた。フィルムの特性を表9に記載している。図15に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0166】
実施例53
層C中で用いたブレンドが表7に記載したように20/40/40のCC/RCP2/HDPE2のブレンドを含んで、実施例52を繰り返した。ブレンド中で用いたランダムコポリマーは、4g/10分のメルトフローをもっていた。曇り度値および光沢値に関しては、この実施例は表9に示したように本発明の所望値を達成しなかった。図16に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。しかし、フィルム表面には多数のリッジがなく、本発明の範囲外の光沢値を有するフィルムが生じた。
【0167】
実施例54
表8に記載されたように、より低い延伸温度T2で実施例50を繰り返した。層B中で用いたポリマーは、表7に示したようなRCP1を含む。延伸温度は、層Cのブレンド中で用いたポリプロピレンの融点より低かった。フィルムの特性は、表9に示した所望の値を満たさなかった。図17のSEMにおいて明らかなように、表面層の炭酸カルシウム粒子を取り囲む大規模なポリマー空隙が存在した。鉛筆の芯で艶消面層を引っ掻き、そして取り除かずには、フィルムの艶消面上に書き込むことができなかった。
【0168】
実施例55
層C中で用いたブレンドが表7に記載したように20/40/40のCC/PP2/HDPE1のブレンドを含んで、実施例50を繰り返した。ブレンド中で用いた高密度ポリエチレンは、7g/10分のメルトフローをもっていた。この実施例の曇り度値および光沢値は、表9に示したように本発明の所望値を達成しなかった。図18に示したSEMは、空隙および割れが特になかった表面を示している。しかし、フィルム表面には多数のリッジがなく、本発明の範囲外の光沢値を有するフィルムが生じた。
【0169】
同時延伸プロセス
米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第5,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号に記載されたプロセスを用いて、実施例56〜57に記載されたような同時二軸配向多層フィルムを作製した。ドイツのシーグスドルフのブリュックナーマシネンバウ(Bruckner Maschinenbau)によって製造された同時延伸装置で同時延伸プロセスを行った。
【0170】
実施例56
三層フィルム構造を作製した。この構造は、「C」二次層(キャスティングホイールに接触しなかった側)、「B」一次層および「A」表面仕上げ層(キャスティングホイールに接触した側)を伴った「ABC」構造と呼ぶことができる。共押出プロセスを用いてフラットフィルムダイから三層フィルムを作製した。
【0171】
層A、BおよびC中で用いた材料を表6に記載している。このフィルム構造を表7に記載している。
【0172】
C層は、20/40/40のCC/RCP3/HDPE2のブレンドを含む。ミシガン州グランドラピッズのエーピーブイ(APV)によって製造された50mmの同時回転二軸スクリュー押出機にCCを20kg/hrで、RCP3を40kg/hrで、HDPE2を40kg/hrでフィードすることにより、このブレンドを調製した。約190℃〜230℃のバレルゾーン加熱設定点を用いて、このブレンドを約230℃に加熱した。ストランドダイを通してブレンドを押出し、約15℃の温度で維持された水浴にストランドを通した。その後、回転ナイフを用いてストランドをペレットに切断した。
【0173】
ドイツのハノーバーのベルシュトフ(Berstorff)によって製造された6.0cmの同時回転二軸スクリュー押出機にコア層(層B)ポリマーをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された3.81cmの単軸スクリュー押出機に上で調製された表面層(層C)ブレンドをフィードした。オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機に第2の表面層(層A)をフィードした。約190℃〜250℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約250℃に加熱し、安定な溶融物ストリームを生じさせた。
【0174】
セレクターハウジングおよび「ABC」セレクタープラグが装備されたCloeren3層共押出ダイに溶融物を移送し、ポリマー溶融物の3層「A/B/C」サンドイッチをスロットダイを通して押出し、約5.0メートル/分で回転している水冷スチールキャスティングホイール上にキャストするようにした。キャスティングホイールは、内部水循環を用いて、そして水浴にキャスティングホイールを浸漬することにより約20℃の温度に維持されていた。
【0175】
キャストシートを約500℃に設定されたIRヒーターのバンクに通して、テンターオーブン内で同時延伸する前にキャストフィルムを予熱した。キャストされ予熱されたフィルムを直ちに縦方向(MD)および横方向(TD)に同時延伸して、二軸配向フィルムを生じさせた。約49:1の最終面積延伸比を用いた。MDおよびTDの比をMDRについて約7.5倍およびTDRについて約6.5〜7.0倍でほぼ一定に保ち、MDとTDの各々でほぼ同じか、あるいは好ましくは、TDの場合よりMDの場合に、より大きくフィルムを延伸するようにした。
【0176】
表8に記載されたように、予熱ゾーンで用いたテンターオーブン温度設定点は176℃であり、延伸ゾーンでは140℃であり、アニールゾーンでは130℃であった。フィルムは厚さ約0.035mmであり、スリット幅は約127cmであった。フィルムを約37.5メートル/分の速度で巻き上げた。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向にスリットした(オフラインで)。
【0177】
フィルムの特性を表9に示している。この実施例は、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着剤テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、この実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。図19に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。SEMは、低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも示している。
【0178】
実施例57
実施例56を繰り返した。予熱温度T1を180℃に上げ、延伸温度T2を142℃に上げ、アニール温度T3を145℃に上げた。フィルムの特性を表7に示している。この実施例は、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着剤テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、この実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。図20に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0179】
【表7】
【0180】
【表8】
【0181】
【表9】
【0182】
【表10】
【0183】
本発明の種々の修正および変更は本発明の範囲と原理を逸脱せずに当業者に対して明らかになるであろう。本明細書で上述した説明的実施形態に本発明が不当に限定されないことは理解されるべきである。すべての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特許が、引用して援用されるべく明確に個別に指示されているのと同じ程度に本明細書に引用して援用する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テープ裏地として有用なフィルムに関し、より詳しくは、プロピレン含有一次層および少なくとも1層のポリオレフィン含有二次層を含むとともに表面艶消層などの表面仕上げ層をさらに含む多層ラミネート二軸配向裏地に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されている感圧接着テープは、通常ロール状で提供され、テープディスペンサー上で提供することが可能である(例えば、米国特許第4,451,533号および第4,908,278号を参照すること)。一般に、市販されているディスペンサーは、金属鋸歯状刃またはプラスチック鋸歯状刃のいずれかを有する。ディスペンサーが設けられていない場合、テープを手で引き裂くことができることが望ましい。
【0003】
接着テープの「切断可能性」は、所望のエネルギー量または仕事量でテープディスペンサーの鋸歯状切断縁上の歯上でテープを引くことによりテープの一定長さを裁断または切断する能力として定義される。切断可能性は「分配可能性」とも呼ぶ。切断されたテープが予想できない仕方で割れない、縦割れしない、破断しない、破壊しないことが望ましい(米国特許第4,451,533号および第4,908,278号参照)。こうした切断可能性は、切断されたテープストリップ上に綺麗に切断された切り口を生じさせるために望ましい。
【0004】
接着テープは多くの異なるフィルムから製造される。強靱すぎる傾向があるとともに荷重下にある間に破壊前に著しく伸びるフィルムは、特にプラスチック刃ディスペンサー上でこうしたフィルムを切断するのを非常に難しくする。プラスチック刃付きテープディスペンサーは、ミネソタ州セントポールのミネソタマイニングアンドマニュファクチャリングカンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company)から入手できるカタログ番号104 3M Magic(登録商標)テープディスペンサーなどの手持ち式装置用に一般に用いられる。しかし、プラスチック刃付きテープディスペンサーは、一般に、配向したポリプロピレンテープを切断するのに十分に鋭くなく耐久性でない。この理由で、二軸配向ポリプロピレンテープ用の代表的なディスペンサーには、通常は、鋭い金属刃が装着されている。こうした金属刃ディスペンサーは、プラスチック刃付きディスペンサーより高価であるとともに製造するのが難しい。
【0005】
二軸配向アイソタクチックポリプロピレンフィルムは、靱性、低コスト、良好な色、防水性、耐縦割れ性およびクラリティに関して周知されており、接着剤テープ裏地として長く用いられてきた(米国特許第3,241,662号および第3,324,218号参照)。けれども、上述したように、こうしたフィルムは、特にプラスチックディスペンサーを用いて分配するのが、より難しい。さらに、こうしたフィルムは、手で引き裂くのが非常に難しいことが考えられ、一般に、ある程度の指引き裂き性を可能にするのに十分な縁欠陥を提供するために粗回転刃または平回転刃でスリットされる。この方法は、見苦しい不均一縁およびずっと低下したテープ強度の原因になる。
【0006】
切断可能で指引き裂き可能な接着テープ裏地フィルムを製造するためにポリオレフィンフィルムを改善しようとする幾つかの試みがあった。
【0007】
例えば、JP第53034834号には、より脆くて指引き裂き可能なフィルム裏地を製造するために、ポリプロピレンと低分子量ポリオレフィンの混合物が記載されている。米国特許第3,887,745号には、テープ交差方向の直線引き裂きを促進するために厚い二次層が横(または垂直)方向に一軸配向されている2層ポリプロピレンテープが記載されている。同様に、米国特許第3,952,073号および第4,045,515号には、アイソタクチックポリプロピレンとランダムプロピレン−エチレンコポリマーのブレンドを含むテープ裏地が記載されている。その後、このテープ裏地は配向されて、フィルムを横切って良好な指引き裂き性を有するフィルムを製造するために機械方向の場合よりも横方向の場合に大きい配向を有するフィルムを生じさせる。
【0008】
米国特許第4,410,582号には、指引き裂き性フィルム裏地を製造するために、より高い結晶性の二次層より低い融点を有する低分子量ポリオレフィン一次層から成る逐次二軸配向多層フィルムが記載されている。米国特許第4,137,362号には、アイソタクチックポリプロピレンと他のポリオレフィンの単層ブレンドの逐次二軸配向によって製造された接着剤テープ裏地が記載されている。米国特許第4,393,115号、米国特許第4,414,261号およびJP出願11−第1998835号には、ブレンドまたは層中にポリプロピレン−エチレンコポリマーまたは炭化水素樹脂を含む逐次二軸配向多層フィルムが記載されており、この多層フィルムは、フィルムの脆い挙動を増加させることによって指引き裂き性を促進することを意図している。
【0009】
同様に、米国特許第4,447,485号および米国特許第4,513,028号には、より脆い構造を生じさせるために存在するポリメチルペンテンとブレンドされたポリプロピレン含むベースシートを有する延伸フィルムが記載されている。JP出願6−第305014号には、逐次二軸配向プロセスを用いて熱処理条件に起因して二次/一次構造を作り出すポリプロピレン−エチレンコポリマーを含む単一組成単一シートフィルムが記載されている。
【0010】
接着剤被覆面とは反対側に艶消面を有する感圧接着テープは、オフィス、小売店および学校で用いるために一般に販売されている。これらのテープは、一般に、裂け目の補修、メモの記入、および文書を一緒に添付するために紙と合わせて用いられ、そういうものとして、感圧テープが、最終用途において見えないままであり、にもかかわらず下にある一切の印刷を見ようとし明確且つ綺麗に写真複写しようとすることを見越していることが好ましい。さらに、これらのテープの艶消面が、ボールペン、鉛筆およびパーマネントマーカーなどの様々な書き込み器具で上に書き込むことが可能であることが好ましい。エンボス艶消仕上げ付き酢酸セルロースフィルムは、優れた光学的特性および書き込み特性によって艶消接着テープ用の基材として主として用いられてきた。
【0011】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、優れた強度、防水性および低コストにより接着テープ用のフィルム基材として広く用いられている。一般に、BOPPフィルムにはフィルムの表面を単にエンボスすることによって艶消および/または書き込み性表面を付与することができない。一般に、こうした方法は、BOPPフィルムのベースポリプロピレン層の上に別の層を設けることを必要とする。ここで艶消面または書き込み性表面の所望特性の幾つかは別の層によって提供される。
【0012】
こうした公知の別の層は、多くの場合、ブレンドの形を取った二種以上のポリマーを組み合わせることによって製造されてきた。こうしたブレンド中のポリマーの少なくとも一種は、BOPPフィルム中のポリプロピレン主層に粘着力を提供するので通常はポリオレフィンである。こうしたブレンド中のポリオレフィン系成分には、ポリプロピレン、プロピレンに基づくコポリマーまたはターポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレンブロックコポリマー、極性基で変性されたエチレン系コポリマーまたはターポリマー、ブテン−1モノマーを含むポリマーおよびメチルペンテンポリマー(TPX)が挙げられてきた。こうしたブレンド中の非ポリオレフィン成分には、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアルキルメタクリレートおよびポリエステルなどの熱可塑性プラスチックが挙げられてきた。さらに、公知の別の層組成物の一部は、シリカ、炭酸カルシウムまたはクレーなどの無機充填剤を含んでいた。こうした公知の別の層の例は、米国特許第5,501,905号、米国特許第5,474,820号、米国特許第5,425,990号、米国特許第5,366,796号、米国特許第5,364,704号、米国特許第4,960,637号、米国特許第4,513,028号、米国特許第4,447,485号、EP第033824B1号およびJP第76032668B号において見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、公知の方法のどれもが艶消外観の望ましい属性のすべてを兼ね備える艶消面を満足に提供しないし、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントインキマーカーで書き込むことができないし、写真複写で「ゴースト」するし、製造するのが容易ではない問題が依然としてある。特に、上述したすべての特性を提供するが、艶消外観を最適化するために押出フィルムシートの徐冷を必要とせず、フィルムを延伸するために有用な温度範囲を限定しない艶消層組成物が必要とされている。
【0014】
しかし、上述した代替方法のどれもが、強度、容易な分配性、容易な指引き裂き、良好なクラリティ、良好な機械的強度および費用効果性の望ましいすべての属性を兼ね備える接着テープ裏地を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡単に言うと、本発明の一つの態様において、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、多層構造が二軸延伸されているフィルム多層二軸配向フィルムが提供される。好ましくは、この延伸フィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示す。単一方位走査最大は、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0016】
別の実施形態において、各層は、ホモポリマー、コポリマーおよびブレンドなどを含んでよい。こうした実施形態において、本発明は、(a)一次層が全多層厚さ(接着剤組成物層を除く)の少なくとも50%を構成するとともに、一次層の主成分として表される第1のポリマー成分を少なくとも50%含有し、(b)第2ポリマー成分の示差走査熱分析融点(MPdsc)が第1のポリマー成分のMPdscより高いように、二次層が二次層(複数を含む)の主成分として表される第2のポリマー成分を少なくとも50%含有する多層フィルムを提供する。
【0017】
任意のポリマー成分も一次層に含めてよい。さらに、一次層の任意のポリマー成分は、第1のポリマー成分とほぼ同じかまたは異なるMPdscを有してよい。但し、この任意のポリマー成分または二種以上の成分が、望ましいフィルム属性が維持されるようなレベルで存在することを条件とする。任意のポリマー成分(複数を含む)は適するいかなるポリマーであってもよい。一般に、望ましい低レベルの曇り度を得るために、任意のポリマー成分には、ポリプロピレンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーなど、より好ましくはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーなどのポリオレフィン含有ポリマーが含まれる。
【0018】
任意の中間層を用いてよく、任意の中間層を一次層ポリマーまたは二次層ポリマーのいずれかから主として構成することが可能であり、あるいは任意の中間層は二種のブレンドまたは混合物であってよく、そして加工性およびフィルム特性を最適化するために別の成分をさらに含有してよい。加工性を助けるために、種々の層のメルトフローレート(MFR)が似た値を有することが好ましい。
【0019】
本発明は、特性の組み合わせ、特に低破壊抵抗、低指引裂抵抗、低曇り度、MDでの低引張強度および屈折率差(Δn)の組み合わせを示す切断可能で指引き裂き可能な接着ポリオレフィン系テープを有利に提供する。
【0020】
フィルムは、多くの好ましくて有用な特性の組み合わせを有する独特のフィルムを提供するために二軸延伸される。本発明のフィルムは、単一の実施形態で特性のすべてを示すとは限らず、そうでなく本フィルムは、特性を特定の目的のために調整できるようなフィルムである。有用な特性には、以下の特性が挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
1.単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向。
2.基準MDに対して約±75°以内、好ましくは約±45°以内、より好ましくは約±25°以内の角度に位置する前記最大。
3.約40°〜約75°の単一方位走査最大の幅(半ピーク最大での角全幅)。
4.本明細書に記載されたように示差走査熱分析(DSC)を用いて測定して少なくとも約2℃、好ましくは少なくとも約5℃、より好ましくは少なくとも約8℃の一次層と二次層の主成分間の融点差。ここで一次層の融点は二次層の融点より低い。
5.MDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3×10−3より大きい、好ましくは0以上の屈折率差。
6.幅2.54cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に20J/cm2以下、好ましくは15J/cm2以下、より好ましくは10J/cm2以下、あるいは幅1.27cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に90J/cm2以下の破壊エネルギー。
7.幅2.54cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に約1.3cm以下、好ましくは1.0cm以下、あるいは幅1.27cmのサンプルを以下に記載された方法によって試験する時に2.0cm以下の破壊伸び。
8.MDでの140MPa以下の引張強度。
9.約4.0%未満、好ましくは約2.0%未満、より好ましくは約1.0%未満のASTM・D1003−97に準拠した一次層および二次層の透過曇り度。
【0022】
一つの好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すとともに明確なピークを示さない単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示すフィルムを提供する。単一方位走査最大は、約40°〜75°の間の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0023】
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、MDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3.0×10−3より大きい屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0024】
もう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーの主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、横方向(TD)での屈折率とほぼ同じかまたは大きい機械方向(MD)での屈折率、換言するとMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された0以上の屈折率差を示すフィルムを提供する。この差が約0である場合、フィルム配向は等方性であると言われる。
【0025】
なおもう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向およびMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された約−3.0×10−3より大きい屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0026】
なおもう一つの実施形態において、本発明は、少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向およびMDでの屈折率からTDで測定された屈折率を差し引くことにより計算された0以上の屈折率差を示すフィルムを提供する。
【0027】
異なる表面仕上げを設けるために、少なくとも1層の表面仕上げ層を含めてよく、この表面仕上げ層は、書き込み可能表面または艶消面および剥離面などを提供する組成物に限定されない。
【0028】
別の実施形態において、少なくとも1層の一次層、少なくとも1層の二次層および少なくとも1層の表面仕上げ層を含む艶消面多層フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記表面仕上げ層は、前記表面仕上げ層が艶消外観を有するように相分離系を生じさせる非相溶性ポリオレフィンと無機または有機充填剤粒子のブレンドまたは混合物を含み、多層フィルムは二軸延伸されるフィルムが提供される。
【0029】
有利には、本発明の艶消面多層フィルムは、空隙も割れも特になく、曇り度は70〜90%であり、全%光透過率はASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して90%より大きく、光沢はASTM・D2457−97(「Specular Gloss of Plastic Films and Solid Plastics」)によって60°の入射角で測定して10%以下である。さらに、表面仕上げ層は、鉛筆、ボールペンまたはパーマネントマーカーのような物を用いて書き込み可能な層であることが可能である。
【0030】
有利には、本発明のフィルムは手で引き裂き可能であってよい。フィルムが(幅2.54cmのサンプルで試験された時に)10J/cm2以下の破壊エネルギーおよび100MPa以下の引張強度を有する時に、フィルムは手で引き裂くのが適度に容易であることが見出された。フィルムが(幅2.54cmのサンプルで試験された時に)5J/cm2以下の破壊エネルギーおよび50MPa以下の引張強度を有する時に、フィルムは手で引き裂くのにより容易である。
【0031】
さらに、実施形態のすべては、第1の一次層、二次層および第2の一次層を含む構造などの、別の一次層、二次層および表面仕上げ層を含めるようなやり方で構成してよい。さらに、中間層も用いてよく、中間層には、繋ぎ層、プライマー層およびバリア層などが挙げられる。保護層も本発明の範囲を限定せずに加えてよい。上に関して提供された多層フィルムは接着剤層で被覆して、手引き裂き性、分配可能性、書き込み性、艶消およびそれらの一切の組み合わせを得ることが可能である。
【0032】
本発明は、上述したフィルム、こうしたフィルムから製造されたテープ裏地、裏地を含むテープ、およびフィルム、裏地およびテープを製造する方法を提供する。
【0033】
この出願において用いられる時、
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「二軸延伸」とは、フィルムの平面内で二つの異なる方向である第1の方向と第2の方向で延伸されたフィルムを意味する。一般に、常にとは限らないが、二つの方向は実質的に垂直であり、フィルムの縦方向すなわち機械方向(「MD」)(フィルム製造機でフィルムが製造される方向)およびフィルムの横方向(「TD」)(フィルムのMDに垂直の方向)である。MDは、時には「縦方向」(「LD」)と呼ばれる。二軸延伸フィルムは逐次に延伸してよく、同時に延伸してよく、あるいは同時延伸と逐次延伸のある組み合わせによって延伸してよい。さらに、こうした延伸は、釣り合いのとれたフィルムまたは釣り合いのとれていないフィルムを生じさせることが可能である。異方性の分子配向を有するフィルムは、本明細書に記載された所望の特性属性が満たされるかぎり、フィルムのどの主軸にも平行に整列された異方性を示してよい。
【0034】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「複屈折」とは、フィルムの平面内で、すなわち、屈折率を測定するために用いられる入射直線偏光に対して直角の平面内で二つの垂直軸に沿って測定して、フィルムが異なる屈折率値を有することを意味する。このいわゆる「平面内」複屈折は、規定方向に平行の屈折率と第1の方向に垂直に測定された屈折率の差である(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2cd ed.,v.14,pp.552〜562、Wiley−Interscience,NY(1987))。この場合、複屈折((ΔnM−T)と表される)は、機械方向すなわち縦方向に平行に測定された屈折率の値(ΔnM)と表される)マイナス機械方向に垂直に測定された屈折率の値(ΔnT)と表される)として定義される。
(ΔnM−T)=nM−nT,
ここで、屈折率の測定値は四桁の精度である(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2cd ed.,v.10,p.605〜608、Wiley−Interscience,NY(1987))。
【0035】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「同時二軸延伸」とは、二つの方向の各々において延伸のかなりの部分が同時に行われることを意味する。
【0036】
延伸の方法または延伸フィルムを説明するために本明細書において用いられる「延伸比」とは、延伸フィルムの所定の部分の直線寸法対、延伸の前の同じ部分の直線寸法の比を意味する。例えば、5:1のMD延伸比(MDR)を有する延伸フィルムにおいて、機械方向で1cm直線測定値を有する未延伸フィルムの所定の部分は、延伸後に機械方向で5cm測定値を有するであろう。9:1のTD延伸比(TDR)を有する延伸フィルムにおいて、横方向で1cm直線測定値を有する未延伸フィルムの所定の部分は、延伸後に横方向で9cm測定値を有するであろう。
【0037】
「面積延伸比」とは、延伸フィルムの所定の部分の面積対、延伸前の同じ部分の面積の比を意味する。例えば、50:1の全体的面積延伸比を有する二軸延伸フィルムにおいて、未延伸フィルムの所定の1cm2部分は、延伸後に50cm2の面積を有するであろう。
【0038】
文脈によって特に要求されないかぎり、「配向する」、「ドローする」および「延伸する」という用語は全体を通して互換可能に用いられ、「配向された」、「ドローされた」および「延伸された」という用語、ならびに「オリエンティング」、「ドローイング」および「ストレッチング」という用語も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による2層フィルム構造を示す端面図である。
【図2】本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図3】本発明による5層フィルム構造を示す端面図である。
【図4】本発明による艶消面3層フィルム構造を示す端面図である。
【図5】一次層と二次層との間に繋ぎ層をさらに含む本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図6】接着剤層をさらに含む本発明による3層フィルム構造を示す端面図である。
【図7a】逐次延伸フィルムの説明図である。
【図7b】Δn<−3.0×10−3である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図8a】同時延伸フィルムの説明図である。
【図8b】Δn=0である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図9a】MD偏り同時延伸フィルムの説明図である。
【図9b】Δn>0である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図10a】TD偏り同時延伸フィルムの説明図である。
【図10b】Δn>−3.0×10−3である時のWAXS結果の図式説明図である。
【図11】本発明のフィルムの切断縁の顕微鏡写真である。
【図12】先行技術のフィルムの切断縁の顕微鏡写真である。
【図13】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図16】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図18】先行技術のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図19】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図20】本発明のフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む多層二軸配向フィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、多層構造は二軸延伸され、延伸されたフィルムは、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を示す多層二軸配向フィルムが提供される。単一方位走査最大は、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する。
【0041】
今図1を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム100の端面図が示されている。フィルム100は二軸配向され、一次層15および二次層10を含む。好ましくは、フィルム100は、約0.002〜約0.006センチメートルの範囲内の厚さを有する。
【0042】
好ましくは、フィルム100は、少なくとも2層である、一次層15および二次層10を有する多層ラミネート構造を含み、ここで一次層15はプロピレン含有ポリマーを含み、二次層10は、一次層15より高い融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、ここでフィルムは、本明細書に記載された望ましい特性を提供するために二軸延伸される。
【0043】
さて、図2を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム200の端面図が示されている。フィルム200は二軸配向され、一次層25および二次層20、21を含む。ここで一次層25は、二層の二次層20、21の間にある。二次層20、21は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分は同じであるが比は異なるか、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。
【0044】
さて、図3を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム300の端面図が示されている。フィルム300は二軸配向され、2層以上の一次層35、36および3層以上の二次層30、31、32を含み、ここで一次層35、36は二次層30、31の二層の間にある。第3の層32(二次層と呼ぶけれども)は、二層の一次層35、36の間に配置してよい。内層32が実際の二次層30、31と同じ特性および組成を有するので、「二次層」の名称が維持されることに注意すること。二次層30、31、32は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分は同じであるが比が異なるか、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。さらに、一次層35、36は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは、それらは異なってよい。それらは、コポリマー成分が同じであるが比が異なる点で異なってよく、あるいは、それらは、コポリマー成分自体が異なる点で異なってよい。
【0045】
今図4を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態によるフィルム400の端面図が示されている。フィルム400は二軸配向され、一次層45、二次層40および艶消面外観を有する表面仕上げ層42を含む。
【0046】
多様な構成を有するフィルムを本発明により組み立ててよい。但し、フィルム構造が二軸延伸される時、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向をフィルムが示すことを条件とする。
【0047】
ポリオレフィンフィルムの多層の組成物
一次層、二次層、表面仕上げ層において用いられるポリマー、および一切の中間層(複数を含む)ポリマーの分子量は、加工性および層間の付着力を最適化するように選択される。本発明の特に注目すべき一つのエレメントは、比較的高い分子量のポリマーを指引き裂き性フィルムおよびテープを製造するために使用できることである。一般に、ポリマーの高分子量は靱性を促進する。さらに、種々の層間の付着力を促進する不純物または添加剤も組み込んでよい。
【0048】
本発明の目的において、「ポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー」という用語は、少なくとも約90重量%のプロピレンモノマー単位を含むコポリマーを包含することを意味する。こうしたコポリマーは、一般に、知られているループ重合技術、スラリー重合技術または気相重合技術を介してプロピレンおよびエチレンのフィードストリームの反応器重合によって製造される(Polypropylene Structure,Blends and Composites,v.2,ed.J.Karger−Kocsis,Chapman & Hall,NY(1995))。
【0049】
本発明において二次層として用いるための「アイソタクチックポリプロピレン」という用語は、少なくとも約80モル%、好ましくは95モル%より大きい鎖アイソタクティシティ指数、約15重量%未満のn−ヘプタン可溶分およびASTM・D1505−96(「Density of Plastics by the Density−Gradient Technique」)に準拠して測定して約0.86〜0.92g/cm3の密度を有するホモポリマーポリプロピレンを包含することを意味する。ホモポリマーアイソタクチックポリプロピレンは、一般に、高収率触媒およびプロピレンモノマーのみを用いて製造される(Polypropylene Structure,blends and Composites,v.1,ed.J.Karger−Kocsis,Chapman & Hall,NY(1995))。
【0050】
本発明において用いるための代表的なポリプロピレンおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーは、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して約0.1〜25g/分の間、より好ましくは約0.5〜15g/10分の間、なおより好ましくは約1.0〜10g/10分のメルトフローレート、約100,000〜900,000g/モルの重量平均分子量および約2〜15の間の多分散性指数を有する。樹脂または樹脂の組み合わせは、溶媒可溶非結晶性ポリマー分および低分子量化学種などをさらに含んでよい。
【0051】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM1238−95に記載されたように得られる。商業生産者は、一般に自らのポリマーのMFRを報告する。ポリマーを特性決定するもう一つの手段は、固有粘度(IV)を用いることである。高%(>95%)のプロピレン単位を有するポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーに関する固有粘度値は、一般に、テトラリン、デカリンまたは他の適切な溶媒などの溶媒中で、規定された通常は高い温度で測定される。ASTM446−93には、この測定のために適する粘度計が記載されている。「Handbook of Polyolefins:Synthesis and Properties」,eds Corneria Vasile and Raymond B.Seymour,Marcel Dekkaer,Inc.New York,1993,(Pages140〜142)には、マーク−ホーウィンク−サクラダの式を用いるIVと粘度平均分子量Mvとの間の実験的相関およびハギンズの式を用いるIVの決定が記載されている。これらの関係のすべては当業者に周知されている。参考のために、Mwは、約5の分子量分布を有する代表的な商用ポリプロピレンに関してMvより約20%高い。Maroglio(Chim Ind.(Milan)41,879(1959))、ヤマグチ(Makromol Chem,128,19(1969))、Scholte,et al.(T.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.29,3763−3782,(1984))、Grand and Dieckmann(J.Appl.Polym.Sci.9,3231−3244,(1965))およびKinsinger and Hughes(J.Phys.Chem.63,2002−2007,(1959))の結果は、デカリン中で測定されたIVがテトラリン中で測定された時より約0.15単位高いことを示している。
【0052】
The Society of Plastics Engineers,in Polypropylene Fibers−Science and Thechnology,M.Ahmed,Elsevier Science Publishing Company,New York,NY,p.26−29 and 156−161,(1982)には、ポリプロピレンに関するIV(135℃でデカリン中)とMFRとの間の相関、log IV=0.50−0.197log[MFR]が示されている。
【0053】
ポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンコポリマー樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。
【0054】
一次層
さて、今層の組成物について言うと、一次層は、一次層ポリマー組成物の主成分のMPDSCが二次層ポリマー組成物の主成分のMPDSCより少なくとも約2℃低いように、(i)プロピレンホモポリマーまたは(ii)二種以上のプロピレン含有ポリマーのブレンドまたはミックスあるいは(iii)プロピレン含有ポリマーと他の適するポリマーのブレンドまたはミックスを含むプロピレン含有ポリマーを含む。
【0055】
一般に、一次層(複数を含む)の主成分の融点が二次層ポリマーの主成分の融点より約2℃未満しか低くない場合、本発明のフィルムは指で引き裂くのが、より難しくなる。一次層と二次層との間の融点の差に上限はないけれども、実用上の上限は、指引き裂き可能で切断可能なテープ裏地に向けて製造するために本発明のフィルムを二軸延伸することを可能にする限界である。
【0056】
適する一次層ポリマーには、プロピレンとエチレンのランダムコポリマーが挙げられ、約0.5〜4.5%のエチレン含有率が特に適する。他のC2〜C8オレフィンポリマーとのポリプロピレンコポリマーおよび数種のポリプロピレンコポリマーのブレンド、あるいはポリプロピレン−エチレンコポリマーとポリプロピレンのブレンドも適する。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP6253およびテキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)製のEXXON PP9122が挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
他の適する一次層ポリマーには、場合によってチーグラーナッタ触媒系(例えば、米国特許第5,416,228号参照)を用いて重合されたポリプロピレンより低い融点を有するポリマーを生じさせるメタロセン型触媒を用いて重合されたポリプロピレンが挙げられる。メタロセン型触媒によるポリプロピレンの場合、アイソタクチックポリプロピレンが好ましい。
【0058】
任意または副次的なポリマー成分(複数を含む)も一次層に含めてよい。但し、低破壊エネルギーまたは低曇り度のような望ましいフィルム属性を維持できるようなレベルで任意のポリマー成分または二種以上の成分が存在することを条件とする。任意のポリマー成分(複数を含む)は適するいかなるポリマーであってもよいが、低い曇り度レベルを得るために、一次層および二次層は、好ましくは、ポリオレフィンポリマー、コポリマーおよびターポリマーなど、より好ましくはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0059】
特に適するポリプロピレンは、本明細書に記載された所望の特徴および特性に悪影響を及ぼさない量で、約300〜8000g/モルの分子量を有するとともに約60℃〜180℃の軟化点を有する合成起源または天然起源の樹脂も含んでよい。一般に、こうした樹脂は、石油樹脂、スチレン樹脂、シクロペンタジエン樹脂およびテルペン樹脂の四主要クラスの一つから選択される。任意に、これらのクラスのいずれかからの樹脂は、部分的にまたは完全に水素添加されていてよい。石油樹脂は、一般に、単量体成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンおよび/またはペンチレンを有する。スチレン樹脂は、一般に、単量体成分として、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンおよび/またはブタジエンを有する。シクロペンタジエン樹脂は、一般に、単量体成分として、シクロペンタジエンおよび任意に他のモノマーを有する。テルペン樹脂は、一般に、単量体成分として、ピネン、アルファ−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセンおよびカンフェンを有する。
【0060】
一次層中で用いられるポリマーは、出発MFRが0.1〜25g/10分である時(または135℃でデカリンまたはテトラリン中で測定されたIVが約1.7〜5.0である時)、あるいは、より好ましくはMFRが0.5〜15g/10分である時(またはIVが約1.85〜3.6である時)、あるいは、なおより好ましくはMFRが1〜10g/10分である時(またはIVが約2.0〜3.2である時)に適する。
【0061】
一次層のために適する一種のポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーは、1.5g/10分のメルトフローレートを有し、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名6253で市販されている。適するもう一種のポリマー樹脂は、2.1g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー樹脂であり、テキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)から商品名Escorene9122で市販されている。ポリマー樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。これらのMFR値は、IV>2.3(デカリンまたはテトラリン中で135℃で測定されたもの)に相関する。
【0062】
一次層を構成するポリマーに関する好ましい重量平均分子量範囲は、約150,000〜900,000g/モルである。
【0063】
二次層
二次層ポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーまたはエチレンおよびブチレンなどの約1重量%未満のコモノマーを含むコポリマーなどのプロピレン含有ポリマーを含む(2℃のMP差を満たすように)。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP3571アイソタクチックポリプロピレンおよびテキサス州ヒューストンのエクソンケミカル(EXXON Chemical Co.)製のEXXON PP4792、およびペンシルバニア州ピッツバーグのアリステックケミカル(Aristech Chemical Co.)製のAristech FF036Q2が挙げられるが、それらに限定されない。適するポリマーには、チーグラーナッタ触媒またはメタロセン触媒あるいはそれらの組み合わせを用いて重合されたポリマーが挙げられる。
【0064】
二次層(複数を含む)は、一次層コポリマーとポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーのブレンドも含んでよい。但し、二次層(複数を含む)組成物の主成分の融点が一次層の主成分の融点より少なくとも約2℃高いことを条件とする。
【0065】
適する二次層ポリマーには、一次層ポリマー組成物より少なくとも約2℃高い融点を有するアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンコポリマー、および一種以上のプロピレンコポリマーおよびホモポリマーのブレンドまたは混合物が挙げられる。さらに、二次層組成物は、隣接層間の粘着力を改善するために、アイソタクチックまたは低エチレン含有率ポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーと、より高いエチレン含有率を有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドを含んでよい。
【0066】
二次層中で用いられるポリマーは、MFRが0.5〜25g/10分である時(あるいは135℃でデカリンまたはテトラリン中で測定されたIVが約1.7〜3.6である時)に適する。
【0067】
二次層のためのエチレン1.0%未満の適する一種のプロピレンコポリマーは、約3.5g/10分のメルトフローレートを有し、ペンシルバニア州ピッツバーグのアリステックケミカル(Aristech Chemical Corp.)から商品名FF036Q2で市販されている。エチレン含有率1.0%未満の二次層のために適するもう一種のポリマー樹脂は、約2.5g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン−エチレンランダムコポリマー樹脂であり、エクソン(EXXON Chemical)から商品名Escorene4792で市販されている。エチレンを含まない二次層のために適するもう一種のポリマー樹脂は、約2.5g/10分のメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマー樹脂であり、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名3374で市販されている。適するもう一種のポリマー樹脂は、約9.0g/10分のメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマー樹脂であり、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(FINA OIL and Chemical Co.)から商品名3571で市販されている。ポリプロピレン樹脂は、特定のポリマーフィルム製造プロセスのために適する適切なメルトフロー樹脂を選択してよいのでメルトフロー特性の面からは制約されない。上述した適する樹脂は2.0より大きいVIに相関するMFR値を有する。
【0068】
二次層を構成するポリマーに関する好ましい重量平均分子量Mwの範囲は、約100,000〜800,000g/モルである。
【0069】
表面仕上げ層
さらに、フィルム構造は、艶消面および書き込み可能面を付与するために表面仕上げ層を含んでよい。こうした表面仕上げ層は、非相溶性ポリマーのブレンドまたは混合物(すなわち、相分離系を生じさせるブレンドまたは混合物)を含む。例えば、こうした非相溶性ポリマーは、一般に、高い曇り度、低い光沢および艶消外観を示す。こうした非相溶性ポリマーには、例えば、ポリプロピレンと低、中または高密度ポリエチレンのブレンド、およびプロピレンコポリマーまたはターポリマーなどが挙げられる。艶消外観および書き込み性などの特性をさらに改善するために、炭酸カルシウム、二酸化チタンまたはシリケートなどの粒状添加剤を表面仕上げ層組成物に添加してよい。最後に、表面仕上げ層組成物は、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアミドなどのような他のポリマー種を含んでよい。ポリマーのこれらのクラスは、例えば、低下した破壊エネルギー、改善された艶消外観およびバリア特性などのような全体的フィルム構造に特定の特性を付与することが可能である。
【0070】
代表的な表面仕上げ層組成物には、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して30g/分以上、より好ましくは50g/10分以上、なおより好ましくは約75g/10分以上のメルトフローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーなどのプロピレン含有ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。プロピレン含有ポリマーの融点は140℃〜165℃である。
【0071】
プロピレン含有ポリマーの選択は、一般に、一次層の配向温度に基づいて行われる。本発明に関して、表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は、一次層の配向温度より少なくとも2℃低い。表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は、本明細書に記載されたように示差走査熱分析(DSC)を用いて測定される。
【0072】
適するプロピレン含有ポリマーには、プロピレンとエチレンのランダムコポリマーが挙げられ、約0.5〜4.5%のエチレン含有率が特に適する。他のC2〜C8アルファ−オレフィンポリマーとのポリプロピレンコポリマーおよび数種のポリプロピレンコポリマーのブレンド、あるいはポリプロピレン−エチレンコポリマーとポリプロピレンのブレンドも適する。この目的で適するポリマーには、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル(FINA OIL & Chemical Co.)製のFINA PP3860およびFINA7825が挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】
本発明の表面仕上げ層中で用いられる代表的な高密度ポリエチレンは、230℃の温度および2160gの力においてASTM・D1238−95(「Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer」)に準拠して1g/分以下、より好ましくは0.5g/10分未満、なおより好ましくは0.25g/10分未満のメルトフローレートを有する。本発明において用いられる高密度ポリエチレンの密度は、ASTM・D15050−96(「Density of Plastics by the Density−Gradient Technique」)に準拠して測定して約0.92〜0.97g/cm3である。高密度ポリエチレンの融点は、120℃〜150℃、好ましくは約125℃〜135℃である。
【0074】
適する高密度ポリエチレンには、ポリエチレンホモポリマー、他のC2〜C8アルファ−オレフィンポリマーとのエチレンコポリマーおよび数種のポリエチレンコポリマーのブレンド、あるいはポリエチレンコポリマーとポリエチレンのブレンドが挙げられる。表面仕上げ層中で用いるために適する一種の樹脂は、テキサス州ヒューストンのシェブロンケミカル(Chevron Chemical Co.)から商品名HiD(登録商標)9640で市販されている高密度線状コポリマーである。
【0075】
本発明によると、表面仕上げ層の高密度ポリエチレンのメルトフローレート(230℃および2160gの荷重で測定されたもの)対、プロピレン含有コポリマーのメルトフローレート(230℃および2160gの荷重で測定されたもの)の比は、優れた外観を有する低光沢艶消面を設けるために、少なくとも1:30、好ましくは0.2:30、より好ましくは0.2:100であるのがよい。高密度ポリエチレンとプロピレン含有コポリマーのメルトフローレートの大きな差は、フィルムが表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点より少なくとも2℃高い温度で配向されているかぎり、光沢が低い優れた艶消外観および空隙も割れも特にない艶消面をもたらす。
【0076】
本発明の艶消層ブレンド中で用いられる適する粒状充填剤には、炭酸カルシウム、シリカおよび二酸化チタンなどが挙げられる。本発明によると、微粒子のモース硬度は2より大きいのがよい。粒状充填剤の平均直径が5μm以下、好ましくは3.5μm以下であり、最大粒子径が15μm以下であることが好ましい。粒状充填剤は、粒状充填剤の大きな凝集物がないように表面仕上げ層中で適切に混合されるのがよい。艶消層ブレンド中で用いるために適する一種の粒状充填剤は、ペンシルバニア州ベツレヘムのスペシャルティミネラルズ(Specialty Minerals)から商品名HiPflex(登録商標)100で市販されている。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、表面仕上げ層は、20〜80重量%の高密度ポリエチレンと80〜20重量%のアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマー、より好ましくは40〜60重量%の高密度ポリエチレンと60〜40重量%のアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドを含む。高密度ポリエチレンとアイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン−エチレンランダムコポリマーのブレンドに、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントマーカーで書き込むことができる表面を作るために5〜30重量%の粒状充填剤、好ましくは10〜20重量%の粒状充填剤が添加される。
【0078】
本発明の好ましい一実施形態によると、二軸配向後に、全体のフィルム構造の厚さは25〜50μmであり、艶消層の厚さは2〜7μm、より好ましくは3〜5μmである。
【0079】
本発明のフィルムは、優れた艶消外観を有するような所望の光学的外観を有する。本発明の目的において、「艶消外観」は、低い表面光沢および高い曇り度を有するとして定義される。「低い表面光沢」は、ASTM・D2457−97(「Specular Gross of Plastic Films and Solid Plastics」)によって60°の入射角で測定して10%以下の光沢の値として定義される。「高い曇り度」は、ASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して70%より大きく90%より小さい曇り度の値として定義される。フィルムの「全%光透過率」は、ASTM・D1003(「Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」)によって測定して90%より大きい。
【0080】
さらに、本発明は、鉛筆、ボールペンおよびパーマネントマーカーで書き込むことができる表面を有するフィルムを提供する。こうした書き込み性を得るために、粒状充填剤は、フィルムの表面上に書き込む時に、鉛筆の芯をすり減らすことができ、よって実線を生じさせるように一般には2より大きいモース硬度を有する。
【0081】
技術上知られているような添加剤および他の成分をポリプロピレン組成物に含めてよい。例えば、本発明のフィルムは、充填剤、顔料およ他の着色剤、粘着防止剤、滑剤、可塑剤、加工助剤、核剤または透明剤(clarifying)、帯電防止剤、粘着性付与樹脂、酸化防止剤および熱安定剤、紫外線安定剤および他の特性改良剤を含有してよい。一般に、こうした材料は、ポリマーを配向フィルムに作り込む前にポリマーに添加される(例えば、フィルムに押し出す前にポリマー溶融物中に)。こうした添加剤および他の成分は、当業者に知られうるような有効量で添加される。
【0082】
中間層
さて、図5を参照すると、種々の層53、55、56の間にある中間層(複数を含む)51、52があってよく、あるいは無くてよい。一般に、中間層(51または52)は、二次層53を一次層56に、あるいは一次層56を表面仕上げ層55に「結合」するため等の層付着力またはフィルム加工性を改善するために用いられる。こうした中間層は「繋ぎ層」と一般に呼ばれ、繋ぎ層のいかなる数も一次層、二次層および表面仕上げ層とのいかなる組み合わせでも使用することができる。これは、両方の層と相溶性であるポリマー組成物を用いることにより達成してよく、あるいは両方の層からの一部のポリマーを含む層であってよく、よって良好な付着力および安定な溶融加工性を提供する。
【0083】
中間層は、必要ならば、加工性およびフィルム特性を最適化するために、一次層ポリマーまたは二次層ポリマーのいずれかから主として構成することが可能であるか、または二つのブレンドであってよいか、あるいは別の成分を含有してよい。組み合わせた二次層(複数を含む)と中間層(複数を含む)の厚さは、全フィルム厚さの約5%〜約50%であってよい。さらに、二次層組成物は、コーティングなどの後続の加工中に溶融に耐えるのに十分に熱安定性でなければならない。
【0084】
フィルムの加工−押出/キャスティング
本発明の多層構造は、当業者に知られている装置によってシート状に溶融共押出し、キャストすることができる。その後、こうしたキャストフィルムは、本明細書に記載された好ましいフィルムに到達するために延伸される。本発明によるフィルムを製造する時に、多層シートをキャストする適する方法は、押出機バレル温度を安定な均質溶融物を製造するために調節させた単一スクリュー押出機システム、二軸スクリュー押出機システムまたは他の押出機システムの原料ホッパーに樹脂をフィードすることである。溶融物は、多層またはマニホールド/フィードブロック形式のシートダイを通して回転冷却金属キャスティングホイール上に共押出することが可能である。任意に、キャスティングホイールを流体充填冷却浴に部分的に浸すことができ、あるいは任意に、キャスティングホイールから除去後にキャストシートを流体充填冷却浴に通すことも可能である。この操作の温度は、得られた延伸フィルムが本明細書に記載された所望の特徴および特性を有するように所望の核形成の密度、サイズ、成長速度および層間粘着力を提供するために本明細書における教示の恩恵を用いて当業者によって選択されうる。代表的なキャスティングホイール温度および水浴温度は、適切に結晶化したシートを提供するために、約60℃未満、好ましくは約40℃未満である。
【0085】
フィルムの加工−延伸/配向
本明細書に記載された好ましい方法によりフィルムを二軸延伸するために適するいかなる装置も本明細書に記載された好ましい特性を得ることが可能である。
すべての延伸方法の内、テープ裏地用のフィルムの商用生産のために好ましい装置には、速度が投入速度より速い排出フィルムライン速度を提供する一連の回転ロール上にフィルムを通すことにより一般には最初にMDに延伸し、その後分岐レール上でテンター内でTD延伸する逐次二軸延伸装置、米国特許第4,330,499号および第4,595,738号において開示された装置などの機械的テンターによる同時二軸延伸、米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第4,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号において開示された同時二軸延伸用のテンター装置が挙げられる。二軸延伸フィルムをチューブラーブローフィルムプロセスまたはバブルフィルム製造プロセスによって製造できるけれども、不均一な厚さおよび延伸などの加工問題およびチューブラーブローフィルムプロセスで発生しうる不適切な温度制御を避けるために、テープ裏地として用いる時には本発明のフィルムをフラットフィルム延伸装置によって製造することが好ましい。
【0086】
配向の程度およびタイプまたは方向性は、特に特定の方向に加えられた荷重に関して延伸フィルムの機械的特性をある程度決定する。配向した構造状態は、観察された機械的特性とよく相関する(R.J.Samuels,「Structured Polymer Properties」,Ch.5,John Wiley & Sons,N.Y.およびA.J.DeVries,Polymer Engineering & Science,23(5),241(1983))。
【0087】
延伸操作の温度は、本明細書に記載された所望の特徴と特性を有するフィルムを提供するために本明細書における教示の恩恵を用いて当業者によって選択されうる。これらの温度は、用いられる材料、用いられる特定の装置の伝熱特性によって異なる。同時延伸裏地に関しては、予熱および延伸が約130℃〜200℃の範囲内で行われることが好ましい。
【0088】
分子配向
配向ポリマー系において分子配向を測定する幾つかの広く受け入れられた手段が存在し、それらの中で、光散乱またはX線散乱、吸光度測定および機械的特性分析などがある。定量的方法には、広角X線散乱(「WAXS」)、光学的複屈折、赤外二色作用、および小角X線散乱(「SAXS」)が挙げられる。結晶鎖軸配向分布を決定する好ましい方法は、原線維構造内の結晶平面がブラッグ角として知られている確立された角度で入射X線ビームを散乱または回折するWAXS技術である(A.W.Wilchinski,Journal of Appled Physics,31(11),1969(1960)およびW.B.Lee et al.,Journal of Materials Engineering and Performance,5(5),637(1996)を参照すること)。WAXSにおいて、結晶平面、例えば、ポリプロピレン分子鎖(またはc−)軸に関する情報を含むアイソタクチックポリプロピレンの単斜(110)結晶面を測定し、その後、サンプルの形状によって外部座標に関連づける。
【0089】
本発明フィルムは、好ましくは、MDまたは基準方向「R」のいずれかに関して特定の単結晶モルホロジー配向を有する。
【0090】
図7a〜10bを特に参照すると、図7a、8a、9aおよび10aは、延伸フィルムの配向状態の説明図である。特定の配列(order)および配向を以下で記載する。図7b、8b、9bおよび10bは、それぞれ図7a、8a、9aおよび10aにおいて示された延伸フィルムの種々の値でのWAXS結果の図式説明図である。
【0091】
本明細書において用いられる「基準方向」は、結晶配向の定義の基準となるフィルムの平面内にある軸である。フィルムの機械的特性を決定する時、基準方向はフィルムが延伸される方向である。フィルムを破壊するエネルギーを決定する時、基準方向は、本明細書に記載された破壊試験に供する前にフィルムをぴんと張る方向である。ロール状の接着剤テープに転換された裏地フィルムに関して、基準方向は、テープロールに巻き取ろうとする狭い幅にストックロールをスリットする方向である。一般に、常にとは限らないけれど、基準方向は、フィルムの縦方向すなわち機械方向(MD)と同じである。
【0092】
本発明フィルムの特に有用な特性は、基準方向に対して±75°以下の角度に位置する単一方位走査最大を有するか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱測定によって決定される結晶配向を示すことである。記載された回折図は、代表的なWAXS回折図の一つの四分区間、例えば、90°〜180°の方位角範囲の検査によって検出された図である。図17b〜10bが0°〜180°の角度の間の回折図を描いているけれども、0°〜90°の領域が90°〜180°の領域の鏡像であると言える。0°〜180°のデータを描く選択は、約90°角を中心に置いた回折図を可能にするために行われる。すなわち、MDをより明確に見分けることを可能にするために行われる。単一方位走査最大は、図9aおよび9bに示されたように約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅をさらに有する。本発明フィルムが等方性結晶配向分布を有する場合、WAXS方位走査は、図8aおよび8bに示されたように明確な最大を示さない。この場合、結晶鎖軸配向はフィルムの平面内で均一に分配されている。
【0093】
それに反して、少なくとも一方が基準方向に対して約±75°より大きい角度に位置する図7bに示されたような二個以上のWAXS方位走査最大、あるいは基準方向に対して約±75°より大きい角度に位置する単一特定WAXS方位走査最大の発生は、好ましくないほど延伸されたフィルムの特徴である。ピークまたは二個以上のピークが約40°未満の半ピーク最大での全幅(FWHM)をさらに有する場合、フィルム特性はそれによって本発明の目的のために特に適さない。この場合、フィルムは、一般にはあまりにも伸びやすく、めり込むか隙間ができる傾向があるテープロール、および市販接着剤テープディスペンサーの刃で切断された時に伸び、変形し応力白化する傾向があるテープを生じさせる。さらに、こうしたフィルムは、指を用いて引き裂くのが難しいか不可能であることが判明している。
【0094】
フィルムの配向、または全体的なポリマー系が最も高度に配向されている方向を決定する好ましいもう一つの方法は、ASTM・D542−95に記載されているようにフィルムの屈折率を測定することである。屈折率は、電磁波と材料中の分極性分子の相互作用の理由による材料を通した電磁波の減速または光学的遅延を表す(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,v.14,John Wiley & Son,NY(1987))。ポリプロピレンおよびポリエチレンを含むポリオレフィンに関しては、屈折率は、電子の移動度または分極率が主鎖化学結合に最大平行であるので、屈折率は主鎖方向に沿って最高である。ポリプロピレンフィルムに関しては、主配向方向に平行に測定された屈折率は、この方向に垂直に測定された屈折率より大きい。これを正の複屈折と呼ぶ。こうした場合、フィルムは、配向方向に垂直より平行で大きな配向を有する。本発明の目的において、屈折率は、フィルムのMD方向およびTD方向で測定される。
【0095】
MDでの屈折率がTDでの屈折率より低く、等方性WAXS方位走査またはここではMDであるとする基準方向に対して約±75°以下に位置する特定単一WAXS方位走査最大のいずれかをフィルムが示す場合、得られたフィルムは、特定の用途特性要件が満たされるかぎり本発明においてなお有用でありうる。この場合の配向表現およびWAXS描写は、図10aおよび10bに示されている。
しかしMDでの屈折率がTDでの屈折率より低く、少なくとも一方が基準方向に±75°より大きい位置にある二個以上のWAXS方位走査最大または基準方向に±75°より大きい角度に位置する特定単一WAXS方位走査最大のいずれかをフィルムが示す場合、上述したように、得られたフィルムは、本発明の目的のために適さないことが判明している。
【0096】
フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「二軸延伸」とは、フィルムがフィルムの平面内で二つの異なる方向で延伸されていることを意味する。一般に、常にとは限らないが、二つの方向は垂直である。二軸延伸フィルムは配向されており、逐次に延伸してよく、同時に延伸してよく、あるいは同時延伸と逐次延伸のある組み合わせによって延伸してよい。フィルムを説明するために本明細書において用いられる時、「同時二軸延伸」とは、二つの方向の各々において延伸のかなりの部分が同時に行われることを意味する。本明細書において開示された本発明フィルムのWAXS方位走査を説明するために用いられる時、「単一最大」は、単斜アイソタクチックポリプロピレンの回折計幾何学および結晶物理学によりX線走査によって精査された360°角範囲内で対称を示すWAXS透過方位走査から観察された単一屈曲として識別可能である。こうした単一最大は、データ中のノイズ、および一般に最大値の1%未満の大きさを有する、ランダム配向を有するポリマーマトリックスの部分に起因する散乱強度から区別可能である。
【0097】
一つの好ましい実施形態において、二軸面積延伸比は、約30:1より大きい、より好ましくは約36:1〜90:1、最も好ましくは約45:1〜90:1である。面積延伸比に関する上限は、かなりの高速において市販装置でフィルムをもう延伸できない実用的限界である。MD延伸比は、好ましくは約4:1より大きい、より好ましくは約4:1〜8.5:1、なおより好ましくは約5:1〜8.5:1、最も好ましくは約6.1:1〜8.5:1である。これらの実施形態のMD成分とTD成分は、本明細書に記載された所望のフィルム特性および特徴を提供するように選択される。本発明のフィルムの配向が、前述した範囲を下回る場合、フィルムは延伸不足になる傾向がある、すなわち、1.3cmより大きい破壊伸び値を示し、それは、切断中または手引き裂き中に過度の伸びにつながり、それは、歪んだ切断縁および応力白化につながる。さらに、不適切な延伸は、局所的くびれおよびシートを横切る厚さと物理的特性の不均一性につながり、その両方は、接着テープの製造の観点から非常に好ましくない。
【0098】
一つの好ましい実施形態において、機械方向延伸比は、機械方向での低い破壊抵抗および限定的な破壊伸びを有する接着テープ裏地を提供するために、横方向延伸比とほぼ同じか、あるいは横方向延伸比より大きい。こうしたテープは、綺麗に切断された縁をもたらすために市販テープディスペンサーの歯で切断中に伸びおよび歪みを避ける。
【0099】
特性および特徴は、好ましい実施形態に関して本明細書に記載されており、接着剤組成物を上に被覆していなフィルムについての例に関して本明細書に報告されている。殆どの場合、物品の特徴および特性が主として裏地によって決まり、接着剤、その他の層、コーティングによる影響は殆どないことが予想される。従って、上の好ましい特徴および特性は本発明の接着テープにも当てはまる。
【0100】
機械的には、切断可能性(分配特性)は、テープ裏地が市販接着テープディスペンサーの歯上で引かれる時の、テープ裏地の破壊荷重として考えることができる。同様に、手で接着テープを引き裂く能力は、裏地が指の間で引かれる時の、裏地の破壊荷重として考えることができる。いずれの場合にも、破壊エネルギーと引張破壊伸びの両方は、使用のための特定のテープ裏地の適性を評価するために用いられる。耐破壊性は、引張試験において、またはテープ裏地をクランプ内に固定して保持し、テープが破壊するまで試験プローブをテープ裏地に通す破壊試験によって評価することができる。手で切断可能且つ引き裂き可能であるように十分に低い引張強度および低い破壊抵抗を有する二軸配向された多層ポリオレフィン系テープまたはテープ裏地を得ることが望ましい。
【0101】
多層二軸配向ポリマーフィルムに関して、切断可能性または引き裂き可能性に関する主要な物理的特性は、一次層と二次層(複数を含む)との間の結晶性の相違、全体的な配向および配向の方向である。これらの物理的特性は、次に、強度、靱性、引張破壊伸びおよび破壊抵抗などのフィルム機械特性を決める。切断可能且つ手引き裂き可能な接着テープが、縦テープまたは機械方向で特に低い破壊抵抗、低い引裂抵抗、低い破壊伸び不良および低い引張強度の特性の組み合わせを示すことが望ましい。
【0102】
本発明の場合、高い破壊抵抗または引裂抵抗を有するフィルムは、この靱性がテープ裏地フィルムに関する所望の切断可能特性に反する点で切断可能接着剤テープ裏地として用いるために不適である。さらに、接着剤テープ裏地は、コーティング操作中および乾燥操作中に処理可能であるために、および縦収縮または熱不安定性によって引き起こされることが知られているめり込みまたは隙間形成を示さない接着剤テープの安定で均一なロールを製造するために、寸法安定性、耐熱性且つ耐収縮性でなければならない。さらに、低破壊抵抗と寸法安定性の組み合わせは、接着剤テープ裏地のために特に望ましい特性である。
【0103】
接着剤被覆テープ
本発明のフィルムは、好ましくは約0.002〜0.006cmの間の最終厚さを有する接着剤被覆テープのための裏地として特に有用である。フィルム厚さの変動は好ましくは約5%未満である。フィルムが好ましくないほど硬いかまたは堅いとともに取り扱いまたは使用し難いほどに厚くない状態でありつつ、過度に薄っぺらいこと、および取り扱い難いことを避けるのに十分に厚いのがよいことを理解した上で、より厚いフィルムおよびより薄いフィルムを用いてよい。
【0104】
本発明のフィルムは、スリーエム(3M)によって商品名Scotch(登録商標)Magic(登録商標)テープまたはScotch(登録商標)Satin(登録商標)テープで販売されているものなどの接着剤被覆テープの構造において特に有用である。特に図6を参照すると、接着剤層をさらに含む本発明によるこうした三層フィルム構造の端面図が示されている。裏地または基材として本発明のフィルム600を用いて、接着剤組成物62は裏地の第1の主表面上に被覆され、接着剤組成物62は技術上知られているような適するいかなる接着剤であってもよい。好ましい接着剤組成物は、圧力、熱またはそれらの組み合わせによって活性化できるものである。フィルム600は二軸配向されており、2層の二次層60、61の間にある一次層65および2層の二次層60、61を含む。
二次層60、61は、同じホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、あるいは二次層60、61は異なってよい。二次層60、61は、成分が同じであるが比が異なる(二種以上の成分の場合)点で異なってよく、あるいは成分自体が異なる点で異なってよい。
【0105】
接着剤層62のために適する接着剤組成物は、アクリレート、ゴム樹脂、エポキシ、ウレタンまたはそれらの組み合わせに基づくものが挙げられるが、それらに限定されない。接着剤組成物は、溶液コーティング法、水性コーティング法またはホットメルトコーティング法によって塗布してよく、接着剤組成物には、ホットメルト被覆配合物、トランスファー被覆配合物、溶媒被覆配合物およびラテックス配合物、ならびに積層接着剤組成物、熱活性化接着剤組成物および水活性化接着剤組成物を挙げてよい。
【0106】
本明細書に記載された裏地は、ユーティリティテープ、ライトデューティテープ、シールテープおよび補修テープを含む多くの接着テープ裏地用途のために適切である。本裏地は順応性であるので、マスキングテープ裏地としても有用である。
【0107】
接着剤層
本発明において有用な特に有用な接着剤には、すべての感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は、乾燥粘着性、永久粘着性、指圧以下の圧力による粘着性および被着物上に保持する十分な能力を含む特性を有することが周知されている。
【0108】
本発明において有用な接着剤の例には、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンなどのジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ブタジエン−アクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマーおよびスチレン−ブタジエンポリマーなどのブロックコポリマー、ポリ−アルファ−オレフィン、非晶質ポリオレフィン、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル、および上述したものの混合物またはブレンド(連続相または不連続相)の一般組成物に基づくものが挙げられる。
【0109】
さらに、接着剤組成物は、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散性材料、硬化剤、繊維、フィラメントおよび溶媒などの添加剤を含有してよい。
【0110】
有用な感圧接着剤の一般的説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley−Interscience Publishers,(New York,1988))において見られる。有用な感圧接着剤の別の説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers,(New York,1964))において見られる。
【0111】
接着剤組成物の層などのコーティング層の付着力を改善するために、本発明フィルムは、炎放電またはコロナ放電あるいは化学プライミングを含む他の表面処理にさらすことにより任意に処理してよい。さらに、いかなるテープ構造も、粘着を防ぎ制限するために、例えば、任意の低付着力バックサイズ材料などの別のコーティングを含むことができ、よって接着剤被覆テープ製造技術上周知されているように容易な巻き戻しができる接着テープロールの製造を考慮に入れている。
【0112】
本発明の作用を以下の詳細な実施例に関してさらに説明する。種々の特定の実施形態および技術ならびに好ましい実施形態および技術をさらに説明するためにこれらの実施例を提示する。しかし、本発明の範囲内に留まりつつ、多くの変形および修正を行いうることが理解されるべきである。
【実施例】
【0113】
試験方法
フィルムの引張特性の決定
ASTM・D882−97「Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting,」方法Aに記載された手順に準拠して機械方向(MD)破断点引張強度を測定した。試験の前に、フィルムを22℃(72°F)および50%相対湿度(RH)で24時間にわたり状態調節した。ミネソタ州エデンプレーリーのエムティーエスシステムコーポレーション(MTS System Corporation)からModel No.Sintech200/Sとして市販されている引張試験機を用いて試験を行った。この試験用の試験片は、幅2.54cm長さ15cmであった。10.2cmの初期顎距離および25.4cm/分のクロスヘッド速度を用いた。6個の試験片をMDでサンプルごとに試験した。
【0114】
破壊エネルギーの決定
以下に記載したような変更を行ったASTM・F1306−94に基づいた方法を用いて、破壊エネルギーおよび破壊伸びを決定した。ミネソタ州エデンプレーリーのエムティーエスシステムコーポレーション(MTS System Corporation)によって製造されたModel No.Sintech200/S引張試験機を試験のために用いた。ASTM・F1306−94に記載された試験片掴み具を各プレートの中心に径7.62cmの正方形開口を有する二つの硬いプレートを含むように修正した。ASTM・F1306−94に記載された浸透(penetrarion)プローブを半球チップを有する径0.318cmの円筒スチールロッドと取り替えた。プランジャーアセンブリーの押しのけ量を各試験片の装填中および完全浸透(penetrarion)中に測定した。試験用の試験片を以下に報告したように幅2.54cmのストリップまたは幅1.27cmのストリップにMDに平行に切断した。試験片は、クランプアセンブリー内で適切に掴むために長さ12.7cmであった。各試験を254cm/分の速度で行った。少なくとも6個の試験片を決定ごとに試験した。試験の前に、22℃(72°F)および50%相対湿度(RH)で24時間にわたりフィルムを状態調節した。
【0115】
試験ごとに、試験片をアセンブリー中に掴んだ。各試験片をプレート開口を横切って中心に置いた。クランプアセンブリーの底プレートの一方側上にサンプルを保持するために感圧接着剤テープの片を用いた一方で、サンプルが一定張力下で装填されたことを確実にするために試験片の他方側に重り(75g)を吊した。その後、サンプルが試験中に滑らないように、蝶ねじを用いてクランププレートを締め付けた。クランプアセンブリーをプランジャーの下に置いて、プランジャーの経路がサンプルの中心を通るようにした。サンプルを破壊するために要した全エネルギーおよび破壊伸びを決定した。
【0116】
請求の範囲を含む本明細書において用いられる時、「破壊試験−2.54cm」という用語は、幅2.54cmのサンプルで行われたような丁度今記載した試験を指し、「破壊試験−1.27cm」という用語は、幅1.27cmのサンプルで行われたような丁度今記載した試験を指す。
【0117】
幅2.54cmのサンプルについて得られた破壊試験結果と幅1.27cmのサンプルについて得られた試験結果との間に相関関係が存在すると結論付けられた。すなわち、幅1.27cmのサンプルについて得られた試験結果は、幅2.54cmのサンプルで測定された同じフィルムタイプに関するよりも値が約3.25〜3.5倍高かった。
【0118】
広角X線散乱(WAXS)測定
Picker4サークル回折計、銅Kα線、および散乱放射線のシンチレーション検出器レジストリーの使用によって広角X線回折データ(WAXS)を集めた。回折計には固定入口スリットおよび固定受取りスリットを装備した。有効基準方向軸が垂直に向き、回折計2θ軸と一致している透過データ収集配置(geometry)を用いた。X線発生器を40kVおよび25mAの設定で運転した。入射X線ビームにさらされたフィルムの部分下で裏地プレートも支持体も用いずに二重被覆接着テープを用いて、試験片をアルミニウムホールダ上に取り付けた。
【0119】
0.05度ステップサイズおよび30秒の計数時間を用いて5から35度(2θ)まで行ったサーベイステップ走査からポリプロピレンのピーク位置を突き止めた。3度ステップサイズおよび10分の計数時間を用いて、ポリプロピレン単斜(110)最大の方位ステップ走査を−180〜+180度(X)の計器設定から行った。得られた散乱データを方位角と強度値のx−y対に換算し(reduced)、データ分析ソフトウェアORIGIN(登録商標)(One Roadhouse Plaza,Northhampton,MA.01060のミコロカルソフトウェア(Microcal Software Inc.)から入手できるORIGIN(登録商標)バージョン4.1)を用いてプロファイルフィッティングに供した。方位走査で観察された強度最大を記載するためにガウスの形状モデルを用いた。上述したプロファイルフィリング手順で測定された幅を直線バックグラウンドモデルより上で半最大での全幅(FWHM)として解釈した。WAXSの結果を表1に示している。
【0120】
屈折率の試験方法
一般には機械方向(MD)であるとする基準方向に平行および垂直の方向でASTM・D542−95に準拠してフィルムサンプルの屈折率を測定した。屈折率を測定するために、米国ニュージャージー州ペニントンのメトリコンコーポレーション(Metricon Corporation)から入手できるMetricon Model2010Prism Cpuplerを用いた。このモデルには、200−P−1型プリズムおよび低動力(公称0.5mw)He−Neレーザー(632.8nm)、CDRH/BRH ClassII光源が装備されていた。このシステムに関する屈折率範囲は1.80未満である。
【0121】
サイズ1.3cm×3.8cmの試験片を測定しようとするフィルムサンプルから切り出した。基準方向を光源に対して垂直に向けるように試験片をサンプルチャンバ内に装填した。空気式作動カップリングヘッドによってプリズムのベースに試験片を接触させ、プリズムベースから光検出器上に反射するレーザービームによって試験片を走査した。入射角(モード角)の特定の離散(discrete)値で、光検出器に達する光の強度の急激な低下が起きた。その後、第1のモードの角位置はフィルムの屈折率を決定する。
【0122】
同様に、基準方向を水平に向けるようにサンプルを90°(すなわち、垂直)回転させた後に、屈折率を決定した。その後、基準方向または横方向に垂直として付記されたこの方向で屈折率を測定した。
【0123】
曇り度の試験方法
実施例フィルム構造の曇り度をASTM・D1003−97に準拠して測定した。測定において用いた曇り度計は、メリーランド州コロンビアのビーワイケーガードナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−gardプラス,Cat.No.4725であった。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度計の曇り口を横切って手で取り付け、測定を作動させた。10回の曇り度測定を行い、これらの10回の測定の平均を本明細書における曇り度値として報告した。
【0124】
融点の決定
25℃〜200℃の温度範囲を通して10℃/分の加熱速度を用いるDuPont Model2100示差走査熱分析計(DSC)を用いて、ASTM・E794−98に準拠して樹脂サンプルの融点を決定した。約5mgの樹脂サンプルを金属DSC皿に装填し、押し付け(crimped)、試験チャンバにセットした。25℃から200℃まで10℃/分で窒素正圧下でサンプルを最初に加熱し、200℃で3分にわたり保持し、10℃/分で25℃に冷却し、その後、サンプルとDSC皿との間の良好な接触を確保するために再走査し、第2の走査の吸熱ピークをポリマーサンプルの融点と解釈した。値を表1において報告している。
【0125】
本発明の作用を以下の詳細な実施例に関してさらに説明する。種々の特定の実施形態および技術ならびに好ましい実施形態および技術をさらに説明するためにこれらの実施例を提示する。実施例が示しているように、技術上一般に教示されているように公称機械延伸比を記載することによってフィルムを定義するのではなく、本明細書に記載されたフィルムの好ましいモルホロジーを得るためにある程度までフィルムを延伸することによりフィルムの所望の特性が得られる。しかし、本発明の範囲内に留まりつつ、多くの変形および修正を行いうることが理解されるべきである。
【0126】
切断されたフィルム縁の光学顕微鏡法
ディスペンサー刃を横切ってテープを真っ直ぐ下に引くことにより手によって切断プラスチック刃(ミネソタ州セントポールのミネソタマイニングアンドマニュファクチャリングカンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Companyから本明細書の出願日付けで入手できる3Mカタログ#105)で、本発明により製造されたフィルムおよび本明細書に記載された比較フィルムを分配した。こうして得られた試験片をガラス顕微鏡スライド上に取り付けて、切断縁の画像を得た。ミネソタ州ミネアポリスのリーズプレシジョンインストルメンツ(Leeds Precision Instruments,Inc.)から市販されているOlympus BHSM Type BH−2光学顕微鏡を用いて写真画像を得た。ASA3000のPolaroid(登録商標) Type57白黒インスタントプリントフィルムおよび反射光によって写真画像を得た。各画像は、参照のために2mmの尺度バーを含んでいる。図11は、上述したように切断された本発明のフィルムの縁である一方で、図12は、これも上述したように切断された先行技術フィルムの縁である。
【0127】
光沢の試験方法
実施例フィルム構造の光沢をASTM・D2457−97に準拠して測定した。測定において用いた光沢計は、メリーランド州コロンビアのビーワイケーガドナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−Gloss反射率計,Cat.No.4601であった。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度−光沢反射率計のサンプル支持台上に手で取り付け、測定を60°の光入射の角度で行う。
【0128】
鉛筆の%面積付着量
鉛筆の%面積付着量を次のように決定した。重りを加えて60角で鉛筆によりサンプル上に書き込むために書き込み機を用いた。その後、鉛筆の芯の%面積付着量を決定するために定量的画像分析を用いた。鉛筆の%面積付着量結果を表9に示している。比較として、酢酸セルロースでの鉛筆の%面積付着量は0.9%であり、紙では0.4%である。
【0129】
全%光透過率試験方法
実施例フィルム構造の全%光透過率をASTM・D1003−97に準拠して測定した。メリーランド州コロンビアのビーワイケーガドナーUSA(BYK−Gardner USA)から入手できるHeze−Glossプラス,Cat.No.4725を用いて測定を行った。油、埃、塵、指紋が測定しようとする区画に存在しないようにフィルムシートからサイズ15cm×15cmのサンプル試験片を切り出した。その後、試験片を曇り度計の曇り口を横切って手で取り付け、測定を作動させた。10回の反復全%光透過率測定を行い、これらの10回の測定の平均を本明細書における透過率値として報告した。
【0130】
走査型電子顕微鏡写真(SEM)
Hitachi S−530走査型電子顕微鏡を用いてフィルム表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。電子ビーム出力は20kVであった。倍率は150倍であった。
【0131】
実施例の作製
実施例1〜49のフィルムの二次層および一次層のために用いたポリマー樹脂を表1に記載し、実施例50〜55を表6に記載する。用いた層比(重量)を表2および表7に記載する。一次層の厚さが約90%であった実施例21および22を除いて、すべての場合に一次層の厚さを全フィルム厚さの約80%で一定に保った。
【0132】
同時延伸プロセス
米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第4,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号に記載されたプロセスを用いて、実施例1〜43に記載されたような同時二軸配向多層フィルムを作製した。ドイツのシーグスドルフのブリュックナーマシネンバウ(Bruckner Maschinenbau)によって製造された同時延伸装置で同時延伸プロセスを行った。
【0133】
実施例1において、多層フィルムは、二次層中で約20%のプロピレンホモポリマーB(一次層の各側で約10%)を伴って一次層中で約80%のプロピレンコポリマーGから成っていた。詳しくは、一次層に関しては、約202℃〜265℃の溶融温度を有する安定な溶融物を生じさせるために、Berstorff6.0cm二軸スクリュー押出機を用いた。
【0134】
二次層に関しては、約195℃〜245℃の溶融温度を有する安定な溶融物を生じさせるために、HPM4.45cm単軸スクリュー押出機を用いた。
【0135】
セレクターハウジングが装備されたCloeren3−層共押出ダイに溶融物を移送した。実施例1〜実施例20および実施例27〜実施例43において、「ABA」セレクタープラグを設置し、HPM押出機からのポリマー溶融物「A」がチャンネルを通して流れるようにして、Berstorff押出機からの溶融物「B」を差し込み、よって三層、二次/一次/二次または溶融物の「ABA」サンドイッチを内部で形成し、その後、この三層溶融物をスロットダイを通して押出し、約4.7〜6.8メートル/分で回転している水冷スチールキャスティングホイール上にキャストした。キャスティングホイールは、内部水循環を用いて、そして水浴にキャスティングホイールを浸漬することにより20℃〜30℃の範囲の温度に維持されていた。キャストシートは、幅約35cm、厚さ約0.15〜0.20cmであった。
【0136】
実施例21および22において、「ABB」セレクタープラグを設置し、HPM押出機からのポリマー溶融物「A」がチャンネル外の一つを通して流れるようにした。Berstorff押出機からの溶融物「B」を一次に、そして両側の一方に送り、よって溶融物の三層「A/B/B」サンドイッチを内部で形成し、その後、この三層溶融物をスロットダイを通して押出した。キャスティングを既に記載したように完了した。
【0137】
実施例23〜26において、5−層構造を有する多層フィルムを作製した。構造を「ACBCA」構造と呼んでよく、「A」二次層は、上述したようにHPM押出機を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成り、「B」一次層は、上述したようにBerstorff押出機を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成る。「C」層は、3.8cmのDavis Standard単軸スクリュー押出機Model DS15を通して押し出されたポリマー(複数を含む)から成っていた。約250℃の溶融温度を有する安定な溶融物が生成した。セレクタープラグを設置し、最初にポリマー溶融物「C」をポリマー「B」溶融物ストリームの各側に送り、多層「CBC」溶融物ストリームを形成し、その後、ポリマー溶融物「A」をこの「CBC」多層ポリマー溶融物ストリームの各側に送った。その後、得られた「ACBCA」層状溶融物ストリームはダイから出、水冷スチールキャスティングホイール上へのキャスティングを既に記載したように完了した。「A」層、「B」層および「C」層を構成するポリマー成分を表1および2において明示している。
【0138】
キャストシートを約600℃に設定されたIRヒーターのバンクに通して、テンターオーブン内で同時延伸する前にキャストフィルムを予熱した。キャストされ予熱されたフィルムを直ちに縦方向(MD)および横方向(TD)に同時延伸して、二軸延伸フィルムを生じさせた。約45:1〜約75:1の最終面積延伸比を用いた。MDおよびTDの比をMDRについて約7.5〜8.0倍およびTDRについて約7.0倍でほぼ一定に保ち、MDとTDの各々でほぼ同じか、あるいは好ましくは、TDの場合よりMDの場合に、より大きくフィルムを延伸するようにした。
【0139】
実施例ごとのテンターの予熱区画、延伸区画およびアニール区画内で用いたテンターオーブン温度設定点を表3に記載している。実施例1に関しては、テンター内の予熱ゾーンを約207℃に設定し、延伸ゾーンを約175℃に設定し、アニールゾーンを約130℃に設定した。フィルムは厚さ約0.030mmであり、スリット幅は約127cmであった。約45メートル/分の巻き上げ速度を用いた。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向および横方向にスリットした(オフラインで)。フィルムの機械的特性を表4に示している。分子配向データを表5aおよび5bに記載している。
【0140】
逐次延伸プロセス
実施例44〜48を次の通り作製した。
【0141】
実施例44において、多層フィルムは、三台の押出機の産出量を基準にして一次層中の約80%のプロピレンコポリマーGおよび二次層中の約20%のプロピレンホモポリマーB(PP−B)(一次層の各側で約10%)から成っていた。
オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機に一次ポリマーをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された2.54cmの単軸スクリュー押出機(Model番号D5−10−HM15)に一次の両側の一方(キャスティングホイールに接触した側)上に二次層ポリマーをフィードした。ニュージャージー州S.ハッケンサックのブラベンダー(Brabender)によって製造された3.18cmの単軸スクリュー押出機(Controller Type SP−T2504D付きType D−51)に一次の他方側(キャスティングホイールに接触しなかった側)の二次層ポリマーをフィードした。約240℃〜260℃に至る約194℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約252℃に加熱した。溶融物をフィードブロックに移送し、溶融物の3層二次/一次/二次サンドイッチを内部で形成することを可能にし、その後、このサンドイッチを17.8cmのシートダイを通して押し出した。ホイールの一部が浸漬されている循環水浴で約60℃に維持された回転平滑スチールキャスティングホイール上に三層押出物をキャストした。キャスティングホイールの温度は、循環周囲温度(60℃)水によっても維持した。
【0142】
キャストフィルムを125℃に内部加熱された一連のロール上に通し、約5:1の延伸比に縦方向すなわち機械方向(MD)に延伸した。次に、MD延伸シートを分岐テンターレール上で一連のクリップ内に縁状に掴み、約9:1の最終TD延伸比に交差方向すなわち横方向(TD)に延伸した。特定の延伸条件およびテンター温度条件を表3に記載している。得られた二軸延伸フィルムを室温に冷却し、その縁をレーザースリッティングによってトリムし、約10メートル/分でマスターロール上に巻き取った。フィルムは厚さ約0.028〜0.038mmであり、スリット幅は約25〜30cmであった。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向および横方向にスリットした。フィルムの特性を表4に示している。分子配向データを表5aおよび5bに記載している。
【0143】
結果および考察の節
逐次配向プロセスを用いて実施例44〜48を作製した。このプロセスは、一般に、過度のMD伸びおよびWAXSと複屈折測定によって決定されるような破壊エネルギーの高い値を逐次サンプルが示す点で本発明の目的のためにあまり適さない。実施例47は低い破壊エネルギー値を示す一方で、このサンプルを伸びさせ、歪ませ、そして代表的な接着テープディスペンサーを用いて切断するのを難しくなるようにする非常に高い伸びも示した。
【0144】
実施例1および2は、一次層と二次層との間の望ましい融点差、および適切な配向をもったフィルムの例である。これらのサンプルは、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、さらに、これらの実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。
【0145】
実施例3は、配向は適切であるが、二次層と一次層との間の融点の不適切な差を有するフィルムである。これは、好ましくないほど高い破壊エネルギーおよび靱性を有するフィルムを生じさせ、市販接着テープディスペンサーを用いて切断することを難しくさせる。
【0146】
実施例12は一次層中に核剤を含有しており、それは、フィルムにクラリティと改善された剛性を付与した。一般に、高い剛性または弾性率を有するフィルムは、従来のウェブ取り扱い装置内で、より容易に取り扱われる。
【0147】
実施例15〜20は二次層中にブレンド樹脂を有し、ブレンド樹脂の大部分の成分は一次層ポリマーに対する適切な融点差をもっていた。より低い融点の樹脂または一次層樹脂でさえを二次層に組み込むと、外皮層と一次層との間の粘着力を改善し、加工性を助け、あるいはクラリティを改善した。
【0148】
実施例21〜22は、適切な配向および低い破壊エネルギー値を提供するのに外皮層と一次層との間で十分な融点差を有する2層構造を説明している。こうしたフィルムは、加工中またはロール巻き戻し中に生じる応力が、別の層が存在するなら、その別の層の部分離層を引き起こすのに十分に高い場合、特定の包装用途およびテープ裏地において有用でありうる。
【0149】
実施例23〜26は、層間付着力および必要とされる全体的フィルム特性を改良するために繋ぎ層を組み込んだ5層フィルム構造を実証した。こうした繋ぎ層は、全体的なフィルム機械的挙動に殆ど寄与しないように十分に少量で存在していた。
【0150】
実施例28〜30は、一次層中にブレンドする樹脂の効果、特に、より結晶性のアイソタクチックポリプロピレンの添加の効果を実証した。これらの場合、フィルムは増加する破壊エネルギーを犠牲にして剛性を獲得したが、後続のコンバーティング操作での、より安定なウェブ取り扱いを提供する際に有用であった。
【0151】
実施例32、33および35を同時二軸延伸して、5.5の低下したMD延伸比を提供した。驚くべきことに、これらの場合は引張伸びの増加を示す一方で、低い破壊エネルギー値をなお保持し、そして容易に切断可能であったか、あるいは手で引き裂かれた。表5bに示しているように、これらの実施例に関して測定された分子配向は若干の横特性をもっていた。その特性は、驚くべきことに、こうしたフィルム裏地の破壊エネルギーまたは有用性に強い影響を及ぼしていない。これは、実施例C−1〜C−5に関してはそうではなかった。実施例C−1〜C−5は、市販接着テープディスペンサーを用いて分配された時に均等でないか歪んだ切断縁に加えて、大きな負の複屈折値、および続いて高いMD引張伸び、そして殆どの場合高い破壊エネルギー値をもっていた。
【0152】
実施例38および41に加えて実施例39、40、42および43は、フィルムの一次層に炭化水素粘着性付与樹脂を添加する効果を示している。これらの場合が示すように、粘着性付与性樹脂は破壊エネルギーを改善するとともに破壊応力値を減少させる傾向がある。これらの実施例は、粘着性付与性樹脂を用いずに作製された比較例より顕著に剛性であった。前に述べたように、より剛性のフィルムは、後続のウェブ取り扱い操作に関して、より軟らかいフィルムより好ましいことが多い。相互に接着することになる隣接フィルム層の傾向を増加させうる場合、表面への移行またはブリードを避けるために、こうした樹脂を一次層に添加することが好ましい。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
逐次延伸プロセス
実施例50〜55を次の通り作製した。
【0160】
実施例50
三層フィルム構造を作製した。この構造は、「C」表面層(キャスティングホイールに接触しなかった側)、「B」コア層および「A」二次表面層(キャスティングホイールに接触した側)を伴った「ABC」構造と呼ぶことができる。共押出プロセスを用いてフラットフィルムダイから三層フィルムを作製した。
【0161】
層A、BおよびC中で用いたポリマーを表6に記載している。層Bおよび層AはポリマーPP1を含む。表面仕上げ層(層C)は、表7に記載されたような20/40/40のCC/PP2/HDPE2のブレンドを含む。ニュージャージー州サマビルのレイストリッツ(Leistritz)によって製造された27mmの同時回転二軸スクリュー押出機にCCを1.4kg/hrで、PP2を2.7kg/hrで、HDPE2を2.7kg/hrでフィードすることにより、このブレンドを調製した。約195℃〜230℃のバレルゾーン加熱設定点を用いて、このブレンドを約230℃に加熱した。ストランドダイを通してブレンドを押出し、約15℃の温度で維持された水浴にストランドを通した。その後、回転ナイフを用いてストランドをペレットに切断した。
【0162】
オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機にコア層(層B)ポリマーをフィードした。ニュージャージー州S.ハッケンサックのブラベンダー(Brabender)によって製造された3.18cmの単軸スクリュー押出機に表面層(層C)ポリマーブレンドをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された2.54cmの単軸スクリュー押出機に第2の表面層(層A)ポリマーをフィードした。約194℃〜250℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約250℃に加熱した。ポリマー溶融物を三層フィードブロックに、その後、幅17.8cmのシートダイに移送した。両方ともテキサス州オレンジのクローレン(Cloeren)によって製造されたものである。約50℃に維持された回転平滑スチールキャスティングホイール上に厚さ1.37cmの三層シートをキャストした。その後、シートを20℃の水浴に浸漬する。
【0163】
120℃に内部加熱された一連のロール上に通すことによりキャストフィルムを加熱し、その後、縦方向すなわち機械方向(MD)で約5:1の延伸比に延伸した。次に、MD延伸シートを分岐テンターレール上で一連のクリップ内で縁状に掴み、交差方向すなわち横方向(TD)で約9:1の最終TD延伸比に延伸した。特定の延伸条件およびテンター温度条件を表8に記載する。得られた二軸延伸フィルムを室温に冷却し、その縁をレーザースリッティングによってトリムし、約10メートル/分でマスターロール上に巻き取った。フィルムは厚さ約0.030mmであり、コア層(B)は厚さ約0.021mmであり、各表面層は厚さ約0.0045mmである。フィルムの特性を表9に示している。図13に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。SEMは、低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも示している。
【0164】
実施例51
実施例50を繰り返した。層C中で用いたブレンドは、表7に記載したように20/40/40のCC/RCP3/HDPE2のブレンドを含んでいた。層B中で用いたポリマーはRCP1を含んでいた。この実施例を作製するために用いられた加工条件を表8に示している。フィルムの特性を表9に記載している。図14に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0165】
実施例52
実施例51を繰り返した。延伸温度T2を142℃に下げた。フィルムの特性を表9に記載している。図15に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0166】
実施例53
層C中で用いたブレンドが表7に記載したように20/40/40のCC/RCP2/HDPE2のブレンドを含んで、実施例52を繰り返した。ブレンド中で用いたランダムコポリマーは、4g/10分のメルトフローをもっていた。曇り度値および光沢値に関しては、この実施例は表9に示したように本発明の所望値を達成しなかった。図16に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。しかし、フィルム表面には多数のリッジがなく、本発明の範囲外の光沢値を有するフィルムが生じた。
【0167】
実施例54
表8に記載されたように、より低い延伸温度T2で実施例50を繰り返した。層B中で用いたポリマーは、表7に示したようなRCP1を含む。延伸温度は、層Cのブレンド中で用いたポリプロピレンの融点より低かった。フィルムの特性は、表9に示した所望の値を満たさなかった。図17のSEMにおいて明らかなように、表面層の炭酸カルシウム粒子を取り囲む大規模なポリマー空隙が存在した。鉛筆の芯で艶消面層を引っ掻き、そして取り除かずには、フィルムの艶消面上に書き込むことができなかった。
【0168】
実施例55
層C中で用いたブレンドが表7に記載したように20/40/40のCC/PP2/HDPE1のブレンドを含んで、実施例50を繰り返した。ブレンド中で用いた高密度ポリエチレンは、7g/10分のメルトフローをもっていた。この実施例の曇り度値および光沢値は、表9に示したように本発明の所望値を達成しなかった。図18に示したSEMは、空隙および割れが特になかった表面を示している。しかし、フィルム表面には多数のリッジがなく、本発明の範囲外の光沢値を有するフィルムが生じた。
【0169】
同時延伸プロセス
米国特許第4,675,582号、第4,825,111号、第5,853,602号、第5,036,262号、第5,051,225号および第5,072,493号に記載されたプロセスを用いて、実施例56〜57に記載されたような同時二軸配向多層フィルムを作製した。ドイツのシーグスドルフのブリュックナーマシネンバウ(Bruckner Maschinenbau)によって製造された同時延伸装置で同時延伸プロセスを行った。
【0170】
実施例56
三層フィルム構造を作製した。この構造は、「C」二次層(キャスティングホイールに接触しなかった側)、「B」一次層および「A」表面仕上げ層(キャスティングホイールに接触した側)を伴った「ABC」構造と呼ぶことができる。共押出プロセスを用いてフラットフィルムダイから三層フィルムを作製した。
【0171】
層A、BおよびC中で用いた材料を表6に記載している。このフィルム構造を表7に記載している。
【0172】
C層は、20/40/40のCC/RCP3/HDPE2のブレンドを含む。ミシガン州グランドラピッズのエーピーブイ(APV)によって製造された50mmの同時回転二軸スクリュー押出機にCCを20kg/hrで、RCP3を40kg/hrで、HDPE2を40kg/hrでフィードすることにより、このブレンドを調製した。約190℃〜230℃のバレルゾーン加熱設定点を用いて、このブレンドを約230℃に加熱した。ストランドダイを通してブレンドを押出し、約15℃の温度で維持された水浴にストランドを通した。その後、回転ナイフを用いてストランドをペレットに切断した。
【0173】
ドイツのハノーバーのベルシュトフ(Berstorff)によって製造された6.0cmの同時回転二軸スクリュー押出機にコア層(層B)ポリマーをフィードした。コネチカット州ポータケットのデービススタンダード(Davis−Standard)によって製造された3.81cmの単軸スクリュー押出機に上で調製された表面層(層C)ブレンドをフィードした。オハイオ州マウントギリードのH.P.Mによって製造された4.45cmの単軸スクリュー押出機に第2の表面層(層A)をフィードした。約190℃〜250℃の押出機バレルゾーン加熱設定点を用いて、ポリマーを約250℃に加熱し、安定な溶融物ストリームを生じさせた。
【0174】
セレクターハウジングおよび「ABC」セレクタープラグが装備されたCloeren3層共押出ダイに溶融物を移送し、ポリマー溶融物の3層「A/B/C」サンドイッチをスロットダイを通して押出し、約5.0メートル/分で回転している水冷スチールキャスティングホイール上にキャストするようにした。キャスティングホイールは、内部水循環を用いて、そして水浴にキャスティングホイールを浸漬することにより約20℃の温度に維持されていた。
【0175】
キャストシートを約500℃に設定されたIRヒーターのバンクに通して、テンターオーブン内で同時延伸する前にキャストフィルムを予熱した。キャストされ予熱されたフィルムを直ちに縦方向(MD)および横方向(TD)に同時延伸して、二軸配向フィルムを生じさせた。約49:1の最終面積延伸比を用いた。MDおよびTDの比をMDRについて約7.5倍およびTDRについて約6.5〜7.0倍でほぼ一定に保ち、MDとTDの各々でほぼ同じか、あるいは好ましくは、TDの場合よりMDの場合に、より大きくフィルムを延伸するようにした。
【0176】
表8に記載されたように、予熱ゾーンで用いたテンターオーブン温度設定点は176℃であり、延伸ゾーンでは140℃であり、アニールゾーンでは130℃であった。フィルムは厚さ約0.035mmであり、スリット幅は約127cmであった。フィルムを約37.5メートル/分の速度で巻き上げた。新しい刃が装備されたレーザーブレードカッターを用いて、フィルムを試験のために有用なサンプル幅に向けて機械方向にスリットした(オフラインで)。
【0177】
フィルムの特性を表9に示している。この実施例は、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着剤テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、この実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。図19に示したSEMは、空隙および割れが特にない表面を示している。SEMは、低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも示している。
【0178】
実施例57
実施例56を繰り返した。予熱温度T1を180℃に上げ、延伸温度T2を142℃に上げ、アニール温度T3を145℃に上げた。フィルムの特性を表7に示している。この実施例は、低い破壊エネルギーおよび引張伸びを有し、市販接着剤テープディスペンサーの刃で容易に切断した。さらに、この実施例は、鋭利なレーザーブレードを用いて縁スリットした時でさえ、手で容易に引き裂かれた。図20に示したSEMは、空隙も割れも低光沢表面をもたらすフィルムの表面上の多数のリッジも特にない表面を示している。
【0179】
【表7】
【0180】
【表8】
【0181】
【表9】
【0182】
【表10】
【0183】
本発明の種々の修正および変更は本発明の範囲と原理を逸脱せずに当業者に対して明らかになるであろう。本明細書で上述した説明的実施形態に本発明が不当に限定されないことは理解されるべきである。すべての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特許が、引用して援用されるべく明確に個別に指示されているのと同じ程度に本明細書に引用して援用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、延伸フィルムがΔn>−3×10−3である複屈折の差を示すように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項2】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
表面仕上げ層をさらに含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、延伸フィルムの単一方位走査最大がWAXS透過方位走査によって測定してMDに対して±75°内であるように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項16】
前記延伸フィルムは、複屈折の差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項18】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項19】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項20】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項21】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項22】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローインデックスを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項23】
一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項24】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項25】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項26】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項27】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項28】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項29】
表面仕上げ層をさらに含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項30】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、延伸フィルムが横方向(TD)で測定された屈折率より大きい機械方向(MD)の屈折率を示すとともに延伸フィルムの単一方位走査最大がWAXS透過方位走査によって測定してMDに対して±75°内であるように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項31】
前記延伸フィルムは、差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項30に記載のフィルム。
【請求項32】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項33】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項34】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項35】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項36】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項37】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項38】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項39】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項40】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項41】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項42】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項43】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項44】
表面仕上げフィルムをさらに含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項45】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含み、約20J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーを有するフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有する主成分を含み、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向されているフィルム。
【請求項46】
前記延伸フィルムは、差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項45に記載のフィルム。
【請求項47】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項48】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項49】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項50】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項51】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項52】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項53】
一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項54】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項55】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項56】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項57】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項58】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項59】
表面仕上げフィルムをさらに含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項60】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
前記フィルムが、約20J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーと、約2%以下の透過曇り度値とを有し、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向されている接着テープ裏地。
【請求項61】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有する主成分を含み、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向され、
前記接着テープ裏地が機械方向で測定された屈折率から横方向で測定された屈折率を差し引くことにより計算された少なくとも約−3×10−3の複屈折を示し、前記一次層のポリマーが25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する、接着テープ裏地。
【請求項62】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向され、
フィルムが約10J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーおよび約1%の以下の透過曇り度を有する接着テープ裏地。
【請求項63】
(a)(i)第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む少なくとも1層の一次層および(ii)第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む少なくとも1層の二次層を含む多層二軸延伸フィルムと、
(b)多層二軸延伸フィルムの一表面上に被覆された少なくとも1層の接着剤被覆層とを含む接着剤被覆物品。
【請求項64】
前記多層二軸延伸フィルムは、(iii)最外層である表面仕上げ層をさらに含み、前記接着剤被覆層は前記表面仕上げ層とは反対側の表面上に被覆されている請求項63に記載の接着剤被覆物品。
【請求項65】
前記接着剤被覆層は感圧接着剤を含む請求項63に記載の接着剤被覆物品。
【請求項66】
前記表面仕上げ層は艶消面である請求項64に記載の接着剤被覆物品。
【請求項67】
前記表面仕上げ層は、第1の融点を有する高密度ポリエチレンおよび第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む非相溶性ポリマーと粒状充填剤のブレンドを含む請求項66に記載の接着剤被覆物品。
【請求項68】
前記表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は配向温度より2℃低い請求項67に記載の接着剤被覆物品。
【請求項69】
前記表面仕上げ層の粒状充填剤は2以上のモース硬度を有する請求項68に記載の接着剤被覆物品。
【請求項1】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含み、延伸フィルムがΔn>−3×10−3である複屈折の差を示すように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項2】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
表面仕上げ層をさらに含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、延伸フィルムの単一方位走査最大がWAXS透過方位走査によって測定してMDに対して±75°内であるように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項16】
前記延伸フィルムは、複屈折の差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項18】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項19】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項20】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項21】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項22】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローインデックスを有する請求項15に記載のフィルム。
【請求項23】
一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項24】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項25】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項26】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項27】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項28】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項29】
表面仕上げ層をさらに含む請求項15に記載のフィルム。
【請求項30】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含むフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレンコポリマーを含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、延伸フィルムが横方向(TD)で測定された屈折率より大きい機械方向(MD)の屈折率を示すとともに延伸フィルムの単一方位走査最大がWAXS透過方位走査によって測定してMDに対して±75°内であるように多層構造が二軸延伸されているフィルム。
【請求項31】
前記延伸フィルムは、差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項30に記載のフィルム。
【請求項32】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項33】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項34】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項35】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項36】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項37】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項30に記載のフィルム。
【請求項38】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項39】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項40】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項41】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項42】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項43】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項44】
表面仕上げフィルムをさらに含む請求項30に記載のフィルム。
【請求項45】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含み、約20J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーを有するフィルムであって、前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有する主成分を含み、機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向されているフィルム。
【請求項46】
前記延伸フィルムは、差がΔn>−3×10−3である複屈折を示す請求項45に記載のフィルム。
【請求項47】
前記延伸フィルムは、破壊試験−2.54cmに従って試験された時に機械方向(MD)で約20J/cm2以下の破壊エネルギーを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項48】
前記延伸フィルムは、MDで約150%以下の引張破壊伸びを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項49】
前記延伸フィルムは、約4%以下の透過曇り度値を有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項50】
前記延伸フィルムは、MDで約140Mpa以下の引張破壊強さを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項51】
前記一次層のプロピレンポリマーは、25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項52】
二軸配向フィルムは、35g/10分以下のメルトフローレートを有する請求項45に記載のフィルム。
【請求項53】
一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項54】
前記二次層は、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項55】
前記二次層は、約0.01%〜1.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項56】
前記一次層は、約0.5%〜10%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項57】
前記一次層は、約0.5%〜4.0%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーと約1%以下のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーとのブレンド、混合物またはインターポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項58】
前記一次層は、C2〜C8炭素原子を有するモノマーから選択された第二の又はさらなるモノマー単位を含み、全コポリマー含有率が約10%以下のプロピレンコポリマーを含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項59】
表面仕上げフィルムをさらに含む請求項45に記載のフィルム。
【請求項60】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
前記フィルムが、約20J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーと、約2%以下の透過曇り度値とを有し、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向されている接着テープ裏地。
【請求項61】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
前記一次層は第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーである主成分を含み、前記二次層は前記第1の融点より高い第2の融点を有する主成分を含み、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向され、
前記接着テープ裏地が機械方向で測定された屈折率から横方向で測定された屈折率を差し引くことにより計算された少なくとも約−3×10−3の複屈折を示し、前記一次層のポリマーが25g/10分以下の初期メルトフローレートを有する、接着テープ裏地。
【請求項62】
少なくとも1層の一次層と少なくとも1層の二次層とを含む接着テープ裏地であって、
機械方向(MD)から±75°以下の角度に位置する単一特定方位走査最大であって、約40°〜75°の半ピーク高さでの角全幅(FWHM)をさらに有する単一特定方位走査最大を多くとも示すか、または等方性である単斜(110)結晶面からの広角X線散乱(WAXS)測定によって決定される結晶配向を提供するように多層構造が二軸配向され、
フィルムが約10J/cm2以下の基準またはMDに対して平行の破壊に対するエネルギーおよび約1%の以下の透過曇り度を有する接着テープ裏地。
【請求項63】
(a)(i)第1の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む少なくとも1層の一次層および(ii)第1の融点より高い第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む少なくとも1層の二次層を含む多層二軸延伸フィルムと、
(b)多層二軸延伸フィルムの一表面上に被覆された少なくとも1層の接着剤被覆層とを含む接着剤被覆物品。
【請求項64】
前記多層二軸延伸フィルムは、(iii)最外層である表面仕上げ層をさらに含み、前記接着剤被覆層は前記表面仕上げ層とは反対側の表面上に被覆されている請求項63に記載の接着剤被覆物品。
【請求項65】
前記接着剤被覆層は感圧接着剤を含む請求項63に記載の接着剤被覆物品。
【請求項66】
前記表面仕上げ層は艶消面である請求項64に記載の接着剤被覆物品。
【請求項67】
前記表面仕上げ層は、第1の融点を有する高密度ポリエチレンおよび第2の融点を有するプロピレン含有ポリマーを含む非相溶性ポリマーと粒状充填剤のブレンドを含む請求項66に記載の接着剤被覆物品。
【請求項68】
前記表面仕上げ層のプロピレン含有ポリマーの融点は配向温度より2℃低い請求項67に記載の接着剤被覆物品。
【請求項69】
前記表面仕上げ層の粒状充填剤は2以上のモース硬度を有する請求項68に記載の接着剤被覆物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−10359(P2013−10359A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−204730(P2012−204730)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2001−559684(P2001−559684)の分割
【原出願日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204730(P2012−204730)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2001−559684(P2001−559684)の分割
【原出願日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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