説明

配管の接続装置

【目的】複数の配管を精度良く自動接続できると共に、複数の配管が確実に接続されたことを1個のセンサーで検知できる配管の接続装置を提供する。
【構成】一方のプレート24を首振り自在に設け、更に、配管接続具40、56をそれぞれ配設した2つのプレート24、54は、ガイド部材44で所定の位置に案内されて連結される。また、何れかのプレート24に2つのプレート24、54の接近状態を検知するエア吹出口42と圧力センサ48を設けた。これにより、プレートの傾き、倒れ、位置ずれ等による配管の接続不良を防止することができる。また、接続時、双方のプレート24、54に配設された配管接続具40、56に芯ずれがある場合、自ら芯ずれを矯正することができる。また、複数の配管接続具同志が確実に接続された時のエア圧力を圧力センサ48で検知することにより、配管45、47の着装の確認を1個のセンサで確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は配管の接続装置に係り、特に走行移動可能な台車に積載された反応槽に配設された複数本の配管に、反応槽の外側の操作基地等に配設された複数本の配管を同時に接続する配管の接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の配管の接続は、反応槽が固定されていたので、反応槽側の配管と操作基地側の配管の接続の際に芯がずれていても、操作基地側の配管をフレキシブルホースを用いることで、その芯ずれを矯正していた。しかし、近年バッチプロセスを対象に前記反応槽を移動台車に積載して搬送する移動槽方式のプロセスが開発されている。この移動槽方式は、移動槽側の配管と各操作基地側の各配管とを接続して必要な単位操作等を行い、そして操作が終了すると、配管の接続を解除して別の操作基地に移動する。この為、移動槽方式では配管の接続を自動で、且つ確実に行う必要がある。しかし、移動台車の停止精度、各操作基地での装置の設置精度には限界があり、接続する配管の芯ずれが生じやすかった。これを矯正する手段として、相対する2つのプレートに配管に接続された配管接続具をそれぞれ配設し、一方のプレートを自在に動くようにして、プレート全体を動作させて複数の配管を同時に接続していた。この為、全ての配管の着脱が確実に行なわれたかどうかの確認をする為に、個々の配管ごとにセンサを設けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の配管の接続装置は以下の欠点があった。
(1)プレート全体を動作させて複数の配管接続具同志を同時に着装する時、プレートの傾き、倒れ、位置ずれ等により、接続不良の配管が生じる危険性があった。
(2)全ての配管の着脱が確実に行なわれたかどうかの確認をする為に、個々の配管にセンサを設けることは、装置が複雑になると共にコストアップとなる。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の配管を精度良く自動接続できると共に、複数の配管が確実に接続されたことを1個のセンサで検知できる配管の接続装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明は、前記目的を達成する為に、2つのプレートに複数の配管接続具のプラグ、ソケットをそれぞれ配設して、一方又は双方のプレートを近接させ、双方のプレートの配管を接続する配管の接続装置に於いて、首振り自在に設けられた一方のプレートと、一方のプレートと他方のプレートとを所定の位置で連結するガイド部材と、何れかのプレートに設けられ、夫々が連通する複数のエアー吹出口と、前記エアー吹出口と連通され、両プレートの接続に伴うエアー吹出し圧力の変化により両プレートの接続状態を検知する圧力センサと、から成ることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明によれば、配管接続具をそれぞれ配設した2つのプレートのうち、一方又は双方のプレートを近接させる際、双方のプレートはガイド部材により所定の位置に案内されて連結されるので、プレートの傾き、倒れ、位置ずれ等による配管の接続不良を防止することができる。また、接続時、双方のプレートに配設された配管接続具に芯ずれがある場合、一方のプレートが首振り自在に設けられているので、前記ガイド部材が芯ずれを矯正しながら2つのプレートを所定の位置に案内することができる。これにより、精度良く配管を接続することができる。
【0007】また、2つのプレートが接近するに従い、何れかのプレートに設けられ且つ連通する複数のエア吹出口から吹き出されるエアは、相対するプレートによって抵抗を受けるので、吹き出し圧力は上昇する。そして、複数の配管接続具同志が確実に接続された時のエア圧力を圧力センサで検知するようにした。これにより、配管の接続の確認を1個の圧力センサで行うことができる。
【0008】従って、芯ずれを自ら矯正しながら確実に配管接続プラグと配管接続ソケットとを接続することができると共に、確実に接続されたかどうかを確認することができるので、自動化が可能となる。
【0009】
【実施例】以下添付図面に従って本発明に係る配管の接続装置の好ましい実施例について詳説する。図1には本発明の配管の接続装置10を用いて、移動槽11側の配管47と操作基地側の配管45とを接続する状態が示されている。操作基地側には、基台13の上にスライドレール12が、移動槽11に向かって配設されると共に前記スライドレール12上を移動する台座14が設けられている。また、台座14の後端部14Aにはフレーム18が設けられ、台座14の先端部14Bにはスプリングプランジャー22を介して垂直に第1のプレート24が立設されている。前記第1のプレート24は、前記第1のプレート24と前記フレーム18との両方に設けられた球面軸受26、28と嵌合する球体を両端に形成するシャフト30で支持されると共に前記スプリングプランジャー22で前記台座14に支えれている。これにより、第1のプレート24は上下左右に首振りすることができる。
【0010】また、前記第1のプレート24面には、図2に示すように操作基地の配管45に繋がれた大小10個の配管接続プラグ40、40…が配設されている。また、プレート24の左右には夫々ガイドピン44、44が突設され、プレートの上部中央と下部左右には合計で3個のエア吹出口42、42、42が配設されている。また、前記エア吹出口42、42、42はエア配管46で連通され、圧力センサー48を介して図示していないコンプレッサに繋がれている。更に前記圧力センサー48には、圧力センサー48が所定圧力になった時に点灯するランプ50が取付けられている。
【0011】また、前記基台13の基端部13Aに固定された支柱34の先端に水平にエアシリンダ36が設けられ、シリンダロッド38の先端部が前記フレーム18に固定されている。これにより、エアシリンダ36を作動させてシリンダロッド38を伸縮させることによって、第1のプレート24が台座14を介してスライドレール12上を往復運動することができる。
【0012】一方、移動槽11側には、第2のプレート54が移動槽11の周囲に設けられた側壁55に固着されている。また、第2のプレート54面には、移動槽11の配管47に接続された配管接続ソケット56、56…、エア受け座58、58、58及びガイドピンブッシュ60、60が配設され、これらは、前記第1のプレート24に配設された相方の配置位置に正確に相対して配置されている。また、配管接続プラグ40と配管接続ソケット56とは、予め調整された前記シリンダロッド38の駆動力による適切な押圧力で嵌合することにより漏れのない構造になっていると共に、ガイドピン44がガイドピンブッシュ60に挿入されることで芯ずれが許容されるようになっている。
【0013】次に、このように構成された配管の接続装置の作用について説明する。移動槽11を積載した移動台車を操作基地の所定の停止位置に停止させ、第1のプレート24と第2のプレート54とを対向させる。次に、エアシリンダ36を作動させてシリンダロッド38を伸長し、第1のプレート24を第2のプレート54方向に接近させ、シリンダロッド38の駆動力、即ちフレーム18からシャフト30及び第1のプレート24を介して伝達される接続に適した押圧力で、移動槽側の配管47と操作基地側の配管45とを接続する。これにより、適切な接続荷重で配管接続プラグ40と配管接続ソケット56とを接続することができる。また、上述した第1のプレート24が第2のプレート54に接近する際、移動槽の停止精度及び各操作基地の装置の設置誤差等によって、配管接続プラグ40と配管接続ソケット56との間に芯ずれを生じることが予想される。しかし、第1のプレート24は、首振りできる構造になっていることにより上下左右に自在にプレート面を向けることができると共に、前記ガイドピン44の先端部が細く形成されて前記ガイドピンブッシュ60に挿入され易くなっている。この為、ガイドピン44の先端部がガイドピンブッシュ60に挿入される程度の芯ずれであれば対応することができる。即ち、ガイドピンブッシュ60に挿入されたガイドピン44に第1のプレート24が案内されて第2のプレート54に接近し、第1のプレート24と第2のプレート58とを所定の位置に正しく対向させる。これにより、配管の接続を適切な接続荷重で行うことができると共に、接続時の芯ずれを自ら矯正することができるので、精度良く配管を接続することができる。
【0014】また、上述接続操作の際、第1のプレート24に配設したエア吹出口42から定量の微少エアを吹き出させた状態で、第1のプレート24を第2のプレート54に接近させる。接近するに従い、前記エア吹出口42から吹き出される定量エアは前記エア受け座58に当たり、エアの圧力が高くなるので、圧力センサー48の圧力が上昇する。そして、配管接続プラグ40と配管接続ソケット56とが正しく接続された時点、即ち、連通する全てのエア吹出口42、42が相対するエア受け座58、58によって完全に塞がれる状態になった時点で、前記圧力センサー48の圧力は最大になる。この最大になる圧力を参照圧力として圧力センサー48のランプ50が点灯するようにする。これにより、全ての配管接続プラグ40と配管接続ソケット56とが正しく接続されたことを1個の圧力センサー48で確認することができる。
【0015】もし、複数の配管接続プラグ40、40、…のうち少なくとも1個が、配管接続ソケット56と正しく接続されない場合、第1のプレート24は、傾いたり、位置ずれ等を生じたりするので、第1のプレート24と第2のプレート54との間隙が均等でなくなる。この為、エア受け座58によって完全に塞がれないエア吹出口42ができるので、圧力センサー48が参照圧力に達しなくなり、ランプ50が点灯しない。これにより、配管接続プラグ40と配管接続ソケット56との接続不良を確認することができるので、漏洩事故等を未然に防ぐことができる。また、接続不良が確認された場合は、エアシリンダ36のシリンダロッド38を縮むように作動させて、第1のプレート24を第2のプレート54から離し、再び接続を試みる。
【0016】このように、本発明の配管の接続装置によれば、芯ずれを自ら矯正しながら適切な接続荷重で配管接続プラグ40と配管接続ソケット56とを接続することができると共に、確実に接続されたかどうかを確認することができるので、自動化が可能となる。尚、図3の要部断面図に示すように、第1のプレート24に配設されたエア吹出口42をガイドピン44の内部に設けてもよい。即ち、2枚のプレート24、54が接近するに従い、ガイドピン44はガイドピンブッシュ60に挿入されていき、配管45、45…が正しく接続された時のガイドピン44の挿入位置でエア吹出口42がガイドピンブッシュ60の周壁によって塞がれるように構成されている。
【0017】尚、圧力センサーが所定圧力になった時にランプを点灯させるようにしたが、これに限ったものではなく、一定秒間ブザー等が鳴るようにしてもよく、要は圧力センサーが参照圧力になったことを知ることができるものであればよい。
【0018】
【発明の効果】以上、説明したように本発明に係る配管の接続装置によれば、配管接続具をそれぞれ配設した2つのプレートは、ガイド部材により所定の位置に案内されて連結される。これにより、プレートの傾き、倒れ、位置ずれ等による配管の接続不良を防止することができる。
【0019】また、接続時、双方のプレートに配設された配管接続具に芯ずれがある場合、一方のプレートが首振り自在に設けられているので、前記ガイド部材が芯ずれを矯正しながら2つのプレートを所定の位置に案内する。これにより、芯ずれがあっても自ら芯ずれを矯正することができる。また、2つのプレートが接近するに従い、何れかのプレートに設けられ且つ連通する複数のエア吹出口から吹き出されるエアは、相対するプレートによって遮断されるので、吹き出し圧力は上昇する。そして、複数の配管接続具同志が確実に接続された時のエア圧力を圧力センサで検知する。これにより、配管の着装の確認を1個のセンサで確実に行うことができる。
【0020】従って、芯ずれを自ら矯正しながら精度良く配管接続具同志を接続することができると共に、確実に接続されたかどうかを確認することができるので、自動化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配管の接続装置の構成図
【図2】配管の接続具等が配置されたプレートの実施例を示す正面図
【図3】本発明に係るエア吹出口をガイド部材に配設した場合の要部断面図
【符号の説明】
10…配管の接続装置
24…第1のプレート
40、56…配管接続具
42…エア吹出口
44、60…ガイド部材
45、47…配管
48…圧力センサー
54…第2のプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】2つのプレートに複数の配管接続具のプラグ、ソケットをそれぞれ配設して、一方又は双方のプレートを近接させ、双方のプレートの配管を接続する配管の接続装置に於いて、首振り自在に設けられた一方のプレートと、一方のプレートと他方のプレートとを所定の位置で連結するガイド部材と、何れかのプレートに設けられ、夫々が連通する複数のエアー吹出口と、前記エアー吹出口と連通され、両プレートの接続に伴うエアー吹出し圧力の変化により両プレートの接続状態を検知する圧力センサと、から成ることを特徴とする配管の接続装置。
【請求項2】前記エア吹出口をガイドピンの内部に配設することを特徴とする請求項1の配管の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平5−256739
【公開日】平成5年(1993)10月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−89454
【出願日】平成4年(1992)3月13日
【出願人】(000005452)日立プラント建設株式会社 (1,767)