配管中の極低温冷媒の液面計測装置及び液面計測方法
【課題】配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合において、液面の高さが変化しても液面の形状をより正確に測定する配管中の極低温冷媒の液面計測装置とその計測方法を提供する。
【解決手段】超電導線3を配管1中に水平に保持し、超電導線3に電流を流して両端の電圧を測定し、超電導線3が配管1中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、超電導線3を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有する。センサ部が上下動可能な移動手段は、例えばセンサ部に固定されたフロートによる移動機構である。
【解決手段】超電導線3を配管1中に水平に保持し、超電導線3に電流を流して両端の電圧を測定し、超電導線3が配管1中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、超電導線3を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有する。センサ部が上下動可能な移動手段は、例えばセンサ部に固定されたフロートによる移動機構である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線を用いて配管中の液体ヘリウムなどの極低温冷媒の液面を計測する液面計測装置及び液面計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体ヘリウムなどの極低温冷媒の液面計測装置の一つとしては、図10に示すように超電導線とヒータを組み合わせた液面計が知られている。
【0003】
図10は、従来の超電導線を用いた液面計を示す図である。
容器21内の液体ヘリウム22の液面を液面計20により計測する。液面計20は、超電導線23が垂直方向に配置され、その両端に定電流源25を接続する。液面上のガスヘリウム側における超電導線23は、端部に設置されたヒータ24により加熱される。
【0004】
この液面計では超電導線23に通電する電流が一定の条件を満たせば、超電導線23のガスヘリウム中の部分は常電導状態であり、液体ヘリウム22中の部分は超電導状態になる。ここで常電導部分は長さに比例した抵抗を持ち、超電導部分は抵抗ゼロであるため、電圧計26により電圧を測定して超電導線の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。
【0005】
ところで、上述した液体ヘリウムの液面計測装置においては、液面計の置かれている位置の液面高さが測定されているだけで、液面全体を見ているわけではない。これは、液体ヘリウムの粘性が小さく、通常の容器では液面高さが一定と見なせることから従来は問題にならなかった。
しかし、非常に細長い配管の中では液面高さが長手方向で変化する場合が考えられる。
【0006】
図11は、配管中での液面差の模式図である。
例えば、図11に示すように配管1の中では液体ヘリウム2に局所的に大きな発熱がある場合には、発熱箇所(入熱部)の前後で液面差ができる場合がある。逆に、液面の大きな変化を見つけられれば発熱箇所を特定することも可能である。
【0007】
図12は、従来の液面計を用いた配管中での液面差の測定方法を示す図である。
配管1中の液体ヘリウム2の液面計測に上述のような液面計を用いる場合、図12に示すように配管1の長手方向に多数の液面計20を配置する必要があるが、現実的でない。
【0008】
上述した課題を解決する方法として、発明者らは特許文献1に開示されている液面計を水平に配置する構造を提案した。
【0009】
図13は、従来の水平液面計を用いた液面計測方法を示す図である。
配管1内の液体ヘリウム2の液面を計測する液面計は、超電導線3が水平方向に配置され、その両端に定電流源5を接続する。超電導線3は少なくとも一端に設置されたヒータ4a,4bにより加熱される。
【0010】
水平に配置された超電導線3の液体ヘリウム中にある部分の抵抗はゼロで、ガスヘリウム中の部分は長さに比例した抵抗が生ずる。電圧計6により電圧を測定して超電導線3の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。
【0011】
またヒータ4a,4bを両側に配置することでガスヘリウム部分が右側からか左側からか判断できる。あらかじめ超電導線3の配置を測定してあれば液体ヘリウム2の液面が変化する位置が測定でき、想定外の発熱箇所を推測することができる。
【特許文献1】特開2007−225570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の水平液面計は液面の高さと液面計の位置が合っていないと次のような問題を生ずる。
【0013】
図14は、従来の水平液面計を用いた液面計測装置で液面が変化した場合を示す図である。
図14に示すように液面が変化し、超電導線3全体が液体ヘリウム中に没してしまう場合、入熱部の位置を推測することは困難である。また液面形状が分からないと正確に発熱箇所を特定することは難しい。
【0014】
上述したように従来の水平配置液面計では配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合、液面の高さが特定の高さの場合にしか発熱箇所を推測できない。またその場合も液面形状を仮定しているため発熱箇所を正確には特定できない。
【0015】
本発明は、配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合、液面の高さが変化しても液面の形状をより正確に測定することのできる極低温冷媒の液面計測装置とその計測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の配管中の極低温冷媒の液面計測装置は、超電導線を配管中に水平に保持し、前記超電導線に電流を流して両端の電圧を測定し、前記超電導線が配管中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、前記超電導線を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合において、極低温冷媒の液面の高さが変化しても液面の形状をより正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る極低温冷媒の液面計測装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図2は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
【0019】
まず、図1において、配管1内の液体ヘリウム2の液面を計測するため、超電導線3が水平方向に配置され、その両端に定電流源5を接続する。超電導線3は少なくとも一端に設置されたヒータ4a,4bにより加熱される。超電導線3の両端に電流を流すための配線と電圧を測定するための配線を有する。
【0020】
ガスヘリウム中にあるヒータ4a又は4bにより超電導線3は加熱される。超電導線3の液体ヘリウム中にある部分の抵抗はゼロで、ガスヘリウム中の部分は長さに比例した抵抗が生ずる。電圧計6により電圧を測定して超電導線3の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。この液面計測装置において、測定時には、超電導線の一端に設置したヒータ4aにより超電導線3を加熱して液面を計測した後、他端に設置したヒータ4bにより超電導線3を加熱して液面を計測する。なお、ヒータ4a,4bによる加熱は間欠的に行い、測定電圧からヒータ4a,4bが液中に没したか否かを判定する。
【0021】
本実施形態では、センサ部71が上下動可能な移動手段は、フロート8を用いた移動機構である。図2において、超電導線3を水平に保持するために、平均液面の上下に応じて移動するフロート8に超電導線3を取り付けてセンサ部71を構成する。また、センサ部71は、長手方向両端において、移動するときに傾かないように保持するため四角形の枠9の一部のガイド棒10a,10bが通されている。このためセンサ部71は、水平に保持されたまま平均液面の位置に置かれ、発熱箇所により液面が変化する位置が測定できる。
【0022】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図4は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図3では計測線等も省略している。
【0023】
図4において、超電導線3を横棒11上又は中空棒の内部に固定したセンサ部72は、長手方向両端において、水平に保持されながら配管の上端から下端の範囲で動かせる機構に固定されている。この機械的駆動機構は配管外の室温部から伸びる縦棒12a,12b又はワイヤを用いた構造である。センサ部72の高さを変えることで超電導線3は、図3の矢印方向に移動し破線で示すようにその位置が変化する。測定電圧と高さの関係から液面形状をより正確に測定することが可能となり、発熱箇所をより正確に特定することが可能となる。
【0024】
ただし、超電導線3の端部に配置されたいずれのヒータ4a,4bも液中に没する最も下の線で表した場合には、超電導線3が全て超電導になり完全には液面形状を測定できない場合がある。
この場合には、超電導線3に流す電流を定格よりも増やすことでガス中に有る部分の長さが測定できる。
【0025】
図5は、本実施形態において、超電導線に流す電流値を変えた場合の例を示す図である。
最も下の超電導線3においても、液体外の部分は常電導となるように超電導線3の通電電流を変えることでより正確に液面形状を測定することが可能になる。
【0026】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図7は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
【0027】
図7において、超電導線3を横棒13上又は中空棒の内部に固定したセンサ部73が、配管1の長手方向両端の各々で配管外の室温部から伸びる縦棒14a,14b又はワイヤに回転自在に支持されている機構となっている。このような機構により、縦棒14a,14b又はワイヤを独立に駆動して、超電導線3を水平から適宜角度だけ傾斜させることができる。この場合、実施形態1における図2では影になって測定できなかった液面の谷の部分の位置をより詳細に測定が可能である。
測定時には、超電導線3の一端を下方に移動させ、固定された他端におけるヒータ4bをオンにして超電導線3を加熱する。
【0028】
(第4の実施形態)
図8は、本発明に係る第4の実施形態の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図9は、本実施形態において、センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を示す図である。
【0029】
本実施形態は、第1の実施形態のセンサ部71を水平(配管1の長手方向)に移動できるようにしている。図9において、四角形の枠9全体は両端でワイヤ15a,15bによって接続され、センサ部71から十分距離の離れた場所で一方のワイヤを配管外に引き出し、他方を配管内に繰り出す。これにより液面の谷の部分をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図4】本発明の第2の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態において、超電導線に流す電流値を変えた場合を示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図7】本発明の第3の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図9】本発明の第4の実施形態において、センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を示す図。
【図10】従来の超電導線を用いた液面計を示す図。
【図11】配管中での液面差の模式図。
【図12】従来の液面計を用いた配管中での液面差の測定方法を示す図。
【図13】従来の水平液面計を用いた液面計測方法を示す図。
【図14】従来の水平液面計を用いた液面計測方法において液面が変化した場合を示す図。
【符号の説明】
【0031】
1…配管、2…液体ヘリウム、3…超電導線、4a,4b…ヒータ、5…定電流源、6…電圧計、71,72,73…センサ部、8…フロート、9…枠、10a,10b…ガイド棒、11,13…横棒、12a,12b,14a,14b…縦棒、15…ワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線を用いて配管中の液体ヘリウムなどの極低温冷媒の液面を計測する液面計測装置及び液面計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体ヘリウムなどの極低温冷媒の液面計測装置の一つとしては、図10に示すように超電導線とヒータを組み合わせた液面計が知られている。
【0003】
図10は、従来の超電導線を用いた液面計を示す図である。
容器21内の液体ヘリウム22の液面を液面計20により計測する。液面計20は、超電導線23が垂直方向に配置され、その両端に定電流源25を接続する。液面上のガスヘリウム側における超電導線23は、端部に設置されたヒータ24により加熱される。
【0004】
この液面計では超電導線23に通電する電流が一定の条件を満たせば、超電導線23のガスヘリウム中の部分は常電導状態であり、液体ヘリウム22中の部分は超電導状態になる。ここで常電導部分は長さに比例した抵抗を持ち、超電導部分は抵抗ゼロであるため、電圧計26により電圧を測定して超電導線の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。
【0005】
ところで、上述した液体ヘリウムの液面計測装置においては、液面計の置かれている位置の液面高さが測定されているだけで、液面全体を見ているわけではない。これは、液体ヘリウムの粘性が小さく、通常の容器では液面高さが一定と見なせることから従来は問題にならなかった。
しかし、非常に細長い配管の中では液面高さが長手方向で変化する場合が考えられる。
【0006】
図11は、配管中での液面差の模式図である。
例えば、図11に示すように配管1の中では液体ヘリウム2に局所的に大きな発熱がある場合には、発熱箇所(入熱部)の前後で液面差ができる場合がある。逆に、液面の大きな変化を見つけられれば発熱箇所を特定することも可能である。
【0007】
図12は、従来の液面計を用いた配管中での液面差の測定方法を示す図である。
配管1中の液体ヘリウム2の液面計測に上述のような液面計を用いる場合、図12に示すように配管1の長手方向に多数の液面計20を配置する必要があるが、現実的でない。
【0008】
上述した課題を解決する方法として、発明者らは特許文献1に開示されている液面計を水平に配置する構造を提案した。
【0009】
図13は、従来の水平液面計を用いた液面計測方法を示す図である。
配管1内の液体ヘリウム2の液面を計測する液面計は、超電導線3が水平方向に配置され、その両端に定電流源5を接続する。超電導線3は少なくとも一端に設置されたヒータ4a,4bにより加熱される。
【0010】
水平に配置された超電導線3の液体ヘリウム中にある部分の抵抗はゼロで、ガスヘリウム中の部分は長さに比例した抵抗が生ずる。電圧計6により電圧を測定して超電導線3の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。
【0011】
またヒータ4a,4bを両側に配置することでガスヘリウム部分が右側からか左側からか判断できる。あらかじめ超電導線3の配置を測定してあれば液体ヘリウム2の液面が変化する位置が測定でき、想定外の発熱箇所を推測することができる。
【特許文献1】特開2007−225570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の水平液面計は液面の高さと液面計の位置が合っていないと次のような問題を生ずる。
【0013】
図14は、従来の水平液面計を用いた液面計測装置で液面が変化した場合を示す図である。
図14に示すように液面が変化し、超電導線3全体が液体ヘリウム中に没してしまう場合、入熱部の位置を推測することは困難である。また液面形状が分からないと正確に発熱箇所を特定することは難しい。
【0014】
上述したように従来の水平配置液面計では配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合、液面の高さが特定の高さの場合にしか発熱箇所を推測できない。またその場合も液面形状を仮定しているため発熱箇所を正確には特定できない。
【0015】
本発明は、配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合、液面の高さが変化しても液面の形状をより正確に測定することのできる極低温冷媒の液面計測装置とその計測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の配管中の極低温冷媒の液面計測装置は、超電導線を配管中に水平に保持し、前記超電導線に電流を流して両端の電圧を測定し、前記超電導線が配管中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、前記超電導線を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、配管中の極低温冷媒に液面差ができる場合において、極低温冷媒の液面の高さが変化しても液面の形状をより正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る極低温冷媒の液面計測装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図2は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
【0019】
まず、図1において、配管1内の液体ヘリウム2の液面を計測するため、超電導線3が水平方向に配置され、その両端に定電流源5を接続する。超電導線3は少なくとも一端に設置されたヒータ4a,4bにより加熱される。超電導線3の両端に電流を流すための配線と電圧を測定するための配線を有する。
【0020】
ガスヘリウム中にあるヒータ4a又は4bにより超電導線3は加熱される。超電導線3の液体ヘリウム中にある部分の抵抗はゼロで、ガスヘリウム中の部分は長さに比例した抵抗が生ずる。電圧計6により電圧を測定して超電導線3の抵抗を求めることにより常電導部分の長さが分かり、液面の高さが分かる。この液面計測装置において、測定時には、超電導線の一端に設置したヒータ4aにより超電導線3を加熱して液面を計測した後、他端に設置したヒータ4bにより超電導線3を加熱して液面を計測する。なお、ヒータ4a,4bによる加熱は間欠的に行い、測定電圧からヒータ4a,4bが液中に没したか否かを判定する。
【0021】
本実施形態では、センサ部71が上下動可能な移動手段は、フロート8を用いた移動機構である。図2において、超電導線3を水平に保持するために、平均液面の上下に応じて移動するフロート8に超電導線3を取り付けてセンサ部71を構成する。また、センサ部71は、長手方向両端において、移動するときに傾かないように保持するため四角形の枠9の一部のガイド棒10a,10bが通されている。このためセンサ部71は、水平に保持されたまま平均液面の位置に置かれ、発熱箇所により液面が変化する位置が測定できる。
【0022】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図4は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図3では計測線等も省略している。
【0023】
図4において、超電導線3を横棒11上又は中空棒の内部に固定したセンサ部72は、長手方向両端において、水平に保持されながら配管の上端から下端の範囲で動かせる機構に固定されている。この機械的駆動機構は配管外の室温部から伸びる縦棒12a,12b又はワイヤを用いた構造である。センサ部72の高さを変えることで超電導線3は、図3の矢印方向に移動し破線で示すようにその位置が変化する。測定電圧と高さの関係から液面形状をより正確に測定することが可能となり、発熱箇所をより正確に特定することが可能となる。
【0024】
ただし、超電導線3の端部に配置されたいずれのヒータ4a,4bも液中に没する最も下の線で表した場合には、超電導線3が全て超電導になり完全には液面形状を測定できない場合がある。
この場合には、超電導線3に流す電流を定格よりも増やすことでガス中に有る部分の長さが測定できる。
【0025】
図5は、本実施形態において、超電導線に流す電流値を変えた場合の例を示す図である。
最も下の超電導線3においても、液体外の部分は常電導となるように超電導線3の通電電流を変えることでより正確に液面形状を測定することが可能になる。
【0026】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図7は、本実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図である。
【0027】
図7において、超電導線3を横棒13上又は中空棒の内部に固定したセンサ部73が、配管1の長手方向両端の各々で配管外の室温部から伸びる縦棒14a,14b又はワイヤに回転自在に支持されている機構となっている。このような機構により、縦棒14a,14b又はワイヤを独立に駆動して、超電導線3を水平から適宜角度だけ傾斜させることができる。この場合、実施形態1における図2では影になって測定できなかった液面の谷の部分の位置をより詳細に測定が可能である。
測定時には、超電導線3の一端を下方に移動させ、固定された他端におけるヒータ4bをオンにして超電導線3を加熱する。
【0028】
(第4の実施形態)
図8は、本発明に係る第4の実施形態の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図であり、図9は、本実施形態において、センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を示す図である。
【0029】
本実施形態は、第1の実施形態のセンサ部71を水平(配管1の長手方向)に移動できるようにしている。図9において、四角形の枠9全体は両端でワイヤ15a,15bによって接続され、センサ部71から十分距離の離れた場所で一方のワイヤを配管外に引き出し、他方を配管内に繰り出す。これにより液面の谷の部分をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図4】本発明の第2の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態において、超電導線に流す電流値を変えた場合を示す図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図7】本発明の第3の実施形態において、センサ部が上下動可能な移動手段を示す図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る配管中の極低温冷媒の液面計測装置の概略を示す図。
【図9】本発明の第4の実施形態において、センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を示す図。
【図10】従来の超電導線を用いた液面計を示す図。
【図11】配管中での液面差の模式図。
【図12】従来の液面計を用いた配管中での液面差の測定方法を示す図。
【図13】従来の水平液面計を用いた液面計測方法を示す図。
【図14】従来の水平液面計を用いた液面計測方法において液面が変化した場合を示す図。
【符号の説明】
【0031】
1…配管、2…液体ヘリウム、3…超電導線、4a,4b…ヒータ、5…定電流源、6…電圧計、71,72,73…センサ部、8…フロート、9…枠、10a,10b…ガイド棒、11,13…横棒、12a,12b,14a,14b…縦棒、15…ワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導線を配管中に水平に保持し、前記超電導線に電流を流して両端の電圧を測定し、前記超電導線が配管中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、
前記超電導線を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記センサ部に固定されたフロートによる移動機構であって、
前記超電導線の高さが平均液面の高さに調整されることを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記センサ部が水平に保持されるように配管中の長手方向両端にガイドを有することを特徴とする請求項2に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項4】
更に、前記センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項5】
前記移動手段は、配管中の長手方向両端で前記センサ部に固定され、配管外へ延びる棒又はワイヤの駆動による移動機構であって、
前記センサ部を水平に保持しながら配管の上端から下端の範囲で移動させることを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項6】
前記移動手段は、配管中の長手方向両端で前記センサ部に回転自在に支持され、配管外へ延びる棒又はワイヤの駆動による移動機構であって、
前記棒又はワイヤを片側づつ独立に駆動して前記センサ部を傾斜するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項7】
前記センサ部は、前記超電導線が棒の上又は中空棒の内部に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項8】
前記センサ部において、前記超電導線の少なくとも一端に前記超電導線を加熱するヒータを設置したことを特徴とする請求項1ないし7に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項9】
請求項8に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記超電導線の一端に設置したヒータにより前記超電導線を加熱して液面を計測した後、他端に設置したヒータにより前記超電導線を加熱して液面を計測することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【請求項10】
請求項8に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記ヒータにより前記超電導線を間欠的に加熱することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【請求項11】
請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記超電導線に通電する電流を定格電流よりも増やすことを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【請求項1】
超電導線を配管中に水平に保持し、前記超電導線に電流を流して両端の電圧を測定し、前記超電導線が配管中の極低温冷媒に浸漬されていない部分の長さを求めることにより液面を計測する極低温冷媒の液面計測装置において、
前記超電導線を固定したセンサ部が上下動可能な移動手段を有することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記センサ部に固定されたフロートによる移動機構であって、
前記超電導線の高さが平均液面の高さに調整されることを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記センサ部が水平に保持されるように配管中の長手方向両端にガイドを有することを特徴とする請求項2に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項4】
更に、前記センサ部を配管の長手方向に移動する長手方向移動手段を有することを特徴とする請求項1ないし3に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項5】
前記移動手段は、配管中の長手方向両端で前記センサ部に固定され、配管外へ延びる棒又はワイヤの駆動による移動機構であって、
前記センサ部を水平に保持しながら配管の上端から下端の範囲で移動させることを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項6】
前記移動手段は、配管中の長手方向両端で前記センサ部に回転自在に支持され、配管外へ延びる棒又はワイヤの駆動による移動機構であって、
前記棒又はワイヤを片側づつ独立に駆動して前記センサ部を傾斜するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項7】
前記センサ部は、前記超電導線が棒の上又は中空棒の内部に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項8】
前記センサ部において、前記超電導線の少なくとも一端に前記超電導線を加熱するヒータを設置したことを特徴とする請求項1ないし7に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置。
【請求項9】
請求項8に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記超電導線の一端に設置したヒータにより前記超電導線を加熱して液面を計測した後、他端に設置したヒータにより前記超電導線を加熱して液面を計測することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【請求項10】
請求項8に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記ヒータにより前記超電導線を間欠的に加熱することを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【請求項11】
請求項1に記載の配管中の極低温冷媒の液面計測装置を用いた液面計測方法であって、
前記超電導線に通電する電流を定格電流よりも増やすことを特徴とする配管中の極低温冷媒の液面計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−48608(P2010−48608A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211806(P2008−211806)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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