説明

配管接合構造

【課題】配管の接合を目視確認したうえで、治具無しで組立を行い、組立品質の向上と組立設備や組立作業の簡素化を図る。
【解決手段】凹側配管7aの外周面上の突起7bを、凸側配管端部7fの袋状凹部7dに挿通させ、さらに袋状凹部7dに連続して形成された凹部7eに突起7bを係合させることで配管を接合固定し、その固定を維持した状態でロウ付けによる密閉固定作業をできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製配管をロウ付けにより固定させる際に、予め配管を相互に接合させるための配管接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロウ付け作業の前に、配管を接合させる手段として、「熱交換器における流体出入口パイプとタンク等の流体出入口パイプ取付部に、小突起とくぼみよりなる複数組の相互係合装置・・・」を備えた配管接合手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−58597号公報(請求の範囲、第2図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の配管接合手段では、入口パイプをパイプ取付筒に嵌め込む際に、軸線に対して任意の方向に入口パイプを挿入した後に回転させ、小突起とくぼみとを係合させていた。しかしながら、小突起とくぼみが所定の位置で係合できているかどうかを目視確認できず、誤った位置でロウ付け固定をしかねないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、配管組立治具を用いずに、所定の位置で配管を接合した後にロウ付け固定ができるとともに、目視できる状態で接合する際の周方向の相対位置及び係合代を決めることができる配管接合構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配管接合構造は、ロウ付けによる密着固定を行う配管接合構造において、一方の配管と、一方の配管の端部の径より大きい径を有する端部を備えた他方の配管とを備え、前記一方の配管の端部を前記他方の配管の端部に挿入した際に、両配管の周方向の相対位置と係合代とを規制する規制機構を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、上記の規制機構が一方の配管と他方の配管の周方向の相対位置と係合代とを規制するので、配管組立において、配管接合時の軸線方向での回転変位と係合代とを規制した状態でロウ付け作業が行える。そのため、仕様が異なる配管組立治具などを都度制作して使用する必要がなく、組立品質の向上と組立設備や組立作業の簡素化が図れる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1及び2における、空気調和機全体を示す部分内部正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における、配管接合部を示す部分斜視図(a)と部分断面図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態2における、配管接合部を示す部分斜視図(a)と部分断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1及び図2は本実施の形態1を示す図で、図1は空気調和機の部分内面正面図、図2(a)は配管接合部の部分斜視図、図2(b)は配管接合部の部分断面図である。配管接合部として、空気調和機の室外ユニットを例に挙げて説明するが、本発明は空気調和機に限定されるものではない。
【0010】
図1における空気調和機本体1は、外郭箱体2の内部に、送風機3、電気・電子部品4、熱交換器5、圧縮機6を備えている。7は配管で、熱交換器5や圧縮機6などの冷媒回路部品を連結している。
【0011】
図2(a)において、7aは凸側配管であり、その外周面上に突起7bを打設してある。7cは凹側配管で、その端部7fは凸側配管7aの端部の径よりも大きい径を有する。さらに端部7fには、端面から連続して袋状凹部7dと、突起7bに係合する凹部7eとが形成されている。なお、袋状凹部7dと凹部7eとで本発明の凹部を構成している。
【0012】
図2(b)において、凹側配管の袋状凹部7dと凹部7eは、端面から連続して形成されているが、袋状凹部7dの間隙は凹部7eの間隙よりも径方向に関して狭くなっている。したがって配管接合の際は、まず凸側配管の突起7bを、弾性力を利用して袋状凹部7dに挿通させる。そして突起7bが凹部7eに到達した時点で係合され、周方向と奥行方向に関して位置が固定される。すると、挿入とは逆方向の力を加えても、袋状凹部7dの間隙は凹部7eの間隙よりも径方向に関して狭いため、突起7bが抜き出ることはなく、両配管が接合固定された状態が保持される。この状態で配管接合部をロウ付けすることで、確実に密閉固定を行うことができる。
【0013】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2を示す図で、(a)は配管接合部の部分斜視図、(b)は配管接合部の部分断面図である。
上記の実施の形態1と異なる点は、凸側配管7aの端部の断面形状を円状ではなく、局所的に平坦部7iを設けた異形円状断面7gとしたことと、それに対応する凹側配管7cの端部も、上記と同様な平坦部を設けた異形円状端部7hとしたことである。なお、図2と図3の同一部分は同一符号で表す。
【0014】
上記の実施の形態2によれば、図3(a)において、凹側配管の袋状凹部7dと凹部7eは端面から連続して形成されているが、袋状凹部7dの間隙は凹部7eの間隙よりも径方向に関して狭くなっている。配管接合の際は、まず凸側配管の突起7bを、弾性力を利用して袋状凹部7dに挿通させる。この時点で、両配管の端部に平坦部が存在することで挿入過程での回転運動が規制されるため、さらに高い精度で周方向での相対位置の規制を行うことができる。そして突起7bが凹部7eに到達した時点で係合され、周方向と奥行方向に関して位置が固定される。言うまでもなく、挿入とは逆方向の力を加えても、袋状凹部7dの間隙は凹部7eの間隙よりも径方向に関して狭いため、突起7bが抜き出ることはなく、両配管が接合固定された状態が保持される。この状態で配管接合部をロウ付けすることで、より確実に密閉固定を行うことができる。
【0015】
上記説明では、本発明の規制機構の一部を形成している、配管接合位置を強制する箇所(7b、7d及び7e)を1箇所としているが、周方向に複数箇所に設けても同様の効果が得られる。また、本発明の規制機構の一部を形成している平坦部(7h及び7i)を1箇所としているが、複数箇所設けても差し支えない。
【符号の説明】
【0016】
1 空気調和機本体、2 外郭箱体、3 送風機、4 電気・電子部品、5 熱交換器、6 圧縮機、7 配管、7a 凸側配管、7b 突起、7c 凹側配管、7d 袋状凹部、7e 凹部、7f 凹側配管の端部、7g 異形円状断面、7h 異形円状端部、7i 凸側配管の平坦部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロウ付けによる密着固定を行う配管接合構造において、
一方の配管と、一方の配管の端部の径より大きい径を有する端部を備えた他方の配管とを備え、
前記一方の配管の端部を前記他方の配管の端部に挿入した際に、両配管の周方向の相対位置と係合代とを規制する規制機構を設けたことを特徴とする配管接合構造。
【請求項2】
前記規制機構は、
前記一方の配管の外周面上に設けられた突起部と、
前記他方の配管の端部に端面から連続して形成され、前記突起部を通過させた後に係合する凹部と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の配管接合構造。
【請求項3】
前記規制機構は、
前記一方の配管の端部及び前記他方の配管の端部にそれぞれ設けられた局所的な平坦部を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の配管接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−223245(P2010−223245A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68172(P2009−68172)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】