説明

配管支持構造

【課題】1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置できるようにする。
【解決手段】1次側配管21を2次側配管20に固定する際に、2次側配管20をその軸方向及び上下方向に移動させると共に水平面内で回転させることで、2次側配管20の位置調整ができるようにする。これにより、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を支持する配管支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッダーを天井板に固定する構成が開示されている。なお、ヘッダーは、給水管から供給される水を複数の送水管に分岐するための配管として機能する。
また、スプリンクラーを配設する際に用いられる配管においては、配管内が高圧となるため、1次側配管と2次側配管との接続部分にフランジを形成して、1次側配管と2次側配管とを接続する。
このため、1次側配管と2次側配管との正確な位置決めが必要となり、通常は、1次側配管を敷設した後に、2次側配管が設置されるため、工期の制約が大きかった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−294171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる配管支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る配管支持構造は、取付面から下方へ延設され、1次側配管が接続される2次側配管を支持する支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を上下方向へ移動可能な上下方向移動機構と、前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を前記2次側配管の軸方向へ移動可能な軸方向移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、上下方向移動機構により、支持部材が支持した2次側配管を上下方向へ移動させることができる。また、軸方向移動機構により、支持部材が支持した2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を支持部材で支持させた後に、2次側配管を上下方向及び2次側配管の軸方向へ移動させて2次側配管の位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0007】
本発明の請求項2に係る配管支持構造は、請求項1の構成において、前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を水平面内で回転可能な回転機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、回転機構により、支持部材が支持した2次側配管を水平面内で回転させることができる。
このように、2次側配管を支持部材で支持させた後に、2次側配管を水平面内で回転させて2次側配管の位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0009】
本発明の請求項3に係る配管支持構造は、請求項1又は請求項2の構成において、前記支持部材は、前記取付面から下方へ延設された第1支持棒と、前記第1支持棒の下端部に連結されると共に水平方向へ延設された第2支持棒と、前記第2支持棒の両端部に連結されると共に上下方向へ延設された一対の第3支持棒と、前記一対の第3支持棒の下端部にそれぞれ連結されると共に前記2次側配管が取り付けられる取付部材と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、取付面から下方へ延設された第1支持棒の下端部には、水平方向へ延設された第2支持棒が連結される。第2支持棒の両端部には、上下方向へ延設された一対の第3支持棒が連結される。一対の第3支持棒の下端部には、2次側配管が取り付けられる取付部材がそれぞれ連結される。
このように、一対の第3支持棒にそれぞれ連結された2つの取付部材に、2次側配管が取り付けられるため、第1支持棒、第2支持棒、第3支持棒及び取付部材を備えて構成される支持部材は、2次側配管を2点で支持する。
第1支持棒を取付面の一箇所に延設することで、支持部材は、取付面に対して一点で支持される。
このように、支持部材は2次側配管を2点で支持するので、2次側配管を1点で支持する構成に比べ、2次側配管が傾きにくく2次側配管を安定して支持できる。その一方、支持部材は、取付面に対して一点で支持されることで、取付面に対して二点以上で支持される構成に比べ、支持部材を取付面に取り付ける工程が少なくて済む。
【0011】
本発明の請求項4に係る配管支持構造は、請求項3の構成において、前記軸方向移動機構は、前記第1支持棒の下端部と前記第2支持棒とを連結すると共に水平方向に形成された第1ねじ孔を有する第1連結部と、前記第2支持棒の外周に形成され、前記第1ねじ孔に螺合して前記第2支持棒を前記第1ねじ孔に沿って移動可能にする第1ねじ部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1ねじ部が形成された第2支持棒を回転させることにより、第1ねじ部が螺合する第1ねじ孔に沿って、第2支持棒がその軸方向へ移動する。これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0013】
本発明の請求項5に係る配管支持構造は、請求項3の構成において、前記軸方向移動機構は、前記第1支持棒の下端部と前記第2支持棒とを連結すると共に前記第2支持棒が移動可能に挿し通される貫通孔が水平方向に形成された第1連結部と、前記貫通孔に挿し通された前記第2支持棒を締め付けて固定する固定具と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第2支持棒を貫通孔に沿って水平方向に移動させ、移動させた第2支持棒を固定具で締め付けて固定できる。これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0015】
本発明の請求項6に係る配管支持構造は、請求項3〜5のいずれか1項の構成において、前記上下方向移動機構は、前記第2支持棒の両端部と前記第3支持棒とをそれぞれ連結すると共に上下方向に形成された第2ねじ孔を有する第2連結部と、前記第3支持棒の外周に形成され、前記第2ねじ孔に螺合して前記第3支持棒を前記第2ねじ孔に沿って移動可能にする第2ねじ部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第2ねじ部が形成された第3支持棒を回転させることにより、第2ねじ部が螺合する第2ねじ孔に沿って、第3支持棒がその軸方向へ移動する。これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の上下方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を上下方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0017】
本発明の請求項7に係る配管支持構造は、請求項3〜5のいずれか1項の構成において、前記上下方向移動機構は、前記第2支持棒の両端部と前記第3支持棒とをそれぞれ連結すると共に前記第3支持棒が移動可能に挿し通される貫通孔が上下方向に形成された第2連結部と、前記貫通孔に挿し通された前記第3支持棒を締め付けて固定する固定具と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第3支持棒を貫通孔に沿って上下方向に移動させ、移動させた第3支持棒を固定具で締め付けて固定できる。これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の上下方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を2次側配管の上下方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0019】
本発明の請求項8に係る配管支持構造は、請求項3〜7のいずれか1項の構成において、前記上下方向移動機構は、前記第3支持棒の下端部と前記取付部材とを連結すると共に上下方向に沿って形成された長孔を有する第3連結部と、前記長孔に挿入されるねじ及びそのねじに螺合するめねじにより、前記取付部材を固定する固定部材と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、長孔に挿入されたねじを緩めて、取付部材を上下に移動させてねじを再び締めることにより、取付部材の固定位置を変更することができる。
これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の上下方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を上下方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0021】
本発明の請求項9に係る配管支持構造は、請求項2に従属する請求項3〜8のいずれか1項に記載の構成において、前記回転機構は、前記第1連結部に上下方向に形成された第3ねじ孔と、前記第1支持棒の下部の外周に形成され、前記第3ねじ孔に螺合する第3ねじ部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、第3ねじ孔が形成された第1連結部を回転させることにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を水平面内で回転させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を水平面内で回転させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0023】
本発明の請求項10に係る配管支持構造は、請求項1又は請求項2の構成において、前記支持部材は、前記取付面から下方へ延設された第1支持棒と、前記2次側配管が取り付けられる取付部材と、前記取付部材に連結された連結部材と、を備えて構成され、前記軸方向移動機構は、前記第1支持棒と前記連結部材とを連結する自在継ぎ手を備えて構成されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、2次側配管が取り付けられる取付部材には、連結部材が連結されている。
この連結部材と、取付面から下方へ延設された第1支持棒とは、自在継ぎ手で連結されているので、第1支持棒に対して連結部材の向きを自在に変えることができる。これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を少なくとも2次側配管の軸方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を2次側配管の軸方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0025】
本発明の請求項11に係る配管支持構造は、請求項10の構成において、前記上下方向移動機構は、前記連結部材の下端部に上下方向に沿って形成された長孔と、前記長孔に挿入されるねじ及びそのねじに螺合するめねじにより、前記取付部材を固定する固定部材と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、長孔に挿入されたねじを緩めて、取付部材を上下に移動させてねじを再び締めることにより、取付部材の固定位置を変更することができる。
これにより、取付部材に取り付けられた2次側配管を2次側配管の上下方向へ移動させることができる。
このように、2次側配管を取付部材に取り付けた後に、2次側配管を上下方向へ移動させて位置調整ができるので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記構成としたので、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(第1実施形態に係る配管支持構造の構成)
まず、第1実施形態に係る配管支持構造の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る配管支持構造の構成を示す概略図である。
【0029】
本実施形態に係る配管支持構造10は、図1に示すように、取付面の一例としての躯体100に取り付けられる支持部材12を備えている。支持部材12は、躯体100から下方へ延設されると共に2次側配管20を支持している。
支持部材12に支持される2次側配管20としては、例えば、上流側の1次側配管が接続されると共に下流側の配管へ分岐するための分岐管としてのヘッダーなどが用いられる。
なお、1次側配管21と2次側配管20との接続端部には、フランジ部42がそれぞれ形成されており、フランジ部42を圧接して1次側配管21と2次側配管20とが接続固定される。
【0030】
支持部材12は、躯体100から下方へ延設された第1支持棒14と、第1支持棒14の下端部に連結されると共に水平方向へ延設された第2支持棒16と、第2支持棒16の両端部に連結されると共に上下方向へ延設された一対の第3支持棒18と、一対の第3支持棒18の下端部にそれぞれ連結されると共に2次側配管20が取り付けられる取付部材22と、を備えている。
【0031】
第1支持棒14の下端部と第2支持棒16とは、図1及び図2に示すように、第1支持棒14の下端部に配置された第1連結部としての第1ブロック24によって連結されている。
第2支持棒16の両端部と第3支持棒18とは、図1及び図4に示すように、第2支持棒16の両端部に配置された第2連結部としての第2ブロック26によって連結されている。
【0032】
第3支持棒18の下端部と取付部材22とは、第3支持棒18の下端部に設けられた第3連結部としての連結部材19によって連結されている。
第1支持棒14は、その上端部が躯体100に固定されており、躯体100に対して1点で支持されている。また、第1支持棒14は、円柱状に形成されており、第1支持棒14の下部の外周には、ねじ部15が形成されている。
【0033】
第1支持棒14の下部に形成されたねじ部15が、第1ブロック24に形成されたねじ孔23にねじ込まれることにより、第1支持棒14と第1ブロック24とが連結されると共に第1ブロック24が第1支持棒14に対して水平面内で回転可能とされている。
第1ブロック24が第1支持棒14に対して水平面内で回転することにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管20は、水平面内で回転する。
【0034】
このように、ねじ孔23を有する第1ブロック24と、第1支持棒14の下部に形成されたねじ部15とが、支持部材12が支持した2次側配管20を水平面内で回転可能にする回転機構として機能する。なお、ねじ部15は、請求項9に記載の第3ねじ部に相当し、ねじ孔23は、請求項9に記載の第3ねじ孔に相当する。
【0035】
第1ブロック24には、水平方向へねじ孔25が形成されている。第2支持棒16は、円柱状に形成されている。第2支持棒16の中央部の外周には、第1ブロック24のねじ孔25と螺合するねじ部27が形成されている。
第2支持棒16のねじ部27が、第1ブロック24のねじ孔25にねじ込まれ、第2支持棒16が回転することにより、第2支持棒16は、ねじ孔25に沿って水平方向へスライド移動する。すなわち、第2支持棒16は、その軸方向へ移動する。
【0036】
第2支持棒16がその軸方向へ移動することにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管20は、水平方向へスライド移動する。
このように、ねじ孔25を有する第1ブロック24と、第2支持棒16に形成されたねじ部27とが、支持部材12が支持した2次側配管20を2次側配管20の軸方向へ移動可能にする軸方向移動機構として機能する。なお、ねじ孔25は、請求項4に記載の第1ねじ孔に相当し、ねじ部27は、請求項4に記載の第1ねじ部に相当する。
【0037】
第2支持棒16をその軸方向へ移動させる構成としては、図3に示すように、以下の構成としてもよい。
第1ブロック24には、水平方向へ貫通孔125が形成されている。第2支持棒16は、第1ブロック24の貫通孔125に挿し通され、貫通孔125に沿って移動可能に第1ブロック24に支持されている。なお、第2支持棒16には、ねじ部27が形成されていない。
第1ブロック24には、ねじ孔126が形成されている。ねじ孔126は、第1ブロック24の底面から貫通孔125まで形成されており、貫通孔125と連通している。
ねじ孔126には、第2支持棒16を固定する固定具としてのねじ128がねじ込まれている。ねじ128が、第1ブロック24のねじ孔126にねじ込まれ、貫通孔125に挿し通された第2支持棒16を締め付けることにより、第2支持棒16を固定するようになっている。
また、ねじ128を緩めて第2支持棒16を貫通孔125に沿って移動させ、ねじ128を再び固定することにより、第2支持棒16の固定位置を変更することができる。
【0038】
第2支持棒16の両端部には、第2ブロック26が回転可能に支持されている。これにより、第2支持棒16を回転させて水平方向へスライド移動させた際に、第2支持棒16が第2ブロック26に対して空回りし、第2ブロック26が回転せず、第2支持棒16のみが回転する。
【0039】
第2ブロック26には、上下方向へねじ孔29が形成されている。第3支持棒18は、円柱状に形成されている。第3支持棒18の外周には、ねじ部33が形成されている。
第3支持棒18のねじ部33が、第2ブロック26のねじ孔29にねじ込まれ、第3支持棒18が回転することにより、第3支持棒18は、第2ブロック26に対して上下方向へスライド移動する。すなわち、第3支持棒18は、その軸方向へ移動する。
第3支持棒18がその軸方向へ移動することにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管20は、上下方向へスライド移動する。
【0040】
このように、ねじ孔29を有する第2ブロック26と、第3支持棒18に形成されたねじ部33とが、支持部材12が支持した2次側配管20を2次側配管20の上下方向へ移動可能にする上下方向移動機構として機能する。なお、ねじ孔29は、請求項6に記載の第2ねじ孔に相当し、ねじ部33は、請求項6に記載の第2ねじ部に相当する。
【0041】
第3支持棒18をその軸方向へ移動させる構成としては、図5に示すように、以下の構成としてもよい。
第2ブロック26には、上下方向へ貫通孔129が形成されている。第3支持棒18は、第2ブロック26の貫通孔129に挿し通され、貫通孔129に沿って移動可能に第2ブロック26に支持されている。なお、第3支持棒18には、ねじ部33が形成されていない。
第2ブロック26には、ねじ孔132が形成されている。ねじ孔132は、第2ブロック26の側面から貫通孔129まで形成されており、貫通孔129と連通している。
ねじ孔132には、第3支持棒18を固定する固定具としてのねじ134がねじ込まれている。ねじ134が、第2ブロック26のねじ孔132にねじ込まれ、貫通孔129に挿し通された第3支持棒18を締め付けることにより、第3支持棒18を固定するようになっている。
また、ねじ134を緩めて第3支持棒18を貫通孔129に沿って移動させ、ねじ134を再び固定することにより、第3支持棒18の固定位置を変更することができる。
【0042】
第3支持棒18の下端には、図4に示すように、全周にわたって第3支持棒18の半径方向に張り出したフランジ部34が形成されている。
連結部材19には、第3支持棒18が挿入される挿入孔35が形成されている。この挿入孔35に第3支持棒18が挿入され、挿入孔35の縁部にフランジ部34が当接する。これにより、連結部材19は、第3支持棒18の下端部に回転可能に支持されている。
【0043】
連結部材19は、平板を折り返して形成されており、下部が張り合わされている。
その張り合わされた下部には、長孔36が上下方向に沿って形成されている。
取付部材22は、図6に示すように、2次側配管20を挟持する一対の挟持部22Aと、挟持部22Aと一体に形成され連結部材19に固定される一対の固定部22Bと、一対の挟持部22Aを連結するヒンジ部22Cと、を備えている。
【0044】
一対の挟持部22Aは、挟持する2次側配管20の外形に沿って円弧状に形成されている。一対の固定部22Bは、一対の挟持部22Aから上方にそれぞれ延設されており、挟持部22Aが2次側配管20を挟持した挟持状態において対向するようになっている。
一対の固定部22Bには、固定部22Bを貫通する貫通孔38が、それぞれに形成されている。一対の固定部22Bが対向した際には、貫通孔38も対向し、両方の貫通孔38にボルト40が挿入可能となる。
【0045】
挟持部22Aは、下部(固定部22Bとは反対側)がヒンジ部22Cによって連結されており、一方の挟持部22Aに対して他方の挟持部22Aが回動可能とされている。
挟持部22Aは、互いの上部(固定部22B)が離なれる方向に回動することにより、一対の挟持部22Aの間が開いて、2次側配管20を受け入れ可能な状態となる。受け入れ可能な状態となった挟持部22Aの間に2次側配管20を入れて、互いの上部(固定部22B)が接近する方向へ回動することで、2次側配管20は、挟持部22Aに挟持される。このように、2次側配管20は取付部材22に挟持されて、取付部材22に取り付けられる。
【0046】
取付部材22の固定部22Bの間に、連結部材19の長孔36が形成された部位を入れて、この部位が取付部材22の固定部22Bで挟み込まれる。
取付部材22を固定するための固定部材を構成するねじとしてのボルト40を、固定部22Bの貫通孔38及び長孔36に通して、ボルト40に螺合するめねじ39Aを有するナット39にねじ込んでねじ止めされる。

ボルト40がナット39にねじ込まれて、ボルト40の頭部40Aとナット39とに、取付部材22の固定部22B及び連結部材19が圧接されることにより、取付部材22は、長孔36の所定位置で連結部材19に対して固定される。
【0047】
ボルト40を緩めて取付部材22を上下に移動させ、ボルト40を再び固定することにより、取付部材22の固定位置を変更することができる。
取付部材22の固定位置を変更することにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管20を上下方向へ移動できる。
【0048】
このように、長孔36を有する連結部材19と、固定部材を構成するボルト40及びナット39とが、支持部材12が支持した2次側配管20を2次側配管20の上下方向へ移動可能にする上下方向移動機構として機能する。
【0049】
(第1実施形態の作用)
次に、上記の第1実施形態について作用を説明する。
本実施形態では、まず、支持部材12の一部を構成する第1支持棒14の上端部を躯体100に固定する。
【0050】
次に、2次側配管20を取付部材22の挟持部22Aに挟持させて、2次側配管20を取付部材22に取り付ける。
取付部材22の貫通孔38及び連結部材19の長孔36に通されたボルト40を、ナット39にねじ込んで、取付部材22を連結部材19に固定する。
【0051】
次に、2次側配管20に1次側配管21を固定する。1次側配管21と2次側配管20の接続端部には、フランジ部42がそれぞれ形成されており、フランジ部42を圧接して1次側配管21と2次側配管20とが接続固定される。
1次側配管21を2次側配管20に接続固定する際において、2次側配管20の位置調整が必要となった場合には、以下のように、2次側配管20を移動させることができる。
【0052】
すなわち、2次側配管20を上下方向に移動させる場合には、第3支持棒18を回転させることにより、第3支持棒18が第2ブロック26に対して上下方向に移動し、2次側配管20が上下方向に移動する。
【0053】
また、ボルト40を緩めて、取付部材22を上下に移動させてボルト40を再び固定することにより、取付部材22の固定位置を変更することができる。
さらに、第2支持棒16を回転させることにより、第2支持棒16が第1ブロック24に対して、水平方向へスライド移動する。これにより、2次側配管20が水平方向へ移動する。
【0054】
さらに、第1ブロック24を第1支持棒14に対して、水平面内で回転させることにより、2次側配管20を水平面内で回転させることができる。
このように、1次側配管21を2次側配管20に固定する際に、2次側配管20をその軸方向及び上下方向に移動させると共に水平面内で回転させることで、2次側配管20の位置調整ができる。このため、本実施形態のように、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
【0055】
(第2実施形態に係る配管支持構造の構成)
次に、第2実施形態に係る配管支持構造の構成を説明する。
なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図7は、第2実施形態に係る配管支持構造の構成を示す概略図である。
【0056】
本実施形態に係る配管支持構造50は、躯体100から下方へ延設されると共に2次側配管20を支持する一対の支持部材52を備えている。
支持部材52は、躯体100から下方へ延設された第1支持棒54と、第1支持棒54の下端部に連結された連結部材56と、連結部材56の下端部に連結されると共に2次側配管20が取り付けられる取付部材22と、を備えている。
【0057】
第1支持棒54は、円柱状に形成されると共に、その上端部が躯体100に固定されている。また、第1支持棒54の下端部は、図7及び図8に示すように、球状にされた球部60が形成されている。
連結部材56の上端部は、ブロック状にされたブロック部62が形成されている。ブロック部62には、球部60が嵌合可能な球状の凹部64が形成されている。
【0058】
球部60が凹部64に嵌合することにより、支持部材12が支持した2次側配管20を2次側配管20の軸方向へ移動可能な軸方向移動機構の一例としての自在継ぎ手59が構成される。これにより、第1支持棒54に対して連結部材56が傾き、取付部材22に取り付けられた2次側配管を水平方向へ自在に平行移動させることができる。
また、連結部材56の下部には、長孔66が上下方向に沿って形成されている。
【0059】
2次側配管20は、取付部材22の挟持部22Aに挟持されて取付部材22に取り付けられる。
取付部材22の固定部22Bの間に、連結部材56の長孔66が形成された部位を入れて、この部位が取付部材22の固定部22Bで挟み込まれる。
【0060】
取付部材22を固定するための固定部材を構成するねじとしてのボルト40を、固定部22Bの貫通孔38及び長孔66に通して、ボルト40に螺合するめねじ39Aを有するナット39にねじ込んでねじ止めされる。
ボルト40がナット39にねじ込まれて、ボルト40の頭部40Aとナット39とに、取付部材22の固定部22B及び連結部材56が圧接されることにより、取付部材22は、長孔66の所定位置で連結部材56に対して固定される。
【0061】
ボルト40を緩めて取付部材22を上下に移動させ、ボルト40を再び固定することにより、取付部材22の固定位置を変更することができる。
取付部材22の固定位置を変更することにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管20を上下方向へ移動できる。
【0062】
このように、連結部材56に形成された長孔66と、固定部材を構成するボルト40及びナット39とが、支持部材12が支持した2次側配管20を2次側配管20の上下方向へ移動可能にする上下方向移動機構として機能する。
【0063】
なお、自在継ぎ手に替えて、図9に示すように、第1支持棒54と連結部材56とをチェーン72を介して連結する構成であっても良い。この構成では、チェーン72が自由にしなり、第1支持棒54に対する連結部材56の傾き(向き)を変えられる。
これにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管を水平方向へ自在に移動させることができる。また、チェーン72にねじることにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管を所定角度回転させることができる。
【0064】
また、自在継ぎ手に替えて、図10に示すように、第1支持棒54と連結部材56とをワイヤ74を介して連結する構成であっても良い。
この構成では、ワイヤ74が自由にしなり、第1支持棒54に対する連結部材56の傾き(向き)を変えられる。
これにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管を水平方向へ自在に移動させることができる。また、ワイヤ74にねじることにより、取付部材22に取り付けられた2次側配管を回転させることができる。
【0065】
(第2実施形態の作用)
次に、上記の第2実施形態について作用を説明する。
第2実施形態では、まず、支持部材52の一部を構成する一対の第1支持棒54の上端部を躯体100に固定する。
【0066】
次に、2次側配管20を取付部材22の挟持部22Aに挟持させて、2次側配管20を取付部材22に取り付ける。
取付部材22の貫通孔38及び連結部材56の長孔66に通されたボルト40を、ナット39にねじ込んで、取付部材22を連結部材56に固定する。
【0067】
次に、2次側配管20に1次側配管21を固定する。1次側配管21と2次側配管20の接続端部には、フランジ部42がそれぞれ形成されており、フランジ部42を圧接して1次側配管21と2次側配管20とが接続固定される。
1次側配管21を2次側配管20に接続固定する際において、2次側配管20の位置調整が必要となった場合には、以下のように、2次側配管20を移動させることができる。
【0068】
すなわち、2次側配管20を上下方向に移動させる場合には、ボルト40を緩めて、取付部材22を上下に移動させてボルト40を再び固定することにより、取付部材22の固定位置を変更することができる。
さらに、第1支持棒54に対して連結部材56を傾け、取付部材22に取り付けられた2次側配管20を水平方向へ自在に平行移動させることができる。
【0069】
このように、1次側配管21を2次側配管20に固定する際に、2次側配管20を水平方向及び上下方向に移動させることで、2次側配管20の位置調整ができる。このため、本実施形態のように、1次側配管を敷設する前においても2次側配管を設置することができる。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る配管支持構造の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る軸方向移動機構を構成する第1ブロックを示す斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る軸方向移動機構の変形例を構成する第1ブロックを示す斜視図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る上下方向移動機構を構成する第2ブロック及び連結部材を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る上下方向移動機構の変形例を構成する第2ブロック及び連結部材を示す斜視図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る取付部材の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る配管支持構造の構成を示す概略図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係る軸方向移動機構及び上下方向移動機構を構成する連結部材を示す斜視図である。
【図9】図9は、第2実施形態に係る自在継ぎ手をチェーンに変えた変形例を示す斜視図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る自在継ぎ手をワイヤに変えた変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
10 配管支持構造
12 支持部材
14 第1支持棒
15 ねじ部(第3ねじ部、回転機構)
16 第2支持棒
18 第3支持棒
19 連結部材(第3連結部、上下方向移動機構)
20 2次側配管
21 1次側配管
22 取付部材
23 ねじ孔(第3ねじ孔、回転機構)
24 第1ブロック(第1連結部、軸方向移動機構)
25 ねじ孔(第1ねじ孔)
26 第2ブロック(第2連結部、上下方向移動機構)
27 ねじ部(第1ねじ部、軸方向移動機構)
29 ねじ孔(第2ねじ孔)
33 ねじ部(第2ねじ部、上下方向移動機構)
36 長孔
39 ナット(固定部材、上下方向移動機構)
40 ボルト(固定部材、上下方向移動機構)
50 配管支持構造
52 支持部材
54 第1支持棒
56 連結部材
59 自在継ぎ手(軸方向移動機構)
66 長孔(上下方向移動機構)
100 躯体(取付面)
128 ねじ(固定具)
134 ねじ(固定具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面から下方へ延設され、1次側配管が接続される2次側配管を支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を上下方向へ移動可能な上下方向移動機構と、
前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を前記2次側配管の軸方向へ移動可能な軸方向移動機構と、
を備えたことを特徴とする配管支持構造。
【請求項2】
前記支持部材に設けられ、前記支持部材が支持した前記2次側配管を水平面内で回転可能な回転機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の配管支持構造。
【請求項3】
前記支持部材は、
前記取付面から下方へ延設された第1支持棒と、
前記第1支持棒の下端部に連結されると共に水平方向へ延設された第2支持棒と、
前記第2支持棒の両端部に連結されると共に上下方向へ延設された一対の第3支持棒と、
前記一対の第3支持棒の下端部にそれぞれ連結されると共に前記2次側配管が取り付けられる取付部材と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管支持構造。
【請求項4】
前記軸方向移動機構は、
前記第1支持棒の下端部と前記第2支持棒とを連結すると共に水平方向に形成された第1ねじ孔を有する第1連結部と、
前記第2支持棒の外周に形成され、前記第1ねじ孔に螺合して前記第2支持棒を前記第1ねじ孔に沿って移動可能にする第1ねじ部と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の配管支持構造。
【請求項5】
前記軸方向移動機構は、
前記第1支持棒の下端部と前記第2支持棒とを連結すると共に前記第2支持棒が移動可能に挿し通される貫通孔が水平方向に形成された第1連結部と、
前記貫通孔に挿し通された前記第2支持棒を締め付けて固定する固定具と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の配管支持構造。
【請求項6】
前記上下方向移動機構は、
前記第2支持棒の両端部と前記第3支持棒とをそれぞれ連結すると共に上下方向に形成された第2ねじ孔を有する第2連結部と、
前記第3支持棒の外周に形成され、前記第2ねじ孔に螺合して前記第3支持棒を前記第2ねじ孔に沿って移動可能にする第2ねじ部と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3〜5いずれか1項に記載の配管支持構造。
【請求項7】
前記上下方向移動機構は、
前記第2支持棒の両端部と前記第3支持棒とをそれぞれ連結すると共に前記第3支持棒が移動可能に挿し通される貫通孔が上下方向に形成された第2連結部と、
前記貫通孔に挿し通された前記第3支持棒を締め付けて固定する固定具と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3〜5いずれか1項に記載の配管支持構造。
【請求項8】
前記上下方向移動機構は、
前記第3支持棒の下端部と前記取付部材とを連結すると共に上下方向に沿って形成された長孔を有する第3連結部と、
前記長孔に挿入されるねじ及びそのねじに螺合するめねじにより、前記取付部材を固定する固定部材と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の配管支持構造。
【請求項9】
前記回転機構は、
前記第1連結部に上下方向に形成された第3ねじ孔と、
前記第1支持棒の下部の外周に形成され、前記第3ねじ孔に螺合する第3ねじ部と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項2に従属する請求項3〜8のいずれか1項に記載の配管支持構造。
【請求項10】
前記支持部材は、前記取付面から下方へ延設された第1支持棒と、前記2次側配管が取り付けられる取付部材と、前記取付部材に連結された連結部材と、を備えて構成され、
前記軸方向移動機構は、前記第1支持棒と前記連結部材とを連結する自在継ぎ手を備えて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管支持構造。
【請求項11】
前記上下方向移動機構は、
前記連結部材の下端部に上下方向に沿って形成された長孔と、
前記長孔に挿入されるねじ及びそのねじに螺合するめねじにより、前記取付部材を固定する固定部材と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項10に記載の配管支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−52695(P2009−52695A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221450(P2007−221450)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】