配管検査装置
【課題】熱交換器等の細管の内部を検査することができ、且つ、構造が簡単な配管検査装置を提供する。
【解決手段】配管検査装置は。ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、ピグ部を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する。検査対象の管内に配置された前記ピグ部の1つを、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部を収縮させ、管内に前記所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させた前記ピグ部を前記管内にて移動させる。
【解決手段】配管検査装置は。ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、ピグ部を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する。検査対象の管内に配置された前記ピグ部の1つを、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部を収縮させ、管内に前記所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させた前記ピグ部を前記管内にて移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管の内部を検査するための配管検査装置に関し、特に、配管の内部に挿入するように構成された配管検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス、上下水道等の供給設備、化学プラント等では、配管の内部を検査する技術が必要である。配管の内部を検査するには、配管内に検査装置を挿入することが好ましい。特許文献1、2、3には、ピグと称する膨張収縮可能な部材を用いた配管検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−239292号公報
【特許文献2】米国特許6339993号
【特許文献3】特開昭48−74884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2、3に記載された従来の技術では、検査装置を配管の内部に挿入するように構成されているが、構造が複雑であり、且つ、熱交換器等の細管の内部を検査することが困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、熱交換器等の細管の内部を検査することができ、且つ、構造が簡単な配管検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、配管検査装置は、ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、ピグ部を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する。
検査対象の管内に配置されたピグ部の1つを、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部を収縮させる。管内に所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させたピグ部を管内にて移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、熱交換器等の細管の内部を検査することができ、且つ、構造が簡単な配管検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図1B】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図1C】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図2A】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が膨張した状態を示す斜視図である。
【図2B】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が膨張した状態を示す断面図である。
【図3A】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が収縮した状態を示す斜視図である。
【図3B】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が収縮した状態を示す断面図である。
【図4A】本発明による配管検査装置の第2の例のピグ部が膨張した状態を示す断面図である。
【図4B】本発明による配管検査装置の第2の例のピグ部が収縮した状態を示す断面図である。
【図5A】本発明による配管検査装置のワイヤ供給装置の例を示す斜視図である。
【図5B】本発明による配管検査装置のワイヤ供給装置の例を示す断面図である。
【図6】本発明による配管検査装置を用いてT字管を備えた配管を検査する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A〜図1Cを参照して本発明の配管検査装置の概略を説明する。図1Aに示すように、検査対象の配管1は、入口1aと出口1bを有し、3個の直管部1A、1C、1Eとそれを接続するエルボ1B、1Dからなる。検査対象の配管1は、例えば熱交換器に用いられる細管であってよい。ここでは、配管検査装置の動作を説明するために、配管の構造を簡略化している。
【0010】
本発明の配管検査装置は、複数のピグ部10A〜10Fとこれらのピグ部を接続するケーブル30を有する。ピグ部10A〜10Fは、所定の間隔にて、ケーブル30に固定されている。図示の例では、6つのピグ部10A〜10Fが示されているが、必要なピグ部の数は、使用するケーブル30の長さ、即ち、検査対象の配管1の長さに依存する。ピグ部10A〜10Fは、膨張又は拡張し、また、収縮又は縮小することができる。ピグ部を膨張又は拡張させ、収縮又は縮小させる機構は後に説明する。尚、配管検査装置は、更に、駆動部、センサ等を有するが、ここでは、ピグ部の動作を説明するために、これらの構成部品の図示は省略している。
【0011】
本例の配管検査装置によると、管内に配置されたピグ部のうちの1つを膨張させ、それ以外のピグ部は収縮させる。管内に配置されたピグ部のうちの1つを常に膨張させることにより、管内は2つの空間に分けることができる。管の入口より加圧流体を供給することにより、膨張したピグ部に駆動力を付与する。
【0012】
先ず、先頭のピグ部10Aを管1の入口1aより挿入し、膨張させる。他のピグ部10B〜10Fは収縮させる。管内にてピグ部10Aが膨張すると、ピグ部10Aの外周部は管の内壁に密着し、管を閉塞させる。膨張したピグ部10Aによって、管内は2つの空間に分割される。
【0013】
管の入口1aより、管内に、所定の圧力を有する駆動用の流体5を供給する。駆動用の流体5は、液体であっても気体であってもよいが、ここでは、水を用いるものとする。管内に加圧した水を供給すると、管内の空間のうち、膨張したピグ部10Aの手前側の空間は、加圧した水によって満たされる。管内の空間のうち、膨張したピグ部10Aの奥側の空間は、出口1bを介して大気圧の外界に接続されている。従って、ピグ部10Aの両側の空間の間で、圧力差が生じる。この圧力差に起因して、ピグ部10Aを管1の内方に押し込む力fmが発生する。駆動用の流体5の圧力は一定であるとする。この場合、押し込み力fmは一定である。
【0014】
一方、この押し込み力fmに対して反対方向に作用する抵抗力frが発生する。この抵抗力frは、膨張したピグ部10Aと管の内壁の間に発生する摩擦力に起因した第1の抵抗力fpと、膨張したピグ部10Aの下流側のケーブルの張力に起因した第2の抵抗力fcの和である。抵抗力frは次の式によって表される。
fr=fp+fc 式1
【0015】
第1の抵抗力fpは、管の内径及び内壁の状態に大きな変化がなければ、略一定であるとみなしてよい。第2の抵抗力fcは、膨張したピグ部10Aを進行方向とは逆の方向に引っ張るケーブルの張力によって発生する。膨張したピグ部10Aの下流側のケーブルの張力は、主として、このケーブル及びそれに装着された収縮したピグ部10B〜10Fと管の内壁の間に発生する摩擦力に起因する。この摩擦力は、主として、エルボにて発生する。膨張したピグ部10Aが管内を進むと、ケーブル30は進行方向とは逆の方向に引っ張られ、緊張する。緊張したケーブルが、エルボにおける管の内壁に接触し、摩擦力が発生する。ピグ部10Aが前進している間は、押し込み力fmが抵抗力frより大きく、fr<fmである。両者の差が駆動力Fとなる。
F=fm−fr 式2
【0016】
この駆動力Fによって、膨張したピグ部10Aは移動する。しかしながら、ピグ部10Aが前進すると、第2の抵抗力fcが増加し、抵抗力frが増加する。押し込み力fmが一定であれば、抵抗力frが押し込み力fmに等しくなり、fr=fmとなる。即ち、駆動力Fはゼロとなり、F=0となる。膨張した先頭のピグ部10Aは、それ以上進むことはできなくなる。
【0017】
図1Aは、抵抗力frが押し込み力fmに等しくなり、駆動力Fがゼロとなった状態を示す。この場合、膨張したピグ部10Aはそれ以上進行することができない。
【0018】
そこで、図1Bに示すように、先頭から5番目のピグ部10Eを膨張させ、先頭のピグ部10Aを収縮させる。先頭から5番目のピグ部10Eは膨張しているが、それ以外のピグ部10A〜10D、10Fは収縮している。5番目のピグ部10Eの外周部は管の内壁に密着し、管を閉塞させる。膨張したピグ部10Eによって、管内は2つの空間に分割される。入口1aから管内に加圧した水を供給すると、膨張したピグ部10Eの両側の空間の間で、圧力差が生じる。圧力差に起因した押し込み力fmが、膨張したピグ部10Eに作用する。
【0019】
押し込み力fmに対して、式1によって表される抵抗力frが発生する。第1の抵抗力fpは一定であるが、第2の抵抗力fcは、減少する。従って、式1によって求められる抵抗力frは、小さくなる。そのため、押し込み力fmは、抵抗力frより大きくなり、fr<fmとなる。式2によって表される駆動力Fが発生する。
【0020】
従って、膨張したピグ部10Eは、駆動力Fによって内方に進む。それによって、膨張したピグ部10Eとその前方のピグ部10Dの間のケーブル、即ち、先頭から5番目のピグ部10Eと4番目のピグ部10Dの間のケーブル30Dは緩む。このケーブル30Dが緩むと、先頭から4番目のピグ部10Dを、所定の駆動力Fによって移動させることができる。
【0021】
そこで、先頭から4番目のピグ部10Dを膨張させ、先頭から5番目のピグ部10Eを収縮させる。先頭から4番目のピグ部10Dは膨張しているが、それ以外のピグ部10A〜10C、10E、10Fは収縮している。この場合、圧力差に起因した押し込み力fmは、膨張したピグ部10Dに作用する。膨張したピグ部10Dの下流側のケーブル30Dの張力は略ゼロである。即ち、第2の抵抗力fcは、略ゼロである。従って、膨張したピグ部10Dに働く抵抗力frは小さくなり、押し込み力fmは、抵抗力frより大きくなり、fr<fmとなる。式2によって表される駆動力Fが発生する。この駆動力Fによって、膨張したピグ部10Dは、管内を内方に進む。
【0022】
図1Cは、駆動力Fによって、膨張したピグ部10Dが、管内を内方に進んだ状態を示す。こうして、膨張したピグ部10Dが、管内を内方に進むと、膨張したピグ部10Dとその前のピグ部10C、即ち、先頭から4番目のピグ部10Dと3番目のピグ部10Cの間のケーブル30Cは緩む。このケーブル30Cが緩むと、先頭から3番目のピグ部10Cを、移動させることができる。そこで、先頭から3番目のピグ部10Cを膨張させ、他のピグ部を収縮させる。こうして、先頭から3番目のピグ部10Cを移動させることができる。
【0023】
先頭から3番目のピグ部10Cを、前方に移動させると、次に、先頭から2番目のピグ部10Bを、前方を移動させることができる。こうして、先頭のピグ部10Aを前方に移動させることができる。上述の説明では、先頭のピグ部10Aをそれ以上前進させることができなくなったとき、図1Bに示すように、先頭から5番目のピグ部10Eを膨張させて移動させた。しかしながら、この場合、先頭から6番目のピグ部10F、即ち、管の入口1aに最も近いピグ部10Fを膨張させて移動させてもよい。
【0024】
こうして、本発明によると、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったら、入口1a付近のピグ部から順番に、内方に移動させることによって、先頭のピグ部を移動させることができる。ここで、各ピグ部を移動させる移動量は、略同一であってよい。例えば、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったとき、例えば、第6のピグ部10Fを所定の距離xだけ前進させる。次に、第5のピグ部10Eを距離xだけ前進させる。同様に、第4、第3、及び、第2のピグ部を、それぞれ順に、距離xだけ前進させる。最後に、先頭のピグ部10Aを距離xだけ前進させる。このような工程を繰り返すことによって、配管検査装置は、管内を入口から出口まで前進することができる。
【0025】
先頭のピグ部10Aが、管の出口1bに到達し、配管内の検査が終了すると、それを管の入口1aまで戻す必要がある。本例では、管の出口1bから、駆動用の加圧流体を供給する。また、ケーブル30を管の入口1aにて巻き取る。それによって、上述の説明と同様にピグ部は、管の出口から入口まで逆方向に戻る。
【0026】
ここで説明した配管検査装置の使用方法は例示であり、実際には、他の使用方法も可能である。例えば、上述の例では、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったときに、後続の他のピグ部を移動させている。しかしながら、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなる前に、即ち、先頭のピグ部10Aが所定の距離だけ移動したときに、後続の他のピグ部を移動させてもよい。また、後続の他の全てのピグ部を、順に移動させてもよいが、全てのピグ部ではなく、ピグ部を1つ置きに移動させてもよい。
【0027】
図2A及び図2B、図3A及び図3Bを参照して、本発明の配管検査装置の第1の例の主要部の構造を説明する。図2A及び図3Aに示すように、本例の配管検査装置は、ピグ部10、駆動部20、連結パイプ21、及び、ケーブル30を有する。ここでは、ピグ部10は、進行方向前側に配置され、駆動部20は進行方向後側に配置されているものとする。尚、配管検査装置は、更に、センサ等を有するがここでは省略する。図2A及び図2Bは、ピグ部10が膨張した状態を示し、図3A及び図3Bは、ピグ部10が収縮した状態を示す。
【0028】
図2B及び図3Bに示すように、ピグ部10は、前側支持部材101、後側支持部材102、スライド部材103、4本のガイド部材104、ピストン105、シリンダ106、板バネ部材108、骨部材112及び、半球状の弾性体110を有する。前側支持部材101、後側支持部材102、スライド部材103、4本のガイド部材104、ピストン105、シリンダ106、及び、板バネ部材108は駆動機構を構成する。本例では、ガイド部材104は中空のパイプによって構成される。しかしながら、ガイド部材104を中実棒によって構成してもよい。
【0029】
4つのガイド部材104の両端は、前側支持部材101と後側支持部材102によって支持され、且つ、固定されている。即ち、4つのガイド部材104の前端は、前側支持部材101に固定され、4つのガイド部材104の後端は後側支持部材102に固定されている。
【0030】
スライド部材103は、4つの孔103A(図2A)を有し、これらの孔103Aの各々にガイド部材104が挿通されている。スライド部材103は、ガイド部材104に沿って、前側支持部材101と後側支持部材102の間にて移動可能である。
【0031】
後側支持部材102にシリンダ106が装着されている。一方、スライド部材103にピストン105が装着されている。ピストン105には、駆動ケーブル203が接続されている。ピストン105は往復運動可能にシリンダ106内に挿入されている。
【0032】
板バネ部材108の両端は、スライド部材103と後側支持部材102にそれぞれ装着されている。図3A及び図3Bに示すように、板バネ部材108の外側に複数の骨部材112が設けられている。図示の例では、4本の板バネ部材108と8本の骨部材112が設けられている。しかしながら、これは単なる例示であり、板バネ部材108と骨部材112の本数は、これに限定されるものではない。例えば、板バネ部材108と骨部材112の本数が同一であってもよい。
【0033】
骨部材112は、外側に膨らむように僅かに湾曲している。骨部材112は、スライド部材103に片持ち支持されており、その自由端は、板バネ部材108の略中央に配置されている。骨部材112に、半球状の弾性体110が装着されている。弾性体110は、板バネ部材108の略半分とスライド部材103を覆うように装着されている。スライド部材103と骨部材112は、湾曲又は座屈可能なように薄い板材によって形成されている。板バネ部材108と骨部材112は、薄い鋼、又は、ステンレス鋼によって構成されてよい。弾性体110は、ゴム、樹脂等の弾性材料によって形成された薄い膜の形状を有する。
【0034】
駆動部20は、モータ201、プーリ202、プリント配線基板205、及び、容器210を有する。モータ201の軸にプーリ202が装着されている。プーリ202には駆動ケーブル203が巻かれている。プリント配線基板205には、モータ201を駆動するための回路が装着されている。容器210は密閉構造を有する。
【0035】
ケーブル30には、ピグ部10及び駆動部20が取り付けられている。ピグ部10が移動すると、駆動部20も移動する。ピグ部10の4つのガイド部材104内に、一点鎖線によって示すケーブル30が挿通されている。このケーブル30は、連結パイプ21の外側を経由し、容器210の外側を経由して、次の、ピグ部の4つのガイド部材内に挿通されている。このケーブル30は、下流に接続されたピグ及び駆動部を引っ張るための駆動用ケーブルと、電力供給用の電力ケーブルと、信号送信用の信号ケーブルを有する。
【0036】
次に、本発明の配管検査装置の第1の例のピグ部10の弾性体を膨張又は収縮させる機能を説明する。図2Bに示すように、板バネ部材108に両側から押し付け力が作用すると、板バネ部材108は、湾曲する。板バネ部材108に作用する両側の押し付け力を解除すると、図3Bに示すように、板バネ部材108の弾性力(復元力)によって元の状態に戻り、平坦に、即ち、真っ直ぐになる。
【0037】
連結パイプ21内に、駆動ケーブル203が挿通されている。駆動ケーブル203の一端は、ピストン105に接続され、駆動ケーブル203の他端は、プーリ202に巻かれている。モータ201を駆動し、プーリ202によって駆動ケーブル203を巻き取ると、駆動ケーブル203に接続されたピストン105は、シリンダ106に対して相対的に後側に引っ張られる。即ち、ピストン105はシリンダ106内に引き込まれる。そのため、ピストン105を支持するスライド部材103は、後側支持部材102に対して近づく方向に引っ張られる。
【0038】
こうして、スライド部材103と後側支持部材102の間の距離が小さくなる。そのため、図2Bに示すように、板バネ部材108は、外側に膨らむように湾曲する。板バネ部材108が湾曲すると、骨部材112の自由端に接触する。板バネ部材108が更に湾曲すると、骨部材112は外側に押し出されて変形する。こうして骨部材112は、傘の骨のように開き、弾性体110は膨張し、半球形になる。弾性体110の外周面は、検査対象の管の内壁に密着する。尚、本例では、板バネ部材108は4本であるが、骨部材112は8本である。従って、湾曲した板バネ部材108に接触する骨部材は4本のみであり、他の4本の骨部材は板バネ部材108に接触しない。しかしながら、骨部材は弾性体に装着されているため、弾性体の変形に従って変形する。
【0039】
モータ201を駆動し、プーリ202に巻き取られた駆動ケーブル203を緩めると、板バネ部材108の弾性力によって、スライド部材103は、後側支持部材102に対して離れる方向に駆動される。それによって、スライド部材103が、後側支持部材102に対して離れる方向に移動する。ピストン105は、シリンダ106に対して相対的に前側に移動する。即ち、ピストン105はシリンダ106内より引き出される。図3Bに示すように、板バネ部材108は、元の状態に戻り、平坦になる。板バネ部材108が真っ直ぐになると、骨部材112も元の形状に戻り、その自由端は、板バネ部材108より離れる。それによって弾性体110は収縮し、扁平状になる。
【0040】
板バネ部材の代わりに、コイルバネを用いてもよい。4本の板バネ部材の代わり4本のコイルバネを用いてもよいが、1本のコイルバネを用いてもよい。コイルバネの両端を、スライド部材103と後側支持部材102にそれぞれ装着する。1本のコイルバネを用いる場合には、4本のガイド部材104を囲むように配置してよい。シリンダ106に対するピストン105の運動は、板バネ部材を用いる場合と同様である。
【0041】
板バネ部材の代わりに、コイルバネを用いる場合には、骨部材112は、2本の骨部材からなるリンク構造を有するように構成してよい。2本の骨部材の一端を、それぞれスライド部材103と後側支持部材102に枢動可能にヒンジ接続する。2本の骨部材の他端の自由端を、互いに枢動可能にピン等によりヒンジ接続する。また、スライド部材103にヒンジ接続された骨部材には、弾性体110を接続する。
【0042】
コイルバネが圧縮されると、スライド部材103が後側支持部材102に対して相対的に近づく方向に移動する。そこで、2本の骨材は、外側に折れ曲がるようにヒンジ接続部にて枢動する。それによって弾性体110は膨張し、半球形になる。コイルバネが伸張すると、スライド部材103が後側支持部材102に対して相対的に遠ざかる方向に移動する。それによって弾性体110は収縮し、扁平状になる。
【0043】
図4A及び図4Bを参照して、本発明の配管検査装置の第2の例の主要部の構造を説明する。本例の配管検査装置は、供給管32、及び、それに装着されたピグ部10を有する。ピグ部10は、弾性体110、2つのシール部材121、122、2つのパイプ123、124、及び、2つの電磁弁125、126、を有する。尚、配管検査装置は、更に、ケーブル、センサ等を有するがここでは省略する。
【0044】
供給管32の内部には、加圧流体、例えば加圧空気が供給されている。以下に、供給管には、加圧空気源が接続され、加圧空気が供給されるものとして説明する。弾性体110は2つの孔を有し、この孔に供給管32が挿通されている。弾性体110と供給管32の間にリング状のシール部材121、122が装填されている。シール部材121、122は、供給管32の円周外面に装着されている。シール部材121、122を設けることにより、弾性体110は密閉構造となっている。
【0045】
弾性体110は膨張又は収縮することができる。ここで図4Aは弾性体110が膨張した状態を示し、図4Bは弾性体110が収縮した状態を示す。図4A及び図4Bにおいて、弾性体110の右側の管内は低圧側空間、左側の管内は高圧側空間であるとする。従って、弾性体110を含むピグ部10は、左側から右側に移動するとして説明する。
【0046】
進行方向前側のシール部材121の近傍に排出用パイプ123が設けられ、進行方向後側のシール部材122の近傍に供給用パイプ124が設けられている。排出用パイプ123は、弾性体110の内部と管1内の低圧側空間を接続するように設けられている。排出用パイプ123には排出用の電磁弁125が設けられている。供給用パイプ124は、弾性体110の内部と供給管32を接続するように設けられている。供給用パイプ124には供給用の電磁弁126が設けられている。
【0047】
図4Aに示すように、弾性体110を膨張させる場合には、排出用電磁弁125を閉じ、供給用電磁弁126を開ける。供給管32内の高圧空気は、供給用パイプ124を介して弾性体110内に供給される。それによって弾性体110は膨張する。検査対象の管1は、膨張した弾性体110によって塞がれる。管1の入口より、管1内に、所定の圧力を有する駆動用の流体を押し込む。弾性体110の奥側の管内の圧力は大気圧である。弾性体110の両側の空間の間で、圧力差が生じる。この圧力差に起因して、弾性体110を管の内方に押し込む駆動力が発生する。弾性体110が管内を進むと、それに接続された供給管32も同時に進む。
【0048】
図4Bに示すように、弾性体110を収縮させる場合には、排出用電磁弁125を開け、供給用電磁弁126を閉じる。弾性体110内の高圧空気は、排出用パイプ123を介して管1内の低圧側の空間に排出される。
【0049】
図5A及び図5Bを参照して、本発明の配管検査装置のワイヤ供給装置の例を説明する。本例のワイヤ供給装置は、本体40と本体内に配置された1対のロール41A、41Bとモータ42を有する。モータ42によってロール41A、41Bは一定の回転速度で回転する。ロール41A、41Bはケーブルを一定の速度で供給すると同時に、ケーブルが暴走することを防ぐブレーキとして機能する。本体40は、入口部401とその反対側の結合部402とその間の胴体部403と有する。本体の結合部402には、検査対象の管1の入口1aが装着される。本体の胴体部403には、分岐管404が設けられている。分岐管404には、駆動用流体を供給するための配管410が接続される。
【0050】
本体の胴体部403には、開閉可能な蓋部405が形成されている。図5Aは、蓋部405を開けた状態を示す。蓋部405は、本体の胴体部403の一部を切り取った形状を有する。蓋部405は、本体の胴体部403に装着されたピン406を回転軸として枢動可能である。蓋部405の内部には、上側のロール41Bが回転可能に装着されている。一方、下側のロール41Aは、本体の胴体部403に装着されている。下側のロール41Aはモータ42によって回転駆動される。
【0051】
図5Bは、蓋部405を閉じた状態を示す。蓋部405を閉じると、蓋部405の端部と本体の胴体部403の端部によって入口部401の開口が形成される。蓋部405の端部には半円状のシャッタ43Bが装着され、本体の胴体部403の端部には、半円状のシャッタ43Aが装着されている。蓋部405が閉じた状態のとき、2つの半円状のシャッタ43A、43Bは、締結具44A、44Bによって互いに固定される。従って、蓋部405が閉じた状態のとき、本体の胴体部403の入口部401の開口を完全に閉鎖することができる。
【0052】
検査対象の管1に、ピグ部10F、10Gが装着されたケーブル30を導入する場合には、蓋部405を開け、本体の胴体部403から、検査対象の管1にケーブル30を導入する。蓋部405を閉じ、2つのロール41A、41Bを一定の回転速度で回転させることにより、ケーブル30は2つのロール41A、41Bの間を通り、結合部402を経由して、管1内に導入される。先頭のピグ部10Aが管1内に挿入されたら、それを膨張させる。次に、ロールの回転を停止し、シャッタ43を閉じる。分岐管404に接続された配管410を経由して本体内に駆動用流体5が供給される。駆動用流体5は、本体の結合部402を経由して管内に供給される。こうして、先頭のピグ部は、駆動用流体の圧力によって内部に進行する。
【0053】
上述のように、配管内の検査が終了すると、管の出口から、駆動用の加圧流体を供給すると同時に、ケーブル30を巻き取る必要がある。この場合には、モータ42を反転させ、ロール41A、41Bを反対方向に回転させればよい。
【0054】
図6を参照して、本例の配管検査装置を用いてT字管を備えた配管を検査する場合を説明する。図6は検査対象の配管1の一部を示す。配管1は、1個の直管部1Aと4個のT字管部2A、2B、2C、2Dとエルボ1Bを有する。本例の配管検査装置を配管1の入口1aから導入し、第3のT字管2Cの出口1bから取り出す場合を想定する。配管1の入口1aと第3のT字管2Cの出口1b以外を閉鎖する。即ち、T字管部2A、2B、2Dの出口を栓2a、2b、2dによって閉鎖する。
【0055】
本例の配管検査装置は、複数のピグ部10A〜10Hとこれらのピグ部を接続するケーブル30を有する。配管1の入口1aから検査装置を導入し、管内に、所定の圧力を有する駆動用の流体5を供給する。第1のピグ部10Aを膨張させ他のピグ部10B〜10Hを収縮させる。先頭のピグ部10Aが移動しなくなったら、図1A〜図1Cを参照して説明したように、先頭以外のピグ部を順に、膨張させて、移動させる。これを繰り返して、先頭のピグ部10Aを第3のT字管2Cの出口1bに導くことができる。
【0056】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0057】
1…配管、1a…入口、1A、1C、1E…直管部、1B、1D…エルボ、1b…出口、2…駆動用流体、10、10A〜10F…ピグ部、20…駆動部、21…連結パイプ、30…ケーブル、40…本体、41A、41B…ロール、43…シャッタ、101…前側支持部材、102…後側支持部材、103…スライド部材、104…ガイド部材、105…ピストン、106…シリンダ、108…板バネ部材、110…弾性体、112…骨、201…モータ、202…プーリ、203…駆動ケーブル、205…プリント配線基板、210…容器、401…入口、402…結合部、403…胴体部、404…分岐管、405…蓋部、406…ピン、410…配管
【技術分野】
【0001】
本発明は配管の内部を検査するための配管検査装置に関し、特に、配管の内部に挿入するように構成された配管検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス、上下水道等の供給設備、化学プラント等では、配管の内部を検査する技術が必要である。配管の内部を検査するには、配管内に検査装置を挿入することが好ましい。特許文献1、2、3には、ピグと称する膨張収縮可能な部材を用いた配管検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−239292号公報
【特許文献2】米国特許6339993号
【特許文献3】特開昭48−74884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2、3に記載された従来の技術では、検査装置を配管の内部に挿入するように構成されているが、構造が複雑であり、且つ、熱交換器等の細管の内部を検査することが困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、熱交換器等の細管の内部を検査することができ、且つ、構造が簡単な配管検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、配管検査装置は、ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、ピグ部を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する。
検査対象の管内に配置されたピグ部の1つを、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部を収縮させる。管内に所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させたピグ部を管内にて移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、熱交換器等の細管の内部を検査することができ、且つ、構造が簡単な配管検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図1B】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図1C】本発明による配管検査装置を用いて配管を検査する方法を説明するための説明図である。
【図2A】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が膨張した状態を示す斜視図である。
【図2B】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が膨張した状態を示す断面図である。
【図3A】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が収縮した状態を示す斜視図である。
【図3B】本発明による配管検査装置の第1の例のピグ部が収縮した状態を示す断面図である。
【図4A】本発明による配管検査装置の第2の例のピグ部が膨張した状態を示す断面図である。
【図4B】本発明による配管検査装置の第2の例のピグ部が収縮した状態を示す断面図である。
【図5A】本発明による配管検査装置のワイヤ供給装置の例を示す斜視図である。
【図5B】本発明による配管検査装置のワイヤ供給装置の例を示す断面図である。
【図6】本発明による配管検査装置を用いてT字管を備えた配管を検査する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A〜図1Cを参照して本発明の配管検査装置の概略を説明する。図1Aに示すように、検査対象の配管1は、入口1aと出口1bを有し、3個の直管部1A、1C、1Eとそれを接続するエルボ1B、1Dからなる。検査対象の配管1は、例えば熱交換器に用いられる細管であってよい。ここでは、配管検査装置の動作を説明するために、配管の構造を簡略化している。
【0010】
本発明の配管検査装置は、複数のピグ部10A〜10Fとこれらのピグ部を接続するケーブル30を有する。ピグ部10A〜10Fは、所定の間隔にて、ケーブル30に固定されている。図示の例では、6つのピグ部10A〜10Fが示されているが、必要なピグ部の数は、使用するケーブル30の長さ、即ち、検査対象の配管1の長さに依存する。ピグ部10A〜10Fは、膨張又は拡張し、また、収縮又は縮小することができる。ピグ部を膨張又は拡張させ、収縮又は縮小させる機構は後に説明する。尚、配管検査装置は、更に、駆動部、センサ等を有するが、ここでは、ピグ部の動作を説明するために、これらの構成部品の図示は省略している。
【0011】
本例の配管検査装置によると、管内に配置されたピグ部のうちの1つを膨張させ、それ以外のピグ部は収縮させる。管内に配置されたピグ部のうちの1つを常に膨張させることにより、管内は2つの空間に分けることができる。管の入口より加圧流体を供給することにより、膨張したピグ部に駆動力を付与する。
【0012】
先ず、先頭のピグ部10Aを管1の入口1aより挿入し、膨張させる。他のピグ部10B〜10Fは収縮させる。管内にてピグ部10Aが膨張すると、ピグ部10Aの外周部は管の内壁に密着し、管を閉塞させる。膨張したピグ部10Aによって、管内は2つの空間に分割される。
【0013】
管の入口1aより、管内に、所定の圧力を有する駆動用の流体5を供給する。駆動用の流体5は、液体であっても気体であってもよいが、ここでは、水を用いるものとする。管内に加圧した水を供給すると、管内の空間のうち、膨張したピグ部10Aの手前側の空間は、加圧した水によって満たされる。管内の空間のうち、膨張したピグ部10Aの奥側の空間は、出口1bを介して大気圧の外界に接続されている。従って、ピグ部10Aの両側の空間の間で、圧力差が生じる。この圧力差に起因して、ピグ部10Aを管1の内方に押し込む力fmが発生する。駆動用の流体5の圧力は一定であるとする。この場合、押し込み力fmは一定である。
【0014】
一方、この押し込み力fmに対して反対方向に作用する抵抗力frが発生する。この抵抗力frは、膨張したピグ部10Aと管の内壁の間に発生する摩擦力に起因した第1の抵抗力fpと、膨張したピグ部10Aの下流側のケーブルの張力に起因した第2の抵抗力fcの和である。抵抗力frは次の式によって表される。
fr=fp+fc 式1
【0015】
第1の抵抗力fpは、管の内径及び内壁の状態に大きな変化がなければ、略一定であるとみなしてよい。第2の抵抗力fcは、膨張したピグ部10Aを進行方向とは逆の方向に引っ張るケーブルの張力によって発生する。膨張したピグ部10Aの下流側のケーブルの張力は、主として、このケーブル及びそれに装着された収縮したピグ部10B〜10Fと管の内壁の間に発生する摩擦力に起因する。この摩擦力は、主として、エルボにて発生する。膨張したピグ部10Aが管内を進むと、ケーブル30は進行方向とは逆の方向に引っ張られ、緊張する。緊張したケーブルが、エルボにおける管の内壁に接触し、摩擦力が発生する。ピグ部10Aが前進している間は、押し込み力fmが抵抗力frより大きく、fr<fmである。両者の差が駆動力Fとなる。
F=fm−fr 式2
【0016】
この駆動力Fによって、膨張したピグ部10Aは移動する。しかしながら、ピグ部10Aが前進すると、第2の抵抗力fcが増加し、抵抗力frが増加する。押し込み力fmが一定であれば、抵抗力frが押し込み力fmに等しくなり、fr=fmとなる。即ち、駆動力Fはゼロとなり、F=0となる。膨張した先頭のピグ部10Aは、それ以上進むことはできなくなる。
【0017】
図1Aは、抵抗力frが押し込み力fmに等しくなり、駆動力Fがゼロとなった状態を示す。この場合、膨張したピグ部10Aはそれ以上進行することができない。
【0018】
そこで、図1Bに示すように、先頭から5番目のピグ部10Eを膨張させ、先頭のピグ部10Aを収縮させる。先頭から5番目のピグ部10Eは膨張しているが、それ以外のピグ部10A〜10D、10Fは収縮している。5番目のピグ部10Eの外周部は管の内壁に密着し、管を閉塞させる。膨張したピグ部10Eによって、管内は2つの空間に分割される。入口1aから管内に加圧した水を供給すると、膨張したピグ部10Eの両側の空間の間で、圧力差が生じる。圧力差に起因した押し込み力fmが、膨張したピグ部10Eに作用する。
【0019】
押し込み力fmに対して、式1によって表される抵抗力frが発生する。第1の抵抗力fpは一定であるが、第2の抵抗力fcは、減少する。従って、式1によって求められる抵抗力frは、小さくなる。そのため、押し込み力fmは、抵抗力frより大きくなり、fr<fmとなる。式2によって表される駆動力Fが発生する。
【0020】
従って、膨張したピグ部10Eは、駆動力Fによって内方に進む。それによって、膨張したピグ部10Eとその前方のピグ部10Dの間のケーブル、即ち、先頭から5番目のピグ部10Eと4番目のピグ部10Dの間のケーブル30Dは緩む。このケーブル30Dが緩むと、先頭から4番目のピグ部10Dを、所定の駆動力Fによって移動させることができる。
【0021】
そこで、先頭から4番目のピグ部10Dを膨張させ、先頭から5番目のピグ部10Eを収縮させる。先頭から4番目のピグ部10Dは膨張しているが、それ以外のピグ部10A〜10C、10E、10Fは収縮している。この場合、圧力差に起因した押し込み力fmは、膨張したピグ部10Dに作用する。膨張したピグ部10Dの下流側のケーブル30Dの張力は略ゼロである。即ち、第2の抵抗力fcは、略ゼロである。従って、膨張したピグ部10Dに働く抵抗力frは小さくなり、押し込み力fmは、抵抗力frより大きくなり、fr<fmとなる。式2によって表される駆動力Fが発生する。この駆動力Fによって、膨張したピグ部10Dは、管内を内方に進む。
【0022】
図1Cは、駆動力Fによって、膨張したピグ部10Dが、管内を内方に進んだ状態を示す。こうして、膨張したピグ部10Dが、管内を内方に進むと、膨張したピグ部10Dとその前のピグ部10C、即ち、先頭から4番目のピグ部10Dと3番目のピグ部10Cの間のケーブル30Cは緩む。このケーブル30Cが緩むと、先頭から3番目のピグ部10Cを、移動させることができる。そこで、先頭から3番目のピグ部10Cを膨張させ、他のピグ部を収縮させる。こうして、先頭から3番目のピグ部10Cを移動させることができる。
【0023】
先頭から3番目のピグ部10Cを、前方に移動させると、次に、先頭から2番目のピグ部10Bを、前方を移動させることができる。こうして、先頭のピグ部10Aを前方に移動させることができる。上述の説明では、先頭のピグ部10Aをそれ以上前進させることができなくなったとき、図1Bに示すように、先頭から5番目のピグ部10Eを膨張させて移動させた。しかしながら、この場合、先頭から6番目のピグ部10F、即ち、管の入口1aに最も近いピグ部10Fを膨張させて移動させてもよい。
【0024】
こうして、本発明によると、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったら、入口1a付近のピグ部から順番に、内方に移動させることによって、先頭のピグ部を移動させることができる。ここで、各ピグ部を移動させる移動量は、略同一であってよい。例えば、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったとき、例えば、第6のピグ部10Fを所定の距離xだけ前進させる。次に、第5のピグ部10Eを距離xだけ前進させる。同様に、第4、第3、及び、第2のピグ部を、それぞれ順に、距離xだけ前進させる。最後に、先頭のピグ部10Aを距離xだけ前進させる。このような工程を繰り返すことによって、配管検査装置は、管内を入口から出口まで前進することができる。
【0025】
先頭のピグ部10Aが、管の出口1bに到達し、配管内の検査が終了すると、それを管の入口1aまで戻す必要がある。本例では、管の出口1bから、駆動用の加圧流体を供給する。また、ケーブル30を管の入口1aにて巻き取る。それによって、上述の説明と同様にピグ部は、管の出口から入口まで逆方向に戻る。
【0026】
ここで説明した配管検査装置の使用方法は例示であり、実際には、他の使用方法も可能である。例えば、上述の例では、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなったときに、後続の他のピグ部を移動させている。しかしながら、先頭のピグ部10Aを移動させることができなくなる前に、即ち、先頭のピグ部10Aが所定の距離だけ移動したときに、後続の他のピグ部を移動させてもよい。また、後続の他の全てのピグ部を、順に移動させてもよいが、全てのピグ部ではなく、ピグ部を1つ置きに移動させてもよい。
【0027】
図2A及び図2B、図3A及び図3Bを参照して、本発明の配管検査装置の第1の例の主要部の構造を説明する。図2A及び図3Aに示すように、本例の配管検査装置は、ピグ部10、駆動部20、連結パイプ21、及び、ケーブル30を有する。ここでは、ピグ部10は、進行方向前側に配置され、駆動部20は進行方向後側に配置されているものとする。尚、配管検査装置は、更に、センサ等を有するがここでは省略する。図2A及び図2Bは、ピグ部10が膨張した状態を示し、図3A及び図3Bは、ピグ部10が収縮した状態を示す。
【0028】
図2B及び図3Bに示すように、ピグ部10は、前側支持部材101、後側支持部材102、スライド部材103、4本のガイド部材104、ピストン105、シリンダ106、板バネ部材108、骨部材112及び、半球状の弾性体110を有する。前側支持部材101、後側支持部材102、スライド部材103、4本のガイド部材104、ピストン105、シリンダ106、及び、板バネ部材108は駆動機構を構成する。本例では、ガイド部材104は中空のパイプによって構成される。しかしながら、ガイド部材104を中実棒によって構成してもよい。
【0029】
4つのガイド部材104の両端は、前側支持部材101と後側支持部材102によって支持され、且つ、固定されている。即ち、4つのガイド部材104の前端は、前側支持部材101に固定され、4つのガイド部材104の後端は後側支持部材102に固定されている。
【0030】
スライド部材103は、4つの孔103A(図2A)を有し、これらの孔103Aの各々にガイド部材104が挿通されている。スライド部材103は、ガイド部材104に沿って、前側支持部材101と後側支持部材102の間にて移動可能である。
【0031】
後側支持部材102にシリンダ106が装着されている。一方、スライド部材103にピストン105が装着されている。ピストン105には、駆動ケーブル203が接続されている。ピストン105は往復運動可能にシリンダ106内に挿入されている。
【0032】
板バネ部材108の両端は、スライド部材103と後側支持部材102にそれぞれ装着されている。図3A及び図3Bに示すように、板バネ部材108の外側に複数の骨部材112が設けられている。図示の例では、4本の板バネ部材108と8本の骨部材112が設けられている。しかしながら、これは単なる例示であり、板バネ部材108と骨部材112の本数は、これに限定されるものではない。例えば、板バネ部材108と骨部材112の本数が同一であってもよい。
【0033】
骨部材112は、外側に膨らむように僅かに湾曲している。骨部材112は、スライド部材103に片持ち支持されており、その自由端は、板バネ部材108の略中央に配置されている。骨部材112に、半球状の弾性体110が装着されている。弾性体110は、板バネ部材108の略半分とスライド部材103を覆うように装着されている。スライド部材103と骨部材112は、湾曲又は座屈可能なように薄い板材によって形成されている。板バネ部材108と骨部材112は、薄い鋼、又は、ステンレス鋼によって構成されてよい。弾性体110は、ゴム、樹脂等の弾性材料によって形成された薄い膜の形状を有する。
【0034】
駆動部20は、モータ201、プーリ202、プリント配線基板205、及び、容器210を有する。モータ201の軸にプーリ202が装着されている。プーリ202には駆動ケーブル203が巻かれている。プリント配線基板205には、モータ201を駆動するための回路が装着されている。容器210は密閉構造を有する。
【0035】
ケーブル30には、ピグ部10及び駆動部20が取り付けられている。ピグ部10が移動すると、駆動部20も移動する。ピグ部10の4つのガイド部材104内に、一点鎖線によって示すケーブル30が挿通されている。このケーブル30は、連結パイプ21の外側を経由し、容器210の外側を経由して、次の、ピグ部の4つのガイド部材内に挿通されている。このケーブル30は、下流に接続されたピグ及び駆動部を引っ張るための駆動用ケーブルと、電力供給用の電力ケーブルと、信号送信用の信号ケーブルを有する。
【0036】
次に、本発明の配管検査装置の第1の例のピグ部10の弾性体を膨張又は収縮させる機能を説明する。図2Bに示すように、板バネ部材108に両側から押し付け力が作用すると、板バネ部材108は、湾曲する。板バネ部材108に作用する両側の押し付け力を解除すると、図3Bに示すように、板バネ部材108の弾性力(復元力)によって元の状態に戻り、平坦に、即ち、真っ直ぐになる。
【0037】
連結パイプ21内に、駆動ケーブル203が挿通されている。駆動ケーブル203の一端は、ピストン105に接続され、駆動ケーブル203の他端は、プーリ202に巻かれている。モータ201を駆動し、プーリ202によって駆動ケーブル203を巻き取ると、駆動ケーブル203に接続されたピストン105は、シリンダ106に対して相対的に後側に引っ張られる。即ち、ピストン105はシリンダ106内に引き込まれる。そのため、ピストン105を支持するスライド部材103は、後側支持部材102に対して近づく方向に引っ張られる。
【0038】
こうして、スライド部材103と後側支持部材102の間の距離が小さくなる。そのため、図2Bに示すように、板バネ部材108は、外側に膨らむように湾曲する。板バネ部材108が湾曲すると、骨部材112の自由端に接触する。板バネ部材108が更に湾曲すると、骨部材112は外側に押し出されて変形する。こうして骨部材112は、傘の骨のように開き、弾性体110は膨張し、半球形になる。弾性体110の外周面は、検査対象の管の内壁に密着する。尚、本例では、板バネ部材108は4本であるが、骨部材112は8本である。従って、湾曲した板バネ部材108に接触する骨部材は4本のみであり、他の4本の骨部材は板バネ部材108に接触しない。しかしながら、骨部材は弾性体に装着されているため、弾性体の変形に従って変形する。
【0039】
モータ201を駆動し、プーリ202に巻き取られた駆動ケーブル203を緩めると、板バネ部材108の弾性力によって、スライド部材103は、後側支持部材102に対して離れる方向に駆動される。それによって、スライド部材103が、後側支持部材102に対して離れる方向に移動する。ピストン105は、シリンダ106に対して相対的に前側に移動する。即ち、ピストン105はシリンダ106内より引き出される。図3Bに示すように、板バネ部材108は、元の状態に戻り、平坦になる。板バネ部材108が真っ直ぐになると、骨部材112も元の形状に戻り、その自由端は、板バネ部材108より離れる。それによって弾性体110は収縮し、扁平状になる。
【0040】
板バネ部材の代わりに、コイルバネを用いてもよい。4本の板バネ部材の代わり4本のコイルバネを用いてもよいが、1本のコイルバネを用いてもよい。コイルバネの両端を、スライド部材103と後側支持部材102にそれぞれ装着する。1本のコイルバネを用いる場合には、4本のガイド部材104を囲むように配置してよい。シリンダ106に対するピストン105の運動は、板バネ部材を用いる場合と同様である。
【0041】
板バネ部材の代わりに、コイルバネを用いる場合には、骨部材112は、2本の骨部材からなるリンク構造を有するように構成してよい。2本の骨部材の一端を、それぞれスライド部材103と後側支持部材102に枢動可能にヒンジ接続する。2本の骨部材の他端の自由端を、互いに枢動可能にピン等によりヒンジ接続する。また、スライド部材103にヒンジ接続された骨部材には、弾性体110を接続する。
【0042】
コイルバネが圧縮されると、スライド部材103が後側支持部材102に対して相対的に近づく方向に移動する。そこで、2本の骨材は、外側に折れ曲がるようにヒンジ接続部にて枢動する。それによって弾性体110は膨張し、半球形になる。コイルバネが伸張すると、スライド部材103が後側支持部材102に対して相対的に遠ざかる方向に移動する。それによって弾性体110は収縮し、扁平状になる。
【0043】
図4A及び図4Bを参照して、本発明の配管検査装置の第2の例の主要部の構造を説明する。本例の配管検査装置は、供給管32、及び、それに装着されたピグ部10を有する。ピグ部10は、弾性体110、2つのシール部材121、122、2つのパイプ123、124、及び、2つの電磁弁125、126、を有する。尚、配管検査装置は、更に、ケーブル、センサ等を有するがここでは省略する。
【0044】
供給管32の内部には、加圧流体、例えば加圧空気が供給されている。以下に、供給管には、加圧空気源が接続され、加圧空気が供給されるものとして説明する。弾性体110は2つの孔を有し、この孔に供給管32が挿通されている。弾性体110と供給管32の間にリング状のシール部材121、122が装填されている。シール部材121、122は、供給管32の円周外面に装着されている。シール部材121、122を設けることにより、弾性体110は密閉構造となっている。
【0045】
弾性体110は膨張又は収縮することができる。ここで図4Aは弾性体110が膨張した状態を示し、図4Bは弾性体110が収縮した状態を示す。図4A及び図4Bにおいて、弾性体110の右側の管内は低圧側空間、左側の管内は高圧側空間であるとする。従って、弾性体110を含むピグ部10は、左側から右側に移動するとして説明する。
【0046】
進行方向前側のシール部材121の近傍に排出用パイプ123が設けられ、進行方向後側のシール部材122の近傍に供給用パイプ124が設けられている。排出用パイプ123は、弾性体110の内部と管1内の低圧側空間を接続するように設けられている。排出用パイプ123には排出用の電磁弁125が設けられている。供給用パイプ124は、弾性体110の内部と供給管32を接続するように設けられている。供給用パイプ124には供給用の電磁弁126が設けられている。
【0047】
図4Aに示すように、弾性体110を膨張させる場合には、排出用電磁弁125を閉じ、供給用電磁弁126を開ける。供給管32内の高圧空気は、供給用パイプ124を介して弾性体110内に供給される。それによって弾性体110は膨張する。検査対象の管1は、膨張した弾性体110によって塞がれる。管1の入口より、管1内に、所定の圧力を有する駆動用の流体を押し込む。弾性体110の奥側の管内の圧力は大気圧である。弾性体110の両側の空間の間で、圧力差が生じる。この圧力差に起因して、弾性体110を管の内方に押し込む駆動力が発生する。弾性体110が管内を進むと、それに接続された供給管32も同時に進む。
【0048】
図4Bに示すように、弾性体110を収縮させる場合には、排出用電磁弁125を開け、供給用電磁弁126を閉じる。弾性体110内の高圧空気は、排出用パイプ123を介して管1内の低圧側の空間に排出される。
【0049】
図5A及び図5Bを参照して、本発明の配管検査装置のワイヤ供給装置の例を説明する。本例のワイヤ供給装置は、本体40と本体内に配置された1対のロール41A、41Bとモータ42を有する。モータ42によってロール41A、41Bは一定の回転速度で回転する。ロール41A、41Bはケーブルを一定の速度で供給すると同時に、ケーブルが暴走することを防ぐブレーキとして機能する。本体40は、入口部401とその反対側の結合部402とその間の胴体部403と有する。本体の結合部402には、検査対象の管1の入口1aが装着される。本体の胴体部403には、分岐管404が設けられている。分岐管404には、駆動用流体を供給するための配管410が接続される。
【0050】
本体の胴体部403には、開閉可能な蓋部405が形成されている。図5Aは、蓋部405を開けた状態を示す。蓋部405は、本体の胴体部403の一部を切り取った形状を有する。蓋部405は、本体の胴体部403に装着されたピン406を回転軸として枢動可能である。蓋部405の内部には、上側のロール41Bが回転可能に装着されている。一方、下側のロール41Aは、本体の胴体部403に装着されている。下側のロール41Aはモータ42によって回転駆動される。
【0051】
図5Bは、蓋部405を閉じた状態を示す。蓋部405を閉じると、蓋部405の端部と本体の胴体部403の端部によって入口部401の開口が形成される。蓋部405の端部には半円状のシャッタ43Bが装着され、本体の胴体部403の端部には、半円状のシャッタ43Aが装着されている。蓋部405が閉じた状態のとき、2つの半円状のシャッタ43A、43Bは、締結具44A、44Bによって互いに固定される。従って、蓋部405が閉じた状態のとき、本体の胴体部403の入口部401の開口を完全に閉鎖することができる。
【0052】
検査対象の管1に、ピグ部10F、10Gが装着されたケーブル30を導入する場合には、蓋部405を開け、本体の胴体部403から、検査対象の管1にケーブル30を導入する。蓋部405を閉じ、2つのロール41A、41Bを一定の回転速度で回転させることにより、ケーブル30は2つのロール41A、41Bの間を通り、結合部402を経由して、管1内に導入される。先頭のピグ部10Aが管1内に挿入されたら、それを膨張させる。次に、ロールの回転を停止し、シャッタ43を閉じる。分岐管404に接続された配管410を経由して本体内に駆動用流体5が供給される。駆動用流体5は、本体の結合部402を経由して管内に供給される。こうして、先頭のピグ部は、駆動用流体の圧力によって内部に進行する。
【0053】
上述のように、配管内の検査が終了すると、管の出口から、駆動用の加圧流体を供給すると同時に、ケーブル30を巻き取る必要がある。この場合には、モータ42を反転させ、ロール41A、41Bを反対方向に回転させればよい。
【0054】
図6を参照して、本例の配管検査装置を用いてT字管を備えた配管を検査する場合を説明する。図6は検査対象の配管1の一部を示す。配管1は、1個の直管部1Aと4個のT字管部2A、2B、2C、2Dとエルボ1Bを有する。本例の配管検査装置を配管1の入口1aから導入し、第3のT字管2Cの出口1bから取り出す場合を想定する。配管1の入口1aと第3のT字管2Cの出口1b以外を閉鎖する。即ち、T字管部2A、2B、2Dの出口を栓2a、2b、2dによって閉鎖する。
【0055】
本例の配管検査装置は、複数のピグ部10A〜10Hとこれらのピグ部を接続するケーブル30を有する。配管1の入口1aから検査装置を導入し、管内に、所定の圧力を有する駆動用の流体5を供給する。第1のピグ部10Aを膨張させ他のピグ部10B〜10Hを収縮させる。先頭のピグ部10Aが移動しなくなったら、図1A〜図1Cを参照して説明したように、先頭以外のピグ部を順に、膨張させて、移動させる。これを繰り返して、先頭のピグ部10Aを第3のT字管2Cの出口1bに導くことができる。
【0056】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0057】
1…配管、1a…入口、1A、1C、1E…直管部、1B、1D…エルボ、1b…出口、2…駆動用流体、10、10A〜10F…ピグ部、20…駆動部、21…連結パイプ、30…ケーブル、40…本体、41A、41B…ロール、43…シャッタ、101…前側支持部材、102…後側支持部材、103…スライド部材、104…ガイド部材、105…ピストン、106…シリンダ、108…板バネ部材、110…弾性体、112…骨、201…モータ、202…プーリ、203…駆動ケーブル、205…プリント配線基板、210…容器、401…入口、402…結合部、403…胴体部、404…分岐管、405…蓋部、406…ピン、410…配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な弾性体を備えた複数のピグ部と、前記弾性体を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する配管検査装置において、
検査対象の管内に配置された前記ピグ部のうちの1つのピグ部の弾性体を、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部の弾性体を収縮させ、前記管内に所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させた前記ピグ部を前記管内にて移動させるように構成されている配管検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、第1及び第2の支持部材と、該2つの支持部材の間に装着されたガイド部材と、該ガイド部材に沿って前記2つの支持部材の間を移動可能なスライド部材と、前記第1の支持部材と前記スライド部材に接続されたバネ部材と、を有し、前記弾性体は前記バネ部材を覆うように前記スライド部材に装着されており、
前記バネ部材の弾性力に抗して前記第1の支持部材と前記スライド部材の間が小さくなるように前記スライド部材が前記第1の支持部材に近づくように移動すると、前記弾性体が膨張し、
前記バネ部材の弾性力によって前記第1の支持部材と前記スライド部材の間が大きくなるように前記スライド部材が前記第1の支持部材から遠ざかるように移動すると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、前記スライド部材に装着された駆動ケーブルと、該駆動ケーブルを巻き取るプーリと、該プーリを回転させるモータと、を有し、前記モータを駆動することによって前記駆動ケーブルに装着された前記スライド部材を駆動するように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項4】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記バネ部材は、湾曲可能な板バネ部材によって構成され、前記弾性体は前記板バネ部材を覆うように装着されており、
前記板バネ部材が外方に膨らむように湾曲すると、前記弾性体が膨張し、前記板バネ部材が延びると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の配管検査装置において、
前記弾性体に骨部材が装着されており、前記板バネ部材が外方に膨らむように湾曲すると、前記板バネ部材と共に前記骨部材が外方に湾曲し、該骨部材に装着された前記弾性体が膨張し、前記板バネ部材が延びると、前記板バネ部材と共に前記骨部材が延び、該骨部材に装着された前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項6】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記バネ部材は、コイルバネによって構成され、前記弾性体は前記コイルバネを覆うように装着されており、
前記コイルバネが収縮すると、前記弾性体が膨張し、前記コイルバネが伸張すると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の配管検査装置において、
前記第1の支持部材と前記スライド部材の間に、互いにヒンジ接続された2本の骨部材が装着されており、前記コイルバネが収縮すると、前記2本の骨部材がヒンジ接続部回りに外方に折れ曲がり、該骨部材に装着された前記弾性体が膨張し、前記コイルバネが延びると、前記2本の骨部材が延び、該骨部材に装着された前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項8】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、前記弾性体が装着され所定の圧力源に接続された供給管と、前記供給管と前記弾性体を接続する供給用パイプと、前記弾性体と前記検査対象の管内を接続する排出用パイプと、前記供給用パイプの開閉を行う供給用電磁弁と、前記排出用パイプの開閉を行う排出用電磁弁と、を有し、
前記弾性体を膨張させるときは、前記供給用電磁弁を開け、前記排出用電磁弁を閉じ、前記弾性体を収縮させるときは、前記供給用電磁弁を閉じ、前記排出用電磁弁を開けるように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項9】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記検査対象の管の入口に装着するためのワイヤ供給装置を有し、該ワイヤ供給装置は、本体と、該本体内に配置された1対のロールと、を有し、該本体は、入口部とその反対側の結合部と前記入口部と前記結合部の間の胴体部と有し、前記結合部には、前記検査対象の管が装着され、前記胴体部には、前記駆動用流体を供給するための配管を接続するように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項10】
請求項9記載の配管検査装置において、
前記本体の胴体部には、開閉可能な蓋部が形成されており、該蓋部の内部には、上記1対のロールの一方が回転可能に装着され、前記本体の胴体部には、前記1対のロールの他方が回転可能に装着されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項11】
請求項10記載の配管検査装置において、前記蓋部は、前記本体の胴体部の一部を切り取った形状を有し、前記蓋部は、前記本体の胴体部に装着されたピンを回転軸として枢動可能であることを特徴とする配管検査装置。
【請求項12】
請求項1記載の配管検査装置において、
検査対象の管内に前記所定の圧力の駆動用流体を供給する流体供給装置が設けられていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項13】
ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、を有する配管検査装置を用いて検査対象の管内を検査する配管検査方法において、
検査対象の管に、前記少なくとも1つのピグ部を挿入するステップと、
前記管内に挿入されたピグ部のうちの1つのピグ部を膨張させ他のピグ部を収縮させるステップと、
前記検査対象の管の入口より管内に、所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、前記管内の空間を前記膨張したピグ部より進行方向前側の空間と後側の空間の間に圧力差を生成するステップと、
前記圧力差によって前記膨張したピグ部を進行方向に前進させるステップと、
を有し、
前記ケーブルに装着されたピグ部のうち先頭のピグ部から後続のピグ部まで順に、前記管内を進行方向に前進させることを特徴とする配管検査方法。
【請求項14】
請求項13に記載の配管検査方法において、
前記先頭のピグ部を進行方向に前進させることができなくなったとき、前記後続のピグ部を進行方向に前進させることを特徴とする配管検査方法。
【請求項15】
請求項14に記載の配管検査方法において、
前記後続のピグ部を進行方向に前進させるとき、全ての後続のピグ部は同一の距離だけ進行させることを特徴とする配管検査方法。
【請求項1】
ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な弾性体を備えた複数のピグ部と、前記弾性体を膨張又は収縮させる駆動機構と、を有する配管検査装置において、
検査対象の管内に配置された前記ピグ部のうちの1つのピグ部の弾性体を、検査対象の管の内壁に密着するように膨張させ、他のピグ部の弾性体を収縮させ、前記管内に所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、膨張させた前記ピグ部を前記管内にて移動させるように構成されている配管検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、第1及び第2の支持部材と、該2つの支持部材の間に装着されたガイド部材と、該ガイド部材に沿って前記2つの支持部材の間を移動可能なスライド部材と、前記第1の支持部材と前記スライド部材に接続されたバネ部材と、を有し、前記弾性体は前記バネ部材を覆うように前記スライド部材に装着されており、
前記バネ部材の弾性力に抗して前記第1の支持部材と前記スライド部材の間が小さくなるように前記スライド部材が前記第1の支持部材に近づくように移動すると、前記弾性体が膨張し、
前記バネ部材の弾性力によって前記第1の支持部材と前記スライド部材の間が大きくなるように前記スライド部材が前記第1の支持部材から遠ざかるように移動すると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、前記スライド部材に装着された駆動ケーブルと、該駆動ケーブルを巻き取るプーリと、該プーリを回転させるモータと、を有し、前記モータを駆動することによって前記駆動ケーブルに装着された前記スライド部材を駆動するように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項4】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記バネ部材は、湾曲可能な板バネ部材によって構成され、前記弾性体は前記板バネ部材を覆うように装着されており、
前記板バネ部材が外方に膨らむように湾曲すると、前記弾性体が膨張し、前記板バネ部材が延びると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の配管検査装置において、
前記弾性体に骨部材が装着されており、前記板バネ部材が外方に膨らむように湾曲すると、前記板バネ部材と共に前記骨部材が外方に湾曲し、該骨部材に装着された前記弾性体が膨張し、前記板バネ部材が延びると、前記板バネ部材と共に前記骨部材が延び、該骨部材に装着された前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項6】
請求項2記載の配管検査装置において、
前記バネ部材は、コイルバネによって構成され、前記弾性体は前記コイルバネを覆うように装着されており、
前記コイルバネが収縮すると、前記弾性体が膨張し、前記コイルバネが伸張すると、前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の配管検査装置において、
前記第1の支持部材と前記スライド部材の間に、互いにヒンジ接続された2本の骨部材が装着されており、前記コイルバネが収縮すると、前記2本の骨部材がヒンジ接続部回りに外方に折れ曲がり、該骨部材に装着された前記弾性体が膨張し、前記コイルバネが延びると、前記2本の骨部材が延び、該骨部材に装着された前記弾性体が収縮することを特徴とする配管検査装置。
【請求項8】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記駆動機構は、前記弾性体が装着され所定の圧力源に接続された供給管と、前記供給管と前記弾性体を接続する供給用パイプと、前記弾性体と前記検査対象の管内を接続する排出用パイプと、前記供給用パイプの開閉を行う供給用電磁弁と、前記排出用パイプの開閉を行う排出用電磁弁と、を有し、
前記弾性体を膨張させるときは、前記供給用電磁弁を開け、前記排出用電磁弁を閉じ、前記弾性体を収縮させるときは、前記供給用電磁弁を閉じ、前記排出用電磁弁を開けるように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項9】
請求項1記載の配管検査装置において、
前記検査対象の管の入口に装着するためのワイヤ供給装置を有し、該ワイヤ供給装置は、本体と、該本体内に配置された1対のロールと、を有し、該本体は、入口部とその反対側の結合部と前記入口部と前記結合部の間の胴体部と有し、前記結合部には、前記検査対象の管が装着され、前記胴体部には、前記駆動用流体を供給するための配管を接続するように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項10】
請求項9記載の配管検査装置において、
前記本体の胴体部には、開閉可能な蓋部が形成されており、該蓋部の内部には、上記1対のロールの一方が回転可能に装着され、前記本体の胴体部には、前記1対のロールの他方が回転可能に装着されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項11】
請求項10記載の配管検査装置において、前記蓋部は、前記本体の胴体部の一部を切り取った形状を有し、前記蓋部は、前記本体の胴体部に装着されたピンを回転軸として枢動可能であることを特徴とする配管検査装置。
【請求項12】
請求項1記載の配管検査装置において、
検査対象の管内に前記所定の圧力の駆動用流体を供給する流体供給装置が設けられていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項13】
ケーブルと、該ケーブルに装着され膨張及び収縮することが可能な複数のピグ部と、を有する配管検査装置を用いて検査対象の管内を検査する配管検査方法において、
検査対象の管に、前記少なくとも1つのピグ部を挿入するステップと、
前記管内に挿入されたピグ部のうちの1つのピグ部を膨張させ他のピグ部を収縮させるステップと、
前記検査対象の管の入口より管内に、所定の圧力の駆動用流体を供給することによって、前記管内の空間を前記膨張したピグ部より進行方向前側の空間と後側の空間の間に圧力差を生成するステップと、
前記圧力差によって前記膨張したピグ部を進行方向に前進させるステップと、
を有し、
前記ケーブルに装着されたピグ部のうち先頭のピグ部から後続のピグ部まで順に、前記管内を進行方向に前進させることを特徴とする配管検査方法。
【請求項14】
請求項13に記載の配管検査方法において、
前記先頭のピグ部を進行方向に前進させることができなくなったとき、前記後続のピグ部を進行方向に前進させることを特徴とする配管検査方法。
【請求項15】
請求項14に記載の配管検査方法において、
前記後続のピグ部を進行方向に前進させるとき、全ての後続のピグ部は同一の距離だけ進行させることを特徴とする配管検査方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公開番号】特開2012−173086(P2012−173086A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34396(P2011−34396)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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