説明

配管構造の応力評価方法および応力評価装置

【課題】 地下に埋設された主配管から分岐し、地上において複数の屈曲点を有するいわゆるステーション配管に対する、簡易かつ正確な配管構造の応力評価方法を提供する。
【解決手段】 枝配管9c端部の鉛直方向の変位δが、枝配管9cに鉛直面内モーメントによる変位δ1と、枝配管9bのねじり変形による変位δ2と、枝配管9aの枝配管9b方向への曲げモーメントによる変位δ3との和であるとして、式(10)により前記配管構造に生じる最大応力σを評価することを特徴とする配管構造の応力評価方法である。
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE}・・・(10)
但し、a、b、cは、それぞれ枝配管9a、9b、9cの長さ、Eは縦弾性係数、Gは横弾性係数、dは枝配管の外径、δは支持部における主配管との相対的な鉛直方向変位である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された主配管から分岐し、地上において屈曲する半埋設立体配管である配管構造の沈下応力の評価方法および応力評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、沈下に伴う埋設管路に生じる応力を求めるためには、適切な間隔で埋設管の沈下量を測定し、この測定した沈下量をもとに、地盤をばねに置き換えた弾性床上の梁理論に基づく有限要素法を用いることで応力分布が求められる。なお、埋設管の沈下量を測定するためには、埋設管に沈下棒と呼ばれる沈下量測定冶具を取り付けておき、沈下量を測定する。
【0003】
このような応力解析方法として、埋設管をシェルで構成される円筒でモデル化し、有限個のシェル領域の各交点に、半径方向、接線方向および軸方向のばねを接続して地盤をモデル化し、それらのばねの変位として解析する方法がある(特許文献1)。また、沈下データを3点または4点ずつ組み合わせて計算により応力を求める方法もある(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09―269085号公報
【特許文献2】特開2003―006180号公報
【特許文献3】特開2009―162296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような従来の方法では、1件当たりの検討費用が極めて高いため、対象か所が特定されていない状況で利用すると、かなりの費用を要するという問題がある。また、特許文献2、特許文献3を用いると、主配管から立ち上がり分岐および屈曲箇所を多く有する、いわゆるステーション配管においては、以下の理由により応力を評価することが困難である。
【0006】
まず、沈下量を測定する際に側点の水準測量に用いられるスタッフは、メモリが5mm刻みであり、トランシットを1か所に固定して、例えば3か所の測定点の水準値を計測した場合、2点間の最大読み取り誤差が1〜2mm程度とる場合がある。しかし、ステーション配管においては、形状が複雑であるため、測点同士の間隔が1m以下となる場合があり、この場合、読み取り誤差によって管路の降伏点を超えてしまうような場合がある。
【0007】
また、特許文献2、特許文献3のような方法を一次評価に用いる場合は、評価に工数は要さないが、評価した結果、実際に発生している応力をはるかに超える応力が算定されてしまうことになる。したがって、評価に工数を要す特許文献1のような二次評価を行う前に、簡易な一次評価をするための方法が求められている。
【0008】
特に、一次評価としては、簡易な方法でありながらも、あまりにも安全側に偏った評価結果となる場合には、結果的に不要な二次評価を必要とすることから、二次評価の評価結果に対してできるだけ近い評価を行う必要がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、地下に埋設された主配管から分岐し、地上において複数の屈曲点を有するいわゆるステーション配管に対する、簡易かつ正確な配管構造の応力評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、前記主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、地上に設けられ、前記第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、前記第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ前記第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、前記第3の枝配管を下方から支持する支持部と、を有する配管構造の応力評価方法であって、前記支持部の鉛直方向の変位δが、前記第3の枝配管に作用する鉛直方向せん断力および前記第3の枝配管に作用する前記第3の枝配管に垂直かつ略水平な方向を回転軸とするモーメントによる変位δ1と、前記第2の枝配管のねじり変形による変位δ2と、前記第1の枝配管の前記第2の枝配管方向への曲げモーメントによる変位δ3との和であるとして、式(10)により前記配管構造に生じる最大応力σを評価することを特徴とする配管構造の応力評価方法である。
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE}・・・(10)
但し、aは、第1の枝配管における主配管との接続部から第2の枝配管接続部までの距離、bは第1の枝配管との接続部から第3の枝配管接続部までの距離、cは第2の枝配管との接続部から支持部までの距離、Eは縦弾性係数、Gは横弾性係数、dは枝配管の外径、δは支持部における主配管との相対的な鉛直方向変位である。
【0011】
前述の配管構造の応力評価方法により前記配管構造の応力を算出し、前記応力値が規定値以下であれば前記配管構造の詳細応力の評価は不要と判断し、前記応力が規定値を超える場合には、前記配構造に取り付けられている沈下棒により前記配管構造の各部の変位を計測し、前記沈下棒により得られた各部の変位に基づいて有限要素法により前記配管構造の詳細応力を求めてもよい。
【0012】
第1の発明によれば、略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、地上に設けられ、第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、を具備し、第3の枝配管を下方から支持する支持部が形成されるような複雑な配管構造に対して、メイン配管に対する支持部での相対的な鉛直方向変位を測定することで、簡易に応力の評価を行うことができる。
【0013】
計算結果は、FEMによる計算結果に対してやや安全側(20〜30%程度)であるものの、過剰な評価結果とはならないため、十分配管構造の一次評価として利用できる。
【0014】
一次評価によって、規定値(たとえば管路の降伏応力の20%以上)の場合にのみ、詳細に二次評価により配管構造の応力評価を行えば、必要な場合にのみ二次評価を行えばよいため、評価工数を大幅に削減することができる。
【0015】
第2の発明は、略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、前記主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、地上に設けられ、前記第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、前記第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ前記第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、前記第3の枝配管を下方から支持する支持部とを有する配管構造の応力評価装置であって、第1の枝配管における主配管との接続部から第2の枝配管接続部までの距離aと、第1の枝配管との接続部から第3の枝配管接続部までの距離bと、第2の枝配管との接続部から支持部までの距離cと、各枝配管の縦弾性係数E、横弾性係数Gと、各枝配管の外径dと、が予め入力され、記憶手段に記憶されており、前記支持部における前記主配管との相対的な鉛直方向変位であるδを測定して入力手段により入力することで、前記記憶手段に保持された以下の式(10)により、配管構造の応力を制御部で算出し、前記制御部は、算出された応力が所定値以下であれば合格と判断し、算出された応力が所定値を超えた場合に不合格と判断し、算出結果を表示手段に表示させることを特徴とする配管構造の応力評価装置である。
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE} ・・・(10)
【0016】
第2の発明によれば、略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、地上に設けられ、第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、を具備し、第3の枝配管を下方から支持する支持部が形成されるような複雑な配管構造に対して、メイン配管に対する支持部での相対的な変位のみを入力することで、簡易に応力の評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地下に埋設された主配管から分岐し、地上において複数の屈曲点を有するいわゆるステーション配管に対する、簡易かつ正確な配管構造の応力評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】配管構造1を示す図。
【図2】配管構造のδ1を示す図。
【図3】配管構造のδ2を示す図。
【図4】配管構造のδ3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる配管構造1を示す図である。地面7下には、略水平方向に主配管3が埋設される。主配管にはメインバルブ5が設けられる。
【0020】
主配管3には、略鉛直方向に枝配管9aが接続される。枝配管9aは地面7よりも上まで延伸されている。枝配管9aの端部には、枝配管9bが接続される。枝配管9bは、枝配管9aに対して略垂直な方向に向けて接続される。すなわち、枝配管9bは、略水平方向に設けられる。
【0021】
枝配管9bの端部には、枝配管9cが接続される。枝配管9cは、枝配管9bに対して略垂直であり、かつ略水平方向に接続される。枝配管9cの一部には、下方から枝配管の自重を支持する支持部11が設けられる。なお、以下の説明において、枝配管9cとは、枝配管9bとの接続部から支持部11までの間の配管を指すものとする。
【0022】
枝配管9a、9b、9cは、それぞれ長さa、b、cである。すなわち、枝配管9aが主配管3から高さaまで鉛直方向に設置され、枝配管9bが枝配管9aに対して略垂直に、水平方向に長さb設けられ、さらに枝配管9cが枝配管9bに垂直かつ水平方向に長さc設けられ、枝配管9c端部が支持部11により下方より指示されている。
【0023】
このような配管構造1においては、支持部11の沈下(主配管3またはメインバルブ5に対する相対的な沈下)によって、最も高い応力を示すのが、枝配管9a、9b間となる。そこで、枝配管9a、9b、9cの範囲における応力評価を行うこととする。
【0024】
まず、配管構造1を図2〜図4に示すようにモデル化する。図2〜図4は、配管構造1を正面から見た図であり、枝配管9bは紙面に垂直な方向(図中白丸)となる。また、枝配管9aの下端は固定端とする。
【0025】
図2(a)に示すように、枝配管9cに作用する鉛直方向せん断力Pおよび枝配管9cに作用する枝配管9cに垂直かつ略水平な方向を回転軸とする(鉛直面内の)曲げモーメントをM1とする。この際の枝配管9c端部の鉛直方向変位をδとする(図2(b))。
【0026】
鉛直方向せん断力Pによって発生する曲げモーメントによって、枝配管9a、9b、9cに蓄えられる弾性歪みエネルギUと、曲げモーメントM1によって枝配管9a、9b、9cに蓄えられる弾性歪みエネルギUM1を求め、支持部11の位置における曲げモーメントM1に対応するたわみ角をゼロとした仮定の基に、カステリアノの定理を適用すると、Pとδの関係、M1とδとの関係は、それぞれ、式(1)、式(2)となる。
【0027】
P={12EIδ(a+b+c)}/{c(4a+4b+c)}・・・(1)
M1={12EIδ(a+b+c/2)}/{c(4a+4b+c)}・・・(2)
但し、Eは縦弾性係数、Iは断面二次モーメントを示す。
【0028】
次に、図3(a)に示すように、鉛直方向せん断力Pおよび曲げモーメントM1により枝配管9cが捩られることによる鉛直方向の変位δについて検討する。
【0029】
枝配管9bは、鉛直方向せん断力Pおよび曲げモーメントM1によって、(cPーM1)なる大きさの捩りモーメント(図中T1)で捩られる。枝配管9cは枝配管9bと接合されていることから、前述の捩りモーメントによって、鉛直方向の変位が生じる(図3(b))。この捩りモーメントによる枝配管9c端部の鉛直方向の変位量δ2は、式(3)で表わされる。
【0030】
δ={32(cP−M1)/(πdG)}・cb/e・・・(3)
但し、Gは横弾性係数でありeは式(4)で表わされる。
【0031】
e=1−(d/d)・・・(4)
但し、dは枝配管9bの内径、dは枝配管9aの外径を示す。
【0032】
式(3)のP、M1に式(1)、式(2)を代入し、δをδで表わすと式(5)のように表すことができる。
【0033】
δ={192bEI/πedG(4a+4b+c)}δ・・・(5)
【0034】
次に、図4(a)に示すように、枝配管9aが曲げモーメントM2(=cP−M1)によって曲げられる際に、枝配管9bを介して枝配管9cに伝達される枝配管9c端部の鉛直方向変位δについて検討する。
【0035】
枝管9cは、枝管9aの曲げモーメントM2により、図4(b)に示すように鉛直方向に変位する。式(1)、式(2)より、M2<M1であるため、安全を見てM2に代えてM1を用いると、δは式(6)のように表わされる。
【0036】
δ=(ac/EI)M1・・・(6)
【0037】
式(2)を式(6)に代入すると式(7)となる。
【0038】
δ={12a(a+b+c/2)/c(4a+4b+c)}δ・・・(7)
【0039】
ここで、枝配管9cの端部の鉛直方向変位量δは、前述した変位量の和であると仮定すると、δは式(8)で表わされる。
【0040】
δ=δ+δ+δ・・・(8)
【0041】
支持部11における曲げ応力σは式(9)で表わされる。
【0042】
σ=M1/z=M1d/2I・・・(9)
但し、zは断面係数を示す。
【0043】
以上により、曲げ応力σを変位δで表わすと、式(10)の様になる。
【0044】
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE}・・・(10)
【0045】
式(10)を用いれば、あらかじめ枝配管の長さと外径および枝配管の強度を設定しておき、支持部11における鉛直方向変位量(主配管3に対する相対的な変位量)を測定するのみで配管構造に生じる応力を簡易に推定することができる。
【0046】
したがって、式(10)、各種配管の情報およびプログラム等を記憶するハードディスクドライブ等の記憶手段と、式(10)を用いた各種計算および制御を行う制御部であるCPUと、測定値等を入力するキーボード等の入力手段と、計算結果を出力するディスプレイ等の表示手段とを有するシステム(コンピュータ)を用い、支持部11における鉛直方向変位量のみを測定し、測定結果および枝配管情報を入力手段により当該システムに入力し、制御部は、記憶手段から必要な情報を読み出すとともに当該システムに応力値を算出させることで、即座に配管構造の応力値を知ることができ、制御部は、算出された応力値に基づき、規定値以上であれば不合格として、使用者に対して二次評価を行うように知らせる(表示等行う)ことができる。なお、この場合、枝配管の各種情報(長さ、外径、縦弾性係数、横弾性係数等)を予め入力しておき、記憶手段に記憶し、測定されたδのみを入力すれば、即座に応力値および合否判定を表示させるようにしてもよい。
【実施例】
【0047】
式(10)により導き出した計算結果と、詳細な有限要素法(FEM)による解析結果との比較を行った。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
比較は、配管外径(枝配管の外径)呼び径600mm(外径60.96cm、内径58.42cm)の場合と、配管外径(枝配管の外径)呼び径300mm(外径31.85cm、内径30.17cm)の場合とで行った。また、各枝配管の長さa、b、cはすべて200cmとし、枝配管9c端部の鉛直方向変位は1cmとした。なお、FEM解析は、本来曲管部となる位置を直管同士の接合とみなした場合と、曲管としてみなした場合の2種類について解析した。
【0050】
表1より明らかなように、直管とした場合のFEM解析結果と本発明による計算結果は略一致した。また、本発明の計算値は、やや安全側(高い応力)の値を示した。同様に、曲管とした場合のFEM解析結果では、応力集中係数とたわみ係数が考慮され、より低い応力値を示したが、これに対しても、本発明の方法によれば、2〜3割程度安全側の評価を得ることができた。
【0051】
以上説明したように、本発明にかかる方法によれば、簡易にステーション配管構造の応力値を得ることができる。得られた値は、実際の値(FEM解析値)に対して安全側の数値となり、また、その差は20〜30%程度である。このため、例えば、本発明による評価を一次評価として、評価値が規定値以内(例えば枝配管の降伏応力の20%未満)の場合には、問題なしと判断し、評価値が規定値を超えた場合に、より詳細な評価(二次評価)を実施するようにすれば、不要な二次評価を行う必要がなく、効率が良い。
【0052】
また、実際に測定する点が、支持部における鉛直方向変位のみであるため、測定が容易である。なお、例えば、従来より提案されている特許文献2、特許文献3のような、埋設部の式、露出部の式、埋設部と露出部の境界の式を、本件のような立体配管構造に適用すると、前述のFEM解析結果に対して10倍程度の安全側の評価結果となる。このため、一次評価方法としては、本発明によるモデル化および各種仮定に基づく式(10)を用いることで、過剰な安全率をみることなく、適切な評価を行うことができる。
【0053】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
1………配管構造
3………主配管
5………メインバルブ
7………地面
9a、9b、9c………枝配管
11………支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、
前記主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、
地上に設けられ、前記第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、
前記第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ前記第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、
前記第3の枝配管を下方から支持する支持部と、
を有する配管構造の応力評価方法であって、
前記支持部の鉛直方向の変位δが、
前記第3の枝配管に作用する鉛直方向せん断力および前記第3の枝配管に作用する前記第3の枝配管に垂直かつ略水平な方向を回転軸とするモーメントによる変位δ1と、
前記第2の枝配管のねじり変形による変位δ2と、
前記第1の枝配管の前記第2の枝配管方向への曲げモーメントによる変位δ3との和であるとして、式(10)により前記配管構造に生じる最大応力σを評価することを特徴とする配管構造の応力評価方法。
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE} ・・・(10)
但し、aは、第1の枝配管における主配管との接続部から第2の枝配管接続部までの距離、bは第1の枝配管との接続部から第3の枝配管接続部までの距離、cは第2の枝配管との接続部から支持部までの距離、Eは縦弾性係数、Gは横弾性係数、dは各枝配管の外径、δは支持部における主配管との相対的な鉛直方向変位である。
【請求項2】
請求項1記載の配管構造の応力評価方法により前記配管構造の応力を算出し、
前記応力値が規定値以下であれば前記配管構造の詳細応力の評価は不要と判断し、
前記応力が規定値を超える場合には、前記配構造に取り付けられている沈下棒により前記配管構造の各部の変位を計測し、
前記沈下棒により得られた各部の変位に基づいて有限要素法により前記配管構造の詳細応力を求めることを特徴とする配管構造の応力評価方法。
【請求項3】
略水平方向に形成され、地中に埋設される主配管と、前記主配管に接続され、略鉛直方向に立ち上がる第1の枝配管と、地上に設けられ、前記第1の枝配管と略垂直に接続される第2の枝配管と、前記第2の枝配管と接続され、略水平方向にかつ前記第2の枝配管と垂直に接続される第3の枝配管と、前記第3の枝配管を下方から支持する支持部とを有する配管構造の応力評価装置であって、
第1の枝配管における主配管との接続部から第2の枝配管接続部までの距離aと、第1の枝配管との接続部から第3の枝配管接続部までの距離bと、第2の枝配管との接続部から支持部までの距離cと、各枝配管の縦弾性係数E、横弾性係数Gと、各枝配管の外径dと、が予め入力され、記憶手段に記憶されており、前記支持部における前記主配管との相対的な鉛直方向変位であるδを測定して入力手段により入力することで、前記記憶手段に保持された以下の式(10)により、配管構造の応力を制御部で算出し、前記制御部は、算出された応力が所定値以下であれば合格と判断し、算出された応力が所定値を超えた場合に不合格と判断し、算出結果を表示手段に表示させることを特徴とする配管構造の応力評価装置。
σ={3EGd(2a+2b+c)δ}/{cG(12a+12ab+4bc+10ca+c)+3bcE} ・・・(10)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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