説明

配管構造及び排ガス浄化装置

【課題】配管を所定の長さだけ配置可能、且つ、浄化性能の低下を防止可能な配管構造及び排ガス浄化装置を提供すること。
【解決手段】尿素水を用いて車両100の内燃機関110から排出される排出ガスを浄化する排ガス浄化装置1設けられた前記尿素水を供給するポンプ33とポンプ33よりも下方に配置された排気管11とを接続する配管構造32であって、尿素水の流路を形成するとともに、その内部に電気ヒータを有する、可撓性を有する配管40と、車両100の骨格部120に固定され、その周囲に所定の長さの配管40を所定の曲率で水平方向に巻回させてその形状を形成する取付部材41と、を具備する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関からの排出ガスの浄化に用いられる尿素水を供給する配管構造及び排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排出ガスを浄化する排ガス浄化装置を備える大型トラックや大型バス等の車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような排ガス浄化装置は、所謂尿素SCR(選択還元触媒:Selective Catalytic Reduction)方式と呼ばれ、NOxを尿素と反応させてSCR触媒により、窒素と水に分解して排出する装置である。
【0003】
このような排ガス浄化装置は、内燃機関に接続された排気管に、内燃機関側からディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF:Diesel particulate filer)及び選択還元触媒(SCR)が設けられる。また、排ガス浄化装置は、DPFとSCRとの間の排気管に、ドージングモジュールを介してユリア供給装置が設けられる。このユリア供給装置は、排気管内にユリアと呼ばれる尿素水を供給可能に形成されている。
【0004】
具体的には、ユリア供給装置は、尿素水を貯留するタンクと、タンクと排気管とを接続する配管と、タンクの尿素水を排気管に供給するポンプと、尿素水の凍結防止用のタンクヒータと、を備えている。ここで、配管は、尿素水の凍結を防止するために、その内部に尿素水の流路を形成するホースと、ホースの周囲に設けられた電気ヒータと、電気ヒータ及びホースを覆う断熱材と、ホース、電気ヒータ及び断熱材を被覆する被覆チューブと、を備えた可撓性の配管が用いられる。
【0005】
このような排ガス浄化装置を用いることで、大型トラック及び大型バス等の車両においては、排出ガスが浄化され、環境性能に関する社会的要求を満足させている。しかし、大型トラック及び大型バスだけでなく、同様の内燃機関を有する小型のトラック及びバスにおいても、排出ガスの浄化が求められている。
【0006】
しかし、小型のトラック及びバスにおいては、大型のトラック及びバスに比べ、上述した排ガス浄化装置の配置可能な空間に制約が発生する。特に排ガス浄化装置のユリア供給装置に用いられる配管は、ユリア供給装置の性能を得るために、最短の長さが決められている。最短の長さを確保するために、折り曲げて束ねることも考えられるが、配管は、その内部に電気ヒータを設ける構成であるから、その曲率(曲げ半径)に制限が発生する。
【0007】
そこで、図5に示すように、排ガス浄化装置200は、ユリア供給装置201の配管構造210として、メンバ等の骨格部220の壁面221に、取付部材211を介してポンプ230から排気管240まで配管を上下方向に所定の曲率で複数巻回させることで、所定の長さの配管212を極小空間に配置可能な技術が知られている。このような配管構造210は、壁面221に固定する取付部材211に配管212の一部を固定するとともに、上下方向に所定の曲率で巻回して配置可能に設けられた案内部213で配管212を案内して、所定の長さを確保して配管212を配置する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−138680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した配管構造及び排ガス浄化装置では、以下の問題があった。即ち、配管を上下方向に所定の曲率で巻回すると、配管内に尿素水及び空気が残留する虞がある。尿素水の供給量が低下すると、排ガス浄化装置の浄化性能の低下となる虞がある。同様に、配管内に空気が残留すると、尿素水が所定の供給量供給されなくなる虞があり、排ガス浄化装置の浄化性能の低下となる虞がある。
【0010】
また、上下方向に配管を巻回すると、その位置エネルギにより、ポンプの負荷が増大する虞がある。特に、このようなポンプは、車両の走行時に常時駆動されるものであり、当該負荷によるポンプの機能が低下すると、尿素水の供給量が低下する虞があり、このため、排ガス上か装置の浄化性能の低下となる虞もある。
【0011】
そこで本発明は、配管を所定の長さだけ配置可能、且つ、浄化性能の低下を防止可能な配管構造及び排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の配管構造及び排ガス浄化装置は、次のように構成されている。
【0013】
本発明の一態様として、尿素水を用いて車両の内燃機関から排出される排出ガスを浄化する排ガス浄化装置に設けられた、前記尿素水を供給するポンプと前記ポンプよりも下方に配置された排気管とを接続する配管構造であって、前記尿素水の流路を形成するとともに、その内部に電気ヒータを有する、可撓性を有する配管と、前記車両の骨格部に固定され、その周囲に所定の長さの前記配管を所定の曲率で水平方向に巻回させてその形状を形成する取付部材と、を備える
本発明の一態様として、車両の内燃機関に接続されるとともに、その一部が分岐する分岐部を有する排気管と、前記排気管の前記分岐部の二次側に設けられた選択還元触媒と、尿素水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された尿素水を圧送するポンプと、前記ポンプ及び前記分岐部を接続し、前記尿素水の流路を形成するとともに、その内部に電気ヒータを有する、可撓性を有する配管、及び、前記車両の骨格部に固定され、その周囲に所定の長さの前記配管を所定の曲率で水平方向に巻回させてその形状を形成する取付部材を具備する配管構造と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配管を所定の長さだけ配置可能、且つ、浄化性能の低下を防止可能な配管構造及び排ガス浄化装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両に用いられる排ガス浄化装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同排ガス浄化装置の構成を示す平面図。
【図3】同排ガス浄化装置の要部構成を示す斜視図。
【図4】同排ガス浄化装置に用いられる配管構造の要部構成を示す斜視図。
【図5】従来の技術に係る排ガス浄化装置の要部構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態に係る配管構造32を用いた排ガス浄化装置1の構成を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る車両100に用いられる排ガス浄化装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は排ガス浄化装置1の構成を示す平面図、図3は排ガス浄化装置1の要部構成、特にユリア供給装置14に用いられる配管構造32の構成を示す斜視図、図4は配管構造32の取付部材41の構成を示す斜視図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、排ガス浄化装置1は、車両100に用いられる。例えば、車両100は、小型のトラックやバス等であって、ディーゼルエンジン等の内燃機関110を有している。排ガス浄化装置1は、車両100のメンバ等の骨格部120等に固定されるとともに内燃機関110に接続され、内燃機関110から排出された排出ガスを浄化可能に形成されている。
【0018】
なお、ここで内燃機関110から排出される排出ガスは、例えば、NOx(窒素化合物)、HC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)等が含まれる。
【0019】
排ガス浄化装置1は、排気管11と、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF:Diesel particulate filer)12と、選択還元触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)13と、ユリア供給装置14と、ドージングモジュール15と、を備えている。
【0020】
排気管11は、内燃機関110に接続され、内燃機関110から車両100後方まで延出して形成されている。排気管11は、DPF12及びSCR13の間に、分岐部21が形成されている。排気管11は、少なくとも分岐部21が、後述するポンプ33よりも低い位置に配置される。
【0021】
DPF12は、内燃機関110から排出された排出ガスに僅かに発生する黒煙(すす)等の粒子状物質を除去可能に形成されている。また、例えば、DPF12は、内部に酸化触媒を有し、HC及びCOを捕集可能に形成されていてもよい。また、DPF12は、NOxを通過可能に形成されている。
【0022】
SCR13は、DPF12及び分岐部21の二次側に設けられている。SCR13は、アンモニア及びNOxを反応させて、窒素及び水に分解可能に形成されている。なお、SCR13は、その触媒の二次側に、酸化触媒を有していても良い。
【0023】
ユリア供給装置14は、尿素水(ユリア)を貯留するタンク31と、タンク31の尿素水を排気管11に供給するポンプ33と、タンク31と排気管11とを接続する配管構造32と、を備えている。
【0024】
タンク31は、その内部に尿素水を貯留可能に形成されている。また、タンク31は、その内部に貯留した尿素水を加温するタンクヒータ34が設けられている。タンクヒータ34は、尿素水を加温することで、尿素水の凍結を防止可能に形成されている。例えば、タンクヒータ34は、内燃機関110の冷却水の一部等が循環する循環水等である。
【0025】
ここで、タンク31に貯留される尿素水は、尿素(CO(NH)に純水(HO)が、例えば、尿素32.5%及び純水67.5%の割合で調合されている。
【0026】
ポンプ33は、タンク31及び配管構造32に接続され、タンク31内の尿素水を排気管11に供給可能に形成されている。ポンプ33は、図3に示すように、排気管11の分岐部21よりも、高い位置に配置される。
【0027】
配管構造32は、配管40と、取付部材41と、を備えている。配管構造32は、ポンプ33及び排気管11の分岐部21を配管40で接続するとともに、極小な空間に所定の長さの配管40を配置可能に形成されている。なお、極小な空間とは、車両100に設けられる燃料タンク等の他の構成要素Xに隣接するスペースであるが、車両100の構成等により適宜設定される。本実施の形態においては、極小な空間は、骨格部121及び他の構成要素X等により囲まれた、車両100の側方向に長い空間で説明する。
【0028】
配管40は、尿素水の流路を形成するホースと、ホースの周囲に設けられた尿素水の凍結防止用の電気ヒータと、電気ヒータ及びホースを覆う断熱材と、ホース、電気ヒータ及び断熱材を被覆する被覆チューブと、を備えている。
【0029】
このような配管40は、可撓性を有し、所定の曲率で曲折可能に形成されている。なお、所定の曲率とは、配管40内の電気ヒータの機能の維持及び破損の防止が可能であって、ホース内を尿素水が流通可能な曲率である。配管40は、ポンプ33の吐出側、及び、ドージングモジュール15に接続されている。
【0030】
取付部材41は、骨格部120の壁面121に固定されるとともに、配管40を固定及び案内可能に形成されている。具体的には、図3及び図4に示すように、取付部材41は、ブラケット51と、ブラケット51の一部に設けられ、配管40の一部を固定する拘束部52と、ブラケット51の一部に設けられ、配管40の移動を規制し、配管40を配置する形状を案内する案内部53と、を備えている。
【0031】
図3及び図4に示すように、ブラケット51は、壁面121に固定される固定部55と、固定部55の上端部に設けられ、車両100の側方に延出する方形板状の基部56と、基部56の外周縁の3箇所から下方に延びる複数の壁部57と、を備えている。
【0032】
例えば、ブラケット51は、略十文字状の板材を曲折することで固定部55、基部56及び壁部57が一体に形成されている。
【0033】
図4に示すように、固定部55は、板状であって、その一部に、壁面121に固定するボルト等の締結部材を挿通する孔部55aを有している。固定部55は、その上端が、ポンプ33の吐出部と略同一高さ、又は、若干低い位置に配置される。
【0034】
基部56は、その主面がポンプ33の吐出部と略同一高さ、又は、若干低い位置に延設され、その一部に、孔部56aを有している。例えば、孔部56aは、基部56の固定部55側に設けられている。
【0035】
壁部57は、基部56の前端縁、換言すると車両100の前方側に配置される第1壁部61と、基部56の側端縁に配置される第2壁部62と、基部56の後端縁、換言すると車両100の後方側に配置される第3壁部63と、を備えている。
【0036】
第1壁部61は、案内部53を取り付け可能、且つ、基部56の上面よりも若干低位置に配置された孔部61aを有している。第2壁部62は、案内部53を取り付け可能、且つ、第1壁部61の孔部61aと略同一高さに設けられた孔部62aを有している。第2壁部62は、固定部55と例えば150mm離間して平行に配置される。
【0037】
第3壁部63は、拘束部52及び案内部53を取り付け可能、且つ、一方が第1壁部61及び第2壁部61の孔部61a、62aと略同一高さに設けられ、他方が当該孔部61a、62aよりも低い位置に配置された2つの孔部63aを有している。第3壁部63は、第1壁部61と、例えば50mm離間して平行に配置される。
【0038】
このような取付部材41は、固定部55から第2壁部62までの距離が、第1壁部61から第3壁部63までの距離よりも長く形成されている。また、取付部材41は、固定部55から第2壁部62(第2壁部62の案内部53)までの距離が第1壁部61(第1壁部61の案内部53)から第3壁部63(第3壁部63の案内部53)までの距離よりも長く形成されている。
【0039】
さらに、第1壁部61(第1壁部61の案内部53)及び第3壁部63(第3壁部63の案内部53)を結ぶ仮想線から第2壁部62(第2壁部62の案内部53)までの距離が、第1壁部61(第1壁部61の案内部53)から第3壁部63(第3壁部63の案内部53)までの距離よりも長く形成されている。
【0040】
換言すると、壁部57は、固定部55の主面及び壁部57の各主面を延長することで形成される仮想の方形状、及び、壁部57に設けられる案内部53を頂点として形成される仮想の三角形状が、極小空間と同様に、壁面121から突出する方向の長さが壁面121に沿った方向の長さよりも長くなるように配置される。
【0041】
拘束部52は、配管40を挿通可能な開口を有し、その内部に挿通された配管40を拘束することで、配管40の移動を規制可能に形成されている。拘束部52は、例えば、半円筒状の配管40を拘束する溝部52aが設けられた板状部材であって、例えば、基部56の孔部56aに、ボルトBを介して固定される。
【0042】
案内部53は、孔部61a、62a、63aに固定可能に形成されるとともに、その内部に配管40を複数本挿通可能な環状部53aを有している。案内部53は、環状部53aに配管40を挿通することで、配管40の移動を規制し、環状部53内を挿通した配管40の形状を所定の曲率の環状に案内する。
【0043】
図1及び図2に示すように、ドージングモジュール15は、添加ノズル83を備えている。
【0044】
添加ノズル83は、配管40が接続されている。添加ノズル83は、尿素水を分岐部21から排気管11内の排出ガスに添加可能に形成されている。
【0045】
次に、このように構成された排ガス浄化装置1の配管構造32の組み立てについて説明する。なお、配管構造32の組み立てとは、ポンプ33の吐出部及び添加ノズル83への配管40の接続、及び、取付部材41への配管40の配置である。また、このような配管構造32の組み立てには、取付部材41に配管40を配置後、配管40をポンプ33及び添加ノズル83に接続する方法、及び、ポンプ33又は添加ノズル83の一方に配管40を接続後、壁面121に固定された取付部材41に配管40を配置させる方法等があるが、本実施の形態に置いては前者を説明する。
【0046】
先ず、図4に示すブラケット51の第1壁部61の孔部61a、第2壁部62の孔部62a及び第3壁部63の上方の孔部63aに、案内部53を固定する。次に、配管40を、その一方の端側の所定の長さを残して、第1壁部61の案内部53から第2壁部62の案内部53を介して第3壁部63の案内部53を挿通させる。同様に、これら案内部53を複数回挿通させて、第1壁部61、第2壁部62及び第3壁部63の周囲に配管40を巻回させる。
【0047】
ここで、配管40の一方の端側の残存させる所定の長さとは、ブラケット51を壁面に固定させた際に、基部56からポンプ33の吐出部までの距離と略同等の長さである。また、配管40を各案内部53に挿通させて巻回させる巻回数としては、残存する配管40の長さが第3壁部63から添加ノズル83までの距離が確保できる長さを残していれば適宜設定可能であり、本実施形態においては、壁面121を3回巻回させる例を用いて説明する。
【0048】
配管40は、案内部53内を通過して複数回巻回することから、上下方向に離間することなく接触する。このため、配管40は、なだらかなに傾斜して下方に向かって配置される。換言すると、配管40は、同一の案内部53内を複数回巻回されることから、第1壁部61から第2壁部62及び第3壁部63を介して第1壁部61へ巻回された一周で、水平方向に対して、配管40の外径と略同一高さだけ若干傾斜して配置される。このため、配管40は、取付部材41において、略水平方向に配置されることとなる。
【0049】
次に、第1壁部61、第2壁部62及び第3壁部63の周囲に複数回配管40を巻回後、最後の第3壁部63において、配管40を案内部53に挿通させず、第3壁部63の下方の孔部63aにおいて、拘束部52により配管40を固定する。このように、配管40が、案内部53により案内されて所定の曲率で取付部材41に巻回されるとともに、取付部材41に2箇所で固定された配管構造32が組み立てられる。
【0050】
次に、固定部55を骨格部120の壁面121に配置するとともに、孔部55aを介して締結部材より固定する。取付部材41を壁面121に固定後、配管40の一方側、即ち、基部56から延出する配管40をポンプ33の吐出部に接続する。次いで、配管40の他方側、即ち、第3壁部63から延出する配管40を、添加ノズル83に接続する。このようにすることで、配管40がポンプ33及び添加ノズル83に接続されるとともに、極小空間であっても所定の長さの配管が所定の曲率で曲折されて配置される。
【0051】
このように構成された配管構造32を用いた排ガス浄化装置1によれば、内燃機関110が駆動され、排出ガスが排気管11内に排出されると、先ず、DPF12において、粒子状物質が除去される。次に、DPF12の二次側の分岐部21において、添加ノズル83より尿素水が噴射され、排出ガス中に尿素水が添加される。これにより、排出ガス中のNOx(NO及びNO)の一部は、尿素水(CO(NH+HO)と反応し、アンモニア(2NH)と二酸化炭素(CO)が生成される。
【0052】
この尿素水と反応した排出ガスがSCR13に移動すると、排出ガスは、SCR13においてアンモニア及びNOxが反応し、窒素(4N)と水(6HO)に分解され、排出ガス中のアンモニアを無害化される。SCR13で反応した排出ガスは、二次側の排気管11を通過して、排気されることとなる。
【0053】
このように構成された配管構造32を用いた排ガス浄化装置1によれば、壁面121から突出する取付部材41に配管40を固定するとともに、同一高さで複数も受けられた案内部53内を挿通させることで、略水平方向に所定の曲率で巻回することが可能となる。
【0054】
特に、取付部材41は、第1壁部61の案内部53及び第3壁部63の案内部53間よりも基部56の拘束部52及び第2壁部62の案内部53間の距離が長く形成されている。このため、取付部材41に配置された配管40は、壁面121から突出する方向、換言すると、車体の左右方向に長い楕円形状に配置される。配置された配管40は、所定の曲率で所定の長さが配置されるとともに、車体の前後方向の長さが極力押えられるため、配管40を配置するのに必要な空間を極力低減することが可能となる。
【0055】
また、前述の排気管11内に噴射される尿素水は、取付部材41になだらかに傾斜して巻回されてポンプ30及び添加ノズル83に接続されることから、配管40のチューブ内に空気及び尿素水が滞留することを防止可能となる。このため、ポンプ33により定量の尿素水が添加ノズル83に安定して供給されることから、配管構造32を用いた排ガス浄化装置1は、確実に、排出ガスと反応しアンモニアの生成が可能となり、浄化性能の低下を防止することが可能となる。
【0056】
また、配管40は、ポンプ33から添加ノズル83までの流路が、下方に流れる流路で形成されており、上方に流れる流路を有さない。このため、ポンプ33により圧送する圧力は、定量送ることが可能であればよく、ポンプ33への負荷も最小限となる。このため、ポンプ33の寿命の低減を防止することが可能となるとともに、ポンプ33の機能低下を防止し、結果、排ガス浄化装置1の浄化性能の低下を防止可能となる。
【0057】
上述したように本実施の形態に係る配管構造32を用いた排ガス浄化装置1によれば、極力少ない空間に配管40を所定の長さだけ配置可能、且つ、浄化性能の低下を防止可能となる。
【0058】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、配管40を取付部材41に取り付けた配管構造32を壁面121に固定する構成を説明したが、これに限定されない。上述でしたように、配管40をポンプ33又は添加ノズル83に接続後、予め壁面121に固定した取付部材41に固定する構成であってもよい。
【0059】
また、上述した例では、排ガス浄化装置1は小型のトラックやバス等の車両100に設けられる構成を説明したがこれに限定されない。大型のトラックやバスに設けられても、同様の効果を得られ、また、他の車両であってもよい。
【0060】
さらに、上述した例では、配管構造32は、車両の側方向の極小空間に配置可能な構成を説明したがこれに限定されない。即ち、車両の進行方向の極小空間に配置する場合には、取付部材41を、側方向に延設された壁面に固定すればよい。また、配管構造32は、案内部53の配置に応じて、配管40を所定の曲率を確保しつつ略水平方向で案内することが可能となることから、所定の形状の空間に配置可能となる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…排ガス浄化装置、11…排気管、12…ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)、13…選択還元触媒(SCR)、14…ユリア供給装置、15…ドージングモジュール、21…分岐部、31…タンク、32…配管構造、33…ポンプ、34…タンクヒータ、40…配管、41…取付部材、51…ブラケット、52…拘束部、52a…溝部、53…案内部、53a…環状部、55…固定部、55a…孔部、56…基部、56a…孔部、57…壁部、61…第1壁部、61a…孔部、62…第2壁部、62a…孔部、63…第3壁部、63a…孔部、83…添加ノズル、84…エアチューブ、100…車両、110…内燃機関、120…骨格部、121…壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素水を用いて車両の内燃機関から排出される排出ガスを浄化する排ガス浄化装置に設けられ、前記尿素水を供給するポンプと前記ポンプよりも下方に配置された排気管とを接続する配管構造であって、
前記尿素水の流路を形成するとともに、その内部に電気ヒータを有する、可撓性を有する配管と、
前記車両の骨格部に固定され、その周囲に所定の長さの前記配管を所定の曲率で水平方向に巻回させてその形状を形成する取付部材と、
を備えることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記車両に固定される固定部と、
前記ポンプの吐出部と同一高さ又は低位置に配置され、前記配管を固定する基部と、
前記配管を挿通可能に形成されるとともに、同一高さで複数配置された案内部を有する前記基部に設けられた壁部と、
を備え、
前記配管は、前記基部で固定されるとともに、その二次側が前記複数の案内部に順次挿入されることで、所定の曲率で巻回されることを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記複数の案内部は、前記配管を複数回挿通可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
車両の内燃機関に接続されるとともに、その一部が分岐する分岐部を有する排気管と、
前記排気管の前記分岐部の二次側に設けられた選択還元触媒と、
尿素水を貯留するタンクと、
前記排気管よりも上方に配置され。前記タンクに貯留された尿素水を圧送するポンプと、
前記ポンプ及び前記分岐部を接続し、前記尿素水の流路を形成するとともに、その内部に電気ヒータを有する、可撓性を有する配管、及び、前記車両の骨格部に固定され、その周囲に所定の長さの前記配管を所定の曲率で水平方向に巻回させてその形状を形成する取付部材を具備する配管構造と、
を備えることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記取付部材は、
前記車両に固定される固定部と、
前記ポンプの吐出部と同一高さ又は低位置に配置され、前記配管を固定する基部と、
前記配管を挿通可能に形成されるとともに、同一高さで複数配置された案内部を有する前記基部に設けられた壁部と、
を備え、
前記配管は、前記基部で固定されるとともに、その二次側が前記複数の案内部に順次挿入されることで、所定の曲率で巻回されることを特徴とする請求項4に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記複数の案内部は、前記配管を複数回挿通可能に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87698(P2013−87698A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229538(P2011−229538)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】