配線の形成方法及びその配線を有する表示装置の形成方法
【課題】従来のCMPを伴うダマシン法を用いた配線や電極の形成は、製造工程が煩雑であり高コスト化している。表示装置等の大型基板に配線形成を行うには平坦性等の高精度が要求されて好適せず、また研磨による配線材料の除去・廃棄量が多いという課題がある。
【解決手段】配線の形成方法及び配線を有する表示装置の形成方法は、基板上若しくは回路素子上に設けられた第1の金属拡散防止膜上に、金属シード層をCVD法により形成し、フォトレジストマスクを用いて選択的に無電解メッキ法、又は電解メッキ法により、金属配線層を形成し、金属シード層及び第1の金属拡散防止膜の不要領域除去と、金属シード層及び金属配線層及び第1の金属拡散防止膜の側面を含む表面を覆うように無電解メッキ法による第2の金属拡散防止膜の選択的な形成とにより配線及び電極を形成する。
【解決手段】配線の形成方法及び配線を有する表示装置の形成方法は、基板上若しくは回路素子上に設けられた第1の金属拡散防止膜上に、金属シード層をCVD法により形成し、フォトレジストマスクを用いて選択的に無電解メッキ法、又は電解メッキ法により、金属配線層を形成し、金属シード層及び第1の金属拡散防止膜の不要領域除去と、金属シード層及び金属配線層及び第1の金属拡散防止膜の側面を含む表面を覆うように無電解メッキ法による第2の金属拡散防止膜の選択的な形成とにより配線及び電極を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に代表される表示装置やULSI等の半導体装置等に用いられる配線の形成方法及びその配線を有する表示装置の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LSIやULSIに代表される半導体装置における配線材料として、アルミニウム(Al)やその合金を用いた配線や電極が主流となっている。しかし、近年の集積度の向上による微細化の進展や、動作スピードの向上等により、Alよりも抵抗が低く、且つエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等の耐性が高い特性を有する銅(Cu)を次世代の配線及び電極の材料として採用することが検討されている。
【0003】
さらに、液晶表示装置等に代表される表示装置の分野においても、表示面積の拡大による配線長の増加や、駆動用ドライバ回路や画素内メモリといった様々な付加機能を搭載するモノリシック化等の要求によって、半導体分野と同様に低抵抗な配線の要求が高まってきている。
【0004】
微細な銅の配線加工は、Al配線の形成技術と同様に、PEP(Photo Engraving Process:写真食刻工程、所謂フォトリソグラフィー)によるマスキング技術と、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法等のエッチング技術とを単に組み合わせても、実現が困難であった。つまり、銅のハロゲン化物の蒸気圧は、Alのハロゲン化物と比べて非常に低く(即ち、蒸発しにくい)、RIE等のエッチング技術を用いる場合には、プロセス温度として200〜300℃雰囲気下でのエッチング処理が必要である等、種々の課題が多い。また、通常のフォトレジストマスクではなく、SiO2やSiNxによるマスクを使用する必要もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている、いわゆる、ダマシン法を利用することができる。このダマシン法は、まず、基板上の絶縁層に対して、あらかじめ所望の配線パターンの配線溝を形成する。次に、この配線溝を埋め込むようにスパッタリング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法、メッキ法又は、有機金属材料を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法等の種々の手法を用いて、銅薄層を溝内部に埋め込み且つ絶縁層上の全面に亘って形成する。その後、銅薄層を基板表面側から下層の絶縁層が露出する(溝部分の開口端面)までCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨法)等の研磨法やエッチバック等を用いて除去し、溝に埋め込まれた銅のみによる配線パターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−189295号公報
【特許文献2】特開平11−135504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献開1及び特許文献2に開示された技術を含む従来技術には以下に挙げるような課題がある。
上記ダマシン法においては、少なくとも配線を埋め込むための溝を形成する溝加工工程、配線パターンや上下電極間を接続するビア(プラグ)を形成するための成膜工程、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程、研磨停止膜の成膜工程が必要であり、製造工程が煩雑となり、製造コストを高くしている。
【0008】
また、配線抵抗を低減するためには、配線の断面積を大きくする必要があるが、集積化の制約から、アスペクト比の高い(つまり、幅や径が狭く深い)溝やビアホールを採用すると、銅の埋め込み性が低下する。また、銅薄層を基板全面に成膜した後に、不要部分を除去するというCMP工程等は、処理時間が掛かりスループットが悪い。
【0009】
さらに、直径12インチ等の大口径半導体ウエハサイズに対応する大型のCMP装置が開発されているが、上記半導体ウエハよりも大面積で且つ平坦性等の精度が良くないガラス基板を用いる表示装置のための製造装置は実用化されていない。
【0010】
また、表示装置例えば、大型液晶表示装置に搭載される大型基板(表示画面)の場合は、上記CMPによる全面研磨やエッチング法による除去が可能であったとしても、配線として利用される銅薄層部分は、ガラス基板の面積に比較して非常に小さいために、成膜された銅薄層の大部分は除去され、廃棄される。この結果、材料として高価な銅の利用効率は非常に悪くなり、高コストになる影響で製品価格も高くなる。
【0011】
そこで、本発明は、大面積基板上への低抵抗材料からなる金属配線の形成を実現し、且つ配線形成における配線材料の無駄を省き、及び製造工程数の低減による製造コストの削減を実現可能な配線、表示装置及び、これらの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、基板上に第1の金属拡散防止層を形成する工程と、前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、前記金属配線層と平面的に重なる領域以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングする工程と、少なくとも前記金属シード層、及び前記金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、を具備する配線の形成方法である。
【0013】
さらに、別の実施形態は、マトリックス状に配置された画素用の駆動素子の電極と、前記駆動素子に接続された走査線と、信号線を有する表示装置の形成方法であって、第1の金属拡散防止層を形成する工程と、前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの前記電極、前記走査線及び前記信号線のいずれかとなる金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、少なくとも前記金属配線層と接合される以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングにより除去する工程と、前記少なくとも前記金属シード層、及び金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、を具備する配線を有する表示装置の形成方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、大面積基板上への金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の低抵抗材料からなる金属配線や電極の形成を実現し、且つ配線形成における配線材料の無駄を省き、及び製造工程数の低減による製造コストの削減を実現可能な配線、電極、表示装置及び、これらの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配線の断面構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図3】第1の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図4】第2の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図5】第2の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図6】第3の実施形態に係る配線の断面構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図8】第3の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図9】本発明の配線構造が適用できるアクティブマトリックスLCDの等価回路の一例を示す図である。
【図10】本発明の配線構造が適用できる第1の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の前半部分である。
【図11】本発明の配線が適用できるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の後半部分である。
【図12】ITO膜が形成された配線の断面構成を示す図である。
【図13】本発明の配線の形成方法の第1の変形例について説明するための工程図である。
【図14】本発明の配線の形成方法の第2の変形例に係る配線の断面構成を示す図である。
【図15】本発明の配線構造が適用できる第2の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の前半部分である。
【図16】本発明の配線構造が適用できる第2の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の後半部分である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に本発明の第1の実施形態に係る配線及び電極の断面構成を示す。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
この配線1は、ガラス等からなる基板2上には下地絶縁層3が設けられている。この下地絶縁層3上には、配線パターンに沿った第1の銅拡散防止層4が設けられ、この第1の銅拡散防止層4の幅より僅かに狭い銅シード層5及び銅配線層6が順次積層されている。
【0017】
これらの銅シード層5及び銅配線層6の表面を覆うように、第2の金属拡散防止層7が設けられている。このような4層構造となる配線1において、実質的に銅配線となる銅シード層5と銅配線層6は、第1の銅拡散防止層4と第2の銅拡散防止層7で周囲を取り囲まれた構造である。この配線が回路に組み込まれた際には、銅の拡散による隣接する回路素子、例えばTFTの特性を劣化させるような影響を防止することができる。この実施形態による電極は、例えば、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTのための低抵抗なゲート電極やソース・ドレイン電極に適用できる。
【0018】
この配線1の各層の膜厚は、例えば、下地絶縁層3が400nm、第1の銅拡散防止層4が50nm、銅シード層5が50nm、電解メッキ法で成膜した銅配線層6が400nm、無電解メッキ法で成膜した第2の銅拡散防止層7は50nmである。尚、本発明における金属シード層及び金属配線層は、例えば、銅若しくは銅を含有する金属であり、銅を例として説明しているが、他にも銀や金等の金属を用いることもできる。
【0019】
次に、図2(a)〜2(d)及び図3(a)〜3(d)に示す工程図を参照して、第1の実施形態における配線及び電極の形成方法について具体的に説明する。ここでは、配線形成について説明する。
本実施形態の形成方法は、感光性樹脂マスク(所謂、フォトレジストマスク)を利用する選択的な無電解メッキ法を用いた金属配線層形成と、ウェットエッチングや電解エッチング等による金属シード層エッチングを組み合わせて、前述した配線1を形成する。この配線1の予め定められたパターン(配線パターン)は、このフォトレジストマスク等により定められるものであり、マスキングされない下地が露出した部分により、そのパターンが描画されている。このマスク材料としては、感光性樹脂に限らず、除去可能であり、下地及び形成される配線に電気的及び化学的に作用を及ぼさない材料であれば用いることができる。以下の実施形態でも同様である。
【0020】
まず、図2(a)に示すように、厚さ例えば0.7mmのガラスからなる基板2の全面上に、CVD法例えば、PE(Plasma-Enhanced)−CVD法を用いて、窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層3を厚さ例えば400nm堆積させた後、さらに上層に第1の銅拡散防止層4をスパッタリング法により厚さ例えば50nm成膜する。勿論、これらの成膜方法は限定されるものではなく、蒸着方法などこれら以外の成膜方法を用いてもよい。
【0021】
また、第1の銅拡散防止層4としては、Ta層、TaN層、TiN層、TaSiN層、WSiN層、Mo層、Co合金層(例えば、Co−B又はCo−W−B)、Ni合金(例えば、Ni−B)、Mo合金層等を用いることができる。また単層膜ではなく、Ta/TaN/Ta、TiN/Ti、Co−B/Co又は、Ni−B/Niのように下地絶縁層との高密着性、低抵抗化、高拡散阻止能を図った多層膜であってもよい。尚、以降の各実施形態においても、銅拡散防止層として多層膜を用いてもよい。また、基板2は、通常のガラスだけではなく、石英ガラス、セラミックス、樹脂部材が適用できる。勿論、半導体ウエハに適用することも可能である。
【0022】
次に図2(b)に示すように、第1の銅拡散防止層4上に銅からなるシード層5を成膜、例えばスパッタリング法で厚さ例えば50nm形成する。銅シード層5は、銅配線層6をメッキ法により形成するためのものである。その後、銅シード層5上に、PEPを利用して、図2(c)に示すようなフォトレジスト層(感光性樹脂層)11を形成する。このフォトレジスト層11には、順テーパー形状の銅配線層を形成するために、開口側よりボトム側の方が広くなる逆テーパー形状の溝12を形成する。
【0023】
つまり、後の工程で形成される銅配線層の断面形状は、矩形でもよいが、配線形成後に積層する層間絶縁層のカバレッジや上層に設けられる配線とのショート不良低減の観点から順テーパ形状にすることが望ましい。このため、溝12は逆テーパー形状に形成することが望ましい。この形状は、レジスト材料、露光条件及び現像条件を適宜調整することにより実現する。
【0024】
次に図2(d)に示すように、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層11の溝12(銅シード層上)を埋めるように銅配線層6を形成する。尚、無電解メッキ法に代わって、電解メッキ法を用いても同様に銅配線層6を形成することができる。この場合の無電解メッキ法は、銅シード層5の上に堆積するために触媒処理が不要であると共に、大面積基板に適用した際に問題となる膜厚分布の不均一性も抑制することができる。
【0025】
次に図3(a)に示すように、剥離液等を用いてフォトレジスト層11を除去する。この除去に際しては、ドライプロセスであるアッシング処理を併用してもよい。尚、このアッシング処理を行った際に、銅配線層6や銅シード層5の露出表面が酸化される可能性があり、直後の工程で除去する工程を入れることが望ましい。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングして、少なくとも銅シード層5をエッチング除去する。エッチング方法としては、ウェットエッチング若しくは電解エッチング等を用いることが望ましい。
【0027】
銅シード層のウェットエッチング溶液としては、例えば、塩化鉄系エッチング剤、塩化銅−塩酸系エッチング剤、燐酸−酢酸−硝酸系エッチング剤、フッ酸−過硫酸アンモニウム−塩酸、硫酸−過酸化水素水系エッチング剤、ペルオキソ硫酸塩−フッ酸等々の溶液を用いることができる。尚、厚い銅配線層6をレジストマスクを用いてウェットエッチングする場合は、一般的に等方的なエッチングであるために、パターンのエッジ部分でサイドエッチングが問題となるが、シード層が十分に薄い薄膜であることと、金属配線層6と同時にエッチングされるため、ほとんど問題にはならない。
【0028】
尚、この銅シード層5のエッチングの際に、銅配線層6も同時にエッチングされるが、この時のエッチングされる厚さを考慮して図2(d)の工程で予め銅配線層6を厚く形成する。上記実施形態では、金属シード層として銅シード層を用いたが、銅シード層の代わりにニッケルシード層やコバルトシード層のような銅の直接めっきが可能な第8a族の金属シード層を用いてもよいことは言うまでもない。また、ニッケルシード層をも用いた場合は、硝酸−硫酸−過酸化水素−塩化アンモニウム系エッチング剤等を用いることにより銅配線層6をほとんどエッチングせずにニッケルシード層をエッチングすることが可能であるという利点がある。また、ニッケル層を密着層としてその上に銅シード層を形成してもよいことは言うまでもない。
【0029】
ウェットエッチング法だけではなく電解エッチング法を用いる場合は、第1の銅拡散防止膜をアノードとし、陰極板(カソード)との間に所定の電圧を印加して、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングする。銅拡散防止層3と銅シード層5、銅配線層6との選択性の制御が容易であり、比較的エッチング速度が速いという特徴がある。この時、印加する電圧は、銅層の電解エッチングは生じるが、第1の銅拡散防止層3は電解エッチングされない電圧値例えば10V程度に設定することが望ましい。エッチングのベース浴としては、硫酸、リン酸、塩酸などの酸を用いればよいがこれらに限定されるものではなく、もちろん銅シード層5と銅配線層6のエッチング速度比や銅配線層6のテーパー形状を制御するための添加剤を用いたり、液温度や印加電流波形を制御してもよい。
【0030】
次に図3(c)に示すように、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo−W−Bからなる第2の銅拡散防止層層7を例えば、無電解メッキ法を用いて厚さ例えば50nm形成する。第2の銅拡散防止層7は、銅配線層6上にメッキ法により形成するためメッキに適した材料が選ばれる。例えば、ジメチルアミンボランを還元剤に用いることでPd触媒処理が不要なCo−W−Bのような第2の銅拡散防止層7を無電解メッキ法で形成することが望ましいが、銅層表面のみに選択的に無電解メッキが可能なCo−B、Co−P、Co−W−B、Ni−B、Ni−P、Ni−W−Pのような銅拡散防止層でもよい。
【0031】
次に、図3(d)に示すように第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去して、配線1を形成する。
【0032】
以上説明したように本実施形態においては、前述した従来のダマシン法で必要であるCMP用の研磨停止膜を銅拡散防止層の成膜前に形成する工程、及び銅配線を埋め込むための溝を形成するエッチング工程が不要である。また、ダマシン法におけるCMPでは、研磨剤(スラリー)を用いているため、研磨剤や被研磨物(金属イオンを含む)を洗浄する必要があるが、この洗浄工程も本実施形態では不要である。またCPM工程の研磨時における異物混入の原因を少なくすることができる。
【0033】
従って、本実施形態では、金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の金属配線を形成でき、更にダマシン法に比べて工程数を低減することができ、製造コストの削減が実現できる。さらに、本実施形態では、CMPを用いるのが困難である大面積の基板に対しても適用が容易である。前述した本実施形態では、銅を配線材料の一例として説明しているが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、銅を含む合金やその他のメッキ法により成膜可能な金属(金や銀等)であれば適用することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態に係る配線及び電極について説明する。
この第2の実施形態による配線及び電極は、前述した図1に示した配線及び電極の構造と同様にシード層を設けた構造であり、形成方法が異なっている。本実施形態の構成部位や製造工程において、前述した第1の実施形態(図1〜図3(d))の構成部位と同等の部位又は同等の製造工程には同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、配線を構成する各部位の膜厚は、前述した第1の実施形態と同様である。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
【0035】
図4(a)〜4(d)及び図5(a)〜5(c)に示す工程図を参照して、第2の実施形態における配線(電極)の第1の形成方法について具体的に説明する。
図4(a)に示す工程は、図2(a)の工程と同等であり、まず、基板2上に窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層3を全面上に堆積させた後、その上層に第1の銅拡散防止層4をスパッタリング法により成膜する。勿論、これらの成膜方法に限定されるものではなく、蒸着方法などのこれら以外の成膜方法を用いてもよい。また、第1の銅拡散防止層4としては、Ta層、TaN層、WN層、TaSiN層、WSiN層、Co合金層、Ni合金層等を用いることができる。尚、基板2と下地絶縁層3を合わせて絶縁基板10と称する。
【0036】
図4(b)に示す工程は、図2(c)の工程と同等であり、フォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11には、断面が矩形形状(垂直側面)の溝12が形成される。勿論、前述したように、溝12は逆テーパー形状であってもよい。
図4(c)に示す工程では、フォトレジスト層の溝12底部に露出する第1の銅拡散防止層4上の表面の酸化膜(自然酸化膜等)を除去した後、無電解メッキ法を用いて、第1の銅拡散防止層4上に銅シード層5を形成する。
【0037】
図4(d)に示す工程では、さらに電解メッキ法を用いて、銅シード層5と第1の銅拡散防止層4を電極として、フォトレジスト層11の溝12の銅シード層5上のみに銅配線層6を形成する。勿論、電解メッキ法に換えずに無電解メッキ法をそのまま継続して用いることもできる。
図5(a)に示すように、剥離液等を用いてフォトレジスト層11を除去する。この除去に際しては、前述したようにアッシング処理を併用してもよい。但し、これを併用させた場合には、酸化膜除去工程を追加する必要がある。
【0038】
図5(b)に示す工程は、図3(g)の工程と同等であり、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo−W−Bからなる第2の銅拡散防止層7を無電解メッキ法を用いて形成する。
図5(c)に示す工程では、第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去する。
【0039】
第2の実施形態における変形例となる第2の形成方法について説明する。
前述した図4(c)に示す工程では、無電解メッキ法を用いて銅シード層を形成し、さらに図4(d)において、このシード層及び第1の銅拡散防止層4を電極とした電解メッキ法を用いて銅配線層6を形成している。この無電解メッキ法に代わって、フォトレジスト層の溝12底部に露出する第1の銅拡散防止層4上の表面の酸化膜を除去する溶液、例えば銅イオンとフッ酸とフッ化アンモニウム若しくは硝酸等を含む溶液を用いた置換メッキ法で第1の銅拡散防止層4上に極薄い銅シード層5を形成してもよい。また、銅シード層5は、次の工程での無電解メッキ法が適用可能な程度の銅核の形成であってもよい。
【0040】
第2の実施形態における変形例となる第3の形成方法について説明する。
前述した図4(c)に示す工程では、置換メッキ法で銅シード層5を形成したが、別の方法として、有機金属材料を用いたCVD法を用いてもよい。銅(Cu)の有機金属原料としては、例えば、銅の1価錯体原料であるトリメチルビニルシリルヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(Cu(hfac)TMVS)を用いて、例えば140℃程度の低温下で成膜すると、成膜開始初期に銅拡散防止層のような導電性材料上と、フォトレジストや酸化膜のような絶縁性材料上との間で成膜の選択性を達成できる。即ち、導電性材料上では成膜厚さは成膜時間に比例するが、一方、絶縁性材料上では成膜開始初期に膜が形成されない潜伏期間が生じるため、成膜厚さが成膜時間に比例せず、選択性が発生する。但し、絶縁性材料上で核成長による銅層が形成された後、すなわち潜伏時間が経過した後(例えば2分乃至60分後)には、導電性材料上とほぼ同じ成膜速度で成膜が行われる。このため、核成長の進行程度が低い潜伏期間内に選択的に銅シード層を形成してしまうことが望ましい。
【0041】
この第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同等な作用効果を得ることができる。加えて、本実施形態は、銅シード層と銅配線層を形成すべき領域へ選択的に形成することができるため、銅シード層におけるエッチング処理工程が省略することができ、更に、製造コストの削減に有用である。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態に係る配線及び電極について説明する。
図6に、第3の実施形態に係る配線及び電極の断面構成を示す。この第3の実施形態による配線及び電極は、前述した第1の実施形態における銅シード層を設けていない構造である。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
【0043】
この配線21においては、ガラス等からなる基板22上には下地絶縁層23を設ける。この下地絶縁層23上には、配線パターンに沿った第1の銅拡散防止層24を設け、その上面に第1の銅拡散防止層24の幅より僅かに狭い銅配線層25を積層する。次に銅配線層25の全表面を覆うように、第2の銅拡散防止層26を設ける。
【0044】
このような構成において配線21は、銅配線層25が第1の銅拡散防止層24と第2の銅拡散防止層26で周囲を取り囲まれた(包囲若しくは被包された状態)3層構造であるため、回路に組み込まれた際には、銅の拡散による他の回路素子、例えば、TFTの特性を劣化させるような影響を防止することができる。本実施形態による電極は、例えば、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTの低抵抗なゲート電極やソース・ドレイン電極に適用できる。
この配線21の各層の膜厚は、例えば、下地絶縁層23が400nm、第1の銅拡散防止層24が50nm、銅配線層25が400nm、第2の銅拡散防止層26は50nmである。
【0045】
次に、図7(a)〜7(d)及び図8(a)〜8(c)に示す工程図を参照して、第3の実施形態における配線21の形成方法について具体的に説明する。
本実施形態は、感光性樹脂もしくは無機絶縁層をマスクとする無電解メッキ法を用いて、第1の銅拡散防止層上に選択的に金属配線層を形成し、さらに、この金属配線層を第2の銅拡散防止層で覆うように形成する配線の形成方法である。
【0046】
まず、図7(a)に示す工程では、基板22上にPE(Plasma-Enhanced)−CVD法により、窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層23を全面上に堆積させた後、図7(b)に示すように、第1の銅拡散防止層24をスパッタ法等により成膜する。第1の銅拡散防止層24としては、Ta層、TaN層、TiN層、TaSiN層、WSiN層、Co合金層、Ni合金層等を用いることができる。尚、基板22と下地絶縁層23を合わせて絶縁基板30と称する。
【0047】
図7(c)に示す工程では、第1の銅拡散防止層24上に、PEP法を用いて、フォトレジスト層31を形成する。このフォトレジスト層31には、逆テーパー形状の溝32に形成する。勿論、溝32は垂直形状でもよいが、逆テーパー形状の方が好ましい。これは、前述したように、上層に形成される層間絶縁層のカバレッジや上層配線とのショート不良低減の観点から金属配線層は、順テーパ形状が望ましいためである。
【0048】
図7(d)の工程では、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層31の溝32の底部に銅配線層25を形成する。この無電解メッキ法による第1の銅拡散防止層24上へ直接メッキ成膜する場合、通常、Pd触媒処理を行っている。しかし、後工程で行われる熱処理の際に、銅配線内にPdが拡散して比抵抗値を劣化させるという問題は回避することが望ましい。そのため、Pd触媒処理に代わって、第1の銅拡散防止層上の極表面の酸化膜を除去する処理を行った後、無電解メッキ処理を行うことが望ましい。この酸化膜の除去処理には、フッ酸を含む溶液等を用いるとよい。またフッ酸とフッ化アンモニウム若しくは硝酸等を含む溶液に銅イオンを含有させて、薄い銅シード層若しくは銅核を形成させた後に、無電解メッキ法を用いて銅配線層25を形成してもよい。もちろん、第1の銅拡散防止層24としてCo合金(例えば、Co−B又はCo−W−B、又はCo−B/Co)、Ni合金(例えば、Ni−B又はNi−B/Ni)等を用いると直接メッキが可能である。
【0049】
図8(a)に示す工程では、剥離液等を用いてフォトレジスト層31を除去する。この除去に際しては、アッシング処理を併用してもよい。
図8(b)に示す工程では、無電解メッキ法を用いて、銅配線層25の露出する全表面を覆うように、例えばCo−W−B、Co−B等からなる第2の銅拡散防止層26を形成する。ここでは、Pd触媒処理が不要なCo−W−B、Co−B等からなる銅拡散防止層を無電解メッキ法で形成することが望ましいが、銅配線層を選択的にメッキ法を用いて形成でき、銅拡散防止層となるものを用いるとよい。
【0050】
図8(c)に示す工程では、銅配線層部分を覆う第2の銅拡散防止層26をマスクとしたエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層24の露出している領域をエッチング除去して、配線21を形成する。第1の銅拡散防止層24としてCo合金(例えば、Co−B又はCo−W−B、又はCo−B/Co)、Ni合金(例えば、Ni−B又はNi−B/Ni)等を用いる場合は、図13(c)に示すように銅配線層をマスクにして第1の銅拡散防止層24をエッチングしたのちに第2の銅拡散防止層26を形成するとよい。
【0051】
前述した銅配線層25の形成のための無電解メッキ浴としては、還元剤にホルムアルデヒドを用いてもよい。しかし、ホルムアルデヒドは、人体に有害であると共に、メッキpH条件が12乃至13で行われるため、pH調整剤に水酸化ナトリウムを用いる等、TFTプロセスへの適用を考えるとナトリウム等のアルカリ金属を用いないものを用いることが望ましい。そこで、有害物を含まずアルカリ金属を用いないメッキ浴としては、還元剤にグリオキシル酸を用い、pH調整剤に有機アルカリ(例えば、TMAH)を用いたグリオキシル酸浴や、還元剤にコバルト塩やスズ塩を用いたコバルト塩浴若しくはスズ塩浴を用いることが望ましい。
【0052】
しかし、グリオキシル酸浴のpH調整剤の有機アルカリ(TMAH)は、フォトレジストマスクを溶解するため、有機アルカリに耐性のある感光性樹脂を用いるか、若しくは窒化シリコンや酸化シリコン等の無機絶縁膜マスクを用いるようにすることが望ましい。還元剤として、コバルト塩を用いたコバルト塩浴は、メッキpH条件が6乃至7の中性領域であるため、フォトレジストマスクへのダメージが少なくことから、TFTプロセスには最適なメッキ浴として望ましい。加えて、コバルト塩浴やスズ塩浴は、ホルムアルデヒド浴やグリオキシル酸浴のようにメッキ反応過程で還元剤が分解して水素が発生することがなく、表面性が良好な膜形成やボイドの発生抑制も可能なメッキ浴である。
【表1】
【0053】
以上説明した第3の実施形態は、前述した第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができ、CMP法を用いることなく、配線層材料として銅を用いた配線を形成することができ、且つCMPでは困難であった大面積の基板に対しても適用可能である。よって、従来に比べて、製造工程数を低減することができ、製造コストの削減を実現することができる。
【0054】
尚、本実施形態においても、上記記載事項に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。例えば、配線の材料として銅を用いた例で説明したが、銅を含む合金やその他の金属を容易に適用することができる。
【0055】
前述した第1乃至3の実施形態における配線や電極を表示装置、例えば、アクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)に適用することができる。勿論、この液晶表示装置だけではなく、他にも無機ELD、有機ELDにおける配線等に適用することができる。
【0056】
図9は、一般的なアクティブマトリックスLCDの等価回路の一例を示している(補助容量は図示せず)。本発明の配線は、アレイ基板上に形成されている複数の信号線、複数の走査線、及びマトリックス状に多数配置されたTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極等に適用することができる。
【0057】
ここで、本発明の配線構造をポリシリコンTFTへ応用した第1の適用例について説明する。図10(a)〜10(d)及び図11(a)〜11(c)は、ゲート電極とソース・ドレイン電極に本発明の金属(銅)配線層を用いたMOS構造p型TFTの形成方法について説明する。
【0058】
基板40に下地絶縁層41を堆積させた後、その上に活性層となるアモルファスシリコン層42を堆積する。これらを堆積させた後、温度500℃の雰囲気でアニール処理を施し、アモルファスシリコン層42中の水素を脱離させる。
【0059】
さらに、ELA(Excimer Laser Anneal)法により、アモルファスシリコン層42をポリシリコン層42aに結晶化し、PEPによりレジストマスクを形成した後、CDE(Chemical Dry Etching)法を用いてポリシリコン層42aをアイランド状に加工する。その後、PE−CVD法により、全面上にゲート絶縁層43を堆積させる。ゲート絶縁層としては酸化シリコン層単層でもよいが、銅の拡散に対する拡散阻止能を有する窒化シリコン層のような絶縁層を含む多層構成を用いることが望ましい。
【0060】
図10(b)に示す工程では、前述した各実施形態における形成方法により、第1の銅拡散防止層44を成膜した後、PEPによりフォトレジスト層(マスク)45を形成する。このフォトレジスト層45の開口した溝46に、無電解メッキ法又は電解メッキ法を用いて銅配線層47を選択的に形成する。尚、電解メッキ法で成膜する場合には、前述した第1、2の実施形態のようにシード層を予め形成する。
【0061】
図10(c)に示す工程では、フォトレジスト層45を除去した後、無電解メッキ法を用いて、銅配線層47の表面全体を覆うように第2の銅拡散防止層48を形成する。
図10(d)に示す工程では、第2の銅拡散防止層48をエッチングマスクとして利用して、不要な第1の銅拡散防止層をエッチングすることで、ゲート電極49を形成する。
【0062】
図11(a)に示す工程では、第2の銅拡散防止層48に取り囲まれた銅配線層47をマスクとして、ポリシリコン層42aへボロンをイオンドーピングして不純物領域(ソース・ドレイン領域)42bを形成する。
【0063】
図11(b)に示す工程では、PE−CVD法を用いて層間絶縁層50を形成する。もちろん、層間絶縁層も酸化シリコン層単層でもよいが、銅の拡散に対する拡散阻止能を有する窒化シリコン層のような絶縁層を含む多層構成を用いることが望ましい。さらに、この層間絶縁層50上に、PEPによるフォトレジスト層によるマスク(図示せず)を形成し、層間絶縁層50をエッチングしてソース及びドレイン領域42bの表面まで開口するコンタクトホール51を形成する。
【0064】
図11(c)に示す工程では、層間絶縁層50のコンタクトホール51の形成後は、第3の実施形態と同様に第3の金属拡散防止層52を形成し、さらに、フォトレジスト層によるマスクを形成し、フォトレジスト層の溝部分に無電解メッキ法を用いて銅配線層53を選択的に形成する。さらに、無電解メッキ法用いて銅配線層53を取り囲むように第4の銅拡散防止層54を選択的に成膜した後、第3の金属拡散防止層52をエッチングすることで、ソース・ドレイン電極を形成する。
【0065】
以上のような工程により、本発明の銅配線を用いたゲート電極49とソース・ドレイン電極58を備えるMOS構造p型TFTを形成することができる。尚、上記配線の形成方法においては、第3の実施形態で説明したが、第1若しくは第2の実施形態を用いてもよい。
【0066】
また、図示しないが、ソース・ドレイン電極の形成後に、例えば、窒化シリコン等の層間絶縁層82を形成し、その後に、画素電極との接続のためのコンタクトホール83を開口して、第2の金属拡散防止層84を露出させる。次に、例えばスパッタリング法を用いて、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物等の透明導電体層86を形成し、パターニングすることで、透過型液晶表示装置用等のアレイ基板を形成することができる。
【0067】
この時、図12に示すように、表示装置と外部接続端子部の第2の金属拡散防止層84で覆われた銅配線層85上にも同時に形成して、銅配線層85及び第2の金属拡散防止層84の保護膜として機能させることが好ましい。尚、図12では、銅配線層の単一層を例として示しているが、走査線と信号線の2層構造にしてもよい。
【0068】
また、ITO等の透明金属酸化膜ではなく、反射型液晶表示装置等に用いられている反射性金属例えば、アルミニウム(Al)や銀(Ag)を含む金属層を重ねてもよい。
尚、本発明の配線及び電極は、前述したようなLCDだけではなく、有機ELD例えば、アクティブマトリックス型有機ELDの基板上に形成される信号線、電源線、走査線及びTFT内の電極、及び周辺配線や同一基板上に形成された周辺駆動回路内の配線等に適用することも容易にできる。
【0069】
本発明の配線及び電極の形成方法によれば、金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の低抵抗材料からなる金属配線の形成が実現でき、さらに、従来のダマシン法のようにCMP(化学的機械研磨法)を用いることなく、基板上へ金属配線を選択的に形成することが可能となり、CMPが困難である大面積基板に対しても低抵抗配線の銅等からなる金属配線の形成を実現できる。また、CMPを用いないで基板上に選択的に配線を形成することができ、配線材料の除去・廃棄が抑制され配線材料の省資源化が可能となる。
【0070】
尚、前述した各実施形態では、第1の銅拡散防止層がエッチングする際に、上層に形成された銅配線層の表面が損傷されることを防止するために、第2の銅拡散防止層をマスク(保護層)として利用している例について説明しているが、この製造工程順に限定されるものではない。つまり、図13(a)〜13(c)に示すように、第1の銅拡散防止層を除去するエッチング処理の際に、銅配線層に損傷を与えないエッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)を採用すれば、第2の銅拡散防止層をマスクとして機能させる必要がないため、第1の銅拡散防止層のエッチングの後に、第2の銅拡散防止層を形成する製造工程であってもよい。
【0071】
つまり図7(d)に示す工程に続いて、図13(a)に示すように第1の銅拡散防止層24上に銅配線層25が形成された後、図13(b)に示すように銅配線層25に損傷を与えないエッチングを行い、銅配線層25に接する以外の第1の銅拡散防止層24を除去する。その後に、第1の銅拡散防止層24及び銅配線層25を覆うように、図13(c)に示すように第2の銅拡散防止層26を形成する。
【0072】
また、銅配線をフォトレジスト層のマスク開口部に形成するのではなく、銅配線を形成して所望の領域のみにフォトレジスト層を残してエッチングする製造工程であってもよい。第1の変形例となる図13は、シード層を用いない構成例であるが、第2の変形例として、図14には、第1の銅拡散防止層24と銅配線層25との間にシード層27を設けた構成例を示している。
前述した図2では、シード層27に銅(Cu)を用いていたが、コバルト(Co)又はニッケル(Ni)を用いていてもよい。
以上のような第1,第2の実施形態による配線を形成する技術は、電極や表示装置にも容易に適用することができる。
このような金属シード層を設けた配線構造を表示装置、例えば、アクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)に適用することができる。勿論、この配線構造は、他にも無機ELD、有機ELDにおける配線等に適用することもできる。このLCDの一例としては、前述した図9に示す等価回路と同等であり、ここでは省略する。このような配線構造は、アレイ基板上に形成されている複数の信号線、複数の走査線、及びマトリックス状に多数配置されたTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極等に適用することができる。
【0073】
ここで、本発明の配線構造をポリシリコンTFTへ応用した第2の適用例について説明する。図15(a)〜図15(e)及び図16(a),16(b)を参照して、ソース・ドレイン電極に本発明の金属(銅)配線層を用いたMOS構造p型TFTの形成方法について説明する。
【0074】
図15(a)に示す工程において、基板91に下地絶縁層92を堆積させた後、その上に活性層となるアモルファスシリコン層93’を堆積する。これらを堆積させた後、温度500℃の雰囲気でアニール処理を施し、アモルファスシリコン層93’中の水素を脱離させる。
【0075】
さらに、ELA(Excimer Laser Anneal)法によりアモルファスシリコン層93’をポリシリコン層93に結晶化させて、PEPによりフォトレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、CDE(Chemical Dry Etching)法を用いてポリシリコン層93をアイランド状に加工する。その後、PE−CVD法により、全面上にゲート絶縁層94を堆積させる。
【0076】
図15(b)に示す工程において、ゲート絶縁層94全面上にゲート電極層95(例えば、MoW)を形成し、その上にPEPによるフォトレジストからなるマスク(図示せず)を設ける。CDE法等を用いて、マスクから露出するゲート絶縁層94をエッチングしてゲート電極を形成する。尚、このゲート電極95を銅で形成し、電極下にバリア層及びCuシード層を設けた構成にしてもよい。
【0077】
図15(c)において、ゲート電極95をマスクとしてポリシリコン層93へボロンをイオンドーピングして不純物領域(ソース・ドレイン領域)93aを形成し、不純物活性化を行う。
【0078】
図15(d)に示す工程において、PE−CVD法を用いて全面上に層間絶縁層96を形成する。さらに、この層間絶縁層96上に、PEPによるフォトレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、露出する層間絶縁層96をエッチングしてソース及びドレイン領域93aの表面まで開口するコンタクトホール97を形成する。
【0079】
図15(e)に示す工程においては、第1の銅拡散防止層100として機能するCo層98(厚さ20nm)及びCo−B層99(厚さ50nm)からなる積層をそれぞれスパッタ法と無電解メッキ法で形成する。
【0080】
図16(a)に示す工程において、全面上にCuシード層102(厚さ50nm)を成膜し、PEPによりフォトレジストからなるマスク103を形成する。このマスク103が開口する領域上に無電解メッキ法又は電解メッキ法を用いて銅配線層104(厚さ500nm)を選択的に形成する。
【0081】
図16(b)に示す工程では、マスク103を除去した後、銅配線層104をマスクとしてCuシード層102及び第1の銅拡散防止層100であるCo層98及びCo−B層99をエッチングする。さらに無電解メッキ法を用いて、Cuシード102、銅配線層47及び第1の銅拡散防止層100の側面を含む露出表面全体を覆うようにCo−B、Co−W−B等からなる第2の銅拡散防止層105を形成することで、ソース・ドレイン電極106を形成する。そして、熱処理工程により、Co層98とソース及びドレイン領域93aとの界面にCoシリサイド層101を形成することでソース・ドレイン抵抗の低抵抗化と拡散防止能の向上を実現する。
【0082】
また、図示しないが、前記の工程では、Co−B層99の上にCuシード層102を形成した後に、フォトレジストからなるマスクを用いてCuシード層102上に銅配線層104を形成したが、Co−B層99の上に直接、フォトレジストからなるマスクを用いて銅配線層104を形成してもよい。そして、銅配線層104をマスクとして第1の銅拡散防止層100であるCo層98及びCo−B層99をエッチング後、銅配線層47銅配線層47及び第1の銅拡散防止層100の側面を含む露出表面全体を覆うようにCo−B等からなる第2の銅拡散防止層105を形成してもよい。
【0083】
また、前記の実施形態のCo層98及びCo−B層99の代わりに、Ni層及びNi−B層を用いてもよく、更に第2の銅拡散防止層105にNi−B等からなるNi合金を用いてもよい。第1の銅拡散防止層100の一部にNi層を用いた場合は、熱処理工程により形成されるシリサイド層はNiシリサイド層となる。シリサイド層としては、Taシリサイド層やTiシリサイド層等を用いてもよい。
【0084】
また、図示しないが、ソース・ドレイン電極106の形成後に、例えば、窒化シリコン、ベンゾシクロブテン樹脂等の層間絶縁層を形成し、その後に、画素電極との接続のためのコンタクトホールを開口して、第2の金属拡散防止層を露出させる。さらに、例えばスパッタリング法を用いて、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物等の透明導電体層を形成し、パターニングすることで、透過型液晶表示装置用等のアレイ基板を形成することができる。
【符号の説明】
【0085】
1,21…配線、2,22…基板、3,23…下地絶縁層、4,24…第1の銅拡散防止層、5…銅シード層、6,25…銅配線層、7,26…第2の銅拡散防止層、11,31…フォトレジスト層(感光性樹脂層)、12,32…溝。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に代表される表示装置やULSI等の半導体装置等に用いられる配線の形成方法及びその配線を有する表示装置の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LSIやULSIに代表される半導体装置における配線材料として、アルミニウム(Al)やその合金を用いた配線や電極が主流となっている。しかし、近年の集積度の向上による微細化の進展や、動作スピードの向上等により、Alよりも抵抗が低く、且つエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等の耐性が高い特性を有する銅(Cu)を次世代の配線及び電極の材料として採用することが検討されている。
【0003】
さらに、液晶表示装置等に代表される表示装置の分野においても、表示面積の拡大による配線長の増加や、駆動用ドライバ回路や画素内メモリといった様々な付加機能を搭載するモノリシック化等の要求によって、半導体分野と同様に低抵抗な配線の要求が高まってきている。
【0004】
微細な銅の配線加工は、Al配線の形成技術と同様に、PEP(Photo Engraving Process:写真食刻工程、所謂フォトリソグラフィー)によるマスキング技術と、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法等のエッチング技術とを単に組み合わせても、実現が困難であった。つまり、銅のハロゲン化物の蒸気圧は、Alのハロゲン化物と比べて非常に低く(即ち、蒸発しにくい)、RIE等のエッチング技術を用いる場合には、プロセス温度として200〜300℃雰囲気下でのエッチング処理が必要である等、種々の課題が多い。また、通常のフォトレジストマスクではなく、SiO2やSiNxによるマスクを使用する必要もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている、いわゆる、ダマシン法を利用することができる。このダマシン法は、まず、基板上の絶縁層に対して、あらかじめ所望の配線パターンの配線溝を形成する。次に、この配線溝を埋め込むようにスパッタリング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法、メッキ法又は、有機金属材料を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法等の種々の手法を用いて、銅薄層を溝内部に埋め込み且つ絶縁層上の全面に亘って形成する。その後、銅薄層を基板表面側から下層の絶縁層が露出する(溝部分の開口端面)までCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨法)等の研磨法やエッチバック等を用いて除去し、溝に埋め込まれた銅のみによる配線パターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−189295号公報
【特許文献2】特開平11−135504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献開1及び特許文献2に開示された技術を含む従来技術には以下に挙げるような課題がある。
上記ダマシン法においては、少なくとも配線を埋め込むための溝を形成する溝加工工程、配線パターンや上下電極間を接続するビア(プラグ)を形成するための成膜工程、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程、研磨停止膜の成膜工程が必要であり、製造工程が煩雑となり、製造コストを高くしている。
【0008】
また、配線抵抗を低減するためには、配線の断面積を大きくする必要があるが、集積化の制約から、アスペクト比の高い(つまり、幅や径が狭く深い)溝やビアホールを採用すると、銅の埋め込み性が低下する。また、銅薄層を基板全面に成膜した後に、不要部分を除去するというCMP工程等は、処理時間が掛かりスループットが悪い。
【0009】
さらに、直径12インチ等の大口径半導体ウエハサイズに対応する大型のCMP装置が開発されているが、上記半導体ウエハよりも大面積で且つ平坦性等の精度が良くないガラス基板を用いる表示装置のための製造装置は実用化されていない。
【0010】
また、表示装置例えば、大型液晶表示装置に搭載される大型基板(表示画面)の場合は、上記CMPによる全面研磨やエッチング法による除去が可能であったとしても、配線として利用される銅薄層部分は、ガラス基板の面積に比較して非常に小さいために、成膜された銅薄層の大部分は除去され、廃棄される。この結果、材料として高価な銅の利用効率は非常に悪くなり、高コストになる影響で製品価格も高くなる。
【0011】
そこで、本発明は、大面積基板上への低抵抗材料からなる金属配線の形成を実現し、且つ配線形成における配線材料の無駄を省き、及び製造工程数の低減による製造コストの削減を実現可能な配線、表示装置及び、これらの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、基板上に第1の金属拡散防止層を形成する工程と、前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、前記金属配線層と平面的に重なる領域以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングする工程と、少なくとも前記金属シード層、及び前記金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、を具備する配線の形成方法である。
【0013】
さらに、別の実施形態は、マトリックス状に配置された画素用の駆動素子の電極と、前記駆動素子に接続された走査線と、信号線を有する表示装置の形成方法であって、第1の金属拡散防止層を形成する工程と、前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの前記電極、前記走査線及び前記信号線のいずれかとなる金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、少なくとも前記金属配線層と接合される以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングにより除去する工程と、前記少なくとも前記金属シード層、及び金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、を具備する配線を有する表示装置の形成方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、大面積基板上への金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の低抵抗材料からなる金属配線や電極の形成を実現し、且つ配線形成における配線材料の無駄を省き、及び製造工程数の低減による製造コストの削減を実現可能な配線、電極、表示装置及び、これらの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配線の断面構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図3】第1の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図4】第2の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図5】第2の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図6】第3の実施形態に係る配線の断面構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の前半部分である。
【図8】第3の実施形態における配線の形成方法について説明するための工程図の後半部分である。
【図9】本発明の配線構造が適用できるアクティブマトリックスLCDの等価回路の一例を示す図である。
【図10】本発明の配線構造が適用できる第1の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の前半部分である。
【図11】本発明の配線が適用できるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の後半部分である。
【図12】ITO膜が形成された配線の断面構成を示す図である。
【図13】本発明の配線の形成方法の第1の変形例について説明するための工程図である。
【図14】本発明の配線の形成方法の第2の変形例に係る配線の断面構成を示す図である。
【図15】本発明の配線構造が適用できる第2の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の前半部分である。
【図16】本発明の配線構造が適用できる第2の適用例となるMOS構造p型TFTの形成について説明するための工程図の後半部分である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に本発明の第1の実施形態に係る配線及び電極の断面構成を示す。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
この配線1は、ガラス等からなる基板2上には下地絶縁層3が設けられている。この下地絶縁層3上には、配線パターンに沿った第1の銅拡散防止層4が設けられ、この第1の銅拡散防止層4の幅より僅かに狭い銅シード層5及び銅配線層6が順次積層されている。
【0017】
これらの銅シード層5及び銅配線層6の表面を覆うように、第2の金属拡散防止層7が設けられている。このような4層構造となる配線1において、実質的に銅配線となる銅シード層5と銅配線層6は、第1の銅拡散防止層4と第2の銅拡散防止層7で周囲を取り囲まれた構造である。この配線が回路に組み込まれた際には、銅の拡散による隣接する回路素子、例えばTFTの特性を劣化させるような影響を防止することができる。この実施形態による電極は、例えば、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTのための低抵抗なゲート電極やソース・ドレイン電極に適用できる。
【0018】
この配線1の各層の膜厚は、例えば、下地絶縁層3が400nm、第1の銅拡散防止層4が50nm、銅シード層5が50nm、電解メッキ法で成膜した銅配線層6が400nm、無電解メッキ法で成膜した第2の銅拡散防止層7は50nmである。尚、本発明における金属シード層及び金属配線層は、例えば、銅若しくは銅を含有する金属であり、銅を例として説明しているが、他にも銀や金等の金属を用いることもできる。
【0019】
次に、図2(a)〜2(d)及び図3(a)〜3(d)に示す工程図を参照して、第1の実施形態における配線及び電極の形成方法について具体的に説明する。ここでは、配線形成について説明する。
本実施形態の形成方法は、感光性樹脂マスク(所謂、フォトレジストマスク)を利用する選択的な無電解メッキ法を用いた金属配線層形成と、ウェットエッチングや電解エッチング等による金属シード層エッチングを組み合わせて、前述した配線1を形成する。この配線1の予め定められたパターン(配線パターン)は、このフォトレジストマスク等により定められるものであり、マスキングされない下地が露出した部分により、そのパターンが描画されている。このマスク材料としては、感光性樹脂に限らず、除去可能であり、下地及び形成される配線に電気的及び化学的に作用を及ぼさない材料であれば用いることができる。以下の実施形態でも同様である。
【0020】
まず、図2(a)に示すように、厚さ例えば0.7mmのガラスからなる基板2の全面上に、CVD法例えば、PE(Plasma-Enhanced)−CVD法を用いて、窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層3を厚さ例えば400nm堆積させた後、さらに上層に第1の銅拡散防止層4をスパッタリング法により厚さ例えば50nm成膜する。勿論、これらの成膜方法は限定されるものではなく、蒸着方法などこれら以外の成膜方法を用いてもよい。
【0021】
また、第1の銅拡散防止層4としては、Ta層、TaN層、TiN層、TaSiN層、WSiN層、Mo層、Co合金層(例えば、Co−B又はCo−W−B)、Ni合金(例えば、Ni−B)、Mo合金層等を用いることができる。また単層膜ではなく、Ta/TaN/Ta、TiN/Ti、Co−B/Co又は、Ni−B/Niのように下地絶縁層との高密着性、低抵抗化、高拡散阻止能を図った多層膜であってもよい。尚、以降の各実施形態においても、銅拡散防止層として多層膜を用いてもよい。また、基板2は、通常のガラスだけではなく、石英ガラス、セラミックス、樹脂部材が適用できる。勿論、半導体ウエハに適用することも可能である。
【0022】
次に図2(b)に示すように、第1の銅拡散防止層4上に銅からなるシード層5を成膜、例えばスパッタリング法で厚さ例えば50nm形成する。銅シード層5は、銅配線層6をメッキ法により形成するためのものである。その後、銅シード層5上に、PEPを利用して、図2(c)に示すようなフォトレジスト層(感光性樹脂層)11を形成する。このフォトレジスト層11には、順テーパー形状の銅配線層を形成するために、開口側よりボトム側の方が広くなる逆テーパー形状の溝12を形成する。
【0023】
つまり、後の工程で形成される銅配線層の断面形状は、矩形でもよいが、配線形成後に積層する層間絶縁層のカバレッジや上層に設けられる配線とのショート不良低減の観点から順テーパ形状にすることが望ましい。このため、溝12は逆テーパー形状に形成することが望ましい。この形状は、レジスト材料、露光条件及び現像条件を適宜調整することにより実現する。
【0024】
次に図2(d)に示すように、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層11の溝12(銅シード層上)を埋めるように銅配線層6を形成する。尚、無電解メッキ法に代わって、電解メッキ法を用いても同様に銅配線層6を形成することができる。この場合の無電解メッキ法は、銅シード層5の上に堆積するために触媒処理が不要であると共に、大面積基板に適用した際に問題となる膜厚分布の不均一性も抑制することができる。
【0025】
次に図3(a)に示すように、剥離液等を用いてフォトレジスト層11を除去する。この除去に際しては、ドライプロセスであるアッシング処理を併用してもよい。尚、このアッシング処理を行った際に、銅配線層6や銅シード層5の露出表面が酸化される可能性があり、直後の工程で除去する工程を入れることが望ましい。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングして、少なくとも銅シード層5をエッチング除去する。エッチング方法としては、ウェットエッチング若しくは電解エッチング等を用いることが望ましい。
【0027】
銅シード層のウェットエッチング溶液としては、例えば、塩化鉄系エッチング剤、塩化銅−塩酸系エッチング剤、燐酸−酢酸−硝酸系エッチング剤、フッ酸−過硫酸アンモニウム−塩酸、硫酸−過酸化水素水系エッチング剤、ペルオキソ硫酸塩−フッ酸等々の溶液を用いることができる。尚、厚い銅配線層6をレジストマスクを用いてウェットエッチングする場合は、一般的に等方的なエッチングであるために、パターンのエッジ部分でサイドエッチングが問題となるが、シード層が十分に薄い薄膜であることと、金属配線層6と同時にエッチングされるため、ほとんど問題にはならない。
【0028】
尚、この銅シード層5のエッチングの際に、銅配線層6も同時にエッチングされるが、この時のエッチングされる厚さを考慮して図2(d)の工程で予め銅配線層6を厚く形成する。上記実施形態では、金属シード層として銅シード層を用いたが、銅シード層の代わりにニッケルシード層やコバルトシード層のような銅の直接めっきが可能な第8a族の金属シード層を用いてもよいことは言うまでもない。また、ニッケルシード層をも用いた場合は、硝酸−硫酸−過酸化水素−塩化アンモニウム系エッチング剤等を用いることにより銅配線層6をほとんどエッチングせずにニッケルシード層をエッチングすることが可能であるという利点がある。また、ニッケル層を密着層としてその上に銅シード層を形成してもよいことは言うまでもない。
【0029】
ウェットエッチング法だけではなく電解エッチング法を用いる場合は、第1の銅拡散防止膜をアノードとし、陰極板(カソード)との間に所定の電圧を印加して、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングする。銅拡散防止層3と銅シード層5、銅配線層6との選択性の制御が容易であり、比較的エッチング速度が速いという特徴がある。この時、印加する電圧は、銅層の電解エッチングは生じるが、第1の銅拡散防止層3は電解エッチングされない電圧値例えば10V程度に設定することが望ましい。エッチングのベース浴としては、硫酸、リン酸、塩酸などの酸を用いればよいがこれらに限定されるものではなく、もちろん銅シード層5と銅配線層6のエッチング速度比や銅配線層6のテーパー形状を制御するための添加剤を用いたり、液温度や印加電流波形を制御してもよい。
【0030】
次に図3(c)に示すように、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo−W−Bからなる第2の銅拡散防止層層7を例えば、無電解メッキ法を用いて厚さ例えば50nm形成する。第2の銅拡散防止層7は、銅配線層6上にメッキ法により形成するためメッキに適した材料が選ばれる。例えば、ジメチルアミンボランを還元剤に用いることでPd触媒処理が不要なCo−W−Bのような第2の銅拡散防止層7を無電解メッキ法で形成することが望ましいが、銅層表面のみに選択的に無電解メッキが可能なCo−B、Co−P、Co−W−B、Ni−B、Ni−P、Ni−W−Pのような銅拡散防止層でもよい。
【0031】
次に、図3(d)に示すように第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去して、配線1を形成する。
【0032】
以上説明したように本実施形態においては、前述した従来のダマシン法で必要であるCMP用の研磨停止膜を銅拡散防止層の成膜前に形成する工程、及び銅配線を埋め込むための溝を形成するエッチング工程が不要である。また、ダマシン法におけるCMPでは、研磨剤(スラリー)を用いているため、研磨剤や被研磨物(金属イオンを含む)を洗浄する必要があるが、この洗浄工程も本実施形態では不要である。またCPM工程の研磨時における異物混入の原因を少なくすることができる。
【0033】
従って、本実施形態では、金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の金属配線を形成でき、更にダマシン法に比べて工程数を低減することができ、製造コストの削減が実現できる。さらに、本実施形態では、CMPを用いるのが困難である大面積の基板に対しても適用が容易である。前述した本実施形態では、銅を配線材料の一例として説明しているが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、銅を含む合金やその他のメッキ法により成膜可能な金属(金や銀等)であれば適用することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態に係る配線及び電極について説明する。
この第2の実施形態による配線及び電極は、前述した図1に示した配線及び電極の構造と同様にシード層を設けた構造であり、形成方法が異なっている。本実施形態の構成部位や製造工程において、前述した第1の実施形態(図1〜図3(d))の構成部位と同等の部位又は同等の製造工程には同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、配線を構成する各部位の膜厚は、前述した第1の実施形態と同様である。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
【0035】
図4(a)〜4(d)及び図5(a)〜5(c)に示す工程図を参照して、第2の実施形態における配線(電極)の第1の形成方法について具体的に説明する。
図4(a)に示す工程は、図2(a)の工程と同等であり、まず、基板2上に窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層3を全面上に堆積させた後、その上層に第1の銅拡散防止層4をスパッタリング法により成膜する。勿論、これらの成膜方法に限定されるものではなく、蒸着方法などのこれら以外の成膜方法を用いてもよい。また、第1の銅拡散防止層4としては、Ta層、TaN層、WN層、TaSiN層、WSiN層、Co合金層、Ni合金層等を用いることができる。尚、基板2と下地絶縁層3を合わせて絶縁基板10と称する。
【0036】
図4(b)に示す工程は、図2(c)の工程と同等であり、フォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11には、断面が矩形形状(垂直側面)の溝12が形成される。勿論、前述したように、溝12は逆テーパー形状であってもよい。
図4(c)に示す工程では、フォトレジスト層の溝12底部に露出する第1の銅拡散防止層4上の表面の酸化膜(自然酸化膜等)を除去した後、無電解メッキ法を用いて、第1の銅拡散防止層4上に銅シード層5を形成する。
【0037】
図4(d)に示す工程では、さらに電解メッキ法を用いて、銅シード層5と第1の銅拡散防止層4を電極として、フォトレジスト層11の溝12の銅シード層5上のみに銅配線層6を形成する。勿論、電解メッキ法に換えずに無電解メッキ法をそのまま継続して用いることもできる。
図5(a)に示すように、剥離液等を用いてフォトレジスト層11を除去する。この除去に際しては、前述したようにアッシング処理を併用してもよい。但し、これを併用させた場合には、酸化膜除去工程を追加する必要がある。
【0038】
図5(b)に示す工程は、図3(g)の工程と同等であり、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo−W−Bからなる第2の銅拡散防止層7を無電解メッキ法を用いて形成する。
図5(c)に示す工程では、第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去する。
【0039】
第2の実施形態における変形例となる第2の形成方法について説明する。
前述した図4(c)に示す工程では、無電解メッキ法を用いて銅シード層を形成し、さらに図4(d)において、このシード層及び第1の銅拡散防止層4を電極とした電解メッキ法を用いて銅配線層6を形成している。この無電解メッキ法に代わって、フォトレジスト層の溝12底部に露出する第1の銅拡散防止層4上の表面の酸化膜を除去する溶液、例えば銅イオンとフッ酸とフッ化アンモニウム若しくは硝酸等を含む溶液を用いた置換メッキ法で第1の銅拡散防止層4上に極薄い銅シード層5を形成してもよい。また、銅シード層5は、次の工程での無電解メッキ法が適用可能な程度の銅核の形成であってもよい。
【0040】
第2の実施形態における変形例となる第3の形成方法について説明する。
前述した図4(c)に示す工程では、置換メッキ法で銅シード層5を形成したが、別の方法として、有機金属材料を用いたCVD法を用いてもよい。銅(Cu)の有機金属原料としては、例えば、銅の1価錯体原料であるトリメチルビニルシリルヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(Cu(hfac)TMVS)を用いて、例えば140℃程度の低温下で成膜すると、成膜開始初期に銅拡散防止層のような導電性材料上と、フォトレジストや酸化膜のような絶縁性材料上との間で成膜の選択性を達成できる。即ち、導電性材料上では成膜厚さは成膜時間に比例するが、一方、絶縁性材料上では成膜開始初期に膜が形成されない潜伏期間が生じるため、成膜厚さが成膜時間に比例せず、選択性が発生する。但し、絶縁性材料上で核成長による銅層が形成された後、すなわち潜伏時間が経過した後(例えば2分乃至60分後)には、導電性材料上とほぼ同じ成膜速度で成膜が行われる。このため、核成長の進行程度が低い潜伏期間内に選択的に銅シード層を形成してしまうことが望ましい。
【0041】
この第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同等な作用効果を得ることができる。加えて、本実施形態は、銅シード層と銅配線層を形成すべき領域へ選択的に形成することができるため、銅シード層におけるエッチング処理工程が省略することができ、更に、製造コストの削減に有用である。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態に係る配線及び電極について説明する。
図6に、第3の実施形態に係る配線及び電極の断面構成を示す。この第3の実施形態による配線及び電極は、前述した第1の実施形態における銅シード層を設けていない構造である。ここでは、配線を例として、基板上に直接的に設ける構成について説明する。勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
【0043】
この配線21においては、ガラス等からなる基板22上には下地絶縁層23を設ける。この下地絶縁層23上には、配線パターンに沿った第1の銅拡散防止層24を設け、その上面に第1の銅拡散防止層24の幅より僅かに狭い銅配線層25を積層する。次に銅配線層25の全表面を覆うように、第2の銅拡散防止層26を設ける。
【0044】
このような構成において配線21は、銅配線層25が第1の銅拡散防止層24と第2の銅拡散防止層26で周囲を取り囲まれた(包囲若しくは被包された状態)3層構造であるため、回路に組み込まれた際には、銅の拡散による他の回路素子、例えば、TFTの特性を劣化させるような影響を防止することができる。本実施形態による電極は、例えば、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTの低抵抗なゲート電極やソース・ドレイン電極に適用できる。
この配線21の各層の膜厚は、例えば、下地絶縁層23が400nm、第1の銅拡散防止層24が50nm、銅配線層25が400nm、第2の銅拡散防止層26は50nmである。
【0045】
次に、図7(a)〜7(d)及び図8(a)〜8(c)に示す工程図を参照して、第3の実施形態における配線21の形成方法について具体的に説明する。
本実施形態は、感光性樹脂もしくは無機絶縁層をマスクとする無電解メッキ法を用いて、第1の銅拡散防止層上に選択的に金属配線層を形成し、さらに、この金属配線層を第2の銅拡散防止層で覆うように形成する配線の形成方法である。
【0046】
まず、図7(a)に示す工程では、基板22上にPE(Plasma-Enhanced)−CVD法により、窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層23を全面上に堆積させた後、図7(b)に示すように、第1の銅拡散防止層24をスパッタ法等により成膜する。第1の銅拡散防止層24としては、Ta層、TaN層、TiN層、TaSiN層、WSiN層、Co合金層、Ni合金層等を用いることができる。尚、基板22と下地絶縁層23を合わせて絶縁基板30と称する。
【0047】
図7(c)に示す工程では、第1の銅拡散防止層24上に、PEP法を用いて、フォトレジスト層31を形成する。このフォトレジスト層31には、逆テーパー形状の溝32に形成する。勿論、溝32は垂直形状でもよいが、逆テーパー形状の方が好ましい。これは、前述したように、上層に形成される層間絶縁層のカバレッジや上層配線とのショート不良低減の観点から金属配線層は、順テーパ形状が望ましいためである。
【0048】
図7(d)の工程では、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層31の溝32の底部に銅配線層25を形成する。この無電解メッキ法による第1の銅拡散防止層24上へ直接メッキ成膜する場合、通常、Pd触媒処理を行っている。しかし、後工程で行われる熱処理の際に、銅配線内にPdが拡散して比抵抗値を劣化させるという問題は回避することが望ましい。そのため、Pd触媒処理に代わって、第1の銅拡散防止層上の極表面の酸化膜を除去する処理を行った後、無電解メッキ処理を行うことが望ましい。この酸化膜の除去処理には、フッ酸を含む溶液等を用いるとよい。またフッ酸とフッ化アンモニウム若しくは硝酸等を含む溶液に銅イオンを含有させて、薄い銅シード層若しくは銅核を形成させた後に、無電解メッキ法を用いて銅配線層25を形成してもよい。もちろん、第1の銅拡散防止層24としてCo合金(例えば、Co−B又はCo−W−B、又はCo−B/Co)、Ni合金(例えば、Ni−B又はNi−B/Ni)等を用いると直接メッキが可能である。
【0049】
図8(a)に示す工程では、剥離液等を用いてフォトレジスト層31を除去する。この除去に際しては、アッシング処理を併用してもよい。
図8(b)に示す工程では、無電解メッキ法を用いて、銅配線層25の露出する全表面を覆うように、例えばCo−W−B、Co−B等からなる第2の銅拡散防止層26を形成する。ここでは、Pd触媒処理が不要なCo−W−B、Co−B等からなる銅拡散防止層を無電解メッキ法で形成することが望ましいが、銅配線層を選択的にメッキ法を用いて形成でき、銅拡散防止層となるものを用いるとよい。
【0050】
図8(c)に示す工程では、銅配線層部分を覆う第2の銅拡散防止層26をマスクとしたエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層24の露出している領域をエッチング除去して、配線21を形成する。第1の銅拡散防止層24としてCo合金(例えば、Co−B又はCo−W−B、又はCo−B/Co)、Ni合金(例えば、Ni−B又はNi−B/Ni)等を用いる場合は、図13(c)に示すように銅配線層をマスクにして第1の銅拡散防止層24をエッチングしたのちに第2の銅拡散防止層26を形成するとよい。
【0051】
前述した銅配線層25の形成のための無電解メッキ浴としては、還元剤にホルムアルデヒドを用いてもよい。しかし、ホルムアルデヒドは、人体に有害であると共に、メッキpH条件が12乃至13で行われるため、pH調整剤に水酸化ナトリウムを用いる等、TFTプロセスへの適用を考えるとナトリウム等のアルカリ金属を用いないものを用いることが望ましい。そこで、有害物を含まずアルカリ金属を用いないメッキ浴としては、還元剤にグリオキシル酸を用い、pH調整剤に有機アルカリ(例えば、TMAH)を用いたグリオキシル酸浴や、還元剤にコバルト塩やスズ塩を用いたコバルト塩浴若しくはスズ塩浴を用いることが望ましい。
【0052】
しかし、グリオキシル酸浴のpH調整剤の有機アルカリ(TMAH)は、フォトレジストマスクを溶解するため、有機アルカリに耐性のある感光性樹脂を用いるか、若しくは窒化シリコンや酸化シリコン等の無機絶縁膜マスクを用いるようにすることが望ましい。還元剤として、コバルト塩を用いたコバルト塩浴は、メッキpH条件が6乃至7の中性領域であるため、フォトレジストマスクへのダメージが少なくことから、TFTプロセスには最適なメッキ浴として望ましい。加えて、コバルト塩浴やスズ塩浴は、ホルムアルデヒド浴やグリオキシル酸浴のようにメッキ反応過程で還元剤が分解して水素が発生することがなく、表面性が良好な膜形成やボイドの発生抑制も可能なメッキ浴である。
【表1】
【0053】
以上説明した第3の実施形態は、前述した第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができ、CMP法を用いることなく、配線層材料として銅を用いた配線を形成することができ、且つCMPでは困難であった大面積の基板に対しても適用可能である。よって、従来に比べて、製造工程数を低減することができ、製造コストの削減を実現することができる。
【0054】
尚、本実施形態においても、上記記載事項に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。例えば、配線の材料として銅を用いた例で説明したが、銅を含む合金やその他の金属を容易に適用することができる。
【0055】
前述した第1乃至3の実施形態における配線や電極を表示装置、例えば、アクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)に適用することができる。勿論、この液晶表示装置だけではなく、他にも無機ELD、有機ELDにおける配線等に適用することができる。
【0056】
図9は、一般的なアクティブマトリックスLCDの等価回路の一例を示している(補助容量は図示せず)。本発明の配線は、アレイ基板上に形成されている複数の信号線、複数の走査線、及びマトリックス状に多数配置されたTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極等に適用することができる。
【0057】
ここで、本発明の配線構造をポリシリコンTFTへ応用した第1の適用例について説明する。図10(a)〜10(d)及び図11(a)〜11(c)は、ゲート電極とソース・ドレイン電極に本発明の金属(銅)配線層を用いたMOS構造p型TFTの形成方法について説明する。
【0058】
基板40に下地絶縁層41を堆積させた後、その上に活性層となるアモルファスシリコン層42を堆積する。これらを堆積させた後、温度500℃の雰囲気でアニール処理を施し、アモルファスシリコン層42中の水素を脱離させる。
【0059】
さらに、ELA(Excimer Laser Anneal)法により、アモルファスシリコン層42をポリシリコン層42aに結晶化し、PEPによりレジストマスクを形成した後、CDE(Chemical Dry Etching)法を用いてポリシリコン層42aをアイランド状に加工する。その後、PE−CVD法により、全面上にゲート絶縁層43を堆積させる。ゲート絶縁層としては酸化シリコン層単層でもよいが、銅の拡散に対する拡散阻止能を有する窒化シリコン層のような絶縁層を含む多層構成を用いることが望ましい。
【0060】
図10(b)に示す工程では、前述した各実施形態における形成方法により、第1の銅拡散防止層44を成膜した後、PEPによりフォトレジスト層(マスク)45を形成する。このフォトレジスト層45の開口した溝46に、無電解メッキ法又は電解メッキ法を用いて銅配線層47を選択的に形成する。尚、電解メッキ法で成膜する場合には、前述した第1、2の実施形態のようにシード層を予め形成する。
【0061】
図10(c)に示す工程では、フォトレジスト層45を除去した後、無電解メッキ法を用いて、銅配線層47の表面全体を覆うように第2の銅拡散防止層48を形成する。
図10(d)に示す工程では、第2の銅拡散防止層48をエッチングマスクとして利用して、不要な第1の銅拡散防止層をエッチングすることで、ゲート電極49を形成する。
【0062】
図11(a)に示す工程では、第2の銅拡散防止層48に取り囲まれた銅配線層47をマスクとして、ポリシリコン層42aへボロンをイオンドーピングして不純物領域(ソース・ドレイン領域)42bを形成する。
【0063】
図11(b)に示す工程では、PE−CVD法を用いて層間絶縁層50を形成する。もちろん、層間絶縁層も酸化シリコン層単層でもよいが、銅の拡散に対する拡散阻止能を有する窒化シリコン層のような絶縁層を含む多層構成を用いることが望ましい。さらに、この層間絶縁層50上に、PEPによるフォトレジスト層によるマスク(図示せず)を形成し、層間絶縁層50をエッチングしてソース及びドレイン領域42bの表面まで開口するコンタクトホール51を形成する。
【0064】
図11(c)に示す工程では、層間絶縁層50のコンタクトホール51の形成後は、第3の実施形態と同様に第3の金属拡散防止層52を形成し、さらに、フォトレジスト層によるマスクを形成し、フォトレジスト層の溝部分に無電解メッキ法を用いて銅配線層53を選択的に形成する。さらに、無電解メッキ法用いて銅配線層53を取り囲むように第4の銅拡散防止層54を選択的に成膜した後、第3の金属拡散防止層52をエッチングすることで、ソース・ドレイン電極を形成する。
【0065】
以上のような工程により、本発明の銅配線を用いたゲート電極49とソース・ドレイン電極58を備えるMOS構造p型TFTを形成することができる。尚、上記配線の形成方法においては、第3の実施形態で説明したが、第1若しくは第2の実施形態を用いてもよい。
【0066】
また、図示しないが、ソース・ドレイン電極の形成後に、例えば、窒化シリコン等の層間絶縁層82を形成し、その後に、画素電極との接続のためのコンタクトホール83を開口して、第2の金属拡散防止層84を露出させる。次に、例えばスパッタリング法を用いて、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物等の透明導電体層86を形成し、パターニングすることで、透過型液晶表示装置用等のアレイ基板を形成することができる。
【0067】
この時、図12に示すように、表示装置と外部接続端子部の第2の金属拡散防止層84で覆われた銅配線層85上にも同時に形成して、銅配線層85及び第2の金属拡散防止層84の保護膜として機能させることが好ましい。尚、図12では、銅配線層の単一層を例として示しているが、走査線と信号線の2層構造にしてもよい。
【0068】
また、ITO等の透明金属酸化膜ではなく、反射型液晶表示装置等に用いられている反射性金属例えば、アルミニウム(Al)や銀(Ag)を含む金属層を重ねてもよい。
尚、本発明の配線及び電極は、前述したようなLCDだけではなく、有機ELD例えば、アクティブマトリックス型有機ELDの基板上に形成される信号線、電源線、走査線及びTFT内の電極、及び周辺配線や同一基板上に形成された周辺駆動回路内の配線等に適用することも容易にできる。
【0069】
本発明の配線及び電極の形成方法によれば、金属拡散防止層で取り囲まれた高信頼性の低抵抗材料からなる金属配線の形成が実現でき、さらに、従来のダマシン法のようにCMP(化学的機械研磨法)を用いることなく、基板上へ金属配線を選択的に形成することが可能となり、CMPが困難である大面積基板に対しても低抵抗配線の銅等からなる金属配線の形成を実現できる。また、CMPを用いないで基板上に選択的に配線を形成することができ、配線材料の除去・廃棄が抑制され配線材料の省資源化が可能となる。
【0070】
尚、前述した各実施形態では、第1の銅拡散防止層がエッチングする際に、上層に形成された銅配線層の表面が損傷されることを防止するために、第2の銅拡散防止層をマスク(保護層)として利用している例について説明しているが、この製造工程順に限定されるものではない。つまり、図13(a)〜13(c)に示すように、第1の銅拡散防止層を除去するエッチング処理の際に、銅配線層に損傷を与えないエッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)を採用すれば、第2の銅拡散防止層をマスクとして機能させる必要がないため、第1の銅拡散防止層のエッチングの後に、第2の銅拡散防止層を形成する製造工程であってもよい。
【0071】
つまり図7(d)に示す工程に続いて、図13(a)に示すように第1の銅拡散防止層24上に銅配線層25が形成された後、図13(b)に示すように銅配線層25に損傷を与えないエッチングを行い、銅配線層25に接する以外の第1の銅拡散防止層24を除去する。その後に、第1の銅拡散防止層24及び銅配線層25を覆うように、図13(c)に示すように第2の銅拡散防止層26を形成する。
【0072】
また、銅配線をフォトレジスト層のマスク開口部に形成するのではなく、銅配線を形成して所望の領域のみにフォトレジスト層を残してエッチングする製造工程であってもよい。第1の変形例となる図13は、シード層を用いない構成例であるが、第2の変形例として、図14には、第1の銅拡散防止層24と銅配線層25との間にシード層27を設けた構成例を示している。
前述した図2では、シード層27に銅(Cu)を用いていたが、コバルト(Co)又はニッケル(Ni)を用いていてもよい。
以上のような第1,第2の実施形態による配線を形成する技術は、電極や表示装置にも容易に適用することができる。
このような金属シード層を設けた配線構造を表示装置、例えば、アクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)に適用することができる。勿論、この配線構造は、他にも無機ELD、有機ELDにおける配線等に適用することもできる。このLCDの一例としては、前述した図9に示す等価回路と同等であり、ここでは省略する。このような配線構造は、アレイ基板上に形成されている複数の信号線、複数の走査線、及びマトリックス状に多数配置されたTFTにおけるゲート電極、ソース・ドレイン電極等に適用することができる。
【0073】
ここで、本発明の配線構造をポリシリコンTFTへ応用した第2の適用例について説明する。図15(a)〜図15(e)及び図16(a),16(b)を参照して、ソース・ドレイン電極に本発明の金属(銅)配線層を用いたMOS構造p型TFTの形成方法について説明する。
【0074】
図15(a)に示す工程において、基板91に下地絶縁層92を堆積させた後、その上に活性層となるアモルファスシリコン層93’を堆積する。これらを堆積させた後、温度500℃の雰囲気でアニール処理を施し、アモルファスシリコン層93’中の水素を脱離させる。
【0075】
さらに、ELA(Excimer Laser Anneal)法によりアモルファスシリコン層93’をポリシリコン層93に結晶化させて、PEPによりフォトレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、CDE(Chemical Dry Etching)法を用いてポリシリコン層93をアイランド状に加工する。その後、PE−CVD法により、全面上にゲート絶縁層94を堆積させる。
【0076】
図15(b)に示す工程において、ゲート絶縁層94全面上にゲート電極層95(例えば、MoW)を形成し、その上にPEPによるフォトレジストからなるマスク(図示せず)を設ける。CDE法等を用いて、マスクから露出するゲート絶縁層94をエッチングしてゲート電極を形成する。尚、このゲート電極95を銅で形成し、電極下にバリア層及びCuシード層を設けた構成にしてもよい。
【0077】
図15(c)において、ゲート電極95をマスクとしてポリシリコン層93へボロンをイオンドーピングして不純物領域(ソース・ドレイン領域)93aを形成し、不純物活性化を行う。
【0078】
図15(d)に示す工程において、PE−CVD法を用いて全面上に層間絶縁層96を形成する。さらに、この層間絶縁層96上に、PEPによるフォトレジストからなるマスク(図示せず)を形成し、露出する層間絶縁層96をエッチングしてソース及びドレイン領域93aの表面まで開口するコンタクトホール97を形成する。
【0079】
図15(e)に示す工程においては、第1の銅拡散防止層100として機能するCo層98(厚さ20nm)及びCo−B層99(厚さ50nm)からなる積層をそれぞれスパッタ法と無電解メッキ法で形成する。
【0080】
図16(a)に示す工程において、全面上にCuシード層102(厚さ50nm)を成膜し、PEPによりフォトレジストからなるマスク103を形成する。このマスク103が開口する領域上に無電解メッキ法又は電解メッキ法を用いて銅配線層104(厚さ500nm)を選択的に形成する。
【0081】
図16(b)に示す工程では、マスク103を除去した後、銅配線層104をマスクとしてCuシード層102及び第1の銅拡散防止層100であるCo層98及びCo−B層99をエッチングする。さらに無電解メッキ法を用いて、Cuシード102、銅配線層47及び第1の銅拡散防止層100の側面を含む露出表面全体を覆うようにCo−B、Co−W−B等からなる第2の銅拡散防止層105を形成することで、ソース・ドレイン電極106を形成する。そして、熱処理工程により、Co層98とソース及びドレイン領域93aとの界面にCoシリサイド層101を形成することでソース・ドレイン抵抗の低抵抗化と拡散防止能の向上を実現する。
【0082】
また、図示しないが、前記の工程では、Co−B層99の上にCuシード層102を形成した後に、フォトレジストからなるマスクを用いてCuシード層102上に銅配線層104を形成したが、Co−B層99の上に直接、フォトレジストからなるマスクを用いて銅配線層104を形成してもよい。そして、銅配線層104をマスクとして第1の銅拡散防止層100であるCo層98及びCo−B層99をエッチング後、銅配線層47銅配線層47及び第1の銅拡散防止層100の側面を含む露出表面全体を覆うようにCo−B等からなる第2の銅拡散防止層105を形成してもよい。
【0083】
また、前記の実施形態のCo層98及びCo−B層99の代わりに、Ni層及びNi−B層を用いてもよく、更に第2の銅拡散防止層105にNi−B等からなるNi合金を用いてもよい。第1の銅拡散防止層100の一部にNi層を用いた場合は、熱処理工程により形成されるシリサイド層はNiシリサイド層となる。シリサイド層としては、Taシリサイド層やTiシリサイド層等を用いてもよい。
【0084】
また、図示しないが、ソース・ドレイン電極106の形成後に、例えば、窒化シリコン、ベンゾシクロブテン樹脂等の層間絶縁層を形成し、その後に、画素電極との接続のためのコンタクトホールを開口して、第2の金属拡散防止層を露出させる。さらに、例えばスパッタリング法を用いて、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物等の透明導電体層を形成し、パターニングすることで、透過型液晶表示装置用等のアレイ基板を形成することができる。
【符号の説明】
【0085】
1,21…配線、2,22…基板、3,23…下地絶縁層、4,24…第1の銅拡散防止層、5…銅シード層、6,25…銅配線層、7,26…第2の銅拡散防止層、11,31…フォトレジスト層(感光性樹脂層)、12,32…溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1の金属拡散防止層を形成する工程と、
前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、
前記金属配線層と平面的に重なる領域以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングする工程と、
少なくとも前記金属シード層、及び前記金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、
を具備することを特徴とする配線の形成方法。
【請求項2】
前記配線の形成方法において、
前記第1の金属拡散防止層を形成する工程は、
前記基板上に他の回路素子若しくは他の回路素子の一部が形成された工程の後に、実施されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項3】
前記配線の形成方法において、さらに、
前記金属配線層の断面形状を規定する前記パターンの開口部断面形状は、矩形形状又は逆テーパー形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項4】
前記配線の形成方法において、さらに、
前記金属配線層形成が還元剤にコバルト塩、スズ塩若しくはグリオキシル酸を用いたアルカリ金属を含まない無電解メッキ浴により形成することを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項5】
前記配線の形成方法において、
前記金属シード層は、前記レジストパターンから露出する前記第1の金属拡散防止層上に選択的に成膜されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項6】
前記配線の形成方法において、
前記金属シード層は、トリメチルビニルシリルヘキサフルオロアセチルアセトナト銅を用いることを特徴とする請求項5に記載の配線の形成方法。
【請求項7】
マトリックス状に配置された画素用の駆動素子の電極と、前記駆動素子に接続された走査線と、信号線を有する表示装置の形成方法であって、
第1の金属拡散防止層を形成する工程と、
前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの前記電極、前記走査線及び前記信号線のいずれかとなる金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、
少なくとも前記金属配線層と接合される以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングにより除去する工程と、
前記少なくとも前記金属シード層、及び金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、
を具備してなることを特徴とする配線を有する表示装置の形成方法。
【請求項8】
前記第1の金属拡散防止層の少なくとも一部をシリサイド化する工程を具備することを特徴とする請求項7に記載の配線を有する表示装置の形成方法。
【請求項1】
基板上に第1の金属拡散防止層を形成する工程と、
前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、
前記金属配線層と平面的に重なる領域以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングする工程と、
少なくとも前記金属シード層、及び前記金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、
を具備することを特徴とする配線の形成方法。
【請求項2】
前記配線の形成方法において、
前記第1の金属拡散防止層を形成する工程は、
前記基板上に他の回路素子若しくは他の回路素子の一部が形成された工程の後に、実施されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項3】
前記配線の形成方法において、さらに、
前記金属配線層の断面形状を規定する前記パターンの開口部断面形状は、矩形形状又は逆テーパー形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項4】
前記配線の形成方法において、さらに、
前記金属配線層形成が還元剤にコバルト塩、スズ塩若しくはグリオキシル酸を用いたアルカリ金属を含まない無電解メッキ浴により形成することを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項5】
前記配線の形成方法において、
前記金属シード層は、前記レジストパターンから露出する前記第1の金属拡散防止層上に選択的に成膜されることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項6】
前記配線の形成方法において、
前記金属シード層は、トリメチルビニルシリルヘキサフルオロアセチルアセトナト銅を用いることを特徴とする請求項5に記載の配線の形成方法。
【請求項7】
マトリックス状に配置された画素用の駆動素子の電極と、前記駆動素子に接続された走査線と、信号線を有する表示装置の形成方法であって、
第1の金属拡散防止層を形成する工程と、
前記工程に続いて、レジストパターンを用いて前記第1の金属拡散防止層上に前記レジストパターン内を埋めるように予め定められたパターンの前記電極、前記走査線及び前記信号線のいずれかとなる金属シード層をCVD法を用い、及び前記金属シード層上に金属配線層を無電解メッキ法または電解メッキ法を用い順次形成する工程と、
少なくとも前記金属配線層と接合される以外の前記第1の金属拡散防止層をエッチングにより除去する工程と、
前記少なくとも前記金属シード層、及び金属配線層の側面を含む露出表面を覆うように第2の金属拡散防止層を形成する工程と、
を具備してなることを特徴とする配線を有する表示装置の形成方法。
【請求項8】
前記第1の金属拡散防止層の少なくとも一部をシリサイド化する工程を具備することを特徴とする請求項7に記載の配線を有する表示装置の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−64953(P2012−64953A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229958(P2011−229958)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2004−65613(P2004−65613)の分割
【原出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2004−65613(P2004−65613)の分割
【原出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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